日本ユネスコ国内委員会運営小委員会(第493回)議事録

1.日時

平成26年7月8日(火曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省大臣官房国際課応接室

3.出席者

(委員)
安西祐一郎(委員長)、安達仁美、西園寺裕夫、鈴木邦雄、早川信夫、見上一幸、山中伸一、吉見俊哉、林原行雄〔敬称略〕
(事務局)
加藤日本ユネスコ国内委員会事務総長(国際統括官)、籾井日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事

【安西委員長】
 それでは、運営小委員会を開催させていただきます。御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今日で第493回だそうで、なかなかすごい歴史だと思います。
 事務局に定足数の確認をお願いします。
【本村補佐】
 本日、運営小委員会御出席の委員が9名で、委員の過半数7名以上となっておりますので、定足数を満たしております。
【安西委員長】
 ありがとうございました。それでは、運営小委員会を開催させていただきます。
 今日のこの小委員会は、第131回総会、一昨年の9月13日でございましたけれども、そこで改正されました会議の公開手続の第1条及び第5条に基づきまして、一部の議題を除いて公開で行っております。同手続の第4条、第5条に基づいて、御発言は、一部の議題を除きそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の審議案件及び配付資料ということでございますが、今日は、我が国におけるユネスコ活動の活性化についての提言の進め方について、第135回国内委員会総会の議事日程案、及びESDユネスコ世界会議に関する審議を予定しております。よろしくお願いいたします。
 今日の配付資料について、不足がありましたらお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは次に、前回の議事録についての報告ということになります。議事の前に報告案件が幾つかあります。今年2月の第492回の議事録をお手元に配付させていただいております。皆様にメール等で御確認いただいておりまして、国内委員会のホームページで既に公開されております。
 以上、御報告でありますけれども、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは次に、日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告について、前回の国内委員会総会の開催日でございます、去る3月18日以降の国内委員会の活動について、配付資料、運委493-2にまとめております。この報告書案は、今月24日、第135回総会が開かれる予定でございますけれども、その総会に向けて、より見やすく、かつ充実したものにしたいと思っております。お気付きの点等ありましたら、7月16日水曜日までに事務局宛てにお知らせください。私の方でまとめさせていただければと思います。私の方へ一任ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【安西委員長】
 それでは、日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告についてはお気付きの点について御意見いただいた後、私の方に一任とさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、議題に入らせていただきます。議題1でございます。我が国におけるユネスコ活動の活性化についての提言の進め方についてです。
 以前からこの小委員会で御議論いただいてまいりました、我が国におけるユネスコ活動の活性化についての提言、これが今年の3月31日に決定、公表されました。それを受けて、今後の進め方について御議論いただければと思います。
 まず、事務局から説明をお願いします。
【本村補佐】
 それでは、お手元の資料、運委493-3を御覧ください。
 この提言の進め方でございますけれども、参考6に、先ほど委員長がおっしゃられた「多様化の時代におけるユネスコ活動の活性化についての提言」、日本ユネスコ国内委員会としまして、本年3月31日付けでまとめたものでございます。これについては、4月2日付けで、加藤統括官名で各都道府県教育委員会及び県知事等宛てに、この提言をお送りしているところでございます。
 お手元の論点メモでございますけれども、基本的に参考6の提言から項目ごとに論点を整理したものが、この1枚のペーパーでございます。内容について簡単に御説明いたしますと、本提言は2部構成になっております。1部としまして、若者及び企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進ということで、1から4まで項目がございます。
 一つ目といたしまして、いかに今後効果的にユネスコ活動、国内委員会の活動等を情報発信していくかというところでございますけれども、ユネスコ活動の魅力、国民の生活との結び付き等をより分かりやすく伝えていくためにはどうしたらよいか。これも参考で、例えばユネスコスクールガイドラインのように簡潔な説明ぶりを検討してはどうかということで、参考7で、これは以前、教育小委員会で安西委員長におまとめいただいたガイドラインを添付しておりますので御参照ください。また、情報発信のツールとしてはどのようなものがふさわしいか。ホームページですとかSNS、ソーシャルネットワーキングサービス等を活用した情報発信、また、魅力的で包括的な情報発信を行うポータルサイトをどのように構築していくか等を論点として挙げさせていただいております。
 二つ目といたしまして、若者の参加の促進でございますが、例えばユネスコ協会・クラブ等の組織がございますけれども、こういった組織に加盟していなくてもユネスコ活動に若者や企業等が参加できる機会を拡大していく方法はどのようなものが考えられるか。裏面に行きまして、三つ目でございますが、企業の参加の促進。ユネスコ活動が企業にとって魅力的であるための方策はどのようなものが挙げられるか。四つ目としまして、ユネスコ活動への参加の動機付け。例えばユネスコ活動表彰制度を設けてはどうかという提言がございますけれども、具体的にどのような仕組みにしていくのかということで、論点を挙げさせていただいております。
 また、米印ですけれども、これは全体に係る課題でございます。ユネスコ活動の一層の促進のために、日本ユネスコ国内委員会以外の主体への働き掛けをどのように行っていくかということも大きな課題でございます。
 第2部、ローマ数字の2でございますけれども、学校教育・社会教育等を通じた持続可能な開発のための教育(ESD)の一層の推進というところでございますが、ユネスコスクールについて、ユネスコスクール間の交流を促進していくにはどうしたらよいか。これは既に、事務局を務めておられますACCUのウエブサイト上で、マッチングサイトをつい最近立ち上げたところでございますけれども、これ以外の方法で具体的にどのように交流を促進していけるかというところを挙げてございます。また、二つ目、ユネスコスクール以外の学校でのESDの推進についてです。これは、これまで御紹介してまいりましたけれども、参考9でお配りしておりますとおり、今年度の新規事業といたしまして、コンソーシアム事業というのを開始しております。ユネスコスクール以外でESDを推進するためのネットワークをどのように構築していくかということで新規事業を立ち上げたわけですけれども、これも今回採択されたのは5件ということで、これ以外、あるいはこのコンソーシアム事業の効果を最大化していくにはどうしたらよいかというところを論点として挙げております。
 また、三つ目のESDの理論的裏付けについて、教育効果の理論的裏付けをどのように明らかにしていくのか。また、最後でございますが、今度、11月に、岡山、愛知・名古屋で開催されますESDに関するユネスコ世界会議を踏まえたESDの推進についてという、この4項目を挙げさせていただいております。
 以上でございます。
【安西委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、今説明のありました、資料で言うと運委493-3です。論点メモ、裏表になっておりますけれども、これを中心にしていただいて、もちろん提言全文、参考6あるいは参考7以降、いろいろ資料もありますので、御覧いただきながら議論を是非お願いしたいと思います。1時間弱、2時ぐらいまでとれると思いますので、是非忌憚のない御意見、むしろこれからどうしたらいいかということですので、御意見いただければと思います。
 先に申し上げておきますけれども、御意見いただいて、この論点メモ、493-3の資料に反映させていただいて、今度の7月24日の総会に提出させていただきたいと考えております。時間の関係もございますけれども、総会に提出するに当たりましては、今日御意見いただいて、それで委員長、私の方へ一任とさせていただければと思っております。もちろん議論次第でございますけれども、よろしくお願いいたします。
 どなたでも結構ですので、御意見いただければと思います。
 どうぞ、鈴木先生。
【鈴木委員】
 提言の中に入っているかもしれないですが、少し忘れたので、この活動で、海外のこの種の活動との連携という話、あるいは海外の小学校などとの連携の話は少し項目に挙げておいた方がいいような気もしますが、いかがでしょう。
【安西委員長】
 これは事務局、提言の内容との関係で、どうなのでしょうか。例えば海外のユネスコスクールとの関係をどうしていくのかということはある程度入っていたと思いますけれども、論点メモには余り書かれていないと思います。
【本村補佐】
 提携という形といいますか、海外のユネスコスクールとの交流というところでは、この裏面のユネスコスクール間の交流を促進する、これは当然国内だけではなくて、海外のユネスコスクールとの交流ということを念頭に書かせていただいております。提言の中でも、ユネスコスクールについては、国内705校まで増えてきましたけれども、今後質の向上が課題であると。そのためには海外のユネスコスクールとの交流が必要であるというような提言の内容になっております。
【籾井企画官】
 あとそれから、コンソーシアム事業の中で海外のユネスコスクールとの交流というのを、国内のユネスコスクール、それから教育委員会、大学を中心にコンソーシアムを形成した上で海外のユネスコスクールと交流をするというのが含まれています。明示的には入っていないですけれども、一応論点の中には含んでいるということかと思いますので、もう少し分かりやすくその点をという御意見をいただければと存じます。
【安西委員長】
 もう少し厚くしていただけますと。
 どうぞ。
【山中委員】
 ここは多分、国内外のユネスコスクールとのマッチングとか書いてあるので、意識はしているのかと思いますけれども、そこはもっと明示的にできたらいいのではないでしょうか。特に高等学校ですと、スーパーグローバルハイスクール事業がありますけれども、あの中でも、ユネスコスクールに入っている宮城の二華高校は、メコン川流域と連携した形で、向こうにも学生が行くし、メコン川流域の学校やユネスコスクールを中心にして、協力して水問題について議論をやろうということも出ていますので、せっかくユネスコスクールですから、もっと積極的に国内だけではなくて海外のユネスコスクール等と連携してやっていくというのもよろしいかと思います。また、世界大会も今度あるし、是非前面に出していただければと思います。
【安西委員長】
 山中委員におっしゃっていただいて、心強いです。是非初等中等教育も、やはりグローバル化というのでしょうか、それでユネスコスクールは、今山中委員がおっしゃられたように、本当に核になれるものだと思いますので、もう少し膨らませていただけるといいと思います。
 どうぞ。
【山中委員】
 ユネスコスクールが、日本が700校で、世界全体で9,000校なので、1割ぐらいが日本だということになりますので、今回の岡山のもあるし、名古屋もありますので、是非それを目指した形でユネスコスクールを増やすということが考えられます。増やすことが、もう数だけだということがありますが、増やせばやはり何かやらなければならないので、それを契機にして、環境の問題であったり水の問題であったり、平和についてとか、いろいろなことを議論して行動するきっかけになるので、それは非常にいいのではないかと思います。
【安西委員長】
 そうですね。
【西園寺委員】
 よろしいですか。
【安西委員長】
 はい。
【西園寺委員】
 今度の岡山で私どもは、ユースのコンファレンスを担当させていただいております。ユネスコスクールというくくりではないわけですけれども、これを機会に若者たちのつながりを作っていきたいと思います。特に、50人の募集に対しまして5,000人の応募が来ておりますので、それを一つのプラットフォームにしていきたいなと考えております。
【安西委員長】
 このユースフォーラムは西園寺委員の財団に全面バックアップしていただいておりまして、今言われたとおり大変多くの応募があったという状況です。もう決まったのでしょうか。
【西園寺委員】
 しかも非常に優秀な人が多くて、15日までに75人に絞って。最終的にはユネスコ本部の方で50人に決定するということです。
【安西委員長】
 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
【早川委員】
 今のお二人のお話と関連するのですけれども、ユネスコスクールが増えても、ユネスコスクールの中で活動が進められていて、恐らく若者にどう広げていくかいう課題と関係してくると思いますが、ユネスコスクールで活動した人たちが、その先続けていることをどう組織化するかというか、ネットワーク化するかというのがとても大事な視点になってくるのではないかと思います。例えばユネスコスクールOB・OGサークルみたいなものを組織化するであるとか、その人たちが活動しやすいようなサイトを作るなり、せっかく活動したことが、その学校を卒業したら終わりということにならないような仕組みを考えることが必要なのではないかと思います。
【安西委員長】
 そうですね。
【早川委員】
 今、現実はどうなっているのでしょうか。ユネスコスクールのその後というのは。
【籾井企画官】
 卒業生個人に関しては特段、今のところはフォローアップの仕組みはございません。
【本村補佐】
 最近、特にここ数年で急激に増えてきておりますので、まだ卒業後の動向というところまで調査はしておりません。毎年アンケートは学校単位ではやっていますけれども、今後そういった項目を設けて実態調査をしていくということはあり得ると思います。
【安西委員長】
 今のことに関連しますけれども、この論点メモの表側の下の方に、若者の参加の促進とありまして、そのプラットフォームを作りたいということにはなっていますけれども、具体的に、ではどういうプラットフォームを作るのかということは、まだこれからなのでしょうね。でも、いきなり若者全部に広げようとしてもなかなかとは思うので、今の早川委員の言われたことというのは一つのポイントになるかと思います。
 安達さん。
【安達委員】
 はい、私も今、この点がすごく気になっていて、卒業した後にどこで活動するのかということで、地域のユネスコ協会の青年部があるところは、その青年部に入って、そこで活動していくというようなユネスコスクール出身の青年も最近出てきたわけですけれども、まだ協会に青年部がないところがあったりとか、あとは組織自体がなかったりする場所がありますので、地域のユネスコ協会にまずは青年の活動できるような場を作っていくということも大切だということを感じているところです。
 やはり今、青年をどうしていくのかというところで、地域で頑張って活動している青年はたくさんいますけれども、それが地方に散らばっていかないので、ある1か所にだけすごく固まって青年が活動しているという形なので、それがもっと地方に散らばっていくと良いのではということは思っているところで、そういうような波及的な活動ができるようなことができないかということは、今、私たちのところでも議論しているところではあります。
【西園寺委員】
 ユネスコ協会は地域単位になっていますよね。
【安達委員】
 はい。
【西園寺委員】
 それをユースというくくりで、お互いに交流のできる場はないのでしょうか。
【安達委員】
 全国的青年連絡組織というものがありまして、一応そこが青年のネットワークをつなぐような母体としてあるわけです。ただ、いろいろな形の参加の仕方がありますので、青年部に入っていない青年まではなかなか把握できなかったりとかするところがありまして、会員ではないユネスコスクールの高校生とか中学生だったりとか、あと大学ユネスコに所属している青年というところまではなかなか把握できないところがありますので、そういう情報をこちらもキャッチしていかなくてはいけないなという問題意識を今持っているところです。
【山中委員】
 コンソーシアム事業というのをやっています。恐らくユネスコスクール同士とか、地域の、宮城でしたら東北のスクール同士とか、いろいろな交流事業があると思いますが、コンソーシアムを作っていくと、何となく連携とか継続とかというところが、それぞれの大学が中心になって、あるいは組織が中心になって継続的にできそうな気がしますけれども、宮城の場合はいかがでしょうか。
【見上委員】
 確かに山中委員がおっしゃるとおりです。例えばこのコンソーシアムの場合もそうですし、かなりユネスコスクールの数はたくさん増えてきましたので、昔ほどユネスコスクールに入りましょう、入りましょうと言わなくても、かなり十分な数になってきたと思います。ユネスコスクール自身も質を高めよう、活性化させようとしているので、そこにユネスコスクールに入っていない学校とか人たちが、面白い活動だねというふうに自分から進んで入ってくるような雰囲気が、今おっしゃったように、宮城でも作れたらと思っております。しかし、活発な地域には情報がどんどん行くのですが、行かないところには全くしみ込んでいかないという状況がありますので、そこを何とかクリアしないといけないなと思います。
【山中委員】
 前、青森に行ったら、青森はないということでした。
【見上委員】
 ないですね。
【山中委員】
 気仙沼は環境で先進的だと思います。
【早川委員】
 山中委員のおっしゃることも大変よく分かりますけれども、そういう組織化するというのを、上から組織化していくというプロセスも必要かもしれないです。恐らくESDに目覚めた若い人たちが自分たち自身で何か取組をしていきたいという気持ちが湧いてきて、それがそのユネスコスクールを卒業した後に何か自分たちが、漠然と活動しようという思いを持っていたとすれば、それが沸き立つように、つながっていくような、それを支援するような仕組みが作れたらもう少し活性化するかと思います。
 コンソーシアム的なものもそれはある、組織的には必要なのでしょうが、そうしたものを通じてサポートする仕組みをどうやって作っていくかというところに、力点というか視点を置くと、活動が広がりやすくなってくるかという感じがします。
【西園寺委員】
 もう一つよろしいですか。
【安西委員長】
 はい。
【西園寺委員】
 やはりそういう人たちが、お互いに何をやっているかという情報交換ができる場が必要だと思っています。ユネスコ活動の活性化についての提言の中にも、情報発信の必要性について述べられております。今回、ユースカンファレンスに応募してくれた5000人の若者たちのほとんどが会議には参加出来ないわけですけれども、彼らが今後交流できる場としてSNSを利用しようと考えています。フェイスブックが一番手短なところでいいのではというふうに思っていまして、それを今回立ち上げようかと思っています。それは日本だけではなく、国際的な形でのフェイスブックです。
【安西委員長】
 国内委員会の事務局もフェイスブックを立ち上げておられるので、いろいろそういうのが結び付いて情報交換の場になっていけば、非常に結構だと思います。早川委員の言われたような一種のボトムアップの活動も、そういうところがプラットフォームになっていけばいいと思います。
【吉見委員】
 少しまた違う観点からですけれども、よろしいでしょうか。
【安西委員長】
 はい、どうぞ。
【吉見委員】
 私はまだ予備知識が十分ではございませんので、そういう議論はもう既にされているのかもしれないですけれども、提言の本体の7ページを読ませていただきますと、ユネスコの事業には、世界遺産、無形文化遺産、ユネスコ記憶遺産、ユネスコエコパーク、クリエイティブ・シティーズ・ネットワーク、地域振興に資するプログラム等、数多くあるということで、今のユネスコスクールもそうですし、また世界遺産もそうですが、個々のプロジェクトという面では、ユネスコでやられていることは大変よく知られているし、いろいろ話題にも、しばしばなっていると思います。ただ、これら全体が、日本ユネスコといいますか、ユネスコという一つの組織で、一つのアイデンティティを持ってやられているという、そういうイメージがどこまで作れているかということが少し気になります。
 世界遺産はみんな知っているし、それからユネスコスクールはそれぞれの地域でやられているし、でもユネスコ全体が、では一体何のために私たちの社会の中にあって、何をやろうとしているかという、ある種のアイデンティティのようなもの、これは当然、もう議論されているのだとは思うのですけれども、ただ、いま一つそこが普通の人のレベルで認知されていないのではないかという印象を持っています。
 恐らく、継承と創造とか、レガシー・アンド・クリエイティビティみたいな、そういうイメージを詰めていけば、もっとユネスコのアイデンティティのようなものが社会的にアピールする、今の時代だからこそアピールするという形は作れるし、またそうすると、世界遺産とユネスコスクールとエコパークとクリエイティブ・シティとESDのような、幾つかの試みがどうつながっているのかということが理解されてくると、個別の点としてではなく、面としてのユネスコというのが出来上がると思うんですけれども、何か少し点の集まりのような印象を持っていまして、そこの議論がやはり必要なのではないかと思います。
 それに関連して2点ほど、やはりそのために非常に重要だと思いますのは、一つは、やはり2020年の東京オリンピックですけれども、この東京オリンピックが単にスポーツのオリンピックということではなくて、文化のオリンピック。ロンドンは特にそうだったわけですけれども、その文化のオリンピックということを明確に出すとすれば、そこの中でユネスコが、何ができるのかという問いは一つあるのではないかという気がいたします。
 もう一つは、企業の社会貢献活動とのつながり。企業との連携を強めるということは大変大切なことだと思いますが、特にCSRというか、企業の社会貢献活動としてそれぞれの企業がやっていらっしゃることと、それからこのユネスコ全体の活動とのリンクを、もう少し戦略的に作っていくというやり方もあるのではないかという気がいたしますし、そのあたりも、ユネスコが全体として何をやっているのかということをエクスプリシットに社会に示していくことによって、企業も、それだったら非常に宣伝効果があるとお考えになるかもしれませんし、またオリンピックとユネスコというつながりも非常に社会的に受け入れられやすいものになるかもしれないというふうに思う次第です。
【安西委員長】
 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと私も認識しております。この国内委員会自体は、ある意味文科省を超える面もあるとは思うのですけれども、やはり特に文科省におかれましては、そういう面も、オリンピックに向けてはそのとおりだと思いますので、ユネスコ活動全体のガイドブックというか、それは余り見たことがないですけれども、そういうものはあります。世界遺産とユネスコスクールは全く別の活動のように思われているかとは思うので。
【籾井企画官】
 一応「ユネスコ活動」という青いパンフレットがありますけれども、かなり、一般向けではないような記述になっておりまして、今少し見直し作業をしているところです。ただ、そのパンフレット自体もやはり個別の、文化なり科学なり教育の分野でこういう事業をやっていますという説明ぶりになっていますので、パッケージでイメージをという説明には今のところなっておりません。そこはこの提言の中でも、やはりそういうのが必要だという御意見をたくさんいただきましたので、多分委員の皆様も同じような認識ではいらっしゃると思いますけれども、では実際にどういう表現をしたらいいのかというところが、なかなか具体案として、事務局の中では少なくとも出てこないというところもございまして、そのあたりも含めて御意見いただけるといいのかなと思います。
【安西委員長】
 そうですね。
【林原委員】
 よろしいですか。
【安西委員長】
 はい。
【林原委員】
 前の話題に戻りますけれども、ユネスコスクール後のフォローアップという話がありました。以前の会議でも申し上げたと思いますが、ESDの内容はかなり高度で、中学生や高校生に、もちろん非常にいい勉強にはなるでしょうけれども、ある意味では大学生レベルの問題ではないかと思います。大学生でもよく勉強しないと分からない分野が随分あると思います。
 ユネスコスクールというのは、基本的には中学校、高校を対象にしていると理解しておりますが、大学でユネスコ活動をやっているサークルの方が、こういうテーマに興味が湧く年代でもあるし、大学生の方が自由度は高いですよね。中学生、高校生というのは、やはり自分でやろうとしてもなかなか学校がありできないけれども、大学生だったらある程度自主的にできます。配付資料「ESD推進のためのコンソーシアムの形成」のなかに、大学が記載されてありますけれども、何か具体的な組織があるのでしょうか。大学生のユネスコ活動のサークルの組織化はかなり活動を推進するドライバーになるのではないかという気がします。
 それから、吉見先生のお話にあった企業の参加は、もちろん大変重要だと思いますけれども、若干の経験から言いますと、そう簡単ではないということを非常に強く感じており、企業が参加するインセンティブになる何かを作ることが必要だと思います。しかし、そういうものが作れるのかということは簡単ではないので、知恵を絞り、あるいは有識者のアイディアを聞くことが必要だと思います。同時にユネスコ活動への参加が、営業上プラスになる企業、あるいはユネスコ活動に興味のある企業に、集中的にフォーカスして運動に参加してもらうといった努力が必要ではないかという気がします。
 事務局の方にはお話ししていますけれども、11月のESDユネスコ世界会議にボコバ事務局長がお見えになるのであれば、私はたまたま経済同友会のメンバーなので、同友会で講演会をしてはどうかという話をしており、同好会の方も非常に前向きに考えています。同友会の講演会は恐らく100名か200名ぐらいの出席者があると思いますけれども、そういう機会に事務局長に1時間か1時間半ぐらい講演をお願いしたら、ユネスコ活動に対する経営者の理解も深まるのではないかと思います。ただし、そもそも東京にお見えになっても時間があるかどうか分からないし、日程が合うかどうか分からないので、現状では何も決まっておりません。
 世界遺産がこれだけ注目されているわけですから、そういうものと引っかけて、社長さんがこれは使えるという企業活動にプラスになるようなものをアピールできれば、企業の参加も進むのではないかと思いますが、名案がなかなかなくて申し訳ないです。
【安西委員長】
 大学の方をまず、UnivNetとかいろいろあって、少し事務局から現状を教えてもらえるとありがたい。企業の方については、やはり林原副会長に頑張っていただきたいと思っておりまして、これから少し密に御相談をさせていただければというところであります。企業にとっては何かやはり、インセンティブというか何というか、それがないと乗りにくいというのは事実なので、こちら側の売りというか、それを考えていく必要はあると思いました。
【本村補佐】
 今、安西委員長からお話がありました大学のネットワークですけれども、UnivNetというのが、見上先生の宮城教育大学をはじめ、全国で18大学加盟しておりまして、現在、岡山大学が事務局を務めております。これは、定期的に集まって会合をしたり、基本的には教育系の大学、あるいは教育学部を有する大学のネットワークでございます。それとは別に学生のネットワークが重要であろうということで、文部科学省の、我々のパートナーシップ事業の一部で実施しております。玉川大学や慶應大学、全国の十数大学にユネスコクラブというものがございますが、これまで個々の大学ばらばらでやってきたものをネットワーク化しようということで、玉川大学が声掛けをされて、学生同士のネットワークの第1回の会合が昨年12月に開催されたところでございます。我々もそういう動きを大事にしながら、サポートしていきたいと考えているところでございます。
【安西委員長】
 ユネスコクラブは昔に比べると減っているので、何とか盛り返したいなと思います。どうぞ。
【山中委員】
 ユネスコについて知ってもらうということは重要だと思うんですけれども、とっつきやすいのは世界遺産であると思います、今度、富岡製糸場がなったので今後、数倍の観光客が来るし、たくさんの人が来ます。富士山もそうですが、そういうところは非常に地元も熱心だし、社会的にも非常に関心を持たれるということなので、そこを一つの手掛かりにしたらいいのではと思います。そういうところで観光案内もするし、世界遺産の意義は説明しますが、プラス、ただ単にそこがいいということ、あるいはユネスコスクールも、その学校が活性化するとか、いい子供を育てるというのもありますけれども、その先にはやはりユネスコという活動に参加して、世界的に共通の課題を抱えた、いろいろな課題を抱えた国の人たち、そういうところと結び付いて、あるいはそこに貢献していこうと、そこを結び付けられるようなものを用意していくのがいいかと思います。
 富岡製糸場に行けば、これはすばらしいということはよく分かりますけれども、それがユネスコという、世界遺産というのはユネスコがやっているということもそのうち分からなくなって、世界遺産という名前だけは分かりますけれども、なぜユネスコがやっているのかというところは、解説書というかパンフレットに書いてあるような気もしますけれども、少しそういうところも結び付けてもらえれば、かなり広い人が、ユネスコの活動について理解できると思います。また、企業の方がユネスコ活動に協力しようという場合も、そこに参加することによって自分の企業が世界遺産の保存や活用に貢献しているという売りになるので、世界遺産は非常にやりやすいかもしれません。
【林原委員】
 同感ですが、世界遺産をはじめユネスコの遺産は、ある意味では異常なくらいのブームで、本来の在り方とは少し離れているかという気もします。しかし、これだけやはり認知度が高いものは有効な手段としてむしろ前向きに使うべきであって、世界遺産に絡めて、ESDを初めとするユネスコ本来の活動をもう少しアピールすることはできないものでしょうか。やはり情報発信はテレビ等マスメディアが有効ではないかと思います。NHKさんにやっていただければもちろんいいですが、民放だとユネスコ活動に熱心な企業がスポンサーに入ってくるかもしれませんので、それも結構だと思います。私はソーシャルネットワークは自分自身でやっていないものですから、少し感度が鈍いのですけれども、テレビの影響というのはやはり大きいと思います。今度のESDの世界大会もやはりテレビで情報発信を考えたら良いと思います。
【山中委員】
 特集ですね。
【林原委員】
 よろしくお願いします。
【安西委員長】
 ありがとうございました。私もだんだん分かってきたのですけれども、事務局が相当いろいろなことを抱えておられて、その全貌というのがなかなか明らかにならないぐらいの大きさです。それはやはりウエブページを一般の人が見れば、そこから世界遺産でもどこでも、ユネスコスクールでも行けるというのがまず出発点かというふうには思います。まだそこもこれからというのか、そういう状況ですので、この論点メモにはいろいろ、かなり大きなことがずっと並んでいますが、やはり着実にできるところから具体的に手掛けていかないといけないのではないかというふうな気がします。
【吉見委員】
 一つだけ付け加えれば、今、確かに世界遺産の影響力といいますか、インパクトは大変大きいのですけれども、ただユネスコがやるべきなのは、それを利用することもとても大切ですけれども、なぜ世界遺産が重要なのかというか、世界遺産をこれだけの人々が評価している、あるいは世界が評価して、注目している、それはなぜそうなのかということを皆さんに分からせていくということがとても重要で、多分多くの人は、何かすごいらしいというくらいの感じの受け止め方が大きいと思います。
 多分、世界遺産とかいろいろな文化遺産というものが世界的に非常に価値を持ってきているというのは、時代の大きな変化とも関係ありますし、それから、このユネスコの活動が、仮に例えば継承と創造みたいなことをテーマにしているとすれば、この継承と創造ということの中で世界遺産がシンボリックに重要である、あるいは継承ということを私たちの社会がもっと、世界遺産を契機に注目していくというか、考えていく必要があるというメッセージ性を、そこにきちんと持たせていくということが大切な気がします。
【安西委員長】
 今までのところ全体で、事務局はいかがですか。実際、例えば若者の参加とか企業の参加とか、それぞれかなりエネルギーを使うことですし、先ほど山中委員が言われた、特にユネスコスクールをベースにしたグローバル化というのでしょうか、ほかにもお話ありましたけれども、それぞれやはりかなり力を入れないと本当には物になっていかないと思います。全部やるべきだと思いますが、加藤統括官にその気概はあるかということをお聞きしたいです。
【加藤統括官】
 当面はとにかく11月の会議があるので、それが終わってからということになりますけれども、やはり今の陣容というのは、はっきり言って、年間通してのユネスコで行われる会議に対応するのが精いっぱいです。ただ逆に、そういうこともあって、これまでほとんど国内に手を打てていないということだったと思います。
 したがって、ESDについては、我々だけでやるのではなくて、もう本家本元の初中局に相当やってもらうことも考えていかないといけないと思いますし、あと、企業との関係もなかなか、これも本当にやるとなると、例えば「トビタテ!留学」はまさに大臣レベルから、全省挙げてやっているわけですけれども、そこまでやらないとなかなか企業の支援は大変なのかと思います。
【山中委員】
 それは恐らくユネスコの場合も、学校はユネスコスクールというのがあるので、かなりそこを組織化したり、岡山のように、学校だけではなくて、地域でそれぞれのコーディネーターがいて、岡山市を中心としてやっていこうという動きがあるので、ユネスコスクールを核にしながら地域に広げたり、あるいは連携したり、あるいは国際的な連携などは割と作りやすいような気がします。
 世界遺産は、世界遺産について、すでに持っている地域のネットワークというものがまたあります。この前NHKで石見銀山をやっていましたけれども、すぐには観光客も伸びたけれども、その先はだんだん減ってきているものの、減って困るかというと、困っていない。世界遺産になったということで石見銀山の意義をまたよく地元で研究して、そういう研究者も入ってきて、減ってはきたけれどもリピーターが多いと言っていました。そういう学習する場というか、まさに継承して伝えていく場としての世界遺産というものがどんどん育っていくというのが、恐らく日本中の世界遺産になったところの、奈良にしても京都にしても熊野古道にしても、現状は多分どんどん成熟しているという感じに、なってきているのではないかと思います。「世界文化遺産」地域連携会議という団体がありますが、そういう組織と我々が連携する。関係している人たちは、ユネスコの活動の意味を理解どころか、もっとそういうことをやっていきたいという人たちばかりになっているので、そういうことをやっていけば、ますます動いていくのではないかと思います。また、そうすれば企業の方も、別に国がやっているというよりも、民間の団体の活動というものをどういう形で支援していくかということで、支援しやすいような気もします。そこの組織化というか、そういうものを手伝っていくということがいいのではないかという気がします。
 ユネスコスクールや世界遺産は非常に分かりやすいので、あと科学技術は、これはもう個別に、科学分野がやっていくのではないかと思います。
【安西委員長】
 今、山中委員が言われたことはとても大事で、私が見ていても、事務局はオーバーフローしていてなかなか大変です。そういう中で、本当に今言われたようなことをやっていくには、世界遺産も横の連絡をとる、組織化というのでしょうか、お考えになっているようですし、ユネスコスクール、それからUnivNet、日本ユネスコ協会連盟、いろいろあるわけで、そういうのを生かしながら、それをやはりコーディネートしていく役割を担っていくようにスイッチしていかないと、なかなか自分たちで全部囲ってやろうと思っても、これはできないのではないかと思います。そこのスイッチを変えるというのは、是非考えていければと思います。
【早川委員】
 今のお話と、先ほどの吉見委員の御発言と関連しますけれども、恐らく、そうした組織化とかいうこともとても大事ですけれども、やはり原点というか、ユネスコ憲章というのは、やはりこの委員会にとってもとても大事なポイントだろうと思います。最近ユネスコ憲章をネットで少し引いてみましたが、外務省の訳とか、文部科学省の訳ですか、非常に古くて読みにくいというか、とにかく若い人たち、とりわけユネスコスクールの子供たちにも理解してもらうということになってくると、それを分かりやすく伝える、今の日本語版というか、そういう工夫というのが一つ必要なのではないかという気がしています。
 やはり、山中さんがおっしゃるように、世界遺産からユネスコを理解していただくというのもとても大事ですけれども、その原点は何かというところに絶えず思考が戻っていくというのはとても大事なことで、この委員会の原点でもあるので、そこは大事にしたい肝の部分なのではないかという気がします。
【西園寺委員】
 今まさに早川委員のおっしゃったとおりだと思って、やはりユネスコの目的は何なのかというのを、私はしつこく、何回も言っていることですけれども、結局一般の人たちに聞いても、「ユネスコって何なの」とか、「ああ、世界遺産」みたいな反応が来ます。私が説明するのは、国連という経済力とか政治力とか、時には軍事力というハードパワーで平和を目指す組織がある。それに対してユネスコというのは、教育、科学、文化というソフトパワーで平和を目指す組織であるという説明をすると、比較的分かりやすいのです。その中に、例えば教育の中にはESDやEFAがあり、文化の中では世界遺産があり、それから科学はサステイナビリティ・サイエンスがあるという具合に事業別のプロジェクトを説明してあげる。そういう全体像が分かるようなものを作ってあげると、このプロジェクトはこういう意味なのだと、理解しやすいのではないかと思います。
 これは日本語だけではなくて、ユネスコ本部としても、分かりやすく、ユネスコの目的と、それに関するプロジェクトとを関連付けて説明をしてもらえると、非常に一般の人が分かりやすいのではないかというふうに思います。
【山中委員】
 ユネスコ憲章の仮訳かと思いますが、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」、これが非常に有名な部分ですね。
【籾井企画官】
 今の御議論もあって、この論点の1の、効果的な情報発信の一つ目というのは、まさにその説明ぶりを、余り事務局で作るものでもないのかなという認識でおりまして、それを、どういう方から話を聞きながら、どういうものを作っていったらいいのかというところを、少し御意見いただけるとありがたいです。
【安西委員長】
 そうですね、大分事務局とも話したのですけれども、戦後間もなくユネスコ活動が、「心の中に平和のとりでを」というその有名な憲章の下に始まり、特に日本の、特に仙台から、民間の活動は世界で初めて、ユネスコ活動が日本で始まり、当時やはり敗戦後の、終戦後の国民の希望のともしびだったわけです。今は、これからの時代のユネスコ活動の目的は何かと、これはユネスコ本部が考えることかもしれませんけれども、大分事務局とお話をして、それで今のところ選ばれているのが、この「多様化の時代におけるユネスコ活動の活性化についての提言」というのが入っていることだと認識しております。
 やはりこれからの時代の平和というのはどういうことなのかということを、もう一回我々が考えて、それをきちんと作っていく。それを若い人たちと一緒にやっていこうというのがこれからのことだと思いますけれども、今おっしゃられたことというのは、いろいろ事務局と話をしてきておりますので、是非今後ともやはり我々が考えるべきで、一言で、我々は何をやろうとしているのかということを是非お考えいただけるとありがたいと思います。
【林原委員】
 このような推進を、少し失礼ですけれども、お役人さんに任せてしまうというのは、少し酷だと思います。実際にどうやって推進するのかは相当難しいことだと思います。私は、これらの分野のプロのアドバイスを得られたら良いと思います。予算がないかもしれないですけれども、例えば可能であれば広告代理店にユネスコのマークを使える権利を付与して、その代わりに広告代理店のノウハウを使ってユネスコ活動をPRすれば、我々が思い付かないような有効な発想が出てくるかもしれません。前に、この会議で、広告代理店の方にお話を聞いたことがありましたね。
【籾井企画官】
 あります。
【林原委員】
 非常におもしろかった。それから、監査法人の方のお話も聞きましたが、アドバイスは非常に貴重だと思いました。どうしても我々の発想では限界があるような気がします。予算の問題があるから、なかなか難しいかもしれませんけれども。
【安西委員長】
 私も少しそういうのが頭をよぎることは何度もありまして、それくらいしないと、なかなかこれ、議論していても、では実際に広めていくのにどうしたらいいかということになると、なかなかエネルギーが要るなというのが正直なところでした。
【籾井企画官】
 広めていくためのツールという意味ではそうだと思いますが、発するべきメッセージ、何をユネスコの根幹の理念として発するかというところは、やはり国内委員会なり、ユネスコ活動にしっかり関与されてきた方々に議論していただく必要があるかと思います。その上で広告代理店なり、プロの手を借りてプロデュースしていくという方法はあると思いますが、そこがぶれてしまうとどうしても難しいです。ESDでも広告代理店も使いながらやっているわけですが、ESDとは何かというところをさんざんやってきています。何をメインのメッセージとして発していくか、そこの部分をまず御議論いただく必要はあるだろうと思います。
【安西委員長】
 来年が戦後70年です。やはり戦後70年たって、ユネスコ国内委員会もやがて70年が来ますけれども、それくらいのときまでには、やはり一つの大きな看板として、日本のユネスコ活動は一体何を目指すのかということを、戦後を総括して、それで今後どうするのかということについて、やはりこういうところの議論をして、自分たちで出していくべきことだと思います。
【加藤統括官】
 そういう意味では、来年、ユネスコも創立70周年です。そこで、ユネスコ本体でもセレブレーションをやりますけれども、各加盟国でもやってくれという方向になっています。
【安西委員長】
 そこは本当に大事なところだと思っておりますので、山中委員が今読まれたユネスコ憲章の最初の文言は、やはり当時の、とにかく希望のともしびだったわけです。だからそういうものすごいダメージを受けて、これからという状況、本当はダメージを受けているのですけれども、なかなかそれは目に見えないので、そのときの看板というか、もし我々が憲章の冒頭の文を書くのだったら、何と書くかということです。
 その一番原点のところは議論を続けられればと思いますけれども、ほかにはいかがでしょうか。
【西園寺委員】
 せっかく日本がホスト国になって、11月に名古屋と岡山で世界会議があるわけですから、それはやはり一つの、ユネスコ活動を一般に知っていただくいいチャンスだと思います。だからそれに向けて、もう数か月しかありませんけれども、その間にそれこそいい発信をしていくということが必要になると思います。公共広告機構等を使うなど、いろいろな方法があるのではないかと思いますし、お金が掛からない方法もあると思います。
【安西委員長】
 これは、事務局の代弁をするといけないですが、事務局は、見ていると、11月に向けてもう本当にそれに掛かり切りという状況なので、こちらが知恵を出して差し上げる必要があるのではないでしょうか。私も含めてですけれども、具体的に、例えばNHKでこういうことができるのではないかとか、そういうことを言って差し上げる必要があるかと思います。
 ほかにはよろしいでしょうか。もしよろしければ、後でも結構ですので、また御意見いただければと思います。
 先ほど申し上げましたように、今いただいた御意見は是非反映させていただいて、この論点メモについて修文させていただいて、その修文については私の方へ一任させていただければありがたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【安西委員長】
 では、そうさせていただいて、総会へ提出させていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、議題の2でございますけれども、第135回日本ユネスコ国内委員会の議事日程案についてということであります。事務局から説明をお願いします。
【本村補佐】
 それでは、お手元の運委493-9を御覧ください。第135回日本ユネスコ国内委員会総会の議事日程案でございますけれども、日時が7月24日木曜日の13時30分から15時30分まで、文部科学省の第二講堂で開催する予定でございます。
 議題案といたしましては、本日御議論いただいております「多様化の時代におけるユネスコ活動の活性化についての提言」の進め方について、本日の議論を踏まえて、さらに総会でも議論していただく予定でございます。2番目としてESDユネスコ世界会議について、3番目といたしまして国内委員会の構成についてを予定しております。
 以上でございます。
【安西委員長】
 どうもありがとうございました。
 何か御質問等ありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議事日程については御了解いただいたことといたします。どうもありがとうございました。
 それでは、議題の3になりますけれども、ESDに関するユネスコ世界会議についてということであります。今年11月の愛知県名古屋市と岡山市の会議の件でありますけれども、準備の状況について事務局から報告いただいて、それから皆様に御意見いただければと思います。
 この議題の中で、グローバルアクションプログラム、GAPコミットメントに関する一部の議論については、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続に基づきまして、会議の議事を非公開とさせていただきます。
 まず、公開で御報告いただく案件について、事務局から説明をお願いします。
【本村補佐】
 それでは、お手元の資料でございますけれども、運委493-4から8までと、参考8、9を御覧いただければと思います。
 まず493-4でございますけれども、こちらは愛知の11月の世界会議のプログラム概要案でございます。ユネスコの方で先週、ISGの会合がございました。日本からは佐藤前国内委員会副会長に出ていただいておりますけれども、その中でもこのプログラムについて議論しております。
 今現在の状況でございますけれども、プログラムの骨子が固まりましたので、5月23日付けで、ボコバ事務局長名で、ユネスコ加盟195か国及び国連機関等に招待状が発出されております。宛先は各国の教育大臣宛てになっております。また、本ISG会合では、全体会議、プレナリーが4つございますけれども、この場にどういった方々をスピーカーあるいはパネリストとして招くか、またワークショップが、これもクラスター1から4まで、3日間でございますけれども、合計34のワークショップがございます。それぞれ2団体ずつのコーディネーターを指名して、具体的にどういうプログラムでやっていくかというのを表しております。日本からは国立教育政策研究所、岡山市、あいち・なごやを代表して中部RCE、またIGES、これは環境省の地球環境戦略研究機関、この4団体がワークショップコーディネーターとして選ばれております。また、連日お昼休みを活用して行われるサイドイベントについては、現在ユネスコの方で公募しております。ユネスコによれば、サイドイベントは会議の参加者のみしか応募できないことになっておりますけれども、日本からは基本的に誰でも応募することが可能ということで、現在公募中でございます。
 また、岡山、次の資料の493-5でございますけれども、現在の準備状況を簡単に申し上げますと、裏面を御覧いただけますでしょうか。横表になっておりますが、岡山の会議、高校生フォーラム、教員フォーラム、ユネスコスクール全国大会、この3つでユネスコスクール世界大会と総称しておりますけれども、高校生フォーラム、教員フォーラムについては、世界から参加する33か国が決まっておりますので、近日中に招待状を発出すべく、今ユネスコ側と調整中でございます。また、ユネスコスクール全国大会については、既に5月13日付けで、統括官及び初等中等教育局長の連名で、各都道府県の教育長等宛てに案内の文書を発出しております。また、7月3日に第1回のユネスコスクール全国大会宣言の起草・事例選考委員会を開催しております。こちらの委員長には見上委員に御就任いただいております。また、ユース・コンファレンス、西園寺先生の五井平和財団を中心に今準備をしておりますけれども、先ほど西園寺委員からもございましたように、6月までに5,000件を超える応募件数がございまして、現在選考作業中でございます。
 以上が岡山の会議の現状でございます。
 続きまして、493-6を御覧ください。こちらはESDの世界会議、あるいはそれ以降に向けて様々な広報活動を、国内委員会、文部科学省としてやっておりますけれども、先日、ESDの愛称を公募いたしまして、4,000件を超える応募がございました。この中から、「今日よりいいアースへの学び」、愛媛県の小学校6年生ですけれども、大賞が決まりました。この愛称を活用して、今お手元にお配りしておりますけれども、これは一例でございますが、こういった形でいろいろな広報ツールを使いながら、お手元にブルーのクリアファイルをお配りしておりますけれども、様々な場面でこの愛称を活用していきたいと考えております。
 また、3ページでございますけれども、今年度のオフィシャルサポーターとして、さかなクン、白井貴子さん、松岡修造さん、山崎直子さん、4名の方にESDオフィシャルサポーターに就任いただいております。4ページでございますけれども、サポーターの白井貴子さんに、ESDのテーマソングとして「僕らは大きな世界の一粒の命」というタイトルの曲を作っていただいております。今後この曲も日本全国で、各学校をはじめ、広く普及していきたいと考えているところでございます。
 また、6ページ、先日でございますけれども、6月21日に丸の内で、この愛称公募の大賞の授賞式を行いました。一般客、マスコミ等を含めて300名以上が参加しております。
 以下、本資料で様々な広報活動の取組をお伝えしておりますが、省略させていただきます。
 続きまして493-7でございますけれども、こちらはユネスコが世界会議に向けまして、グローバルアクションプログラム、これは昨年11月のユネスコ総会で採択されたものでございますが、2015年以降、このDESD、ESDの10年が終わった後の取組として、ユネスコがまとめたものでございます。開始が2015年でございますけれども、世界会議の場でこれを打ち上げるということになってございまして、そのためのコミットメントをユネスコが全世界で募集を開始したところでございます。世界中のESD活動、今後、2015年以降、自分たちはこういった活動をやっていくというコミットメントを、別紙で付けておりますこの1枚紙にそれぞれの団体なりが記載していただいて、その上でユネスコに提出してもらうということになっております。この中の主要なコミットメントについては、世界会議の最終日、クロージングプレナリーにおきまして発表するということになっております。その他のコミットメントについては、ユネスコのウエブサイトで紹介していくということになっております。
 最後でございますけれども、493-8のあいち・なごや宣言の骨子案でございます。こちらの方は、おめくりいただきまして3ページを御覧いただきますと、今申し上げたESDに関するグローバルアクションプログラムを、あいち・なごやの会議で打ち上げるとともに、この会議の成果として、あいち・なごや宣言を採択する予定となっております。内容としては、1ページの1番の共通理解、各ステークホルダー、加盟国、ユネスコへの呼び掛けという構成で、ユネスコとしては大体2ページぐらいの、簡潔に焦点を絞った内容にしたいということを申しております。
 2ページ目でございますけれども、今後のスケジュールとしまして、先日のISG会合の意見を踏まえまして、今後オンラインで広く意見を募った上でドラフティングをして、11月の会議で発表するということになっております。ちなみに先日、ISGの会議に先立ちましてワーキンググループを開催いただきまして、その場で、御意見が出た、例えば岡山のステークホルダー会合についてこの宣言に盛り込むべきでございますとか、サステイナビリティ・サイエンスに言及すべきという点については、佐藤委員から御発言いただいたところでございます。
 以上でございます。
【安西委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見等いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。もし何か、準備についてでも御意見があれば、いただけますでしょうか。
 西園寺委員はよろしいですか。
【西園寺委員】
 ええ。佐藤さんがISGに御出席いただく折に、私の方としては、できるだけユース・コンファレンスとかステークホルダーの会議の結果を本会議のどこかでインプットさせていただきたいというリクエストをいたしました。それに対しまして、宣言に盛り込めるかどうかは別として、何らかの形で対応するというようなお返事を頂きました。
【安西委員長】
 それでは、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
【安西委員長】
 先ほど申し上げました日本ユネスコ国内委員会のGAPコミットメントについて議論させていただければと思います。この件は、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続について」の1、(2)の「公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある」と認められるため、会議の議事を非公開とさせていただきます。委員及び事務局関係者以外の傍聴の方々並びに報道関係の皆様におかれましては、恐縮でございますけれども、一時退席をしていただければと存じます。後でやります議題4のときには再び公開いたしますので、出入りで申し訳ありませんが、再入場いただけますので、よろしく御協力お願いいたします。

(公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがあるため、非公開)

【安西委員長】
 まず、専門小委員会からの報告であります。前回の運営委員会以降、文化活動小委員会のみ開催しております。文化活動小委員会の議論について、文化活動小委員会の河野委員長が本日御欠席でいらっしゃいますので、事務局から報告をお願いします。
【籾井企画官】
 お手元の資料の参考10を御覧ください。
 第128回文化活動小委員会が6月12日に開催されました。議題は、記憶遺産事業の平成26年の審査に付する案件の選定ということでございまして、選定の結果は皆様にも既にメール等でお知らせをしておりますし、報道もされたところでございます。記憶遺産事業に関しましては、誰でもが直接ユネスコに申請書を出せるということになっております一方で、1回の審査、ユネスコが審査する上限が、一つの国から2件までとなっております。今回日本からは4件の申請がございましたので、そのうちのどの2件をユネスコの方で審査しましょうかという要請があったことに基づいて、文化活動小委員会の方で審議を行い、2件を選定したものでございます。
 申請がありましたのは、選ばれた、舞鶴への生還、これは京都府舞鶴市が申請者でございます。それから、東寺百合文書、これは国内委員会の文化活動小委員会の下に置かれた選考委員会から申請書を出しております。この2件のほか、知覧からの手紙、鹿児島県南九州市が申請したもの、それから全国水平社創立宣言と関係資料、こちらは公益財団法人奈良人権文化財団と崇仁自治連合会が申請者となっております。この4件のうちから、事前に決められた方針、基準に従いまして、舞鶴への生還と東寺百合文書の2件を選んだところでございます。
 選定理由等については、お配りしております資料の2ページ、3ページに書いてあるとおりでございます。
 今回こういう形で選定を行ったというのは、日本においてはこれが初めての経験だったわけなんですけれども、手続面で幾つかコメントが、途中段階で出されております。一部既に対応済みのところがございまして、それが、この報道発表資料の3ページの2のところにございますけれども、ユネスコ記憶遺産の平成26年申請の選定に関する方針の改定についてというところでございます。当初は、この審査に付する案件2件を選ぶ選定の主体というのは、日本のナショナルコミッティーとして位置付けられております記憶遺産選考委員会で行う予定でございましたけれども、いろいろ審議というか、選定のタイミングが近付いていくにつれて、ユネスコ記憶遺産事業への関心が高まってきたことを受けまして、選考委員会自身が今回、東寺百合文書を申請しているという申請主体になっておりました。その東寺百合文書も選考の対象になっている以上、その主体が絞り込みを行うというのは公平性の観点から問題なのではないかということで、今回、方針を改定いたしまして、選定の主体を、その親委員会である文化活動小委員会に変えた上で、今回この2件を選定したところでございます。
 短期間の間でユネスコに回答しなければならないということなど、今回の事情を踏まえると、公平性、客観性には最大限配慮した手続だったと思いますし、委員の皆様方にもそういう観点からきちんと御審議いただいたのだと思いますけれども、実際、文化活動小委員会の中でも、手続に関してはいろいろな御意見が出されました。例えば今回、4件のうち1件は国が申請書の作成を直接行っていますけれども、残りの3件については、それぞれの申請主体がそれぞれの作成をし、もう既にユネスコに提出していました。それを今回国内委員会が選定することにはなったのですけれども、その申請書を例えば改善するためのコメントをしたりとか、そういう関与の機会が全くないという中で、本当に無理やり2件選ぶというのはどうなのかという御意見も、吉見先生も今力強くうなずいていらっしゃいますけれども、文化活動小委員会の中ではかなり大きい意見として出されました。それから、そもそも国が申請の段階で、ユネスコの枠組みとしては勝手に皆さん出せるようになっているけれども、今後も本当にそのやり方でいくのか、事前に国がもう少し関与するというやり方もあるのではないか。一方で、逆に、もう完全に自由にしてしまってもいいのではないかというような、いろいろな御意見が出されました。
 今回の選定作業の経験を受けて、ユネスコに対しても、この選考ルールを見直す議論を喚起してほしいという御意見も文化活動小委員会の中では出されましたので、今回の経験を踏まえまして、論点の整理も含めて、文化活動小委員会の方で、今後どういうやり方がいいのかというのを御議論いただいて、次のラウンドがすぐ始まってしまいますので、早急に議論をしながら、どういう方向性でやっていくのがいいのかということをまずは文化活動小委員会で御議論いただいた上で、また総会にも御報告を。今回の夏の総会には間に合わないですけれども、春の総会に御報告させていただければというふうに考えております。
 以上でございます。
【安西委員長】
 ありがとうございました。何か御質問等ありますでしょうか。
 私が聞いても、やはりユネスコの手続が、曖昧というのでしょうか、何というのでしょうか、少しおかしいかと思います。
【吉見委員】
 つじつまが合わないです。
【安西委員長】
 そうですね、つじつまが合わないということでしょうか。そう思いました。
 それでは、この件はよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは次に、今後の国内委員会の関係行事等について、事務局からお願いします。
【本村補佐】
 それでは、お手元の参考11を御覧ください。持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議が、11月4日から13日まで、一連の会合が予定されております。それに先立ちまして、8月21日から22日、その世界会議の一番下のところでございますけれども、ESDの10年・地球市民会議というのが国連大学で開催される予定でございます。こちらには民間のNGOですとか企業等が参加する予定となっております。
 また、ユネスコ関係の会議でございますけれども、ユネスコの世界各国の国内委員会の初めての会議、第1回の会議がカザフスタンのアスタナで予定されております。国内委員会からは加藤事務総長に出席していただく予定です。また、ユネスコ執行委員会が10月15日から30日に予定されております。
 最後、国内委員会の関係では、7月24日に135回総会がございます、その他、MAB、文化活動小委員会等が予定されております。
 以上でございます。
【安西委員長】
 ありがとうございました。
 何か御質問はありますか。よろしいですね。
 ありがとうございました。
 こちらで用意いたしました議題その他は以上でありますけれども、ほかに何か、特にありますでしょうか。まだ多少時間がありますが、もしよろしければ、このあたりまでにさせていただきます。
 それでは、今回はここまでにさせていただきます。大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
 次回のこの会議は、またアナウンスされるということでよろしいですね。
【籾井企画官】
 はい。
【安西委員長】
 それでは、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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