日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告(文化活動・コミュニケーション)(平成25年9月10日~平成26年2月16日)

無形文化遺産保護条約

 「和食」の無形文化遺産代表一覧表への記載

和食にまつわる風景
和食にまつわる風景 
©岩手県一関市


 平成25年12月2日~7日、アゼルバイジャン共和国のバクーにおいて第8回政府間委員会が開催され、我が国から提案していた「和食;日本人の伝統的な食文化」を含む25件の無形文化遺産代表一覧表への記載が決定されました。これにより、同一覧表に記載されている我が国の無形文化遺産は、22件となりました。(平成25年12月現在。代表一覧表の記載件数281件)。

 このほか、緊急保護一覧表への記載4件(記載総件数35件)、ベスト・プラクティスの選定1件(選定総件数11件)が決定されました。(我が国からの出席者:門司健次郎ユネスコ代表部大使、青柳正規文化庁長官ほか、外務省、文化庁、農林水産省の事務官)

 さらに、同委員会では以下の事項が決定されました。
・2015(平成27)年、2016(同28)年の記載サイクルで取り扱う提案書の件数は、それぞれ50件とし、どの提案国も少なくとも2年に1件は審査されることを保証する。
・無形文化遺産保護条約の運用指示書に関し、以下の改訂案を、承認のため次回無形文化遺産保護条約締約国会議(平成26年6月開催予定)に提出する。
-現在規定がない一国内の案件の拡張提案についても規定を追加する。
-各国から提出された提案書の事前審査について、代表一覧表への提案を審査する「補助機関」と緊急保護一覧表等への提案を審査する「諮問機関」を一元化し、試験的に諮問機関が一括して全てのリストの審査を行う方式とする。

庄内浜文化伝道師館      第8回政府間委員会(アゼルバイジャン)
©庄内浜文化伝道師館(山形県)                    第8回政府間委員会(アゼルバイジャン)

アジア太平洋無形文化遺産研究センター

アジア太平洋無形文化遺産研究センター

 独立行政法人国立文化財機構アジア太平洋無形文化遺産研究センター(International Research Centre for Intangible Cultural Heritage in the Asia-Pacific Region:IRCI)は、ユネスコのカテゴリー2センター(ユネスコ活動を支援するため、加盟国が設置するユネスコ後援の機関)として、平成23年に大阪府堺市に設置された機関です。

 平成25年10月21日、京都市内において、アジア太平洋無形文化遺産研究センター第2回運営理事会が開催されました。議長である佐々木丞平理事(国立文化財機構理事長)はじめ、今回から新たに理事に加わった松浦晃一郎前ユネスコ事務局長や加藤重治日本ユネスコ国内委員会事務総長等が出席し、ユネスコの中期戦略に沿った長期・中期計画や、特にアジア太平洋地域の無形文化遺産に関する研究者ネットワークの構築、途上国における無形文化遺産保護法制度支援に向けた活動等を柱とする事業計画及び予算案が決定されました。
 このほか、これまで隔年開催としてきた運営理事会を、予算の範囲内で毎年開催とすること、また、有識者による助言機関を設置すること等が決定されました。

 また、同センターの人材育成の取組の一環として、平成25年10月22日~26日、ユネスコジャカルタ事務所との共催で東ティモールの文化担当行政官9名を対象に、「東ティモール無形文化遺産専門家向けスタディツアー」が開催されました。東京国立博物館、東京文化財研究所、文化庁(東京)、なまはげ館(秋田)、つむぎの館、結城紬の工房(茨城)、益子参考館(栃木)等を訪問し、講義や現地視察を通じて得た知識をもとに東ティモールの無形文化遺産保護についての討論が行われました。

現地視察及び討論の様子  現地視察及び討論の様子
現地視察及び討論の様子(©IRCI)

世界遺産条約

世界遺産条約締約国総会

 平成25年11月19日~21日、パリ(フランス)にて第19回世界遺産条約締約国総会が開催されました。また、同会議中、世界遺産委員会委員国選挙が実施され、21議席中12議席が改選されました。なお、我が国は平成23年11月に選出され、平成27年末まで委員国を務める予定です。  (委員国(21か国):アルジェリア、コロンビア、クロアチア、フィンランド、ドイツ、インド、ジャマイカ、日本、カザフスタン、レバノン、マレーシア、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、カタール、韓国、セネガル、セルビア、トルコ、ベトナム)

「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の推薦

 平成25年9月20日、外務省において、新たに内閣官房地域活性化統合事務局長、経済産業省地域経済産業審議官を構成員として追加した世界遺産条約関係省庁連絡会議が開催され、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、推薦書(暫定版)をユネスコ世界遺産センターに提出することが決定されました。続く、平成26年1月15日には、外務省において開催された、世界遺産条約関係省庁連絡会議では「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の推薦書(正式版)をユネスコ世界遺産センターに提出することにつき閣議了解を求める旨を決定しました。今後の世界遺産一覧表への記載に向けた推薦については、政府が一体となって推薦する姿勢を明確化する観点から、閣議了解によりこれを行うこととすべく、閣議決定を求めることとなりました。
 これを受けて、1月17日、閣議において、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の推薦書(正式版)をユネスコ世界遺産センターに提出することにつき了解がなされ、1月29日に同センターに提出しました。また、今後の文化遺産及び自然遺産の世界遺産登録に向けた推薦(推薦書正式版提出時)に当たっては、閣議了解により行うことが決定されました。

韮山反射炉(静岡県)  小菅修船場跡 (長崎県)
韮山反射炉(静岡県)                        小菅修船場跡 (長崎県)

平成24年度我が国推薦物件「富岡製糸場と絹産業遺産群」

 平成25年1月末日にユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出した「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)については、同年9月24日~26日、中国国立シルク博物館館長のZhao Feng(ツァオ・フェン 趙豊)氏により、現地調査が行われました。今後、平成26年6月15日~25日にカタールのドーハで開催される第38回世界遺産委員会において、同物件の世界遺産一覧表への記載の可否について審議される予定です。

富岡製糸場(群馬県)

富岡製糸場(群馬県)

奈良文書20周年会議

 平成26年は、平成6年に奈良で開かれた「世界遺産の真実性に関する奈良会議」において「真実性(Authenticity)に関する奈良ドキュメント」(以下「奈良文書」という)が採択されてから20年目に当たります。そこで、「奈良文書」の採択20周年を記念するとともに、これを再検証し、これまでと同様に文化遺産のあり方を考えるに当たって参照される文書としての有効性を維持するために、我が国において同文書の新たなあり方を考える国際会合を開催する予定です。

文化多様性条約

文化多様性条約締約国会議

 平成25年12月10日~13日、ユネスコ本部において第7回文化多様性条約政府間委員会が開催され、同年6月の第4回締約国会議のフォローや、文化多様性国際基金等についての議論が行われました。日本からは、ユネスコ代表部関係者がオブザーバー出席しました。

クリエイティブ・シティーズ・ネットワーク

メディア・アーツ分野「札幌市」の登録決定

札幌駅前通地下歩行空間北2条広場メディア空間Sapporo*north2  札幌駅前通地下歩行空間北2条広場メディア空間Sapporo*north2(©札幌市)

 平成23年12月以降、ユネスコでは、財政事情悪化に伴い、クリエイティブ・シティーズ・ネットワーク新規加盟の審査が中断していましたが、平成25年7月、ユネスコ事務局から、中国からの任意拠出金により審査を再開したという連絡がありました。かねてから「メディア・アーツ」分野での申請を行っていた札幌市は、平成25年11月11日、クリエイティブ・シティーズ・ネットワークへの加盟が認められました。国内では、名古屋市及び神戸市(デザイン)、金沢市(クラフト&フォークアート)に次いで4都市目となります。(平成25年11月現在、加盟数41件)

さっぽろ雪まつり大雪像プロジェクションマッピング                   創成川公園プロジェクションマッピング 
創成川公園プロジェクションマッピング(©札幌市)             さっぽろ雪まつり大雪像プロジェクションマッピング(©札幌市)

ユネスコ記憶遺産

第8回ユネスコ記憶遺産選考委員会の開催について

 平成26年1月22日、第8回ユネスコ記憶遺産選考委員会が開催され、同選考委員会で選考した第2回推薦案件「東寺百合文書」の推薦書について、審議を行い、同年3月末にユネスコへ推薦書を提出することを決定しました。

 また、同選考委員会の青柳正規前委員長の文化庁長官就任及び佐藤禎一委員、西村幸夫委員のユネスコ国内委員会委員の任期満了に伴い、メール審議による日本ユネスコ国内委員会第123回文化活動小委員会を開催し、新委員の選任を行いました。その結果、足立直樹凸版印刷株式会社代表取締役会長、島谷弘幸東京国立博物館副館長、芳賀満東北大学高等教育開発推進センター全学教育推進部教授が新委員に選任され、委員長には島谷弘幸委員が互選されました。

東寺百合文書
『東寺百合文書』(シ函(しはこ)と文書(もんじょ))(©京都府立総合資料館)

<日本ユネスコ国内委員会に関する参考資料>

1.国際会議等一覧

 会議等名称

 開催日程

(開催地)

 主な内容

  我が国出席者

 第192回ユネスコ執行委員会

  25.9.24-10.11

(パリ・フランス) 

 2014年-2021年中期戦略及び2014年-2017年事業予算(名目ゼロ成長)について審議されたほか、ユネスコ次期事務局長選挙が実施され、ボコバ現事務局長が選出された。

  門司健次郎ユネスコ代表部大使及び同代表部館員、岩本渉文部科学省国際統括官付国際交渉分析官、笠井達彦外務省国際文化協力室長ほか

 第37回ユネスコ総会

  25.11.5-20
(パリ・フランス) 

 先の執行委員会で審議された中期戦略及び事業・予算が採択されたほか、ボコバ事務局長の再任が承認された。また、「ESDに関するユネスコ世界会議」関連で、我が国は愛知県及び岡山市と共にサイドイベント(閣僚級朝食会、展示等)を実施したほか、我が国からの提案により、同会議へのハイレベルの参加をしょうようする決議が採択された。さらに、我が国は、総会下部機関選挙において、国際水文学計画(IHP)政府間理事会及び社会変容マネジメント(MOST)政府間理事会の理事国に選出された。 

 上野通子文部科学大臣政務官、門司健次郎ユネスコ代表部大使、加藤重治国際統括官、斎木尚子外務省国際文化交流審議官、大村秀章愛知県知事、大森雅夫岡山市長ほか

 第19回世界遺産条約締約国総会

 25.11.19
-21
(パリ・フランス) 

 世界遺産委員会委員国選挙が実施され、21議席のうち12議席が改選された。総会手続改正や世界遺産基金の分担額等についての審議、第37回世界遺産委員会等の各種報告が行われた。 

 門司健次郎ユネスコ代表部大使及び同代表部館員、北山浩士文化庁世界文化遺産室長、貝塚寛子外務省国際文化協力室文化遺産協力官ほか

 第8回無形文化遺産保護条約政府間委員会

 25.12.2-7
(バクー・アゼルバイジャン) 

 無形文化遺産代表一覧表への記載の可否等の審議が行われ、我が国提案の「和食;日本人の伝統的な食文化-正月を例として-」の「記載」が決定された。 

 門司健次郎ユネスコ代表部大使及び同代表部館員、青柳正規文化庁長官、笠井達彦外務省国際文化協力室長ほか

 アンコールに関する第3回政府間会議

  25.12.5(シエムリアップ・カンボジア) 

 「アンコール:生きた遺産の包括的かつ持続可能な管理」というテーマのもと、1999年の東京における第1回会議以降、国際社会がカンボジアの復興と共にアンコール遺跡救済のために成し遂げた20年の成果の確認と今後の展望を議論、総括として、「アンコール宣言」が採択された。 

 長嶺安政外務審議官、隈丸優次在カンボジア大使、樋口義広同公使ほか

 第7回文化多様性条約政府間委員会

  H25.12.10-13(パリ・フランス) 

 同年6月の第4回締約国会議のフォローや、文化多様性国際基金等について議論した。

  外務省、文化庁、ユネスコ代表部関係者がオブザーバーとして出席

 2.国内委員会会議

 年月日

 会議名

  主な内容

25.10.11

 第123回文化小委員会(メール審議)

 ・クリエイティブ・シティーズ(札幌市)

25.10.19

 第27回MAB計画分科会(メール審議)

 ・EABRN(東アジア地域生物圏保存地域ネットワーク)会議について

25.11.21

 第132回教育小委員会

 ・我が国におけるユネスコ活動の活性化について
 ・第37回ユネスコ総会 教育関係議論の概要(報告)

25.12.20

 第124回文化小委員会(メール審議)

 ・記憶遺産選考委員会委員人事

26.1.22

 第7回ユネスコ記憶遺産(MoW)選考委員会

  ・「東寺百合文書」推薦書の確定

26.2.10 

 第113回人文・社会科学小委員会(非公開)

 ・人文・社会科学小委員会委員長人事

26.2.10

 第123回自然科学・第114回人文・社会科学小委員会

 ・第37回ユネスコ総会について
 ・サステイナビリティ・サイエンスについて

26.2.10

 第124回自然科学小委員会(非公開)

 ・政府間海洋学委員会(IOC)分科会の構成について

 ・国際水文学計画(IHP)分科会の構成について

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国際統括官付