日本ユネスコ国内委員会第10回文化・コミュニケーション小委員会 議事録

1.日時

令和6年2月16日(金曜日)16時01分~17時25分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

(委員)
井上洋一委員長、大枝宏之委員、川村泰久委員、黒川廣子委員、小浦久子委員、佐藤美樹委員、佐野智恵子委員、髙橋秀行委員、野間省伸委員、芳賀満委員、蓮生郁代委員、松本千恵子委員、丸尾直彦委員
(事務局)
渡辺正実国際統括官(日本ユネスコ国内委員会事務総長)、匂坂克久国際統括官付国際交渉分析官(日本ユネスコ国内委員会副事務総長)、本村宏明国際統括官付国際戦略企画官(日本ユネスコ国内委員会事務局次長)、原田智国際統括官付ユネスコ協力官(日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐)、その他関係官

4.議事

【井上委員長】  では、始めさせていただきます。本日は御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 会議に先立ちまして、事務局は定足数の確認及び事務連絡をお願いいたします。
【原田ユネスコ協力官】  現在、出席の委員が14名で、全委員18名の過半数ですので、定足数を満たしております。
 また、本日は報道関係者の取材及び一般からの傍聴を受け付けており、Webexにて傍聴いただいております。なお、御出席の委員におかれましては、カメラをオンにしていただき、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いします。また、委員の皆様方にはお手数ですが、御発言いただく際には、お名前をおっしゃってから御発言いたきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。それでは、ただいまより第10回文化・コミュニケーション小委員会を開催いたします。
 本日の議事については、全て公開とさせていただきます。御発言は議事録としてホームページ等で公開されますので、その点御承知おきください。
 それでは、議事に先立ちまして、事務局の異動がありましたので、御報告いたします。
【原田ユネスコ協力官】  事務局の異動について報告いたします。
 私ですけれども、令和5年9月15日付で、原田智が国際統括官付ユネスコ協力官、日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐として着任いたしました。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、本日の会議の議事及び配付資料について、事務局より説明をお願いいたします。
【原田ユネスコ協力官】  議事次第を御覧いただけますでしょうか。議事は3点ございまして、1、「世界の記憶」について、2、ユネスコ創造都市ネットワークについて、3、国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進についてです。1は報告案件、2と3は御意見をいただきたい案件です。
 配付資料は、資料1-1と1-2、資料2-1と2-2、資料3、それから参考資料が4点です。もし不備等ございましたら、事務局まで連絡をお願いします。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議事を始めます。議題1、「世界の記憶」についてです。
 本委員会では、「世界の記憶」についてユネスコへの申請の際の審査等は担当しておりませんが、ユネスコにおける取組であることから、御報告をいただくこととしております。
 それでは、事務局から報告をお願いいたします。
【原田ユネスコ協力官】  資料1-1を御覧ください。前回の委員会で、2025年予定の「世界の記憶」に関し、国内からの申請案件について審査を行うこと、それから審査が終わった後、皆様に報告することをお知らせしておりました。このたび審査が終了し、昨年11月に2件我が国の推薦案件を決定し、ユネスコに申請しましたので、報告します。
 1点目が「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」です。15世紀以前の中国で制作され、日本に伝来した三種の木版印刷の大蔵経で、17世紀初頭に徳川家康が日本全国から収集し、浄土宗の大本山である増上寺に寄進したものです。現代の仏教研究の基礎をなすという、文化史上はもとより漢字文化・印刷文化の観点からも、世界でほかに類を見ない非常に貴重な資料であるという評価を受けております。
 続きまして、2点目は「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」です。第2次世界大戦末期の1945年8月6日に広島に原子爆弾が投下されてから同年12月末の間に、被災した市民や報道カメラマンによって撮影された写真と映像で、こちらも貴重な記録資料であるという評価を受けております。詳細は別紙1と別紙2に記載しておりまして、御参考です。
 2ポツ、今後の予定ですけれども、ユネスコにおける審査を経て、2025年に登録の可否が決定される予定です。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの報告について、皆様から御意見、御質問を受けたいと思います。御意見のある方、御質問のある方、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。なお、時間の関係もございますので、個別の一々の回答というのはここでは控えさせていただきまして、まとめて事務局ないしは適当な方からの御発言をいただきたいと思っておりますので、御協力の程よろしくお願いします。いかがでしょうか。
【事務局】  それでは、芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  ただ今の「世界の記憶」に関するご報告は国際登録への申請のことです。一方で、日本が属するアジア・太平洋地域の「世界の記憶」という地域登録もあります。私はそちらのほうの副議長をしております。アジア・太平洋地域への申請へもどうぞよろしくお願いいたします。ここにいらっしゃる皆様のどうぞお力をお借りしたいと思います。
 以上、お願いでございました。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 ほかの委員の方、いかがでございましょうか。
 それでは、ないようでしたらば次に移らせていただきますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題の2、「ユネスコ創造都市ネットワーク事業について」です。こちらは意見交換をいただきたい案件でございます。
 まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【原田ユネスコ協力官】  まず、資料2-1を御覧ください。前回の委員会で、創造都市に関し、我が国から岡山市を文学分野でユネスコに推薦することを決定し、申請したこと、それから、10月末に加盟認定の結果が公表予定であることをお知らせしておりました。このたび、岡山市の加盟が認定されましたので、報告します。岡山市の加盟により、我が国からの加盟都市は11都市となっております。
 続きまして、資料2-2を御覧ください。前回の委員会で先生方から、創造都市、UCCNと略されますけれども、UCCNのさらなる発信の強化やさらなる推進の必要性、創造都市ネットワーク日本、CCNJと略されますけれども、CCNJとの連携について御意見をいただきました。この資料はいただいた御意見を踏まえて検討した対応方針案です。
 まず、1、UCCNについての情報発信、現在文科省のウェブサイトで創造都市のページがありますけれども、概要紹介にとどまっておりましたので、加盟するメリット、次のページの資料ですけれども、これを新たに追加いたしました。
 例えばメリットの資料に、1、他地域への発信、他地域との連携とありますけれども、例えば旭川市はデザイン分野の創造都市ですけれども、旭川市が今年サブネットワーク会議を開催予定です。世界中の多くのデザイン分野の創造都市が参加すると思われますので、都市の魅力を世界に発信する世界のネットワークを持つチャンスにもなりますし、会議を開催するに当たって、ほかの都市からノウハウを共有してもらえることも強みとなるのではないかと思います。
 2ポツ、CCNJとの連携強化、1つ目のCCNJ参加団体に対する広報。CCNJでは創造都市セミナーという会合が毎年開催されています。この会合に文科省も参加してUCCNについて周知を行う機会をいただき、認知度や関心をより高めていきたいと考えております。
 それから、CCNJ国際ネットワーク部会との連携。CCNJには部会が幾つかありまして、国際ネットワーク部会という部会がございます。この部会は、創造都市ネットワークを活用して都市間の連携等を促進していこうと令和4年に設置されたものでして、先ほど説明しました創造都市セミナーは、CCNJ参加団体の全体会のようなものであるのに対し、この国際ネットワーク部会はよりピンポイントといいますか、創造都市との親和性が高い部会なのではないかと考えております。この国際ネットワーク部会にも文科省が参加し、UCCNについて周知や創造都市の好事例の共有を行って、創造都市の輪をより広げていきたいと考えております。
 なお、UCCNとCCNJとの連携の在り方については、事前にCCNJとも話をいたしまして、方向性について共有していることを申し添えます。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明を受けまして、ただいまからおよそ30分間ほどで皆様に御議論いただきたいと思います。御意見、御質問のある方は、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。指名は事務局からお願いいたします。
 なお、先ほども申し上げましたけれども、普段皆様には、本当に活発に御意見をいただいておりますが、時間が限られております関係で、回答につきましてはある程度まとめた形で回答させていただきたいと思いますので、この点、御了承いただきますようお願い申し上げます。
【事務局】  それでは、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員長代理】  どうもありがとうございます。いつも一番乗りで申し訳ありません。
 今、御説明を受けて、UCCNとCCNJとの関係が整理できて、これから連携強化が図られるということは非常にいいことだというふうに思っております。
 この問題の本質は、当初から掲げてありましたUCCNについて、一般市民には知られていないと。さらに、UCCNの登録都市においても、一般市民に理解されてないという問題を解決するということであります。すなわち、一般市民への普及活動の問題です。
 それで、運営主体であります自治体の認識でありますけれども、必ずしもそればかりとは言いませんけれども、UCCNが都市開発のための手段と捉えられているところが多いようなので、ユネスコの目指すUCCNの目的を明らかにして、念押しをしておく必要もあろうかと考えております。
 UCCNのミッション・ステートメントには、これは経済的のみならず社会的・文化的・環境的側面の創造性を都市開発計画に文化を統合すること、それから国連の持続可能な開発のための2030アジェンダを約束することというふうに掲げられております。そして、その普及のための市民の参加が掲げられているということであります。
 その一般市民への普及活動でありますけれども、今、対応方針案1に示されておりますウェブサイトで自治体に対して情報を発信するだけでは、一般市民へは届かないと思います。そこで提案でありますけれども、1と2も含めて、自治体に市民への推進活動の重要性を認識してもらうために、自治体と地元企業・学校、特にユネスコ協会、ユネスコスクールなどユネスコ関係団体の連携により、市民ぐるみで取り組む体制づくりを推進するといったような文言を加えてはいかがかと思います。
 これまで何度もこのテーマで議論を重ねて、成功事例としましては旭川とか臼杵など、ユネスコ協会やユネスコスクール、地元企業、学校などと連携して地域ぐるみで周知・活動推進を行っている事例を紹介させていただいております。
 さらには、これらのユネスコ協会とかユネスコスクールは全国にネットワークを持っております。ここを通じて、他の都市の一般市民にもPRでき、市民側から自分の都市も創造ネットワークに加盟させたいという声が上がるような仕組みづくりも必要かなと思います。
 私たちユネスコ協会は、ユネスコの理念の市民への普及活動に参画と協力をしたいと考えている団体であります。ぜひそのような環境整備をお願いしたいと思います。
 以上です。
【井上委員長】  佐藤委員、ありがとうございました。
 ほかの委員の方、御意見、御質問ありますでしょうか。
 もしないようでしたら、今のことに関しまして、事務局のほうから回答をお願いします。
【本村国際戦略企画官】  では、私、本村から回答させていただきます。佐藤委員、貴重な御意見ありがとうございました。
 おっしゃるとおり、必ずしもUCCN、ユネスコのクリエイティブ・シティーズについて、一般市民レベルで十分認知がされているかというと、まだまだ十分ではないというふうに我々も認識しておりますので、これはこの後の国際情勢を踏まえたユネスコ活動の推進についての提言の中でも記載させていただいておりますけれども、その地域におけるユネスコ活動の一つの代表として、このクリエイティブ・シティーズもあると思いますので、ぜひその登録された自治体における広報というのがまずは大事だと思います。それを文部科学省、あるいは先ほど原田協力官のほうから紹介させていただきましたCCNJというネットワークがございますので、このネットワークを活用した広報、さらにユネスコ協会、ユネスコスクール及び次世代の国内委員会のユースたちも、自分たちの取組の一環として教育・科学・文化の分野で部会をつくっていまして、文化の部会でこのクリエイティブ・シティーズを彼らは活動の中心に取り上げておりますので、次世代のほうにもぜひこの広報の協力に関わってもらって、地域のユネスコ協会、あるいはユネスコスクール、それから民間企業、自治体と連携して広報していきたい。それに当たっては、繰り返しになりますけども、CCNJとの協力をぜひ強化していきたいと考えております。
【井上委員長】  ありがとうございました。佐藤委員よろしゅうございますでしょうか。
【佐藤委員長代理】  ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
【井上委員長】  ほかに各委員から何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 蓮生委員、どうぞ。
【蓮生委員】  佐藤委員の長年にわたる問題意識に深く共感いたします。この問題を長年にわたって御指摘くださって、本当にありがとうございます。やっとここまで動いてきたということ、やはり佐藤委員がこれだけ長く何度も繰り返し強く指摘してくださったからだと思っておりますし、本当に感謝しております。
 では、それにまたさらにちょっと付け加えさせていただくという形になってしまいますが、私の問題意識は2つあります。
 まず第1の問題意識は、今、佐藤委員がおっしゃってくださったように、このユネスコ創造都市ネットワークが自治体主体になってしまって、オーナーシップが市民ではなくて自治体、いわゆるまちおこしが主目的になってしまっているという問題意識、私も共有しております。
 ユネスコ創造都市ネットワークの目的、ミッション・ステートメントというものを読んでみますと、その中の一つに創造性と革新性の拠点を開発し、文化分野におけるクリエーターや専門家のための機会を拡大する、いわゆるクリエーター・ファーストということがうたわれておりまして、クリエーターにとってより発信がしやすい、創造がしやすい、そういう環境を整備するための環境整備というものもミッションの中の一つなわけですけれども、それがないがしろにされてきたということに関して、私は問題意識を持っています。それが第1の点です。
 第2の点ですが、やはりオーナーシップとも関係してくるのですけれども、一般市民・市民ぐるみでの取組ということを言っていく上で、非常に重要なものの一つとして私が考えているのは、いわゆる日本のサブカルチャーです。特に若い世代、中高年も含めてですけども、非常に関心が強い文化分野というのは漫画でして、これは日本だけでなく世界でもそうですし、日本が持っている最強コンテンツの一つだと考えております。
 次世代のユースの関心をいかに盛り上げるかという意味で、漫画というコンテンツは非常に重要なコンテンツだと思うのですが、これは私、ユネスコ国内委員会に問合せもさせていただいたのですけれども、「ユネスコ創造都市ネットワークに7つの文化分野があるわけですけど、漫画はどこに入るのですか。」「紙媒体ですから文学になるのですか、それとも映画化もされるしテレビ化もされるのでメディアアートなのでしょうか。」という質問をさせていただきましたが、お答えは、分からないということでした。
 でしたら、まさに外交発信力というもののもともとの一番重要なところはどこにあるかといえば、アジェンダ・セッティングなわけですね。世の中で認識されていないもの、価値があると思われていないものに価値をつけていく、そのアジェンダ・セッティングができるかどうかというのものが、外交上のリーダーシップが取れるかどうかということにかかっているわけです。
 ならば、7つの分野のうち、インターディシプリンな分野として漫画を提案するのもよし、または文化分野の中に漫画を入れてもらってメディアアートと連携させるのもよしと。本当にユネスコ活動を若者をターゲットとして広げたいとか、ユネスコの認知度を上げたいと本気で思っているならば、なぜサブカルチャーを日本がリーダーシップを持って世界に向けて発信しようとしないのか。それが本来の外交力であって、外交発信力ではないのかということを感じております。
 特に、1つお話しさせていただきたいのは、ユネスコの元事務局長の松浦晃一郎氏、ですが、彼がいまだに非常に高い評価を国際的に得ているのは、いわゆる石の文化が圧倒的であった西洋の文化的価値観に対して、アフリカやラテンアメリカなどの口承文化を主体とするいわゆる非石の文化の諸国のサポートを得ながら、Intangible Cultural Heritageという非石の文化の価値観というものを新しく打ち立てたから、彼はいまだに高く評価されているわけです。ぜひ、今は評価されていないから、一つ下に見られているといって諦めるのではなくて、これをユネスコに持っていくくらいの気合でやっていただけたらと思っております。
 佐藤委員に乗っかってしまいまして、すいません。でも、本当に長年にわたってこの問題を御指摘くださって、非常に感謝しております。
【井上委員長】  貴重な御意見をありがとうございました。
【事務局】  続きまして、小浦委員、お願いいたします。
【小浦委員】  小浦です。よろしくお願いします。
 私も同様に佐藤委員のお話に乗っかるような形になってしまいますけれども、確かにユネスコスクールであったり、それぞれローカルなユネスコの活動と連携する形での創造都市の在り方というのは、とても重要な論点だと感じています。
 その中で私自身、どちらかというと神戸でデザインのテーマのところを見てきたり、やはり都市のスケールとかそのテーマによって、その地域、市民、コミュニティの関わり方というのは随分違うなというふうに感じています。そういったテーマとか、都市のスケールとか、そこで担っている人たちの在り方、そういったものの個性を踏まえてのUCCNとCCNJの関わり方ということを整理する必要があるのではないかなと感じています。
 私もこの委員会に出させていただいて、神戸市にお伝えしたところ、ようやくユネスコスクールとの関係というものに重点を置くようになられてきていますし、そういった意味でいろいろな議論に参加させていただいていてよかったなと思っていますし、広がりはできてきていると思うのですが、やはりテーマと都市のスケールというのは、こういう連携であったりとか市民との関わり方を考えていく上で、少し配慮が要るかなと感じるところであります。確かにCCNJのほうが行政ベースであったり産業ベースのまちづくりに寄っているということは、最初の出自がそういうところがあったからだと思うのですけれども、だからそれを生かした形でのネットワークの在り方というものを考えていくことも大事かなと思います。
 先ほど御指摘のあった漫画ですけれども、うちの大学にも漫画の学科がありまして、やはり見ていますと、日本にしか、その大学レベルでの国費の留学生を受け入れるような漫画のところってそんなに多くはないのですよね。そういったことからも、新しいアートの在り方として売り出していくというのは、ある種やはり国の施策としても大事かなというのを、お聞きして思いました。御指摘ありがとうございました。
【井上委員長】  小浦委員、ありがとうございました。
【事務局】  続きまして、肥塚委員、お願いします。
【肥塚委員】  いろいろ皆さんありがとうございました。私が1つ共感したのは、先ほどの漫画についてでございます。漫画をここまで盛り上げたのは日本の力であったというのは、もう申すまでもないんですけれども、今はアニメという部分でも、映画で、映像で発展いたしますし、音楽の分野でもアニメのキャラクターが主人公となって音楽ができているということで、紙媒体だけではなく、ゲームから音楽からあらゆるところにこの漫画・アニメというのは波及しているということです。
 今、韓国でもこれがかなりのビジネスに持ち上がっているということになっております。そして日本でフェスティバルを開催すると、グローバルに世界各国の人が集まってくるということは、それを志向している人はもう十分日本の威力を知っているということになります。
 新しいある意味でのサブカルチャーとして、アートとまでは行かないかもしれませんが、ある意味でアートにもなっているという部分もありますので、これは日本の再評価していただく一つのコンテンツであることは間違いないと思いますので、どこに属すか分からないではなくて、きちんと取り上げていただくということが、グローバルにも日本にとっても、これからのトレンドとして若い世代に対して評価に値するユネスコになると考えておりますので、ぜひ御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【井上委員長】  肥塚委員、ありがとうございました。
 それでは、ここで事務局のほうから御意見いただければと思いますが。
【本村国際戦略企画官】  それでは私のほうから、可能な範囲で今の3人の委員の方々からの御意見、質問に対してお答えしたいと思います。
 まず最初に、もしその誤解があったらということで再確認させていただきますけれども、日本国内の創造都市ネットワーク、CCNJですけれども、今回そのCCNJさんと文化庁も交えて、この委員会に先立ちまして今後の連携・協力について意見交換、打合せをさせていただきました。今、CCNJの代表幹事をされているのが北九州市さん、国際ネットワーク部会の幹事が京都市さんになります。今回、北九州市さんと京都市さんと話をさせていただきました。国際ネットワーク部会以外でも、創造農村部会とか、芸術の国際展部会、様々な部会があって、その成り立ちというか趣旨、目的が、ユネスコの創造都市ネットワークと全くイコールではないということは、改めて再認識させていただきました。
 具体的に言うと、全体の創造都市ネットワーク日本の加盟自治体が124自治体、43団体のネットワークでございます。その中の16自治体、1団体が国際ネットワーク部会になってございまして、我々ユネスコの創造都市ネットワーク、今後連携していくに当たって、まさに活動内容が一番近いということで、国際ネットワーク部会、京都市さんとお話をさせていただいた次第です。
 ですので、前提としてその辺を御理解いただいた上での話ですけれども、蓮生委員からございました、まちおこしに特化しているのではないかというところにつきましても、おっしゃるとおり、ユネスコのクリエイティブ・シティーズ・ネットワークの趣旨に関しては、このCCNJの国際ネットワーク部会に今後我々文部科学省としても参加させていただきたいと思っていますので、その場を通じて、ユネスコの趣旨、考え方は周知していきたいと思っております。
 それから、漫画につきまして、確かに蓮生委員から先ほどメールでお問合せがあった際に、若干ここも誤解があると思うのですが、確かに少し説明不足で申し訳なかったのですけれども、分からないとだけ答えた訳ではなく、もちろん確認しないといけない部分はあるのですけども、まずは登録したいと、ユネスコに申請を出したいという自治体がどういう活動を行っていきたいのか、どこの分野で登録をされて、海外のクリエイティブ・シティーズに登録されている都市とどのように連携・ネットワークをつくっていきたいのかというところが大事だと思いますので、可能性としては、クラフトフォークアート、あるいはメディアアート、文学に入り得るのだと思いますけれども、どこの分野で申請していくかは、あくまでも自治体の今後のその活動、クリエイティブ・シティーズになってからの具体的な活動内容によるのではないかなと思っております。ですので、もし仮にその自治体が漫画でぜひ出したいという御相談がこちらのほうにございましたら、ぜひそこは一緒になって考えていきたいと思っております。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 どうぞ。
【蓮生委員】  すみません。よろしいでしょうか。
【事務局】  はい、大丈夫です。蓮生委員、お願いします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。蓮生です。本村委員、御発言、御回答ありがとうございました。
 まず初めに私の発言の趣旨ですけれど、現在ユネスコのUCCN、7つの分野となっておりますが、必ずしも7つだけでなくてもいいのではないのかなというところまで考えております。もしも本当にアジェンダ・セッティングをしたいのならば、8つ目を日本が提案してもおかしくはないのではないかというのが、すみません、私の問合せさせていただいたときの、心の中にあったより大きな野心でございます。
 すみません。失礼します。
【井上委員長】  蓮生委員、ありがとうございました。
【事務局】  芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  創造都市ネットワークについてですが、これまでに既に登録されている11都市に、機会を捉えてなるべくあちらこちらに登録してもらい、11都市にとっても、それからこれからの未来の候補の都市にとっても、良いように活用できないでしょうか。
 例えば、いわゆるグッド・プラクティスの紹介です。例えば山形県の鶴岡市は食文化に関しては、食文化創出推進プランとか、料理人研修制度とかを設け、それからロゴも設定しています。それから、この間仙台の生協へ行ったら、だだちゃ豆のパックがあって、そこに「ユネスコ食文化創造都市鶴岡」と大きく書いてあったので非常にうれしかったのですが、鶴岡市はそういうたくさんのグッド・プラクティスをやっています。そういうことを、いろいろな場に彼らに登場してもらって紹介していただきたいと思います。
 それから同時に、これは文科省が考えることではないかもしれませんけど、今後のいろいろなユネスコ関係の活動のときに、例えば温泉文化を進めたいときに、いろいろな日本中の創造都市をも引き合いに出して、ぜひ一緒に頑張っていっていただきたい。そういった、要はグッド・プラクティスを活用することをもっと考えていただきたいと思います。
 最後に一言、漫画の件、大賛成です。そのときに一言だけ言いたいですけど、漫画というのは突然手塚治虫によって出てきたのではなくて、僕はいつも思っていますが、飛鳥時代の玉虫の厨子の「捨身飼虎」、「施身聞偈」の図、あれは完全に漫画です。手塚治虫の遙か以前に、コマ割りを縦にぶち抜く表現方法が「捨身飼虎」図にあります。井上委員長の奈良国立博物館のある奈良の法隆寺の所蔵品です。江戸時代の絵巻物等はもちろんですけど、こういうところまで日本の漫画文化は遡り、その歴史文化を背景として手塚治虫その他があるんだということも言ったら、非常に強力に世界で日本の漫画を推せるかと思います。
 以上です。
【井上委員長】  芳賀委員、ありがとうございました。
 それでは事務局のほうから、蓮生委員が8つ目の分野に漫画を入れてもいいのではないかという御意見ございましたけれども、これについては現時点でいかがでしょうか。
【本村国際戦略企画官】  先日、ユネスコのこの創造都市を担当されているオットーネADGが日本に来られた際に、渡辺統括官とちょっと会談されたのですけれども、その際におっしゃっていたことが、確かに今7分野しかないんだけれども、都市によってはその分野、例えば一旦デザインで登録されたとして、そのタイミングで首長さんが代わってしまって、いやいや、うちの都市は食文化だといったケースもたまに見られると。なので、その分野については今後より柔軟に運用していきたいという話もされていましたので、今のままのこの7分野で行くのではなく、今後制度改正も含めて検討していきたい旨発言をされていましたので、今後ユネスコがそういう改革、制度改正をやっていくに当たっては、我々だけの判断ではできないですので、外務省、ユネスコ代表部、ユネスコの意見も聞きながらということになるんでしょうけれども、分野の件については検討課題だなと思っております。
 あと、芳賀委員の御提案・アドバイスですけども、グッド・プラクティスを各都市の好事例を集めて発信していくということは非常に大事だと思いますし、ぜひ今後の広報の強化の中で、そういったところも考えていければと思います。
【渡辺国際統括官】  すみません、国際統括官、渡辺です。
 分野の8つ目という話なんですけども、恐らくこれは自治体、果たしてそのサブカルチャーないしは漫画という文化について、仮に日本が何らか提案しようとすると、実際やはりどこかの自治体さんがもう具体的にやりたいという声が上がってこないと、なかなか我々としても動きにくい面もあると思います。もちろんそこはニワトリと卵の話になるんだと思いますけど、文化庁とも相談しながら、そこを日本としてどのようにユネスコという場を通じてやっていくのかということについては、これからも少し検討していきたいと思います。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【事務局】  川村委員、お願いします。
【川村委員】  蓮生委員からの、漫画を8分野目に加えるという御提案、非常に強力で、とにかくインパクトを今の国内に与える、そして若い世代にユネスコに関心を持ってもらい、それを都市を軸にしてユネスコと日本国内の連帯につなげていくというお考えかと思うんですけども、その観点から非常に名案だと思います。
 ではどうやってそれを実現していくかという方法論になりますと、これは先ほどから出ていますように、外交の現場で事務局が意気込みをもって進めていくというのは非常に大事なんですけれども、まずは制度面で今このUCCNがどのような仕組みで動いているのかということについて我々としてもきちんと理解をして、その上で作戦を立てて臨むという順番だと思います。
 この創造都市ネットワークに認定されるための申請がどのような形でユネスコの「専門家」によって審査され、どのような基準で判定され、そして最後は事務局長が認定するということになっているのでしょうか。率直に言って透明性がない制度と思われ、これが私にとっては少し引っかかるところです。岡山市の申請のときにも議論させていただきましたが、一体どのようにして彼らが創造都市ネットワークの候補都市を選んでいるのか。その辺りがどうもはっきりしないんですね。
 すなわち「ルール・オブ・ザ・ゲーム」が明らかにならないまま、我々が漫画という次のターゲットを決めて進むのではなく、もう少し事務局ないしユネスコ側が、どのようなルールとやり方で臨んでいるのかをよく理解した上で、それで作戦を立てることが必要ではないかと思います。8分野目が日本の主張によって認められるのか、新分野を追加するというのはどういうプロセスになっているのか。TORを読んでも分からないのです。
 私の理解が不十分な点があるかもしれませんけれども、この部分が、まず今後のUCCNに対する日本の対応ぶりを考えるときの「一丁目一番地」というか、最初にクリアすべき論点だと思っています。それを考えながら、次世代の若者のユネスコのへの関心を高めていくところへつなげていく。こういう順番ではないかなと考えております。
【井上委員長】  川村委員、ありがとうございました。
 今の御意見に関しまして、事務局のほうからから何か付け加える点、ございますでしょうか。
【本村国際戦略企画官】  川村委員、ありがとうございました。
 先日来、前回の本委員会でも川村委員から御発言いただいたところですし、今回改めてその制度の透明性、まずはそのルールをしっかり押さえてどうなっているのかというところですけれども、もちろん今公開されているものだけでは十分分からないんじゃないかというお話ですけれども、この間、先ほど申し上げたオットーネADGと意見交換させていただいた際、このルールについても、やはり世界遺産ですとか無形文化遺産が、もう条約できちんと定められた体制もしっかりしていて、人もしっかりたくさん体制としてユネスコの中で措置されているんだけれども、このクリエイティブ・シティーズあるいは「世界の記憶」に関しては、必ずしも十分な体制、制度面も含めてある意味かなり脆弱な体制でやっていると。
 例えば、日本からモニタリングレポートというのをその登録された自治体から4年に一回出しているんですけれども、そのオットーネADGが、かなりの都市からレポートすら出てきていないということをおっしゃっておられました。なので、事業としてもまだまだかなり改善すべき点があるというお話でしたので、その辺も含めて、例えば執行委員会あたりでこのクリエイティブ・シティーズが議題になったら、当然その辺、日本としてルールの透明性のところについて意見を出したりしていきますけれども、そうでなくても、ユネスコ代表部を通じてその辺の情報、あるいはどうやって最終的に選考がなされているのか。ここは実はオープンにできない部分も、全てつまびらかにできるわけではなさそうなんですけども、可能な範囲で検証していきたいと思っております。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【事務局】  芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  漫画に賛成です。そのために、先ず日本国内でもっと議論を進めるべきです。なぜかというと、まずは今までの食文化、音楽、文学とかいう分野設定から比べると、漫画という設定は非常に限定的です。それがまず反対される理由となるかと思います。
 それから、漫画はいろいろな属性を持ち、既存の分野設定と重なる。漫画は、文学でもあるし、メディアアートでもあるし、映画のところもあるし、既存の他分野と重なっているので、そこら辺をどう整理するかとか、いろいろと反対意見もあるかと思うので、我々日本の内輪でもっと考え議論するべきだと思います。一方で、ポーランドやアメリカなど、漫画に賛成するだろう国にも、事前に根回しは必要かと思います。
【井上委員長】  芳賀委員、ありがとうございました。
【事務局】  蓮生委員、お願いします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。先ほど本村企画官から、この制度は脆弱であるというお話をお伺いしましたが、私もそう思っております。でも、だからこそ、8つ目をまだ提案する余地があるのではないかと期待しているわけです。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 まだまだ皆さんからいろいろ御意見いただきたいところなんですが、次の議題もございますので、ここでこの話題に関しましては切らせていただければ幸いなんですが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは次、続きまして議題3に移らせていただきます。議題3、「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の指針について」に移らせていただきます。こちらも皆様から御意見をいただき、意見交換をさせていただきたい案件でございます。
 まず、事務局から説明をお願いします。
【本村国際戦略企画官】  それでは、私から説明させていただきます。今、画面に出ておりますけれども、提言(案)ということで、本提言につきましては前回の小委員会、あと総会で骨子案ということで議論いただきましたけれども、いただいた御意見を踏まえて文章化させていただいたのが、こちらの提言(案)になります。
 書き出しの中ほどですけれども、こちらに趣旨が書いてございます。直近の国際情勢等を踏まえ、日本ユネスコ国内委員会は、ユネスコの普遍的な使命を再確認するとともに、ユネスコに対する日本の関与及び国内のユネスコ活動の在り方について提言するとされております。
 背景といたしまして、直近の国際情勢等ということで、ロシアのウクライナ侵略ですとか、イスラエル・パレスチナ情勢等、国際平和を脅かす深刻な事態が国際社会の分断を加速させていること。グローバル・サウスが発言力を増して国際的な合意形成が複雑化していること。また、一番下でございますけれども、科学分野におきましては、次ページに出てきますように、AIですとかニューロテクノロジーの倫理にありますように、先端・新興領域における技術の規制及び活用に関する議論の注目が高まっているということが挙げられます。
 一方で、その下にありますユネスコの普遍的な使命としては、どんなに国際情勢が変化しようとも、ユネスコの使命、平和の構築ですとか貧困の撲滅などは、状況が変わっても不変であると、使命は変わらないということが記載されております。
 それを踏まえた上での提言、2つに分けて提言を書いておりますけれども、ユネスコに対する提言1として、ユネスコに対する日本の関与の在り方ですけれども、国際的な規範設定に関する議論が活性化する中、この議論を主導することで、日本の社会・経済・文化的価値観を適切に反映し、日本への裨益を確保するとともに、国際社会に貢献していくということ。
 また、その下でございますけれども、日本が強みを有する分野、例えばその上に書いてございますけれども、今回IOCの議長に道田委員が就任されましたけれども、海洋の分野ですとか強みを有する分野において、各種政府間会合や専門家委員会への専門家の派遣等を推進すると。また、ユネスコ事務局に対しても、日本政府の職員の戦略的な派遣、また少し下ですけれども、日本からの任意拠出金を通じた戦略的な支援、ユネスコ地域事務所とも戦略的に連携しながら、事業の精選・重点化を促進するということが書かれております。
 続いて、提言2でございますけれども、国内のユネスコ活動の在り方といたしまして、次のページの上のほうですけども、先ほど来御議論いただきましたけれども、ユネスコの登録事業等につきましては、地方自治体、学校、各種団体等による地域等に根差した主体的な取組が必要であり、登録加盟の実現はもとより、登録加盟後においてもネットワークの活性化・広報の強化等に継続的に取り組むことが重要としております。
 広報の強化につきましては、ESDですとか防災、海洋など、日本が強みを有する分野のユネスコ活動及びユネスコ登録事業等の好事例を収集し、多様なメディアと積極的なコミュニケーションを図り、国内における認知度の向上を図るとしております。
 最後に、ユネスコ活動が将来にわたって世代を超えて受け継がれていくよう、ユース(若者)による活動を後押ししていく取組を強化することが重要であるというふうに結んでおります。
 私からの説明は、以上でございます。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明を受けまして、大変時間が短くて恐縮なんですけども、30分程度で御議論いただきますようお願いいたします。まず、御意見、御質問のある方、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。指名は事務局からお願いいたします。
【事務局】  それでは、芳賀委員、川村委員、佐藤委員の順でお願いいたします。
 芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  この提言は誰宛てなのでしょうか。宛先を明記しなくてよいのでしょうか。内閣府の日本学術会議で提言等を出す場合は、その具体的な宛先を必ず書くことを求められます。
【井上委員長】  では、後でまとめて事務局のほうから答えていただきますから、少しお待ちいただければと思います。
【事務局】  続きまして、川村委員、お願いします。
【川村委員】  私のコメントは1点だけです。何かといいますと、最初の前段の部分で、ユネスコの設立目的は、先の大戦の反省からスタートして、文化、科学、教育の協力を通じた平和を構築すること、これを再確認しようということになっています。これは全くそのとおりであって、そしてウクライナがあり、ガザでの戦争もあるということで、国際情勢の認識を書かれていて、各論のアクションプランに行く形をとっています。しかし、この最初の部分の打ち出しと、それを受けてのアクションプランとの間に断層というか、飛躍があるという気がしております。
 それは何かと言いますと、ユネスコの目的に平和構築があるということでしたので、当面の最優先課題はウクライナでの戦争でありガザでの戦闘、より具体的には文化財が破壊されるとか、子供たちへの虐待とか拉致が行われるとか、教育機会の剥奪、こういった悲劇が起きている。それは第2次大戦の反省に立ってつくったユネスコとしては、絶対にこれを許してはいけないような状況です。
 ですから、今、非常に大変な状況にあるということがまず第一に問題意識としてあって、それに対処するための戦略なりアクション、言わば「戦時」の対応、あるいは緊急時の対応というのがあり、加えて「平時」の対応、常々ユネスコがやっている活動やあらゆる分野の活動についてもアドレスをする。そういう構成であると落ち着いて読めるんですけれども、イントロのところは緊急時、戦時について状況説明があるんですけども、いきなり各論に来て規範が大事であるとか国内のユネスコの活動の在り方についての考え方が書いてあります。日本国内向けにやらなきゃいけないことをウクライナなどが起こる前の観点からまとめているということになっています。しかしたった今優先度を持って国連やユネスコが対応しようとしている問題についても、日本の国内委員会としても同調するといった姿勢がここでは抜けているのかなと。一段落、ワンクッション抜けているなという印象を持ちました。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【事務局】  続きまして佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員長代理】  佐藤です。今の川村委員の意見とちょっとかぶるところがあるんですけれども、ここにユネスコ憲章の前文全体を改めて認識して、その趣旨というか歴史を理解するということが書かれていて、その点は非常によいと思います。
 さらに加えて強いて言えばですけれども、前文にあるもう少し中身のところですけども、過去の反省があったにもかかわらず、同じことが今繰り返されているというニュアンスが何らかの格好で伝われば、そういうものがあったにもかかわらず、今、戦争が起こっているんだよということ、そのためには我々何をしなければいけないのかというニュアンスが伝わればいいのかなと思っています。
 次からはちょっと各論なんですけども、提言の2のところでありますけれども、ネットワークの活性化という表現が採用されていますけれども、この表現だとシステム的なネットワークの充実とか、ほかとの交流の奨励とつながりの活性化と誤解されるおそれがないかとちょっと危惧します。ネットワークは手段なのであって、この表現はずばり推進活動の活性化としてはいかがでしょうか。
 それから、これも各論なんですけども、4ページの下から7行目にユネスコ協会に触れていただいて、これはありがたいんですけれども、「これらの広報活動については」とありますけれども、ユネスコ協会が行っているのは広報活動だけではないので、「これらの広報活動及び地域におけるユネスコ活動の推進については」としていただけたらありがたいと思います。
 3つ目ですけども、これはちょっと大きな問題なんですけども、この小委員会の直接の担当ではないんですけども、昨年の11月に50年ぶりに改定されたユネスコ教育勧告に関する記載が全くないと思います。この新勧告は、教育関係者のみならず、全世界の教育に関わる全ての者を対象とした勧告でありまして、既にユネスコ協会連盟では勧告が採択されたことを掲げて、これに沿った事業計画を策定しております。国としてこの勧告をどのように位置づけて活用していくかということは知りたいところなんですけれども、多岐にわたる内容なので、現在検討されている最中なのかなとも思います。
 しかし、この勧告は既に発効されて、しかも公表されているということもありますので、全くスルーするのは説明責任を果たしているとは言えないんじゃないかなと考えます。何らか工夫をしたほうがいいのかなと考える次第です。
 以上です。
【井上委員長】  佐藤委員、ありがとうございました。
【事務局】  それでは、続きまして大枝委員、髙橋委員の順でお願いします。
 まず大枝委員、お願いします。
【大枝委員】  私はちょっと各論を1つだけ、意見として申し上げたいんですが、提言の1で、人を戦略的に派遣する、あるいはお金を戦略的に使って支援するということで、ユネスコの発展に貢献するって、これは大変結構だと思うんですけども、文章の中に「日本の裨益を確保」というのが、その日本の裨益というのが2回出てくるんですね。いいんですけど、言わずもがなでもありますし、2回書くと格調が若干下がる気もしないでもないんで、1回書くか、あるいは書かなくてもよろしいんじゃないかなというのがちょっと気になりましたので、意見として申し上げます。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございます。
【事務局】  続きまして、髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】  先ほどの佐藤委員と重なるところもありますが、提言2の後半の広報の強化という部分ですが、書かれていること自体には違和感はありません。ただ、広報活動というのはあくまでも起点であって、広報活動によってユネスコに関係する活動を行っている様々な団体、例えばユネスコ協会とか民間の産業界とかユースの活動とか、そういうところにユネスコ活動の意義を知ってもらった上で、どういう形の連携をしたらいいのかということを検討してもらい、その結果、そういった活動団体、例えば民間の産業界ユースが連携し、具体的にユネスコ活動を協力に推進するというところまで進めていくということが大事だと思います。書き方の問題だと思いますが、広報活動の強化だけという話になると、知ってもらって終わりみたいなようなニュアンスもあるので、ぜひ広報活動を起点にして、様々な団体等との連携を深め、具体的なアクションに結びつけていくというところまで持っていけるようなことが伝わるような書き方に少し見直してもいいのかなと思います。書かれている内容に違和感があるわけではありませんが、少し広報ということに力点が置かれ過ぎているような書き方になっているのではないかと思いましたので、御提言させていただきました。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございます。
【事務局】  松本委員、お願いします。
【松本委員】  松本でございます。私は群馬の高崎におりまして、私たちは民間のユネスコ協会に所属しております。その民間ユネスコ協会が、例えば創造都市ネットワークの活動とか世界遺産とか「世界の記憶」とかということに積極的には関わっていません。でも、その積極的に関わっていないのは、そういう情報が実はこちらにも来ない。来ないというのはどういうことかというと、行政が主体となっているときに行政が声をかけてくれない。ということは、行政がその存在を知らない場合が多いということなんだろうと思います。
 ですので、やはり文科省という力のあるところで、例えば末端の教育委員会や生涯学習課や、高崎においては市民部防犯青少年課というところなんですけれども、ユネスコの担当のところにまでそういう情報を下ろし、そしてその地区の地域の民間ユネスコ協会と協力して、それを推進していただくというふうに持っていっていただければ、とてもありがたいと思います。
 旭川や臼杵の創造都市ネットワークのとてもよいグッド・プラクティスの例があるんですけれども、それにしても臼杵の場合は、文化・コミュニケーション小委員会などで臼杵市の行政の方とユネスコ協会がそこで話をすることによって、初めて推進委員会にそこに入ることができたということもございますので、できれば行政と地域の民間ユネスコ協会がどこにあるかは日本ユネスコ協会連盟のホームページなどで詳しく知ることができますので、そういうことをちょっと指導していただければありがたいかなと思っています。
 以上です。よろしくお願いします。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ここで事務局のほうから、今まで各委員からお尋ねのあった質問に対しての意見をお願いしたいと思いますが。
【本村国際戦略企画官】  今、たくさんの委員から非常に多岐にわたる提言に対するコメント、意見をいただきましたので、それぞれ事務局のほうで検討させていただいて、どこまでどういう形で反映させられるかどうか、内部で検討をしたいと思います。
 最初の芳賀先生からの、そもそもこの提言は誰に対するものなのかというところですけども、確かに非常に大事なところだとは考えております。ただ、対象が非常に幅広いと考えておりまして、もう国内のユネスコ活動に関係するステークホルダー全ての方々ということと、まだユネスコ活動に関わってないけれども、今後この広報活動、あるいはネットワーク強化をしていく上で関わっていただきたい一般国民の方々ということになろうかと考えておりますので、なかなかその具体にターゲットを絞って、この方々に向けてというのがちょっと書きにくいかなと思っております。
 以上でございます。
【井上委員長】  はい。
【芳賀委員】  内閣府の日本学術会議の文書とは違うのでしょうけれども、もしこれが日本学術会議発出の提言でしたら、こういう一般的な内容でしたら、内部の査読を通らないと思います。だから、もう少し内容を明確、具体的にしたほうがいいのではないかなと、日本学術会議的には思いました。
【井上委員長】  ありがとうございます。
 ほかに、委員の方から。
【事務局】  小浦委員、お願いします。
【小浦委員】  今の芳賀委員と近いところがあるんですけども、このタイトルが「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進」となっているんですけれども、その国際情勢というのが、背景で書かれているようなその紛争の問題とか、AIといったテクノロジーの問題であったりとか、それに伴う情報格差の問題であったりとか、そういうことが国際的情勢を踏まえての国際的情勢であるんであれば、この提言、さっき御指摘もあったと思うんですが、提言1のユネスコに対する日本の関与の在り方として、ここに書かれているのは日本の強みを生かすというような表現になっているんですけど、このタイトルがこれでいいのか、タイトルをこうするんであれば、国際情勢を踏まえたというところをもうちょっと提言の中に分かるようにつなぐのか。どっちでもいいと思います。タイトルの問題なのか、書き方の問題なのか、それが、今までのお話を聞いてすごく気になりました。
【井上委員長】  ありがとうございます。
【事務局】  続きまして、蓮生委員、お願いします。
【蓮生委員】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。一言だけ申し上げさせていただきます。
 やはり、16ページのところの広報の強化と、それに続く次の段落でユネスコ活動が将来にわたり世代を超えて受け継がれていくよう、次世代を担うユースの参画を促す仕組みが不可欠であるということで、日本ユネスコ国内委員会がつくってきた次世代ユネスコ国内委員会に関する取組について書かれております。
 この取組は非常に重要でここ数年大きな成果を挙げてきました。それは高い評価に値すると思っています。ただ一方で、どこかトップダウンのところが否めないとも思っていま
す。本当に若い人ってこんなに優等生なのかなというのがどうしても否定できない疑問と
して燻っているわけです。もちろんリーダーの育成というものは必要です。でも、同時に、もっと普通の一般市民の日本人の若者が、普通に興味を持てるようなボトムアップのものに、ユネスコ自身が取り組んでいかないといけないんじゃないのかという問題意識を持っているわけです。
 それなので、もしもできましたら、提言のところですけれども、「特に次世代を担うユース(若者)の参画を促す仕組みや、ユースが関心を持っている分野のユネスコの取組を活発化させることが重要である」というように、ちょっとだけ文言を修正していただけないでしょうか。もしもできたらその分野のところに、「(漫画などの)」を加えていただけたら、もっとうれしいかなと思います。
 以上です。
【井上委員長】  各委員とも貴重な御意見、ありがとうございました。
 これに対しては、事務局のほうから何か意見として付け加えることはございますか。
 各委員、ありがとうございます。ほかに何かこの問題に関して御意見ある方、いらっしゃいますでしょうか。もしないようでしたらば、次の話題に進ませていただきたいと思います。ありがとうございました。本議題の御意見につきましては、今後、運営小委員会並びに国内委員会の総会にも報告をさせていただきたいと思います。
 では、最後に議題4、「その他」に移ります。各委員から何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
【事務局】  松本委員、お願いします。
【松本委員】  松本です。先ほど「世界の記憶」のところで質問をし忘れてしまったんですけれども、周知をさせるために、それを一般的にどういうふうに広報させるかというところを昨年話し合ったと思うんですが、それについて、最近進展はございましたでしょうか。質問でございます。
【井上委員長】  ありがとうございます。事務局のほう、これに関してはいかがでしょうか。
【本村国際戦略企画官】  その「世界の記憶」を、より多くの良質な広報にどうつなげていくかということでしょうか。これに関しては、昨年来、国際統括官付で情報発信事業ということで取り組んでおりまして、昨年度は島谷委員長、あと関係の方々に出演していただいて、ユーチューブ発信用のビデオを作成して広報を行っています。
 今年度に関しては、さらにより広く一般国民の方々、全くその「世界の記憶」を知らない方々が見ても分かるような内容のパンフレットと、ユーチューブといいますかビデオを今まとめて作成中でございます。今年度中には完成する見込みですので、完成しましたら、また委員の先生方にも共有させていただきたいと思います。
【松本委員】  ありがとうございます。ちょっとその作成に関して私も関係した部分がございましたので、進展をちょっと懸念しておりました。ありがとうございました。
【井上委員長】  ありがとうございます。どうぞ。
【渡辺国際統括官】  すみません。ちょっと補足ですけれども、委員御案内のとおり、本年度は「世界の記憶」、日本から登録申請を出した案件は広島原爆の件がございます。これは御存じのようにメディアの方々が申請されたものであって、今後審査されて、実際に採択されるかどうかというのは、登録されるかどうかというのは今後の議論次第だと思うんですけども、うまくいけば、やはりその原爆についてメディアの方、申請者と一緒になって、そのタイミングでまた新たな広報というのは、効果的な広報というのができるんじゃないかとも思っていますので、いろいろな手段を用いて今後やはり「世界の記憶」ということについて、ユネスコがやっていくだけじゃなくて、我々としても日本国内できちんとやはり効果的に広報できるように、またいろいろな策を練っていきたいと思っています。
【井上委員長】  ありがとうございました。松本委員、今の回答でよろしゅうございますでしょうか。
【松本委員】  はい。ありがとうございました。
【井上委員長】  それでは、ほかの委員の方。
【事務局】  芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  非常に一般的で、多分国際レベルの質問ですけど、G7にユネスコは何か関係したり関与したり、これから強く関与したりはしないのでしょうか。
 何でかと申しますと、次のG7はイタリアで開催されますけれども、そのG7の7つの国のアカデミーが、G7の首脳に手交する声明というものを、今、私も一部担当して日本学術会議で書いています。こういうことを内閣府の日本学術会議ではやっていますが、ユネスコも日本レベルではなくパリレベルの話でしょうが、何かもっとすべきではないかと思っていました。
【井上委員長】  ありがとうございます。これに関しましては、事務局のほうからいかがでしょうか。
【本村国際戦略企画官】  一応御参考までですけれども、そもそもG7との関わりという点では、昨年5月に富山・金沢で教育大臣会合を行いましたけれども、少なくとも教育大臣会合に関しては、オブザーバーの参加になりますけれども、ユネスコからは前回の7年前の倉敷にも出席していただきましたし、今回もジャンニーニADGが出席して議論も行っております。それで富山金沢宣言というのを取りまとめております。首脳レベルのG7の場への関わりというところでは、ちょっと存じ上げません。教育大臣会合は関与しております。
【渡辺国際統括官】  恐らくというか、G7、ユネスコの場合はそもそも国連よりも多い加盟国があるわけで、例えば教育大臣の会合の関係で言うと、G20が今年はブラジルであります。そのG20のほうで、ユネスコがサイドイベント的に会合を予定しているやに聞いています。それから、オリンピック開会式の前に、これはスポーツの閣僚を集めた何らかの閣僚会議のようなものを、やはりユネスコは検討しているというふうに聞いています。
 なので、もちろんG7もなんですけども、やはりユネスコの場合は、G7を超えたさらにもっと大きな広がりに対するアプローチということのほうが、より力が入っているようには感じています。G7の教育大臣会合は今年もイタリアでありますので、そこに向けて、今、アジェンダの調整とか進めていますけども、恐らく何らかの形でユネスコも参画してくると思います。また改めて情報がありましたら、共有させていただきます。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【芳賀委員】  アカデミーも世界各国にありますけど、特にG7とそのアカデミーがやはり影響力が強いので、提言するわけです。我々日本ユネスコ国内委員会の提言も、本来はそれくらいのことを考えて、G7の首脳といった力のある人たちに渡すレベルを想定して、作成、発出してもいいのかなと思いました。そうしないと、何か自分たちの覚悟を自分たちの関係者に言っているだけにしか思えなかったので、もう少し明確な、一番大きい目標、あて先を想定すべきです。
 以上です。
【井上委員長】  芳賀委員、貴重な御意見ありがとうございました。
 ほかの委員の方々、何か御意見等々おありの方、いらっしゃいますでしょうか。
【事務局】  丸尾委員、お願いします。
【丸尾委員】  丸尾です。大分のユネスコ協会と創造都市臼杵との近況について、いい話を一つ御紹介したいと思います。
 先日、創造都市の臼杵より連絡がございまして、3月24日の臼杵フェスタで、ユネスコについてのお話をしてほしいというオファーがありました。喜んでお受けしたところです。対談形式になると思うんですけれども、ユネスコについてPRをしてきたいと思っております。皆さんのおかげで、今順調に進んでいます。ありがとうございます。
【井上委員長】  丸尾委員、ありがとうございます。どうぞ頑張ってください。
【丸尾委員】  ありがとうございます。
【井上委員長】  ほかにはよろしゅうございますか。
 それでは、そろそろ時間となりますけど、事務局、よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、これで本日の第10回文化・コミュニケーション小委員会を閉会いたします。本日は皆様、本当に御多忙の中御出席いただきまして、ありがとうございました。どうぞ、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 ―― 了 ――

お問合せ先

国際統括官付