日本ユネスコ国内委員会第9回文化・コミュニケーション小委員会 議事録

1.日時

令和5年9月4日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

(委員)
井上洋一委員長、佐藤美樹委員長代理、片岡真実委員、川村泰久委員、黒川廣子委員、小浦久子委員、肥塚見晴委員、西藤清秀委員、佐野智恵子委員、高橋秀行委員、道傳愛子委員、芳賀満委員、蓮生郁代委員、松本千恵子委員、丸尾直彦委員、吉田達哉委員
(事務局)
渡辺正実国際統括官(日本ユネスコ国内委員会事務総長)、匂坂克久国際統括官付国際交渉分析官(日本ユネスコ国内委員会副事務総長)、本村宏明国際統括官付国際戦略企画官(日本ユネスコ国内委員会事務局次長)、田中杏奈国際統括官付企画係員

4.議事

【井上委員長】  皆様、こんにちは。ただいまより日本ユネスコ国内委員会第9回文化・コミュニケーション小委員会を開催させていただきます。本日は御多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 会議に先立ち、事務局は定足数の確認及び事務連絡をお願いします。
【田中係員】  現在、出席の委員が15名で全委員18名の過半数ですので、定足数を満たしております。また、本日は報道関係者の取材及び一般からの傍聴を受け付けており、ユーチューブ配信にて御覧いただいております。
 なお、御出席の委員におかれましてはカメラをオンにしていただき、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、委員の皆様方にはお手数ですが、御発言いただく際にはお名前を名乗ってから御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 また本日、こちらはマイクスピーカーで運営しております関係上、Webexのレイアウトを変更いただいている委員におかれましては、参加者にフォーカスではなく、グリッドの表示方法にしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまより第9回文化・コミュニケーション小委員会を開催いたします。本日の議事につきましては全て公開とさせていただきます。御発言は議事録としてホームページ等で公開されますので、御承知おきくださいませ。
 それでは議事に先立ちまして、事務局の異動がございましたので御報告いたします。
【田中係員】  事務局の異動について御報告いたします。
 本年8月8日付で、渡辺正実国際統括官・日本ユネスコ国内委員会事務総長、本村宏明国際統括官付国際戦略企画官・日本ユネスコ国内委員会事務局次長が着任いたしました。
 以上でございます。
【井上委員長】  ありがとうございます。
 続いて、本日の会議の議事及び配付資料について事務局より説明をお願いしたいと思います。
【田中係員】  本日の議事及び配付資料について説明させていただきます。
 議題は1から5を御用意しておりまして、議題1「『世界の記憶』について」及び議題2「ユネスコ創造都市ネットワーク事業について」はそれぞれ事務局からの報告案件となっております。議題3「第42回ユネスコ総会に向けた答申案(文化・コミュニケーション分野)について」及び議題4「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について(骨子案)」については意見交換をお願いしたい議題となっております。
 続きまして、配付資料は議事次第に記載の資料となっております。もし抜け漏れ等ございましたら事務局まで御連絡いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【井上委員長】  それでは議事を始めます。まず議題1「『世界の記憶』について」です。本委員会では「世界の記憶」についてユネスコへの申請の際の審査等は担当しておりませんけれども、ユネスコにおける取組であることから御報告いただくこととしております。それでは事務局から御説明をお願いいたします。
【本村国際戦略企画官】  それでは私から説明させていただきます。
 資料1-1を御覧ください。ユネスコ「世界の記憶」我が国からの新規登録案件につきまして御説明いたします。登録物件といたしまして、「智証大師円珍関係文書典籍-日本・中国の文化交流史」といたしまして、本年5月10日から24日にかけましてパリのユネスコ本部で開催されました第216回ユネスコ執行委員会におきまして本案件が新たに登録されることとなりました。申請者は宗教法人園城寺それから独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館になります。
 概要としては、本件、9世紀に中国の唐に渡った智証大師・円珍に関する史料群となっておりまして、日本と中国の文化交流の歴史ですとか、当時の唐の法制度、交通制度を知ることができるような史料群になっております。中には現代で言うパスポート、ビザの代わりとなる通行許可書の原本が含まれておりまして、非常に貴重な史料であるという評価をいただいております。全て国宝の指定を受けております。
 続きまして、資料1-2を御覧ください。委員の先生方におかれましては既に御案内の内容も含まれているかと思いますけれども、改めまして「世界の記憶」につきまして概要の説明をさせていただきます。
 ユネスコ「世界の記憶」事業に関しましては1992年に開始されております。ユネスコの国際諮問委員会、IACと呼んでおりますけれども、こちらの勧告に基づきまして、ユネスコ執行委員会において決定される国際登録があります。その他、アジア太平洋地域の委員会、MOWCAPと呼んでおりますけれども、こちらが決定する地域登録、この2種類がございます。登録に係る審査は2年に1回行われておりまして、1か国からの申請は国際登録で2件以内、地域登録で3件以内とされております。
 本事業の目的といたしまして、国際的に重要な記録遺産の保存を促進すること、重要な記録遺産になるべく多くの人がアクセスできるようにすること、また、加盟国における記録遺産の存在・重要性への認識を高めることとされております。
 対象としては、3ポツですけれども、手書きの原稿、書籍、新聞、ポスターでありますとか、楽譜、地図、映画・フィルム、写真等が対象となっております。
 登録の状況ですけれども、国際登録が現時点で494件、地域登録が65件となっております。これまで様々な案件が登録されておりますけれども、例えばオーストラリアのウィーン会議の最終議定書、ドイツのゲーテの直筆の文学作品、日記、手紙等、フランスの人権宣言、レバノンのフェニキア・アルファベット等、世界各国から申請があり、登録がなされております。
 最後の制度改正のところですけれども、改めて御説明いたしますと、2015年当時、南京事件の関連史料が登録されたことをきっかけに、加盟国間で見解に相違のある申請案件については、政治的な利用をされないような制度改正が必要であるということになりまして、2017年10月から議論に入りまして、2021年4月の執行委員会において制度改正がなされております。それまでは団体から直接ユネスコへの申請が可能であったところを、必ず加盟国政府を通じて申請すること、それから当事国からの異議申立て制度を新設し、問題があれば当事国間で対話を行い、それが決着するまで登録を進めないことなどを含む制度改正が決定されております。
 続いてこれは参考ですけれども、日本国内から登録された案件が国際登録として6件ございます。山本作兵衛の記録文書、以下、今回の円珍の文書に至るまで合計6件と、共同申請の案件が2件登録されてございます。もう一つ、地域登録があると申しましたけれども、こちらは1件の登録となっております。
 なお、先週月曜日、8月28日締切りで、次期の「世界の記憶」に係る国内からの申請案件の公募の締切りがございました。こちらにつきましてはこれから審査プロセスに入る予定でありますため、今回この場での説明は差し控えさせていただきます。また、今後国内の審査が終わった後、しかるべきタイミングで国内委員会の皆様に御報告させていただければと考えております。
 私からは以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの報告について御意見、御質問のある方は挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。指名は事務局からお願いしたいと思います。御質問等あるいは御意見がございましたらば、どうぞ遠慮なく。
【田中係員】  松本委員、よろしくお願いいたします。
【松本委員】  松本でございます。
 質問ですけれども、2の目的に、「重要な記録遺産になるべく多くの人がアクセスできるようにすること」が目的としてございますが、アクセスするというのはどういった手段なんでしょう。
【本村国際戦略企画官】  お答えいたします。これにつきましてはユネスコの「世界の記憶」のウェブサイトを通じまして、登録された案件については全てそのウェブサイトに掲載されることになっておりますので、基本、ユネスコのサイトに行けば誰でもアクセス、その記録を確認できる形になってございます。
【松本委員】  私が思ったのが、「世界の記憶」は世界遺産のように行って見ることができるものではないですよね。「世界の記憶」は誰々の直筆のものであったり原本であったりするので、アクセスしてもそのコピーが出てくるわけでもないですよね。
【本村国際戦略企画官】  申し上げましたのは、ユネスコのところにデータではありますけれどもそこでアクセスできるのと、あと、登録案件によりましては、例えば今回の円珍関係文書ですけれども、東京国立博物館に今回登録された史料の一部が展示されておりますし、物によっては博物館等で展示がなされていて実物を見ることが可能とされております。
【松本委員】  ということがその情報として載っているということでよろしいでしょうか。
【本村国際戦略企画官】  そうですね、はい。
【松本委員】  分かりました。ありがとうございます。
【井上委員長】  ほかの委員の方はいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それではありがとうございました。
 では、続きまして議題2に移らせていただきます。議題2は「ユネスコ創造都市ネットワーク事業について」です。これも事務局から御説明をお願いします。
【匂坂国際分析交渉官】  それでは資料2-1と資料2-2に基づきまして御説明させていただきます。
 まず資料2-1でございます。「ユネスコ創造都市ネットワーク 岡山市の申請について」という資料でございます。ユネスコ創造都市ネットワークでございますが、2年に1回の公募サイクルとなっておりまして、本年がその公募の年となっております。本年3月にユネスコが公募を開始しまして、それを受けまして日本ユネスコ国内委員会にて国内公募を行いました結果、岡山県岡山市の1都市から応募があったところでございます。
 日本ユネスコ国内委員会による審査の結果、具体的に申しますと、本小委員会の下に選考ワーキング・グループを設置して審査いただきました。改めまして御参加くださいました委員の方々には感謝申し上げます。大変ありがとうございました。その結果でございますが、ユネスコ国内委員会として承認してもいいのではないかということで、岡山市からユネスコへ申請することとなったところでございます。
 2に岡山市の申請の概要ということで、ごくごく簡単に記してございます。分野といたしましては、7分野のうちの「文学」分野で申請をしております。児童文学を中心として文化芸術の発展を図ることで、安らぎのある心豊かな市民生活や創造性にあふれた魅力ある社会の実現を目指す内容になっております。
 同市では、これまで坪田譲治文学賞の実施でありますとかブックフェスティバルの実施等を通じて文学の振興を図っているところでありますので、そういったことを通じてネットワークに貢献していきたいということを考えているところだと聞いております。
 6月30日にユネスコに岡山市から申請書を提出したところでございます。10月31日にユネスコによる加盟認定の結果の公表がなされると聞いてございます。
 参考ということで、これまで我が国からの加盟都市が幾つあるかということで、ここに岡山市はまだ入ってございませんが、今まで10都市がございまして、分野はその表にあるとおりでございます。もし岡山市が加盟となれば、初めて日本の都市として文学分野で加盟することになるところでございます。
 続きまして、資料2-2に移らせていただきます。この資料は「ユネスコ創造都市ネットワークへの申請を検討されている自治体の皆様へ(案)」ということでございます。今回の岡山市の申請の審査の過程も踏まえまして、事務局としてもネットワークへの加盟申請を検討されている自治体の皆様へ何らかのメッセージを発しておいたほうがよいのではないかということで、事務局で案を作成しまして、選考ワーキング・グループの先生方にお諮りしてまとめさせていただいた案でございます。
 この資料でございますが、中長期的に加盟を目指しております自治体の皆様に留意が必要な事項を示している性格のものでございます。大きな丸が1ページ目に5つ、次のページに1つ、合計6つありますが、最初の5つがやや中長期的な観点から留意していただきたいことでございます。
 まず1つ目、ユネスコ創造都市ネットワーク、UCCNと言い換えますけれども、UCCNは、文化及び創造性を持続可能な都市開発のための戦略的手段として活用することでありますとか、都市間の国際協力関係を促進すること等を目的としていますという、そういう目的を認識していただくことが大事であろうということ。各都市においてはUCCNへの加盟後にこれらの取組をどのように持続的に進めていくかが重要でありますと指摘しております。
 2つ目でございます。申請プロセスとしては、国内審査を経た上で、ユネスコにおいて7つの創造分野を代表する加盟都市及びユネスコが指定した専門家による書面審査によって加盟の可否が決定されるということでございまして、この加盟の可否について申請要領では、ユネスコ創造都市としての指定は、ネットワークの目的を実践するために、申請書に記載された戦略及び活動計画案の質、関連性及び実行可能性が認められたことを示すものとされておりますと記しております。
 次の丸でございます。申請を検討されるに当たっては、国内外で既にUCCNに加盟している自治体と情報交換を図るなど、積極的に情報収集に取り組んでいただくことが重要ですとさせていただきました。
 次の丸で、自治体の保有資源や独自性、UCCNへの貢献などについてどのようなストーリーで説明していくか、準備段階から検討を進めていただくことが重要です。その際には、自治体の関係部署や施設との連携にとどまらず、民間セクター、地元の創造産業関係者などの幅広いステークホルダーとの積極的な連携が求められますとさせていただきました。
 次の丸でございますが、ユネスコに提出するのは英文の申請書でありますので、その作成及びブラッシュアップ作業において多くの手間と時間が必要になることを記しております。また、申請要領では、その手間と時間だけではなく、明確で流暢な英語またはフランス語で記載することも求められておりますので、英文表現の内容や質を担保することも必要になります。そのために、英文対応を含めて必要な事務体制をあらかじめ整えていくことが望ましいと考えられますとさせていただいております。
 次のページですが、この最後の丸につきましては、中長期的観点というより、どちらかというと短期的に申請書の作成に当たっての留意事項ということで、別紙のチェックリストも参考にして検討を進めていただきますようお願いいたしますとさせていただいております。この別紙で、「申請書作成に当たってのチェックリスト(案)」ということで示させていただいております。
 1に個別の記載欄に係る事項、2に全般的事項としてまとめさせていただいております。個別の記載欄に係る事項ということで5つの項目を示しています。
 簡単に申しますと、1つ目が、自治体の地域的な特色でありますとかどういう資源を持っているかということ。それが他の自治体と比較しての優位性や今後の計画について記載しているかどうかということ。
 2つ目が、今回の申請分野について、文学なら文学、なぜその分野を選んだのかという理由を記載しているかということ。
 3つ目ですけれども、その様々な施策の推進を通じて、自治体内でどのような課題をどのように解決していくかが述べられているかということ。
 4つ目でございますが、ネットワークに加盟することによって自治体がどういうことを期待するのか、その効果について記載されているかどうかということ。
 最後5つ目でございますが、ネットワークに加盟することによって、ネットワーク自体及びその加盟自治体にどのように貢献しようとしているのかが記載されているかどうかということでございます。
 全般的な事項で6点あります。1つ目が、日本のいろいろ書かれていることが国際的にも伝わるような具体的な説明・表現を行っているかどうかということ。
 2つ目ですけれども、申請書でいろいろな固有名詞や具体的な名称等が出てくると思うんですが、海外の方々でも理解できるように背景情報等の説明が行われているかどうかということ。
 3つ目でございます。申請書に様々なデータを用いて説明することがあるかと思うんですけれども、そのデータの意味について国内的または国際的な意義が記載されているかどうかということ。
 4つ目は、以上の点を満たしているかどうか、客観的に確認を行っているかどうか。
 最後2つは、スペルミスや文法上の誤りがないか、英文の記述がちゃんとチェックされているかどうか、写真について必要な権利処理を行っているかどうか。そういうチェックリストを用意させていただきました。
 この案につきましてもしこの委員会で御了承いただけましたならば、日本ユネスコ国内委員会のホームページに掲載する等して、関係する自治体の方々にお知らせしたいと考えているところでございます。
 説明は以上となります。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの報告について御意見、御質問のある方は挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。指名は先ほどと同様、事務局からお願いします。
【田中係員】  蓮生委員、片岡委員の順番でお願いいたします。まずは蓮生委員、お願いいたします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。
 まず初めに、新規加盟を検討されている自治体の皆様へという文書の作成、及びチェックリストの作成、どうもありがとうございました。これは非常に分かりやすくて、自治体の担当者にとって、具体的に申請を進めるに当たってどのようなことを順序立ててやらなければいけないかということがとても分かりやすく網羅されておりまして、これは非常に役に立つ資料になるのではないかと思います。
 それに関連してですが、一つ質問がございます。いわゆる国際的なユネスコの創造都市ネットワーク、UCCNへの加盟に関するこれは文書でございますが、一方で日本には国内的なレベルではございますが、文化庁下の創造都市ネットワーク日本、CCNJ、Creative City Network of Japanという組織もまた併存しております。
 質問は、この両者の関係性は現在どのようになっているのかということでございます。特にUCCNへの加盟を検討するであろう自治体にとって、CCNJにまず初めに加盟し、ここにおいて活動することが国際的なレベルであるユネスコが統括しているUCCNに申請するに当たっての前提条件となっているのではないかという、恐らく、質問というか疑問がまず初めに出てくるのではないかと思われるからです。この両者の関係について少し説明をしていただけないでしょうか。
 それとともに、今回せっかく御作成くださった非常に網羅的な資料で非常に分かりやすい、新規加盟を検討されている自治体の皆様へという文書とこのチェックリストですけれども、その広報の仕方もどのように文化庁下のCCNJと連携していくのかということを教えていただけないでしょうか。今どのように考えていらっしゃるか教えていただけないでしょうか。
【井上委員長】  ありがとうございました。それでは事務局、お願いいたします。
【匂坂国際分析交渉官】  現状ではUCCNとCCNJは直接の関係といいますか、UCCNに申請するためにはCCNJに入らなければならないという関係にはなっておりません。事務局としても現状でそこを要件化するまでの必要はないのではないかなと考えております。仮に入っていなくても、申請する際の内容できちんと書けるようなことがあれば、それは申請を認めることにしてもいいのではないかなと思っております。
 それで、本件のPRについては先ほど日本ユネスコ国内委員会のホームページには掲載すると申し上げましたが、CCNJのホームページ等にも掲載していただくとか、CCNJが主宰している各種会議で文化庁や我々日本ユネスコ国内委員会にお声がけいただいている会議等もございますので、そこでも機会をいただければ御説明等をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
【井上委員長】  ありがとうございます。蓮生委員、いかがでしょうか。
【蓮生委員】  ありがとうございます。広報に関して、告知広報に関しては連携を考えていらっしゃるということで、ありがとうございます。
 ただ一方でですが、現在はそういったいわゆる併存というか並立している状況でお互いに連携関係がないということですが、せっかくCCNJを立ち上げて日本全国でこちらに加盟している自治体もあることですし、何らかの形で相乗効果が生まれるような仕組み、例えば条件にする必要はないとは思いますが、その辺りも今後この小委員会を通じて議論を深めていくことができればいいのではないかと考えております。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
【匂坂国際分析交渉官】  そこは貴重な意見として承らせていただきます。ありがとうございます。
【井上委員長】  ありがとうございます。それではほかの委員。
【田中係員】  この次、片岡委員、そして川村委員、佐藤委員の順でお願いいたします。片岡委員、よろしくお願いします。
【片岡委員】  先ほどの質問ともちょっと重なるかもしれませんけれども、かなりやはり自治体にとっては、この英語の問題なども含めてハードルが高い作業になるのではないかなと感じました。申請を検討されている自治体の皆様へというこのペーパーの前に、これをUCCNに申請することの大きなメリットみたいなものがどこかに書かれているのかどうかはちょっと疑問に思いまして。まずは、ユネスコの日本国内委員会としては、申請を奨励するのであれば、もう少しネットワークに加わることのメリットを強調してもいいのかなという気がしました。
 それを受けて告知方法ですけれども、ウェブサイトにニュースを出せばおのずと各自治体に広がっていくものなのか、もう少し積極的な方法をされているのか、どんな方法を取られているのかなと思うんです。それも伺えればと思いました。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
【匂坂国際分析交渉官】  ネットワークに入ることのメリットにつきましては、まさに自治体がそのネットワークに加入して他の都市から学んだりすることがあるかと思いますが、そこをどこまで書くかについてはちょっと検討させていただければと思います。
 広報については、ある程度将来的にユネスコのUCCNに加盟したいと思っている自治体については、例えばユネスコ国内委員会のホームページでありますとか、CCNJのホームページに日本ユネスコ国内委員会の小委員会からのメッセージということでアップすれば、それである程度は着目していただけるのではないかなと思っております。
【片岡委員】  あんまり積極的に申請してほしい感じがしないですけれども。それは既存の関心に任せるということなんですか。それとも本来はもう少しメディアなどを使って何らかの、より広く一般の国民にこういう制度があることを広めるようなことはあまりされないものなんですか。
【匂坂国際分析交渉官】  UCCNに加盟しようと考えている自治体は一定数あるのではないかなと考えております。これ以上どこまで掘り下げて関心を持っていただけるかということについては、場合によっては文化庁と相談してみるのも一案かなとは考えております。
【井上委員長】  ありがとうございます。
 私のほうも一つ、関連している「世界の記憶」、これもやはり広く多くの方に知っていただくための広報戦略を練りながら、広く皆さんに知らしめるような活動を昨年から行っております。そのようなことをやはりこのUCCNにおきましてもお考えいただければありがたいなと思っております。片岡委員がおっしゃるように、せっかくのこういう加盟へのメリットをしっかりとうたっていくことも必要なのではないかなと思いますが。片岡委員、そんな形で今後事務局といろいろと話し合いまして、この加盟のメリット等についてもしっかりと検討していきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
【片岡委員】  承知しました。ありがとうございます。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【田中係員】  続きまして川村委員、よろしくお願いいたします。
【川村委員】  ありがとうございました。私からは今、委員長がおっしゃったことにも関連するのですが、一つだけコメントをさせていただきたいと思います。
 今回の地方自治体への連絡文書は今後の一つのガイドラインとして有益なものだと思っておりますけれども、やはり片岡委員それから蓮生委員、両委員から御指摘がありましたとおり、もう一歩これを先に進めて、日本政府としてあるいはこの委員会としてどのような政策観を持って進めていくべきか、自治体に対して方針・戦略についての考えを示していくことが有益ではないかなと思います。
 それに加えて、自治体がこのUCCNのネットワークに加わることによって得られるメリット、既に御指摘もありましたけれども、こういったことについても明確に先例を引いてこういう効果があったというようなことを分かりやすく説明することも重要かと思います。そもそも日本はユネスコにとって非常に重要な加盟国であり指導的な地位にある国でありますので、日本の行動はほかのユネスコの加盟国にとってよき模範あるいは、よきロールモデルであったりすることが多くあると思います。
 したがいまして、創造都市ネットワークの申請行為についても、やはり各都市から申請が出てくるのを待ってこれを審査するという受け身的な対応ではなくて、より積極的にそういった各都市による申請をエンカレッジするとそれは非常によいイニシアチブになることは間違いないと思います。これを踏まえて、奨励していくような一つの方針案をどこかの時点で明らかにしていただくことを希望します。
 創造都市の既加盟都市間でのコミュニケーションは時々拝見することがありますけれども、大変熱心に加盟された後取り組んでいる自治体の方々もおられます。一方で、どこも日本の都市は恵まれており、衣食住そして文化活動においても満足感を住民・市民の方がもたれているので、現状に加えてさらに創造都市ネットワークという国際的なネットワークに入るインセンティブを感じないと思っておられるところもあるかもしれません。
 こういったところについては、恐らく今後日本の都市も人口が急減し、外国の方が住まわれる事例も増えてくるということで、多文化共生とかあるいは都市の活性化とか、競争力維持とか、このような課題について世界の都市とも共通のテーマを抱えることになるかと思います。このような問題を解決する上でも、UCCNネットワークに入って経験を共有し、アイデアを披露し合うことから生まれるもの、その価値など加盟から十分前向きなものが得られるのではないかなと考えております。
 今日この時点でどうこうということではございませんが、今後この創造都市ネットワークの活動を考えるに当たって、やはり一つの座標軸というか、行動のガイドライン的なものをこの小委員会あるいはワーキング・グループとして考えていくことが有益ではないかなと思います。
【井上委員長】  ありがとうございました。非常に貴重な意見を頂きました。事務局と一緒に今後、今、川村委員のおっしゃられたことをよくよく議論していきたいと思っております。あとお一人。
【田中係員】  続きまして佐藤委員、その次に小浦委員、お願いいたします。では佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。今回こういうマニュアルを作っていただいたのは非常にプラスになると思っていまして、これはいい一歩前進だなと考えております。
 しかし、今、蓮生委員はじめ各委員が、この問題をもう3年前から議論しているのです。それで基本的にUCCNが10しかない。一方、文化庁のCCNJはもう百何十ある。この差は何なんだろうか。先ほどの必要条件にする必要は全然ないとは思いますけれどもこの問題を私も以前提起して、文化庁と文科省は連携を取る約束をしているのです。基本的にもっとUCCNを積極的に展開しましょうという方針の下、議論をしているのです。ですから、今まで3年間積み上げた議論があるのです。
 先ほどのお話を聞いていると、書式は作ったけれど、あとはお任せというレベルではないんです。私がその時言ったのはCCNJのほうは各都市の都市開発の担当部署がやっているから、ユネスコは関係ないんです。そういうものとして捉えて、都市開発に何か役立つことはないのか、文化庁はこういう補助金をくれるとか、表彰してくれるということで増えているのです。
 一方、UCCNのほうは何もないのです。先ほど皆さんが言ったように、メリットを感じられないのです。だからこちらのほうは10しかないのが現状なのだけれども、それをもっとユネスコという活動を広めていくためにはもっとみんなに意義を知らせていかなければいけないというので、学者の先生に意義の講演をしてもらったり、いろんなことをこの3年間でやってきたのです。それが今の話だと3年前に戻ったみたいで、私、がっかりしているのです。
 そこのところはもう一度過去の議論を、議事録は全部あるはずですから、資料もあるはずですから、見ていただいて、その上で、今日いただいた資料は良いのですけれども、基本的な今後の展開の仕方と考え方をしっかりまとめていただかないと。これはお任せしていたから駄目だった、だからもっと進めましょうという議論をしていたはずです。過去を知っている人間からするとそんなふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
【井上委員長】  佐藤委員、ありがとうございました。どうぞ。
【渡辺国際統括官】  国際統括官の渡辺です。
 今、4名の方から御意見をいただいて、私もさっき御紹介いただいたようにまだ着任して一月なんですけれども、確かにおっしゃるように、CCNJとの関係とか、あるいは多分そもそもこのユネスコの創造都市ネットワークに参加することのメリットなどをより明確にするのは非常に重要な部分で、そのメリットをしっかりとアピールするために広報もしっかりやっていくことにつながっていくのだと思います。今、佐藤委員からも御指摘いただいた点も含めて、私もまだ過去の経緯を十分に理解しているわけではないのですけれども、ただ、委員の先生方がおっしゃったことは非常に重要なポイントであるので、来年度に向けてこれからうまくこの両者について連携できることは連携できるような動きはしっかり考えていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
【井上委員長】  皆様、今の事務局からの回答で取りあえずよろしゅうございますでしょうか。そして、今、皆様からいただいた貴重な意見は今後事務局とともに検討してまいりたいと思いますけれども、取りあえず、今回資料2-2で出させていただきました「自治体の皆様へ」という案でございますけれども、これは皆様、承認していただけますでしょうか。よろしゅうございますか。
 はい。それでは一応この文書は承認とさせていただきまして、繰り返すようですけれども、先ほど4人の委員の方から御指摘いただいたことは、今後もしっかりと議論として検討していきたいと思っております。
 それでは時間の関係もございますので、次の……。
【田中係員】  小浦先生が。
【井上委員長】  小浦先生、失礼いたしました。ごめんなさい。
【小浦委員】  よろしいですか。
【井上委員長】  申し訳ございません。お願いいたします。
【小浦委員】  基本的には4名の方と類似する意見なんですけれども。UCCNのネットワークに参加するメリットは、かなり都市の国際的な立場をどういうふうに考えていくかとか、ほかのユネスコスクールであったりとか、ほかのユネスコの活動との関係であったりとか、多分全体の中でどういうメリットを感じるかが都市によって違うような気が、最近いろいろ聞いていると思います。
 先ほど御指摘があったように都市開発ともつながっていく部分なので、あるいは経済的な活動ともつながって、特にデザインなんかだとつながっていく部分もあるので、そういったところに対して文科省としてほとんど都市に任せるのが今の状況だと認識しているんですね。
 ネットワークに入った後の都市がどういうふうにこれを生かしながら地域開発であったり地域の産業活動をしていくかということに、文科省の立場としてなかなか入りにくいのも理解ができるところでもあるのですが、とはいえ、やはりユネスコに対する日本がどのようなこの7分野の特性を持っているかということは戦略的に出していく、そういう戦略を国としても持つべきではないかと思っています。本当に文学がここでいいのかとか、デザインがこれでいいのかとか、そういったところも含めて、様々な日本のよさをうまく伝えていく一つのツールでもあるのかなと思いますので、そういった面ではもう少し国の戦略として積極的にこの活動を考えて働きかけていくことがあってもいいのではないかとは感じていました。
 先ほどの佐藤委員のお話を聞いて、これまでも既に議論があったのだということを確認させていただきまして、やはりこれはもう少し具体的に議論すべきだなと感じたところです。ありがとうございます。
【井上委員長】  小浦委員、失礼いたしました。また貴重な意見をいただきましてありがとうございました。それではもうお一方。
【田中係員】  芳賀委員、よろしくお願いいたします。
【芳賀委員】  芳賀です。
 1つだけ具体的なメリットとして、外務省の大臣官房総務課の地方連携推進室がありますが、グローバルとローカルの外交ネットワークに関して活動していらっしゃるところ、それと共同で仕事ができたら具体的なことに効果が出るかと思います。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。貴重な情報をありがとうございます。
 それではほかの委員の方、よろしゅうございますか。それでは時間の関係もございますので、次の議題に移らせていただきます。
 それでは、続きまして議題3「第42回ユネスコ総会に向けた答申案(文化・コミュニケーション分野)について」です。こちらは意見交換をいただきたい案件でございます。まず、事務局から御説明をお願いします。
【本村国際戦略企画官】  それでは事務局から説明いたします。資料3-1、資料3-2について御説明いたします。
 まず3-1を御覧ください。今、画面で出ておりますけれども、令和5年、本年8月18日付で、本年11月にユネスコ本部で開催されます第42回ユネスコ総会につきまして、永岡文部科学大臣から日本ユネスコ国内委員会、濵口会長に宛てまして諮問がなされております。この諮問はユネスコ活動に関する法律に基づいてなされているもので、今般の第42回ユネスコ総会の主たる議題であります2024年から25年の事業・予算案等に関する方針についての諮問となっております。
 資料3-2を御覧いただきますと、こちらが事務局の案でございますけれども、こちらの諮問に対する答申案として作成したものでございます。こちらについてポイントを説明させていただきます。
 まず、1ポツ、総論として挙げさせていただいておりますのが、まず1)で本年7月に米国がユネスコに再加盟したことでありますとか、2)のロシアによるウクライナ侵攻等、国際情勢の変化を踏まえ、日本といたしましては、米国をはじめ、自由、人権及び民主主義等の普遍的価値を共有する加盟国と連携し、その目的に立ち返り、ユネスコの所掌分野における議論を牽引していくことが記載されております。
 続いて次のページ、3)ですけれども、気候変動等の地球規模課題への対応ということで、ユネスコに対して、他の国連機関及び国際機関と連携し、その広範なマンデートを生かして課題解決に取り組むよう求めるとしております。
 また4)として、戦略的なユネスコ改革等、これまでユネスコが行ってきた効率的な組織運営、効果的な事業の実施のための取組、具体例として、議題1でも御説明いたしましたけれども、ユネスコの「世界の記憶」の制度改正に見られるような非政治化の取組を高く評価し、ユネスコがこれらの取組を引き続き推進するよう、加盟国として積極的に関与していくとしております。
 また下のほう、7)として、特に「ユース」、若者でございますけれども、若者の意見をユネスコの政策や事業により幅広く反映させるよう求めるとしております。
 また8)ですけれども、限られた予算の中でユネスコ事業を効果的に推進するため、加盟国政府及び国内委員会とともに、各国のユネスコクラブ・協会、NGO、学校・教育機関、メディア及び民間企業との連携・協力を一層強化していくよう求めるとしてございます。
 続いて2ポツの教育分野でございますけれども、1)として、国連教育変革サミットの成果等を踏まえたSDG4(教育)の推進の項目を立てております。またその下の2)で、持続可能な開発のための教育、我が国が2002年以降積極的に関与、取り組んでまいりましたESDの推進について記載しております。
 続いて3ポツの自然科学及び人文・社会科学分野でございます。1)として科学・技術・イノベーションを通じたSDGs達成への貢献、2)としまして先端・新興技術に関するユネスコの規範設定の推進、また次のページですけれども、国連海洋科学の10年の推進等をそれぞれ記載してございます。
 本小委員会の所掌になりますけれども、4ポツの文化分野につきましては、1)として文化遺産保護の推進を掲げております。まず、世界遺産条約、世界遺産、文化遺産に関して、また次のページですけれども、無形文化遺産の保護の重要性に対する認識が高まっている中、引き続き、運用の見直しを含む制度改善の議論に積極的に参画するとしております。
 2)としまして、まさに先ほど委員の皆様方に熱心に御議論いただいたところですけれども、創造都市ネットワークの推進といたしまして、こちらについては国際的なネットワークでの交流及び知識・経験の共有、並びに創造性を核とした都市間の国際的な連携によって地域の創造産業の発展を図り、都市の持続可能な開発を目指す取組であり、日本からは現在10都市が加盟しています。本事業のユネスコによる新規申請公募において、申請書の評価を行う専門家に関する情報が開示されていないなど、事業運営における透明性の確保が課題となっているため、改善を求めるとしております。また、日本国内においても、ユネスコの理念に沿った優れた取組が行われるよう、加盟都市による適切な事業実施を後押ししていくとしております。
 続いて5ポツ、情報・コミュニケーション分野でございます。まず1)として、ICT分野における技術革新及び活用の推進ということで、ユネスコにおいてはICT分野における先端・新興技術そのものに人類がどう対応していくかという議論において主導的な役割を果たすとともに、この議論を踏まえながら、教育・科学・文化の各分野において先端・新興技術の活用を促進するための方向性を明確に打ち出すことを求めるとしております。
 最後、次のページですけれども、ユネスコ「世界の記憶」事業の推進といたしまして、近年大規模な自然災害及び紛争等が生じる中で、世界の様々な国・地域における記録物が保存やアクセスにおいてリスクを抱えている状況の中、日本といたしましては信託基金、JFITを通じて、記録物の保存のための政策立案及び能力開発に係る支援を引き続き推進していくとしております。
 また、2021年4月、ユネスコ執行委員会において、加盟国政府を通じて申請すること、これは先ほど御説明させていただいた制度改正の部分ですね、こちらを踏まえ、今後ユネスコにおいて国際登録・地域登録等の区別なく、制度改正の趣旨を踏まえた事業運営が行われるよう求めるとしております。
 日本としても、本事業の趣旨に沿った記録物をユネスコに推薦し登録につなげることで、国際社会における日本への理解の向上を図ると記載しております。
 本小委員会の先生方におかれましては、特に文化分野及び情報・コミュニケーション分野を中心に御意見をいただければと存じます。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明を受けて、これから答申案について皆様に御議論いただきたいと思いますが、まだこの後ほかに皆様には御意見を賜りたい案件がございますので、本当に大変短時間になって恐縮ではございますけれども、およそ15分程度の議論をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【田中係員】  それでは道傳委員、佐藤委員、川村委員の順でお願いいたします。道傳委員、よろしくお願いいたします。
【道傳委員】  ありがとうございます。道傳でございます。
 総論の2のところについて御質問でございます。法の支配や人権、教育、科学、文化を通じての諸国民の協力の疎外という意味でのロシアのウクライナ侵攻やアフガニスタンの深刻な人道危機についての御言及があるのですけれども。去年ユネスコ国内委員会でも会長からの声明も発出されておりますけれども、最近のオデッサの歴史地区への破壊などによって段階がちょっと進んでいるようにも感じておりまして、こういったところに例えば文化遺産の保護についての議論も進めていくようなことを入れることが必要なのではないでしょうか。
 というのは、ここまで議論の中でも出てまいりました世界遺産のリストのことはもちろんでございますけれども、音楽創造都市や「世界の記憶」の保護についてもアズレ事務局長も8月の最近の声明でコメントしておられまして、その辺りとの整合性はどうしたらよろしいのかなと思っております。
 以上でございます。
【井上委員長】  ありがとうございます。これにつきまして、事務局、いかがでございましょうか。
【本村国際戦略企画官】  貴重な御意見をありがとうございます。道傳委員がおっしゃられたとおり、どういう形で今の御意見を、今のコメントを反映させるかは濵口会長とも御相談させていただきますけれども、何らかの形で御意見として取り上げさせていただくのは可能だと思いますので、ありがとうございました。今後御相談して、入れ込みたいと思います。
【井上委員長】  ありがとうございます。今の道傳委員の御発言は極めて貴重な内容だと思っております。私からもぜひその辺のところを盛り込んでいただければありがたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは次に佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。具体的な内容について異議があるわけではないですけれども、総論部分にちょっと気になる点があります。アメリカのユネスコの復帰は大変喜ばしいことだと思います。この案はそれを強調して記載されているんですけれども、私見でありますけれども、読み方によっては、アメリカをはじめとする西欧諸国、G7みたいな感じかな、こそがユネスコの精神である民主主義の代表であり正義であるという、政治的判断に踏み込んでいると受け取られかねない表現があるのかなと感じております。
 アメリカはユネスコに7月に復帰したばかりで、ここ5年間はユネスコに貢献がありませんで、ユネスコに対してアメリカがどのような貢献をしようとしているのか、何をしようとしているのか、ユネスコにおける貢献を評価するのはこれからだと思います。もちろんロシアのウクライナ侵攻とかタリバンの抑圧は許されるべきことではありませんけれども、政治の領域になりますけれども、世界には、アメリカの過去の戦争が正義と平和をもたらしたのかとか、アメリカが世界の分断を深めているんじゃないかというような意見も聞かれます。国内にも多様な意見があることは間違いありません。
 そこで私は、ユネスコはユネスコらしく、政治とはちょっと切り離して、ユネスコ憲章に照らして客観的な立場で是々非々であることが必要だと思います。そのような観点から、これは提案ですけれども、政治的なトーンをちょっと和らげていただいて、米国という具体的な国名を外せば、ちょっと偏っているねというような批判がなくなると思いますので、そのような工夫をしたらいかがかと考えております。
 以上が意見です。
【井上委員長】  佐藤委員、ありがとうございました。事務局はいかがでしょうか。
【本村国際戦略企画官】  ありがとうございます。決して西側先進国、G7的なところを強調する趣旨ではなかったつもりですけれども、御懸念の点は十分理解できますので、今、佐藤委員がおっしゃられたような工夫をいたしたいと思います。ありがとうございます。
【井上委員長】  それではどうぞよろしくお願いいたします。では、続きまして川村委員ですね。
【川村委員】  川村です。ありがとうございます。
 私から、簡潔に2点だけ申し上げます。
 最初は用語についてで、細かい点となりまして恐縮ですが。答申案の総論の2)、「国際社会は」で始まる部分で「ロシアによるウクライナ侵攻やアフガニスタン」と書いてあるのですが、この「侵攻」という言葉を「侵略」に置き換えるべきだと考えます。その理由は、総理官邸のホームページには「侵略」と書いてあります。日本政府の発言や公的な文書には「侵略」で統一して記載することになっているかと思います。それから本日配っていただいた資料4の骨子案の最初、1ポツの最初のドットでは「ロシアのウクライナ侵略」と書いていただいていますので、これとも平仄を合わせるようなことで御理解いただけたらと思います。
 2点目です。先ほどのUCCNのところ、4ポツの2)ですけれども、これは予算を加盟国としてユネスコにつける代わりに、いろいろなアクションを、あるいは改善を要求するというディールにしていく「作戦文書」だと理解しております。そこで、ユネスコの本部で、事務局で「事業運営における透明性の確保が課題となっている」とお書きになっています。これは薄々以前から感じていたところではあるのですが、ユネスコ事務局がどういうシステム、どういうマネジメントでUCCNの申請を受けて審査しているのかという点が必ずしも明らかになっていないということであれば、「透明性の確保についての改善を求める」という一般的な言い方から一歩進んで、例えば今後この創造都市ネットワークの申請書の処理の仕方などについて事務局から説明を受けられるようにすべきであると。そのようなセッションを今後この国内委員会のほうでセットして事務局との相互のコミュニケーションを図って、よりよい制度に改めていくとか、そのための足がかりになるような改善を求めるという形にしていただくとよろしいかなと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【井上委員長】  ありがとうございました。これに関しまして事務局から何かございましょうか。
【本村国際戦略企画官】  まず最初の侵略のところですけれども、これは日本政府として共通の認識というか、そういう表現ぶりだと思いますので、こちらは侵略に改めさせていただきます。
 それから創造都市ネットワークの推進の部分ですけれども、大変建設的な御意見だと思いますので、もう少しユネスコに対して具体にアプローチできるような、おっしゃったような改善の足がかりとなるような書きぶりを工夫してみたいと思います。ありがとうございました。
【井上委員長】  ありがとうございます。
【田中係員】  続きまして蓮生委員、芳賀委員の順でお願いいたします。蓮生委員、よろしくお願いいたします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。まず初めに総論の部分でございますが、1の総論の1)についてです。アメリカの再加盟に関して歓迎いたします。ただ一方で、アメリカの再加盟は今後予算面での大きな変化をもたらすことが予想されております。この予算の増加が最も大きなプログラム実施上のインパクトあるいは有効性を生み出すことができるよう、予算の配分についてはただ単に広く薄く配分するのではなく、重点的な予算配分を含めた戦略的指針の作成が必要であると考えております。本件に関して日本も恐らく既に積極的に議論に参加してくださっていると思いますけれども、それについても今後議論が深まることを希望しております。
 以上です。
【井上委員長】  いかがでしょうか。
【本村国際戦略企画官】  大変建設的な御意見だと思いますので、おっしゃるとおり、アメリカの再加盟によって予算を20%近く、これまで支払われていなかった部分が増加いたしますので、単に広く薄くということではなく、重点的に戦略的な取組を求めていきたいと思います。書きぶりについてはどこにどのように記載するかはまた検討いたします。貴重な御意見をありがとうございました。
【井上委員長】  ありがとうございます。続きまして、では。
【田中係員】  芳賀委員、よろしくお願いいたします。
【芳賀委員】  芳賀です。
 先ほど冒頭の道傳委員の文化遺産の保護の御意見に大変強く賛成いたします。歴史の保存の重要性に関連してもう一点ぜひ付け加えていただきたいのが、新型コロナのことが特にここにはどこにもないようですけれども、新型コロナの今までの記録を残すようにということを強く述べてはいかがでしょうか。
 これは既にユネスコ本体が言っていることで、「世界の記憶」の事務局であるユネスコ記憶遺産ユニットが中心となって、世界博物館会議とか図書館とか公文書館とかが一緒になって声明を2020年4月3日に出しています。日本語にも訳されていて、「新型コロナウイルスの危機を、記録物に対するより強力な支援の機会に変える」というタイトルの声明です。そこでは、世界各国の公文書館、図書館、博物館、研究機関が記録を保存、管理する機関において、新型コロナに関する記録が保全されつつあるとしながらも、それをさらに促進するように述べています。このことに日本は強く賛成することを述べてはいかがでしょうか。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。これに関しましても事務局からお願いいたします。
【本村国際戦略企画官】  ありがとうございます。今、芳賀委員がおっしゃられたとおり、2020年の声明も参考にさせていただきながら、今の最後の「世界の記憶」事業の推進のところに何らかの形で盛り込ませていただければと思います。
【芳賀委員】  ありがとうございます。
【井上委員長】  ほかの委員、よろしゅうございますか。
 それではありがとうございました。この答申案につきましては、本日の御議論を踏まえ、事務局と調整の上、今いただきました委員からの御発言の内容を踏まえて、これに加筆修正を行いまして、9月21日の日本ユネスコ国内委員会総会で報告する予定でございます。なお、文言については、大変恐縮ですが私に一任いただいてよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【井上委員長】  ありがとうございます。それではそのような形で進めさせていただきたいと思います。
 では、続きまして議題4に移らせていただきます。議題4「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について」に移ります。こちらも委員の皆様方には議論いただきたい案件でございますので、どうぞよろしくお願いします。これに関しましては、まず事務局から御説明をお願いいたします。
【本村国際戦略企画官】  それでは資料4を御覧ください。「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について(骨子案)」としておりますけれども、そもそも本骨子案は誰に対するものなのかというところをまず前提として申し上げたいと思います。
 基本的に最終的には提言のような形でまとめられればと考えておりますけれども、対象としてはユネスコ活動に関わっておられる国内の関係者、またこれから関わっていただきたいと考える日本国内の皆様方への提言と考えております。それを前提に申し上げます。
 1ポツといたしまして、直近の国際情勢の変化及びユネスコの普遍的な使命といたしまして、まず直近の国際情勢の変化のところで、ロシアのウクライナ侵略等、いわゆるグローバル・サウスの台頭に伴う国際的な合意形成がさらに複雑化してきていることを記載させていただいております。
 また次の丸ですけれども、紛争、貧困及び気候変動等への対応や世界経済の安定等、地球規模の課題に対する加盟国間の連携の必要性の増大。
 また3つ目の丸といたしまして、デジタル化の進展による情報の偏在と即時的な流通・普及。
 また4つ目の丸として、科学分野の先端・新興領域における技術の規制及び活用に関する議論への注目。これはAIですとかニューロテクノロジー等に関する勧告、ニューロテクノロジーに関してはこれからの議論ですけれども、こういったものを想定してございます。
 一方で、その下に書いておりますユネスコの普遍的な使命は、大きく国際情勢が変化しても、これは普遍的な使命として基本的には変わり得ないものと考えております。佐藤委員からもユネスコ憲章の話がありましたけれども、教育、科学、文化を通じて諸国民の間の協力を推進することにより平和及び安全に貢献することですとか、人間の尊厳及び幸福の尊重、平和の構築、貧困の撲滅、持続可能な開発等々に関しては、ここは時代が変わってもユネスコの使命としては変わらないものと認識してございます。
 それを踏まえた上で、2ポツ、3ポツに移りますけれども、ユネスコにおける日本のリーダーシップの発揮といたしまして、最初の丸ですけれども、ユネスコにおける規範設定に関する議論の主導を掲げております。また2番目の丸として、ユネスコに対する知的・人的貢献の強化及び日本のプレゼンス向上を記載しております。これは専門家の派遣ですとか事業等への若手研究者の参画等を積極的に行っていくことですとか、ユネスコ事務局あるいは会議等に関して若者を積極的に派遣していくことを通じた人的貢献を考えております。また、ユネスコの事業に対する日本の戦略的かつ積極的な関与。単に信託基金の形で任意拠出金を支払うだけではなくて、戦略的な事業支援を行っていくと記載してございます。
 3ポツでございますけれども、国内活動における留意点といたしまして、本日御議論いただいた「世界の記憶」ですとかクリエイティブシティーズの話もありましたけれども、ユネスコにおける登録事業は近年多岐にわたってきております。参考で次のページの冒頭、20ページの上のほうにユネスコの登録事業等、具体的には世界遺産であり、エコパーク、ユネスコ世界ジオパーク、「世界の記憶」、創造都市ネットワーク、ユネスコスクール等を想定しておりますけれども、また戻っていただきまして、こちらも単に登録・加盟のみを目的とすることではなく、むしろその後の取組強化が重要視されるべきであることを掲げております。
 また、産業界及びユース(若者)を含めた多様な主体・年代との連携強化の必要性を記載してございます。
 また次のページですけれども、ユネスコ登録事業等における関係者の役割の明確化をうたっております。
 最後の丸ですけれども、日本のユネスコ活動の認知度の向上及び多様な主体との連携強化のための戦略的な広報の強化。これはこれまでも過去に国内委員会におかれては議論を重ねてきた事柄だと思いますけれども、改めまして戦略的な広報の強化ということで、メディアとの積極的なコミュニケーションを図ることですとか、ユネスコ活動及びユネスコ登録事業等の好事例を日本から海外へ発信し共有していくこと。また、産業界におけるSDGsに関する取組との連携強化、最後、ユースを含めた多様な年代間での連携強化を促進するための広報の充実が必要であることを記載させていただいております。
 今後、次の9月21日の国内委員会の総会でも御意見をいただきまして、骨子案を固めた上で、最終的な文書化をした上で提言の形にまとめていきたいと考えております。ぜひ御意見を賜れればと思います。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、大変恐縮ですけれども、時間の関係もございますのでおよそ30分程度で皆様の御意見をいただければと思っております。御意見、御質問がある方は挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。指名は前回と同様、事務局からお願いいたします。
【田中係員】  ではまず高橋委員、よろしくお願いいたします。
【高橋委員】  高橋でございます。私、民間企業出身ということですので、民間企業出身者の立場から意見ということなんですが。
 3番目の国内活動における留意点の一番最後の白丸の「戦略的な広報の強化」についての意見です。足元、新型コロナで企業を取り巻く経営環境は大きく変化して、SDGsに対する企業経営者の意識はさらに高まっていると思います。
 一方で、SDGsの17のゴールに対する企業の取組を見ると、環境・経済・技術のように関心が高いゴールと相対的に関心が低いゴール、この中には貧困・飢餓・教育のようなものが含まれていると思います。もちろんこういった貧困・飢餓・教育のような社会課題に対する企業経営者の関心も新型コロナを経て非常に高まっていることは事実ですけれども、SDGs自身への取組は企業にとってみると、自社のビジネスと関係性のあるゴールを定めて、そこに経営資源を投入して社会課題の解決に貢献することが求められているので、この関係がやっぱり明確なものは取り組みやすいという話になりますし、理念的には理解できてもなかなかこの関係が明確に説明できなければ、対応のプライオリティーが低くなってしまう傾向があるんだろうと思います。
 貧困とか飢餓とか教育のような社会課題への取組は、自社のビジネスとの関係性・関連性のひもづけがなかなか難しいことが背景にあろうかと思うんですが、やはり新型コロナを経て、社会課題に真剣に取り組むことが民間企業にとっても中長期的に非常に大事だという意識が企業経営者に高まっているんですけれども、なかなかここのひもづけが難しいこともあって、その取組が環境問題等に含めて多少劣後していることがあるので、このタイミングで産業界との連携という意味では、確かに戦略的な広報を強化することで非常に大事なポイントだと思うんですが。やはりここは広報にとどまらず、民間企業、特に地方経済を支えているような地方の中堅企業の中でSDGsの取組を強化しようと思っている企業の背中、担当部署の背中を直接押せるような枠組み・仕掛けをこのタイミングで構築・整備するところまで踏み込んだらどうかと思います。
 例えばということですけれども、文科省が中心となって民間企業がSDGsの例えばゴール4にどういうふうに取り組んでいるのかということを、先行的な事例をベースにマニュアルとかガイドブックを作って民間企業の団体の背中を押していくとか。例えばこのような観点で民間企業のゴール4への取組について見える化を図る観点で、登録認定制度を新設するとか、表彰制度的なものをつくるとか、民間企業にとって教育等に関する社会課題に取り組んでいることを対外的にアピールしやすいような仕掛け・枠組みを、ユネスコ活動と連携しながら具体的につくっていくと。これはスタートは広報だと思いますけれども、広報にとどまらず、そういったところまで踏み込むことを、ユネスコ活動を日本において戦略的に推進する観点から、SDGsで企業経営者の関心が高まっているこのタイミングを捉えて進めたらどうかと思います。
 すいません、以上、意見ということで発言させていただきました。
【井上委員長】  ありがとうございました。事務局、今の意見に対して。
【本村国際戦略企画官】  まず委員の皆様の御意見を聞いていただければと。
【井上委員長】  じゃあ、まとめて後でということで。では、よろしくお願いします。
【田中係員】  続きまして川村委員、よろしくお願いいたします。
【川村委員】  何度も申し訳ありません。簡潔に3点あります。
 最初は、この文書を作られて配付される時期にもよると思いますが、この時期に、この2023年に仮に発行する前提であれば、その意義が分かるように文書の構成を取っていただくように考えておりまして、最初の段落の辺りにロシアのウクライナ侵略等々の言及があります。国際情勢の言及があって、前提としてこの文書を出すに至った事情としてこういうものがあるというような議論に普通なっていくのかなと。ロシアのウクライナ侵略等が与えるユネスコの将来あるいは現状に対する挑戦・課題に非常に大きいものがあるので、あえてこの段階で議論を整理して考え方を整理したいと。こういうような形でつながっていくのかなと、読むのかなと想像しております。
 この観点からは、したがいましてロシアのウクライナ侵略という問題はもう少し具体的に書いていただいたほうがいいのかなと思います。理由は、このロシアの侵略自体が21世紀人類にとっての最大の挑戦かと捉えられているわけであります。国連が第二次大戦の反省からできた。ユネスコも同様の理由で国連の一機関として存在してきたということでありますので、このウクライナの侵略によって受けたユネスコの活動、あるいは加盟国の文化遺産の保護、教育、科学、こういった各分野での影響についてもう少し具体的に書いていただいたほうがいいかなと思います。
 それから2点目は、2番目のティレといいますか三角の印がついているところですけれども、ユネスコの合意について「特定の国だけが参加するG7、G20、EU及びOECD等の枠組みとは異なり」と書いていただいて、「世界のほとんど全ての国による合意」と。その後に「米国の再加盟により、より実効性のある合意が実現」と。実はこの2つの文章ないしは文章の間に少し論理的な齟齬というか、スムーズに理解し難いところがあります。
 私見を述べれば、G7などなど、先進国クラブと呼ばれている国の集まりと、これを必要以上にユネスコは別物であることをあえて言う必要はないのではないかと。問題なのはグルーピングではなくて、その組織、機関の目的ですから、G7にせよ、G20にせよ、国連にせよ、ユネスコにせよ、国際的な平和を維持し、人権と民主主義を守っていくというような目的で一致しているわけですから、あえてそれらの組織に線を引いて区別する意味はないのではないかなという気がしております。
 それから「米国の再加盟により、より実効性のある合意が実現」という期待感を込めて書かれていると思いますけれども、ここはもう少し工夫をした書き方があるのではないかと思います。米国とともに積極的にユネスコの目的が達成されるよう協議をしていくことが期待されるとか、そういったこれからの行動への期待を書いておくことがよいのではないかと思います。
 それから、ここは先ほどの答申案で、米国をはじめ、自由、民主主義等々、普遍的価値を共有する国と連携してユネスコでの議論を牽引していくと書いてあったラインと少し矛盾があるように思います。佐藤委員の御指摘によって答申案のほうは今後修正されるかもしれませんけれども、現在の案では齟齬がみられるように思います。
 以上です。ありがとうございました。
【井上委員長】  川村委員、貴重な御意見をありがとうございました。
【田中係員】  続きまして佐藤委員、芳賀委員の順でお願いいたします。佐藤委員、よろしくお願いします。
【佐藤委員】  すいません、何回も発言しまして。
 私は具体的なことですけれども、オンラインによって普及活動の国際交流の活性化という観点から、ちょっとアイデアを述べたいと思います。
 コロナで現場の草の根のユネスコ活動も非常に制約がかかったことは事実ですけれども、オンラインを活用する観点では新しい試みもありました。私どもの協会では海外の学校とオンラインによってライブの交流を始めております。一つは、カンボジアに我々がつくっている小学校・中学校の寺子屋と呼んでいますけれども、インフォーマルな学校ですけれども、これをバーチャルで訪問する、日本の高校生のカンボジア寺子屋バーチャルツアーをやっています。それで実際数年前に現地に訪問した高校生が自分たちで企画して、日本の学校の数校の高校生とカンボジアの寺子屋をライブで結んで、その後、向こうの中学生の家庭を訪問して現地の生活ぶりの紹介とか説明を受けるようなことをやっています。
 2つ目ですけれども、玉川大学のユネスコクラブでは、フィリピンの大学ユネスコスクールとお互いの国の世界遺産を紹介し合うバーチャルツアーを開催しております。
 このようにオンラインは、世界のどこでも場所を選ばないでライブで双方向のコミュニケーションが取れて、かつ費用も低廉であります。ネックというと、相手を探すのが非常に苦労していることを聞きました。相手探しは、例えば未来共創プラットフォームにはユネスコスクールの外国と連携できるようになっているのかどうか分かりませんけれども、そのアクセスのハードルと、それからあとは言葉ですけれども、だんだんやっていけばそれについても克服できると思います。相手探しのネットワークづくりが前段として必要なのかなと思います。
 ユネスコスクールは国際化が遅れているという、いろいろ問題点を抱えておりますけれども、今後活用して、ユネスコスクールの国際化を図っていってもいいのかなと思っています。これは御紹介です。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【田中係員】  続きまして芳賀委員、蓮生委員の順でお願いいたします。芳賀委員、よろしくお願いします。
【芳賀委員】  2ポツのユネスコにおける日本のリーダーシップの発揮、非常に大事だと思います。丸の3つ目、ユネスコの事業に対する日本の戦略的な関与、特に日本から任意拠出金、これももちろん非常に大事で、ここで具体的に1つだけ、外務省にお願いですけれども、JFITなどこういった任意拠出金によって国外で事業を行うときには、その国の在外の日本公館の職員が必ず冒頭に挨拶をするように、僕はいつも具体的なお願いばかりしていますけれども、したいと思います。
 この間、私は「世界の記憶」のアジア太平洋地域の副議長として「世界の記憶」のラテンアメリカ・カリビアンの議会に出ましたけれども、ボリビアのラパスですが、それはJFITによったものでしたけれども、日本の公館の人は誰もいませんでした。何の発言もなくて、これが日本のお金によることは僕が言わない限り分からなかったので、非常にもったいないので、それをぜひ在外公館の外務省の人にお願いします。この文書に書くことじゃないかもしれませんが、お願いいたします。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【田中係員】  続いて蓮生委員、よろしくお願いします。
【蓮生委員】  度々の発言で申し訳ございません。今日は2つ申し上げさせていただきたいと思います。どちらも2の「ユネスコにおける日本のリーダーシップの発揮」という項目に関係しております。
 一つはまさに具体的な話で、ユネスコに対する知的及び人的貢献の強化に関係して、ユネスコ事務局への研修生や関係会議へのユースの派遣という項目がございますが、このユネスコ事務局への研修生の派遣に関して、これが私の印象では、間違っているかもしれませんが、国家公務員の方の派遣に独占されているのではないかという印象を受けております。今後、地方公務員や民間のNGO、そして企業などもユネスコの事務局に特に若手を派遣できるように、そういったシステムを今後構築していったら、よりユネスコに関心を持ってくださる幅が広がっていくのではないかと考えております。
 もう一つ、関係会議へのユースの派遣に関してですが、私、ユースの定義について、これは今までも申し上げたいと思っていたんですが、ちょっとあまりにも分野横断的に全てに関係することだったので今まで申し上げることができなかったんですけれども。日本で現在行われているユースの定義ですが、次世代ユネスコ国内委員会では18歳から29歳、2023年のユネスコユースフォーラムにおいては18歳から35歳が対象となっております。一方で国連においては18歳から24歳です。日本においては年齢層がやはり少し高過ぎるのではないかという印象を受けております。
 確かに日本は少子高齢化が進んでおりますし、それを考えれば年齢層は上げるべきだという議論も成り立つかとは思いますが、特に国際的な会議に日本のユースを派遣する際に、例えば国連の統計によりますと20歳以下は2020年度レベルで33%程度だったと思います。やはり3割方が20歳以下の人口、これが世界の人口であることを考えますと、少なくとも国際的なレベルにおいて日本のユースを派遣する際には、年齢はもう少し下げる必要があるのではないかということをぜひ提案させていただきたいと思っております。
 以上です。
【井上委員長】  貴重な意見をありがとうございました。
【田中係員】  続いて片岡委員、よろしくお願いします。
【片岡委員】  皆さんの意見と重なるところもありますけれども、非常に重要な提言になるのかなと思っています。グローバルな課題に対する意識を日本としてどう高めていけるのかは今後非常に重要だと思いますので、とてもよくまとまっているのではないかと思いましたが、これそのものをやはりどのように幅広く一般の国民に伝えていくのかというところが、重要な内容であるだけに非常に課題であるかなと思いました。
 できれば、骨子案なのであれかもしれませんけれども、これのもう少し詳しいバージョンも作るのでしょうか。つまり、重要な項目がこれは箇条書にされているんだと思いますけれども、それを具体的にどう推進していくのかというようなことがもう少し分かるといいかなと思いました。
 その中で、グローバルな課題を意識できるような人材、あるいはグローバルにリーダーシップを発揮できるような人材の育成が課題になってくるのかなと思っていまして、特に、ほかの方もおっしゃっていましたが、若者をそういう場に送り出して、そうした場できちんと発言ができるような人材をどのように育成していくのかという、その具体的な方策が見えてくるといいなと思いました。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは今、6名の委員の方々から貴重な御意見をいただいたわけでありますけれども、これに対して事務局からお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。
【本村国際戦略企画官】  委員の皆様方、大変多岐にわたる貴重な御意見をありがとうございました。今6名の委員の方々からいただいたコメントにつきましては、今回の骨子案に盛り込める部分は盛り込ませていただいて、今、最後に片岡委員からもお話がありましたけれども、今後これを9月21日の国内委員会総会を経て、具体に文章に書き下していく作業を考えておりますので、今の意見の中でその文章化した後に盛り込むものもあったかと思いますので、いずれかの形で盛り込ませていただければと思います。
 1点、これは蓮生委員、あと片岡委員からも最後にございましたけれども、ユースの派遣、単に今は国家公務員の派遣しかないのではないかという御意見がありましたけれども、これまでの国内委員会の方々の御意見等を踏まえまして、今の事務局でユネスコ本部あるいは地域事務所を含めて、若者の派遣、日本人の若者の派遣をできる新たな仕組み、制度をつくれないかということで協議をしておりまして、来年度以降になるかと思いますけれども、ユネスコと覚書を結んだ上で、日本の大学等とも話をして派遣できる新たな枠組みをつくりたいと今考えておるところです。また具体化したら共有させていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【井上委員長】  ありがとうございました。皆様、ほかに御意見はございますでしょうか。それでは私から1点だけ……。
【田中係員】  小浦委員がいらっしゃいます。
【井上委員長】  小浦委員。ごめんなさい。どうぞ。
【小浦委員】  これまでの御意見で概略共有しているところがあるんですけれども、一点気になっていたのは、最初これを誰に発するかというときに、ユネスコ活動に関わっている国内の関係者とか、これからユネスコ活動に関わる国内の関係者に向けての提言だというお話があったと思うんですが。もう少し広くユネスコ活動を社会化していくようなことが要るんじゃないかなと感じながら聞いていました。何となく閉じてしまいがちなところがあるような気がずっとしていたので、その辺り、思い間違いかもしれないですけれども、そういう印象があったのが一点。
 それからあまり議論になりませんでしたが、情報技術ですね、AIも含めた、それと倫理観的なところとの調整、それから新しいテクノロジーもそうですけれども、そういったところの科学と、それから社会における倫理的な規範の議論はどこでどうするのかなと思ったのが2点目。
 3つ目が、一番課題になると言われていた貧困であったりとか飢餓、教育、そういったところはかなりインフォーマルな動きが世界的に見ても支えている部分があると思うんですが、そういったものと非常にフォーマルなユネスコの活動がどういう関係があるのかという。素朴な疑問3つなんですけれども、その辺りをどこかのタイミングで教えてほしいなと思って聞いておりますので、記録として発言させていただきました。ありがとうございます。
【井上委員長】  小浦委員、ありがとうございました。
 私も今、発言させていただこうと思ったのは、小浦委員の一番最初に言われたユネスコ活動にもっともっと広くアピールすべきではないかという点がございました。その点をもう少し何かならんかなということであります。
 そしてもう一つ、3番目の国内活動における留意点でございますけれども、ここの一番最初に挙げられております「登録・加盟のみを目的とせず、その後の取組強化を重視」と書いていただいております。これは非常に重要な点だろうと思います。ただ、これをいわゆる各登録・加盟申請団体がやはりもっと、その登録・加盟したことによってそれぞれの団体がどのように今後活動し、世界に貢献していくのかという点が非常に重要だろうと思いますので、ここに書かれておりますように登録・加盟のみを目的とせずに、これが目的化で終わってしまったら何の役にも立たないと思いますので、これを各登録・加盟申請団体のみに任せるのではなくて、何か、国として後押しできるようなことができないだろうかという意見を持っておりました。
 以上でございます。
 それでは大変恐縮でございますけれども、この議題4に関しましてはこれで打ち切らせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
 はい、ありがとうございます。それでは、本議題の御意見につきましては、今後運営小委員会並びに国内委員会総会にも報告させていただきたいと思います。
 では、最後の議題5に移りたいと思います。各委員から何かございますでしょうか。
 皆様、よろしゅうございますでしょうか。もし御意見がないということであれば、それでは最後に事務局から……、失礼いたしました。
【田中係員】  丸尾委員、よろしくお願いします。
【丸尾委員】  ちょっとローカルなことになるんですが、ここで出してもよろしいでしょうか。次世代の国内委員の申込み等のことについての御提案というか、検討していただきたいということなんですが。ちょっとローカルな話なんですが、ここで出すことは適当でしょうか。よろしいですか。
【井上委員長】  どうぞ。
【丸尾委員】  じゃあ、読み上げます。時間がないので。
 一つ御検討ですが、今回、次世代の国内委員に大分市内の高校生が選ばれたんですが、私が会長をしています大分県ユネスコ協会連盟は全くこの生徒の情報が入っておりませんでした。大分県の場合はユネスコ活動の中心が高校ユネスコの活動なんです。彼の場合は高校というよりは、彼が住む臼杵市の関係者が紹介したんだろうという情報が間接的には入ってきています。これには大変感謝しています。
 ただ、今後のユネスコ活動の発展を考えるときに、担当協会に全く情報が入らないシステムはどうかなと思っていて、横の連携が取れたらありがたいなと思っていて、せめて申込みの段階で、臼杵市の方がそこまでの考えがなかったのかとも思いますが、協会のほうに何か情報の共有ができる方法が取れるととてもありがたいかなと。それがこれから地元の協会の発展とかにつながっていくんではないかと思っているので、その辺のところを御検討いただければありがたいかなと思っています。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。
【本村国際戦略企画官】  事務局です。
 ちょっと共有できていなかったというお話ですので、今後の課題として何か共有のうまい方法がないか、事務局でも検討しておきたいと思います。ありがとうございました。
【丸尾委員】  ありがとうございます。よろしくお願いします。
【井上委員長】  ありがとうございました。またそういった類いの情報があれば事務局にお知らせいただければと思います。
 ほかはいかがでございましょうか。
【渡辺国際統括官】  では最後に。
【井上委員長】  よろしくお願いします。
【渡辺国際統括官】  統括官の渡辺です。
 今日は大変貴重な御意見をいろいろありがとうございました。私もこのような会議に参加するのは初めてなんですけれども、私は科学技術・研究の分野の経験が長くて、今日は違った視点からのたくさん意見をいただいて本当に参考になりました。
 それと一点、最後のほうで今後の活動の推進に対する骨子案で、特にユネスコへのいろんな人の派遣等について御意見を頂いただきました。私もちょっと前まで別の国際機関みたいなところに勤めていて、やはり日本人、日本の研究者を含めなんですけれども、そこも日本が物すごく貢献しているのに、日本のプレゼンスが非常に低いことのすごい危機感があって、何のために日本ってこんなことをしているんだろうと。もちろん、別に日本は創設の時にはそれは日本のためというよりも人類のためにという理念の下で始めてはいるものの、やはり日本の納税者に対するアカウンタビリティーがちゃんと果たせていなかったのではないのかという強い反省があって、いろんな取組を進めているところです。
 多分ユネスコについても、若い人により積極的にユネスコの本部とかに出てきてもらいたい、国際的に活躍してもらいたいというのは当たり前のことなんですけれども、恐らくユネスコだけをターゲットにするのではなくて、やっぱり若い人に外に目を見開いてもらう。例えば国際的に活躍する場はユネスコもあれば、ほかのいろんなところにも活躍する場はあるはずなので、私も極力、省内のいろんな海外に対する取組もありますので、それをもっと積極的に連携なりしていきながら、より特に若い人に外に目を向いてもらえるような取組をぜひとも進めていきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。そのほか何か各委員の方々から、はい。
【田中係員】  吉田委員、よろしくお願いします。
【吉田委員】  新居浜ユネスコ協会の吉田です。よろしくお願いします。
 先ほど丸尾委員のお話で情報の共有というお話がありました。先ほどの岡山市が創造都市ネットワークに加入される件ですけれども、岡山市には岡山ユネスコ協会がありまして、今、ホームページを見るとその件に関しての内容が全く記入されていませんで。非常に熱心に御活動されている協会ですけれども、その辺の情報の共有もあったらいいのになという思いがして少し心配したので、お知らせをさせていただきました。
 以上です。
【井上委員長】  ありがとうございました。そのほか皆様から何かございますか。
 それではないようでしたらば、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
【田中係員】  次回の日本ユネスコ国内委員会総会が9月21日、木曜日、15時から17時半に開催予定でございます。
 以上でございます。
【井上委員長】  ありがとうございました。
 それでは、これで本日の文化・コミュニケーション小委員会を閉会いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして本当にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 

―― 了 ――

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