日本ユネスコ国内委員会第6回文化・コミュニケーション小委員会 議事録

1.日時

令和4年8月30日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催(Webex)、文部科学省国際課応接室(12階)

3.出席者

(委員)
羽田委員長、佐藤委員長代理、井上委員、大枝委員、肥塚委員、西藤委員、佐野委員、髙橋委員、野間委員、芳賀委員、蓮生委員、細谷委員、松本委員、吉田委員
(関係団体)
ユネスコ・デザイン都市なごや推進事業実行委員会 江坂恵里子プログラム・ディレクター(名古屋市観光文化交流局文化芸術推進課国際交流専門員(文化振興))
(関係省庁)
文化庁文化資源活用課文化遺産国際協力室 守山弘子室長補佐
文化庁地域文化創生本部暮らしの文化・アートグループ 濱田泰栄リーダー
(事務局)
岡村国際統括官(日本ユネスコ国内委員会事務総長)、加藤国際統括官付国際交渉分析官(日本ユネスコ国内委員会副事務総長)、白井国際統括官付国際戦略企画官(日本ユネスコ国内委員会事務局次長)、堀尾国際統括官付国際統括官補佐(日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐)、新免国際統括官付ユネスコ協力官(日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐)、その他関係官

4.議事

【羽田委員長】  皆様、おはようございます。本日は、御多忙中のところお集まりいただきありがとうございます。
 会議に先立ちまして、事務局は、定足数の確認及び事務連絡をお願いします。
【新免ユネスコ協力官】  現在、御出席の委員が14名で全委員17名の過半数でございますので、定足数を満たしております。
 本日は、議題2に関しまして、文化庁文化資源活用課文化遺産国際協力室の守山室長補佐、また、議題3に関しまして、文化庁地域文化創生本部の濱田リーダー、そして、名古屋市の江坂様、また、日本ユネスコ協会連盟会長として佐藤委員長代理に御説明をお願いしております。
 なお、報道関係者の取材を受け付けておりますので、あらかじめお知らせいたします。
 一般からの傍聴につきましては、YouTube配信にて御覧いただいております。
 オンライン会議でございますので、お手数をおかけしますが、委員の皆様、御説明をお願いしております皆様におかれましては、御発言の初めにお名前を名のっていただきますよう、お願いいたします。また、御発言時以外は、音声をミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまより第6回文化・コミュニケーション小委員会を開催いたします。
 本日の議事進行を担当いたします委員長の羽田でございます。どうぞよろしくお願いします。
 本日の議事については、全て公開とさせていただきます。御発言は議事録としてホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 まず、議事に先立ちまして、事務局の異動がありましたので、事務局から御報告をお願いします。
【新免ユネスコ協力官】  事務局の異動について御報告いたします。
 本年4月1日付で岡村直子国際統括官/日本ユネスコ国内委員会事務局長、白井俊国際統括官付国際戦略企画官、そして5月1日付で加藤敬国際統括官付国際交渉分析官が着任しております。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、岡村国際統括官から、一言、御挨拶を頂きます。よろしくお願いします。
【岡村国際統括官】  ありがとうございます。
 4月に文部科学省国際統括官に着任いたしました岡村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先生方におかれましては、本日も御多忙の中、委員会に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。そして、日頃より、日本ユネスコ国内委員会に関して御協力を頂きまして、心より御礼申し上げます。今までも先生方にはたくさんの重要な御示唆を頂いてまいりましたが、本日も、今後のユネスコ活動につきまして、積極的な御意見、御提案を賜れますと幸いでございます。
 本日は、まず始めに、「世界の記憶」と、文化庁のユネスコ関連事業につきまして、関連の部局から御報告をさせていただきます。
 引き続きまして、創造都市ネットワークの推進につきまして、御審議を頂くことを予定しております。前回頂きました御提案を踏まえつつ、幾つか具体的な取組を行ってまいりましたので、文部科学省、文化庁それぞれから御説明をさせていただきます。
 このユネスコ創造都市につきましては、年に一度、世界各地のユネスコ創造都市が一堂に会する世界会合が開催されておりまして、そこで、本日はこの会合に参加された名古屋市観光文化交流局の江坂様に会合の様子などについて御発表をお願いしております。江坂様、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、日本ユネスコ協会連盟の会長でいらっしゃいます佐藤委員長代理に、ユネスコ創造都市ネットワークに関するアンケートの結果と事例の御発表を頂くこととしております。佐藤様、どうぞよろしくお願いいたします。全国各地のユネスコ創造都市に所在する地域のユネスコ協会様にアンケートを実施してくださったということでございます。その結果を御報告いただきます。
 ユネスコ創造都市につきましては、登録自治体自らによる取組はもちろんのこと、登録自治体同士でしたり、国も含めた行政間の連携・継続や、多面的な活動を展開させる観点から、行政と民間団体との連携が大変重要であると考えております。
 皆様方には、それぞれの地域、御所属の機関における取組や、これまでの経験、御知見などを基に、どのようなユネスコの理念を踏まえた取組を一層推進していくことができるかなどについて、忌憚のない御意見、御提案を頂きますと幸いに存じます。
 さて、特に最近、新型コロナウイルスの感染症や、気候変動、経済格差等、様々な地球規模の課題が生じております。
 また、加えて、皆様御案内のように、ロシアのウクライナ侵略に見られるような権威主義の台頭など、これまで国際社会が大切にしてきた価値観が揺らぎつつございます。そうした状況におきまして、改めて、民主主義や基本的人権、多様性の尊重、地球環境の保存といった普遍的価値を全ての国々や人が共有するとともに、一人一人が、また、全ての国が、こうした様々な課題を自分事として考えて行動をしていくことがますます求められているという状況であると認識しております。
 そういうことでございますので、本日は、その他としておりますが、議題4の中で、これからの時代におけるユネスコ文化・コミュニケーション分野について、どのようなことをやっていけばいいか、これまでの伝統と実績をしっかりと踏まえつつ、さらに、まさに今やらなければいけないこと、更に発展させていくべきことなどがあれば、先生方からの御助言、御提案を頂ければと思いまして、その時間を取らせていただいております。
 先生方におかれましては、ユネスコの理念を推進していくために、本小委員会としてどのような役割を果たすことができるか、大所高所からの御意見を頂戴できますと幸いです。
 最後となりますが、文部科学省といたしましても、委員の先生の皆様からの御意見を踏まえて、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 今日もどうぞよろしくお願いいたします。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 今、岡村国際統括官から、今日の会議の流れについて、御説明いただきました。
 この小委員会では、いつも大変活発な議論を頂いています。報告も素晴らしいのですが、常に意見交換の時間が足りなくなります。
そこで、あらかじめお願いしておきたいことは、報告は予定時間を守っていただくこと、委員は要点を簡潔に御発言いただくことです。どうぞよろしくお願いします。
 続きまして、本日の会議の議事及び配付資料について、事務局より説明をお願いします。
【新免ユネスコ協力官】  議事次第に基づいて説明させていただきます。
 議題は4点、そのうち議題1と議題2「「世界の記憶」について」と「文化庁ユネスコ関係事業について」は報告案件です。そして、議題3「創造都市ネットワークの推進について」は審議案件です。また、議題4「その他」は、一部意見交換をお願いしたい内容がございます。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 
<議題1.「世界の記憶」について>
<議題2.文化庁ユネスコ関係事業について>
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に移ります。
 議題1、「「世界の記憶」について」、議題2、「文化庁ユネスコ関係事業について」、どちらも報告案件であります。この委員会では、「世界の記憶」、文化庁のユネスコ関係事業、いずれにおいても、ユネスコへの推薦の審査等は担当しておりませんけれども、ユネスコにおける取組であるということから、毎回御報告を頂いております。
 2つの議題は報告案件ですので、まとめて行います。
 御担当から順番に御報告を頂きたいと思います。
 初めに、「「世界の記憶」について」、文部科学省から説明をよろしくお願いします。
【白井国際戦略企画官】  文部科学省国際統括官付の白井と申します。資料1の「ユネスコ「世界の記憶」」について、御説明を申し上げます。
 「世界の記憶」については、委員会の先生方におかれても既に御案内のとおりかと思いますので、簡単に、それを含めて御説明申し上げます。
 今、この「世界の記憶」の具体的な審査に関しましては、先ほど羽田委員長からもお話がありましたとおり、別途、国内の審査委員会で御審議を頂いております。
 ただ、世界遺産などと違いまして、「世界の記憶」の場合には、知名度という点で、まだまだ普及が必要ということもありまして、是非この文化・コミュニケーション小委員会の先生方におかれても、この周知、広報といった点でお力添えを頂ければと思ってございます。
 特に、周知、広報という観点から、先生方にも、今、どのような事業を我々が行っているのかということについて、御報告を申し上げたいと思っております。
 資料を少し上に戻していただいて、ごく簡単に「世界の記憶」の現状について、御報告申し上げます。
 「世界の記憶」事業の内容については御案内かと思いますけれども、2の(3)のところに「制度改正」というものがございます。2015年の「南京事件」のことをめぐりまして、一旦制度は凍結をしていたけれども、2021年以降、新しく加盟国政府の対話を通して課題を解決するという制度ができまして、現在、新しい形での登録制度をスタートしてございます。
 その次、資料の2ページですけれども、直近の動きとしましては、現在、国際登録と地域登録という二つの制度がございます。
 国際登録については、ここにあります2件について、「浄土宗大本山増上寺三大蔵」、それから、「円珍関係文書」という2点についての登録をしているところ、一方、地域登録に関しては、募集を行ったのですが、日本からの申請については、現在ゼロ件だったということがございました。
 それと、3ページです。こちらは、特に今年から始めました文部科学省関係の事業ということになります。大きく分けて、情報の発信、一般の方々に向けたトークイベントなどを通じて、「世界の記憶」というものがどういうものかを知っていただくというイベントを、今、検討しているところでございます。
 もう一点は研修事業ということで、特に「世界の記憶」の申請を考えているような方に対するワークショップであるとか、講演等を行って、御理解をしていただくということがございます。
 それから、2ポツのところになりますけれども、こちらはユネスコに拠出している拠出金に基づく事業ということで、ユネスコが主体となって行う事業になります。「世界の記憶」に関するグローバル・ポリシー・フォーラムということで、このテーマにございます、今、ウクライナの侵略等も含めて、様々な形で記憶遺産が危機的な状況に瀕しているというケースがございます。こういったことから、危機にある記憶遺産について、どのような保存ができるのかといったことをテーマにしたシンポジウムを開催するということを行っているところでございます。
 4ページ以降、今、申し上げたテーマについてのそれぞれの詳細について掲載してございますので、また、お時間があるときに先生方に御覧いただければと存じます。
 こちらについては、以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、「文化庁ユネスコ関係事業について」、文化庁から御説明をお願いします。
【守山補佐】  文化庁の守山でございます。私から、簡単に世界遺産について御報告をさせていただきます。
 前回、2月のこの小委員会におきまして、佐渡の金山の推薦書をユネスコに提出した旨を御報告させていただきました。その後の経緯につきまして、御説明をさせていただきます。
 ユネスコ事務局より、日本が提出しました推薦書に対して、構成資産の一つである西三川砂金山に関して、一部説明が十分でない点があるという指摘がございました。
 これは、推薦書の中で不備がないかどうかということをユネスコ事務局で確認する過程の中で指摘を受けたものでございます。
 具体的には、西三川砂金山は砂金を取る金山ですので、水で洗い流して砂金を砂と区別して取り出すというための導水路跡というものが残っております。この導水路跡につきましては、古いものですので、例えば、途中途中が崩れたりして、今はもう残っていない部分がございます。こうした残っていない部分は世界遺産には指定できませんので、それを外します。そうしますと、どういうことが起きるかというと、その導水路跡は長いので、間、間の土砂崩れなどで消えてしまった部分が途切れた状態、導水路が幾つかに分散した状態で特定される。世界遺産への推薦の場合は、その特定された1個1個を地図上に明記するようになっております。
 ただ、それは完全に導水路という一つの機能を果たしているものですので、推薦書の中では説明を一体として記述しておりましたが、ユネスコのフォーマリティの中では、この1件1件を全て説明すべきであるところ、その説明が欠落しているという指摘でございました。
 文化庁としましては、一体として説明していますということを再三ユネスコの方にも説明をいたしまして、議論を続けてまいりましたが、ユネスコの判断が最終的に変わらないということが確認されました。
 また、今年度から、ちょうど推薦書の様式が変更されるということもございまして、その改定作業にかかる時間等も勘案し、次に向けた推薦書を改めて提出するということで判断いたしまして、この旨、7月の末に公表させていただきました。
 今後は、新しい様式に沿った形で推薦書を改定いたしまして、9月末までに推薦書の暫定版、また、来年2月1日までに正式な推薦書を提出するべく、特に新潟県や佐渡市などの地元、それから、関係省庁との連携を一層強化しながら、登録実現に向けて一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの二つの御報告について、御意見、御質問がありましたら、挙手ボタンを押していただきますと幸いでございます。指名は事務局からお願いします。
【新免ユネスコ協力官】  細谷委員、お願いいたします。
【細谷委員】  どうもありがとうございます。
 私から、「世界の記憶」について、かねてから感じていたことを1点だけ申し上げたいと思います。
 何とか知名度をもう少し高めて、国民の理解促進を図っていくということで事業を立ち上げられているのは大変良いことだと思うのですけれども、本質的に周知、広報をするということも大事ですが、私はそもそも、もともと知名度の高いものがリスト候補として挙がってきて登録されていくという仕組みになるように制度自体をもう少し見直されたらどうかと思います。
 これは、人類史に特に重要な記録物ということですので、自発的な推薦によるのですけれども、真に日本を代表するものが結果的に挙がってくるということが国民的な知名度も上がっていくことにつながるのではないかと思います。
 この部会が審査委員会に直接タッチするものではないことは理解しておりますけれども、その審査委員会自体、そもそもどのように候補案件が挙がってきて、それがどう時代別や分野別のバランスが取られて、いずれにしても、真に国民的に既に有名なものというと語弊がありますけれども、そういうものがもっと登録されるように、各国との比較で考えても、これはそれぞれの案件はもちろん重要ですから、失礼な言い方になるかもしれませんけれども、そもそも我が国の登録案件は全体には知名度が低いのではないかということを常々感じております。その仕組み自体を見直していただくことをお願いしたいと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
【新免ユネスコ協力官】  蓮生委員、お願いいたします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。阪大の蓮生と申します。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、「世界の記憶」の制度の改善に関する関係者の御尽力に、厚く感謝を申し上げたいと思います。
 次に、今回、なぜ地域登録はゼロ件だったのかということについて、もしもお聞かせ願えましたら、ありがたく思います。
 その理由は、やはり地域を巻き込んでの地域一体となっての協力、申請というのは、本プログラムに関する有効的なプラスのイメージを追加的に付与するものとして非常に有益だと思いますので、ぜひ将来的な要望でございますが、積極的に地域登録を目指すことを御検討いただけたらと思うからです。よろしくお願いいたします。
【羽田委員長】  では、白井企画官からお答えいただけますか。
【白井国際戦略企画官】  ありがとうございます。
 まず初めに、細谷委員から御指摘をいただきました件、真に日本を代表するものを登録すべきではないかという点。確かに我々も、是非良いものを登録していきたいという思いは全く同じでございます。
 その一方で、所有者の方々にいろいろ働きかけをすること、打診をお伺いすることもあるのですけれども、やはり所有者の方の意向というものが非常に大事になってくるところがございます。
 所有者の方からすると、例えば、既に日本で様々な文化財の指定などを受けているケースもあるようでございまして、そこで、既に非常に知名度があるものの場合には、逆に、この「世界の記憶」に登録することについてのメリットがなかなか感じられないというところもあるようでございます。その具体的なメリットをどう示していくのかというところは、我々も非常に悩んでいるところでございます。
 また、蓮生委員から御指摘をいただきました地域申請がゼロ件だったという件でございます。
 こちらに関してですけれども、実は、地域登録に関しましては、今年だけではなくて、過去を遡ってみましても、ゼロ件とか、多くても数件、1件といったことが続いてございました。一方で、国際登録はかなり人気がありまして、それなりの件数が毎回申請されているという経緯がございます。やはりどうしても申請者の方からすると、地域登録、アジア太平洋地域における登録よりも、国際登録を希望される方が多いというのが現状のようでございます。
 もちろん、私どもとしてはそれぞれの良さ、国際登録には国際の良さがあって、地域登録にはアジア太平洋地域ならではの良さがあるのだということは御説明しているところでございますけれども、その辺りの説明をよりしっかりとしていって、地域の方でもしっかりと良さを示していくということについて考えてまいりたいと思います。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 次、御議論いただきたい案件が二つございますので、もしよろしければ、ここで次の議題3に移らせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 
<議題3.創造都市ネットワークの推進について>
【羽田委員長】  議題3は、「創造都市ネットワークの推進について」です。ユネスコ創造都市についてですが、前回の小委員会で、大分県の臼杵市から、登録までの経緯、あるいは現在の取組、今後の展望についてお伺いしました。その後、文部科学省と文化庁から、ユネスコ創造都市の活性化に関連する取組の方向性について説明いただいて、皆様で活発な御議論、意見交換をしたところでございます。
 本日は、前回の審議を踏まえまして、三つの報告を用意しております。一つは、文部科学省や文化庁において実施してきた取組についての報告であります。
 二つ目は、今年7月にユネスコ創造都市、これは国際的なものでありますけれども、そのネットワークの年次総会がブラジルのサントスで行われました。そこに参加されました名古屋市の江坂様から、そのときの様子、あるいは国内外のユネスコ創造都市の連携、さらには、登録自治体として感じていらっしゃるユネスコ創造都市の意義などについて御報告を頂きます。
 そして、三つ目の報告として、佐藤委員長代理にユネスコ協会連盟の会長として、各地域のユネスコ協会のアンケート実施結果等について御発表を頂きたいと考えております。
 時間が限られておりますので、先ほどから何度か申し上げておりますけれども、時間厳守でよろしくお願いします。
 まずは、最初に、文部科学省からの御報告です。新免協力官、お願いします。
【新免ユネスコ協力官】  資料2-1に基づき、説明させていただきます。
 始めに、6ページ目で、ユネスコ創造都市ネットワークのミッションステートメントの御紹介、7から8ページ目で、前回いただきました委員の皆様からの主な御意見、御提案、そして、9ページ目で、前回の小委員会後の主な取組の御紹介をまとめております。
 初めに、ミッションステートメントの説明です。
 ユネスコ創造都市ネットワークは、2004年に発足いたしました。経済的、社会的、文化的、環境的側面において、創造性を持続可能な開発の戦略的要素として認識している都市間の協力強化を目的としております。
 このネットワークに参加することで、各都市はベストプラクティスの共有や、創造性と文化産業を促進するパートナーシップの構築、そして、文化的生活への参加を強化し、都市開発計画に文化を統合することを目指していくものです。
 その他の目的、活動分野の記載に関しては、今説明しましたミッションの箇所と重複する部分がございますので、割愛いたします。
 続きまして、7ページ目の説明です。
 前回は、二つの観点から、ユネスコ創造都市の活性化に向けた今後の方向性について御審議を頂きました。
 一つ目の観点が、ユネスコ創造都市における今後の取組について。二つ目の観点が、文部科学省の今後の取組についてです。文部科学省の今後の取組については、既にユネスコ創造都市に加盟認定されている自治体様への支援と、これからユネスコ創造都市を希望される地方自治体に対する支援の二つがございます。
 この2点について御審議を頂き、主な御意見、御提案を項目別にまとめております。
 一つ目は、広報に関する御意見です。
 ユネスコ創造都市ネットワークは、知名度が低く、市民にも知られていない。官民、市民が一体となって推進することが大切である。
 世界に日本の文化を発信できる自治体をユネスコ創造都市として推薦していくことが望ましい、といった御意見。
 また、文学分野での登録はない、といったお話がございました。
 8ページ目、二つ目は、人材育成に関する御意見です。こちらは、世代横断的な人材育成の視点や、ユネスコスクールの浸透が重要であるといった御意見を頂きました。
 また、三つ目は、多様な主体との協働に関する御意見です。現地の創造意欲を生かして、統一したテーマの下に市民が参画するイベントが有効ではないか、といった御提案を頂きました。
 最後に四つ目、国や日本ユネスコ国内委員会の役割に関する御意見です。日本ユネスコ国内委員会は、基本的な仕組みづくり、ベストプラクティスの紹介、現地支援を行うこととして、具体的な活動は、各自治体の創造力や知恵を生かすことがよいのではないか。
 そして、魅力自体は、登録自治体等にお任せすることがよいといった御意見には賛同するが、それを国際的にうまく伝えるための手助けや方策があればよい、といった御意見を頂戴しております。
 前回、御審議いただきましたことを踏まえまして、文部科学省において行ってまいりました取組を御紹介させていただきます。
 9ページ目になります。
 まず、ユネスコ創造都市加盟自治体、文化庁に御協力いただき、Creative City Network of Japan((創造都市ネットワーク日本)、以下「CCNJ」という)加盟自治体に積極的な広報を展開しております。CCNJといいますのは、文化芸術の創造性により、都市の創造的な発展やまちおこし等を図っていこうとする自治体等による全国的なネットワークです。CCNJのセミナーの時間をいただきまして、ユネスコ創造都市について御紹介させていただきました。
 資料は、10ページ目以降の資料を活用しております。
 この資料の作成に当たりましては、既にユネスコ創造都市に加盟しております自治体様から様々な情報を頂きまして、多彩な取組や、自治体として感じている登録メリット、今年度のイベント情報等をまとめております。この場をお借りして、御協力いただいた自治体の皆様に御礼申し上げます。
 続きまして、既に加盟されております自治体様の情報を積極的に取りまとめて発信する目的で、文部科学省ウェブサイト等の充実を図っております。
 同じページの右側を御覧いただければと思いますが、文部科学省のウェブサイトに、新たにユネスコ創造都市加盟自治体情報を直接リンクさせていただいたり、ユネスコ未来共創プラットフォームという、国内のユネスコ関係の総合サイトに情報を掲載する等、様々な取組を行っております。
 これから、文化庁、名古屋市様、そして、日本ユネスコ協会連盟の佐藤会長に御発表をお願いしておりますが、皆様の御発表を踏まえつつ、委員の皆様には、例えば、民間団体を一層巻き込んだ形での多様な主体との協働や、国際的な発信の在り方等について、引き続き、御提案や、お取組内容の御紹介等を頂きますと幸いです。
 なお、この10ページから18ページ目は、CCNJのセミナーで御紹介させていただきました資料でございます。お手空きの際、是非御覧いただければと思います。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 随分たくさんの取組がなされていることが、この資料でよく分かります。
 続きまして、文化庁からの御報告です。地域文化創生本部の濱田リーダー、お願いいたします。
【濱田リーダー】  文化庁地域文化創生本部の濱田と申します。創造都市ネットワークの推進に関する文化庁の取組について御説明させていただきます。
 19ページ、資料2-2を御覧ください。
 文化芸術基本法に基づき策定された文化芸術推進基本計画第1期には、文化芸術創造都市に取り組む地方公共団体等による全国的、広域的ネットワークの充実強化や文化芸術の持つ創造性を地域振興、観光産業振興等に活用し、地域課題の解決に取り組む活動を推進することが戦略に位置付けられております。
 そのため、文化庁では創造都市ネットワーク日本(CCNJ)を通じた活動支援として、19ページの下の黒の四角にありますようなCCNJ加盟都市間の交流、情報共有の場や、各部会等の実施など、ネットワークの円滑化と文化芸術創造都市に関する国内外の情報収集、分析、創造都市事業の効果検証発信や、ウェブサイトの運営などの活動支援を行っております。
 また、右側に挙げられておりますような東アジア文化都市事業、長官表彰等を実施することによって、創造都市の推進を図るとともに、文化芸術創造拠点形成事業や文化資源活用推進事業という、地方公共団体が行う地域の文化資源を活用して実施する文化芸術事業を支援することによって、文化芸術による地域振興の推進を図っているところです。
 20ページ、資料2(別紙)を御覧ください。
 CCNJの活動の概要です。CCNJのホームページから参照させていただいておりますが、赤で囲みましたところを御覧ください。
 今年度、CCNJには、国際ネットワーク部会という部会が発足されました。昨年度、本委員会にも、文部科学省、文化庁とCCNJとの積極的連携について御賛同いただいたところですが、創造都市の積極的推進のためには先進事例を知ること、東アジア文化都市事業や、ユネスコ創造都市ネットワーク等と連携することは非常に有益であると考えられます。
 今後、この枠組みを活用させていただき、文部科学省、文化庁の施策と地方施策との有機的な連携のため、文化庁としましても、文部科学省と一体となって、CCNJに情報提供や事業連携等、積極的に働きかけていきたいと考えております。
 ただ、まだ課題もあります。下の赤の囲みをしております「研究調査報告」というところなのですが、国外の先進事例なども調査し、できるだけ多くの自治体に資するために行っているところですけれども、予算上の制約等もあり、情報収集を新たに行うことが難しい部分がございます。文部科学省、文化庁の国際関係の部署と更に連携していくことによって、自治体が有益な情報を積極的に得られるような仕組みづくりができればと考えております。
 そのためにも、国際ネットワーク部会等における情報交換等で活発な交流を図っていく中で、これらの機会を形成したいと考えているところです。
 以上、御報告を終わります。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、名古屋市から御報告をお願いしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、ブラジルのサントスで開かれました年次総会に御参加いただきました江坂様、どうぞよろしくお願いします。
【江坂プログラム・ディレクター】  よろしくお願いいたします。
 では、画面共有をさせていただきますが、よろしいでしょうか。御覧いただけますでしょうか。
 まず、本日、このような発表の機会を頂きまして、ありがとうございます。名古屋市ユネスコ・デザイン都市なごや推進事業実行委員会の江坂でございます。よろしくお願いいたします。今日は、私ども名古屋市がユネスコ創造都市ネットワークに加盟認定を受けてから、特に今回のお題でもありますが、国際交流事業につきまして、お話をさせていただきたいと思います。
 簡単に名古屋市のこれまでのデザイン都市認定までの流れをお伝えしたいのですけれども、名古屋市は1989年、世界デザイン博覧会開催とともに、名古屋市会がデザイン都市宣言を行っております。
 その後、1995年、IFI(国際インテリアデザイナー団体連合)総会及び世界インテリアデザイン会議の開催、また、1992年に名古屋市の第三セクターとして株式会社国際デザインセンターを設立し、1996年に、今、御覧いただいております名古屋市内中心部にございますナディアパーク内に国際デザインセンタービルが開館いたしました。
 また、2003年には世界グラフィックデザイン会議を開催しておりまして、名古屋市は、このデザイン都市ということをキーワードに、世界三大デザイン会議と言われております会議を誘致した都市となっております。
 その後、2008年にユネスコの創造都市ネットワーク、デザイン分野の加盟認定を受けております。
 この後は、文部科学省のホームページからですので、あえてここで御説明するまでもないようなお話なので、後で御覧いただけたらと思います。
 これも、皆様既に御承知のことと思いますが、ユネスコの創造都市ネットワークというのは、英国の経済学者チャールズ・ランドリー氏が1995年に発表した「The Creative City」を2004年にユネスコが採用したプロジェクトの一つということになっておりまして、既に御紹介がありました文学・映画・音楽・クラフト&フォークアート・デザイン・メディアアート・食文化の7分野から、世界でも特色のある都市が認定されています。
 名古屋市は、2008年にアジアで初めて、神戸市と中国の深圳市とともにデザイン分野で加盟認定を受けました。
 また、これも、もう皆様本当によく御存じだと思いますけれども、創造都市について、佐々木雅幸先生が、2001年の段階でこのような本を執筆されて、具体的な方向性みたいなものを示しておられます。これも、今さら私が説明するような内容でもございませんので、このまま次に行きたいと思います。
 現在、ユネスコのネットワーク都市は、295都市あります。デザイン分野だけで、世界34か国から43都市が加盟認定を受けております。
 私たちが加盟しましたときは、まだデザイン都市は7都市で、創造都市全体も27都市しかなかったので、この十数年の間に、かなりネットワークが広がっていることを実感しております。
 これは、つい先週、デザイン都市だけで集まったオンライン会議になっております。サントスの会議に来られない都市も多かったので、改めてその情報を共有するということで、このときは68名ほど、30か国30都市以上が参加して、このような会議をしております。
 また、コロナ禍におきましては、この3年間、ユネスコ全体でも3回ほど、分野ごとのサブネットワーク会議では6回ほど、オンライン会議が開催されています。
 毎年各都市の持ち回りで開催される各分野のサブネットワーク会議も、この3年間は開催ができませんで、このような形でオンラインでミーティングを行っておりました。
 この間、私たちユネスコ創造都市ネットワークはコロナ禍で何をやっていたのかというと、COVID-19パンデミックに対応した30を超える都市が文化主導のイニシアチブを取った様々なプロジェクトをプラットフォームで公開するということをやっております。このウェブサイトで、実際に今でも御覧いただけます。非常に早い段階でアクションを起こした都市がたくさんありましたので、よろしければ御参照ください。
 その一つの事例として、スペインのリリアという都市の毎年開催されている国際ジャズ・デーが、リアル開催ができなかったということで、最前線にいる医療関係者、職員など、生活必需品を扱う方々、セキュリティ部門の方々へのオマージュとして、ジャズのスタンダード曲であるワークソングをベースに、スペイン、チェコ、ポルトガル、アメリカ、ジャマイカなど、多くの音楽都市がオンライン上で一緒に参加し、セッションをするという素敵なコンサートも開催されました。
 ここで、少し名古屋市の御説明をさせていただきます。
 名古屋市は、ユネスコの加盟認定を受けましてから三つのビジョンを立てて、現在に至るまで活動しております。
 まず、(1)原石を磨くということと、(2)環境都市へのいざない、(3)多様な文化とのネットワーク、こういったことを軸に、これまで活動を続けております。
 認定を受けたのが2008年10月ですが、実際の事業は2009年から活動を開始しております。ここでは、認定直後にデザイン都市の加盟都市をお招きして、国際デザインフォーラムを開催いたしました。初めてのことでしたので、まず、市民の方々にユネスコ創造都市とは一体何なのか、どんな都市が加盟しているのかということをお示しするために、都市を紹介する展覧会も開催いたしました。
 また、国際デザイナーズワークショップでは、国内外のクリエーターをディレクターとしてお招きし、様々な課題解決のプロジェクトを学生たちと一緒に、共通言語は英語という縛りがあったのですけれども、1週間かけてリサーチを繰り返し、成果物を発表するといったワークショップを続けて開催しております。
 こちらは、当時、デザイン都市は7都市だったのですが、初めての協働プロジェクトとして、「都市のコードを表現する」、というテーマでポスターデザインコンペティションを開催しました。デザイン都市ですので、グラフィックデザイン、ポスターコンペティションという形で開催をいたしました。
 これは、1回目のポスターの協同プロジェクトがとても好評でしたので、2回目ということで、スーベニア、お土産をテーマにしたプロジェクトとして展開しました。
 このときは、名古屋市と神戸市が一緒に開催し、私たちが行っていた国際若手デザイナーズワークショップの方式を取り入れて、双方の都市が、それぞれ学生たちと五つのグループをつくり、成果物を発表するといったプロジェクトを開催いたしました。
 こちらは、ベルリンで開催した新聞のプロジェクトになっています。名古屋で、国際若手デザイナーズワークショップを御覧になったベルリンのデザインフェスティバルのディレクターが、是非ベルリンでやってほしいということで招聘を受けまして、このような機会を頂きました。
 新聞は都市であるといったプロジェクトだったのですけれども、ベルリンの中で、クリエーターたちと一緒にこのようなワークショップを開催いたしました。
 それを受けて、プロジェクトだけではなくて、名古屋のデザインも紹介してほしいということで、翌年にはこういったエキシビションもさせていただきました。
 ベルリンの人にとっては、名古屋というのが実際には都市の名前なのか、ブランドなのか分からないということもあるのですけれども、私たちはあえて大きな説明はせず、ユネスコの創造都市というものがあるんだよ、そこで私たち名古屋からこんなデザインを持ってきたよということでお示しをしたのですけれども、そういったフィルターを全くかけないで、一つのデザインのプロジェクトとして非常に高く評価をしていただきました。
 それをきっかけに、ちょうどこの直後に加盟認定を受けたソウル市と連携して、私たちのデザインとソウルのデザイナーたちとの交流展を開催いたしました。
 こういった活動を見てくださっていた同じデザイン都市のオーストリアのグラーツから、是非名古屋に学生たちと一緒に行きたいということで、こちらも学生が10人ぐらい名古屋に1週間ほど滞在し、私たちも学生たちで受皿となるチームを作り、私たちが見せたい名古屋、彼らが見たい日本、名古屋の文化というものをリサーチし、実際、それをオーストリア、グラーツで展示を行うという形で成果発表をいたしました。
 このような形で、展示のレイアウトなども現地の学生たちと一緒に作ってやりました。
 名古屋からはDJも一緒に行き、Jポップでクラブナイトをやるといった交流も行いました。
 こちらは、ちょうど山形県の鶴岡市が食文化都市に加盟認定を受けた後でしたので、名古屋で、奥田シェフをお迎えして、キッチンライブとトークを行うという、食を語るのではなく、どういったことがデザインとつながってくるのかということで、在来作物を守るためにどのようにデザインされて、流通されているのかといったことも深く掘り下げて、デザイン哲学と食文化を絡めたようなプロジェクトも行っております。
 ここからは、国際交流の事例を少し紹介させていただきます。
 こちらは、サンテティエンヌ国際デザイン・ビエンナーレです。
 2010年にサンテティエンヌが加盟認定を受けてから、私たちは非常に深く交流を続けております。
 このように、ほぼ毎回、2年に1回のビエンナーレには、私たちも参加させていただいております。
 こちらも、年次総会のときに様々なプログラムが用意されるのですが、このときはIoT(Internet of Things)デバイスのエキシビションをやるということで、名古屋からも2人のアーティストに行っていただきました。
 その展示を受けて、また巡回することにもつながっていくのですけれども、これは2017年に開催されたフランスのアンギャンレバンでの年次総会です。
 こちらは、人口が2万人にも満たないような都市なのですけれども、このときは300人以上の人たちがわーっと国際会議でやってきて、かなり町が驚くような展開になって、町中で受け入れていただいたといった印象を持っております。
 これも同じデザイン都市との交流事業として開催しておりますクリエィティブカフェとなっております。
 グラーツの展覧会にも呼んでいただきましたので、その歴史文化遺産を守りながら、過去と現代をつなぐ大胆な都市戦略というのをお話しいただきました。
 グラーツは、欧州文化首都にも選ばれておりますし、この地域全体がユネスコの世界遺産でもあるということもありまして、そういった中に現代のものをどう活用していくのかといったお話を伺いました。
 これも、先ほどの食文化とつながっていくのですけれども、共感のデザインということで、未来社会と食をデザインする。食というのは、どこで作って、どこを流通して、どのようにして私たちの口に入るのかといったことを掘り下げて、引き続きのプロジェクトとしてやっております。
 これは、初めて名古屋市が、ユネスコの国内創造都市ネットワークの国内都市会議を開催したときのものです。国内でも加盟都市が増えてきて、私たちもチームジャパンとして何か発信力を持ってもいいのではないか、また、創造都市になったがゆえの課題といったものも出てきますので、リアルな現場の声としていろいろ交流する場を持ちましょうということでお声がけをし、この年から始まっております。
 これもデザイン都市ヘルシンキとの交流事業。
 また、イタリア、トリノとの交流事業。
 これは、モントリオール大学の学生が名古屋に行きたいということで、こちらでコーディネートして、大学連携をさせていただいたというものです。
 そして、最後になりますけれども、ユネスコの創造都市ネットワーク年次総会の様子をお伝えしております。
 私ども名古屋市が最初に参加したのがリヨン(フランス)となっております。名古屋市、神戸市が初参加となりました。
 その後、2010年、深圳、2011年、ソウル、2012年、モントリオール、2013年、イタリアのボローニャ、2014年、中国の成都、2015年が日本で開催されました。金沢です。2016年、エステルスンド(スウェーデン)、2017年、アンギャンレバン、2018年は、初めて2都市開催となりました。クラクフとカトヴィツェ(ポーランド)で開催されました。
 近々ですと、2019年、フェブリアーノ(イタリア)の年次総会となっております。このときはイタリア大統領も出席されました。
 これが、一番近々のものです。つい7月に行ってまいりました、サントスの年次総会の様子です。いろいろな課題はあったのですけれども、日本からは旭川市と臼杵市が参加しております。それぞれ市長、副市長も御参加されて、このようにビーチの海岸の掃除をするなど、様々な取組に対してサントス市全体がアクションを起こしてくださるという、時節柄、大きな会議とはならなかったのですけれども、それでも300人以上が参加しての会議となりました。
 これが、サブネットワークミーティング。これも、毎年2回ほどどこかで開催しておりますので、そのときの会議の様子を写真に撮ったものです。
 これが最後のスライドになります。終わります。
 このように、様々な都市の交流をしながら、今年は旭川市、神戸市との連携で、旭川市でフォーラムを行ったり、文化庁の名古屋日本博事業というものを開催しておりますが、そちらでは、オーストラリアのジーロング市の学生が20名ほど名古屋に滞在して、一緒にプロジェクトを推進していくということになっております。
 すみません。少し時間をオーバーしてしまいました。ありがとうございました。
【羽田委員長】  どうもありがとうございます。
 多彩な活動が行われていることがよく理解できたかと思います。後の議論で、実際にこういう活動をやって、どのような成果があったのか、あるいは、また問題点があったのかなどについて、具体的に御説明していただくことがあってもいいかと思います。
 では、時間が限られておりますので、最後まで御報告を済ませてしまいたいと思います。
 佐藤委員長代理から最後に御報告を頂きます。よろしくお願いいたします。
【佐藤委員長代理】  ありがとうございます。
 名古屋の大変充実した発表、ありがとうございました。
 私どもは、今月の初めにユネスコ創造都市の民間の参加する展開について、課題を確認するために、現地のユネスコ協会にアンケートを実施いたしました。詳細は、後で読んでいただくこととしますけれども、内容をかいつまんで報告したいと思います。
 このアンケートは、ユネスコ協会から見たものですが、厳しい話と、良い話と、両方ありますので、よろしくお願いします。
 まず、1ですけれども、「市民」のユネスコ創造都市に関する認知度はどうかというと、7割が「低い」。
 それから、2にありますけれども、「ユネスコ協会会員」の認知度も5割が「低い」と回答しておりまして、まだまだ浸透していないことが確認できました。
 その理由を確認しますと、広報活動が関連業界などに限られている、それから、イベントがない、それから、理念や意義についての理解が不十分である、推進団体との接触がないなどが挙げられております。
 次に、次のページの4のところに飛びます。推進協議会等へのユネスコ協会の参画でありますけれども、参画しているのは、旭川のユネスコ協会だけであります。前向きな協会は、現在、2協会ございます。しかし、大部分の六つの協会は参加しておりませんで、理由は、市や推進団体から要請がないということを挙げております。
 また、協会側からも積極的なコンタクトは行われておりません。これには、ユネスコを名のっている団体であるのに、声がかからないということのわだかまりがうかがえると思います。
 その他の意見として、旭川ユネスコ協会からは、推進団体に参加し、イベントや講演会に協力したことによって、着実に市民の意識が高まっているという報告がありました。
 アンケートの要約は以上のとおりでありますけれども、最大の課題は、多くの都市で、市や推進団体とユネスコ協会の双方に協力、信頼関係ができていないことであります。そして、うまく協力関係ができているところは、着実に成果を出していますが、これは、僅か1都市しかありません。この現状を出発点にしないと、その後の展開も困難だと考えます。
 そこで、次のページでありますけれども、旭川市の成功事例を紹介したいと思います。
 ここでは、旭川西高校が6月にユネスコ創造都市の高校生のためのSDGsとデザインというイベントに出展しました。授業の一環として、酒粕の廃棄を減らすために、酒粕を使ったスイーツを開発して、SDGsの目標2と12に当たることですけれども、「酒粕はカスじゃない!」というプロジェクトを発表いたしました。
 それが、今月開催しました別のイベントの主催者の目にも留まりまして、地元企業の協力を得まして、商品化されました。製作・販売には、学校の先輩・後輩の応援も得ております。
 生徒たちの最終ゴールは、酒粕の廃棄をゼロにすることであります。自分たちの活動をSNSやイベントで紹介して、さらに、今、クラウドファンディングも行って、全国に活動を広げていきたいと申しております。
 この事例で見るように、推進団体がユネスコ協会との協力によって、イベントなど、一般市民や学校関係者への強力な働きかけが可能だということを示していると思います。
 そして、旭川市では、デザイン分野だけではなくて、SDGsの取組にも発展した創造都市づくりが期待できると考えております。
 以上で、報告を終わります。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 以上、四つの御報告を頂きました。文部科学省、文化庁、それから名古屋、そして今の佐藤委員長代理と四つございましたけれども、いずれも、創造都市ネットワークを、今後さらにどのように発展させていくかというテーマに関わる発表でありました。
 では、これから質疑応答を行いたいと思います。御意見、御質問のある方は、挙手ボタンを押していただきますよう、お願いいたします。
 指名は、先ほどと同じように事務局からお願いします。よろしくお願いします。
 事務局、よろしくお願いします。
【新免ユネスコ協力官】  佐野委員、細谷委員の順で、お願いいたします。
【佐野委員】  佐野と申します。文化財の修復の仕事をしております。
 私は、名古屋に住んでおりまして、江坂様の御発表を聞いて、すばらしい取組をしているのだなと思ったのですけれども、私、名古屋に住んでいるのですが、取組に関しての情報というのが、私は本当に一般市民なので、テレビやラジオ、新聞などからそういう情報を知るしかないのですけれども、その取組をされていて、マスコミに取材はされているのでしょうかということをちょっとお伺いしたくて質問しました。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 どうしましょうか。1対1で行きますか。
 では、まず、お答えいただけますでしょうか。江坂様からよろしくお願いします。
【江坂プログラム・ディレクター】  佐野委員、ありがとうございます。是非名古屋でまたお目にかかりたいです。
 本当におっしゃるとおり、先ほど、ユネスコ国内委員会のアンケートのお話もありましたけれども、非常にそこが弱いところというのは自覚しておりまして、名古屋市内でも認知度が低いというのは、おっしゃるとおりなのですね。
 私たちも広報活動はそれなりにはしておりますが、なかなか取り上げにくいということが、少し分かってきました。
 といいますのは、何かイベントをやるわけでもないのですね。アンケートにもございましたが、参加のきっかけとして、もちろんワークショップやプロジェクトもやるのですが、具体的に、継続的に何かに関わっていけるのかというと、名古屋市の場合、拠点があるわけでもございませんので、特に関わりづらいといった事情があると思います。ですから、できるだけ何かワークショップをやる、トークイベントをやる、そういったときには、記者クラブに配信するだけでなく、自分たちでも積極的にローカルなマスコミに向けて発信はしていますが、本当にここが、今、一番頭を悩ませているところです。
 お答えになっておらず、すみません。
【羽田委員長】  よろしいですか。
【佐野委員】  はい、大丈夫です。
【羽田委員長】  それでは、続きまして、よろしくお願いします。細谷委員です。
【細谷委員】  どうもありがとうございます。いろいろすばらしい取組をなさっていて、今日は大変感銘を受けました。
 今の佐野委員からの御指摘の延長になるのですけれども、まさに認知度を全体に高めていくためには、特に伝統メディアが重要です。ウェブサイトもありますし、若者向けにはSNSがあるのですけれども、私のいろいろな経験からも、現に社会に影響力を持っている方たち、あるいは行政の人たちにインパクトを持ち得るメディアは、やはりテレビや新聞の伝統メディアだと思います。
 世界遺産のときのことが例になるかどうかは分かりませんが、これは個別のイベントについてメディアの取材を受けることも大事だと思うのですけれども、世界遺産についてはもっと大きなレベルでNHKが取り上げたわけです。あれは、ある程度知名度が高まってからだったかもしれませんが、テレビのシリーズで取り上げた。
 それから、スポンサーがつけば、TBSのようなシリーズもできたわけです。
 創造都市ネットワークは、まだそこまでは行かないのかもしれませんけれども、私は何といっても大きな飛躍の決め手になるのはテレビだと思います。それは、個別の自治体ではなくて、政府が主導して、自治体などとも連携してメディアに働きかけていただくことではないかと思います。
 ちなみに、世界遺産については、NHKは日本の世界遺産だけを取り上げたわけではなくて、TBSもそうでしたが、世界中のものを取り上げています。そこまで持っていって、一般の人がそれを見て関心を持つレベルのものにどうやって持っていくか。容易ではないと思うのですけれども、是非そういう大きな働きかけを考えられたらいいのではないかと思います。
【江坂プログラム・ディレクター】  ありがとうございます。
 それもありまして、実は、国内都市会議というのを発足させたのですね。私たちが各都市で何かをやっていても、とても訴求力が弱いので、創造都市は、今、日本国内に10都市ありますので、数が増えたことによって、全体でアピールしていかなくてはいけないということを、今、すごく考えています。ただ、実際にはまだうまく動けていないというのもあります。
【新免ユネスコ協力官】  ありがとうございます。文部科学省からも失礼いたします。
 資料の13ページ目から18ページ目に記載のとおり、国内の全てのユネスコ創造都市の自治体の皆様から、今年度の主なお取組を頂戴いたしました。イベントやシンポジウム、多々頂戴しましたが、その中の多くでは、国内外の他の自治体様や民間団体様と協働しながら取組を行われる予定であることを、僣越ながら、私自身は初めて知りましたし、本当に多様なものを取り組まれていくのだと思いました。これをどのように発信していくかということは、引き続き考えていきたいと思います。
【羽田委員長】  では、次の質疑に行きましょう。
【新免ユネスコ協力官】  佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員長代理】  ユネスコ協会連盟の佐藤です。
 文化庁との連携強化の推進、ありがとうございます。
 2点、意見を申し上げたいと思います。
 市民レベルの推進を図るためという観点から、先ほどアンケートを公表させていただきましたけれども、多くのユネスコ創造都市では、市や推進団体と地元のユネスコ協会が対話すらできていないということが判明いたしました。現状は、様々な展開を始める以前の状況であるということを認識しなければいけないと思います。
 スタートは、市や推進団体とユネスコ協会の顔合わせから始めて、話合いを持つことだと考えます。それには、対象の都市に対して指導ができる立場からの案内がスムーズな展開になると思います。
 例えば、9月の初めにユネスコ創造都市ネットワーク国内都市会議が開催されると聞いておりますけれども、こういう場はいかがなのでしょうか。
 一方、ユネスコ協会では、今後の研修会でユネスコ創造都市への認識を高めて、協会ができることを積極的にアピールすることを徹底していきます。これがスタートとなって、正当な評価と期待が示されて、信頼関係ができていけば、具体的な運用にはそれほど心配があるわけではないと思います。現場には様々な知恵があると考えております。
 二つ目でありますけれども、このような現状を生んでいる原因には、ユネスコ創造都市に対する認識がばらばらなことがあると考えます。環境整備が必要です。
 まず、先ほどのミッションステートメントでありましたけれども、文部科学省のホームページに日本語版を明示していただきたいと思います。現在は、リンクが貼ってある英語版であります。一読すれば、この都市づくりは、経済面はもちろんのことでありますけれども、ユネスコが目指している使命が明らかに分かると思います。
 また、ホームページで、ユネスコ創造都市ネットワークの解説がありますけれども、目的が「地域の産業の発展」とだけ記載されております。これでは、地方行政による経済振興策と理解されてしまうと思います。先ほどのミッションステートメントの目的を記載してほしいと思います。
 そして、推薦都市の審査に当たっては、ユネスコに関する行政機構の認識をしっかり確認することが重要だと思います。この議論を機会に、地方の行政機構に、本来の意義、民間ユネスコ協会との協力の意義を伝えていただくことを期待しております。
 それから、文化庁にもお願いしたいことがあります。
 先ほどの御説明いただいた文化芸術創造都市でありますけれども、CCNJには、ユネスコ創造都市の流れをくんだことが記載されております。そういうことから、CCNJもこの流れをくんだ創造都市として運用いただければ、誠にありがたいと思います。そうすれば、多くの文化芸術創造都市に、ユネスコ協会からユネスコの情報を提供することや協力することが可能となります。二元管理がスムーズな一連の流れになっていくと思います。
 現地のユネスコ協会の活動や一般市民の参加がしやすくなるよう、環境整備をよろしくお願いします。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 これは、文部科学省と文化庁から、一言ずつお答えいただけますでしょうか。
【新免ユネスコ協力官】  ありがとうございました。
 環境整備につきましては、まさにおっしゃるとおりです。ウェブサイトの充実を図っていることを御説明させていただきましたけれども、例えば、追加でミッションステートメントの掲載等も併せて行うことが、各地域のユネスコ協会様とご地元の自治体様の連携が深められる手助けにつながるかもしれません。文部科学省としても、引き続き環境整備に努めてまいります。
 以上です。
【羽田委員長】  文化庁の方、よろしくお願いします。
【濱田リーダー】  御意見ありがとうございました。
 御意見を踏まえまして、取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 では、次に行きたいと思いますが、指名、よろしくお願いします。
【新免ユネスコ協力官】  髙橋委員、西藤委員、蓮生委員の順でお願いできますでしょうか。そして、最後に芳賀委員、お願いいたします。
【髙橋委員】  髙橋でございます。よろしくお願いいたします。
 ユネスコ創造都市の御報告、本当にありがとうございました。重要な取組がなされていることを知り、大変に勉強になりました。
 私は民間企業、銀行出身ということで少しお話しさせていただきたいと思います。現在、地方銀行の経営陣の皆様といろいろな議論をしています。地方銀行自身が、地域経済が少子高齢化で、今後、元気をなくしていくことに対してどう対応するかということを真剣に対応されようとしています。また、SDGsやESGの流れの中で、地域経済なり、地域の社会が再生していくことが、銀行の利益にもつながるという観点で、いろいろな取組をされようとしています。
 地方銀行の中期経営計画等を見ると、ほぼ例外なく、目指す姿、ゴール、ミッションには、「地域とともに」とか、「地域社会の発展に貢献することを第一義とする」というような目標を掲げられていますが、実際、地銀の経営トップと話してみると、目標達成に向けて具体的に何をすればいいのかということについて、必ずしも明確な戦略的なイメージが出来上がっているわけではなくて、地域再生のためのファンドをつくるとか、取りあえず、ファイナンス面での戦略を表明されている地銀が多くなっています。
 SDGsやESGの流れを考えますと、財務的な収益を狙うということでの地域への貢献だけではなくて、地域社会自身を元気づけるということについて、当面、収益にはならないまでも、そこに経営資源を張っていきたいと思われている頭取、経営トップはそれなりにはいらっしゃるということを会話をしていて感じます。
 やはり地方銀行には、人材やネットワーク、ないし情報が、地域社会の中では相対的にかなりあるわけですので、ここを有効に使うというのは、ユネスコ活動にとっても、極めて大きな後押しのエンジンになるのではないかと思います。
 先ほどから知名度というお話も出ていますけれども、地方銀行にとってこういった活動がどの程度認知されているのかということは、私自身、ちょっと情報がないので分かりませんが、今、地方銀行が真剣に地方、地域の役に立ちたいと考えられているということを肌で感じますので、例えば、もう既にやられているかとは思いますが、地方銀行協会とユネスコの活動について話をしてみる意味はあるのではないかと思います。ユネスコ活動に対するサポートが得られれば、地方銀行が抱えている経営資源やパワーというのは、ユネスコ活動を推進するためのエンジンになっていくのではないかと思います。
 思いつきのような提案で恐縮ですが、地方銀行とも連携を深めながら、こういった活動を推進していくのはどうかと考えたところです。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 これは、御意見としていただいたということで、次に行きたいと思います。
 蓮生委員、お願いします。
【蓮生委員】  どうもありがとうございます。
 私、現在、日本の大学におりますけれども、もともとユネスコ事務局の職員として働いていた経験に基づきまして、今日は御提案させていただきたいと思います。
 日本として、グローバルレベルでの取組や制度の改善にどのような貢献ができるのかという観点から、次の2点を御提案したいと思います。
 まず初めに、第1点目として、現在の本プログラムの問題点として、単体の地方自治体の申請しか認めていないという点が挙げられると思います。例えば、食文化を例に挙げますと、食文化とは、元来、地域的なものであるという色彩が非常に強いということは、皆様の共通理解だと思います。
 しかし、単体の自治体の申請しか認めないという現在の制度の枠組みの中になりますと、非常に狭い地域でしか共有されていない食文化、あるいはコマーシャルな色彩の強いものしか提案されてこなくなってきてしまいます。市や町や村など、そもそも大小規模が違うのに、単体の自治体による申請に限定しているということ自体に、若干合理性がないのではないかという疑問を感じております。
 そこで、例えば、「世界の記憶」のように、幾つかの自治体が合同で共同申請できるような制度改善に向けた提言というものを、日本がイニシアチブを持って提案していったらどうかということを御提案したいと思っております。
 また、2点目として、これは非常に具体的な提案ですが、グローバルレベルでの本プログラムの推進と、日本における地方レベルでの人材育成のために、地方自治体の職員で、将来、国際交流事業に活躍しそうな、また、国際交流事業で活躍したいという意思を持っているようなユースを、ユネスコ事務局本部に2年間、あるいは3年間ほど派遣するということなども、是非御検討いただきたいと思います。
 私自身がユネスコ本部で働いていたときには、地方自治体から2年間、あるいは3年間で、出向で来ていらした方がいらっしゃいました。そのようなことも、地方自治体で働きたいという日本の若いユースにとって、地方自治体から国際機関へという一つのキャリアパスが与えられてもよい時代なのではないかと考えるからです。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 どちらも大変重要な御提案だと思います。これは、承ったということで、最後に文部科学省から、また何か反応を頂ければと思いますので、次に行きたいと思います。
 西藤委員、お願いします。
【西藤委員】  どうもありがとうございます。橿原考古学研究所の西藤と申します。よろしくお願いいたします。
 名古屋のユネスコ創造都市のプロジェクトは非常にすばらしく、十年余りやられているのは非常に感銘いたしました。
 そこで一つ、名古屋市様にお聞きしたいのです。当然、名古屋市様も文化芸術創造都市、121自治団体の一つだと思うのですが、江坂様が所属されている文化芸術推進課と、文化芸術創造都市を担っている、所轄している担当課とは、同じなのでしょうか、それとも違うのでしょうか。
【羽田委員長】  これは簡単な質問ですので、まず、お答えいただけますでしょうか。
【江坂プログラム・ディレクター】  今、私が所属していますのは、名古屋市の観光文化交流局の文化芸術推進課というところですが、ユネスコの創造都市というのは、基本的にフォーカルポイントというものを立てなくてはならなくて、それは、基本的にはその分野に専門的な知識のある人ということで、私は、名古屋市の所管部署の専門員として入っております。
 ですから、同じなのですけれども、名古屋市は実行委員会という形式を取っておりますので、実行委員会には所管の観光文化交流局と経済局も入っております。
【西藤委員】  ありがとうございます。
 ちょっとまだ続けさせていただきたいのですけれども、名古屋市様にお聞きするのはそれまでなのですが、佐藤委員も最後におっしゃっていた、結局、ユネスコ創造都市と文化芸術創造都市が二分化されてしまっていて、やはりその無駄というものがかなり出てくるのではないかと思うのです。
 さらに、文化庁や文部科学省に調べてほしいというのは、いわゆる文化芸術創造都市の121。これも、文化芸術、国際性豊かな京都や横浜などが、ユネスコの創造都市制度が始まってからかなりの時間がたつのに、そういうところの登録が見えてこないというか、本当はされようとしているのか。
 だから、ぜひとも文化芸術創造都市の中で、ユネスコ創造都市に対してどういう思いを抱いておられるのかという調査もしていただければありがたいのかなと。
 さらに、今、10のユネスコ創造都市というのは、関東や山陰、中国地方、四国、そういう地方はないのですよね。だから、蓮生委員がおっしゃったように、単独自治体ではなくて、複数自治体などもあれば、そういうところも加盟しやすいのかな。多分、地域の中に一つでもあれば、そういうところにより目を向けやすくなるのではないか。それが、121もある文化芸術創造都市の中で組み合わさっていくのもよいと思うのですが、そういうことも調べてというか、彼らに加盟するよう、勇気づけていただければなと思っています。
 私の質問と意見はそれだけです。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 時間が限られていますので、今、野間委員からも手が挙がっているようですので、芳賀委員の後にお話しいただいて、その後、まとめてお答えいただいて、この議論は終わりにしたいと思います。
 芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  東北大学の芳賀です。
 この間、仙台の生協に行って枝豆を買おうと思ったら、良いだだちゃ豆があって、そのパックに「ユネスコ食文化創造都市鶴岡」とか「山形県庄内JA鶴岡 ユネスコ創造都市ネットワーク「食文化分野」に日本で初めて加盟が認め」られた鶴岡市で作りました、と大きく書いてあって、大変うれしく思いました。
 それで、具体的な意見を二つと、夢を一つ。
 一つは、文学分野の登録を目指したいと思います。文部科学省におかれましては、この創造都市募集のホームページに、そのことへの言及を今後も続けてください。
 2点目、佐藤委員がおっしゃったように、国内と国際の連携が必要です。そのためには、グローカル外交が必要です。具体的には、外務省の大臣官房総務課の地方連携推進室からのより積極的な日本ユネスコ国内委員会への参加をお願いしたく思います。以前、国際文化交流室にいらした蘆田様も確か地方推進室にいらっしゃいますし、是非お願いいたします。
 最後、三つ目は夢ですけれども、デザイン分野においても、名古屋市がすばらしいことがよく分かりました。ユネスコをも契機として、是非国立デザインミュージアムを名古屋市に造っていただきたい。この計画を進めていた三宅一生氏は亡くなってしまいましたけれども、日本のデザイン分野においては、名古屋は、徳川時代も経て、すごいものがありますし、最後は、多分アルテミス計画で送るつもりのトヨタの月面探査車まで展示すれば、すばらしい名古屋のミュージアムができると思いますので、お願いします。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 では、野間委員、お願いします。
【野間委員】  講談社の野間と申します。初めて参加させていただきますけれども、今日、御説明を受けまして、非常に感銘を受けました。
 文学分野での登録がないということで、ちょっと私も考えてみまして、いろいろな自治体で文学賞をやったり、文学や小説といったもので盛り上げていこうという自治体も一定程度あるということは私も存じ上げているのですけれども、まず、それを運営していくだけで精一杯。地元でそれをやっていくというだけで、今のところ、話を聞いているだけでも精一杯だなということを思います。
 しかも、さらにグローバルで、いずれは交流もしたいということも思っているのかもしれないですけれども、多分、なかなかそう簡単にできないだろうなというのが正直なところだと思います。文化庁やユネスコ協会など、様々な方々の支援が必要なのではないかと思ったところです。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、もう一つ議題がありますので、ここでまとめに入りたいと思います。
 今までの御意見を受けて、文部科学省から対応、今後の方針などについてお話しいただけると幸いです。
【新免ユネスコ協力官】  ありがとうございました。
 お時間の関係もあり、一つ一つのお答えは厳しいところがございますけれども、これからも、CCNJなどとの連携をしっかり深めていくことが大切であると考えております。
 例えば、蓮生委員からお話いただきましたことに関連いたしますが、ユネスコ創造都市に加盟した一つの自治体のお取組が、近隣に波及することがないことは、もったいない状況が生じることがあるかもしれません。そして、広域的な地域連携が、一層の意義を発揮するといったこともあろうかと考えております。
 加盟済の自治体様からお話をお伺いしました範囲では、他の加盟自治体との連携はもちろんのこと、加盟されていない近隣の自治体様も含めて連携している状況もありました。ユネスコにおける公募が2年に1回でございますので、文化を生かした創造性にとりわけ御関心をお持ちいただいていると思われますCCNJの加盟自治体様に、セミナーの場などで引き続き御案内申し上げたいと考えております。こうした取組を積み重ねることが、ユネスコ創造都市を知っていただくこと、御関心を寄せていただくことにつながることを願っておりますし、文学分野も含めて、多くの自治体様の申請に結びつくために、大事なことであると思っております。
 制度自体は、ユネスコが定めているものですので、日本としてできることに限りはありますけれども、できることを一つ一つ行い、本事業の知名度向上や、その先にあるユネスコの理念の実現等に、役割を果たしていきたいと思っております。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 文化庁は何かございますでしょうか。濱田リーダー。
【濱田リーダー】  ありがとうございます。
 西藤先生が御指摘されようとしていたのは、多分、創造都市を進められている部署と、文化芸術を進めている部署は、結構違う部署がやっていたりするところがありまして、私どもも、結構そこを歯がゆく思うときがあります。文化芸術を創造都市の取組につなげていくためには、やはりそこの連携は欠かせないのだろうと思っております。
 あとは、各都市間の連携というのも非常に重要だと思っておりますので、CCNJの枠組みを活用させていただきながら、先ほど新免協力官からもお話がありましたように、文部科学省ともきちんと連携していって、とにかくそういった有機的な連携をつなげていって、しっかりと先生方に「よかったね」と言っていただけるような取組につなげていきたいと思います。ありがとうございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、引き続き、文部科学省をはじめ、関係の皆様方、各方面と連携を深めて、様々な推進、方策を講じていただければと思います。
 
<議題4.その他>
【羽田委員長】  もう一つ、その他ではございますけれども、重要な案件がございまして、ここで、また意見交換をしたいと思いますので、このために時間を確保させていただきました。
 世界平和確立を希求するのがユネスコの憲章ですが、その理念の実現に向けて、私たちはどのような役割を果たすことができるのかということであります。昨今のウクライナ危機はもちろんですけれども、それ以前から、様々なところで世界各地が脅かされているという状況が続いています。
 そこで、ユネスコ全体としてはもちろんですが、この小委員会として何かできることがあるのかどうかということを議論してみたいと考えているところです。
 初めに事務局から、そこにありますような、「これからの時代におけるユネスコ文化・コミュニケーション分野の推進について」の論点例を御説明いただきまして、その後、意見交換を行っていきたいと思います。
 大変重要なテーマであり、時宜を得たものだと思いますので、短い時間でありますけれども、活発で忌憚ない意見交換ができればと思います。
 それでは、始めに、白井企画官からよろしくお願いします。
【白井国際戦略企画官】  失礼いたします。
 お手元に、今、画面表示されております「これからの時代におけるユネスコ文化・コミュニケーションの推進について」という資料を御用意いただければと思います。
 冒頭で、国際統括官の岡村からもお話し申し上げましたけれども、言うまでもないことでございますが、新型コロナ、それからロシアのウクライナ侵略、さらに気候変動、経済格差といった様々な問題が生じているという中で、改めて我々が何をすべきかということが問われている時代になっていると思います。
 また、もう一つ、パラグラフの二つ目にございますけれども、ユネスコにおいて、新しい中期戦略が2022年から始動しております。特にユースの巻き込みというのが非常に重視されてきております。
 これは、いろいろな分野でどのようにユースの意見を聞いていくのか、一緒に考えていくのかということが大変重視されているということがございます。
 そういったことも踏まえまして、今後のユネスコ活動に関して、国際的な視点、それから、国内的な視点、両方あると思うのですけれども、ユネスコ憲章の理念を具体的にどう実現していくのかということについて、この文化・コミュニケーション小委員会においては、特にその観点から、二つ御議論を頂きたいと思っております。
 ちなみに、この論点については、文化・コミュニケーション小委員会だけではなくて、同様の論点について、科学や教育の小委員会においてもそれぞれ御議論を頂いて、また、総会においても全体の御議論を集約していきたいと思っております。
 ここでは、論点を二つ挙げさせていただいております。特に順番があるものではありませんで、両方とも非常に連関しているものだと考えております。
 まず、1点目が、日本の知見を生かした国際社会への貢献についてという点でございます。
 もちろん、これまでも、日本からも分担金を負担したり、あるいは人材を派遣したり、様々な貢献をしてきたところではございますけれども、さらに一歩進んで、これは蓮生委員からも日本が積極的に提案をしていったらどうかというお話もいただきましたが、例えば、新しいルールを提案したり、新しい理念や考え方、あるいは名古屋市様のようないろいろな実践事例といったことも提案しながら、日本が議論をリードしていく。そういったことまで考えていくと、どのようなことが考えられるのかということを御議論いただきたいのが1点目でございます。
 それから、教育の分野になりますけれども、日本が提唱して、また、ユネスコスクール等で活動されているESD、持続可能な開発のための教育という概念がありますが、これなども、まさに日本が提案して、国際社会にも根づいてきたというところもございますので、そういったことを御参考にしていただければと思います。
 2点目が、主に国内の活動ということになりますけれども、国内における理解促進についてということで、特にユース、若者も含めた多様なステークホルダーをどうやって巻き込みながら活動を進めていくのか。
 丸2番のところですけれども、地方創生や社会福祉など、様々な領域を超えて、活動を巻き込んでいくのか。多様な方々が関わってくるほど、その分、それぞれの方々のお考えも異なる部分もあるかもしれません。登録事業を増やしていくということはもちろん大事なことだと思うのですけれども、かつての建議においても御指摘いただいたように、登録のみが目的ということではなくて、登録をきっかけに活動を活性化したり、さらに究極的には、ユネスコの憲章に掲げている、本来の目的である平和の希求につなげていくというところまで、意識を高めていくようなことも非常に大事になってくるかと思います。そういったことも踏まえて、どのように活動していくのか。この2点を主に御議論をいただければと存じます。
 こちらからは以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 この前の議題についての意見交換で、今、白井企画官から御説明いただいた、あるいは御提示いただいた質問についての回答や提案が既に幾つか出ていたと思いますけれども、ユネスコ創造都市だけではなくて、今回、ここではユネスコの活動全体について、文化・コミュニケーション小委員会という立場から何ができるかということ、どのようにすればいいかということについて、自由に意見交換をしたいと思います。
 11時55分程度まで、大体20分から25分ぐらい、時間がございますので、委員の方々から積極的に御意見を頂ければと思います。また、指名をさせていただきますので、お手を挙げていただければと思います。いかがでしょうか。
【新免ユネスコ協力官】  細谷委員、お願いいたします。
【細谷委員】  どうも、毎回発言してすみません。
 この種の議論を提起していただくのは大変良いことなのですが、私、ユネスコに直接政府から携わり始めてからもう20年たつのです。日本政府内でも、事務局の中でも、とにかくこの種の議論というのは、ほぼ毎年のようにやってきています。
 それは、ユネスコの一つの大きな特徴なのですけれども、とにかく大きな理念を持った国際機関ですから、平和のために心のとりでをつくると。
 他方で、この大きな理念論をいろいろやりまして、結局は、ユネスコというのは非常に間口の広い国際機関で、非常に個別具体の取組に議論は収れんしていくのですけれども、私は、あえて1点だけ申し上げたいのは、今、世界が激変している中で、常に世界は激変しているということをどの時代でも皆様言うのですが、今、ウクライナ紛争が起きていて、何が根本的に変わってきているか。その中のユネスコの役割という、この大上段の議論を、あまり抽象論でやっていても、これは同じことの繰り返しになるのです。
 私が具体的に調べられたらよいと思うのは、今、ユネスコ事務局が、ウクライナ紛争について、具体的に何か関わりを持っているのかどうか。私は、もちろん、いろいろあると思うのです。ニュースで報じられるようなことはありませんけれども、ユネスコ事務局の本部というのは、常に必死で考えています。こういう世界の一番大きな動きについて、国際機関としてのレゾンデートルをどうやって保つか。もちろん、文化財絡みのことは簡単なのですけれども、ユネスコの権限と予算と所掌分野の中で、世界の侵略戦争が起きているということについて、どういった具体的な貢献、関わりができるか。これは、ちょっとやられたらよいと思うのです。
 事務局長が声明を出したりということは、もう連日やっていますけれども、何か具体的なインパクトを持てている面があるのか。それを、まず調べられて、そこから考えていくことが、私は順序ではないかと思います。
 もちろん、ウクライナだけが、今の世界の問題ではないのですけれども、そういうふうに、理念論、抽象論だけではなくて、まずは、具体的に本部がどう考えているかということを踏まえて議論することを提案申し上げたいと思います。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 大変重要なことだと思いますが、この点について、文部科学省で、何かもう既に調べられたりしていることはありますか。
 黙っていらっしゃるということは、特に今のところは、まだはっきりと系統立って調べていないということですね。
【白井国際戦略企画官】  はい。ユネスコにおいて様々な活動が行われていることについては承知をしておりますが、すみません、今、我々の立場からどこまで申し上げていいものか、これはオープンの会議でございますので、ちょっとそこは慎重にさせていただきたいと思います。
【羽田委員長】  分かりました。
 それなりに調べていらっしゃるということですので、今後、それを基にして考えるということは前提条件として、ほかの委員の方々から御意見をいただきたいと思います。
 御意見がおありの方は、挙手をお願いします。 
【新免ユネスコ協力官】  芳賀委員、お願いいたします。
【芳賀委員】  一つは、この岡村国際統括官のおっしゃる「自分事」というのはすばらしいと思います。他人事でなくて自分事である。
 ただし、このときに注を付けたくて、「自分」というと現代世代のことばかりを考えますが、そうでなくて、あくまで視点は、判断の基準は、未来世代に置くべきである。未来から現在を振り返って現在判断する。そういった態度でありたいと思います。そのために、次に「ユース」と書いてあるのは非常にすばらしい。具体的には、世代間倫理という概念がありますが、そのインター・ジェネレーショナル・エシックスを訴えたいと思います。
 2点目。特に日本からの知見を生かしてということで、抽象的な話ですが、軍事征服行動によって確立された平和としてパクス・ロマーナがあって、それからパクス・ブリタニカというものがあって、その延長が、今のロシアのウクライナへの侵攻だと思います。
 それに対して、日本からは、今日、名古屋からの参加もありますが、パクス・トクガワーナというものを訴えたらいいかと思います。文化による平和。パクス・トクガワーナというのは、徳川の平和という意味ですけれども、文化によってこそ平和を達成したい。
 ですから、そういう意味で、いつも私が引っかかるのは、ユネスコ憲章の「平和のとりでを築く」というのを皆、讃えますけれども、これはおかしいのではないかと思っています。日本には本来はとりでなんか要らない、我々の平安京にはとりで、城壁がないです。二条城も戦闘用の城ではないです。ですから、そういう日本の文化による平和。一言で言えば、パクス・トクガワーナを日本は今後訴えたらよいかと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思います。
 ほか、いかがでしょうか。
 今回はなかなか御意見がないようですけれども、どういたしましょうか。
【肥塚委員】  肥塚です。
【羽田委員長】  どうぞ。
【新免ユネスコ協力官】  肥塚先生、お願いいたします。
【肥塚委員】  冒頭に細谷先生がおっしゃったように、テーマが大き過ぎるなというのはちょっと感じたことではあったのですけれども、今、日本国内の各企業の中で、いろいろなことが焦点を絞って語られています。もちろん、SDGsといったことは当然なのですけれども、もっとも日本社会で困っている、恐らく、これは海外も含めてですけれども、人材の育成と、それからDX、デジタルトランスフォーメーションを、どのように生活、もしくは企業の経営に役立てていくかということが、政府も含めて考えられているわけです。私が思うには、人材の育成、つまり教育も含めて、これが非常にユネスコにマッチングする課題ではないかなと考えています。
 今のCOVIDだったり、ウクライナもそうなのですけれども、日本で何ができるかということについては、世界に飛び出して様々な意見を言うとか、それから、ウクライナもそうかもしれませんけれども、グローバルに貢献をしていくという視点に立ったときに、日本がどんな力を発揮できるかということになるのですが、企業自体で言いますと、日本はあらゆる分野で劣っている、遅れていると言われているわけです。
 そこで、直近で、日本として何がグローバルにできるのかということと、さっき先生もおっしゃいましたけれども、将来的に何ができるかという視点に立ったときには、この二つについては、ちょっと視点も違うのかなと思います。
 本気でユネスコも教育ということは考えておられますので、そういったことを具体的にどうやって進めていくのかということが将来的な課題で、直近にどうするかということについては、私も今、解を持っていないというところが正直なところです。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。西藤委員。
【西藤委員】  この論点に関しては、非常に大きなものであるのですが、私自身が思うのは、今日の議題にあった、ユネスコ創造都市。これこそが、様々なものを引き連れて世界に打って出る、大きな手法だと思います。
 だから、国内における理解促進の中に出てくる民間団体、企業、学校、若者、さらには、丸2の地方創生や社会福祉、全ての種類のもの、人たち、それを引き込んで世界へ打って出る一つの手法として、ユネスコ創造都市というのは、非常にいいツールだなと思います。
 そのために、121もある文化芸術創造都市が前に打って出てもらうような形でしていけば、日本全体として世界に打って出ることができるのではないかと思うのです。
【羽田委員長】  ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思います。
 蓮生委員からも手が挙がっておりますね。だんだん手が挙がってきました。井上委員。まず、蓮生委員からお願いできますか。
【蓮生委員】  発言の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
 先ほど芳賀委員から御指摘がありました文化による平和について、少しコメントさせていただきたいと思います。
 文化による平和、あるいはユネスコ的な文脈で申しますと、カルチャー・オブ・ピース。1990年代、ユネスコ事務局が取り組んできました平和の文化のプログラム。もう一度、その活動のレガシーというものを見直すときではないかということを一つ御提案させていただきたいと思います。
 カルチャー・オブ・ピースプロジェクトは、ユネスコ事務局長、事務局を中心とする分野横断的なプログラムとして、ユネスコが10年近くにわたって取り組んできたプロジェクトでした。もちろんその功罪はございますけれども、その中の幾つかの分野、特にユースに注目した分野等は注目されるべきだと思いますし、その活動の再評価と、レガシーを今後の活動にどのように生かしていくことができるのかということを、もう一度再検討していただけたらと思います。
 次に、第2点目として、ユースというものに注目した場合、文化・コミュケーションにおける本委員会の提言としては、やはり人材育成ということを第一に挙げていただけたらと思っております。日本の潜在的な貢献度としても、やはり人材育成というものは非常に大きな価値がある分野になるのではないかと考えているからです。
 ただし、これまでのような取組で、なかなか貢献を認めていただけなかったということの問題点の一つとしては、ピースミール、断片的なアプローチであったこと、それぞれの細かい機関が細かい活動をやっているという側面があったのではないかと思います。
 そこで、一つの御提案といたしましては、グローバルレベルの連携というものを推進したらどうか。例えば、ユネスコの文化事業を支援する意味で、人材育成を日本政府がやるというだけでは、なかなか国際的な知名度や認知度というものは上がりません。
 ユニタール(国連訓練調査研究所)等の国連の中での訓練、研修等を中心としてやっている機関がございます。例えば、そのユニタールとうまく連携して、お互いにタイアップ効果というものを高めることによって、同じ活動であっても、より多くの方に周知していただき、イメージしやすいものに変換していくことを考えてみたらいかがでしょうか。
 例えば、ユニタールですと、ユニタール本体の活動だけでなく、ユニタールにはローカルオーソリティー、地方で働く人材をグローバルに育成するためのシファールという制度、機関、ネットワークというものもございます。ユニタールのシファールは、韓国や中国、オーストラリアにありますが、まだ日本にはございません。地方の人材の育成という観点からも、ユニタールのシファールとユネスコが連携をして、うまくタイアップをして、ユネスコの活動を二重に広報していくということも、一つの活動戦略として御検討いただけたらと思う次第です。
【羽田委員長】  ありがとうございました。また、これも貴重な提案、ありがとうございます。
【新免ユネスコ協力官】  それでは、井上委員、芳賀委員の順で、お願いいたします。
【井上委員】  ありがとうございます。
 まず、私が申し上げたかったのは、芳賀委員から出されました文化による平和。これは非常に重要なことだろうと思います。
 ただ、これに関しては、やはり、先ほどから多くの委員の方がおっしゃっているユースということ、これを、今後どのように育てていくのか。これは、しっかりと心を育てていかなければいけない。そのためには、やはり学校教育との連携も必ず必要になってくるのだろうと思っております。
 例えば、私は奈良国立博物館に所属しておりますけれども、奈良国立博物館では、奈良市と協働して、奈良市世界遺産学習という、世界遺産の重要性を小学生の頃から教育しているわけです。彼らにとって、奈良にある世界遺産がどういう意味を持つのか。それが、単なる奈良だけではなくて、世界に住む人々にとっての世界遺産であるという、その遺産に対する考え方を学ぶことは重要なのではないか。それが、ひいては、しっかりとした安全保障にもつながっていく。これは、文化による平和にもつながっていくということであります。
 あとは、先ほど蓮生委員がおっしゃったように、人材育成についての考え方。これは賛成でございます。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 では、続けて、芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  今日は都市の話でしたが、言いたいことは、都市でない僻地、村などからの平和を日本からも訴えればどうかなと思います。
 創造都市というのはすばらしく、シュメールが都市文明を創って以来、都市文明というものがほぼ世界文明で、都市というのは非常に世界文明の創造に貢献しました。
 しかし、シュメールの都市文明が、まさにコロナの三密状態の最初です。そういう意味で、コロナCOVID-19の反省として、都市でない非都市、僻地や村といったところを主体とした平和を何か訴えたい。フランスのほとんども、アメリカのほとんども、僻地ですよね。皮肉的に言えば、日本は世界の僻地ですし、そういう意味でも、何か非都市のところからの平和を訴えてみたいなと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 では、岡村国際統括官、お願いします。
【岡村国際統括官】  先生方、非常に貴重な御意見をありがとうございました。
 まずは、細谷先生が最初におっしゃったように、様々な世界情勢の変化の中で、これまでも、日本でのユネスコの在り方のいろいろな議論があったと承知しております。
 しかしながら、今回のウクライナ事案というのは、ユネスコの理念が根底から覆されそうになる危険をはらんで、非常に大きな事態であると理解をしております。今、再度、このことについて御議論いただくことを非常にありがたいと思っております。
 そして、きちんと具体的な議論をしていきましょう、ファクトに基づいた議論をしていきましょうということも、心して取り組ませていただきたいと思います。
 何名かの先生方から、人材の育成の重要性、教育との連携の重要性、ユースの重要性ということを御指摘いただきましたが、少しだけ先生方と情報共有をしたい件がございます。
 ここ数か月、ユネスコ及び国連本部、両方ともで取り組んでおりますのは、9月の中頃に、国連では国連総会がございまして、世界の首脳が集まります。この国連のハイレベルウイークで、トランスフォーミング・エデュケーションのサミットが開かれます。これは、もう国連のホームページでも発表されております。これに向けて、私どもも準備をしているところでございます。
 ウクライナ事案も含めて、それから、コロナで学校が閉ざされるとか、経済的に水をくみに行かなければいけないので学校に通えないお子様もいらっしゃるというような、世界の子供を取り巻く過酷な状況、一方で、ほかの先生からも御指摘を頂きました、DXが進んできていることも含めて、教育を見直そうということで、今、世界各国で議論が始まっているところでございます。
 文化についても、そういうこととの連動の中で、私どもは議論を深めていければと思っております。
 今日の御議論、それから、教育の委員会、それから科学の委員会の先生方からの御知見も合わせて、総会でも御議論を頂き、更に良い議論を深めていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 まとめのお答えを頂きましたので、意見交換はこのぐらいにしたいと思います。
 先ほどどなたかがおっしゃっていましたが、80年近く前にユネスコが創られたときと比べると、今の世界の状況は激変しています。当時と同じことをやっていていいはずはありません。崇高な理念は保持しつつ、これまでの活動の中でレガシーとして残っているものを改めて活用することは当然あっていいと思いますが、要らなくなったもの、現状に合わなくなったものは捨てていくということもやっていかねばなりません。今は皆が本当に忙しくなっており、全てに平等に力を注ぐということは難しい状況にあると思います。
従来の様々な活動をある程度集約し、そこにエネルギーを集中することが重要ではないでしょうか。文化・コミュニケーション委員会が担当している「文化創造都市」は、その点でも大変良いトピックであろうと思っております。
 先生方からたくさん御意見を頂きまして、ありがとうございました。
 本日頂きました御意見を踏まえて、皆様、それぞれもう一度お考えいただきまして、日々の活動に生かしていただけますと、大変ありがたく思います。
 それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いします。
【新免ユネスコ協力官】  本日も大変貴重な御意見、御提案、ありがとうございました。
 次回の日本ユネスコ国内委員会総会は、9月8日木曜日に開催予定でございます。どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 文化・コミュニケーション小委員会の次の予定というのは、まだ特にないのですね。
【新免ユネスコ協力官】  はい。改めて日程調整の上、開催させていただきたいと考えております。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、これで本日の文化・コミュニケーション小委員会を閉会いたします。
 御多忙の中、御出席いただきまして、また、貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いします。  

―― 了 ――

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