日本ユネスコ国内委員会第2回文化・コミュニケーション小委員会 議事録

1.日時

令和3年3月5日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催(Webex)、文部科学省国際課応接室(12階)

3.出席者

(委員)
羽田委員長、佐藤委員長代理、井上委員、大枝委員、相賀委員、岡崎委員、木間委員、小長谷委員、西藤委員、佐野委員、髙橋委員、芳賀委員、蓮生委員、平野委員、細谷委員
(関係団体)
アジア太平洋無形文化遺産研究センター(IRCI) 岩本所長
(関係省庁)
文化庁文化資源活用課文化遺産国際協力室 守山室長補佐
(事務局)
田口事務総長(文部科学省国際統括官)、亀岡副事務総長(文部科学戦略官)、石田事務局次長(国際統括官付国際戦略企画官)、堀尾事務総長補佐(国際統括官補佐)、植村事務総長補佐(国際統括官補佐)、その他関係官
 

4.議事録

【羽田委員長】  それでは皆様方、本日は御多忙の中をお集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、まず事務局から定足数の確認をお願いできますでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  本日は御出席の御連絡を頂いている委員が15名、西藤委員が後ほど入っていただく予定です。また、岡崎委員は本日YouTubeから御視聴いただき、御意見はメールで頂く予定になっており、現在14名の委員に御出席いただいております。委員は半数を超えておりますので、定足数を満たしております。
 なお、今回の議題に関係の深い機関として、本日はアジア太平洋無形文化遺産研究センターの岩本所長にも御出席いただいております。また、本日も報道関係者の取材及び一般からの傍聴を受け付けており、YouTube配信にて視聴いただいております。共同通信社の方が取材をされておりますので、あらかじめお知らせいたします。
 オンライン会議ということで、委員の皆様方にはお手数ですが、御発言いただく際にお名前を名乗ってから御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。それではただいまより第2回文化・コミュニケーション小委員会を開催いたします。本日の議事進行をいたします、私はこの小委員会の委員長の羽田正です。どうぞよろしくお願いします。
 最初に、田口国際統括官から一言御挨拶を頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【田口国際統括官】  羽田先生、どうもありがとうございます。
 本日は委員の皆様、御多忙のところ、この会議に参加いただき誠にありがとうございます。私、昨年の8月に国際統括官、ユネスコ国内委員会の事務総長に就任いたしましたが、今回が私にとって初めての文化・コミュニケーション小委員会への出席になると思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 もう皆様、御承知のとおりだと思いますが、昨年9月の日本ユネスコ国内委員会総会で小委員会の再編を行っております。文化・コミュニケーション小委員会はこれまでの文化活動小委員会それからコミュニケーション小委員会を統合した上で、更にこれまで専ら普及活動小委員会で審議されていた普及に係る事項も含めて御議論いただくことになってございます。
 昨年の総会で御審議いただいた会長の声明でも言及されておりますが、新型コロナウイルスやあるいは国際情勢の変化に伴って、今、様々なところで分断が生じていると認識されていると思います。そういう中で、地域や世代を超えて相互理解を深め、疑念等を払拭する、それを平和につなげるというユネスコの本来の目的、こういったものが特に本小委員会で取り扱う分野、文化やコミュニケーションのところでこれからますます重要になるというか、存在感を増していかなければいけないと考えてございます。
 本年は2021年でございますが、国連が掲げるSDGsの達成期限である2030年、それまでの10年の最初の1年であると同時に、日本がユネスコに加盟して70周年になります。更に東日本大震災から10年、あるいはオリンピック・パラリンピックの東京大会の開催など、我が国にとって多くの点で節目の年になると思ってございます。本日はこの節目の年かつ新体制における初めての委員会となりますので、本小委員会において今後検討していくべき事項など、この70周年を機として、ある意味ではリセット、初心に返った議論をしていただけると幸いだと思ってございます。
 事務局といたしましては、委員の皆様がよりよい環境で議論ができるように尽力してまいりますので、若干まだオンラインの会議に不慣れなところもございますが、是非委員会の運営に関して改善すべきところがございましたら、随時事務局にお申しつけいただければと思います。本日は御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【羽田委員長】  田口国際統括官、どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、本日の会議の配付資料について事務局から御説明をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  本日の会議資料といたしまして事前に委員の皆様にはメールで送らせていただいておりますが、全ての資料を1つに統合したファイルにしております。議題1に関しましては資料1-1から資料1-5、議題2に関しましては資料2、その他参考資料を添付しております。もし不足等がございましたら、事務局までチャット若しくはメールで御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 時間が限られていますので委員の自己紹介は省略させていただきまして、この後、議題2で意見交換の場がございますので、そこで自己紹介も兼ねて御発言いただければと考えております。御了承のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは議事に参ります。議題1、文化・コミュニケーション小委員会における議論についてであります。先ほど田口国際統括官からお話がありましたように、昨年12月に専門小委員会の構成が再編されまして、この文化・コミュニケーション小委員会が設立されました。そこで、まず事務局から組織再編について改めて御説明いただいて、更に文化・コミュニケーション小委員会における議論の範囲などについて説明をしていただけると有り難いと思います。よろしくお願いします。
【石田国際戦略企画官】  ありがとうございます。事務局でございます。国際統括官付の企画官をやっております石田でございます。
 それではまず資料1-1を御覧いただければと思います。先ほど来お話がございますけれども、今回この文化・コミュニケーション小委、再編されて1回目でございましたので、まずその趣旨について御説明させていただき、その後、文化・コミュニケーション小委員会の議題の、特に文化・コミュニケーション事業ではどういうことをやっているのかということについて御説明させていただきます。
 まず、資料1-1は再編についてでございます。そもそも総会などにおいて国内委員会から御指摘がありまして、機動的で効果的な議論が可能となるようにということ。それから、各分野の専門家の方々と、それからユネスコ活動で普及の担い手になっておられる方々の議論がうまくかみ合わさっていくことが必要だという御指摘がありました。
 そういった御指摘を踏まえて、課題として特に文化・コミュニケーションで言いますと、文化・コミュニケーションと普及の議論の場が別々であることで知見の往還がされにくいといった課題。それから2の一番下にございますけれども、文化活動小委員会とコミュニケーション小委員会、この2つは分かれておったわけですけれども、共通する議論も多く、合同開催が続いていたといった事情が指摘されておりました。
 そういったことを踏まえて、3で見直しの方向性として、丸2にございますけれども、文化活動小委員会とコミュニケーション小委員会については文化・コミュニケーション小委員会として一体化するということ。それからその下の丸でございますけれども、普及活動小委員会の役割について、全ての小委員会に地域的なユネスコ活動の領域を代表する委員を含めて組織するという方針が出されました。
 その結果、2ページ目にございますけれども、6小委員会ございましたがこれを3小委員会に編成し直して、文化・コミュニケーションに関しては文化・コミュニケーション小委員会ということで再編するとともに、普及活動に関する事項を含めて調査審議するというような再編がなされたということでございます。ですので、文化・コミュニケーションの専門的な御議論、それからそれをいかに普及するかという御議論、この2つを合わせて御議論いただくことが新しい会議での重要なポイントになってまいります。
 それでは資料1-2を御覧いただければと思います。委員の中からも、ユネスコの文化・コミュニケーションは一体どういう事業をやっているのかということで、初めての会議ということでそういったことについて説明してほしいという御意見を頂きましたので、少し準備をさせていただいております。
 資料1-2は、ユネスコにおける文化局あるいはコミュニケーション担当をしている部局の活動内容でございます。まずユネスコ文化局でございますけれども、主な役割として世界の文化遺産の保護、それから文化政策、文化産業、文明間対話の強化という、大きな2つの柱で業務をやっておられます。
 具体的な事業が分かりやすいかと思いまして、下に例を示させていただきました。例えば文化でございますと有名な世界遺産条約、これに基づく世界文化遺産・自然遺産の保護などを世界遺産センターで実施しているということになっております。また、ユネスコ・クリエイティブシティーズ(創造都市)ネットワークという事業をやっております。これは世界遺産あるいは無形遺産とは異なりまして、条約に基づくものでなく、事業として2004年から実施しておるものでございますけれども、文学、映画、音楽、そういった分野において都市間でパートナーシップを結ぶと。そして相互に経験・知識の共有を図ろうという事業でございまして、文学であればエジンバラ、ダブリン、音楽であればセビリア、日本でもクラフトの分野で金沢、デザインの分野で神戸等が登録されている、こういった事業もやってございます。
 おめくりいただきまして情報・コミュニケーションでございます。こちらはユネスコ情報・コミュニケーション局の主な役割とございますけれども、表現の自由に重点を置いて情報と知識のアクセスを通じた人々の能力強化ということ。それからICTの促進をするということで、様々な事業を行っておられます。
 事業例としてございますけれども、ユネスコ「世界の記憶」がございます。先ほど世界遺産の話がございましたけれども、こちらはそういった不動産ということではなしに、記録物、重要な記録物の認識を高めるということで、この保存やアクセスを促進することを目的として、1992年から、これも条約に基づかずに開始された事業でございます。本委員会でも芳賀委員が事業に参加いただく等で非常に御尽力いただいております。このユネスコ「世界の記憶」につきましては、現在、非政治化を実現するということで、制度の再編について議論が続いているところでございます。加盟国間で見解に相違のある申請案件への対応等を論点とするというような議論が続いているところでございます。
 それから情報に関しましては、2にありますように万人のための情報計画ということで、情報や知識に対するアクセスについて国際的に議論する場が設けられておりまして、ここに示されておりますような6つの重点事項を定めて議論が行われていると。フォーラムの機能を果たしておるところでございます。
 それから資料1-3でございます。こちらはかなり詳細に及びますので後ほど御覧いただければと思いますけれども、ユネスコの事業・予算の抜粋となっております。文化分野それからコミュニケーション分野の事業の抜粋になってございます。時間の関係で全体は説明いたしませんけれども、御覧いただければ分かりやすいかなと思いますのは、例えば文化でありますと8ページ目に主要な活動のラインの記載がまとめてございます。
 文化でありますと、先ほど申し上げた世界遺産以外にも様々な条約があるということで、こういった条約をユネスコとしては管理しているということでございます。文化遺産以外にも、2番目は不法に輸出入された文化財へ対抗するための条約等がございますし、3番目にありますように、武力紛争が起こったときにお互いの武力紛争当事国の域中にある文化財は攻撃しないといった規範設定をする。こういう条約などもユネスコでは扱っているということでございます。
 それからコミュニケーションの方でも、13ページになりますけれども、コミュニケーション分野で期待される成果ということで、報道を含む表現の自由でありますとか、情報へのオンライン・オフラインによるアクセスの権利、こういったものに関する規範や政策の向上を加盟国において実施するということでありますとか、その下のMLA2にございますけれども、先ほど申し上げた万人のための情報プログラムでありますとか、情報へのユニバーサルアクセスの推進に係る措置が加盟国で取られるようにということ。それから記憶の事業を通した記録文書遺産の特定等を行うというような記述がございますので、これは後ほど御覧いただければと思います。
 最後、資料1-4を御覧いただければと思います。こういったユネスコ文化事業あるいは情報・コミュニケーション事業でございますけれども、具体的にどういう動きがあるのかということについて取りまとめさせていただいております。
 まず文化分野における取組でございます。条約に基づいて実施されております世界遺産条約でございますけれども、我が国に関しましてはその登録を目指すということで、「北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産」の推薦について、現在推薦書をユネスコ世界遺産センターに提出しておるところでございます。本年夏頃に開催される世界遺産委員会においてその可否が審議・決定される予定でございまして、北海道・北東北にございます17の考古遺跡群で構成されているこういったものが推薦されている状況がございます。
 それから、我が国における世界文化遺産の在り方についてでございます。世界遺産が我が国において一定程度登録されてきておりますけれども、保存・活用に係る様々な課題が生じているということで、文化審議会においてその在り方について検討が行われております。世界遺産一覧表への記載の意義、それから登録された世界文化遺産の持続的な保存・活用等についての御議論が3月までに取りまとめられる予定となっております。
 次、15ページでございます。無形文化遺産ということで、こちらは有形ではなく、踊りとか伝承でありますような、そういった形のない文化的な価値を有するものについての登録を行う条約がございまして、それに基づく事業でございます。
 我が国におきましては2020年12月に伝統建築工匠の技ということで、国の選定保存技術に指定されている建造物修理・木工等の技術に、檜皮葺とか杮葺あるいは建造物装飾等の、保存修復に必要な技術を組み合わせて提案を致したということがございまして、これの登録がなされたところでございます。
 それからその下でございます。風流踊というものでございまして、華やかなあるいは人目を引くというような、風流という精神を体現して、衣装や持ち物に工夫を凝らし、歌や笛、太鼓、鐘などに合わせて踊る民俗芸能。こういったものが日本各地にございますけれども、チャッキラコや綾子踊といったもの、全41件の日本において重要無形民俗文化財で構成されるものについて提案がなされております。
 次おめくりいただきまして16ページ、17ページでございます。アジア太平洋無形文化遺産研究センターということで、その取組をまとめさせていただいております。こちらはユネスコのカテゴリー2センターというものでございまして、この無形文化遺産においてアジア太平洋地域の研究の中核を担っている機関でございます。日本では国立文化財機構の一組織として大阪府堺市に設置されておりますけれども、本日はこの後、オブザーバーで岩本所長に参加していただいておりますので、御紹介を頂ければと思っております。
 その次、17ページでございます。ユネスコ創造都市ネットワークということで、先ほど御紹介いたしましたユネスコ創造都市の登録事業でございますけれども、18ページにございますが、我が国は9都市が今、加盟しております。動きといたしましては、本年はユネスコにおける新規公募が行われる見込みでございますので、この分科会でも改めて御審議を頂くことになろうと思います。
 最後、情報・コミュニケーション分野における取組でございます。ユネスコ「世界の記憶」事業ということで、登録事業は先ほど申し上げましたように、世界における議論、その制度を改善することについての議論が継続中でございますが、信託基金を我が国では出しておりまして、ユネスコが主催する様々な事業に拠出しております。グローバル・ポリシー・フォーラムといった、記録遺産を災害からどう守るのかといったものについての理解を深めるフォーラムを企画しておったりしたのですけれども、これは延期になっておりまして、その代わりに去年10月にはオンラインでの政策対話が開催されたところでございます。
 それから万人のための情報事業に関しましては、令和2年9月に政府間理事会がオンラインで開催されて、我が国からも有識者の方に参加いただいております。
 最後、世界報道の自由会議に関しましては、コロナによってメディアの自由、ジャーナリストの安全が脅かされる状況があるということで、12月にこの問題についての議論が行われました。我が国からも外務省から鈴木外務政務官が参加されているという動きがございます。
 ちょっと時間を越してしまいましたけれども、事務局からは以上でございます。それで、先ほど申し上げましたけれども、アジア太平洋無形文化遺産研究センターにつきましては岩本所長から追加でお話を頂ければと存じます。よろしくお願いいたします。
【岩本所長】  岩本でございます。どうもお招きいただきましてありがとうございます。
 16ページ、17ページのアジア太平洋無形文化遺産研究センターでございますが、先ほどお話がありましたように、ユネスコのカテゴリー2センターということで、これはユネスコと日本政府が協定に署名して設置されている。飽くまで日本の施設なのですけれども、活動はユネスコの中長期計画に沿って機能していこうということで成り立っている組織でございます。
 カテゴリー2ということは、カテゴリー1センター研究所というのはユネスコの内部機関なのですが、我々は従ってユネスコの外部の機関という意味でカテゴリー2と言われています。こういったカテゴリー2センターは世界中では140ほどあるわけですけれども、無形文化遺産に限っても世界で7つございます。特に私どもの隣国の中国、韓国にもございまして、3つのセンターが機能分担して、アジア太平洋の無形文化遺産の保護のための活動をしているということでございます。
 主な活動といたしまして資料に書かせていただきましたのは、まずユネスコ未来共創プラットフォーム事業を受けまして、今年度から始めましたバングラデシュ、インドネシア、キルギスタンを対象とした無形文化遺産とサステイナブル・ディベロップメント・ゴールズの教育、特に4.7の質の高い教育、あるいは11、その中でも11.3の持続可能な都市づくりといったテーマに無形文化遺産がどう貢献しているのか、地域のプライドの涵養とかそういったことが地域づくりに貢献する、それにお祭りですとか昔からの歌であるとか、そういったものが寄与しているのではないかということを、3つの国を対象に調査研究を進めているところでございます。
 1月に、当然Zoomでございますが発表会を持ったところであります。3つの国からの発表のほかに、日本からも中部大学あるいは宮城教育大学、あるいはユネスコスクールに今申請中の中学校、あるいは近江八幡でたいまつを次世代に贈る会ということでNGOとして活動していらっしゃる方の発表もあり、外国と日本の経験の交流ができたと思っております。
 昨年度は実はやはり無形文化遺産と持続可能な開発の中の教育というものについての連関を見るために、フィリピンとベトナムにつきまして事業を行ったわけですが、ここに書いてございますのは、フィリピンでの教材を現地の言葉に訳したものを発表したというものであります。
 次のページに行きまして、17ページでございます。こういったカテゴリー2センターでアジア太平洋の国々を対象としておりますので、当然運営理事会も中国、韓国、またパラオの代表の方にも入っていただいております。またユネスコ国内委員会からは羽田委員にも御参加いただきまして会議を行って、10月に無事その運営理事会を終了したわけでございます。
 私どもとして無形文化遺産は、日本は御案内のとおり1950年に文化財保護法ができまして、無形文化財であるとか無形民俗文化財といったものについて非常に法整備がなされてきた、そういった強み。それと最近よく聞くのですけれども、例えば有形の文化遺産を見るにも、それを支えている技であるとか技術であるとか、そういった無形のことにも着目して皆さん検討しているようなことがございます。これからも、ある意味こういった日本での強みといいますか、そういったことを生かしながら進めていければと思っております。
 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 事務局の最初の説明にございましたように、この新しくつくられました小委員会は、以前の文化活動小委員会それからコミュニケーション小委員会、更に普及活動小委員会の役割を引き継いでおります。これらをうまくミックスしていかないといけないわけでありますけれども、ここまでの御説明は主に文化活動小委員会それからコミュニケーション小委員会に関するところでございました。
 後ほど普及活動小委員会についても御報告いただきますけれども、取りあえずこの2つの部分についてのところで、まず御質問がありましたらお願いしたいと思います。御質問がございましたらその場で挙手いただくか、あるいは挙手ボタンがございますので、これを押していただくようにお願いいたします。指名は事務局からお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ御自由に御発言ください。
 特に御質問はございませんでしょうか。それでは皆さん御理解いただいたことと思いまして、次に行かせていただきます。普及活動小委員会の方の役割も大変で重要でございまして、このことについて私たちは情報を共有する必要があると思います。そこで、我が国におけるユネスコ活動の普及に関しまして、佐藤委員、木間委員から活動の御報告をお願いいたします。
【佐藤委員長代理】  佐藤です。最初に私から報告させていただきます。
 普及活動小委員会から新たに文化・コミュニケーション小委員会に参加しました3名がおりますけれども、日本ユネスコ協会連盟のメンバーを紹介したいと思います。最初は岡崎環、宮島ユネスコ協会副会長です。2人目は木間明子、朝日生命ユネスコクラブ副会長・東京都ユネスコ連絡協議会事務局長です。そして私、佐藤美樹、日本ユネスコ協会連盟会長・朝日生命会長です。どうぞよろしくお願いします。
 それでは日本ユネスコ協会連盟の御紹介に入りたいと思います。
 まず始まりでありますけれども、戦後のまだ占領下の1947年にユネスコ憲章に共鳴した市民によって、日本のユネスコ加盟を目指す草の根活動が仙台で起こりました。そして世界で初めてユネスコ協力会が設立されました。そして翌1948年には、全国のこれらの協会の活動の連携を図る団体として当連盟が発足いたした次第であります。そして1951年に日本はユネスコに加盟し、翌年にサンフランシスコ平和条約によって独立して、その5年後に国連に加盟したということで、国際社会へ復帰したということでございます。
 2番目に組織についてでありますけれども、日本ユネスコ協会連盟は国連機関のユネスコや文部科学省の国内委員会と連携して活動しております。しかし、これらの下部組織ではなく、独立したNGOです。事業は会員が草の根活動を行っている、透明性が高い公益社団法人であります。活動資金は公的資金を受けることなく、94%を会費及び民間からの寄附金で運営しております。従いまして、予算はぎりぎりです。全国には278の地域ユネスコ協会とクラブのネットワークがありまして、1万6,000名のボランティアの会員が活動しております。そして協会連盟は各地のユネスコ協会の連合体組織となります。
 日本ユネスコ協会連盟のビジョン・ミッションは記載のとおりでありまして、民間ユネスコ運動の70周年の2017年に、10年の方針であるビジョン・ミッションを掲げております。とりわけ貧困の連鎖を断ち切って平和な世界を実現していくためには、中でも教育が重要であるという認識の下、教育の普及に重点を置いております。この先の、主な活動については木間から御説明いたします。
【木間委員】  朝日生命ユネスコクラブの木間と申します。よろしくお願いいたします。続いて私から御説明させていただきます。
 日本ユネスコ協会連盟の主な活動としては、教育支援関連では世界寺子屋運動、減災教育と自然災害発生後の教育支援などを行っています。文化・コミュニケーション関連では世界遺産活動・未来遺産運動、SDGs達成に向けた次世代育成などを行っています。また、日本ユネスコ協会連盟では、全国のユネスコ協会やクラブがユネスコ憲章の理念の下、地域に根差した活動をボランティアで展開しています。毎年全国の会員が集う全国大会を開催して、お互いに活動について情報交換を行うとともに、講師を招いた学習会なども開催し、学びの場や相互の絆(きずな)を深める場としています。
 次のページです。次に、活動の中で特に文化・コミュニケーションに関わる具体的な取組について御紹介いたします。最初に、日本ユネスコ協会連盟の事業として行っている取組について御説明いたします。
 1つ目の世界遺産活動としては、アンコール遺跡群での修復プロジェクトに取り組み、彫像などの修復とともに作業員の育成も行っています。また、現地の子供を対象とした世界遺産教育のプロジェクトや、日本の高校生を対象とした海外へのスタディツアーも行っています。2019年には首里城復興ユネスコ募金を開設し、募金活動を行いました。
 2つ目の未来遺産・地域遺産活動については、日本の自然と伝統文化を未来に継承していくための市民活動を「プロジェクト未来遺産」として登録する事業を実施しています。また、子供たちの町の自然や文化を大切にする気持ちや感性を育むことを目的として、「絵で伝えよう!わたしの町のたからもの絵画展」を実施しています。
 3つ目の国際理解・コミュニケーションとしては、「すべての人に教育を」のスローガンの下、世界寺子屋運動を展開しています。現在、カンボジアやネパールなどで現地事務所や現地の協力団体とともに寺子屋の建設・運営・指導などを行い、学びの機会を提供しています。こうした民間ユネスコ運動は日本から世界各国に広がっており、当連盟が事務局を務めているアジア太平洋ユネスコ協会クラブ連盟(AFUCA)や、世界80か国以上が加盟する世界ユネスコ協会クラブ・センター連盟(WFUCA)があります。
 次に、地域のユネスコ協会やクラブが行っている文化・コミュニケーション関係の取組を御紹介します。各地のユネスコ協会やクラブはユネスコの理念の下、それぞれ独自に活動計画を立ててボランティアで活動を行っています。
 1つ目の世界遺産活動については、保全活動、登録に向けた活動のほか、理解を深める活動として世界遺産講演会、写真展、スタディツアー、学校への出前授業などが多くの協会で行われています。こちらに例を挙げています富山ユネスコ協会では、毎年合掌造りの集落で茅場の下草を刈るボランティア活動を行っています。併せて世界遺産の保存について講話会も行い、理解を深めています。
 2つ目の未来遺産・地域遺産活動についても同様の活動が行われています。としまユネスコ協会では、雑司が谷の文化・自然を守るために、地域住民と一体となってプロジェクト未来遺産への登録に向けた活動を推進し、登録されました。
 3つ目の文化活動としては、芸術・伝統芸能の普及、文化の継承とその担い手の育成などが行われています。沼津ユネスコ協会では、地域で長年育まれてきた伝統的な文化の発表の場として毎年フェスティバルを開催しています。そのほか、各地で講演会、チャリティーコンサート、美術展、舞台・映画観賞会、伝統文化の体験会、出前授業などが行われています。
 4つ目の国際理解・コミュニケーションとしては、国際理解講座、国際協力、国際交流などが行われています。徳山ユネスコ協会では1956年から岩国基地関係のアメリカ人を講師に迎えて英会話教室を続け、異文化交流を実践しています。現在は在日外国人も増えている中、各地で講演会、語学教室、交流イベントやキャンプなどが行われています。
 昨年はコロナ禍により従来の活動ができなくなったことから、オンラインを活用した活動も各地で始められました。仙台ユネスコ協会ではオンラインを活用したSALON&ZOOM講座をシリーズで開催しています。
 以上、具体的な取組を御紹介させていただきました。
 次のページをお願いします。最後に、文化・コミュニケーション分野の普及活動を検討していくに当たって、建議から関連する部分を抜粋し、それを踏まえて課題と考えていることを記載いたしました。
 世界遺産などについては、登録後の観光ブームが去った後の持続可能な地域づくりの問題や、無形遺産など世界遺産以外の登録遺産の認知度の向上や活用も課題と考えています。また、世界遺産を訪ねる人のマナーなども問題となっており、登録遺産の意義やユネスコの理念について理解を促進していくことも課題と考えています。そのほか、多文化共生、次世代の理解促進を図る上でも、ユネスコ創造都市ネットワークやユネスコスクールなどとの連携も重要と考えています。
 「世界の記憶」については、2015年に南京大虐殺文書が登録されたときには、日本ユネスコ協会連盟や各地のユネスコ協会や私たち会員にも抗議の声がたくさん寄せられました。事業見直しについては期待を寄せており、見直し後の理解促進も課題になってくるものと思います。
こうした様々な課題を解決していくためにも、ユネスコ未来共創プラットフォームとうまく連携していきたいと思います。また、コロナ禍及びポストコロナにおける文化・コミュニケーション活動の支援も重要な課題だと考えております。
 ほかにも様々な課題があることと思います。これから皆様から御意見、情報を頂き、共に活動していけることをとても心強く楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で御紹介を終わります。ありがとうございました。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御質問がありましたらお受けしたいと思います。お手を挙げていただけますでしょうか。
 個人的にはこの前、雑司が谷の鬼子母神に行きましたら、ユネスコという字が書いてありまして、割と敏感になっているものですから、あれ、こんなところにユネスコに関わっていらっしゃる方々がいるんだなと、とてもうれしく思ったことがございました。
 それからもう一つ、ユネスコ未来共創プラットフォームと先ほどおっしゃいましたけれども、これについてもしよろしければごく簡単に御説明いただけますでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  それにつきましては事務局から御説明いたします。
 一昨年の国内委員会からのユネスコ活動の活性化についての建議を受けまして、ユネスコ事業の分野間、事業間の連携や、ユネスコ活動にはまだ入っていないけれどもSDGs等に関心のある団体等がございますので、そういった多様なステークホルダーを巻き込んでいく仕組みが必要だろうということで、ユネスコ未来共創プラットフォーム事業を今年度から委託事業で実施しております。
 その事業の中で先日、リレートークとか全国セミナー等、多様な分野、また世代間の人々が意見交換をするような場をつくったりとか、あとはポータルサイトの構築をしているところでございます。そこに対して日本ユネスコ協会連盟の方々にも非常に御協力いただいて、参加いただいているところでございます。
 以上です。
【羽田委員長】  これは、ですから割と新しくできた、これから発展させていこうとする試みということですね。
【堀尾国際統括官補佐】  はい、そうです。
【羽田委員長】  ほかにいかがでしょうか。
 本当に多彩な活動をなさっていることに敬意を表したいと思います。このような活動と、これまでグランドデザインのような枠組みを考えてきた文化・コミュニケーション小委員会の活動がうまく融合して、全体の活動が活性化することが望ましいのだろうと考えます。その意味でこの新しくできた小委員会では、いわゆる草の根のレベルでの普及と、それから全体についていろいろなことを考えて提案したり、あるいは意見を述べたりすることがうまく相互に交流していけるように運営していきたいと考えております。
 もし御意見がございませんようでしたら、そのようなことについても委員の皆様方から御意見を頂くために、議題2に移りたいと思いますがよろしいでしょうか。
 それでは、続きまして議題2、文化・コミュニケーション小委員会の今後の検討課題についてということで、まず事務局に御説明をお願いしたいと思います。
【石田国際戦略企画官】  ありがとうございます。それでは事務局でございます。
 資料2を御覧いただければと思います。全体の27ページになっております。文化・コミュニケーション小委員会の今後の検討課題についてということで用意させていただきました。今回、初めての会合ということになりますので、今後どういったことを御議論いただくかということについて、まずは御議論いただきたいという趣旨でございます。
 まず、本小委員会の所掌でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように文化活動、コミュニケーション、それからその普及に関する事項になっております。その上で、議論するに当たって共通認識として、ユネスコの理念などを踏まえてこういうふうな目標を心に描きながら御議論していただくと、そういうイメージを持っていただくために、文化・コミュニケーション小委員会において目指すものという記載をまとめさせていただいております。
 ユネスコについて我々は議論するわけでございますけれども、ユネスコ憲章の前文にあります文化・コミュニケーションに関する記載といたしましては、相互の風習それから生活を知らないということでは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信を起こした共通の原因、これが戦争の原因になったという指摘がございます。こういった認識を踏まえて、平和が失われないためには人類の知的・精神的連帯の上に築かれなければいけないという、こういった理念が示されております。ですので、文化・コミュニケーションを通じて平和な世界をつくっていくのだという、こういったことが基本的な考え方の一つになっております。
 それから、国連全体の最近の共通の目標としてサステイナブル・ディベロップメント・ゴールズ、持続可能な社会を目指すための目標が定められております。これについてはユネスコとしても文化分野で貢献するものとして、安全かつ強靱な都市づくり、人間居住づくり、暴力過激主義の阻止、文化・自然遺産の保全、文化統治システムの強化に資するのだということがまとめられておりますし、情報・コミュニケーション分野であれば教育への容易なアクセス、弾力性のあるインフラの構築、イノベーションの促進、情報のアクセスや普遍的な自由の保障、こういったものに資するのだということで、ユネスコ自身が認識している状態になっております。
 そういうことを踏まえまして、この小委員会におきましては、文化分野が係る国内外のユネスコ活動を通じて安全・強靱な都市づくりでありますとか暴力過激主義の防止、文化多様性の維持等が実現されることを一つの共通認識として目標にする。あるいは、情報・コミュニケーションに関しては、情報へのアクセスとか普遍的な自由を保障する、あるいは弾力性のあるインフラ構築、イノベーションの促進等が実現されることを目標とするといった、ユネスコにおけるこういった認識を頭に描きながら御議論いただければどうかということでまとめさせていただいております。
 問題はその次でございまして、それではそれを踏まえて具体的にどういう議題を扱っていただくかということで、少し考えさせていただいたのが3ポツのところでございます。まずその前に、29ページを御覧いただければと思いますけれども、一昨年、ユネスコ国内委員会の総会で出されました建議に関して、文化・コミュニケーション活動についての記載をまとめさせていただきました。我々が議論する一つのベースになると思いますので紹介させていただきます。
 一つは先ほどユネスコ「世界の記憶」の説明がございましたけれども、ユネスコの各種事業に関する議論が政治化しないように、国際的に加盟国間の友好に協力するといったことなどです。
 それから2つ目といたしまして、各種登録事業、世界遺産、無形遺産、創造都市ネットワーク等について、教育や観光に積極的に活用することを後押しし、好事例の展開を図るということ。積極的な活用についての御指摘を頂いております。
 それから3番目。こういった文化遺産等について、特に若い世代の関心と誇りを惹起して、文化遺産を伝承していく人材確保のための好循環が生み出されるように努めることということで、ユース世代というか、若い世代を巻き込むことが課題だと指摘されております。
 それから最後。世代や地域を超えて多様なステークホルダーが連携し、ユネスコ活動の未来を共創するプラットフォームの構築を図ることでございます。世代、地域、ユネスコの活動といいましても様々なものがございますので、こういった壁を取りのけて協働していくための取組を、これからプラットフォームなどを使いながらやっていかなければいけないという指摘を受けているところでございます。
 これを踏まえて28ページに戻っていただきまして、小委員会で扱う議題の案として事務局で考えたものが4つほどございます。
 一つはユネスコ文化事業、情報・コミュニケーション事業について、これはユネスコ総会や執行委員会に関する対処方針などの議論でありますとか、あるいはユネスコの文化事業、情報・コミュニケーション事業についての動きの共有といった、国際平面における御意見を幅広く頂くことはあり得ようかと思います。
 2つ目でございます。先ほど申し上げましたように、登録事業に係る選考や登録後の活用・普及について御議論いただいてはどうかということで、ユネスコ創造都市ネットワーク事業の国内推薦案件の選考、ユネスコ登録事業を活用したグッドプラクティスの共有、あるいはユネスコ未来共創プラットフォームと連携したポータルサイト、地域ネットワークの活用方法についての検討ということ。具体的には地域の歴史伝承、あるいは地域の活性化、国際交流の推進に関するユネスコ登録事業を活用した事例の共有でありますとか、このプラットフォーム事業で扱うべき文化・コミュニケーション分野、どういったものを取り扱えばいいのかというような、こういったものについての検討をイメージとしては考えております。
 それから3番目、文化・コミュニケーション分野における民間等のユネスコ活動についてということです。先ほど委員から御紹介いただきましたけれども、様々な普及事業をやっておられますので、こういった民間団体等の文化・コミュニケーション分野における取組を共有して、好事例の共有、好循環を生み出していく仕組みや活動展開について検討いただいてはどうかということです。具体的なテーマ案として、ユネスコ協会連盟と地域におけるユネスコ活動のステークホルダーとの連携の在り方について御議論いただいてはどうかということを書かせていただいております。
 最後、文化・コミュニケーション分野の枠を超えて、教育分野などとの連携についても御議論いただいてはどうかというのが最後のポイントでございます。ユネスコの事業の中で例えばユネスコスクールといった教育分野での事業がございます。これはユネスコの理念を実現するための学校をユネスコが登録するといったものでございますけれども、こういった教育分野との連携を図ることによって、具体的なテーマ案にございますけれども、ユネスコ登録事業を通じて各地域における教育活動の推進に資する、こういった取組について御議論いただくことが可能ではないかということで書かせていただいております。
 以上、飽くまでも事務局としての素案といいますか、たたき台でございますので、これにとらわれず、御自由にまずはどういうことを議論すべきかということで御意見を頂ければ幸いに存じます。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 それでは意見交換に移ります。この部分で委員の方々からたくさん御意見を頂きたいと考えます。事務局からあらかじめ御連絡していると思いますけれども、できれば今回初めてでございますので、自己紹介も兼ねて、御出席の委員の方全員から御意見を伺えれば幸いです。御意見あるいは御質問がございましたら、挙手あるいはボタンを押していただけますでしょうか。いずれ当たりますので、どうぞ早めに御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  羽田先生、よろしいでしょうか。事務局でございます。
 実は西藤委員からメールを頂きまして、Webexに接続できたものの会議につながらないということで、メールで今、意見を頂いておりますので、先生方が考えておられる間にそれを御紹介させていただくことではいかがでしょうか。
【羽田委員長】  そうですね。では、そうしていただけますでしょうか。まず西藤委員の御意見を頂きましょう。よろしくお願いします。
【石田国際戦略企画官】  それでは代読させていただきます。
 小委員会が担う議題として、ユネスコ登録事業に係る選考及び登録後の活用・普及についてとあるが、最も大きな世界遺産選考に関してこの委員会が関与することがない。この選考に関しては文化庁内の確固としたシステムがあり、我々が入り込む余地はないため、いつも選考後に報告を受けるだけである。もう少し選考に関しての情報の提供があってもよいのではないか。資料1-4、14ページの最後に「暫定一覧表の見直しが予定されている」と記されているが、これに関する情報の提供をお願いしたい。
 私が出席した今までの小委員会の中で世界遺産について議論されたことはなかったように思います。少し感情的ですが、我々小委員会が一番近いはずの世界遺産が一番遠いように思います。この小委員会が世界遺産を選考及び登録後の活用に対してどのように取り組むのか再考する必要があるように思います。
 ということでございます。西藤委員は議論には参加できないのですけれども、YouTubeでは御覧になっておられるようでございますので、それも併せて御紹介させていただきます。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。大変重要な指摘かと思いますが、どうしましょうか。これは一つ一つやっていきますかね。時間はまだもう少しありますから、取りあえずまずこの点について、もし委員の方で追加の御意見ですとか、あるいは何か質問がございましたらおっしゃっていただけますでしょうか。確かに世界遺産が非常に重要な、私たちが議論すべきことだとここに書かれているにもかかわらず、選考については何も関与していないし、何もその情報がないということでありますけれども。これはいかがでしょう。芳賀先生は何かこの辺について御承知でしょうか。
【芳賀委員】  芳賀です。
 私は世界遺産には直接関わっていませんが、今お話を聞いて一番に思ったのは、意思決定の仕方の流れに、我々はどう関与できるのでしょうか。それが御説明いただきたいところです。
【羽田委員長】  先ほどの西藤先生のメールですと、文化庁の方にきちっとした組織があって、そこで全てが決まってしまうので、我々が入り込む余地はないということでしたけれども、この点、事務局の方はどうなっているのでしょう。御承知のことを教えていただければと思います。
【堀尾国際統括官補佐】  世界遺産につきましては、世界遺産条約に加盟した国が登録申請等を行うことになっていまして、その条約の加盟時にどういった形でするかということが決められております。日本におきましては外務省の下に世界遺産条約関係省庁連絡会議がございまして、文化遺産については文化庁の文化審議会世界文化遺産部会、これも文化庁の所掌に限るものではございますがそこで選考を行うと。自然遺産については環境省の中央環境審議会自然環境部会で、また、産業遺産については内閣官房の稼働資産を含む産業遺産に関する有識者会議で選考がされているところでございます。
 よって、こちらの国内委員会におきましては、選考というよりは、先ほどの資料にもございますとおり、登録された後にそれをどうやって守り、伝えていくか、そこの辺りを御審議いただければと思っております。
【羽田委員長】  ありがとうございます。選考には従って我々は関与しないけれども、選考された後のことについて関与するというか、そこのところで私たちが働かなければいけないということですかね。これが、西藤先生の御意見についての、事務局からの返答になります。もしこの場でそれはおかしいのではないかということであれば、御意見を頂くことはできますので、そう言っていただければ、文部科学省の方にあるいは文化庁の方にお知らせすることはできると思いますが、取りあえず、今、質問として出たことについての回答は頂いたかと思います。
【堀尾国際統括官補佐】  また、登録に際しまして、決定後にこちらの方で報告はさせていただいておりますので、その辺りについての質疑応答については対応をこれまでもさせていただいているところでございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 ではほかに何か委員の方々から御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では井上委員から今、手が挙がったのが見えたので井上委員お願いします。
 ちょっと声が聞こえないようですね。
【堀尾国際統括官補佐】  事務局のほうで井上委員に電話させていただきますので、もしほかの委員の方がいらっしゃれば、先に進めていただければと思います。申し訳ありません。
【羽田委員長】  では、せっかく指名しましたけれども、なかなか井上委員につながりませんので、ほかの方々で挙手いただければと思いますがいかがでしょうか。
 では、蓮生委員、お願いします。
【蓮生委員】  大阪大学の蓮生と申します。元、ユネスコ本部で10年ほど勤務させていただいてきました。
 今日お話がありました普及活動について少しコメントさせていただきたいと思います。新型コロナウイルス下、対面での活動が非常に難しい中、普及活動を継続する御苦労は本当にどうもありがとうございます。また、既に配付されました資料の25ページの6の(5)で、コロナ禍での地域の文化・コミュニケーション活動の項でも個別の活動のオンライン配信について御紹介くださっており、ありがとうございます。
 それとの関連で一言申し上げたいのですが、未来共創プラットフォームと今後そういった個別のオンライン活動を連携していくことを言及してくださっておりますが、この未来共創プラットフォームが今後どのような形で創造されていくのか、育成されていくのかということに非常に大きな関心を持っております。と申しますのも、若年層へのアプローチ、若年層の方にユネスコ活動により興味を持っていただくことは非常に重要だと認識しております。その関連で私もこの未来共創プラットフォーム及びそのポータルサイト等の設置等を非常に強く推した委員の一人ではございますが、これがポータルサイトの形式ですと、ややもすると一方通行になりがちで、いわゆる一部の特定の興味を持っている関係者しかアクセスしていただけない。要は一部の関係者しか巻き込んでいくことができない結果になってしまうのではないかという懸念を持っております。
 従いまして、多様な活動を網羅的に紹介するポータルサイトのような方式ではなくて、よりアクティブな、参加者間の意見交換なども可能な、そしてまたユネスコに余り興味を持っていない方たちもすくい上げていくことができるような方向でのポータルサイトあるいは未来共創プラットフォームの創造を強く望んでおります。
 例えば一つの成功例として、国連に関しては国連フォーラムというオンライン形式のフォーラムがありますし、開発活動に非常に強い関心を持っている若手の方、大学生・大学院生を中心とする開発フォーラムというオンラインフォーラムもございます。このようなオンラインフォーラムの形、参加者間の意見交換が可能で、裾野が広いオンラインフォーラムのような形のものをユネスコでも目指していくべきなのではないかと思っているものです。
 また、このオンラインフォーラムの場合には、そのモデレーターあるいは幹事役となる方が必要となってきますが、是非そこで現役のあるいは最近退職されたばかりのユネスコ職員、世界中で活躍していらっしゃいます。ただ、一般の私たちにとっては彼らの顔が見えないんですね。彼らも何とか巻き込んでいく形でこの未来共創プラットフォームを今後つくっていくことができないか、ということを是非御検討いただけたらと思います。
 いかがでしょうか。すいません、勝手なことを申し上げますが、是非よろしくお願いしたいと思います。
【羽田委員長】  ありがとうございます。これは事務局から回答いただけますか。このプラットフォームをもっとインタラクティブなものにした方がいいのではないかという御意見です。
【石田国際戦略企画官】  非常にいいアイデアを頂きましてありがとうございます。今、ポータルサイトはまだつくっている途中でございます。おっしゃっていただいたとおり、これから協働を図っていかなければいけない、いろいろな人を巻き込んでいかなければいけないということからすると、おっしゃっていただいたような意見交換ができるような、こういった機能があると望ましいというのは非常に有り難い意見だと思いますので、検討させていただきたいと思います。
 それから、国際的な視野で考えますと、ユネスコの職員の方にも入ってもらえるような工夫があるとよりよいのではないかといった意見もございましたので、そういったところも少し今後のポータルの作成について参考にさせていただければと思います。ありがとうございます。
【羽田委員長】  蓮生先生、どうもありがとうございました。
【羽田委員長】  それではほかの委員の御意見を伺いたいと思います。大枝委員、よろしくお願いします。
【大枝委員】  大枝と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、簡単な質問をさせていただきたいと思います。先ほどの質問と関連しますけれども、このコロナの影響がいろいろあると思うのですが、文化・コミュニケーション活動において、例えば在宅勤務も増えておりますし出張もできないということで、非常にコミュニケーションが取りにくいということがあると思います。事務局の皆さんあるいはユネスコ協会の方々、御苦労がたくさんあると思いますが、影響としてはどういう影響が出てきているか、あるいは今後どういう影響が出そうかということと、ユネスコの活動を進めていく上で大丈夫でしょうかということについて教えていただければと思います。
 それからもう一つ、これは全然違う話なのですが、アメリカで大統領が替わりまして、ユネスコに対するアメリカのスタンスについて変化は出ているのか、あるいは出てきそうなのかということについて情報があれば是非教えていただきたいと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  これも事務局からお答えいただくのが適切かと思いますが、いかがでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  御質問いただきましてありがとうございます。
 今、御質問いただいた1つ目のコロナの影響については多岐にわたっておりまして、なかなか説明するのは難しいぐらいですけれども。やはりまず何より、登録事業などで、先ほどの説明でもさせていただきましたけれども、世界遺産の登録をする場合には会議を開いて最終的に決定する、こういったプロセスを取っていくわけでございますけれども、そういった予定されていたインパーソンでの会議ができないということで、そもそも登録が延期してしまう。あるいは「世界の記憶」の事業でフォーラムをすることを考えておりましたけれども、そういった事業ができなくなるというようなことが非常に多く起こっておりました。
 ただ一方で、ICTを使った会議のやり方あるいはフォーラムのやり方が相当、今は時間がたって浸透してまいりましたので、逆に文化・コミュニケーションの会議の数、ほかの事業、科学とか教育の分野でもそうなのですけれども、ユネスコの会議はむしろオンラインの会議が増えてきつつある状況も一方でございます。
 ですので、コロナの影響は会議が持てないところに極めて多く出ているのが事務局からの見え方でございます。
 それからもう一つ、アメリカについての御質問を頂きました。先生がおっしゃっていただいたとおりアメリカの政権が替わったということで、やはり国際協調主義に戻ってきてくれるのではないかという期待はございますけれども、我々、今の段階でアメリカがユネスコの再復帰といいますか、そういったことについて何らかのコメントをしていることには承知しておりませんけれども、当然のことながら日本としてはそういうことについてしっかり注視していかなければいけないと思っております。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。それではほかの委員の御意見、御質問を受けたいと思いますがいかがでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  佐野先生、お願いします。
【佐野委員】  すいません。この続きの質問というわけではなくて、自分の意見を述べるということでよろしいでしょうか。
【羽田委員長】  はい、どうぞ。そういうことです。
【佐野委員】  蓮生先生がいろいろな人を巻き込んでいく必要があるとおっしゃっていたのを受けてですけれども、私の中で今ちょっと考えているというか気づいたというか。すいません、自己紹介を忘れました。工房いにしへの佐野と申します。文化財の修復保存をしております。
 それで、どうやって人を巻き込んでいったらいいのかというところでちょっと考えたところなのですけれども、やはりSDGsの活動に乗せてユネスコの活動も普及、浸透させていくのがいいのではないかと思っていまして。そのSDGsという活動がやはり一般の人にも関心が高まっているところがすごく感じられるということ。
 それと、自分の中でSDGsと文化というものの関わりというか、ちょっと2か月ほど前に取材がありまして、新聞記者さんにも聞かれたのですけれども、文化財の修復保存はSDGsのどのような目標に向かって活動されているのかというふうな御質問がありまして、そのとき私はちょっと答えに困ってしまったというか、SDGsの17の目標に文化財は直接的なものがないということでちょっと戸惑ってしまったのですけれども。サステイナブルという概念や文化の多様性というところで目指しているというところはSDGsのやはり根幹になるところであるとは思っているのですけれども。ちょっと一般の人が考えたときに、SDGsと文化財の関連が分かりにくいようになってしまっているので、そこをもう少し分かりやすく、伝わりやすく工夫して見せるというんですかね、伝えていくことが大切なのではないかなと思いました。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。今の御意見、これは御質問というよりも御意見ですけれども、SDGsとこの委員会の活動の関連性についてということだと思います。具体的には文化財の保存修復をどのようにSDGsと結びつけるかということで佐野委員のご経験やお考えをお話しいただきました。これについて何か御意見はございますでしょうか。こうすればいいといったようなことですね。
【堀尾国際統括官補佐】  小長谷委員が挙手いただいております。
【羽田委員長】  小長谷委員、お願いします。
【小長谷委員】  ありがとうございます。
 SDGsとユネスコは相性がいいと、普通みなさん思いがちだと推測されるのですけれども、実はSDGsの中に文化的な要素は少ないです。今の御指摘もありましたように、ESDというところにはありますけれども、あまりないのが実情です。項目としてないというだけではなくて、たとえば国際開発というときに、野外でトイレをする人は世界で10億人います、何て不衛生なんでしょうと言われるのですけれども、モンゴルでは野外でするのが最も衛生的です。そのように文化の違いを乗り越えたところで国際標準がつくられているので、健全な猜疑心というか、健全に疑うということが必要かと思われます。SDGsをそのまま丸のみして進めるのではなくて、そこの中でユネスコ憲章の前文にあるような文化が取り込まれていないことを健全に疑うことも含めて、項目がないですというだけではなくて、全体のことを考えるためにも実は文化の概念がこぼれ落ちているのだということも踏まえてやっていくのがいいと思います。
 でもそれは頭の中に設定しておくことであって、具体的な活動としては、先ほど何人かの方がおっしゃっていたような、ポータルサイトを活性化するためにオンライン会議をするとか、取りあえずオンラインセミナーのような形でSDGsについて、いろいろな形で問うていくような活動をしていただければと期待します。ポータルサイトはこの場合、基本的には産官学の組織的参加だろうと思われます。個人がそれに入るわけではないと思いますので、個人のレベルでできることは、そこで開催されるオンラインセミナーに参加することであって、それが普及活動にもなるのではないかと思います。
 今のように、仕組みと理念とで2つの意見があります。
 最後に、もう一つ述べたいのは、デジタルアーカイブのことです。全然図書館にも行けないような封じられていた間に、オンラインで仕事をしていうちに、モンゴルの最も古い写真がブラジルの国立博物館に所蔵されていることが分かりました。それはユネスコがデジタルアーカイブをつくってくださっていたからなんです。
 過去のものを修復するのももちろん大事ですけれども、未来にとって世界遺産になるという、未来の世界遺産をつくっていくというスタンスで、もちろん修復もそうなのですけれども、修復だけではなくて、修復したらそれをデジタルで見られるようにするという、そこまで持っていって、新しい遺産をつくるということをしていただいたらうれしいです。よろしくお願いします。
 長くなってすみません。
【羽田委員長】  ありがとうございました。SDGsが完璧なものではないという非常に重要な御指摘であったかと思います。おっしゃるとおりで、世界がどこでもまったく同じものになると困ります。みんな同じものに価値を持ち、同じことをやり出すと、多様性の逆に行くわけで、そういう意味でこの17のSDGsの目標は多くの人が共有できる最低限の価値と考えられているのだろうと思いますが、そこに文化の側面が抜けている、あるいはこぼれ落ちているというのは大変重要な点だと思います。むしろ文化の多様性を18番目の目標として掲げるべきではないでしょうか。そんなことを、お話を伺っていて感じました。ありがとうございました。
 それから未来の世界遺産という小長谷委員の御指摘も大変重要だと思いました。
 ほかの方々の御意見はいかがでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  羽田委員長、岩本所長から手を挙げていただいております。多分SDGsに関して御説明を頂けるのではないかと。
【羽田委員長】  では岩本所長に簡単にご説明頂き、髙橋委員の手が挙がっておりましたので、その後、髙橋委員にお願いしたいと思います。まず岩本所長、お願いします。
【岩本所長】  どうもすいません。
 SDGsに関して事務的な御説明ですけれども、もちろん文化ということでの目標はございません。これはユネスコ、SDGsができるまでに執行委員会、総会等でさんざん議論していた結果がこういうことになったのですが。強いて言いますと、17の目標の前に宣言というものがございますけれども、宣言の36ということで文化というものを取り上げて、文化間の理解、涵養、相互尊重、グローバルシチズンシップとしての倫理等々を言っていまして、全ての文化・文明は持続可能な開発に貢献するばかりでなく、重要な成功への鍵ということを言っております。
 それから先ほどお話にもありましたように、SDGsの目標の4.7の教育のところでは文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育、こういったものを通じて学習者が必要な技能を享受できるようにすると。それから11.4、これは世界の文化遺産及び自然遺産の保護保全の努力を強化する。そういった言及がなされております。
 簡単ですが以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。言及がなされていることはよく分かりました。ただし、やはり一つの項目として立っているかどうかは随分印象は違うと思いますので、今ご紹介いただいた事項をまとめて一つ目標があってもいいのかなと思いました。
 続きまして髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】  髙橋です。
 私自身は今、損害保険の代理店の会長というポジションなのですが、もともとのキャリアは銀行員が長いということで、そういうことで参加させていただいております。
 足元、やはり新型コロナで社会構造が大きく変化するスピードは高まっていますし、それ以前からそうだったわけですけれども、いろいろなこれまで世界を支えていた価値観が大きなチャレンジを受けている状況の中で、やはりユネスコに期待される役割の重要性はますます高まっていると。そういった中で組織の見直しも行われて、今日御説明があった当小委員会のミッション、アジェンダの整理があったと理解しておりますし、基本的な方向感は違和感なく聞かせていただきました。
 その中で、感想レベルで大変申し訳ないのですけれども思ったことは、今までも話に出ておりましたけれども、ユネスコの未来共創プラットフォームをどう有効に活用していくかということが今後大きなポイントになってくると思います。一つは、私自身が国内委員会に参加させていただいたのが約1年前なのですけれども、ではその1年前以前、このユネスコ等の活動についてよく知っていたかというと、恥ずかしながら余り知らなかったということですので、やはり情報発信力を高めて、ここで行っている活動の認知度を高めていくことがベースとしてはどうしても必要で、そのときに今回のユネスコの未来共創プラットフォームが構築されようとしていることは極めて重要なタイミングで、このポータルサイト等を使ってどう情報発信していくかが大変重要だと思います。
 先ほどの議論もありましたけれども、今回新型コロナで民間企業も在宅勤務を含めてオンラインを使った仕事の進め方はいろいろ工夫をしたわけで、一方的な使い方だけではなくて、双方向でいろいろな議論をすることも確認できましたし、また、これまでなかなかできなかったところまで手が届くようになったことも事実としてあるので、やはりここはこういったデジタルベースを使ったコミュニケーションのいろいろなトライ・アンド・エラーも含めてやってみる価値があると思っています。
 もう一つは、このプラットフォームを使って民間との連携をいかに深めていくか。一義的には地域のユネスコ協会等を念頭に置かれているものだと思いますけれども、NPOであるとか民間企業についてもターゲットにする必要があるのだろうと思います。特に民間企業にとって、これも今話に出ていましたけれども、SDGs、ESGは一時的な取組というよりも、自らの会社が生き残るためには社会が持続的に成長・発展する必要があることが前提事項のようになっているので、各民間企業は相当真剣に取り組んでいることは事実だと思います。
 ただ、誤解を恐れずに言うと、皆さんどの企業もやろうとしていることが同じ方向に向いていて、それが必ずしも総合的にいい方向に行っているのかという問題もある気がいたします。今も議論がありましたけれども、ユネスコの活動がそういった企業のESGないしESGの行動にどういうような影響を与えていくのか。また、議論を深めることによって総合力を更に高めていくのかという意味において、やはりこういった民間企業の活動との連携をいかに取っていくのかということも今後の課題になっていくのではないかと思いました。感想めいたレベルで恐縮ですが、以上のように思いましたのでお知らせいたしたいと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございました。未来共創プラットフォームの活用についての御意見であったと思います。未来共創プラットフォームは先ほどから何回か御意見を頂いておりますので、今後またこの次の委員会などの議題として集中的に議論することがあってよいのではないかと思っております。
 ほかに御意見、御質問等ございましたらお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  事務局からよろしいでしょうか。
 岡崎委員もネットの接続が悪くてメールで御意見を頂いておりますので、御紹介させていただいてもよろしいでしょうか。
【羽田委員長】  では岡崎委員の御意見を頂いて、その後、芳賀委員から手が挙がっておりますので御意見を頂きたいと思います。では岡崎委員、お願いします。
【石田国際戦略企画官】  それでは事務局で代読させていただきます。御意見を2つ頂いております。
 まず、世界遺産について、我が国では観光・地域振興を中心に考えられているように感じますが、諸外国の取組の紹介が足りないと思います。ユネスコの広報誌の日本語版の発行又はウェブ版が欲しいという御意見。
 それから、世界遺産や文化財が数千年、数百年にわたって現在まで伝えられ、登録・指定されているが、このこと自体がSDGsの証明になっているのではないか。世界遺産・文化財の説明にSDGsの視点を入れることは可能と考えています。世界遺産・文化財は未来への指針となる。こういう御意見を頂いております。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。これは御意見として承っておくのでよろしいかと思いますが。続いて芳賀委員からお願いできますでしょうか。
【芳賀委員】  東北大学と「世界の記憶」の選考委員の芳賀です。
 今も御指摘がありましたように、文化は保護と持続が第一です。文化庁でたった今、博物館法の改正の検討が行われていて、そこで文化財の保護と活用が問題となりますが、そこでもまず保護が第一です。あくまでその大前提の上でですが、活用・普及も大事です。この小委員会が取り扱う議題としても、登録後の活用・普及についてがあります。そして、先ほど木間委員からは登録後に観光ブームは来るけれどもそれは去るとおっしゃいました。ですから我々は観光ブームをつくらなければいけない。
 そこで伺いたいのは、具体的な観光施策を、他の省庁や機関と連携の下でそれを促進することはできないでしょうか。経産省との連携も可能でありましょうし、あるいは今、経産省からの出向者が幹部に非常に多い文化庁、そしてもちろん観光庁と連携することはできないのでしょうか。例えば世界遺産をもっと積極的にツアー商品として企画販売とかできないでしょうか。今、観光庁との連携の下で「神宿る島、宗像・沖ノ島と関連遺産群」はツアー商品として開発して発売し始めたところだと聞いております。ユネスコ創造都市ネットワークももちろんツアー商品になります。ユネスコの遺産を政治化しないためにも、世界規模で日本の理解者を増加させる必要があります。
 あと、このコロナ禍の後に確実にインバウンドが爆発的に増えると思います。そのための観光活用の準備も今の間にするべきではないかと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  世界遺産の保護・活用についての御意見ですけれども、他省庁あるいは他の機関との連携を強めるべきではないかということについて、事務局でもし何かお答えがありましたらお願いします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。
 我々、文部科学省に属しておりますけれども、文化庁さんのほうでもまさに先生におっしゃっていただいたような文化財あるいは芸術文化のほうも含めて、そういったものを地域の活性化に生かしていくことを省庁連携してやろうということは一生懸命やっておるところでございます。そのために、文化庁も再編して調整機能を持つことになったと理解しておりますので、今頂いたような方向での施策をより進めることについてはこの場でも御議論いただけますし、文化庁でもまさにそういう方向で進んでいるものと理解しております。
【芳賀委員】  地域の活性化というのはよく言われるのですが、ツアー商品の開発など、具体的なことも考えてくださってもいいかと思います。
 以上です。終わります。ありがとうございました。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、ほかのまだ御発言のない委員の方からもし何かありましたら、いかがでしょうか。平野委員、お願いできますか。
【平野委員】  ありがとうございます。平野でございます。現在、メットライフ生命の副会長をしております。それから先ほどからSDGs、ESGの話が出ておりましたけれども、私たまたま今、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)といいまして年金積立金の運用をやっている機関がございますが、そこの経営委員長をやっておりまして、金融面からESGの推進ということについては非常に関心を持って取り組んでいる立場でございます。もともとは日銀に長いことお世話になっておりまして、日本銀行員でございましたが、日銀を卒業してからもう十数年たちますものですから、単なるOBということでございます。
 今日、非常にいいお話をたくさん伺いまして、ありがとうございます。一つだけちょっと感想めいた話ということで、ちょっと的外れかもしれませんけれども。ユネスコ活動というのは、国際活動の中で日本が言ってみればリーダー役といいましょうか、イニシアチブを持ち得る数少ない活動の一つではないかと思います。
 SDGsとの関係で言えば、ちょっと表現は適当かどうか分かりませんけれども、SDGsは経済面とかあるいは物理的な環境面とか、そういうところにフォーカスした提案といいましょうか、それのイニシアチブを17挙げているわけでございますけれども。経済は文化のしもべであるということをおっしゃいますけれども、別にユネスコ活動がSDGsに縛られるというか、その中に位置づけられなければならないということでもなくて、それを超える、文化あるいは文化財を通じた多様性の尊重ということ自体が物すごく立派な価値の提供だと思うんです。そういう点を独自にアピールしていけばいいのではないかと思います。
 世界的に見ると、今、分断がいろいろな形で深まっているわけです。国の中でもそうですし、米中対立みたいな国際的な政治・外交の世界でもそうですし、それから民主主義ももう崖っ縁に瀕(ひん)していることは誰しも認めるところでありますね。そうした中で、我々はどの価値を共通の価値として推進すればいいのかということについて、世界的に非常に気迷い感があるという混とんとした状況だと思うのですが、そこで文化・文化財を通じた多様性の尊重という新しい価値観を、言ってみれば分断されつつある世界の結び目、結び役として、結ぶファクターとして強調するところに、ユネスコの活動の、現在の世界における大きな意味があるのではないかと考えております。
 そういう意味では先ほどの話が出ましたけれども、未来共創プラットフォーム、実は私は不勉強にして、これがどの辺を具体的に目指すのかとか内容が何かとか、そういうことについてほとんど知識がないんですけれども、直感的にこれは非常に大事なプラットフォームだと思いますので、今後これを、このデザインを充実する中で、また議論に参加させていただければ有り難いと思います。
 以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。日本のリーダーシップについての御意見を頂きました。
 井上委員との接続はうまく行っているのでしょうか。余りうまくいかないようですね。それでは相賀委員、お願いできますか。
【堀尾国際統括官補佐】  井上委員の方もちょっとお声が聞こえないようで。相賀委員の方も申し訳ありませんがちょっとお声が聞こえないようですので、チャットでコメントを頂いてもよろしいでしょうか。すいません。
【羽田委員長】  なかなか接続の難しい状況が続いております。もし可能であれば御意見、御質問はチャットという形で事務局あるいは全員に送っていただくと共有できるかと思いますが、いかがでしょうか。
 今、私の手元で見る限りは、御報告いただきました佐藤委員、木間委員を除きますと、御出席いただいている皆様には既に御発言いただいているかと思います。井上委員と相賀委員とはうまくつながりません。余り時間がかかっても仕方がないと思いますし、井上委員はバツだとおっしゃっていますので、また御意見は事務局にお寄せいただいておけば、それを何らかの形で委員皆さんと後ほど共有する形にさせていただければと思いますが。それでよろしいでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  そのようにさせていただきます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 ほかに一度御発言のあった委員で……、木間委員の手が挙がっております。では木間委員、お願いします。
【木間委員】  朝日生命ユネスコクラブの木間です。
 本日は民間のユネスコ活動を御紹介させていただく機会を頂きましてありがとうございました。御紹介の最後に文化・コミュニケーション分野の普及活動について今後検討したいことを書かせていただきましたので、こうしたことを議論できたらうれしく思います。特に、皆さんもおっしゃっていましたが、ユネスコ未来共創プラットフォームとうまく連携することで様々な課題が解決できると考えていますので、その辺のところを検討していきたいと思います。
 多様なステークホルダーが連携していく中で重要なのが信頼関係の構築であって、誤解などが生じないように正確な情報を共有することが大切だと考えています。
 ユネスコスクールの例になるのですが、ユネスコスクールについては各地のユネスコ協会でも近隣の学校に登録を推奨してきましたが、3年前から登録がストップして、多数の学校が登録待ちの状態になっています。昨年6月にユネスコスクールのサイトに「登録の見直しをしています」という旨の告知がされたのですが、正確な情報が行き渡らないために不安が募って、私たち国内委員のところにも、「このままだとユネスコと学校の信頼関係が壊れてしまうので何とかしてほしい」という声がたくさん寄せられました。
 本日、世界遺産登録についても今後の在り方について検討が行われているという御報告がありました。ちょっと詳しくお聞きしたいと思うのですが、ネットなどで見ると登録件数が増えているので見直すといったことも出ていて、皆、不安を感じているのではないかと思います。世界遺産登録には地域の住民の賛同が必要であることから、地域住民も巻き込んで、長いところでは5年10年と長い年月をかけて準備して、何度も申請するというような取組が行われており、地域のユネスコ協会の中にはこれを応援しているところもあります。こうした活動の中で、ユネスコの理念への理解が深まったり、ユネスコ協会と地域の信頼関係が築かれたりもしています。
 日本の世界遺産の登録を見直すということでしたら、これまで登録に向けて活動してきた人たちはどうしたらいいのか、今後どうなるのかなど、きちんとみんなに伝わるような形で説明していかないとユネスコへの信頼感が揺らぐことになるのではないかと、懸念しております。
 ユネスコ未来共創プラットフォームのポータルサイトなども活用して、こういう情報を正しくタイムリーに提供していくような仕組みづくりも検討していければと考えています。
 最後にもう一点、ユネスコ加盟70周年についてです。今年がユネスコ加盟70周年だということがまだ一般の人たちに広く知られていないのが現状だと思います。多様なステークホルダーが連携して70周年を盛り上げていけるように、統一して使えるような、例えば70周年のロゴマークとか、何かそういうものが欲しいという声が地域から上がっています。その辺も御検討いただければと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございます。これも重要な御指摘だと思います。正確な情報が行き渡らないと、活動が違った方向に行ってしまったり、あるいは誤解が生じて止まってしまったりということはあると思いますので、その点、是非事務局に努力をしていただきたいと思います。先ほどおっしゃった学校の登録が止まっているというのは何か理由があるのでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  事務局ですけれどもよろしいでしょうか。
【羽田委員長】  どうぞ。
【石田国際戦略企画官】  すいません。今、御質問いただいたユネスコスクールの件でございますけれども、これは文化・コミュニケーションとは別の教育小委員会で正に議論をしている最中でございまして、その議論でこの扱いをどうするかということを、先週ご議論いただいたところでございます。
 ユネスコスクールについては日本の数が世界の1割ぐらいを占めているということで、なかなかユネスコ側の登録が遅れてきている現状もございましたので、在り方を含めて一旦凍結して議論をしようということでございました。このたびの教育小委員会で再開しようという方向に向けて一定の議論の取りまとめに近づきつつありましたので、近々にはその結果を報告し、改めて登録の再開をする形になろうかと思います。
【堀尾国際統括官補佐】  羽田委員長、井上委員と相賀委員につきまして、電話で事務局からのマイクを通じて御発言を頂くことを試してみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【羽田委員長】  はい。それではやってみていただけますでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  では、まず井上委員からお願いいたします。
【井上委員】  東京国立博物館の井上でございます。
 私が申し上げようとしたのは、西藤委員が御発言されたことに対してすぐに言えばタイミングがよかったのかもしれないですけれども、ちょっと今では、ずれた話になるかもしれませんが。事務局から提案された本委員会で扱う議題の2番目に関して、やはり世界遺産に関しての登録の意思決定への関与について私も疑問に思っていたものですから、西藤委員の御意見に賛同する旨お伝えしようとした次第です。
 その上でですが、世界遺産登録後の活用・普及、これがやはり非常に重要であろうと思うわけです。これは先ほどの芳賀委員の御発言にもありましたように、世界遺産というものをもっともっと活用そしてアピールするためには、やはり他省庁との連携が必要だろうと私も思っておりました。そして、そこには文化財の保護と活用、この重要性を支える根本的な哲学というふうなもの、これが必要であろうと。そのためにはやはり、最後に事務局で挙げてくださっている教育活動の推進というものが極めて重要なのではないか、という発言をしようと思っておりました。
 以上でございます。大変失礼いたしました。
【羽田委員長】  ありがとうございます。十分聞き取ることができました。重要な御指摘、ありがとうございます。世界遺産の関係のことでありますけれども、これも多くの委員が発言されていますので、今後どのようにこれに対応するか、また事務局と相談して御提案、あるいはもう一度考え直した案を出してみるようなことを考えたいと思います。
 あと、相賀委員からももし電話で通じるようでしたらお願いします。
【相賀委員】  私の方からは2つ。一つは、日本の産業界で課題の一つとなっている本や情報へのアクセシビリティー。それともう一つは、2022年に高校の学習指導要領で一応中心概念として出されている探究学習です。この2つについて文化・コミュニケーション委員会ではそれらとの関係をもうちょっと強めていくといいのかなと思っています。
 2019年のいわゆる読書バリアフリー法に対応して、アクセシブルブックス委員会というものを業界で立ち上げました。これはもうヨーロッパでもアクセシビリティー・アクトというものができておりまして、この前もイタリア出版協会と話したのですが、相当ヨーロッパでは進んでおります。私どもも海外で仕事をする場合にはこの配慮をしないと罰則が2025年にはできるということで、取り組んでおります。
 この過程で、御存じのように2016年には日本工業規格のJIS X 8341-3ができておりまして、これは総務省では「みんなの公共サイト運用ガイドライン」というものができているわけで、この部分はやはりやらないと世界あるいは国内のコミュニケーションの分野ではやはりいろいろと指摘されるので。今、各社のホームページをいろいろと検討しておりまして、今、画面を読んで音声化してくれるシステムがあるのですが、それを使ってもやはり読めないということを視覚障害者の方には聞いております。どうしたらいいのかというのはそんなに難しくないので、これを一歩一歩、今進めようとしております。これは我々の仕事の中にも、今どの程度それが配慮されているのかなということを、後で事務局の方に伺いたいです。
 それからもう一つは、高校で一部では既に探究学習が非常に先端的な教育として行われているのですけれども、実際に図書館やデジタルを使った学習の姿を目の当たりに見ますと、ユネスコのいろいろな普及活動との連携は非常に上手くいくのではないかという気がしておりますので、この辺は文科省の方々が詳しいと思いますので、2022年の探究学習について何らかの形でこの委員会にもそういう詳しい方を入れてはどうかなとは思っております。
 以上です。
【羽田委員長】  ありがとうございました。今の御意見は本・情報へのアクセシビリティーと、それから2022年で学習指導要領が変わった後の探究学習についてでありましたけれども、事務局からすぐにお答えいただけることはありますか。
【石田国際戦略企画官】  こちらの方でよく考えてみたいと思いますけれども。最初のアクセシブルフォーマットのお話を頂きましたけれども、私が理解しておりましたのは、これはもともとWIPO(世界知的所有権機関)という知的財産を扱っている国際機関で条約があって、主に視覚に障害を持った方々がしっかりと情報にアクセスする、本を読めるようにできるということで、点字でありますとかデイジー図書でありますとか、そういったいろいろなフォーマットの図書をうまく共有する仕組みをつくりましょうという動きがございます。それについてユネスコの情報を広く普及させるという話とつながって議論していくことが必要なのではないかと理解しましたけれども。少し今後の議論でどういうふうに御提示できるかは検討させていただきたいと思います。
 それからもう一つは、探究学習についてのお話がございました。これも教育小委員会とのお話とも関わりますけれども、ユネスコが教育分野でやっておりますESD、サステイナブル・ディベロップメントに向けた教育というところで、文部科学省ではそのための実施の手引みたいなものを作っております。これは今おっしゃっていただいた総合的な探究の時間で使えるような手引をイメージして作っておるところもございますので、その中にこの文化の話あるいはコミュニケーションの話を盛り込んでいく、テーマとして取り込んでいくといった、そんなお話は今後の議論としてはつなげられるのかなと考えておりますので、委員会への提示の仕方については少し検討させていただければと思います。
【羽田委員長】  ありがとうございました。
 一応今日御出席の委員の方々から御意見、御質問を頂きました。貴重な御意見、御質問ありがとうございました。時間がそろそろなくなってきておりますので、もし特にどうしてもこれだけはということがなければ一応意見交換はここまでにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員長代理】  短く。日本ユネスコ協会でも普及で一番苦労しているポイントがありますので、それを皆さんからいいアイデアを頂けないか、これから議論で頂けないかと思うのは、一つはやはり若者。子供の学習というよりは、もうちょっと上の高校生、大学生それから若い人、この人たちをどうやってユネスコというものに巻き込んでいけるかどうかが、非常に我々は苦心しているところです。
 もう一つはやはり国際化ということで、国際交流について、これはインターネットができるようになったので少しはその活用も考えていっていますけれども、そこの国際化という問題も課題だと思っています。
 是非ここら辺も皆さんのお知恵をお借りすることができれば有り難いと思っています。よろしくお願いします。
【羽田委員長】  ありがとうございます。この小委員会で今度どのような問題を検討していくかということに関しましては、今、御発言いただきました委員長代理の佐藤さん、あるいは事務局などとも相談しながら、また次回以降具体的に提示させていただきたいと考えております。もし積極的に取り上げるべきテーマがありましたら、今日はもちろん御意見は頂きましたけれども、事務局にまたお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  委員長、すみません。芳賀先生と蓮生委員が手を挙げていただいております。
【羽田委員長】  では芳賀先生、お願いします。
【芳賀委員】  芳賀です。
 我々の活用・普及活動にもっと男女共同参画の視点を見えるように入れることはできないでしょうか。私は東北大学の共同参画担当の総長特別補佐でもありますが、来週の3月8日は世界女性デーです。それからこの間、佐倉の国立歴史民俗博物館ですばらしいジェンダー展「性差の日本史」がありましたが、その最後のほうに、日本からユネスコの「世界の記憶」への登録第1号であった山本作兵衛のコレクションもジェンダーの観点から展示されていました。
 そこでそういうふうに我々の活動にもっと見えるように男女共同参画の推進を入れるようにすることはできないでしょうか。いろいろ既に登録されている遺産に男女共同参画のタグをつける、抽出して並べ直す、それをオンラインなどで展覧会にする、などです。私は、MOWCAP、アジア・太平洋地域の「世界の記憶」地域委員会の執行部の副議長ですけれども、その観点からのオンライン展示を既にバンコクの事務局が中心になってやっており、まさに来週3月8日の世界女性デーからそれを行います。こんなようなものを今、いろいろな意味で男女共同参画について日本は世界から注目されていますから、ユネスコの立場からもやるべきではないかと思います。
 以上です。
【羽田委員長】  貴重な御意見ありがとうございます。是非何らかの形で実現していきたいと思います。
 よろしいでしょうか。それではまた、次回以降具体的な御提案をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 議題3として最後にその他がございますが、事務局から何かありますでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  蓮生委員も先ほど手を挙げていただいていたかと思いますが、よろしいですか。
【蓮生委員】  ありがとうございます。すいません。
【羽田委員長】  気がつかなくてすみません。
【蓮生委員】  画面が暗くて多分見づらかったのだと思います。すいません。御迷惑をおかけいたします。事務局の方、どうもありがとうございます。
 先ほど、佐藤委員から若者層へのアピールということで、これまでユネスコ活動、普及活動がターゲットにしていたのは幼稚園を含む小中高が主だったわけですが、それよりももう少し上の年齢層、大学生、大学院生、そして20代の会社員の方たち、そういった方たち、いわゆる社会人の方たちにどうやって取り組んでいくのかということについて、少し考えを申し上げさせてください。
 現在、大学及び大学院で教職に就いている者ですが、やはり彼らの間で国際機関の活動がどのように紹介されているかといいますと、最初の発言で申し上げさせていただきましたように、国連フォーラムや開発フォーラムのようなオンラインでのインターアクティブなコミュニティーへの参加を通じて、ユネスコ活動、国連の活動というものを知っていっているのを間近で見て、経験しております。
 彼らの関心はどこにあるかというと、やはりキャリアとか社会貢献です。これは例えば今の若い方は民間企業に就職したとしても、やはり何らかの形で社会貢献を続けたいという気持ちを持っている方はたくさんおられます。なのでキャリアフォーラムとかSDGsとの関係で自分が主体的に何らかの形で関われるのかというその道筋あるいはヒントを示してあげるようなフォーラムの育成を、是非共創プラットフォームとの関係で目指していっていただけたらいいなと思っています。いわゆる一方通行の情報提供とか、ポータルサイトでいろいろな活動がありますというのではなくて、自分が主体的に関われるのか、関わる方法には具体的に何があるのかというきっかけを示してくれるようなものを是非目指していっていただきたいなと思っております。
 お時間を取らせてすいませんでした。
【羽田委員長】  ありがとうございます。貴重な御提言をありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。もしないようでしたら、先ほど申し上げましたように最後に議題3、その他に移りたいと思います。事務局から何かあったらお願いします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。
 事務局で人事案件についての御報告事項がございます。人事案件でございますので、これ以降は非公開とさせていただきたく存じます。
【羽田委員長】  分かりました。それでは報道、一般傍聴の方におかれましては、これにてユーチューブの配信を終了とさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。また今後とも引き続きどうぞよろしくお願いします。
【石田国際戦略企画官】  少し配信が切れるまで時間がかかりますので、もう少々お待ちください。
 お待たせいたしました。それでは配信が切れたようでございますので、人事案件について御報告をいたします。
 ユネスコの「世界の記憶」事業に関しましては現在加盟国によるワーキンググループにおいて制度改善の議論が続いておりますけれども、本年4月に開催される第211回執行委員会にワーキンググループの報告書が提出される予定となっております。
 一方で、文化・コミュニケーション小委員会の下に設置されているユネスコ「世界の記憶」選考委員会に関しまして、調査委員として委嘱している委員の方々の任期が本年3月31日までになっております。つきましては、今般、現在委嘱している調査委員6名の任期を1年間、令和4年3月31日まで延長することといたします。国内における新たな選考体制については、国際的な議論が取りまとまった段階で改めて文化・コミュニケーション小委員会で御報告できればと考えております。
 報告は以上でございます。
【羽田委員長】  ありがとうございました。ただいまの御報告について何か御意見、御質問はございますでしょうか。
 よろしいですか。これは承ったということでよろしいでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  はい。
【羽田委員長】  ありがとうございます。
 それでは最後に事務局から今後の予定についてお知らせをお願いします。
【石田国際戦略企画官】  本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。
 3月10日14時30分からは第148回の日本国内委員会の総会を予定してございます。議事等については別途また御連絡させていただきます。
【羽田委員長】  ありがとうございます。本日の小委員会はこれで閉会いたしますけれども、今後はこの小委員会はどのぐらいのペースで開くことを事務局はお考えでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  現在のところ具体的なスケジュールはないのですけれども、それでも年に2回は通常やっておりましたので、少なくともそういった形ではやりたいと思っておりますし、案件がありましたらまた御相談させていただいて、追加で開催することも検討できるかと思います。
【羽田委員長】  そうですね。佐藤委員長代理とも御相談しながら、また頂きました御意見には、貴重なもの、それからある程度迅速に取り組まなければいけないものがありますので、場合によっては少し多めに委員会を開かせていただくかもしれませんので、御協力をよろしくお願いします。
 本日は長時間どうもありがとうございました。お忙しい中ありがとうございました。それではこれにて委員会を閉会いたします。
 

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