日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会(懇談会)及び人文・社会科学小委員会(第119回)合同小委員会 議事録

1.日時

平成31年2月25日(月曜日)13時45分~14時45分

2.場所

文部科学省10階 政策課・国際課会議室

3.出席者

(自然科学小委員会委員)
 礒田博子(委員長)、大野希一、翁百合、河野健、黒田玲子【敬称略】
(人文・社会科学小委員会委員)
日比谷潤子(委員長)、礒田博子(自然科学小委員会委員と兼任)、猪口邦子、宇佐美誠、野村浩子、藤田みさお【敬称略】
(文部科学省(日本ユネスコ国内委員会事務局))
 大山国際統括官、池原文部科学戦略官、小林国際戦略企画官、秦国際統括官補佐、その他関係官

4.議事録

【小林国際戦略企画官】  まだ委員全員おそろいではございませんが、定刻になりましたので、会議を開始させていただきます。本日は、御多忙中のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。自然科学、人文・社会科学合同小委員会を開始させていただきます。
 議事に先立ちまして、事務局から御報告申し上げます。昨年12月1日付で、藤田みさお委員に新たに人文・社会科学小委員会に加わっていただいております。藤田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【藤田委員】  よろしくお願いいたします。
【小林国際戦略企画官】  また、野村委員におかれましては、これまで自然科学小委員会の御所属でしたが、今回から人文・社会科学小委員会の御所属となりました。野村委員、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【野村委員】  よろしくお願いいたします。
【小林国際戦略企画官】  なお、本日の議事進行は、人文・社会科学小委員会の日比谷委員長にお願いいたします。
 それでは、日比谷委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
【日比谷委員長】  皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、まず事務局から、定足数の報告をお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  本日は、御出席の委員が、自然科学小委員会委員が5名、人文・社会科学小委員会委員が5名ということで、人文・社会科学小委員会においては過半数を満たしておりますが、自然科学小委員会においては委員の過半数を下回っているということになりますので、自然科学小委員会は懇談会としての開催となります。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまから委員会を始めます。
 本委員会は、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続第1項に基づき公開することとします。また、この会議での御発言は、議事録としてそのままホームページなどで公表されますので御承知おきください。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  お手元の方に、議事次第、配付資料等、参考資料をお配りしております。配付資料としましては2種類、資料1、資料2でございます。参考資料としましては、こちらも2種類となっております。また机上には今日の座席表などを配らせていただいております。もし不足等ございましたら事務局へお申し出ください。
【日比谷委員長】  大丈夫でしょうか。
 それでは、議題1、「ユネスコ自然科学、人文・社会科学関係の活動について」に入ります。この議題では、昨年2月に前回の小委員会がございましたが、それ以降の活動について、事業を御担当の委員から、今日は時間が余りなくて、短くて恐縮ですが、3分から5分程度で御報告を頂います。それぞれの活動についていろいろ御質問がおありかと思いますが、それは全ての御報告を伺った後で最後にお伺いしたいと思います。
 まず、IOCについて、河野委員からお願いいたします。
【河野委員】  海洋研究開発機構の河野です。IOCについて御説明いたします。
 昨年7月3日から6日にかけて、IOCの執行理事会が開催されました。道田豊IOC分科会主査を団長といたしまして、関係省庁その他、出席をいたしました。
 この委員会では、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の準備作業についての議論と、それからアルゴプロファイリングフロートネットワークの能力の発展、これはキャパシティです、あとGOOS(世界海洋観測システム)、早期津波警報システムの推進等について議論がなされました。
 この中で、特に国連海洋科学の10年については後ほど関連するものが出てきますが、アルゴプロファイリングフロートについては、2016年の伊勢志摩サミットのときに、先立つ科学技術担当大臣会合で、日本からの主張によって強化がうたわれたもので、これに伴う各国の経済水域内での観測についてのルールを少し整理して観測しやすくするということが決議されたので、日本が発議したものがこういう形で実ったということは非常によいことだというふうに思います。
 次に、ページをめくっていただきまして、「国連持続可能な開発のための海洋科学の10年」ですが、これはIOCが提案して国連の事業となった海洋科学のための10年という計画で、2021年から10年間の計画です。現在何をやるかということを詰めていくプレパラトリーフェーズ(準備段階)というのに入っておりまして、我が国といたしましても、プレゼンスを発揮すべく、またこの機会に、海洋を多くの皆さんの教育、リテラシーの向上につなげていただこうということで活動をしております。我が国からは、植松委員、私の前のここ(自然科学小委員会)の委員で委員長もやられていたんですね、が、IOCのエグゼクティブ・プラニング・グループに代表として入っております。今は準備会合なので文科省、ユネスコ国内委員会が中心となっておりますけれども、これが活動した折には、省庁横断型で日本全体を挙げて活動に参加していただきたいと思っております。
 もう一つは、IODE(国際海洋データ・情報交換システム)総会と科学カンファレンスで、これも、道田IOC分科会主査がこのIODEのチェアをしておりますので、日本で開催ということになりました。それに先立ちまして科学カンファレンスというのが開催されましたが、これを日本で開催するのは恐らく初めてなのではないかと思います。この中でも、国連海洋科学の10年、あるいはSDGに向けたどのような協力ができるかということが議論の中心となりました。
 以上です。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 続いてIHPについてですが、本日は御担当の立川先生が御欠席ですので、事務局から報告をお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  国際水文学計画ということで、IHPでございますが、ビューロー会合が、昨年2月、ユネスコ本部において開催されています。ビューロー会合には、政府間理事会の議題等について整備するというような役目がありまして、日本からは、2018年まで、立川主査が参画されております。
 続きまして、第23回IHP政府間理事会が、昨年6月にユネスコ本部で開催されました。我が国からは、立川分科会主査、それからユネスコカテゴリー2センターでもある土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター、ICHARMと呼ばれておりますが、ICHARMの所長、あとは文科省等の職員が出席いたしております。
 政府間理事会では、この度は規定の改定案が大きな議題として上がっておりました。一番大きな変化としましては、この名称、国際水文学計画というものを政府間水文学計画というふうに改定することを理事会として決定しました。今後、こちらの変更につきましては、ユネスコ執行委員会、ユネスコ総会の方へ審議を諮るという形になっております。またこのほか、10年ごとの戦略計画を立ててきておりますけれども、現在の第8期計画の評価、それから地域における取組、次期計画の策定に向けた準備につきまして話し合いがされております。
 続きましてアジア太平洋の地域での活動ですが、IHPのアジア太平洋地域運営委員会が、昨年11月に中国の上海で開催されております。こちらも立川主査が事務局長を務めておられまして、今回初めて、人数のかなり多い、40人から50人の参加があったというふうに伺っています。アジアの地域においては、現在、Catalogue of Hydrological Analysisのプロジェクトを開始しようとしているところです。アジア太平洋地域の河川の基礎データをカタログとして、これまで長年培ってきた協力の間で作ってきていますが、今後はそれを使った形での共同事業ということで実施しようとしているところです。
 また、第9期の戦略計画策定タスクフォースというものがユネスコの方で設置されまして、今年1月、第1回目のタスクフォースの会議が開催されております。我が国からは、IHPの分科会から鼎委員が御出席されています。また、このタスクフォースには専門家の委員も世界から24名指名されておりまして、そのうちの1人ということで立川主査が参画されております。
 5ページ目ですけれども、こちらにつきましては、先日のユネスコ国内委員会総会でも立川主査の方から御発表がございましたけれども、水・エネルギー・災害研究に関しまして、日本でユネスコチェアという形でWENDIという名称のものが京都大学に設立されたということで、昨年からカリキュラムの調整が始まっております。
 簡単ですが、以上でございます。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 続きまして、MABについて、礒田委員からお願いいたします。
【礒田委員長】  お手元の資料5ページを御覧ください。まず、埼玉県、東京都、山梨県、長野県の4県にまたがる「甲武信(こぶし)」という名前、そちらが(ユネスコエコパークとして)ユネスコに推薦する地域として選定されました。9月にユネスコに申請書が提出されて、今年6月に開催される第31回MAB国際調整理事会で登録の可否が決定される予定になっております。
 それから、(平成)30年4月に英国のMAB国内委員会のマーティン・プライス副委員長が来日されました。その際、いろいろと意見交換を行ったんですけれども、6ページに行きまして、「祖母・傾・大崩」という宮崎県と大分県の県境にあるエコパーク、それから「みなかみ」の2つのエコパークの関係者とマーティン・プライス先生がプレゼンをお互いに行って意見交換をしたということでございます。
 それから、第11回東南アジア生物圏保存地域ネットワークというものが開催されました。こちらは5月にタイのチェンマイで開催されたということで、MAB計画分科会から松田委員及び「みなかみ」の職員と文科省の職員が参加されたということです。特にこちらは、各国の生物圏保存地域の現状説明と、JFITの支援によって進められている生物圏保存地域の今後の効果的な管理運営に資する調査研究の共有などが行われたとのことです。
 それから、第15回、こちらは、東アジア生物圏保存地域ネットワークがカザフスタンのアルマトゥイにおいて開催されました。これは5月の末から6月ですけれども、日本からはMAB計画分科会から佐藤委員及び「綾」というユネスコエコパークと、それから「白山」、2か所の関係者が参加されたということで、こちらも、リマ行動計画というMABの戦略に基づく計画がございまして、こちらの対応について意見交換を行ったということでございます。
 次のページ、7ページ目は、(平成)30年7月にインドネシアでMAB国際調整理事会、第30回が、パレンバン、西スマトラで行われまして、私と秦様が一緒に出席いたしました。こちらでは合計122か国686地域になりますけれども、このユネスコエコパークの審議の後でこういった合計の数になってきたということで、各国の代表の方からのいろいろな活発な議論が行われたということです。先ほど話しましたように、第31回は今年6月にユネスコ本部、パリで行われます。
 8ページ目ですけれども、その後は、インドネシアからMABの国際調整理事会議長が来日されましたということで、こちらは京都大学で行っている日本ASEAN科学技術イノベーション共同研究拠点などの会議と、それからWENDIという、さっきIHPの方からもありましたけれども、そういった共同で開催した会議に参加されたということです。それからMABの国内委員会事務局とも意見交換を行って、大台ヶ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパークを訪問されたということです。
 以上です。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 それから、ユネスコ世界ジオパークにつきましては大野委員からお願いいたします。
【大野委員】  日本ジオパーク委員会を代表しまして大野が報告いたします。資料の8ページ目を御覧ください。
 まず、平成30年5月末に、ユネスコ世界ジオパーク研修会というものを隠岐ユネスコジオパークで行いました。この研修会の目的は、特にアジア太平洋地域におけるユネスコ世界ジオパークの登録を推進することを目的といたしまして、この会議に、日本ジオパーク委員会、それからユネスコジャカルタ事務所等の委員が参加しました。ここには、フィリピン、タイ、ミャンマーなど13か国22名の各国のユネスコ国内委員会や、その政府機関の関係者が参加いたしました。この中では、特に日本の中におけるユネスコ国内委員会とジオパーク活動がどのような連携をしているかということを紹介し、その関わり方を基に、それらの国でどのような推進体制が構築できるかということの議論を行っております。
 続きまして、9ページ目に行きます。ユネスコ世界ジオパークの新規認定につきましてです。ユネスコの正式事業化以降、日本国内で初めて伊豆半島地域が、平成30年4月に、ユネスコ世界ジオパークに認定されました。伊豆半島地域は、静岡県東部の7市8町で構成されておりますが、イメージとしては別荘地が多いと思うんですけれども、歴史的に見れば、江戸城を造る石垣を供給する場所であったり、ノーベル賞作家の小説の舞台にもなっていると。そんな伊豆半島地域は、実はかつて南洋に浮かぶ火山島でありまして、それが、プレートと呼ばれる地球表面の動きによって約100万年前に日本列島に衝突して半島状態になったと。ですので、動く大地の痕跡とその衝突の様子が今も陸上で分かるという国際的な価値を持っている場所、それが昨年4月にユネスコ世界ジオパークに認定されたということになります。
 続きまして、ユネスコ世界ジオパークの再認定審査の状況です。ユネスコ世界ジオパークにつきましては、4年に一度、再審査を受けまして、その活動の質が保証されているかどうかが評価されます。平成30年度につきましては、阿蘇、それから山陰海岸の2地域が平成30年8月に現地審査が行われました。今、この審査結果の正式な通知を待っている状況になっております。また平成31年度につきましては、北海道にあります洞爺湖有珠山、同じく北海道のアポイ岳、それから高知県の室戸の3地域が再認定審査を受ける予定になっています。
 10ページ目を御覧ください。第8回ユネスコ世界ジオパークの国際会議です。平成30年9月に、イタリアにありますアダメロ・ブレンタユネスコ世界ジオパークにおきまして国際会議が開催されました。日本からは、日本ジオパーク委員会の委員をはじめ、伊豆市長、島原市長、阿蘇市長等の首長さん、それから各ジオパークの運営母体であります協議会の職員、日本ジオパークネットワークの事務職員、それから一般のガイドさんなど、様々な立場の方、総勢50人以上の参加がありまして、各地域で行われているジオパーク活動の共有や、互いの地域を学び合うネットワークの強化というのを行ってきました。
 その中で印象的だったのが、ジオパーク会議の冒頭で行われる基調講演の中に、ジオパーク活動というものがSDGsの全てのゴールに関わっているということを非常に強調されたということがありまして、ジオパーク活動とSDGsの関わりというものを更に強めていくことを世界に訴えかけたということが行われました。
 あと、この会議中には、ユネスコ世界ジオパークカウンシルの会合、更にはアジア太平洋ジオパークネットワークの会合なども開催されまして、各地域で、あるいは各世界中の人たちがジオパーク活動をどう進めていくかということに関して活発な議論が行われておりました。
 以上になります。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、国際生命倫理委員会(IBC)につきまして、藤田委員からお願いいたします。
【藤田委員】  昨年9月11日、12日に、パリのユネスコ本部にて、第25回国際生命倫理委員会及び第10回科学的知識と技術の倫理に関する世界委員会合同会議が開催されました。会合では、健康に関する個人の責任、近代的親子関係、水利用に関する倫理等について議論がなされました。日本からは私がIBCの委員として初めて参加させていただきまして、また以前IBC委員をしておられた森崎先生が参加されました。
 特に私が参画しておりますIBCでは、健康に関する個人の責任と近代的親子関係、この2つのトピックスについて報告書を現在作成しておりまして、今年の夏にバンコクで開催されます合同会議で正式に最終版が出る予定でおります。この健康に関する個人の責任というのは、いわゆる公衆衛生倫理に関する報告書、また近代的親子関係というのは、生殖補助医療が発展することによって、従来だったら子供が持てない方も持てるようになった、代理母を使えるようになったなど、そういった中で親子関係を新たに考えていきましょうという、そういう内容になっております。
 また、これらのトピックスだけではなく、最近、喫緊の課題として世界中で注目されております遺伝子編集並びに人工知能の倫理的課題に関するラウンドテーブルが開催されました。これは公開で開催されまして、非常に多数の参加を得ております。そこでは、最新技術の紹介ですとか生殖医療への利用、法的枠組みの必要性について議論がなされ、AIについては、特に日本から堀浩一先生が講演者として御登壇されて、「AIと創造性」について御講演をなさって、非常に盛況の下にラウンドテーブルが終了したということでございます。
 以上です。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 合計5件の御報告を頂いたところですけれども、それぞれの方について何か御質問等がおありでしたら、どうぞお願いいたします。どうぞ。
【野村委員】  IHPの第23回の政府間理事会、3ページで一つお伺いです。「国際水文学計画」から「政府間」へと名称が変わった背景を教えていただけますか。
【秦国際統括官補佐】  では、事務局の方から回答させていただきます。基本的に、IHPの政府間理事会自体、政府間での議論を行う場にはなっているので、そもそも政府間でこの水文学をどうするかということも議論はされているという背景はあるものの、時代に応じて、この水文学計画につきまして、学術研究者の科学の知見をもう少し政策的に反映させていくことにさらに力を入れていかなければならないという背景があります。水文学計画としては、政策を決定する人たちにこれまで以上に議論に一緒に入っていただいて、この発展させようという議論がありました。このような背景から名前の変更が行われています。
【日比谷委員長】  ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議題1はこれをもって終了します。
 議題2、「ユネスコ活動の推進に向けて」というタイトルで載せておりますけれども、こちらは、これまでも合同小委員会で、ユネスコの自然科学、人文・社会科学関係事業の推進方策などについて継続的に御意見を頂いているところです。例えば、前回、昨年の議論では、資料2の裏面を御覧ください、主な御意見、5つ載っていますけれども、例えばSDGsへの貢献とサステイナビリティ・サイエンスを意識したユネスコ活動の推進というような観点からの御意見等を頂いたところでございます。今日は時間は大変限られておりますけれども、自然科学、人文・社会科学のユネスコ活動のこれまでの進捗や、最近のユネスコでの動きも踏まえて御意見を頂きたいと思います。
 それに先立ちまして、まず事務局から、背景となる御説明をお願いいたします。
【小林国際戦略企画官】  それでは御説明させていただきます。まず先ほどの資料2の裏面を御覧いただきますと、これまでに頂いた主な御意見を簡単にまとめておりますけれども、ここで、ユネスコにおいてもSDGsへの貢献が重視されていること、また持続可能な発展のための様々な学問分野が協力するということを謳った、このサステイナビリティ・サイエンスの推進の観点からのユネスコ活動の推進について意見交換をしていただきました。
 それで、先ほどの議題1の活動報告がございましたけれども、それぞれの我が国が関係する取組におきましては、これらの御意見も参考にして各活動がなされてきているものと考えております。本日は、最近の動きも踏まえたさらなる活動の活性化について、御自由に御議論をお願いいたしまして、今後の推進方策につなげられたらと思います。
 それで、資料2の表面の方ですけれども、本日の意見交換の観点として、更に掘り下げた観点を、御参考までに幾つかここにお示しさせていただいております。
 背景の動きとしましては、下の参考1にございます、例えば国連持続可能な開発のための海洋科学の10年についての報告が先ほどございましたけれども、これらの各トピックが、現在、ユネスコにおきましては、これらの例えば4項目におきまして、今後の活動に向けた政策的な議論が始まっている時期にも当たっております。
 それで、例えば海洋科学におきましては、科学の知見を生かした海の環境保護や、あるいは海にまつわる様々な安全方策に関する科学分野における国際協力がIOCで行われてきておりますけれども、一番上にステークホルダーの連携ということが書いてありますけれども、このSDGsの14、「海の豊かさを守ろう」の目標を達成しようとする上で、例えば民間企業など、これまでのIOCのコミュニティを越えた連携が、この海洋科学の分野で課題になってきていると思います。
 2つ目は、「科学と社会との接点」と書いておりますけれども、例えばIHPにおきましては、次の戦略作りにおいて、水の安全性などについての政策や、社会における科学の知見を反映するということをどうしたらうまく推進できるかといった観点が重要になってきているというふうに考えております。また、先ほど御報告もございました遺伝子編集など、科学における倫理的側面における機関作りにおいても、この社会との接点という観点を考えないわけにはいかないと考えております。
 また、一番下の丸ですけれども、「広く次世代への継承を意識して」とございますけれども、ユネスコエコパーク、ユネスコ世界ジオパークの事業をとってみても、自然環境を中長期的にモニターしながら、地域の活性化を進めるために、共生の方策について、より多くの人々に関心を広めていくことが実施されておりますし、いずれの分野においてもユネスコは人材育成を重視しておりまして、これまでも取り組まれてきているところでございますけれども、専門家の育成としても、より幅広い視野を持った人材育成が課題と理解しているところでございます。
 こういった、今、御説明したような背景に即して、この3つの観点を御参考までにお示しさせていただいておりますので、御自由な御意見を頂ければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、これから自由討議に入りますが、いかがでしょうか、まずは先ほど御報告を頂かなかった委員から御意見を伺おうかなと思いますが、どなたでも結構です。どうぞ。
【翁委員】  今、御説明いただいた資料2に関しまして2つコメントをしたいと思うんですが、一つは、SDGsに向けて様々な、今日は自然科学分野でいろいろな御活動についてお話を伺ったんですが、社会科学の観点でも、企業経営とか、また投資で、ESG(環境・社会・ガバナンス)で、まさに環境を非常に意識する投資活動とか、世界的に大きな流れになってきていて、そういったところで、多様なステークホルダーとの連携というのは非常に重要なテーマになってきていると思います。もちろん自然科学と社会科学分野をまたがる非常に重要なテーマだと感じております。
 もう一つは、先ほど藤田先生から最後に御紹介があったんですが、情報技術革新がどういうふうに倫理とか社会に影響を与えるかというのは非常に重要なテーマで、先ほどAIの話を頂いたんですけれども、ありとあらゆる分野でAIの導入というのが進むようになってきていて、それと倫理をどう考えるか、社会との関係をどう考えるか、私などの金融の分野ですと、ブラックボックス化でリスク管理をどういうふうに考えていくのかとか、非常にいろいろなテーマが横断で、横串で重要なテーマで、これは国際的にももちろんそうなんですけれども、こういったことは重要なトピックかなというふうに思っております。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。御報告なさった方でももちろん……、お願いいたします。
【河野委員】  海洋の方なので、まず海洋の話からですが、民間セクターを入れるというのは、ほかの国際枠組み、例えばGroup of Earth Observation、GEOの中でもすごく話題になっていて、なかなか難しくて、総会にそういったところの代表者を呼んで、こちらに何を求めるかを言ってもらうみたいなことをして少しずつ進めていて、本当に重要なのは、そことうまくつなぎ合わせるキーパーソンがいるかいないかが実は本当に……、実現するかどうかはそこで決まっていたりするんですけれども、少なくともそういう場を設けるという意味では、実は今年度、この海洋の科学の10年というものの地域のワークショップというものを開催しようとしていて、日本開催を目指しておりますので、世界から見たら我田引水かもしれませんが、国内での、そういう民間セクターの人たちに積極的な参加を促すなどして、日本側の意識、特にIOCというか、ユネスコ側ですけれども、に関連する人の意識を高めるというような方策がとれるのではないかと思います。
 もう一つ、ジオパークですが、当機構が持つ研究所というと、下北半島に支所を持っておりまして、そこは下北ジオパークが認定されているんですが、ホームページを見ても、これがユネスコ活動と結び付いていることは全く分かりません。そこから委員会に行って、委員会の左にあるユネスコというボタンを押すと、ユネスコ本部のホームページの方に飛んでしまうんですね。せっかく関連する活動なので、日本ユネスコ国内委員会ブランドというのを何か決めて、認定権とかもあるようなのでいろいろ難しいと思うんですけれども、何かそういうユネスコ活動のブランディングというのを少し考えると、おのずと知名度が上がっていくのかなと思います。
 それに関連しまして、実は日本ユネスコ国内委員会のホームページは、Facebookはあるようですけれども、文科省さんが作られている行政的な事実だけが書いてあるページしか恐らくないんですね。ということは、日本ユネスコ国内委員会がどんな活動をしているかというのを包括的に知ろうとするのは、一般の人にはほぼ無理な状態なんですね。だから、予算もあって難しいと言われるに違いないと思っていますけれども、そういうウェブページみたいなものを作って、そこから日本ユネスコ国内委員会が実際にやっている活動、それからその精神にちゃんと適合してやっている周辺の活動、そういったものが全部一堂に見えるようにすると、少し浸透していくのではないかなというふうに思います。
 以上です。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。今のは大変重要な御意見だと思いますが、予算は本当にないんですか。
【小林国際戦略企画官】  今、委員の先生方にもニュースレターという形でメールで定期的にお送りしているので、そういう、単に情報を発信するということであれば、そんなに予算はかからないと思いますし、あるいは、先ほど御指摘のあったユネスコ国内委員会のロゴというのもあるんですけれども、申請があれば使っていただくという形で、今、運用しているんですけれども、そういったブランディングに活用するというのも一つの大変貴重な御意見だと思いますので、今後どういうことができるかというのを考えていきたいと思います。
【日比谷委員長】  やはり外の方が国内委員会で全体像をぱっと理解できるようなものは私も非常に重要だと思いますので、是非御検討ください。どうぞ。
【野村委員】  貴重な御意見をありがとうございます。大変大事なことだと思います。私も、今おっしゃったブランディング、同意見です。ユネスコ委員会としても必要ですし、ジオパーク、エコパークとしても、全体的なブランディング戦略が必要かと思います。すみません、大野委員、既に取り組んでいらっしゃるかとは思うのですが。例えば、ホームページで試しに「ジオパーク」、さらに「ジオパーク検定」で検索してみると、ジオパーク検定というのは、各ジオパークが独自でやっていらっしゃって、日本ジオパークとしてまとまったものはないようです。世界遺産でみると、世界遺産検定といったものがあるようです。検定というのはひとつの小さな例ですけれども、やはり横の連携をしつつ、個々の地方に引き寄せるだけではなくて、ジオパークブランド、エコパークブランドといったものを築いていく必要があるかと思います。いろいろな形で固まりとしてブランド全体の魅力を発信していくことが必要ではないかと思います。
 それから、若者のユネスコ活動への参加促進という項目がありましたが、議論のレベルを下げてしまうようで恐縮ですけれども、若者にリーチするにはSNSや動画が非常に有効なので、例えばジオパークの魅力を伝える動画コンテストのようなものを企画してもいいのかもしれません。もう少し敷居を下げて、広く認知度を上げる、若者を取り込む取組をするといいのではないかと思っています。
 認知度を上げていくためには、例えば世界遺産をめぐる旅というのは一般的に人気がありますが、ジオパークをめぐる旅のようなものをリタイア後の方々に提案してはどうでしょうか。若しくは若者向けでもいいのですが。今、ジオパークを訪ねるのがクールだよねというようなイメージ醸成をしていくというのも一つの手かなと思いました。
 すみません、元編集者、記者なので、どうしてもそういう視点で見てしまうのですが。
【黒田委員】  いやいや、そういう視点で聞いていました。
【日比谷委員長】  どうぞ。
【黒田委員】  今ので2点あるんですけれども、一つは、ジオパークは何年かに一回、ちゃんとやっているかの審査がありますが、あれでだめになるということはあるんですか。
【小林国際戦略企画官】  何回か不合格が続くと最終的には認定取り消しということもあり得ます。
【大野委員】  それについて補足しますと、一応ユネスコ世界ジオパークでも認定剝奪というのはあります。ただ、認定を剝奪したからといって、もうジオパークの世界に足を踏み入れてはいけないというものではなくて、もう一度体制を立て直して新たにエントリーをして、もう一度採用されているという地域もあります。
【黒田委員】  すごく熱心なところは本当によくやっていて、私も山陰とかを見せていただいたんですけれども、みんながもっと続いてくれたらいいなという気はとてもいたしますね。
 それと全然違うんですが、これはユネスコに関係ないからどうしようかなと迷っていたんですが、今、AIとか、そういうのが出てきて、G20サミットが、今年、日本であるということで、私は、その下にエンゲージメント・グループというのがあって、WOMAN20という活動をやっていて、そこで作るコミュニケをG20のコミュニケに一つでも二つでも入れてもらえたらということでやっていますが、別にWOMANじゃなくてもあれなんですけれども……、やっぱりデジタルテクノロジーというのは物すごく進んでいて怖いぐらいで、これから8ミリオン、800万の仕事がなくなる、けれども新しい仕事もできてくると。世界中、いろいろなセクター、プライベ―トも、パブリックも、あらゆるところに行き渡るだろうということが言われています。
 特にAIもそうなんですが、特に日本の政府とG20もAIに着目するだろうということは言われているんですが、そこでやっぱり倫理問題というのが非常に重要で、例えばRRIとELSI、余り広がっていないんですけれども、Responsible Research & Innovationという言い方、ELSIというのはもうちょっと広がっているかもしれないですけれども、Ethical, Legal and Social Issuesとか、Implicationsとか、2つの言い方があるんですけれども、そういうことを考えないでAIをやるというのは非常に怖い。
 日本でも、小学校でプログラミング教育が始まると言いながら、その辺はおろそかになっているということで、これはいろいろなステークホルダーが進めていかないといけないし、SDGsとか、いろいろなことでもAIとかデジタルテクノロジーは関係があるので、縦割りをしないで、例えばユネスコなんかもどこかそういうところと一緒になってコントリビューションしていただけるととてもありがたいなというふうに思っております。
【宇佐美委員】  関連してよろしいですか。
【日比谷委員長】  どうぞ。
【宇佐美委員】  今、黒田先生がおっしゃったお話と非常に関連することを私も感じていまして、ユネスコはやはりいろいろな分野の専門家を糾合するようなところがあるので、分野横断的なことができると思うんですね。それは、単純に新しい問題があるからいろいろな角度から見ましょうというのをはるかに超えたような、それぞれの専門地を踏まえたやり取りができると、そして、かつアクチュアルな問題に取り組むことができると思うんですね。
 先ほど触れられましたAIのお話はそういうような典型的な問題の一つだと私は思っていまして、先ほど倫理の話に触れられましたけれども、今、例えば2017年ぐらいから、法律学の人たちは、ちょうど雨後の筍のように、このAIが発達したときに、どんな社会問題が起こって、それに対して法的な対応はどんなことをしたら問題が起こるのか、それに対してどういうふうに考えるのかということについて、たくさんの本が急に出てきているんですね。
 それだけでなくて、私はもともとの専門は法学と哲学ですが、もっとディープな、社会の在り方とか、人間の在り方とか、そういうところまで影響を与えるという観点で、今、仲間たちと仕事をしたりしているんですが、こういうところから、もっと社会的には、例えば過疎化に対する、AIは一つのサービスの新しい可能性であるとか、市場の喪失、逆に大量失業ということも当然言われているわけですけれども、こういうような社会的なインパクトも含めて、社会科学・人文科学の様々な分野が関係してくるし、その前提には当然工学的な知識がないとこういうことは話ができないので、そういったことを御専門の先生方に教えていただくとか、非常に新しいトポスの設定に適した、かつ実践的に重要な、そういう課題の一つではないかなというふうに思いますので、ユネスコの話ではないと先ほど(黒田委員が)控えめにおっしゃいましたけれども、私はむしろ、まさにユネスコのこの場で注目をもっとしていただいて、分野を超えた共働の一つの結節点になるような、そういうトピックとして位置付けることができるのではないかなという印象を持っているものですから、それで触れさせていただきました。
【黒田委員】  ありがとうございます。そう言っていただけると心強いんですけれども、ユネスコの組織って、パリの組織を見ながら、日本の提案が入ったか入らないかとか、そういうことだけに物すごく全力をかけていて、一つのサロン的に、本当はそれが一番重要で、日本からそれこそMABに相当するようなものが作れるとか、そういうことを私は非常に理想として思っているんですけれども、とてもじゃないけど、お忙しくて、とても大変なときに、そんなサロンみたいなことを言ってと言われそうな気がして、すごく値引きをして言ったんですけれども、サポートしていただけると大変うれしく思っていて、それこそ、今、そのW20のコミュニケを書いているんですけれども、やっぱりAIはdouble-edged swordだと思っていて、プラスにもなるけれどもマイナスにもなる。リモート、過疎・限界地域に対してもそうである。それからさっきおっしゃったCRISPR-Cas9、ゲノム編集も、それこそデザイナーベビーの話が出てきているけれども、これも本当に、生命、人間って何なんだろうという根源に対する質問を突き付けられているんですね。
 でもそういうことをいろいろな専門家の人のところで話す場がなくて、先生がおっしゃるようにここで話せたらいいんですけれども、私なんて、こんな場でそんなことを言っていいのかしらと、ちょっと思っておりました。
【宇佐美委員】  一つだけ付け加えさせていただくと、AIは、国によってどういうような状況に、今、現にあるかということの基本認識、まあ、状況自体が国によって非常に違うということがあると思うんですが、専門家の方が書かれたものを背景にしても、私の理解する限り、アメリカでAIの開発に非常に近いところで仕事をされている方が書かれたものと、日本でも専門家のいろいろな方、いろいろな分野、いらっしゃいますね、どこまで進んでいる、今後どうなるということについて、大分違うなという気がするんですね。
 ですから、国際的な交流というのは、日本にとって、例えばもし日本が枠組みを出して国際的なディスカッションの場というのを設定できれば、それ自体が、日本の社会にとって、それからもちろん日本の学術にとっても大きなインパクトがあるような、そういった情報交換、意見交換というのができるんじゃないかなというふうに思いますので、そのあたりも少し考えていただければなとちょっと思いました。
【日比谷委員長】  どうぞ。
【藤田委員】  今の倫理の話で申し上げますと、大きなところでという話もそうなんですけれども、やはり教育の場面で中高生にどう伝えていくかと。私もiPS細胞研究所というところにおりまして、中高生にお話しさせていただくことがまあまああるんですけれども、文系でもiPS細胞研究所で働けるということについては、お子さんたちが非常にきらきらと喜んでくださるというところがあって、こんな研究もあるのかというのが新しい発見で興味を持ってもらえる。なので、何かユネスコスクールなり、お子さんへの教育というところからアプローチする。
 そのことのもう一つのメリットというか、私の中で課題だと思っているのは、技術が進むのがものすごく速くてルールがどうしても後追いになる。そのときに、生命倫理という非常に限られた領域で、人がいない、こういった専門委員会の場で発言するという専門家の人がいなくて、いつも生命倫理というと同じ人で、急いで次の世代というのを作っていって、かつ世界の中できちんと発言できる人を育てていく。どうしても文系の研究者が国際的に発信するというのは、まだそれほど十分できている感じがしなくて、ただ、先生方おっしゃったように、ルール作りは、世界でもう作られていっている。ルール作りを行う国際的な委員会は、今、多様性を非常に気にされていて、アジアで委員はいないのかとか、もう少し途上国で委員はいないのかと、聞かれることが多い。ニーズは必ずあるはずなので、そういったところに参加していけるような、まあ、先の話かもしれないですけれども、次の世代を育てていくということは重要ではないかなと思います。
【日比谷委員長】  どうぞ。
【大野委員】  ジオパークのことについていろいろコメントをありがとうございます。何とかしたいと思います。
 ジオパークの活動の中でも、先ほどの、理系・文系と分けるのは私はどうかなと思っていますが、ジオパークは自然科学系なので理系がどうしても中心になると思われがちですけれども、実は私たち理系の人間であっても、ジオパークは地域社会を残すためとか、あるいはそこにある歴史・文化・伝統みたいなものを未来に引き継いでいくということを大きな目的にしていますので、理系の人だから例えば地層とか地学だけをやっていればいいというわけではなくて、地域の歴史とか文化的なことにもきちんと向き合って、それをよしとしていかなければいけない。
 そういう意味では、子供たちにその地域の魅力をどう伝えていくか、それは理系だけではなくて、その地域丸ごとの魅力をどう発信していくか、それは、ジオパークプログラムを10年間やってきて、ジオパークをきっかけに地域教育が整備されていくというのが一つの効果であります。それは理系の人を育てるのではなくて、地域にいかに人を残していくか。そのためには、地域にすばらしいものがあるということを若い人たちが認識するということが大切だと信じていますので、その人たちにどう地域の魅力を伝えていくか、しかも教え込みということではなくて、自発的に、能動的に地域のことを知りたいという人たちをどう育てていくかということは、ジオパークの中では、比較的、現場では成功してきていることだと思っています。
 ただ問題としては、じゃあ、それをどう地域の発展や持続可能な活動に生かしていくか。どうしても観光という活動が必要になるんですけれども、観光関係の人たちの考えているタイムスケールとジオパークの目的達成に対するタイムスケールというのは格段に違っていて、とにかく観光の人は、すぐ成果が出るものを求めると。ところがジオパークは、その成果を生かして地域を維持していくという考え方なので、どうしても話が合わない。ですから、観光の方々が今までと違う切り口で地域を発信できるという観点を持っていただけるところは比較的地域が回る。あるいは、これまで観光的資源が余りない地域というのは、それ以外にすがるものがないので、ジオパークを使って地域を何とかしようという、ほぼ危機感に近い形で取り組まれているので、そこの温度差というのは国内でも非常に大きいです。
 ただ、全くいい取組がないわけではなくて、すばらしいガイドさんも育ってきていますので、そういった人たちが今までとは違う観点で日本という国を見たときに、その日本の魅力というのを海外に発信できる、そのポテンシャルはあると思っています。ただ人材育成は、必要ですけれども時間がかかる、その現場でのジレンマというのは強く感じますね。
【日比谷委員長】  ほかにいかがでしょうか。
【礒田委員長】  ではMABの方からも。MABは、Man and the Biosphereという、人間と生物圏という名称ですけれども、特にリマ行動計画以来、そのエコパーク、日本ではユネスコエコパークと言っていますけれども、エコパークでの経済活動を非常に推進していくという必要が出てきていまして、実際に生態系の保全ということは生態学者などが協力していろいろやれると思いますけれども、そこから経済活動を生み出して、かつ持続的にそのエコパークを維持・発展させるということまで考える必要が出てきたときに、最近のMAB計画分科会で全国のエコパークの担当の方々が集まってくださいまして、どういったところがいろいろ問題かという、かなり、まあ、生々しいという言い方ですけれども、あったときに、行政の人事なんかも、人が替わってしまうと、全然引き継ぎもなく、そこで止まってしまう、あるいはそこでしぼんでいくような、そういう話というのも結構あるようで、そういった根本的なところも必要だということも出てきましたし、また最近は、イオン財団というところ、イオンが、財団ですので、財団での活動費などの提供なども頂いてエコパークが努力をしていらっしゃいますけれども、例えばイオンモール、全国にありますので、それこそ家族で、皆さん、そういったところに行ったときに、ユネスコのエコパークなどの活動を知る機会が増えていくのではないかというところは、もちろんそういう活動費の提供というだけじゃなくて、全国で、子供からお年寄りまでイオンモールに行った際に、エコパークの活動を目にするような機会が増えていくのではないかというところでも期待されるような動きが出てきております。
 恐らくイオンだけじゃなくて、いろいろなそういう経済……、私、ちょっと分からないんですが、経団連なのか、その経済の方のところから、そういう支援なり、あるいはその普及に、そういったところを共同で進めるということも、今後はエコパークについては必要だし、そういった動きがますます増えていくのではないかということが期待されております。恐らくジオパークも同じではないかと思います。
 そんなところです。
【日比谷委員長】  ほかにいかがでしょうか。
 猪口委員はお戻りになるというあれがありましたけれども、ちょっと難しい……。
【秦国際統括官補佐】  と聞いていますけれども……。
【日比谷委員長】  まあ、分からないですね。時間まではあと五、六分ございますけれども。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
【河野委員】  前回の総会のときに、日本ユネスコ国内委員会の活動をどのように宣伝していくかという委員会の答申があったんですけれども、SNSで発信していくとか、そういうことがあったんですが、実際、実行に移っているのかどうかよく分からなくて、例えばどういうことをSNSに載せればいいかというガイドラインがあるのかとか、そういうのも分からなかったんですね。それの全く反対で、そこにいる委員の人たちの所属機関が自分の機関のユネスコ関連活動を全部バインドして、どうせホームページを持っているので、そこに上げてもらうと、そんなに労なく活動がわーっと広がるような気がするんです。
 あのとき分からなかったのが、決まったものを数多く出すのか、いろいろなところからいろいろなものを発信するのかというのが分からなかったんですけれども、いろいろなものをいろいろなところから発信してよいのであれば、参加機関にお願いするというのも一つの手かもしれないと思いました。
 これも下北で、ジオパーク関連だと、うちも民間と一緒にやっていることも結構ありますし、研究活動の中にはユネスコ活動に直結するものもあるので、そういうものにユネスコに関連した活動みたいなものを付けて出せれば、それはそれで組織の宣伝にもなるし、委員会の宣伝にもなるので、ちょっといいかなと思います。
【日比谷委員長】  事務局に伺いますが、現状はそういうことはどういうふうになっていますか。
【小林国際戦略企画官】  現状を申しますと、ユネスコ国内委員会のFacebookというのはあるんですけれども、実態を申しますと、国内委員会が主催するいろいろなイベントに合わせて告知をしたり、その結果報告をしているというところにとどまっているところがありまして、先日、普及活動の小委員会を開催しまして、そこの中で、今後もう少し戦略的に情報発信をしていこうと。その際に、それぞれのユネスコ活動に関心を持っている方々、関係者の方々が、今、どういう状況で、まあ、いろいろな段階があると思うんですけれども、その状況に応じて、どういうふうに広報事業を打っていったら効果的にもっとユネスコ活動に参加していただけるかというのを、それぞれのステークホルダーごとに考えていこうという方向と、それから、今、まさに河野委員おっしゃったように、せっかく国内委員の先生方がたくさん集まっておられて、それぞれ所属組織があって、いろいろな形での広報の発信の御協力を頂けるのではないかというところで、その辺も協力を頂きながら、それぞれの委員の先生方の得意分野で広報について御協力を頂こうというような、今、ちょうど戦略を普及活動小委員会の方で作りまして、これからそれを進めていこうということですので、今までのFacebookのように単発的なところではなくて、もう少し戦略的に進めていこうということでこれから始めたいと思っております。
【日比谷委員長】  それは何かタイムラインといいますか、どのぐらいのスケジュールで進みそうでしょうか。
【小林国際戦略企画官】  普及活動小委員会というのは大体半年に1回ぐらいやっているんですけれども、半年ぐらいをめどに成果を上げるような形で考えていきたいと思います。
【大山国際統括官】  でも、この場で大変貴重な大所高所の御意見も頂戴しましたので、余り知られていないんじゃないかという側面を変えていく必要もあるかなというふうに私自身も思っています。どういう形で広報していくのがより効果的か、国内委員会としてどういうことができるか、あるいは関係の機関、今も御指摘あったように、例えばJAMSTECさんですとか、京大さんですとか、いろいろな機関でもやっておられるので、そこともうまく連携してつなぎながら、どういったことができるかということも考えていきたいと思っています。
 それから、黒田先生、それから宇佐美先生からも御指摘のあった、大変大所高所の御指摘についても、どういうことが日本から発信できるか。日本の中でも、例えばAIの倫理にしても、理研さんがシンポジウムを打って、シャクシュクADGがパリから来たりですとか、あるいは日本としてのAIですと、内閣府の方でやっておられたりというのもありますので、国内的にも関係のところも多々あるかと思います。しっかり連携もしながら、どういう発信ができるかということを考えていくのかなと思っています。
 また、ジオパークですとか海洋も含めて、いろいろな活用方策というのもあると思いますので、その辺も、是非また先生方の御意見も賜りながら、何とか前向きに、いい形で、日本としても取り組めるようにしたいというふうに思います。ありがとうございます。
【日比谷委員長】  いろいろ貴重な御意見を頂きまして、大変ありがとうございます。是非今後の活動に生かしていくということで、そろそろ時間でございますが、何か事務局から御連絡等はおありでしょうか。
【池原文部科学戦略官】  すみません、猪口先生、見えられるということだったんですが、まだもう一つの会議の方が抜けられないと思うんですけれども、事前に説明に行かせていただきましたところ、先生の方から、特に若い人たちとか専門家をユネスコ活動にもっと取り込んだらどうかという課題につきましては、一つは、先生、選挙地盤は千葉県ですけれども、成田とか市川でユネスコ協会が非常に活動されていて、特にかなり高齢の女性陣が英語をフルに活用してボランティア活動をされたりしているというので非常に驚きを持っているんですけれども、そういうような方にもっと若いうちからユネスコ活動に入っていただくような、そういうふうな機会をもっと意識的に作っていく必要があるのではないかということ。
 特に今の若い人は、いろいろな国際性なんかもお持ちですし、専門性もいろいろな形でお持ちなので、そういうことを、区切りのある35歳とか、50歳とか、そういう人生の節目のときに、それぞれの地域で、会社とか、大学とか、研究所とか、そういうところだけではなくて、地域に戻って、ESDの活動ですとか、特にユネスコスクールの出身者についてはESDの活動などに更にもっと高い立場で取り組んでいただくような、そういう機会をもっと意識的に作っていく、そういうシステムを是非事務局の方でも考えてほしいということで、その辺については、これからはポストユネスコスクールの人材活用を推進するというのも一つの課題として取り組んでいただきたいというような御提言がございましたので、この機会に御紹介をさせていただきたいと思います。
【大山国際統括官】  藤田先生から、まさに中高生にどう伝えるかというお話もありました。それとも関連しているかと思いますので、引き続き検討したいと思います。ありがとうございます。
【日比谷委員長】  それでは、今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


―― 了 ――


お問合せ先

国際統括官付