令和6年9月4日(水曜日)16時30分~18時00分
オンライン開催
(委員)
沖委員長、道田委員長代理、大島委員、大谷委員、大野委員、押谷委員、河野委員、小池委員、治部委員、鈴木委員、角南委員、髙木委員、藤田委員、溝内委員
(事務局)
渡辺事務総長(文部科学省国際統括官)、匂坂副事務総長(同省国際統括官付国際交渉分析官)、本村事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、小野事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官
【沖委員長】 本日は、御多忙のところ御参加いただき、大変ありがとうございます。定刻になりましたので、事務局は定足数の確認をよろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 失礼します。出席の委員が10名で、委員の過半数ですので、定数を満たしております。
また、本日は報道及び一般からの傍聴を受け付けており、報道関係者からは、朝日新聞社からの申込みがございますので、お知らせいたします。
取材及び傍聴の皆様は、カメラをオフ、マイクをミュートのままにして傍聴ください。もしカメラ及びマイクがオンになっている方がいらっしゃった場合は、事務局側での操作でオフにさせていただく、もしくは御退出いただくことがありますので、あらかじめ御承知おきください。
御出席の委員の皆様におかれましては、カメラをオンにして、御発言以外はマイクをミュートしていただきますようお願いいたします。御発言いただく際は、最初にお名前をお願いいたします。
最後に、御発言は、議事録としてそのままホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
以上です。
【沖委員長】 それでは、ただいまより第12回科学小委員会を開催いたします。
議事に先立ちまして、事務局の人事異動についてお伝えいたします。前回の会議以降、本年7月11日け付で、渡辺その子文部科学省国際統括官/日本ユネスコ国内委員会事務総長が着任されております。渡辺国際統括官から一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【渡辺国際統括官】 御紹介ありがとうございます。7月11日付けで国際統括官を拝命いたしました渡辺と申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
国際関係と、それからユネスコの日本政府代表部の方に15年ほど前におりました経験がございますので、こちらの科学小委員会に御参加いただいている道田先生、それから沖先生とは、以前よりいろいろな場面で御協力をさせていただいておりますが、引き続きユネスコの科学関係でも良い取組ができるようになるとよろしいかと思っております。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
【沖委員長】 ありがとうございました。
続きまして、本日の会議の配付資料につきまして、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 失礼いたします。本日はオンライン開催ですので、PDF一つのファイルで配付資料を一式でお送りしております。画面に共有させていただきます。
配付資料としまして、資料の1-1から資料1-4、それと資料2、その他、附属資料、参考資料等がございます。御不明な点等ございましたら、事務局までお知らせください。
以上です。
<議題1.最近の科学分野における動きについて(科学分野)>
【沖委員長】 それでは、議題1、「最近のユネスコ関係の動きについて(科学分野)」に入ります。
本議題では、前回報告の本年2月以降のユネスコにおける科学分野の取組等について情報共有を行いたいと思います。
<議題1(1) 政府間海洋学委員会(IOC)分科会からの報告>
【沖委員長】 まず、IOC分科会からの報告につきまして、道田委員から御報告をよろしくお願いいたします。道田委員は、本年6月のIOC執行理事会において議長を務められましたので、議長としての視点からの御報告も併せてお願いできると幸いです。よろしくお願いいたします。
【道田委員長代理】 承知しました。東京大学大気海洋研究所の道田でございます。
今御紹介ありましたように、IOCの議長を務めております。お手元の資料1-1に基づいて、15分ほどの時間とお伺いしておりますので、その範囲内でお話をさせていただきます。
政府間海洋学委員会(Intergovernmental Oceanographic Commission)は1960年に設立され、我が国は最初から加盟国の一員であります。海洋に関する様々な国際機関がある中で、特に海洋科学調査であるとか研究活動に関しては唯一の国際機関としてUNの中でも認められている組織でありまして、主な事業としましては、古くからやっております海洋データ情報の交換の仕組み作りであるとか津波早期警戒システムの構築、それから全球海洋観測システムの構築等がありますけれども、分野横断的には、教育訓練・能力開発、それから、2021年からは「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」というのを指導する、そういう機関になっています。多数の機関との協力をしておりますけれども、とりわけWMO、IHO等との協力関係が緊密です。
現在の加盟国は150か国でありまして、奇数年に総会があって、その間の年に執行理事会が行われると、そういう仕組みになっています。今年は偶数年でしたので、去る6月の後半に、後ほど御紹介いたしますけれども、IOCの執行理事会の第57回が開催されたところであります。
我が国としましては、地域の小委員会、WESTPAC、西太平洋小委員会というのがございまして、そこに積極的に関与しているほか、太平洋の津波警報システムについては、主導的な役割を果たしてきているところです。
国内対応につきましては、ユネスコ国内委員会の科学小委員会、この小委員会の下に、IOC分科会というのが設置されておりまして、そこで総会、執行理事会等への対応等について、関係の先生方とともに議論して、その結果を携えて執行理事会と総会に臨むと、こういう仕組みになっています。
関係機関は多数ありまして、研究機関ばかりでなく、国土交通省、環境省、気象庁、海上保安庁、海洋研究開発機構、あるいは私の所属しております東京大学大気海洋研究所等が参画している分科会になっています。
現在、私が昨年の第32回の総会で選出された議長を務めておりまして、そのほか我が国からの貢献としましては、JAMSTECの安藤健太郎さんが、今申し上げた西太平洋小委員会の議長、それから太平洋津波警報システムの議長を、現在、気象庁の西前さんがお務めになっていらっしゃいます。
「国連海洋科学の10年」につきましては、各国にNational Decade Committeeを設置することとなっておりまして、これは我が国もいち早く設立したところで、毎年1回のペースで国内の対応についての情報交換、あるいは議論する場として活用されているところであります。
次のページに行きまして、それぞれの項目を簡単にポイントを絞って御説明申し上げたく思いますが、IOCの分科会が、去る6月、今年の執行理事会の前に、執行理事会対応を議論するために開催されて、それまでは、私はIOC分科会の主査を仰せつかっていましたけれども、今般、委員の互選により、齊藤宏明先生、東京大学大気海洋研究所教授が新たにIOC分科会の主査に選任されているところであります。
IOC分科会は、6月14日にオンライン開催されましたが、IOC分科会においては、今般の第57回執行理事会の主要な議題でありますいろいろな項目について、我が国の対応、対処方針について議論したところであります。
次の項目、第57回IOC執行理事会について、これもポイントを絞って御説明申し上げますけれども、我が国からは、そこに写真がありますけれども、団長が齊藤主査、IOC分科会の主査以下、総計11名ぐらいでしょうか、WESTPAC議長の安藤健太郎先生、それからICG/PTWS、太平洋津波警報システムの西前さんを含めて、11名ほどの参加がございました。写真には私も写っておりますけれども、私は今、正式には日本代表団の一員ではなくて、IOCの議長として、せっかく日本人なので一緒に写っていると、こういうことであります。私はIOCの議長として中立な立場ですので、特定の国の代表ということではないと、こういうことであります。
議事は概ね順調に進みまして、結果的に22の議題が審議されて、12の決定、それから二つの決議がほぼ予定どおり採択されたということでありました。
次のページに行きまして、私は議長として初めて議事進行する立場でしたので、非常に緊張しましたけれども、途中、議事進行がすごく遅れて、若干気をもみましたが、結果的には加盟各国の御理解をいただいて、予定どおりの議事を時間内に終了することができました。そこに写真がありますが、私が議長席で議事を進行しているところでありますが、読んでいただければ分かると思います。
大まかな動きについては、事務局長報告というのが、これが毎回行われることになっておりまして、事務局長が、実は去る3月に新しい事務局長に交代しました。それまではVladimir Ryabininという方が9年ばかり事務局長を務めておられましたけども、このほど、3月1日付でVidar Helgesen、ノルウェー国籍の方ですけど、この方が事務局長に就任されて、彼にとっても初めての意思決定会議、執行理事会だったということになりますが、主な報告は、特に「国連海洋科学の10年」関係の報告が中心に行われたほか、昨年のユネスコの総会の審議に基づいて、IOCの通常予算が増額されました。IOCとしては大変喜ばしいことでありますけれども、それの新しく増額された部分の使途について、現状について事務局長から報告がございました。
津波についてですが、我が国は太平洋における津波警報システムの主要なリーダーの一人、1国として活躍しているところでありますけれども、現在は、西前議長の下で、太平洋津波警報システムの構築が進められておりまして、能登半島地震のことも話題になりましたけれども、今年は、2004年のインド洋津波から20周年ということもありまして、ここには記載はございませんけれども、来る11月にインドネシアのバンダ・アチェで記念のイベントが行われる予定になっているところであります。
それから、GOOSのガバナンスにつきましては、新しくGOOSの担当官が替わりましたので、彼女のリーダーシップによって、メンバーシップの精査とかそういったことが行われたということであります。
次の項目。これは、今回は中身の議論はそんなにありませんでしたけど、実は結構大事な議論でありまして、国家管轄権内区域における海洋観測をいかに維持させようかと。UNCLOSの下でというのが大前提でありますけれども、国家管轄権内、すなわち各国EEZの中というのが結構面積が広いものですから、その中の海洋観測をどう充実させるかというのが議題になっておりまして、今後、来年の総会、あるいはその先に向けて、主要な議題の一つになるかと承知しております。
それから、持続可能な海洋計画及び管理に関する新たな戦略案。これにつきましても、現在、海洋空間計画というのがIOCの主導で各国で進められるところですけれども、それを超えて、より包括的な戦略案を作る必要があるというのが、この議論でありました。
次のページに行きまして、GEBCO。これは古くから国際水路機関、IHOとIOCの共同で進めている事業でありまして、順調に事業を進められておりますけども、とりわけ我が国に関係するところとしては、下から4行目あたりに書いてありますけど、日本財団の御支援でGEBCO Seabed 2030というのが進められております。より精密な海底地形データをとっていこうというプロジェクトが2030年を目標年として進められているところというのが特記すべきことだと思っております。
IOCの海洋状況報告。これは似たような同様の報告がたくさんある中で、どう位置付けるのかというのが議論になりましたが、活動自体については歓迎されたところであります。
国連海洋科学の10年実施計画につきましては、詳細は申し上げませんけれども、各国の実施計画等について、基本的には積極的な貢献が行われているということが議論されましたけれども、IOCを超えた他の国連機関との連携というのもいま1歩強化されるべきだということが議論になりました。
それからロジャー=レヴェル記念講演。これは、今年はスマトラ津波20年ということがあって、津波に関するサイエンスのレクチャーが行われたところであります。
財務委員会につきましては、予算が増えたものをどう使うのかということが議論になり、最終的に全体会合で採択されました。
続きまして、次の項目です。西太平洋地域小委員会です。WESTPACにつきましては、現在、JAMSTECの安藤健太郎さんが技術を務めていらっしゃいますけれども、大きなイベントとしては、去る4月に第11回WESTPAC国際海洋科学会議及び国連海洋科学会議というのがバンコクで開催されて、日本からも多数の参加がありました。冒頭、安藤健太郎さんの開会挨拶に続いて、私もIOCの議長として御挨拶申し上げたところであります。
WESTPACにつきましては、今度の第15回のIOC/WESTPACは政府間会合ですけど、これを我が国がホストして、来年の3月に東京で開催する予定ということでございますので、御承知おきいただければと思います。
次の項目、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」につきましては、現在4年目を迎えているということで、現在までの進捗状況等について報告し合うOcean Decade Conferenceというのがスペインのバルセロナで、スペイン政府がホストで開催されました。私自身も参加しましたけれども、日本からも多数の参加があり、私自身は、幾つかのサイドイベントでIOCの議長としての挨拶あるいはスピーチを求めたりしましたし、我が国の研究者主導の幾つかの活動も行われました。
一つ例を挙げますと、牧野光琢先生、東京大学大気海洋研究所の教授でありますが、この方の主導で、国際海洋開発理事会、ICESとPICESの協働による、今後の関係の研究プロジェクトの方向性についての議論、特に科学と政策の接点というようなことについての議論が行われました。
また、環境省主導で進められている海洋プラスチックのモニタリング手法の調和とデータベースに関する報告が、プレナリーセッションで環境省の長谷室長補佐から行われたところであります。
「国連海洋科学の10年」については、10年諮問委員会というのがIOCの事務局の下で行われておりますけれども、このたび、諮問会議、世界で15人の専門家から成る助言会議がありますが、そこにこれまで日本人は残念ながらいなかったんですけれども、今般、改選が行われた結果、日本から齊藤宏明先生、IOC分科会の当時は調査委員でしたけれども、現在は主査に選出されておりますが、日本人がいるからどうということではないんですけれども、齊藤先生がここに入られたということで、IOCの動き、特に10年の国連海洋科学の10年の進捗状況、あるいは今後の方向性、戦略等についての情報が入りやすくなったという面はありますので、齊藤先生のリードの下で、日本からの貢献が一段進むといいなと思っているところであります。
その次のページ、国連海洋科学の10年国内委員会については、例年、毎年2月に開催しておりますけれども、これは、日本海洋政策学会と笹川平和財団の共同主催という形で、関係各省庁の然るべき方にも入っていただいて、議論及び情報交換が行われる会議でありまして、様々な動きがある中で、とりわけ日本が国連海洋科学の10年の貢献ということで、2021年に制作しました「わが国の取組み事例集」というのがありました。これは非常に評判よくて、それのリバイズ版をこのたび作成――この段階では「英語版も作成し」とありますけれども、現在は完成して、国連海洋科学の10年のウェブサイトに掲載されているところであります。
その他関連のことといたしましては、朝倉書店から『海の辞典』が出版される予定で、来年の出版を目指して、特に国連海洋科学の10年の各7つの社会的成果をキーワードにして、それに関する辞典ですよね。網羅的な辞典を作成するということで、ほぼドラフトは出来上がっておりまして、来年の刊行が多分できるだろうということで、鋭意作業中ということであります。
以上が大まかな報告でございますけれども、IOCの議長としての感想といたしましては、昨年の総会では、昨今の厳しい国際情勢を踏まえて、例えばロシアに対する非難発言などがあったりもしましたが、今回の執行理事会ではそういうことはなくて、基本的に純粋に科学の議論が進められたというので良かったかなと思っておりますが、さはさりながら、厳しい国際情勢が政府間会合であるIOCにおいて何ら影響がないということではありませんので、今後も議長として対応を誤らないように、日本として選ばれた議長として恥ずかしくない活動をできればいいかなと思っておりますので、引き続きよろしく御支援、御指導よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【沖委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして、御意見、御質問のある方は挙手ボタンでどうぞお知らせください。いかがでしょうか。
それでは、河野委員からお願いします。
【河野委員】 どなたもおっしゃらないだろうと思うので、私自身は参加しておりませんけど、同行した職員から、先ほど道田委員からあった日本人として恥じないチェアマンぶりというのがありましたけれども、議事が停滞したり、あるいは自国の利益を誘導しようと頑張っている国があったりとかしたのを非常に上手くさばいて、最終的には時間内に終わらせて、各国、古くから委員でいらっしゃる国からは恐らく喝采されたということだろうと思います。お疲れさまでした。
【沖委員長】 ありがとうございます。溝内委員、お願いいたします。
【溝内委員】 御指名ありがとうございました。私も、IOCの議長で道田先生が御活躍されているということは大変すばらしいことだと思いますので、是非IOCで日本、道田先生がリーダーシップをとられているということを強調できるようなレポートの書き方になっているといいかなというふうに思います。
それが趣旨ということで、二つばかり意見を言わせていただきます。一つ目は、2ページの下の方の「日本の主な対応」というところで、「加盟国から選出された40か国から成るIOC執行理事会の理事国として、継続的にIOC事業に参画するとともに貢献を行っています」の次のパラグラフとその下、道田先生が議長をされているというパラグラフを上に持ってくることはできないかということで、二つ目は3ページの次の政府間海洋委員会の分科会のところなんですけども、ここの議事をるる書く必要があるのかということです。つまり、ここはできるだけ短くして、第57回IOC執行理事会に先立ち、政府間海洋学委員会分科会を6月14日に開催しました、道田委員から、議長に選出されたことを受け云々というこの最初のパラグラフで説明されている部分の次に第57回のIOC理事会のレポートを入れられないかという意見です。見せ方の問題なんですけども、大変すばらしい貢献されていると思いますので、できるだけそのことが読み手に分かりやすく伝わるような工夫をもう1歩していただきたいというのが趣旨でございます。
以上でございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。事務局、適宜適切に今の大変貴重な御意見を反映していただければと思います。それでよろしいですね。
ほかはいかがでしょうか。では、お願いします。
【渡辺国際統括官】 国際統括官の渡辺でございます。
道田委員が最後のところでおっしゃった点がとても大事だと思っていまして、科学の委員会に関しましては、IOCと、それからこの後に続くIHP、MAB、いずれの活動も日本の活動というのが非常によく見えているということもありますけれども、ともすると各国が、ユネスコはやはりある意味、各国のブランドになってしまっているところもあって、自国の利益というところが非常に強く出がちになってしまう傾向が時々あります。
それを国際議場でさばいていくというのは本当に大変なことなんですけれども、この科学の委員会の場において、ユネスコ本来の目的と、それから科学として国連の中でどうしていくかということが真摯に議論される場になっているというのは非常にすばらしいことだと思っておりますので、ユネスコ自身は来年で設立80周年ということになるんですが、そのユネスコの意味というものを、もう少しユネスコ本体として見直す、あまりディプロマディックな場、もちろん社会は紛争がたくさん起こっているので、それを避けては通れないし、それから逃げるわけにはもちろんいかないんですけれど、その中でユネスコは本来的にどういう役割を果たしていくのかということが大事なんだなと。その中で、科学は非常に立ち位置をしっかり、御出席の皆様、御参加の皆様により維持していただいているということで感謝を申し上げたいと思います。
【沖委員長】 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。では、道田委員、お願いいたします。
【道田委員長代理】 道田でございます。激励の言葉、ありがとうございます。
今、渡辺統括官が言われたことについて一つだけお話しをしておきますと、御承知とも思いますが、このIOCができる前に、ユネスコの総会で、東京大学の茅誠司先生が、後の東大総長ですけれども、これから日本は平和に生きるんだと。海の平和利用だと。そうすると海の専門機関が必要だということを演説で訴えられて、そのことも一つのきっかけとなってできたIOCですので、その議長を仰せつかっているということで身の引き締まる思いですけれども、その精神をしっかり生かして、継続的に科学としての必要な審議がしっかりできるように努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。【沖委員長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
<議題1(2) 政府間水文学計画(IHP)分科会からの報告>
【沖委員長】 それでは、次の議題にまいります。IHP分科会からの報告につきまして、私の方から御報告させていただきます。資料1-2、通し番号で9ページを御覧ください。
IHP、政府間水文学計画というのは、国際協力により、水資源、淡水資源の最適な管理のための科学的基盤の提供を目的として、1975年に開始され、令和元年より政府間プログラムとなって、国際水文学計画から政府間水文学計画に改称されています。
以下、全部読み上げますと何時間もかかってしまうので、かい摘まんで御説明いたしますけれども、IHPの政府間理事国として継続的にIHP事業に参画するとともに貢献を行っています。特にIHPのカテゴリー2センターとして、水災害・リスクマネジメント国際センター、ICHARMが平成18年、国立研究開発法人土木研究所内に設置されまして、日本からの貢献が非常に組織的に目に見えるようになっているかと存じます。
IHPナショナルコミッティは、日本ユネスコ国内委員会科学小委員会の下にIHP分科会を設置して、各省の連携の下に協力して活動をしているということになります。
また、信託基金を通じて、ジャカルタ事務所に特に注力をし、アジア太平洋地域の運営委員会の開催や、水に関する科学技術、経験、知識を共有するためのカタログの作成、ワークショップの開催を通じて、アジア太平洋地域の調査研究、人材育成に対する支援を実施しています。
現在は、9ページの一番下にありますIHPの第9期戦略計画に沿って、持続可能な発展を達成して、強靱な社会を構築するために、人々と機関が十分な能力を備え、水管理と自治についての決定を知らせるための科学的知識に基づいた水の安全な世界を描くということを掲げて行っています。
10ページに参ります。まず、IHPの分科会というのが、オンラインで5月14日に行いました。これは、その次にありますIHPの政府間理事会の前ということで、それに向けた方針の決定について、オンラインで会議を開催いたしました。
そして、第26回のIHP政府間理事会が6月に5日~7日に開催されまして、ユネスコ本部に、私と小浪委員、それから小池センター長ほかが出席いたしまして、主要な意見交換、情報共有を行ってきたということになります。
事務局長補(自然科学担当)の御挨拶があった後に、11ページに参りますけれども、議長からは、オープンサイエンスとかデータへのアクセス、シチズンサンエスみたいなものが非常に重要だというようなお話がありました。また、加盟国での能力開発強化の取組に対して、科学者だけが水に取り組む、あるいは政策決定者だけではないということが強調されたように思います。
また、ユネスコ全体の地域事務所の組織改革に伴って、地域事務所ネットワーク改革によって分野別の地域事務所がなくなって、地域事務所はユネスコの全ての分野をカバーすることになったものの、ジャカルタ事務所だけはアジア太平洋地域のコーディネーションの機能を担い続けるということで、日本としては、これまでの経緯も踏まえて、その取組は非常にありがたいということを申し上げました。
また、第9期の戦略計画につきましては、この後にも申し上げますけれども、日本からは人材育成、それからデータ・ツール、同戦略計画への貢献についてやっているぞということを主張したということになります。
そして、今回の政府間理事会でも主要な議題に上がりましたのは、次にありますユネスコと他のプログラムの連携です。つまり、この水の分野だけではなくて、MABやIOC、防災の事務局などとの連携というのが非常に重要だろうということが政府間理事会で話し合われました。
日本からは、正にこのユネスコ委員会、科学委員会の下で議論しまして、何とか昨年12月に、国連大学で、「水、海洋及び生物多様性に関する分野間の連携を促進するシンポジウム」をやったと。やったということに多分価値があって、これをもう少し広げていくということをこれからやっていかなければいけないんですけども、そういうことを申し上げましたら、是非そういうことは続けてほしいというふうに会場からも反応があったところであります。
そして、先ほどユネスコが来年80周年を迎えるということがありましたが、このIHPは、1975年からですが、それに先立つ1965年から75年の10年間にIHDというのがありまして、それがユネスコにおける水科学の最初なわけですが、来年の50周年及び60周年を記念したイベントを、やはり6月にユネスコ本部で開催するというふうな提案があり、それに合わせて、世界各国でも同様のイベントをできればやってほしいと、盛り上げてほしいというような呼びかけがございまして、日本としては、それに対して何らかのプレイベントを日本国内で、国内におけるユネスコ、特に水の活動の周知、そして機運の盛り上げということでイベントをやりたいということを発言いたしました。
また、AWAReという水の適応と強靱性というイニシアティブがありますけれども、そこに対して、WMO主導の早期警戒システムを中心に、日本から支援を行うという旨の発言をいたしました。
12ページに参りまして、来年のIHP50周年に向けた今年の機運を盛り上げるためのキックオフミーティングとして、今回の政府間理事会の開始の前日に、サイドイベントとして記念科学コロキウムがありまして、私が最初のスピーカーとして科学的な話をさせていただいたということになります。また、小池先生もセンター長も基調講演を行われました。
そして、その後はWater Family Symposiumということで、ユネスコセンターの中の水に関係するセンター同士の情報共有と、IFI、国際洪水イニシアティブの活動をどうしていくかということについての議論がありましたが、ここに書いてないことで、まだ決まっていませんけれども、洪水のイニシアティブ対して、干ばつに関するイニシアティブあるんですけれども、それらを一緒にしてはどうかという提案があって、私なんかからしますと、洪水と干ばつは大分違うんですね。それは単に多いか少ないかだけではなくて、空間スケールであったり被害の出方も大分違うんですけれども、水災害という括りで一つにしてはどうかというような提案が今出ているということを情報共有させていただきたいと思います。
また、テーマ別作業部会につきましては、実際の第9期の戦略計画について、12ページの下にありますような、テーマ別作業部会の優先領域というのと分野横断というので、全部で八つの作業部会が設置されておりまして、IHP分科会の調査委員をはじめ国内専門家が、それぞれのところに最低1人は参加して、議論に参画していくというような体制を今とっております。
そして、ただいまがIHP政府間理事会ですけれども、それ以外に、13ページに参りますと、本年5月には第10回世界水フォーラムというのが開催されました。それのサイドイベントとしまして、ICHARMが先導した「バンドン精神水サミット」。これはバリ島で開催されたんですが、インドネシアで、それこそ戦後すぐに開催されたバンドンサミットというのがあります。それは南南協力を進めようという精神だったかと思います。それについて、小池先生たちがその精神を発掘してきまして、それをこの水会議に生かそうということで、天皇陛下によるビデオ基調講演などで非常に盛り上がったというふうに認識しております。
また、ここには書かれておりませんけれども、私もハイレベル・パネルの三つ目のものに登壇して、どうやって国際協力を進めていくか、そして投資がいかに大事かというところでパネル討論に参加いたしました。
また、アジア太平洋地域の運営委員会のIHPがございまして、ここでは佐山分科会の調査委員が事務局長を務めていらっしゃって、大変な貢献されていることと、また小林分科会調査委員が、CHA、Catalogue of Hydrologic Analysisの編集委員長を務めておられて、既にもう刊行が進んでいまして、この二人の貢献が非常に大きいということもお伝えしておきたいと思います。
また、ICHARMでは、運営理事会の開催、そして情報ネットワーキングの拡充をされていますし、14ページに参りまして、「水・エネルギー・災害研究に関するユネスコチェア」、WENDIにつきましても、京都大学、あるいはその関連機関によって研修をして、既に61名、今年度53名が受講し、MAB計画との連携も図られるなど、先ほどから申し上げておりますユネスコの科学分野における連携というものの一つの切り口になっているかと思います。
また、最後の話題といたしましては、「モンゴルにおける持続可能な地下水マネジメントに関するユネスコチェア」というのが筑波大学とモンゴル科学アカデミーとによって設立されておりまして、モンゴルは表流水が非常に少ない地域ですので、地下水を適切に管理して利用していくと、持続可能に使っていくということで、人材育成等で協力を行っているといった活動をしております。
以上、駆け足でしたが、IHP分科会からの御報告となります。私の今、若干不適切な点などございましたら、また関連のオブザーバーの方も含めて、御意見、コメントいただければと思いますが、いかがでしょうか。単なる感想や御質問でも結構ですので、お願いいたします。
【道田委員長代理】 道田でございます。どうも御報告ありがとうございました。
活発に活動されていることがよく分かりました。一つ、先ほど来話題の分野間連携ですね。IHPとIOCの連携、具体的に何かある、今の時点で私の頭の中にあるわけではないですけど、IHPとIOCは、水ということでは共通項がありますので、思い付きで言いますと、例えば沿岸域の防災であるとか、それから、海洋への栄養分も汚染物質も流れてくるのは川からですので、そこら辺の例えば、現在、プラスチック汚染が大きな問題になっていますけども、そのソースとしての陸次元の海洋プラスチックの供給ですね。そういったこととか幾つか共通項があると思いますので、私はIOC議長ですので、役員会の中でも、可能性について検討というか話題を取り上げてみたいと思いますので、また何かありましたら、この場でも、あるいは沖先生に直接でも御報告差し上げて、できれば何か連携できるといいなと思っております。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。そういう当たり、私個人的には非常に弱いわけですが、物質移動、あるいは汚染物質を介して、陸の水と海がつながっていて、それが特に人間活動もそうですけれども、生態系を通じて非常に地球システムに影響を及ぼすという点は、正に科学としてやらねばならない課題かと思いますので、そうした方向での連携が図られるのは非常にいいのではないかなというふうに思います。ありがとうございます。
ほか、皆様方いかがでしょうか。
よろしいようでしたら、また最後に総合討論の時間を設けさせていただければと思います。
<議題1(3) 人間と生物圏(MAB)計画分科会からの報告>
【沖委員長】 続きまして、MAB計画分科会からの報告についてですが、渡辺委員が御欠席ですので、事務局からの御報告をよろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 すみません、では、事務局から失礼いたします。15ページ。今表示されているページから始めさせていただきます。
MABですけれども、主な機能としては三つございます。このページの2段落目あたりですけれども、保全機能、経済と社会の発展、それから学術的な研究と、この三本柱のプログラムになっております。
それから、ゾーニングで1番保全をするところを核心地域と呼びまして、その周りの緩衝地域、人が住んでいるエリアの移行地域という三つのカテゴリーで構成されてございます。全世界で136か国759地域が登録されてございます。
また日本は、その下半分ですけれども、先ほどのIHPと同じで、MAB計画分科会がナショナルコミッティとして役割を果たしております。それから、日本の登録地域は10地域となっております。
具体的な活動について、次に行かせていただきます。
次のページですけれども、その分科会をこの期間に2回開催してございます。一つは新しくといいますか、定期報告、既存の10地域の中から3地域、うち一つが拡張申請と2地域が10年に1回の定期報告という、そちらのエコパークが三つございますので、それの提出に向けた審議が行われております。
それからもう1回は6月に開催しておりますけれども、この後の御報告になりますけれども、それに向けた対処方針を主な、非公開の議題でしたけれども、審議する回を開催しております。特に特徴的なのは、後ほど詳細をお伝えしますけど、OECMの推進というものがありまして、それを新しく打ち出したというところが、この回の大きなトピックになってございます。
次に、先ほどのIHP、IOCと同じく、政府間の会合が開催してされております。MAB計画国際調整理事会と呼んでおります。通常はパリで同じく開催されるんですけれども、今回は2回目がモロッコで開催されてございます。
具体の内容ですけれども、次のページに行かせていただきます。ユネスコの事務局長がモロッコがルーツということで、今回はモロッコに、そこへ引っ張ってきたというところがあるようです。事務局長の挨拶ですけれども、主なポイントとして、MABは非常に発展する可能性がまだまだあるんだという認識が示されてございます。
それから、次に大きなトピックですけども、その下で、昆明・モントリオール生物多様性枠組みという生物多様性の枠組みがございますけども、それへの貢献をMABとしてしっかり打ち出していくんだということが1番大きなトピックになってございます。
その中で特に、そのパラグラフの最後の方ですけれども、その枠組みの目標3番で、「30 by 30」と呼んでいるものがございます。陸域と海域、それぞれの30%を保全地域で、全世界でやっていくんだという目標でございます。これに向けて、日本のケースで言いますと、現在、国立公園等でもう既に保護が指定されているようなところ以外に、民間の保有林ですとか、それ以外のところという意味で、Other Effective Area-Based Conservation Measures、OECMと呼んでいるものがございますけれども、これにMABの地域の中で、特に先ほどの三つのカテゴリーのうちの1番外側ですね。核心地域は既に国立公園等を登録してございますので、人が住んでいる移行地域ですね。1番外の移行地域の中から登録請求できるところがあるのではないかというところを分科会でも議論しました。そして、この政府間会合の中でも大きな議題として取り上げておられましたので、日本としても取り組んでいるというところを発表してきております。
次の議題ですけれども、ユースです。これは、ユネスコ全体でプライオリティーになっているので、科学に限らず教育・文化でも言われているところですけども、特にMABは詳細なワーキンググループを立ち上げて、ユースも参画した議論を行った上で、今回、勧告案が提示されました。結論としては、それが承認されまして、MABのテクニカルガイドラインという技術指針の附属文書として附けていくということが今回決定されております。
具体としましては、国際のレベル、地域のレベル、国のレベル、そしてエコパークのレベル、それぞれでユースを参画させていくということと、それから、それぞれでまたネットワークがございますけれども、その既存のネットワークに加えてユースのネットワークも構築していくんだということと、それから実効性を持たせるということで、ユースが参画できるようなフォーラムを開催すると。さらにそのフォーラムを開催するに当たって、ユースの代表を指名していくというところまで、かなり具体的な、ちょっと総花的な面もありますけれども、そういう動きがございます。こういった動きは、ほかの分野でも今後追随していくような要素も出てくるのではないかと考えられます。
それからその下、オンラインとデータベースですけれども、先ほどIHPの御報告の中でもオープンサイエンスというキーワードが出てきたかと思います。御報告があったかと思います。こちらも、一つ、昨年のユネスコ総会の際に事務局長が発表しましたけれども、ユネスコ生物多様性ポータルというウェブサイトをユネスコのホームページの中に立ち上げております。こちらは、生物多様性に関係あるもの、すなわちこのエコパークと、それから同じ科学局の中でジオパーク、それから文化局の中で、世界遺産の中でも自然遺産、こういったものの情報をポータル的に集約するということで、その世界地図があって、その中にそれぞれの登録サイトがどこにあるのかと。クリックしたら、その詳細が出てくるというようなポータルが立ち上げられてございます。
また、このエコパーク自体もデータベース化をしていくこと、それから、今、紙でしたりメールでの申請になっておりますけども、それをオンライン化していって、そうすればデジタル化できるので、オープンアクセスも可能になっていく。全てオープンにしていくという方向が議論されております。こういったところも、ほかの分野でも参考になる点が今後あるのではないかと思われます。
それから、大きな動きとしましては、1番下ですけれども、このエコパークの世界会議が、来年9月に中国で開催されます。現状、戦略の行動計画がございますけれども、ちょうど今年、今年度で満期になりますので、次の新しい戦略と行動計画を策定していくということで、今ドラフティンググループが立ち上がっているところですけれども、今後は具体的なドラフトが出てきて、各国との協議が来年の春を経て、この9月で採択されるというところが今大きな動きになってございます。
次のページをお願いします。話題的なものですけれども、このMABという名前が、「Man and the Biosphere」ということで、「Man」というものが入っていて、これはジェンダー的にどうなのかという議論がここ3年ほどずっと継続的に行われてございました。それを最後は決着をつけるというか、今回議題が立っておりまして、いろいろと意見がございました。地域のコンサルテーションもそれぞれ行って、それの報告もございました。結果的に、何も変えないという結論、その過程では「Man」ではなくて「Humanities」がいいんじゃないかとか、いろいろな御意見もありました。それから、各国の言語では「Man」ではなくて、頭文字が「M」はない「H」で始まるとか、いろいろな議論もありましたけれども、最終的には割と多数の意見で現状がいいと。その理由はもうブランディング化できているのと変更するコストもかかるだろうというようなところの意見がございました。
それから、最後に定期報告、すなわち今登録されている地域の10年に1度の報告と、その下、新規の審査がありました。日本は新規の申請はありませんでしたので、1点だけ。この10地域のうちの一つ、先ほどの三つのゾーニングがあって、1番外側の移行地域というのが途中から加えられました。それが加えられてから、日本としては初めての定期報告の審査と審議が行われたということで、日本国内の10の地域、皆さんが今回注目していた審査だったんですけれども、無事承認されたということで、喜びの御報告ができたという形になってございます。
会議の御報告は以上になります。
その他の活動ですけれども、先ほどと同様、IHPと同じような形で、IOCもそうですけれども、東南アジアでの活動がございまして、そこに調査員の松田先生をはじめ、日本の専門家の先生方に御参画いただいております。
それから、文部科学省の委託事業で、「ユネスコ未来共創プラットフォーム事業」というところでワークショップを開催しております。具体的には次のページにかけていろいろとありますけども、主なポイントとしましては、先ほどのOECM、日本では環境省が行っている自然共生サイトというところにまず登録してから、グローバルのOECMに登録していくという流れになりますけれども、そういったところのノウハウ。それから先ほどの綾ユネスコエコパークが初めて今回定期審査を通ったということですけれども、そのノウハウを共有してほしいというニーズが非常に多くございましたので、そういったところを中心に、ワークショップで情報共有を図るような今活動を行っております。
それからその下、JBRN、日本ユネスコエコパークネットワーク。10の登録地域によるネットワークですけれども、それが7月に開催されましたので、今御報告差し上げたような調整理事会の結果として、定期報告の結果、OECMのこと、それから国際的な様々な動向等を割と詳細に御報告して、活発な意見交換をさせていただいたところでございます。
その他、最後にユネスコチェアと、それから次のページもユネスコチェア。それぞれ金沢大学、横浜国立大学。それから最後に、先ほど分野間の連携のお話がございましたけれども、こちらはESDとの連携ということで、この間、信州大学の方でコンソーシアム、事例集も今ホームページにまとめられてございます。このような活動が行われております。
最後のページで、大学の連携がございますけれども、こちらは割愛させていただきます。
御報告は以上になります。
【沖委員長】 ありがとうございました。ただいまの御報告につきまして、御質問、コメント、追加事項などございましたら、挙手の上、御発言よろしくお願いいたします。
治部委員、お願いいたします。
【治部委員】 ありがとうございます。「Man」という言葉について議論があったということで、私は専門がジェンダーですとか政策、もしくはメディアなのでコメントさせていただきたいと思います。
基本的には、単に形式的な言葉狩りというものは本質ではないので、私も変えなくていいというふうに思いました。一方で、このような、何て言うんでしょうかね、非常に国際的にも重要な機関の動向というものは、いろいろな人たちが、様々な意見を持つ人がウオッチしておりますので、なぜ変えないのかといった問いに対して論理的に的確に答えるということが大事になってくるのかなと思います。
私は、ジェンダーに伴うCMですとか発信の炎上等に関するコンサルテーションをたくさんやっているんですけれども、重要なのは、変えないという意思決定のリーズニングといいますか、正当化をきちんとするということですので、変えないということ自体に私が何か意見があるわけではないんですけれども、今後、何かある種の突っ込みですよね。昨今の状況を踏まえてどうなんだといったような質問に対してどのように答えるのか。先ほど伺っていたお話ですと、少し手間がかかるというコストの面だけを言いますと、大体その批判する人たちはひるまずどんどん来ますので、あまり得策ではないように思います。
例えば、その名称によって世界各地でこの活動がかなりよく知られていて、支持を集めている。変えることによってネガティブな影響が多いといったようなことを御説明するというのも1案ではないかなというふうに思いましたので、すごくつまらない話で申し訳ないんですけれども、ディフェンドする準備の一つのアイデアとしてお伝えしたいと思います。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。溝内委員、お願いいたします。
【溝内委員】 ありがとうございます。OECM、「30 by 30」自然共生サイトの言及もいただきました。弊社キリンでは、昨年、マリコ・ヴィンヤードというワイン用のブドウを作っている畑を自然共生サイトに御認定いただきまして、OECMに上げていただく予定になってます。
そのプロセスで、環境省さんとか農研機構さんにいろいろ御協力をいただいたり、政府あるいは政府系の研究機関とは連携している感じはあるんですけども、ユネスコもこういう活動をしていながら、何となく企業と距離感があるなという感じもありまして、多分この金曜日の総会のアジェンダに上がっていると思うんですけれども、このあたりは、恐らく企業とユネスコが何らか共同で成果を出せる可能性のある分野ではないかと思いますので、総会の場でそのような意見を述べさせていただこうかなと思っています。
以上、意見でございました。
【沖委員長】 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
どうもありがとうございます。私もMABは変えない方がいいと思います。それもコストの問題というよりは、ブランドとしてよく知られているので、混乱を来すということと、「Man」という名前が使われること自体が、昔はそうだったという、ある意味、遺産のようなものなので、当時はそれが通じていたということが、また改めてジェンダーの大事さを思い起こすのではないかなというふうに私は解釈しております。事務局、何か問合せがあった際には適切にお答えいただければというふうに思います。
<議題1(4) その他の科学分野のユネスコ活動に関する報告>
【沖委員長】 それでは、続きまして、「その他の科学分野のユネスコ活動に関する報告」として、ユネスコ世界ジオパークについて、大野委員からニューロテクノロジーのレビューに関する勧告につきまして、事務局から御報告をよろしくお願いいたします。
【大野委員】 そうしましたら、鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会事務局次長の大野と申します。私の方からは、ユネスコ世界ジオパークの活動について概要の御報告をいたします。
まず、ジオパークというプログラムなんですけれども、これは「国際的な地質学的重要性を有するサイトや景観が、保護・教育・研究・持続可能な発展を一体化させた概念に基づいて管理された、単一の、統合された地理的領域」というふうに定義がなされています。要はエリアをきちんと確定して、その中にある国際的価値のある地質遺産を守り、そうした地質遺産によってもたらされた自然環境や地域文化を保護し、持続可能な地域社会の発展を実現していこうという事業です。
当初は、世界ジオパークネットワークという国際的な組織が2004年に立ち上がって、それをユネスコが支援をするという形だったんですけれども、その取組がだんだん世界に広がりまして、2015年11月の第38回ユネスコ総会において、ジオパークプログラムがユネスコ正式事業化されたという経緯がございます。
ジオパークというプログラムの大きな特徴は、4年ごとに再認定審査が行われまして、その活動の質が定期的にチェックされるという部分です。ユネスコジオパークという、そのクライテリアに反している場合は、改善を促すために2年以内の改善を求めるよう、「イエローカード」と呼ばれるような勧告がなされて、対応の改善が求められます。これが2回繰り返されますと、ユネスコ世界ジオパークの認定が剥奪されるという仕組みになってます。それがなければ、通常の4年間のジオパークというプログラム、その名称を名乗っていいというのが特徴になります。
このようなユネスコ世界ジオパークは、現在、日本には10地域登録されておりまして、日本のユネスコ世界ジオパーク、さらにはその下にあります予備軍と言っていい日本ジオパーク、これを審査するのが日本ジオパーク委員会です。この日本ジオパーク委員会という組織が、日本国内におけるジオパーク・ナショナル・コミッティとして、日本ユネスコ国内委員会に認定されている組織になります。
現在、日本には10地域のユネスコ世界ジオパークがありますが、これは実は世界の中では4番目に数が多いことになりまして、ユネスコ世界ジオパークの1番多い国は中国、47地域でございます。その次に多いのはスペインで17地域、3番目がイタリアで11です。
日本は10地域、ユネスコ世界ジオパークがございますが、実はインドネシアも同じように10地域ありまして、もしかすると、この順位がちょっと変わってインドネシアに抜かれてしまう可能性があります。ですので、10地域とはいえ、日本というのはユネスコ世界ジオパークが比較的多い国であり、最初に認定されてから比較的年もたっていますので、今後、ユネスコ世界ジオパークを世界に増やしていくことが求められているという立ち位置にあります。
国内でのユネスコ世界ジオパークの活動については、3点御報告させていただきます。資料の22ページ目の下の方ですけれども、まずユネスコ世界ジオパーク再認定審査の準備になります。今年の7月に、日本国内にございます4つのユネスコ世界ジオパークにつきまして、来年、ユネスコの再審査がありますので、それの準備を進めてまいりました。
まず一つ目は、ユネスコに提出するOne Page Summaryという過去4年間の活動の報告をまとめたOne Page Summaryを日本ジオパーク委員会がチェックし、日本ユネスコ国内委員会を通じて、7月にユネスコに提出しております。
その7月・8月には、この前述の四つの日本国内のユネスコ世界ジオパークにおいて、来年受けるユネスコの審査の準備状況がちゃんとできているかどうかの確認が行われております。その様子につきましては、10月に報告される予定です。
それから、令和4年の再認定審査の中で、実は条件付再認定、つまりイエローカードを受けた山陰海岸が、今年の7月にユネスコの審査を受けております。この結果につきましては、現在審議中でして、今年の9月、ですから今月に開催されるユネスコ世界ジオパークのカウンシルミーティングの中で審査されまして、その結果はそれ以降に発表されるという形になっております。
続きまして、日本ジオパークネットワークの活動です。先月8月30日から9月1日にかけて、第14回日本ジオパーク全国大会が、青森県にございます下北ジオパークで開催されました。もう既に終わっております。この全国大会の中では、例えばユースの関わる「ユースセッション」、それから「青少年教育施設とジオパーク」、「対話を通じてジェンダー平等を考える」、「気候変動とジオパーク」等、SDGsもしくはユネスコ活動にかなり関係する活動に関する分科会が開催されまして、ジオパークの関係者同士で意見交換が活発になされております。14の分科会が開催されて、全体でおよそ1,300人の方が参加されました。
ただ、たまたま台風10号の接近と被ってしまいまして、九州、中部、それから四国の方は、残念ながら直前キャンセルという形にはなったんですけれども、それでも幅広い立場・世代の方々で、非常に活発な意見交換が行われておりました。
それから最後、ジオパーク関係としましては、日本ジオパーク委員会の活動です。本年5月に第51回日本ジオパーク委員会が開催されまして、その中で、ユネスコ世界ジオパークの新規認定を目指す国内推薦地域として、山口県にございますMine秋吉台ジオパークの公開プレゼンテーションが行われました。それから、日本ジオパークの新たな新規認定地域として、四国の徳島県にございます三好地域のプレゼンテーションが行われました。
現地審査の可否について審査の後、それぞれの地域において現地確認が行われて、その結果につきましては10月に発表されるという形になります。
ジオパークに関する活動については、以上になります。よろしくお願いします。
【小野国際統括官補佐】 引き続いて、ニューロテクノロジーの倫理に関する勧告の策定に向けた議論について御報告させていただきます。
昨年のユネスコ総会で作ろうということが決議されまして、来年のユネスコ総会に向けて、現在ドラフティング作業が行われております。日本からも専門家が参画しておりまして、まだ御報告をいただいてないんですけれども、8月に2回目のグループ会合が行われたところです。9月以降、政府間会合を経て来年の総会で採択される予定でございます。
御報告は以上ですけれども、次のページ以降、今年3月に行われました執行委員会の科学関係の概要を掲載させていただいておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございました。ではただいまの御紹介につきまして、御意見、御質問ありましたら、挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。
では、治部委員、お願いいたします。
【治部委員】 ありがとうございます。国内旅行に行く時にジオパークを見るのは結構好きなので、楽しく聞かせていただきました。ありがとうございます。
質問が二つあります。一つは、条件付再認定、イエローカードの件なんですけれども、報道されているところですと、ミュージアムで鉱石などの地質資源が販売されていることが問題にされているといったようなことが報道されていますが、もし何かほかにもイエローカードの要因があれば教えていただけたらというのが1点です。
もう1点は、22ページの資料、下北の全国大会はとてもいいなと思ってお聞きしました。その中で、ユースセッションということで、「対話を通じてジェンダー平等を考える」ということとジオパークの関連性が、私は知識がなくて結びつかなかったので、どんなことが議論されたかということを教えていただければと思います。
以上です。
【大野委員】 どうもありがとうございます。まず、1点目の山陰海岸ユネスコ世界ジオパークの条件、イエローカードの件なんですけれども、実は国際的地質学的価値を有するサイトの近くで、海外産の岩石鉱物が販売されていたということがありまして、それが実はユネスコ世界ジオパークのクライテリアにはかなり反するものです。それが指摘されたということが1点なんですが、実はもう一つ大きな課題としましては、山陰海岸ユネスコ世界ジオパークは世界認定されてからもう10年以上経過しているわけですけれども、要は、運営体制に関して、そういう石を売ってはいけないということは当初から分かっていたことではあるんですけれども、それがなぜ解決できない状態で今まで来てしまっているのかという点から、この運営体制そのものの抜本的な見直しというところが指摘されております。
実は日本ジオパーク委員会としましては、岩石鉱物の販売に関しては、すぐにそれが解決に向かうかというのは非常に難しい問題で、実際にそれを売ることで生業を立てていらっしゃる方がいらっしゃいますので、その方に突然石を売るのをやめなさいということを言うのもなかなか厳しいものがある。だけど、それは対話を通じて、少しずつ石以外の物を売ったりとかイベントを増やす等にして、収益を確保しつつ岩石鉱物の販売をやめさせていくような動きをとれ、それに関しては多分合意は得られて評価はされていると思っています。
運営体制につきましても、山陰海岸の方はかなり体制を変えていますので、今回どのような審査の結果になるかは私も分からないんですけれども、少なくとも指摘事項に対して何らかのアクションはしておりますし、その効果も出てきているとは思いますので、無事グリーンカードで通るのではないかと。これは私の個人的な判断にはなりますけれども、その結果については、また私たちもその報告を待ちたいと思います。それが1点です。
それと、全国大会におけるジェンダーの話です。こちらの分科会につきましては、実はあまり、私も特に参加したわけではないんですけれども、ユネスコ活動をしていく中で、女性がどのようにジオパークの中、プログラムの中での意思決定プロセスに関わっているかというところは審査の対象になっています。
先生は御専門なので、よく御存じとは思いますが、例えば日本のジオパークの中の活動の中で、何か一つ決め事していく中でどのくらい女性が参加していくのかというところがやはり見えない。どうしても運営体制を見てしまうと男性に偏る組織体制図というのがあって、世界はそれをかなり是正してきているので、ジェンダーバランスを非常に考慮した運営体制作りというのも実現しているんですけど、日本はまだまだそれができてないので、そこをまず変えていくべきだろうという意識を増やす。
さらには雇用体制とか待遇面での課題、あるいはジェンダーバイアスとかアンコンシャスバイアスみたいな意識がまだまだ運営体制の中にあるので、そういったことが課題になってくるんだ、あるいは防災の部分でも女性というのは、やはりどうしても対応が遅れがちだという部分もあるので、そういった問題をまず顕在化させて、みんなで少しずつジェンダー平等に関する意見をジオパークネットワークに広めていこうというのが分科会の趣旨のようです。
将来的には、日本ジオパークネットワークの中で、ジェンダー平等推進ワーキンググループみたいなものを作って、そういった意見交換をしていって、どうやったら女性の声がきちんとジオパーク活動の中で反映されていくかというところを議論していく。それのスタートのような、キックオフミーティングのようなものだと思っております。
【治部委員】 ありがとうございます。勉強になりました。
<議題2 地域ユネスコ協会における科学分野の取組について>
【沖委員長】 ありがとうございます。
それでは、引き続きまして、議題の2、「地域ユネスコ協会における科学分野の取組について」に移ります。本議題では、小池委員、髙木委員、押谷委員、鈴木委員から御報告いただきたいと思います。
それでは、御発表の進行を小池委員お願いしたいと存じますので、上手に15分に収めていただきますよう、小池委員、よろしくお願いいたします。
【小池委員】 本日は、民間ユネスコの科学分野における取組について発表させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
ここにも書きましたけれども、民間ユネスコは、科学分野において、科学教室の開催あるいはユネスコスクールの連携等を通じて、地域における市民の科学的探求心の醸成、科学リテラシーの向上、ローカルな知識の再発見など、サステナビリティ・サイエンスの発展に貢献しています。
本日は、各地のユネスコ協会の取組の中から、岐阜県ユネスコ協会の「光るエコ消しゴム」、富山ユネスコ協会の「「海洋ごみ」、鎌倉ユネスコ協会の「ビーチコーミング」、江別ユネスコ協会の「手作りバター体験」、高崎ユネスコ協会の「下仁田ジオパークとコンニャク作り」を紹介させていただきます。
それでは、まず髙木委員から、岐阜県ユネスコ協会の取組をお願いいたします。
【髙木委員】 髙木でございます。もの作りを通したユネスコ活動の共創について紹介します。
この活動事例は、令和6年元旦に発災した能登半島地震被災地支援活動の一環として、「石川に小さな光とどけよう!」ということで取り組まれたものです。岐阜県の岐阜工業高等学校科学研究部の生徒の皆さんが、光るエコ消しゴム作りを準備して、岐阜県山県市立いわ桜小学校の子供たちと一緒に光るエコ消しゴムを作りました。
その光るエコ消しゴムにメッセージを書き添えて、岐阜県ユネスコ協会と石川県ユネスコ協会を通じて、石川県内灘町立西荒屋小学校に届けました。光るエコ消しゴムは、環境に優しいアクリル樹脂を使った軽ゴムです。いわ桜小学校の子供へは、「今は大変だけど光る未来を目指してください」というメッセージがあり、これは例ですけれども、西荒屋小学校の子供からは、「心の中でも光るようなものをもらえてうれしい」といった声がありました。
高等学校の科学研究部の生徒の皆さんのもの作りに込めたこの思いが、岐阜県の小学生と石川県の小学生の心に小さな光とともに届いたものだと思っております。ユネスコ活動を共に作り上げてきた事例だと思っております。次のスライドをお願いいたします。
富山ユネスコ協会では、2024年度第2回ユネスコ教室で、「海洋ゴミってどこからくるの?」という題で、この教室を親子参加型ワークショップとして実施しました。スライドの中央部分に活動の概要を記しています。海洋ごみについて基本的なレクチャーから学んだ後、全身で海を感じながら砂浜を観察しました。それぞれが集めた海洋ごみをふるいにかけて、海洋ごみを分類し、プラスチックごみの多さに気づきました。そして、海洋プラスチックごみの問題点。海洋ごみの8割が陸で捨てられた物であることに、参加者は驚きます。ワークショップの最後には、まとめとして、子供も親も参加した感想を紹介し合い、生活と海の関わりについて考えました。
スライドの右側に、1例を記しました。子供からは、マイクロプラスチックを食べた魚を人間が食べるというつながりに驚いたという感想がありました。親からは、暮らしで使っているものと環境問題がこのように密接に関わり合っていることを実感たという感想がありました。
今回のユネスコ教室では、親子でのワークショップを通じて、改めて海を身近に感じながら、私たち人間が暮らしの中で海とどのように関わっていけばよいのか、行動すればよいのかということを考えるよい機会になったものと思います。
以上です。
【小池委員】 髙木委員、ありがとうございました。次のスライドをお願いいたします。
このほかにも、各地のユネスコ協会ではいろいろな取組を行われていますので、幾つか紹介をいたします。
まず1番左側、鎌倉ユネスコ協会では、ユネスコスクールである鎌倉女子大学中等部のESDプログラムに協力し、毎年、由比ヶ浜海岸でビーチコーミングを行っています。昨年度、2023年度は、海岸に漂着したごみ、あるいは貝殻を集めて、サンドアートを製作しました。ちょっと写真が小さいんですけれども、左側はウミガメ、右側は日本列島のオブジェになります。
真ん中は、江別ユネスコ協会の子供科学教室。これについては、押谷委員、よろしくお願いいたします。
【押谷委員】 押谷でございます。真ん中の写真で小さいんですけれども、私ども江別の地元の酪農学園大学の若手の教員の方をお招きして、小学校5年生・6年生を対象に科学教室を昨年度から行っておりまして、今回2年目になりました。
牛乳のこと、元々牛のことをお話しいただいたり牛乳のことをお話しいただいて、その後、いわゆる生ミルク、これをシャカシャカ振るとバターができるんですが、そのような体験を通じて、科学の面白さ、そういうものを子供たちに伝えていく、そういう仕事をさせていただいております。
この事業は、ユネスコ協会連盟の方から助成金をいただいておりまして行っておりますけれども、今後も、やはり地元の大学、研究者の方々を招きして、子供たち向け、それから、併せてやはり大人向けにも科学の面白さ、そういうものを伝えていくようなことをやりたいと思っております。これからも御支援いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【小池委員】 押谷委員、ありがとうございました。
3番目、1番右側になりますけれども、高崎ユネスコ協会では、「大地の変動を感じる下仁田ジオパークとこんにゃく作り」という野外体験学習を開催しました。当日は20名の参加者があったそうですが、上信電鉄で下仁田駅に移動し、下仁田ジオパークのガイドさんからレクチャーを受けた後、青岩公園で岩石の収集と分類を行ったそうです。また、「こんにゃく手作り体験道場」というところで、こんにゃく作りに挑戦いたしました。
以上、簡単でありますけれども、五つの事例を紹介させていただきました。次のスライドお願いします。
では最後に、まとめに代えてということで、私たち民間ユネスコの委員から少しコメントをさせていただければと思います。
では、髙木委員からお願いいたします。
【髙木委員】 民間ユネスコとして、「共に学び、共に生きる」ことを中心に置き、多様な科学分野を体験的に学ぶユネスコ教室の実践は、大学あるいは行政機関、NPO、企業等の皆さんもそうですけれども、各機関との連携、協力が不可欠だということであります。
【小池委員】 では、続いて押谷委員お願いいたします。
【押谷委員】 民間ユネスコ協会、ユネスコの活動なんですけれども、市民の方々と、今日もIOC、MAB、それからジオパーク等々の様々な各分野についての活動の御報告がございましたけれども、そのような活動の内容、それから、そこで議論されていること、そういうようなものを市民の方々により分かりやすく伝えていくこと。そういうことが、民間のユネスコ活動の役割ではないかなというふうに思っています。
コミュニケーターという言葉を使わせていただきましたけれども、以前はインタープリターというような形もお話をさせていただいたんですが、よりもう少しコミュニケーション、専門家の方々と市民の方々をつなぐために、私どもは地域のユネスコ活動を今後も進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【小池委員】 ありがとうございました。3番目は私なんですけれども、本日紹介しました民間ユネスコの取組は、予算的にも規模的にもとても小さなものばかりなんですけれども、地域コミュニティーのレベルにおいて、SDGsと科学を結びつける役割を果たすものではないかと考えております。
では最後に、鈴木委員お願いいたします。
【鈴木委員】 鈴木です。
様々な活動の中で、いろいろな立場のステークホルダーと連携をしていくというのは大変重要なことですけれども、それだけではなく、科学の分野が、教育の分野、文化・コミュニケーションの分野と連携することも非常に重要だと思いますので、まずは我々が、教育小委員会の委員の方々や文化コミュニケーション小委員会の委員の皆様と連携を図ることが、ユネスコ活動の発展に大きく寄与することにつながるのかなというふうに考えております。
以上です。
【小池委員】 鈴木委員、ありがとうございました。民間ユネスコからの科学分野における取組の報告は以上になります。どうも御清聴ありがとうございました。
【沖委員長】 上手におまとめいただきまして、大変ありがとうございます。
それでは、ただいまの御発表につきまして、コメント、御質問等いかがでしょうか。大谷委員、よろしくお願いいたします。
【大谷委員】 すばらしい取組の御報告、ありがとうございました。お写真も拝見して、皆さんの笑顔がすばらしいなと思ったんですけれども、今後、より継続的に発展させた取組を続けていくには、運営上でとても大変だったことや、垣間見えた問題点などを共有して解決していくことが重要かと思います。何かそういうものがあったら御紹介いただけないでしょうか。
【小池委員】 髙木委員、よろしいでしょうか。
【髙木委員】 例えば、今年度の計画ですと、冨山ユネスコの場合、3回の教室実施と、会員の勢力からしても限度なんですけれども、事前によく前年度のうちに協力いただきたい関係機関とすり合わせることが重要であると思います。なかなか最初は理解を得られない部分もあるんですけれども、こうやって一緒にやってみると、非常にそれが実感を伴って、科学分野においても連携が大事だということを御理解いただけるというふうに思って取り組んでおります。
以上でございます。
【大谷委員】 ありがとうございました。
【沖委員長】 ほか、いかがでしょうか。大島委員、よろしくお願いいたします。
【大島委員】 すばらしい取組を発表いただきまして、ありがとうございます。このような形で、いろいろな方々がユネスコを通して学びをしていくということは非常に大事なことかなというふうに思っています。このように今日発表していただいた様々な取組なんですけれども、これを是非いろいろな方々に知っていただくということも大事なのかなというふうに思います。そうすることによって、さらに、最後、いろいろなステークホルダーの方に参加を促したいということだったと思うんですけれども、そういう方々もこういう取組をすることによって、さらに参加して広がりが出てくるのかなというふうに思っております。
このような取組については、どのような形で周知であったりとかされているんでしょうか。分かる範囲で結構なので、教えていただけたらと思います。
【小池委員】 では、私の方から。日本ユネスコ協会連盟という全国の272あるユネスコ協会を束ねている組織があるんですけれども、そちらの方では、全国をブロックに分けて、そのブロックで研究会をしているんです。そのときに、ユネスコ国内委員会の報告として、この科学小委員会での私たちの発表内容もそこで報告して、全国のユネスコ協会の皆さん方にも知っていただくような努力はしております。
あと、それぞれの協会では、それぞれニューズレターとかあるいは会報を出して、こういった取組についてお知らせするとともに、なかなか難しいんですけれども、参加者の募集とかホームページとか、あるいは公民館にチラシを置くとか、何かいろいろちょっと苦労しながらやっているところです。
髙木委員はどうでしょうか。
【髙木委員】 すみません。富山の例で言いますと、子供たちの参加、今回は今年は親子での参加ということだったんですけども、教育委員会とも連携を図って、その趣旨を伝えまして、学校に周知をしてもらうと。そういう参加の呼びかけ方で、実はあまりお金はかかってないんですけれども、ほとんどそういう相互の理解の基に計画を立ててやっております。
あと、小池委員がおっしゃった報告については、そのとおりでございます。
【大島委員】 ありがとうございます。もし可能であれば、最近、インスタ等で、特に中学生はそういう形で情報を得たりしますので、ウェブであったりSNSなども是非活用していただくと、より広い形で皆さんに知っていただけるのではないかなと思います。すばらしい取組なので、是非多くの人に知っていただけるといいかなと思っております。ありがとうございました。
【小池委員】 どうもありがとうございました。
【沖委員長】 大野委員、よろしくお願いいたします。
【大野委員】 大野です。すばらしい取組の御紹介ありがとうございます。
私が大変気になったのは、下仁田ジオパークにおいて、ガイドさんのエキサイティングな案内というのがありまして、一体何を話したのだろうというのが気になるんですけれども、今の大島先生のコメントにもあるんですけれども、多分ジオパークのネットワークを使うと、それはかなりスムーズに周知ができるような気がしております。ですので、質問というよりはコメントになります。
実は、東北ブロックのユネスコ協会の方から、今回、私がおります鳥海山・飛鳥に声かけがございまして、少しずつ周知が広がってきたような気がしております。地域のユネスコ協会とジオパークとの連携事例というのはまだまだ数が少ないものですから、それこそジオパークの全国大会等で活動事例を御紹介されるとか、そういったことをしていくと、多分すごくビジビリティーが上がるような気がしております。
私も、使えるつてを使って、例えばJGN、あるいは日本ジオパーク委員会で、そういった地域のユネスコ活動を担っている団体とジオパークの運営母体が連携をして、自主的にユネスコ活動を頑張っている人たちの活動の支援や情報発信の手助けをしていくような働き方をしていきたいと思いますので、是非とも今後とも活動の継続をお願いしたいとともに、是非協力等もしていければと思います。よろしくお願いします。
【小池委員】 どうもありがとうございました。高崎ユネスコ協会の下仁田ジオパークのエキサイティングな案内というのは、実はこれは高崎ユネスコ協会の会報からいただいたものなので、私も聞いてみようと思います。
【大野委員】 例えば目の前にある山が、実は地層って古い方が下にあって新しい方が上にあるということがありますけど、下仁田ではそれが逆転しているというのは、非常に私の中ではエキサイティングです。本来、新しい地層の上に古い地層が乗っているという場所なので、そういうことに驚かれたのかもしれないですね。
【小池委員】 そうですね、ありがとうございました。
【大野委員】 ありがとうございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。大変いい議論がなされたかと思います。小池様をはじめする委員の皆様方、どうもありがとうございました。
<議題3 その他>
【沖委員長】 それでは、少し時間を過ぎてしまいましたけれども、ほかに審議する案件等ございますでしょうか。
それでは、用意いたしました議題は以上ですので、事務局からの連絡事項、よろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 皆様、本日はどうもありがとうございました。
会議の御案内ですけれども、既に御案内させていただいているとおり、今週の金曜日、9月6日、2時から4時の時間で、第155回日本ユネスコ国内委員会総会が開催予定となっております。本日の議論につきましては、沖委員長から御報告いただく予定でございます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【沖委員長】 ありがとうございました。それでは、少し時間を超過してしまいましたが、これで本日の会議を閉会とさせていただきます。御多忙の中、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
国際統括官付