令和6年2月9日(金曜日)14時00分~16時00分
オンライン開催
(委員)
沖委員長、道田委員長代理、押谷委員、小池委員、治部委員、髙木委員、藤田委員、溝内委員、渡邉委員
(事務局)
渡辺事務総長(文部科学省国際統括官)、匂坂副事務総長(同省国際統括官付国際交渉分析官)、本村事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、小野事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官
【沖委員長】 本日は御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、事務局は定足数の確認をどうぞよろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 失礼します。本日は出席の委員が9名で、委員の過半数ですので定足数を満たしております。
また、報道及び一般からの傍聴を受け付けさせていただいております。報道関係者の取材は、読売新聞社及び文教ニュース社から取材申込みがございましたので、予めお知らせいたします。
また、取材及び傍聴の方はカメラをオフ、マイクをミュートのままにして傍聴ください。もし、カメラ及びマイクがオンになっている方がいらっしゃいましたら、事務局の操作でオフにさせていただいたり、もしくは御退出いただくことがありますので予め御了承ください。
さらに、本日御出席の委員におかれましてはカメラを皆様、オンにしていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
また、御発言以外の際はマイクをそのまま、ミュートのままにしておいていただけますと幸いです。そして御発言いただく際は、お名前をおっしゃっていただいてから御発言いただきますようお願いいたします。なお、御発言は議事録としてそのままホームページ等で公開させていただきますので御承知おきください。
以上です。
【沖委員長】 それでは、ただいまより第10回科学小委員会を開催いたします。議事に先立ちまして、委員及び事務局の異動について事務局から御報告よろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 失礼します。委員の異動につきまして御報告いたします。配付資料の参考資料1を御覧ください。昨年12月1日付けで2名御異動があります。大野委員と河野委員でございます。国内委の任期が満了いたしましたので、特別委員ということで任命されております。なお、本日はお二人とも御欠席と伺っております。
次に、事務局につきまして御報告させていただきます。昨年8月8日付けで渡辺正実文部科学省国際統括官、日本ユネスコ国内委員会事務総長が着任しております。次に、4月1日付けで匂坂克久文部科学省国際交渉分析官、日本ユネスコ国内委員会副事務総長、次に、8月8日付けで本村宏明文部科学省国際戦略企画官、日本ユネスコ国内委員会事務局次長が着任しております。また、5月1日付けで私、小野が着任しております。最後に、4月1日付けで鶴岡泰二郎、ユネスコ第三係長が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。それでは続きまして、本日の会議の配付資料につきまして、事務局より御説明よろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 配付資料の最初のページを御覧ください。本日皆様、沖委員長以外、傍聴の皆様、委員の皆様はオンラインで御出席いただいております。配付資料はPDF1本でお配りしておりますので過不足はないかとは思いますが、もし御不都合がありましたら挙手にて事務局までお知らせください。
なお、配付資料につきましては、御覧のとおり資料1-1から1-4、資料2となってございます。その他、参考資料が1から4までございます。
以上です。
<議題1.最近の科学分野における動きについて(報告)>
【沖委員長】 それでは早速ですが、議題の1「最近の科学分野における動きについて」に入ります。本議題では、前回の報告以降、昨年8月以降のユネスコにおける科学分野の取組等につきまして情報共有を行いたいと思います。
なお、質疑応答につきましては報告が終わった後にまとめてお願いしたいと存じます。まず、事務局から御報告よろしくお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】 失礼いたします。事務局から配付資料のうち、今、御覧になられています資料1-1、1-2、1-3について、まとめて御説明させていただきます。ボリュームがありますので少々お時間を頂く形になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、資料1-1ですけれども、これ毎回、委員会で御報告させていただいておりますユネスコ活動の報告ですが、前回の会議以降の活動になりますので対象期間が昨年の8月から今年の1月までとなってございます。まず、IOCでございます。概要のページは割愛していただきますので、次のページから御覧ください。
各プログラムにつきましては沖委員長はじめ、各分科会の主査の先生方等、本日御参加いただいておりますので、詳細はこの後、補足を頂きたいと思いますので、私からは項目だけさらっと、かいつまんで御説明させていただきます。
まず、太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループ、ICG/PTWSと呼んでいますけれども、第30回の会合が昨年9月にトンガで行われております。気象庁から御参加いただいておりまして、牛田調整官が代表として参加され、西前調査官が議長として御参加されております。議題は御覧のとおりですけど、主に、地震でない場合の津波等についてタスクチームが新設されております。また、議長、副議長の選考が行われまして、西前議長が無投票で再選されておられます。
次に、WESTPAC、西太平洋小委員会ですけれども、こちらは脇田調査委員、IOC分科会の調査委員が二つ、アドバイザリーグループのメンバー、それから海洋空間計画の専門家グループのメンバーに御選出されております。また、会合としましては早速、その空間計画の専門家会合が11月に中国の青島で開催され、先生が御参加されております。
次のページ御覧ください。このWESTPACの会合について、国際海洋科学会議と10年の西太平洋地域の会議がこの4月にバンコクで開催予定となっております。環境省からもマイクロプラスチックの関係で発表予定と伺っております。また、この関係で政府の会合がありまして、こちら来年の予定ですけれども、日本、東京でホストをする予定になってございます。
次にシンポジウムですけれども、社会経済的側面を含む海洋環境の現状に関する世界的な報告及び評価のための国際的なプロセスということで、昨年の12月に道田先生がパリのユネスコ本部でのシンポジウムに参加されておられます。それから10年の推進の関係ですけれども、Decadeの10年のアドバイザリーボードが立ち上がりまして、そちらに東京大学の齊藤先生、IOC分科会の調査委員をしていただいていますけれども選出され、1月の会合に早速御参加されておられます。また、大きな会議としまして、この4月にバルセロナでこのDecadeの3年を振り返る会議がございまして、各課題に対するホワイトペーパー等が今コメントを募集中になっておりますけれども、それの取りまとめがこの会議で行われる予定でございます。
それから最後にIOCの役員会議ということで、道田先生がIOCの議長になられまして初めて、議長と副議長、事務局の新しい事務局長含めた事務局メンバーと、次のこの6月に執行理事会がありますけれども、それに向けて各事業の進捗状況等のレビューを行い議題の整理をされたと伺っております。後ほど詳しく補足の説明を頂ければと思っております。
次に、IHPに移らせていただきます。概要のページは割愛させていただきますので、次のページをお願いいたします。
IHPは、2022年から29年までの8年間の第9期の戦略計画に基づいて現在、モニタリング等が実施されております。そちらの会議に八つテーマが、この戦略に沿って八つの分野のワーキングループが立ち上がっておりまして、IHPの分科会の各先生方にそれぞれ御担当いただいておりますけれども、今月29日にフォローアップの全体の会議があるとユネスコから連絡が最近まいりましたので、そちらが大きな節目になるかなと思っております。この6月に政府間理事会会合が予定されておりますので、それに沖委員長と出席して対応してまいりたいと思っております。
次に、アジア太平洋地域の運営委員会ですけれども、こちらの同じく調査委員で立川先生が事務局長担当されておりまして、11月まで御貢献いただいておりました。その後、佐山先生に、こちらの調査委員をしていただいておられますけれども、交代されてございます。
また、CHA、水文学分析カタログの編集委員長を小林調査委員が御担当されておりまして、アジア各国の地下水の管理等をまとめる原稿の最終調整と伺っております。
それから大きな会議としまして、昨年の3月に国連水会議がありました。それのフォローアップとして、テーマ別討議の3番の会議が昨年11月のカイロ水週間、それから12月のCOP28等で対応してございます。
また、この5月にジャカルタで世界水フォーラムが開催予定でございますので、これに向けて分科会としても沖先生と御相談してまいりたいと考えております。
それからその他の会議ですけれども、国土交通省で、昨年8月のストックホルム世界水週間、同じくCOP28、12月のものですけれども、に対応されて日本の経験や技術を情報発信されてこられたと伺っております。
それからICHARMですけれども、次のページに跨りまして、修士課程、博士課程の学生を受け入れられておりますけれども、昨年は修士12名、博士2名が無事学位を取得されたと、それから新たにそれぞれ13名、4名の学生を受け入れられたということでございます。
それからプロジェクトとしましては、国際洪水イニシアティブ、IFIの活動に関しは、各国での設立の支援を行われていると、インドネシア、ベトナム、タイということでございます。
それからユネスコチェアが二つございます。筑波大学のモンゴルにおける持続可能な地下水マネジメントの関係、それから京都大学を中心とした教育研究機関で行われております水・エネルギー・災害研究に関するユネスコチェアです。特にこちらのWENDIでは、ユネスコエコパークを対象としたフィールド学習をカリキュラムに取込まれて、MAB計画との連携も図られていることで分野間の連携も行われてございます。
最後に1番下、IHPのトレーニングコースですけれども、こちらも京都大学の防災研究所においてオンラインで会議が開催さ32名の受講が行われております。
次はMAB計画になります。概要のページは割愛させていただきます。
文部科学省で、委託事業で日本自然保護協会さんへお願いして事業、ワークショップを開催して、次のページになりますけれども、第1回から第7回まで記載させていただいております。実は第6回が今、この時間の裏で行われているのでちょっとだけかぶってしまいましたけれども、国内外の事例を国内の各ユネスコエコパークないしは関心のある自治体等に向けて情報、ノウハウの共有、グッドプラクティスの共有を図らせていただいております。それから11月3日には国際ユネスコエコパークの日ということで、各エコパークでそちらにございますような活動が行われております。
こちらもユネスコチェアがございます。一つが横浜国立大学で2022年4月に設立されております。それからもう一つは金沢大学で、昨年設置されております。割と二つとも新しいですけれどもアクティブに活動されておられます。特に金沢大学のユネスコチェアに関しましては、学生の派遣として、派遣1、2、3とございますけれども、フィンランド、ドイツ、フランスへそれぞれ学生を派遣するとともに、昨年のユネスコ総会でユネスコと日本のESD賞の表彰式がございましたけれども、こちらを受賞されておられます。これはまた後ほど総会の御説明でも詳細を説明させていただきます。それから、大学間のネットワーク、霞が関見学デー等の活動もさせていただいております。
次にユネスコ世界ジオパークをお願いいたします。まず、ユネスコ世界ジオパークは4年に1度再認定の審査がございます。今、国内に10地域ございますけれども、その中から4年に1度のタイミングでそれぞれ再認定審査を受けますが、昨年は7月にアポイ岳、洞爺湖有珠山、室戸の3地域が対象となっておりまして無事グリーンカードとして、再認定が認められてございます。ただ、その前の年に山陰海岸がイエローカードを受けておりましたので、その対応が必要になってございます。イエローカードを受けますと4年ではなくて2年後に審査がありますので、それが今年に当たります。まず、1月にプログレスレポートを提出してございまして、この夏に現地審査として、ユネスコの審査員が現地に日本に来て審査を受ける予定になってございます。
それから、ジオパークの全国大会が昨年10月に銚子で開催されております。秩父もサテライト会場ということでしたけれども、特にユースセッションで国内委員会に設置している次世代ユネスコ国内委員会のメンバーも含めて参加しておりまして、現地で高校生や大学生等、ジオパークの関係者といろいろ意見交換や交流の機会を持たせていただいております。
それから、ジオパークの関係では日本ジオパークネットワークと専門家の会議であるジオパーク委員会というのがございますけれども、特に先ほどの山陰海岸が特に地質物品の販売の観点からもイエローカードを受けていることもあって、その辺りを国内でも共有しようということでいろいろと意見交換やオンラインの研修会を行っております。
あと、その他の活動としまして、ユネスコで勧告が、三つありますが、そのうちオープンサイエンスに関する勧告とAIに対する勧告がそれぞれ令和3年にユネスコ総会で採択されております。そのフォローアップとして、オープンサイエンスつきましては、日本でテーマ別の作業部会を開催して、昨年12月には一つ、そちらにございますOpen Science Outlook 1というものを発行しております。
また、AIに関しましては、外務省で信託基金を通じてアフリカ、小島嶼開発途上国、SIDSと呼んでおりますけれども対象の支援を行っております。
また、同じ勧告の関係ではニューロテクノロジーの倫理に関する勧告というものを作ろうということで、昨年のユネスコ総会でそれが決定されまして、今、専門家の会議を立ち上げて、勧告のドラフトを行い、来年各国のコンサルテーションを受けて、2025年ユネスコ総会で採択ということを目指しております。
最後にシンポジウムですけれども、持続可能な社会の構築における科学の役割を考えるというテーマで、昨年12月に国連大学で開催されております。こちらにはユネスコ国内委員会、文部科学省、外務省、環境省も後援させていただいております。ユネスコ国内委員会からは、沖IHP分科会主査、道田IOC分科会主査、渡邉MAB計画分科会主査、それからそれぞれの分野に関係する実践を行っておられます専門家の皆様が御参加されて分野間の連携の可能性、それから市民の理解、参画の促進について活発な意見交換が行われてございます。こちらについても後ほど各主査からお話があるかと思います。
資料1-1につきましては、以上になります。
次に資料1-2をお願いいたします。こちら、昨年11月にパリのユネスコ本部で行われました、第42回ユネスコ総会に関する報告になります。特に科学分野に絞って御報告させていただきます。
まず、各国の首席代表が演説を行います一般政策演説が行われました。日本からは盛山文部科学大臣が御出席し、一般政策演説として、国際情勢の変化を踏まえ、世界が歴史の転換点にある今こそ平和への貢献とユネスコの目的に立ち返る必要性について各国へ呼びかけました。また、イスラエル・パレスチナ情勢に触れて哀悼の意を表しまして、ユネスコに対してガザ地区における人道支援の必要性を言及しました。
それから各議題についてですけれども、ユネスコの次の2年、2024年-25年の事業・予算案が審議されまして、科学分野につきまして、アメリカが昨年7月に再加盟を果たし、それで予算が戻ってきたということで全体として予算が増えております。そちらにございますとおり、次のページの1番上ですけれども、およそ28%増えております。この中でも特にIOCにつきましては、この前の執行委員会から、予算を増やすべきという議論が積み上げられておりまして、それも踏まえてこの28%を大きく上回って倍近い予算増となってございます。
そしてもう一つの議題としまして、先ほどのニューロテクノロジーについて、同じ話ですけれども2年後の総会で採択を目指すということでございます。
最後にサイドイベントとしまして、これも先ほどの話ですけれども、ユネスコ/日本ESD賞の表彰式がございました。日本からは濵口日本ユネスコ国内委員会会長が代表して開会式で御挨拶をされておられます。受賞されたのは金沢大学のプロジェクトで、日本のユネスコエコパーク及びジオパーク内の遠隔地域活性化を目的とした世代間学習を行っている事業でございます。こちらも、ESDと、それからユネスコエコパーク、ユネスコ世界ジオパークとの連携ということで分野間の連携の優良事例かと思います。
次のページお願いします。総会では下部機関、ユネスコの中で様々なプログラムがあり、ユネスコエコパークやIHPもその一つですけれども、その選挙がございました。ユネスコエコパークはMABと呼んでいますけど、MABとIHPは一つ前の総会で日本は再選を果たしておりまして、任期は4年ですので今回は対象となっておりません。今回は一つ、科学の関係では政府間生命倫理委員会、IGBCが対象となってございまして無事再選を果たしております。このIGBC政府間の会合ですけれども、専門家の会合としまして国際生命倫理委員会、IBCというものがございます。こちらは本日御出席の藤田委員が委員を務められておられます。ちなみに、このIBCとIGBCの会合が昨年9月にユネスコのパリで開催されて、藤田委員が御出席されております。もし補足がありましたら後ほどよろしくお願いいたします。
最後に、資料1-3を説明させていただきます。予算の関係ですけれども、科学の関係ではユネスコに信託基金を長年にわたって出しております。小さくて恐縮ですけれども、右上の数字を御覧いただければと思います。令和5年度の予算は4,200万円ですが、今国会に提出しています政府の予算案としまして、2,900万円増の7,100万円としております。
主な内容としましては、下半分の事業内容を御覧いただければと思います。特に先ほど御説明させていただきました、ニューロテクノロジーの関係の支援として新規に計上してございます。もう一つ、IOCも10年を推進するということで、また道田主査がIOCの議長になられたこともありますので、日本としてもこちらの分野は特に力を入れていきたいということで、特にSIDSの能力開発、連携強化ということで新規にプロジェクトを計上してございます。
私からの御説明、事務局からの御説明は以上となります。
【沖委員長】 ありがとうございました。ここで質疑の前に、各分科会に所属されている委員の皆様方やユネスコのこの会議等に参加されました委員の方々から補足を是非頂戴したいと思います。
まず、IOCにつきまして道田委員、議長にもなられたということで少しお話しいただければと思いますが、お願いできますでしょうか。
【道田委員長代理】 東京大学、道田でございます。幾つか簡単に補足を申し上げたく思います。
一つは今、ユネスコ総会の件でも言及がありましたけど、IOCに対する予算増というのがお認めいただいておりまして、6月以降、議長を務めている立場から大変喜ばしく歓迎しているところでございます。せっかく増額していただいた予算を適切に使用してIOCの事業の推進に向けて努力してまいりたいと、こういうことでございます。
具体の事業のうち、幾つかですが、先ほど太平洋の津波警戒・減災システムのことがございましたけど、関連してこの2月、間もなく、再来週ですか、にそれの一つ上の会議、上の会議というのは津波の減災システムが今、四つの海域にIOCで作られていますけど、それらをまとめて津波及びその他の海面変動に起因する災害に関するワーキングループ、TOWSと言っていますけど、これの会議が仙台の東北大学を会場に、日本がホストとして開催される予定になっています。担当はインドから出ている副議長のスリニバースさんですけれども、この方が議長をされて、我が国からは先ほどにも名前が出ておりました気象庁の西前PTWS議長ほか、多数の参加が見込まれるということになっています。それが1点。
二つ目は、IOCの項の最後のところにお話がありました、私が初めて議長を務めるIOCの役員会議というのが先月末に行われまして、その席は先ほど来、申し上げている増えた予算をいかに適切に活用するのかという議論が行われたほか、現在の事務局長のウラジミール・リャビニン氏は今月末でもって任期満了になります。3月1日からは新しくヴィダー・ヘルゲセンさんというノルウェーの方、現在、ノーベル財団の役員をされている方ですけど、この方が3月1日着任ということで、今回の役員会にオブザーバーでしたけれども3日間ともフルに次の事務局長も参加されて議論に加わっていただいて、今度新しく彼の下で事務局体制も更に強化しつつ進めてまいりたいと結論づけられたところであります。
私からの補足、以上でございます。ありがとうございました。
【沖委員長】 ありがとうございます。引き続きIHPにつきましては先ほど御紹介いただいたとおりでありますけれども、特筆すべき点としましては昨年3月の国連水会議、UNウォーターカンファレンスというのが、これはもう国連全体の会議ですが1976年から47年ぶり、ほぼ半世紀ぶりということで開催されたということですが、国連事務総長特使というのを設定して、もう少し国連組織内での水に対する意識を上げようというのが今のところの結論なりましたが、私が先日聞いたところでは3年に1度やるようなことを今、国連水会議についても考え始めたと。そうなりますと国連の水に関する連携組織であるUNウォーターの実質的な事務局を務めるユネスコ、その中での水プロジェクトのIHPが実質的に切り盛りしていくんだろうなと思われます。
また、関連する行事といたしまして、先ほども御紹介ありました第10回の世界水フォーラムというのが今年の5月の半ば以降にインドネシアのバリで開催されます。ここにも全力を尽くして、特にアジア太平洋地域の水管理に関する日本からの提言主導、そして気候変動や激甚災害、水災害に対する適応等についての提言、あるいは国際的な動きを取りまとめていくことが行われていくと思います。
その他はこれら御紹介いただきましたプログラム、それぞれICHARM、つくばの土木研究所ですが、それから筑波大学、京都大学の先生方が非常に御尽力いただいて成し遂げているということで御紹介させていただきたいと思います。
続きまして、MABにつきまして渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】 ありがとうございます。MABの関係です。7ページからMAB計画についての説明があって、先ほど小野さんから説明いただきました。1点補足です。
日本のMABは全部で10地域、エコパークの認定が行われています。そのうち、只見と南アルプス、この2地域は2014年に登録をされていてちょうど10年目を迎えています。ということを受けて、10年に一遍行う定期報告というのをユネスコに提出することが必要になっていまして、今、その定期報告の中身について分科会でも議論し、エコパークの現場に意見を伝えているところです。
それからもう一つ、志賀高原になります。志賀高原は2014年に移行地域の拡張認定を受けています。そこから10年が経ちました。志賀高原については2014年の認定の際に国際調整理事会で出た指摘も受けて、さらに今回、区域を拡張する申請をしようということで今、準備を進めていまして、その内容についても分科会で議論をして志賀高原に分科会としての意見を伝えているところという状況であります。
それから資料1-1の1番最後に、その他のところで、先ほど小野さんから国連大学で行われたシンポジウムの紹介がありました。IHP、IOC、MABという三つのプログラムの間の連携を深めていこうという話を受けて、このシンポジウムが行われて国際的な議論、それから現場での動きを結びつけながら分野間の連携と市民科学の重要性ということが議論として行われました。この分野間の連携、非常に重要なテーマだと思いますので、このシンポジウムを一つの契機にして具体的な分野間連携の活動というのを一つ一つ展開していくことができたらなと思っています。その中でユネスコエコパークあるいはユネスコ世界ジオパーク、あるいは地域のユネスコ協会の活動と、そういった現場レベルでも、この分野間の連携というのを意識した活動展開が行うことができたらと考えているところです。
私から以上です。ありがとうございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。ただいまの1番最後のシンポジウムについて、もし道田委員から補足がまたございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【道田委員長代理】 道田でございます。ありがとうございます。今、渡邉委員の発言をお聞きして、私も何か言うべきことがあったなと思って失礼いたしました。
このシンポジウム、今、御説明があったとおりですけれども、一つは私がIOCの議長を務めているということもあって、日本の国内で3分野の連携を強化して、そこで何か具体的なものを一つ動かして、できればそれをベースにそれぞれの国際の場に提案をしていくということをしていけるといいかなと。せっかくあるユネスコの科学3分野、IOCも含めて3分野ですので、どこか、いろんな切り口あろうかと思いますけれども協力すべきところ、たくさんあると思いますので、その中で、これというものを関係者の皆様方の議論の中で、なるべく早くいいものを構築して具体の作業をできればいいかなと思っておりますので、私としてもできることはいたしますのでどうぞよろしく御協力をお願いいたします。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。この後、質疑の際に、是非委員の皆様方から科学、主に3分野ですけれどもその連携、ユネスコ本体から連携というのももちろんアイデアはあるのかもしれませんが、なかなか本体、組織も大きいので小回りが効かないところ、日本でグッドプラクティスができましたら、それを逆にアジア、そして世界に広げていくというのは一つ良い戦略なのではないかと思いますので、皆様方、アイデアを出していただければと思います。
その前に、先ほどお話がありましたIGBCに藤田委員が御参加だったということですが、補足ございますか。お願いいたします。
【藤田委員】 ありがとうございます。私自身が所属しているのはIBC、国際生命倫理委員会でして、それとCOMESTと呼ばれます科学技術、私のおります医療関係よりもっと広く取った科学技術の倫理に関する委員会もありまして、これがCOMESTと呼ばれております。あと、政府間の生命倫理委員会としてIGBCがありまして、これが全部同時に合同開催されたのが昨年の9月の会議でありました。
実は昨年の会議というのは、IBCは30周年、あとIGBCとCOMESTは25周年であるということで、これを記念するパネルが開催されまして、ユネスコで作成されたこれまでの各委員会の活動を振り返る動画等十数分のものをみんなで振り返るということを行いました。
あとは、IBCとCOMESTというのはそれぞれ2年に2本、報告書を作成しております。その一区切りとなったのが昨年でして、公開の会議でIBCとCOMESTが合同でパンデミックにおけるグローバルヘルスの課題、科学と社会という共同発表を行いまして、次いでIBCが連帯と協力の原則、COMESTが気候工学の倫理に関する報告書の作成と経過について報告を行いました。
これについて活発な意見交換が行われましたが、特にこれはCOMESTの報告だったんですけれども、気候工学の倫理については非常に活発な議論が行われまして、というのも何もしなければ温暖化は危機的に進むけれども、期待される技術、例えば微粒子を散布して太陽入射光を減らすとか、そういったことの影響というのは非常にリスクも不明であり、非常に困難な選択が迫られていると。そういう中、国際協議を行う場としてユネスコは相応しいのではないかということが会場で確認されました。
IBC単独による、これから2年、どういった報告書を作成していくかという議論が行われましたけれども、その中で連帯と協力の原則、COVID-19からの教訓という最終的な報告書、まとめたことを確認した上で、次の2年につきましては、メンタルヘルスのことと合成生物学、この2つをテーマに報告書を作成していくのはどうだということで、この会議の後、今、意見がまとまりつつあるところです。
私からは以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。この後、質疑に入る前にもう1件、資料1-4につきまして、小池委員から民間ユネスコにおける市民の科学リテラシー向上のための取組について御報告いただきたいと思います。
小池委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【小池委員】 本日はどうも貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございます。民間ユネスコでは、ここに書きましたように、科学教室の開催や、ユネスコスクール等の連携等をつうじて、市民の科学的探究心の醸成、市民の科学リテラシーの向上、ローカルな知の再発見等、サステナビリティ・サイエンスの発展に貢献する活動に取組んでいます。本日は、その中から最近の動きとしまして、富山ユネスコ協会、港ユネスコ協会、浜松ユネスコ協会、杉並ユネスコ協会、江別ユネスコ協会の活動を紹介させていただきます。本日は私のほか、髙木要志男委員、そして押谷一委員、この3名で報告をさせていただきます。
では初めに、富山ユネスコ協会の取組について髙木委員から報告させていただきます。髙木さん、よろしくお願いします。
【髙木委員】 富山ユネスコ協会の髙木でございます。スライドを御覧になってください。2023年6月10日、富山県立大学DX教育センターで体験型ワークショップ「気候変動と水のめぐり」を行いました。目的は、小学生を対象とした気候変動教育の適用にフォーカスをして、流域治水について学ぶ機会を設けたいということでございます。第1部では気候変動や水循環の事象を体感的に習得するため、大型スクリーンでの水循環のバーチャル動画を視聴した後、ペットボトルで雲を作る実験をいたしました。
第2部では、富山県立大学の吉見和紘先生と研究室の学生の製作によるジオラマを使って実験をしました。流水量を計測する係、その計測したデータを入力する係、流域の途中に治水と見立ててスポンジを置く係等を決めまして三つのグループのデータをグラフ化いたしました。右下にある写真は、吉見先生がグラフ化したデータを子供たちに説明をして、ここから何が読み取れるのか、考えさせられているところであります。
次のスライドをお願いいたします。第3部は、気候変動により災害リスクが増えていることを理解するため、ハザードマップに自分の住んでいるところをプロットし、自分たちでできるアイデアはないか、考えて紹介することにしました。子供たちは積極的に考えたことを紹介して、あと、参加を希望した大人もおりまして、子供たちの教室が中心ですが、参加を希望した大人の皆さんも真剣に考えてみました。
ワークショップに参加した子供たちの感想です。ジオラマで実験することで治水・防災の大事さを理解することができた、スポンジを置くだけで水の量がすごく減ることが分かった、などの感想がありました。次に、大人の感想ですけれども、子供たちが生き生きとして学ぶ姿、大学生との交流がとてもすてきだったと、難しいテーマだったけれども雲づくり、ジオラマ実験でつなぎ、楽しく学ぶことができた、流域治水について考えさせられた、などの感想がありました。水分野について水資源管理や水害対応等、地球規模の課題の解決に向けたこの見方や考え方を培うことができるよう、民間ユネスコとしても本事例のようなワークショップを通じて今後も取組みたいと考えております。
私からは以上でございます。
【小池委員】 髙木委員、ありがとうございました。
では続きまして、私から全国各地のユネスコ協会の取組の中から四つの事例を紹介させていただこうと思います。
初めは港ユネスコ協会、東京の港区ですけれども、これは「東京の森川海を知る」というもので港区教育委員会と東京海洋大学の共催で実施したものです。区内の小・中学生や社会人等約60名が参加しました。当日は東京湾の運河と隅田川をクルーズした後、羽村取水堰と狭山湖を散策し、東京の森川海のつながりについて考えました。
右側は浜松ユネスコ協会のユネスコ科学教室「水と生命~微生物とホタル」です。当日は浜松科学館みらいーらというところで、家の近くの川や田んぼで採取してきた水を顕微鏡で観察しました。また、暗い部屋に移動してゲンジボタルとヘイケボタルの大きさや発光のタイミングを比べたり、オスとメスの発光器の違いを観察しました。
左下になります。杉並ユネスコ協会の科学教室「五感でさぐる夏の役立ち草と毒草」では、東京都薬用植物園の池村国弘先生から、食べておいしい野草、食べられなくはない野草、食べちゃいけない野草といった野草の見分け方や活用方法について学びました。その後、実際に近くの高井戸地区センターの川沿いの道端で植物観察をしたそうです。むかごを食べたり、花の蜜を吸ったりしたということです。昔の人は、食べられる植物や毒草に関する知識もそうですが、様々な植物を薬草として利用していました。そうした先人の知恵は本当にすごいものだと思います。
そして、最後が右下になりますが、江別ユネスコ協会の子供科学教室です。これについては、江別ユネスコ協会会長の押谷委員から報告させていただきます。
押谷さん、よろしくお願いします。
【押谷委員】 よろしくお願いいたします。私、江別ユネスコ協会というところに所属しております、押谷と申します。貴重な時間を頂きまして、どうもありがとうございます。
私の所属している江別ユネスコ協会は札幌市の隣町、江別にあります。人口はおよそ12万人ですけれども、市内に四つの大学と一つの短期大学がございます。それぞれが農業、情報、あるいは教育文化とか社会科学とか、それぞれが特色ある教育研究を行っておりまして、私ども江別ユネスコ協会では所属されている大学の先生方、専門家、研究者の方々を講師にお呼びして講演会等を実施しているところです。
今年度は、初めての企画でございましたけれども、小学校5年生、6年生を対象に環境問題の専門家、3人の方をお招きいたしました。
お一人は気象気候研究室の先生でございまして、地球の気温が上がるのはなぜ、そしてどうなるのというお話を頂きました。さらには水質化学研究室の先生から、私たちの飲んでいる水のことを考えるためにパックテストという簡易の水の水質分析ができるキットを使って立体的な科学教室を行いました。それから、北海道の湿地、川、湖、海、いわゆる生物多様性のことについての講義をしていただきました。
私どもとしては、このような形で子供向けの教室をして環境問題、これを身近な問題として、そして我が事としていただくことを目的として開催してまいりました。今後もこのような形で進めてまいりたいと思っております。民間ユネスコの活動はこうした大学、あるいは研究機関の専門家の方々の研究者をお招きして市民に対して、正しい知識を伝えていく役目を持っていると考えております。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【小池委員】 押谷委員、ありがとうございました。最後に、こうした取組を通じて私たち、民間ユネスコの委員が感じていることにつきまして少し発言させていただきたいと思います。
まず、髙木委員いかがでしょうか。
【髙木委員】 大変申し訳ございませんが、スライドをもう1枚、もう1度共有していただくこと、できますでしょうか。この一つ手前のスライドをお願いいたします。ありがとうございます。
ここの、このスライドの1番下に、大変小さくて恐縮ですけれども箱、枠囲みで、共催が例えば環境市民プラットホームとやま、後援がESD活動支援センター、北陸ESD推進コンソーシアム、また、協力が県立大学、また、流域プラットフォーム神通川、神通川流域治水プロジェクトメンバー、大学、そして株式会社と、こういった形でたくさんの方々の協力を得て連携することができました。私たち、民間ユネスコができることはなかなか限られているんですけれども、サステナビリティ・サイエンスの発展に貢献するためにはユネスコスクールはもとより各学校との連携、それからこうしたNPO、大学等の研究者の皆様、企業の連携、こういう行政も含めて連携、協力体制を築くことが大切だと思いますし、これは有効であると考えております。
私から以上でございます。
【小池委員】 ありがとうございました。次に押谷委員、いかがでしょうか。
【押谷委員】 ありがとうございます。先ほどの話にもつながってしまいますけれども、地球沸騰の時代と言われるように温暖化というのは非常に深刻さを増している中で、そしてさらにその分野、あらゆる分野に影響がおよび、さらには地域紛争になってくるということで、私ども、民間ユネスコもそのようなことに関心を寄せていきたいと考えているところでございます。
先ほど様々な活動、国際的な活動の御報告がございましたけれども、私ども市民一人一人がどれだけそのことに関心を持っているのかということについては、若干十分ではないような印象を受けておるところでございます。そのためには、そしてその対策においては市民一人一人が正しい知識を持って、そして何か一人一人が取組んでいくことが必要になっていることは申すまでもないわけですけれども、そのためには研究者、専門家によって正しい知識を市民一人一人に伝えていくことが求められてくると思います。
以前、私も総会の場で申し上げましたけれども、私ども民間ユネスコ活動というのは、専門家、研究者の方々の御研究、あるいは御議論を易しく市民の方に伝えていくインタープリンター、通訳者としての役割を果たすべきではないかと考えているところでございます。ただ、私も大学に所属しておりましたけれども、研究者あるいは専門家がどれだけ市民の方々にそういうことをお伝えできているのかということについては、甚だ限定的であるように感じております。
そのために、文部科学省におかれましても管轄される科学分野の研究、教育機関に対しての所属されている専門家、研究者の皆様にユネスコという活動に対して、従前にも増して一層の御理解と御協力を頂くように呼びかけていただければ幸いだと考えております。それらを通じて、私ども民間ユネスコも積極的に市民との間を取持つインタープリンター、通訳者の役割を果たしてまいりたいと思っております。今後とも御支援のほど、よろしくお願いいたします。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【小池委員】 押谷委員、ありがとうございます。最後に私からですけれども、今回御紹介した取組は自然科学分野のものが中心でしたが、各地のユネスコ協会では人文社会科学の分野においても様々な取組が行われています。昨年度、この科学小委員会で報告させてだきましたけれども、東北ブロック研究会では縄文文化に関する研究を紹介させていただきました。各地ではローカルな文化を伝える活動や里山の保全に関わる活動等も行われています。こうした人文社会科学分野における取組もサステナビリティ・サイエンスの発展においては大変重要なものではないかと考えている次第です。
民間ユネスコからの報告は以上になります。本日はどうもありがとうございました。
【沖委員長】 ありがとうございました。それでは今、以上の御報告を受けまして御意見、御質問頂戴したいと思います。せっかくですので御参加いただいている委員の方、先ほど御発言いただいた方も含めて、是非コメント、質問していただければと思いますがいかがでしょうか。御意見ございます場合にはどうぞ挙手ボタンでお知らせください。よろしくお願いいたします。
治部委員、いかがでしょう。お願いします。
【治部委員】 ありがとうございます。挙手のボタンが分からなかったので、ありがとうございます。
私、こちらの先ほど押谷委員等々からお話ありました、民間のユネスコ活動というものに非常に素晴らしいなと思ってお聞きしております。個人的にも水辺とか緑のところを歩くのが好きであることに加えまして、そういう単純に楽しいとか、心地いいということと科学とか地球規模の課題が上手くつながっていくということで、とても重要な科学コミュニケーションの活動ではないかなと考えている次第です。
また、ユネスコという機関はほとんど全ての国民が聞いたことはある、何だか良さそうであることは分かっているんですけれども、あまりにもその規模が大きいものですから一般の方というのはどうしても国際報道が縁遠く感じてしまうところもありまして、それが一体、自分たちの生活とか、国内の政策にどう結びついているのかということがなかなか身近に感じられないところがございます。そういった中で、民間ユネスコの活動というものは遠い国際的な枠組みと身近なものとを上手くつなぐような、とても素晴らしい取組だなと思っている次第です。
私がお伺いしたいのは、そういった皆様の御活動にどういった年齢層もしくはどのような属性の方が参加されているのか、結構、子供と一緒に参加したら楽しいかなと思うようなものもあったんですが、大人もいるのか、例えば中高生がいるのかといったこともお伺いしたいと思います。
と申しますのが、私、個人的に今、東京工業大学というところで勤務しておりまして、私自身は文系ですけれども、いかに子供たちに対して科学への関心を持ってもらうか、また、それがひいては理工系への進学にどうしたらつながるかといったようなことを仕事で考えるような立場にあるものですから、そういった皆さんのような御活動が何か子供たちの将来を考えるようなところに結びついているのや否や、もしくはそんなマイオピックなことではなくて、もうちょっと広く科学への関心をということかもしれないんですけれども、その辺り、参加している方の属性ですとか、例えば継続参加があるとか、その後の参加がなかなか課題であるとかといった辺りのところをお伺いできればなと思いました。
【沖委員長】 ありがとうございます。各地のユネスコ協会における取組についての御質問がもしあれば併せてお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいようでしたら、髙木委員あるいは押谷委員、あるいはお二人の方から簡単に今の治部委員の質問に対してお答えいただけますでしょうか。その後に溝内委員、お願いいたします。
【髙木委員】 富山ユネスコの髙木です。ありがとうございました。今回紹介した気候変動と水のめぐりのこの教室につきましては、小学生、中学生がほとんどでございます。ただ、ユネスコの会員といいますか、会員の皆さんも子供たちがどういうふうにこういったテーマについて学ぶのか、ワークショップできるのかということを関心持ってほしかったので会員の皆様にも御案内しました。それから今回、ペックとやまさんというNPOがいろいろコーディネートしてくださいましたので、その関係でいろいろ広めていただくと大学の研究者の方とか学生さんとか、そういった一般市民の方も含めて関心のある方に御参加をしていただきました。
子供と同じぐらいの小中学生が14名しかいなかったんですけれども、大人も同じぐらい参加規模がありまして同時進行でやったということです。年齢層は一般に、私ども、こういったユネスコ教室をやる場合には基本的に小中を対象にやっているんですけれども、会そのものはなかなか年齢が高い人で、広くもう少しパートナーシップ取れるように今回のような教室の形で呼びかけております。
以上でございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。押谷委員はよろしいですか。
【押谷委員】 押谷でよろしいでしょうか。
【沖委員長】 どうぞお願いします。手短にお願いいたします。
【押谷委員】 どうもありがとうございました。先ほどの御質問ですけれども、小中高生を対象にするとどうしても昼間の時間帯なのかなと思いまして、それが大人の方だと夕方から夜にかけての時間帯になるので、なかなか調整できなかったというのがございます。土日であればいいかと思うんですけれども専門家とか、研究者の方々をお呼びするに当たって土日をどうなのかということもあって、なかなかできにくいところもございます。
それからもう1点だけですけれども、私ども、こういう形の科学教室、大人向け、子供向け、連続的にやりたいと、定期的にやりたいと思っているんですけれども、なかなか小さなユネスコ協会という団体でございまして、予算の制約もございましてなかなかそう定期的にできないという、つまらない制約条件かもしれませんけれどもございまして、なかなか難しいところもございます。
ただ、こういうことの役割というのは非常に痛感しているところでございますし、参加者の方々もかなり関心を持っていただく方が多いので、これからも進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【沖委員長】 ありがとうございます。それでは、お待たせいたしました。溝内委員、お願いいたします。
【溝内委員】 資料1-3にあります科学事業信託基金拠出金についての意見でございます。国の予算の厳しい中で昨年の4,200万円から今年は7,100万円の増額は、大変素晴らしいことだと思います。そこで道田先生及びIOCに関わる皆様には是非短期的に成果を出していただいて、次年度だけではなくて、またその次の年も大きな予算を頂戴して、より一層日本のプレゼンスが高まるようにしていただきたいという勝手な希望及び期待を述べさせていただきます。
【沖委員長】 ありがとうございます。道田先生、何かございますか。
【道田委員長代理】 溝内先生、どうもありがとうございます。激励の言葉と受け取らせていただきますが、まさにおっしゃるとおりだと思うんですね。短期、長期、両方いると思うんですけれども、継続的にその予算獲得という観点からすると、割と近い将来にでも目に見えるような成果というのはおっしゃるとおりだと思いますので、できるだけのことはしていきたいと思いますし、その中で先ほど議論になった3分野連携、これってなかなかユネスコの中でもね、やる必要があるよねという声はたくさん聞こえるんですけど、具体に何か動くかっていうとなかなか動かなかったので、その部分について例えば日本から発信できるということがあると、これは一つ、目に見える成果になっていいのかなと、そういうふうに私自身は思っているところですので、その辺も含めて検討してまいりたいと思います。引き続きよろしく御支援、応援をよろしくお願いいたします。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。よろしいですか。
私個人、あまり座長が話すのはよくないかもしれませんが、富山ユネスコの気候変動と水のめぐりの、実際にこれ、ジオラマ作られた吉見先生ですけれども、これ、その次のページの下に協力、神通川流域治水プロジェクトメンバーと書いてありますが、この東京大学、私どもでございまして、吉見先生も含めて、JST、科学技術振興機構のSOLVEという枠組みがございまして社会課題を先端科学技術で解決していく、しかも社会と共創して解決していくという枠組みがございます。
JSTは主に先端科学技術で、それこそAIであったり、先ほどありました合成細胞であったりといったことを担当するのが主ですけれども、そうした中に科学技術を実際の社会の課題、SDGsに代表されるような社会課題の解決に生かそうという枠組み、ソルブ、SOLVE、まさに英語の解決という言葉ですが、SOLVEというプロジェクトの中にこの神通川の流域治水が採択されていまして、しかもパイロットフェーズ2年の後の本格研究に入ったところでございます。吉見先生のこの模型も、この6月10日の時ではないんですが別の時にワークショップ、地元の方とやりまして、いかにして流域の方々、洪水といった、なかなかめったにないことに対して思いを寄せてやっていくか、あるいは田んぼダムの研究も農学系の方と一緒にやっていまして、そういう自分も利するけれども他の人のために利するような行動にどうすればなれるのかといったことを含めて、研究を進めている状況でございます。
道田先生、挙手されていますね。どうぞお願いします。
【道田委員長代理】 申し訳ございません。道田でございますが、先ほど言い忘れたことが一つありまして簡単に申し上げたく思います。
先ほど御指摘のあった、科学の側から市民にどのくらいそのものが、話が伝わっているのかという御指摘ありまして、まさに御指摘のとおりの状況だと思うんですが、まさに同じ問題意識、もう一つあって、昨年12月のシンポジウムを企画したところです。市民参加型の科学、最近ようやくキーワードとしてキーワードトリガーになってきていますので、この機を上手く捉えて市民に伝える、さらにそれを超えて市民と一緒にいかに科学を進めるのかというフェーズに持っていきたいなと私自身は思っているところでございまして。
私の例ですけれども、20年代、市民の方が大半を占める学会の今、私、一昨年ぐらいから会長をやっているんですけど、漂着物学会といって、海岸を歩いていろんな観点の方いらっしゃるんですけど、ごみの問題を使っている人もいれば、一方できれいな貝を集める、芸術家の方もいる、文学者もいるというような300人規模の学会で、研究者と呼ばれるような人は恐らく50人以下、大半は市民の方が参加している学会というのがありまして、例えばそういう活動、小さな地道な活動ですけど、そういったことを一つのきっかけにして市民参加型の科学あるいは市民の方と科学者が一緒になって何か物を考えるというような場をこれからも積極的に進めてまいりたいと思いますので、是非よろしく御支援のほどお願い申し上げたく思います。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。それでは渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】 関連してちょっとだけですけど。今の流域治水の富山のプロジェクトの話を聞いて、私もこの地域のユネスコ協会の取組の中に先ほど申し上げた分野間連携の現場からの動きというのがいっぱい感じられました。生物多様性の分野も生物多様性だけを切り離していたのではなかなか広がりが出てこなくて、防災減災とか温暖化とか、いろんな分野と連携することで前に進むと。生物多様性とこういう防災減災あるいは流域治水ってどう結びつけていけばいいかって、とても生物多様性の側でも大事なテーマになっていて、この富山の取組のような中で生物多様性の要素も入れていくと、分野間連携というのが現場から具体的に実践していくことにつながる可能性をすごく感じました。
ということで、現場からも分野間の連携の動きを作っていくこと、何か可能性をユネスコ協会の話を聞いて感じました。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。小池委員、お願いいたします。
【小池委員】 今、道田先生から漂着物学会という話を聞いて、そういう学会があるんだとびっくりしました。
というのは、今日の報告にはありませんでしたけれども、私が所属しております鎌倉ユネスコ協会では、この秋に、ユネスコスクールである鎌倉女子大学附属中等部の生徒さんたちと一緒に由比ヶ浜で漂着物を集めるビーチコーミングをしました。そして、集めた漂着物でサンドアートを作るということをやったんですね。なかなか生徒さんたちは感性が鋭くて、いろんな漂着物でオブジェを作ったり、あるいはウミガメの像を作ったりとか、すごく楽しんでいたんですね。もっとも、その前には出前事業で海洋汚染とか温暖化について勉強した後で、実際に海に行って漂着物を集めてサンドアートを作るというのをやったんですけど、これは楽しかったんですね。楽しいところから入るというのがいちばんいいのかなと、道田先生のお話聞いていて改めて感じたところです。ありがとうございました。
<議題2.国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について(審議)>
【沖委員長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして議題2「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について」に移りたいと思います。本議題では昨年9月の本小委員会及び国内委員会総会において議論いただきました骨子案を基に、事務局において提言案を作成していただいております。
事務局からの説明、よろしくお願いいたします。
【本村国際戦略企画官】 それでは私、本村から説明させていただきます。資料を今、画面表示されましたけれども、国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進についての提言ということで今、沖先生からありましたとおり、前回まで国内委員会で御議論いただいた骨子案に委員の方々からの御意見を踏まえまして文章化したものがこちらの提言になります。
本提言につきましては直近の国際情勢等を踏まえてユネスコの普遍的な使命を再確認するとともに、一つの柱としてユネスコに対する日本の関与の在り方、もう一つが、国内のユネスコ活動の在り方について提言するとしております。
具体的には、まず、背景といたしまして、直近の国際情勢等ということで御案内のとおり、ロシアのウクライナ侵略でございますとか、イスラエル・パレスチナ情勢等、国際平和を脅かす深刻な事態が数多く発生している中、紛争、貧困、気候変動、生物多様性等への対応ですとか、国際社会が連携して取組むことが一層必要になってきていると。
このような中、近年、科学分野におきましては、例えば2021年にAIの倫理に関する勧告、また2023年のユネスコ総会におきまして、これも先ほど報告の中にありましたけれども、ニューロテクノロジーの倫理に関する規範設定の文書を作成することが決定されております。また、米国がこれら国際的な規範設定への参画を重視いたしまして、2023年7月にユネスコに再加盟しているところでございます。
また一方で、ユネスコの普遍的な使命ということで、これは今申し上げた国際情勢が変化する中でユネスコの使命というのは一貫して不変であるところを再確認している文章でございます。どのような国際情勢においても、ユネスコは人間の尊厳ですとか幸福の尊重、平和の構築、貧困の撲滅、持続可能な開発といったことを普遍的な使命として掲げてこれまで取組んできておりますし、これからもこれは変わらないという前提をここで確認しております。
それから提言の部分でございますけれども、先ほど申し上げた二つの柱に基づいて提言の形でまとめてございます。まず、ユネスコに対する日本の関与の在り方でございますけれども、ユネスコに対して外務省、文部科学省、文化庁等の関係省庁等が緊密に連携していくことを記載しております。また、これも先ほど紹介ありましたけれども、IOC総会におきまして道田IOC分科会主査が日本人として初めてIOC議長に就任されました。これ以外にもニューロテクノロジーの倫理に関する勧告の草案作成のためのメンバーとして日本から今、専門家を推薦しているところでございます。
このように日本が豊富な知見や強みを有する分野におきまして、各種政府間会合あるいは専門家委員会へ専門家の派遣や各事業への日本人の参画を推進することが重要であると記載してございます。また、ユネスコ事務局への政府職員の戦略的な派遣ですとか研修生の派遣、また、関係会議等へのユース、若者の積極的な派遣を通じた人材育成の推進、また、これも先ほど出てきましたけれども日本の任意拠出金、信託基金を通じた戦略的な支援、また、ユネスコ地域事務所とも戦略的に連携していくこと等を掲げてございます。
続きまして、提言2といたしまして、国内のユネスコ活動の在り方でございます。こちらも大きく分けて二つの柱を掲げてございます。一つが、ユネスコ活動のネットワークの活性化、もう一つが広報の強化という形で記載しております。まず、ネットワークの活性化につきましては、これはまさに先ほど民間ユネスコ協会の小池委員、押谷委員、髙木委員から御報告がございました様々な分野、あるいは登録事業ございますけれども産業界、ユース、多様な主体、世代間が連携してネットワークをまさに拡大、活性化していく中で様々な交流取組を、ユネスコ活動を進めていくべきであることが記載されております。
それから、広報の強化でございますけれども、持続可能な開発のための教育、ESD、防災及び海洋等、日本が強みを有する分野において好事例を収集し、多様なメディアとコミュニケーションを図りながら積極的に情報発信をしていくと、それによって認知度の向上を図っていくことが必要であるとしております。
また、産業界、市民等の多様な主体、ユースを含む多様な世代のほか、ユネスコ事務局ですとか各国のユネスコ国内委員会を含む海外への日本の、先ほど分野間の連携という話も出ましたけれども、日本国内における成果の普及の在り方を検討していくことが重要であることも記載しております。最後に、これら広報活動については、日本各地にあるユネスコ協会等にも役割を果たしていただくことが期待されるとしております。
最後ですけれども、ここが非常に我々にとっても重要だと考えているんですけれども、ユネスコ活動が将来にわたって世代を超えて受け継がれていくよう、特に次世代を担うユース、若者の参画を促す仕組みが不可欠であることを記載しております。御案内のとおり、2023年4月に国内委員会の中に次世代ユネスコ国内委員会を設置し、活動を行っておりますけれども、ユース世代が自分たちでネットワークを自ら形成、拡大しながら未来を担うユースの目線でユネスコ活動の在り方を検討し、継続的に実践していくことが重要であるとしております。そのためには、こちらにいらっしゃる先生方、我々も含めてですけれども、日本ユネスコ国内委員会としても、あるいは様々なユネスコ活動に関わっている主体、あるいは世代の方々がこのユースによる活動を後押しする取組を強化していくことが必要であるとしております。
最後に、ユネスコ登録事業の一層の発展に向けてとしておりますけれども、こちらは、条約に基づく登録制度、例えば世界遺産ですとか無形文化遺産以外にも条約に基づかない登録事業としてユネスコエコパーク、ユネスコ世界ジオパーク、創造都市ネットワーク、世界の記憶、ユネスコスクール、ユネスコチェア等がございますけれども、これらは登録加盟して終わりではなくて、まさに登録加盟されてから加盟後の取組が重要であると記載しております。また、ユネスコの理念に沿った各事業の目的を達成する上では、申請者自身の地域に根差した主体的な取組が重要であるとしております。
私からの説明は以上でございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。では、残りの時間で議論したいと思います。是非御出席の委員の先生方、皆様方に御意見頂戴したいと思います。まず、御発言いただける方、質問コメントある方いらっしゃいますでしょうか。
では溝内委員、お願いいたします。
【溝内委員】 再び同じ箇所で失礼いたします。今の提言の中では、提言1のユネスコに対する日本の関与の在り方に関わるところになりますが、先ほどの資料1、3のIOCのところに書かれている文章、最初に説明していただいた資料に書かれている文章の方がよりクリアで良いんじゃないかと思います。提言がかなりふわっと記載されているのは、もしかしたら官公庁の文書のしきたりなのかもしれませんけれども、こちらの資料にありますような日本のプレゼンスの大幅な向上を図るだとか、日本の価値を反映した国際ルールづくりをするだとか、こういうクリアな、できるだけ可能な範囲でアンビシャスなアスピレーショナルな表現をしていただければ何か熱意が伝わってよろしいのかなと、民間企業に勤めている者としては感じましたので意見として述べさせていただきました。
以上でございます。
【沖委員長】 大変具体的かつ建設的な御意見、ありがとうございます。
では渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】 ありがとうございます。先ほどのところで、いろいろ議論が出た分野間連携の話がどこかに入れられないかなと思って見ていました。提言2の国内のユネスコ活動の在り方のどこかにIOCとか、IHPとか、MABとか、そういったユネスコの各プログラム間の分野間連携が重要だと、それを重視した国内活動の展開を図ることも重要であるといったような表現を組み込むことができないかなと思いました。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。この文章はまだ完成版ではないという認識でよろしいでしょうか。そうだそうですので、是非具体的にここにこういう文言があると、なお良い、あるいは先ほどのように、こんなにいい文章が既にあるのだから、それを持ってきてはどうかといった御意見も頂戴できますと、恐らく上手な範囲、上手に調整いただいて入るということが可能かと思います。
ほか、先生方いかがでしょうか。道田委員、お願いします。
【道田委員長代理】 道田でございます。ありがとうございます。今、渡邉委員のおっしゃったことを上手に盛り込んでいただくといいかなと思って、私もお聞きしました。この文章は科学に限らず、ユネスコ全体の活動ということでしょうから、科学3分野にとっても公の利益は課題ですけれども、それを超えて、自然科学、社会科学の連携とか、さらには研究者たちの集団と、それからその他のユネスコ活動の連携とかということも恐らく大事だと思うので、その辺りについて科学を特出しするのが難しいようでしたら、上手く文章を練っていただいて、例えば科学の3分野連携を含め、より幅広い分野間の連携を強化していくとか、それを日本から発信するんだみたいなことを書いていただけるといいんじゃないかなと思いました。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。他の委員の先生方、いかがでしょうか。
治部委員、お願いいたします。
【治部委員】 ありがとうございます。私、この提言の中で多分、ユースの関与に関するような会議に出たことがありまして、今、あらゆる分野でどうユースをインボルブしていくかというところが議論になっておりますが、もう既に活動されている方はいるんですけど、多くの人にとってさっきと同じようにユネスコって何かすごくて、何かよさそうだけど、何かすごく遠いという、そういう存在になっています。
そういう中で具体的にこのエンゲージを強めていくためにどうしたらいいのかなと思いながら、お配りいただいた文章をずっと見ていたんですけれども、一つは今、大学生と関わっていてすごく大きなイシューが、AIをどこまで研究教育に使ってもいいのかとか、どこから駄目なのかという議論は多分、皆様方もしょっちゅう議論をされていると思うんですけれども、世代の違う人たちとはまた違う批判があったりします。それで、ユネスコからも人工知能の倫理に関する勧告が出ておりまして、仮訳も文部科学省のサイトに載っているわけですけれども、こういう国際的な文書はそのまま訳していただいてあっても、ほとんどの人にはどう使っていいか分からないというのが現状ではないかなと。私もG20とかG7のジェンダー関連のところはよく関わるんですが、これが何なのかというところが一般の方には腹落ちしないのが現状としてあります。
もう既に文部科学省で御準備されていたり、何かどこかに文書があるのかもしれないですが、この勧告を踏まえて国内規範をどう作っていくのか、特にユースの絡みで言いますと教育等々にどのように人工知能を使うべきなのか、もしくは使うべきでないのかといったような、何かよりソフトローになるかと思うんですけれども、規範の形成みたいなことをしていき、その実は根っこにはユネスコの勧告がありますよといったような働きかけなんかがあると、例えばユースにはユネスコの存在というものを実感できるというか、実際に感じることができるのではないかなと思いました。
この文章に反映することにはならないかもしれないですが、国内におけるユネスコのプレゼンス、ないしはユネスコというものがどのようにインパクトがあるのかということを感じてもらうために、是非ユネスコ文書と国内規範との具体的な連携、接続、アラインするということを検討いただけたらと思います。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。これ、今の点につきまして事務局から何かございますか。
【本村国際戦略企画官】 治部委員、貴重な御意見ありがとうございます。本当にアイデアとしては非常にユースたちが取組んでいく、我々も含めて、いかに若者たちをエンゲージしていくかという参考になる、非常にいいアドバイスだったと思いますので、今後の活動の参考にさせていただきます。また、各先生方からいただいた意見に関しましてはどういう形でこの提言に盛り込んでいくか、また、他の小委員会もございますので全体意見をお伺いしながら、濵口会長と御相談して盛り込み方を反映させていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。では、他に御意見はいかがでしょうか。
小池委員、お願いいたします。
【小池委員】 これは本当に感想ですけれども、ネットワークの拡大というところに多分もう含まれているとは思うんですが、先ほど道田先生から市民参加型の科学というフェーズに行くべきではないかというお話があったと思うんですね。何かそういう市民参加みたいな、あるいはシチズンサイエンスがそれに当たるのか分かりませんけども、何かそういう市民が科学に参加していくようなニュアンスが、どこか入っているかもしれないんですけど、あってもいいのかなというのは感想として思いました。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。押谷委員、いかがでしょう。
【押谷委員】 ありがとうございます。先ほど今、小池委員もおっしゃったように市民の方々の、市民あるいは地域の発信みたいな話を私も今、読んでいて見つけようと思っていたんですが、なかなか文章的に見つけられてないんですけれども、地域の取組、私たち民間ユネスコの活動も含めてですけれども、そんなことを一言加えていただけると有難いかなと思っております。
国際的な視点でこれ、書かれておりまして、日本のプレゼンスあるいは裨益という表現でされておられますけれども、私たちの活動についても触れていただけると有難いかなと思いました。どこに具体的に何か申し上げるという段階にないんですけれども、そんなことを御検討いただければと思います。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【沖委員長】 ありがとうございます。
では髙木委員、いかがでしょうか。
【髙木委員】 ありがとうございました。最後のこの提言のところ、これまでの議論の中で、もう3分野の連携ということもしっかり言っていただきましたし、また、私たち民間ユネスコの立場としても、そうか、そういう切り口の連携も十分あるなっていうようなアイデアを頂きましたので、提言そのものは特にどうってことないですけれども、私どもの立場で少しでも具体化していきたいと思っております。ありがとうございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。
藤田委員、いかがでしょうか。
【藤田委員】 ありがとうございます。先ほどからお話お聞きしていると、国際的な連携、分野間の連携、市民との連携、ネットワーキング、そういったつながりというものをどういうふうに実現していくのかという、そういう議論が主だったのかなと考えました。
この広報の強化というのは非常に素晴らしいことだなと思っておりまして、私もiPS細胞研究所におりますと広報さんの役割というのが非常に強く心強い、効果的な働きをお願いしてきたりしているんですけれども、そのiPS細胞研究所の広報さんというのは同時に科学コミュニケーターも兼任している場合が非常に多いです。その場合に市民への情報発信といったときに、果たして広報さんで十分なのだろうかということを考えたときに、より科学を噛み砕いて腹落ちするような形で身近なこととして伝える、感じてもらう目標を達成するためには、科学コミュニケーターのような役割の方の関与についても若干言及されていても良いのかなと思いました。
なかなか雇用するとか、そういったことになると難しい部分があるのかもしれないですけれども、聞いた話ですと科学コミュニケーターさんというのはなかなか一つの機関に定着しないというのは、任期付で雇用される場合が非常に多いということも聞いております。ですから、せっかくのそういったスキルを備えた人材というのを活用できるような、そういった機会があるといいなと思いながらお聞きしておりました。
以上です。
【沖委員長】 どうもありがとうございます。委員の先生方から一通りお話を聞くことができましたけれども、皆様方、もし他の委員の先生方の御意見を受けまして更に御提言あるいは御要望、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
本日はなかなか充実した議論をさせていただいたと思います。どうも本当にありがとうございます。科学3分野の連携につきましては、まず連携を目的にするのではなくて、今日の議論ですと地域での取組、まさに各地のユネスコ協会の取組に対して科学の分野、ユネスコという枠組みからは海、生物多様性、水ということになりますけれども、必ずしもそこに限られない、科学が各地のユネスコの活動に入っていって、それで自然と連携が生まれるのが多分非常にいい形なのではないかというような御示唆、議論なったのではないかと理解しております。こういう場がございますので、是非科学者として科学の研究、教育を生業としている方々と、実際にユネスコの精神を伝えるために各地で活動されている皆様方の接点を増やしていくようなことができていくと良いんではないかと思いました。
また、後半の議論ではユネスコの、この文章自体は、どこに対する文章になるんでしょうか。
【本村国際戦略企画官】 提言1、2とございますけれども、基本的には国内のユネスコ活動の関係者だけではなくて、今後、まだユネスコ活動に参加していない方々、広く世代間を超えて若者だけではなくて幅広い一般市民の方も含めて、この提言が向けられているものと我々は考えております。
【沖委員長】 なるほど。ある意味でいうと、日本ユネスコ国内委員会としての、これからの構想の高らかな宣言とも取れますし、関係各省庁への呼びかけとも取れますし、ただ、最後のところは何となく、条約にないのは自分たちで頑張ってねと突き放したようにも見えますが、趣旨としては、そういうユネスコをめぐる我々の日本における活動の全体像を、今後を見据えた上で、改めて点検する形でしょうか。
【本村国際戦略企画官】 はい。その辺を明確にする趣旨で記載してございます。
【沖委員長】 ありがとうございます。という趣旨だそうですので、もし今のような御趣旨ということで追加の御意見ございましたらと思いますが、よろしいですか。何かございましたらこの会議の終了後でも、是非事務局に具体的な文言を提言していただきますと多分検討いただけるものと存じます。
私個人としては、ユネスコは教育・科学・文化を推進する機関だと思っていたんですが、それが最終目標ではなくて、それを通じて平和と安全のためであるというのを本日再確認、認識いたしました。そういう意味では、なかなか国連がその本来の目的を達成しにくい現状の社会の中で、こうした目的を再認識して何とか平和と安全を世界で実現していけるようにという、その活動の一部を担えるように大変光栄と思っております。
ほかに御意見がもしないようでしたら、事務局でこの後、整理いただきましてと思いますけれども、最後議題の3、その他でございますけれども、何かございますか。
よろしいようでしたら、本日の議題は以上でございますので委員の皆様、あるいは事務局から追加でございますか。小野さん、よろしくお願いいたします。
<議題3.その他>
【小野国際統括官補佐】 最後に今後の会議の御案内をさせていただければと思います。本日、科学小委員会を開催させていただきましたけれども、残り二つ専門小委員会がございます。来週16日金曜日に文化・コミュニケーション小委員会、そして26日月曜日に教育小委員会が予定されております。また御案内済みですけれども来月3月5日火曜日に総会がございますので、皆様、御出席をどうぞよろしくお願いいたします。
そして本日の報告の議論につきましては、3月5日の総会で委員長より代表して御報告を頂く予定でございます。また、今、御議論いただきました提言案につきましては、残りの文化・コミュニケーション、それから教育でも御議論いただきまして全てコンパイルしたものを最後、総会に案としてまた諮られることになる予定でございます。
以上です。
【沖委員長】 ありがとうございました。それでは、特に他にございませんようでしたら、本日これで閉会とさせていただきたいと思います。本日は御多用の中、御出席賜りまして大変ありがとうございました。
―― 了 ――
国際統括官付