日本ユネスコ国内委員会科学小委員会(第2回) 議事録

1.日時

令和3年3月3日(水曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

オンライン会合 (Webex)

3.出席者

(科学小委員会委員)
 日比谷潤子(委員長)、立川康人(委員長代理)、伊東信一郎、大島まり、翁百合、河野健、小林真理、鈴木郁香、角南篤、野村浩子、林明子、藤田みさお、箕浦有美子【敬称略】
(文部科学省(日本ユネスコ国内委員会事務局))
 田口国際統括官、亀岡文部科学戦略官、石田国際戦略企画官、植村国際統括官補佐、堀尾国際統括官補佐、その他関係官

4.議事録

【日比谷委員長】  それでは、時間になりましたので、始めたいと思います。委員長の日比谷潤子でございます。  本日は、御多忙のところお集まりいただき誠にありがとうございます。
 それでは、事務局から定足数の確認をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  本日は出席の委員が13名で、それぞれ委員の過半数ですので、定足数を満たしています。
 なお、今回の議題に関係の深い省庁や機関として、外務省、文部科学省研究開発局海洋地球課、水産庁、国土交通省、環境省、海洋研究開発機構、日本ユネスコ協会連盟、日本ユネスコエコパークネットワーク及び日本ジオパークネットワークの方々も傍聴参加されております。
 以上です。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまから第2回科学小委員会を開催いたします。先ほど御挨拶申し上げましたが、本日、議事の進行をいたします日比谷でございます。
 昨年の12月に日本ユネスコ国内委員会専門小委員会が改組されまして、その後、初めての審議形式での科学小委員会となりますことから、議事に先立ちまして、事務局から委員及び事務局の御紹介をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  ありがとうございます。日比谷委員長から御案内いただきましたが、昨年12月1日付けで科学小委員会が発足しております。今回はオンライン開催となっておりますが、初めて議論いただく会合となっておりますので、まずは委員の皆様を1人ずつ御紹介させていただきます。配付資料の参考資料1を御覧ください。上から順に御紹介させていただきます。
 まず、磯田博子特別委員、本日、御欠席でございます。
 続きまして、伊東信一郎委員。
 続きまして、大島まり委員。
 続きまして、大野希一委員、本日、御欠席でございます。
 続きまして、翁百合委員。
 続きまして、河野健委員。
 続きまして、小林真理委員。
 続きまして、鈴木郁香委員。
 続きまして、角南篤委員。
 続きまして、立川康人委員長代理。
 続きまして、西尾章治郎特別委員、本日、御欠席でございます。
 続きまして、野村浩子委員。
 続きまして、濵口道成委員、本日、御欠席でございます。
 続きまして、林朋子委員。
 続きまして、日比谷潤子委員長。
【植村国際統括官補佐】  続きまして、藤田みさお委員。
 続きまして、箕浦有見子委員。
 次に、事務局を御紹介いたします。
 まず、田口康国際統括官、日本ユネスコ国内委員会事務総長。
【田口国際統括官】  田口でございます。どうぞよろしくお願いします。
【植村国際統括官補佐】  続きまして、亀岡雄文部科学戦略官、日本ユネスコ国内委員会副事務総長。
【亀岡文部科学戦略官】  よろしくお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  続きまして、石田善顕国際戦略企画官、日本ユネスコ国内委員会事務次長。
【石田国際戦略企画官】  よろしくお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  続きまして、堀尾多香国際統括官補佐。
【堀尾国際統括官補佐】  堀尾でございます。よろしくお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  続きまして、私、国際統括官補佐の植村と申します。よろしくお願いします。
 最後、岡本彩ユネスコ第三係長。
【岡本ユネスコ第三係長】  よろしくお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  以上でございます。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。それでは、委員の皆様、事務局の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、田口国際統括官から一言御挨拶をお願いしたいと思います。
 田口国際統括官、お願いいたします。
【田口国際統括官】  文部科学省国際統括官の田口でございます。
 本日は御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。委員の皆様においては、本当に日頃より御指導、御鞭撻をいただき、どうもありがとうございます。
 先ほど委員長からも紹介のありましたとおり、昨年の9月の総会での議論を踏まえて、12月1日付けで小委員会の再編を行っております。科学小委員会は、これまでの自然科学小委員会と、人文・社会科学小委員会、それから普及活動小委員会、この3つを合わせた役割を担うことになります。人文・社会科学が科学技術基本法の枠の中に入ってきましたし、文理の垣根を越えた学際的な議論をお願いすると同時に、アウトリーチ活動を含む普及に関する審議を行っていただきたいと思います。
 ユネスコの科学分野の活動に関しては、今後ますます市民のリテラシーの向上とか、あるいはユネスコの活動の成果、あるいは知識の普及というのが、より一層、重要になってくると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、議事次第にございますように、最近の科学分野におけるユネスコの活動について御紹介を申し上げるとともに、関連する国内の取組について、普及啓発活動を含めて御報告をいただくことになってございます。
 2021年は、日本のユネスコ加盟70周年、それから本委員会に関連しましては、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の開始、それから人間と生物圏(MAB)計画の50周年、さらには日本全体を見ますと、東日本大震災から10年、そしてオリンピック・パラリンピック東京大会など、多くの点で節目の年になると考えてございます。これを機に、我が国のユネスコ活動をさらに発展していく所存でございますので、委員の皆様の御指導、御鞭撻、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は御審議のほど、どうぞよろしくお願いします。
【日比谷委員長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の会議の配付資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  本日の配付資料として、議題1に関しまして資料1-1、1-2及び附属資料1から11、議題2に関しましては資料2-1、2-2及び附属資料12、また議第3に関しましては資料3、そして参考資料として1から5を、それぞれ用意しております。
 以上です。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、議題の1、「昨今のユネスコ科学分野に係る動きについて」に入ります。資料1について、事務局から報告をお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局の石田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、資料1-1で御説明するのですけれども、まず今回、先ほど日比谷委員長、それから田口統括官の話にもありましたけれども、委員会が再編されましたので、それを受けて、全体としてどういう論点があるのかということをまず御説明したいと思いますので、資料3の全体の62ページの辺りを御覧いただければと思います。
 日本ユネスコ国内委員会の概要というようなポンチ絵ございますけれども、こちらのほうに科学小委員会を含めた日本ユネスコ国内委員会の構造が書かれております。お話の中にありましたけれども、科学小委員会、もともとは自然科学小委員会、それから人文・社会科学小委員会、この二つの小委員会が一緒になるということとともに、普及についての御議論をしていただくということで、普及活動小委員会の先生方入っていただくという形になっております。
 小委員会の下に大きく三つの分科会ございますけれども、海洋学、人間と生物圏、それから水文学に関する分科会ということになってございます。したがいまして、この科学小委員会の大きな分野としては、ここにあります政府間の海洋学の分野、それから人間と生物圏の分野、政府間の水文学の分野ということになります。そのほかに、ジオパークというような登録事業がございます。この辺りが科学分野で大きな動きがある4つの分野ということになります。
 それから、ここに書いてございませんけれども、社会科学の分野では、主に倫理の議論をユネスコの中ではしておりまして、後ほど御説明しますけれども、生命倫理でありますとか、あるいは新しい技術である人工知能、AIの倫理といったような、議論をしておるということで、全体として、かなり幅の広い御議論をいただいているということになっております。
 それでは、資料1-1に戻りまして、それぞれの分野の状況について御説明をさせていただきます。
 まず、一つ目は政府間海洋学委員会、IOCについてでございます。それぞれの分野の下に枠囲いで、それぞれのプログラムがどういうことかということを、今回初めて御議論に参加される方もおられると思いますので、書いてございます。
 IOCについては、ユネスコの傘下にある海洋科学調査あるいは研究活動に関する唯一の国際機関としての独立の権限を与えられている、そういった委員会になっております。主に海洋観測・調査、海洋データの収集管理等の、こういった事業を実施しているということでございますけれども、発端は茅誠司先生、東大総長になられた茅先生がこういった問題を提起されて出来上がったというような経緯もありまして、日本はこの分野について非常にリーダーシップを発揮しているということでございますし、執行理事国を務めているという状況になっております。
 このIOCでございますけれども、以降、大きな動きを紹介させていただきます。資料大部にわたっておりますので、全部について御説明することはいたしませんけれども、大きな動きだけ、かいつまんで御説明いたします。
 まず一つは、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」実施計画が策定されているということでございます。先ほどお話ありましたけれども、2021年からの10年間を海洋科学を推進するための10年として位置づけているということでございます。
 我が国では、関係省庁・機関を含めて産官学民の連携を促進し、国内・地域間の国際レベルにおいて様々な取組を推進していくということで取り組まなければいけない課題となっております。
 詳細については、附属資料の1から3が関係資料になってございます。
 それから次に、第53回のIOC執行理事会が本年2月3日から9日にございました。我が国からは道田IOC分科会主査を団長とする日本代表団が出席し、10年のロードマップや実施計画、あるいは中期戦略案等についての議論がなされました。
 それから資料を少し進めていただきまして、3ページ目に「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」研究会といった項目がございます。こちらについては、笹川平和財団海洋政策研究所及び日本海洋政策学会により、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年研究会が立ち上げられたものでございます。
 様々な、それこそ官民のステークホルダーが入っておられまして、これまで3回の研究会が行われております。
 先ほどの持続可能な開発のための国連海洋科学の10年についての日本国内委員会が立ち上がったということが、この研究会で決定されているということで、こういった協議会を中心に、今後、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年実施計画は進めていくというような段取りになってございます。
 それから次、5ページ目に行っていただきまして、こういった海洋科学と、それから普及との関係でいいますと、港ユネスコ協会主催で、この持続可能な開発のための国連海洋科学の10年に関するシンポジウムが開催をされております。オンラインでございましたけれども、様々な海の科学と、それからその普及に関する興味深い議論がなされております。
 以上のような様々な活動がなされているということでございます。
 それから次に2番目、政府間水文学計画、IHPでございます。水文学でございますが、天文学が天体の運行を理解する学問であるとすれば、水文学は水の運行を総合的に把握するといった、そういった学問だと理解しておりますけれども、こういった水文学を進めるために、世界的観測網によるデータ収集でありますとか、あるいは世界の水収支の解明、そういった事業を実施しておりまして、日本からは立川委員にも参加していただいておりますけれども、理事国を務めておるという状況になってございます。
 このIHPに関する大きな動きに関しましては、IHP第9期戦略計画を策定するということでございます。
 IHPの次期計画であります、この第9期戦略計画は、2022年から2029年についてのものでございますけれども、現在、その草案を議論するために、専門家のグループと、それからタスクフォースというグループによる話し合いが行われているという状況になっております。
 本計画ですけれども、最終的には令和3年春の第211回ユネスコ執行委員会に提出され、次のユネスコ総会で採択されることが予定されております。
 少し飛びまして、11ページを御覧いただければと思います。3番目の人間と生物圏(MAB)計画についてでございます。
 人間と生物圏の計画についてということで、枠囲いの中に記載をしてございますが、生物圏の保存地域、日本ではユネスコエコパークというような言い方をしておりますけれども、こういったユネスコエコパークを指定する等の活動をしておりまして、その大きな目的は生物の多様性の保護と持続可能な自然と人間との共生を目指す活動を推進するということでございます。ですので、単純に生物多様性を保護するということだけではなくて、人間の活動との共生が重要なのだというところに重点が置かれている活動となってございます。  先ほど申し上げたユネスコエコパークでございますけれども、日本国内には10地域のユネスコエコパークがございます。
 その活動については、11ページ下のほうに東アジアにおけるリージョナルレベルの活動が書いてあったり、あるいは12ページのほうに全体のMAB計画国際調整理事会のお話ございますけれども、大きな動きとしては、13ページを御覧いただければと思います。
 先ほど統括官の挨拶にもありますけれども、今年、令和3年、2021年はMAB計画が開始して50周年を迎えるということでございまして、国際的にも政府や、あるいはそれぞれの地方自治体のみならず、研究者の方々、ユースの方々、住民、学生等、幅広い層を巻き込み、こういった50周年を盛り上げるというような、そういう節目でございますので、これについても少し紹介させていただきました。
 それから4番目、ユネスコ世界ジオパークでございます。ジオパークは、先ほどのユネスコエコパークと異なりまして、国際的に価値のある地質遺産を保護するということで、そうした地質遺産がもたらした自然環境、地域の文化への理解を深めるというような事業となっておりまして、日本に関しましては現在9か所が、このユネスコ世界ジオパークとして指定をされております。
 ジオパークについての大きな動きでございますけれども、14ページでございます。日本のほうから久しぶりにユネスコ世界ジオパークの新規申請があるということでございます。関係する資料は附属資料の5となってございます。新規認定を目指す白山手取川のジオパークというところでございますけれども、こちらについて、昨年の11月に正式に新規の申請がなされたところでございます。
 今後については、令和3年夏頃に現地調査が行われ、9月に開催される予定のユネスコ世界ジオパーク、こちらで審議された後に、審議結果が来年春のユネスコ執行委員会にかけられて登録可否が決定されるということでございますけれども、ただ1点、コロナの状況がなかなか読めませんので、この予定どおりにいくかどうかというのが、若干不透明なところがありますけれども、久しぶりに日本のジオパーク申請がなされておるということの御紹介でございました。
 それでは15ページに行っていただきまして、人文・社会科学の範囲なってまいりますけれども、まず一つ目は国際生命倫理委員会(IBC)というものでございまして、これは生物学、遺伝学の進歩、こういったものが社会に与える影響を倫理的側面から考察するということで、特にユネスコの中で委員会を設けられて議論されているものでございます。
 そこにありますように、IBCでありますとか、他の政府間生命倫理委員会(IGBC)等々の合同会議などの開催が行われているということでございます。
 それからその下、オープンサイエンスに関する勧告の策定でございますけれども、これはオープンサイエンスについての考え方、概念の整理でありますとか、オープンサイエンスを推進するに当たっての幾つかの原則を取りまとめようということで、現在ユネスコで議論がなされているものでございます。附属資料の7番に関係する資料が載ってございます。
 それから、その次、16ページでございますけれども、「AIの倫理」に関する勧告でございます。こちらもAIというような新しい技術の倫理的な側面について、今、ユネスコの中で議論がなされているということでございます。
 本勧告については、今年の総会での採択を目指して、現在、政府間会合に向けての専門家の議論が続けられているところでございまして、附属資料6が参考となってございます。
 それから、少しその下、御紹介といたしまして、ユネスコでも、こういった先端的な問題について、幅広く一般の人にも理解してもらうことが重要だという観点で、様々なビデオを、YouTubeなどのプラットフォームを利用して展開しております。これには日本語の字幕をつけて、我々も予算を出して、こういった準備をしたりしておりますので、こういったことも普及という観点では重要だということで、少し紹介をさせていただきました。
 以上、雑駁ではございましたけれども、時間の関係もございますので、事務局からの説明は差し当たり以上とさせていただければと思います。
 それから、資料1-2でございますけれども、最初に申し上げました各分科会での最近の議論の内容をまとめてございますので、適宜御参照いただければと思います。
 以上でございます。
【日比谷委員長】  御報告ありがとうございます。今の御説明を受けまして、御質問、御意見があればお受けしたいと思います。それぞれの分科会にお出になっている委員の方、またユネスコで開催された政府間委員会に御参加くださった方々からの補足などもございましたら、是非お願いいたします。
【植村国際統括官補佐】  河野委員、お願いします。
【河野委員】  ちょっとした補足です。IOC執行理事会に私も出ておりましたけれども、各国が盛んに持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の自国の活動について報告をしておりまして、各国、非常に盛り上がっているような様子がうかがえました。我が国も、必ずしも海にとどまらず、教育の機会と捉える、あるいはリテラシーの向上として捉えるというような様々な活動を通じて、せっかくの機会ですので、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年を利用して、それぞれの分野の推進に役立てていけたらいいなと考えています。
 以上です。
【植村国際統括官補佐】  立川委員、お願いします。
【立川委員長代理】  立川でございます。IHPを担当しております。ちょうど今御紹介いただきましたIHPの第9期戦略計画について議論が進んでいるところです。この第9期といいますのは、1期につき8年で、こういったことを目標にして、水の循環や水の利用、あるいは水災害の防止について、各国で協力してやっていこうというところで、日本からも、この第9期のプログラムを立案に当たりまして、いろいろなところで貢献しているところでございます。是非何らかの機会に、こういった取組についても、より詳しく御紹介させていただければと思っているところでございます。どうもありがとうございました。
【植村国際統括官補佐】  藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  ありがとうございます。付け足しなのですけれども、私からはIBC先日、Zoomで開催されたものに参加させていただきまして、IBCでは、レポートを今作成しておりまして、次世代の保護に関する責任をどう考えるかということで、ゲノム編集技術ですとか、自然の保護ですとか、環境保護ですとか、そういった問題について、各国で集まってレポートを書いているところです。
 また、IBCと科学的知識と技術の倫理に関する世界委員会(COMEST)は別々に開催されることが従来だったのですけれども、このたび合同で、コロナ禍での平等なワクチンの配分をどうしたらいいのかということについて声明を出しておりまして、広く周知をしてほしいと言われておりますので、是非、お役に立てていただければと思っております。
 以上です。
【日比谷委員長】  それでは、議題の2に移ります。「国内におけるユネスコ活動の取組について」でございます。
 こちらは、その次の議題3にもつながっていきますけれども、令和元年10月の日本ユネスコ国内委員会建議においても、世代や地域を超えて多様なステークホルダーが連携し、ユネスコ活動の未来を共創するプラットフォームの構築を図ることとされておりますとおり、科学分野でも様々なアプローチや分野横断的な取組が重要となっているところです。
 この議題については、二つの御発表を本日いただくことになっております。まずは鈴木委員より、科学分野における民間ユネスコ活動の取組について御紹介をお願いいたします。次に信州大学教育学部附属志賀自然教育研究施設助教の水谷先生より、多様なステークホルダーと協働している分野横断的な取組について御発表をお願いします。
 それでは、最初に鈴木委員から、民間ユネスコ活動における取組についての御発表を、どうぞお願いいたします。
【鈴木委員】  日比谷委員長ありがとうございました。日本ユネスコ協会連盟の理事をしております鈴木郁香と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は科学分野における民間ユネスコ活動についての発表のお時間を頂きましてありがとうございます。これから発表させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、昨年12月に行われました専門小委員会の再編に当たりまして、普及活動小委員会のほうに配属していました林委員、箕浦委員、そして私、鈴木の3名が、科学小委員会への配属となりました。私たちは、それぞれ地域のユネスコ協会に所属して、ボランティアで活動しています。私たちが科学小委員会に配属されたことによって、より広くユネスコ活動が普及していけるように貢献していけたらと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、民間のユネスコ活動について簡単に御説明させていただきます。日本のユネスコ運動は、日本がユネスコに加盟する前の1947年に仙台から始まったことは皆様も御存じのことと思いますけれども、その後、日本各地にユネスコ協会が発足いたしまして、現在276のユネスコ協会・クラブが全国で活動しています。
 276のユネスコ協会、ユネスコクラブのほとんどがボランティアで活動していまして、それぞれの問題意識や地域性に基づいて様々な活動を展開しています。その中で、本日は幾つか御紹介させていただきたいと思っています。
 一方で、日本ユネスコ協会連盟は、276のユネスコ協会、ユネスコクラブの連合体組織です。私は、そこの組織の理事をやっているという形になるのですけれども、ユネスコ協会やユネスコクラブに対して活動支援や情報発信等を行っています。また、国連機関のユネスコですとか、日本ユネスコ国内委員会をはじめ、志を共にする企業や団体と協力や連携をした事業に様々取り組んでいます。その中でも本日、幾つか御報告をさせていただきます。
 本日は、科学分野における民間ユネスコ活動というテーマで発表させていただきますけれども、地域ユネスコ協会と日本ユネスコ協会連盟の活動について、9つの事例を御紹介させていただきます。
 初めに御紹介するのは、鎌倉ユネスコ協会が2008年から毎年行っている「ビーチコーミング」の活動です。鎌倉ユネスコ協会の会員と地域の方が一緒に取り組むESD活動で、SDGsのゴール14、海の豊かさを守ろうについて理解を深めています。海岸に到着した貝殻や砂に埋まった陶片などを採集し、専門家の御指導の下、鎌倉の浜辺の生態系について学びます。また昨年12月には、鎌倉女子大学中等部からの御依頼を受けて、校外学習としてビーチコーミングを企画、実施いたしました。
 次に御紹介するのは、浜松ユネスコ協会の「ユネスコ科学教室」についてです。この活動は、1958年に中学生を対象にしてスタートしました。その後、1987年に対象を小学5、6年生に変えて、年9回の活動を続けています。身近な自然に感動する体験がなければ、素直な心や謙虚さ、そして地球的な視野は育たないとの思いから、「本物との出会い」を大切に、ユネスコ精神を踏まえた「科学する心」を育てることを目的として、様々な活動を展開しています。
 次に御紹介するのは、京都ユネスコ協会の「自然観察展」です。60年前から取り組まれているこの活動では、小中学生が夏休みの間に観察や研究した作品を募集し、展示を行っています。植物、動物、物理、化学、地学、科学工作の6つの分野で募集し、毎年、子供たちが熱心に取り組まれた作品が数多く集まっています。
 2019年度は市内47の学校から募集があり、339点の作品が集まりました。展示は、閉校となった小学校の体育館を使って行いました。
 4つ目に御紹介するのは、羅臼町の「知床学」です。知床学は、知床が世界自然遺産に登録された2年後の2007年に羅臼町中高一貫教育の柱として始まりました。羅臼町は知床ユネスコ協会がサポートして、2012年に町内の全ての幼稚園、学校がユネスコスクールになっています。自然学習と地域学習が幼小中高で一貫して行われていまして、地域社会が学校と強く結びついて次世代を育成していることが、この地域の特徴です。
 次のスライドで御紹介しますのは、今年2月6日にオンラインで行われました信州ESDコンソーシアムの成果発表会、交流会についてです。
 信州ESDコンソーシアムについては、この後、御発表されると伺っておりますけれども、この信州ESDコンソーシアムには6つのユネスコ協会が参画しています。
 2月6日に行われた発表会では、ユネスコエコパークでESDの学びを実践している学校をはじめ、18校の生徒発表があり、学びを深めました。
 最後は、先ほどの事務局からの御報告にもありました、港ユネスコ協会が主催した「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」に関するシンポジウムです。国際文化会館での開催でしたが、コロナウイルス感染予防のためにオンラインでも視聴可能でした。オンラインを含め80名の参加があったと伺っています。
 そのほかにも、本日は御紹介し切れませんでしたが、全国各地で様々なユネスコ活動が取り組まれておりますので、もし皆様の活動に関連されている地域の活動で関心のあるものがありましたら、お声がけいただければ御紹介できるかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 続いてのスライドに行きますけれども、日本ユネスコ協会連盟の取組について御紹介させていただきます。
 一つ目は未来遺産運動についてです。2009年から取り組んでいる未来遺産運動は、失われつつある豊かな自然や文化を100年後の子供たちの未来に残そうとする活動を「プロジェクト未来遺産」として登録し、応援するものです。
 未来遺産運動は、伝統の継承という点で、人文・社会科学の活動として位置づけることができますが、全73のプロジェクトのうち約半数が自然保護に関する活動を行っています。
 全てのプロジェクトを御紹介することはできませんので、本日の附属資料12に日本ユネスコ協会連盟の活動レポートを掲載していただいておりますので、そこの中で全プロジェクト、73プロジェクトの一覧が掲載されていますので、よろしければ御覧ください。  次は、アクサユネスコ協会の減災教育プログラムです。2014年度から実施している防災・減災の教育を支援する活動です。活動助成、教員研修会、活動フォーラムの三つのプログラムを通じて、学校の防災・減災教育を強化し、将来の防災・減災教育のリーダー育成を目的に実施しています。
 ユネスコスクールSDGsアシストプロジェクトは、ユネスコスクールを対象にSDGs達成に向けたESDの実践に対して助成を行っています。
 この活動は、環境学習や国際理解、世界遺産、地域遺産学習など多岐にわたりますけれども、スライドで御紹介しているような地域の自然や特産物を対象とした探究活動も多く取り組まれています。
 科学小委員会への配属に当たり、過去の合同小委員会の議事録を拝読させていただきましたが、これまでも科学分野におけるユネスコ活動の普及について、たくさん御検討されてきたのを承知しております。幾つかピックアップさせていただきましたけれども、こういったことを議論されていたと承知しております。
 今回の私たちの科学小委員会の配属に当たり、ユネスコ協会に所属している私たちにできることを考えてみました。まずは、科学小委員会の皆様の関連する地域と近隣のユネスコ協会との橋渡しをして連携を強化するということが考えられるかと思います。また、全国のユネスコ協会が、もっと科学分野の活動に取り組むきっかけになり得るような学びの場をつくることもできるかと思います。
 具体的には、全国9つの地域で毎年開催している研究会ですとか、全国大会、また日本ユネスコ協会連盟がYouTubeチャンネルを運営していますので、そういったものを活用した情報発信などが考えられています。私たち国内委員のメンバーも、国内委員会の情報を、このYouTubeチャンネルを使って発信していますので、そういったことをもっともっと広めていくということが考えられるかと思います。  しかしながら、私たち科学分野の専門家ではありませんので、皆様のお力をお借りして、普及について検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後になりますけれども、私、鈴木と林委員、箕浦委員の3名は、それぞれ所属しているユネスコ協会が違いますので、御質問等頂いた場合、私よりも林委員、箕浦委員のほうが詳しい事柄については、お二人に御返答いただくことがあるかなと思いますけれども、その点、御承知いただければと思います。
 以上で御報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【日比谷委員長】  御報告、鈴木委員、どうもありがとうございました。
 それでは、御質問はまとめてということにいたしまして、引き続き、今度は信州大学の水谷先生から御発表をお願いいたします。ユネスコエコパークと持続可能な開発のための教育、ユース、民間ユネスコ活動などを融合した信州大学ESDコンソーシアムの分野横断的な取組について、お話をお願いいたします。
【水谷助教】  信州大学の水谷です。よろしくお願いします。
 それでは、進めさせていただきます。
 私は日本MAB計画支援委員会にも所属しております。そして現在、信州ESDコンソーシアムを立ち上げて活動をしております。
 本日は、大きく分けて二つのお話。一つは信州ESDコンソーシアムの活動、そしてもう一つは、ユネスコエコパークを生かしたESDとSDGsの普及、推進についてお話をさせていただきます。
 まず、信州ESDコンソーシアムを設立した背景について、簡単に御紹介をしていきたいと思います。長野県は皆さん御存じのとおり、非常に豊かな自然に恵まれた山岳県でして、8割方の中学校が学校登山をするぐらい、学校での自然体験の機会も豊富です。地域学習も従来から盛んに行われており、今ある総合的な学習の時間は、それをモデルにしたと言われているほどです。一方で、新しく入ってきた概念であるESDは、それほど必要性を感じられておらず普及も進んでいないという現状がありました。
 このような背景から、ESDの推進拠点と位置づけられておりますユネスコスクールは、ごく僅かしか加盟されておりませんでした。
 一方で、これからESDに取り組む必要があるのだけれども、どうしていいか分からないので支援をしてもらいたいというような学校、あるいは学校教育に関わっていきたいのだけれども、なかなか学校にアプローチできない、コミットできないというような環境関連団体はある。しかし、これらがうまくつながれないというような実情がありました。
 さて、先ほどユネスコスクールがごく僅かしかないというようなお話をしましたけれども、そのユネスコスクールはどこかというと、信州大学の附属学校、そして志賀高原ユネスコエコパークにある学校でした。志賀高原ユネスコエコパークは日本国内で最初に登録された4つのユネスコエコパークの中の一つですが、2014年に拡張申請を行いまして、これに合わせて、ESDに注目して、地域の学校をユネスコスクールに加盟する動きが起こったということです。
 この動き、やはり行政主導だったので、学校現場では、ユネスコスクールとはいっても、これからどうしたらいいのだろう、ESDはどうやってやっていったらいいのか、支援してほしいというようなニーズがありました。
 ユネスコエコパークの運営部分についても、やはり課題がありました。地元では従来からの取組が評価されてユネスコエコパークに登録されたのだという意識が強く、志賀高原ユネスコエコパーク協議会では、これからの活動や新たな取組をどのように進め、活性化させたらいいのかが課題となっておりました。
 それで、私どもは、ESDの推進とユネスコエコパークの活性化、両方の地域の課題に応えるためのプラットフォームとして、信州ESDコンソーシアムを立ち上げました。これは文部科学省のユネスコ活動補助金「グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業」を活用しております。信州大学教育学部が中心となり、各ユネスコスクール、教育委員会、民間ユネスコ協会、それから企業・団体様など、様々なステークホルダーに参画していただいております。
 組織の定義としては、長野県の環境基本計画、ここに書かれているものが分かりやすいので、一番下のところに載せております。長野県全域へのESD活動の普及と定着を目標として、信州大学が中心となり、各種団体や学校などの教育機関などが参画して取組を進めている共同体ということです。
 このように県の計画に入っていることからわかるように、このコンソーシアムは、行政の中でも認知されており、その役割が位置づけられています。
 活動内容としては、ユネスコスクールなどの教育組織でのESDの推進、多様なステークホルダー間の交流機会の創出、情報提供、情報発信などに取り組んでおります。
 具体的な内容について、かいつまんで御紹介をいたします。
 一つは、まずは県内への普及を図るための研修会などを開催しております。ここでは、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)や ESD活動支援センターなどの全国規模、あるいは地方の団体などとも連携をしながら取組を進めております。
 またユネスコスクールに既に加盟している学校、あるいはこれから加盟したいという学校を対象に、学校向けの研修会を、学校に出向いて全ての教員の方を対象にして開催するといった取組も行っています。
 私ども教員養成系の学部ですので、教員養成者が本務なのですが、その中でも取組があります。まず、信州大学教育学部では環境教育が必修の科目となっておりますが、この中でもESDやSDGsについて取り上げております。
 そして今年度からは、教職大学院でも、関係する科目を開講し、学校現場とつないで実践的な授業展開を行っています。
 社会教育に関連した部分については、公民館になどで活躍される社会教育主事という方がいらっしゃるのですけれども、その資格講習でもESDをテーマとしたものを開講いたしました。
 先ほど少し御紹介いただきましたけれども、民間ユネスコ協会の方にも活躍していただいております。例えば、コーディネーターとして学校現場に出向いていただくというような取組も行っていただいております。
 ここでは特にユネスコ協会の青年部、「つなっぷる」について御紹介させていただきます。「つなっぷる」には、教育学部の学生、院生、それからOBOG、社会人など、現在アクティブメンバーが12名ほど参加しております。つなっぷるには、年齢層が近いユース層に対しての普及啓発などに取り組んでいただいております。イベントの企画や、ユネスコスクールになっている高校へのゲストティーチャー、それから昨年は高校生や大学生などのユースの交流を行いましたが、その中でも中心的な役割を果たしていただきました。
 信州ESDコンソーシアムでは、その発足当初から、「成果発表&交流会」という、子供たちの交流の場等を定期的に開催しております。これは信州大学に各学校の児童・生徒が集まって、日頃の学習成果を発表して交流を深める場です。最初は長野市の1会場のみで開催していましたが、参加校も増えていきまして、徐々に拡大していっております。
 昨年は、長野市が主会場ですけれども、長野県は非常に広い県ですので、南信地域の学校はオンラインでつないで参加していただくことになりました。そして今年度、やはりコロナ禍の影響で、全面オンラインでの開催となりました。残念ながら、子どもたちが一堂に会して顔を合わせることはできなくなったのですけれども、県内だけではなくて県外の学校、全国のユネスコエコパークの学校とも交流を深めるというようなイベントにすることができました。
 ここで急にユネスコエコパークというお話が出てきましたので、ここからユネスコエコパークに関連する話題について御紹介をさせていただきます。
 ユネスコエコパークはMAB計画の中の一事業です。MAB計画は、先ほど御紹介がありましたので、ここでは説明を省きます。生物圏保存地域はMAB計画の達成のための最も重要な事業と位置づけられています。そして現在、このユネスコエコパークは、持続可能な開発を学ぶ場としても注目をされているところです。
 ユネスコエコパークとESDの関係は明確に位置づけられております。同じように所管しているのがユネスコだというだけではありません。ユネスコエコパークには持続可能な社会を実現するための鍵となるESDを促進する役割といったものが期待されています。
 ユネスコエコパーク、BRにはMAB行動計画が策定されていますが、その中で4つの主要な戦略目標が掲げられております。その中の目標3の中では、生物多様性及びsustainability science、capacity buildingと並んでESDが促進されるべきものとして位置づけられております。
 そして、今、非常に重要な目標となっているSDGsの達成。この中でもユネスコエコパークは、それに関係するモデル地域と位置づけられているところです。
 ユネスコエコパークは人と自然の調和という大きな目標を実現するために、保全機能、経済と社会の発展、そしてそれらをサポートする学術的研究支援という3つの大きな機能を持っております。これらは非常にSDGsとも密接な関わりを持っております。
 例えば保全機能。これはSDGsで言うと、13番の気候変動、それから14番、15番の海と陸の生物多様性、この辺りと密接な関わりを持つであろうと考えられます。
 それから経済と社会と発展。これSDGsで言うと、8番、9番、11番あたりが関わってくるのではないかと思います。
 では学術的研究支援、これは何に該当するかというところなのですけれども、上の二つの機能を担う人づくり、担い手づくりというところに着目すると、SDG4が密接に関連するのではないかと考えます。
 一昨年の国連総会で決議されたESD for 2030、この中では、ESDはSDGsの主要なパート、一部分であると同時に、持続可能な社会づくりの担い手づくりを通じて、SDGs全てのゴールの実現に寄与するという役割が強調されております。これと同じことが、ユネスコエコパークについても言えるのではないかと考えております。
 実は、ユネスコエコパークにおけるESDの重要性というのは、既にユネスコエコパークの運営側、協議会などの中では認識されております。しかしながら、幾つかの課題があります。
 例えば、ユネスコエコパークを生かした学習というのは、まだ、それぞれの地域で、こんなすばらしい自然がありますよというような地域学習にとどまっています。
ユネスコエコパーク協議会を所掌するのは、ほとんどの場合、基礎自治体の総合あるいは企画部局や、観光などの産業部局です。
 一方、学校は教育委員会が所管しておりますので、ここに入り込んでいく際には、取組への温度差があったり、あるいはいろいろな壁があったりして、うまくいかないというようなお話がありました。
 そこで私たちは一昨年度から、学校にコミットしやすい側から、こういったところを支援していこうということで、今ユネスコエコパークを活用したESD、SDGsの推進ということに取り組んでおります。
 信州ESDコンソーシアムと同じように、地域のユネスコスクールなどの支援、あるいはESDの普及に取り組んでいるESDコンソーシアムは、各地にあります。私たちと同じような事業枠を活用して立ち上げられたものだけでも15個ぐらいあります。
 このうち、ユネスコエコパーク地域を対象として活動している既存のESDコンソーシアムが連携して、ユネスコエコパーク地域の学校を支援していこうという事業スキームです。
 ユネスコエコパーク地域でESDやSDGsの普及を進めていく。このために、学校現場が新たにESDに取り組んでいく上で一番有効なのは、同じ学校現場でどのように行われているか、これを教員みずからが肌で感じることです。
 そこで、昨年度は、志賀高原ユネスコエコパークの学校に、ほかの地域の教育関係者の方に来ていただきまして、視察していただく取組を行ってまいりました。
 そして、今年度は特に研修での連携に力を入れております。ここに挙げた写真、上は白山ユネスコエコパーク地域で活動しておられる北陸コンソーシアムの金沢大学の加藤先生、そして下の写真、こちらは大台ケ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパークで活動されている近畿コンソーシアムの奈良教育大学の中澤先生に、それぞれ志賀高原ユネスコエコパーク内のユネスコスクールでの研修会や実践報告会で御指導をいただいているところです。
 このような取組の過程で相互に交流を進めていく中で、参加者だけではなくて講師を含めて、ユネスコエコパークでのESDやSDGs、この取組について理解を深め、あるいは、その内容を深化していくことができております。
 それから情報発信にも取り組んでおります。今年度は中部地方ESD活動支援センターと連携して、白山ユネスコエコパークにフォーカスした指導者向けのイベントをオンラインで開催しました。こちらは主に、学校の先生を対象としたイベントです。
 そして、先ほども御紹介いただきました成果発表会、こちらは子供たちが主人公のイベントになります。こちらのほうは、みなかみユネスコエコパークから綾まで各地のユネスコスクールの子供たちに参加していただきました。
 この二つのイベントを合わせて、こちらのほうで捕捉できているだけで、国内に10サイトあるユネスコエコパークの中の9サイトの関係者の方、協議会や教育委員会あるいは学校の先生などに参加いただきました。ユネスコエコパークを活用したESDの輪は、着実に広がっております。
 さらに、新たな交流を生まれております。成果発表会では、交流と題していますが、18校もの学校が参加するする多対多のセッションなので、なかなか学校現場でイメージしやすい、子供同士の交流を設定するのは難しいところがあります。
 しかし私たちは、これを交流のきっかけとして捉えていただきたいと考えております。
 ちょうど先週、白山ユネスコエコパークの管内にある岐阜県の荘川中学校と、福井県勝山市にある北郷小学校の交流が始まりました。下の写真が、このときのオンラインセミナーの様子です。
 交流はどういうふうに始まったかというと、バイカモという、きれいな冷たい水がある流れに生える水草、これを共通の学習材として扱っている学校の間での交流ということだったんですね。さらに、まだこの学習を始めてはいないのですけれども、同じく校区の中にバイカモがあるということで、志賀高原ユネスコエコパークの山ノ内西小学校の先生にもお声掛けし、御参加いただきました。
 このように目的意識を持った主体的な交流がこれから増えていくように、これから私たちも働きかけを続けていきたいと考えております。
 次が最後になります。
 最後に、ユネスコエコパークとESDやSDGsとの関係について簡単に整理をさせてください。よく言われているように、ユネスコエコパークはESDを行う上で好適なフィールドです。世界級の自然資源であるとか、それらを生かした地域社会や文化や伝統、このような優れた地域学習の資源があるからです。
 一方で、ユネスコエコパークにとってESDはどのような機能を持つのか。やはり最も重要なのは、人材育成に収れんするのではないかと考えております。
 ユネスコスクールをはじめとする学校教育、学校現場では、次世代育成が行われております。特に地域の学校が全てユネスコスクールになる、これはどういうことを意味するかというと、小中学校だけで9年間、さらに幼稚園や高校まで含めると、さらに2年から5年間、これだけの世代がユネスコエコパークについて学習する、あるいはESDを通じて、持続可能な社会づくりの担い手に必要な価値観や資質、能力を養うことになるわけです。これはユネスコエコパークはもちろんのこと、地域社会そのものにとっても中長期的に非常に大きな意味を持つのではないかと考えております。
 また、学校現場だけではありません。社会教育や生涯教育を通じた働きかけ、その中からユネスコエコパークの担い手が生まれ育っていく。これもユネスコエコパークを生きたものにしていくために重要な機能ではないかと考えております。
 また今回、残念ながら、時間の関係で紹介できませんでしたけれども、志賀高原ユネスコエコパークでは、ESDを推進していく過程の中で、その文脈の中で、ユネスコエコパークのための活動であるとか、あるいはユネスコエコパークを意識した活動といったものが活発化してきたという経緯があります。この点において、ESDはユネスコエコパークを活性化し推進するエンジンであるとも言うことができます。
 今後はさらに支援の輪を拡大し、全国のユネスコエコパークにおいて、ESDを取り組む際に、それを支援する体制を整えていくということを目指しております。
 国連においてDESDを提唱するなどしてきた経緯から、ESDは日本の強みと考えられています。このESDとの相乗効果により、ユネスコエコパークがSDGsの達成に貢献する優良事例を生み出していくこと、また、その経験を発信していくことは、日本のユネスコエコパークのコミュニティが世界のユネスコエコパークコミュニティに対して果たし得る最も大きな貢献になるのではないかと考えております。
 私からは以上です。御清聴ありがとうございました。
【日比谷委員長】  お二人の御発表、どうもありがとうございました。それでは、これまでの二つの御発表を受けまして、御意見、御質問を頂きたいと思います。
【植村国際統括官補佐】  伊東委員、お願いします。
【伊東委員】  伊東でございます。今の水谷先生のお話、大変感動したのですけれども、そもそもユネスコの活動に関する、もしくはESDでもいいのですが、日本の小中学校なのでしょうかね。そもそも授業のカリキュラムに、ユネスコの活動であるとか、ESDそのものでありますけれども、そういったことを、例えば教科書に記載をして、実際の授業の中で、生徒に教えるだとか、ユネスコ活動全般についてでもそうですけれども、そういったことを具体的な授業の中で進めておられるのでしょうかね。文部科学省の、まさに活動としてのユネスコの活動があるわけですけれども、そういう中で、すごく身近な問題として、小中学校でのこういった普及活動にもつながるといいますか、ESD自体がSDGsを進める上で大事なことなのですけれども、今後も含めて、実際、今どうなっているのでしょうか。
【日比谷委員長】  水谷先生、どうぞ。
【水谷助教】  御質問ありがとうございます。まず前半のユネスコについてなのですけれども、申し訳ありませんが、あいにく十分な情報を持っておりませんので、どなたか御存じの方いらっしゃいましたら、学校教育の中でユネスコというのが、どれだけカリキュラムの中に入っているかということについては補足いただければと思います。
 一方で、私の今までの経験上の感想なのですけれども、かなり地域によって、その辺りの取組、あるいはユネスコというものを明示して、子供たちに伝えている取組の量というのは大きく異なっているのではないかと思います。たとえば地域のユネスコ協会の方が積極的にコミットしておられるところ、あるいは教育委員会の中に、そのユネスコ協会の事務局があるようなところでは、ユネスコの姿が見えやすいというところがあります。
 次にESDの部分に関してですけれども、これは学習指導要領の中で明確に位置づけられております。今般改訂された学習指導要領ではESDについて、持続可能な社会の創り手の育成という表現で、全ての校種で明記されています。ですから、今後は、ESDというものは、ちょっと意識が高い学校だけが取り組む特別なことではなく、全ての学校が取り組んでいくべきものという位置づけになったという理解でよろしいかと思います。
 以上です。
【伊東委員】  今後は、正式な授業のカリキュラムとして、こういったESDを進める教育がなされるということですよね。そういう意味では、ユネスコの活動全体に、そういったことが反映されていくと考えていいのでしょうね。
【堀尾国際統括官補佐】  事務局のほうから少し補足させていただきます。ユネスコスクールというのが、ユネスコの定義では、ユネスコの理念を実践する学校ということで、ユネスコスクールネットワークを、学校を通じてユネスコの理念を実践していくというので始まっております。日本においてESDが始まって以降、ESDの推進拠点というような位置づけを付加してユネスコスクールの数の増加に努めてきたところです。
 現在、ユネスコスクールを中心にESDの活動が展開されてきているわけですけれども、先ほど水谷先生から御紹介がありましたとおり、新しく始まりました学習指導要領の中で、持続可能な社会の創り手づくりという、ESDを実践していくということが盛り込まれておりますので、今後はユネスコスクールに限らず、全校の学校でESDを推進していくということになっております。
 ただ、ESDの実践といっても、なかなかすぐには難しいので、これまで取り組んできたユネスコスクールが、こういった事例、実践例を提供しながら活動を展開していくということで、教育小委員会のほうでも、ユネスコスクールのこういった成果や実践例をさらに広めていくということをしております。
【伊東委員】  分かりました。ありがとうございます。ユネスコの活動って本当に幅が広くて、ユネスコというこの言葉は皆さん、よく知っていると思うのですが、具体的な活動というのは、なかなか全てを分かりませんよね。そういう意味では、生徒といいますか、小学校、中学校あたりで、ユネスコの活動はこんなことをしているんだということを知らせることが、親にも伝わるような社会にも、そのうち広がっていくような、そういったことをやられるといいなと伺っていて思いましたので、質問させていただきました。ありがとうございました。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。
【植村国際統括官補佐】  翁委員、よろしくお願いします。
【翁委員】  日本総合研究所の翁です。大変貴重な御説明をありがとうございます。大変興味深くお伺いしました。
 SDGsの担い手を教育していくということはとても大事なことだと思っていますが、コロナショックによって、先ほど水谷先生は、その知識を得るだけでなく、価値観や資質ということをおっしゃったのですが、それに加えて、多分、課題解決力とか、それから課題設定解決力、それから想像力、それから、よりその変化がいろいろあるので、イニシアチブを取っていくというようなことも含めて、そういった人材をつくっていくということが大事ではないかと思うんですが、そういった部分について、水谷先生はどういうふうに思っていらっしゃいますかということについて、一つお伺いしたいと思います。
 やはりその意味で、アクティブ・ラーニングというか、自然体験みたいなことは、とても大事だと思っておりまして、そういった体験を通じて自由な発想とか、恐らく、そういった問題解決力とか、そういうことにもつながっていくのじゃないかと思っていますが、そういったことが大事だと思っています。
 あと、もう一つ御質問したいのは、やはり地方の国立大学として、こういったものを担っていくというのは、とても各地域において大事なんじゃないかと思っています。そのほかにも企業なんかと連携してエコシステムをつくっていくということも大事なのですが、国立大学が、それぞれの地域で、そういった核になっていくというようなことについて、どんな課題とかがあるとお考えでしょうか。何か感じておられることとか、現場でございましたら教えていただければと思います。
 以上でございます。
【水谷助教】  御質問ありがとうございます。私のほうで理解、把握している範囲で考えを述べさせていただきたいと思います。
 最初に御指摘いただきました、課題解決能力とか課題設定能力が重要ではないのかという御指摘なのですけれども、まさしくそれはそのとおりでして、ESDによって育まれる資質・能力の分類は、実のところ、課題解決能力とか設定能力、あるいはコミュニケーション力などのスキルを、学校現場で扱いやすい表現で整理したものです。ですから、そこの部分についてはESDの中でも取り組まれている部分と言えます。
 次にアクティブ・ラーニングであるとか、あるいは高校生であるとか、あるいは大学生になってくると、プロジェクト・ベースド・ラーニングといった学習についてです。これらはESDを実践する際の、どちらかというと手段的な部分、方法論というような形で、全てつながったような形であるとイメージしていただければよろしいかと思います。
 それから、地方国立大学がこのような取組を進めていくことについてということなのですけれども、私自身は、非常にありがたいことに、大学のほうから、このような取組を応援していただいているところなのですけれども、大学では、今どんどん人員が縮小していく中で、教職員も様々な業績評価が行われています。その中で、このような地方や地域への貢献的な取組、小学校に出向いていって研修会などを行う、あるいは営業活動的なところもあるのですよね。ふらっと学校に行って、こんなことやっているのですけど一緒にやりませんかみたいな段階からやっているのですけれども、このような研究的ではない取組が、どう評価されるかがポイントになるかと思います。  個人的な意見としては、やはり地域のために貢献していくという部分について適正に評価がされていく。それは大学の様々な機能分類の中で重みづけがありますが、そういった部分についても重視するような形があると、今後、より進んでいくのではないかと考えております。
【翁委員】  ありがとうございます。
【植村国際統括官補佐】  野村委員、お願いします。
【野村委員】  鈴木委員、それから水谷先生、すばらしい発表ありがとうございます。非常に熱意にあふれた取組に心を動かされました。
 水谷先生にお伺いしたいのですが、この取組を通して子供たちがどう変わったのか。意識とか行動を変えていくということが目的だと思うのですけれども、翁委員の質問とも重なるところがあると思いますが、何かちょっとしたエピソードでも結構ですので、子供たちの成長ぶり、変化に目を見張ったというようなことがあったら教えていただけないかと思います。そういうことを共有していくことが、いまだ、この活動に一歩踏み出せていない学校さんにも、「あっ、だったら、うちも頑張ってみようかな」ということにつながるのではないかと思って、お伺いします。よろしくお願いします。
【水谷助教】  ありがとうございます。1点目は、これは私たちも非常に助けられたことなのですけれども、発表の機会をつくると、そこで子供たちが非常にすばらしい発表をする。周りの大人たち、先生方であるとか保護者が思っている以上に、いろいろなこと、地域のことを考えて、堂々と説明できる子供たちの姿に、周りの大人たちが非常に感銘を受けたというところがありました。
 実は1年目にはまだ、ESDの推進や地域外との交流の必要性に懐疑的な意見の方もいらっしゃったのですが、発表会での子供たちの姿を見て考えが変わり、以降は積極的に協力していただけるようになったという例もありました。
 そして、その子供たちが将来どうなっていくか。最初に学んできた子供たちが既に大学に進学する世代になっていますが、その中でも、自分は地域に戻って地域のために働きたいから地域創生のことについて学べる大学に進学する、というような進路選択をする事例が出てきております。
【野村委員】  ありがとうございます。
【植村国際統括官補佐】  では、時間の都合上、日比谷先生、次の議題に進んでいただきたくようお願いします。
【日比谷委員長】  はい、分かりました。
 それでは、次に議第の3に移ります。「科学小委員会の今後の検討課題について」、初めに事務局から報告をお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。それでは、資料3を御覧いただければと思います。資料3、「科学小委員会の今後の検討課題について」ということでお示ししておりますけれども、この資料では、科学小委員会でこれからどういった方向で御議論いただくかということについて、アイデア、御意見いただければと思っております。
 まず1ポツ、2ポツのところで、今回初めての会合ということもありますので、我々がやらなければいけない方向性を確認したいということで少し記述させていただいておりますけれども、科学小委員会の所掌については、最初に御説明したとおり、 自然科学並びに人文科学及び社会科学並びにこれらに係る普及活動に関する事項を調査審議ということになってございます。
 活動の目標といたしましたけれども、これは確認ではございますけれども、そもそもユネスコのこの文脈において科学がどういうふうに扱われているのかということを、米印のところで少し書かせていただきました。
 前文でございますけれども、客観的真理が拘束を受けずに探究されるということ、こういった結果、得られた知識が自由に交換されるということ、そしてそれが一般の国民の間において伝わるように伝達の方法を発展させ増加させるということで、科学についての客観的真理だけではなくて、しっかりと伝えていくということが前文に書かれております。
 そういったことも踏まえまして、大きな考え方としては、こういった科学的な能力構築の推進とか、ステークホルダーを巻き込んだ様々なアプローチでの科学的知見の結びつきを強化するということを大きな目標として御議論を進めていければいいのではないかということで、まとめさせていただいております。
 また、その下、SDGsについて少し書かせていただきました。これは国連を含めて、グローバルな目標として設定されております。ユネスコについても、自然科学分野でSDGsに貢献するんだということで多くの観点が示されておりますので、それを書かせていただいておりますけれども、このSDGsについて、方策について審議を行うとございますけれども、これを考慮に入れつつ議論をしていただくということで、留意点として少し書かせていただいております。
 以上、大まかな枠組みをちょっと頭に入れていただいた上で、じゃ、具体的にどういう御議論をしていただければいいのかということで書いておりますのが3ポツ、科学小委員会で取り扱う議事でございます。
 これも少し前段がございまして、一番下、3ページのところに、ユネスコ活動の活性化についてという2019年に出された、この委員会の建議がございまして、それを少し振り返らせていただければと思いますけれども、科学分野に関しては、特に持続可能な開発のための国連科学の10年に向けて、この重要性について普及を図るんだということ。それから、先ほどのプレゼンテーションにもありましたけれども、ESDとの相乗効果が得られるような、そういった協力を含めた、分野を超えた連携を図るんだということ。
 それから2ポツ目にございますけれども、科学分野での登録事業でありますユネスコエコパーク、それからユネスコ世界ジオパーク、そういったもの、登録事業については地域創生の資源となるということでありますとか、あるいは教育、観光に活用するといった効果が考えられますので、このような好事例の展開を図るということが重要だと指摘されております。
 それから最後ですけれども、世代や地域を超えて多くのステークホルダーが連携するんだということで、我々事業でプラットフォームというようなものを構築しようと今いたしておりますけれども、そういったことを利用するんだというお話、こういったもともとの考え方がございました。
 戻っていただきまして3ポツでございますけれども、こういった考え方を少し整理してみたのが次の3ポツのところでございます。  まずユネスコの科学事業についてでございますけれども、ユネスコが行っている科学的な科学についての様々な事業、MABであり、IHPであり、ジオパークであり、もちろんIOCであると。こういった科学事業についての専門的な分野から、どういうふうな方向で推進をしていき国際交流を図っていくのかと。これについて日本政府がどう考えるかといったような、こういった大きな対象方針については、これは引き続き御議論もいただく必要があろうかと思っております。
 その上で、普及等に関して、今回から議論をしっかりやっていかなければいけないということがございますので、幾つか挙げさせていただきましたけれども、例えばユネスコの登録事業の登録後の活用・普及についてということでございます。
 ユネスコエコパーク、ユネスコ世界ジオパーク、いろいろな登録事業ございますけれども、登録することについて非常に熱心なところが多くございますし、その後の活用も一生懸命やっておられるところ多くございますけれども、必ずしもそうじゃない、濃淡があるというような御指摘もございましたので、こういった科学分野の登録事業の活動の維持、活性化をどういうふうに図っていくのか、優良事例の共有をどうするかといったことでありますとか、あるいは先ほど申し上げたプラットフォームという分野横断的なポータルサイト等を今作っておりますので、そういった活用方法について御検討いただくのはどうであろうかということであります。
 それから3つ目の丸は、科学分野における民間等のユネスコ活動についてということで、本日、普及委員の方からユネスコ協会についての科学分野についての取組を御紹介いただきましたけれども、日本に300近くあるユネスコ協会という、このネットワークは、ユネスコ事業を推進していく上での大きな潜在力になっていくと思います。
 こういった民間におけるユネスコ活動とユネスコの科学分野における取組を共有していくということをどういうふうに進めていくと、こういった好事例の共有などが生まれてくるのかというようなこと。
 あるいは、先ほど建議の中の3番目でお示ししましたけれども、世代を超えたというような議論もございました。特にユース、若手といいますのは、ユネスコにおいても優先分野として位置づけておりますので、こういったユースを取り込んだ新しい普及をどうしていくかというような活動展開について、お知恵を頂くというようなイメージかと考えております。
 あるいは、それに関しまして、特に2021年は様々な事業等の節目の年でございましたので、こういったものも契機として、どういった取組ができるのかというようなことをお話いただけるのかなと思っております。
 それから4番目でございます。これは信州大学の水谷先生のまさに御発表にございましたけれども、科学事業だけではなしにユネスコに関して言いますと、ESDとか、あるいはユネスコスクールというような、日本に1,000校ある、そのユネスコの理念を実施する学校というのが登録されてございます。こういったユネスコスクールといったネットワークを使って、日本国内におけるユネスコの科学事業の展開を若年層に展開していくというようなことも、これからは、もっと進められるのではないかと考えております。  必ずしも、我々聞いております中では、ユネスコスクールはユネスコスクールだけで活動しているということで、地域にあるユネスコの科学の登録事業と連携していない場合もなきにしもあらずというようなお話もありますので、こういった、せっかくユネスコの看板でやっている教育活動、自然科学、社会科学の事業が、いかにうまく結びつくのかというような御議論をいただくということもあろうかと思います。
 それから最後でございますけれども、今申し上げましたのは、ユネスコの関係者といいますか、ユネスコ活動の枠の中でのお話でございますけれども、それを超えて、このユネスコの科学事業が一般の人々にどういうふうに伝わっていくのか、普及広報していくのかというような、こういったものについても、しっかりと取り組んでいく必要があろうということで、こういった論点を挙げさせていただいております。
 これは例でございますけれども、こういったことにつきまして、特に御意見いただきたい具体的な視点として書かせていただきましたけれども、先ほどから申し上げておりますように、今年は特に周年事業がございますので、普及啓発という意味では大きな可能性がある年だと思いますので、こういった契機を利用して、どういった取組が考えられるか、アイデアを頂ければありがたいと存じます。
 また、最初の説明の中にもございましたけれども、今年は大きな勧告が出る予定でございます。なかなか先端的な科学を扱った勧告でございますので、これを普及するのは難しいところございますけれども、こういったことについても、どういう普及が考えられるのかというようなことについて念頭に置きながら、本日、幅広く、自由に御意見いただけければありがたいと考えております。
 考える例としては、広報、SNSとかユースへの参画等書いておりますけれども、これに限らず、ふだんから皆様が取組をされている範囲の中でお感じになっていることを御紹介いただき、あるいは今後の科学事業の実施についての方向性など、皆様から御意見いただければありがたく存じます。
 事務局からは以上でございます。
【日比谷委員長】  ありがとうございます。それでは、現在の御説明を受けまして、この議題は討議となっておりますので、是非御出席の全ての委員の皆様からお考えをお伺いできればと思います。
【植村国際統括官補佐】  立川委員、お願いします。
【立川委員長代理】  どうもありがとうございます。本当にこれ、先ほど伊東委員が多分、御指摘になったことだと思うんですが、ユネスコの活動は非常に活発に行われていて、非常に幅広くて、その分、なかなか全貌がつかめないというようなことがあると思います。私もIHPに関しては理解しておりますが、こういう中でいろいろ議論をする機会をいただいて、例えばIOCとか、MABとか、あるいはそれ以外の活動というのもだんだんと分かってきたというようなことでして。ですので、この周年物として、是非、今のこの日本ユネスコ国内委員会のホームページを見ていたのですが、ここには非常に多くの情報が集約されていますが、ここに行って、ユネスコの国内委員、日本で何をやってるのというのが簡単に分かるようなポータルサイトをやはり作る。予算がないとできないかもしれませんが、このポータルというのがあるといいなと思いました。
 今ここですと、ポータルでESDのポータルサイトがありますが、ここの日本でのユネスコって一体どんなことやっているのというのが、初めての人が見ても、「ああ、こんなことやっているんだ」と簡単に分かるような、そういうものが、まずできるとうれしいです。それは、私はIHPのことをやっていても、この活動を次の世代の人とか、あるいは若い研究者に伝えていく上でも、実は我々自身もそういう材料をちゃんと持っていなくて、なかなか説明に困ることもあるので、この際、こういうものを、皆さんで協力して作ることができるといいなと思いました。
 IHP、政府間水文学計画では、実はユネスコ設立70周年のときに、やはり次の世代の人というか、新しい人を巻き込んでいく上で、どういうことをやっているかという、しっかりと資料がなかったものですから、それをまとめてホームページに置いたりとかするようなことがありました。結構それは役に立ちましたので、今回、この日本の加盟70周年においても、そういう活動をするといいんじゃないかなと思いました。
 以上です。どうもありがとうございます。
【石田国際戦略企画官】  すみません、事務局でございます。立川先生ありがとうございました。立川先生の話で私、説明をし忘れていた資料があるのを気づきましたので、ちょっと補足だけさせてください。
 資料3の最後に、ユネスコ科学分野の動きという表を作らせていただきました。カラーのものでございます。
 今、先生のお話の中で、非常にユネスコに多様な分野があるというようなお話ありましたけれども、科学分野も多様な分野があって、それぞれの分野でどういうことをやっているかというのは、それぞれの分野の御担当の方は分かっておられるところあると思うんですけれども、全体通して、どういった時間軸で、どういったことが起こるのかということをあまり整理されたことがございませんので、完璧ではありませんけれども、初めてこういうものを作成させていただきました。ですので、分野横断的にどういうことができるのかということ等の少しの参考として、これも御覧いただきながら御意見いただければと思います。大変失礼いたしました。
【植村国際統括官補佐】  角南委員、お願いします。
【角南委員】  角南でございます。冒頭で事務局からも説明がありましたように、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年に関する国内委員会というのが立ち上がります。今日は鈴木委員からもお話のありました通り、この持続可能な開発のための国連海洋科学の10年について、港区でいろいろとやっていただいたりということで、このユネスコの地域の活動と、是非連携をさせていただいたりできるかと思います。
 特に持続可能な開発のための国連海洋科学の10年においては、もちろんサイエンス、バイオ科学を推進するということもありますけれども、大きな目標の一つとして、海をみんなが愛する、海に対する親しみを持っていく、これを深めていくというような大きなミッションがありまして、是非こういった地域の取組はやはり、ユネスコの取組と一緒に広げていかなきゃいけないなということを思いました。今日は素晴らしいプレゼンテーション、ありがとうございます。
 それで、私ども笹川平和財団海洋政策研究所では、海洋教育を全国の小学校、中学校を中心に展開していくための事業を東京大学や日本財団と実施しておりまして、既に全国の数百校に教育支援をしています。この取り組みを通じて我々も小中学校、特に海洋教育を一生懸命やってこられている先生方のネットワークを持っておりますので、こうしたことも是非活用していただければと思っています。また資料については、事務局を通して、鈴木委員や関係する先生方に共有させていただきたいと思います。
 やはり東北も、もちろん東日本大震災から10年ということもありますが、海との関係性についての取組というのを非常に頑張っています。特に気仙沼などの地域は、その地域の教育委員会にも我々関わっているのですけれども、そういったところを後押ししていきたいと思っています。そして、これが持続可能な開発のための国連海洋科学10年を通じて世界レベルの活動につながっていくということを、是非地元の子供たちに伝えたいなと思っていまして、そういったことについても、是非何か御一緒できるのじゃないかなと思っていますので、よろしくお願いします。
 以上です。
【植村国際統括官補佐】  大島委員、お願いします。
【大島委員】  すみません、東京大学の大島です。2点ほどございます。
 1点目は、ちょっと重なりますけれども、やはりウェブ及びSNSなどの活用が考えられるかなと思います。このコロナの関係上、今、オンライン関係であったりとかテレワークといった、そういう状況が多いので、是非、そういうのを充実させていただけたらなと思います。
 今日御発表ありました鈴木さんや水谷先生の取組、非常に優良事例として、すばらしい取組だと思うんですね。なので、そういうのを、是非オンラインを通して、いろいろな方に知っていただくというのは非常に重要な点だと思います。
 あと2点目、水谷先生もちょっとおっしゃっていたのですけれども、今、学習指導要領が小学校、今年から導入、新しくなりまして、来年、中学校、再来年、高校ということで、総合的な探究の時間ですね、今充実した、特に高等学校は、これから理数探究という科目も新しく設置されます。
 なので、やはり教育を通して、こちらにありますようなユース及びジェンダーなどというのは、つまり教育を通すことによって広く浸透していくということが可能だと思うのですね。なので、是非、そういうことを利用していただきたいなと思っています。
 そのときに多分、例えば今日御発表になられたような非常にいい優良事例を、何らかの形で教育コンテンツ化するかというのも非常に大事だと思うんですね。
 なので、それはなかなか単独でするというのは難しいかと思いますけれども、是非、いろいろなステークホルダーですね、企業であったりとか、そういう方々もSDGsの関係で、こういう教育コンテンツ化というのは興味を持っていらっしゃると思うんですね。
 なので、そういうことをすることによって、実際に教育を通してユネスコの取組を知っていただくという、ある意味、お互いにウィン・ウィンになるような、そういう関係もつくられることができるのではないかなと思っていますので、是非取り組んでいただきたいなと思っていますのと、私たち自身も、そういう映像教材なども作っていますので、もし御興味がございましたら、何らかの形でサポートもできるんじゃないかなと思っています。
 実際に今、経産省でSTEAMライブラリーなども作られていますので、ユネスコの課題というか、非常にいい教材になるかと思いますので、是非進めていただけたらなと思っております。
 私からは以上です。
【植村国際統括官補佐】  河野委員、お願いします。
【河野委員】  河野でございます。立川委員の御発言とかぶるのですが、私、何回か前の総会でしたが、現在、文部科学省で作っておられる日本ユネスコ国内委員会のホームページは非常に有益ではあるものの、ちょっと一般の人が見るにはハードルが高くて、コロナ環境下で様々なイベントができないための代替措置を何か考えなければいけないのではないかという議論の中で、少し一般の方が見ても魅力的に見えるような、かつ、ユネスコの活動は全て網羅されているようなホームページの作成を作ったらいかがだろうかという発言をしたのを、ちょっと思い出しました。
 もう一つ、全く同じ傾向のことなのですが、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年に関しましても、角南委員の御尽力で国内のフォーカルポイント、国内委員会が結成される見込みになりましたけれども、こういったところを軸に、情報をきちんと集約して、日本が行っている持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の活動。これ私、科学研究機関におりますので、海洋科学のほうにどうしても目が行きますが、実はそれだけではなくて、アウトリーチであるとか、教育に様々な貢献をしているわけで、そういったものも、やはりパッケージにしてアピールしていくというような方策が取れれば、角南委員がおっしゃった魅力的な海でしたかね、「夢のある魅力的な海」というのが近年、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の目標に加わりましたので、何とかここを目指すことで、そういった皆さんの興味を引いていって盛り上げていけるのではないかなと思います。
 以上です。
【植村国際統括官補佐】  野村委員、お願いします。
【野村委員】  野村です。今、立川委員、河野委員がおっしゃったことと全く同意見で、そのほかの事務局からの具体的にコメントが欲しいという持続可能な開発のための国連海洋科学の10年について主に、3点申し上げたいと思います。
 まず、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年、資料に提示されているようなことは、いずれも大変大事なのですが、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年を知っていますかと一般的に問いかけて、知っていますという人はなかなか、まだ少ないのではないかと思います。
 一つは、やはり認知度を向上したほうがいいと思います。やはりきれいな海、安全な海というのが、このままでは危ないという危機感は、ちょっと情報を検索すれば分かることですけれども、なかなかそこが共有されていない。
 それで、こちらにもありますように若い世代に、特に今まで関心がなかったような人にも、その問題意識を持ってもらうために何をしたらいいかというと、本当に例えばですけれども、例えば持続可能な開発のための国連海洋科学の10年のキャッチコピーを募集するとか、例えば30秒動画を募集して、何かコンテストのようなものを行って、受賞作品の動画を広く拡散していくというような、そんなことも考えられるのではないかなと。
 そういったPR活動には経験、知見のあるPR会社などに協力してもらって一緒に事業するというようなことも考えてもどうかと思います。
 それから二つ目ですが、では、それをさらに深く定着させるためには、先ほどの水谷先生の御発表にあったような、全国の国立大学教育学部と地方自治体、教育委員会とユネスコスクールという地域毎の取り組み主体に、この持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の情報をお届けして、地域でがっつり取り組んでいただくというのが二つ目。三つ目が、多様なステークホルダーを巻き込むために、やはり私は企業が一つキーとなるプレーヤーではないかなと思っております。
 そこで、きれいな海、安全な海というものと企業の活動というのが、どのように関連するのかという調査研究データ、エビデンスを発信して、今ESG投資も盛んになってきておりますので、企業の問題意識も高めてもらうという働きかけをしてはどうかと思います。  以上3点です。
【植村国際統括官補佐】  伊東委員、お願いします。
【伊東委員】  よろしいでしょうか。伊東です。私も先ほど河野委員がおっしゃったホームページの件を一つ言いたいのですが。私も昨日ホームページを見てみました。きっちりと歴史から抜けはないのですが、魅力的でないと思います。
 いろいろな活動をされているので、例えば写真を入れるとか、そういった活動の紹介をされることが大事なんじゃないかなと思います。是非70周年の周年事業としてというか、要は活動をアピールするという意味合いをホームページに持たせるのは必須じゃないかと考えます。
 それから、先ほども質問の中で言いましたが、あと大島先生ですかね、もおっしゃったみたいに、子供を教育する中といいますか、要は教育の中で、このユネスコの活動をしっかり子供に教えていくということが、将来にわたってユネスコの活動を支えるものになっていくのではないかと思いますので、そういったことを、まさに文部科学省の仕事だと思いますし、教科書の中に入れて必須科目として教えるぐらいのことを進められたらいいのではないかと改めて思いました。
 それから周年事業で、コロナの中で、なかなか大きなイベントとかいうのはできないのでしょうけれども、オンラインのシンポジウムのようなものが、最近は1か所に集めるより、たくさんの参加者が、オンラインのシンポジウムだと集まるんですね。ですから、一つの案として、オンラインでのシンポジウムをやられると注目を浴びるのではないかと思いました。
 私からは以上です。
【植村国際統括官補佐】  小林委員、お願いします。
【小林委員】  東京大学の小林です。今日はいろいろと御発表、本当にありがとうございました。既に皆さんがいろいろおっしゃっているのですけれども、この国内委員会の活動は是非、ほかの委員会で言ったような気がするんですけれども、この70周年を記念して、やはり周年史を練り上げるとか、それを基にしたホームページの作成等はちゃんとやっていただきたいなと思っています。
 それに対して、例えば今日御発表いただいた日本ユネスコ協会連盟さんのホームページは、やはりすごくよくできていて、大変活動が分かりやすくて、写真もいっぱいで、訴えることもすごくはっきりしていていいなと個人的には思いました。
 それで、その中で一つ気になったことなのですが、子供に対するとか次世代に対するというのは、皆さんが御発言されているとおり、例えば学校教育の中で、これから教科書に出るとか、何か皆さん、やはり次世代のことに関心があるから、すごくそちらの方面は、これから充実していかれるだろうなという期待があるのですが、何かすごく気になるのが、いわゆる、その親御さんたちとか、私たちもそうですが、私などは、やはりこの、こういう国内委員会の委員させていただいて、それで、こういう委員会に出させていただいて初めて、今、科学的に何が、私、人文学ですから、問題になっているのかというのを知るきっかけになって、私にとってはすごくいいんですね。  ですが、じゃあ、これをどういうふうに私が、人文学の分野だけれども、活動していけばいいのかというところが、すごく分かりにくいなと思っているわけです。
 それで、また、それをどう伝えていけばいいのだろう。例えば授業の中で学生の中に何かそういうことを話してみるということはできたとしても、じゃあ、その科学分野ってこうなんだよといったことを私がちゃんと説明できるわけじゃないわけですね。非常に、ちょっとミニ学問的でしかないような部分を、どう取り組んでいけばいいのかなということを、ちょっと考えさせられてしまうわけですね。  それで、何かあちこち行って申し訳ないのですが、じゃあ、もうちょっと身近なところで、もしかしたら何か、この日本ユネスコ協会連盟さんの、例えば自分の地域にあるものと何か連携できないかなと今、この間、考えていて、見てみたら、地域にあるのですね。私の住んでいる地域にもあるのだけれども、だけども、じゃあ、そのホームページはありませんでした。
 つまり、この地域、日本ユネスコ協会連盟で非常に自発的にでやっている人たちの中にも、すごく濃淡があるのかなと思いまして、どう連携していけるのかしらというところは、ちょっと分かりにくいなという感じがしたのですね。
 今、何かここで答えがあるというわけではないのですけれども、何かもうちょっと専門的に関わっている人と、まさに自発的にこの活動を広げていきたいと思っている人たちが、うまくリンクができないかなということをぼやっと、ちょっと思ったということなのですね。どうすれば私自身も関われるのかとかと思ったということです。
 それと、水谷先生の御説明の中にあったと思うのですけれども、例えばユネスコのこういう活動というと、そもそも文部科学省が所管していますから、イコールすぐ教育委員会で、もちろん子供たちに対しては学校教育にすごく密接に結びつきますから教育委員会でいいんだと思うんですけれども、教育委員会も、これもいろいろだと思うんですが。私も結構、自治体と仕事することが多いからなのですが、学校教育のほうに手いっぱいで、いわゆる一般市民向けの社会教育の分野というのは、そもそも社会教育って市民の自由な発想の中でやっていくものだと考えられていて、教育委員会が反対に、積極的に関わるということが難しい分野でもあると思うのですね。
 そういう中で、今日の課題の中にもありましたけれども、一般の市民に向けた啓蒙普及活動をどういうルートでやっていくのかというのは、結構ちゃんと考えないといけないことなんじゃないかなと思いました。
 イコール教育委員会、社会教育、さあ、やってくださいというものではない、何か自発的なものを育んでいく、非常に難しい部分があるような気がしたというところなのですね。
 ですから、別にアドバイスとか、何かこういう解決方法があるということじゃないのですが、意外と私たちがこういうふうにやればいいと思っている部分で、学校教育はうまくいきそうだけど、一般向けって意外と難しい部分があるなというのを感じたというのが、今日、全体を聞いていて、ちょっと感想のようなものになってしまいますが、意見です。
 以上です。
【植村国際統括官補佐】  林委員、お願いします。
【林委員】  ありがとうございます。ただいま小林委員が指摘されたことは大変、私たち日本ユネスコ協会連盟の会員である地域ユネスコ協会自身も切実に感じているところです。
 水谷先生の御発表のように、地域のユネスコ協会もそうですけれども、教育委員会を通して国立大学中心に動ける地域はよろしいですが、私は旭川ユネスコ協会の者ですけれども、先ほど鈴木委員が示した羅臼の地域学のように、核になるところが教育委員会であっても、やはり地域全体のネットワークがなければ前には進みません。子供たちを育てるといっても、その子供たちにキャリア教育をして、その地域で育ってもらう、あるいはほかの地域でも生きていけるようなビジョンを育てるということになりますと、やはり地域全体で育てるという地域力を試されるという現実がございまして、なかなかそのときには、私ども旭川ユネスコ協会は、社会教育のところに事務局がありますけれども、皆さんお忙しくて、その一つ一つのことに関わってくださるのは難しい。確かにSDGsは大企業で推進されておりまして、そのスピードも速いのですが、地方の中小企業では、もっと切実なことが迫っていて、なかなか推進にも進まず、パートナーを、カウンターパートというか、ステークホルダーを見つけることも大変ということもあります。
 そこで私は、日本ユネスコ協会加盟70周年ということを考えたときに、一つ提案させていただきたいと思います。
 以前の議事録を見ますと、日本ユネスコ国内委員会というものにはロゴがあって、それは使用可能と伺っておりました。そのような、日本ユネスコ国内委員会として、例えばユネスコ加盟70周年ということを発信できるのであれば、それを教育委員会、あるいは文部科学省のホームページに限らず、政府のホームページですけれども、あと文部科学省が現在ホームページに記載しているような団体を通じて、そのような中で、小さなキャプチャーというか、このスローガン的なものを認めていただければ、地域で活動する者はそれを使うことができます。
 つまり、やはり私たちには長年かけて培ってきた、この人的な地域のコミュニティの強さがありますので、顔の見える距離での、そういうコミュニティもちょっと大事にしていただければなと思います。それが1番です。
 ですので、そのようなロゴやスローガンのようなものを使うことが可能かどうかということは、是非検討していただきたいなと思いました。
 コロナ禍で気がついたことは、やはりデジタルリテラシーに乏しいというか、まだまだこれからという子供さんと、それから、社会教育で受皿になるはずの大人でも、特に中高年以上の大人は、このアウトリーチが届きづらいですので、やはりそこも、この国にとっては、次世代が育つのを待てない事業もあるはずですので、そういうところを地域ユネスコ協会にお任せいただきたいし、是非お声がけいただきたいなと思います。
【植村国際統括官補佐】  すみません、時間になりましたので、次の藤田委員の御意見で最後にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【藤田委員】  すみません、ありがとうございます。先ほどの林委員のお話にもありましたように、顔が見える地域でのネットワークというものと、あと全国規模のネットワークという両方があるといいんじゃないかなと思っております。その全国的なネットワークというのは、例えば卑近な例で恐縮なのですが、先日たまたま「ブラタモリ」を見ていたら、ジオパークが出てきて、解説が一緒に出てきて、「ああ、こんなすばらしい活動、これがジオパークなんだ」というのをすごく心に落ちるという経験がありまして。これまでの委員の方々のお話をお聞きすると、企業との連携、地域の学校との連携、ステークホルダーとの連携ということ、たくさん出てくるネットワーク、SNSを使った連携があるのですが、ただ、恐らく問題は、誰がどうやってやるのかというのは、非常に限られたマンパワーと時間の制限の中で難しいんじゃないかと思っていて。
 そこで、例えば私のおりますiPS細胞研究所では、プロの広報さんがおりまして、そういった広報さんが窓口になって、いろいろなメディアからの取材が、例えば山中所長のところに行ったり、あと中高生への倫理教育といったら、私のような倫理の研究室に話が来たりという、そういうハブのような役割を果たしていて、あと、来た話を受けるだけじゃなくて、出ていって活動して、こういう企画はどうですかということをするプロ、専門の方がおられて。ですから、予算の問題、マンパワーの問題もあるかとは思うのですけれども、そういった方が、例えば地域のユネスコ協会一つに1人というのではなく、幾つか全国的な規模で何かそういう担当を担うような、そういうポストの方がいらして、皆様ボランティアや手弁当でやっているところをプロのスキルと知識でやってくれたりするようなことがあればいいなということを、ちょっと思った次第です。
 以上です。
【植村国際統括官補佐】  日比谷委員長、時間になりましたので、次の議題をお願いします。
【日比谷委員長】  皆様、ちょっと時間切れになってしまいましたけれども、御発言ありがとうございます。
 最後に、議題の4「その他」として事務局から何かありますでしょうか。
【植村国際統括官補佐】  事務局からは特段ございません。
【日比谷委員長】  それでは、本当の最後に、事務局から今後の予定についてお願いをいたします。
【植村国際統括官補佐】  本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。今後の予定ですが、既にお知らせしておりますとおり、来週3月10日水曜日に第148回日本ユネスコ国内委員会総会を開催することとなっております。本日の科学小委員会の議論については総会で報告することになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【日比谷委員長】  それでは、ありがとうございました。これで閉会といたします。本日は皆様お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。御発表の方々もありがとうございました。
 

―― 了 ――

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