日本ユネスコ国内委員会 第103回普及活動小委員会 議事録

 1.日時

令和元年9月12日(木曜日) 11時00分~12時30分 

2.場所

 ホテル ルポール麹町3F「アメジスト」

3.出席者

(委員)
安達委員、石井委員、市丸委員、及川委員、岡崎委員、片山委員、木間委員、箕浦委員、山田委員

(事務局)
奈良哲日本ユネスコ国内委員会副事務総長(文部科学省大臣官房国際課長)
大杉住子日本ユネスコ国内委員会事務局次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)
磯谷桂太郎日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐(文部科学省国際統括官付ユネスコ協力官)
その他関係官

4.議事

【安達委員長】  皆様、それでは少し早いですけれども、おそろいなので始めていきたいと思います。本日は、御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。
 では、事務局から定足数の確認と事務局の紹介をお願いいたします。
【磯谷ユネスコ協力官】  本日は出席の普及活動小委員会委員が9名でございまして、委員の過半数7名以上でございますので定足数を満たしております。
 本日は、事務局から日本ユネスコ国内委員会副事務総長であります奈良大臣官房国際課長が出席しております。
【奈良国際課長】  どうぞよろしくお願いいたします。
【磯谷ユネスコ協力官】  また、私、国際統括官付ユネスコ協力官の磯谷、それから、私の反対側のテーブルの端に座っておりますのが、国際統括官付ユネスコ振興係長の福本でございます。よろしくお願いたします。また、国際統括官付国際戦略企画官の大杉が途中から参加の予定となっております。よろしくお願いいたします。
【安達委員長】  それでは、ただいまより第103回普及活動小委員会を開催いたします。国内委員会の規定に基づき、本日の会議は傍聴の希望者に対して公開いたします。また、御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので御了承ください。
 報道関係者の皆様におかれましては、写真撮影はここまでとさせていただきますので御了承ください。
 それでは、本日の会議の配付資料について事務局より説明をお願いいたします。
【磯谷ユネスコ協力官】  事務局でございます。本日の会議から、本小委員会につきまして資料のペーパーレス化を進めさせていただきます。既に教育小委員会におきましてもペーパーレス化を実施しているところ、ユネスコがSDG4のリーディングエージェンシーであるところのSDGsを推進する観点、そして、政府として進めております働き方改革の動きを踏まえまして、事務局の業務効率化を図る観点、これら2つの観点からの取組ということで委員の皆様の御理解を賜りたいと考えております。
 机上配付資料を除きまして、全ての会議資料はお手元のタブレットPCにてごらんいただく形となります。
 本日の会議資料の構成につきましては、議事次第中の一覧のとおりでございます。資料は1つのPDFファイルにまとめておりまして、各ページの下に通し番号を振っております。また、画面の左側にはしおりがございまして、こちらの資料番号、タイトルをクリック又は指でタッチをしますと該当のページが出てまいります。
 タブレットPCでございますが、卓上のセットの仕方としまして、スタンドを立てた状態で置いてございますが、スタンドの角度は自由に変えられますので適宜調整をしていただければと思います。また、タブレットを縦置きにしていただきますと、画面が自動的に回転をいたします。縦長の資料もございますので、そちらの方が見やすい場合もあります。縦置きにした場合は、安定的にタブレットPCを立たせることが難しくなりますが、キーボード部分を画面の裏側に折り返して机上に置いたり、手に持って使用したりすることも可能となっております。その際、キーボードが作動することはございません。
 なお、今申し上げた操作方法等は、机上に置いてあります説明資料の方に記載をしております。タブレットパソコンに不具合が生じた場合や操作方法が不明な場合につきましては、お近くの事務局職員に適宜お申し付けいただければと存じます。
 それでは、よろしくお願いいたします。

<議題1 最近のユネスコ活動について(報告)>
【安達委員長】  大丈夫でしょうか。
 それでは、議事を進めていきたいと思います。
 それでは、議題1に移ります。議題1は、最近のユネスコ活動についての報告、意見交換の時間といたします。初めに、日本ユネスコ国内委員会における最近の普及活動について事務局からお願いいたします。
【磯谷ユネスコ協力官】  事務局でございます。
 お手元の資料1から資料6につきまして順に御説明を申し上げます。このうち、資料1から3までが最近開催されたイベント等でございまして、私の感想も少々交えながら御報告をさせていただきます。
 まず、資料1にあります日本ESD学会第2回大会でございまして、先月19日から20日にかけまして宮城教育大学で開催されました。日本ユネスコ国内委員会事務局からは、副事務総長であります文部科学戦略官の平下がSDGsとESDについての歴史や最近のトピックを紹介する講演を行い、その後に「ESDを問い直す~学習指導要領と教科教育の観点から~」と題されたシンポジウムに参加をしました。シンポジウムには、本日もご出席いただいております及川委員も御登壇をされております。
 続きまして、資料2にあります第75回日本ユネスコ運動全国大会 in 東京でございます。つい先週末の7日から8日にかけて開催されました。こちらにつきましても、日本ユネスコ国内委員会事務局から文部科学戦略官の平下が祝辞を述べております。私も係長の福本とともに1日目に参りましたが、全国、そして、海外からもユネスコ活動関係者が来場されておりまして、2日間で延べ約900人もの参加者がいらっしゃったと聞いております。
 私が参加した中で特に印象に残ったこととしまして、世界寺子屋運動に関して、寺子屋に通っていた方々が登壇したパネルディスカッションのことを少し紹介させていただきたいと思います。パネリストの中には、学校に復学するための復学支援クラスに通っていたカンボジアの女子高校生がいたのですけれども、彼女は将来ホテルの経営者になるという夢を持って頑張って勉強をしておりまして、高校でもトップクラスの成績を挙げているそうです。モデレーターをされておりました日本ユネスコ協会連盟事務局長の川上千春先生から、「将来の夢を実現するために今後どんな教育を受ける必要があると思いますか」と問われたのですけれども、彼女は答えの中で、幾つかあったのですけれども、課題を解決する勉強をしないといけないというようなことを言っておりました。これはまさに、ESDあるいは新しい学習指導要領の中でも非常に大切にされていることでございまして、私としても大変感銘を受けました。
 続きまして、資料3にございますG20サミット教育関連イベント「21世紀の教育政策」でございまして、こちらも先週5日に公開セミナーが、翌6日に学校視察が行われました。
 公開セミナーでは、日本ユネスコ国内委員会の広報大使であります平野啓子さんに司会を務めていただきました。公開セミナーの第2部は、来年2020年から始まる新たな国際枠組みでありますESD for 2030のプレローンチとして位置付けられておりまして、ここではステファニア・ジャンニーニユネスコ教育担当事務局長補からの講演や、ESDに関連した発表が行われました。また、翌6日の学校視察のうち、横浜市立みなとみらい本町小学校は、SDGsを学校計画の中核に据えました教育活動を展開しておりまして、ユネスコスクール申請中、かつ、昨年度のユネスコスクール全国大会の会場でもあります。みなとみらい本町小学校は、児童の多くが高層マンションに住んでいるというユニークな環境にある学校でございまして、校長先生からの発表では、将来我が国のリーダーとして活躍することが想定される子供たちに社会に貢献する人材として育ってほしいという思いからSDGsを中核とする学校経営を行っているということが語られたのが大変印象的でございました。
 続きまして、資料4以降でこれから開催されるイベント等につきまして紹介させていただきます。資料4としましては、10月13日から14日に開催されます第6回ESDユースコンファレンスにつきましてでございます。こちらは五井平和財団さんと共催しておるのですが、国内各地でESDに取り組んでいる多様な立場の若手リーダーたちが出会い、つながり、学び合い、連携していくといううねりを創り出す合宿形式のイベントとなっております。
 資料5に移りまして、こちらは先ほど、昨年度みなとみらい本町小学校で開催されたと申し上げましたユネスコスクール全国大会でございまして、今年度は広島県福山市で開催されることとなっております。今大会では、ユネスコスクールでどういった力を育みたいかに焦点を当てまして、学習指導要領、SDGs、地域社会、国際社会などとの関わりを改めて考えまして、また、分科会の中では、ESDで育む資質・能力、カリキュラム・マネジメントとホール・スクール・アプローチ、地域とともにある学校とユネスコスクールという3つの柱を軸に、研究協議や交流を実施することとしております。
 最後に資料6でございます。12月20日から21日に掛けて開催されますESD推進ネットワーク全国フォーラム2019でございます。ESDに関する最新の国内外の動向やネットワーク形成の状況を共有するとともに、ネットワークのさらなる成長を図るイベントとなっております。
 私からは以上でございます。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、これまでの御報告を受けて、委員の皆様から何か御意見、御質問はございますでしょうか。
 木間委員、お願いいたします。
【木間委員】  ただいま御報告いただきました日本ユネスコ運動全国大会in東京につきましては、文科省の方々をはじめ、ここにいらっしゃる皆様にも御参加頂きまして、ありがとうございました。共催いたしました東京都ユネスコ連絡協議会の事務局長として、一言改めてお礼を申し上げたいと思います。
 世界寺子屋運動も30年たちまして、寺子屋の成果が見え始めてきて、寺子屋での復学者が市議会議員になるなど、ようやく活躍が目に見える形になってきましたので、今後もいろいろな機会を通じて、多くの皆様に御披露できればと思います。よろしくお願いいたします。

<議題2 2020-2021年のユネスコ活動に関する方針(答申案)(普及分野)について>
【安達委員長】  ありがとうございます。
 続けて、何か御意見、御質問などがありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、議題2の方へ移っていきたいと思います。先日、2020-2021年のユネスコ活動に関する方針(答申案)の普及分野に関しまして、持ち回り審議を行わせていただきました。初めに、お手元の資料7に基づき事務局から説明をお願いいたします。
【磯谷ユネスコ協力官】  事務局でございます。
 先般、皆様におかれましては、メールでの持ち回り審議に御協力を頂きまして、ありがとうございます。また、審議の期間が大変短くなりましたことをおわび申し上げます。
 それでは、皆様、資料7をごらんください。資料7につきましては、大きく4つのパートに分けておりまして、1つ目はローマ数字1の1に該当する部分ですけれども、こちらではユネスコ本体の主な取組の現状。それから、2つ目としましては、ローマ数字1の2に該当する部分、こちらは我が国のユネスコ活動の状況。それから、これらを踏まえまして、3つ目としましてローマ数字1の3では、今後の2020年、2021年の我が国のユネスコ事業に関する基本方針ということです。そして、最後に4つ目でございますが、ローマ数字2につきましては、今度のユネスコ総会で採択される予定でございます2020-2021年事業予算案に関しての我が国としての方針を記載しているという状況でございます。
 まず最初に、ローマ数字1の1のユネスコにおける主な取組の現状でございますが、こちらは現在、アズレー事務局長のリーダーシップの下で進めております戦略的なユネスコ改革につきまして特に重点を置いて記載をさせていただいております。
 続きまして2に移りまして、我が国の主な活動状況ということですけれども、こちらでは民間ユネスコ活動の現状につきまして記載をさせていただいた上で、これらの活動につきましては、ユネスコの理念を実現するために、それぞれ創意に基づく実践、それから、普及活動に努めているのですけれども、こういったユネスコ活動につきましてもなかなか課題があって、各地で皆様本当に頑張っておられますけれども、さらにユネスコ活動を活性化していくに当たっては、現在ユネスコの非常に重要な柱となっておりますESDやSDGsに対する認識や、それから、理解の深まりというものをより強めていく必要があるのではないかという観点で記載をさせていただいております。また、最近は特に企業やNPOにおいて、ESDにつきまして非常に熱心に取り組んでいるところが多くなっているところでございますので、こうした取組と、より連携、協働できるようなネットワーク構築が目指されているということについても言及をさせていただいております。
 続きまして3に移りまして、こうした課題認識等も踏まえまして、今後の我が国のユネスコ活動の活性化の方向性としまして、3点記載しております。
 1つ目が、新たな地域課題を踏まえたユネスコ活動の活性化ということで、ユネスコ活動を、例えば地方創生等の動きとも関連させて、包括的なアプローチとして捉え直して活性化をしていく必要があるのではないか、あるいは、最近、入管法等の改正もあったわけですけれども、異文化理解、それから、多文化共生社会を目指したユネスコ活動が期待されているということを記載しております。
 それから、2つ目でございますが、世代を超えて持続可能なユネスコ活動ということで、まず1つがユースの参加につきましては、ユネスコ本体も非常に力を入れていることでございますので記載をさせていただいておりますし、ユースにとどまらず、例えば働く世代や退職後のシニア層にとっても魅力的なユネスコ活動の在り方を追記する必要があるのではないかということにつきましても記載をしているところでございます。
 それから、3点目でございますが、多様な担い手が連携するプラットフォーム作りにつきまして記載をしておりまして、例えば我が国はユネスコスクールのネットワーク、こちらはユネスコスクール数に関しまして世界一の数を誇るわけですけれども、ユネスコスクールだけではないのですが、こういったステークホルダー同士の連携を深めて、オールジャパンで戦略的なユネスコ活動に関する取組を推進していくというプラットフォームの構築が望まれるということで記載をしております。
 それから、最後にローマ数字2の部分になるんですけれども、こちらは2つ記載をしておりまして、(1)がアズレー事務局長の進めております戦略的なユネスコ改革と軌を一にした取組を進めるということ。それから、(2)としまして国内の活動の成果を世界に発信・共有する機会の拡大ということで、先ほど最近のユネスコ活動の紹介の中でも幾つか海外につながるような取組も紹介させていただきましたが、日頃のユネスコ活動の活動成果を海外に発信するということは、ユネスコ活動に関わられている皆様のモチベーションアップであったりだとか、それから、ユネスコ活動をより魅力的なものにしていく観点からも非常に有効だと考えております。やはりユネスコ活動の強みの1つは、地域と、世界と結び付けることにあると考えておりまして、そういった観点からこちらは記載しているところでございます。
 私からは以上でございます。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本答申では3の2020-2021年のユネスコ事業に関する我が国の基本方針として3点挙がっておりますが、(1)新たな地域課題を踏まえたユネスコ活動の活性化、(2)世代を超えて持続可能なユネスコ活動、(3)多様な担い手が連携するプラットフォーム作りの3点が挙げられています。この後、委員の皆様にはこれらを進めていく方策について、日本ユネスコ国内委員会、ユネスコ協会、ユネスコスクールをはじめとする学校や地方公共団体、企業、NPOなどの各アクターに求められる役割や、これら多様なアクターの取組をどのように結集すべきかについての御意見を1人二、三分程度で御発言いただけますでしょうか。3点のうち全てに対してではなくて、いずれかにポイントを絞っての御意見でも差し支えありません。よろしいでしょうか。二、三分という限られた時間になってしまいますが、その後の議論の時間をたくさん取れたらと思いますので御協力の方お願いいたします。
 それでは、石井委員の方から順番にお願いいたします。
【石井委員】  厚木ユネスコ協会の石井と申します。
 私は、2番目の世代を超えて持続可能なユネスコ活動ということで、考えていることを話したいと思います。
 地元の活動が中心の話になりますが、私たちの厚木ユネスコ協会の青年部ですが、人数としては30名弱おりまして、全国のユネスコ協会の中でも一番の組織率と聞いています。その青年たちが活動する内容は、春キャンプ、秋キャンプ、クリーンキャンペーン、スタディーツアーなどをやっています。この夏には、とても暑いということで何か楽しいことを考えようということになって、流しそうめん大会をやったようです。これらはみんな青年独自の企画イベントなのですが、とにかく青年たちは楽しめることをやりたい、そして、それは仲間作りをしているのです。そのときに厚木だけではなくて、神奈川県だけではなく、県外から仲間を呼んできて、たくさんの若者たちが集まってきます。ただ、私も何回か参加させてもらったのですが、ユネスコの理念とか、ユネスコへの理解が不十分だなと日頃感じていました。そこで、若者たち同士でそういう理念の学習をやればいいのですけれども、ちょっとおろそかになっているので、そういうところは大人の私たちが講義して、こうなんじゃないのという意見交換をして学習してもらっています。
 今年の3月のキャンプでは「ユネスコってなあに?」と題してプレゼンテーションをしまして、初めてユネスコのことがよく分かったとかってたくさんの若者たちが言ってくれたのです。ユネスコの理念とか、SDGsのことも話しました。
 また、夏季休業中に行っているユネスコサマースクールなのですが、これは参加者がほとんど小学生なのです。そのときにもユネスコの話とか、SDGsの話をしました。学校の教科書で見てはいるのです。ユニセフとかユネスコという言葉は出てくるのですが、活動については知らないです。厚木ユネスコ協会で一緒に活動して、割とよく分かったと言ってくれたのですが、本当にそういうことを教えていくことが大事かなと思うのです。そこに参加してくれたある5年生の男の子が、来年も来たい、中学校に行っても来たい、高校生になっても来たい、大人になっても来たい、ずっと来ていいのと聞いてくれたのです。本当に感動的な言葉を発してくれたのですが、そういう子供たちを1人でも2人でも育てていきたいと思って頑張っております。
 私の持論として、いつも言っていますけれども、やっぱりユネスコに関しては子供のうちからユネスコ活動に触れされることが大切ではないかなと思っております。これからもユネスコ活動にどんどん引き込んで、楽しみながらユネスコ活動に参加して関心を持っていってもらいたいなと考えております。子供のうちから体験し、ユース、そして大人になるまで育てていきたいなと考えています。
 そのほか、神奈川県の鎌倉ユネスコ協会でやっておりますSDGsみらい塾は、民間の活動イベントなのですが、このセミナーには中学生、高校生、大学生も参加しております。そして、シニアの方もかなり関心が高く熱心に参加しておられます。さっきシニアという話もあったのですが、退職してすぐにということもなかなか難しいと思うのですが、こういうイベントなんかに参加しながら関心を持っていただけたらと思います。
 グループワークをするときに世代間交流ですね。若い人もシニアの方も意見交換をして、こういう考えを持っている、こういうふうにやっていこうということをやっていますと、私たちがユースを育てているつもりでも、私たちシニアの方も若い人から学ぶことがたくさんあるのです。だから、これはとても有効な手段かなと思います。
 私たちは同じ目標に向かってユネスコをやりたいと思ってやっておりますので、一緒に活動するということは大変意義深いものがあるのではないかなと思っています。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、市丸委員、お願いいたします。
【市丸委員】  久留米ユネスコ協会の市丸と申します。
 福岡県には2つのユネスコ世界遺産がございます。しかしながら、ユネスコ協会が福岡県には久留米市しかございません。ですから、今からお話ししますのはプラットフォームをどのように作っていくのかということ、それから、世代を超えて持続可能なユネスコ活動をどのようにしていくのかということを私たち協会での実践から御紹介していきたいと思います。
 まず、多様な担い手が連携するプラットフォーム作りから紹介します。福岡県には、世界遺産に登録された遺産が2つありますが、その地域にはユネスコ協会がありません。そこで、世界遺産への登録をユネスコ協会設立の良い機会ととらえ、わが協会の会長が、教育委員会をはじめ関係機関に出向き、ユネスコ協会を作ってみませんかというお誘いをしました。幸いに、大牟田市にはユネスコスクールの認定をされている学校がございます。教育委員会の御協力の下に、ユネスコ協会が新しくまた発足されるかもしれないという期待を寄せているところです。
 ユネスコと聞くと、世界遺産を思い浮かべる方が多いかと思います。そこで、認知度の高い世界遺産を利用させていただき、ユネスコのプラットフォーム作りに生かせないかと考えます。
 次に、世代を超えて持続可能なユネスコ活動についての取り組みを紹介します。
 やはりシニア層はとても熱心にユネスコ活動をされています。しかしながら、持続可能にするためには次世代の方の参加が望まれるところでございます。残念ながら、久留米ユネスコ協会にはユース会員はいません。以前はいたと聞き及んでいますが、学校卒業後は、就職で勤務地が離れたこと等諸事情によりユネスコ活動ができにくくなり辞めていかれたそうです。
 私が今気になっているのが、子供たちのユネスコに対する認知度が高くないことです。6年生で国連を学習するときにユニセフやユネスコに触れます。ところが、私の地元の学校では小学校1年生からユニセフの名前はよく知っています。それは、ユニセフから年に3、 4回このようなパンフレットが学校に送られてくるからです。
 今はメディアから自分で必要な情報を得ることができます。しかし、まだ学校は、すぐに掲示や配布できる印刷物を多く活用しています。今日はその資料を持ってまいりました。こういうものです。ですから、ユニセフの募金活動は、私の住む地域の学校で多く取り組まれています。
 ユネスコは教育を大切にします。世界にはいろいろな国の子供たちが、恵まれない環境ゆえに勉強すらできない状況であるということや学習の大切さを子供たちに伝えていく様々な機会を設けることが必要だと思います。
 民間ユネスコ活動は、いわゆる書き損じはがきを使って、教育の機会を奪われている人のいる国に学習する場としての寺子屋支援を行っています。そのために、私たちは草の根で各学校を訪問し、子供たちに寺子屋支援の説明と取組の呼びかけを行っています。インターネットのような自分で入手しなければならない情報だけではなく、自分から求めなくても自然と入ってくる情報を流す等、認知度を高めるための情報発信の工夫も必要だと思います。子供たちにユネスコ活動はどのようなことをしているのかを伝えていくことは、ユネスコの認知度を高め、将来のユネスコ活動を支える人づくりにつながるのではないかと思います。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、及川委員、お願いいたします。
【及川委員】  委員長、ありがとうございます。
 それでは、私の方から、この議論は、この答申案をさらに一層推進するための方策を具体的に委員の方からということなので、この答申案を踏まえて3点お話ししたいと思います。この3点というのは、実は、日本の、今、進んでいるユネスコ活動の、ある意味課題というか、直接的な言い方をすれば、弱点というふうなことだと私は認識しておりまして、そこをどのように取り組んでいかなければいけないかということについてお話ししたいと思います。
 やはり1点目は、今、様々な委員からお話があったように、日本のユネスコ活動は仙台で産声を上げてから、世界に先駆けて長い歴史と実績をこれまで積み重ねてきたわけですが、ここで新たな展開を考えたときに、1つ、今、課題となっていることは、やはり公教育、つまり学校教育との連携がまだ非常に薄いのではないかと思われます。一部のユネスコ協会では、その辺を非常に重視して積極的に取り組んでいるところもありますが、全国的に見れば学校教育とのリンケージというものはまだまだ薄いものがあると言わざるを得ないと思います。その際には、学校の文化であるとかシステムであるとか、そういうことをやはり民間側、協会側がよく理解した上で連携を進めることが大事でありましょうが、どうしても個々の協会でそれぞれが連携を構築するというのは難しい部分があると思われます。そういうときに、各地方には文部科学省が推進してきたESDコンソーシアムというのがございまして、これを活用すべきと思います。これには多様なステークホルダーが参画しております。私も東北の立ち上げに関わったんですけれども、そこには仙台ユネスコ協会であるとか、山田委員がいらっしゃいますけれども、白石のユネスコ協会も入っています。
 ところが、全国的なコンソーシアムを見ると、協会が入っているというのは、まだなかなか少ないのです。ですから、コンソーシアムを通じて学校とブリッジを張るというようなところが1つあろうかと思います。
 それから、文科省、環境省が共同で設立したESD活動支援センターというのがございます。このセンターも、地方あるいは全国レベルでマルチステークホルダーでのセクターとのネットワークを構築するということですので、これにも、やはりユネスコ協会もきちっとコミットして、そして、自分たちのカウンターパート、パートナーをしっかりと見付けていって、新たな活動の範囲を広げるというのは必要であろうと思います。
 さらに、日本ユネスコ協会連盟の方でアクサ ユネスコ協会 減災教育プログラムというのを実施しているのですが、これは学校の教員を対象とした減災教育のプログラムで、今年で6回目を迎えます。参加校は100校を超え、それに参加した先生、子供たち、あるいは地域住民、父兄を含めると、本事業への参画者は5万人を超えているわけです。それは直接、学校にコミットしているプログラムですので、協会連盟の様々な事業も含め、あるいはESDとかSDGsの理念を踏まえて、今後、民間のユネスコ活動が直接学校に貢献する事業も行っていくということが1つあろうかと思います。
 そういうふうに多様なチャンネルといいますか、アプローチできちっと学校現場と協働でこれから活動を進めていかないと、どうしてもそれぞれの取組が分断されたような感じになってしまっているところはあるのではないかというのが1つあります。
 大きな2つ目ですけれども、今回の持ち回りの審議のときにもコメントしたのですが、どうしてもユネスコ協会は、今、高齢化しているという現状は否めないところがあります。そういうことで、ユース、ユースというふうに皆さん強調されますが、それも正しい選択であろうとは思いますが、よくよく見ると高齢者とユースと、その間が抜けているのではないかと思います。中抜け状態です。これでは持続可能なユネスコ活動になるのかということです。つまり働く層といいますか、現役世代です。今、社会人としてばりばり活躍している層。その人たちがユネスコ活動に理解を示し、あるときは参画し、あるときは協力するという体制ができないと、これはなかなか民間ユネスコが、活性化どころか、世代的に不連続な形の活動になってしまう。そういうようなことを考えたときには、この答申案にも書かれていますように、例えばSDGsというのは、今、企業も自治体も一生懸命取り組んでいますので、それをテーマにしたワークショップであるとか、企業の様々な活動、本業とかCSRと連携した事業であるとか、そういうことを協会を含めた民間のユネスコ活動をなさる方が考えて、新たな事業の構想なり創造なりをしていかないと、今までどおりの活動では中間層にコミットするプラットフォームがなかなかできていかないのではないかというのが2つ目にあろうかと思います。
 最後に3つ目としては、行政との連携はいかがなのだろうかということです。皆さん御存じのようにユネスコ活動に関する法律がございまして、第4条には行政、国あるいは地方自治体の協力ということが載っています。皆さんはそれを軸に地方で活動をされていると思うのですが、聞くところによりますと、かつてはこのユネスコ協会の事務局が教育委員会にあったのが、最近は教育委員会から事務局がどんどんどんどん少なくなってきている。これが何を意味するかというと、教育行政、教育委員会のユネスコに関する理解なり協力なりがどんどん薄れてきているのではないかということがその背景にあろうかと思うのです。そういう中で、やはり民間といえども民間だけで全てが完結するわけではなくて、この答申案にも書かれていますように、多様な主体の参画、協働というのが重要であり、多様な主体の中の大きな部分に、この行政というのが当然あるわけです。そういう部分をきちっと考えて、教育委員会に対する連携、関係性をもう一度再構築することが必要かなと思います。それと同時に、教育委員会のみならず、ほかの部局、いわゆる市の部局ですが、この部分がどれだけユネスコ活動であるとか、SDGsは十分理解があると思いますが、ESDの部分に対して理解があったり、協力をしてくれているかという部分がもっと先の1つの大きな課題としてあろうと思うのです。
 昨日、大牟田市の教育委員会の教育長と電話で話をしたときに、その中で、今ちょうど市議会のシーズンで、9月議会の質疑の中で、ある議員が、「市長をトップに、教育委員会はあれだけESDを一生懸命やっている。それを踏まえてそれぞれの部局ではどう取り組むつもりか。その方針と今後の展開について説明をしてほしい」との質問があったということで、議場では各部局から、うちの部局ではこういう形でESDを進めるということが、教育委員会ではなくてほかの部局から出されたということです。これというのはまさしくホールシティーのアプローチであって、ホールガバナンスといってもいいかもしれません。どうしても教育というと教育委員会という形になり、ユネスコといっても教育委員会の仕事だと思ってしまいますが、全ての部局に関わるということになってくると非常にいいと思います。そういう例がございますので、そういうことを視野に入れながら考えていかないと、今後の展開が発展的に進んでいかないのではないかと思います。以上です。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、岡崎委員、お願いいたします。
【岡崎委員】  宮島ユネスコ協会の岡崎です。
 私の意見として申し上げたいのは、宮島ユネスコ協会は厳島神社が世界遺産になった時点で、一体ユネスコとは何なのかということでユネスコ協会を作ろうということで作ったものです。
 最近の動きとして、特に厳島神社、それから、広島の原爆ドームもそうですけれども、外国人の数が大変増えているということで、いわば観光公害とまではいきませんけれども、世界遺産の意味が来られる方々に本当に伝わっているのだろうかというのをもう一回考えてみようではないかということを今考えているところです。特に広島の場合は核兵器廃絶という大きな目標に向かって、これを世界に常に訴え掛けている。
 では、厳島神社はどうなのかというと、従来の観光ですと自然と文化財とか、そういう言い方しかできていないのではないかと。では、次は何なの、我々は何を訴えるのだろうかということで、例えば自然の中でどのようにその建物を守り続けていくかとか、行事をどのように継続していくかということが考えられるのではないのかということを今考えているところです。
 宮島学園は児童生徒数が減少して、今は小中一貫校になっています。その中でユネスコスクールに登録して、やっていることは宮島で行われる、いわば伝統的な行事を保護者たちと一緒にやるということ。それから、外国人がたくさん来島するわけですから、何人かのチームに分かれて、いわば観光ガイドを自分たちでやっていくというようなことを今やっています。
 それからもう一点、これはまだうまく実現していないのですけれども、海外から修学旅行で日本にやってきたいという小学校、中学校が結構あるらしいです。そのときに、観光サイドの方からいうと、日本で受け入れてくれる学校がないということがあるらしいです。宮島にも何年か前ですけれども、受け入れできないのかという話をすると、そういう例がないのでどのように対応していけばいいのだろうかということがあって、結局それは形にならなかったのですけれども、そういう呼び掛けがあるということです。
 私が思うのは、今は来年を目指してどんどん外国人訪日客を増やしていますけれども、観光を何とか使えないのかということを思っています。要するに、広島、宮島に来られる方々が、原爆ドーム、厳島神社は知っているけれども、ユネスコはということになるとふっと忘れてしまう。ユネスコ活動として世界遺産があるし、その中で訴えていることは世界平和であるし、ESD、SDGsであるということを訴えられないのかなということを、今考えているところです。
 特に宮島ユネスコ協会は、会長が観光事業者に何年か前から代わりました。観光事業者ということになると、例えばホテルとか、交通業者であるとか、そういう人たちが多いのですけれども、そういう人たちに何とかユネスコ活動を広めてもらいたいというようなことを考えています。ただ、宮島というのは、今、人口が1,800人を切ったんではないかな。それで年間450万人ぐらいの観光客を迎えているわけで、事業をされている方は大変忙しいです。お年寄りが増えて子供たちは少ない。その中でどうして事業をやっていくかということで大変お悩みなのですけれども、そういう中にあって、観光協会の会長はいろいろなネットワークを持っていらっしゃるので、観光協会の人たちと一緒になってやっていこうということを考えているのですが、一番の問題点は、まさに協会員が動ける時間がないということになります。
 それから、もう一点、先ほど伝統行事を伝えているということを言いましたけれども、特に文化財保護法の方でいうと、無形文化財、民俗文化財ですね。これは各地にいろいろな形で伝わっているはずなのですけれども、これをもう一回見直していく。特に各地に残っている伝統無形の民俗文化財を見てみると確かに継続が難しいというふうになっているのですけれども、それが国なり県なりの指定になっていく。実際に子供たちを見ていると、例えば広島は神楽が非常に盛んなんですけれども、神楽の稽古を子供たちがやっている、大人と一緒にやっているというのを見ていると、本当に4歳、5歳ぐらいの子供たちからばちを振って太鼓をたたくというようなことをやっているのです。私は現職時代に、まさにこれは幼児教育だからこれを何とか盛んにしてくれないだろうかということを教育長に言ったことがあるのですけれども、そういう民俗文化財というか、伝統的に伝わっているものは、形としてだけではなくて、人間を創っていくというか、そういうことをやっているんだろうなと私は思っています。とりわけそういう伝統芸能、特に芸能とか見世物とか、観光材料ではない民俗芸能というか、そういうものを見直していかないといけないのではないかなということです。そういう意味で今回の提言の中でいうと、観光というのをもう一回見直す、観光との連携ということを考えたらどうかなと考えています。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、山田委員、お願いいたします。
【山田委員】  お世話さまです。白石ユネスコ協会の山田と申します。ちょっとアレルギーがあって、せきが出るかもしれませんのでなるべく静かな声で話をさせていただきます。
 まず、私の方からは現在うちの協会で活動をしているものと、そこから見えてきている課題というか問題点、それに私の感想というのをちょっと述べさせていただきたいと思います。
 白石ユネスコ協会では、白石は自然豊かなところということで、「絵で伝えよう!わたしの町のたからもの」絵画展を毎年恒例で行っておりまして、その募集した絵を広く一般の方に分かっていただこうということで町中の商店街に協力を依頼して飾っていると、それから、まちかど美術館というのを開催しています。そうすると、ユネスコがこういう活動をしている、そして、空洞化している町の商店街にも飾っている絵の生徒の親御さんですとか、そういった方が商店街を訪れるというようなことでまず行っています。あとは和食がユネスコに認定されましたので、白石市内の中学校を対象に毎年各1校を選んで和食の研修会ということで、和食のすばらしさを中学生に分かっていただこうということで、家庭科の授業を用いて、今、各学校の方に回っております。そういったものを最終的にユネスコの集いということで、幸いにして白石地区の全ての小中学校がユネスコスクールに登録したということもあるんですけれども、ただ、ここからが問題になってきまして、ユネスコスクールに登録したのはいいのだけれども、そのネットワークをどのように活用していくかというところが、今、学校の方から挙がってきているのです。ですから、各学校の中ではいろいろユネスコの活動を行って、そういった1年の活動をユネスコの集いというところで発表していただくのですけれども、そのネットワーク的なものが広がっていない。
 ユネスコの集いの方には、各小学校の校長先生、あとはロータリークラブですとか、ライオンズ、ソロプチミスト、市議会議員の方、そしてあとは中学生のボランティアということで、白石市内の重立った団体等も参加していただいて、そこでいろいろユネスコということは広がってきてはいるのですけれども、いかんせんユネスコスクールの広がりが持てない。あとは、例えば先ほど及川委員の方からもありましたように、学校の中で我々がユネスコについて何かを行いたいというときに、学校側がなかなか時間を取れないという言い方になるのでしょうか。ですから、校長先生が来て理解は得られているのですけれども、それに伴って、そこから一歩先に進めないというところが問題ではないのかなと。ですから、今後何らかの形でせっかくユネスコスクールに全学校が登録しているので、その限られた地域の中での交流だけではなく、それを全国的に広げていきたい。これは全国的でなくても、ある一定の地域でもいいのですけれども、そういった交流を通じて、子供たちにユネスコというのを分かっていただきたいなと思っております。
 そして今後は、そこで行き詰まっていてもどうしようもありませんので、我々の協会で今思っているのは、一般市民の方々にユネスコを知っていただきたいと。先ほどもありましたように、ユニセフというのは皆さん分かります。ただ、ユニセフとユネスコは何が違うのですかというと分からない。ユネスコは世界遺産をやっているのですよねと、それだけなのです。そういったこともありますので、現在、白石ユネスコ協会では一般市民への広報に力を入れて、例えば春まつりですとか、各公民館まつり、そういったところにユネスコのブースを作って、ユネスコはこういうことをしているのですよということを言って、では、私たちはどういったことに協力すればいいのですかという方に対しては、誰でもすぐに参加できる書き損じはがき、そういったことでユネスコを知っていただこうということで、今そういったことを進めております。
 そういった活動をする中で、これはお願いといいますか、一般の方々に用いるための広報のツールというんでしょうか。これは私も事あるごとにお願いしているのですけれども、そういったものがもう少し何か充実してくると我々の活動にも少し広がりが出てくるのかなと思っています。ですから、私としましては、今後はそういったユネスコを一般に広げていく広報のツール、それとあとはユネスコスクール、学校とのリンクということです。そういったことが重要になってくるのかなと思っております。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、箕浦委員、お願いいたします。
【箕浦委員】  岐阜県ユネスコ協会の箕浦です。
 岐阜県ユネスコ協会では、毎年「わたしの町のたからもの」を募集したり、それから、カンボジアスタディーツアーをしたりしていますが、2018年からはESDパスポートの発表会を開催させていただきました。それで今までで2回終わったところなのですが、ESDというのがだんだんとSDGsの方に変わってきているので、来年の3月に3回目を予定しているのですが、これを最後にしてSDGsの方にテーマを変えていった方がいいのではないかなという気持ちに今なっているのですけれども、ただ、ESDのパスポートをたくさん学校に配って、子供たちが一生懸命ボランティアでやって、1ボランから1枚ずつためて、10ボラン、20ボランとためていくのですけれども、来年の3月でそれが終わってしまうと、今までためたのをどうしましょうという、せっかく頑張ってためたのにという、それがちょっと心配なのです。SDGsの方の発表会に再来年からは変えようと思っていますが、それがESDパスポートの方の何かとうまく共有できるようなシステムがあると、せっかくボランティアでためたボランが無駄にならないのではないかなというふうな感じで、今、再来年どうしようという感じで迷っております。
 それと青年部の方ですが、うちも青年部「結」というのがありまして、私が一応そこの担当をさせてもらっているのですが、今、30名弱いまして、毎年キャンプとか、いろいろ、毎月一応例会をやっているのですが、学生のうちはいいのですけれども、社会に出てしまうと就職で違う地方の方へ行ってしまったり、段々とつなげられないという感じで、今まではカンボジアスタディーツアーに行った若者を「結」の方にというのでやっていたのですが、カンボジアスタディーツアーも10回を超しまして、それもちょっと去年で終わってしまったのです。そうしたら、若者をどのようにユースを入れていけばいいのかなということになるのですけれども、岐阜市では市の教育委員会の方が中学生を対象に「夢プロジェクト」というのを作っていまして、毎年応募してきた中学生たちを審査して16名選んで、カンボジアとかタイとかモンゴルとかいろいろなところに連れていっているのです。それも1週間近い期間行ってきて、中学生はすごく生き生きして帰ってくるのですけれども、そういう若者をまたこっちの「結」の若者の方につなげていったらどうかなというので、少しずつ、「結」が何かをやるとかに、「夢プロジェクト」に行った中学生を呼んで、一緒に活動したり、キャンプしたりして、そうすると、やっぱり国際的なことに目を向けている子供たちなので、入りたい、入会したいと言って入ってくれて、今ちょっとずつ中学生から高校生になった子が増えてきているという現状です。なので、若者を誘い込むのは今のところはこういう手段とかで岐阜県はやっております。
 あとSDGsの方ですが、企業がこの頃、岐阜でもすごく頑張っていまして、三承工業株式会社というところが、去年、SDGsの企業のものに応募しまして賞を取ったということで、岐阜県ユネスコ協会は例会を毎月ランチをしながらやるのですけれども、そのときにいつも卓話を聞く時間もありまして、そのときにも賞を受けた会社の方にSDGsの体験談とか、賞を取った話とかそういうのを聞かせていただきました。そのように徐々にではありますが、岐阜県ユネスコ協会も何となくついていっています。よろしくお願いします。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、木間委員、お願いいたします。
【木間委員】  朝日生命ユネスコクラブの木間と申します。
 朝日生命ユネスコクラブは、企業内の有志によるボランティアのクラブということで35年続けてまいりました。企業の中でチャリティーコンサートやチャリティーバザーを行って、寺子屋の支援をしたり、最近は寺子屋の復学者等にも当社にお越しいただいて学習会を開催したり、社内に外国からのインターン生等も来ていますので、そういう方々との交流会を開催するなど、企業の中で活動をしております。
 このたびの答申につきまして私からお願いいたしましたのは、及川委員のお話にもありましたけれども、ユネスコ活動の担い手として民間企業や働く世代、シニアと学生だけではなくて働く世代にも目を向けていただきたいという点です。意見を反映いただきまして、どうもありがとうございました。
 答申案にもありますように、民間企業でもSDGsが高い関心を集めている今、この流れを捉えて共感と協力を得ていくというのはとても重要だと思います。
 現在、日本ユネスコ協会連盟においても、約130の企業・団体が維持会員として登録しておりまして、様々な形でユネスコ活動を支援しています。昨年度は15企業が維持会員として新規加入しています。ただ、現在は企業としてユネスコ活動を資金的に支援していても、そこで働く職員はユネスコ活動について余り知らないということも多々あります。今後さらに多くの企業に参加いただくとともに、そこで働く職員にも参画いただいて、企業内ユネスコクラブとか、地域のユネスコ協会と連携して企業内で活動するなど、働く世代も働きながらユネスコ活動に参画できるような環境を作っていければ良いと思います。せっかくこれだけユネスコスクールも増えて、学校内ユネスコクラブもあって、子供たちのユネスコへの関心が高まっていても、就職すると途切れてしまうというのでは、とてももったいないと思いますので、ここを強化していくことが、「世代を超えて持続可能なユネスコ活動」において重要ではないかと考えています。
 さらに今後目指していく「多様な担い手が連携するプラットフォーム作り」においても、ユネスコ活動に参画している企業間同士の連携とか、企業と自治体、あるいはNPOなどの多様な担い手等が連携できるような交流の場をもっと設けていただけたら良いと思います。
 この「多様な担い手の連携」については、ただ集まって会議をするとか、パネルディスカッションをしましたということでは、連携といってもなかなか後につながっていかないと思います。参加した個人個人がつながっていくような交流の場が大切だと思います。そこで御提案なのですが、「多様な担い手の連携」について、このユネスコ国内委員会から始めてはいかがでしょうか。ユネスコ国内委員会では、本当に様々な分野で活躍されている委員の方が総会で一堂に会していますが、短い時間でゆっくりお話をする時間もないまま分かれてしまって、とてももったいないと感じています。総会後、交流するような時間を設けるなど工夫していただくことによって、相互理解とか連携もできて、そこからプラットフォーム作りにもつながっていくのではないかと考えております。是非お願いしたいと思います。
 連携については、ユネスコ協会とユネスコスクールとの連携も課題になっておりまして、ユネスコスクールはとても増えているのですが、ユネスコ協会とユネスコクラブがうまく連携できているところと全く連携できていないところとありまして、どういうふうに連携したらいいのかと模索している協会もあります。東京都ユネスコ連絡協議会では、2016年からESDやユネスコスクールへの支援の在り方を考えるために、東京都ユネスコ連絡協議会の中に都ユ連ESD研究会を立ち上げて、ESD活動支援センターの方をお招きしたり、ユネスコスクールの先生をお招きしたりして公開講座を開くなどの形で勉強会を行っています。今年はユネスコスクール全国大会が福山市で開催されます。ユネスコ会員にとっては、ユネスコ全国大会に参加できる人も限られている中で、ユネスコスクール全国大会にまで参加するのはなかなか難しいのですが、私も参加してみて、ユネスコ協会だけではなくて、いろいろな組織、いろいろな学校、いろいろな団体・企業がユネスコに関わっているということを実感しましたので、もっと多くの皆さんに参加していただきたいと思いました。今年は福山市で、遠くて難しいとは思ったのですが、東京都ユネスコ連絡協議会では、参加有志を対象とした福山観光ツアーを企画して呼び掛けたところ、尾道に行きたいとか、倉敷に行きたいとかの声も上がり、これまでユネスコスクール全国大会に参加していない人も参加しそうなムードで盛り上がっています。小さなことですが、こうしたことも相互理解や連携につながっていくと良いと思っています。
 最後に、本日の総会の配付資料の中に東京都ユネスコ連絡協議会の民間ユネスコ運動70周年記念誌の『平和への道しるべ』という記念誌を入れさせていただきました。ユネスコ活動の普及が課題になっている中で、東京都は組織拡充委員会を設置して会員増強に努めていまして、人口の都市への流出などの背景もあると思いますが、東京都ではこの10年間に15団体、ユネスコ協会・クラブが新設されて現在25団体になっています。各団体は地域に密着した従来のユネスコ協会のほかに、企業内ユネスコクラブや大学内ユネスコクラブ、ミャンマー支援を中心としたクラブ、玉川上水の自然保護を中心としたクラブなど様々な特色があります。記念誌にはそれぞれの活動の紹介文が出ていますので、今後の民間ユネスコ運動を考える上でも御参考にしていただけるものと存じます。是非御一読いただきたいと思います。以上よろしくお願いいたします。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、片山委員、お願いいたします。
【片山委員】  皆さん、こんにちは。長浜ユネスコ協会の片山です。委員長、どうもありがとうございます。押しておりますので、たくさん用意してきたんですが1点だけ。
 私は、3の視点でこういうプラットフォームが期待できるんではないかという点で少し紹介をさせていただきたいと思います。お手元に事務局の方に第10回世界遺産学習全国サミット in 奈良の開催要項を御準備いただきました。この紹介を若干しながら、新しいといいますか、プラットフォームになっていくのではないかという、その可能性と期待を込めて発言をさせていただきます。
 これは遺産学習がメインになってきておりましたので、ユネスコの文化分野とも関連してくるかなと思っております。これは誌面に書かれていますように、現在は主催は世界遺産学習連絡協議会と、開催をしております御当地の教育委員会となってございます。第5回までは文部科学省が主催でありましたけれども、6回目からはこのような形になっております。協議会の目的は、その規約に次のようにうたわれております。「この協議会は、この協議会に参加する各都道府県、市、町の教育委員会単位で加盟できる」と、このようになっている組織です。当初は教育行政が推進してきたといってもいいのですけれども。この規約には、教育委員会相互の連携の下に、ここからなのですが、「世界遺産学習並びにESDの研究及び具体化を図ることにより、ユネスコが提唱するESDの推進に資する」と、これはもうはっきりした目的でこの協議会が作られてきております。私も発足当時から少し関わっておりまして、今から8年前、文部科学省の我が国の伝統文化を尊重する実践的研究の指定校として中学生に学習内容を発表してもらったという経験がございます。
 今般10年目を迎えるに当たりまして、開催要項にはこれまでのサミットの開催に加えて、次のような文言が新たに加わっております。それは、このような内容です。「世界遺産学習に関わる多様な人、分野、団体を結び付けまして、新たな出会いを生むことで、その深化と発展を図る」と、こういうことで、内容も今までは学校の発表とか教育委員会の発表が主でしたけれども、今回から新たにこの裏面にありますように、市民、企業、児童生徒の学習の発表といった構成が新たに加わりまして、ユネスコ協会との取組もあります。このように、この協議会のサミットにおいても、多様なステークホルダー同士の連携が深まっていくのではないかということが期待されております。ますますユネスコ活動がSDGs達成に貢献していけるものと期待しているところです。
 私が所属しております長浜ユネスコ協会も、このポスターセッションにエントリーをしております。外されるかも分かりませんけれども、これは昨年度、及川委員も触れられましたが、3番目の行政とどう関わっていくか、こういう視点で投げ掛けたものなのですが、良ければまた皆さんにお配りしますが、昨年のユネスコの横浜の大会はこれを行うために大会に参加することができませんでした。これは地域版の世界遺産学習サミットを、教育委員会、長浜市、ユネスコ協会、PTA、その他もろもろの団体に呼び掛けて開催したものです。その他もろもろの団体というのは、学校応援団体、コミュニティースクールに参加している皆さんです。
 湖北地方は12月に入りますと、真宗が多いところでございまして、このあたりはお寺の行事が増えて寒くなってまいりますので、参加者はいまいちでしたけれども、いわゆる初めて地域の宝物を受け継いでいくために、みんながどうしていったらいいか考える場を作ろうということで、この3者が主体になって地域遺産学習発表会に取り組んでまいりました。成果の1つというのはなんですけれども、この裏面に、2つの小学校が、今、ユネスコスクールの加盟希望校として申請手続を開始してくれました。これで当長浜ユネスコ協会のアクターとしての存在もちょっと発揮できたかなという報告です。以上です。
【安達委員長】  ありがとうございました。具体的な地域の事例などを踏まえながらいろいろな御意見を頂きました。
 時間としては12時20分までを議論の時間にしていきたいと思っておりますので、あと11分ほど時間があります。3点の方針に関わっていろいろな角度から御意見を頂いておりますが、今出てきたものを踏まえながら、また更に追加の御発言とかがありましたらお願いしたいのですが、いかがでしょうか。かなり具体的な御提案もあったりして、まずは国内委員会の中の個人個人がつながることが大事ではないかといったようなことだったりとかもありましたし、まず、(1)の新たな地域課題を踏まえたという点に関しては、具体的なところでは宮島ユネスコ協会や久留米ユネスコ協会の方からの事例として、観光業だったりとか、あとは世界遺産とのつながりというところでの事例を報告してもらいましたし、2点目の世代を超えてというところに関しては、子供の頃からということで厚木や岐阜の事例もあったりとか、あとはやはり働く世代というところですね。どうしても若者若者といってしまうんだけれども、働く世代が大事ではないかというところで及川委員や木間委員の方からも提案がありました。3点目のプラットフォームに関しても行政とのつながりだったりとか、あとはユネスコ協会と公教育とのつながりであったりとか、あとは世界遺産学習サミットというものに関するところであったり、いろいろと提案がありました。
 出ていないところだと、例えば(1)の2つ目のポツのところで、これは先日のユネスコ運動全国大会の2日目のテーマでもあったかなと思うのですけれども、多文化共生社会を目指してというところで、日本ユネスコ協会の方でも取り組んでいこうとしているテーマではありますが、この辺に関して具体的な事例であったりだとか、御提案だったりとかがあったら、また伺えたらなとも思います。そのほかでも結構ですが、いかがでしょう。あと10分ほど時間があります。
 では、石井委員、お願いいたします。
【石井委員】  多様な担い手が連携するプラットフォーム作りというところは、私もとても関心があり、本当にそれは大事だなと思います。前回の2月7日の資料を読み直してみましたら、プラットフォーム作りの広報普及活動を担う関係者のネットワーク構築というところで、具体的な方策でユネスコ活動広報カレンダーを作成し、関係機関と共有するとか、ユネスコ活動に関する情報の収集、提供等を目的に、日本ユネスコ国内委員会を中心に、関係省庁、地方自治体、学校、教育現場、ユネスコスクール、教育委員会など、ユース、民間企業、ユネスコ協会連盟、ESD活動支援センター、ほか関係民間団体、大学、ユネスコチェアなど、国連機関、国連大学、国連広報センター等の広報普及活動を担う関係者の多層的なネットワークを構築する。例えば関係者が定期的に情報を発信できる、共有できるプラットフォームを、ここでは構築が望まれると書いてあり、メールマガジン、ニュースレター等を作成するというふうに書かれてあったのです。多分プラットフォームを作っていくのはすぐできるようなものではないと思うのですけれども、とりあえずカレンダーなり、メールマガジンなり、ニュースレターというものがあるととても分かりやすいと思っております。
【安達委員長】  ありがとうございます。前回の普及小委員会の中で出てきた広報普及に関するものをその文書の中から挙げてもらいましたが、そこにも具体的な方策例として幾つか挙がってきていたところかなと思いますし、先ほど山田委員からも広報のツールが欲しいというような意見、毎回出てきている意見かなと思うのですけれども、そのあたり、具体的にどう進めていくのかという点もあるかと思いますが、もし事務局からありましたらお願いいたします。
【磯谷ユネスコ協力官】  事務局でございます。
 先生方、以前出された普及広報の関係の提言も引き合いに出しながら御意見を頂きまして、どうもありがとうございます。私どもとしましては、ユネスコ活動に関わる皆様がしっかりと情報を、どこでどのようなことをやっているかというところを見える化をしていくことが非常に重要だと考えております。それがメールマガジンという形を取るのか、カレンダーという形が適切なのか、いずれにしても目的としましては皆様の活動を見える化するというところにあると思っていますので、それを実現するツールとして何が適切かということをしっかりと考えてまいりたいと思っております。
【大杉国際戦略企画官】  ちょっとだけ補足で。基本的には去年頂いた決議ですので、しっかりとそれも受け継ぎながら発展させていくというのが今回の答申でありますので、去年頂いていることが何もなくなってしまうわけではなくて、それを受け継ぐことは当然のこととして、それを具体化していくというところだと思います。
 あとは恐らく各業界も我々の事務局も、マンパワーとか時間とかリソースに限りがある中で何をどのようにやるのがいいのか。総会の方でも御紹介させていただきますが、私どもの方でも広報も含めて予算化できないかということを考えているところです。手弁当だけではなかなか限界があるので、予算化してしっかり進めていくためには何がいいのかということを考えているところでありますので、まだまだこれから財政当局と詰めていかなければいけない段階ですので、是非お知恵を頂きながらと思っております。済みません、補足でした。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 片山委員、お願いします。
【片山委員】  また紹介になりますけれども、日本ユネスコ協会連盟が「プロジェクト未来遺産」運動、これは今年で10年目になります。滋賀県で唯一、近江八幡市にある権座。この地名が権座なんですけれども、詳しくは後ろに控えておられます協会連盟事務局が5年前にここを訪れて認証をされております。今、この権座が未来遺産に認定されてどのようになっているのか関心があって、この夏に行ってまいりました。そのプロジェクトを進めておられる事務局長の方が、その中で日本一古い農業を行っています。この日本一古い農業を行っているすばらしい景観を、そういう農業を行うことがすばらしい景観を保全して、新たな産業を生み、若い農業従事者が入植して地元の子供たちが増えている。これは本当に地域の活性化につながっているということを自信を持って述べておられました。こういう認証ということによって、当然いろいろなイベントをここがされますが、「プロジェクト未来遺産」運動の認証でもあると同時に、こういうことがユネスコ活動なのだなということが具体的に示されていく。
 先ほど及川委員が言われましたように、おじいちゃん、おばあちゃんから、いろいろな分野の方が集まります。そこにはコンサートがあり、秋まつりがあり、いわゆる農業が出発点という取組で、私は今のところ、これは成功事例ではないかなと思っております。また、地元の近江八幡市では、ふるさと学習ということを教育委員会が重点化してプログラムに取り組んでおられることを教育長からお伺いしました。農業という点からの紹介です。
【安達委員長】  及川委員、お願いいたします。
【及川委員】  ありがとうございます。
 先ほど1回目の発言では、この答申の基本的方針の(2)と(3)については言及したと思います。委員長から(1)について発言が余りなかったということで、ここの部分についてお話ししたいと思います。丸の1、2、両方を踏まえての話なのですが、私はこの新たな地域課題を踏まえたということに関しては2つの視点が大事だと思っていまして、1つは丸の1つ目と2つ目と見ると大筋に類型ができると思うのです。今、日本のユネスコ活動とか、あるいはESDという教育的な活動を含めて、日本全体で語られていますけれども、私は全国各地域いろいろ行脚するのですが、そうすると、やはりその地方、地域ごとに課題は当然違うわけです。その中で、最近特に感じるのは、都市が持っている課題と地方が直面している課題に随分違いが出てきた。それなのに、みんな十把一からげで地域課題と言ったり、ESDと言ったり、ユネスコ活動と言ってしまうところがあって、その辺のギャップが、議論する際に、あるいは共通のベースを作る際に今の現実とか時代にそぐわない面があるのかなと思います。分かりやすく言えば、やはり地方の場合は少子高齢化であるとか、産業の衰退を含めて地方そのものが持続不可能な状況になっていますので、やはり地方の一番のテーマは地域創生であるという部分と、プラスアルファで、地方の資源、先ほど世界遺産の話題も出ましたが、エコパーク、ジオパークとか、そういう地域資源を最大限活用したユネスコ活動のESDを進めようということで、地域の光と影をよく見つめてやろうとするなど、非常に差し迫った状況で取り組んでいます。
 一方、都市型の、これはユネスコスクールにも同じことが言えるのですが、課題を見ますと課題がなかなか明確になっていない部分が結構あるのではないか。でも、ここに書いてあるように、都市は課題がないのかというと抱えているわけです。今度、入管法が改正されて外国人労働者がたくさん入ってきたときに多文化共生の問題が懸念されますが、これは都市の方が顕著に現れると思うのです。あと、今もまだ解決していませんが、この前台風が来て、これほどのパニック状態になっているわけです。つまり、防災・減災が非常に脆い、脆弱な基盤であるというところで、東日本大震災クラスでなくても、これがもし首都直下とか南海トラフになったらどうするのだというところの現実というか、逼迫感がまだまだないように思います。そういう地域ならではの課題、地域ならではのテーマできちっとユネスコという我々が行っている活動の中のフォーカスをどのように当てるかということを考えていかないといけないかなというのがあります。ですから、そこをどこまで意識したものになっているかというのがまだ見えないところもありますが、そういう視点で捉える必要があるだろうと思います。
 あともう一つは、様々なユネスコが持っている今までの財産といいますか、バッチがあるわけです。先ほどの世界遺産、ジオパーク、エコパーク、未来創造都市、そういう部分がある。でも、これも感じるのですが、それがばらばらに行われて、その間の連携がなかなか取れていない。さらに言えば、その最大公約数で何がその中のエッセンスとして出てくるのかというと、例えばそれがユネスコの理念の平和の構築であったり、あるいはESDという教育的な人材育成であったり、あるいは最近であればSDGs的なグローバル目標であったり、そういうものが明確に出てくるような方向性でそれぞれの活動を実践していけば、1つの方向性に収れんされるのでしょうけれども、それがどうしても別個になっている。
 先ほど片山委員の方から世界遺産サミットのチラシの説明があって、これも非常にプラットフォームになるとは私も思います。その取組そのものを見ると世界遺産だ、ただ、その背景にあるESDとかユネスコというものがきちっと認知されているのかというと、当初はそういう理念があったと思いますが、時代がたつごとにそういうのが薄れてきたりする。ですから、基本に立ち返って、大きなバックボーンが何なのかということをちゃんと意識することが重要なのかなと思います。是非、ユネスコの登録事業がありますけれども、そういう中で、ESD、SDGs、ユネスコというものをもう一度再確認しながら連携することが必要かなと思います。以上です。

<議題3 その他>
【安達委員長】  ありがとうございました。では、時間が来てしまいまして、まだいろいろな意見も尽きないかと思うんですけれども、この辺で一旦意見交換を終了したいと思います。
 それでは、議題の3に移ります。そのほか、報告、審議すべき案件はございますでしょうか。いいでしょうか。
 では、最後に事務局より今後の予定についてお知らせいたします。
【磯谷ユネスコ協力官】  事務局でございます。
 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。今後の予定でございますが、本日15時から17時、本ホテルのロイヤルクリスタルにおきまして、第145回日本ユネスコ国内委員会が開催されます。御出席される委員の皆様におかれましては、お時間までに御参集をお願いいたします。以上でございます。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。
 それでは、これにて閉会したいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

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