日本ユネスコ国内委員会 第100回普及活動小委員会 議事録

1.日時

平成30年7月20日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省12階 国際課応接室

3.出席者

(委員)
安達久美子、安達仁美、有里泰徳、石井尚子、及川幸彦、岡崎環、今みどり、髙尾初江、野本祥子、松代隆子、山田卓郎 [敬称略]

(説明者)
川上千春 日本ユネスコ協会連盟事務局長
倉増京平 電通アイソバー株式会社プロジェクトディレクター

(事務局)
川端和明日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、池原充洋日本ユネスコ国内委員会副事務総長(文部科学省文部科学戦略官)、小林洋介日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事

【小林国際戦略企画官】  それでは、定刻になりましたので、開始させていただきます。
 本日は、御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、前委員長の中西先生が本年5月末日付けで御退任されておりますので、事務局が冒頭の議事進行をさせていただきます。
 それでは、定足数を確認させていただきます。
【徳留専門官】  本日の出席ですけれども、11名で委員の過半数ですので、定足数を満たしております。
【小林国際戦略企画官】  それでは、ただいまより第100回普及活動小委員会を開催いたします。
 本委員会の冒頭は、人事案件の審議となりますので、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続第1項に基づき、非公開とさせていただきます。

(人事案件のため非公開)

【安達委員長】 それでは、人事案件が終了いたしましたので、ここからは委員以外の方にも入室いただきます。
 よろしいでしょうか。なお、本日は議題1に関連しまして、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟から川上事務局長に御出席を、議題2に関連しまして、電通アイソバー株式会社プロジェクトディレクターの倉増京平様にも御出席をお願いしています。お二人には、後ほどお話しいただきたいと思います。
 それでは、本日の会議の配付資料について、事務局より説明をお願いします。
【徳留専門官】  本日配付しております議事次第にございますが、配付資料は資料1から資料3、また参考資料といたしまして資料1から資料4をお配りしております。その他、卓上にパンフレット等、配付しております。適宜御確認いただきまして、もし御不足がありましたら、事務局にお願いいたします。以上です。
【安達委員長】  それでは、議題1に移ります。議題1は、最近のユネスコ活動の普及活動についての報告の時間といたします。
 初めに、日本ユネスコ国内委員会における最近の広報普及活動について、事務局からお願いします。
【徳留専門官】  それでは、資料1に基づきまして御報告させていただきます。資料1を御覧ください。
 「日本ユネスコ国内委員会における最近の広報普及活動について」といたしまして、まず1つ目ですけれども、日本ユネスコ国内委員会の広報大使を任命いたしました。平成30年5月11日に文部科学省にて日本ユネスコ国内委員会広報大使の任命式を開催いたしました。今回任命された広報大使は、東京海洋大学の名誉博士でありますさかなクンと、語り部の平野啓子さん、また、エシカル普及活動家の末吉里花さんの3名です。さかなクンと平野啓子さんにつきましては平成24年度から、末吉さんについては今年度から広報大使として御活躍いただく予定となっております。任期は平成30年度・31年度の2年間となっております。
 また、次のページにございますとおり、今後の広報大使の活動の場としまして、来月、平成30年8月1日に各省庁合同で開催される「こども霞が関見学デー」におきましてはさかなクンに参加いただく予定であります。また、「第10回ユネスコスクール全国大会」も予定されておりまして、こちらにも広報大使のどなたかに御出席いただくことを検討しているところです。その他、様々ユネスコに関する活動におかれまして広報大使に広報普及活動をお願いする予定となっております。
 続きまして、その他の活動といたしまして、日本/ユネスコパートナーシップ事業について、3つ御案内いたします。
 1つ目は、ユネスコスクールの支援といたしまして、ユネスコ・アジア文化センターに事務局業務を委託し、ユネスコスクールの加盟申請等、ユネスコスクールの活動支援業務を実施しております。
 2つ目が、第10回ユネスコスクール全国大会ですが、こちらは12月8日土曜日に横浜市のみなとみらい本町小学校で開催する予定となっております。こちらの参加申し込みについては、今後ホームページ等で周知を行う予定です。
 3つ目は、ユースへの支援といたしまして、第5回ESD日本ユース・コンファレンスを10月13日から14日、名古屋で開催する予定でございます。参加者は現在募集中でございまして、本日チラシを配付しております。こちらの黄色いチラシですが、「未来って本当に変えられる?」ESD日本ユース・コンファレンス、として、募集締切りが7月31日火曜日となっております。こちらの方も、もし御関心のあるユースの方がいましたら、是非御参加いただければと思います。
 続きまして、グローバル人材の推進に向けたESDの推進事業といたしまして、今年度は12団体を採択したところです。詳細につきましては、4ページ目の別添にございますポンチ絵とコンソーシアムの一覧を御参照いただければと思います。
 最後に、3ページ目にございますが、その他の広報活動につきましては、国内委員会の皆様に対して、各月1回メールで国内委員会の活動等を配信しているほか、ウエブサイト、フェイスブック等でユネスコ国内委員会の活動等を発信しております。また、文部科学広報6月号につきましても、「広報大使の任命式とユネスコ活動について」という特集記事を掲載しております。また、教育委員会月報につきましても、特集記事を掲載予定でございます。文部科学広報につきましてはホームページ等で御覧いただくことが可能でございます。教育委員会月報につきましては、適宜御参照いただければと思っております。以上でございます。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、次に日本ユネスコ運動全国大会の報告を、日本ユネスコ協会連盟からお願いいたします。
【日本ユネスコ協会連盟・川上事務局長】  皆様、おはようございます。日本ユネスコ協会連盟事務局長の川上でございます。着席して失礼いたします。それでは、機会を頂きましたので、7月7日・8日に開催されました第74回日本ユネスコ運動全国大会in函館について、簡単に御報告を申し上げたいと思います。
 このたびの全国大会、71年目なのですが74回となっております。なぜでしょうということで、原則として年に1回の開催ですが、協会連盟設立当初は年に2回開催したこともございまして、回数としては74回となっております。このたびも文科省様、そして日本ユネスコ国内委員会様に御後援を賜りまして、誠にありがとうございました。池原様には御出席いただきました上に御挨拶も賜りまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 西日本の豪雨がありましたので、大変心配しましたが、おかげさまで2日間延べ750名ほど、もちろん函館市民を含めて、多くの方々に御出席を頂くことが可能となりました。今回のテーマは、「広げよう平和・共生の心~北の大地から次世代へ~」ということで、函館の歴史や文化などを通して、平和と共生の心を次世代に伝えていくために今私たちは何をすべきなのかということで、私たちのビジョンである「“Peace for Tomorrow”広げよう平和の心」に照らして、行動につなげることを開催趣旨といたしました。
 こちらに資料がございますが、オープニングコンサートは北斗市立上磯中学校の演奏で、私は存じ上げなかったのですが、吹奏楽で全国1位、金賞を取った大変すばらしい演奏から始まりました。基調講演には、北海道博物館長の石森様による「文明の心、未開の心~人口減少時代における幸せを考える~」と題しましてお話を頂き、縄文文化などのお話も交えながら、人口減少にどのように今後立ち向かっていくのか、そしてその中に、縄文文化にどういったヒントが隠されているのかといった、多岐にわたる示唆に富んだお話を頂きました。
 また、次のページですけれども、函館野外劇というものがあるのですが、これは函館の縄文文化から始まった歴史を舞台劇として再現しているもので、本来は屋外で行うものをスペシャルバージョンとして屋内でやっていただきました。
 続いて、ESD活動報告ということで、ユネスコスクールからの平和教育を通した取組、それから環境教育を通した取組ということで、小学校と中学校からそれぞれ生徒さんからお話を頂きました。
 続いて今年10周年を迎えました未来遺産運動のフォーラムです。100年後の子供たちに日本の文化や自然を残していこうということで立ち上げられた私たち独自の活動ですが、北海道内にプロジェクト未来遺産が4件ほどございます。文化と自然それぞれの団体さんを交えた記念フォーラムを開催させていただいて、私たちが未来に向けて何を残すべきなのか、そしてそのためにはどういったことに注意すべきなのかといったことも含めて、様々な観点からのパネルディスカッションを行っていただきました。
 翌日は、特別講演といたしまして、函館市縄文文化交流センターの前館長でいらっしゃいます阿部様から「縄文文化/レジリエンスと多様性」と題した御講演を頂きました。縄文文化というのがそもそも自然との共生によって成り立っているということで、自然との対話を通して1万年にわたって定住生活を行ったという縄文文化から現在のESDの観点から、学び取ることがたくさんあるのではないかという御指摘も頂きました。
 次に、パネルディスカッションですが、「広げよう平和・共生の心~北の大地から次世代へ~」と題して、教育・縄文文化・アイヌ文化・環境の各分野の専門家の皆様から御意見を頂きながら、ESDの観点から相互のつながりを探りつつ、それぞれの課題や利点をどのように次世代につなげていくのかについて、熱心な御議論を賜りました。
 また、青年活動の今ということで、北海道で活躍している民間ユネスコ運動を担う青年2人に登壇いただいて、それぞれどうして若者たちがユネスコ活動に関わったのか、そして今どのような課題を抱えながら活動をしているのかということを話していただきました。課題としては、やはり青年会員が少ないということ。自分が続けていられるのは、大人の会員に見守っていただきながらやりがいを感じているというコメントや、スタディーツアーをきっかけとして自分はこの活動に関わったけれども、スタディーツアーで経験したことをいろいろな若者たちにも伝えていきたいというお話がありました。登壇者の1人は女性でしたが、3人のお子さんを育てているということで、3人目のお子さんを腕に抱えながらの発表となりました。
 今回は、例年のように、中国連盟、韓国連盟からも御出席いただいて、旧交を温める機会ともなりました。以上でございます。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、これまでの御報告を受けまして、委員の皆様から何か御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、事務局から何かコメントはありますでしょうか。
 お願いいたします。
【池原文部科学戦略官】  今、川上事務局長から御紹介ありましたけれども、第74回の日本ユネスコ運動全国大会in函館に、私、国際統括官の代理で出席をして挨拶をしてまいりました。先ほど御紹介がありましたように、前日から西日本では非常な豪雨に見舞われておりまして、函館も雨がずっと降っておりましたけれども、そういう中で北は北海道から九州、沖縄まで全国各地のユネスコ協会の皆様が多数参集されて、今ありましたように750名にも及ぶ方々の中でこの大会が行われたということでございました。会場となりました函館市芸術ホールは熱気で大変盛り上がっておりました。
 私は全部出席したわけではありませんけれども、先ほど御紹介ありましたように、オープニングのコンサートは、ここに写真も出ておりますけれども北斗市立の上磯中学校の吹奏楽部の演奏がありましたが、前年度全日本吹奏楽コンクールの金賞とか、こども音楽コンクールの文部科学大臣賞とかを取られていて、本当に姿は初々しい中学生なんですが、出てくる演奏が非常に圧倒的で、この大会の最初を飾るにふさわしい圧巻の演奏が行われたのが第一印象でございました。
 それから、函館市の野外劇というのが、この夏にかけてずっと行われるんですけれども、市民の若い方から高齢の方まで幅広い層でこの函館市のいろいろな歴史ですね、土方歳三とかそういう方も出てきますけれども、そういう野外劇を見せていただきまして、そういう中で函館市が若い世代においても地域まちおこしとか、それから地域の社会貢献のために大変頑張っているという印象を受けたところでございます。ユネスコ協会の運動が全国にわたって幅広く奥の深いもので、かつ活力のあるものが行われているというのをこの大会に参加をして改めて印象を持ったところでございます。
 参加者のリストを見せていただきますと、ユネスコ協会も北から沖縄までずっと広がっておりますけれども、どちらかというと太平洋側の県が中心ではないかと考えております。これまで70年以上にわたってユネスコ活動の普及に携わってこられたわけですけれども、そういう活動の成果もあって、ユネスコスクールは1,000校を超えておりますし、それから岡山市とか大牟田市、気仙沼市のような地域を挙げたESDの取組なども広く知られるようになってきておりますが、この後御審議の前に御説明をさせていただきますけれども、日本全体で見ますと、ユネスコ協会、ユネスコスクール、それから大学が中心になっているASPUnivNet(ユネスコスクール支援大学間ネットワーク)も、分布的に見ると非常にまだ地域的な偏在が認められるということがあります。それぞれの地域では、函館市もそうですけれども、圏域を超えていろいろなネットワークを広げていこうということで取組をされておられますけれども、やはりまず日本の国全体の面を捉えてユネスコ活動を幅広く普及活動をしていくという意味から考えますと、まだまだ活動が十分でない地域も見受けられるところでございます。
 そういう意味で、今日事務局からの説明も踏まえて、皆様の方からこれから日本全国を見た場合のユネスコ活動のまだ必ずしも十分でない空白地域において、戦略的にどのようにその広報・普及を図っていったらいいかということについての御意見を賜ればと考えて、今日はそういう議題を設定しているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議題1に関してはよろしいでしょうか。
【安達(久)委員】  ちょっとすみません、いいですか、1点。
 国内委員会の広報大使の御報告が先ほどありましたけれども、なかなか私ども、私は北海道なんですけれども、広報大使の存在を知ることが今までなかなか難しかったです。国内委員になりましてから初めて存じ上げるという形になったんですけれども、せっかくいらっしゃる広報大使の御活躍が、できるだけもっと更に全国的に認知されるような報道のされ方ができるように、せっかくですから今後更に御活躍いただけるように期待をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 では、議題2につながるような御意見だったかなと思いますので、議題2に移りたいと思います。この議題では、我が国におけるユネスコ活動の更なる広報普及に向けた意見交換を行いたいと思います。
 初めに、お手元の資料3に基づき、事務局から説明をお願いします。
【小林国際戦略企画官】  それでは、お手元の資料3に沿って御説明させていただきます。
 「我が国のユネスコ活動の更なる広報普及に向けて(骨子案)」ということで、この骨子案は我が国の今後のユネスコ活動の更なる広報普及に向けた基本的方針と具体的な方策を示すものとして、事務局で原案を作成したものでございます。本日から次回の普及活動小委員会にかけて委員の皆様に御意見を頂ければと考えております。
 この資料の構成としては、2つの柱に分かれておりまして、1つは「1.」としてあります我が国のユネスコ活動の広報普及の現状と課題について記しております。そこにございますように、我が国は、戦後70年近くにわたり、ユネスコ、政府、ユネスコ協会をはじめ民間団体が一体となってユネスコ憲章の理念を実現するために、ユネスコ活動の実践と広報普及に努めてきました。その結果として、民間ユネスコ活動は全国的な発展を遂げ、世界遺産をはじめとした様々なユネスコ事業が普及し、また学校や地域単位でユネスコ活動の実践が行われ、それらの実践が様々な分野レベルでのユネスコ活動のネットワークを通じて広く知られるようになりました。
 一方で、民間ユネスコ協会の数は、全盛期の302から278に減り、会員の高齢化や活動の縮小が課題となっています。また、ユネスコ活動の地域的な偏在が見られます。ここで後ろの方に別添で御参考として全国のユネスコスクールの分布状況を御紹介しております。続きまして、企業をはじめ一部のステークホルダーへのアプローチが十分ではないこと、加えて、広報普及や実践を行う主体間の連携も十分とは言えないことなど、様々な課題が挙げられます。
 SDGsをはじめ様々な社会機関や達成目標が生まれ国内で主流化していく中、ユネスコ活動の意義や目標をどのように位置付け、どのようなメッセージを誰に対してどのような方法で広報普及していくのかを明確にし、戦略的に実施していく必要があると考えております。
 次に、おめくりいただきまして、2ページ目ですけれども、2つ目の柱として、我が国のユネスコ活動の更なる広報普及に向けた基本的方針を挙げております。まず、総論として、これまでのユネスコ活動は点や線における取組が中心でしたが、今後は面全体を様々なユネスコ活動で覆うことが重要であり、また、質的な面も重視して、中身の詰まった重層的なユネスコ活動の展開を目指すことが必要であると考えております。特に、広報につきましては、戦略的発信の強化や、戦略的広報普及を推進する連携体制の構築が必要であると考えております。
 1つ目の柱であります戦略的発信の強化については、まずユネスコ活動に関する認知度などのエビデンスに基づいた戦略的発信が必要であること。それから様々な主体にユネスコ活動に共感を持ってもらい協力を得るため、ユネスコ活動の目標やこれまでの成果、及びSDGsやESDとのつながりなどを分かりやすく発信することが必要であること。特に、民間企業、経済団体では企業行動憲章やESG投資の広がりを通じてSDGsが高い関心を集めており、この流れを捉えてユネスコ活動への共感と協力を得ることが重要であること、また、そのためのファンドレイジング能力の向上などが必要であること。それから、ユネスコ活動の地域的偏在の改善等に向けて、地域ブロック別の中長期的な視点に立った広報普及戦略を立てて実行することを挙げております。
 次に、2つ目の柱であります戦略的広報普及を推進する連携体制の構築としましては、日本ユネスコ国内委員会がユネスコ協会ほか民間団体や国連機関、大学、教育委員会、民間企業などの広報普及活動を担う関係者の連絡のためのネットワークを構築し、ユネスコ活動に関する情報の収集・提供を推進すること。それから2点目として、報道関係者への効果的な情報発信のために連携して取り組むこと、また、ユネスコ登録事業自治体の関心の高まりなどを活用し、短期的ではなく、息の長いユネスコ活動への関心を喚起していくことを挙げております。
 以上、御説明した内容、項目を実現するための具体的な方策について、本日は委員の皆様方から御意見を頂戴できればと考えております。また、御説明した内容のほかに、追加すべき重要な項目がございましたら、併せて御意見を頂ければと考えております。
 説明は以上で終わらせていただきます。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 では、この資料3を基に、後ほど皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 続いて、これまでの議論から視点を少し変えまして、民間の広報の御専門の方から、今後のユネスコ活動の広報普及に向けたヒントを頂きたく、電通アイソバー株式会社プロジェクトディレクターで順天堂大学客員研究員の倉増京平様にお越しいただきました。
 それでは、倉増様、お願いいたします。
【電通アイソバー株式会社 倉増プロジェクトディレクター】 
 皆様、おはようございます。私は倉増と申します。今日はこのような機会を頂きまして、本当に感謝しております。
 私は御紹介いただいたように広告会社で働いていますので、広く世の中にだったり、対象とする生活者にメッセージをどう伝えていくのか、という視点で仕事をしていますので一つはプロの視点として、もう一方では、私自身がNPOや、社会課題に向き合っている人たちの活動を支援しているので、実践者といいますか、実際そういう活動がどうやって伝わるんだろうっていうのを私自身も課題に感じながらふだん活動をしていますので、その2つの視点でユネスコ活動のこれからのPRの方向性についてお話しできればと思っています。
 私は部外者ですので、これまでやってこられたことは詳しくは正直存じ上げていません。ちょっとホームページで拝見して、あ、こういう活動をユネスコがやっているんだなというのは理解していますが深くは分かっていませんので、だからこそ言える、外からの視点なのでちょっと言いたい放題言ってしまうかもしれませんが、参考にお聞きいただければと思っております。では、よろしくお願いします。
 
 今日ディスカッションしたいこととしましては、このユネスコの広報をより良いものに発展させていきたいとお考えの皆様とともに、僕自身もディスカッションして学びたいですが、このESD、教育としてやっていらっしゃることの実践の見える化というのが非常に大事なんじゃないかと思っています。実践の見える化をすること自体が新しいPRの方向性になるんじゃないかと思っていますので、それがどういう意味を持っているのかということを少しお話したいと思っています。
今日のゴールとしては、私がある方向性について御提示しますので、それって受け入れられるものなのか、それいいかもねということになるのか、そういう議論の土壌が作れたらとてもいいなと思っています。

 お話に入る前に、さっき配付されてた資料があって、こちらに「今日よりいいアースへの学び」という資料がありましたけれども、ページの一番下の「SDGsを取り入れたESDの推進」の中に、これからやるべきことはSDGsを見据えながら、学校や地域で足元の課題解決をしていくのか重要である、ということが書かれていまして、正に行動していく、教えて、学んだ上で行動していくみたいなところをどうPRと連携させていくのかなというところがキーなんじゃないかと思っています。
 ここから先はちょっと一般論になりますが、私がふだん広告の仕事で、ターゲットの人たち、つまり「伝えたい相手」に「何かを伝えたい」ときに最初に考えること、広告とか広報の戦略の立て方の手順ですが、大きく3つ考えます。まず、コミュニケーションを通じてどんな状態を作りたいのかということを設定していきます。例えば、今後ESDとかあるいはユネスコの活動に対して共感していただいて寄付金を幾ら集めたいということも具体的な作りたい状況の1つになりますし、ある地域の課題を具体的にここまで解決するというためのコミュニケーションということでもいいですし、「どんな状態にしたいのか」を決めることがとても大事かなと。ここを決めた上で、それを実際に行動していただくに当たって「誰に伝える」のが一番大事なのかということです。
 広告と広報の違いで言うと、広報って広くあまねくということでありますが、広告の場合はある程度ターゲットを絞っていくのでその違いはあるとはいえ、ただ広報だって誰でもいいわけではないと思うので、重点ターゲットというのがあるはずですので、誰に。次に、何をどういうふうに伝えていくのかみたいなことになりますが、こういう形です。
 まず、どのような状況を作りたいのかということを、ちょっと抽象度が高いので具体的なお話をします。例えば、○○という商品を知ってもらいたいということも作りたい状況ですし、これは認知度を上げるという意味ですね。あるいはもう少し具体的にしていくと、キャンペーンをやっているのでこのキャンペーンサイトに1万人集めたいみたいなことも作りたい状況です。もっと言うと、例えば先ほどちょうどお手元にありました、この「未来って本当に変えられるの?」という、ESD日本ユース・コンファレンスというのが今度10月にありますが、このコンファレンスに無料説明会をやっているので100人集めたいということも具体的な意味での作りたい状況だったりします。それをもっとかみ砕くと、7月25日に行う今度の無料説明会に来てほしいというのがもっと具体的なものですが、この広報活動においてより具体化していくとどのような状態を作りたいのかと。これによって全然伝え方って変わってきます。
 例えば、いろいろな学校の広告宣伝物を集めてみたんですが、それぞれ作りたい状況は恐らく違うだろうというのはここから見て取れるかなと。この事例は地域の野球教室で、多分みんなお子さんを持つ親だったら知っているような地域の野球教室で、今無料体験をやっているから、「あ、ちょっとうちの子、行かせてみようかな」みたいな、そういう作りたい状況があってこのような発信をしているんだろうと。
この事例はもっと具体的で、この日にオープンキャンパスやっているから来てねということで、相当具体的な、この学校を検討しているターゲットの人に対して、是非説明会に来てほしいと。
 これら事例から見られるように、目的、作りたい状況によってかなりコミュニケーションの仕方も違うというのは分かってきますので、こういうことを踏まえて、コミュニケーションをちゃんと作り替えていかないといけないというところの例です。
 次に、誰にということで、これはターゲットのお話ですけれども、通常私たちがお仕事としてやる場合は、いわゆるお客様というか伝えたい相手を考えるときに、デモグラフィック、いわゆる性別とか年代とか、どこに住んでいる方とか、年収だったりとか、そういったところのスペック的な状況と、あとサイコグラフィックというふうにいいますけれども、そのターゲットの持っている価値観みたいなことですね、その人が大事にしていることとか、を組み合わせながら、ターゲットの設定をしていったりします。これもちょっと具体的に言うと、例えば今私がお仕事で関わっているのは、社会人あるいは大学生向けのビジネススクールのターゲット設定をするときに、来てほしいお客様像というのを描いて、ペルソナを描くっていうんですが、大学4年生でもう就職が決まっているんだけれども、これから先社会に出るに当たって学びをさらに深めた上で、その会社で活躍できるようになりたい、とか、入社3年目で今こういう仕事に就いているんだけれどももっとステップアップしたいとか、ターゲットをより詳細に決めていくというようなことです。
 次に、何を伝えるかと。これはすごく大事になってきまして、何を伝えるかということを考えるときに、さらに分解しますと、そのターゲットがどんなことを求めているのかと。どういうニーズを持っているのかということを考えます。そのニーズに対して私たちユネスコは何を提供できるのか、こういう順番で物を考えていくわけですけれども、ここではニーズというところの深堀りを少し例を挙げてしてみたいと思います。
 先ほども少しだけ事例で出ましたが、例えばということで、この大学4年生で就職が決まっているんだけれども、この人にとってこの学校でどんな学びを提供できるのかということを考えるときに、彼女が一体何を欲しているのかということを探らない限り接点が持てないので、ターゲットを決めた後でこのような属性の人たちがどんな考え方を持っているかアンケートを取ったりとかインタビューをして決めていくわけですが、彼女の場合実際インタビューしてみると、やっぱり仕事、社会に出て自分の可能性を広げたいということがありましたし、いつか結婚するけれども結婚前にちゃんとキャリアを積みたい。やるからには自分の興味のある分野で活躍したい、などこういうような価値観を持っていることが分かりましたので、あなたの価値観に対して私たちが提供するプログラムはフィットしますよということで、そこを接点にしていくような考え方を持ってコミュニケーションしていくのが大事ということで挙げました。
 ただ、ここまで挙げたのは、あくまで伝えたいことが明確であること。つまり、先ほどでいうとこのウェブサイトに何人来てほしいとか、具体的にこのプログラムに参加してほしいとか、伝えたいことが明確で、アクションしてほしいのもこれに参加する意思表明をしてほしいみたいな明確な場合にはこういうコミュニケーションのやり方が有効なんですが、私も悩んだのが、ユネスコの掲げている理念がすごく大きいんです。世界平和というのを掲げていて、これと今日の自分のアクションって結び付けるのむちゃくちゃ大変だなと思って。多分ここが遠過ぎてなかなか自分事ができないんだろうなというふうに思いまして。SDGsもちょっと似ているんですね。これは皆様に釈迦に説法ですが17の目標に対して2030年までに世界の皆さんでやっていきましょうと。これは数値目標もあって分かりやすいんですが、それでも難しいのは、今日の僕の活動がこれとどうつながっているの?というのは全然見えないというか分からないんですよね。なので、なかなか「SDGsっていいよね」ということがあっても、個人レベルで何をしていいのかというのはちょっと自分自身もまだ分からないまま、でもやらないよりやった方がいいなということでアクションしているのが実情じゃないかなと思いました。
 ここから先、こういった抽象度が高くて目標達成が大き過ぎるテーマにおいて、じゃあ何もできないのかというとそんなことはないと思いまして、ここは世の中にはうまくやっている他業界ナレッジというか、いろいろなうまくやっている人たちがいるので、そこのナレッジを使っていくのがいいんじゃないかということで、ここから先一つ御提案をします。ヒントは、ここにあるんじゃないかなと思いまして。皆さん、ポケモンGO、御存じですか。みんなスマホを持って公園に何百人集まるとかっていう社会現象が起きましたけれども、要はポケモンを探したいから人が動くわけですよね。何が言いたいかというと、別にゲームをやりましょうではなくて、『ゲームの持っている要素を理解しませんか』ということです。たしか2017年の6月現在400万人が月間でアクセスして使っているユーザーがいるとなっていましたが、400万人の人を動かす力を持っているもの、この原動力って何なんだろうかと。ここを抽出していけばいいんじゃないかということで、このヒントを少し解き明かしていきたいと思っています。
 例えば、ドラゴンクエストの魅力って分解してみると僕はこう思いました。ゲームの世界で言うと悪いやつがいるわけですけれども、世界で果たすべき目的、悪を退治するという目的に向かって志を同じくする仲間を見付けてパーティーを組むわけです。で、自分たちがいきなりは魔王を倒せないので、レベルアップするために日々クエストをこなしていくわけですね。時には、ゲームの中で転職というのがあるんですが、これは現実的に言うと強みを増やしていくということだと思うんですが、こういった大きい目的があって仲間を見付けて、ともにそれを切磋琢磨していくことで一つ一つのクエストを積み重ねていって、最後は最終目的である悪を退治すると。これってSDGs達成のためとか世界平和みたいな大きいものでも、もう少しこういうふうに分解していけば、この道筋が見えやすいんじゃないかなというようなことなんです。
 例えば、現実問題で言いますと、余り明るくない未来がいっぱい待っているなということでよく僕も暗い気持ちになるんですが、日本の社会課題、ここに挙げている以外にもたくさんの社会課題がありますけれども、これらの課題は確かに課題ではあるんですが、最も重要で本質的な課題があるんじゃないかと僕は思っています。それは何か。やっぱり人々が無関心だから。「それは自分には関係ない。別にそれに関わらなくても別に今日の生活に困んないもん」と。自分自身そうですし、もしかしたら皆様もこういう気持ちをどこかにお持ちの人もいるかもしれません。全員が無関心だとやっぱり社会は変わらないなと。そのために教育が必要なわけですが、僕が願っていることは、理想論かもしれませんが、もっと多くの人がこういったいろいろな社会課題に気付いたら、もっと多くの人がこういった社会課題を自分事化したら、正にゲームに熱中してこのゲームをクリアするために燃えているような状態を作れたら、この世界で果たすべき目的だと思って自分がアクションしちゃったら、こういう人が増えてくれば世界はより良い方向に絶対変わっていくだろうと思っています。ESDはそのための、持続可能な社会を作るための教育なんだろうと思ってはいるんですが、なかなか人々は動かないわけです。だから、変わるべきは行政だけではもちろん足りないし、企業だけでも足りない。課題に取り組むのはNGO、NPOだけじゃ全然足りないなと思っています。一人一人の何でもない個人、無関心と思っている彼らが関心を持っていくというところに、一人一人がゲームの世界でいうところの【勇者】になって、「これは僕がやらないといけないんです!」という情熱を持ってアクションしていくということが求められるだろうと考えています。
 だからと言って、ここでよくありがちなのは、「いいことをしようね」って幾らメディアで叫んでも、ああ、また言っているねという感じなわけですね。標語のように唱えても誰もアクションが起きないんですね。メッセージだけ伝えててもなかなか届かない時代になってきましたので、やっぱり、別にこの手法がだめということではないんですが、知るきっかけにはなっても人の行動を促進するまでにはなり得ないんじゃないかなというのが実情、肌で感じていることです。
 実際に、じゃあ人が行動を起こすまでのステップって、僕自身の実例でお話をしますと、僕も今から5年ぐらい前まで本当に普通の会社員だけでした。会社に行って家に帰るだけの生活でした。ちょうど震災が起きた後、社会起業家と言われる人がたくさん出てきて、仕事を置いてでも東北に行って何かボランティアするんだみたいな人だったり、「僕はこの課題に対して取り組むんだ」といって活動している人が結構世の中にいます。僕が最初に経験したのは、自分のミッション(使命感・人生を賭してやるべきこと)に気付くということでした。とは言っても、なかなかミッションって簡単には気付かないので、そのためには既にいろいろな活動をしている先輩たち、社会課題に向き合っている勇者が今世の中にたくさんいるので、こういった人たちの存在を知るというのがむちゃくちゃ大事なんじゃないかなと。
 話を聞いてみると、確かにすごいと思うことをやっているんですが、深く話してみると意外と普通の人だったりして親近感湧いたりとか。何でその活動を頑張っているのかということを理解すれば共感できたりとか。じゃあ、何か僕が手伝えることってないかなという気持ちになりますので、まず自分のミッションに気付く、そのためにも、既に活動している人たちの背中を見せる、これがとても大事なことだと思っています。ここからすべてが始まるんじゃないかなと。
 で、だんだんいろいろな人の話を聞いてみると、Aさんの話も聞いてみた、Bさんの話も聞いてみた、この中でやっぱり濃淡ってあって、あ、この人に僕何かすごい共感できる、この人は余りピンと来ないなみたいな、やっぱり自分の中での関心軸というのが見えてきますので、そこで自分の関心に合致するかもって感じたプロジェクトに参加してみるってすごく大事じゃないかなと思います。
 皆様は「二枚目の名刺」というNPO団体を御存じの方がいらっしゃるか分かりませんが、簡単に御紹介しますと、「二枚目の名刺」という団体がありまして、彼らがやっていることは、NPOと社会人をつなぐ活動をしています。どういうことかというと、NPOは活動をもっと加速させたいのに人、物、金が足りなくて困っている。企業で働く社会人は、毎日会社と家の往復だけで、「本当に僕このままでいいんだっけ」と何か不安というか、このままでいいのかということに対しての不安を感じている。何か社会に貢献できることってあるんじゃないかというのを感じている人たちがたくさんいるわけです。ここをマッチすることで、「この課題解決を一緒にやってみませんか」というのをお試しで出会いの場を創出しているわけです。
 僕も実際、最初こうやってお試しで入ったNPOの中の人となって活動しているわけですけれども、その社会課題を解決したいと。自分ももしかしたら役に立つんじゃないかという自己有用感とともに実際にNPO側に回っているわけですけれども、やっぱりこういう形で自分のミッションに合致するかもしれないプロジェクトに参加していく。これが正にSDGsにつながるアクションをしていくということに多分イコールなんじゃないかなと。
 ここでさらに、人によってはフェーズが進んでいくと、やっぱりじゃあほかにやる人いないから僕がやるよということで、自分が一番重要視しているテーマに関してのプロジェクトを立ち上げて、みんな一緒にやらない?ってこの指止まれをしていくということになっていく。これがいわゆる社会的リーダーが生まれてくるということですけれども、多分こういうプロセスがあるなと思っていまして、こういうことをいわゆるゲーミフィケーション的な要素を使ってやっていけばいいんじゃないかなというのが私からの御提案になります。
 いろいろ言いましたのでまとめますと、これまでの流れからすると社会課題は徐々に広がっていって深刻化している。人々の価値観もそれに対してやっぱり自分だけ良ければいいとは思ってなくて、自分も報われたいけれども、社会にとってもいいことをしたいよねという空気はもう醸成されている、しかし社会課題が顕在して人々の価値観も徐々に変わってきているとはいっても、いろいろな状況の中で一歩踏み出せないところがあります。例えば個人で言うと、先ほどの繰り返しになりますが、何かしたいけれども自分は一体何に取り組めばいいのかというのが見出せないというのが現状だと思います。企業は企業で、社会課題に向き合うということは重要だし、これから先永くビジネスを続けようと思ったらこの社会課題を何とかしないと自分たちの存続も続かないというのも自覚していますので、大企業なんかは結構SDGs活動に対する投資を始めたいと思っていますが、ただ、実際に本当にそれをやってもうかるの?みたいなことに対しての事業性が担保されるかというのが不透明だから、まだCSRの領域でちょこっとやっているというのが実情かなと。行政は行政でジレンマを持っていると考えていて、これは僕が勝手にそう思っているだけですが、幾ら行政がやりましょう、こういうことをしましょうと言ったからといって民間サイドが動いてくれないと政策は機能しないんだよねというふうにお感じの行政の方も多分多いんじゃないかな。NPOはNPOですごい課題を感じていて、今社会課題は増えていますので、NPOの活躍の場は増えているわけですが、現場の最前線で例えると目の前で血を垂らしている人、血が出ている人の止血に一生懸命で、これはもう応急処置なわけですけれども、根本的にこの問題が起きないようにするにはどうすればいいのかまで手が回らないという状況になっている。みんなベクトルは同じ方向に向かいつつあるが、きっかけとなる一歩を踏み出せてないのが実情じゃないかなと。
 今日は問題提起で終わりますが、私が言いたいのは、このESD、あるいはSDGsもそうですが掛け声で終わっては人は動かないので、そこに人がわくわくするような要素を組み込んだ形で、つまり先ほどポケモンGOでありドラクエを例にしましたが、こういった人々が熱中する、没頭するような要素を取り込みながらリアルな体験を作っていく。このサイクルを回していくことが必要なんじゃないか。それができ得る立場というか、でき得る枠組みで言うと、やはり世界平和ということを掲げているようなユネスコにほかならないのではないかと思いまして。ただ、ユネスコ単体がやっていくというよりも、やっぱり企業との連携、例えば、ゲーム会社と組みましょうということかもしれません。ゲーム会社と組んでゲームのような形をして遊んでいるのにいつの間にか社会課題も解決しちゃっている、みたいない仕組みを作るというのも、もしかしたらあり得るかもしれません。
具体例はここで申し上げることはできませんが、こういったESDの取組とゲーミフィケーションによるアクションを促すようなリアル体験をくっつけていくということがとても大事なんじゃないかなということで、楽しみながらアクションをしてもらうような仕組み作りというのが、結果的にこんなにアクションをしている人が増えましたよというのはPRネタになりますので、それこそが新しいPRの在り方なんじゃないかなということで、一つ問題提起をさせていただいて、私からのプレゼンテーションは一旦終了とさせていただければと思います。
 済みません、変なことばかり申し上げましたが、御参考になればということで。ありがとうございました。
【安達委員長】  倉増様、ありがとうございました。(拍手)
 今の御発表について、何か御質問があれば少し時間を取りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、ありがとうございました。
 それでは、意見交換に入りたいと思いますが、初めに地域のユネスコ協会の委員の皆様から、各地域におけるユネスコの活動の広報普及の現状と課題について、お一方2分程度で御発言をお願いできますでしょうか。では、五十音順ということでよろしいでしょうか。
 安達委員、お願いします
【安達(久)委員】  北海道の小樽ユネスコ協会の安達と申します。各地域におけるユネスコ活動の広報普及についての現状と課題ということですが、与えられた時間が非常に短いものですから、ごくごくかいつまんで一部のみのお話になるかと思います。
 北海道の中には北海道連絡協議会を含めまして20の地域組織がございますけれども、各ユ協の活動については、1年間の活動を紹介する会報というのを大体のユ協で年1回から2回発行しています。ちなみに、本日皆様のお手元に私どもの小樽ユネスコ協会の会報を配付させていただいたんですけれども、会報というのは1年間の活動全般を網羅して皆様に私どもの活動を知っていただくという目的で作られておりますので、会報編集に当たっては一番重視しているのが平易な表現ということです。市民の皆様が読みやすく、理解しやすい広報であるべきと思うからでございます。最近は若い会員の方も増えましたので、ホームページとかフェイスブックなんかでも活動の発信をよくしてくれておりますので、新しい層への発信が少しずつできるようになってきたかなと思っています。
 それから、北海道全体としましては、これも皆様のお手元に配付いたしましたけれども、北海道ユ協全体の活動の1年間の御報告を毎年こういった冊子とリーフレットとセットにして発行しております。これは全土のユ協の活動の全容を知っていただくために大変有用でございまして、会員の勧誘などにも大いに使っております。
 それから、今まで申し上げたのはこちら側からの発信の主なものですけれども、私どもの活動で申し上げますと、地方新聞とかネット上の報道機関等に私どもの活動を年に二、三回は取り上げていただいてはいるんですけれども、それでもなおかつ市民の中にはユニセフとの混同というのがなくならない状況がございます。それが現状というところです。
 ですから、私どもがいつも思っておりますのは、やはり最大の広報というのは年間を通しての活動そのものであろうかなと思っておりますので、年間を通してできるだけ地道な活動を続けていく、これが普及の大きな役割を担っているのではないかなと考えております。
 まだまだあるんですけれども、これで終わらせていただきます。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 では、次に有里委員からお願いいたします。
【有里委員】  九州・沖縄地区の有里です。資料の方は特に準備していないんですけれども、ちょうどこの『ACTIVITY REPORT 2017』というのがありますので、この中で九州・沖縄地区で関わっている部分について御報告したいと思います。
 まず、ユ協なんですけれども、26ページに全体の協会・クラブ一覧があるんですが、九州ブロックと記載してありますけれども、全部で14の単位ユ協で構成されております。九州・沖縄は8県あるんですけれども、2016年度に長崎が退会しまして、現在長崎を除いて一応各県1つはユ協があるというところです。各ユ協の取組の状況ですけれども、一般市民の広報、それから学校現場との関わりですね。それぞれ歴史の違いはあるんですけれども、今まで活動してきたことを中心に継続してやっているというところであります。
 その中で、全体で特に力を入れてと言いますか取り組んでいるのが、一般市民の方々の協力の下に行っております、ちょうどこれで言いますと6ページになるんですけれども、ユネスコ世界寺子屋運動の書き損じはがき回収キャンペーンですね。毎年回収の数値等が出てくるんですけれども、特に鹿児島県、熊本県、大分県あたりのユ協さんの回収率と言いますか、回収数が非常に多くて、ベストテンの中に入る状況であります。数だけではありませんけれども、それぞれ地道に、例えばロータリーさんであるとかソロプチミストさんであるとか、ほかの方々の協力等も得ながら、広報も含めて回収をしているということであります。
 それから、あと、ちょっとあちこちに飛びますけれども、23ページの上の方にユネスコ協会ESDパスポートというのがあるんですが、特に私どもの協会ではこれに力を入れておりまして、学校を通して子供たちのユネスコ活動に関する興味・関心を持つといますか、そういう生徒たちを増やしていくということで、1校に限ってなんですけれども、ESDパスポート事業に取り組んでいるところであります。そのほかのユ協においては、25ページになるんですけれども、ちょうど真ん中あたりに幾つかの活動がありますが、「平和の鐘を鳴らそう」という活動でありますとか、特に沖縄県のユ協辺りが活発に一般市民を含めて活動しているというところであります。それから、特に久留米ユ協なんかが力を入れておりますけれども、「わたしの町のたからもの絵画展」というところですね。子供たちに絵を描いてもらって、それを回収して、一般市民の方々に展示するといったようなところであります。
 それぞれ特徴があるんですけれども、考えてみますとそれ以上の広がりといいますかそこのところにちょっと壁があるかなという感じがしております。その一つが何かといいますと、実は先ほどの資料の中に出てきました、資料3の一番最後、ユネスコスクールの分布状況というところであります。2017年10月現在というところですけれども、ホームページだと2018の2月でたしか出ていたと思うんですが、それで言いますと1,033校の中で九州・沖縄地区、ここでは63と書いてあるんですけれども、ホームページでは61となっておりました。全体の6%しかないんですね。もう見ていただきますと分かりますように、数だけではないんですけれども、非常に数的に少ない。特に、一番多いのが昨年度全国大会をやりました大牟田なんですけれども、福岡だけで45校でしたか、加盟しております。残りは5校から1校程度ということで、頑張っているんですけれども、壁を開くといいますかその辺が非常に厳しい状況になっております。そういう意味では、特に今後ここに力を入れて頑張っていくべきなのかなという感じがしているところであります。
 一応概要は以上であります。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、石井委員からお願いいたします。
【石井委員】  私は中部東ブロックの厚木ユネスコ協会で活動しています。最近の活動としては、もうすぐ近付いている、7月30日にユネスコサマースクールというイベントを予定しています。小学校3年生から高校生までの青少年を募集して、スタッフも入れまして40名、50名ぐらいでサマースクールをやり、ユネスコの学習会、曹洞宗の寺での座禅体験、「平和の鐘を鳴らそう」イベントをします。子供たちにそういう募集をすることによってユネスコの学習もできますし、保護者にもユネスコとはこういうものだということを知らせることができますので、ユネスコの普及と広報ができると期待しています。今回はSDGsのことも話をしようと思っています。
 あとは、10月の終わり頃に厚木ユネスコ祭というイベントを予定しています。これは一般市民の方を対象にしたイベントで、外国籍の方をお料理の講師に招いてクッキングをします。お料理を作りながら交流をして、その後その国の紹介をしていたいただきます。これは50人程度の募集ですが、小学生から大人まで地域の方にユネスコを知っていただきます。あと国際理解教室ということも兼ね合わせて、普及と広報ができると期待しています。
 こういう活動は長く続けています。本当に私たちも地道ではありますが、続けることが大事だということでずっと続けてやっていますので、厚木を中心とした県央地域で、ユネスコの名前と活動が知られていっているのではないかと思っています。市の広報にそういう募集の記事を載せるだけでなくて、学校にチラシを配りに行っています。学校から子供たちがチラシをもらうととても子供たち、保護者も安心するので、子供たちに知らせるには学校にPRする、チラシを配るのはとてもいいような感じがしています。というわけで、その他たくさん活動があるのですが、焦らずイベントをしながら市民に、子供たちにユネスコを知らせていくことが大切だと思って活動をしています。
 私どもの厚木ユネスコの青少年グループの主催で3月にキャンプをやりました。そのとき私も参加しました。青年たちは楽しく仲間作りとかイベントをとても上手にできるのですが、課題として、ESDとかSDGsについての勉強がほとんどなかったです。それはもっと青少年に勉強していってもらいたいと思うので、そういうのを私たち大人の方から少し指導して、こういうことをした方がいいのではないかということを言っているところです。
 ESD、SDGsについて、私たち協会の会員の意識が高いとは言えないと思っているのです。やはり常日頃から勉強していかなくちゃいけないし、もう少し学ぶ機会を増やしていきたいなと思っています。
 時間、大丈夫ですか。私の意見は、後でお願いします。
【安達委員長】  はい、じゃあまた後ほど意見を。ありがとうございます。
【石井委員】  では、以上です。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 それでは、次に、岡崎委員からお願いいたします。
【岡崎委員】  私、宮島ユネスコ協会で活動させてもらっていますけれども、このたびは皆さんいろいろなところから豪雨災害でお見舞いの連絡を頂きましてありがとうございました。
 今、ちょうど宮島ユネスコ協会では、この秋に中国ブロック研究会を開こうということで準備を進めております。特に今回のテーマは、広島というところは広島の原爆ドームと宮島の厳島神社という2つの世界遺産があるので、全く性格の異なる世界遺産だと認識していますけれども、そういう意味でいうと、最近の動きとしてみれば、世界遺産をある種の、言葉は悪いんですけれども、ネタにした観光振興とか地域振興ということが行われているというふうにも感じるんです。だから、本来の世界遺産というのはなぜユネスコがそういうことを提起したのかとか、そういうユネスコに関わっているんだよということを是非とも皆さんに知っていただきたいと考えて今準備しています。そういう意味で言うと、往々にして有形、無形を含めて世界遺産に登録されるとやたら人が増えてくる。広島もそうですし宮島もそうですけれども、今までの過去に例がないくらい来島者が増えている。という中で、ある意味でそれはチャンスなんですね、ユネスコを知っていただくチャンスだと私は考えているんですけれども、そういうふうな格好で何とかまとめられないかなと思っているところです。
 ただし、課題としては、特に宮島の場合はそうなんですけれども、島内に居住されている方が1,800人しかいらっしゃらない。ほとんどの方が観光業者である。そうすると時間が取れないんですね。だから、これが大きな課題でどうやって克服するかということなんですけれども、今取り組んでいるのは、各事業者さんとの連携ですよね。それをやっぱり力を入れなきゃならない。個人だけじゃないよということ。それから、もう一点は、ESDにしても言葉としてかなり抽象的で、これが我々にどう結び付くのよということがなかなか理解してもらえないということがあるので、その辺をもう一回分かりやすいようにこういうことですよというふうなことを皆さんに知っていただきたいと思っています。
 もう一点、私もそうなんですけれども、何か月に1回かぐらいラジオのインタビューを受けたりそういうことがあるので、そのときには極力ユネスコ協会ですということで申し上げようと皆さんで言っているんですけれども、何かユネスコ協会という言葉自体が余り周知されていないというか、もっともっと広げなきゃならないと感じています。以上です。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、今委員からお願いいたします。
【今委員】  中部西ブロックです。富山、石川、福井、そして愛知、岐阜、三重と6県をエリアにしておりまして、私の所属しております大垣ユネスコ協会を含め20ユネスコ協会があります。
 全体について御報告しますけれども、まず1つ目、EFA(Education for All)に関して。これは1990年以来、日本ユネスコ協会連盟と一丸となりまして、280余りのユネスコ協会が一般市民の方も含めて書き損じはがきの回収を呼び掛けて、おびただしい書き損じはがきからできた資金をいろいろな開発途上国に送って識字活動をしているということで、寺子屋運動がユネスコの専売特許のように今はなっているのではないかなと。書き損じはがきを回収することでユネスコの活動を少し一般の方に理解していただくという形になっていると思います。
 それから、平和教育ですとか国際理解の教育ですとか、あるいは遺産活動についてですけれども、遺産活動につきましては、世界遺産には及びがつきませんけれども、地域の文化財を題材にして、これは日本ユネスコ協会がこの10年やっております未来遺産とも連動しまして、各20ユネスコ協会さんがそれぞれの地元の特色を生かしながらいろいろな行事を企画・運営して継続的に行事を行うことによって地元の人にアピールしているという形になっていると思います。
 そして、最後にESDとSDGsに関してなんですけれども、ユネスコスクールがちょっとしたESD普及のパイロット校であるとしたならば、中部西ブロでは308ユネスコスクールがありまして、日本全国の約3分の1を占めているのですね。そうしますと、それから考えるとちょっと私どもの地域は結構活発な普及活動をしている地域かなと自負しております。
 ただ、このESDが更にすそ野を広げて浸透していくためには、やはり学校の教育現場にいらっしゃる先生への研修ということがとても大きなキーになるのではないかと思っています。私ども民間ユネスコ協会はそこまではずかずかと立ち入ることはできませんので、これはやはり地域の教育委員会ですとか文科省さんと協働が必要となりますので、その辺のサポートを是非今後ともお願いしたいと思っています。それが一つの課題と言えると思います。
 それからもう一つ課題としましては、教育、科学、文化と広い分野をユネスコは網羅していますので、やはり分かりにくい。ユニセフさんが子供のために基金を作るからお金を寄附してくださいという活動に比べれば非常に複雑で、分かりにくくてどこにポイントを置いたらいいのか。一体ユネスコって何だろうという印象をやはりいまだに与えているのかなと。その辺をうまくPRできることがこれからの普及の鍵かと思っております。以上です。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、高尾委員からお願いいたします。
【高尾委員】  冊子をお持ちしましたので、これは活動概要なので後で見ていただければと思います。
 日本ユネスコ協会連盟の会員の構成団体の一人として、また地域ユネスコの代表としてという立場からいろいろな活動をしてきましたので、それを踏まえてお話させて頂きたいと思います。
 この委員会の事務局には大変お世話になりいろいろ勉強させていただきまして本当に有り難いなと思っております。ありがとうございます。
まず一つ目は、情報共有をすることがたくさんあるなと思いました。他団体、他組織、それからいろいろな外郭団体とか、ユネスコの精神を共にする仲間たちの活動内容というのを余り知らなかったなと思っています。その活動内容を踏まえていろいろな情報を共有することで、更に枠を超えて、例えば今までの民・官・国、それを超えていろいろな協働ができるのではないかなかと思いました。そういう協働の一歩や可能性を持っているのがユネスコなのかなとは感じました。
 例えば、今度オリンピックが開かれますけれども、オリンピック・パラリンピックに向けて、このユネスコの精神を一番アピールできるチャンスじゃないかと思っています。こういう平和の祭典にユネスコがどのように関わるか。例えば、企業であるとか他団体であるとかでもポスターであるとか、ユネスコというロゴを入れていただいたり、平和のメッセージを入れていただいたり。それから私たちは学校との教育の関係が強いと思っていますので、学校の先生たちにユネスコを分かっていただきたい。そのためには、例えば学校の先生たちは新任研修というのが入りますとあります。それから、中堅研修といってこれは義務付けられた国の研修があると思います。そういう時にユネスコの活動であるとか、内容を広く知らせていただきたい。それから、先ほども出ましたけれども、さかなクン等選ばれた広報大使の方に、ユネスコを知ってもらうイベントに駆け回っていただけるといいなと。そのためには、子供たちにも周知できるような易しいものから一緒にやっていただけるとかいいなと思います。
 今どこの団体もそうだと思いますけれども、人、物、金というのがなかなか付いてこないというふうなことを考えますと、やはり協働事業なを通して今やっているプログラムだけでも活動の輪を広げていく基にできればと思います。
2つ目は、多くのユネスコ協会でやっていますけれども、「平和の鐘を鳴らそう運動」というのがあります。多文化共生とかグローバルとかESDとかSDGsを知らせる為にも、平和という共通項を掲げて全団体一体となって、何か政府が旗を振っていただいたりすると、平和とかユネスコと協働も可能になってくると思います。
 例えて言うと、栃木県に日光世界遺産がありまして、観光客も年々増えています。観光地の目に触れる所にSDGsのポスターなどを掲示して欲しいと思います。17の項目であるSDGsのシール等貼っていただいて、ユネスコを知って欲しいと思います。この間日光のユネスコ協会の方とか市の文化財の方とお話ししましたけれども、まだ余り知られていないのですね。近くに世界遺産があるのにESDであったりSDGsのことが余り届いていないということをさみしく思いました。
 こんなことがありましたので、是非広報に力を入れてユネスコを、このオリンピックに合わせて盛り上げて欲しいと思います。
 また、私が所属している関東ブロックは、ユネスコ活動が活発に行われているところです。私たちは先輩を手本にして活動させていただいております。配布した冊子に活動の様子がありますのでご覧ください。協働として色々なイベントを企業さんとか学校さんとコラボをして巻き込んでやる方法、それからホームページを利用する等、新しい広報の手段を考える事が必要だと思います。
 ちょっと雑駁な話になりましたけれども、よろしくお願いいたします。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 では、次は野本委員の順番ですが、本日、歯の治療の関係で少し御発言しにくいということを事前に伺っておりますので、続きまして山田委員からお願いいたします。
【山田委員】  東北、宮城県の白石ユネスコ協会の山田と申します。ユ協の活動の紹介というのは大体皆さんどこも同じだと思いますが、どちらかというと感じたことを私はちょっと発言させていただきます。
 当協会でも生徒・児童さんに対しての活動というのはどこでもやっているように、例えば絵画展をやったりとか、あと当協会では和食の研修会を学校で行ったり、ユネスコスクールに加盟している学校の校長先生たち、生徒のみなさんを集めて新春の集いといって勉強会を開催しております。ただ、そこで感じるのは、ユネスコスクール、最初のうちはやはり加盟を増やさなければいけないということでやっておりましたが、ただ、学校現場にしてみるとどうしてもそれは学校教育の一環ということで、ユネスコ活動ということが果たしてどこまで先生たちに理解していただいているのかな?ということをまず感じております。それで、いろいろな活動を行っておりますが、ユネスコスクール活動に関しては、やはり教育というところがどうしても頭にあるような気がして、ユネスコの活動というのが浸透していないような気がします。
 それで、我々としては、一般市民向けにやはり広報活動、知ってもらわないことには広がりを持たないだろうということで、今年は地域で行う春祭りでユネスコのブースをちょっと試しに作ってみました。そういうところでパンフレットとかを渡すと、やはり先ほどから出ているように、ユネスコとユニセフの区別がまず付かないという方が多い。そして、もし分かったとしても、ユネスコって世界遺産やっているところだよね?というくらいで、先ほどのプレゼンにもあったように、やっぱり自分自身がユネスコの活動にどのように参加ができるのかということをやはり皆さん分かってないんですね。
 それで、これからはやはり皆さんが参加することができる、そういったユネスコの活動というのを広げていかなければいけないのかな?と考えております。それにはまずユネスコというのは根本的にどういうものなのか、そういったことを一般の方、一般市民に向けて発信しなければいけないと思っております。今日この場に来て、できればユネスコを簡単に紹介できて、イベントやチャリティーコンサートなどで流せる動画もしくは映像があればいいのではないかと感じました。それは一般市民向けというのもありますし、あとは学校教育の中のユネスコスクール、いろいろなユネスコ協会の皆さんが学校の教育現場に行ってユネスコというものを説明していただいているとは思いますが、ただ、それもできれば統一したもの、やはり紙媒体よりも動画、そういったものが重要なのではないのかなと思います。もし作っていただけるのであれば、そういったものを利用して、一般の方、地元の方が集まったときにユネスコというのを広げていけるのではないかと思っております。
 ですから、私としては学校関係、児童・生徒さんに対しては、当然自分たちの住んでいる町、そういったところの宝物、あと平和教育というのは必要だと思いますが、ただ、それがやはりユネスコの精神から来ているということを分かっていただくということがまず大事だと思っています。そして一般の方がユネスコ活動に自分たちも参加できるんだ!これが自分たちも携わるユネスコ活動なんだ!ということが見えるような活動をしていきたいと思っております。報告というよりも私なりに感じていることをちょっと述べさせていただきました。以上です。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 それでは、地域ユネスコの委員の方から御発表を頂きました。これまでの御説明、御発表を受けながら、皆様から御意見を頂戴したいと思います。お手元の資料3の2ページと3ページ目に記載されている、先ほど御説明ありました具体的な方策の御提案を中心に、御意見を頂けますでしょうか。
【石井委員】  では、いいですか。これは冒頭に「戦略的発信の強化」と書いてあるので、ただ何か緩やかに発信するのではなくて、もっと何か強く発信していかなきゃいけないのかなという捉えをしているのです。やはりそれには、先ほども出ていますけれども、学校教育など、子供たちに教えていくのが一番手っ取り早いというか大事かなと思います。例えば、SDGsというのは多分教科書にもそろそろ載ってくるのかなと思うのです。今年の学習指導要領が改定された後まだ教科書を見てないのですが、SDGsはきっと教科書に載ってくるだろうと思うのです。
 最近、SDGsのセミナーに参加したのです。地域で行われており、知り合いの方に誘われて私も関心があったので行きました。カードゲームをしてSDGsを学ぶというものでした。したがって、とても楽しく学べたのですが、そのカードゲームは民間のセミナーを主催した方が作られたものだったのです。日ユの方もいらっしゃるのでお聞きしますが、ユネスコにおいてカードゲームで学べるようなSDGsがあるといいなと思いました。
【小林国際戦略企画官】  大変面白いアイデアだと思いまして、現在のところはそのような教材は作成したことはありませんが、一つの御提案として、大変貴重な御意見だと思っております。
【石井委員】  そのセミナーに参加したときに、隣にいた大学生の方にどうしてこのセミナーに来たのですかと聞いたら、就活で企業に面接を受けたときに、「君はSDGsを知っていますか」って聞かれたそうです。就活生の方は全然知らなかったのでこれはいけないと危惧しSDGsのセミナーに参加したそうです。本当に企業もSDGsを取り組んでいるのだなということがよく分かりました。やはり何かSDGsの目標をぱっと見て勉強していくのも大事なのですけれども、今起きていること、本当に災害とかすごく大変なことになっていますし、みんなで考えていかなきゃいけない問題なのだなということを強く感じるのです。新聞の記事でもよく出ていますし、テレビのコメンテーターの方もSDGsが大事と言っているし、SDGsセミナーは子供たち向けのものなどいろいろ開かれています。本当に社会全体が考えてやっていかなきゃいけないということで、私たちユネスコの会員も遅ればせながら一生懸命勉強していかなきゃいけないなと思っているところです。
 まとめると、やはり学校教育が大事です。ユネスコのこともESDのこともSDGsのことも子供たちにターゲットを当てて、次のユネスコマンユネスキャンを育てていくことも大事なのですが、学校教育でユネスコとかESDとかSDGsを教えていくのが一番効果的だと思っています。今、教えていく青少年に対してもそうなのですけれども、今できることといえば、自分も勉強したいのですけれども、子供たち、青少年にも教えていって、地球の未来、次の世の中、いい持続可能な社会を作るために子供たちや青少年に頑張っていってほしいなということです。私が伝えたいことは、カードゲームでSDGsを学ぶということと、教科書にSDGsとかユネスコもESDも――ESDはもう載っているのですけれども――載せることです。そういうときに例えば現場の先生が教えやすいように、指導の仕方、指導指針というような、どうやったらユネスコを教えられるかというような、何か資料があると現場の方は教えやすいと思っております。以上です。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 学校教育の必要性といったところと、あと分かりやすく伝えるためのツールの開発というところで今御意見いただいたかなと思いますが、続けてありますでしょうか。
 及川委員、お願いします。
【及川委員】  資料3の個別具体的な項目ごとという話ではないですけれども、これを全体的に見て感じたこと、あるいは今までの議論であるとか、協会連盟とそれから倉増さんのプレゼンを含めて感じたことについてちょっとコメントしたいと思います。
 まず、資料3の最初に我が国のユネスコの広報普及の現状と課題とありますけれども、広報普及ですか、私はどちらかというとユネスコ活動の現状と課題という視点なんですが、課題といっても実は大きく分ければ現象的に見えてきている課題と、それから構造的に潜んでいる課題という2つがあるかと思います。現象的なことはここにもいろいろ書いてありますけれども、やっぱりユネスコ活動も含めて特にESD、ユネスコスクールの偏在というのが非常に大きな課題かなと思います。
 それとともに、量と質、ユネスコスクールの数が多ければいいとか少なければいいとかなくて、こういっては何ですが、世界会議に向けて増産したところが結構ありますので、そういうところは今、質が逆に問題になっていると思います。あるいは、全くないところはこれから量をどうするかという部分もあろうかと思います。それが偏在とともにあることです。2つ目には、協会連盟に今日もプレゼンしてもらいましたが、連盟の総会とか理事会に行くといつも言われる活動主体の高齢化という問題です。皆さんうなずいていますが、各地区の協会もそうかと思いますね。つまり、若い世代がなかなか協会に入ってこない。そこでターゲットはどうなのかという話にもつながってくるかと思うんですけれども。。それから、いろいろと協会とか連盟とか、あるいは県連とかは民間の組織でありますし、あるいは、ESDの世界ではASPnet、すなわちユネスコスクールのネットワークとか、UnivNetとかnetと付くものはいっぱいあるんです。ところが、それが形骸化したり、ネットワークを作ることが目的となったりして、それが機能してないんじゃないかというふうな批判なり反省なりもあるということがあるかと思います。
 これらは目に見える部分ですが、実は構造的な見えない部分で、私も常日頃感じていることなんですけれども、例えば民間ユネスコのユネスコ協会がやっている取組があり、それから、学校現場でもユネスコスクールが千何校まで増えて、公教育を中心にやっている。あるいは、社会教育でも公民館なんかを中心にっているところがあり、。それから、ユースはユースでユースフォーラムをやっている。さらに、企業もSDGsをやっているし、NPOも一生懸命頑張っているというふうなことがあるんです。が、これらはすべて同じベクトルで持続可能な社会を作るという、あるいはSDGsの達成を目指すという同じ方向を向いていながら互いに絡んでいない。分断されているといった実態があるわけです。結局、みんなが努力しているものをうまくそれが一つの大きなうねりとならないというふうな状況があろうかと思うんです。それもまた全国組織を作ればいいかと、そういう話ではなくて、もっと実質的な話も含めて、システムと各人のメリットなり思いなり、そういうのも絡めて、利害関係の話だと思うんですが、だからステークホルダーというんでしょうが、現在そういうふうな実態がある。
 じゃあ、それをどうすればいいかということでポイントを考えたときに、私は最近この一、二週間の間の2つの出来事を通じて改めて思ったことなんですが、一つは、先ほど偏在化の部分です。先日、国際統括官付の田村係長さんを講師に岩手県でESD、SDGsの学習会を開催しました。岩手を見ていただくと分かるんですが、ユネスコ協会の数は県だけで20あります。県連の会長さんも非常に誇りを持って、「ユネスコ活動は盛んです。」と言われるんですが、反面、ユネスコスクールは私立の高校が1個しかない。それからESDとかユネスコスクールも全然岩手県では人口に膾炙されていないというか、余り話題にも上らない。一体この現象は何なんだろうかという話です。
 すなわち、それから考えたのは、ユネスコ活動というふうなことでは一生懸命やられて実績もあるんだろうし、歴史も長いんだろう。ところが、どれだけ教育とりわけESDにコミットしているのかということです。ユネスコ活動が教育や学校にコミットしているのかという部分が大きな課題だと考えます。つまり、ユネスコ協会の特に大きな課題は、私はESDを中心とする学校教育というところにどれだけコミットしているかということだと思います。そういうふうに活動をやられている協会さんとか地域もあろうかと思いますし、私も幾つかは知っていますけれども、全体的に見ればそこの部分が弱いゆえに、今言ったようなそういう協会とユネスコスクールの逆転現象が起きているようなところがあろうかと思ったのが一つありました。
 もう一つは、実はESDユース・コンファレンスの主催者と時間を掛けてユースフォーラムについてディスカッションしたんです。参加された方が非常にアクティブで、みんな顔見知りになって一生懸命盛り上がってフォーラムに参加しているというような成果が出されていましたが、反面、参加した人たち、ユースがフォーラムに参加してその後どういう活動をしているのか。どういうふうな役割を地域なり職場なり、それぞれのセクターで果たしているかというと、そこがまだまだだという反省がありました。すなわち、このネットワークがただ単に仲よくなってお互い顔見知りになって、これはユネスコスクールでも同じことが言えるんですけれども、何となく安心しているところがあって、同じ仲間がいた、同じ思いを共有できたというところで終わっている。それは第一段階としてはいいんでしょうけれども、その人たちが、じゃあ地域や職場でどういうミッションを果たしていくかとまだ不十分である。そのミッションベースのところまで話をきちっとやっぱり練り上げていって、活動をそこにつなげていかないといけないということだと思います。
 そうしないと、SDGsであるとかそれぞれの個別の課題、SDGsの中でもまだブレークダウンして、カスタマイズしたものが多分個人個人の意識の中で生まれてくるような形にならないと思うんです。
だから簡単に言えば、2つの問題というのは、1つはESDにどれだけコミットしているか。もう一つはSDGsをどれだけ意識して実際にそそれをミッションとしてやるようになっているかということであろうかと思います。私はこの2つが実は今後のユネスコの取り組むポイントというか重点ではないかと思っていました。
 そのための方策、戦略というのは本当に何なのかなと自分なりに考えてみたのですが、広報をいろいろ行って無関心層を掘り起こすとか、あるいはターゲットを絞って例えばユース重点でやるのかというのは今後皆さんで議論しターゲットを絞るか少し間口広げるかということもあろうかと思うんですけれども、1つやはりもったいないと思うのは、既存の枠組みが結構あるということです。たとえば、皆さんの地域にある地域もあるし、まだ立ち上がってないこともあるかもしれないですけれども、ESDのコンソーシアムというのがあり、、第1次的なコンソーシアムとしてネットワークを作るコンソーシアムと、SDGsのミッションに向けて課題解決していくプロジェクトベースの新コンソーシアムが2つあって、これが合わさって今日の資料で色別のリストになっているわけですね。そういうものにやはり民間ユネスコの方々、特に協会であるとかがどれだけ加わっているのかなと考えたときに、まだまだの部分があるんじゃないかなと思います。それから、文科省と環境省が一緒にESD活動支援センターを作ったのですが、それが全国に、各地方にもあり、それぞれの事業を今展開しようとしている中に、一緒にやれる部分は多々あろうかと思うんです。けれども、これだけすばらしいネットワークを持っているユネスコ協会がそこにまだ参画していない部分も結構あるのではないかと思います。それから、ユネスコスクールのネットワークもしかりです。ASPnetですが、学校だけで閉じてしまっているという部分があろうかと思います。ネットワーク的にマルチセクターでやっているのに、そこの部分がうまくまだパズルというかピースがはまっていないという状況があるのかなと思いますので、そういうことをやっていく必要があると思います。、それから、この縦の世代の連携ですね。小学生、中学生という子供の世代もあれば、今キーとなるユースの世代、それから企業とかの大人の世代、そういうふうな部分のところと、あと横のステークホルダーがセクターを超えてどう連携するのか、地域を超えてどう連携するのかというこの部分がでてくるのかなと思います。このことをきちんと整理していかないと、個々の事象だけに目が行ってしまい、それが全体でどういう構造になっているのかというのが見えずに、項目的とか羅列的になってしまい、その結果結局なかなか効果が上がらないのではないかと思ったりしました。以上です。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 私も民間ユネスコに関わっていて、更にコンソーシアムに関わっていて、あとユース・コンファレンスの仲間ともつながりがあったりとかすると、本当に今及川委員が言ったようにばらばらに個々がそれぞれ活動していて大きなうねりとならないというようなところが課題かなということは感じました。
 先ほど、高尾委員からも一体となって何か見せた方がいいんじゃないかといった御意見があったりしましたけれども、そういう中でユネスコ、今回普及とありますけれども、ユネスコ活動の普及というのは一体何をもって普及したというのかというところがすごく曖昧なのかなということも感じたりもしました。例えば、ユネスコスクールの先生方はとても頑張っていらっしゃって活動されていますけれども、先ほど山田委員がおっしゃっていたように、ESDを学校教育として取り組んでいるという意識はあるけれども、ユネスコ活動という意識がどこまであるのかという課題が上がっていたかなと思うんですよね。なので、私も民間ユネスコの青年と関わって、またユース・コンファレンスの青年と話したりとかすると、例えば民間ユネスコの青年はユネスコ活動をしているという自覚があって、ユネスコ活動をしていますというようなことを話すんですけれども、ユース・コンファレンスの青年たちはESD活動をしていますというような言い方をするというので、ESDをしているということとユネスコというものがなかなか結び付いていないのかなというようなことも何となく感覚として感じるところがあったりもしました。
 ESDというのがいろいろなものをつなぐ1個のキーワードであるがゆえに、いろいろな活動がそこへ広がってしまっていて分かりづらさが見えてしまっているのかなというようなことも感じたりしておりましたが、その辺りでどうでしょうか。先ほど倉増さんからも、どんな状況を作りたいのかというところをまず初めに考えた方がいいんじゃないかというようなこともあったんですけれども、その辺のユネスコ活動の普及ということに関して、続けて御意見があればお願いいたします。
【有里委員】  ちょっといいですか。学校現場の事例についてちょっとお話をしますと、やっぱり基本文書主義なんですね。例えば話を持っていっても文書ありますかとか、文書どこですか、どこから来ましたかということなんですね。ちょっと今日持ってきたんですけれども、ユニセフは四、五年に1回全ての都道府県で研修をしているんですね。そのときの文書が、実はこれは平成25年なんですけれども、先にこういうのが来て、写しで県の方に来て、県のいわゆる主管の方から各学校に行くと。1日の研修でやっているんですね。だから、全ての都道府県が四、五年に1回は全ての教員を対象にした研修があると。あと、数的には多分一番多いのはJRCだと私は思っているんですけれども、そのJRCというのは教育長名で来るんですね。小中高全て、学校挙げてじゃありませんけれども支援してやりなさいよということなんですね。ユニセフとJRCはそんな感じです。
 あと、ユネスコの方で私が利用したのは、実は大分古いんですけれども、平成6年の国内委員会の会長名でユネスコ50周年についてということで、当時の文部大臣に文書が出されて、文部事務次官から各都道府県に来て、その1年後に各都道府県は各学校についてユネスコ50周年やりなさいと。この文書をベースにして、私、高校生の研修セミナーを持っていきました。こういう文書があるじゃないかと。学校現場でこういうことを実は考えているんだと。いわゆるユネスコの宿泊の研修セミナー2泊3日で、今年でもう23年なんですけれども、続きました。
 今思うに、やっぱり職員なり学校現場が動くのは文書かなという感じがするんですね。だから、そういった意味で言いますと、ユネスコに関わる文書というのは学校現場にどれぐらい発信されているのか。それの受け取り方はどうなのかというところですね。そういった観点から見ていきますと、子供たち、生徒たちが周知しているユニセフとかJRCとかそういった分からするとまだまだ厳しいのかなという感じが、今はどうかちょっと分かりませんけれども、そんな感じがしています。1つの事例です。
【安達委員長】  ありがとうございました。
 学校教育のことが中心に今出ているかなと思いますが、ペーパーの方に戻ると、恐らく今は2の(1)のところの戦略的発信の強化という中に4つ丸がありますけれども、2つ目の様々な主体・層にユネスコ活動に共感を持ってもらいながらというところのつながりを分かりやすくするための、発信することが大事であるというところに関連しての意見が中心かなと思いますけれども。続けて何か。
 高尾委員、お願いします。
【高尾委員】  先ほど事務局からお話がありましたけれども、配布された冊子の参考2に書いてあるユネスコ活動に関する法律、これの第4条のところに、市とか県は民間のユネスコ活動に対して助言を与え、及びこれに協力するものとするというふうに入っています。私たちの協会はまだ17年、8年ぐらいしかたってない協会ですが、協会を立ち上げるときに社会教育の立場から立ち上げましたので、何とか市に理解していただきたい、県に理解していただきたいというときに、大変な思いをしました。この法律があるということに気付いて、これを見てもらいました。しかし、市も県もこういうことを知らなかったということでした。でも、それからは市も協力をしていただけました。
 ですので、学校教育等は、国から県に行って市へという流れがあると思いますが、時々このような法律があることを流して頂いたり、何かユネスコのお知らせを全体に知らせる時には、内容が一緒に添付されていくと、より分かりやすいと思います。
【安達委員長】  続けてお願いします。
【今委員】  私自身ちょっとお話を聞いていて頭がまとまっていないんですけれども、事ほどさようにいろいろなことが今混沌としていると思うんですね。例えば、SDGsイコールユネスコではないと思うんですね。まずは国連があって、その下部組織といいますか一つの機関としてユネスコがあって、例えばSDGsにしましても、17のゴールのうちのユネスコは9を進めていくんだというようなこととか、それからESDが国連から発信されて、その推進の担い手がユネスコなんだというこういった歴史的な流れとかいうことも余り一般的には知られていない。もちろん知られていないと思うんですけれども、そういうことで国連があってユネスコがあって、ユネスコはどういう任務を負っている機関なのか。どういった歴史的な流れがあってESDが生まれてユネスコが関わって、またどういう流れがあってSDGsというものが出てきて、その中でユネスコはどうやって関わっているのかという、例えばその流れなどを、できれば学校教育できちっと伝えられるような機会があれば随分状況が変わってくるかなという気持ちがしているんですね。
 といいますのは、私は大垣ユネスコ協会なんですが、幸いなことに年々ちょっとユネスコ活動について話に来てくださいという依頼が増えつつありまして、そうしますと、やはり国連から私、パワーポイントを使いながら話を始めるんですけれども、そうすると、やっと納得してくれたような雰囲気を感じる。あ、ユネスコってそういうことだったのかって。ですから、できれば、先ほど高尾さんの話にありましたけれども、やはり地方公共団体とか、国は学校教育の中でユネスコの活動をサポートしてくれるようなことが規定されているわけですので、私ども民間ユネスコ協会の者が学校の中に入って、ユネスコとはこういうものなんですよというのを話す機会がもっとあればいいなと思いますけれども、その前に、ユネスコに関わる者自体がそういったユネスコのことを本当にちゃんと知っているのかどうかということもこの頃ちょっといろいろなところでお話しする機会があったりすると、えっということがいっぱいあったりしまして。ですから、ちょっとまとまりのない話になっていますけれども、きちっとやはり教育する機会があることが大事だなと。そこの場では、やはりきちっとしたそういった正しい知識をまず知ってもらうことも大事だなと。そういったことを何かシステム化して文科省さんの方で後押しをしてくださるような、そんなことができないかなということを常に私は願っているんですけれども。まずはここまでです。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 前回の普及活動小委員会でも、何か分かりやすく説明するためのそういうツールがあるといいというような話は出ていたかなと思いますし、今日の話の中でも、動画があったらいいんじゃないかとか、カードゲームがあったらいいんじゃないかといったような、説明するための物ですよね――があったらというのは続けていつも出てくるところかなというふうに思いました。SDGs、ESDの違いもそうですし、あとはSDGs、ESDとユネスコがどう関わっているのかというところもそうですし、あとはもうユネスコとユニセフがどう違うのかというところも含めて、すごく見えづらさというところを解消できるようなものですよね。というところがあればというところがいつも出てくるところかなと思います。
 時間がそろそろ来ておりますが、もうお一方ぐらい。
 山田さん、お願いいたします。
【山田委員】  今日の一番の問題は、広報普及ということですので、まず一番は今日のお話を聞いていると、やっぱりターゲットがちょっと違うのかなと感じました。ですから、ターゲット別にどういうふうに今後考えていくかということを話さないと、多分学校教育の場、一般、あとは一般と企業が一緒になるのか分からないですけれども、それが全部一緒になってそこを一つの方向でやろうとするのはちょっと難しいと思いますので、ターゲットを絞って、例えば学校教育の現場ではこう、あとは一般向け、企業向けにはこうという感じで少しそこを整理した方がいいのかなと感じました。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 正に倉増さんがおっしゃってくれた、誰にというところですよね。明確にした方がいいんじゃないかというお話だったかなと思います。
 それでは……。
【及川委員】  じゃ、ちょっと30秒だけ。
【安達委員長】  じゃあ、最後に。ありがとうございます。
【及川委員】  先ほどユネスコの理念とSDGsがどうのこうのといろいろと話が出ていますけれども、先ほどプレゼンでも出してもらったように、ユネスコの共通ワードである平和というのがよく議論に出てきますが、平和は平和と100回唱えても1,000回唱えても平和にはならないわけです。ですから、平和な社会というのは、どういう社会かといえば、簡単に言えば、私はこのSDGsの17の目標が達成された社会というふうに置き換えればいいと思うのです。そして、そのSDGsの17を達成するためには、何が必要かといったら、やっぱりそれを達成すべき人材育成が必要だと思います。それがすなわちESDであり、ユネスコは、教育・科学・文化でそれを達成するというふうなような流れで捉えればいいだけの話であって、だから、ユネスコ活動とESDがイコール、イコールでないとかと余り議論するのではなくて、その一つのストーリーをきちっと見せればいいだけの話だと思うのです。だから、事務局とともに戦略を練っていき、戦略的な広報をしていくということが重要かなと思います。
 さらに、どういう社会を作るかというと、頂点に平和があって、その平和のエレメンツである17の目標がそれぞれの地域、国、世界で達成されて、そこにそれを支える人材が育っていく。それがユネスコの使命であり、その中の教育活動がESDであると捉えればいいのではないかなと思います。
【安達委員長】  じゃ、短くお願いいたします。
【今委員】  全くそのとおりだと思うんですけれども、最後の人材を誰がどのように育成していくか。そこがすごくこれからの鍵になると私は思っています。
【安達委員長】  ありがとうございます。
 まだ意見も尽きないかと思いますけれども、一旦ここで意見交換を終了したいと思います。資料3について、その後追加で御意見がございましたら、来月8月3日をめどに事務局に御提出いただければと思います。委員の皆様からの御意見を事務局にて取りまとめの上、後日お送りいたします。
 そのほかに、報告、審議すべき案件はございますでしょうか。いいでしょうか。
 では、最後に事務局より今後の予定についてお知らせいたします。
 お願いいたします。
【徳留専門官】  本日は、長い間ありがとうございました。今後の予定ですけれども、既に御案内しておりますとおり、平成30年9月21日金曜日15時30分から、第143回日本ユネスコ国内委員会総会を開催いたします。場所は、東海大学校友会館、お隣の霞が関ビルの35階となります。御多忙とは存じますが、御出席のほど、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【安達委員長】  それでは、これで閉会いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきありがとうございました。

―― 了 ――

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