日本ユネスコ国内委員会 第134回教育・第98回普及活動合同小委員会 議事録

1. 日時

平成29年2月13日(月曜日)10時00分~12時00分

2. 場所

中央合同庁舎7号館(金融庁)11階 1114共用会議室

3. 出席者

(委員)
中西正人(普及活動小委員長)、見上一幸(教育小委員長)
阿部宏史、安達仁美、有里泰徳、及川幸彦、岡田元子、翁百合、河内順子、今みどり、高尾初江、寺本充、野村浩子、早川信夫、平松直巳、横山恵里子〔敬称略〕

(説明者)
柴尾智子 ESD活動支援センター次長

(事務局)
森本浩一日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、小林洋介日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4. 議事

【見上教育小委員長】
  おはようございます。まだ若干遅れていらっしゃる方もおられるかと存じますが、始めたいと存じます。
  本日は、御多用のところお集まりいただきまして、本当にありがとうございました。
  事務局から定足数の確認をお願いしたいと思います。

【鈴木国際統括官補佐】
  本日御出席の委員は、教育小委員会の委員の皆様が8名、普及活動小委員会の皆様が、今こちらに9名おいででございます。後ほど今委員もお見えになる御予定でございまして、いずれにしましても、委員過半数ですので、両委員会とも定足数を満たしてございます。

【見上教育小委員長】
  ありがとうございました。それでは、ただいまより第134回教育・第98回の普及活動合同小委員会を開催いたします。本日の議題進行をいたします、教育小委員会委員長の見上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【中西普及活動小委員長】
 皆さん、おはようございます。私、見上委員長の議事進行の補佐をさせていただきます。普及活動小委員会委員長の中西でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【見上教育小委員長】
  ありがとうございます。それでは、まず初めに、事務局に人事異動がございましたので、事務局から御紹介いただければと思います。

【鈴木国際統括官補佐】
 平成28年6月に文部科学省国際統括官日本ユネスコ国内委員会事務総長でありました山脇良雄が退任いたしまして、後任として森本浩一が着任しております。

【森本国際統括官】
 森本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】
 それから、平成29年2月に同じく国際戦略企画官日本ユネスコ国内委員会事務局次長でありました福田和樹が退任し、後任として小林洋介が着任しております。

【小林国際戦略企画官】
 小林でございます。よろしくお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】
 また、平成28年9月に国際統括官補佐であった野田昭彦が退任し、後任として私、鈴木規子が着任しております。よろしくお願いいたします。

【見上教育小委員長】
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 引き続きまして、委員の配属について、御報告申し上げます。配付資料の参考1、参考2を御覧ください。昨年の国内委員会総会におきまして、新たに教育小委員会に及川幸彦委員。

【及川委員】
 よろしくお願いします。

【見上教育小委員長】
 どうぞよろしくお願いします。それから、翁百合委員。

【翁委員】
 よろしくお願いします。

【見上教育小委員長】
 よろしくお願いします。杉村美紀委員。本日、御欠席ということで承っております。 続きまして、野村浩子委員。

【野村委員】
 よろしくお願いします。

【見上教育小委員長】
 よろしくお願いします。それから、平松直巳委員。

【平松委員】
 よろしくお願いいたします。

【見上教育小委員長】
 お願いします。続きまして、日比谷潤子委員。本日は御欠席と承っております。以上の方々が配属されることになりました。どうぞ皆様よろしくお願いいたします。

【中西普及活動小委員長】
 また、同じく昨年の国内委員会総会におきまして、新たに普及活動小委員会に平松直巳委員。本日御欠席でございますが、小林栄三委員、松代隆子委員、山田卓郎委員が配属されております。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。それでは、森本国際統括官から、一言御挨拶を頂戴できれば幸いでございます。

【森本国際統括官】
 どうもありがとうございます。
 先生方には、お忙しいところ、本当にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 今月の24日に日本ユネスコ国内委員会の総会を開催する予定をしておりまして、それに先立ちまして、この教育小委員会と普及活動小委員会の合同小委員会で御議論を頂き、これを総会で御報告させていただきたいと考えております。
 ユネスコの活動は様々な広がりを見せておりますが、これも委員の皆様をはじめ、全国のユネスコスクール、あるいはESDの関係者の皆様、日々の活動のたまものであると感謝申し上げます。
 今、世界の情勢が非常に大きく変化しております。グローバル化の進展ということではございますが、一方で保護主義の台頭であるとか、格差の拡大であるとか、そういった新しい動き、動向から目を離せないという状況になってきております。その中で、ユネスコの果たすべき役割というものが何なのかということを、改めてもう一度原点に立ち戻って考えていくべき時期に来ているかと思います。
 ユネスコ憲章にある、人の心の中に平和のとりでを築く、こういう理念は変わらないと思いますけれども、それをどういうふうに現場の実践につなげていくか。そして、それを世界の平和、あるいは安定につなげていくか。こういうことが問われているのではないかと思っております。
 ESDに関しては、2014年にESDに関するユネスコ世界会議を開催し、10年間のレビューをいたしまして、一応の区切りを迎えました。その後、ESDに関するグローバル・アクション・プログラムというものに引き継がれているわけでございますが、一方で、国連の方では、SDGs、持続可能な開発目標を新たに策定したということが、15年の9月にございました。これにどういうふうにESDが貢献していくかということで、その中の一つのゴールということではなく、全体の人材育成も視野に入れながら、発展、進化させていくという時期に来ているかと思います。
 そういう意味で、この小委員会で御議論いただきまして、闊達な御議論を頂いて、これを今後の活動の展開に反映させていければと考えておりますので、どうぞ忌憚のない御意見を頂ければ幸いでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【見上教育小委員長】
 統括官、ありがとうございました。では、引き続きまして、本日の会議の配付資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】
 本日の会議資料につきましては、お手元の議事次第のところにございます一覧に沿って用意してございます。その都度、一つ一つ確認はいたしませんが、万が一何か落丁等がございました場合はお申し付けください。すぐにお持ちいたします。以上です。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。それでは、議題1の「ESDの推進について」に移りたいと思います。まず、平成28年度文部科学省ESD関係事業の実施状況及び平成29年度の関係予算につきまして、事務局から報告をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】
 それでは、御報告させていただきます。資料1-1の束を御覧ください。ESDについては、国際的には国連ESDの10年に続き、ただ今は5か年のESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)が推進されているところでございます。国内的には、昨年度末に国内実施計画が策定され、引き続き取組を推進しているところでございます。
 今年度の文部科学省におけるESD関連事業の実施状況について、御報告をさせていただきます。資料1-1の1枚目にございますとおり、まず、ユネスコスクールの関連でございます。ユネスコスクール全国大会を実施いたしました。これは、ESDに関しましては、ESD研究大会という位置付けで実施をしております。本年度、金沢で実施をいたしまして、ユネスコスクール関係者のほか、企業等の参加も得ました。全体会、分科会、ポスターセッション等で構成されております。今年は、中国、韓国のユネスコスクールからも参加を得まして、ESDに関するユネスコ世界会議が開催された平成26年度を除くと、これまでで最大の650名近い参加者を得て実施しております。
 それから、2番目のポツにございます、ESD重点形成校の事業につきましては、新たに取り組んだものでございまして、ESDを実践するモデルとなるような取組を今年度より3か年で実施していただくための支援を実施する事業で、24校の重点校を採択いたしました。このうち10校はユネスコが実施する気候変動の国際プロジェクトにも参加するなど、国際的な広がりにも挑戦いただくような事業としております。
 また、ESDの推進の手引を昨年度作成いたしまして、こちらでも御報告しておりますが、今年度は、この手引を活用した研修会を全国の5か所で指導主事等を対象に実施いたしました。手引に関しましては、若干の微修正を加えまして増刷いたしましたものを、本日、資料として配付してございます。
 学校教育の関係は以上でございますが、ユースの取組について御説明申し上げます。
 第3回のESD日本ユース・コンファレンスを10月に岡山市で実施いたしました。こちらには、公募を経て選抜されました45名のユースが参加されました。また、このユース・コンファレンスのフォローアップといたしまして、1月に振り返りの会合なども実施しております。ユースの取組は、先輩が後輩を育てるようなことで、縦のつながりが生まれることなどといった特徴を持って進んでおります。また、昨今はユースの卒業生の中から教職に就くOBが出てきて、学校現場での実践に取り組み始めるなど、いろいろな循環のようなものがユースの取組を通じて生まれているのが、見えてきています。
 事業の説明でございますが、グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業。こちらは、教育委員会、大学、ユネスコスクールを中心に、多様なESDのステークホルダーの連携により、地域を巻き込んだ取組を実践するESDコンソーシアムを補助するものでございます。今年度は13のコンソーシアムが全国で活動していただいておりました。こちらは、補助期間を最大3年として、平成26年度から開始してございます。13拠点につきましては、別紙で御紹介をしております。
 以上が予算の事業でございますが、そのほかにユネスコへの信託基金の拠出、また、関係するユネスコでの会議への出席等を通じまして、文部科学省ではESDの事業を推進しているところでございます。
 最後にもう一点、資料1-1の束の後ろから2枚目に詳しい紹介をしておりますところを御覧ください。ユネスコ本部の方に我が国からの財政支援によりまして、ユネスコ/日本ESD賞という国際的な賞をセットしておりました。今年はESDにとりまして大変いいニュースがございまして、この賞を岡山市がホールシティアプローチの実践を高く評価されて受賞されたところでございます。
 今年で2年目のESD賞ですが、本年は歴代の受賞者が一堂に会しまして、グッドプラクティスの共有、受賞者間の連携の促進、更に、この賞の知名度向上を図るフォローアップのイベントをドナーである我が国で開催いたしました。フォローアップイベントでは、岡山市において国際フォーラムを開催いただき、広く一般の皆様にも受賞プロジェクトの概要、同時に受賞プロジェクトで取られている手法のようなもの、ユースの取組などを広める機会といたしましたほか、来日いただいた受賞者には、同時期に日本ユネスコ国内委員会で招聘をいたしましたアジア太平洋地域5か国のユネスコ国内委員会の関係者とも交流を頂きつつ、日本のユネスコスクールやACCU、五井平和財団といった関連の機関を訪問し、意見交換を行ったところでございます。
 単にこの賞を表彰するということだけで終わるのではなく、このようなフォローアップを通じて、賞の本来の目的であります実践者の動機付け、そしてすぐれた取組の世界的な共有というものを図ったところです。これらの取組を通じまして、ユネスコにはいろいろな多くの賞がございますが、このユネスコ/日本ESD賞につきましては、大変良い賞であるという御評価も頂いていると聞いております。以上が28年度の主な活動でございます。
 続きまして、この資料の最後のページに付いておりますが、29年度の文部科学省のESD関連予算についても、併せて御説明いたします。29年度予算につきましては、一番上のポツにあります、日本/ユネスコパートナーシップ事業、こちらではESDに関連しましては、ユネスコスクールの支援事業やユースフォーラムの開催等、また、学校におけるESDの取組を更に効果的に推進するための事業が入っております。こちら、一部、直接ESDに関連しないものもありますので、額のところは内数とさせていただいております。 2番目のポツ、グローバル人材の育成に向けたESDの推進は、地域のコンソーシアムを支援する事業でございます。継続するコンソーシアムを支援する予算をここに計上しております。
 そのほかに、ユネスコ本部に拠出するESDに関するグローバル・アクション・プログラム信託基金を予算計上してございます。29年度については、以上でございます。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございます。ただいま事務局の方から平成28年度のESD関係事業と、それから29年度の関係予算について御説明いただきました。続きまして、本年3月にカナダ・オタワで開催されますGAPレビューフォーラムについて、事務局から御報告いただければと思います。

【鈴木国際統括官補佐】
 引き続いて御説明させていただきます。資料1-2を御覧いただければと思います。
 御紹介ありましたように、2017年がGAPの中間年であることから、ワールドレビューフォーラムとして開催の予定がございます。資料1-2のとおりでございますが、一番上にありますとおり、UNESCO Week for Peace and Sustainable Developmentという、1週間のウィークの一部としてESDのレビューフォーラムが開催されます。
 1日目、2日目でESDのレビューフォーラム、4日目と5日目でGlobal Citizenship Educationに関するフォーラム、3日目を合同の会議という形でこのウィークは構成されております。
 目的といたしましては、実践者の方のグッドプラクティスや経験の共有、そして実践者の方のネットワーキングが中心とされております。また、特にESDに関しましては、グローバル・アクション・プログラムの振り返りというのが目的の一つでございまして、中間レポートが公表される予定と聞いております。
 こちらの資料の「フォーラムの具体的内容」というところにございますとおり、全体会合、分科会、展示形式のエキシビションというものが予定されております。我が国といたしましては、全体会の中で国連10年の提案国として特別に枠を頂いて、御挨拶をさせていただくほか、分科会の一つでESDに関する政策的支援という分科会を主催いたします。また、展示エキシビションにおいて、ほかのGAPキーパートナーである日本の団体の皆さんと御一緒に、日本におけるESDを広く紹介する展示を行う予定でございます。
 この会議は、インビテーションオンリーとされておりまして、加盟国に招待が来るのではなく、GAPキーパートナーになっている団体に限定的に招待が掛かっております。ただ、有識者として本日も御出席いただいております及川委員は招待されておられまして、及川委員、そして文部科学省・日本ユネスコ国内委員会、また我が国のGAPキーパートナーとなっている団体の皆様とともに出席いたしまして、日本の実践について、しっかりと御紹介をするとともに、ネットワーキング、交流を深めてまいりたいと考えております。以上です。

【見上教育小委員長】  
 ありがとうございました。質問等がおありになるかと思いますが、後ほど時間を作らせていただきます。
 続いて、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)における持続可能な社会づくりに関する記載について、事務局から御報告をお願いいたします。

【小林国際戦略企画官】
 資料1-3を御覧いただければと思います。学習指導要領の改訂を控えまして、ESDに関する記載につきましても、関係者の皆様からの関心が高まっている中、現時点の状況について御紹介させていただきます。
 中央教育審議会の答申についてでございますが、中央教育審議会においては、平成26年11月に文部科学大臣から初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について諮問が行われたことを受けて議論を重ね、平成27年8月に教育課程企画特別部会においてまとめられて論点整理、それから、平成28年8月に教育課程部会において取りまとめられた次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめを経て、関係団体からのヒアリングや、広く国民の皆様からの意見募集の結果も踏まえまして、昨年12月に「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」という答申を取りまとめいたしました。
 本答申の中で、持続可能な社会づくりについての記載を抜粋したものが、資料1-3でございます。本資料のとおり、学習指導要領改訂の基本的な方向性について述べている部分で、ESDも含め、持続可能な社会づくりについての記載が各所で見られております。例えば、ページ番号を付けておらず恐縮ですが、2枚目におきまして、ESDが目指すものが、教科等を越えた教育課程全体の取組を通じて実践していくという記載などは、ESDの持つ教科横断的な特性を表しているものと考えることができます。
 また、各教科等における改訂の具体的な方向性に関する部分でも、社会、地理、歴史、公民や家庭、技術課程等において、持続可能な社会の構築についての記載があるとともに、総合的な学習の時間においては、ESDが次期学習指導要領改訂の全体的において基盤となる理念であるとした上で、そこで求められている資質・能力は、総合的な学習の時間で探求的に学習する中で、より確かな力としていくことが考えられると記載されております。
 今後の予定でございますけれども、本答申を受けまして、現在、平成28年度内の学習指導要領改訂に関する告示の発出に向けまして、文部科学省内で様々な意見を頂戴しつつ、担当部署において検討が行われているところでございます。以上、御報告を終わらせていただきます。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。これは皆様方、特に学校関係者の方々は非常に関心の高いところかと存じます。ただいまの一連の報告を受けまして、自由に意見交換を行いたいと思います。何か御意見、御質問ございませんでしょうか。中西先生いかがでしょうか。

【中西普及活動小委員長】
 普及活動小委員会の皆さん、特に民間ユネスコで御活躍の皆さんについても、是非積極的な御意見を賜れればと思っていますので、よろしくお願いします。

【見上教育小委員長】
 では、どうぞ、岡田委員。

【岡田委員】
 先月の御報告にもありました、岡山のESD賞に関連したフォローアップで、受賞記念会があったんですが、私は山口県で近かったのでお邪魔して見させていただきました。とてもすばらしかったです。
 私たちの民間ユネスコの参加者が本当に少なくて申し訳ないなと思ったんですが、それはひっくり返すと、民間ユネスコの方がそういった学校やコンソーシアムの動きに付いていけないというのが如実に現れているんだなというのを感じたところです。それは反省点でもありましたが、これが第1回だったので、次年度についても是非やっていただいて、ESDのことについて広く知っていただく。初めて聞くには少し難しいかなとは思うんですが、是非そういうことを続けていっていただけたらなと思います。次年度も是非お願いしたいなと思っております。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございます。日本で生まれた民間ユネスコ運動も、今年70周年ということですし、これを機会に、またESDが発展するといいと思いますので、御意見ありがとうございました。
 今、初めの方から出ておりますが、1-1あたりから順次御意見を頂きたいと思いますけれども、ほかに御意見はございませんでしょうか。あと続いて、それ以降のところでも構いません。オタワの会議ぐらいまでのところで、何か御質問、御意見ございませんでしょうか。どうぞ。

【野村委員】
 新任なので、少し的外れなこともあるかもしれませんが、思ったことを述べさせていただきます。
 二つありまして、一つはこのESDの活動はすばらしいものなので、教育のノウハウの共有というものが、こちらの手引でなされていると伺っています。もう既にやられているかもしれないんですが、eラーニングのような形で、ネット上で教育ノウハウを全国の先生方なり、教育関係の方なりが共有できるようなものがあると、より広まるのかなと思いました。
 それは2段階ぐらい設けてもいいのかなと思いまして、一つは参加校以外で誰でも見られるような簡易バージョンを作っておくと、こういう関連の教育、今はアクティブラーニング流行りですけれども、どうやったらいいのかと、現場の教員はその手法に悩んでおります。この審議会の答申にもありますようなものを実践するのはどうしたらいいのかというのが分からないところなので、そのような手法が分かるものがあるといいなと思いました。
 2段階目として、もう既に参加校に決まっているようなところは、ファシリテーター育成みたいな形で、もう少しハードなeラーニングを行ってもいいのかなと思いました。そういうふうにして裾野を広げていくと、うちも参加したいと手を挙げるようなところも広がるのではないかなと思いました。
 それから2点目で、これは普及に関することなんですが、新任委員で本当に恥ずかしながらですが、私はこういうすばらしい活動があることを余り存じ上げなくて、どうして今まで知らなかったんだろうと思っていたんです。もう少し認知度アップと、意義の普及が進むといいなと思っておりまして、もう少し予算があれば、例えば新聞とかでそういう活動を1面、2面でこんなことをやっていますみたいなものを出す方法もあるんですけれども、予算案を見るとそれほどの予算はないようです。例えば、ホームページやSNSなどをうまく使って、今非常に動画流行りですので、活動の一部のいいところを動画で切り取って、親しみやすくいろいろな人が見られるように、折に触れてどんどんアップしていくという方法もあるかなと思いました。もっとほかにもいい方法があると思うんですが、済みません、今考え付いた限りではその点です。以上です。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございます。大切な御意見だと思います。事務局の方にお伺いしますけれども、今、この本体はウェブ上に載っているんですよね。

【鈴木国際統括官補佐】
 はい。本体として掲載はいたしております。

【見上教育小委員長】
 ただ、eラーニングという形では、まだ開発できていないというところはありますね。

【鈴木国際統括官補佐】
 そうですね。はい。

【見上教育小委員長】
 検討する余地があるかと思います。ほかにございますでしょうか。はい、どうぞ。今委員、お願いします。

【今委員】
 今、このような質問をさせていただいていいのかどうか、少しためらいながら質問させていただくんですが、先ほど、岡田委員から民間ユネスコがコンソーシアムやESD賞といった大きな動きに対して追い付いていないということをおっしゃったんです。実は、追い付いていないのも恐らく確かでしょうけれども、そういう情報が回っていないような気がするんですね。
 そして、先ほどの説明を聞かせていただいても、例えばESD賞にしましても、いろいろ大きなイベントにしましても、受賞者間の情報の共有とか、受賞者間でのレベルアップとか、そういう言葉が耳に響いてきました。そこですばらしい実践が行われている。それを、今度は本当に実際のESDの底辺の部分で活動されなければいけない、いわゆる学校教育の現場にどれだけその情報が伝わっているかという点が掴めないところです。
 ただ、情報を回したからといって、少し語弊があるかもしれませんけれども、学校の校長先生が握り潰してしまえば、実際の現場で働いている教員の方たちにまで行き届かないでしょうし、その辺の体制がどのようになっているかなということを少し思いましたので、質問させていただきます。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。そのあたりは、事務局から。

【鈴木国際統括官補佐】
 今の今委員からの御指摘でございますけれども、確かに岡山のものに関しましては、受賞者を一つに集めるというところに一つ目の目的がございました。全世界で活動している受賞者たちなので、一つのところに集まって意見交換をしていただくということも大事な目的として、特にユネスコがそこを非常に重要視しておりました。
 ただ、同時に彼らに日本の取組を見てもらう、日本のESD活動の実践者たちと交流してもらうというところはとても大事に思っておりまして、それも岡山のフォーラム、また岡山市でのユネスコスクール訪問、東京での訪問などを通じて、今回のフォローアップウィークの中では実践してきたところでした。

【見上教育小委員長】
 この小委員会でも、ユネスコスクールの間で、もともとは”ASPnet”という国際間のネットワークだということで、日本のユネスコスクールの数が増えてきたんだけれども、なかなか国際間の学校のコミュニケーションまでいかないということが度々話題にはなってきました。こういったユネスコ/日本ESD賞を受けられた団体同士でも情報交換がその後も続くといいかなと思いますね。ありがとうございます。他にございますでしょうか。どうぞ。

【高尾委員】
 高尾と申します。よろしくお願いいたします。
 この間、県の生涯教育課の方や栃木県ユネスコ連絡協議会の方々とお話をする機会がありました。その中で、ユネスコという表記を教科書などに、沢山入れて欲しいというお話がありました。
 ユネスコESDの手引き書が発行されました。大勢の先生達に活用して欲しいと思います。
 そのためも、国から県へ、市へ、町へ、そして一般へというルートが有ると、よりユネスコの実践の道筋を付けることが出来るのではないでしょうか。
 学校全体に普及させるには、先生に広く知って頂く事が近道ではないでしょうか。学校教育と社会教育の民間ユネスコも活動が活発になると思います。

【見上教育小委員長】
 御意見ありがとうございます。ただいまの御意見は、学校現場のところ、教育委員会ともつながりますので、最後の資料1-3の新学習指導要領改訂に向けての中教審答申とも関わってくるかと思います。そのあたりも含めて。はい、及川委員、どうぞ。

【及川委員】
 今の1-3のところで御発言をさせていただきたいなと思うんです。今、委員長がおっしゃるように、次期学習指導要領とESDが非常に大きな注目を集めておりまして、特に学校現場、教育委員会、公教育の部分では非常に注視しているところです。非常に関心が高いです。私も全国を回っているときに、これについて話をして欲しいという要望も結構来ております。
 そういう意味で、先ほど企画官が御説明した資料1-3というのは、非常にいい資料だなと。こういうふうに答申とESDの関連を非常に分かりやすく、簡潔にまとめていらっしゃるということで、是非教育小委員の皆さんも、それから普及活動小委員会の皆さんも、これを使ってESDの普及推進、それからESDと言わず、教育の質の向上に使えると思っておりますので、そういう認識で我々はいるべきだなと思っていました。
 それで、三つのお願いがあるんです。一つは、正に答申との関連はここで明確に示されているんですが、今、学習指導要領の改訂に向けて、多分省庁内で最後の議論がなされているところだと思います。多分3月あたりに告示の予定なんでしょうか。それに向けて、まずはESDというものが期待されていますので、学習指導要領の告示の際に、ESDというものがかなりクローズアップされた形、あるいはプレゼンスが高まった形で出るように、お願いしたいなというのが一つあるかと思います。
 それから、二つ目なんですけれども、その告示が出た際にも、このような形で、実際来年以降、移行措置に入っていくわけですから、同じように学習指導要領をESDで見てみるとどうなるのかという形の資料を統括官付中心にまとめていただくと、これは学校現場に非常に大きな説得力になりますし、今取り組んでいる方たちは、非常に大きな勇気と自信を持ちますので、そういう形で答申のみならず、本則の指導要領が出た段階でも、同じ形で資料をまとめていただくと、我々も読み解きますけれども、やはり事務局としてその辺の共通の資料を頂くと大変有り難いなと思います。
 更に、三つ目としては、今、手引の話が出ています。この手引も、一応、去年作成しましたが、これは改訂しながら今後取り組んでいくということで、国内委員会でも、あるいは省庁関係の円卓会議でも御説明がありました。それに即しますと、当然、新学習指導要領が出た際には、その学習指導要領の内容も盛り込んだ形、今私が言った、新学習指導要領でESDがどういう取扱い、どういう視点として生かされているのかというところも、この手引の中に入れていただきながら改訂していただく。そうすることによって、この手引の質が更に高まりますし、実践者には非常に使い勝手があって、説得力があるものになると思います。
 その3点ですね。今のことと、間もなく出る学習指導要領のポストと、それから手引という3点について、どうぞよろしくお願いできればと思います。以上です。

【見上教育小委員長】
 御意見ありがとうございました。今の御意見も皆さんで議論を詰めながら、今後、発展できればと思います。他にございますでしょうか。はい、どうぞ。

【横山委員】
 横山と申します。私、新潟の民間ユネスコ運動で、私どもの活動の中に、小学校へのユネスコ活動の紹介事業というものがございます。その中で、この秋、ユネスコスクール1校と、ユネスコスクールではない、どちらも小学校なんですが、計6校、校長先生とお会いして、民間ながらいろいろ意見交換をさせていただきました。
 その中で、こちらのいろいろな資料をお持ちしたいなと思いまして、この「ESD推進の手引」というものをお持ちしてお話ししたところ、9割方の校長先生がほおー、見せて、見せてみたいな感じで、もしかしたら新潟の恥を言っているのかもしれませんが、現場の校長先生方は、これがお手元に行っていないのかなという、とても素朴な疑問を持ちました。どういう配布の仕方をされているのか、一度伺ってみたいなと思っておりました。
 御覧になった先生方は、すごく参考になるという、本当にそうだよねという御意見が出ておりました。回りました学校どの学校も、ESDにとても積極的な学校にターゲットを置いて回らせていただいたんですが、こういったものがあればもっと活用していただけるのではないかと、私ながら思ったもので、配布方法なども伺いながらと思って、今手を挙げさせていただきました。

【見上教育小委員長】
 では、事務局から配布状況について。

【鈴木国際統括官補佐】
 作りました昨年度には、各都道府県教委にのみ配布いたしました。その配布の際に、ウェブには載せているものですから、ここからダウンロードはできますよということも含めて、これを活用してくださいという通知を一緒に流させていただいております。
 加えて、ユネスコスクールには、全校に送らせていただいております。

【横山委員】
 ありがとうございます。

【見上教育小委員長】
 確かにここに執筆の方々、及川先生もそうですけれども、御苦労していただいて、非常にいいものができました。これをバージョンアップしていくんだと思います。身内のことで大変恐縮なんですが、宮城教育大学附属小学校は現在ユネスコスクールなんですが、附属中学校は当初、余り関心がなかったんですが、この手引きを見て、うちもやりたいと言い出しました。ですから、この冊子というのは、どうしようかなと考えているところにとってみると効果的だと思いますので、なるべくサーキュレーションがいいような形で、ネット関係でもどんどん広めるような形でやれたらいいと思います。

【中西普及活動小委員長】
 ちょっとよろしいですか。

【見上教育小委員長】
 はい、お願いいたします。

【中西普及活動小委員長】
 今の手引なんですけれども、高尾さんもおっしゃるように、すごく良い物を作っていただいたということと同時に、民間ユネスコの方が集まって少しお話をしたときには、もっと民間ユネスコのこともという声もありました。冒頭、鈴木補佐が、昨年も改善されたとおっしゃいましたよね。だから、いろいろな事例なんかをくみ上げて、年々更新していく仕組みといいますか、そこのシステムをどうお考えなのか教えていただければ。

【鈴木国際統括官補佐】
 システマティックに改善をする仕組みというものはないのでございますけれども、今回、増刷をする際に、特に日本ユネスコ協会連盟さんがされているESDパスポートの件ですとか、そういった情報を少し盛り込む形で微修正をさせていただいたところでございます。こういった微修正レベルのことは、増刷の際にどんどん手軽にやっていきたいと考えております。
 ただ、及川先生から御提案いただきましたようなしっかりした改善は、きちんと有識者の皆様の御意見も聞きながら盛り込んでいくべきだと考えております。

【見上教育小委員長】
 はい、どうぞ。

【河内委員】
 すみません。すごく素朴な質問で、四国の河内です。
 学習指導要領でESDが推進されていくというのは、読んでよく分かりますが、これとユネスコスクールというのは、推進されていた形がユネスコスクールなのでしょうか。それとはまた別に学校内でESD推進をしていって、別にユネスコスクールにならなくても進んでいくようにという指導要領なのでしょうか。

【見上教育小委員長】
 これは私の理解かもしれませんが、当初、ESDを広めるについて、ESDの考え方がユネスコスクールの理念と一致するということで、ユネスコスクールを活用するという形で進んできたと思います。ESDが広まる中で、ESDをやるのに必ずしもユネスコスクールにならなくてもいいのではないかという意見も出てきました。今はユネスコスクールが進んだESDの取組をする中で、ESDは必ずしもユネスコスクールに限らず、ESDを広めていこうという形になっていると思います。
 それで、中央教育審議会に私も少し関わらせていただいて、いろいろな委員の御意見では、これまでESDの成果が出ているなと感じました。それは、ユネスコ関係でお名前を存じ上げていなかった教育委員会関係者、あるいは校長先生から、ユネスコスクールという名称、特にESDがこれから大事なのではないか、教科ではもちろん大事だけれども、特に総合学習の中で、地域の課題を拾って、その学校で取り組むという観点からすると、持続可能な社会の形成というのは非常に大事であり、ESDは大事な考え方ですというのが、何人かの委員の方々からご意見を伺いました。
 ですから、今後、学習指導要領の中に、それがうまく取り込まれるといいなと期待しているところです。はい、及川さん。

【及川委員】
 いいですか。すみません、何回も。今のお話なんですけれども、見上委員長のとおりだと思うんです。プラス、ESDは何もユネスコスクールだけで取り組むものではないというのは、全国の共通認識であるということが、まず1点あるかと思うんですね。ですから、学習指導要領の中にもESDということが盛り込まれつつありますし、それから、昨年8月の中教審の中間まとめの素案の中では、ESDの理念も踏まえて、今度出される三つの柱、資質・能力の育成の柱ができるんだという記述もある。つまり、今の教育改革といいますか、学習指導要領の改訂の俯瞰する大きな理念としてESDが入ってきているということを考えれば、ユネスコスクールだけのESDなんてあり得ないわけです。ユネスコスクールは推進拠点でモデル校ですけれども、そういう形があるということが一つあって、公教育全体で行うという形が一つあるのかなと思います。
 プラス、私が言いたいのは、公教育だけではなくて、実は昨年末にESDの国内実施計画、ESDに関するグローバル・アクション・プログラムの円卓会議があり、我々も円卓会議の委員で議論して、それが出された訳です。それは、もちろん公教育全体と言っていますけれども、プラス社会教育を含めた様々な教育機関、あるいは企業、あるいはユースといったESDに関するグローバル・アクション・プログラムの5つのプライオリティにのっとって国全体でESDを進めようという話で書かれているわけですよね。そういう広い知見というか、広い視野でこれを捉えていくことが、この教育小委員会、あるいは普及活動小委員会の部分で非常に大事なことであろうと思うんですね。
 そうしたときに、地域のユネスコ協会はどういう活動、どういう支援をすべきかということを考えていくことが大事なのかなと思ったりしました。補足で申し上げました。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。河内委員、いかがですか。

【河内委員】
 でも、教育委員会に伺ったときは、ユネスコスクールにならないと、こういうことをやっても余り意味ないようなことを言われるものですから、教育委員会がこれをどう捉えていくのかな、という素朴な疑問を投げ掛けました。

【見上教育小委員長】
 引き続き、皆さんで力を合わせて努力したいと思います。どうぞ、安達委員、お願いします。

【安達委員】
 お願いします。ユースの関連で、3点お話ししたいことがあるんです。
 まず1点目が、先ほど御報告にあった、ユース・コンファレンスなんです。第3回が行われたということで、今回、私は参加できなかったんですが、1月末に行われたプラットフォーム会合には、ユーストリームとネット配信がされていて、それとツイッターで配信されていたので、それを見ながら様子を伺っていました。あとは、私の身近なメンバーが参加者として参加していたので、彼らに感想を聞いたりしたんですけれども、先ほど報告にあったように、本当に縦のつながりと横のつながりができてきて、モチベーションをすごく高めて帰ってきたということがありました。このような取組が、どう持続的に続けていけるのか。また、このような形をこのままでいいのか、変えていくのかということについて、これから話していくことが必要なんだろうなということを感じました。
 2点目なんですけれども、ユースということで、民間のユースの話をしたいなと思います。民間の方でもいろいろな取組がされています。今回、資料がなかったので、民間のこともここで話さなければな、と思ったんですが、例えば、青年全国大会といった形で、各地のユネスコ協会で活動している青年が集まって、1月7、8、9と2泊3日で宿泊を伴う研修をしました。そこでは、まずユネスコ憲章から読んでいこうということで、そこから話して、では何ができるのかということを決めていくといった取組をしています。そこでも、ユース・コンファレンスと同じような効果というか、お互いにモチベーションを高め合えるような場がありました。
 それ以外にも、私は今月の初めに北海道に行ったんですけれども、北海道では北海道高等学校ユネスコ研究会という形で、高等学校のユネスコ部とか、ユネスコに関連するようなボランティア部のみんなが集まってきて、高校生同士で学び合うといった大会も、もう第44回になるとおっしゃっていたので、かなり長いこと続けられています。
 普及活動小委員会ということで、普及とは何の普及なのかということをいろいろ感じてしまったんです。ESDの普及なのか。でも、ESDというのは、ユネスコの理念の一つだと思いますので、ユネスコの理念の普及かなと思ったときに、やはり文部科学省がやってきている取組の報告が今回はメーンだったかなと思うんですが、そういう民間レベルでの取組についても、実際に普及の輪が広がってきているかなと思うので、そういう情報も出てくるといいなということを思いました。私自身が民間にも所属している人間として、そういうものを出していかなければいけないなということを感じたまでです。なので、これからは、そういう民間のユースの動きにも、その情報が出てくるといいかなと感じました。 以上です。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございます。この教育小委員会でも、もっとユースのコミットメントを活発にするといいという話も出てまいりました。中西委員の普及の方からはよろしいですか。

【中西普及活動小委員長】
 今、教育委員会がという御発言もございましたけれども、普及活動小委員会に愛知の平松委員にお入りいただいたんです。教育委員会サイドのお立場から、御発言はございませんか。

【平松委員】
 私ども愛知県では、先ほど冒頭に統括官から御紹介いただいた2014年にESDに関するユネスコ世界会議が開催されました。それ以前に、愛・地球博を開催するなど、環境問題に非常に関心もあり、このESDについては、県内小・中・高、非常に関心を持って取り組んでいただいており、ユネスコスクールも全国で最も多い160校が加盟しています。
 また、先ほど、及川先生からお話があったように、新しい学習指導要領に向けて、大きなテーマというか、新しい学習指導要領の理念を一つ体現したようなものがESDだと思うんですね。ですから、これを契機に、ユネスコスクールに限らず、全ての学校において、こういった取組をやっていただきたいと思います。
 ESDというのは、非常に分かりにくいんですけれども、要は地球的な課題を足元からしっかり考えていこうということですので、その辺をしっかり理解していく上で、この手引は非常に有用だと思います。せっかく学習指導要領が改訂されて大きなテーマになっているので、先ほど、及川先生に御提案いただいたように、ここに学習指導要領のこともよく書き込んでいただくと良いのではないかと考えます。
 新しい学習指導要領は非常に抜本的で大きな改革なものですから、どう具体的に取り組めばいいか、学校現場はどうしたらいいのかというところで、一つ具体的な切り口としてESDは非常に有用であり、新しい学習指導要領の趣旨に沿った大きなテーマ、切り口です。この機会にユネスコスクールに限らず、各学校において取り組んでいただきたいところです。
 本県でユネスコスクールは160校ありますが、地域的には偏在しているんですね。名古屋市とか、豊橋市とか、岡崎市という大きな市で、非常に問題意識が高いところが先行してやっていただいているんです。私は、それはそれでいいんですけれども、更にもっと広げなければいけないということも愛知県のテーマですし、量的拡大も重要ですけれども、質の向上も非常に大きなテーマです。
 県教育委員会としても、交流会を開催したりなどの支援をしておりますけれども、文部科学省におかれても、是非やっていただきたいということです。最初にユネスコスクールの加盟申請をしたときは、当時の管理職以下教職員は非常に意識が高かったけれども、残念ながら人事異動がありますから、そういう意識も変わってきます。学校での取組をしっかり進めていく上で、特に学校の管理職の意識が極めて重要ですので、そういった意味で文部科学省にも是非、研修会などをやっていただきたい。
 ちょうど今、ESDの理念を広める本当にいいチャンスですので、私ども県教育委員会としましても、市町村教育委員会と連携してやろうと思っていますし、是非ESDを全国的に広めていけるように、我々も情報発信をさせていただきたいと思っています。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。どうぞ、阿部委員、お願いします。

【阿部委員】
 岡山大学から来ております、阿部と申します。まず、1月にユネスコ/日本ESD賞のイベントを岡山で開催いたしました。私は岡山ESD推進協議会の会長も務めております関係で、皆様方に御協力を頂いて、非常に充実した会合になりましたことを感謝申し上げたいと思います。
 質問も兼ねて申し上げたいのですけれども、1点目は、先ほど来、御意見も出ていますが、ESDの10年を経て、全国的にいろいろなESD関係の行事、例えばユネスコスクール全国大会、あるいは随分以前から続いております民間ユネスコ活動の全国大会、ユース・コンファレンスなどの様々な行事が充実した形でなされるようになってきているように思います。私も幾つかに関係させていただいており、それぞれが充実しているのですが、全体として見た場合に、いろいろな成果が共有されていないような気がいたします。日本ユネスコ国内委員会の場に行きますと、それらが集まった形で情報提供されますが、地域の方の御意見等を伺いますと、自分たちが関係している行事以外のことについては、十分な情報がないということです。そのあたりの情報共有のことを、これから考えていただければいいのかなという気がいたします。
 もう一つ、国際的な動向で気になるのですが、ESDの10年の後のGAPプログラムの動きがこの中にも書かれています、ESDに加えてGlobal Citizenship Educationのプログラムがある。それから、MDGsがSustainable Development Goals、SDGsという形で拡張されていますが、そのような国際的な動きの中で、ESDがどういうふうに位置付けられて、今後どういう展開になっていくのかが、少し見えにくい感じがあります。ESDに取り組んできた者としては、そういった国際的な動きの中でのESDの位置付けが少し気になります。もし文部科学省の方で、そのあたりの動きについてお考えなり、情報がありましたら、是非お聞かせいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【見上教育小委員長】
 もしそういう情報がございましたら。

【鈴木国際統括官補佐】
 実は、今回カナダの会議で、そこら辺をしっかりと見極めてまいりたいというのが、まず一つにはございます。
 また、御指摘の中で1点、SDGsのところもございました。SDGsに関しましては、教育の目標の中の一つに、ESDは推進すべきこととして位置付けられているところが一つにはございます。ただ、ESDの活動というのは、SDGsの目標全ての達成に寄与するものでもあるということを、我々はいろいろなところで御紹介させていただいていることを一つ御紹介させていただきたいと思います。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございます。はい、どうぞ。

【河内委員】
 まだ資料2の御説明を頂いてないのですが、これだけESDを推進していくということであれば、ユネスコスクールが逆にパリの方で登録がどんどん遅れて止まっている状況の中、それならばユネスコスクールではなくて、逆に文部科学省でESD推進スクールとか、何か目標があった方が、学校は動いてくれやすいと思います。日本だけで申請して、そういう学校になったら、私たちも民間もESDをもっと推進しやすいです。グローバルの視点は、地方はなかなか難しい部分があります。このようなESDを書かれている文部科学省の指導要領のようなところは、地方でも普及のしやすい内容とは思いますが。
 だけど、ただそういうふうにしなさいと書くよりも、それが何か形として現れてきた方が、我々もバックアップというか、推進しやすいような気がするのですが、一つの提案です。

【見上教育小委員長】
 御意見ありがとうございました。次の議題がユネスコスクールでございますので、そちらに入らせていただきたいと思います。それでは、議題2、「ユネスコスクールについて」に移ります。初めに、事務局より御説明をお願いいたします。

【鈴木国際統括官補佐】
 資料2と緑のパンフレットを御覧いただきながらお聞きいただければと思います。
 まず、ユネスコスクールでございますが、これまでの御議論の中でも度々言及されておりましたように、ユネスコ憲章に示されたユネスコの理念、平和や相互理解の促進といったものを実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校をユネスコ本部が加盟承認するものでございます。世界で約1万校が登録されておりまして、日本では加盟申請中の学校を含めて1,044校というところでございます。
 具体的な学校が行う活動は、国際理解教育、特に課題解決型の国際的な共同活動ですとか、地域の課題解決学習などを通じて、平和や相互理解の促進といったことに学校現場で取り組むというものでございました。
 そして、ここに日本のユネスコスクールの特徴といたしまして、特に日本ではユネスコスクールをESDの推進拠点と位置付けて、優れた実践をしていただき、他の学校にも広くフィードバックしてくださいということをお願いしてきたところでございます。
 また、このパンフレットを開いたところにもございますけれども、ユネスコスクールガイドラインというものを国内委員会で御検討いただいて作っておりまして、ガイドラインに則って質の高い活動を維持し、推進しているというところでございます。
 そんなユネスコスクールなんですが、資料2の一番上にございますが、ここ2年間ほど、ユネスコでの加盟承認が滞っておりました。現状、こちらにございますとおり、1月現在で115件の申請がユネスコ本部、ユネスコスクール課で滞っておりました。個別案件によってどうというものではなくて、申請の全てが何ら前触れなく、一律に止められてしまっていた状況でした。日本ユネスコ国内委員会/文部科学省といたしましては、ユネスコ本部に対して、この状況を改善してくださいという強い要請を行いますとともに、各学校からの申請は、ユネスコ本部にはきちんと加盟申請済みですよということを御連絡申し上げて、日本のユネスコスクールリストには、加盟申請中ですというマークは付けるんですけれども、リストには掲載し、全国で共有することで、加盟承認の前であっても、各学校が国内でユネスコスクールに準じた活動ができるようにということを推奨してきておりました。
 実は、抗議を続けていた成果かもしれないんですが、ちょうどこの週末に連絡がございまして、三つに分けて申請した表が出ておりますが、最初に申請した40校について加盟承認をいたしますというニュースが参りましたので、これを御紹介できるのはとても嬉しいことでございます。
 ただ、どうしてこの加盟承認が滞っていたのかということの背景に、ユネスコ本部でユネスコスクール事業というものについて、少し改善を考えようという動きがあったようでございました。ユネスコ本部の方でも、事業評価、外部評価のようなものを受けるのでございますが、受けた評価の一つが、こちらの背景の一番上の丸にありますとおり、世界に1万校あるユネスコスクールの3割が10か国に集中している。ユネスコでは、1回ユネスコスクールですよという名前をあげてしまうと、特にそれを排除する、やめなさいというルールがなかったものですから、不活発なユネスコスクールも存在するのではないかという指摘があったようです。監査としては、地域的なバランスをもう少し取るべきではないか。また、スクールというメンバーシップに期限を入れたり、フォローアップ活動を入れたりするべきではないか。それから、各国が加盟申請をするときにも、きちんと事前審査をすることを義務付けるべきではないかといった指摘があったようです。
 これを受けてユネスコ本部では、Online Tool for ASPnetという、OTAと呼んでいるんですが、オンラインで申請させたり、フォローアップをさせたりということで、ちゃんと世界から見える形で加盟の承認やフォローアップを行おうということを改善策として検討しているようです。
 また、加盟申請の前に、申請校の活動を各加盟国の方で確認する機関を導入しなさいとか、各国における事前セレクションをしなさいといったルールを導入してはどうかということを検討している状況だということが段々に分かってまいりました。
 このようなユネスコ本部での検討を背景に私たちが日本でも検討しなければいけないことを整理しております。ユネスコ本部では、完全な方針を示してはいないんですけれども、先取りしてどんどん準備をしようということで、資料2の2枚目に、大変実務的なところでございますが、作ってみております。
 私たちがやらなければならない1点目は、加盟申請の手続の整理でございます。ポイントといたしましては、このオンラインツールの導入で、学校は直接ユネスコスクールになりたいと思ったら、加盟の希望を表明することができるようになりました。これをどうするかということ。それから、申請校の活動を国として確認してからちゃんと申し出るということを入れなければいけないというところが2点目のポイントかと思っております。
 方向性といたしましては、このオンラインの加盟希望の表明と、我々が今までやってきた教育委員会を通じた国内委員会からの申請支援を組み合わせた形を、これからも実施していこうと思っております。
 それから、2番目の矢印のところにございますように、原則として加盟の希望を直接出されてから1年間は、チャレンジ期間という形で導入いたしまして、加盟希望校は様々な助言を得つつ、ユネスコスクールガイドラインに沿った活動を実施していただいて、そのことを日本ユネスコ国内委員会に報告書の形で御提出いただこうと考えております。国内委員会は、この報告書によって、実績をきちんと確認した上で、ユネスコ本部に正式な加盟申請をいたしましょうというルールを策定しようとしてございます。
 それから、2点目の検討のポイントでございますが、既にユネスコスクールとなった後の学校における活動を効果的/効率的にフォローアップしなければいけないと考えております。
 ポイントといたしましては、日本国内でやっていることが見えるだけでなく、国際的にも日本のユネスコスクールがやっている活動がきちんと見えるような国際的なビジビリティの向上が一つだろうと。それから、国内外と交流する活動を活性化することが大変重要であろうと考えております。このため、まず私たち日本ユネスコ国内委員会でも、国際的な広報活動をこれから頑張ってまいりたいと考えております。
 また、各学校では、導入されましたOnline Tool for ASPnetという、オンライン上での直接の広報をしっかり頑張っていただきたいと思います。これは英語のサイトなので、学校にとっては1段チャレンジングになるんですけれども、是非頑張っていただきたいということで、広報を推奨したいと思っております。
 最後に、地域ユネスコ協会、また大学といった既存の枠組みを通じて、こういった学校の活動を効果的にサポートしていっていただきたいなと考えております。
 ユネスコ本部が、先ほど申し上げたような改善を検討しているということを申し上げましたけれども、ユネスコ本部でも、日本は1,000校もユネスコスクールがあるけれども、非常にきちんとやっているということを理解されています。例えば加盟時に、申請に当たって非常にしっかりと調査をしていること。また、日本では毎年ユネスコスクールに活動報告書を出していただいております。こういったこともきちんとやっているし、また、全国大会などで学び合いをしていただいているといったことは、非常に高く評価されております。
 ただ、我々もこういった改善のニュースに当たりましたときに、まだできる事があるのではないか。特にユネスコスクールになるということは、先ほど、見上委員長からも御紹介がありましたが、ユネスコスクールという世界的な学校間ネットワークに加盟して活動するということであろう。その意味を生かした活動のために、更にこういったユネスコ本部の改善の動きに連動して、ユネスコスクールの活動の質の充実に向けて、制度上の改善をして参りたいと考えております。こちらが資料2にまとめたところでございます。以上です。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。では、ただいまの御説明を受けまして、ユネスコスクールについて意見交換を行いたいと思います。何か御意見、御質問ございませんでしょうか。はい、どうぞ。今委員、お願いいたします。

【今委員】
 質問ですが、現在検討中ということなんですけれども、そうこうしている間にも、例えば、私は大垣ですが、実際の高校からユネスコスクールを申請したいといった申出があったりしました。ただ、ウェブ上では、ホームページは出るけれども、現在構築中だからということで動かないということなんですね。いつ申請の具体的な形が実践されるのか。現在はどうしたらいいのかということを教えていただきたいんですが。

【鈴木国際統括官補佐】
 現在、そういう状況でユネスコ本部からもきちんとした方針が出されない。また、オンラインツールというのも、若干動きが微妙で、非常に不安定な状況にあります。そのことは、かなりユネスコ本部に文句を言っているところでございます。私どもでは、今日、フローチャートなんかも付けておりますけれども、年度内にこういったルールは整理いたしまして、年度明けとともに新しいルールで、こういうふうに申請してくださいねということを、きちんと教育委員会さんを通じて御連絡をしようとしているところでございます。ですので、今は確かに新しい申請は保留いただいておりますけれども、来年度には再度申請ができるようになりますので、お待ちいただければと思っております。

【今委員】
 それでは、現在、正にそういった相談を持ち掛けている学校に対しては、次年度といいますと、今年の4月以降ということでしょうか。

【鈴木国際統括官補佐】
 そうです。

【今委員】
 そこで具体化されるので、今は学校の中で準備をしてお待ちくださいという言い方で。

【鈴木国際統括官補佐】
 おっしゃる通りでございます。今度からは、申請したらすぐに私たちがユネスコ本部に申請できるということにはならなくて、実際にどういう活動をしているんですかということを、1年ほど様子を見させていただくという格好になりますので、是非申請の御希望がある大学、学校には、もう既にユネスコスクールとしての活動を始めていただきたい。そんなこともどんどんレポートしていただくことが、これから本当に申請するに当たっては大事になりますので、是非そこはユネスコ協会の方からもサポートいただければと思います。

【今委員】
 この3枚目のプリントですね。このようなものを具体的に学校に見せて、例えばこんな申請方法になるらしいということを、これを見せて伝えてもよろしいですか。

【鈴木国際統括官補佐】
 おっしゃってください。これは、本日公開の資料になります。まだ「案」が付いておりますので、このとおりに100%なるとは限らないのですけれども、こういうことを考えてやっているようなのでということはお伝えいただいて結構でございます。

【今委員】
 公開OKですね。

【鈴木国際統括官補佐】
 はい。

【見上教育小委員長】
 今すぐ申請したいという人は、OTAが間に合わないので、従来どおりの進め方ということになりますか。

【鈴木国際統括官補佐】
 今すぐ申請は出来ない状態なんです。

【見上教育小委員長】
 分かりました。

【及川委員】
 4月以降のOTAでやらないと。

【見上教育小委員長】
 そうですか。分かりました。はい、ありがとうございます。ということだそうでございます。はい、どうぞ。

【河内委員】
 繰り返しますが、ハードルがどんどん高くなる。それまでも英語で書かなければいけないということがあり、今回これによって、OTAをしなければいけない。小学校がユネスコスクールになるのは、都会の学校で英語を小学校からしているところは別かもしれません。だけど、小学校から英語を習っていない小学校の子供たちでなければ、先生がこういうOTAを知らなければいけないということで、先生の負担量がますます増えてくると、申請はもう辞めようかなと後ろ向きになる学校が、私は増えるのではないのかなと思います。とは言いながら、ESDは推進したい。文部科学省もそういう方向になっているという点で、先ほども申しましたように、本当にグローバルなところを目指すユネスコスクールと、日本内だけでもそういうものでESDを推進していく学校みたいな形ができれば、もっとESDは普及されるのではないのかと考えます。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございます。はい、どうぞ。安達委員、お願いします。

【安達委員】
 すみません。1番の、今加盟申請中の学校に関してなんですけれども、初めの40校がつい先日承認されて、よかったなとすごく思ったんです。この後の46校、29校に関しては、今後、どうなっていくのかなというところと、あと、加盟申請中というのは、どの段階のところを指しているのかというところを教えてください。

【鈴木国際統括官補佐】
 分かりました。こちらは、各学校が教育委員会を通じて、私ども日本ユネスコ国内委員会に申請を頂いたものを、日本ユネスコ国内委員会からユネスコ本部にまとめて申請をするという流れでございます。ここで言っている加盟申請中というのは、私どもからユネスコ本部に加盟申請はしたけれども、ユネスコ本部が加盟承認の手続を行っていないという状況でございます。
 それを3回に分けて私どもからユネスコ本部へ申請したのが、この三つの枠になっているんですけれども、1番目の加盟承認が下りたという連絡がありました。2番目の方も、私どもは大分進んでいるようだということは承知しておりますので、このまま行けるかなと思っております。3番目の方は、後から出ているということもあって、それからは遅れているような状況でございますが、特に2番目のセカンドバッチは、続いて加盟承認が下りるのではないかとは考えております。

【安達委員】
 申請はしたんですけれども、まだ国内委員会まで来ていないものもありますよね。教育委員会で止まっているとか、そのようなところはどうなるのかな。

【鈴木国際統括官補佐】
 学校から教育委員会に行ったものについては、できるだけの配慮をしようと考えていますが、OTAが動き出して、何ができるようになるかということが、若干はっきりしないので、調整中でございます。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。先ほども河内委員から御指摘があったように、面倒くさいなと思わないような形に意欲のある学校はしていきたいと思います。はい、及川さん、どうぞ。

【及川委員】
 大したことではないんですけれども、今のものに付随して確認なんですけれども、今の話題というか論題としては三つあって、もう既にパリに行っているものと、まだ国内にとどまっているものと、今後新しくアプリケーションするものという三つをきちんと整理してほしいなと思います。安達委員のお話と同じなんですけれども、その中の最初に申請しているものは、もう2年近く返事がなくて、かなり地域がやきもきしております。私もあちこち回ると、責められ続けてこの2年みたいなところがあります。
 なぜかというと、先ほどもお話があったんですけれども、学校現場は変わるんですよ。申請した校長や教育長が、この2年もいると代わってしまう。すると、新しく来た校長が浦島太郎状態で、引継ぎがうまくいっていない場合とか、意思決定が違う場合には、そこで課題というか問題が生じかねないということを考えた場合に、やはりそこの部分について、パリが遅れているからということはもちろんあるんですけれども、遅れている地域に対するケアといいますか、コミュニケーションといいますか、その辺はやってしかるべきかと思います。
 特に、今出している所というのは、こう言っては失礼ですけれども、1,000校近くなっていますが、今一番旬な所が出しているんですよ。一番モチベーションが高い所です。そのモチベーションを下げないような対応の仕方を是非お願いしたいなと思いますし、国内の部分は本当に不透明な部分があって、私も申請中なんだけれども、まだ来ないと言われている。その申請書はパリまで届いているのか、文部科学省まで行っているのか、あるいはもしかすると県教委でまだとどまっている場合とか、県教委とのやりとりでとどまっている場合もあったりしますよね。あと、ACCUとのやりとりをまだやっているところもあるかもしれませんが、そういう部分が少し心配なので、その辺はどうぞきちんと漏れのないようにお願いしたいなと思いました。

【鈴木国際統括官補佐】
 分かりました。ちょうど御指摘いただいた、間にある層というところを、こちらの資料では御説明し切れておりませんので、よく調整して、皆様がお困りにならないようにしてまいりたいと思います。

【見上教育小委員長】
 他にございますでしょうか。はい、どうぞ。

【横山委員】
 先ほど、小学校を何校か回らせていただいたというお話をいたしましたが、その中の1校、ユネスコスクールの校長とお話ししたときに、その校長が民間から登用された方で、それまで海外にもお住まいになっていたり、海外営業をされていた方でした。その方に、「今ユネスコスクールとしてどんな御活動をされていますか」とお聞きしましたら、「僕も引き継いだもので、そろそろ何かしなければと思っていました」とお答えになりました。「ただ、いろいろユネスコスクールの枠にはまって活動すると、面倒なことがあるのではないか」とおっしゃいました。それは、民間にずっといらした方だから発言できる言い方なんだろうなと思ったんです。「では、逆にお聞きしたいけれども、ユネスコスクールになると、どんなメリットがあるの」と。
 民間の方にとってのメリットというのは、やはり経済的にどんなお金が付いてくるんだろうかとか、そういったことなのかなと伺っていまして、今こちらの資料はとても分かりやすく拝見していましたが、ユネスコスクールに対する支援が、お金には代えられないネットワークであるとか、そこから生じる情報の共有だとか、すごく分かりやすくあります。ただ、何かそのあたりがもう一つ日本ユネスコ協会連盟がいろいろユネスコスクールに支援しているような点について、文部科学省さんの方では、そういう意味でのユネスコスクールへの支援をお聞かせいただければと思います。

【鈴木国際統括官補佐】
 文部科学省からユネスコスクールそのものに対して、予算面でのサポートというのは、残念ながら行われておりません。やはり1,000校もありますことと、予算の限界ということがございます。ただ、それを超えて、例えばユネスコ本部が発信する情報、発信する教材等を提供したり、又はユネスコスクールという世界的なネットワークに参加して交流していただくことが、一番のユネスコスクールにとってのメリットになるのではないかと考えております。特に今回、資料の中でも少し御紹介しておりますOTAというオンラインのツールがちゃんと動き出しますと、ここを通じて外国のユネスコスクールとの交流等が促進しやすくなるように考えておりますので、我々もこのOTAがきちんと動いていくように精いっぱいの支援をして参りたいと思っているところでございます。

【見上教育小委員長】
 OTAという英語のウェブサイトと関わるようになるんだと思うんですが、御存じのように学習指導要領の中では、小学校英語が始まり、より充実してきます。また、中学校英語もそれぞれレベルアップしてくるんだろうと思いますね。そういう意味からすると、英語で海外とやる。なかなかハードルは高いかと思いますが、先生御自身がこういった英語のウェブサイトにアクセスすること、あるいは生徒さんが直接海外の学校とメールのやりとりができるという機会は、非常に大事になってくるかもしれないということもございます。引き続き、皆さんの御協力を頂きながら、英語の上でのレベルアップも図れるのではないかという気がいたします。はい、どうぞ。

【翁委員】
 私、11時半で失礼するので、今までのところで、私も初めてここに参加させていただきましたので、少しとんちんかんなことになるかもしれません。この活動を始めて、平成17年からもう10年されているということで、多分学校の先生方が今どんな世界の動きが起こっているのかということについて、特に管理職の先生とかに意識を持っていただくということがとても大事のではないかなと感じております。私は、金融とか企業の活動を随分見ているんですが、今キーワードがESGなんですね。Environment、Society、Governanceということで、そういったしっかりとしたことを環境問題とか長期的な課題に取り組まない企業については、もう投資をしないということが国連から憲章があって、投資家もそういう活動をし、日本の年金基金もそれにサインをしています。企業の方も、そういったことをきちんと情報開示するという動きも出てきております。ESGとESDはすごく似ているなと、私はこの分野の素人なので申し訳ないんですが、そういうふうに感じたんです。
 やはり、どういう動きが今世の中で起こっているのかとか、パリ協定の話とか、そういうことも含めて、校長先生の方々がアンテナを持って、どういうことを生徒に教えていかなければいけないのか、意識していただくような発信をしていただくと、また少し違うのかなと思います。せっかくネットのいろいろな手段がありますので、文部科学省からも世の中の動きとか、そういうことも含めた発信をしていただくと、先生方の意識も高まって、こういった取組が一層大事なんだなということを腹に落ちるような形でやっていただけると、また違った取組の広がりができるのではないかなと少し思いました。素人的な意見で申し訳ありません。

【見上教育小委員長】
 いえいえ、御意見ありがとうございました。はい、阿部先生。

【阿部委員】
 ユネスコスクールの支援で、大学の役割が非常に重要なことは言うまでもなく、見上先生も中心になられて、ASPUnivNetという大学のネットワーク組織を作っています。ASPUnivNetの加盟大学数も増えてきており、地域別にエリアを分担して、ユネスコスクールを支援をしています。ただし、全体的な動向を見ると、それぞれの大学の少数の教員が支援事業に関わって、手弁当でやっているようなところがあります。大学全体になかなか広がっていかないという問題があります。
 前々から申し上げていますが、やはり大学教育の中でのESDの重要性をもう少し国の方から言っていただけないかと思います。特に、先ほど発言させていただいたSDGsが提案されてから、高等教育が取り組んでいるいろいろな専門分野を横断した形で持続可能な社会に向けた課題が提起されています。この基盤として、ESDを打ち出していけば、大学全体としてESDの支援、あるいはESDの活動に取り組むということがやりやすくなってくると思います。是非一考していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございます。各大学、今、阿部委員から御説明があったように、大学自身が非常にグローバル化の時代で、外に開かなければいけない時代です。特にSDGsを切り口にしてアピールしていただいて、その中でESDが非常に大事だという言い方が有効なのではないかと思っています。我々も努力いたしますが、また応援もよろしくお願いしたいと思います。ほかにございますでしょうか。
 それでは、次のところとも関係してくるかと思いますが、議題3、「その他」に移りまして、事務局からESD推進ネットワークについて、御説明をお願いしたいと思います。

【鈴木国際統括官補佐】
 資料3の事務連絡をまず御覧いただければと思います。ESDに関する関係省庁連絡会議の幹事でございます文部科学省と環境省が共同で、多様な関係者の共同連携によってESDを推進するためのESD推進ネットワークというのを構築してございまして、核となる全国センターが昨年から稼動したところでございます。
 現在、地方センターの開設準備中でございます。地方センター、地方環境パートナーシップオフィス、いわゆるEPOというのが、リソースを活用して実施されていくんですが、目的は共同であり、連携であるということから、教育のステークホルダーの皆様との連携が不可欠でございます。そういったことも含めて、それもありますので、文部科学省からこちらの資料3にありますような文書で教育委員会、青少年教育施設、社会教育施設等に協力依頼を行ったところでございます。今日、ネットワークについては、御説明をセンターにお願いしてございますので、よろしくお願いいたします。

【柴尾次長】
 本日は、お時間を頂きましてありがとうございます。私の方では、皆さんの封筒に入っております、この小さなパンフレットを使って御説明を差し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、昨年の4月に開設されたESD活動支援センターの次長をしております、柴尾と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、一番頭に持続可能な地域づくりと人づくりを推進するESD活動支援センターという形で、今、鈴木補佐から御紹介がありました、ESD推進ネットワークの、全国的なハブの役割を担いうために設置されたものでございます。
 ここの扉をぐっとめくっていただきますと、この上に書いてあるのが、簡単にこのセンターを説明した文章になります。ESDに関するユネスコの世界会議の成果と国連ESDの10年で広がったESD実践者の提案を踏まえ、関係省庁が民間団体との連携事業として開設した、官民協働のプラットフォームであると書かれています。
 先ほど来、この会議でもいろいろ御指摘ありましたように、いい試みが十分に広がっていないとか、こちらのネットワークがあちらのネットワークがつながっていないとか、そういったことが政府の中でも、民間の中でも大きな課題となっている中で、現在行われている国内実施計画、GAPの下での国内実施計画の一つの目玉として、政策的な分野としても、地域の取組としても、このESD推進ネットワークを推進するつなぎ役としてのセンターを作ろうではないかということが、関係省庁11省の合意によって決められ、その中で文部科学省様、環境省様が幹事として大きな役割を果たされているというところです。
 またこちらをめくっていただきますと、推進ネットワークがどんなものを目指しているのかという簡単な図になっています。大きく言うと4層構造のようになっていて、私は、今一番下にあるESD活動支援センター、いわゆる「全国センター」というところにおります。これは、東京青山の国連大学の斜め下にあるんですけれども、今年7月をめどとしまして、全国に八つの地方センターが立ち上がる。この八つと言いますのは、具体的には札幌、仙台、東京、愛知、大阪、広島、高松、熊本なんですけれども、地方センターと全国センターが一つのチームになりまして、先ほど来ありますようなつなぎ役を果たしていこうという構想です。
 この先の緑のところが、実は皆様方に一番関心を持っていただきたいところなんです。全国に1足す8のセンターができたところで、世の中的には大きなインパクトをもたらすことは、なかなか難しいかもしれません。その中で、地域ESD活動推進拠点、略称地域ESD拠点ということで、御協力してなっていただいて、言ってみればESDの旗を掲げていただいて、これが大きな地理的なエリアでも、あるいは学校区のような少し小さめの地域でも、様々な活動団体、活動範囲を持つ様々な分野の方たちに地域ESD拠点となって、得意分野を生かした形でESDの推進を行っていきたいという構想です。
 ここで言うESDとは、学校教育も社会教育も、また、環境分野も人権平和分野も、持続可能な社会づくりにつながる学びと活動を全て含むというくくりとして考えています。そして、そういった大小様々なエリアを持つ、様々な活動団体がそれぞれの得意分野を生かして、皆さんが伝えやすい形でESDを広めていただくことで、より多くの方々に理念が広まって、活動者が増えたり、あるいは既に活動している方たちが、ESDを意識してもう少し活動を深めてみようかなと思っていただいたり、ぐっと広めることができるというのがこの水色の部分で、そういった方々、そういった団体組織がどんどん増えていくことが、地域でも、国全体として見ても、もっと言えば世界全体として見ても、持続可能な社会を目指していく大きなうねりになっていくのではないかという構想でございます。
 これがESD推進ネットワーク、持続可能な社会の実現に向けて、ESDに関わる多様な主体が、地域における取組を核としつつ、様々なレベルで分野横断的に共同、連携して、ESDを広めたり、深めていこうというESD推進ネットワークの全体の構想図です。
 その中で、今度は左側の部分を見ていただきますと、私たち全国センターは何をするのかということが、四つの働きと三つのつなぐというキーワードで御紹介してあります。我々全国センターは、単体としてではなく、八つの地方センターとともに、情報の収集、発信、支援センターの支援体制の整備、学び合いの促進、人材の育成ということをやっていきたいと思っています。昨年4月から活動を始めているんですけれども、まだまだ私どもの活動そのものが広く知られていないということも一つの課題ですが、こういった機会を様々頂きまして、広げていく最中でございます。
 そして、三つのつなぐの中では、地方センターは主に地方、この八つのブロックの中でのつなぎ役を果たしていただきますので、我々全国センターは、環境、開発、人権、平和、防災、消費、文化、本当に様々なテーマがある、このような様々なテーマのESDをつないでいきたいと思っています。
 2番目には、地域を超えてESDを推進する人たちをつないでいきたい。
 3番目には、やはり国際的な動き、海外の先進的な動きを御紹介したり、国内からの発信というような、国際的な情報をつないでいく。こういったことを全国センターの大きな機能、働きとしてやっていきたいと思っているところです。
 パンフレットの裏を見ていただきますと、場所は、国連大学のそばですよということが分かるんですけれども、一つ、ここには、ESD活動支援センターのロゴの形で、私たちの活動で皆さんと共有したいESDの学びが示されています。学びと活動が、学んだだけでも駄目で、活動につながって初めてESDで、その学びと活動が持続可能性を生み出していくんだということを、卵がかえって、サステナビリティのひながどんどん育って飛び立っていくようなイメージをロゴにいたしました。このようなESDを皆さんと一緒に全国で広げることができればいいなというのが、ここに託されたメッセージになっています。
 最後に、一番下に小さな文字で恐縮なんですけれども、先ほど官民協働ということを御紹介いたしました。文部科学省さん、環境省さんをはじめとする関係省庁という官だけではなくて、私は下の方にありますACCU、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センターから出向しておりますけれども、ESD-Jさん(NPO法人持続可能な開発のための教育推進会議)とACCUが一緒になって、この運営を任されている。官民共同の仕組みを作る、その民側の出口のような形になって、日々の業務を行っているところでございます。
 とにかく国連ESDの10年の間、日本が「言い出しっぺ」であったことからも世界的にもESDを引っ張ってきた。この動きを更に発展させるために、その10年間の課題を踏まえて、新しい仕組みができたと理解をしているところです。その中で、ここにいらっしゃる皆さんのような方、特にユネスコ協会さんにおかれましては、全国に280以上の広範なネットワーク、そして地域で信頼される方々がやっていらっしゃる組織であるということ、そして地域をよくしたいという志を持って、その志を基に平和の砦を一人一人の心の中に築いていくための、資源をたくさん持っていらっしゃる地域の組織、特にユネスコ協会の方々が、例えば地域ESD拠点のような形でネットワークを引っ張っていただけるのがいいのではないかなと個人的に希望しているところでございます。
 そして、四つの働き、三つのつなぐではないんですけれども、私からは、三つのお願いで締めさせていただきたいと思っています。一つは、ESD活動支援センターのウェブサイトを御活用ください。御活用というのは、読んでくださいだけではなくて、こんな情報を載せるといいのではないですかということをどんどん寄せていただきたいんです。ウェブサイトだけではとおっしゃる方には、フェイスブックもツイッターも準備してありますので、どんどん拡散していく役割を果たしたいと思っています。
 二つ目は、先ほどの地方センター、今後立ち上がっていくんですが、それぞれ特徴、個性、やり方がございます。こういったところをどうなっているのかなと注目して見ていただいて、地域の方からも盛り立てていただければと思います。
 三つ目に、私ども、窓口業務というのがずっと動いております。どんな細かいことでも結構ですので、電話、メール、その他でお問い合わせいただければ、つなぐなり、お答えするなり、資料を紹介するなりさせていただきたいと思います。
 三つのお願いは、一言で言うと、活用してくださいということになるのかもしれません。そして、御一緒させてくださいということになるのかもしれません。今日のような機会がとても大切だと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。ESD活動支援センターの柴尾次長から、ESD推進ネットワークについて、御説明いただきました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問ございましたら、どうぞ。はい、どうぞ。

【寺本委員】
 今お話のあった、ちょうどこの図で言う緑のところになるかと思うんですが、地域ESD拠点ですね。様々な団体等に是非この拠点になってもらいたいということなんですが、拠点として登録をするだとか、申込みをするだとか、委嘱、委託をするだとか、こういったことはどんなイメージになっているんでしょう。

【柴尾次長】
 ありがとうございます。今、正にこちらのESD推進ネットワークの方でも、ESD活動支援企画運営委員会という委員会を設けておりまして、例えばここで言いますと、及川委員はそちらの委員でもあるんです。どういった仕組みで拠点になっていただくかというのを、実は近日中に開かれる企画運営委員会で、最終の段階の一つになるところの議論を進める予定です。これも来年度といいますか、地域ESDセンターが立ち上がるときとほぼ同時に、より広く発表させていただけるような形になるかと思います。もう少し前になるかもしれませんけれども、今こういったところで討議の最中でございます。

【寺本委員】
 追加です。となると、例えば民間団体が当然入っていると思うんですけれども、企業というところにも目を向けていくのかどうかをお願いします。

【柴尾次長】
 ありがとうございます。実は、そちらの委員会の方でも、ESDの10年は、企業さんをもっと仲間に入れるところが不十分ではなかったのかなという反省が随分ありまして、ここにある拠点の中には、学校教育、社会教育、企業、あるいは教育委員会、行政、行政の環境部局、人権部局、そういったところ全てにいろいろな形で拠点になっていただきたいということを議論しているところです。

【見上教育小委員長】
 他にございますでしょうか。はい、及川委員。

【及川委員】
 一つだけ。私が補足するのもおこがましいですけれども、拠点になる資格といいますか、拠点になる方々は、それが大事だと思うんですよね。

【柴尾次長】
 ありがとうございます。

【及川委員】
 誰でもではない。やはりそこに推進という言葉が入っていますから、推進すると拠点になれるのかという話なんですが、もちろんそれはそのとおり、そういう意味もありますけれども、ブルーの部分の、今後新たに加わる方々に対して、支援ができるというか、支援する団体、拠点ということが、ある意味使命として付与されているということを言わないと誤解を生んで、うちは一生懸命ESDをやっているから、拠点になりたいからならせてほしいという話ではなくて、コインの表裏で両方。もちろん支援だけでもOKみたいですけれども、できれば支援と推進を両方やっている団体ということです。ユネスコ協会さんは、それを両方やられていると認識すれば、その要件は達すると思われますね。ということですね。

【柴尾次長】
 ありがとうございます。支援というのは、幅広い意味の支援を、実践しつつ、あるいは実践はしていないけれども、サポートだけしていますというところも支援しているというくくりで、支援することでESDを推進するところを地域ESD拠点と呼びましょうという議論ですので、及川さん、どうも大切な補足をありがとうございました。

【中西普及活動小委員長】
 地方センターにおられる標準的なパターンでいいんですけれども、場所とマンパワーというか、おられる人のイメージというのは、どんな感じなんですか。

【柴尾次長】
 マンパワーは、人数的にはあまり大きな期待をしないでいただきたいぐらいのマンパワーです。

【中西普及活動小委員長】
 やはりそうですか。

【柴尾次長】
 はい。地方センターは地方EPOさんを運営していらっしゃるところに、プラスアルファで、地方ESDセンターというお仕事が並行して、看板が2枚掛かるような形になります。やり方はそれぞれの地方センターによって違うようです。ですから、急に大きなセンターがぼんとできるというよりは、つなぎ役を期待していただくのが実際的なところかなという感じですね。私どももそうなんですけれども、センターの規模ということでなく、つなぐ機能として使っていただけるようなものを目指しています。

【見上教育小委員長】
 今日も御意見の中に、ESDに関するネットワークがいっぱいあって、全体がインテグレースされていないというお話がありました。例えば、ユネスコスクールとか、ユネスコ協会がございますね。あるいはユースのグループがあります。そういうところとは、どういう形でこのセンターとつながったらよろしいでしょうか。

【柴尾次長】
 これは、様々なレベルでという中でご参画いただきたい。例えば私どもは昨年11月に全国フォーラムということをしたんです。これは年に1回やっていく予定で、そこに様々なステークホルダーと言われる方たちにできるだけ来ていただきたいし、そのことを地域にも発信していただきたいというのがございます。地方センターごとに活動は違うかもしれませんけれども、そのような学び合いのフォーラムづくりというのは、一つ大きな柱になっていくのではないかと思いますし、情報交流というところもあるかもしれません。
 そういった中で、私も今、全国センターで仕事をしておりますと、この方とこの方が出会えば随分面白いのになということが、地域の中でも少しルートが違うと知り合えていないということが本当にあるんだなと感じております。そういったところが重なって、更には取組を一緒に進めていけるようになることで、お互いに刺激を得たり、新しいアイディアを得たりという中でESDが広まるというモデルです。それは、やはり皆さんに参画していただかないと、そういう出会いが起こりませんので、是非期待をしていただきつつ、叱咤激励もしていただくのがスタートかなと個人的には思っているところです。

【及川委員】
 すみません。最後にします。

【見上教育小委員長】
 はい、及川委員、どうぞ。

【及川委員】
 多分、皆さんその実像が見えないというところがあって、理念はよろしいんですけれども、実際にどうするんだ、どういう組織なんだと。先ほどの質問もそういうことだと思うんですね。
 一つのケースですけれども、私は実は東北の設置準備委員長をさせられているんですが、地方センターの中で、いろいろなネットワークや、今までの取組をつなぐ。つなぐというのは、分かったようで分からないんですが、例えば、コンソーシアム事業が先ほど文部科学省から説明がありましたが、我々は東北コンソーシアムということで、東北全体でコンソーシアムを組んでESDをやろう。その中にユネスコスクールも入っているし、協会も幾つか入っているんですね。そういうコンソーシアム、今までやった事業と、それからEPOが事務局を担って、環境省のパートナーシップオフィスが担いますので、環境系のネットワーク、それから、先ほど言ったように、ユネスコ協会はずっと長い間ブロック大会をやっていますよね。東北でもやっています。
 それで、東北にも何十というユネスコ協会があるわけですが、そういうユネスコ協会の方々、そして先ほど言った企業、そういう方々が地方センターのネットワークの中に一緒に参画して、事務局と環境省、文部科学省と一緒に推進して動かしていくというイメージで我々は考えているんですね。そういうふうにすることによって、今までばらばらだったものが、一つの流れとして、潮流として、ESDをより地域に広め、深めていけるだろうということで考えています。
 大事なのは、今までやっている、皆様方を含めた既存の取組と、このセンターの実体と機能が一致するということが非常に重要なので、機能だけでは動かないし、実体だけだとばらばらだしということで、そこを中袋、大袋と言っていますけれども、大きい地方の袋に包みながら一緒にやっていくという感じで考えられるといいのかなと思っています。

【見上教育小委員長】
 はい、どうぞ、岡田委員。

【岡田委員】
 今言われたような大きな袋に入るときに、今までで言うと、例えば教育だとか、小・中学校などの学校教育、社会教育も当然入ってきますね。この事業自体が環境省さんも入っていらっしゃるので、環境筋、あと他に、もともとESDは、12省庁合わせて、日本を挙げてやるんだと。あわよくば世界でやるんだという話なんですけれども、環境教育は少しイメージは分かるんですけれども、ではほかの他省庁さんのどういった関係の方が一緒にやりましょうよと、例えば、こういうところがあるのよと声を掛けるときに、どういった方が想定されている。若しくは、逆に言うと、他省庁なんかの取組もお聞きしてみたいなというのが2点目の質問だったんです。
 最終的には、センターも関わって御紹介できる環境教育以外の分野の方があれば、御紹介いただきたいというのが1点目です。

【柴尾次長】
 今、正にそこが大変大切なところで、関係省庁へ、環境省さん、文部科学省さんが協力依頼したり、関係省庁連絡会議を開かれるという中で、より周知を進めていくということです。まだまだ機能としても、実体としても小さいところが一遍に広げるということがよいのかどうかというのは分かりませんので、まずは環境教育というところも十分につながっていない部分をつなげるという中で、地方の特色を生かして、例えば、中国地方でしたら、平和教育の方にですとか、徳島県が消費者庁をという中で、消費者教育をとか、その地方の特色を生かしながら広げていく部分と、中央レベルでもそういった仕組みを利用して、省庁間でつなげていく。両方一緒にやっていくというのが今の姿で、消費者教育、平和教育というのは、一つの例示として申し上げました。

【見上教育小委員長】
 横山委員。

【横山委員】
 すみません。単純な質問かもしれませんが、メールや電話などによる相談に応じますと書いてくださっていますが、例えば学校現場の先生方がお電話をして、ESDをやりたい、こういったことをやりたいんですけれども、いろいろ御紹介をしていただけますかと、そういったイメージでよろしいんでしょうか。現場におけるシミュレーションが、もう一つわかりにくくて、体制的なことはすごくすばらしいと思ったんですが。

【柴尾次長】
 今、実際そういったお電話、メール等もたまに頂くことがあるんですけれども、我々が直接お答えできることは直接お答えいたしますし、そうでなければ、例えばユネスコスクール関係でしたら、ユネスコ・アジア文化センターのユネスコスクール事務局を御紹介するかもしれません。あるいは、このような分野ということでしたら、そのような分野をこちらで調整して御紹介するかもしれません。そういった形で、現場の方々からのお問合わせについて対応していきます。

【横山委員】
 では、こういうパンフレットをお見せして、こういうところが、今度、新年度から動き始めるので、お尋ねください的な、そういう、何と言うんでしょうか。

【柴尾次長】
 はい。全国センターそのものは、去年4月から開設されています。先ほどの委員会も、もちろん傍聴もしていただけますし、是非そのように御周知ください。

【横山委員】
 多分、生涯学習に取り組んでいるセンターなどからも、もし御相談があったら、ESDで何かやりたいんだけれども教えてと言われたら、こういうところにお尋ねになってくださいというお答えをしてもよろしい。

【柴尾次長】
 はい、結構でございます。是非お願いいたします。

【見上教育小委員長】
 ほかに是非。どうぞ。

【高尾委員】
 そうしますと、具体的な事例などがセンターで、聞ける様になりますか。

【柴尾次長】
 はい。こういったことが、こういうところでやられていますよということはお答えしたいと思っております。

【高尾委員】
 一つの事例ですが、民間ユネスコ協会として、北関東の3県、群馬と茨城と栃木の児童を対象に、自然と動物の関わりについて、葉脈を使った楽しい理科の体験教室を実施しています。実施しての反応も大変手応えの有るもので、身近な自然に興味関心を持ってくれる事が分かりました。アンケートもとっています。
 今後は、センターの協力支援のもとに、具体的な活動が分かり活性化が図れると言うことの理解で良いのでしょうか。

【柴尾次長】
 ESDに関連付けていただきましたら、どんどん私どものウェブサイトでも御紹介したいと思いますので、使っていただくというのは、双方向でお願いしたいと思います。

【見上教育小委員長】
 いろいろ御意見ありがとうございました。時間の方もございますので、これだけは是非というのはございますでしょうか。よろしいでしょうか。中西委員長の方からよろしいですか。

【中西普及活動小委員長】
 大丈夫です。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。そのほか、特に御報告、御審議いただきたい案件は、こちらにはないんですが、よろしゅうございますか。事務局、よろしいですか。

【鈴木国際統括官補佐】
 はい。

【早川委員】
 すみません。ちょっといいですか。

【見上教育小委員長】
 はい、お願いいたします。

【早川委員】
 今日の1の部分に戻るんですけれども、今日お話を伺っていて、活動の活発化ということが割と目的化しているという感じがするんですけれども、まだESDに関心のないところに広めていくためにどうするかというところが非常に大事になってくると思うんです。恐らく、お話を伺っていて、なかなか子供の成長の姿が見えないというところが、報告の中に、活動はしています、こんなことはやっています、こんなこともやっていますということは報告として上がってくるんだけれども、その成果として、子供たちの教育にとってどうなんですかみたいなことが、少し見えるような形で説明されるか、資料を作るのはすごく難しいことだと思うんですけれども、恐らく取組に躊躇している学校とかは、やったところでどうなんだよというところが、理念としていいことは皆さん分かることではあると思うんですね。だけど、実際に取り組んだことによって、子供たちがどう変わるんですか、やることに意味があるんですかみたいなことが、多分分からないがために、なかなか踏み込めないというところがあるのではないかなということも思うので、こうした資料を作るというのは非常に大変なことではあると思うんですけれども、そうした子供の姿が見える格好の見せ方というのかな。そういうのも少し工夫が要るのではないかという気がするんです。
 及川さんとか、時々話を聞くと、リアルに子供が成長した姿の話を伺えるので、それは効果があるんだろうなというのは、私自身は分かるんですけれども、それを世の中の人が広く知らないことには、とにかくこのESDは膨らんでいかないのではないかな。そんな気がしてならないので、少し余計なことかもしれないんですけれども、意見として言わせていただきました。

【高尾委員】
 すみません、同じ点につきまして。

【見上教育小委員長】
 はい、それに関わって。

【高尾委員】
 先ほど少し話しましたけれども、いろいろな取組をしたときに、子供たちにアンケートを渡しています。そのアンケートは、取り組む活動により、1,000人とか、2,000人という子供たちを対象にしますので、かなり意図するものが結果として出てきます。それらをまとめニュスレターのような形にして発信しています。
 早川先生もおっしゃっていましたが、結果や成果が分かる事は、今後の事業を考えた時にとても大事な事ですので、一つの例として参考までに資料としてお持ち出来ればと思います。

【見上教育小委員長】
 ありがとうございました。今の御指摘は非常に大事な点だと思います。ですから、どうESDをやって、子供がどう変容したかということを、各学校のESDの活動でも、そのことを情報発信していただく。あるいは、全国レベルでは、ユネスコスクールの全国大会があります。そういうところでも、子供たちがどう変わったか、こういったことを積極的に出していただく。また、私の手持ちの情報では、学校の先生方や研究者も入って、そういったことを研究しようというESD学会の動きもございます。そういったことで、今後、御指摘のあった非常に重要な点ですので、みんなでそのあたりを勉強しながら、より子供たちの教育に反映されるような形、効果的にどうするかということを考えていく機会ができたらと思います。ありがとうございました。
 それでは、最後に事務局より、今後の予定について、お知らせいただければと思います。

【鈴木国際統括官補佐】
 2月24日、金曜日でございますけれども、午後2時半から第140回、日本ユネスコ国内委員会総会が開催の予定でございます。場所は、ホテルルポール麹町でございますので、御出席いただける方はお間違いないようにお願いいたします。以上です。

【見上教育小委員長】
 それでは、これで閉会とさせていただきます。本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、本当にありがとうございました。お疲れさまでございました。

―― 了 ――


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