附属資料4 ユネスコスクールのさらなる活性化に向けた論点整理(案)(第141回教育小委員会資料)

ユネスコスクールのさらなる活性化に向けた論点整理(案)

1 現状の課題

 我が国のユネスコスクールは、2006年以前は15校であったが、ESDの推進に関する国内委員会の提言*やESDに関するユネスコ世界会議の開催などをきっかけに数を増やし、1,120校(集計精査中)と世界でトップレベルの登録数に達するほどユネスコスクールの取り組みは発展してきた。一方、世界のユネスコスクールの1割を占めるようになった現状において、数そのものよりはむしろ、質の確保が強く求められる段階になってきている。特に以下の点について、改善が必要と思われる。

*「持続発展教育(ESD)の普及促進のためのユネスコ・スクール活用について(提言)(平成20年2月日本ユネスコ国内委員会教育小委員会持続発展教育(ESD)の普及促進のためのユネスコ・スクール活用に関する検討会)

  • 申請・登録時には活発に活動していた学校も、月日が経つにつれ、ユネスコスクールとしての活動が継続されているかどうかが不明な学校がある等、登録後の活動状況のフォローが十分に行われていない。
  • ユネスコスクールはESDの「拠点」と位置付けられているが、海外のみならず国内の他の学校とネットワークのない学校も少なからず存在し、拠点としての役割が曖昧になっている。
  • ESDの側面が強調されるあまり、国際交流・協力に関する活動の弱さをユネスコ本部にも指摘されている。
  • 国際的なつながりを支援する目的等で立ち上げられたユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)が、ユネスコスクールの審査と支援の両方を担っており、難しい立場に立たされている。
  • チャレンジ期間を終了した学校について、ユネスコ本部に申請書を送付しても、世界のユネスコスクールの1割をすでに日本が占めている現状の中で、本部における新規登録の手続きがスムーズに進められにくい状況が続いている。
  • 登録可否の判断を行うためのプロセスや登録基準が明確に確立されておらず、登録申請の却下や登録の取消しに関する判断が事実上難しい状況にある。
  • 地域によって登録数のばらつきが大きい。日本国内全体でのユネスコ活動の推進拠点としての役割を期待するのであれば、地域バランスに関する検討も必要。

2 今後の方向性

 新しい学習指導要領にはESDが位置づけられ、すべての学校が「持続可能な社会の創り手」に向けた教育活動を目指すこととされている。また、情報機器の環境整備や英語教育の充実に伴い、国内外の学校間のネットワークづくりのハードルは以前よりも低くなってきている。
 こうした状況において、ユネスコスクールには、他の学校のモデルとして目指すべき質を伴った活動が期待される。このため、下記のような点も含め必要な対応をご議論いただきたい。

(1)現状の質と量を踏まえた、ユネスコスクールの意義や役割の再定義

(2)教育小委における審議を踏まえた登録基準の明確化と審査体制づくり

(3)ユネスコスクールの活動を活性化するための仕組みづくり

  • ESDの「拠点」として期待される各校の国内ネットワークづくり
  • 地域における国際交流・協力活動との連携(姉妹都市なども含む)
  • 環境教育をテーマとする学校が多数ではあるが、学校や地域の特色を生かしたより多様な教育活動を通じて、国内外のユネスコスクール同士が切磋琢磨するような仕組みづくり
  • 国内制度の在り方(独自の国内登録制度の検討や、サステイナブルスクールの活用など)

(4)関係機関の役割の整理

  • 日本ユネスコ国内委員会、ASPUnivnet、ナショナルコーディネーター、ユネスコスクール拠点・事務局(ACCU)それぞれに期待される役割の明確化
  • 活動の質の確保のために、ユネスコスクール拠点・事務局やナショナルコーディネーターに期待される能力の確保
  • 教育委員会との連携の在り方や、地域ユネスコ協会や民間団体との連携の在り方

(5)今後の方向性を踏まえた具体的な移行措置(主に次回ご議論いただく予定)

 

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