教委懇28.1-2 第38回ユネスコ総会の結果について(概要)


1.馳文部科学大臣のユネスコ出張について

1.出張日
平成27年11月5日(木曜日)~11月7日(土曜日)

2.出張先
フランス・パリ

3.用務
第38回ユネスコ総会へ参加

4.概要
11月5日(木曜日)~7日(土曜日)にかけ、第38回ユネスコ総会に出席。
ユネスコ総会においては、一般政策演説を行ったほか、ボコバ事務局長との協議や、各国の教育・科学技術・文化・スポーツ担当大臣とのバイ協議を行った。また、我が国の支援によりユネスコが創設した「ユネスコ/日本ESD賞」の表彰式に出席した。

(1)一般政策演説(11月5日)
一般政策演説においては、ESD(持続可能な開発のための教育)の推進や途上国への教育支援、サステナビリティ・サイエンスの推進を含む科学分野の推進、遺産保護事業を通じた文化多様性の促進、スポーツの推進と東京オリンピック・パラリンピックの開催等について述べた。
また、記憶遺産事業の在り方について、ガバナンスや透明性の向上を含む改善を早急に実現するよう、加盟国に呼び掛けるとともに、事務局長による強いリーダーシップを要請した。

(2)ボコバ事務局長との協議(11月6日)
馳文部科学大臣より、ユネスコ記憶遺産への「南京事件」に関する資料の登録について、改めて、我が国として極めて遺憾である旨をボコバ事務局長に伝え、記憶遺産事業の改善を強く働き掛け、日本とユネスコが透明性の向上など制度改善の必要性について問題意識を共有するとともに、ユネスコ事務局が見直しに向けて検討に着手したことを確認した。
また、ボコバ事務局長に本年5月のG7教育大臣会合への参加を要請した。

(3)各国の教育・科学技術・文化・スポーツ担当大臣との会談
ノルウェー、フィンランド、フランス、アラブ首長国連邦の教育・科学技術・文化・スポーツ担当大臣とバイ会談を行い、記憶遺産事業の見直しや、教育、文化、スポーツ等に関する関心事項について意見交換を行った。

(4)ユネスコ/日本ESD賞授与式(11月5日)
ユネスコ/日本ESD賞は、優れたESDの取組を世界に広めるため、日本政府の支援により、2014年10月のユネスコ執行委員会で創設され、ESDに関するユネスコ世界会議(2014年11月に名古屋市で開催)において、下村前文部科学大臣が公式に創設を発表したもの。
第1回授賞式には、グアテマラ・エルサルバドル、インドネシア、ドイツの3団体の受賞者が出席し、馳文部科学大臣より副賞を授与した。


2.日本ユネスコ国内委員会会長ステートメントの手交について

11月1日~2日にかけて、安西日本ユネスコ国内委員会会長が、第38回ユネスコ総会に出席した。
総会中、各国のユネスコ国内委員会関係者が一堂に会する国内委員会会議に出席するとともに、ボコバ事務局長と会談し、「ユネスコ創設70周年にあたっての提言-多様性の尊重と持続可能な社会の実現に向けて-日本ユネスコ国内委員会会長ステートメント」をボコバ事務局長に手交した。本提言では、ユネスコに対して、「知的リーダー」として、新たな時代の国際社会の形成に貢献していくべきとするとともに、持続可能な社会や多様性を尊重する社会の実現への貢献を求めた。


3.第38回ユネスコ総会におけるその他の主な決定事項について

(1)「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)の推進について
平成27年9月、各国首脳が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)に基づき、ユネスコにおいて、関係分野における各国の取組を主導していくことを確認。教育分野については、別途ハイレベル会合が開催され、「教育2030行動枠組み」を採択。また、本枠組の中でのESDの役割の重要性に鑑み、ユネスコ総会においてあいち・なごや宣言を支持する決議を採択。

(2)ユネスコ世界ジオパークの正式事業化
地層、岩石、地形、火山、断層など、地質学的な遺産を保護し、研究に活用するとともに、自然と人間との関わりを理解する場所として整備し、科学教育や防災教育の場とするほか、新たな観光資源として地域の振興に生かすことを目的とした「世界ジオパーク」について、「ユネスコ世界ジオパーク」として正式事業化することを決定。
※ユネスコ世界ジオパークについて
・2015年11月現在、33か国・120の世界ジオパークが登録。日本からは、8地域(洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、山陰海岸、室戸、隠岐、阿蘇、アポイ岳)が世界ジオパークとして登録。
・正式事業化後は、審査業務については、世界ジオパークネットワークとの連携の下、ユネスコ世界ジオパーク・カウンシルが行い、認定については、同カウンシルの勧告を踏まえ、ユネスコ執行委員会が行う予定。


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