日本ユネスコ国内委員会 第145回教育小委員会 議事録

1. 日時

令和3年9月2日(木曜日)14時00分~16時00分

2. 場所

オンライン開催

3. 出席者

(委員)
秋永委員、石井委員、市丸委員、漆委員、片山委員、萱島委員、古賀委員、杉村委員、道傳委員、東川委員、見上委員、山口委員、吉田委員

(事務局)
田口事務総長(文部科学省国際統括官)、町田副事務総長(文部科学戦略官)、石田事務局次長(国際統括官付国際戦略企画官)、堀尾事務総長補佐(国際統括官付国際統括官補佐)、原事務総長補佐(国際統括官付国際統括官補佐)、新免事務総長補佐(国際統括官付ユネスコ協力官)、その他関係官

4. 議事

【杉村委員長】  皆様、こんにちは。本日は、御多忙中のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【原国際統括官補佐】  本日は、現段階で出席の委員が11名で、既に委員の過半数ですので定足数を満たしております。
 なお、萱島委員は少し遅れて御出席の予定です。
 また本日は、議題5で御説明いただく予定の公益社団法人ユネスコ・アジア文化センターの大安部長に御出席いただいているほか、外務省及び環境省からオブザーバーとして御参加いただいております。
 また、一般からの傍聴については、YouTube配信にて御覧いただいております。
 オンライン会議ということで、委員の皆様方にはお手数ですが、御発言いただく際に、お名前を名のってから御発言いただきますようよろしくお願いいたします。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまより第145回教育小委員会を開催いたします。
 本日の議事進行をさせていただきます、教育小委員会委員長の杉村でございます。至りませんが、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、議事に先立ちまして、事務局の異動がありましたので、事務局から御報告をお願いいたします。
【原国際統括官補佐】  事務局の異動について御報告いたします。本年4月1日付で、町田大輔文部科学戦略官日本ユネスコ国内員会事務局副事務総長、新免寛啓国際統括官付ユネスコ協力官、三島花国際統括官付ユネスコ振興推進係主任、宮田聖未国際統括官付企画係、及び私、国際統括官補佐の原が着任しております。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 それでは、田口国際統括官から一言御挨拶を頂戴できれば幸いでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【田口国際統括官】  どうも皆さん、こんにちは。よく考えてみると、もう3月以来の御無沙汰ということで、皆様、御多忙の中、この会に参加いただきありがとうございます。
 おかげさまをもちまして、本年3月の総会では、ユネスコスクールの新たな展開について今後の新しい方向性を打ち出すことができたと思ってございます。改めて委員の皆様には感謝申し上げたいと思います。
 本日は、最近のユネスコの教育関連の活動について報告をさせていただくとともに、11月にパリで開催が予定されてございますユネスコの総会に向けまして、文部科学省それから外務省から諮問させていただいているユネスコ総会における我が国の基本方針、これについての答申案を御議論いただきたいと思ってございます。
 後ほど議題の中でも報告いたしますけれども、教育分野におけるユネスコの活動は、最近、大きな2つの動きがございました。1つは、昨年から1年送りになったわけでございますが、5月にESDに関する世界会議が開かれました。ベルリン宣言のドラフティンググループ、ドイツと共に共同議長を務めたほか、会議の本番では、萩生田文部科学大臣、杉村委員長をはじめといたしまして多くの日本の専門家や教員の方々に御登壇いただきました。
 それからもう1つは、7月にユネスコのグローバル教育会合、GEMと言っておりますが、その大臣会合が開催されまして、SDG4を達成するための新たな枠組みの採択がございました。この準備段階におきましては、吉田委員に日本代表として終始、議論をリードいただきまして、その結果、この大臣会合でも萩生田文部科学大臣が開会の挨拶を行うということになりました。本当にありがとうございます。パンデミックからの教育の復興というのは言うに及ばす、SDGsの達成に向けた世界レベルでのESDの推進、あるいはSDG4を達成するための新たな国際的システムの構築に向けて、教育分野におけるユネスコの活動は次回の総会が大きな節目になると考えております。2年に1度のユネスコの総会に向けた議論でございますので、委員の皆様におかれては、ぜひ本日の会議で忌憚なき御意見を頂戴できますと幸いでございます。
 本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【杉村委員長】  田口国際統括官、ありがとうございました。
 それでは、本日の会議の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。
【原国際統括官補佐】  資料の1ページ目、議事次第を御覧ください。資料につきましては、議題1から6に合わせて配付させていただいております。また、議題4については附属資料の1-2、議題5については附属資料の3を御用意しております。また参考として、参考1から4として委員名簿等をお送りさせていただいております。不足等ございましたら事務局にお知らせください。
 以上です。
 
<議題1.第211回ユネスコ執行委員会(教育分野)の結果等について(報告)>
<議題2.持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議の結果について(報告)>
<議題3.ユネスコ・グローバル教育会合(GEM)大臣会合の結果について(報告)>
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に移らせていただきます。まず初めに議題1、第211回ユネスコ執行委員会(教育分野)の結果等について、そして続けて議題2、持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議の結果について、さらに議題3、ユネスコ・グローバル教育会合(GEM)大臣会合の結果について、3つの議題につきまして、事務局のほうからまとめて御報告、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  すみません、事務局、企画官の石田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1を御覧ください。まず3つの頂いた議題のうち1つ目、ユネスコ執行委員会の結果についての御報告でございます。資料1にございますけれども、第211回のユネスコ執行委員会は、本年4月7日から4月21日、ユネスコ本部で行われました。今回はコロナということでオンライン開催となりまして、現地でユネスコ政府代表部が全て対応するという形での開催となっております。
 改めてでございますけれども、ユネスコ総会に次ぐユネスコの意思決定機関ということで、春と秋と原則2回やっておりまして、今回、春の回ということでございました。我が国は執行委員国を務めておりますけれども、今回、尾池大使が中心になりまして対応していただき、また行財政委員会の議長も務めているということで、日本のプレゼンスの高い会議でございます。
 特に、この結果の中で、本委員会に関わります教育関係の議題をこちらに抜粋して資料にさせていただいております。その中でも幾つか申し上げれば、1つ目、「教育の未来」というレポートを今まとめているところでございますけれども、青柳元文化庁長官に日本からは参加していただいて、議論いただいているところでございます。
 それから、その3つ下、議題9でございますけれども、この後の議論にも出てまいりますが、我が国のユネスコの課題において、特に70周年を機に若者にしっかりユネスコ活動に入っていただくということが課題だということで、国内委員会の総会でもお話がありましたけれども、それに係る議題として、ユースフォーラムという若い世代を集めたフォーラムを実施しているのですが、それについての議論がなされたということです。若干、参加者の選び方について議論がありましたので、結論に至っていないという状態にはなっておりますけれども、現下に聞いている限りでは、開催される方向で今、準備をしているということですので、可能であれば、ここにしっかり日本からも参加していき、これまであまりユースフォーラムに着目していなかったのですが、しっかりと日本でも活用していくという方向で考えたらどうかと考えております。
 それからその次、議題の38、それからその次のページの一番下、条約勧告委員会となっております議題21と同じ話でございますけれども、1974年勧告という「国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告」という勧告がございます。これは1974年、古い勧告でございますけれども、かなり思いを持ってこれまで扱われてきた勧告でございますが、事務局からの提案で、今般のコロナの蔓延等新しい状況を踏まえてしっかり調査をした上で、この改訂を考えていってはどうかというような提案がなされて、それについて賛成されたということでございますので、これについて今後、中長期的に日本としてもしっかりと見ていかなければいけない課題が選ばれたということでございます。
 大きなポイントとして幾つか紹介をさせていただきました。
 それから、続きまして、2つ目の議題でございますけれども、持続可能な開発のための教育に関するユネスコ世界会議の結果についての御報告をさせていただきます。資料2-1を御覧いただければと思います。こちら、概要をお示ししておりますけれども、5月の17日から19日、ユネスコとドイツ政府の主催でオンラインで最終的には開催されることになりました。161か国から閣僚70名を含む2,800人が参加ということで、非常に大規模な会議になっております。先ほど国際統括官からの挨拶にもございましたけれども、この会議におきまして、新しい2020年からの枠組み、「ESD for 2030」が開始されるという位置づけを持つ会議であります。
 我が国も、ESDの提唱国であり、またリードしてきたという立場から萩生田文部科学大臣が出席いたしまして、我が国の取組を紹介いたしました。このポイントについては、この小委員会でも、一体日本が、このESDの世界会議においてどのポイントをPRしていけばいいのかという辺りをまさに御議論いただいて、その頂いた結果を踏まえて萩生田文部科学大臣の発言につなげさせていただいたところでございまして、改めてお礼を申す次第でございますけれども、3つのポイントについて発言いたしました。一つ目は、ESDの理念が日本では公式に学校教育の中に位置づけられているということです。次に、ESD円卓会議、あるいは関係省庁連絡会議といった形で、教育分野を担当する文部科学省だけではなく、外務省や環境省、いろいろな省がオールジャパンで対応しているということがほかの国にない強みではなかろうかということ、最後に、学校と地域が連携して地域の課題を学校でも解決していくという学校の機能について、日本独自の考え方として、こういった地域課題の解決に学校が役立っているということ、こういった話を3点絞って報告いたしました。
 全体のプログラムは資料2-2を御覧いただければと思いますけれども、今申し上げた大臣のセッションは1日目にございましたが、そのほかにも多くの方が日本から登壇して、またシンポジウム等に参加いただきました。赤字で書いてあるところでございますけれども、例えば2日目には、環境省からの御参加もございましたし、その下の辺りですが、日本の高等学校教員の方、あるいはIICBAの横関所長も出席されたということ。それから次のページ、3日目になってまいりますけれども、本小委員会の前委員長代理でございました東京大学の及川研究員がパネリストとして御参加されたほか、岡山大学がユネスコチェアとして取組を紹介されました。そして、最後ですけれども、杉村委員長のほうからも日本の取組について全般的な御発表を頂くということで、かなり日本からのプレゼンスを示せるような会議になったかと思っております。
 ここに書いておりませんけれども、オンラインということもありましたので、オンラインブースも設置できるということでしたので、日本のブースも作らせていただいてPRをさせていただきました。
 ちょっと資料だけでは雰囲気が分かりませんので、雰囲気だけではございますけれども、ユネスコのほうで、この会議についての動画を作っておりますので、若干一、二分、雰囲気を見ていただければと思います。全部英語でございますので、感じだけでもつかんでいただきたいと思いますので流させていただきます。こちら、傍聴者の方も御覧いただけるということですので、このまま御覧いただければと思います。
 では、よろしくお願いいたします。

(動画再生)

【石田国際戦略企画官】  ありがとうございました。
 こういう形で紹介ビデオがありまして、日本からの発言も取り上げられています。
 御覧いただけましたようにドイツで実施しました。御存じのとおりESDは国によって若干のニュアンスの違いがございます。ドイツでありますと、やはり環境への貢献というところに若干焦点が当たりますので、そういったビデオになっておりましたけれども、SDGs全ての達成に寄与するという我が国の立場は確認されておりまして、成果文書ということで資料2-1に戻っていただければと思いますが、会議最終日にベルリン宣言が採択されております。こちらのESDに関するベルリン宣言の内容といたしまして幾つかございますけれども、SDGs全ての目標達成の鍵であるESDを推進していくのだということで、ESDの考え方について改めて確認をされたところでございます。
 詳細は、資料2-3にベルリン宣言の実際のもの、仮訳でございますけれども、日本語をつけてございますので御覧いただければと思いますが、今申し上げたポイントは前文の4のところに記載をされております。
 そのほか、全体かなり細かくございますけれども、幾つかポイントを申し上げれば、資料の7ページ、bのところでございますが、学校教育のあらゆる段階、特にノンフォーマル、インフォーマル教育、我が国で言うところの社会教育といったものにもしっかりとESDを関わらせるのだということ。それから先ほど申し上げたようにdのところでございますけれども、ESDの力を使って社会を再設計するのだと、社会の変革をESDがもたらすのだといった視点。あるいはその下、gでございますけれども、ESD推進のためには教師が重要な役割を果たすのだということで、教師に対するキャパシティ・ビルディングが必要だと、これは我が国から申し上げて入ったという経緯がございますが、こういった話があります。それからnのところ、8ページでございますけれども、様々なステークホルダー・グループ間のネットワークを強化すると、それが大きく示されております。
 最後、今後の取組というところがございますけれども、8ポツにございますが、例えば今年もありますけれども、国連の気候変動枠組条約でありますとか、あるいは生物多様性条約の締約国会議等で、このESDの考え方をしっかりとPRしていくのだというような次のステップについて触れられているところでございます。
 これにつきましては、後ほど出席された杉村委員長からも少しお話しいただければと思っております。
 それから最後、3点目でございますけれども、議題の3でございます。ユネスコ・グローバル教育会合、GEMと言っておりますが、大臣会合の結果についての御報告となります。こちらは昨年来コロナがあったこともきっかけとなり、ユネスコにとどまらない教育の途上国への支援の在り方をしっかりと議論し、その協調を図っていくという議論が続けられておりました。その結果、7月13日に、この大臣会合がオンラインで開催をされまして、1つの方向性が出されたところでございます。
 概要の1つ目の丸のところにございますけれども、要はこのSDG-教育2030ステアリング・コミッティといった機構がありましたが、この機能の強化をしていくというような新たな方向性が決定されたというところでございます。こちら、広島大学の吉田先生、今日も参加いただいておりますけれども、今のステアリング・コミッティの共同議長として非常に御発言をしてきていただいております。そういったこともあって今回、最後の教育大臣会合ということで、日本の萩生田大臣も開会でアズレー事務局長に続いて発言をさせていただきまして、SDG4、つまり教育のゴール実現のために国際協調が重要だということ、それからこの方向性が出されたことを歓迎し、ESDの役割についても改めて強調するといった発言をいたしたところでございます。
 これにつきましては、吉田先生にかなり御尽力をいただきまして、かなり夜遅い会合もございましたけれども御参加を頂いて、また我々自身もどういった方向でこれを考えていけばいいのかということで相当お知恵を頂いたところでございますが、その吉田先生からも閉会の御挨拶があったということでございます。
 成果でございますけれども、詳しくは資料3-2のほうを少し御覧いただければと思います。成果文書の仮訳をつけさせていただいておりますけれども、ポイントは、14ページの下、5ポツのc以降がコアの部分となってまいりますが、コーディネーションのメカニズムの強化のために具体的に何をやるのかということで、エビデンスに基づいた政策でありますとか、あるいはユネスコ以外の教育支援機関、この会議にはワールドバンクとかユニセフとか入っておりましたけれども、そういったところが持つデータや財政指標において協調していくというような、そういうターゲットが明確になるとともに、進めていく行動としてハイレベルのステアリング・コミッティを作っていきましょうということで、大臣級のステアリング・コミッティのグループと、それからシェルパグループということで実務的なグループ、それから国際機関の事務局が入ると、こういった構成を作っていくことが決まったところでございます。
 ただ、しかしながら、具体的にこれをどういうふうに進めていくのかという細かい詰めについては、まだこれからという状況でございまして、実際に11月に新しい仕組みでの第1回の会合が行われますけれども、それに向けてさらに議論が進められていくという状況でございます。
 若干、所感的に申し上げさせていただきますと、今回の議論の中でユネスコがほかの国際機関との協力をさらに進めていくという議論が始まったわけですけれども、実際、途上国や国レベルで一体どういうふうに協調が進むのかというところまで、これを進めて議論ができたのかというところが課題になったというような話を聞いておりますが、他方、これを振り返って考えてみますと、私ども文部科学省がこの会議に出ていろいろ議論に参加したということではありますけれども、国内を振り返ってみても、文部科学省の立場からするとユネスコに拠出金という形で出しているという観点から見てはおりますが、例えば現場でいろいろやっておられるJICAさんとか、過去の状況をよく御存じの外務省さんと、そういったところとしっかり話ができていたかというところがちょっと反省すべきであって、我々のほうも新しい仕組みになるにつれて、その辺りを強化していかないといけないのかなという感想を持ったところでございます。これにつきましても、後ほど吉田委員のほうからお話をいただければと思っております。
 いずれにいたしましても、まず事務局からは以上でございます。
【杉村委員長】  石田国際戦略企画官、御丁寧な御説明をありがとうございました。
 ただいまの御報告の中で、議題2のESD世界会議でございますが、大変僭越ながら私もスピーカーとして出席させていただきましたので、簡単に所感を述べさせていただきます。
 私が参加したのは、特に中等教育のESDに関するセッションでしたけれども、本当に大変感銘を受けたのは、まさに北欧の、あるいはヨーロッパ、あるいはその地域だけじゃなくて世界から実践報告、特に実際に中学生の方が参加されて、本当にもしかしたら一番立派に、自分が受けたESDの教育について述べられたり、それについての、先生が一緒に出てこられて、実践を交えながら包括的な討議ができたというところがとても印象深く思ったところです。
 私の報告の中では、日本の実践ということで、中等教育の部会でしたので、池田高校、階上中学校、そして福島にあります只見中学校の例などを挙げさせていただきながら、日本の政策の取組と、それから日本の実践に特徴的な、例えばESDカレンダーだとか、それから先般大きく動き出しましたESDを含めた新学習指導要領の骨子、それから、これについてはいろいろな方に御協力いただきましたが、実際の現場でESDをやってみてどうだったかという調査統計なども含めながら報告をさせていただいたのですが、やっぱり一番強く感じたのは、冒頭申し上げたとおり、実際に教育を受けていらっしゃる生徒さんからの声を中心に、皆さんが、もっと世界の実践をつなげていこうという声が出たのが私たちの部会ではとても印象的でしたし、併せて日本の実践に対しても、実は会議はオンラインでしたけれども、会議の最中に早速チャットでヨーロッパの先生から、「日本のこういう学校と自分たちはつながっているんだよ」みたいな書き込みがあったりというように、とても連携やつながりを大事にしていきたいという思いがあふれたセッションだったように思います。それは今、石田企画官から御報告いただいたとおり、会議全体でも、今こんな中なのですけれども、だからこそつながれるものを大事にしていこうという皆さんの思いが、まさにこれはESDの精神にも通じるものですが、あったように思います。
 ちょっと雑駁な感想ではございますが、本当に実りある、しかもいろいろな教育の歴史の中でもSDGsの展開に合わせてESDの大切さを世界中の人が共有できた会議であったように思いました。
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、併せて今、御報告のありました議題3のユネスコのグローバル教育会合のほうに吉田先生が大変御活躍になられた旨、御報告がありましたとおりです。閉会の御挨拶も務められたということで、吉田先生のほうからぜひ御報告を頂ければと思います。吉田先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。
 先ほど石田企画官から御説明のあったところですので、私のほうからごくごく簡単に追加的な報告をさせていただきます。
 この7月13日に行われましたグローバルエデュケーションミーティング、大臣級の会合をオンラインで行ったわけですけれども、大きな3つの議題というのがもともと予定されていました。一番大きな目玉だったところだけ報告しますけれども、これまでSDG-教育2030ステアリング・コミッティという私が共同議長をさせていただいていたものをどのようにもう少し有効なものにしていくのか。裏を返せば、これまで2015年以降の5年、6年の間に十分進捗があったのかというと、このままでは目標が達成されないのではないか、こういう観点から、もっと強力なリーダーシップを持たなければいけないですとか、あるいはユネスコの事務局としての機能をもっと強化しなければいけないですとか、それから様々な国際機関あるいは組織ともっと強く連携していかないといけない、こういう問題意識から、この機構を改定するというところを議論したものです。
 次のスライドをお願いします。3枚だけですので、ごく簡単にお話しさせていただきます。
 この左側の真ん中にあるSDG4-Education2030ハイレベルステアリングコミッティ、特に名称をこれとするというふうに決めているわけではありませんけれども、仮にこのようなものとして、これまで私も含めて技術的な教育分野の専門性や経験を持った人を各加盟国代表であったり組織代表から得ていたわけですが、そしてまた加盟国の地域代表は現存の機構としては4議席あったのですけれども、これを2つにすると。そして併せて代表は大臣級とすると。その下でシェルパグループが技術的な補佐をする。こういう形を取りながら、エビデンスに基づく政策あるいはデータを活用していく。このデータの活用というのは、特にやはりSDG4の成果につなげるためには、どういうふうにしたら成果が起こるのかというときに、やはりもう既存の、こうすればうまくいくというデータをもっと有効に使っていく。そのためには、そういったデータを提供しなければいけない。こういう意識に基づいて行われました。そしてユネスコは資金動員について、もっとリソースモビライズしなければいけないということについて一生懸命声は出すのですけれども、なかなかユネスコ自身が実際にお金を持っているわけではないので、例えば教育分野で言うとGPEであったり世界銀行であったり、そういうところと一緒に何かをしていくというときに、どうもセカンダリーなプレゼンスになってきていたと。ここをもっと抜本的に変えていかなければいけないということで、そういうGPEや世界銀行も、このステアリング・コミッティに入ってはいるのですけれども、いろいろな場において、左下にあるMultilateral Education Platform、ここにまたいろいろな国際機関が入っているわけですが、そういうものともより強く連携して、そしてまた右下にありますグローバルエデュケーションフォーラム、これは国連に対しての教育分野の特使であるゴードン・ブラウンさんを中心とした動きですね、こういうところとも連携を強化して全体の推進をしていく。そしてその結果を国連レベルではハイレベル・ポリティカル・フォーラムと連携する。そして教育分野においては全加盟国が参加するグローバルエデュケーションミーティングに報告し、また支持を得ると。こういう形で、これ、基本的にそんなに今のものと大きく変わっているわけではないのですけれども、やはり大臣クラスを正式なメンバーとして、その代理の出席は基本的に認めないということを強く打ち出している点が大きなポイントかと思います。
 次のスライドをお願いします。これで最後ですけれども。
 これで私が参加させていただいていたステアリング・コミッティとしては任期が最終的に終わるわけですけれども、やはりこの数年間、こういったステアリング・コミッティに日本が参加してきたことの意義というのは非常に大きかったと思います。日本ならではのメッセージというのを打ち出すという意味では、何よりもそのSDG4の中にESDという言葉をしっかりと入れ込めたというのも、このステアリング・コミッティ一連の動きがあってこそのことだったと思います。
 それから国連の場でも教育分野について発信する当事者になれたと。こういうときに、じゃあどういうふうに発信していけばいいのかということについても、なかなかステアリング・コミッティとしてだけ議論しても始まらなくて、いろいろなインタレストグループ、女性であったりユースであったりいろいろなグループがあって、そういうところと連携をしていく、あるいは複数の国連加盟国と連携していく、こういう結構戦略的にいろいろ動かないとなかなか意見は通っていかない非常に厳しい場であるというようなことも個人的にも教訓として得ました。
 そして、このステアリング・コミッティもそうですけれども、COVID-19に対しての対応というのは非常に迅速に行ってこられたというのは教育分野の一部強みではあると思われる一方で、やはりその対応の仕方が、もともとそれぞれの社会が持っている脆弱性、あるいは弱い者に対しての手の差し伸べ方の弱さ、こういうものをさらにまた露呈しているというのが今のCOVID-19対応の現実であり、限界ではないか。裏を返すとそういうところを、ニューノーマルになっていくということが避けられないような事態の中で、そもそも元々持っていた問題に対しても有効に対応できるような仕組みをこの今の段階からしっかり見ていかないと、なかなかこのCOVID-19対応が教訓として生かされていないのではないかと思いました。
 最後に、今後への期待ですね。石田企画官もおっしゃったとおり実践が全てだと思います。各国において、どうしても教育の重要性がセカンダリーになってしまいがちな中で、教育を真に優先させて、そしてそれを実施して成果を出していく。こういうところに向けて新しい機構がどのようにナビゲートしていくのかというのは引き続き大きな課題だと思います。そして教育がSDGs全体の実現のkey enablerであるということをどのように実現していくのか。そしてお金を増やそう、増やそうという議論がものすごく多いのですけれども、もっと大事なのは、それをどういうふうに有効に活用していくか。そこに向けての知見をどのように生かしていくかですね。これらにおいて、私は引き続き日本の果たすべき役割というのは非常に重要なものだと思います。できればこういったステアリング・コミッティの中に入って貢献していくのがいいとは思いますけれども、それがかなわないような場合であっても様々なツール、ルートを使って、また貢献していく場を確保していっていただきたいと切に期待しているところです。
 ありがとうございました。
【杉村委員長】  吉田先生、本当にありがとうございました。
 それでは、ただいまの議題1から3の説明につきまして、御意見、御質問ある先生方、ぜひお願いしたいと思います。その場で挙手、または挙手ボタンを押していただけますようにお願いいたします。説明は事務局のほうからしていただきます。いかがでございましょうか。
 それでは、また後ほど、今後のことについても今日はちょっと御議論いただくことになりますので、今の御報告内容を踏まえながら、またもし続けて御意見、御質問等ありましたら、後ほどまた頂戴できればと思います。
 
<議題4.第2期ESD国内実施計画及びESD推進の手引について(報告)>
【杉村委員長】  それでは、続きまして、議題の4、第2期ESD国内実施計画及びESD推進の手引の改訂について、これも御報告になりますが、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。企画官、よろしくお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。
 それでは、資料4-1、4-2を御覧いただければと思います。関連する附属資料は、附属資料の1と2になっております。
 まず1つ目でございますけれども、資料4-1第2期ESD国内実施計画でございます。こちらの計画につきましては、先ほども申し上げましたけれども、本小委員会で何度も御議論いただいた案件でございますし、また、この小委員会のみならずESD円卓会議などで御議論いただき、最終的には関係省庁連絡会議で決定をしたというものでございます。
 内容については、若干繰り返しになるかもしれませんけれども、第2期ということで、オールジャパンで我が国のESDを推進していくための計画ということでございます。
 先ほど来申し上げておりますけれども、ESDについては「ESD for 2030」という新しい国際的な枠組みができました。これを受ける形で作るということでございました。
 特にポイントとしては2つございますけれども、ESDを実践するために多様なステークホルダーを巻き込むと。それからもう1つは、ステークホルダーごとに具体的な取組が様々なされているわけですけれども、これを5つの優先分野に整理して計画として作るというようなことが挙げられておりました。
 下に5つ枠がございますけれども、政策の推進というところであれば、例えば教育政策へのESDの位置づけを様々な計画等に位置づけるといった、国の枠組みにしっかりとESDというのを当て込んでいくということが書かれています。あるいは3番目の教育者の能力開発ということであれば、この後少し触れますけれども、教育の場で先生方がESDを推進しやすくなるような手引を作っていくというようなこと。あるいは4番目のユースのエンパワーメントということであれば、ここについては日本としてはこれからというところがございますけれども、ESDの文脈で言うと国立青少年教育振興機構さんのほうで様々なプログラムを作っておられたりしますので、そういったことをしっかりとやっていただくというようなこととか、様々な施策を整理させていただいて、今の我が国におけるESDに関する施策を1つの計画としてまとめたものでございます。
 それから18ページ目、資料4-2を御覧いただければと思います。こちらはESD推進の手引ということで、今、少し申し上げましたけれども、こちらはESDを広めるために、実際に実施する教員の方でありますとか学校の教務担当の方、具体的にどうやっていったらいいのかということをステップ・バイ・ステップでしっかり理解いただくという必要があろうということで、これまでも作っておりましたが、学習指導要領が新しくなり、教える内容が3つの資質があるということで整理をされたというようなこと。それから国際的な枠組みが動いたというようなこともあって、今回また改正をさせていただいたところでございます。
 改訂のポイントでございますけれども、ESD実践のためにカリキュラム全体をどうデザインしていくかと、ここから行っていくというのがやはり重要でありますし、まさにそれができる新しい学習指導要領でございますので、そういった学習指導要領の大きな改訂の動きと合わせた形でESDをどうやってやったらもっと進化できるのかということを1つ1つステップ・バイ・ステップで説明をさせていただいた、こういったところが1つの検討でございます。
 それから具体的な取組事例です。これは非常に多く広がってきておりますけれども、こういった機会を充実させて作ったものでございます。これからは、この手引を作りましたので、様々なところで我々としては宣伝をしていって、しっかりと現場に根づいていっていただくような形で使っていきたいと考えております。
 これを作るに当たりましても、委員の方の一部の方にはお知恵を頂きましたので、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【杉村委員長】  石田企画官、ありがとうございました。
 今、御説明がありましたとおり、この手引の改訂につきましては、本当に委員の先生方からもいろいろな御意見、御尽力を頂きました。改めてお礼申し上げます。
 それでは、ただいまの事務局からの御報告、御説明に対して御意見、御質問あります方は、その場で挙手または挙手ボタンでお知らせいただければと思います。いかがでございましょうか。
 山口先生。
【山口委員】  ありがとうございます。質問、よろしいでしょうか。
【杉村委員長】  はい。お願いいたします。
【山口委員】  ありがとうございます。
 第2期のESD国内実施計画では、具体的な項目も挙げられており、大変興味深い内容であると思います。そのうえで二点質問させていただきます。まず、次期計画は「ESD for 2030」の理念を踏まえたものとなっておりますが、カーボンニュートラリティやデジタルトランスフォーメーションというのは、17のSDGsの具体的な目標に属するというよりも、より広範囲な分野における施策になってくると思います。この観点から、次ページに明記されている「カリキュラムの開発」の部分に、カーボンニュートラリティやデジタルトランスフォーメーションの重要性を埋め込んでいくという理解でよろしいでしょうか。
 第2点目の質問は、そうなった場合、カーボンニュートラリティやデジタルトランスフォーメーション関連の施策は高度な専門性を有する分野ですので、日本におけるどのようなリソースを活用して、小・中学校、高校、また大学におけるカリキュラムに反映していくのかという方向性をお聞かせいただければ幸いです。
 ありがとうございます。
【杉村委員長】  御質問ありがとうございました。
【石田国際戦略企画官】  御質問ありがとうございました。事務局からお答えさせていただきます。
 今、御質問いただいたカーボンニュートラルとかDXの話というのは、新しい課題についてもしっかりと視野に入れなければいけないという話が、特にESD円卓会議等からございました。そういうことで、その考え方の基本として、こういったことが重要だということを盛り込ませていただいたものであります。ですので、具体的にどうカリキュラムで学校で教えていくかということに直結するという話ではなく、このESDを考えるに当たってこういった視点が重要だというような、基本的には関係になっているというのが1つでございますけれども、おっしゃるとおり、このESDにおいて、こういったDXとか、あるいはカーボンニュートラルが重要だということを示されている以上、これをテーマにESDを実施するといったときに、じゃあどういうやり方ができるのかというような開発あるいは研究といったことは、恐らくやっていかないといけないということになっております。これを個別に見て何かするということではなく、今でもESDの担い手を育成するための授業等をやっておりまして、その中で教育手法の研究開発というのができるようになっておりますので、例えばそういったところで、こういったテーマを踏まえて、カリキュラムだったらどうなるかということを考えてくださるような主体が現れれば、それを国として支援するという形になっていくのかなと考えております。
 お答えになっているかどうかわかりませんが。
【杉村委員長】  石田企画官、ありがとうございました。
 そのほかにはよろしゅうございましょうか。
 そういたしましたら古賀先生にお願いしたいと思います。
 ありがとうございます。
【古賀委員】  今回改訂された「持続可能な開発のための教育(ESD)推進の手引」が教育現場において今後活用されるとのお話でしたが、この手引は実際にどの程度、現場の教員の手元に渡っているのでしょうか。例えば学習指導要領であれば、恐らく全ての教員が必ず手にするものだと思います。この手引についてはどれ程頒布されているのか、純粋に興味が湧いたのでお尋ねいたします。
【杉村委員長】  ありがとうございます。
【石田国際戦略企画官】  よろしいですか。事務局のほうから。
 御質問ありがとうございます。
 事務局としては大変厳しい御質問でございまして、正直なことを申し上げますと、改訂する前のバージョン等ございましたけれども、実際のところ、今回、起草していただく先生方に聞いてみると、よく知っているという先生もいないわけではないのですが、実はあまり知らなかったと言われる先生もそれなりにいらしたというのが正直なところでございます。ちょっと数字的なものは把握していないのですけれども、いずれにせよそういう状態だったのが前回のものだとすると、今回改訂した1つの趣旨は、先ほど申し上げましたように新しく学習指導要領が変わったことです。学校の先生はおっしゃるとおり、学習指導要領というのは必ず、これを身につけるということで様々な研修を致しますので、その際にこれについてもしっかりと我々のほうから関係する部局のほうに働きかけて使っていただく。それが都道府県施設のほうに浸透していくというようなことで、PRをしっかりやっていかないといけないとも考えております。
 一応、全教育委員会には、これはもう周知をしておりますし、日本ユネスコ国内委員会ウェブサイトでも案内を致しております。しかしながら、これを実際に手に取っていただくということになると、それだけじゃなくもう一歩あると思いますので、研修会とかそういったところで1段、2段と広報していくということが必要かなと思っています。
 以上でございます。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 今回の改訂の手引、3回目になられるかと思いますが、とても現場目線に立った改訂になったかなというのは私の個人的な印象でもあります。前の手引は、どちらかといったら経営の観点が強く出ていましたけれども、現場の先生が手に取りやすい手引になったように思いました。
 市丸先生が手を挙げてくださっていますね。ありがとうございます。よろしくお願いします。
【市丸委員】  久留米ユネスコ協会の市丸と申します。
 実はESDのための手引書というのが今回発行されて、本当にありがたいなと思いました。文部科学省のほうから各県教委のほうには5月31日付で発出されているのです、周知をしろと。そして県教委のほうには6月過ぎぐらいになるのです。そして地方の市町村には、また遅れるという感じで、大体3週間ぐらいかかっての遠い道のりでなっているというのが現状です。
 あと1点言えることは、やっぱり教育委員会の先生方にもESDの大事さというのを説いていただけたらなと思いました。というのが、これを探し出したのが、どこの部門に入っていたかというと、環境教育の中に入っていたのです。つまりESDという枠組みはない。いわゆる教育課程の中に位置づけましょうというふうに今回の手引書にはしっかりカリキュラムデザインというふうなことで述べられているのですけれども、私はとてもこの手引を読みまして、すごく分かりやすかったというのを実感しました。でも、それが現場ではどうなのかというところなのです。しかし現場では、先ほど山口先生が御質問されましたように、カーボンニュートラルに関しても、実は今度は別のところから教育委員会のほうに、いわゆる気候変動問題をはじめとした地球環境問題に関する教育の充実についてというふうに、こんなに厚い、10ページぐらいのやつが来るので、現場は、ESDが来る、気候変動が来るという、根っこは同じなのですけれども、非常に混乱している状況ではあります。ですから意見をちょっと言わせていただきたいのですが、できるならば、ある意味、精選して、同じことを言っているとすれば、何かシンプルにやっていただけるというか、出すところをどこかに決めるとかいうことでお願いできたらなというのが1点です。
 それと同時に、この手引書はとても読みやすかったです。読み手側というか誰をターゲットにしたのかなと思ったのですけれども、若い先生方とか学生さんをターゲットにしていたのではないかと思わせる部分がありました。例えばQRコードを入れ込んだりとか、それから流れが非常に流れやすかったです。前のもとても詳しく書いてはあったのですけれども、あれは専門的な見方しかできないような気がしました。ですから、これをぜひとも初任者研修だとか、それから大学の教員免許を取得しようとされている学校で取り扱うとか、いろいろな教材として取り扱っていただくとかいうふうな紹介をぜひともやっていただけたらなと思うところでした。若いうちからこういうふうにカリキュラムデザインをしていくというのは、これは年を取った教員にとっては慣れたものなのですが、若い先生方が単元構成を作っていくとかいうのは至難の業です。しかし、手順を追って説明をしていたというのはとてもよかったです。ですから、これはESDでなくても、カリキュラムマネジメントのやり方みたいな書き方がされていました。でも根っこに1本串刺したとすれば、それがESDだったのだなというのを思わされたところです。
 最後に、これは時期的な問題だと思いました。とてももったいないと思いました。というのが、学校は教育課程編成というのを大体1月頃にやります。ですから、これが出されたのが5月過ぎですので、恐らく来年しか反映しないだろうと思います。ですから時期的なもの、もし出されるとしたら1月頃までに出されるとか、それから教育課程編成の説明会がもう終わっちゃっていますけれども、そういうところで活用できるとかいうふうな使い方の工夫というのがあったらもっといいなと思いました。でも内容的には、私は自分が実践してみたくなるような書きぶりだったので、よく工夫されていたなと思っています。
 すみません、長くなりましたが。
【杉村委員長】  市丸先生、ありがとうございました。とても力強い励ましと評価と、でも大事な課題も言っていただきまして感謝申し上げます。ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございましょうか。
 漆先生、すみません、では、お願いしたいと思います。
【漆委員】  品川女子学院の漆です。
 今のお話とも関連いたしまして、私も現場の視点から、内容はとても充実していると思いました。ただ、いかに現場に届くかという、ちょうど今のお話と一致するのですけれども、それが大切かなと感じました。いいものがあってもなかなか届かないということは、これ以外にも教育関係には多く見られることなので、実際にどのような方法でどう届けて、それがどこでどのように使われているかというような効果検証の方法も同時に考えていただけたらなと思いました。もったいないことにならないようにということです。
 そして、この内容は、例えば総合・探究等の限られた授業の中だけではなくて、教科横断型で扱える内容だと感じております。今、企業でも、かつてはCSRの部署があって、CSRのためのCSRというような言い訳的なところが多かったと思うのですが、今は、それが株価にも反映するようなESG投資の時代に入っております。教育もやはり同様に、何かこれを部分的に使うというよりは、全ての教科の中で考えていけるような取組を進めていける材料にこれがなるのではないかなという可能性を感じております。
 その中で、それが推進できない最もネックになっているものは、私は大学入試だと実感しております。大学入試が、せっかく中等教育でこういうことをしっかりと勉強していたとしても、それを問う問題になりませんと、なかなか現場では教員が時間を使って真剣に取り扱うということが難しいのが現状なのです。なので、何ですかね、具体的にはまず直近の課題を解決するためには、そういう方法がいいかどうか分かりませんが、カリキュラムの中に入れつつ、大学入試の中でも記述問題等で扱っていくというようなところをスタートラインにいたしますと、そこから広がっていくという可能性もあるのではないかなということをお伝えいたします。
 以上です。
 
<議題5.ユネスコスクールの新たな展開に係る進捗について(報告)>
【杉村委員長】  漆先生、ありがとうございました。
 それでは、次、あと2つほど議題もございますので、もしまた関連の御意見がございましたら後の議題のほうとつながりますので、そちらでお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に議題の5、ユネスコスクールの新たな展開に係る進捗について、まず御報告を頂きまして議論に移っていきたいと思います。まず事務局から、その後、ユネスコスクール事務局を担当いただいておりますユネスコ・アジア文化センターの大安部長から、ユネスコスクールの調査結果について御報告をお願いします。まずは、事務局からお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。
 それでは、今度は資料5-1、19ページ目を御覧いただければと思います。ユネスコスクールの新たな展開ということで、こちらのほうは教育小委員会のほうで本年2月に大きな方向性をまとめていただきまして、また3月で日本ユネスコ国内委員会総会にも御報告させていただいたものでございますけれども、その後の進捗について簡単に御説明をさせていただきます。
 まとめていただいた内容については、まず教育委員会等を通じて事務連絡を発出いたしまして、こういった方針がユネスコスクールの新たな方針であるということを周知するということをやっております。これが5月頭にスタートになっておりまして、ユネスコスクールの事務局を委託しておりますACCUさんのほうからも各ユネスコスクールや、あるいは大学の方で支援をしてくださるASPUnivNetのほうにも周知をしていただいております。また、今回のユネスコスクールの方針の1つのコアでございましたけれども、ユネスコスクールの新規の加盟申請と受付は再開するということで、この周知を図るとともに教材とか資料ですね、今回、ユネスコスクールの活動の活性化をしていきましょうというのもございましたので、そのための資料を充実するということで、まずウェブサイトに教材等を載せさせていただきました。
 それから7月に入りましてチャレンジ期間、こちらの終了判定手続、これも再開するとともに、ユネスコ本部とも協議をするということで、結局、日本のこういった新しい取組をしっかりユネスコ側にも認識してもらいつつ、これまでユネスコのほうで、なかなかユネスコスクールの登録をしていただけなかったことについて率直にお話をさせていただいたということでございます。いろいろな要因はあるようでございますけれども、深刻な問題としてユネスコ側のシステムが機能していない部分があったというような話も実際に話をしてみると出てまいりました。これについては暫定的なシステムを用意するというお話がございましたので、この暫定的なシステムに、またちょっと、ユネスコスクールの方に登録を頂くと、こういった話をさせていただくというようなことがあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、しっかりと国際場裡でもこういったお話をさせていただいているということでございます。
 それから8月になりまして、今回、ユネスコスクール、本部のほうで認められていないユネスコスクールの事務が整った学校も、日本国内ではキャンディデートということでしっかりとユネスコスクールの活動をしてもらえるネットワークに入ってもらえるというふうにしようというのが別の柱でございましたので、そういった状況の整った学校に対してキャンディデートになりますという通知を今、発出しているところでございます。ホームページ等に、キャンディデートはこちらですよということを案内するとともに、様々な国内ネットワークに入っていただけるように、キャンディデートの学校のほうにも御紹介しているところでございます。それから、あと関係機関、ユネスコスクールだけでは様々な取組をしようと思っても難しい部分があろうかと思います。したがいまして、JICAさんとか農林水産省さんとか幾つかユネスコスクールと連携した取組のお話を頂いているところがございますので、我々が入って、そういった具体的な支援策、活性化策ということについて話をさせていただいているというところが今の状況でございます。
 今後さらに対応すべき課題ということで、幾つかちょっと重要なところが残っているのですけれども、審査体制あるいはレビュープロセスを改正しましょうという話をさせていただいておりましたが、これは今後の課題という形になっております。また効果的な情報共有、発信方法の拡充についても、これから少し考えていかないといけないというものです。一番下は、先ほど申し上げましたけれども、ユネスコ側のオンライン登録システムの改正に少し時間がかかりますので、そのつなぎのための方策を整理して皆様に周知をするということが必要になってくるというのが今の状況でございます。
 20ページ以降は参考でございますので、御覧いただければと思いますけれども、20ページだけ、ユネスコスクールの申請から加盟までの流れということでございますが、今回の話が分かりにくいということもございましょうということで、こういった整理をさせていただきましたけれども、一番下の赤い部分のところに、チャレンジ期間が終わった際にはキャンディデートとして加盟・参加を認めるということで通知をするといったプロセスが入ります。ここの部分が新しくなったということでお示しをさせていただいております。
 以上でございます。
【杉村委員長】  石田企画官、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、ユネスコ・アジア文化センターの大安部長から御説明をお願いしたく思います。大安部長、ありがとうございます。
【大安教育協力部長】  ありがとうございます。ユネスコ・アジア文化センターの大安と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、2020年度のユネスコスクール活動調査の概要について報告します。この調査は文部科学省からの委託を受けて、ユネスコスクールの事務局であるACCUによって2020年12月から翌年の1月にかけて行われました。今後のユネスコスクールの活動の振興に向けて、現状、課題、成果を把握するということを目的に実施されました。この調査は、全ユネスコスクール122校に対してウェブ回答による協力をお願いして、最終的には679校、回答率は61%で前回よりも4%増えています。
 本日は、時間の関係で、資料5-2、ページで言いますと35から37に沿って御説明します。詳しい調査結果の内容は、その後の38から68ページにあります。
 それでは、資料5-2を御覧ください。2020年度のユネスコスクール調査活動の結果(概要)とあります。ここで、この資料の中で昨年度という言い方をしますが、それは、昨年度は2019年という意味で使っております。
 まず1番目、調査結果から見る主な成果ですが、これはSDGsをどの程度認識、ユネスコスクールの加盟校がしているかというところで、丸1ではおよそ9割が目標のターゲット4.7を認知していると。実際にその4.7自体を知っているというのが86%で、17の目標にESDが関わっていると、実際に4.7について認識があるというのが92%ということで、この両方とも一昨年、昨年と比べて上昇してきています。
 次に、丸2、では実際、17の目標でどういう取組がされたかということに関しては、ここにあります目標11、3、4という、この生活に近い町のこと、それから保健、教育と、この項目が一昨年、昨年と同じように高いというふうになっております。すみません、この順番というのは、詳しい調査結果の順番とは必ずしも同じでありませんので、概要に沿って今はちょっとお話をしております。
 次の3番、4番というのは、教員から見た児童生徒の変化について、まず丸3番は、最も変化が見られたこというのが、学習指導要領の中で育みたい資質・能力の3本柱のうち、「学びに向かう力、人間性」であるという結果が昨年同様出てきました。それから丸4の持続可能な社会づくり、もう少しちょっと広い目で見てどういうふうに児童生徒の変化が出てきたかというのでは、「相互性」「多様性」「連続性」、これも昨年と同じです。先ほどいろいろなテーマが出てくるというところで、やはり新しい課題、テーマに対応する、いわゆるメタ認知ですね、その辺を育むということでは自分たちが学びの力、新しいところに取り組んでいく、その中で関係性を考えていく。そういうところにやはり教育現場でも変化が見られたと考えられるのではないかなと思います。
 次に、丸5、じゃあその変化に対して教員それから学校運営は自分たちでどのように変化したかというところに対する質問に対しては、全般的に言いまして、ESDを意識したカリキュラムとか授業実践、それから学校運営の回答が年々高まっているという傾向にあります。
 具体的なことについては次のページ、36ページにありますが、児童生徒が問題意識を持って課題を発見できるようなカリキュラムということで主体性を育むようなもの。それから先ほども話が出てきました教科横断的にカリキュラムマネジメントを行うというところも53%ありました。それに合わせて資料とか教材、それから発問ですね、問いかけを工夫するようになったという点が挙げられています。
 それから学校運営の変化としては、地域との協力、これも先ほど来話が出ておりますが、そういうところにも取り組んでいると。次に、ホールスクールアプローチですね、学校全体で取り組む機運が高まったと。それと関連して継続的に実施したり、それから教員間の話し合う場が広がったといった成果が報告されています。
 次に、2番目として、課題、今度はどういうところが課題かというところを調査から読み取りました。丸1で、コロナ禍における学校間交流の在り方を検討する必要があると述べています。今回、学校間交流をやっていないという学校が60%、特に海外の学校と交流した学校というのは、昨年度に比べて4割減少して15%となりました。別の質問で、9割以上がやはりコロナの影響を受けているということでしたので、コロナ禍による対面交流が難しい。それから2020年の調査時で、まだICTの環境が整っていないという理由が挙げられました。その一方で、オンラインをやはり活用して交流をしていこうという割合も増えています。実際に、工夫して新しいことをできたという現場からの声も上がっております。事務局としましても、ウェブサイトとか、それから交流事例、そして大学間支援ネットワークであるASPUnivNetなどの支援を活用しながら、さらに交流活動が展開していくことを期待しております。
 次に、上と関連するのですが、ESDの推進拠点ということが国内実施計画でも改めて示されておりますが、その推進拠点としての発信があまりできていないと。ここにありますように、海外の学校の成果を学校外へ発信するというところに努めなかった学校が25%ということで、昨年の17%より増えております。これはやっぱり交流、コロナの関係もあって交流したりとかという機会が減った、発表する機会が減った、それからそういう発表するためのICTの環境が整っていないというような事情が考えられます。ただ、ユネスコスクールがESDの推進拠点として、発信するということは自分たちの取組を振り返って、そしてそういうことをいろいろな機会で発表してもらったりホームページで共有してもらうというところが必要なんじゃないかと考えております。一方で、社会教育施設ですね、先ほどもちょっと話が出たと思うのですが、いわゆる日本でノンフォーマル教育、社会教育の施設である公民館などを通じて地域と連携して発信されているという回答もありましたので、こういった新しい取組をどんどん共有して実践活用が広がることを期待しております。
 最後に、丸3ですが、評価、ESDを評価するというのはかなり難しいということが懸念として声が聞かれておりました。それでユネスコスクールの活動を評価するということで、工夫をしていないという学校が半数に上りました。まだまだ多いのですけれども、昨年の82%に比べると、評価に対する認識、それから実際に評価している学校が増えております。その評価の工夫をしている手法としては、プレゼンテーションが一番多いのですが、ルーブリックやポートフォリオを使って自己評価をするというような取組も行われています。そういった取組をやっている、先進的な取組を共有して使えるようにできればと考えております。
 最初に申しましたが、こういった調査を行ってどう活かすのか。今回のようなところで報告するということ以上にどういうことをするのかということも大事だと考えております。ユネスコスクール事務局(ACCU)では、小規模ではありますけれども、全国から参加してもらって、毎月、意見交換会をやって、現場の先生の肌感覚、意見を頂く場を設けています。そういったところも参考にしながら、文部科学省の補助金事業で先ほどの評価の事業を行ったり、それからユネスコ・バンコク事務所の事業でアジア地域のESDに関する共同研究というものもやっておりまして、ちょうど先週から今週、海外の参加校との交流も行うというイニシアチブも行っております。それからこういった調査を活用して、ASPUnivNetの大学で研究とか研修とかに生かせるようなことができないかということも検討しております。こうした実践例とか経験を、このユネスコスクール自体、ネットワーク自体、それから未来共創プラットフォーム、そういったところをうまく活用して広く交流、そして交流をしていきたいと考えております。
 以上です。
【杉村委員長】  大安部長、ありがとうございました。
 ただいま石田企画官、そしてACCUの大安部長から御説明いただきましたが、加盟申請につきましては、先ほど事務局からも御報告いただきましたとおり、キャンディデート校の国内ネットワークへの参加、あるいは加盟申請手続の再開等が進んでおります。加盟後のユネスコスクールの活動についても課題となっておりましたけれども、ユネスコ活動の広報や普及という観点から、各地のユネスコ協会が今度は中心となって様々な活動を頂いていると思います。
 今日、御出席の片山委員の長浜ユネスコ協会でもユネスコスクールへの支援として、以前、教育小委員会で御発言いただいたユネスコスクール支援大学ASPUnivNetの7教育大学と連携して取組支援をされていると伺っていますので、片山委員から、よろしければ御紹介を賜れればと思います。いかがでしょう。
【片山委員】  委員長、どうもありがとうございます。紹介を受けました長浜ユネスコ協会の片山です。
 僭越ですけれども、今ほど御紹介がありました長浜ユネスコ協会の広報の取組を紹介させていただきながら、課題になっておりますユネスコスクールの登録後の質をどう担保していくかという点でいろいろ発言をさせていただきたいと思います。
 以下、当協会の取組事例を簡単に3点ほど紹介させていただきたいと思います。まず、お手元の本日の資料5-3、通し番号で言いますと69ページから72ページの4ページございますが、そちらのほうを御覧いただきたいと思います。
 これは長浜ユネスコ協会が年3回発行しております会報の中で、平成26年、平成28年にユネスコスクールに登録された長浜市内の2つの中学校が、どのような活動をしているかを紹介し、併せてユネスコスクールの理念も会報を通して普及をしております。
 今ほどのACCUユネスコスクール事務局のアンケート調査からもございましたように、なかなか学校サイドでは多忙なのか、活動成果の発信というのが十分でないということもいろいろと気にしておりましたので、会報も一助になるのではないかということで、ここ数年続けております。
 次に、管理職の先生と年度当初にお願いをして懇談会を持たせてもらっている取組について紹介をさせていただきます。長浜市には先ほど紹介しました2つの中学校と、現在、チャレンジ期間中の小学校が2校ございます。これらの4校とは、新規登録の申請の頃から支援・協力をさせていただいたこともあり、現在も毎年、管理職の先生とユネスコ活動について懇談する機会を設けてございます。懇談では、ユネスコ活動へのニーズを聞き取ったり、今ほど紹介のありました奈良教育大学が中心になっております近畿ESDコンソーシアムや日本ユネスコ協会連盟のユネスコスクールを対象とした支援の情報を提供したり、ユネスコスクール全国大会や地方大会への参加を呼びかけてきました。やっぱり課題は、ユネスコスクールに関する窓口は、この4つの小学校で言いますと、教頭先生が中心になります。日々の業務はタイトであるということです。メールによる情報も教頭先生に集中していますので、各校のニーズに応じた情報の紹介は大切であろうかと思います。先ほどいかに現場にうまく情報を伝えるかというふうな御意見もございましたが、同感でございます。
 近々の例で申し上げますと、長浜ユネスコ協会は、近畿ESDコンソーシアムの一構成員でございます。コンソーシアムでは、水の恵みをテーマとした教員対象のオンライン研修を行っており、我が長浜市でも、水の勉強を扱っているユネスコスクールとかチャレンジ校がございますので、紹介をしております。学校間交流とかネットワークへの学校の参加のきっかけになればというふうに期待をしているところです。
 最後に、もう一例だけ紹介をさせていただきます。管理職の先生との懇談では、ユネスコスクールの加盟後に求められる要件についても話題にしております。要件の1つに、国連デーの記念行事があります。ユネスコ協会と一緒に取り組みませんかというような提案をしてきました。御承知のように国連デーは、児童生徒がユネスコを身近に感じ、ユネスコを学習するよい出発点であると思います。教育計画にしっかり位置づけてほしいという働きをやってきました。もうすぐ、9月の8日ですけれども、ユネスコが定めた国際識字デーです。また12月10日は人権デーです。私たち日本ユネスコ協会連盟では、世界の識字率向上を目指すユネスコ世界寺子屋運動、書きそんじハガキ・回収キャンペーンに30年以上近く取り組んできました。2校のユネスコスクールでも、これまで、ユネスコ協会から出前事業とか、支援を行っておりますカンボジアの現地職員が日本に来たときに、報告会などで支援をしてきました。ユネスコスクールには、国連デーの記念行事の取組をもっと学校外に積極的に発信してほしいなと願っているところです。
 以上、3例を早口に紹介させていただきました。登録後のユネスコ活動の活性化や今後行われる定期的なレビューの一助になればと思っております。
 今ほどのACCUユネスコスクール事務局の調査結果報告では、学校以外の連携先の団体として、地域のユネスコ協会を挙げておられる割合が18%と、私は非常に少ないように思っております。この率がもっと高まるように努力していかなければならないのですが、当協会では、地元のユネスコ協会として、微力ながら今後ともユネスコスクールへの支援、広報、普及活動を続けてまいりたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【杉村委員長】  片山先生、本当にありがとうございました。キャンディデート校になったような学校や、あるいはその後、どんな動きがあるか、本当に関心深く伺いました。ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局、ACCU、そして片山委員のほうから御報告を受けましたけれども、これらにつきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。特にユネスコスクールに対する支援や連携という観点からも御意見を伺えればと思います。御意見、御質問ある方、先ほどと同じで挙手または挙手ボタンを押していただければと思います。いかがでございましょうか。
 石井委員、お願いいたします。
【石井委員】  厚木ユネスコ協会の石井です。よろしくお願いします。
 19ページになるのですけれども、教育小委員会の審議を経て、総会の決議を経て、今、実行されているということと、先ほどの説明で、ユネスコスクールの新たな展開に関わる進捗というのがよく分かりました。
 そこで、2つほど質問したいのですけれども、1つ目は、7月にユネスコ本部担当課と協議された、日本側の取組説明及びユネスコの対応改善を要請と書かれています。この点で、ユネスコ本部側の受け止め方はどのようなものだったのかってとても興味があるのです。例えば日本側の取組がすばらしいとか、このことについてはキャンディデートはいいねとか、具体的なこととかはちょっと難しいかもしれないのですけれども、受け止め方を知りたいと思います。
 もう1つは、キャンディデートからユネスコスクールへの正式登録の見通しはどうなっているのでしょうか。チャレンジ期間終了可否判断流れの表をさっき見たのですが、あれを見ているだけではちょっと何かよく分からない。だから表じゃなくてもいいのですけれども、これからの見通し、何か明るい兆しがあるとか何かそういうことが伺えればうれしいかなと思うのです。
 以上、2つのことを質問させていただきます。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 これについては、事務局はいかがでございましょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  すみません、事務局の堀尾です。今の御質問についてお答えさせていただきます。
 ユネスコ本部からの反応につきましては非常によい反応が、日本側でしっかりと取り組んでもらっているということに対して評価を頂いております。特に国内でASPUnivNetを中心とした支援体制や、ユネスコに申請する前にちゃんと国内でチェックを行って、チャレンジ期間を終えた後のチェックも行っているということに対して、きちんと取り組んでもらっているということの評価を頂いております。
 そこのところで、むしろ現在、日本側からの申請、これ、日本だけではなくて各国の申請も実は結構止まっているということで、その辺りはシステム上の問題と、あとユネスコ側の事務の担当者が少ないということの大きな原因があるということで、そうやって各国できちんとチェックをしてもらっているものに対しては、ユネスコ側でのチェックは簡素化していこうというような検討もこれからしていきたいというコメントも頂いております。
 これからの見通しにつきましては、先ほど石田のほうからも報告いたしましたが、主な原因はユネスコのオンライン登録システムというところで、OTAというオンラインシステムがあるのですけれども、昨年度からこれになかなかアクセスできないといったところがございまして、ユネスコ側として今、暫定システムを作って、そこで登録手続を再開させていくといった動きがあり、今後順次、登録していって、これから少しスピードアップしていくという話を頂いております。日本側のほうでもオンライン登録、こちらのほうはチャレンジ期間開始前に一旦、登録を頂くのですけれども、その登録をした情報が不十分だったりしたといったところとか、あと登録した情報がもう一度この暫定システムのほうに登録し直さないといけないといったところがございますので、申請校のほうには、これから御負担をおかけするかもしれないのですが、そこのところはちょっと連絡を取り合いながら手続を進めていきたいと思っております。
 以上ですが、御回答になっておりますでしょうか。
【石井委員】  はい。ありがとうございます。分かりました。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 東川先生、ありがとうございます。
【東川委員】  日本PTAの東川でございます。皆さん、大変お疲れさまでございます。
 先ほどの調査結果を拝見しておりまして、54ページに、学校以外の団体との共同についてということで、連携先1位が当然ながら地域の協力者、次にPTAと。PTAとしては49%というこの数字を見て、高くはないなという正直な印象でございまして、本来もっとPTAは協力すべきかなと思います。
 私ども日本PTAで例年、教育に関する保護者の意識調査アンケートというのを実施しておりまして、それで様々な質問項目があるのですが、その中で学校の教育目標をどれぐらい御存じかというようなところでして、これは小学校、中学校とも、大体例年、多少の幅はありますが、45%ぐらいが理解をしているという回答で、これについてはちょっと多いのかなというところもありますが、この数字と先ほどの学校以外の協力者、PTAの49%というのがちょっと近しいのは、そういったところも一部あるのかなというような理解をしたところであります。
 今の学習指導要領ですとか、2030年に向けた様々な、Society 5.0に向けた社会の大きな変革の中で、この教育機能が学校と地域とそれから保護者がそれぞれ持っているというところをもうちょっと理解をPTA側も示す必要があって、一方では学校とかのほうから積極的に協力をしてほしいという投げかけをしていただいても全然差し支えないのではないかなと。むしろそのお声がけを待っているというようなPTA、保護者、地域の人たちもたくさんいると思いますので、そこはどうもこの辺で、首の辺りで止めてしまっている、遠慮している、あるいは声をかけないほうがいいのじゃないかというような思考的な部分がもしかしたらおありかなと思いますので、そこはもう積極的な、もちろん双方にということだと思いますけれども、お声かけを頂いてよろしいのではないのかなと感じた次第でございます。
 以上でございます。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 事務局のほうからでしょうか。今の御提案というか御意見だったと思いますけれども。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。
 ぜひそういった形でPTAのほうにも今後、今、ACCU、ユネスコスクール事務局と、ユネスコスクールに対してどういった支援先があるかとか、どんな場合にどんなところに相談したらいいかというような情報を整理してユネスコスクール側に提示していこうということで考えておりますので、その辺り、またちょっと具体的にどういう形で情報を載せていけるか、どんなことがPTAのほうにしていただけるかというようなところも、また御相談させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【東川委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 大安部長お願いいたします。
【大安教育協力部長】  1つの課題として、やはりユネスコスクールの担当が1人の教員に偏っているというところもありますので、できるだけ、先ほどから話の出ていますホールスクールとか学校全体で取り組むということになればPTAとの協力ももっと深まっていくのではないかということで、そういうメッセージを頂いたところは伝えていきたいと思います。
 ありがとうございました。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 そのほかは、御意見よろしいでしょうか。
 山口先生、お願いいたします。
【山口委員】  ありがとうございます。
 ユネスコスクールの今後の在り方については昨年からいろいろ課題が出ておりましたので、今回のような600校強が参加する調査が実施されたのは大変有用であったと感じております。
 大安部長、多岐に渡る分析をありがとうございました。
 その中で、特に35ページと36ページに明記されている「カリキュラム」、「教授法の変化及び学校運営の変化」に関するデータ解析は大変重要であると思います。例えば、このユネスコスクールの取組を通じて教員の授業の教材や資料、発問を工夫するようになったという意見が50%近くに上っている点。あとは融合性という観点から、個別の教科領域を超えて横断的に取り組むようになったという意見が53%に上がっている点。これらの結果を強調した報告書の作成は一案かと考えます。
 また、「学校運営の変化」においては、教員間で持続可能性に関する価値観を話し合う場を持つことができるようになったと回答した教員が32%となっています。前回と前々回の議論の中で、世代間のコミュニケーションの重要性が取り上げられました。これは、最初にユネスコスクールに従事した先生がたの年齢が上がってきていると同時に、次の世代へのシフトがなかなかできていないという点がデータで示されたと思います。そういう意味でも、教員間で価値観を話し合うことができたという点が、ユネスコスクールの取組が全体に行き渡ってきているというエビデンスになるのではないでしょうか。また、教員が努力していても、管理者の理解が欠如しているとなかなか学校全体で取り組むことができないという点が課題になっていたと思います。今回の分析からは、50%に近い学校が、学校全体でESDに取り組む機運は高まったと感じているという観点からも大変ポジティブなメッセージを出せるのではないかと思っております。
 最後に、調査結果から見る主な課題として、学校間交流を実施していない学校が全体の60%に上るという点が挙げられると思います。また、海外の学校との交流は15%に留まっていますが、この調査期間は2019年の12月から2020年の11月ですので、世界中の学校がコロナ禍に直面していた時期でした。その中での国内交流、海外交流のデータであるという点を分析の中で明記していく必要があるのではないかと思います。
 大安部長の御発言にもありましたように、今後、このデータをどのように活用していくかという点ですが、ユネスコとのコミュニケーションにおいてエビデンスにサポートされた分析結果としてユネスコスクールの有用性を提示していくことは重要であると思います。
 わたくしがユネスコの本部で働いていた経験からすると、ユネスコ内部で予算を取りにいく場合、1,000校以上のユネスコスクールを有している日本が、670校の回答に基づいて「教員の変化」、「学生の変化」、「行動変容」にユネスコスクールの活動が有用であるというエビデンスがあるということは、ユネスコスクールを担当している部署にとっても大変重要なデータであると思います。本分析結果は、日本国内に留めておくのではなく、積極的にユネスコとも情報共有を進めていくべきだと思います。
 同時に、我々はこれからもこのような質が高いユネスコスクールを増やしていきたいので、今後の新規登録についてもお願いしたいという交渉に持っていけるといいのではないかなと感じました。
 大安部長、御苦労さまでした。大変面白い結果だと思います。ありがとうございます。
【杉村委員長】  山口先生、本当にありがとうございます。大変建設的な、具体的な御提案を頂きました。
 そのほかは御意見、よろしいでしょうか。
 見上先生、お願いいたします。
【見上委員】  御指名ありがとうございます。仙台ユネスコ協会の見上と申します。
 今、この議題の中で、皆様方にちょっと学校の状況を、私どもが支援させていただいている学校の状況から情報を共有させていただければと思います。
 1点目は、新学習指導要領が、中学校は今年から本格的に実施されていますので、その学校でまだESDも知らないし、ユネスコスクールも知らないという学校なのですが、御連絡がございました。それは、たまたま新任の先生が、よその学校でESDをやっていた先生で、校長先生にそのことを話されたそうです。そういうことでもうちょっと詳しい説明が欲しいということで、御説明に上がった学校なのですが、1つは、学習指導要領には、皆様御存じ、持続社会の創り手という形で、前文にも、あるいは総則にも入っております。まだESDを経験されていない学校から相談を受けたのですが、ESDの先ほど御紹介にあった手引につきましても、なかなかESDが持続可能な社会の創り手という言葉とつながらないのです。ですから手引も行き届かない、そこには届いていないという感じで、説明すると、ああ、そういうことかというようなことを分かっていただけた現状がございます。ですから県の教育委員会、政令市の教育委員会から指導主事の先生辺りに、その辺りをちょっと丁寧にサポートしていただけるとありがたいかなということがございました。この点が1点。
 それからもう1つは、次の質問としては、ユネスコスクールに加盟しないと、ちゃんとしたESDはできないでしょうか、そういう不安をお持ちでした。いや、無理することないので、一歩一歩でいいと思うのですよというようなことを説明しておりますが、そんなようなことが現場からはございましたので御紹介させていただきました。
【杉村委員長】  見上先生、本当にありがとうございます。まさに現場の生の声として、でもそういう新しい取組を開始してくださる学校のある意味応援ができればとおもいました。本当にありがとうございました。
 秋永先生、お願いします。
【秋永委員】  お世話になっております。リバネスの秋永と申します。
 調査結果の御報告、御共有ありがとうございました。
 通し番号での66と67ページを拝見しておりまして、これまでの学校間交流について御意見があったかと思うのですけれども、少しアイデアをお伝えできればと思います。通し番号66のほうを見ますと、図39ですね、ユネスコスクールのウェブサイトは、他校の情報検索に対して有効に活用されているということを拝見しました。一方で前の65ページを見ますと、事務局への期待に関しては、他校の交流のための仲介であるとか、海外のスクールとの交流に関する情報などを欲しているということを拝見しております。実際、事務局の利用状況という項目では、スクール間の交流のためのマッチングというのが3%にとどまっていると。この両方を拝見したところ、現在のユネスコスクールのウェブサイトというのが、情報という意味では非常に有効に使われているものの、動的な、いわゆる、静的なものはあるのですけれども、動きのある、相互作用のあるコミュニケーションの場にはまだなり得ていない。ただ、その可能性は十分にあるのではないかと拝見しました。
 提案ですけれども、例えば直近のニュースのところを見ますと、アメリカの学校との交流を募集しているようなニュースも拝見しますので、国内の学校がこういったところに手を挙げて、研究交流の、何ていうのでしょう、告知をできるような体制を、学校のほうから例えばアカウントを作って投稿できるのはもちろん理想ですし、情報のクオリティを精査するという意味では、事務局の方のある程度の労力もあるかもしれないんですけれども、事務局の方を介してそういうコミュニケーションを作っていく、そういったことができればいいかなと思っております。提案です。
 
<議題6.第41回ユネスコ総会に向けた答申案(教育分野)について(討議)>
【杉村委員長】  ありがとうございました。また新しい、1つ、秋永先生、具体的な提案、本当に感謝いたします。ありがとうございました。
 ほかにはよろしゅうございましょうか。
 本当に活発な御意見をありがとうございます。
 それでは、今頂いた御意見もまた踏まえながら、今後、より活性化に向けて動いていければと思います。
 それでは、議題6に移らせていただきます。第41回ユネスコ総会に向けた答申案(教育分野)についての討議をお願いしたく思います。
 まず最初に、石田企画官のほうから御説明をお願いいたします。ありがとうございます。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。
 それでは、資料、通し73ページから資料6-1、6-2を御覧いただければと思います。ただ、資料6-2でございますけれども、これはドラフトでございますので、傍聴の方には非公開ということで進めさせていただきます。
 この議題でございますけれども、ユネスコ総会が本年11月9日から24日までパリで行われます。こちらに、議題になります中期目標・中期戦略について、あるいは総会について、日本としてどういうふうな考え方で臨めばいいかということについて諮問が国内委員会に外務大臣、文部科学大臣からなされているという状況になっております。
 それを受けて資料6-2を御覧いただければと思うのですけれども、77ページ以降、教育分野についての考え方のドラフトを少しまとめさせていただきました。これについて御意見を頂きたいというのが、この議題の趣旨でございます。
 資料6-2を御覧いただければと思いますけれども、まず総論につきましては、この中期戦略、目標というものは重要なものだということではございますが、これまでも国内委員会の総会でも何度か御紹介をさせていただいて、我が国の考え方というのは大まかには含まれているというようなものであろうかと考えております。
 その上で、幾つか着目すべきポイントということをこの答申の中で示していただくというようなことで組んでおりますけれども、メリハリのある財政でありますとか、そういったことに加えて、今回、1ポツの括弧5のところでございますが、大きなポイントとしてユース、それから途上国に対しての留意ということが新たに優先的な課題として挙げられておりますので、これに配慮する必要があるということで、我が国がこれまで進めてきているESDからしっかりと国際貢献をするべきだというような位置づけを与えているということです。
 それからその下の6でございますけれども、昨今の情勢にしっかりと対応してくださいということで、例としてアフガニスタンの情勢でありますとかコロナの情勢、こういったものが現行の課題ということで、これに留意しつつ進めるというふうなことを素案に書かせていただいております。
 その上で、各論でございますけれども、教育の分野については、まだ進行中でございますが、新型コロナウイルスに対する教育の影響ということで、SDG4のリードエージェンシーとしてのユネスコにしっかりと対応していただく必要があるということで、前半にも御議論がありましたけれども、こういったグローバル教育会合での御議論、ステアリング・コミッティの新しい対応など、これから議論が途中のものについてしっかり動向を注視していく必要があるとふうにさせていただいております。
 それからSDG4の行動枠組みに関しましても、JFITの拠出金を活用し、SDG4に引き続き貢献していくという方向性は変わらないと。引き続き行っていくことが重要だということを示させていただいております。
 それから3番目の、我が国の柱としてはESDということになりますけれども、コロナ禍において、やはりレジリエンスを涵養するということは重要であるということでありますので、ポストコロナの文脈においても、さらにその重要性が高まっているという話がございます。
 その上で、先ほどユネスコスクールが大変大きな役割を果たしたというような御意見、山口先生からも御指摘があったと思いましたけれども、ユネスコスクール、我が国がリードしている、こういったユネスコスクールの取組もしっかり重視していくべきだ、こういった内容を書かせていただいております。
 最後、4番目でございますけれども、1974年勧告、これについての改訂ということが議題に挙がっております。これについてしっかりと改訂の方向性を注視して、我が国として議論をリードできるようにフォローしていくべきだという形で頂いております。
 教育としては、様々なお話はございますけれども、主にこの4つを中心にまとめさせていただいています。
 それから普及の部分でございますけれども、80ページのところ、パートナーシップと、それから若者起業等との活動の参加ということで、2つの段落を入れてございますが、パートナーシップということで言えば、ユネスコ本部とユネスコ国内委員会といったところの連携でありますとか、ほかの国のアクターときちんと連携していきましょうという趣旨のことをまとめさせていただくとともに、最後、若者と企業のユネスコ活動の参加、これはこれまでの国内委員会総会での御議論も含まれておりますけれども、しっかりとユネスコ活動を若者にとって魅力あるもの、訴求力のあるものとしていかなければいけないということで、そのための活動をするようにというような内容でまとめさせていただいています。
 雑駁ではございますけれども、答申案の説明は以上でございます。
【杉村委員長】  石田企画官、ありがとうございました。
 では、ただいまの御説明を受けまして、答申案について御議論いただきたいと思います。答申案の中で、不明点やさらに付け加えるべき観点などについて御意見、御質問がありましたら、また同じように挙手または挙手ボタンでお願いできればと思います。いかがでございましょうか。
 では今日この時点でまだ御意見、御質問はないようでしたら、今はないということで、ただ、今後また答申案につきましては本日のこれまでの、このほかの議題の御議論も踏まえながら事務局のほうでさらに調整をされると思います。そのときに調整の上、文言等につきましては、大変僭越ではございますが、委員長のほうに一任をさせていただいてまとめていくという形でよろしゅうございましょうか。
 吉田先生、どうぞ。
【吉田委員】  ありがとうございます。
 これは非常にどれも大きな話になっていますので、どこまで強調したり具体的な話に落とすのかは、ちょっと私もよく分かりませんけれども、今日、御説明いただいた、特に2ポツの教育分野の中には、非常に重要な視点が入っていると思います。片括弧1のところには、特にコロナ以前から弱い立場に置かれた人々、例えば貧困層や女性への影響は大きく、こういう問題性は書いてあるのですけれども、こういった人たちにより特化した対応というのを強化していかないといけないというような、もうちょっとプロアクティブな表現というのは、どこかでできないものなのでしょうか。
 同じように片括弧2のところでも、コロナ禍による教育危機への対応のために強化された新しいメカニズム云々と書いてあるのですけれども、事実を確認している表現が中心になっていて、ユネスコの総会の中で議論を経て、「こういうところを中心に重点を置いていくんだよ」というところに向けての具体的な強調というのは難しいのでしょうか。できればそういうふうにしていっていただきたいと思いました。
 私の所見でも、冒頭のほうでも申し上げたのですけれども、やはりコロナ禍への対応というのは、どうしても新しい技術、遠隔ICTを使うにしても、もともとの弱者をさらに置き去りにしてしまいかねないような動きが非常に中心になっていますし、それからICTといってもアフリカでは、我々が思っているものと大分違うものを想定せざるを得ない、そういう状況があるわけですから、やっぱりこれが弱者をさらに置き去りにしないための工夫ということを今こそ考えなければいけないという状況だと思いますので、ここで文言には入っているのですけれども、それをもう少し優先行動に移していくというところを表明していくということを期待したいのですが、いかがでしょうか。
【杉村委員長】  吉田先生、ありがとうございます。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。
 吉田先生、ありがとうございます。
 先生のおっしゃるとおりだと思います。具体的にちょっとどういう書き方ができるかというのは検討してみたいと思いますけれども、今、頂いた意見を踏まえて、少し文言を修正できるところは修正していきたいと思います。
 ありがとうございます。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 そのほかは御意見ありますでしょうか。
 古賀先生、お願いいたします。
【古賀委員】  この「第41回ユネスコ総会について(答申)」の4ページ目(資料80ページ)に「ユネスコスクールを引き続きESDの推進拠点とし、ユネスコスクール以外の学校でもESDの実践が図られるよう推進していくことが重要である」と記載されていますが、私もまさにそのとおりだと思います。
 ただ一方で「重要だ」と謳うのであれば、ESDの実践を推進するための具体的な方策も検討するべきだと思います。答申案の内容を変更していただきたいわけではありませんが、これまでの反省点を活かして何を変えなければならないのかを分析し、その改善策も提示するべきではないでしょうか。
 議題4の「ESD推進の手引」を例に挙げれば、今までは限定的配付だったものを全教員の手元に届くよう手配する等、効果的な改善策を示し、それを着実に実行する運営を期待しております。
 私からは以上です。
【杉村委員長】  ありがとうございます。
 事務局、何かございますか。
【石田国際戦略企画官】  ありがとうございました。
 まさに御指摘のとおりでございまして、ここに書いてある考え方そのものは、これまでも委員会のほうからお示しいただいたことを確認的に書かせていただいているものでありまして、まさにそれを踏まえて、じゃあこの場合は文部科学大臣ということになりますけれども、文部科学大臣、しっかり考えてください、こういう話ですので、今おっしゃっていただいたことを我々事務局のほうで考えて、1つ1つ実行していくということになろうと思います。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 では頂戴しました御意見、文言の最終確定に向けてしっかり踏まえさせていただきたいと思います。
 そのほかはよろしゅうございましょうか。
 石井先生。
【石井委員】  ごめんなさい、時間がないのに。
 もう教育小委員会で話すのは今日が最後なのでというか、実体験とちょっとお願いみたいなことを言わせてもらっていいですか。手短に話します。
 私は、厚木ユネスコ協会の石井ですけれども、近くのユネスコスクールとずっと交流をしてきたのです。今もしていますけれども。こちらの行事に来てもらったり、私たちが学校の行事に出向いたりして、ずっと長いこと交流してきました。今はコロナ禍で、なかなか活動が縮小されていて、実際の実活動がなかなかできないのですけれども、でもやれることはやっていきましょうと言っています。やれることはというのは例えば、私たちの協会の総会に来ていただいて、ユネスコスクールの取組を紹介してもらったり、これからやるユネスコオータムスクールというのに生徒さんたちも参加していただいてとか、やれることをやりましょう。
 その絡みで3月にはASPUnivNetの、東海大学のUNESCOユースセミナーに参加させていただきました。神奈川県のユネスコスクールの高校生や大学生さん、それから海外の高校生とオンラインでセミナーをやりました。ゲームやトークをしながら国際交流ができました。また8月、つい先日はユネスコスクール関東ブロック大会に参加してみませんかという紹介がありまして、そういうのがあったことはちょっと知らなかったもので、オンラインで参加させていただいたのですが、神奈川県と関東のユネスコスクールの活動紹介と討議がありました。各校の取組は多様性がありましたし、担当の先生方も熱心に活動報告されていました。
 これは私の持論なのですが、ユネスコスクールって本当に宝の山だなと思っているのです。例えば厚木とその高校の交流だけ見ても、私たちの協会にユネスコスクールを体験した卒業生がたくさん入ってくれたのです。協会の青年部として活躍してくれています。当たり前なのですが、私たちが何か支援しているつもりが、意外と学びの場を得て、たくさんのものを頂いていたということが分かったのです。若い人たちは、もちろんエネルギーがありますし、活気もあります。だからちょうど我々のような世代と若い人と交流するのは非常にいいのだということがよく分かります。
 ユネスコスクールの活動を広げるために、さっき現場が第一とか発信の場の確保ってあったのですけれども、やっぱりユネスコスクールは学校の中でやっているだけじゃなくて、地域にも広げていきたいですよね。こういうことをしているのだ。で、協会の行事にはもちろん来て発信していただくのですけれども、もっと地元の地域で広めていくのが、できるのは私たちの役目かななんて思うのです。
 附属資料か何かに書いてあって、どこだかちょっと今見つからないのですけれども、活動の活性化のための方策というところにユネスコ未来共創プラットフォーム事業が昨年から始まりました。私はほとんど参加させていただいたのですけれども、オンラインですが、ここで思ったのは、ユネスコスクール絡みなのですけれども、ユネスコスクールの実践をしている方をやっぱり紹介していただいて、こんなにやっているのだということを広めていくことがあってもいいのじゃないかななんて思っているのです。だからこれからは、すみません、意見ですけれども、未来共創プラットフォームの事業の中でユネスコスクールの実践などをやっていただくのも1つの案かなと思います。
 ついでに申し訳ありません、わがままなことを言いますけれども、未来共創プラットフォームの中で、私たち、民間のユネスコ協会の活動をしている人たちの活動紹介というのがあまりなかったので、できたらそういう私たちの、本当に草の根的な活動をしているのですが、そういうのも紹介していただける場があるとうれしいなと思っております。すみません、時間がないのに申し訳ないですけれども、今後検討していただけたらありがたいなと思います。
 ありがとうございました。
【杉村委員長】  ありがとうございました。でも本当に現場からの声として、こうした答申、大きいものですけれども、加筆修正のときに先生の御意見も入れながら調整できればと思います。ありがとうございました。
 それでは、一応この議題6はここまでで、最後にもう1回確認させていただきますが、文言の修正が今後入るかもしれません。そのときには、大変僭越でございますが、事務局と調整の上、私、委員長のほうに一任させていただくということで御了承いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

<議題7.その他>
【杉村委員長】  責任を持って調整、まとめさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。すごく大きなグッドマークを片山先生が出してくださいました。
 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間が過ぎてしまっていますが、最後その他として、事務局、何かございますが。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。
 本当に最後、ちょっとだけPRさせてください。日本のユネスコ加盟70周年ということで、今年いろいろ取り組ませていただいております。7月2日にはオンラインの会合をさせていただきましたし、今、田口統括官の後ろに映っておりますロゴですね、こちらのほうも皆さんのアンケートを頂いて、多分これは、先ほど石井先生から話がありましたけれども、ユネスコスクールの生徒さんが随分応募してくれて、3,000人ぐらいの応募の中から、意見で選ばれたものでございまして、こういうものを作っております。
 それで、その一環で、30分の政府広報番組、日本のユネスコ加盟70年の政府広報番組を今回作っていただくことになりましたので、そのPR動画だけ、ちょっと皆さんに見ていただきたいということで、お時間を頂ければと思います。
 傍聴の方は見られませんので、そこは御容赦いただければと思いますけれども、お願いします。

(動画再生)

【石田国際戦略企画官】  ということで、明日9月3日に放送されて、また再放送もされるということですし、またこれにいろいろ御協力いただきました日本ユネスコ協会連盟の方々にも御礼を改めて申し上げたいと思います。
 すみません、時間を取りまして。以上でございます。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 何か御意見、御質問あればとも思いますが、これについてはよろしゅうございましょうか。
 最後、元気のいい動画で締めくくることができましたので、明日、お時間があれば見ていただければと思います。
 それでは、ちょっと時間を過ぎましてすみません。私の不手際でございましたけれども、これで今日こちらで御用意した議題は全て終了いたしました。これで本日の教育小委員会は閉会とさせていただきたいと思います。本日は、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございました。皆様、どうぞお気をつけて引き続きお過ごしくださいませ。本日は、ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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