日本ユネスコ国内委員会 第144回教育小委員会 議事録

1. 日時

令和3年2月26日(金曜日)14時00分~16時00分

2. 場所

オンライン開催

3. 出席者

(委員)
秋永委員、石井委員、市丸委員、加治佐委員、片山委員、萱島委員、古賀委員、杉村委員、道傳委員、東川委員、見上委員、山口委員、吉田委員

(事務局)
田口事務総長(文部科学省国際統括官)、亀岡副事務総長(文部科学戦略官)、石田事務局次長(国際統括官付国際戦略企画官)、堀尾事務総長補佐(国際統括官付国際統括官補佐)、植村事務総長補佐(国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4. 議事

【杉村委員長】  本日は御多忙中のところお集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、事務局から定足数の確認をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  本日は出席で回答いただいている委員が13名で、現在12名の委員に参加いただいております。委員の過半数を超えておりますので、定足数を満たしております。
 なお、本日は外務省と環境省からオブザーバーとして参加いただいているほか、報道関係の取材を受け付けておりまので、あらかじめお知らせいたします。
 なお、一般からの傍聴についてはYouTube配信にて傍聴いただいております。オンライン会議ということで、委員の皆様方には、お手数ですが、御発言いただく際にお名前を名のってから御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【杉村委員長】  それでは、よろしいでしょうか。ただいまより第144回日本ユネスコ国内委員会教育小委員会を開催いたします。
 本日の議事進行をさせていただきます教育小委員会委員長の杉村でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、田口国際統括官から一言御挨拶を頂戴できれば幸いです。
【田口国際統括官】  恐縮でございます。文部科学省の国際統括官の田口でございます。本日は皆様、御多忙のところ御出席を頂きありがとうございます。また皆様、日頃より日本ユネスコ国内委員会の活動へ御協力を頂きまして本当にありがとうございます。
 昨年9月の日本ユネスコ国内委員会総会におきまして、国内委員会の組織の見直しをいたしました。今回の教育小委員会は、新しい体制の下での初めての教育小委員会となります。
 教育小委員会につきましては、名称や取り扱う分野は変わっておりませんが、これまで普及活動小委員会で御審議いただいていたユネスコ活動としての普及啓発についても御審議を頂きたいと思ってございます。
 事務局といたしましては、委員の皆様がよりよい環境で議論ができるように、特にこのオンラインでなかなか難しいところございますが、尽力していく所存でございますので、委員会の運営等に関して改善すべき点などございましたら、随時、事務局にお申しつけいただければと思います。
 本日は、議事次第にございますように、地域の普及活動について御紹介をいただいた後、ユネスコスクールの新たな展開について、そして次期ESD国内実施計画について御審議をお願いしたいと思ってございます。
 ユネスコスクールについては、これまで議論を頂いていたところでございますが、今後の方向性についてドラフトペーパーを用意させていただいてございます。ユネスコスクールが1,000校を超えている状況でございますが、これを新たなステージにステップアップしていくための方向性について御審議いただければと思ってございます。
 また、ESDにつきましては、新しいESDの国内実施計画を策定する必要がございます。「ESD for 2030」という、新しい世界的なESDの動きに対して、提唱国である日本として、それにふさわしい今後の10年間の計画を策定したいと思っており、それを世界に向けて発信していきたいと考えています。委員の皆様の教えを頂戴できますと幸いでございます。
 2021年は日本のユネスコ加盟70周年、それから先ほど申しました「ESD for 2030」のスタート、それから、さらには東日本大震災から10年、そして、図らずもオリンピック・パラリンピック東京大会の開催、こういったものが我が国にとって多くの点で節目になると考えてございます。これを機に、ESDをはじめとする我が国のユネスコ活動を一段高いレベルにステップアップしていきたいと思ってございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【杉村委員長】  国際統括官、ありがとうございました。
 それでは、本日の会議の配付資料について、事務局より説明をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  資料について、議事次第を御覧ください。議事次第の配付資料にございますとおり、資料1-1から資料3-2、そして附属資料として附属資料1-1から2-4、参考資料として1から4をつけてございます。もし足りない等ございましたら、事務局まで御連絡いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

<議題1.教育小委員会における議論について(報告)>
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に移ります。「議題1、教育小委員会における議論について」です。本日は、昨年12月1日付で日本ユネスコ国内委員会の小委員会が再編されてから最初の教育小委員会になります。ついては、改めまして、小委員会再編の趣旨と教育小委員会での議論に求められている点について、まず事務局から御報告いただき、その後、新たに議論の観点が追加された普及の観点についてインプットが期待されています地域代表の委員の皆様方から自己紹介を賜りたく思います。併せまして、ユネスコ協会の活動等についても御紹介を頂きたく存じます。
 それでは、まずは事務局から御報告のほうをお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局の文部科学省国際統括官付の石田でございます。それでは、資料1-1に基づきまして、ごく簡単に経緯を御紹介させていただきます。
 資料1-1にございますけれども、日本ユネスコ国内委員会小委員会、今、杉村委員長から御説明いただいたように再編を行いました。その趣旨が説明されておりますけれども、国内委員会からの御指摘があり、総会などで議論の在り方を考えるべきというような御指摘がございました。
 それを踏まえて、2にございますように課題が整理されたところでございます。
 特に教育小委員会に関わるのは一つ目の丸でございます。「教育」「自然科学」「人文社会科学」「文化」「コミュニケーション」、それぞれの小委員会がございましたけれども、例えば「教育」と「普及」の議論が、その場が別々にあるというように、各分野の専門的な知見とユネスコ活動の普及に関する知見の往還がされにくいというような、こういった課題が指摘されておりました。
 そういったことから、見直しの方向性の上から3番目の丸にございますけれども、全ての小委員会に地域的なユネスコ活動の領域を代表する委員を含めて組織をし直すというような方向性を頂きまして、2ページ目にございますような表のとおり、見直し前、6の専門小委員会がありましたけれども、これを三つに再編成するとともに、それぞれの小委員会で必ず普及活動に関する事項も審議するというような形になったところでございます。
 そういったことを踏まえまして、再編された小委員会の、今日は初めての会合でございますので、何とぞ、この趣旨に沿った御議論を頂ければと存じます。
 事務局からは以上でございます。
【杉村委員長】  石田企画官、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、地域代表として今回御参加いただいております石井委員、市丸委員、片山委員、見上委員から、それぞれ自己紹介を賜りたく思います。それから併せまして、ユネスコ協会の活動についても御紹介をお願いいたします。
 それでは、石井委員のほうから、まずお願いしてよろしゅうございましょうか。
【石井委員】  神奈川県の厚木ユネスコ協会の石井尚子でございます。教育小委員会に参加するのは初めてですが、このように自己紹介の時間を取っていただきまして、ありがとうございます。
 私は大学生でユネスコ研究会に入りました。その後、神奈川県の公立小学校の教員になりましたが、たまたま近くの厚木にユネスコ協会があることを知り、厚木ユネスコ協会に入りました。それから今まで、およそ40年余り、本当は45年なのですが、活動を続けてまいりました。外国の料理を作って、食文化を通した国際交流とか、あと小・中学生、高校生を対象にしたユネスコ・サマースクール、環境学習会、それから地元にある大山や相模川のクリーンキャンペーンなどをやってきました。
 私たちの協会は全国にも誇るぐらいの青年の数がおります。普段の活動はもちろんですが、今はコロナ禍でちょっと活動ができないということで、オンラインで楽しくおしゃべりをしながら仲よくやっています。
 私は、ユネスコをこう長いことやっているのですが、なぜユネスコをやっているのと聞かれたら、ユネスコの普及のために頑張っておりますと言います。
 今回、三つの小委員会に改変されたわけですが、私たちは普及活動小委員会にいましたが、やはり日本ユネスコ国内委員会では普及ということを、もっと大切に、念頭に置いて普及活動をやっていかなきゃいけないのではないかなと前から考えていました。これからも、私自身も含めて、民間人として普及のために一層努力してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 活動を挙げればたくさんあるのですが、たくさんの時間がないので、一つだけ、日本ユネスコ協会連盟の活動の紹介をさせていただきます。
 ユネスコスクールに関する事業として、日本ユネスコ協会連盟はユネスコスクールSDGsアシストプロジェクトを行っています。これはSDGsゴール達成に向けたユネスコスクールによるESDの取組に対して助成をしています。2009年度から延べ973校に対して行ってきました。三菱UFJ銀行さんの御協力を頂いております。また、私たちはユネスコスクールの登録後の質の向上を応援し、事例発信しています。
 簡単ですけれども、以上です。
【杉村委員長】  石井先生、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
 それでは、片山委員のほうにお願いしたく思います。本日はありがとうございます。
【片山委員】  皆さん、こんにちは。私は滋賀県の長浜ユネスコ協会の会長をしております片山勝と申します。今回より本小委員会に加わらさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は日本ユネスコ国内委員会のESDフェイスブックページに「いいね」を押しております。現在このESDのファンは5,400人ぐらいが登録をしておりますが、こういったウェブツールによる情報発信は今後、強化していくことが大事で、期待をしております。
 それから、主に滋賀県内で様々なユネスコ活動を、他のユネスコの会員と事業を展開しておりますが、もともと長年、公立中学校の教員をしてまいりました関係で、退職後も地元の小・中学校のユネスコスクールの登録、新規加盟に関わっております。
 今日は、こういった立場から、これからの議事に加わらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【杉村委員長】  片山先生、ありがとうございました。
 それでは、見上委員にお願いしたく思います。見上先生は教育小委員会でも既に委員でいらっしゃいますが、本日は改めて御挨拶を頂戴できればと思います。
【見上委員】  ありがとうございます。見上一幸と申します。3年ぐらい前までは宮城教育大学におりましたので、この教育小委員会にも大変お世話になったのですが、今度は立場を変えて、民間ユネスコ、仙台ユネスコ協会の会長をさせていただいておりまして、その立場で参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

<議題2.ユネスコスクールの新たな展開について(討議)>
【杉村委員長】  ありがとうございました。それでは、市丸委員につきましては後ほど、またつながられたときに、お声がけいただければと思います。本日はよろしくお願いいたします。
 続きまして、「議題2、ユネスコスクールの新たな方向性について」に移らせていただきます。
 初めに、また事務局のほうから御説明いただきたく思います。この議題につきましては、昨年から御議論いただいて、既に委員の皆様から多くの御意見を頂いてまいりました。それらの議論を基に、事務局のほうで、今般ユネスコスクールの活動をさらに発展させていくための案を作っていただいております。
 まずは事務局から、それを御説明いただいて、その後、資料2-1、ユネスコスクールの新たな方向性について、案ですけれども、及び資料2-2のユネスコスクールの基準・要件について御議論いただきたいと思います。
 では、まずは事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局、石田でございます。それでは、資料2-1を御覧いただければと思います。
 今、委員長のほうから御紹介いただきましたけれども、ユネスコスクールにつきましては、この小委員会で多くの御議論を頂きました。そこで頂いた御議論を取りまとめたのが、この資料2-1でございます。
 全体の構成といたしまして、前半で御指摘された現状の課題、これを五つに整理させていただいておりまして、それを踏まえて、どういった方向性を取っていくのかということの案につきまして、2ポツのほうで後半に書かせていただいているという構成になっております。
 まず現状の課題でございます。今申し上げましたけれども、何点かまとめさせていただいております。
 まず大きな論点として、国際的視野に立った意義・役割の再定義ということで、ローマ数字の(1)のところでございます。まず、そもそもユネスコの定めるユネスコスクールの基準と日本において推奨する活動内容との関係が必ずしも明確ではないのではないか、という御意見も頂きました。これは具体的には、例えば日本においては、ユネスコスクールはESDの推進拠点と位置づけられているわけですが、必ずしも世界のユネスコスクールは、全てESDの推進拠点と位置づけられているわけではないという御指摘がございました。
 そういったこと等もありまして、ユネスコスクールの意義・役割について再定義して、在り方を示す必要があるのではないかと、こういった御指摘がございました。
 それから2番目には、量的拡大と支援の在り方についての御指摘でございます。ユネスコスクールにつきましては当初、数校だったものが、現在では1,100校を超えるというような多くの学校がユネスコスクールとして登録されてきております。今後もこの拡大を求めていくのかどうか、政策としての考え方を考える時期に来ているのではないかというような御指摘がございました。
 それに伴いまして、ユネスコスクールに対して様々な支援を行っているユネスコスクール事務局でありますとか、ASPUnivNet、教育委員会等々、こういった支援の在り方についても、活用できている学校と、そうじゃない学校があるというようなことでありますとか、あるいは支援について期待をされているASPUnivNetが現在、この審査と支援といずれの業務も担っているということがありまして、十分な支援ができなくなってきている等々の御指摘がございました。これについてどう考えるかというのが大きな2点目でございます。
 それから3点目でございますけれども、ユネスコスクール活動が若干低迷している部分があるのではないかということがございました。いろいろな要因あろうかと思いますけれども、一つ指摘されていますのは、登録から経年していきますと活動が低下していくというようなことが見受けられるのではないか。あるいはユネスコスクール間の連携が不足しているのではないかというような御指摘がございました。
 前回の発表の中でも、学校間の交流を実施していない学校が38%、海外の学校との交流したことがある学校が27%というような数字も示されておりますけれども、こういったところについて課題があるのではないかというような御指摘がありました。
 それから最後、登録の手続についてでございますけれども、我が国ではユネスコ活動に実際に申請する前の段階でチャレンジ期間を設けまして、ユネスコスクールと同様の活動をしていただくというようなことをしておりますが、このチャレンジ期間が終わって、ユネスコ本部のほうに申請をするという段階になった後のユネスコ本部での申請が長期化しているというような実態がございます。そうしますと、早期に登録されるという前提で活動を考えていたり、そういうことを意欲にしてやっておられる関係者の方の意欲の低下が懸念されるようなことが起こっているということが指摘されております。
 こういった課題についてどう捉えるかということを整理させていただいたのが、その次、2の今後の方向性についてでございます。必ずしも1対1で対応しておりませんけれども、方向性としてまとめられるものをまとめて記載をしております。
 まず(1)国際的視野に立ったユネスコスクールの方向性でございますけれども、要点として四角の中で書かせていただいております。これまでの量的拡大方針は一定の役割を果たしたと評価ができるのではないかということでございます。全世界における日本のユネスコスクールは1割を超えるという状況になっておりますけれども、これは否定的に捉えることではなくて、資産と考えるというような評価ができると思いますけれども、一方で今後そういった量的に一定程度拡大が果たされたというユネスコスクールの方向性を考えたときに、例えば様々な活動をやっているユネスコスクールが日本にはあると捉えることができますので、今後ユネスコスクールの多様性を目指していくんだというような大きな方向性を方針として示してはどうかとまとめております。
 次に2点目でございますけれども、国内外においてESDの活動が幅広く求められている状況にございます。国際的には「ESD for 2030」という10年にわたる大きなイニシアティブが始まっており、また国内においては学習指導要領にESDの考え方が位置づけられました。こういった形で、国内外双方において、ESDの活動が幅広く求められておりますので、先ほど申し上げたユネスコスクールがESDの推進拠点としての役割を求めるという方向性を維持してはどうかと、御提案させていただきました。
 一方、多様性を目指すというような全体の方針を定めるということからは、ユネスコの理念をその教育に反映させているという視点も重要です。仮にESDと銘打っていない場合であっても、国際的な基準を満たす学校については、ユネスコスクールへの加盟申請ができるように審査を行うといった整理をしてはどうかと書かせていただいております。
 それから、おめくりいただきまして5ページ目、全体の9ページになりますけれども、活動活性化のための方策ということでまとめさせていただいております。
 大きく二つの柱で整理しておりますけれども、ユネスコスクールに関するネットワーク機能の強化、これを一つの柱、それからビジビリティの向上、広報・普及を図るということを二つ目の柱として、その活動の活性化を図ってはどうかというまとめ方をしております。
 1点目について、ネットワーク機能の強化についてでございます。これはヒアリングでもございましたが、例えば大牟田市のユネスコスクールの活動についてヒアリングを行いましたが、教育委員会が主導になって市内のユネスコスクールを支援しておられました。その中で、他のユネスコスクールがどういう活動をしているかというような取組の発表会などをやることによって、自分の学校ではどういった進め方をするかという刺激になるというような、そういう御発表もありました。
 それから岐阜県内の高校のユネスコスクールでは、地元のユネスコ協会や、近隣の中学校のユネスコスクールと連携することが活動の一部になっているという御発表がありました。こういった形でネットワークが強化されることによってユネスコスクールの活動が継続的に支援されるような結果につながるのではないかということで、これを強化していくことを一つ目の柱に掲げております。
 それから、ネットワーク機能の強化につなげるためにビジビリティの向上が重要だというようなことを挙げさせていただいております。これもACCUへの委託調査結果として発表がございましたが、発信に努めている学校は、まだ17%にとどまっているという状況でございました。しかしながら、こういった各学校でどういうことをやっているかという発信がないと、ネットワークをつくろうとしても、どことつながればいいのかが分からないというようなことにもなりますし、あるいはユネスコスクールの中でも関係者の認知が低いということの結果、ユネスコスクールの協力が得られにくいというような活動低下の原因につながっていく可能性がありますので、こういったビジビリティの向上を目指すために、ウェブサイトやポータルサイトを積極的に使っていくという方向を出したいと思ってございます。
 それから最後、7ページ、全体の11ページ目でございますけれども、(3)として、審査体制・基準の見直しと登録後の質の担保という形で方策をまとめさせていただきました。
 まず審査体制につきましては、ASPUnivNetが担っている審査業務を切り離す方向で考えると。ただし、どういった形で実際に審査するかというのは、これは関係者が多々分かれておりますので、早急に結論を得るということにすることによって、先ほど申し上げたようなASPnetの支援部分がしっかりとできるということでありますとか、なかなか審査がうまくいかない部分があるということの問題を解決しようと考えております。
 それから国内で審査をする基準については、先ほど申し上げましたように、ユネスコで定められた基準と、それから国内でこういうことが推奨されるといいますか、求められる活動の関係では、必ずしも整理、明確化されていない部分がありましたので、それをしっかり周知するために、その整理を行うということでございます。
 それから3番目、登録後の扱いについては、現在は活動しているユネスコスクールから年次報告書の提出を求めていることだけになっております。そこで認定解除をするか、あるいはユネスコスクールとして続けるかを聞いているということについては、ユネスコの制度を拝見していますと、メンバーシップ期間として、3年から5年の間にユネスコスクールの活動が、どういった活動がなされたかということを評価するような期間を設け、最終年にそのユネスコスクールの活動がもう一回見直されるというようなメンバーシップ期間を設けているところがございます。ですので、こういったものを設けてはどうかというのが一案でございます。
 ただ、かなりユネスコスクール、日本の場合は多くございますので、5年に1回でも、1回で200校、こういった評価の対象にするということもございますし、ユネスコスクールに多くの負担をかけるということも本意ではございません。どういったやり方がいいかというのは引き続き議論ですが、これを一案として提案をさせていただいております。
 それから最後でございますが、これも多くの方から御意見を頂きましたけれども、ユネスコ本部への申請をしてもなかなか認められないというような状況が続いておりました。これは、やはりユネスコ本部側の処理の能力の問題等ございますので、なかなか解決しないわけですけれども、そういったことの結果、申請中の学校が意欲を失うということが現に起こっております。その対応策として、例えばユネスコスクールキャンディデートといった形で、日本国内の審査が終わった学校については、こういった位置づけを与えて、国内におけるユネスコスクールネットワークに加入できるようにしてはどうか。具体的には、例えばユネスコスクール全国大会には参加ができるとか、いろいろな研修に参加ができるといったことで、少なくとも国内では、ユネスコへ申請中の学校であっても登録された学校でも同じようにユネスコスクールの活動ができるような位置づけを与えてはどうかということを提案させていただいております。
 少し長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】  石田企画官、本当にありがとうございました。ただいま、このユネスコスクールの新たな方向性について、事務局案の御説明がございました。今回、私、この事務局案を作っていただく過程で、事務局の皆さんにおかれましては、ユネスコスクールの現場の先生たちの声をヒアリングしていただいたり、今も企画官の御説明の中にありましたけれども、一度、12月のヒアリングの会に私も参加させていただきましたが、現場の先生方からの実践や、あるいは課題をじかに聞き取って、それも踏まえて作っていただいた事務局案というところでは大変、委員長としても事務局のほうに感謝申し上げたい点です。
 それでは、ここから議論のほうに入らせていただきます。この話、随分これまでもいろいろな御意見を頂いてまいりました上での事務局案となっておりますので、できれば今日の御議論をまとめ、後ほど御紹介のあります3月10日の総会のほうの議題にも持っていきたいと思っておりますので、そうしたことを踏まえながら質疑応答に入らせていただければと思います。
 どなたからでも結構でございますが、まず、できれば最初、細かい今の御説明、お手元資料にあるかと思いますが、2-1の資料につきまして御質問等ある方ありましたらと思いますが、いかがでございましょうか。その後に、また大きな御議論の方向性、御意見賜れればと思います。御確認いただいて、細かな質問等、まずございますでしょうか。

<議題1.教育小委員会における議論について(報告)つづき>
【杉村委員長】  市丸委員とのオンラインがつながったようですので、市丸委員から一言御挨拶を頂戴できればと思います。
【市丸委員】  皆様こんにちは。本当に御迷惑をかけて申し訳ございません。私、福岡県久留米ユネスコ協会の市丸と申します。
 ユネスコ活動で取り組んでいる主な活動は、学校で出前授業を行い、ユネスコ活動やSDGs、世界寺子屋運動の紹介をし、協力依頼を子どもたちにしています。市民に向けましては、九州にたくさんある世界遺産を案内し、ユネスコの意義を広めています。また、ワールドクッキングなども行い、地域の人にユネスコ活動を広めていく草の根運動を進めています。

<議題2.ユネスコスクールの新たな展開について(討議)つづき>
【杉村委員長】  市丸先生、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、今、先生のお言葉にもありましたが、ユネスコスクール、まさにいい方向に持っていくために御意見承れればと思いますが、まず御質問等で確認事項等ございますでしょうか。
 特に細かなところでないようでしたら、いよいよ議論のほうに入っていきたいと思います。御意見も頂戴したく思います。どなたからでも結構でございますが、もし御意見ございましたら。まずは大きな方向性、今御提案がありましたけれども、新たな方向性について御意見承れればと思いますが、いかがでしょうか。
【東川委員】  委員長、よろしいでしょうか。
【杉村委員長】  はい。お願いいたします。
【東川委員】  皆さん、こんにちは。私は日本PTAの顧問を仰せつかっております東川と申します。
 先ほど御説明いただいた資料の中で、資料2-1でしたかね、活動活性化のための方策の中のマル2のところ、ビジビリティの向上といったところの御説明がありましたけれども、この記述の中で、6行目ぐらいでしょうか、中ほど、1で述べたネットワークを強化するに当たり、他のユネスコスクールがどのような活動を行い、どのような特徴を有するのか、情報がなければ連携する契機を逸することになると。さらに、関係者のみならず一般の人にも伝わっていくようにビジビリティを向上させるための広報・普及の強化が求められるといったところに対して大変、私ども日本PTAとしましても、なかなか知っている人は知っているけれども知らない人は知らないという方が、どちらかというと多いといった中で、このように書いていただいたということは非常に心強いなと思っております。
 また今週、明日ですかね、全国オンライン大会が開催されるということに関しましても、私どもの団体にも御紹介を既にいただいておりまして、私ども全国の理事を通じて案内をしたところでございます。どれほどの参加者があるかは、ちょっと計り知れないところではあるんですけれども、このような活動というのが大変重要だなと思っておりますので、賛同しますというようなところでお話しさせていただきました。
 以上でございます。
【杉村委員長】  東川委員、ありがとうございました。力強いお言葉を頂きまして、勇気を頂いた感じです。
 ほかにもいかがでございましょうか。山口委員、お願いします。その後、吉田先生もお手が挙がりました。
 山口委員、では先にお願いいたします。
【山口委員】  杉村先生、どうもありがとうございます。多岐にわたる議論をこのように明確にまとめていただきまして、大変読みやすい形になっていると思います。事務局のみなさまに感謝いたします。
 以下、2点についてのインプットです。まず第1点目は、課題の分析の部分で、ACCUのデータにも載っていた点ですが、インタージェネレーションの観点からみると、担当している教員の年齢が高いという点がデータから浮き彫りになっていました。どのように若い世代の教員につなげていくかというのが重要な点であると思います。今後の方策としてビジビリティを上げるためには、やはり新しい教員、若い世代の教員をどのように巻き込んでいくかが課題になると思います。
 第2点目は、新型コロナ禍における実施についてです。わたくしは、文科省のスーパーグローバルハイスクール事業以来、現在のWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアムを含めた若い世代の国際化事業に関わっております。日本の高校生・中学生が世界の高校生とつながって共通の課題を考えることで国際感覚や異文化共生の姿勢を養い、グローバル人材育成に貢献する事業です。今回コロナ禍において海外渡航も実施できない状況の中、生徒と教員が中心となり、様々なオンライン手法を駆使し、いろいろな地球規模課題についての積極的な議論が継続されています。ですので、このオンライン実施の機会を活用して、アジアを含んだ海外の国々との連携、具体的には、他地域のユネスコスクールとの連携を、カリキュラムの中に取り込んでいくというのが考えられると思います。日本の学校やユネスコスクールのビジビリティを上げるという点でもよろしいのではないかなというのがわたくしの意見です。
 また、国内における他のネットワーク、ESDを促進するための他のネットワークも活用できるかと思います。例えば国連大学サステイナビリティ高等研究所には、環境省との連携のもと実施している、RCE(Regional Centre of Expertise on Education for Sustainable Development)があります。日本国内にも北海道から九州まで全8か所にRCEが存在し、長年にわたり大変ユニークな取組を実施しております。学校以外にも地域コミュニティーの様々なステークホルダーと連携し、ESD活動を促進しています。このような、国内の他のESD促進ネットワークと連携し、また世界各国175か所にある同様のRCEを通じて、お互いのビジビリティを促進していくというのも一つの案ではないかなと思います。
【杉村委員長】  山口委員、大変建設的な具体的な御提案ありがとうございました。
 それでは、先ほど吉田委員が手を挙げていらっしゃいましたでしょうか。
【吉田委員】  はい。恐れ入ります。SDG4の国際的な推進メカニズムであるグローバルなステアリング・コミッティーの共同議長を仰せつかって務めております広島大学の吉田です。どうぞよろしくお願いします。
 3点ないしは、それに関連したことをちょっと簡潔にまとめて、私の意見として述べさせていただきます。
 一つは、全体として、この今回の案は問題点を明確にして、それに対する対処策という形で分かりやすく用意されているというのは、山口委員と全く同意いたします。その上でですけれども、言葉尻でもあるんですが、多様性を目指すということが言われているんですけれども、むしろ多様性があるということを生かしていく、もっともっと広げていくことが、そのものがいいというよりは、いろいろな分野で非常に有力な活動がされている、そういうことをどういうふうに生かしていくのか、それが分かるような方向性。多様性をただ単に目指すというのではなくて、生かしていく、こういう姿勢が重要ではないかと思いました。もちろん、これと関連して、今後ユネスコスクールとして日本の中で、どれだけ新しく認証されて数を増やしていくのか、そういうところとも重なってくるかと思います。
 二つ目は広報・普及ですが、これも日本のユネスコスクールの強みとも重なってくるのですけれども、発信を誰に向けて何のために行うのかということを、やはり明確にしておく必要があると思います。そのためにはユネスコスクールが、ユネスコの元々の目的にかなっている、そして日本ならではの取組というものがこのように行われている。そういう意味で、日本はちゃんとやっていますよという意味での発信だけでは、やはり聞き手としてはあまり面白くないのかなという気がします。対外というときに、海外に発信するときは、海外のユネスコスクールの取組の中で、こういうところで困っているとか、こういうところが進んでいないとか、そういうグローバルな意味で日本の取組というのが参考になるような、そういうメッセージ性を明確にするということが一つあると思います。それから日本国内に向けた場合は、日本の国内で誰に向けたメッセージなのかですね。ユネスコスクールに既に加盟しているがもっと積極的にやりたい、あるいは、これからもっとESDについて取り組みたい、いろいろな思いで、そういった情報に接すると思いますので、そういったニーズに応える意味の広報・普及が必要だと思います。
 それら最初の点、多様性を生かすということ、それから有効なメッセージをニーズを意識して発信するということと、両方に関わるかと思いますが、そもそも今のユネスコスクール、日本の中での取組のどういう部分に強みがあって、どういう部分を今後強化していく必要があるのか、分野的に、あるいはユネスコスクールの行っている活動の方法論的にユニークなもの、あるいはまだ弱いもの、発展の余地があるもの、こういったところを、まず私どもがしっかり認識しているかどうかというところがポイントになってくると思います。
 そして最後に3点目ですが、基準、それから更新5年単位でと、そういう案になっていますけれども、やはり事業、ユネスコスクールとしての成果が継続していくということは、先ほどの山口委員の中でのインタージェネレーションということもありましたけれども、その継続性を図る努力というのは、もうその申請の段階からずっと入っていないと、5年間終わった頃に突然頑張り始めても、とてもできるものではありませんので、そういう意味では基準のところで、まず、このユネスコスクールとしての取組が持続性のあるものにするために、どのような工夫をしていますかということを聞いて促してあげるような、そういう必要性もあるのではないかと思いました。
 以上です。失礼しました。
【杉村委員長】  吉田先生、ありがとうございます。
 ほかにはいかがでございましょうか。見上先生、お願いいたします。
【見上委員】  ありがとうございます。私のほうから1点お話しさせていただきたいんですが。
 まず全体として大変、今まで課題と思われたことをすっきりまとめていただいて、本当に感謝いたします。特に今待たされているユネスコスクールキャンディデートですね。これがキャンディデートとして活動できるということなので、非常にみんな喜ぶのではないかと思いますが。
 今回の学習指導要領が変わったということで、全ての日本の学校がESDの視点から取り組むということになるわけですが、そのときに、よりユネスコスクールの立場が推進拠点の位置づけ、ある意味レベルが上がるというんですかね、少なくともユネスコスクールの皆さんには、そう思われるかもしれない。それから、また海外との連携とかということも、交流とかというのも入ってくると非常に、ここでまたもう一息、ユネスコスクールに頑張っていただかなきゃいけないというようなこともあろうと思うので。
 申し上げたいのは、支援体制をみんなでしっかり組みながら、ユネスコに関わる者として頑張らないといけないなと思います。
 特にユネスコ協会連盟は、いろいろなところに280か所ぐらい地域にありますので、そういった形がユネスコスクールに貢献できたらいいなということで、国のほうとしてもサポートをよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【杉村委員長】  見上先生、ありがとうございました。
 加治佐先生、お願いします。
【加治佐委員】  ありがとうございます。この報告書、提案書、読ませていただいて、大変よく分かりました。理解も深まったという感じがしております。
 それで、少し何か見当違いのことを申し上げる可能性もありますので、ちょっとお断りしておきたいと思うんですが。
 要するに狙いというのは、ユネスコスクールの質の確保ということでよろしいんでしょうかね。量的には一段落したということで、しかも審査も止まっているということで、なかなか量を増やすことは難しいということで、とにかく今ある1,000余りのユネスコスクールの質を確保していこうということと捉えましたが、今後いろいろな多様な活動をしている、ユネスコの理念に沿う多様な活動をしているようなところも含めていくという御提案もありますけれども、基本的にはESD、SDGsを推進するリーディングスクールだという捉え方でよろしいかなと思うんですね。
 ただ、とはいっても、現実1,000余りありまして、メンバーシップ制をしいて、質の確保のための、ある意味少し、何かちょっと厳しい措置も取ろうかなということも言われているわけですけれども。
 つまり、私が申し上げたいのは、これ私が実際よく知らないということが一番の理由だと思うんですが、我々学校にいる者からして、あるいはそれだけじゃなくて、一般の保護者の方とか、PTAの方とか、あるいは一般の国民の方々でもよろしいかなと思うんですが、誰もユネスコの理念とか、さらには、これからのESDとかSDGsの価値は否定しないわけで、というよりも、むしろESDやSDGsの推進を一層しなきゃいけないという機運は、むしろ高まってきていると思うんですね。それを推進するリーディングスクールはユネスコスクールだとしたときに、ESDやSDGsを推進している学校というのはいっぱいあるわけで、そのときに、ユネスコスクールになる、つまりユネスコスクールとして認証される価値は何だろうかなということを、また思うわけですね。
 ただ、私、これまでこの会議、何度か参加させていただいていて、いろいろ皆さんのお話も伺ったりはするんですが、いまいち見えてこないんですよね。何といいますかね、具体的な支援があるとか、何か研修の機会があるとか、大会に参加できるとか、いろいろおっしゃるんですが、何か動かす、つまり、ユネスコスクールに入ればESD、SDGsがこんなに推進できますよといったようなものというのが、何か私が知らないだけかもしれない、ちょっと見えてこないんですね。
 だから、前もお話ししたように、本学のそういう分野の先生に話しても、必ずしも乗ってこないわけですよ。だから、何かもう少しこの価値を、認証の価値を見える化するということはできないでしょうか。
 もちろん今日のビジビリティを高めるという御提案もあるわけですけれども、何かないですかね。何かもうちょっと、我々はユネスコスクールになって、こんなにいいんだと。こんなに推進できているということを。恐らく、やられているんですね。やられているけれども、なかなか一般には分からないという、何かがあるような気がしますね
 もっと分かりやすく言うと、何かインセンティブがつけられないですかね。先ほど見上先生も具体的な支援が国のほうから何か要るとかいうことをおっしゃっていましたが、例えば高校だと、SGHとかSSHとかなると、かなり知名度上がって、実際お金もついて、人もついて、かなり地域での存在感、間違いなく増すんですよね。だから、みんな注目しているし、そこの取組は見に行くんですよね。
 だから、やはりそこに行き着くのかなという気がするんですが。それを言っても、できないことを言われているなと思われるかもしれないんだけど、何かそういうのを、ぜひ働きかけていただけないですかね。何か本部のほうから出るとかいうことはないんでしょうかね。そういうことを思いました。
 すみません、何かつまらないことを言いました。
【杉村委員長】  ありがとうございます。いえいえ、学校の現場の先生たちから、とても大事な点を言っていただいたと思います。
 ちなみに12月に毎年行われているユネスコスクール全国大会、去年、私、参加させていただきましたが、ユネスコスクールの先生方、本当に熱心に議論されているし、着実に地域でESD、SDGsの活動を広めていってくださっているのもユネスコスクールだというのは、それは現場の先生方とお話ししていて、すごく実感するところでもあります。今のようなインセンティブのお話も含めて、今回の方向性が、またそうしたことをうまく、さらに注目を集めて、高めていける大きな檄になるかなと考えさせていただきました。ありがとうございます。
 すみません、事務局のほうから御指名いただきますのに、続きまして、お願いしていいでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】  はい。片山委員で、その次、秋永委員が手を挙げていただいております。
【片山委員】  委員長、どうもありがとうございます。今ほどの加治佐先生のストレートな御提案は、“いいね”ボタンを押したいぐらいです。
 といいますのは、インセンティブ、ものすごく大事に思うんですね。ちまたで登録申請を援助してきた中で、こんな立派なプレートが寄贈されるんですよというようなことで、これは企業さんの協力を得て、ユネスコスクールの、いわゆるロゴも入った、本当に大きなプレートが正面玄関に掲げられるということは、その学校としても、地域としても、誇りに思うということであります。ところが、資金面で今、一気に数が増えましたので、中断をしております。
 そういった意味で、何らかの資金面は、当ユネスコ協会としても、何らかの形で登録の支援はしていきたいなと、いけたらいいねということは話していることは確かでございます。
 私のほうからは2点だけ、今回の資料2の提案について発言をさせていただきたいと思います。全体的によくまとめられていて、現場の声もよく組み入れた形での、本当に具体的な提案がされているなと認識をしております。
 2点の一つ目は、資料2-1の8ページ目の下辺りに書かれております登録後の質の担保についてですけれども、これは原則5年ごとに活動状況をレビューするというような、こういう提案をしていくということで、先ほど、御発言がありましたように、これは、やはり申請をしたときから、こういうようなものがあるんだよということは、今後は、ちょっと教えてあげておいて、それから申請のときに、そういった継続、持続可能な校内システムといいますか、管理職や先生方が替わっても持続化していけるようなシステムをつくっていくことが大事だと思っております。
 今現在、文科省でもコミュニティ・スクール、学校運営協議会制度ができておりまして、学校を支援する仕組みがどんどん整っておりますので。今、私も現在3校、申請中の学校に支援させてもらっておりますが、全て、そういった学運協であるとか、行政であるとか、近隣の大学、研究機関に、ユネスコスクールの登録目指しているんだというようなことで話されていますので、そういう仕組みづくりを学校の中に取り入れていくような学校運営を進めていくべきではないかなと思っております。
 市、町の教育委員会は学校を服務監督、管理していますので、年に数回、学校の教育課程を学校より聞くというシステムがあります。今後ますます教育委員会の指導主事の方等も含めて勉強していただいて、教育委員会ぐるみで、登録されたユネスコスクールの質の担保という点で御指導、支援していただけるのではないかなと思っております。いい仕組みづくりではないかなと思っています。
 長くなりますが、二つ目は、登録申請期間の長期化に伴う仕組みづくりで、いわゆる国内での位置づけとしまして、キャンディデートという仕組みが提案されております。先ほど申しましたように、新しく加盟申請を行っているところは、かなり地域の方の御支援の下で、この取組が進められていると考えております。
 ですから、この登録が長引いていることは、地域の人も非常に不安であります。特に今、年度末ですので、学運協の会議などに参加すると、校長先生や教頭先生辺り、登録どうなっているのと問われると聞いております。地域の方もユネスコスクールの登録申請には期待をしておられます。そして学校に、これを機会に一層、地域の方が、このユネスコスクールを支援する学校づくりの仕組みに入っていかれると思いますね。ますます、そういった面で質の向上が図っていかれるのと、国内の位置づけがしっかりされることによって、ユネスコスクールのネットワーク関係の事業にも参加できるということが担保されていきますので、これは質のモチベーションのアップにつながっていくものと思います。
 先ほど石井委員のほうから日本ユネスコ協会連盟のユネスコスクールESDアシストプロジェクトが、自己紹介のときに紹介をしておられましたけれども、専用のホームページに、その活動事例も挙げておりますので、今後さらに、そういったビジビリティの向上に努めていきたいなと、こういうふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。
【杉村委員長】  片山先生、ありがとうございました。
 続きまして、秋永委員にお願いします。
【秋永委員】  皆さん、こんにちは。秋永と申します。事務局の皆様、取りまとめ、誠にありがとうございます。ユースのお立場、もしくはそういった視点が何か盛り込めないかなと考えていたんですけれども、御提案なんですが、活動活性化のための方策の中のマル1のネットワークの機能強化やマル2のビジビリティの向上の中に、ユネスコスクールの卒業生に関する記述が入ってもいいのではないかなと思いました。
 というのも、なかなか学校の認定であるとか、学校同士の、先生同士の連携強化というのは重要な点でありつつも、かなり大人の都合的なところもあるような気がしておりまして、やはりこれだけ多くの学校をこれまで認定してきたということは、その10倍とか100倍以上の生徒さんがここから輩出されているという、それこそが資産じゃないかなと気づきまして。ですので、卒業生の連携強化であるとか、こういったウェブサイトで、卒業生が、もしくは在校時から、そういった活動を主体的に公開したり交流できるような、そういった取組があってもいいのではないかなと思いました。
 あと既に、もしどこかで議論があったら教えていただきたいんですけれども、ユネスコスクールを卒業したということが何か修了証のようなもので証明される、もしそういった仕組みがあれば、それも面白いのではないかなと思います。
 というのも、実は最近、とある研究費の申請を読んでいたんですけれども、博士課程の所属の方々が中高時代に所属していたスーパーグローバルスクールとかスーパーサイエンスハイスクールの経歴を、そういった学校でこういう研究をしてきましたということも経歴に明示されておりまして、そういうところにユネスコスクールの活動が載ってくると、いきなり一般人の方に広報するよりも、もっともっと自然に、卒業生がユネスコ活動を自然と広めてくれるんじゃないかなと。そういった活動歴とか履歴に載せたくなるような仕組みづくりができるのではないかと考えた次第です。
 以上です。
【杉村委員長】  秋永委員、本当に前向きな、しかも若い世代、ユースの学生の視点に立った大事な点、ありがとうございました。
 続きまして、石井委員、古賀委員の順番でお願いしたく思います。
【石井委員】  資料ですが、とてもよくまとまっていて、読ませていただきました。でも熟読はしていないのですね。それで質問みたいなことから言いますが、資料2-1の3ページですが、国際的視野に立ったユネスコスクールの方向性、今後の方向性のところで、先ほど吉田先生もおっしゃっていたのですけれども、「これまでの量的拡大方針は一定程度の役割を果たした。今後はユネスコスクールの多様性を目指すことを大きな方針とする」と書いてあるのですね。
 私も以前の議事録も読んだりしていたのですが、今までは、量より質という議論がされていたような気がしているのです。今回見ましたら、質という言葉があまり入っていなくて、ここで多様性という言葉が出てきたのです。この多様性というのは一体どういうことの多様性なのか。内容的な面の多様性。例えば取り組む分野の多様を指しているのか、あるいは何だろうな、と考えていたのですが、まず、その質と多様性、どういうふうに違うのか、同じなのかということが分からないのですね。
 実は、本当にこのユネスコスクールが世界にも誇る数になったということは皆さんの努力のたまものだと思っているのですが、以前その質的なことが話題になっているとしたら、どういうことが質的向上なのかということを、この小委員会で議論されてはきたと思うのですが、私もそれを認識しておきたいなと思いました。
 例えば環境分野を研究する学校が多いと言いますし、多分、環境分野というのは非常に取り組みやすい分野だと思うのですね。研究結果も目に見えて出ますし、それはそれでいいことじゃないのかなと思ったのですね。
 質的な向上というのは、そういう環境分野が多いから質的に同じじゃなくて、もっと違う方面に目を向けてもらいたいとかと、そういう内容的なものを言っているのかどうなのかということですね。
 あとは、先ほどからも出ている、ネットワークをつくったり、他校との情報交換を密にしたり、振り返りをしっかりしましょうとか、内容的にもっと新しい分野にトライしようとか、国際交流分野に目を向けていったらどうかとか、平和とか、そういうことですね。
 だから、私の頭の中ではごちゃごちゃしているのですが、質的な向上と多様性ということの絡みが分からないんですね。どなたか教えていただければと思いました。
【杉村委員長】  石井先生、ありがとうございます。この点につきましては、もし何か事務局の中で御意見ございますでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。大変難しい御質問を頂いたと思います。まず多様性という言葉を使わせていただいたのは、これは量か質かという議論もよくあるとは思うんですけれども、ユネスコスクールに関しては、一体何を目指すのかということをユネスコスクール自身がある程度主体的に考えるというところが一つ重要なポイントなのかなと考えました。つまり、外部から質を、何を目指していくかということが質の前提になることかと思いますが、その上で、一体何を目指していくのかということをユネスコスクール自身が考えるということ、方向軸を自分で決めることがまずは重要だということで、多様性という言い方を先にさせていただきました。
 どういった分野を選んで、特にユネスコスクールとしての活動をやっていくかが、やはりユネスコスクール自身が選ぶというような、ユネスコスクールの性格から、質ということではなくて、いろいろな取組がなされることをむしろ目指したほうがいいのではないかと考えております。
 それは本文のほうにも少し書かせていただいたんですけれども、日本が世界の中でユネスコスクール1割を占めているという状態になっているわけですけれども、その日本が世界に対して何らかの貢献ができるということで言うと、ユネスコスクール、こんないろいろなユネスコスクールとしての活動のやり方があるんだということを、ほかの国に紹介するということが一つあるんじゃないかというようなことも考えまして、量か質かというような、そういう議論ではなくて、多様性を目指すんだというほうを新しい方向性にしてはどうかというような提案をさせていただいたところでございます。
 それから御質問の二つ目は、質の捉え方といいますか、質の内容をどう考えるかということの過去の御議論ということではありましたけれども、質ということで焦点を当てて議論をしていたわけではなかったかと思うんですけれども、少なくともユネスコスクールとしての活動が年に数回しか行われないとか、そういった単純に活動の量という意味での質というような議論はあり得たかと思いますけれども、私どものほうから今答えられるという内容としては、今申し上げたようなことかなと思います。
【杉村委員長】  ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。
 それでは、古賀先生、よろしくお願いいたします。
【古賀委員】  古賀でございます。今回まとめていただいた資料2-1「ユネスコスクールの新たな展開に向けて」を眺めていて思うところを、述べさせていただきます。
 まず、2005年に16校のみであった日本国内のユネスコスクール加盟校数が、現時点では既に1,000校を超え、加盟校数で世界の1割を占めるまでに至った、と記載されています。私は、この加盟校数の飛躍的な増加が問題の出発点だと考えています。以前指摘しましたように、数の急増により、日本におけるユネスコスールの基準が世界標準とずれているのではないかという強い懸念を抱いています。
 しかしながら、まとめのペーパーを見ますと、この点は心配する必要がなく、むしろ国内でユネスコスクールを志す学校が多数存在しているにもかかわらず、日本の加盟校数が世界最多であることを理由に、本部での認定遅延が発生していることが課題だと書かれています。
 続いて、全般的なユネスコスクール活動の質の低下が課題として挙げられ、「これらについて今後どう対応するかと考えた」というまとめ方に見えます。
 私は、日本の現状を踏まえ、今後の方向性を決めるのであれば、「世界標準のユネスコスクール」に拘らず、むしろ、「日本的なユネスコスクール」の良さを前面に押し出し、もっと進化させていくべきだと考えます。つまり、日本独自のユネスコスクールのあり方として、数の増加と質の向上の両方を目指し、どう実行するかを具体的に議論するのが現実的だと思います。例えば、加盟認定待ちの学校を日本独自の制度である「ユネスコスクールキャンディデート」と定義づけることは、あくまで「日本的なユネスコスクール」で良いという割り切りだとも言えます。「ユネスコスクール活動の推進自体に意義があるので、『日本的なユネスコスクール』として数を増やす。これが日本のやり方だ」と明言した方が、はっきりとわかりやすい印象を受けます。これであれば、今後の施策検討時に数値目標の議論もしやすくなります。
 なお、今回の資料では言及されていないようですが、日本の現状を眺めると、加盟校の地域的な偏在も大きな課題だと言えます。この課題の対処方針も検討し、個々の課題への解決策をラインナップしていく方が、より現実的な活性化策を議論できるのではないかという気がいたしました。
 何となくの印象を述べたもので恐縮でございますが、私からは以上です。
【杉村委員長】  古賀先生、ありがとうございました。
 すみません、次の御質問に移らせていただく前に、今ちょうどキャンディデートの話が決まっていて出していただきましたので、ちょっと確認をしたいんですが、事務局案としては、このキャンディデートになったらキャンディデートのままにするという意味ではなくて、これはユネスコの承認が下りるまでの間に時間もある、しかし、その間に何か活動ができないとインセンティブが減ってしまうといけないという意味で設けられたと、私は読んでいたのですが、むしろ今、古賀先生の御提案の方向性を今回打ち出そうとしているのかなと、感じましたので、その点事務局のほうに御確認させてください。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。杉村先生、ありがとうございます。
 今、杉村先生に御説明いただいたイメージでございまして、キャンディデートというのは、国内での申請手続きがおわり、ユネスコスクールの基準を満たしているのではないかという状態ではあるけれども、国際的にはなかなか認定されるまでの時間がかかるといったものをキャンディデートと呼称しようと考えております。
【杉村委員長】  ありがとうございます。そういう意味では、あまり議長の私が言うのもいかがかと思いますが、私、今の古賀先生がおっしゃってくださった、まさに日本のユネスコスクールのよいところを全面的に出していく、別に量とかということではなくてという、その御意見に本当に賛成で、まさにそのとおりかなと、今伺っていて思いました。
【古賀委員】  杉村先生、一つだけ質問させていただいてもよろしいでしょうか。
【杉村委員長】  ぜひお願いします。はい。
【古賀委員】  キャンディデートに関連して、私はユネスコスクールの認定に関する議論を聞くたびに不思議に感じることがあります。日本国内には、ユネスコスクール加盟を目指して体制を整備し、認定されるにふさわしい活動を実施する加盟希望校が複数あるにもかかわらず、日本の加盟校数が世界の1割に達していることを理由に、ユネスコスクール認定されないケースが散見されます。この現状を踏まえると、現在の1,000を超えるユネスコスクールの中には、加盟校としての基準や活動要件を満たしていない先が一定数混じっているのではないかと考えるのが自然です。そうであれば、日本国内で入れ替え戦を行い、認定基準から大きく外れている加盟校を除名し、基準を満たす学校に加盟の機会を設けることが、本来あるべき姿なのではないでしょうか。名目上はユネスコスクールであるものの、厳密にはその要件を満たしてない学校については、一度ユネスコスクールをやめていただき、キャンディデートに戻ってもらう。そして、数あるキャンディデートの中から、ユネスコスクールと呼ばれるにふさわしい先が本部から認定を受ける。このような新陳代謝を促す形が本来あるべき姿だと感じますが、なぜそのような議論にはならないのか。これが私からの質問です。
【杉村委員長】  ありがとうございます。事務局からこの点、補足があるかと思います。よろしくお願いします。
【堀尾国際統括官補佐】  古賀委員のほうから前回の会議で国際的な基準と合っていないのではないかという御指摘をいただいておりまして、そういった意味で、資料2-2につけさせていただいているユネスコが示す国際的な基準、加盟前に求める基準と加盟後に求められる要件といったところと、現在国内で行っているチェックシートとの対比を示させていただいております。今後、こちらのほうの加盟前に求められる基準については、加盟時に現在必須になっていないところを必須にしていくという形と、あと加盟後に求められる要件については、現在レビュープロセスというのがないので、そこできちんとレビューを行っていくことによって、国際基準に合っていないところは、自らそこをちゃんと認識して改善するのか、認定解除にするのかといったところを選択してもらうというようなレビュープロセスを今回導入するということも提案をさせていただいているところです。
【杉村委員長】  事務局、ありがとうございました。レビュープロセスが入っているということが一つ今回大きなポイントになって、その点、古賀先生の御指摘を踏まえての提案かなと思います。ありがとうございます。
 それでは、次に萱島委員、お願いします。
【萱島委員】  短くコメントさせていただきます。非常に深い分析と御提案を頂いてありがとうございます。皆様の議論も大変興味深く聞かせていただきました。私からは2点でございます。
 やはりユネスコスクール、1950年代から制度としてありながら、2000年以降のこの非常に大きな拡大というのは大変印象深いといいますか、驚異的な拡大だったんだろうと思います。そこには、やはり日本がESDということを国際社会の中で牽引してきたというところもあると思いますし、もう一つは、日本の学校教育そのものが国際化を求められて、学校教育の現場でも何か国際的な手がかりが、国際化に関する手がかりが欲しいという政策的な部分と、現場での直接的なニーズが重なり合って、この2000年代以降の大きな拡大につながったのかなと思って、資料等も拝見しております。
 その上で、既に1,100幾つの学校がユネスコスクールになっており、世界の1割を占めるということなんですけれども、これをすぐに極端に絞るというよりは、どのように活動を活性化させていくか、質を高めていくかということが方向だと思うんですけれども、その上では、先ほど山口先生からも少し言及がありましたけれども、国内のそのほかの学校の国際化に関する取組とうまく連携をさせるとか、つなぎ合わせる。高校で言えばWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアムの施策を文部科学省はお持ちですし、そういう点を見ておりましても、各校がどうやって海外の学校とつながるかというのは大変模索をしておられる。こういうところで資金を得て海外との交流を行っているという点では、例えばこういうユネスコスクールのような手がかりもあるかもしれません。また、JICAとしても、国内に10の国内機関、研修センターがあり、途上国からの研修受入や地域の開発教育を途上国絡みということでやっております。こういったJICAが国内で行っている開発教育と連携といいますか、具体的に事業をやっていく上で関わりを持つということが、個々の学校がユネスコスクールという、いわば肩書といいますか、タイトルをもらって、じゃあどうしようといって、ユネスコスクールの枠内だけで動き出すのは、もしかすると大変なところがある学校があるかもしれないときに、ほかの財源、ほかのシステム、ほかのネットワークをうまく活用しながらやると、ユネスコスクールの広報にもなると思いますし、よいのではないかということで、文科省そのほかの機関が行っていらっしゃる国際理解教育、開発教育、地域の国際的な活性化と各学校レベルでも、またシステムとしても絡んでいくというのが有効じゃないかというのが1点です。もう一点は、これは私がユネスコスクールのシステムを完全に理解していないために、もしかすると勘違いをしているかもしれないんですけれども、その活動をどこが担うのかというときに、この1,000の学校が個々に担うのは、できるところもあると思いますし、多少荷が重いところがあるかもしれない。そうすると、やはり事務局機能みたいなところの強化というのができないのかなと思ったんですけれども。
 私のちょっと理解、間違っていればですが、ACCUが事務局を担っておられるように理解をしているんですけれども、例えばそこの強化。人的な面でも、資金的な面でも強化がされて、その事務局が少し動いて、汗をかいて、いろいろな学校間、プログラム間の接続みたいなことがあると、実際の活性化につながるのかなと、ちょっと思いました。
 以上です。よろしくお願いします。
【杉村委員長】  萱島委員、ありがとうございました。御提案いただきました。
 それでは、吉田委員、お一言頂戴いたしまして、そろそろ議事、締めていきたいと思います。ありがとうございます。
【吉田委員】  2度目の発言の機会で申し訳ございません。
 先ほどユネスコスクールになったらかっこいいプレートがもらえると言われていましたので、今ちょっとウェブ上で探してみたら、やはり非常にかっこいいんですね。学校の恐らくは正門の学校名の碑の下にそれを、本当に名誉のように掲げていると。要は、これまでユネスコスクールとして取り組んでこられた学校、そしていい取組をしてきた学校が、もっとやる気が出るような新しい仕組みでないと、本当に困ると思うんですね。そういう学校、そして取り組まれた人たちをディスカレッジするような新しい仕組みであってはおかしいと思います。
 それと併せて、ただし、やはり1万中の1,000が日本からの学校であるということを、ユネスコが今後もっと認めてくれるであろうかと考えたときに、ユネスコはどういうことを気にするかといったときに、このユネスコスクールは、UNESCO Associated Schoolがそもそも日本のためにあるようなものだと国際社会から見られてしまっては、これは国際的発信力を日本が持った場合に逆効果になってしまいかねないですよね。それはやはり我々としても自制の部分と、それからもう少しよくしていくという部分と、両方の観点を見失わないようにしないといけないなと思いました。
 それにつけても、古賀委員からの御指摘の点は私も同感します。それから、それをどういうふうに折衷していくかというときに、やはり、この日本ユネスコ国内委員会あるいは文科省さんを通じて、ユネスコ本部と今、我々が議論しているようなことは、ユネスコとして今後どういうふうにユネスコスクールを発展させていくかという考え方と符合しているかどうか。ここを最初にすり合わせてから仕切り直さないと、例えばキャンディデートとする、あるいはUNESCO Associated School Japanと入れるとか、何か過渡的な案をつくったとして、しかも、その間、キャンディデートの学校も実際はユネスコスクールとしての活動を積極的に行っていくとなると、どのようにアクノレッジ、客観的にするのかということも非常に問題になってくると思います。それから5年ごとに更新するというときに、じゃあ、そのキャンディデートの間の年月はどう数えるのかとか、いろいろ整合性を保つのは難しくなるようなものもあると思いますが、やはり、繰り返しは避けますけれども、ただ単に多様性を目指すというよりは、ユネスコスクールとしての取組を。多様性というよりは、学校の中で、多角的に考えて深めていく、強化していく、そして全体としても、そういう多角性があると。結果的に多様性も出てくると。こういうこともあってもいいのかと思います。
 いずれにしても質の確保。数が多くなって、どんどん質が弱くなっていたというのは、これは必然ではなくて、日本の風土としてはESD的な取組は非常に親和性が強いものがあって、数が増えることは我々にとっては自然なことだと、やはり日本の中で取り組んでいる学校の方々がそう思ってくれるということは非常に強い味方になるわけですから、そのこと自体を否定する必要は私はないと思います。
 ただ、結果としてユネスコのほうがUNESCO Associated Schoolとして、これ以上に日本からだけ数が多く登録されるというのは実はちょっと困るんですというのであれば、どういう形の対応策があるのかを、まず、この日本ユネスコ国内委員会で議論している案とユネスコ本部の対応として確認しておくプロセスが必要かと感じました。
 以上です。
【杉村委員長】  本当にありがとうございました。まだまだ、きっと御議論、御意見、今伺っていたら、またというのがあるかと思うのですけれども、一度ここでまとめさせていただきますと、大変僣越ではございますが、まず1点目として、もちろん、まだ押さえなくちゃいけないところはあるかと思うのですけれども、今、先生方の御意見を伺っていて、大まかな、今回、事務局からのこのユネスコスクールの活性化についての提案の方向性については御支持いただいたのかなと私自身は捉えました。
 ただ、その中にあって、まさに数の問題、質の問題、それから多様性をどう出していくかという点については、さらに、この案を実際に移していくときに、ユネスコ本部との今、吉田先生から御指摘のように、すり合わせであるとか、あるいは質と量。これは世界標準に合わせる、合わせないというよりかは、むしろ、先ほどこれ、まさに古賀先生の御提案でしたけれども、日本のユネスコスクールがどういう意義を持って世界の中で位置づけられていくか。日本の先生方の実践、すばらしいものがありますので、今、吉田先生の御提案のとおり、日本のためのユネスコスクールなのではなくて、むしろ、ここでつくられたいろいろな実践モデルが世界の中で、また皆さんと共有していただけるような、そんなモデルであれば、それこそ数がどんどん増えて、その実践が広まっていくのは、とても意義があることだと思いますが、その折にも世界の動向というのを、すり合わせをマイナスカウントするということが一つ大事な点なのかなと思いました。
 ということで、ちょっと時間がない中で大変下手なまとめではございますが、方向性については、およそ今日の御提案の方向でよろしいと御了解いただいてよろしゅうございましょうか。
 ただ、今、幾つか文言の修正やユースの点や、それから国内連携の点や、それから世代を超えた交流等、ちょっと付け加えたらいい文言の点も御指摘いただきましたので、この審査基準の文章の確定等も含めまして、文言の修正等につきましては、大変僣越ではございますが、事務局と、まず私のほうで検討させていただき、改定案を一つ作らせていただければと思います。その方向性でいかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。
 最終的には、この案を方向性として、それこそ全国の先生方、待ってくださっていますので、できれば3月10日の日本ユネスコ国内委員会の総会のほうに報告させていただいて、そこから、また関係機関への周知も含める意味で、その前に一度、文言を修正したものを、大変僣越ですが、事務局と私、委員長のほうでまとめさせていただきたいと思います。この点も御了解いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、大変微力ではございますが、今日の御意見、遺漏のないよう、きちっとまとめていきたいと思いますので、本当にありがとうございます。片山先生、グッドサインを出していただいて、恐れ入ります。ありがとうございました。
 それからもう一点なんですが、先ほどからユネスコスクールキャンディデートというのが出ております。このキャンディデートという、これは本当に名称なんですが、何かいいアイデアがあればというのは事務局からも今日、御意見伺えればと言っていたところです。すぐに思いつかれないかもしれませんけれども、取りあえずキャンディデートというのを一つ今、一案と出ておりますけれども、その辺りはいかがでございましょう。何かウルトラCのすごくいい案があればと思いますけれども。もしなければ、取りあえず、これでいかせていただこうかと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
 もしお気づきの点がありましたら、また御遠慮なく事務局のほうへお寄せいただければと思います。
 熱心な御議論いただきまして、本当にありがとうございました。大きな、また一歩、次の方向性に踏み出せますこと、大変うれしく思います。ありがとうございました。

<議題3.次期ESD国内実施計画案について(討議)>
【杉村委員長】  それでは、今日は最初の議題に時間をかけて審議させていただきましたが、もう一つ用意している議題ございますので、次に議題3の次期ESD国内実施計画の策定に移らせていただきます。
 まず事務局のほうから手短に御説明をお願いし、その後に御意見承りたいと思います。事務局のほうから、まずはよろしくお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。それでは、資料3-1に基づきまして、次期ESD国内実施計画の案について御説明をさせていただきます。
 こちらの案ですけれども、ESDのこの計画をつくるための円卓会議というものも別途ございまして、そこでの御議論のために使われた資料をそのまま用意させていただいております。いろいろなところで、実は議論いただいておりますので、これから大きく、また変わっていく可能性ございますけれども、そういったものとして、お受け止めいただければと思います。
 内容につきましてですけれども、前回、大きな枠組みについては、この教育小委員会で御説明をさせていただきました。その枠組みに基づいて具体的な中身が入ったものが、この現状の資料でございます。
 まず序とございまして、ESDの意義、改めて定義をさせていただき、それから現在、GAPから「ESD for 2030」になりましたが、そのGAP時代の国内実施計画において、どういうふうに評価されるかというレビューを頂きました。そのレビューの概要を(2)のところで書かせていただいており、連携した施策の展開や情報発信機能の強化が、指摘されたところです。
 それから(3)の国際的な動向については、GAPから「ESD for 2030」に移ってまいりましたので、その違いを記述させていただいております。
 それを踏まえて、2ポツに、基本的考え方ということで、四つの考え方を示させていただいております。
 一つはSDGs実現へのコミットメントということで、これはGAP時代にはなかったSDGsが今、世界的にゴールとしてみなされておりますので、ESDとSDGsとの関係を明確化するために、こういった記述を入れさせていただいております。よりESDがSDGsに資するんだというような趣旨のことを書いております。
 それから(2)、これも新しいポイントでございますが、「ESD for 2030」になったときに国際的な文章でも指摘をされ、またレビューでも指摘をされたところでございますけれども、ステークホルダーからのパートナーシップをしっかり促進するべきだと指摘いただきましたので、国際機関、地方自体、NGO/NPO、公益法人等々、多くのステークホルダーを巻き込むこと、それから政府においても省庁の垣根を越えて様々な施策を盛り込んだことを書かせていただいております。
 (3)、優先行動分野につきましては、これは世界的にも同様の五つの優先行動分野の枠組みは変わっておりませんので、その旨、記載しております。(4)につきましても、ESDの提唱国として日本はしっかりと先導的な役割を果たすんだということを書かせていただいております。
 それから3ポツは、本実施計画の位置づけと実施体制ということでございます。ここに書いてある趣旨は、この本計画は、政府だけではなくて多様なステークホルダーに期待される役割なども記載をするというものになってございますので、そういった計画の性格と、それから今後その運営に当たっても多様なステークホルダーの方々の知見が反映する仕組みを維持していという内容が書かれております。
 4ポツ以下が実際の取組の記述になっております。優先行動分野別に整理をしており、優先行動分野の1は政策の推進です。例えば、政府の教育政策や環境政策、そういった枠組みを決めるようなものにESDをしっかりと位置づけることが記載をされております。
 それから優先行動分野2が学習環境の変革となってございます。これは先ほど政策の方針のようなところにESDをしっかり位置づけるということで、学校であれば学習指導要領に位置づけられている話が書いてあるわけですが、これはもう少し具体的な学習環境において、こういう取組をするんだということが整理されております。
 一例を挙げますと、一つ目にあるとおり、機関包括型、学校全体でESDを取り組むということが求められております。そういったことが進むように手引を策定したり、ユネスコスクールネットワークの強化などを行うということ、あるいは環境省の施策でございますけれども、ESD地方センター等の取組の推進を行うといったようなことを書かせていただいております。
 それから3番目は優先行動分野の3教育者の能力構築ということで、教職員に対する研修や、あるいは国際交流事業などを掲げさせていただきました。
 それから優先行動分野4はユースのエンパワーメントと動員です。こちらにつきましても様々な省庁で行っているユース同士のコミュニティーづくりということで、ここには「全国ユース環境活動発表大会」等々、そういった取組について記載をいたしております。
 最後、優先行動分野の5は、地域レベルでの活動の促進です。やはり地域課題を解決するという取組も多くございますので、そういったものについての取組を書かせていただいておりまして、教育に関しましては23ページになっていますかね。この段落の下から2番目に、ESDの学びが提供されるようなASPUnivNetとか国連大学、今、山口先生から御紹介いただいた、そういった活動について記載をさせていただいているというものでございます。
 最後、5ポツで実施のためのメカニズムということで、どういうふうにこれを進めていくのかということを二つ書かせていただいております。
 今回、「ESD for 2030」になって、一つはネットワークをつくっていくことが、重点として挙げられております。こういったステークホルダーのネットワークをつくることと、その前提となります情報発信を強化することについて、新たに記載を作らせていただいております。
 最後、点検・評価でございますけれども、点検・評価につきましては、今回のESD国内実施計画については、2030年までの「ESD for 2030」を見据えた国内計画ですので、その10年間の途中に当たります2025年辺りに、中間的なレビューを行う枠組みを記載するとともに、先ほど申し上げたような多様なステークホルダーが関わって、こういったレビューを行っていくと旨を記載しているという内容になってございます。
 国内実施計画の内容の説明については以上です。事務局から1点だけ追加で申し上げさせていただければと思います。資料3-2をつけさせていただいております。これはユネスコの分野での話になりますけれども、今申し上げた「ESD for 2030」、キックオフの会合が今年5月、ベルリンで行われます。オンラインでの開催になってしまいますが、ここで世界的に新しいイニシアティブを進めていくというような会合になりますので、我が国としては、この国内実施計画もしっかりとPRして、国際的に発信していきたいと思ってございます。
 したがいまして、本日、国内実施計画の内容や方向性の御議論を頂くとともに、海外において、日本におけるESDをPRするどういう切り口がいいのか、といったことも併せて御示唆を頂ければありがたいと思っております。
 事務局からは以上でございます。
【杉村委員長】  石田企画官、ありがとうございました。ただいま御説明いただきましたとおり、この国内実施計画でございますが、既にESDに関する円卓会議のほうでも御議論いただいていることと伺っております。この会議では、特に教育小委員会ですので、ただいま御説明にありましたとおり、本年5月のベルリン会合に向けて、日本としてのアピールポイントであるとか、あるいはどうしたことを具体的に、特に教育に関連して御意見頂ければと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 もし御意見ありましたら、先ほどと同じ挙手か、あるいは挙手ボタンでお示ししていただければ、事務局のほうから御指名申し上げます。
【堀尾国際統括官補佐】  石井委員と、あと市丸委員が手を挙げていただいております。
【杉村委員長】  では、お願いいたします石井委員のほうから、お先にお願いいたします。
【石井委員】  ありがとうございます。第1期のほうの資料、たくさん書き込んでいたのですね。頂いた今日の新しい資料は多分、最近頂いたのであまり十分読んでおりませんが、以前の第1期のと第2期の、この違いは今、石田さんからお話しいただいたのですが、どこがどういうふうに更新されたのかというキーワードと言いましょうか、大体7ページ辺りのESDの意義のところに、例えば「ウィズコロナ」「アフターコロナ」については云々と書いてありますよね。それとか、ESDの以前の資料、実践の手引という表現があったのです。でも、そのESDの実践の手引というものは、調べたときに見当たらなかったのですね。なので、ESD推進の手引で、それで合っていると思います。
 ですから、ずばり1期目と今回のと、どこが何が、特に真新しい部分といいますか、それをちょっと短めに教えていただければと思いました。すみません、勉強不足なので、こんな細かいことを聞きます。
【杉村委員長】  とんでもありません。ありがとうございます。事務局のほうから何か御説明ございますでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  そうですね。御質問ありがとうございます。今回のポイントは、まずステークホルダーのネットワークと情報発信の強化、これをしっかり書いたということかと思います。実際、その中身に当たる五つの優先行動分野という枠組みについては、実は国際的にもあまり変わっておりません。ただ、重点が置かれていて、ネットワーク、クロスセクトラルなネットワークの強化というようなことが大きく指摘されているところが、あえて言うと、大きなポイントかなと思います。
 ほかの先生からの御異論があるかもしれませんので、もしあれば頂ければと思います。
【杉村委員長】  ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。
 それでは、市丸委員のほうも手を挙げていただいていましたかと思います。
【市丸委員】  ありがとうございます。私は学習指導要領へ影響力があったことに対して、非常にありがたく思っています。日本ユネスコ国内委員会のこれまでの審議が学習指導要領への表記につながったものと思います。「前文」と項を起こして持続可能な教育を進めていく必要があることが明記されています。非常にありがたいなと思いました。
 ユネスコスクールというのはESDの推進母体である、推進校であるということは変わっていないと、先ほど議論されました。ESDの取組はユネスコスクールとそうでない学校に温度差があると私は感じています。
 というのが、ESDを具体的にどのように進めるのか迷走している学校は少なくないと思います。総合的な学習の時間で確保すると言っておりますけれども、実際のところ、総合的な学習の時間は時間減になっておりますし、横断的な学習も具体例的参考事例が少ない。ですから、ユネスコスクールにESD推進のモデルを担っていただけたらと思います。
 公立学校の多くの研修の場を担っているのは教育委員会です。是非、教育委員会へもユネスコスクール等のESD取組の情宣をお願いします。
 二つ目です。ESDの今後の方向性としては、生涯学習へ向かっているとも聞いております。学校教育だけでなく生涯学習におけるESDとすれば、対象の幅が広くなっているような感じがしました。
 でも、内容を見ますと、教育者の育成とか学校をターゲットにしていることが色濃く感じられました。生涯学習への発展の方法も考えていく必要があるのではないかと思います。
 具体策がなくて申し訳ありません。ありがとうございました。
【杉村委員長】  市丸委員、本当にありがとうございます。具体的な御指摘も二つ頂きました。情宣と生涯学習との連携です。一般のこの学校とのつながりという意味では、まさに先ほど石井先生からも御指摘いただきましたESD活動の手引、今、改訂も日本ユネスコ国内委員会のほうで進めていただいているわけですけれども、そうしたことと併せて、これは先ほどのユネスコスクールの活性化にも出てきました、国内の連携とか、情宣とか、活動の国内外への広報ということも、これ、今の御意見に連動しているのかなと思いました。
 ちなみに国内の、今のこの御議論のテーマになっておりますが、「ESD for 2030」のロードマップというのがユネスコ全体で策定されていまして、これについて今日の附属資料のほうにつけていただいておりますので、また後ほど、そうしたことも併せて見ていただければと思います。そちらで出ているアイデアの中に、この日本で出している国内の動きというのも項目として連動するような形で作っていただいているのかなと拝見しております。
 でも、生涯学習との結びつき、SDGsもうたわれているとおりですので、本当に大事な御指摘ありがとうございます。
【石田国際戦略企画官】  杉村先生、事務局ですけれども、よろしいでしょうか。先ほどどこが変わったポイントなのかということで、私、ネットワークと申し上げましたけれども、SDGsとの連携とか、地域課題の解決とか、他にも様々に変わっておりますので、そこは御留意いただきつつ、先ほどの発言を受け止めていただければありがたいと思っております。以上、補足で申し上げました。
【杉村委員長】  ありがとうございました。
 ほかには御意見等いかがでございましょうか。少し時間も限られてまいりましたが。
 片山委員、お願いしていいでしょうか。
【片山委員】  簡単なことですけれども、優先行動の5番目、13ページになるんでしょうかね。行動分野の4でした。ユースに関してでございます。
 やはりこれが次世代という意味でユースは大変なキーワードになっておりますけれども、このユースという年代を具体的に、あえて挙げていないんだろうと思います。ユースという捉え方は、私個人としましたら、スポーツの面からしますとジュニアユースだとか、そういった育成世代を捉えていくと比較的、小・中学生からというようなイメージを持っております。上限は、競技団体によっても規定的な年齢は違いますけれども、高いところでは25ぐらいとか、いろいろな活動分野を見てみますと、いろいろ範囲が、ユースといっても、捉え方がいろいろでございます。
 私、ユースという言葉でいいと思うんですが、環境省とか、特にいろいろな環境に関する全国大会の発表とか優秀事例を大臣表彰をしていくときに、児童会、生徒会といった、こういった取組も、この参加が想定しているふうに、このユースという言葉を使われているのかどうか。今日、環境省の方、来ておられるということで、ちょっとお聞きしたいんですが、いいでしょうか。
【杉村委員長】  いかがでしょうか。御質問、片山委員から出ましたけれども。
 環境省の三木様がおいでくださっています。本日、御出席ありがとうございます。
【三木環境教育推進室長】  環境省です。ありがとうございます。おっしゃるとおり、あえてユースという言葉、限定しておりません。明確な定義ということを言い出すと、多分18から35歳というのがあるかと思うんですけれども、実際に今おっしゃってくださいました全国ユース環境大会は高校生ですので、その下の世代が、しかも非常にいい成果を上げてきたり、地域協働取組を上げてきたりしておりますので、あまり明示せずに取っております。
 ただ、児童・生徒に当たるところというのは、またちょっと、むしろ、もう少し大人が指導してあげるような形の活動が多くなっていますので、今の段階ではユースにあまり入れておりません。
 もう一つのヒントですけれども、ここ半年ほどでZ世代というのが急激に出てきて、また元気よく、いろいろなことを提言してくださるグループも出てきていますので、そういったところも、やはりユースの中で一緒に取り組んでいく仲間だと認識しております。
 なので、最初におっしゃってくださったとおり、ユースの定義は、あえてつけないままにしているメリットのほうを優先しております。ありがとうございました。
【杉村委員長】  三木様、ありがとうございました。ただいま環境省の環境教育推進室のほうから御発言いただきました。ありがとうございます。
【片山委員】  ありがとうございました。
【杉村委員長】  吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。観点を絞って意見を申し上げさせていただきます。
 まず、序のところでESDの意義、これ自体いいんですが、そこで例えば社会情緒的能力、あるいは学習指導要領に示されている資質・能力の三つの柱、こういう重要な点を踏まえて、この国内実施計画が書かれているわけですけれども、さらに、ESDは「ESD for 2030」となって、全てのSDGsの目標実現に向けての教育の役割を強調していると、こういうふうに言っているわけですね。そうすると、その後、基本的な考え方以下、具体的な計画が書かれていく中で、じゃあ、その全てのSDGsに教育は具体的にどういうふうに役割を発揮していくんでしょうかということを、このESDを通じて、どういうメッセージを出しているのかが伝わっているのかなというのが、漠然とした疑問です。
 例えばSDGs全般の当初から言われている大きな特徴として、トランスフォーマティブであると。これまでの取組を再点検して、考え方、行動様式そのものも変革していかなければいけない、そういう社会そのものの在り方を変革していかなければいけないと。これは共通の大目標になっているわけです。目標であり、行動指針の在り方を規定している言葉なわけですね。
 こういうのが、例えばSDGsの17全ての目標実現に向けた教育の役割だといったときに、その接点が見えていないとおかしいはずなんですね。
 例えば、ここで議論したことが政府のSDGs推進本部での議論に、そのまま持っていって、ああ、そうだそうだ、我々もやり方を考え直さなきゃいけないんだと、あらゆるプレーヤーの人たちに納得してもらえるだろうかと。学校を超えた全ての段階における、場における取組だというと、そういうことになってくるわけなんですが、それに耐え得るような中身になっているのかなというのが大きなチェックポイント。これは皆さんへの、事務局へのチャレンジではなくて、私にとってもチェックポイントになっています。
 それからもう一つ、この書類の18ページに基本的な考え方として、先導的な役割というのがあるんですね。この先導的な役割というのは、何を達成したらESD推進の国際社会における先導的な役割を発揮していることになるのかなと。これがちょっと、今の書類には見えていない気がいたしました。
 全体として、全てのSDGsにESDを通じて教育が貢献するといったときの、その具体的な筋道が、この計画から全てのステークホルダーさんが本当に認識できているだろうかというのを、もう一度確認する必要があるなと思いました。
 それから、それらの成果とも言えると思うんです。その成果をどのように出した結果、日本が国際社会に対して先導的な役割を果たしているんだと再確認できるのかと。そこの点を押さえどころとして確認しておく必要があるのではないかと思った次第です。
 以上です。
【杉村委員長】  吉田先生、本当ありがとうございました。まとめに近い大事な点の御提案を頂きました。
 そういたしましたら、今、事務局のほうに確認しまして、今の時点で、ほかに御質問、御意見、手が挙がっていないようですので、ちょうど時間もぴったりになってまいりましたので、頂戴しました御議論を踏まえて、事務局にて、もう一度、今の吉田先生の御指摘等の修正を確認いただき、また今後の実施計画の推進に努めて感想等頂ければと思います。
 事務局のほうから、いかがでございましょうか。
【石田国際戦略企画官】  ありがとうございます。先生から、今言っていただいたとおり、実施計画については、今後パブリックコメント等も予定しておりますので、それを実施の上、関係省庁連絡会議において決定する予定でございます。頂いた意見なども、その過程で踏まえさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

<議題4.その他>
【杉村委員長】  本当にありがとうございました。今日も本当あっという間の2時間でございました。大変充実した、また大事な御指摘の御議論ありがとうございます。
 議題4、その他といたしまして、最後に事務局のほうから何かございますでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。1点だけ、日本ユネスコ国内委員会の総会でございますけれども、3月10日に開催予定でございます。まさに今日、御議論いただいたユネスコスクールの話なども議題としていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【杉村委員長】  ありがとうございます。日本ユネスコ国内委員会総会、3月10日でございます。
 何か御意見、御質問等ございましたらと思いますが、最後に、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、これで用意いたしました議題が終了いたしましたので、本日の教育小委員会を閉会とさせていただきたいと思います。今日もなかなか至らない司会で、皆様の御意見、十分に酌ませていただけたかどうか分かりませんが、御協力いただきまして本当にありがとうございました。
 これにて今日の小委員会は閉会させていただきたく思います。本日は御多忙の中、御出席賜りましてありがとうございました。またオブザーバーとして参加いただきました環境省、そして外務省の方もありがとうございましたし、御傍聴いただきました方々にもお礼申し上げます。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

国際統括官付