日本ユネスコ国内委員会 第143回教育小委員会 議事録

1. 日時

令和2年11月10日(火曜日)13時00分~15時00分

2. 場所

オンライン開催

3. 出席者

(委員)
秋永委員、加治佐委員、萱島委員、古賀委員、杉村委員、道傳委員、野村委員、東川委員、日比谷委員、見上委員、山口委員、吉田委員

(SDGs推進円卓会議構成員)
三輪敦子構成員

(事務局)
田口康日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)
亀岡雄日本ユネスコ国内委員会副事務総長(文部科学省文部科学戦略官)
石田善顕日本ユネスコ国内委員会事務局次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)
堀尾多香日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐(文部科学省国際統括官付国際統括官補佐)
植村正樹日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐(文部科学省国際統括官付国際統括官補佐)
その他関係官

4. 議事

【杉村委員長】   本日は御多忙中のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、まず、事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】   本日は出席の委員が現在11名で、この後、野村委員のほうが入ってこられましたら12名ということで、委員の過半数を満たしておりますので、定足数を満たしております。
 また、前回の教育小委員会においても報告させていただいておりますが、教育小委員会をSDGs推進円卓会議の分科会としての機能を有する会議体と位置づけることとなっておりますので、そのため、本日は国内委員会の教育小委員会のメンバーに加えて、分科会メンバーとしてSDGs推進円卓会議の構成員である三輪敦子委員にも御出席いただいております。
 また、本日は報道関係者の取材を受け付けておりまして、教育新聞社と朝日新聞社の方が取材をされておりますので、あらかじめお知らせいたします。
 先ほども申し上げましたが、一般からの傍聴についてはYouTube配信にて傍聴いただいております。オンライン会議ということで、委員の皆様方には、お手数ですが、御発言いただく前にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、ただいまより第143回教育小委員会を開催いたします。
 本日の議事進行をいたします教育小委員会委員長の杉村でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに、田口国際統括官から一言御挨拶を頂戴できれば幸いでございます。
【田口国際統括官】   ありがとうございます。文部科学省国際統括官の田口でございます。
 本日は委員の皆様、御多忙のところこの会議に参加いただきありがとうございます。また、委員の皆様、さらには、本日はユネスコスクールの活動を推進していただいている学校関係者の皆様も後ほど参加していただきますが、日頃よりユネスコ国内委員会の活動への御協力を頂き、心より感謝申し上げます。
 9月に第147回国内委員会の総会が開催されましたが、ここではコロナ禍における今後のユネスコの役割と期待について、会長メッセージ、それから、国内委員会の機動的、効果的な運営について、御議論というか、決定を頂くなど、ユネスコ活動の活性化に向けて、委員の先生方から多くの御貴重な御意見を頂き、それを我々実行しているところでございます。
 本日は、議事次第にございますように、ユネスコスクール、それから、次期ESDの国内実施計画について御審議をお願いしたいと思います。
 ユネスコスクールにつきましては、前回の御議論も踏まえて資料を用意しておりますが、今回は特にユネスコスクールの現場の先生方をお招きして、日頃の活動などを紹介していただくこととしてございます。現場の状況も踏まえた上で議論を深めていただきたいと思ってございます。
 また、次期ESD国内実施計画につきましては、今年度中に実施計画を改定する、策定する必要がございます。これまでのGAPの成果や課題を踏まえた上で、ESD for 2030にふさわしい今後の10年の計画を策定し、その成果を世界にも示していきたいと考えてございますので、委員の皆様の忌憚なき御意見を頂戴できますと幸いでございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
【杉村委員長】   国際統括官、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の会議の配付資料について、事務局より説明をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】   会議の配付資料としまして、資料1から資料3、また、附属資料について、1-1から附属資料2-4、それから、参考資料1から4になってございます。

<議題1.ユネスコスクールのさらなる活性化について(討議)>
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、議事に移ります。議題1、ユネスコスクールのさらなる活性化についてです。本日は実際にユネスコスクールの活動を展開いただいている先生方に御出席いただいておりまして、それぞれの活動を御報告いただきます。
 まず、事務局からこれまでの流れを御説明いただきまして、その後、学校レベルの取組として、岐阜県立池田高校の西谷校長先生、教育委員会レベルの取組として、福岡県大牟田市教育委員会の安田教育長、最後に、大学レベル、また、ユネスコスクール大学支援ネットワークの取組として、奈良教育大学の中澤准教授に御発表いただきます。
 質疑応答及び議論は全ての御発表終わりました後にまとめてさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず事務局から御報告お願いいたします。
【石田国際戦略企画官】   事務局でございます。それでは、資料1-1を御覧いただければと思います。全体資料の1ページ目でございます。前回までのコメントを少し論点を整理してまとめさせていただいたものでございます。
 まず、前回の教育小委員会で出た委員の皆様からのコメントとして、そもそもユネスコスクールの意義・役割等、こういったものの在り方について議論すべきではないかという意見がかなり前回は出ております。例えば、ユネスコスクールの役割ということをもう一度再認識する必要があるのではないかというような意見、これはESDがSDGs全体の実現につながっているということを御存じの先生が8割ということではあるのですけれども、そういったことを2割の先生が御存じないというようなことを踏まえての御指摘でございました。
 また、日本のユネスコスクールがユネスコの定める基準や要件、そういったものから大きく外れていないかでありますとか、あるいは、この国におけるユネスコスクールの理想的な在り方を示すことが必要ではないか。理想の在り方については一つではないかもしれませんけれども、こういった御意見ございました。
 また、ユネスコスクールとして、ESDを推進するに当たって、他の学校とはどこが違うのか、全般として、重要性とか、よい意味での差別化をもう少し明確に定義する必要があるのではないかというような御意見も頂いております。
 それから、もう一つ議論がある程度集中したと言えると思いますけれども、そういった点としては、政策の方向性や目標についてでございます。これについては、日本が世界の中でも最も多くユネスコスクールを持っている国という状況にありますので、ベストプラクティスを提供するような、モデル的な国であり続けたいという意思がもっと明確にあってよいのではないかと、そういったことを示すに当たって、どこをポイントとするのかという御意見かと思いますけれども、そういった意見を頂いております。
 それから、ユネスコスクールの地域の差が、地域的な偏在があるというようなことを御指摘いただきまして、そういった地域の差が解消されるまで広げていく必要があるのではないかということ。それから、日本のユネスコスクールの全体の評価を何らかの形ですることが必要ではないかといった御意見、それから、数については、数だけ増えるということではなくて、実質を伴うということが必要で、そういった実質が伴わないところで数だけ増えるのは問題ではないかといった御意見、それから、次の世代を育てていくという仕組みも政策的な課題になり得るのではないかというような御意見を頂いております。
 おめくりいただきまして、ユネスコスクールの支援策、あるいは、メリットについてということで御意見を頂いております。大きくネットワーク機能の強化といったところ、あるいは、情報発信というような、その二つの御指摘が多かったということでまとめておりますけれども、まず、ネットワーク機能の強化については、そのメリットとして、やはり支援が、ユネスコスクール大学支援ネットワーク、UnivNetから得られやすくなるということにメリットを感じておられるというような指摘がございました。また、ユネスコスクールのメリットや期待として、海外のユネスコスクールとの連携が容易になるという点も挙げられておりました。
 知識ではなく実践型思考とか学びに向かう力とか人間性が成果に繋がっていくことが大事だと感じられているということがあり、ユネスコスクールでの体験が多様化するように、多様な経験を積むようにしていくといったようなサポートを、ユネスコなり、文科省のほうが行うべきではないかというような御指摘がございました。
 それから、SDGsの視点について、企業と学校を結び付けての活動がもっと広がっていくということについての期待も示されておられます。
 一方、情報発信に関してですけれども、ネットワークを作っていくためにも、情報流通が必要だということもございますし、ビジビリティを上げるという観点から様々な御意見を頂いております。ビジビリティが低いということを御指摘いただいており、国内委員会や大学などが後押しをするべきではないかという御意見、あるいは、PTAにおいてなかなか話題になることが少ないということで、取組がもっと外部に見えやすくなるような、そういった仕組みができるとよいというようなこと。
 一番下でございますけれども、新学習指導要領でESDが位置づけられておりますが、そのときにユネスコスクールが話題に出てくるとは限らないといったような現状があるので、そういったことについてユネスコスクールが出るようにしたほうがいいんじゃないかというような御意見。あるいは、広報する内容について、具体的な事例があると他校でも応用しやすいとか、あるいは、マネジメントの理解が重要であり、こういったことについての情報流通が必要ではないかといった御意見がございました。
 その上で、本日の検討といいますか、この辺りに御意見を頂きたいということで、3点ほど書かせていただきましたけれども、やはりまず1点目としては、そもそもユネスコスクールの意義や期待される役割について、少し自由闊達に御意見を頂ければありがたいと思っております。我が国におけるユネスコスクールの意義について、これまでESDの推進拠点というような方向性でやってまいりましたけれども、これを維持しつつも、他国との違い、あるいは、日本の特色といったものをどう考えていくかといった辺りから御意見を賜れればと思っております。
 それから、目標、特に数値目標といったものについてどう考えていくかという話もございます。地域的な偏在はありつつも、当初の目標は大幅に達成しているということは共通理解になりつつあるのかなと思っておりますけれども、そういった現状を踏まえて、量的に確保できたユネスコスクールの次の目標が何であるかということで、質の向上とか、あるいは、多様性の確保という、そういった視点を入れていくというようなときに来ているのではないかというようなこと。あるいは、地域バランスの解消ということについては課題として存在し得るということですので、これについてだけは数値目標を設定するということがあるのではないか。 あるいは、これは集中しているという場合でも、それは多様性の一環だということで、解消するべき課題ではないというような理解の仕方もあろうかと思いますので、その辺り御議論を頂ければと思っております。
 それから、学校種ごとで、特に大学、幼稚園についてはやや少ないという現状ございますので、こういったことについてどう考えるかといったところが論点としてありようかと思います。
 それから、最後、ユネスコスクールの活動を活性化するための仕組みということで、やはりネットワークにアクセスできるということがメリットとして捉えられております。これから国際登録に時間がかかるという現状ございますので、こういった国内外のネットワークに参加するということについて維持する仕組み、登録をする前の段階であっても維持する仕組みというのが必要ではないかというふうに考えられます。例えば、ユネスコスクールと同様に様々なネットワークへのアクセスを可能とするような工夫、こういったものがユネスコスクールになる前の段階でもできるようにするといったことが論点としてあろうかと思います。
 また、海外とのネットワークの構築について、これについては期待されているところではございますので、強化する方策としてどういうことが考えられるのかといったことについてアイデアを頂ければと思います。
 最後に、ネットワークの強化を図るベースとして、ユネスコスクール自身が様々な情報発信を行っていくことが必要になりますので、何を目的としてどのような情報、あるいは、どういったターゲットに伝えていくことが必要か、国内向け、国外向けで情報発信の在り方をどう考えていくかということについても御示唆いただければありがたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【杉村委員長】   石田企画官、ありがとうございました。
 それでは、岐阜県立池田高校の西谷校長先生から、池田高校のユネスコスクールとしての活動について御紹介いただければと存じます。校長先生、今日は本当にありがとうございます。
【岐阜県立池田高校西谷校長】   こんにちは。
【杉村委員長】   よろしくお願いをいたします。
【岐阜県立池田高校西谷校長】   では、スライドで説明をさせていただきます。
 本校は「生徒一人一人を大切にし、ESDを推進するユネスコスクール」として活動に取り組んでおります。
まずは、本校がユネスコスクールをはじめ、地域連携やキャリア教育などに重点を置いて取り組むようになった経緯を御紹介いたします。
 本校は、1984年開校の岐阜県内で最も新しい全日制の普通科高校です。現在生徒数は445名、生徒は落ち着いて学校生活を送ってくれています。1学年225名で開校し、第2次ベビーブームの中学生を受け入れるために急激に定員を増やし、開校から僅か5年余りで、1学年517名、全校で1,500名を超えるマンモス校となりました。その後は、少子化などのため入学定員を減らしてきましたが、全体的に中学校の卒業者数の影響を大きく受けて変動をしております。2007年以降は160名を維持しておりましたが、今年度から、1年生は140名の入学定員となりました。この間、定員に対する充足率はほぼ隔年で定員を超えたり割り込んだりしています。
 このような状況の中、2014年、岐阜県から県立高校活性化の指示があり、本校は当時の校長のリーダーシップの下、ユネスコスクールと地域連携、キャリア教育などの活性化案を検討し、翌2015年、ユネスコスクールの認定を受けました。
 翌年3月に、岐阜県は今後統廃合の可能性がある学校として10数校を指定しました。本校もそのうちの1校です。この指定を受けて、2017年から3年間、活性化に向けた推進事業がスタートすることになります。
 この活性化事業は、地域が高校と主体的に関わり、地域課題を踏まえて活力ある学校づくりを推進するという目的で、県教委の指導・助言の下、県議会議員の方をはじめ、地域に関係の深い方々から御意見を頂きました。本校の現状分析によれば、生徒は地元志向が強く、リーダー経験や成功体験がやや不足している。主体性に欠ける生徒が多く、他への依存傾向が強い集団であるとのことでした。
 これに対し、地域の期待は大きく、福祉や国際理解、キャリア育成など、地域貢献を通して地方創生の核となる高校を期待しているということです。
 このため、多彩な体験プログラムを通して生徒に成功体験を積み重ねることが必要との方向性で事業を進めることにいたしました。
 こちらがその活性化事業の提言を基にして作られたものです。「Global welfare、地域・国際社会の中でよりよく生きる」の理念の下、生徒には三つの挑戦を投げかけています。
 学びへの挑戦では、各クラスやコースには進路希望に応じた科目を選択できるようにしてあります。こちらが3年生の選択科目です。本校の進路実態ですが、4年制大学から就職まで多様な進路希望があり、それぞれに対応するために様々なキャリア支援を行っております。
 また、地元の池田町からは、英語検定や漢字検定など資格試験の費用助成があり、英語教育を中心に力を入れております。
外部連携事業の一つとして、池田町のキャリア教育プログラムで地元の活躍している大人を取材して記事にするというプログラムを実施しております。こちらが今年度行った取材の様子です。3名の方を取材いたしました。なお、この取材に至るまでに、取材の方法とか、記事の書き方とか、写真の撮影方法など、かなりの時間をかけて準備をしております。
 また、学校行事も学業と同様に高校生にとっては大切な取組の一つです。生徒会が中心になって企画・運営を行います。
 部活動も学校の活性化には欠かせない事業の一つです。リーダーの養成や、生徒の主体的な活動の場として、野球部を中心に推薦入試制度を設けております。また、本校では独自に外部指導者を導入して、部活動の強化と支援に当たっております。
 ユネスコスクール・ESDの挑戦に関わる取組、本校生徒の実態や地域の特徴などを考慮し、福祉教育、国際理解教育、環境教育の三つの柱を明示して取組を行っております。
 福祉教育としては、3年生の選択科目で学校設定科目を用意し、地域の専門学校と連携して、専門家による指導の下、実習を中心とした授業を行っております。また、特別支援学校とは音楽と体育の授業について共同学習などを行っています。
 ボランティア活動については、生徒会を中心に様々な地域のボランティア活動に参加をしております。ただ、今年度はコロナ禍の影響でイベント自体が中止になってしまい、ボランティア活動の件数自体は大きく減っております。
 国際理解につきましては、地元の池田町が主催するニュージーランドへの派遣事業に参加し、国際感覚の育成に努めております。やはりこちらも昨年に続き今年度も中止が決定し、再開の見通しは立っておりません。
 毎年行われるユネスコ協会のプログラムにも積極的に参加しております。ただ、ユネスコスクール関係のイベントも、中止またはウェブ開催など、縮小開催となることが多く、先日認定校へのアンケートを行った結果によれば、当面参加を見送りたいという学校がかなり多いとのことでした。
 環境教育につきましては、本地域の湧水地に生息する天然記念物のハリヨの保護活動を科学部の生徒が地域の方々と一緒に実施をしております。家庭クラブは、ハリヨのすむ河川を守ろうという看板の掲示やチラシ配布、清掃活動などの啓発活動を行っております。
 ESDの理念を定着させるためには、平素の授業などにおいても常に意識するために、教育課程や学校行事にESDの関連の取組を入れ込んだカレンダーを作成しております。これによって教員同士の連携を図りながら、総合的な学びの実践に心がけています。こちらが現行の教育課程に落とし込んだものです。また、年間の行事計画にもそれぞれ該当するところに当てはめて盛り込んでおります。
 また、近隣の池田中学校さんもユネスコスクールに入っておられます。公立中高連携のユネスコスクールとして、6年間を見通したESDを展開することが可能な状態となっております。
 こちらは池田中学校さんの「Global Well-Being、地域・国際社会の中で共に幸せに生きる」というテーマで実施をされています。本校は同じようなイメージで、Global Welfareとして実施しております。可能であれば、この中・高の連携だけでなく、小学校や大学、短大、専門学校なども含めて、地域ぐるみのESD活動ができればと思っています。
 こちらはESDを立ち上げた当初、活動を通して生徒に学ばせたい目標を五つ挙げたものです。成功体験やリーダー経験の少ない生徒たちに、体験を重視したプログラムを通して、自信をつけさせたいという思いがあります。今年度コロナ禍による影響のため、様々な交流事業が中止となっています。また、臨時休業や感染防止等のために、生徒の活動もかなり制限をされてきました。
 年度当初、本校職員との面談の中で、ユネスコスクールに関していろいろと聞き取りを行いました。ただ、その中で、職員の間では意識の差が大変大きいことに驚かされました。ユネスコスクールの認定後、あらゆる機会を通して、ESDの活動理念について、目標の共有を進めてまいりましたが、ボランティア活動や外部との連携事業への参加はこれまで限定的であるということと、担当職員も異動や退職などによって入れ替わりがある。また、多岐にわたる活性化に向けた取組は、活動自体が目的化してしまって、理念が共有されていない部分が見受けられました。これが現在の状態であると判断しております。
 ただ、ESD活動、活性化の追い風になることとして、新学習指導要領の前文で示された、「持続可能な社会の創り手の育成」は、職員の当事者としての意識の向上につながるのではないか、また、SDGsなどの具体的な取組目標は、時代の流れとしてESDの必要性を感じるものになると考えられます。
 さらには、新学習指導要領の中で前倒しで進めております総合的な探究の時間での位置づけを明確化し、昨年度から総合的な探究の時間において取組を始めております。以上のことを踏まえて、この図のように、今後の本校のユネスコスクールの方向性を考えております。総合的な探究の時間を学校教育活動の中心に位置付けて、個人の課題や地域の課題、グローバルな課題も含め、また、SDGsが提示する開発目標につなげ、ESDの取組を常に意識し、SDGsとの関わりも考えながら探究活動を進めることで、必要な知識、考え方を、授業をはじめ、進路学習、特別活動などにおいて提供するという位置づけ、意味合いを持っているということを、教職員の間で当事者の意識を高めたいと考えています。
 こちらはその総合的な探究の時間の様子ですが、1年生は地元の良さを発見しようと、2年生は、もう少し広い意味で、他県との違いや、海外との違いを調べて発表しているところです。この後、第2弾では、地元の役場や企業に依頼をしまして、高校生が考える地域の課題、現在の課題について、というお題を頂いております。大人の考える様々な問題に対して、高校生がどう対処するか期待しているところです。
 今後もしばらくはコロナ禍で様々な制約がある中、授業や学校行事、そして、ESDに関わる取組を進めていかなければなりません。今年の文化祭、体育祭は開催が心配されましたが、教員の心配をよそに、生徒はいろいろと工夫を重ね、見事に成功させてくれました。
 また、教育のICT化はコロナ禍で加速しています。本年度末までには生徒1人1台のタブレットが貸与されます。ICT機器を活用し、生徒の前向きで豊かな発想に期待し、生徒の成長を待つ我慢が教員には必要ではないかと考えております。
 本校で学んだ生徒が、地球規模の課題を意識しながら地域社会に貢献し飛躍するために、まずは教職員全員で理念を共有し、ESDの活性化に努めていきたいと考えております。
 御清聴ありがとうございました。以上です。
【杉村委員長】   西谷校長先生、本当にすばらしい御発表ありがとうございました。
 やはり生徒さんたちの顔が見えると、とても活動が生き生きと見えて、とても勉強になります。本当にありがとうございます。また後ほど、皆様御意見、御質問あるかと思いますが、大変恐縮ですが、後ほどまとめていただきたいと思います。ありがとうございました。
【岐阜県立池田高校西谷校長】   ありがとうございました。
【杉村委員長】   それでは、引き続きまして、次に大牟田市教育委員会の安田教育長から、大牟田市の取組について御紹介いただきます。教育長、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございます。
【大牟田市教育委員会安田教育長】   福岡県大牟田市教育長の安田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本市のユネスコスクールの取組について説明をいたします。
 まず、本市の紹介ですが、本市は福岡県の最も南にありまして、隣の市は熊本県です。有明海に面しておりまして、人口11万の市、小学校19校、中学校8校、市立の特別支援学校がございます。
 本市はかつて三池炭鉱があり、石炭の町として栄えていました。現在炭鉱関連施設の三つが明治日本の産業革命遺産の世界文化遺産となっています。
 本市、人口は最大で20万人でしたが、炭鉱が平成9年に閉山し、現在11万人と半減をしております。炭鉱閉山当時、石炭の火は消えても教育の火は赤々と燃えていると、教育でまちを元気にしようと決意をいたしました。
 炭鉱閉山後、本市は、人口減少、少子高齢化などの課題があり、持続可能なまちづくりに努めていく必要がありました。そのような中、10年前になりますが、文部科学省からユネスコスクールの話がありました。早速、ユネスコスクール、ESDについて学習をしました。当時は、新学習指導要領の実施、教育振興基本計画にESDが示されたこと、本市の現状を踏まえるなど、ユネスコスクールに加盟し、ESDを推進することが大切であると考えました。
 しかし、ユネスコスクールは学校ですので、教育委員会からトップダウンでユネスコスクールに申請させても、各学校の意思がなければ継続した取組にはならないと考え、校長会や教頭会でユネスコスクール、ESDについて学習していただき、加盟申請について議論を行っていただきました。様々な意見がありましたが、本市が目指すまちづくりとユネスコスクールの理念が一致するということで、全ての学校で加盟申請することが決まりました。そこで、教育委員会として、全面的に支援をするということになりました。
 全校が申請してから約2年後、ありがたいことに、全ての学校が2012年にユネスコスクールに加盟承認されました。当時一つの市の全公立学校が一斉に加盟承認されることは珍しいとの話を聞き、「ユネスコスクールのまち おおむた」を掲げ、スタートいたしました。当時から今日まで、東京大学の及川幸彦先生に御指導をいただいております。
 ユネスコスクール・ESDが持続していくためにも、各学校の教育課程にきちんとESDを位置付けるよう、年間計画などを作成し、特色ある活動に取り組むようにしました。また、校務分掌にユネスコスクール担当者を位置付け、校内の推進体制を明確にしました。ユネスコスクール担当者会では、校長会の代表が会長、教頭会の代表が副会長となり、担当者会の中から部長などの役員を決め、運営し、教育委員会が支援するという、各学校でユネスコスクールとして活動できるような体制をとりました。
 このように、ESDの推進を通し、さらには、SDGsにも取り組み、「持続可能なまち おおむた」を目指しました。
 また、市役所に、市長を本部長に、教育長を副本部長、各部の部長を委員とする大牟田市ESD推進本部を設置し、市役所を挙げて推進することになりました。
 様々な市民や団体によるESD推進協議会が作られ、学校、家庭、地域、市役所、市民団体などが連携を図りながら、市を挙げてESDを推進してまいりました。
 次に、教職員、子供、地域・関係団体の取組を簡単に紹介します。
 教職員につきましては、ユネスコスクール・ESDについて、A研修からG研修というように、理論や授業実践を学ぶなど、多様な研修の機会を設けていきました。このように、先生方のニーズに応じた研修に自主的に参加していただいています。しかし、新任者や他市からの転入教員は必ずESDの講座を受講していただき、全教職員がユネスコスクール・ESDについて共通理解を図り、取り組めるようにしています。
 これはユネスコスクール便りです。A4判1枚を月に1回ユネスコスクール担当者が作成し、市内の全教職員に配付し、情報の共有を図っています。
 また、各学校で具体的なESDの授業が展開されるよう、教育委員会で実践の手引きやパンフレットを作成して、全教職員に配付しました。
 教育委員会として、ユネスコスクールを支援するために、市長さんにお願いし、ユネスコスクール支援センターを設置していただきました。また、人員削減の中でありましたけれども、市長さんから事務局員を配置していただき、元校長先生が事務局員として各学校のニーズに応じた支援をしています。
 次に、子供たちの活動の様子を簡単に紹介します。各学校の地域課題に応じた、桜を通したまちづくり、子供民生委員、海洋教育などの学習に取り組み、ESDの充実に努めています。
 さらに、持続可能なまちづくりのためには、子供たちの郷土愛を育むことが大切です。そこで、本市の歴史、文化などを学ぶガイドブックを配布し、子ども大牟田検定を年2回開催しています。
 この他、子供たちの日頃の実践を交流する場として、ユネスコスクール子どもサミットを開催し、子供たち、教職員、保護者、市民が参加をしています。
 2019年1月にはユネスコスクールの日を制定し、制定宣言については、児童・生徒の代表で話し合って決めました。このような宣言ですが、課題解決に向け、自分なりに考え、行動できる子供を目指しています。
 ユネスコスクールは交流が大切です。交流することでつながり、広がりが出てきます。これは海洋教育の例ですが、九州の各県の学校と交流し学び合っています。
 これは、本市の各学校が、これまで国内や海外の学校と交流したものです。
 次に、地域・関係団体等との協働では、地域講座の開催や関係団体への出前講座を開催しています。もちろん本市の職員の研修も行っています。また、各団体からは、各学校の要請に応じて子供たちへの授業への支援など、多様な取組を進めていただいております。
 さらに、ESD、SDGsの発信として、教育委員会のホームページやフェイスブックで広報し、本市の取組などを紹介しています。
各学校のホームページでも、ユネスコスクールの実践を発信しています。
 校長会では、大牟田市ESD/SDGs実践アーカイブを作成し、テーマごとに整理して、たくさんの実践を発信しております。また、ESD for SDGsとして、大牟田版SDGsを作成し、具体的な取組を展開しています。現在、及川先生の指導受けながら、バージョン2を作成しています。
 これは、各学校がSDGsの重点化をし、取り組んでいるのをまとめて表したSDGsおおむたマップです。2018年に本市の市制100周年を記念し、市議会議長始め経済界の代表等に参加していただく中、市長さんが「ユネスコスクール・ESDのまち おおむた」宣言をされ、ESD、SDGsの充実に向けた機運の高まりを見せました。
 このような中、2019年12月には、本市教育委員会のSDGsの取組が評価され、第3回ジャパンSDGsアワード特別賞を頂きました。
 さらに、2020年2月に、国連大学からESDの国際的な拠点としてのRCEに認定されました。今後ネットワークをさらに世界へ拡大していきたいと思います。
 本市がこれまで、ユネスコスクールに加盟し実践してきたことの成果です。例えば、ESDを学ぶことで、子供たちの地域や世界への貢献の意識が年々向上しております。何よりもうれしいことは、10年前ESDに取り組み始めたときの中学3年生が、ESDを次世代へ継承していきたいと、教師を目指し、昨年度小学校の教師として本市に着任されたことです。
 今後は、全国や世界のユネスコスクールとの交流を促進し、連帯を強化し、持続可能な社会づくりを進めてまいりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
【杉村委員長】   また続けてすばらしい御発表いただきました。安田教育長、ありがとうございました。町を挙げての取組だけじゃなくて、今度は卒業生がまたそうやって先生になられてつながってらっしゃるというのがとても興味深く伺いました。本当にありがとうございました。
【大牟田市教育委員会安田教育長】   ありがとうございました。
【杉村委員長】   それでは、もう一つ御発表を聞かせていただいてから質疑に移りたいと思います。
 次は奈良教育大学の中澤先生から、奈良教育大学の活動について御紹介いただきます。先生、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【奈良教育大学中澤准教授】   奈良教育大学の中澤です。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手持ちの資料1-4を、御覧になりながら聞いていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 平成24年に日本ユネスコ国内委員会様よりユネスコスクールガイドラインが発信をされております。そこに、ユネスコスクールの目指すものというのが示されております。
 一つ目に、地球規模の問題に対する国連システムの理解、二つ目に、人権、民主主義の理解と促進、三つ目に、異文化理解、四つ目に環境教育のテーマについて、質の高い教育を実現する学校であるということと、もう一つはESDの普及・推進のためのユネスコスクールを活用することとされております。
 一方で、2ページ目に、奈良教育大学には三つの柱を記載しております。一つ目が、人・環境・文化遺産との対話を通した教育の追求、二つ目が、持続可能な社会的づくりに貢献できる教員の養成、三つ目が、教員養成と教員研修の融合です。一貫して持続可能な社会づくりに貢献する人材、そして、ESDを指導できる教員の養成ということを目指して取り組んでいます。
 それを少し具体的に紹介させていただきます。ESDを核とした教員養成には五つあります。まず、全授業科目にSDGsの関連づけを行いました。これによって、個々の授業科目の向こう側に、持続可能な社会を作っていくという方向性が共有できたと思っております。学生にもそれは伝わっていると考えています。また、教員のほうは、自分の研究、あるいは、教育というものを、SDGsの観点から見直すきっかけになったと思っています。
 二つ目に、現在ESDテキストを作成しています。本学では、ESD・SDGs基礎論という授業科目及びESD概論という、この二つの授業科目が全学必修になっています。このテキストは本学の教員が中心となって今作成中で、今年度末には出来上がる予定です。
 三つ目に、ユネスコスクール等との交流です。左下の写真をご覧ください。玉川大学様が中心になって、ユネスコクラブ全国サミットを開催していただいており、その初回から参加させていただき、本学でもサミットを開催しております。
 その右は、今御紹介のあった大牟田市がこの7月の豪雨災害で被災しました。安田教育長様から応援メッセージもらえないかと依頼を頂き、本学のユネスコクラブが応援メッセージを発信いたしました。それがきっかけになって、今大牟田市立みなと小学校様と本学のユネスコクラブの学生が世代を超えたオンラインの交流というのをさせていただいております。
 また、左上の写真は、内閣府成年国際交流事業、世界青年の船、そして、右側が第11回ユネスコフォーラムです。ここにも学生代表を派遣させていただきました。派遣された学生は、戻ってから報告会を開いてくれており、学生の視野を広げるのに効果があると思っております。
 次を御覧ください。次はボランティア活動の推奨です。ESDで育みたい価値観に関して2005年にユネスコがESD国際実施計画案を出しており、そこに四つの価値観が書かれています。その中の世代内の公正と世代間の公正といわれる価値観を養うためにはボランティア活動が有効であり、推奨しております。
 左上の写真は東日本大震災津波の際の陸前高田市の様子です。奈良教育大学はその年より継続して毎年ボランティアを派遣しております。
 その右側は、同じ年の紀伊半島大水害で被災した、大峯奥駈道の修復の様子です。学生ボランティアを募って、8回実施しました。
 左下は、徳島県での柚子刈りボランティアの写真です。ここで得た収益はTICOという団体を通じてザンビアの医療機関に提供させていただいております。
 右側は、これは2年前の西日本豪雨災害の被災地支援の写真です。本学のユネスコクラブが中心になって、11回も現地で活動してくれました。そのこともあって、去年はガールスカウト連盟から表彰されました。
 次に、ESDティーチャープログラムについて御説明をさせていただきます。奈良教育大学は、平成26年度、グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業において近畿ESDコンソーシアムという、近畿地方を中心にESDの普及・推進を図る組織を作りました。さらに、平成27年度には、日本/ユネスコパートナーシップ事業で、教員研修プログラムの在り方に関する調査研究を受託し、ESDに取り組む教員に求められる資質、能力を明らかにするとともに、研修プログラムを開発しました。この写真は、今年の3月にESDティーチャープログラムを受講し、力量形成が認められた方々に、本学の学長からESDティーチャー認定証を授与させていただいた折の写真です。
 この教員研修プログラムは五つの系統的な学習プログラムからできています。一つ目がSDGsの理解促進、二つ目が、ESDの学習理論、そして、三つ目に、優良実践事例の分析と授業構想案の作成、四つ目が、授業構想案の相互検討、五つ目に、ESD学習指導案の相互検討です。これを全て受けていただき、ESD学習指導案を作成・提出していただきます。
 当初は、本学及び近畿ESDコンソーシアムに加盟している団体等で実施していたのですが、平成30年度からは全国展開に取り組んでおり、今年は大牟田市でも開催をさせていただきました。
 現在全国に75名のESDティーチャーの方々がおられます。また、学生では23名がESDティーチャーを取得しました。コロナ禍におきまして、人の移動はできにくくなりましたが、オンラインは逆にやりやすくなりました。そこで、フォローアップ研修としまして、2か月に1回、全国のESDティーチャーに呼びかけて、ESDに関わる研修を繰り返しております。
 その他、教員研修と教員養成は融合したほうが効果がありますので、ESDに関わる教員研修の全てに学生の参加を促しております。左上の写真は、奈良で開催しているESDの連続セミナーです。年間11回開催し、学生と現職教員が協働でESDについて学んでいます。真ん中は、年間に7回実施している春日山原始林フィールドワーク、右端が、年間5回開催している学ぶ喜び・ESD連続公開講座の写真です。
 学生は、学校現場のことを直接先生方から教えていただくことで、教員になりたいという、志望動機が高まっていきます。教員は、学生を指導することを通して自分の理解が深まるということで、とてもいい効果が生まれていると思っています。
 本学は、教員のESDの指導力の向上ということを通して、地域社会、そして、ひいては、全ての日本の教育に貢献したいと考え、現在ユネスコスクールオンライン近畿地方大会を開催しております。11月1日と11月8日にプレ大会を開催し、今週の日曜日は本大会を開催します。七つの小・中・高等学校が日頃のESDの取組を動画で発表してくれます。また、ESDに関する子ども宣言も作成中です。近畿地方の全てのユネスコスクールに、持続可能な社会づくりに関して日頃考えていることを作文にして送っていただくことを依頼しました。それをもとに、本学のユネスコクラブの学生と大会に参加してくださる小・中・高等学校の子ども達で近畿ユネスコスクール子ども宣言を作成していただきます。
 午後からは、学校の教員、NPOの方々などの実践交流、そして最後には、先ほど大牟田市の御発表をされました安田教育長様にホールスクールアプローチというテーマで御講演をお願いしております。国際戦略企画官の石田様にもこちらに来ていただけることになっております。委員の皆さんもオンラインで開催しますので、ぜひ御参加いただけたらと思っています。
 御清聴どうもありがとうございました。
【杉村委員長】   中澤先生、御丁寧にありがとうございます。
 ただいま学校レベル、教育委員会レベル、そして、大学レベルから、三つのとてもすばらしいグッドプラクティス御発表いただきました。これに基づきまして、まず御質問等あれば、最初ぜひ三つの発表について伺いますとともに、本日のユネスコスクールの今後の活性化に向けた取組、どのようにしたらいいか、先ほど石田企画官から前回の議論の要旨をまとめていただいておりますが、議論してまいりたいと思います。
 それでは、御質問のある方はその場で挙手をしていただくか、あるいは、プッシュボタンを押していただきまして、指名は事務局のほうからしていただくことになっておりますので、どうぞどなたからでもよろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。まずは、三つの取組についての御質問をいかがでございましょうか。
 いかがでしょう。私も伺って、どれもとてもすばらしい取組なので、色々聞きたいことがございますが、見上先生、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【見上委員】   3人の先生方ありがとうございました。一番ハイレベルの状況というのをとても勉強させていただきましてありがとうございます。
 一つ、最初の池田高校の西谷先生にお尋ねしたいのですけれども、すばらしい活動をされていて、恐らく生徒さんたちが大分変容してきているのじゃないかなという気がいたしました。それで、卒業されるような時点で、自分が何をやりたいかというようなこと、あるいは、大学進学に際して、以前よりも、ESDを始められてから、子供たちのゴールがはっきりしたとか、何か目標が定めやすくなったみたいなことはありますでしょうか。その点を1点教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【岐阜県立池田高校西谷校長】   ありがとうございます。私この4月から本校に赴任したものですから、これまでの詳しいことは分かりませんが、私が見た限りで、本校の生徒は、就職や、専門学校・大学には主に推薦で進学をするのですが、その中で、面接練習や志望理由書を書く中で、やはりESDの活動に関わることで、入学当初は何となくイメージでこういう方向に進みたいなということを思っていた生徒が、活動を通して少しずつやはりこれだというものを見つけていって、それを面接とか小論文の中に書きつづってくる生徒が多いことにはちょっと感心はしています。
 ただ、先ほど申しましたが、そういう参加をした生徒にはかなり効果が見られると思うのですが、なかなか全員が参加するには至っていませんので、他の生徒と比較をすることはまだ十分できておりません。ただ、頑張っている生徒が変わっていく様子は大概の先生に聞いてもそれは伺えると思います。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 他に取組についての御質問いかがでしょうか。
 古賀先生、お願いいたします。
【古賀委員】   私は大牟田市出身ですので、大牟田市教育委員会の安田教育長にお伺いします。市内の全ての公立小中学校がユネスコスクールに登録されていることは、ユネスコスクールの活動の活性化に有効な手段なのだと思います。しかし、参加校が多くなればなるほど、学校間で活動の頻度や活動内容に差が生まれるのではないかと推察します。その点はどう考えていらっしゃいますか。また、その差が生じる要因についても、もしあればご教示ください。
【大牟田市教育委員会安田教育長】   ありがとうございます。大牟田出身ということでとてもうれしく思っております。よろしくお願いいたします。
 先ほど発表しましたように、大牟田市は全小学校、中学校、特別支援学校が一斉にユネスコスクールということで、全部の学校がやはりそれぞれの特色を生かしながらやっていくということで、差がつかないように、全部の公立学校がやはり一緒になって進んでいくという体制をとってきておりますので、そんなにどこの学校が活発で、どこの学校がそんなにないということではないと思います。先ほど申しました、校内体制、それから、全市的な推進体制、そして、教育委員会のバックアップ、または、校長会、教頭会の支援というもの、このように、縦と横と斜めといいますか、様々な体制を取っているので、それぞれの学校がそれぞれの特色を持ちながら進んでいるということだと思います。
 ですから、幸いに、大牟田市は全部の学校がということですので、他の市町村では、例えば、一つの学校だとか、そういうふうなところもあるというふうに聞いておりますけれども、やはり横の連携といいますか、交流を図りながらやっていくということが、差がつかないということではないでしょうか。
 以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 他に取組についての御質問いかがでしょうか。
【堀尾国際統括官補佐】   会場のほうから山口先生が、その後、加治佐先生が手を挙げていらっしゃいます。
【加治佐委員】   どうもお三方ありがとうございます。大変参考になりました。また、よく理解できました。
 私は3番目の奈良教育大学さんにお伺いしたいのですが、大変いい取組を全学的に推進されているということは大変よく理解できました。何かこのユネスコスクールのリーダー的な存在だというふうにも感じました。
 それで、お伺いしたいのは、何といいますか、私もこの委員になりまして、ユネスコの国内委員になりまして、このユネスコスクールというのに関心を持ち出してきたわけですけれども、それで、本学の国際理解の教員とか、あるいは、国際理解担当の事務にいろいろ話をしてみたのですが、なかなかいい返事をしない。といいますのは、彼らが言うには、確かに意義はあるのだけれども、どう言いましょう、わざわざユネスコスクールになってまでやるメリットがあるのかというふうなことを言うわけですね。確かに、今なかなか加盟に向けての審査も待っているとかいうこともあったりで、そういうこともあるのかもしれませんが、ただ、今奈良教育大学さんの取組、大変いいと思うというか、大学の一つの、あるいは、附属学校も一緒に恐らくやっていると思うのですけれども、一つの大きな特徴となっていて、ESDですよね、SDGsを推進するのに非常に有効な感じがします。
 そういうわけで、同じ国立の教員養成大学として、あるいは、附属学校を持っている者として、我々がこれを推進していくための何かね、本当にこういう点がいいんだとか、こういうふうにすれば導入がうまくいきますよとか、何か我々を巻き込むためのものがありましたらちょっと教えていただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   中澤先生、お願いいたします。
【奈良教育大学中澤准教授】   どうも御質問ありがとうございます。
 本学でも最初はなかなか協力体制を作るのは難しかったというが本当のところです。学内で教員研修を繰り返しながら、協力体制の構築に、約10年かかりました。組織として方向性をそろえるには、人間同士の理解がカギになると思います。一緒に活動したり、連絡を取り合ったりといった中で、人間同士の信頼関係を築いていくこととシステムの構築という両面が重要だと思います。附属学校園のESD担当者とは、2週間に1回のミーティングを開催し、互いの情報共有を進めています。また、近隣のユネスコスクールの先生方とは月1回の勉強会を開催し、ESDやSDGsに関する研修と共に、互いが知り合う機会としています。
 お答えになっているかどうか分からないですが、以上です。
【杉村委員長】   本当にありがとうございました。
 それでは、ちょうど今すごくいい御指摘の御質問が出たかと思いますので、それを踏まえまして、冒頭石田企画官のほうからもちょっと要点御説明いただきました、ユネスコスクール全体のさらなる活性化に向けた取組について、これは前回からの継続議論になりますし、また、今日もこの議論は今日だけというよりも、今日出していただいた意見を元にまた今後も深めていきたいと思っていますけれども、全体について御意見ありましたらと思いますが、いかがでございましょうか。
 では、山口先生。
【山口委員】   ありがとうございます。簡単に質問させていただきます。
 大変多様なユニークな取組の御説明をありがとうございました。池田高等学校と大牟田市の方々にちょっと御質問なのですけれども、やはりすごく多様な取組をなさっておられると思います。教員研修や子供に視点を当てた取組というのは大変興味深く聞かせていただきました。ユネスコスクールのさらなる活性化についてという観点から、教員の先生方を含めたやはり活動を持続的に実施していくためのモチベーション、教員側からのモチベーション、あとは、子供がこれを続けていくためのモチベーションというのはどういうところにあるとお考えでしょうか。
【杉村委員長】   山口先生、これは発表者のお三方にお答えいただくような感じになりましょうか。
【山口委員】   そうですね、池田高等学校と大牟田市教育委員の現場の声を聞かせていただければと思います。
【杉村委員長】   それでは、西谷校長先生、いかがでしょうか。ありがとうございます。
【岐阜県立池田高校西谷校長】   生徒もそうなのですが、教職員のモチベーションという部分でいきますと、やはり教員が生徒と一番関わるところ、生徒と一番触れ合うところはやはり授業だと思っております。授業をはじめ平素の様々な課外活動の中で生徒と直接触れ合って一緒に活動し、生徒が変わっていくために、まず、教員が授業を変えていく、そういう中で生徒も変わっていくというのが一番身近に感じられるのではないかと。いろいろ言われていますが、普通科高校の改革ということも踏まえて、今後本校のようないろいろな普通科高校では、先ほど意見がありましたように、ユネスコスクールの意義とか、そういうメリットということをなかなか感じられにくいという声を普通科高校校長との話の中でよく耳にします。本校では自分の学校の特長を生かしていくには、普通科高校でも既にいろいろな取組がされていますが、働き方改革等も考えると、やはり一番身近な授業を変えながら、ESDの観点とか、SDGsの観点を踏まえた授業改善を進めることが最優先であり一つ、それによって生徒が変わっていけば、先生もそれを実感でき、さらに前に進んでいけるのではないかなと思っております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございます。教育長のほう、いかがでいらっしゃいましょうか。
【大牟田市教育委員会安田教育長】   大牟田の安田です。やはりESDで大切なのは、子供たちが変わっていくということ、子供たちの行動が変容していくということが何よりも大切なことだろうと思います。そのためには、子供が変わったということ、また、子供たちの活動で、自分たちの住んでいるまち等がやはりよくなっているということで、地域の人とか、関係団体の方から子供たちの変容を伝えていただく、また、子供たちの活動のよさを伝えていただく、学校に返していただくということが大切だろうと思っています。そして、子供たちには、活動の意味づけとか価値づけというものをきちんと子供たちにも返していく。自分たちがやってきたことがどのように社会貢献しているんだ、地域のためになっているんだということをやはり返していかなければ、子供たちは活動だけで終わってしまうということになりますので、やはり次への意欲にはつながっていかないと思いますので、きちんとそこを整理してあげていくということが大事だろうと思います。
 先ほど申しましたように、何よりも子供たちの変容によって、教職員もさらなる取組の充実を図っていこうという意欲が高まろうというふうに思いますので、教育委員会としてもそういう面での子供の変容の返しというものを、やはり意図的に仕組んでいくといいますか、工夫しているというところもございます。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
【堀尾国際統括官補佐】   杉村先生、吉田委員と野村委員が挙手いただいておりますので、まず吉田委員のほうからお願します。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 吉田先生、お願いします。
【吉田委員】   お三人の発表、本当にありがとうございました。池田高校の取組、大牟田市の取組、それから、奈良教さんの取組、どれも本当にすばらしいと思います。間違いなくユネスコスクールとしての取組の成功例というか、本当にすばらしい活動内容だと思います。
 そこで、今日これからこの小委員会でも議論していくであろう点に、ちょっと事前にインフォームしていただくという意味で、お三人の方にお伺いしたいのですけれども、これからユネスコスクールというものがますます国内、国際的に発信を強化していく、あるいは、自分たちの学校、大学を中心としてネットワーク機能を強化していく、そして、そこで成果もしっかりと出していく、こういうことを目指していくに当たって、こういうふうにやってみたいとか、そういうところはちょっとこれが課題になるとか、ネットワーキング、発信において特にやってみたい、もう既にやっているところも、部分もあるとは存じておりますけれども、そこをもっと強化していくということになると、何か課題になるような点がございましたらお教えいただければと思います。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 それでは、どうしましょう、お三方から一言ずつ課題に感じていらっしゃることと思いますけれども、まずは、池田高校の西谷校長先生、お願いしてよろしいでしょうか。
【岐阜県立池田高校西谷校長】   我々の地域も、地元ユネスコ協会が交流会を計画してくれますが、コロナ禍で交流の機会がほとんどなくなっています。該当校同士の個別な交流がもっとあってもいいのかなと思います。先ほども申しましたが、該当校間の温度差とか、人事異動で人が替わると話がうまく伝わらなかったり、問い合わせてもたらい回しになったりというような現状もあり、例えば、県内もしくは地域内でもいいのですが、関係校取りまとめていく、大学ですとか、協会などが、人が替わったときにそれをつないでいただけるような組織があるととても助かると感じました。ただ、今年はコロナ禍という非常事態で、致し方なかったと思います。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 続けて、それでは、安田教育長、いかがでございましょうか。
【大牟田市教育委員会安田教育長】   今大牟田市内と、それから、国内外との交流を進めておりますけれども、やはり同じ学校種の交流、または、違う学校種との交流、このように、たくさんの交流をすることで、特に交流相手校の実践のよさを学ぶことによって、自分達の活動の振り返りをして、そして、さらにその実践を工夫し充実を図っていく。そのためには、もっと多くの学校との交流ができないかなというふうに思っております。
 しかしながら、やはりなかなかマッチングといいますか、このような活動なり、このような内容での交流を図りたいと思うけれども、なかなか相手先の学校を見つけるということがやはり苦労します。そういう面でのマッチングを図れるようなシステムをこれからも何かいろいろ考えていかなければならないのだなというふうに考えております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 大学から、中澤先生、今後の課題、いかがでございましょうか。
【奈良教育大学中澤准教授】   ネットワークの活用ということは、オンライン化が進みましたので、非常にこれからやりやすくなると思っております。また、ESDあるいはSDGsについての認知度が上がるともっとうまくいくだろうなと感じております。同僚の先生からアドバイスを頂いたり、管理職の先生方から背中を押してもらうことで、学校全体が変わっていくでしょう。今はまだ意欲のある教員が頑張ってやっているという、そういう状況だと私は感じております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、先ほど手を挙げていただいていました野村委員のほうからも御質問をお願いしたいと思います。
【野村委員】   質問ではなくて意見ですがよろしいでしょうか。
【杉村委員長】   ぜひお願いします。
【野村委員】   三つの発表を伺って非常に感銘を受けました。そこで今挙げていただいた課題を踏まえてひとつ申し上げたいと思います。このユネスコスクールを今後どうするかという議論をずっと続けてまいりましたが、世界で最も数が多い日本モデルとして、地域全体で取り組むESDというモデルとして確立して、それを海外に発信してはどうかなと思っております。
 というのは、やはり先ほど来から課題として出ておりますように、各校でユネスコスクールのご担当はどうしてもやりたい先生、できる先生に偏り、属人化してしまっているようです。それで、異動されたり、退職されたりするとノウハウの継承が難しいというようなお話も出てきています。そこで大牟田市の市全体の取組、それから、地域を支える奈良教育大の先生育成の仕組みといったように、地域全体で仕組み化することが、活動を継続するため、それから、機運を盛り上げていくためには必須ではないかと思います。
 そこで日本のユネスコスクールは地元の教育委員会のサポートと自治体のサポートが必須である、なおかつ、地元の教員を育成する国公立大のサポートも必須であると、そのぐらいの基準を設けて、地域全体で取り組むESDというものを日本モデルとしていくことを目標にしてはどうかと考えました。今日の発表を伺ってそう思いました。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。本当にすばらしい発表に触発されて、また御意見もあれします、続きそうなところなのですが、ちょっと時間の関係もございまして、大変恐縮ですが、今日のこの御議論、ぜひユネスコスクールの活性化の方向性ということで、今日は今議論いただいておりますが、次の会議に向けて今度仕組みづくりというほうにもつなげていきたいと思います。
 ということで、まだ御意見、御質問あるかと思いますが、この議題一度ここで区切りとさせていただきますが、事務局のほうで今日の議論の流れをまとめていただき、次回この方向性について、基づいて、今度仕組みづくりのほうを議論を進めていただきたいと思いますので、そのように御理解いただければと思います。
 三つの御発表、本当にありがとうございました。もうすばらしい御発表いただきまして、具体的なアイデアや、ヒントや、考えるきっかけをたくさん頂戴できましたことに心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

<議題2.次期ESD国内実施計画の策定について(討議)>
【杉村委員長】   それでは、議題の2のほうに移りたいと思います。
 議題の2は次期ESD国内実施計画の策定についてでございます。まず、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【石田国際戦略企画官】   よろしくお願いします。事務局でございます。時間も押しておりますので、簡潔に進めさせていただきますけれども、資料の2-1と2-2を御覧ください。全体で44ページ辺りからになっております。
 まず、このESD国内実施計画についてでございますけれども、我が国においては、政府を含む各ステークホルダーのコミットメント、これに資する計画として、文部科学省を環境省を中心として、このESD国内実施計画を策定しているところでございます。
 1の真ん中にありますけれども、この実施計画、GAP期間を対象として作られておりまして、2016年に策定しております。したがいまして、今回2030年までのESD for 2030ができましたことに伴いまして、この国内実施計画を改定する必要があるという状況になっております。
 進め方については、ESDの円卓会議というものがございます。こちらにおいて意見交換を行いますけれども、本ユネスコ国内委員会においても様々な意見を頂いて、連携を図りながら作り直していきたいというふうに考えておりまして、今回議題とさせていただいております。
 今後進め方でございますけれども、スケジュール、2のところにございますように、できる限り今年度中に策定を目標として作業をこれから進めていきたいと思っております。そうしますと、来年5月にESDに関するユネスコ世界会議がベルリンでございますので、それに日本はこういったことをやっていくのだという政府の計画としてお示しできるということで、そういったスケジュール感でやりたいということを考えておるというのがまず概要ででございます。
 それから、資料2-2でございますけれども、それでは、どういったものにするのかということで、今政府内で考えておるものの論点整理ということで示しております。今申し上げましたように、国内実施計画を改定に当たって、考えるべきポイントが二つあります。
 一つは、GAPからESD for 2030に変わったということが大きな流れとしてございます。この主な変更点でございますけれども、真ん中辺りにまとめておりますけれども、優先行動分野、こういった五つの分野がそういった分野として示されていたのですけれども、GAPで示されたこういった分野を維持しつつ、まず目標として、SDGs全ての目標達成への貢献が新しい2030では明記されたということ。それから、構造に関しても、ステークホルダーや分野間のネットワーク強化をやるべきだということで示されたということが、こういったところが大きな変更点でございました。
 それから、もう一つ、このGAPのときに作られた国内実施計画をレビューいたしております。レビューについては、その下に優先行動分野別に各課題として幾つかの御指摘が挙がっております。個別の説明は省略させていただきますけれども、大きくまとめますと、46ページの下にまとめてございますけれども、ESD for 2030を踏まえつつ、様々なステークホルダーと連携した施策の展開が必要だということでありますとか、あるいは、優良事例の横展開を含めて、国内外の情報発信機能の強化が必要だということが大きくどの分野でも指摘されていることなのかなというふうに理解しております。
 こういった二つの大きな背景を踏まえて、次期ESD国内実施計画の柱立てを今考えておるところですけれども、たたき台として、変更点として、基本的な考え方のところにESDとSDGsのつながりの強化といったような、そういった2030の目的を書き込むとともに、パートナー間の連携の促進ということを示すというような柱を立てるということ。
 それから、実際どういった取組を行うのかというところが、4ポツのステークホルダーの取組というような項目がございましたけれども、ここに新しくステークホルダーのネットワーク、情報発信の強化といったような項目を立てて、こういった新しい国際的な枠組み、あるいは、レビューにおける指摘を踏まえた形で新しい国内実施計画を作っていってはどうかということを考えておる状況でございます。
 本日は、他に考えるべき視点でありますとか、あるいは、こういうようなポイントが重要なのではないかといったことを、大所高所から頂ければ幸いに思っております。
 事務局からは以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御説明について、御質問あるいは御意見等ございますでしょうか。先ほどと同じ要領でお手を挙げていただくような形で進めたいと思います。いかがでございましょうか。どなたからでもと思いますけれども、いかがでしょうか。
 見上先生、じゃあ、お願いをいたします。ありがとうございます。
【見上委員】   すみません、何度も、見上と申します。今ネットワークを強化というお話が、事務局のほうからもお話ありました。ありがとうございます。それで、その点で感じておりますのは、例えば、ESD活動支援センターのネットワークがあり、それから、ユネスコスクールですとコンソーシアムですね、コンソーシアムの、私申し上げているのは地域の大きな意味でのブロック、全国8ブロックぐらいをイメージしているのですけれども、それぞれのブロックから、それから、ユネスコ協会のブロックもあるというようなことで、そのそれぞれの間の情報交換が必ずしも十分でなくて、お互いに知らないのですね。そのことがあるので、そういうところの情報が行き来できるような作りにできると、より効率的に、ユネスコスクールにしろ、ユネスコスクールに入らなくてもESDをやりたいという学校も、そこにアクセスできるんじゃないかなというふうに思っております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
【堀尾国際統括官補佐】   杉村先生、三輪構成員が挙手いただいております。
【杉村委員長】   ありがとうございます。三輪さん、お願いいたします。
【三輪構成員】   ありがとうございます。私はユネスコ国内委員会の教育小委員会のメンバーではないのですけれども、今日はこちらのほうにはこの委員会をSDGs推進円卓会議の教育分科会としても位置づけてくださっていますので、そちらのほうの位置づけとして参加させていただいております。ありがとうございます。
 実は前回の教育分科会の、あるいは、教育小委員会の御報告を、SDGs市民社会ネットワークのほうでしましたところ、市民社会の声を教育分科会に届けていただけないかということで、外務省のほうから、こちらの教育小委員会のほうの担当者様等にお伝えくださいまして、1週間ぐらい前になるのですけれども、意見交換の場を持たせていただきました。石田様と原田様には御出席いただきまして大変ありがとうございました。
 その際に、SDGs市民社会ネットワークとして、教育分科会のほうに考えていただきたいこととして提言を出させていただいたのですけれども、それ6項目にわたっております。項目だけ御紹介しますと、一つ目が、日本に暮らす外国にルーツを持つ子供や大人のための日本語教育や学習の場の保障、二つ目が、障害のある子供も原則として自分の住む地域で通常学校に通うことができるようなインクルーシブ教育の実現、三つ目が、ジェンダー平等教育を推進することによって、性別に関わらずに多様な進路を主体的に選んで、一人一人が可能性を十分に開花させることができる教育を実現すること、四つ目が、学校における体罰やいじめなどの暴力の根絶、そして、安心安全な学習環境を保障するための施策の改善、そして、拡充、5点目が、公共教育支出の増額、増やすことと、それから、教育費の家計負担や教員の労働時間を減らすこと、そして、六つ目に挙げさせていただいたのが、ESD for 2030の国内実施計画への多様なステークホルダーの参画を保障していただきたいということでした。
 ですので、今日今御紹介いただいた資料の2-2、そちらのほう、多様なステークホルダーとのパートナーシップ、ネットワーク、連携支援といったことが盛り込まれていますので、大変ありがたく思っています。ぜひ、その前に挙げました5点、こちらはむしろSDGsのアクションプラン、これは毎年政府のほうで策定することになっているアクションプランとの関わりが大きい提言だったのですけれども、ESDとSDGsのつながりを考えますと、ぜひESDの国内実施計画でも考えていただきたいことでもありますので、そういう観点からもさらに国内実施計画の策定プロセスと併せて考慮すべき点として御検討いただけたら大変ありがたく思います。もしよろしければ、私たちで作った提言も、教育小委員会の皆様、教育委員会の皆様と共有いただけましたら大変ありがたく思います。
 以上です。どうもありがとうございます。
【杉村委員長】   皆様ありがとうございました。実は今お話いただいた件、事前に事務局からも委員会、私のほうにもちょうど御連絡を頂いておりました。また今日終わりましたときに、先ほどの御提言案については、メールで委員の先生方にお回ししましょうということで、事前に事務局ともちょうど話させていただいたところでございます。
【三輪構成員】   ありがとうございます。よろしくお願いします。
【杉村委員長】   今日の議題にちょっと直接載せなかったのは、今回このESDの国内実施計画のところにそう書いていたものですから、ちょっと前後いたしましたことをお詫びとともにお伝えいたします。
【三輪構成員】   とんでもないです。ありがとうございます。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
【堀尾国際統括官補佐】   先生、萱島委員と吉田委員が挙手いただいておりますので、萱島委員からお願いします。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
【萱島委員】   ありがとうございます。萱島でございます。
 大変興味深い三つの御発表もいただきまして、とても勉強になりました。
 私からは少し小さなコメントなのですけれども、今後ESDの国内実施計画を改定するに当たって、日本の小・中・高校、もしくは、大学がどういうふうに教育を進めていくのかということを、まさに、何といいますか、視野に置いて行っていくものだと思うのですけれども、初中等教育局のほうではスーパーグローバルハイスクール、現在もう少しそれが進化した形というか、変化した形になっておりますけれども、が行われていたり、大学は大学で大学の国際化政策が様々高等教育局のほうで行われていると思うのですけれども、そういった初中等、もしくは、高等教育行政の中で、こういったユネスコを活用した日本の教育の国際化だとか、グローバルな人材の育成というような視点で、ESDがもう少し統合的に扱われる必要があるんじゃないかというのはずっと感じておりまして、スーパーグローバルハイスクールのほうの少し委員会等にも入っているのですが、ユネスコスクールの話等はほとんど出てこないような状況もあるものですから、多分学校現場のほうではそういったことがそれぞれ別のところから話が来るというような状況になっているのかなという気がするのですけれども、ぜひ文部行政として、もう少し統合的にというか、連携して取り扱われるほうが、より効果も上がるのではないかなというふうにずっと感じております。ぜひ文部省の中で、もしくは、文部省の外も含めたものでもあるべきかもしれないのですけれども、ESDもしくはユネスコスクールだけではなく、他の取組ともぜひうまく連携するような形で、政策や施策や方針が進められるとよいのではないかなというふうに感じております。よろしくお願いします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 もう一方、続きまして、吉田先生。
【吉田委員】   吉田です。よろしくお願いします。先ほど御発表いただいたESDの国内実施計画、観点は非常に重要な観点盛り込まれていて、それについて異議があるということは全くございません。
 ただ一つ、今年が2020年ということで、先ほど三輪様からの御指摘もありましたけれども、日本政府としてのSDGs行動の10年の中でのアクションプランというものを作っていると承知していますし、その中で日本のSDGsのモデルをしっかりと構築して加速化させていく、こういう点がありました。
 それに向けて幾つかの点ということで、三つありました。ビジネスとイノベーションが一つ目、それから、SDGsを原動力とした地域創生、強靭、環境にやさしいまちづくりと、三つ目が、SDGsの担い手としての次世代女性のエンパワーメント、これはまさしく我々がずっと議論していた点としっかりかぶさっているので、ESDの今後の取組として別のものを考えるという必要は全くないのですけれども、日本の政府としてこういうアクションプランを持っていると。そして、ESD for 2030として、日本がまさにそのESD for 2030の中核的な立場にいるという、その責任と自負を持って行動しているときに、日本らしさというのはどういう点にあるのか。そして、今回取りまとめられている実施計画の点は、こういう点に注意して行っていきましょうという点では網羅されていると思うのですけれども、結果として、例えば、5年後にどういう成果が出る、2030年にはどういう成果が出る、そういうその中間的な見直しの可能性も想定した上で、よりその成果を明示していく、そういう点をもう少し御配慮いただく余地があるのではないかというふうに感じたところです。
 そのESD for 2030なわけですから、これはまた文科省さんを中心に御議論いただければいいのですけれども、どういう点での成果なのかというときに、例えば、学校においての取組方、トランスフォーメーションがどういうふうに行われたのか、先ほど来から出ています多様なステークホルダーズが参画している。これはプロセスであると同時に、そういう形態をとることによって、これまで出てこなかった視点が取り入れられたと、これは事後的に恐らく高評価を得るようなポイントになると思うのです。あまりずるをする必要はないですけれども、日本としてのESD for 2030を実施するに当たっての計画だと存じておりますので、最終的にどういう点が成功したんだと言えるのかということは、やはり目的意識、成果ということを明確にしておくということが非常に有効になるのではないかと感じた次第です。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 道傳先生、先のほうでお願いして、その後、山口先生、お願いいたします。
【道傳委員】   道傳でございます。今日は様々な御発表もお聞かせいただきました。ありがとうございました。お話を伺いながら、以前に、山口先生から、コロナ禍で本当に教育現場の皆様は大変な御苦労があるというお話を伺いましたことを思い起こしておりました。
 その上で申しますけれども、先ほど三輪先生から御提言の紹介があった中に、いじめや体罰についての学校現場が抱える現状とその課題についても御指摘があったということ、大変に重く受け止めました。それもまたコロナ禍での教育現場の現実の一端であるということを、私たちはきちんと受け止めないといけないなと思っております。
 それで、ちょっと先ほど発言の機会を逸してしまったのですけれども、この会議の冒頭で、そのユネスコスクールの中にあっても、相当数、2割近くの先生は理解があまり十分に届いていらっしゃらないかもしれないというような統計の御紹介がありました。今日お話を伺いました学校現場の生徒の皆さん、本当にもう生き生きとしておられて、取組をしっかり進めていらっしゃるということはよく分かったのですけれども、恐らく、何というんでしょう、課題に直面していらして、いま一つこう、進めることができないでおられる現場、つまり、その意義とか意味をきちんと共有できないでいらっしゃるかもしれないケースというのを、もう少しそういったケースにもこれから耳を傾けていかないと、恐らくユネスコスクールのさらなる活性化に向けた議論をしていく中でも、ちょっと議論が不十分になるのではないかなというように感じております。
 以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 そうしましたら、山口先生、いかがでございましょうか。
【山口委員】   どうもありがとうございます。実は本日その他のところで時間があったら、ユネスコで今進められているフューチャーズ・オブ・エデュケーション、教育の未来についての議論のサマリーをちょっと御紹介しようと思ったのですが、ちょっとお時間もないみたいですので、その冒頭の部分で、多分今後のSDGsの実施計画に使える部分というのが二つあると思いましたので、そこをちょっと共有させていただきます。
 まずは、大きな枠組みとして、フューチャーズ・オブ・エデュケーション報告書で、二つ重要なプリンシプルがあると、基本理念があると。一つは、教育をグローバル・コモン・グッズとして位置づけようという観点です。もう一つが、その上で、個人と地域と社会全体の中で、教育を生活にどのようにインターレースしていくか、これは新しい言葉遣いだと思うのですけれども、インターレースというのはよりつなぎ合わせていくかという意味合いがあると思います。
 本日皆様方の事例を聞いていたときに思ったのですけれども、ユネスコスクールの新しい取組として、個人課題と地域課題と世界課題を連携しながら考えいくというのが、池田高等学校でも、あと、大牟田教育委員会の事例でも、あとは、奈良教育大学のほうでも事例として挙がってきていたと思いますので、多分日本の強みとして紹介できる、また、方向性として強調できるのは、個人課題、地域課題、世界課題を連携して取り組むメカニズムとしてユネスコスクールや、先ほど萱島先生がおっしゃったようなスーパーグローバルハイスクールがあると。スーパーグローバルハイスクールは既にやはり地域課題をどういうふうに世界課題と地球規模課題と連携して、自分たちのリソースで解決していくかというのを高校生が考えようという取組でしたので、既にそういう方向に進んでいく、それをどういうふうに汎用性を高めていくかというような取組のプロセスを考えていくというのが一つの強みになるのではないかなと思いました。
 フューチャーズ・オブ・エデュケーションの報告書の骨組みというのですか、枠組みが少しずつ分かってきましたので、ちょっと次回に時間がありましたらそちらのほうも紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   山口先生、ありがとうございました。
 まだ御意見あるかと思いますが、それでは、もしないようでしたら、じゃあ、秋永先生、一言お願いいたします。
【秋永委員】   よろしいでしょうか。国内での地域計画の柱だてをしております。御発表もいろいろありがとうございました。
 1点だけ、この中の連携ということなのですけれども、今山口先生も、他の先生方もおっしゃったように、連携をすることが目的にならないように、ぜひまとめていただきたいなというふうに思っておりまして、なぜこの連携を促進したいかというと、例えば、教育活動を通して地域の課題を解決することが、例えば、一つのゴールになるのではないか。最初に各地域の先生方からも発表があったように、子供たちの教育が自分の身近な課題を発見するところから始まっていって、その教育活動を通して解決策を見つけていく道のりがあると。それを実現するときに、学校だけではなし得ない、いろいろな外のパートナーの協力を得てやっていく、そこで連携が必要だという順序なんじゃないかなと思っているところです。
 あとは、今山口先生もおっしゃった、地域と世界の課題のつながりということですが、サステイナビリティ学の研究の分野でも、この方法をトランスローカルアプローチというふうに名づけて研究をしている先生が最近出てきておりまして、一見課題背景の異なるような、例えば、秋田とアフリカ地域というのが、トランスローカルアプローチといって、例えば、秋田とアフリカのように、一見背景課題の異なる地域の学生が、今は渡航できないかもしれないですけれども、オンラインと、そういった学び合って、自分たちの地域課題の似ている点とか、もしくは、違う点を参照し合いながら学び合うという手法が、今研究、アカデミアと学校の間で始まっているようなので、そういったところも連携の目的としては一つ参考になるのかなと思っております。
 最後に1点なのですけれども、計画と言うからには、こういった活動を実現していくために、資金に関しても何かしらぜひ言及いただきたく、こういった活動を助成する、教育活動を助成する資金的な仕組み、助成金等の計画もぜひ盛り込んでいただきたいところです。
 以上になります。ありがとうございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、まだあるかもしれないのですか、ちょうどもう時間も、いつもすみません、私の議事進行が悪くて時間が押してしまいますが、予定の時間が迫っておりますので、それでは、この議論につきましては、事務局のほうでまた今日もいろいろな御意見いただきましたので、まとめていただきまして、こちらについてもまた次回の教育小委員会において議論いただくことにさせていただきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

<議題3.その他>
【杉村委員長】   それでは、最後、その他のところでございますが、事務局のほうからその他としてございますでしょうか。よろしくお願いをいたします。
【石田国際戦略企画官】   事務局でございます。
 最後に1点だけ簡単に御報告をさせていただきます。資料3、47ページに、ユネスコ・グローバル教育会合、臨時会合についての御報告ということで資料をつけさせていただいております。ユネスコ・グローバル教育会合、これはもともとSDG4の進捗を議論するというような、教育大臣クラスの会合なのですけれども、コロナ禍の状況が厳しくなっているということもありまして、今回臨時に開催するということで、ユネスコのほうから主導して、こういった会合が開かれました。10月20日、それから10月22日に、それぞれテクニカル会合とハイレベル会合が行われておりまして、吉田委員にも積極的に議長として参画をいただいております。
 会合では、ここに書いてありますような五つの課題、論点について議論がなされ、文部科学省からも丸山文部科学審議官が出席し、教育の継続性、学びの保障のためには各国の協働が不可欠だということ、あるいは、感染症対策と子供たちの学びを両立することの重要性、文部科学省が行っている支援等について紹介をしたところでございます。
 各国首脳クラスも入っての最後は議論になりましたけれども、成果文書として、2020GEM宣言が取りまとめられておりまして、これは別添でつけておりますけれども、内容としては、教育に対する公的支出、これを維持、確保することに原則合意し、安全な学校再開、最前線にある教師への支援、若者や成人への職業上の技能訓練、対面学習の補完ということで、デジタルディバイドを減らして、ICTを利用した学習を実現するといったことが盛り込まれたと、こういった宣言が取りまとめられたところでございます。
 以上、簡単ではございますけれども、この間の動きとして御報告をさせていただきます。以上です。
【杉村委員長】   石田企画官、ありがとうございました。
 ただいまの御報告について何か、ちょうど、日比谷先生、手を挙げていただいています。ありがとうございます。
【日比谷委員】   ありがとうございます。今の御報告の最後のところで出ました最前線への教師への支援ということ、非常に重要だと思っております。4月以降、大学はもちろんなのですが、小・中・高校の現場も大変皆様御苦労が多いと思うのですが、まだこれから15か月をかけてというお話ではありますけれども、具体的に教員への支援としてどのようなことが考えられているか、お分かりになる範囲で教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】   御質問ありがとうございます。事務局でございますけれども、すみませんが、資料の50ページのほうに、英語で恐縮でございますけれども、実際のコミットメントについて幾つか指摘が書かれております。その中の二つ目のポツのところに、教師への支援ということが記載されておりますけれども、具体的な施策というよりは、一般的な対応としてこういうことが重要だということがまとめられているのですけれども、当然ながら安全を確保することでありますとか、あるいは、コロナに対しての教師側の知識とか、そういったことをきちんと得られるような、そういったトレーニングを行うといったようなことでありますとか、それから、実際にICTを使った教育など、遠隔教育などが行われましたので、そういったものについての必要性とか、あるいは、使い方についてのトレーニングを行うといったようなことが、全部ではございませんけれども、そういったことが挙げられているというものでございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 他には御質問等よろしゅうございましょうか。
 吉田先生もこの会議に御参加になってくださったと伺っております。もし何か補足があればと思いますが、よろしいでしょうか。お願いいたします。
【吉田委員】   今企画官に説明していただいた点、そのとおりです。一番頭に浮かぶのは、先生がどういう苦労をされているのか、もうちょっとそこのところをしっかり皆さん理解してくださいと、それが出発点になっています。先生の役割というのは、通常の対面式な教育の機会というものを見据えながら、もしも戻ってきたときに、子供たちにどういうケアをしたらいいのか、そういう心のケア、あるいは、社会状況面における教育というものをどう捉えたらいいのかとか、大分文脈がこれまでと違ってくるわけなので、そういう追加的な職務に対して適切な支援をすると。それから、先ほどありましたように、オンラインを使うといっても、我々が想像するような最先端的なデジタルオンラインだけではなくて、ローテク、ノーテク、いろいろな意味でのテクノロジーを使った遠隔教育の指導をちゃんとできるように、そういう必要な支援をすると。そして、そういった先生のディーセント・ワークが維持できるようなサポートも必要となる、そういうような意識を持って作ったセクションの文書となっています。
 以上です。
【杉村委員長】   吉田先生もありがとうございました。
 その他、じゃあ、御質問等よろしゅうございましょうか。ちょうど予定していた時間になってまいりました。よろしいでしょうか。もし、それでは、ないようでしたら、じゃあ、このその他として今取り上げていただいたユネスコ・グローバル教育会合、臨時会合についてもここで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、最後に、事務局から今後の予定についてお知らせいただければと思います。
【堀尾国際統括官補佐】   本日はお忙しいところありがとうございました。今後の予定としまして、附属資料1-3、ページ番号60ページからですけれども、全国大会・地方ブロック大会、ユネスコスクールの会議がございますので、もしお時間、御関心ございましたらお申し込みをいただければと思います。
 また、次回の教育小委員会の日程につきましては、改めて日程調整をさせていただいた上で御案内させていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、他にないようでございましたら、これで本日の教育小委員会は閉会とさせていただきたく思います。本日も御多忙の中、御出席賜りまして、本当にありがとうございました。また今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


―― 了 ――

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