日本ユネスコ国内委員会 第141回教育小委員会 議事録

1. 日時

令和2年6月18日(木曜日)14時00分~16時00分

2. 場所

オンライン開催

3. 出席者

(委員)
秋永委員、漆委員、加治佐委員、萱島委員、古賀委員、杉村委員、野村委員、東川委員、日比谷委員、見上委員、山口委員、吉田委員〔敬称略〕

(事務局)
大山真未日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)
亀岡雄日本ユネスコ国内委員会副事務総長(文部科学省文部科学戦略官)
大杉住子日本ユネスコ国内委員会事務局次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)
堀尾多香日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐(文部科学省国際統括官付国際統括官補佐)
植村正樹日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐(文部科学省国際統括官付国際統括官補佐)
その他関係官

4. 議事

【杉村委員長】   皆様、よろしいでしょうか。それでは、ただいまより日本ユネスコ国内委員会第141回教育小委員会の会議を始めたいと思います。本日は、御多忙中のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 定刻になりましたので、事務局の方から、まずは定足数の確認をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】   本日は出席の委員が12名で、委員の過半数ですので、定足数を満たしています。
 なお、本日は報道関係者の取材を受け付けておりまして、教育新聞社と朝日新聞社の方が取材されますので、あらかじめお知らせいたします。
 また、オンライン開催ということで、一般からの傍聴は御遠慮いただいておりますが、今回の議題に関係の深い機関として、外務省及び環境省、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟の方々には、オブザーバーとして傍聴いただいております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 それでは、ただいまから、改めまして、第141回教育小委員会を開催いたします。
 本日の議事進行をいたします、教育小委員会委員長の杉村と申します。至りませんが、本日も、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事のうち、議題7以降に関しましては非公開とさせていただきます。非公開の部分を除きまして、御発言は議事録として、そのままホームページにて公開させていただきますので、あらかじめ御承知おきください。
 それでは、議事に先立ちまして、委員及び事務局の異動がありましたので、まずは事務局から御報告をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】   配付資料の参考1を御覧ください。
 昨年12月1日付で、漆紫穂子委員、加治佐哲也委員、長谷川洋委員、見上一幸委員に御就任いただいております。なお、長谷川委員は本日ご欠席です。
 続きまして、事務局の異動を御報告いたします。本年4月1日で、亀岡雄文部科学戦略官/日本ユネスコ国内委員会副事務総長と堀尾多香国際統括官補佐/日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐と仙台文子ユネスコ第二係長が着任しました。また、今年度よりユネスコ振興推進係長の福本倫も担当に加わっております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、次に大山国際統括官から一言御挨拶を頂戴したいと思います。大山国際統括官、どうぞよろしくお願いいたします。
【大山国際統括官】   はい。杉村委員長、どうもありがとうございます。
 皆様、こんにちは。改めまして、国際統括官の大山でございます。本日、大変お忙しいところ御参加をありがとうございます。本日の教育小委員会の開催に際しまして、一言御挨拶を申し上げます。
 まずは、重ねて、本日、大変お忙しいところ、また、コロナウイルスの状況の中での御参加、本当にありがとうございます。また、ユネスコの活動に関しまして、日頃より御指導・御協力を頂いておりますこと、心より感謝申し上げたいと存じます。
 まず、最近のユネスコの活動についてでございますが、本日の議事の中でも事務局から詳細に説明させていただきたいと存じますが、ユネスコにおいては、様々な新型コロナウイルスへの対応の取組がなされております。教育、科学、文化の分野で、テレビ会議の形で、大臣級のハイレベル会合が開催されるなど、コロナ禍において、国際機関としてのリーダーシップを発揮して、このような緊急事態において、人の心の中に平和のとりでを築くための取組が進められ、試みられているところでございます。
 特に教育分野におきましては、新型コロナウイルス感染症の流行と教育に関する特別会合が、3月以降、計3回、開催をされておりまして、第1回には、日本からも萩生田文部科学大臣が出席をし、子供たちが学び成長することのできる環境づくりに全力を尽くすという決意を表明いたしております。
 また、休校期間中の子供たちの学びの保障を目的に、ユネスコにおいても、他の国際機関や民間企業等との連携を図るため、世界教育連合グローバル・エデュケーション・コーリションの設立を主導し、またユニセフや世界銀行などと合同で学校再開のガイドラインを策定するなど、グローバルな教育政策をリードするというユネスコ本来の役割を果たしてきていると理解しております。
 今後、このコロナ禍、あるいはコロナ後の世界において、どのように貢献ができるか、ユネスコの役割、そして日本の役割は何かといったことをしっかりと考えながら、国内外でのユネスコ活動の推進に取り組みますとともに、我が国の取組についても、引き続き国際的にも発信していければというふうに考えております。
 この教育分野は、特に日本の強みが生かせるところだとも思っております。委員の先生方におかれましては、一層の引き続きの御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきたいと存じます。
 本日も、是非忌憚のない御議論、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
【杉村委員長】   大山国際統括官、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の会議の配付資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
【植村国際統括官補佐】   本日の資料は電子媒体でお送りしているものです。議題1から7に合わせて、それぞれ資料1から7まで用意しております。また、関連資料として、附属資料1から11、参考1から6を用意しております。
 なお、本日、一部資料番号、記載に誤りがございまして、訂正する部分がございます資料2-2というものがございますが、これは議題ごとに附属資料7-1から7-9と、それぞれ参照ということで記載させていただいておりますが、正しい資料番号は、附属資料8-1から、それぞれ8-9まででございます。お詫びの上、訂正させていただきます。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。

<議題1 新型コロナウイルスの流行に係るユネスコの動きと、我が国の対応について(報告)>
<議題2 第209回ユネスコ執行委員会事業委員会(教育分野)への対応について(討議)>
<議題3 建議のフォローアップと今後の取組の在り方について(報告)>
【杉村委員長】   それでは、ここから議事に移らせていただきます。
 議題1「新型コロナウイルスの流行に係るユネスコの動きと、我が国の対応について」、それから議題2「第209回ユネスコ執行委員会事業委員会(教育分野)への対応について」、更に議題3「建議のフォローアップと今後の取組の在り方について」の3つの議題につきましては、初めに事務局からまとめて報告、御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉国際戦略企画官】   それでは、少し駆け足になりますけれども、順次、御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料の1ですけれども、新型コロナウイルスの流行に係るユネスコの動きと、我が国の対応についてということで、こうしたコロナ危機の最中であるからこそ、しっかりSDGsの実現に向けた歩みを止めてはならないということで、ユネスコの方でも様々な動きがあるところでございます。
 まず、1ページ目ですけれども、1ポツのところ、残念ながら大きな会議が幾つか延期となってございます。執行委員会、3月に予定されていましたものが、6月29日か7月10日ということで延期が決まっております。これ、各国からの渡航はなかなか難しい状態でございますので、代表部の方での対応プラス、オンラインでの傍聴は少し可能になるかなというようなところでございます。
 その他、ドイツで予定されておりましたESDに関するユネスコ世界会議も来年の5月17日から19日に延期、その他会議の延期ということが決まっているところでございます。
 一方で、オンラインベースでの会合は、かなり活発に、毎週のように開催されているところでございます。ユネスコの方では、各国の休校状況の調査をいち早く公表するとともに、1ページ目の一番下、教育に関するハイレベル会合を先駆けて実施しております。国内委員会としても、大山国際統括官が出席をさせていただき、ユネスコ、それから関係機関との連携において、子供たちの健康・安全と学習の機会、双方の確保ということをしっかり尽力いただきたいと発言したところでございます。
 また、続きまして、特別会合というものがスタートいたしまして、こちらには文科省から萩生田大臣がオンラインで出席をさせていただき、日本が行っている学習支援のポータルサイトの取組等々について御紹介をさせていただいたところでございます。
 それから、実務者レベルのウェビナーは、週1回のペースで開催されているところでございます。また、ユネスコ、ユニセフ、世銀等の連携、学校再開に向けたガイドラインを各国の参考として公表しております。これについては、今回附属資料として添付させていただいております。
 それから、民間企業ですね。マイクロソフト等の民間企業も巻き込んだ教育支援のための枠組みとして、国際教育連合というものが設立されているところでございます。また、ステアリング・コミッティ、吉田先生にも御参画いただいておりますけれども、こちらもバーチャル会合を開催したり、ジャンニーニーADGからの各種情報提供の機会が提供されたり、それから教育の未来に関してもバーチャル会合が開催されたりしているところでございます。
 これにつきましては、資料の後ろの方附属資料5の最後に、日本からも青柳元文化庁長官からの、このコロナ危機における教育の未来の在り方ということで、メッセージを寄せさせていただいているところでございます。
 戻りまして、3ページ、科学の関係でも、オープンサイエンスや地域会合、それから文化の関係も大臣級のハイレベル会合、それから各種文化施設の開館状況、経営状況の調査なども行われているところでございます。
 それから、4ページ目の下の部分、国内委員会としての情報会合も開催されておりまして、こちらは亀岡文部科学戦略官が出席し、発信を行っているところでございます。
 また、分野別の情報提供の機会、それから執行委員会としても特別会合ということで、ほぼ、執行委員会の次期開催の方法についての議論で終わってしまったようなところがございますけれども、尾池大使からは、このような最中での教育、科学での連携の重要性ということを発信させていただいております。
 また、5ページ目、国内における対応ということで、各分野において、また、ACCU、日ユ協等においても、民間レベルの様々な取組が展開されているところでございます。
 それから、7ページ目が執行委員会の対応ということで、先ほど申し上げましたように、6月29日から7月10日の開催ということで、主に代表部ベースでの対応ということになろうかと思います。
 8ページ目、9ページ目に、主な議題についてピックアップをさせていただいております。議題全体については附属資料の方を御覧いただければと思います。
 おめくりいただきますと、10ページ目、11ページ目、12ページ目、13ページ目、教育分野の主要議題の対応の方向性を少し記させていただいております。
 議題としましては、かなり多岐にわたりますけれども、本日、特に御着目いただいて、御意見を賜れればというのは、まず1つ目は、10ページ目上の「教育の未来」ですね。先ほど特別会合、コロナ危機対応ということもされたということでございますけれども、基本的には、各国、コロナ危機があっても、もともと目指していた教育の改革の方向性をしっかり加速して実現していく、遠隔教育等を含めということで、そういうことが求められているのであろうという見解でございますけれども、正にポストコロナということの中で、「教育の未来」でどういった議論を展開していくべきか、というようなところ。
 それから、10ページ目の下でございますけれども、SDG4のグローバルレベル、地域レベルでの調整ということで、これまでニューヨークのハイレベル・ポリシー・フォーラムの機会での議論、あるいはステアリング・コミッティでの議論、あるいは11ページ目にありますように、日本も支援をさせていただいておりますけれども、アジア地域での大臣級会合ということで、SDG4の実現に向けた取組を加速していくための方向性というようなこと、これも御議論いただければというふうに思います。
 その他、ユース、成人の識字戦略、技術・職業教育、それから教育における平等とインクルージョンに関する評価、それから、次の11ページ目の一番下が、ユネスコ教育局の未来評価ということで、こちらも特に御意見を頂ければということでございます。
 評価の視点として、ユネスコが比較優位を持ち合わせている点として、教育の幅広い分野をカバーするというようなこと、あるいは教育におけるスタンダードを設定できる唯一の機関であるというようなこと、あるいは国内委員会等との連携ということが挙げられておりますけれども、一方で、SDG4の実現に向けた推進力、あるいはテーマの重点化というようなことについては、かなりいろんな点が指摘されているところでございます。テーマの重点化、バランス、あるいはそのプロジェクトのアイデアの実験室的機能を強化するということで、モデル的なものをしっかりやっていくというような、そういった点含めて、日本として、ユネスコの教育局にどういった役割を期待していくのかといった点、こういった点も、本日、是非御意見いただければと思います。
 それから、その他、伝統ある国際教育局、IBEですけれども、これも他の国に機能を少し移転するということで、様々な議論がなされております。
 その他の関係する勧告コンサルテーションの準備という、こういったことも議題にのぼっているところでございます。
 執行委員会、一番大きな議題は、14ページ目にございます、中期戦略、予算に関するアンケート、C/4、C/5に関するアンケートということでございまして、教育に関しましては、コロナ危機を受けて、しっかりと教育者支援を行っていく、能力構築を行っていくということ、また、ユネスコがSDG4のリーディング・エージェンシーとしての役割をしっかり果たせるようにというようなこと、また、ESDの継続的な充実というようなこと、それから、一番下にアフリカ、ジェンダーなどのトピックもございますけれども、人材育成、あるいは日本が強みを発揮できるような理数科支援というようなことも含めて、しっかりと盛り込むように意見を出させていただいているところでございます。
 続きまして、最後、資料3になります。こちらは先日おまとめいただいた建議のフォローアップ状況ということでございまして、総会でも既に御紹介をさせていただいているものでございます。その後の状況を少し反映させていただいております。
 特に15ページ目のSDG4、あるいはESDの実現に向けた国際動向ということで、本日、SDGs、あるいはESDに関する、今後の進捗、後ほどの議論でまた御紹介させていただきますけれども、今後もこのフォローアップ状況を順次出していきたいというふうに思います。
 それから、御参考までに、これまでの国会の状況ですけれども、3月6日に、日本ユネスコ国内委員会委員でもある大串委員の方から、ESDに関する国会における御質問が、また、3月16日には、猪口委員から、幅広に、海洋教育の10年なども含めた御質問をいただき、また、コロナ後の教育の取組というようなことも御質問をいただいているところでございます。
 それから、19ページ目、ユネスコ学習都市ということも、少しフォローアップの一環として、御紹介をさせていただきます。
 文科省内では、総合教育政策局と連携しながら、公募・選定を行っておりますけれども、これまで国内委員会における審査ということが少し不明確になっておりましたので、この機会に教育小委員会で申請案件を審査するということを、この場で確認をさせていただければということでございます。
 ということで、少し多岐にわたりますけれども、これらの資料を踏まえて、お気づきの点などを幅広に御意見頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、ただいま議題1から3の御報告、説明を受けまして、何か先生方から御意見、あるいは御質問等ございますでしょうか。なお、指名の方は事務局からさせていただくような段取りにさせていただいています。
【大杉国際戦略企画官】   野村委員、お願いいたします。
【野村委員】   野村です。よろしくお願いします。
 これの2と3、両方に係るところかもしれないのですが、コロナの影響、ちょっと中長期的な話で、いきなり恐縮なのですが、コロナが教育にどのような影響を与えたかというようなことを、中長期的に、ぜひ各国比較、それから経年調査で、学術的な調査研究をすることを支援していくべきではないかなというふうに思っています。
 例えばですけれども、教育経済学の分野では、長期の休校を経験した子供たちの、その後の社会人になってからの年収を調べると、20代のうちは、そうでない子供に比べて年収が低くて、生涯年収が落ちるというような、そういうデータもあるようなのですけれども、そういう一例なのですが、今、目の前だけじゃなくて、中長期的に、その子供たちにどんな影響を与えたかというようなことを、そのデータを蓄積していくということの支援をしていくといいのではないか、それが今後の教育政策のエビデンスとなっていくのではないかというふうに思っております。というのが、1つ意見でございます。
 もう1つ、これは質問ですけれども、3ページ目の一番初めの行なのですが、3ページ目の最初の行で、コネクティビティ、教員、ジェンダーをコロナ禍における教育の主要な取組として位置づけたとあるのですが、ちょっとこれについて。コネクティビティ、教員は大体分かるのですが、ジェンダーもその主要な取組、3つのうちの1つにしたという、この内容について、もう少し教えていただけないでしょうか。
【大杉国際戦略企画官】   はい。コロナ禍の状況の中で、やはり影響を受けやすいということで、ジェンダーをテーマに挙げられているということになると思います。
 もともとユネスコの方でも、マララさんと協力して、マララ基金ということで基礎教育の充実、あるいは経済的なエンパワーメントということで、職業、就業支援というようなことを行っている、そういった取組を、しっかりこのコロナ禍においても継続してやっていかなければいけないというような、そういったようなメッセージが出されたというふうに受けとめております。
【杉村委員長】   ありがとうございました。他にいかがでございましょうか。
【大杉国際戦略企画官】   野村委員。
【野村委員】   すいません。今のことに関連して、ちょっとよろしいですか。
【杉村委員長】   はい。お願いします。
【野村委員】   今お答えいただいたことに関連してなのですが、やはり国連の事務総長もおっしゃっているように、このコロナというのが、非常に女性に対して大きなインパクトをもたらしています。やはり改めてジェンダーの視点でポストコロナの社会の再構築を考えていくということが大事かと思います。
 それは特に教育においても同じで、例えば、全ての世帯形態の中で、女性の方が相対的貧困率が高くなっております。非正規の単身世帯とか、母子家庭、父子家庭で見ても、母子家庭の方が貧困率が高いというように、全ての世帯形態において、男女で比較すると、女性の方が相対的貧困率が高い。そうすると、やはり子供に対しての教育への影響というものも大きくなるというふうに考えておりますので、改めて危機下で、こういうジェンダーの問題というのが今あらわになっているところですので、これを捉えて、その課題を捉えて、それを解消していくという方向に、是非持っていっていただきたいと思います。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 他に御意見や御質問、いかがでございましょうか。
【大杉国際戦略企画官】   吉田委員、お願いします。
【杉村委員長】   お願いします。
【吉田委員】   ありがとうございます。ここまで出てきた議題と、それから今の野村委員の御指摘ともつながるのですが、今般のCOVID-19の対応ということで、ユネスコは非常に早くユニセフや世銀とCoalitionを立ち上げたり、民間を巻き込んだ対応をする等、こういう大きな動きは確かに出ているのですけれども、一方で、簡潔に言うと、ユネスコのファイナンス分野における議論での立ち位置を、どうしたらもっと強化できるか。強化できるかというのは、ユネスコが持っている知見として、本当に女性を含め、社会的な弱者を更に取り残されるということを防ぐような取組、しかも、それが国際社会のCOVID-19に対する短期的・短絡的な対応に陥りやすいものを、どのように具体的に学校レベル、あるいは学校を中心とした教育の具体的な場に向けて、施策を動員できるように助けていくのか、そこについてのファイナンスをすると、そういう大きなレベルでの話は進んでいるのですけれども、各論に入ったところでは具体性に欠け、結局、主に途上国で取り残されている、既に社会的な弱者が、今般のCOVID-19で、更に弱さを露呈していると、こういう指摘をするにとどまっているように思えます。
 せっかく、先般の私が共同議長をしているステアリング・コミッティでも、国連教育担当特使のゴードン・ブラウンさんが挨拶をしてくれているので、そういうことを、もっと大きな政治的なコミットメントの流れにつなげていき、かつ、上からのそういう掛け声をもう少し現場での具体的なアクションにつなげる上でのユネスコの動き、お金をつけるというところで大きな声を出すのはもちろん重要ですけれども、具体的な動きにつなげるところでのユネスコの動きというのを、ぜひ強化してもらいたい。そのあたり、日本からそういう部分を言うというのは非常に意義がある。つまり日本は実績に基づいて具体的な案を出しやすい位置にいるであろうということから考えても、日本の国内委員会からも強い声で発するというのは意義があると思います。
 以上です。
【杉村委員長】   吉田先生、ありがとうございました。
【大杉国際戦略企画官】   山口委員。
【山口委員】   ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 先ほどの執行委員会の主要議題の教育分野の部分で、Futures of Education、「教育の未来」という項目がありましたが、私は、国際アドバイザリー委員として、「教育の未来」の話合いに参画させていただいております。
 実は、2回目の国際アドバイザリーが、明日開催されることになっておりまして、新しい資料が届いたのですが、その中で、今回のパンデミックの世界における教育の在り方という議題として、9つのアイデアというものが提示されております。内容につきましては、明日議論されるものですが、簡単に申し上げますと、以下の9点になります。まず、一点目が、教育を公共グッズ、コモングッズとして評価していく重要性です。これは健康と安全を確保する意味で不平等があってはならないという観点に立っています。
 2点目が、教育の権利の定義を明確化して、これを拡大していこうという点です。これは、遠隔教育が導入されるようになって、やはりインターネットのアクセス、機材やインフラの有無を含めた教育の提供における不平等の拡大している点の現状分析とそれをどのように是正していくかについてです。
 3点目は、パンデミックのクライシスの中での、先生の位置づけとその重要性についてです。この危機に対応できるようなティーチャー・エデュケーション(教師教育)、及び教師の間での協働の在り方はどういうものかという点です。
 4点目が、ユース(若者)、ユースジェネレーションの声をどの様に教育の権利に入れていくかという点になっています。
 5点目は、学校におけるソーシャル・スペースに関する項目です。今、ソーシャル・ディスタンスの在り方が議論されていますが、各学びの中においてどのようにソーシャル・スペースを新しく確立していくかという点です。
 6点目が、フリー・オープンソースのテクノロジーをどのように各国の教育現場に取り入れていくかという点です。また不平等が拡大しないようにしていくにはどうしたらよいかが焦点です。
 7点目は、カリキュラムの中に、サイエンティフィック、要するに、科学的な側面をどの様に入れていくか。COVIDの影響で、様々なデータ分析が重要になっている中で、カリキュラムにどのように活用していくのかという点です。
 8点目が、教育の財務に関してで、各国の予算がパンデミック対応に集中する中で、国内の予算だけでなく、国際的なファンドをどのおように有効に教育に活用していくかという点です。
 最後は、やはりグローバル・ソリダリティということで、今のパンデミックの影響により拡大している不平等を是正していくために、今後、国際協調の在り方をどのように考えていくべきかという、この9つの観点から、明日、議論が行われることになっております。議論のサマリーを、こちらから送らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   山口先生、ありがとうございました。
 漆先生、今、手を挙げられましたでしょうか。
【漆委員】   山口先生のお話を伺いまして、現場から、ちょっと参考までということで。
 このたび、コロナの影響で、本校、4月13日から完全オンラインで、Zoom等を利用しまして、インタラクティブな授業をやっているのですが、その後、これのフィードバックのシートをつくりまして、二度ほどアンケートをとっております。それをお伝えしておこうかなと思います。
 まず、オンライン、やはりいい点、悪い点ありまして、到達度テストをいたしましたところ、本校は中高一貫校なのですが、高学年の成績上位者は、オンラインで伸び、低学年で到達度の低い生徒は学習が遅れ、成績が二極化する傾向が見られました。
良いところを聞きますと、板書や学習指示などログが残ると復習がしやすいということがあげられます。しかし、やはり限界というのもありますので、今後、これを生かして、ハイブリッドな教育を進めていく可能性というのがあるのではないかなと感じております。
 また一方で、こういう緊急時には、地域や家庭の経済力の差により、教育格差が広がっていく危機感を強く感じました。
 つながる環境、デバイス、指導者の公的補助が必要と考えます。その際、注意することは、アプリの時代になっても電子黒板を全国配備しようとしたように、設備さえ整えればいいという議論にならないようにすることです。公平性にこだわりすぎるあまり、費用がかかって配備に時差が生じ、結果は使えないというようなことにならないような実効性のある政策が必要です。ユネスコのネットワークで各国との情報交換、ベストプラクティスの共有というようなことができるのではないかなというふうに感じまして、現場からの御報告をさせていただきました。
【杉村委員長】   ありがとうございます。漆先生。
 他にも御意見ございますでしょうか。
【大杉国際戦略企画官】   萱島委員、お願いします。
【杉村委員長】   はい。ありがとうございます。
【萱島委員】   ありがとうございます。特に途上国に対する教育支援を行っている立場から、2点、触れさせていただきたいと思います。
 1点目は、先ほども何名かの先生方がお話しされていましたように、COVIDは病気としては豊かな国も貧しい国もリスクに陥れたわけですけれども、実際には、そのインパクトというのは、貧しい人たち、貧しい国に偏って起こっている。それは、例えば、遠隔教育のツールを持たない国や人々、若しくは遠隔教育が効果を十分に上げることができない、今、お話にあったような、例えば、成績が下位の子供たちというようなところがありますので、例えば、遠隔の教育、若しくは、そういう環境をどういうふうに、より貧しい国や遅れている子供たちに整えていくかというのが、1つ重要な点だと思います。
 もう一つは、今回のことで非常に明らかになったのが、学校をどのように安全な場所につくっていくのか、若しくは学校を通じて、例えば、健康教育ですとか、衛生教育ですとかいったようなものを広げて、教育を通じて社会をどういうふうに変えていくのかということが非常に重要になったかなというふうに思っています。
 例えば、アフリカ等を見てみると、SDGの指標の中でも、教育環境、学校の環境が1つの指標にSDG4の中でもなっておりますけれども、低所得国では、まだ3分の1の学校がハンドウォッシングの施設、ファシリティを持っておりません。つまり手を洗う環境にないと、そこで衛生教育を伝えていくというのは大変難しいところでありますから、学校の環境が、そういうことが整うこととともに、学校がきちんと手を洗う施設を持ち、トイレを備え、衛生的な環境にあると、そういうところを学校を通じて衛生教育を普及していくということが非常に重要かと思います。
 その2点目の衛生教育、若しくは安全な学校を整えるという意味では、私は、日本は非常に知見のある国じゃないかと思っております。日本がこれだけコロナの影響が比較的軽く済んだ、まだ、これから第2波、第3波があるかもしれないですけれども、やっぱり社会全体が衛生的な社会であるとかというようなことが盛んに言われていて、それは日本の教育が果たしてきた役割が大きいのではないかと思っておりまして、ユネスコの中でも、学校の再開のためのガイドラインの策定をしたりというようなことがあって、その中で健康の問題、安全な学校の問題というようなことも取り入れられているので、ユネスコでも様々な取組が行われていると思いますけれども、日本からも発信していけることは多いのではないかなと思います。是非、こういったことも今後のユネスコの取組、若しくは日本からユネスコを通じての発信というところでも協調していけるといいのではないかなと思うところです。よろしくお願いします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 今、本当に多方面から、しかも具体的な、未来志向の建設的な御意見を頂きまして、ありがとうございました。いずれのご意見も、次の議題4のSDGsの実現に向けた活動のところともつながるかと思いますので、もしよろしければ、ここでこの議題1、2、3のところをまとめさせていただきます。
 なお、先ほど大杉様の方から御説明ありましたユネスコ学習都市の審査について、今後、ユネスコ国内委員会教育小委員会の方で審議というお話がございましたが、この点につきましては、委員の先生方、御了承ということでよろしゅうございましょうか。ちょっと確認をしておきたいと思いますけれども。皆様、今、画面上、うなずいてくださっていますが。特に御異論ないようでしたら、事務局の方も、この確認の取り方でよいでしょうか。
【大杉国際戦略企画官】   ありがとうございます。

<議題4 ユネスコ加盟70周年を契機とした今後のユネスコ活動及びSDGs実現に向けた活動の充実について(討議)>
【杉村委員長】   それでは、続きまして、議題4「ユネスコ加盟70周年を契機とした今後のユネスコ活動の充実について」ということと、「SDGsの実現に向けた活動の充実について」ということで御討議いただきたいと思います。
 まず、事務局から、説明のほど、お願いいたします。
【大杉国際戦略企画官】   失礼いたします。資料4になります。
 来年、ユネスコ加盟70周年ということで、これを契機に、昨年も国内委員会の方で建議をおまとめいただきましたけれども、SDGsの実現、ユネスコ活動の活性化ということについて、70周年を契機に、また充実を図っていきたいということで、9月の総会に向けて、各小委員会で御議論いただき、また、総会で全体的な御議論をいただきたいというふうに思っております。
 資料4でございますけれども、これは過去の周年行事の例でございまして、50周年の際には、皇太子同妃両殿下をお迎えして記念式典というものを開催させていただいたり、記念切手も発行されたりというところでございますけれども、このような形でやるのは、恐らく100周年というようなことになろうかなと思いまして、70周年というところで、どのような形で何をしていくかということでございます。
 次頁には60周年の実績がございますけれども、60周年の際には、日本ユネスコ運動全国大会において、松浦事務局長等も基調講演などをしていただいたり、ユネスコからも少し来ていただいたりというようなことを実施させていただいたということでございます。
 先日の、文化・コミュニケーション小委員会においては、やはり70周年ということを考えるに当たって、ポストコロナの時代のユネスコの役割ということ、また、本日もオンライン開催ですけれども、必ずしもみんな集まって行事をやるというよりは、オンラインで、若者を巻き込んで、何かやれるというようなことがあるのではないかというようなこと、あとは、やはり国内の教育ということとしっかり連携して考えていくということ、あるいはESDとSDGsの関係性、それから文化というものの意義、それから他の国際機関との連携、民間企業との連携、AIに関する議論、それから日本のプレゼンス、国内だけで盛り上がるのではなくて、対外的にもしっかり発信していけるといいのではないかということでございます。
 御用意させていただいている資料はこれだけでございまして、まだまだ、これからアイデア固めていく段階ですので、SDGs実現に向けて、ユネスコ活動、どのように活性化を図っていくのか、ぜひ幅広い御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   御説明ありがとうございました。
 それでは、これにつきましても、ぜひ忌憚なく御意見を頂ければと思います。
 いかがでございましょうか。特にすぐは、今、思いつかれませんでしょうか。どうでしょうか。
 見上先生、それこそ、逆指名させていただき申し訳ございませんが、前委員長としても、何かこういうことがというのがおありでしたら、お伺いできればと思いますが、いかがでございましょうか。
【見上委員】   どうも、今期から仲間に入れていただきました見上と申します。よろしくお願いいたします。
 皆さんお感じのとおり、今、新型コロナへの対応のため急激に授業のオンライン化が進んでいます。また学会等でも、会議等のオンライン化が進み、情報機器の性能やシステムのレベルもどんどん向上しています。現在のコロナの時代は、ユネスコスクールでもオンラインを活用した企画ができると、新たな啓発にもなるのかなと感じます。それが刺激になって、更に、特に学校などではインターネット環境を充実しようというような勢いがつくかもしれないなという感想を持ちました。 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございます。大変参考になります。ありがとうございます。
 今、手が挙がられました。
【大杉国際戦略企画官】   漆先生。
【杉村委員長】   お願いします。
【漆委員】   今の見上先生のお話を伺いまして、本当に学校現場でオンラインの活用が進みました。今回、オンラインのメリットを感じましたのが、距離を超えるという点です。例えば、私、土曜日にニース在住のシェフと食育講座というのをやったのですが、フランスが朝で、こちらが夕方で、生徒向けの講座ができるのですね。そういうように、このコロナ禍だからこそ生まれるものもあると思います。遠隔地からとか、普段だったらなかなかお願いできないようなお忙しい方々も、オンラインであれば教育現場に力を貸してくださることが可能というような事例がたくさん出てきているのですね。
 私どもの学校も、そうした学校現場からの発信をしようということで、このオンライン教育の事例をシェアする発表会をしまして、鈴木寛さんにコメンテーターをやっていただきました。ユネスコのネットワークでグローバルに大人と子供を結ぶような更なる工夫というのができるのではないかなという可能性を感じております。
 また一方で、ユネスコ、文化関係のイベントに関連しまして、規制緩和というのが必要だなという面を感じております。今、舞台とかエンターテインメントの業界が、窮地に追い込まれています。オンラインで、例えば、SHOWROOMというような、演者が演技をしまして、個人がそこに送金をするというような仕組みがあり、それを推進して個人が個人を応援しようとすると、送金法、法律に抵触し、グレーゾーンになってしまうそうです。文化を守りたいというような人たちと、演者さんが規制によってつながっていけないということがあるのですね。そうした問題というのも見つけて発信することで、文化・芸術を守っていくということにもつながっていくのではないかなということを感じております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
【大杉国際戦略企画官】   日比谷先生、お願いします。
【日比谷委員】   私もオンラインの活用ということを、是非、ここで考えた方がいいのではないかと思っているところですけれども、頂きました資料で、若者を巻き込んだオンラインでのコミュニティを形成することを検討してはどうかというのがございますけど、これは非常に重要なことだと思います。
 それと、たまたま私、オンラインで見たのですけれども、ある学校で、オーケストラのクラブで、当然、一緒に集まってはできないわけですけれども、オンラインで、それぞれ自宅にいて、楽器も持っていて、それは非常に予行演習をするのは大変なわけですけれども、気を合わせて演奏しましたというのを見たのですけれども、結構よくできているわけです。
 世界に、時差の問題とかありますけれども、これをきっかけに、いろいろなところの若い人が、言語を通じてつながるということは、もちろん、ディスカッションしたりとか、重要と思いますけど、今、漆先生からも芸術のお話がありましたが、言語を介さなくても、ある程度、つなぐことはできるという意味では、例えば、オーケストラは1つの例ですけれども、何か世界中の若者が一体感を持って取り組めるような、ユネスコですので、そこに文化の要素がかなり絡んでいるようなプロジェクトを立ち上げられるといいのではないかなと思っております。
 以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
【大杉国際戦略企画官】   それでは、東川委員。
【東川委員】   御無沙汰をしておりました。
 今のオンラインの御発言が続いておりますけれども、私も非常に賛同していまして、特に学校が休業になって、あれだけ、明日、学校休みだというと、手を挙げて、ふだん喜ぶ子供たちが、これだけ行けなくなると、早く学校に行きたいというような、意見がどんどん変わってきて、なくしたことによって気づくことがたくさん、この数か月、感じたのではないのかなというふうに思います。
 それで、青森県青森市の教育委員会の調べだったのですけれども、学校休業中に、小・中学校の61ぐらい、たしかあったかと思いますけれども、そこで、要は遠隔授業、オンラインを通じた遠隔授業を実施した中で、通常、不登校状態にある児童・生徒が、7割ぐらいの児童・生徒が遠隔授業には参加したというようなデータがあって、かつ、学校再開後も、不登校であった子供たち、児童・生徒が学校に通い始めたというところで、非常に、このコロナ禍が産んだ産物かなというふうには思っているのですけれども。
 非常に今の若者や児童・生徒、デジタルネイティブな若者が、このようなオンラインを通じて、当たり前になっている世界において、どんどんどんどん世界に発信をしていくというところで、先ほどの資料の24ページですか、若者を巻き込んでいくというようなところについては非常に賛同するところであります。
 以上でございます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
【大杉国際戦略企画官】   萱島委員が挙手いただいております。
【杉村委員長】   そうですね。あと、見上先生も、さっき手を挙げていらっしゃいましたでしょうか。では、萱島委員、先にお願いします。
【萱島委員】   短くコメントさせていただきます。
 いずれも先生方の御意見に賛成なのですけれども、本日の議題の中で、ユネスコスクールの活性化という資料が別に入っておりまして、ユネスコスクールが非常に裾野の広い学校もインボルブしているのだというのを改めて認識しました。もし可能であれば、一過性のこういうイベントといいますか、シンポジウムのようなものではなくて、こういう裾野のある、広がりのある、子供や学校を巻き込んだような、何か活動ができるといいのではないか。例えば、ユネスコスクールに加盟している学校を使ってというようなことを、ちょっとお話を聞いていて思います。
 あと、もう一つは、そのことが本当にいいかどうか分からないですが、来年はオリンピックが1年繰り延べで行われますので、パラリンピックも行われますので、もしかすると、文部科学省の方、大変お忙しくておられるかもしれず、重ね合わせるのは逆に難しいかもしれないのですけれども、こういうような特殊なイベントとうまく重ね合わせて何かやるというのも、新たなインパクトを生めるのかなと、ちょっと思います。よろしくお願いします。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、ちょうど今、ユネスコスクールの話が次の議題になっておりますので、そちらに行く前に見上先生の御意見を最後に伺ってから、次に行きます。
【大杉国際戦略企画官】   山口先生も挙手いただいております。
【杉村委員長】   そうですね。では、お二人お願いします。
【見上委員】   私の方から、手短によろしいですか。
 この2か月、大学での講義で感じたことなのですが、1つは、従来型の講義をオンラインでやると、受ける学生も教える教員も液晶画面を見続けることで、非常に目に負担がかかり、精神的な緊張が続くのですね。それで3コマ連続でやった先生が体を壊されたという話も聞きました。PCの画面に集中していると、ものすごく疲れるというのは学生からも意見が出ています。ですから、オンライン講義には新しい工夫が必要ではないかと思います。例えば、チャットなどの機能を活かしたり、短い休憩を挟んだり、グループ討論の機能を使ったり、新しく変えることで、もしかするとアクティブ・ラーニングなどの教育手法を、従来の対面だけの授業よりもやりやすくなるのではないかとも感じます。ユネスコスクールのESD活動の質の向上など、いろいろ議論する中に、ちょっと頭の隅に置いておくといいのかなというのを感じております。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 それでは、先ほど挙手いただきました山口先生、お願いいたします。
【山口委員】   ありがとうございます。私の方からも手短に、記念イベントをオンラインで開催することに関しての利点を1点述べさせていただきたいと思います。
 我々も大学において、いろいろ会合をオンラインで行っているのですが、その利点としましては、題材に興味のある人々が自由に参加できることが挙げられます。要するに、フィジカリーにその場所にいなくてはいけないという制約がありません。例えば、ユネスコと国連大学が共同で開催した3月の国際学会のグループパネルでは、通常、米国での開催に参加できる専門家または学生は限られているところ、今回は、米国は早朝8時、日本は夜の21時であったにもかかわらず、各国から200名以上の参加がありました。ですので、オンライン開催を活用してイベントを企画できますと、ユネスコスクールや他のユースの参加を活性化できるかと思います。また、計画段階から、子供たちやユースの参加を促す仕組みを構築して、幅広い参加者を募り、記念イベントを開催するのも一案ではないかなと思っています。ありがとうございます。
【杉村委員長】   本当にありがとうございました。未来志向の良い意見をたくさん頂いております。
【大杉国際戦略企画官】   秋永委員が挙手いただいております。
【杉村委員長】   はい。お願いします。
【秋永委員】   1点だけ、お願いいたします。秋永と申します。
 先ほどから皆さんの御意見、賛同するところです。
 オンラインは確かに私もやりまして、日本の方で先生方に集まっていただいて、一方で、東南アジアの6か国と接続しての学会とかもやったりしまして、非常にうまくいった経験もあるのですけれども、一方で、国内にいる留学生の方に目を向けてはどうかというのも、1つだけ提案したいところです。
 昨年度のデータで、30万人ほど日本に学びに来ている海外の方がいらっしゃる。そのうち大学生以上は、その半数に上るということがあります。この状況下で日本にいられない、いづらいといった思いをされる方がいるかもしれないのです。
 一方で、やはりそれぐらいの思いを持って、お金をかけて、時間をかけて日本に学びに来ている方がいらっしゃるということは、日本における教育のプラットフォームの価値の1つではないかなと思いますので、こういった周年行事を開く際に、そういった方々も巻き込んでコンテンツを作るか、企画を作っていくと、また世界のつながりというのも、より強まっていくのではないかと思った次第です。
 以上です。
【杉村委員長】   秋永先生、ありがとうございました。両方の方向が、やはりすごく大事であると思いました。
 先生方、本当にありがとうございます。ちょうどユネスコスクールのお話も出ましたが、次の議題5が、そのユネスコスクールです。私の司会はふつつかですが、皆さんが上手に次の議題を意識して御発言いただいていたと思いますので、次の議題の方に移らせていただいてよろしいですか。また、そちらでも、是非御発言くださいませ。

<議題5 ユネスコスクールのさらなる活性化について(討議)>
【杉村委員長】   それでは、議題5「ユネスコスクールのさらなる活性化について」ということで、また最初に事務局の方から御説明いただき、その後、討議に移りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉国際戦略企画官】   ありがとうございます。資料の5になります。
 ユネスコスクールのさらなる活性化に向けた論点整理でございますけれども、先に少し資料を御覧いただければと思います。
 この2枚ものの文書の後に、日本のユネスコスクールということでデータをつけておりますけれども、現在1,120校とございますように、量的に拡大を続けてきたというところでございます。
 審査の手続については次のページにございますけれども、現在、チャレンジ期間等を通じて、しっかりとユネスコスクールとしての機能を果たせるかどうかということを、支援大学、ASPUnivNetと呼んでおりますけれども、支援大学の御協力の下、確認をして、ユネスコの方に提出をして登録がされているというような手続になってございます。
 資料5の1番頭にお戻りいただきまして、現状の課題でございますけれども、2006年時点で15校だったものが、ESDの推進に関する国内委員会の提言等を頂きまして、現在1,120校というような状況になっております。これは世界のユネスコスクールの1割を占めるという状況になってございまして、現在、今まで量的拡大ということで来ておりますけれども、質ということをしっかり考えていかなければいけないという段階に来たというところでございます。
 どのような課題があるかというところで、1つ目の丸ですけれども、申請登録時のチェックということの後、月日が経つにつれて、本当にユネスコスクールとして活動が継続されているのかどうか、フォローが十分にできていないという課題が1つございます。
 それから、ユネスコスクールESDの拠点ということでございまして、拠点ということの意味は、周りのいろんな学校にもいろいろ支援を行ったり、モデルとなるような活動をしたりしなければいけないということなのですけれども、どうもユネスコスクールだけに閉じてしまっているとか、海外はもちろん、国内のネットワークもないのではないかとか、そういう拠点としての役割を本当に果たしているのかというような課題がございます。
 また、ESDということで非常に取り組んでいただいているのですが、その面が強調されるあまり、国際交流が不十分だということをユネスコ本部から指摘されているようなところでございます。
 それから、今、事実上の審査を大学間の支援ネットワークでやっていただいているのですけれども、これからは量的に増やすのは難しいということの中で、少し厳しく見ていかなければいけない局面に入るかと思います。そうしますと、今までは支援と審査ということを、この大学間ネットワークが両方やっておりますけれども、支援しながら審査する、落とす可能性があるというのは、機能としてなかなか今後難しくなってくるのではないかというところでございます。
 それから、今、チャレンジ期間を終了した学校は、ユネスコ本部に送るのですけれども、正直申しまして、ユネスコ本部の方も、日本はもう1割を占めている状況なので、これ以上あまり増やすというようなことに前向きではないのではないか。はっきりとは向こうは言いませんけれども、そのように受け取れるような状況で、新規登録の手続も事実上ストップしがちな状況でありますので、日本からどんどん新規登録の申請を送って、どんどん認めてもらえるという状況ではないので、しっかり日本の中である程度の仕組みをつくって、本当にふさわしいものを出すというような仕組みに変えていく必要があるのではないかと。そのためのプロセスや登録基準が、今は大体、申請があったものは基本的に出そうというような考え方でやっていますけれども、審査を厳しくやっていくためのプロセスや基準ということになっていないというようなこと、それから、地域によって、かなり登録数のばらつきがあるというようなことも1つの課題になっております。
 このようなことを踏まえて、また、新しい学習指導要領にESDというものが位置付けられて、ある意味、ESDが標準化したというような中で、ユネスコスクールはモデルとして何をやっていくのかというのは、1つ、高い質が求められるということになろうかと思いますので、こういった点を踏まえて、是非、資料5の「2.今後の方向性」にございますような、ユネスコスクールの意義や役割の再定義について、この教育小委員会における議論をいただいて、登録基準を明確化して、審査体制をちゃんと作っていった方がいいのではないか、あるいは、ユネスコスクールの活動を活性化する仕組みづくり、ネットワークづくり、国際交流のさらなる活性化、分野の多様化、国内制度、これは、例えば、韓国などでは、国内登録とグローバルの登録と2段構えになっておりますけれども、そういった仕組みを考えていくべき時期に来ているのではないかというようなところであります。
 そういったことを踏まえ、関係機関、今、ASPUnivNetにかなり御負担をかけていますけれども、審査は国内委員会で責任を持ち、支援は大学間ネットワークでというような役割分担、それからナショナルコーディネーターやユネスコスクール事務局(ACCU)などの役割というようなことや、その能力の確保の在り方、あるいは教育委員会との連携、地域ユネスコ協会との連携ということ、こういったことをしっかり考えていきたいということであります。
 これを変えるとなったときに、やはり今までの仕組みから大きく変化するとなると、いろいろな経過措置も必要になってこようかと思いますので、本日だけではなかなか結論が出ない部分もあるかと思いますので、具体的な移行措置ということについては、是非、また次回も、教育小委員会、7月あるいは8月にセットさせていただきたいと思いますので、その2回にわたって、御議論をいただければというふうに思います。
 それから、杉村委員長、現時点で加治佐委員、それから古賀委員、御意見を頂いていないという状況でありますので、できましたら、お二人からも、積極的に頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   大変御丁寧に、分かりやすく、ありがとうございました。次回も含めて、皆さんで積極的な意見交換できればと思います。
【大杉国際戦略企画官】   加治佐委員、御挙手いただいております。
【杉村委員長】   ありがとうございます。よろしくお願いします。
【加治佐委員】   兵庫教育大学、加治佐といいます。どうぞよろしくお願いします。
 私はこの委員というのは全く初めてで、ほとんど知識がなくて、本当、恥ずかしい思いを、今、実はしているのですけれども、このユネスコスクールについて、名前は聞いたことはもちろんあります。知り合いの大学の附属学校とかがこれに入っているというのも、もちろん聞いたことはあるのですが、こういう、少し不謹慎なことを申し上げるということもお許しいただきながらお聞きいただきたいと思うのですが、実は、我々もESDとか、最近このSDGsは非常に関心持っていまして、附属学校でも大学でも、それに係る取組はしておりますが、ただ、そのことと、このユネスコスクールというのが、ほとんど結びついてきてないのですね。つまり、この名前を日常的にはほとんど聞くことがないということがあります。
 ただ、今のお話ですと、もう既に日本は1,120校もあって、世界の中で10%を占めていて、多過ぎるとかいうお話でした。このユネスコスクールに入ると、具体的にはどういうメリットがあって、我々がグローバル教育とかESDとかSDGsをやっていく際に、これに入るとどういうことができるのか、今、モデル校というお話もあったのですけれども、こういう初歩的なことをお聞きして申し訳ないのですが、せっかくこういう委員になりましたので、これを本学もそうですし、これから地域においても、県においても、このことを真剣に取り組んでみたいと思いますので、そこを教えていただけるとありがたいかなと思います。
【大杉国際戦略企画官】   よろしいでしょうか。
【杉村委員長】   お願いいたします。
【大杉国際戦略企画官】   ユネスコスクールですけれども、正に加治佐委員御指摘の点が、拠点となりきれていないことによって、周りとあまりつながっていないことにより、あまり知られていないというような、この課題の1つになってこようかと思います。
ユネスコスクールになることのメリットですけれども、1つはユネスコスクールと名乗れますということなのですけれども、例えば、このコロナ禍においても、世界各国、このコロナ危機の中で、どのようなカリキュラムを実施していますかと、どのような教育の工夫をしていますかというようなことを、ユネスコスクールの工夫を出してくださいというような呼びかけが世界各国になされるのですね。そうすると、世界各国からその実例が集まって、その交換がなされるということで、様々な、コロナだけではないですけれども、教育実践の交換がなされるネットワークであると。あるいはユネスコスクールを対象とした、例えば、防災の絵画コンクールがあったり、あるいは私どももいろいろニューヨークなどでユースのイベントがあったりするときは、ユネスコスクールの教員、あるいは学生さんを連れて、参加してくださいというようなことで、そういった形で海外に向けてネットワークが開かれているというのが一番大きな点ではないかなというふうに思います。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 加治佐先生、ありがとうございます。是非、また今後いろいろ御知見を頂ければと思います。
【加治佐委員】   認められるのに、ハードル高いのですか。もう日本は多過ぎるということですけど。
【大杉国際戦略企画官】   今まではハードルはそれほど高くなかった。ぐぐっと拡大してきたのですけれども、最近はちょっと量が増えたので、少し抑制的に本部がなっているのではないかというような状況です。
【加治佐委員】   分かりました。
【大杉国際戦略企画官】   漆委員、それから萱島委員。漆委員、お願いします。
【漆委員】   ユネスコスクールの機能として、モデル校として、ベストプラクティスを提供するということがあると思うのですが、それにプラスいたしまして、営業的なエビデンスを提供するということもできないかなということを感じております。
私、現場の学校を預かっておりまして、一方で、国研の評議員をやって、教育再生実行会議のメンバーという、教育現場と、研究の場と、そして政策提言の場という3つにおりますと、この3つがなかなかつながっていないということを感じるのですね。なので、もう少し教育現場のことが、定性的に子供の目が光っているとか、そういうこと以外に、定量的にデータを、野村さんからも最初にエビデンスというお話がありましたけれども、が必要だなということをしみじみ感じることが多いのですね。なので、ある程度、ユネスコスクールの場合、数もありますし、世界でもつながっていますので、そういうことを活用して、何かもうちょっと定量的なデータ提供というのがなされないかなということを感じております。
 東川先生から、不登校の子が、今回のオンラインで参加できるようになった。本校も正にそうなのですね。見上先生からも、オンラインで目が疲れるって、これも実際、アンケートをとるとそうなのです。ただ、アンケートをとって非常に思うのは、これがただのアンケートなので、横のつながりもありませんし、ここは学術的なデータを取れるアンケートの形式にしていないので、結果としてこうでしたよということは言えるのですけれども、それが統計的に有意であるとかいうようなことまでは言えないわけですよね。なので、これを、もし、ちょっと研究者の知見も入れた上で、ある程度の塊で、ユネスコスクールとかをベースにデータ提供ができると、費用対効果もきちんと考えた上での政策提言に活用できるということが世界的にできるのではないかなという可能性を感じております。以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
【大杉国際戦略企画官】   それでは、萱島委員、お願いします。
【萱島委員】   すみません。萱島です。
 ユネスコスクール、これだけ数が多く、たくさん登録しているというのはすばらしいなと、すごいなと思うのですけれども、一方で、登録はしているけれども、必ずしも活性化されていない、活動がそれほど行われていないというようなことだと思います。
 文科省の方々、非常に多忙な仕事をされておられるところで、若干申し上げにくいのですけれども、私、スーパーグローバルハイスクールの委員をずっとお手伝いをしておりまして、スーパーグローバルハイスクール、まだスーパーグローバルハイスクールとして活動しているところもありますが、昨年からワールド・ワイド・ラーニングというのと、地域と協働しての国際的な取組という、2つのカテゴリーに分かれて、いずれにしても文部科学省の高等学校教育の国際化というようなことで、グローバル人材を高校レベルから育てる活動として行われている目玉の事業の1つだと思っております。
 そちらの事業のお手伝いといいますか、委員会の活動、ずっと入っているのですけれども、ユネスコスクールについて、特に取り出しての議論というのはほとんどないのですね。事務局サイドからも、特にこれと連携していこうとか、こういうユネスコスクールをやっているので、スーパーグローバルハイスクールの方は、こういうふうに考えていきたいというような議論はなくて。是非、文部科学省、日本の文部行政の中で、初等教育、中等教育の国際化と、こうしたユネスコスクールという活動をどう結びつけていくのか、是非、そういった連携を、まず図っていただくことが活性化の第一歩ではないかと私は思っております。
 JICAも開発教育という名の下に、例えば、SDGsに関して学生さんたちに学んでいただくというようなことを様々行っておりますので、JICAも、こういったユネスコスクールと連携していくというようなこともできるのですけれども、まずは文部行政の中で、初中等教育と、こういったユネスコスクールの取組が、どういうふうにしっかりリンクしていくかということが、やはり効果を上げる一番の重要な点かなと思いますので、是非、よろしくお願いしたいと思います。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 古賀先生、お願いいたします。
【古賀委員】   率直に申し上げて、日本におけるユネスコ活動はいま一つはっきりしない存在だと思われかねない側面があると感じます。その最も典型的な例が、ユネスコスクールではないでしょうか。
 ここまで「ユネスコスクールの活性化」を議論してきましたが、「活性化」とは具体的に何を指すのか、明確ではないように感じます。また日本が世界のユネスコスクールの約1割を占めているとのことですが、その内容を見ると、国内における地域的な偏りも目立ち、ユネスコ活動の推進拠点として十分な役割を果たせないのではないかと危惧します。
 地域的な偏在について最もわかりやすい事例を紹介します。資料5「日本のユネスコスクール(地域別)」の地図では、九州地区にはユネスコスクールが69校あると明示されております。その中で、スクールの数が最多、最も大きな円が描かれている場所が、私の出身地である福岡県大牟田市です。私が生まれたころは人口20万規模の都市でしたが、人口が半減し、現在では10万人強、統廃合目前の小・中学校も多いと聞いています。以前頂いた本によれば、その大牟田市にあるほとんどの学校がユネスコスクールに認定されているそうです。子どもの数が少なくなっている地域の学校が、こぞってユネスコスクールに認定されたとして、それらが推進拠点としての目的を果たすことが可能なのか、疑問に感じております。
 したがって、ユネスコスクールの活性化を検討する上で、これから具体的にどうしていきたいのか、目標をはっきりさせるとともに、問題がどこにあるのか明確にすることが必要です。しっかりと現状を把握した上で今後どうしたいのかを議論していかなければ、ユネスコスクールの活性化には繋がらないと思います。
 5年間にわたり委員を務めさせていただいておりますが、ESDにも同様の課題があるように感じます。就任当初、「ESDって何だろう?」と疑問に思いました。教育関係者の間では定着した取組であり、ユネスコ活動においては、皆が当然知っているかのように議論が進みますが、そこまで一般的に浸透している概念だとは言いきれないと思います。そもそもユネスコ活動自体が国民目線から乖離してきているのではないか、という懸念を抱いております。
 そのような状況を鑑みると、先ほど議論にあがった記念行事などは、多種多様なバックグランドの人が幅広く参加できるオンライン形式とすることで、これまでユネスコ活動に関心を抱かなかった方にも、ユネスコについて考えてもらう良い機会になると思います。ユネスコとは何か、ユネスコスクールは外部からどう見えるのか等、様々なデータを収集し、検証してみることもできるかもしれません。今一度、原点に立ち返り、ユネスコ活動の在り方やユネスコスクールについて考える、良いきっかけになるのではないかと思います。
【杉村委員長】   古賀先生、ありがとうございました。
 他にもいかがでしょう。
【大杉国際戦略企画官】   秋永委員、それから見上委員。まず秋永委員。秋永委員は賛成というわけですね。それでは、見上委員、お願いします。
【見上委員】   ありがとうございます。
 以前、この教育小委員会に初めて所属させていただいた頃、ユネスコスクールって何だろうと思いましてユネスコのホームページを見たら、“国際的な学校間の高度なネットワーク”だというふうに説明がありました。要するに、心の中に平和のとりでを築くという憲章の精神を学校間で世界中に広げようという、そういう基本的な考え方だと思うのですね。
 それで、日本のユネスコスクールでは、ESDを中心としながら、そういった平和のことも国際的に広げていこうというふうになってきたのだと思うのですが、いつの間にか、国際的なネットワークを作るというのが抜けてしまったように思います。現状では、国内の学校の間では始まりつつあるけれども、国際的な学校間の交流というのがほとんどありません。
 私、その頃、非常にうらやましいと思ったのは、ASPnetのフラッグシップ・プロジェクトの中に「バルト海プロジェクト」というのがございました。バルト海を囲む国々の高校生が、みんなで国を超えてバルト海の環境を守ろうということで、非常に活発な活動をしていたのですね。そういうのが日本にもできたらいいなと思いました。日本では、英語というとまだまだ言葉の壁があって、国際的な学校間の交流となるとみんな尻込みされることが多いようです。現在、日本にはユネスコスクールの活動を支援する大学間のネットワーク、ASPUnivNetがあります。もともとは、ユネスコスクール加盟をユネスコのパリ本部に申請書を出すのに、大学を使えば英語に訳してもらえるというようなところから始まっています。
 先ほど大杉さんから御説明ございましたように、今、学校ではオンライン教育も進めていますし、英語教育にも力が入れられています。今こそ、非常にそういう海外との交流のチャンスが来たかなと思います。いろんな世界の考え方の違いや文化の違いを学校にいながらにして、いろんな学校同士が海を越えて交流できれば、ユネスコスクール(ASPnet)の理念にも合うし、非常に今の時代的なものにマッチしているかなというふうな、そんな気がいたします。
【杉村委員長】   見上先生、ありがとうございました。
 この議題、先ほど大杉様からも、次回にまた更にということもありましたので、ぜひ継続的に議論したいと思います。私も、拙い知識ですけれども、たしかユネスコスクールの原点は、戦後間もない、ユネスコが成立したときに、ユネスコ協同学校という、世界中で同じ普遍的な知識や考えを学び合おうという大きなプロジェクトからスタートしたと伺っていたかと思います。それは、まさに世界のネットワークでつくられた学校の在り方だったと思います。今日の御議論を、それでは次回の委員会の方にも是非入れさせていただいてよろしいでしょうか。
【大杉国際戦略企画官】   野村委員が御挙手いただいております。
【杉村委員長】   そうですね。野村先生、すいません。では、もうお一方お取りして、次の議題に行きたいと思います。
【野村委員】   失礼ですけど、本当に一言だけ、各委員のおっしゃった問題意識、全て同感です。
 次回に向けて事務局にお願いなのですけれども、従来のユネスコスクールの登録の基準、審査の方法がどうなっているのかというのを、ちょっと、今さらで恐縮ですが、もう一度教えていただけたら、次回に向けて、もう一度考えておきたいと思います。
 以上です。
【大杉国際戦略企画官】   お手元の資料5の5ページ目が申請から加盟までということになっております。加盟希望校から、今、ユネスコスクール事務局をしているACCUに申請を頂くと、チャレンジ期間というのが始まります。このチャレンジ期間において、ユネスコスクールとして適切な活動を行っているか。これは明確な基準がユネスコ側から示されているわけではありませんので、ある程度、基準の持ち方は各国に委ねられている状況であります。
 日本においては、幾つかチェックリスト的に確認シートというのを送らせていただいて、ESDの活動をしているかとか、カリキュラムに継続性があるかというようなことで、チャレンジ期間に活動していただいて、これが着実的にクリアできれば、そのまま申請につながるというようなことで、割と緩やかな仕組みになっているところであります。
 これをもう少し質的な、先ほど御指摘いただいたような、閉じない、ちゃんと開いていくような質的な部分を確保していくためには、もう少し申請基準を明確化したりとかいうところが必要になってくるのではないかなというのが課題ということでございます。
【野村委員】   そのチェックリストの中身を、次回で結構ですので、教えていただければと思います。今日でなくて結構です。
【大杉国際戦略企画官】   分かりました。ありがとうございます。準備させていただきます。
【杉村委員長】   ありがとうございました。それでは、本当にいろいろとありがとうございます。よろしいでしょうか。次の議題の方へ移らせていただきます。
【大杉国際戦略企画官】   すみません。吉田委員が御挙手いただいているようです。
【吉田委員】   すいません。簡単に申し上げます。
 ユネスコスクールの趣旨について、かなり長きにわたって変わってきているというふうに、まず文科省、そして、このユネスコ国内委員会として認識しているのかどうかですね。つまり、ESDについても、ESD for 2030、SDGs時代のESDということに文脈が再設定されていますし、ユネスコスクールとして求められるものというのも、相当広範な間口を設けたまま、しかし、具体的な活動としては焦点がある。こういうことをしているがために、非常に活動の幅が広いわけですよね。そういう性格に対して、今後はユネスコスクールの立ち位置が変わっていくのかどうかと。そうすると審査の在り方もそうですし、それから御提案しようと思っていたのは、もう少し各加盟校による自己審査もさることながら、ユネスコスクールのメタ評価をする必要が、特に日本のような場合はあるのではないかと思います。そのようなメタ評価をするときに、ステレオタイプ化するような方向に持っていくのではなく、例えばですね、どういう視点をもって評価をするのかということを考えるということも非常に大切なタイミングになってきます。
 地域的な偏りがあるということもそうでしょうけども、タイポロジーというか、類型化するのかどうか、それから機能的な特徴を見極めるのかどうか。そうすると、数だけではなくて、日本の教育におけるユネスコスクールの役割というのを、もう少し分かりやすく説明できるようなメッセージを出しておかないと、それからユネスコスクールというのは、このように変わってきていますということを言うのかどうかですね。それと、1回登録されたユネスコスクールは、ずっと未来永劫ユネスコスクールなのかとか、期間をどう設定するのかしないのか、こういう一旦交通整理をする意味でも、何らかのメタ評価をするいいタイミングなのではないかと思いました。
 すいません。以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、時間の関係もございますので、この議論は、また次にも続けさせていただくということで、議題の6の方に移らせていただきます。

<議題6 ESD及びSDGsに関する取組について(ESD国内実施計画、ESDの手引き改訂、SDGs推進円卓会議との協力等について)(討議)>
【杉村委員長】   議題の6は「ESD及びSDGsに関する取組について」ということで、特にESDの国内実施計画であるとか、手引きの改訂、あるいは推進円卓会議との協力等について、移らせていただきます。
 まず、事務局の方から、御説明をお願いいたします。
【大杉国際戦略企画官】   失礼いたします。
 ESDに関しましては、SDGs実現に向けたESD for 2030ということで、実施計画の改訂ということが必要になってまいります。本日、環境省からも傍聴いただいておりますけれども、実施計画の改訂の方向性についてということで御説明を申し上げます。資料6-1になります。
 吉田先生からもお話ございましたけれども、ESDの新しい国際枠組みとして、ESD for 2030が採択されているというところであります。
 これを踏まえて、5つの優先行動分野等を踏まえて、日本も指導要領改訂による持続可能な社会の創り手の育成ということが目指されておりますので、こういったことを具体化するための国内実施計画を新たに作っていくということであります。
 これにつきましては、現在、前の実施計画のレビューの作業を進めておりまして、近々関係省庁連絡会議で決定をさせていただく予定ですけれども、これを踏まえて、新しい枠組みを作っていきたいということであります。日本だけではなくて、日本が拠出している信託基金によりまして、ユネスコ加盟国における国内実施計画ということも並行してプロジェクトが進められる予定になっております。
 スケジュールですけれども、先ほどのベルリン会議、来年に延期されましたけれども、ここにおいて新しい実施計画を発表するということを目指しながら、先ほどの日本以外の国とも情報交換を行いながら、このユネスコ国内委員会、それからESDの円卓会議もございます。それから、今日、外務省さんにもご参加いただいておりますけれども、SDGs推進円卓会議、山口委員にご参加いただいておりますけれども、こちらと連携を図りながら、SDGs全体の中でも、しっかり位置づけが確保されるような国内実施計画ということを進めていきたいというふうに思っております。
 併せまして、ESDの手引きにつきましても、国内の学校の先生方の参考になるようなものを、本年度、策定を進めていきたいというふうに考えております。
 それから、外務省の野村補佐から後ほど補足説明していただきますけれども、外務省のSDGs推進円卓会議とユネスコ国内委員会、正にこの教育小委員会との連携を更に図っていきたい。先ほど古賀委員からも御指摘いただきましたけれども、ユネスコ、ESDということが閉じたものにならずに、しっかりとSDGs全体の中で認知され、協働していけるようなものになるように、こちらの連携を図らせていただきたいというふうに考えております。
 野村さん、御説明お願いしてもよろしいでしょうか。
【杉村委員長】   それでは、外務省の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【外務省(野村)】   外務省の野村と申します。外務省のSDGs推進本部の事務局を担当しています。
 今日も山口先生はじめ、円卓会議の構成員の方々と意見交換をさせていただきました。今回、SDGsの円卓会議との、それからそちらの皆様の教育小委員会の方の連携を図っていこうということで、我々、SDGsの中に、教育を3本柱の1つとして据えていまして、また、いろいろなSDGs本体のアクションプランですとか、政府で作っています中長期戦略である実施指針の中に、教育というのを1つ大きな柱として入れていまして、もちろん、そこにはESDですとか、今日、議論の行われているユネスコスクールなども盛り込ませていただいているのですけれども、そのあたりをよりSDGsの全体の中の文脈で取組を進めていくということを、今後も更にやっていきたいと思いますので、そういう形で、今後、こちらのユネスコ国内委員会の教育小委員会の方とSDGs推進円卓会議の方というのを、よりコミュニケーションを強化していければなというふうに考えておりまして、また、いろいろと御相談させていただければと思います。よろしくお願いします。
【大杉国際戦略企画官】   野村補佐、ありがとうございます。
 ということで、こういった位置づけの中で、少し交流を密にさせていただければというふうに思っておりますので、是非、御意見頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   大杉さん、それから外務省の皆様、ありがとうございました。
では、これにつきまして、何か御意見等ありますでしょうか。だんだんと時間も押してはおりますが、受け付けたいと思いますが、いかがでございましょうか。
【大杉国際戦略企画官】   山口委員、挙手いただいております。山口委員、お願いします。
【山口委員】   ありがとうございます。
 簡単な報告ですが、今朝の外務省でのSDGs円卓会議で、今後、専門的な議論を深めていくために小委員会の設置が話し合われました。担当の吉田課長から、文科省におけるユネスコ国内委員会がどのような形式で行われているかという質問がありました。各小委員会の役割について簡単に述べ、前回行われた合同小委員会での意見交換についても述べました。特に私が参加いたしました文化小委員会と情報コミュニケーション小委員会での融合的な議論を例にあげ、委員会間の情報交換の重要性について言及いたしました。その上で、横断的な話合いを促進している点についても述べさせていただきました。また、教育小委員会に関しましては、多岐にわたる分野の専門家が委員として在籍しているため、SDGs円卓会議における教育分野の委員会に多様な知識を提供することができるのではないかという点を踏まえ、連携を進めていくのは良いのではないかという説明をさせていただきました。
 それに対して、大多数の構成員の方から、現存の専門的な委員会との連携を進めていくのが得策ではないかというような意見がございました。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 他に何か、これについて御意見はございますでしょうか。
 では、ないようでしたら、今、連携を進める方向で山口先生にも御説明いただいたということでしたので、是非、この方向で御議論いただけるのが良いのではないかと思います。事務局の方、いかがでございましょうか。
【大杉国際戦略企画官】   はい。それでは、この方向で、さらなる連携を進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【杉村委員長】   ありがとうございます。
 それでは、次に、最後の議題になります、議題7に入ります。この議題は、冒頭お伝えしましたとおり非公開とさせていただきます。総会に報告する際には公開とさせていただきますので、大変恐縮でございますが、取材の方及びオブザーバー機関の方には、ここで御退席をお願いしたく思います。ありがとうございます。

<議題7 日本ユネスコ国内委員会の機動的・効果的な運営について>
今後の日本ユネスコ国内委員会の機動的・効果的な運営について、委員からの御意見を頂いた。(本件については9月に開催される総会において審議予定。)

<議題8 その他>
【杉村委員長】   それでは、その他でございますが、最後に、その他として、事務局から何かございますでしょうか。
【大杉国際戦略企画官】   事務局からはございません。
【杉村委員長】 ありがとうございます。
 先生方からも、もうよろしゅうございましょうか。
 それでは、本当に今日も活発な御議論、ありがとうございました。議題が盛りだくさんで、しかも多方面にわたる議題でしたので、2時間という時間でしたが、事務局も手際よく御説明いただきました上に、先生方全員から、今日は御発言を頂き、建設的な、しかも具体的な御提案や御質問、御意見を頂いたかと思います。本当にありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から、今後の予定についてお知らせいただきます。どうぞよろしくお願いします。
【植村国際統括官補佐】   本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 今後の予定ですが、次回、第147回日本ユネスコ国内委員会総会は令和2年9月上旬に開催予定でございます。時間、場所等、詳細については、追って御案内させていただきます。
 なお、本日御議論頂きました議題5「ユネスコスクールの活性化」及び議題6「ESD及びSDGsに関する取組」について、本日の議論を踏まえ、更に御議論いただくため、次回国内委員会総会の前に、再度、教育小委員会を開催させていただければと考えております。追って、日程照会の御連絡をさせていただきます。
 以上です。
【杉村委員長】   ありがとうございました。
 それでは、これで本日の教育小委員会を閉会とさせていただきます。本日は御多忙の中、御出席賜りまして、本当にありがとうございました。
 それでは、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
【大山国際統括官】   どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

国際統括官付