日本ユネスコ国内委員会教育小委員会(第129回)議事録

1.日時

平成25年5月9日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 16階2会議室

3.出席者

(委員)
安西祐一郎(委員長)、見上一幸(委員長代理)、伊藤一義、榎田好一、大津和子、黒田一雄、田村哲夫、三木繁光〔敬称略〕

(教育小委員会に属しない委員)
小此木八郎、笠浩史〔敬称略〕

(外部有識者)
川田力  国立大学法人岡山大学大学院教育学研究科教授
手島利夫 江東区立八名川小学校長     〔敬称略〕

4.議事

【安西委員長】
 では、時間でございますので始めさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、事務局に定足数の確認をお願いします。

【籾井国際戦略企画官】
  本日は出席の委員が8名で、定足数は委員の過半数ですので、定足数を満たしております。

【安西委員長】
  それでは、教育小委員会を開かせていただきます。
 去年の12月以降、ユネスコ活動の活性化につきましては、運営委員会でもって検討しているところでありますが、学校教育・社会教育等々を通じましたESDの一層の推進に関して、この教育小委員会において集中的に議論していただくということになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、前回の小委員会以降、委員と、それから事務局も異動がございましたので、事務局の方から御紹介をお願いしたいと思います。


(事務局から委員及び事務局員の異動、国内委員会委員並びに外部有識者について紹介)
 
【安西委員長】
  それでは、配付資料の説明をお願いします。


(事務局より配付資料について説明)


【安西委員長】
  何か資料について御質問はありますか。よろしゅうございますか。
 それでは、議題に入らせていただきます。
 議題の1は、前回議事要録についてということでございます。前回の会議は、去年になりますけれども、議事要録はお手元に配付させていただいておりまして、内容は御確認いただいているかと思います。特段、御質問、御意見はありますでしょうか。
 よろしければ、確定とさせていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題2、ユネスコスクールについて、ということでございます。
 ユネスコ活動の活性化につきましては、先ほど申し上げましたように昨年12月以降の運営小委員会で議論がされておりまして、特に学校教育・社会教育等を通じましたESDの一層の推進につきましては、お手元の資料の129-3の8ページ以降になりますけれども、この小委員会で可能な限り議論をしていただきたいということでございます。
 大変広いテーマで、これまでにもいろいろ議論は重ねてきてはいるのですけれども、メンバーの先生方には新しい方もおられまして、是非活発に議論していただければと思います。今日のところは、ESDの推進拠点ということにユネスコスクールがなっておりまして、その議論を是非深めていただければと思います。
 御意見の前に、事務局から資料129-2から11について説明をお願いします。簡潔にお願いできればと思います。


(事務局より配付資料について説明)


【安西委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御意見を頂ければと思います。御意見いただく時間はかなり取れまして90分となっておりますけれども、どうぞ御自由にお話しいただければと思います。
 一応、論点を事務局で挙げてもらってありますけれども、ユネスコスクールが550校になりまして、もっと増えるといいと思いますけれども、その550校のユネスコスクールの実際の活動を本当に推進していくにはどうすればいいのか。そのために特に地方自治体あるいはユネスコ協会、大学、国連大学、NGO等々、全国のいろいろなセクターを巻き込んで推進するということが一つ今後の方向としてあるのではないかというふうに考えられております。
 もう一つは、国内のユネスコスクール間の交流、もちろん全国大会はあるのですけれども、もっと交流を盛んにして、さらには国外とユネスコスクールとの交流が、やはりグローバル化の中で、初中教育の面でもこういったことをどうしていったらいいのかという論点が2番目としてあるのではないかと思います。
 3番目は、ユネスコスクールの質です。質が本当に担保されているのかどうかということは、これはきちんとしていかなければいけませんので、その点をどういうふうにお考えになるか、何かいいやり方があるか、ということでございます。
 一応、三つ挙げていただいておりますけれども、それに限らず、どうぞ御意見を頂ければと思います。どなたでも結構でございます。

【田村委員】
 最初に御報告なのですけれども、実はこの資料129-7のところに出ているのですが、国際的な教職員交流の東アジア地域における教職員交流ということで、既に中国と韓国と、それから次のページにアメリカとのいわゆる教員の交流というのを、このユネスコスクールが切り口になってされているわけですけれども、実は中国は、この状況の中で交流を一切しないという、こういう姿勢を示しまして、現在、情報によりますと全部ストップしているのです。一切の交流をしない。日本国政府が顔を出したら一切やらない。
 ところが、昨日ですか、連休明けに中国の教育部から連絡がありまして、やはり教育と文化は別だということで、交流をするという連絡がきました。これはACCUというユネスコスクールのお世話をしているところに連絡があったのですけれども、北京の日本大使館にそういう連絡があったと報告をしましたら、実は交流は全部ストップしていて、恐らくこれが第1号ではないかと。6月に日本から25名中国に受け入れますと。中国からは、延期されていましたので、9月と10月に2回、百何十人の教員が来る、こういうことで中国政府としてもやりますと。
 やはり文化、教育というのは交流が非常に重要な切り口になりますので、このユネスコスクールは日本の国としても非常に重要なテーマだということだなと実感したのですけれども、いいニュースだったので御報告させていただきます。

【安西委員長】
 ありがとうございました。中国が復活するというのは大変結構なことだと思います。
 それでは、今のことに関連してでも、あるいは他のことでも結構でございます。資料がかなりあるので、御覧いただきながらと思いますが、御覧いただいている間、それでは、手島先生、お願いできますでしょうか。

【手島校長】
  ありがとうございます。まとまらなくならないように頑張ります。

【安西委員長】
  現場にいらっしゃるので。

【手島校長】
 いろいろな課題があるユネスコスクールの取組なのですが、私が2006年に参加したときには、当時はユネスコ協同学校と申していましたけれども、そのときは20校程度しかなく、活動もあまり盛んではありませんでした。ESDという言葉そのものもほとんど知られていない状況だったのですが、ユネスコスクールを500校にするという木曽功国際統括官の頃だったと思いますが、その辺りから数が増えてきまして、活動も活性化してきたように思います。そのこと自体は大変うれしいことだと思っていますし、ユネスコスクールの質を向上させていくということは、とっても大事なことだと思っています。発信拠点としてのユネスコスクールの役目をそれぞれの学校が果たしていくことが重要かと思います。
 その際に、昨年作っていただいたユネスコスクールガイドラインというのが大変役に立つと思います。ここで示されている取組というのは、学校の在り方も含めてESDをどう進めるのかということが示されている点は大変重要なことだと思います。ただ小手先のことで何か教育の取組を一つ二つ進めるということではなくて、子どもたちをどういう方向性を持って育てるのかということがしっかり示されているということで、重要なことだと思っています。私自身もそのような学校作りをするとともに、国内のいろいろな方々と一緒に取り組んでいきたいと。ガイドラインに沿っていろんな説明をしていきたいなと思っています。

【安西委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、有識者ということで大学の方から川田先生にいらしていただいているので、川田委員、何か御発言をいただければ。

【川田教授】
 様々なテーマがあるのですけれども、ユネスコスクールの支援体制について少し私見を述べさせていただきたいと思います。ユネスコスクールでESD活動をしていく際に、学校が主体的に取り組んでいくことと、参加型学習という形で、学校外での活動をなるべく積極的にやっていこうという動きがあると思うのですけれども、現状では、学校では、かなり先生方は多忙にされておりまして、様々な活動を実践していく時にコーディネートの時間が十分に取れないことが大きな課題になっているかと思います。そのコーディネートの部門を上手にやっている地域あるいは教育委員会が、非常に上手な活動をされているのではないかと思います。教育委員会の担当者の中でも、どのようなサポートをしたらいいのか、あるいはESDの内容理解が十分行き届いていないというところもございますように見受けられますので、その辺りの支援は非常に重要だと思います。
 ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)でも、それぞれの教育委員会に様々な支援を差し上げているところですけれども、それぞれの大学がそれぞれ可能な範囲で対応するということになっておりまして、一律の基準でこういうような指導をするということにはなっておりませんので、その辺は良さでもあるのですけれども、難しさというようなこともあろうかと思います。
 既にこの委員会の中で御議論されているようなのですけれども、大学の方もマンパワーあるいは経済的な裏付けというのが十分にありませんで、かなりボランタリーな形で協力しているという限界もあろうかと思いますので、そういうところの仕組み作りを少しお考えいただければ、様々なステークホルダーが有機的につながって、ユネスコスクール活動で現場の先生が十分活躍できる場面ができるのではないかと考えています。

【安西委員長】
 ありがとうございました。教育委員会とどう付き合うかというのは、前から課題でございまして、550校になっておりますけれども、まだ、まだらで、大変熱心にやっていただいているところと、少々空いている地域とあるように思います。そういうことをどうしたらいいのかということはずっと課題になっているのですけれども、事務局側で教育委員会に対していろいろアクセスはしていただいていると思いますが。

【岩本国際交渉分析官】
 教育委員会関係の会議などがあるたびにユネスコスクールの意義ですとか、そういうことは少しでも時間を設けさせていただいてお話ししたり、あるいは教育委員会向けの広報紙、文部科学省の広報紙も含めてユネスコスクールのガイドラインですとか、そういうことは広報しておるつもりなのでございますけれども、教育委員会、現場まで行きますと、ユネスコ活動自体も少し片手間の仕事みたいになっている状況がありまして、何とも私どもの力足らずで申し訳ないですが、そこのところをどういうふうに教育委員会の人にも、ユネスコスクールというのは単にユネスコが大好きなスクールという意味ではなくて、ユネスコスクールでやること自体が学校教育の中身も変えていくのだというつもりでお考えいただければ、と事務局としては思っているのですが。

【安西委員長】
 見上委員、どうぞ。

【見上委員】
 先ほど委員長の方から青森県がまだ一校もないということを紹介されましたので、その関わりで申しますと、私どもASPUnivNetを、川田先生の方にいろいろお世話になっているのですが、担当しておりまして、青森県がゼロというのを気にしております。ただ、青森県自身も、先生方、教育委員会も皆関心はお持ちなのです。浅井前国際協力政策室長も教育委員会にお話をしてくださったりして、皆非常に関心は持っているのですけれども、最後のもう一押しが足りないのかなと、私ももう少し努力してみたいというふうに思っています。
 ですから、そんなのやっても意味ないということではなくて、関心はあるけれども、今いろんなやらなきゃいけないことがあってというふうなことですね。
 青森は震災の被害は少なかったかと思いますが、やはり今回の震災の影響というのは随分強い面がございますので、地域全体、一つは震災復興に関わって持続可能な社会というのはとっても大事なことなので、少し復旧に向けて余裕が出てきたら、じっくりそういう教育のことを、大事なのだよ、というようなことで広げていきたいなと私どもは思っております。今、東北の方はそんなような現状でございます。

【田村委員】
 一つだけ御報告ですが、前回にも申し上げたのですが、例の全国の学力テストを先般文科省が行われたわけですけれども、その学力テストと関連して、全ての教育委員会に対していろんな活動の調査をかけたのです。その項目の中に、国際化のテーマで具体的な例としてユネスコスクールを挙げてもらっているわけです。その結果をできるだけ早く頂いて今後の活動に生かすといいと思うのです。これは全部の教育委員会からその返事が来ることになっていますから、これは前回も申し上げたのですが、それは非常に参考になるのではないかと思います。

【笠委員】
 先ほどのことに関連して質問なのですけれども、宮城県は、今日学長(見上委員:宮城教育大学)が来られていますけれども、66校と全国で一番多いですね。それはやはり大学がユネスコスクールに参加をしていると、その効果というのが大きいということなのでしょうか。この66校というのが……。

【見上委員】
 やはり自治体の教育委員会の御理解だと思います。自治体がある程度の理解度に達しますと、一気に深まるのです。そこまでは、「そんな目新しいことをやっても……」、という段階だとなかなか進まないのですが、それが一歩入り込んで、ああ、すごく大事なことだというふうに、しかもそれによって、例えばクリティカルシンキングだとかシステムシンキングといった子供たちの新しい能力が身に付くというふうに理解していただくと、あとは、じゃ、みんなでやりなさいという、そんな形にいくようです。
 具体的には、例えば気仙沼の場合は、防災教育なんかも実際にやっていて、当初、私なんかも本当に今回の大震災でそれが、言葉は悪いのですが、ままごと遊びみたいな形になってしまって、命を救えたのかなという不安がありましたけれども、結果的にはかなりの効果があったというふうないろんな地元の方々の御意見も頂いており、ESDを進めるということに対して非常に勇気を頂いております。

【安西委員長】
  教育委員会の担当課がばらばらだという話もあるのですか。

【岩本国際交渉分析官】
 そもそもユネスコ活動を担当している課が生涯学習課であったり、あるいは文化課であったりする一方で、学校教育の系統はどうしても指導系といいますか、学校教育課とか、高等学校課とか、そういうところになりまして、そちらの方が割と先生方の発言力が大きいのです。ですから、なかなかそこら辺の中のコミュニケーションというか、そこら辺がうまくいっているのかな、と感じることは少しございます。
 ただ一方で、先ほどから資料にちょこちょこと出てきますが、ユネスコエコパークという、これは自然科学小委員会が中心になって検討してきた人間と生物圏計画の指定する制度ですけれども、例えば宮崎県の綾町が今回エコパークに指定されましたが、そこでは町長部局の方がエコパークのことに非常に熱心で、そこの町長部局から町の教育委員会にユネスコスクールに是非申請して、エコパークという自然のこういった体系を使ったユネスコスクールみたいなことをやっていらっしゃるところもあります。そこら辺の課とか、あるいは知事部局あるいは市長部局と教育委員会との連携というのが実は求められているのかなと思うわけであります。

【安西委員長】
 いろいろ御意見を頂きましてありがとうございます。なかなか一斉にやることは難しくて、それぞれ教育委員会ごとにアクセスしながらやっていただいておりまして、それを続けるということだと思います。

【三木委員】
 思い付きですのでどうかと思うのですけれども、教育委員会の方から行くというのは、これは王道で、そうなのですけれども、恐らく宮城なんかの例もそうですけれども、みんな周りがやるからやるとか、どうだと聞いてみて、いいぞというのでやるとか、そういうのが大きいと思うのです。民間ですと、普通、紹介運動みたいなものがありまして、こういうのができるのかどうか知りませんけれども、青森県の先生で親しい先生がおられる方が、ユネスコスクールになっておられるとすれば、そこからなかなかこういうのはいいぞというようなことを聞き込んで、そういうのがあったところへ教育委員会から来るとか、そういうのがないと、今まで全くないところは、皆さん忙しいですからね。やっぱり経験でいいと思っている方が、その親しい先生、学校があったら、そういうのがあるとどうか、というようなことで、思い付きです。

【黒田委員】
 ユネスコスクール間での交流であるとか、大学との関係というのは、かなり体制も、地域、地域によってかなり違っていると思いますけれども、進んできているとは思うのですが、それ以外の、例えばJICAの地方支部であるとか、地域の企業であるとか、ロータリークラブであるとか、様々なユネスコスクールに関心を持ってくださるような団体、もしくは交流することによって何らかの意味があるようなところが、地域のユネスコスクールを支援するような枠組みのようなことができれば、ユネスコスクールにとって有益なのではないでしょうか。例えば、JICAの方でも研修員を受け入れて学校訪問とかをしたいのですけれども、なかなか受け入れていただくところを見つけるのに苦労しています。そういったところもお互いの利益を見ながら、地域的な支援の体制みたいなものを関係企業や団体と作っていくことが一つのユネスコスクールの活動を充実させていくためにはあり得るのではないかと思います。
 あと2点お話ししたいのですが、もう一つは、ユネスコスクールの中で閉ざされてはよくなくて、もちろんユネスコスクールの発信力の強化ということを考えていく。でも、これについてのオフィシャルな、フォーマルな形というのは、今のところ、まだあまりきちんとしてないのかなと思うのです。教育委員会であるとか、もちろん大学を通じてということもあるとは思うのですけれども、ユネスコスクールがそれ以外の学校に対してこういう活動をして、それがどのように教育の効果を上げたかということについて発信していけるような仕組みを作っていくことが、第2点目に必要なのかなと思います。
 それにも関わるのですけれども、3点目に、まさに21世紀型スキルというのは非常に注目を浴びているところで、ただ、それを客観的にどうやって測っていくか。先ほど学力テストの中にユネスコスクールであるかどうかということ、もしくは活動についての質問項目が入っていたのは大変すばらしいことだと思うのですけれども、ただの活動といいますか、ほんわかしたもので終わるだけではなくて、客観的に見てどのような効果、キー・コンピテンシー、21世紀型スキルを伸ばしているのかということを、もちろん従来型のコグニティブなところにも何かの影響はあるかもしれませんけれど、新しい問題解決能力であるとか、その異なった文化や意見に対する寛容な態度の育成であるとか、そういったところにどのような貢献があるのかということを数量的に測って、それをまた示していくということが、ユネスコスクールを全体的に振興していく大きな方策になっていくのではないかというふうに思います。

【安西委員長】
 御意見をまとめると、特に教育委員会等々影響力のある方々やセクター、組織などにこのユネスコスクールについてのキャンペーンを張るということは大事で、そういう方々があまりこのユネスコスクールを知らない可能性が強いということはあると思うのです。それは是非検討していただきたいと思います。
 それから、今の黒田さんの言われた客観的評価については、確かに2015年にPISA(Program for International Student Assessment)の問題解決力のテストがあると思います。もう決まっていて、そういうことともちろん関係はあるので、その辺も専門家とか、いろいろな人がいるわけです。そういうところの方々もユネスコスクールのことはほとんど知らないと思いますので、そういうところへキャンペーンを張ることは大事ではないかと思います。

【大津委員】
 一つ別な観点から、つまり、地域との関わりということで、北海道の事例を念頭に置きながらお話ししたいと思います。北海道の各地、全国どこもそうだと思うのですが、民間のユネスコ協会というのがございまして、北海道でも実はそのユネスコ協会があるところに、まだ全然ユネスコスクールがない地域が結構あるのです。そうしますと、そのユネスコ協会の一つの仕事というとおかしいですけれども、一つのアプローチとして、是非この地域にユネスコスクールを作りましょうという動きをしております。
 それで最近、去年ですか、知床の羅臼町というところで、実は町の幼稚園、小学校、中学校、高等学校が全部一緒にユネスコスクールに認定されたということがございました。これはやはりユネスコ協会が、事務局が中心になって教育委員会も巻き込みながら、地域ぐるみでユネスコスクールを増やしたということがございます。そういうことが一つ。
 それで、少し横道にそれますが、実はユネスコ協会の大きな悩みは、多分全国共通していると思うのですが、非常に高齢化が進んでおりまして、お元気なのですが、年配の方が大変多くて、なかなか若い方々の次代にどう引き継いでいくかというのがありますから、そういう意味でもユネスコ協会がいわばユネスコスクールという次代を正しく担うような若者との交流の中でお互いに成長していく、そういう意味でも非常に大きい意義があるかなと思っております。
 もう一つ更に難しいのは、ユネスコスクールというのが認証されて、登録証を受け取れば、その学校に、ある一定期間はハイな状態が続くわけですね。ユネスコスクールになったのだといって、しばらくはいろいろ元気に活動するのですが、そのうち、日常的な活動の中でだんだん薄れていくという現状があるかと思います。そういうのを打破するためには、やはりユネスコスクール間の交流、先ほどもお話が出ていましたけれども、その交流をしますと、例えば高校生自身がそこで元気になるのです。自分たちの活動を発表するということ、果たしてこんなのでいいのだろうかと思いつつ発表してみたら、地域の人たちからいろいろ励まされたりとか、あるいは他の学校の面白い実践をかいま見ることによって、そこでの交流が生徒たちのモチベーションを高めて、ああ、ああいうこともしていいのだというような活動の幅を広げていく。ですから、私は学校間の交流が質を高めるために果たす役割は大変大きいと考えております。
 ただ、そこでも難しい点はありまして、北海道でも年に1回、ユネスコスクールのいわば発表大会みたいなのをしていて、そこにはユネスコスクールだけではなくて、まだ学校として登録していないのですが、でも、例えば東北の震災関連でボランティア活動をしているだとか、いわゆる広い意味でのボランティア活動をしているような学校にも声をかけて、そういう生徒たちにも発表してもらっている、ユネスコスクールではまだないのですが。結構そういう生徒がいるところでは、顧問の先生も熱心な方がいらして、そして毎年の発表会に生徒を連れて参加してくださるのですが、ただ、いわゆる部活のようにきちんとした位置が与えられていませんから、管理職によっては、そんなのは行かなくていいということになったりして、それで今北海道で取り組んでいますのは、ユネスコの理念に基づいた活動をしている、広い意味でのボランティア活動をしているのも含めて、高文連という全国的な組織がありますけれども、何とかそういう中の一つとして位置付けてもらえないでしょうかということを校長会に働きかけております。ただ、今年度はそれがちょっと持ち越しになってしまったということがあります。
 ですから、必ずしも学校レベルのユネスコスクール、それがあれば一番いいのですが、そこまではまだいかない、部活レベルだとか、生徒たちのボランティア的な活動、そういう活動を更に引き上げて、ユネスコスクールレベルに持っていくためのプロセスに対しても何か、例えば地域のユネスコ協会が働きかけたりすることで裾野を広げていくと同時に、交流活動などによって質を高めていくという、そういうことが何とかできないかなというふうには取り組んでおります。

【安西委員長】
 大変貴重な情報を頂きましてありがとうございます。ユネスコ協会等も先ほど同様、是非お願いします。本日ユネスコ協会はオブザーバーですが、おられます。若いですけど。

【大津委員】
 本部は若いのです。本部だけ若いのです。

【安西委員長】
 では、手島先生、どうぞ。

【手島校長】
 この問題を私は二つに分けて考えているのですが、一つは、ユネスコスクールをどういうふうにしていくのかということ、もう一つは、それで取り扱っているESDという教育をどう広めていくのかという、その二つの面から考えていくことが大事かなと思っています。
 一つは、ユネスコスクール自体は大分パワーアップされてきました。それは数が500校になって、今は550校ということになっていますが、そういうふうに数が増えてきたことが一つ大きな要因だと思っています。数と質と持続性、この三つが大事だと思っています。その数は、この550校で足りているのかどうなのかということですけれども、例えば全国への影響力の大きさを考えると、私は2,000校ぐらいになってもいいのかなというふうには思っています。例えば全国の学校数の5%を超えるぐらいを目標にとかいうようなことが必要かなというふうに思います。
 もう一つは、ESDをどう進めていくのかという問題なのですが、これはユネスコスクールの問題でしょうというふうに言われてしまうことが多い、現状として。それは「ESDをやろうと思うのです、これをやりませんか」と誘いをしたときに、「それはユネスコスクールの問題だろう、あんたたちがやればいいじゃないか」というふうな言い方を多くされてしまって、ESDをどう広めていくのかという視点をもう少し考えないといけない。
 そうすると、ESDというのは、ユネスコスクールさえやっていればいいのかという問題になるのですが、そうではないと思います。それをどう日本の教育の中にのせていくのかというところが大事になってくる。
 では、どういうのが使えるのかということを考えていったときには、学校教育の中には生活科、あるいは総合的な学習の時間というものを大事にしていくことが、ESDで求めている学力を育てていく場になると思います。また、時間としても保証されているわけです。総合的な学習の時間は、例えば6年生で年間70時間というふうに言われていますけれども、その時間だけやっていれば総合になるわけではなくて、教科横断的にいろんな学びをつないでいくのが総合ですよと言われているわけですから、学びの広がりがあります。そういう各教科・領域の学びをうまくつないでESDで求められているような資質、能力も高めていくことを大事にしていきたいと思います。
 そのことをどのように進めるかということについては、また別の論になると思いますので、今は二つのことをお話ししました。

【榎田委員】
 大津先生と手島先生のことについて、お役に立てるかどうかということなのですが、ユネスコスクール連絡協議会というのが広島県にもあります。これがそれぞれの教育委員会や校長さん方とどう連携していくかというのは、先ほど言った出張等との絡みもありまして大きく影響してくると思うのですが、広島県のユネスコスクール連絡協議会が主催したESD研修会というのを3月に行いました。そこには、県の教育委員会と小学校、中学校、高等学校のそれぞれの校長会、私立学校も当然関係してきますから、私立中高等学校の校長協会、これらが後援団体になってもらって、それで、ああ、あの人たちが後援するなら当然出張もオーケーよねという形になってくる。それは多分に連絡協議会と県の教育委員会が連携して、校長さん方にお願いした一つの経緯があって、それが動く一つの手法になっていくと思います。
 そこで、ユネスコスクールだけではなくて、ユネスコスクールが主体となりつつも、その周辺の学校をどう引き込んでいくかというのが一つの手法としてあると思います。
 もう一つは、大津先生が言われました、ESDはユネスコスクールよねというのを確実に論破していただきたいのは、学習指導要領にこう規定されていますよということをはっきりと言っておかなければいけないし、それは県だけでなくて、市町教育委員会の責任だと思うのです。それは今日頂いておりますパンフレット「ユネスコスクールと持続発展教育(ESD)」の中にも明らかに記されておりますから、そこのところを強くそれぞれの教育委員会は言う必要がありますし、先ほどからのお話の中にユネスコの担当課は生涯学習関係のセクションがやっていますが、ESDはそれぞれの学校教育の担当のセクションが行っている。この連携をしっかりやっていって、どちらかというと、ESDを先に出していった方が学校への影響力は強いと思います。そこを中心に更にバージョンアップするのがユネスコスクールですよ、という説明の仕方がいいのではないかと思います。
 もう一つは、これは文部科学省の方に、できるかできないか一つお願いなのですが、それぞれの都道府県の教育委員会や市町の教育委員会に文部省関係の人が出向していらっしゃいますね。あの人たちを上手に使われるのはいかがでしょうか。おたくの県ではなかなか進んでないよねとか、おたくの市町では進んでないねと。これは上意下達でやれるような法体系の中のものではないので、やっているところがあるよねと。広島県が進んでいったのは、そこら辺りも大きくあるのではないか。数代前の教育長が木曽先生だったせいもありますので、そういうのがあると思いますので、上手なインセンティブになるのではないかと思いますので、少し御案内をさせていただきました。

【安西委員長】
 ありがとうございました。今日は大変貴重な御意見をかなり頂いていまして、確かに出張の問題もそうなのですけれども、何とか教育委員会が動けるような、そういうふうに持っていってもらえないかと思っております。

【川田教授】
 今広島のお話がありましたので、広島ユネスコ協会の中山修一先生から先日広島市の動向をお聞きしたのですけれども、広島市では、市立の全学校に関して平和教育を入り口にしたESDというのを必修にして進めているとお伺いしました。全ての児童生徒に配る教材を市の方で準備して、そのための教員指導書を準備して学習活動を展開している。そうしたことができた背景には、広島市の教育振興計画が「平和で持続可能な社会を創造していく力を持つ子どもを育てる」という持続可能な社会という言葉が明確に入った計画になっているということが非常に大きな裏付けになっているというお話を聞きました。様々な教育委員会がESDをやっていくときに、様々な根拠を求めるわけですけれども、いろいろなところを読みかえて、これがESDと関わっている力なのだとか、例えば国際的な視野を持った子どもを育てる、これはESDに関わっているからESDをしましょうというような感じで、読み換えで理解していくケースが多いのですけれども、読み換えた箇所がまた別の理解で読み換えられるという不安定なところがありますので、ESDとか持続可能という明確な文言がそういうところに入っていると、ここにこういうふうに入っているでしょうというような形で指導がしやすいということを言われておりました。
 もう一つ、その話と少し離れますけれども、先ほど黒田先生がお話しされましたように、教育委員会にESDを勧めに参ったりするとき、必ずどのような力をどのような働きかけで育てるのですかと聞かれるわけです。そのことに関して、なかなかESDを担当されているところでも共有されていません。ESDのコンピテンシーなり、あるいはそれを育てていくプロセスに関して、理論的なものがあまりなくて、そのほかの教科教育等では割合そういうところはしっかりしているものですから、それと比較されてESDは大変進めにくいということがあるのだと思います。そういうところでは、教育学のプロパーの専門家にしっかりこの辺りをリサーチしていただいて、プログラムを組んでいただいて、それを一つのモデルとしてこういうような形で進めるとこういう力がつくのですというようなことが示せると、一気にブレークスルーする気がしております。

【安西委員長】
 ありがとうございました。広島県は「持続可能な」と入れていると。

【榎田委員】
 はい、基本計画になっています。それともう一つ、義務教育指導課と高校教育指導課というのがあるのですが、そこの要員をマルチで仕事をさせるようにして、ESD担当という部署も置いておりまして、より充実させていこうということです。

【伊藤委員】
 私は今回初めてなのですけれども、日本PTA協会の専務理事をやっています。保護者の立場で、全くこのユネスコスクールという存在自体を初めてこれに関わって知ったというのが現実で、恐らく各県にPTAの会長さんはたくさんいらっしゃると思うのですけれども、そういう方もほとんど知らないと思うのです。日本PTA協会では全国に日本PTA協会の新聞を発行していまして12万7,000部出しています。小中学校、各学校に全部配付しますので、そういうところを使っていただいて結構ですので、まずはユネスコスクールとESDというのがどんなものなのか、やることによってどういう効果が出ているのか、事例発表のようなそういうものが載ることによって、校長先生も見られますし、学校の先生も見ることもあります。そういう方々が一人でも、ああ、うちもやってみようかというふうに思ってもらえるようなことで利用していただければいいのかなと思いましたので、一応7月、12月、3月と年に3回発行していますので、その紙面をうまく利用していただいてもいいのかなと思いました。

【安西委員長】
 ありがとうございます。是非お願いしたいと思います。

【手島校長】
 すごくうれしい話です。学校の現場って、保護者、PTAがどう考えているのかということはすごく影響が大きいのです。何でうちの学校はまだやらないのという、そういう言葉かけが学校を動かしていくのではないかと思うのです。私は実は今回はそういうESDの推進協議会みたいなものを立ち上げて、いろんな文科省の方とか小P連とか中P連とか、国研とか、いろんな方に入っていただきながら、どうやったらESDが進むのかアイデアを出してくださいというような働きかけをしたらいいかなと思っていたのです。それが今の話の中で、もう正にこれから進むためのすごく力強いお話を頂いてうれしく感じております。

【安西委員長】
 それは事務局を飛び越えて申し訳ないですが、是非お願いできればと思います。

【岩本国際交渉分析官】
 はい、せっかくのいいお話でございますので、実は私どもそういうところは正に死角で、漏れておりました。申し訳ございません。

【伊藤委員】
 7月が初めなので、もう6月末ぐらいには原稿をあらかたそろえたいと思いますので。

【岩本国際交渉分析官】
  かしこまりました。

【伊藤委員】
  その辺は連絡していただければと。

【安西委員長】
  事務局から連絡を取っていただけますか。

【岩本国際交渉分析官】
  ええ、私どもの方から連絡を取らさせていただきます。ありがとうございます。

【三木委員】
 今のお話ですけれども、PTAまでいくと、ESDというのは随分苦労してやっても、まだ分からないと思うのですね。要は、持続可能ということは、未来に向けたということですね。それから、あとは非常に視野を広くしてグローバルにという、そういうことなら反対する人はいないし、全員大事だと思っているのですね。だから、そのくらい砕いていかないと。未来に向けて大事な教育をしたい、視野の広い、国際的にしたいと思っているのは、これは共通だと思うので、何か砕いてほしいと思います。

【安西委員長】
 あまり抽象的なおしきせの文言だと分かりにくいと思います。

【伊藤委員】
 そうですね。分かりやすく、理解しやすい、なるべく文章的には短く、インパクトがある方がいいかと思います。

【大津委員】
 ポンチ絵とか。

【伊藤委員】
  そうですね。

【安西委員長】
  三木委員の言われるのはそのとおりだと思います。

【見上委員】
 何度も発言して申し訳ございません。三木委員がおっしゃられたこととも関わるかと思いますけれども、学校関係はいろんな情報が、ESDの情報も含めて持っているのですね。だから、あとはもしできれば、今ユネスコというと世界遺産とすぐ出てしまうのですね。だから、もしユネスコといったときに、同時にESDなり、何かくっついて出てくれると、とてもありがたい。今、事務局の方でも、学校だけではなくて、一般の方たちにも理解してもらえるようなということで御努力していただいているところだと思うのですが、何かそんなような形で、そうすると、さっき手島先生がおっしゃったように、どうしてうちでああいうかっこいいことをやらないのみたいな親が出てくると、隣の学校はやっているのにというようなことをやると、また校長先生もやりやすいし、教育委員会も動きやすいというのがあるかもしれません。
 特に、私もこれからそういうような形で頑張らなきゃいけないなと思うのは、今、国の方で英語教育が大事だ、ICTが大事だ、国際理解はもちろん大事だし、理数教育も大事だというようなお話が出ていますが、そういうのを全部まとめて総合的学習の時間に解決してくれるのは、これはESDだと思うのです、理念が非常にいいですし。だから、まだ国内の学校間の交流もうまくいっていないときなのであまり欲張れないのですが、できれば外国と子どもたちが、小学生でも片言の英語の単語でいいからコミュニケーションできるような、そんなことになると、例えば、外国で子どもたちが頑張って目の色が輝いているような状況が、日本の学校に直接それが入ってくると、日本の学校もいろんな形で影響を受けるのではないか、そんなことも思っています。

【安西委員長】
  そのとおりだと思います。笠先生、何かございませんか。

【笠委員】
 今伺っていて、私も政権の方にいたときは、文科で政務官、副大臣を務めさせていただいたのですけれども、正直ユネスコスクールというのは、長く文部科学委員会にいても、実はこのユネスコの委員会に関わるまで知らなかったのです。ですから、今、先生方がいろいろおっしゃっていたように、これは少し国としても本当にどうやってこのPRをしていくかということと、今日冒頭におっしゃったように学力テストなんかの機会を通じて、今後はその効果、どういった効果が上がっていくのか、必ずしも学力のみならず、やはり子どもたちの成長に向けて、学校単位あるいは個々の子どもたちが、多様性のようないろんな形のものを身につけていくのかというようなことを分かりやすく伝えていくということが一番大事なんだろうなと思います。
 それと、できれば、これもなかなか教育委員会の壁はあるのかもしれませんけれども、今取り組んでいる、今日も配付していただいている資料でそれぞれの事例が紹介されていますけれども、何かこういったところの何校かが連携をしながら、一つのイベント的なものを、例えば大学あたりを拠点にしてでもいいのですけれども、展開をしていくような形でやっていただくようなことが必要なのかな。そしてそこに、いろんな学校の子どもたち、地域の子どもたちに参加をしてもらうような、そういった取組もやっていく必要があるのかなというような気が非常にいたしました。

【安西委員長】
 ありがとうございます。一つの学校の中だけで閉じないで、子どもたちがいろいろな人たちとコミュニケーションが取れるような場を作っていってほしいと思っていまして、私はICTの学びのイノベーションに関わっているのですけれども、今はどうか分かりませんけれども、学校の生徒、児童が外国とか他の学校の子どもとネット上でコミュニケーションを取るということがセキュリティ上なかなか難しいとされていて、どうしてもそこが越えられないように見えるのです。本当はどうなのか知らないのですけれども、そこをどうやって越えるかというのは、今、見上委員の言われたことについては、具体的には結構課題だと思っております。
 笠先生のお話もそうなのですけれども、できるだけ地域とかいろいろなところへオープンな形で、そこへ子どもたちが入ってこられるような、そういう場を是非作ってほしいというのは、全くおっしゃるとおりだと思います。

【岩本国際交渉分析官】
 その関連で、お手元に配付資料129-9ということでアンケート結果というのをお配りしておりますけれども、これはユネスコスクールになっている学校に対して行ったものですが、3ページをお開きいただきますと、ユネスコスクール相互間のネットワークについて、「(1)どのように国内の学校と交流しましたか」ですと、「会議やセミナーに出席した際の交流」というのが一番多い。「オンラインでの交流」というのは、ゼロではないのですが、あまり多くはない。テレビ会議ですとかホームページでの交流はやっているようであります。
 4ページが「(2)どのように海外の学校と交流しましたか」。これは「実施していない」がかなりの数でございます。「オンラインでの交流」というのは若干ございます。
 今後の予定として、国内とはこうやっていきたいというのが5ページでございます。6ページが、「(4)海外のユネスコスクールとの交流を予定していますか」ですと、「予定していない」というのがかなりの数です。
 これは、本教育小委員会でもかねがね先生方から、そもそもユネスコスクールというのはASPNetなのだからネットワークであると。そういうことから言うと、個々の拠点がユネスコスクールとして活動することと同じくらい、あるいはそれ以上に交流ということが大事じゃないかということを言われている中で、何がネックになっているのか、あるいは行政としてはこういうことをしたら、もっと交流が深まるという辺りを教えていただけると有り難いのですが。

【笠委員】
 やはり率直には予算なのでしょう。海外との交流というのは、一つは。どうなのですか。行き来するというようなことが本当はできるといいわけですよね。

【安西委員長】
 予算と、恐らく時間というのか忙しさと、それから先ほどの出張とか、いろいろなことで許可を取らなければいけないなど、そういうことが重なっているのではないかと想像します。

【大津委員】
 前回の会議でも少し申し上げましたが、ユネスコスクールに登録されている学校が、全てでないにしても、やはり今おっしゃられたように、何らかの形で海外と交流したいという、そういう希望を持っているのですが、何が一番難しいかというと、相手学校が見つからないというか、どうやって探したらいいのかということ。これは逆の立場で言うと、突然海外の学校から何か交流してくれと言われても、なかなか動けないので、そこに何かしっかりとした、それこそネットワークがあれば、安心してできるのです。
 ですから、今、中国との関係、韓国との関係が大変厳しい中で、日本のユネスコスクールは、こういう時代だからこそ韓国とか中国のユネスコスクールと若い世代が交流するというのが大変意味があると思うのですが、やはり今、停滞しているのが現状です。私が前に少しお話ししました教育大学の附属札幌中学校でも、今、韓国とも中国とも、実は交流が停止しています。それは政治的な理由なのです。しかし、先ほど御報告いただきましたように、ユネスコスクールだから、政治とは別にやっぱりこのパイプをつないでいきましょうという、そういう力を持ってこそASPNetだと思うんですね。
 ですから、その辺はむしろ、何とかASPNetで、とりわけ東アジアにおける若い世代の交流というのをむしろ私は、とにかくどこの学校がユネスコスクールで、どこが窓口で、そこに連絡したら、何回かの打合せを重ねたらできますよということが分かれば、恐らくもうちょっと道が開けるような気がいたします。

【安西委員長】
  ありがとうございました。

【岩本国際交渉分析官】
  その点ですが、今、私どもから委託事業としてACCUに、ACCUは既にユネスコスクールに関するホームページを持っているわけでございまして、そこではユネスコスクール関連のイベントでございますとか、ベストプラクティスなんかも載せているわけですが、そこに外国の学校と交流ができるきっかけになるようなソフトができないかというのを、今年度、委託して開発してもらっているところであります。ですから、そういったことはもちろんやっていかなくてはいけないと思います。
 それから、先ほど笠先生のおっしゃった、確かに予算の問題はございます。これは私の考えですけれども、普通役人の考えることは、2014年のユネスコの世界会議が終われば、もうユネスコに対する義理は果たしたでしょうということで予算を減らされるというのが予想されますので、そうさせないためにも、例えば今、韓国と中国とアメリカとやっていますが、それだけでいいのかという問題もあるわけです。そういった意味での交流の幅を増やしていくということ、それは行政としてもやっていかなくちゃいけないのかなと思うわけであります。
 一方で、国内、国外との交流をするに当たって、学校の中、あるいは先生方の方で、いや、そんなことを文科省が言ったって、子どもの安全があるから、あるいは学校の中のしきたりというものがあって、そういうのじゃできないのだよ、ということがあれば、それはむしろ教えていただいた方が、私どもとしては、そこは初等中等教育局なり、そういったところに何とか直してくださいよという言い方ができるのですが、そこら辺はいかがなものなのでしょうか。

【安西委員長】
 まず笠委員の言われた予算のことは、究極的には本当に大事な基本ですので、これについては、是非今後もとにかく持続的に応援していかなければいけないと思います。本当に予算が足りないと思います。この事務局もそうですし、それから、ユネスコ活動、ESD活動自体がそうだと思います。全国大会をやるのでも、とにかく地域で何かやって、そこへ子どもたちが集まるといっても、そのための資金がなかなか取れないという状況はあると思います。お金があればいろいろなことで、今岩本さんが言われたように、ルールというか、暗黙のしきたりの方は何とか突破していけるのではないかと思います。

【大津委員】
 今のことに関連してですが資料129-7に東アジア地域における教職員交流のデータがございますが、例えば、このプログラムで韓国あるいは中国から招へいされて日本に来られた先生方というのは、やはりキーパーソンになると思うのです。単に日本に来て、どこか訪問して交流を深めた、それでおしまいじゃなくて、恐らく関心を深めて帰られたでしょうから、こういう実際に日本に来られて、ユネスコスクールの交流をされた先生方の学校がどこで、連絡先がどこで、その方が実はちゃんと窓口になってくださいますよということ、あるいは窓口にこれからなってくださいねというようなことを、ひょっとしたら、もうこのプログラムで行っていらっしゃるのかもしれませんが、人の交流、この交流事業を何かもう少し活用して、さらに交流を広げていけるようなパイプとしていかがでしょうか。

【岩本国際交渉分析官】
 おっしゃるとおりこの交流を縁にして、例えば横浜のある小学校を訪れた韓国の先生が、そこでもらっていったアサガオを韓国に持っていって植えたら、ちゃんと育ったと。そこへその横浜の先生が韓国へ行って非常に感激して交流が進んだという例もございます。全部が全部とはいかないのですが、そこら辺はACCUの方で具体的にそういう経験から基づいて、交流をどういうふうに促進させるとかなんかはおやりですか。

【島津氏(公益財団法人ユネスコアジア文化センター(ACCU))】
 それでは、ACCUの島津でございますけれども、少しお話を申し上げます。今、岩本分析官の方からありましたように、中国もそうですけれども、韓国の教職員の方が来られますと、その方のかなりの学校は、日本の学校と交流をしたいと言われる先生がいらっしゃる。特に校長先生あるいは教頭先生など学校経営に近い方はそういう観点でお越しになられます。日本から行くときもそういう学校に行くものですから、そういう希望がございます。
 例えば、今、話がありました韓国の新龍山という学校がソウルにございますが、そこの校長先生は日本の学校と交流をしたいというお気持ちでおられました。その学校の先生が日本に来られました。来られたときに、横浜の永田台小学校というところを訪問されました。訪問されて、永田台の小学校の校長先生とも話ができて、交流をしようということになって相互交流が始まったんです。それで、今、アサガオの種ということもありましたが、こういう格好でも交流をやっておりますし、現実に、去年の夏は、新龍山の先生方と生徒さんも、児童ですけれども、生徒さんが一緒に来られまして、永田台小学校を訪問しております。そういう形で実例として出てきているのです。
 私どもACCUとしては、ユネスコスクールのホームページで、マッチングサイト、要するに海外からの希望があって交流をしたいと言われる方と日本の学校で交流をしたいという、そういう両方がマッチングできる条件をいろいろ出し合って、こういうことをしたいんだということをするサイトをホームページの中に作るという、それを今準備しているところでございます。
 韓国にガルサンという小学校がございますが、ガルサン初等学校というのは、これは済州島にある。こういうのも先生の交流がきっかけになりまして、日本を訪問したところの先生と、大体校長先生ですけれども、そこと話が合うと、その後も交流をしたいということでつながっていくのです。それがずっとつながっているのですね。私どもが去年発表しました過去の歴史のところでこういう学校がございますよという報告書を出しましたが、このような格好で、先生方はお互いに来て学んでいったものを交流したいというのがございますので、大津先生が今おっしゃられたことを現実に今やっておりますので、広がっておりますというふうに申し上げた方がいいと思います。

【大津委員】
 ですから、当事者校同士の交流はものすごく深まっていくと思うのです。それはとってもよく分かるのです。まだ交流の機会に浴していない地方の学校でもそこにアクセスができて、今のマッチングサイトみたいなものがあればとってもいいと思います。是非進めていただきたいと思います。

【田村委員】
 それに関して少し申し上げますと、やはり予算なのですね。ACCUがやる場合も、結局、自分のところでお金を賄わなきゃいけないのです。それを文科省の方で少しでも予算を見てくだされば随分やりやすくなるのです。だけど、文科省も今、財政的に厳しいからそう簡単にもいかないということで苦しいのですけれども、その辺は政治家の先生に是非受けとめていただいて。とってもいいことが行われているんです。文科省の仕組みというのは非常にうまく機能し出しているので、それを支えていただけると有り難いなと。今の大津先生の考え方はACCUで実際にもうやっていますので、是非それを支えるような財政措置をお願いしたい。

【岩本国際交渉分析官】
 若干でございますが、パートナーシップ事業で、今のマッチングサイトの方には文科省から委託をしているところで、もちろん私どものパートナーシップ事業の予算自体も前年度よりは減っているような状況でございますので、それでは何ともしようがないのですが、御指摘の線でホームページの充実を進めていきたいと思います。

【田村委員】
 ついでですが、私の経験では、実は私の学校で中国との交流をやっているわけです。これは北京に月壇中学という有名な日本語を教える学校なのですけれども、そこと長い間交流しているのですけれども、今回、恐らく北海道の場合も、反日デモでもう安全が確保できないということでやめたというのが理由だと思うのです。正式に言うと、向こうはノーとは言わないのです。だけど、「安全は大丈夫か」と言うと、「それは責任を持てない」という言い方になってしまうので、どうしても動けなくなってしまうのです。実は月壇の方も交流したいのだけれども、政府としてはそういう対応だと。こっちから行く生徒に、「そう言っているけど、行くか」と言ったら、「行く」というのが出まして、10人近く出たんです。それじゃ、先生も二人つけて決死の覚悟で行ってくるかというので、昨年の暮れに行ったんです。まあ、行ったら何ということはないのですけれども、そうしたら、今年になってから、向こうからまた10人ぐらい来ました。向こうから来るのは別に問題ない。だから、交流は実際にはできるのですね、学校レベルでやっていれば。ただ、政府が反日デモみたいなときは安全に責任を持てないという言い方をされてしまうものですから、そういう意味では、今回ACCUに、例の教員の交流をやっていいという返事が中国から来たというのは、これはとっても大きなことだと思うのです、安全に責任を持つという意味ですから。そういう意味ではチャンスだという気がしますので、民間のそういう努力は別として、少しずつでもいいからつなげていかないといけない。これをやめてしまうと、回復は難しいんですね、経験的にも。

【安西委員長】
 全くそのとおりです。

【田村委員】
 何としてでもつなげていきたいと思っています。

【川田教授】
 今の話と関連するかもしれませんけれども、ユネスコスクール同士が交流する際に、非常に残念なことに、海外のユネスコスクールがどういう活動をしているのかというようなことが学校の現場の方になかなか伝わっていないのではないかと思います。それぞれの国のユネスコの国内委員会等がそれぞれの国のユネスコスクールの活動をアップしているページがあって、私はドイツとオーストリアとアメリカとを見させていただいているんですけれども、非常に立派なページです。ただ、当然英語で書かれていたりドイツ語で書かれていたりというようなところでハードルが高くて、それぞれの学校の、特に小学校等がそこにアクセスするのはなかなか難しいというようなところで、そこのところを何か中間的に誰かが「こんな活動があります」というのを紹介するようなことがあったりとかすればいいですね。
 あるいは逆に、日本側からの発信、英語での発信というのは極めて少なくて、日本の学校がどんなことをやっているのかということが、多分海外の学校にはあまり知られていないのではないかと思うのです。それが分かっていると、あっ、日本のこの学校とつながりたいという、逆に海外からのオファーが来るという可能性もあると思うのですけれども、その情報発信のあたりが一つの可能性として、先ほどのマッチングのサイトみたいなのがあるというのも非常に重要ですけれども、それぞれの学校が発信しつつ、様々なコンタクトのルートを持っているというのがよろしいのではないかと思っております。

【安西委員長】
 ありがとうございます。私が見ているところでも、そういう広報活動、あるいはそういうコミュニケーション活動が、結局、事務局、文科省のユネスコ国内委員会の予算が少な過ぎるのではないかというふうに見える。ホームページの更新にしても、例えば英語で発信するにしても、何だかんだ言って予算がかかるので、そこを手厚くしてもらいたいと思ってきておりますが、なかなか事務局もそこのところをあまり言わない。お金が足りないとあまり言わないので。でも、多分足りないのではないかなと思います。大学関連もいろいろ関わっておりますが、大学関連はグローバル人材育成というと、それなりに予算も出て、いわゆるトップレベルと言われている大学にはある程度供給されるようになっているのですけれども、こういう意味での初中教育の国際化というのでしょうか、そこのところは日本の教育政策としてもほとんど手が打ててないのではないか。そこは予算をきちんとつけて、このユネスコスクール、ESDを一つの核にして、小さいときから世界の中で生きるということを教える環境を作っていっていただけるといいと思います。少し広い話で恐縮ですけれども、そういう予算立てのシナリオを骨太できちんと作れるといいと思います。

【黒田委員】
 正に予算が重要ですね。特に中国、韓国をはじめとした国々との教員交流の規模をいかに維持して、できれば拡大していくかということが非常にコアな課題になっていくんだろうと思うんですけれど、以前は青年招へいと言っていたり、その後はジェネシスだったり、今は、きずなプロジェクトという形で外務省が中心となって青年交流をかなりやっている部分があるのですけれど、そこの中に教員が位置付けられているときとそうでないときがある。国によっても違うというようなところがあって、もう少し明確に教員の国際交流をやっていくことが、日本にとっても非常に大きな意味がある、つまり学校現場の国際化にもつながっていくというような意識を持ってほかの省庁にも働きかけていくことが重要だと思います。予算を、もちろん文科省としての予算としても拡大していただきたいわけですけれど、他省庁の予算も有効活用していくということができるのではないかなというふうに思います。
 あともう一点だけ、先ほど手島先生の方から2,000校という数字が上がったのですけれど、このことについては、ユネスコスクールをどのぐらい拡大していくかというのは、何度もこの場でもこれまで議論があったかと思うのですけれど、質を高めていくためには、あまり多くしていくのはどうかというような御議論があるのは理解しているのですが、私もやはりある程度のクリティカルマスといいますか、規模がユネスコスクールにあるということが、正に予算を獲得していくためにも、意識といいますか、フィージビリティを上げていくためにも重要なのではないか。あまりストイックになって、確かに500校というのは、急激に拡大しましたので、少し立ち止まって充実ということは当然あるかとは思うのですけれど、もう少し数を多くしていくということは重要なことではないかというふうに思っています。

【安西委員長】
 2,000校というのはどうですか。

【岩本国際交渉分析官】
 そもそもシーリングというか、目標というのをどう立てるかということなのです。直接のお答えにはなりませんけど、つい2週間ほど前、ユネスコの執行委員会がございましたので、ユネスコスクールの担当官と話す機会がございました。そのときにユネスコの担当官が申すのは、かねがね500校というお話は聞いておった、で、550校まで来たねと。それで、「ついさっき30校またサインしたよ」ということでしたが、公電が昨日来まして、550校が580校になったわけです。それで、「岩本さん、ところで、シーリングを設けなさいとは言いませんけれども、どうやって質の担保を図っていくんですか」というお話がございました。私どもの方から、当然のことながら、昨年教育小委員会でガイドラインを設けていただきまして、これは排除するための基準ではなくて、エンカレッジするための基準としてこうやっているから、これがASPUnivNetですとか、そういったことで全国の質を維持していくことにはなるであろうというお話をしたのです。
 そのとき向こうから問いかけられたのが、世界にユネスコスクールが9,600校ある。そのうちの550校を日本が占めている。もちろん1割にも満たないわけですけれども、逆に言うと、日本のユネスコスクールの質が落ちるということは、世界のユネスコスクールの質にも影響するのだから、そこの質のことはよく考えていただきたい、と念を押されました。
 ユネスコスクールネットワークの一つの特徴としては、各国にユネスコスクール・ナショナルコーディネーターというのを置くこととされております。これは今まで私どもの浅井前国際協力政策室長がやっておって、今空席になっているので、早急に決めなければいけないのですが、ユネスコの担当官が私に問いかけてきたのは、「では、この一人のユネスコスクール・ナショナルコーディネーターが550校全部の質を見ていけるのですか」と。「それは大丈夫です」と言ったのですけれども、例えば韓国などでは、ユネスコスクールは、たしか100とか200とか、その程度の数だったと思います。その代わりユネスコスクール・ナショナルコーディネーターというのが、申請の2年前は国内版ユネスコスクールとして徹底的に視察をして指導して、それで良くなったらユネスコに申請するという仕組みを取っている。タイの場合ですと、シスタープロジェクトと称しまして、ユネスコスクールになっているところがユネスコスクールになっていない小規模で貧しい地域の学校を、むしろユネスコの理念というものを啓もうするということで、必ずしもその小さい学校にユネスコスクールになれとは言っていない。そういうやり方もあります。それはあくまで各加盟国の意思ですから、それは日本でお考えいただければ結構なことなのですが、ということを言われました。
 したがいまして、私どもとしては、もちろん日本の特色としては、一方でASPUnivNetというのがあって、大学の先生方にユネスコスクールというものについて支援していただいている。これはほかの国には見られない特徴でございます。それと、当然のことながらACCU、さらには日本ユネスコ協会連盟も、そして三菱東京UFJ銀行をはじめとする民間のお力もかりてなっているところであります。ですから、その意味ではユネスコスクール・ナショナルコーディネーターという一役人がやればいいというものではなくて、皆さんのお力でやっているわけですが、そういった中で2,000校、そのことについて、本当に胸を張って、どこの学校も承認されてから5年、10年経っても、ちゃんとユネスコの理念に共鳴して活動していますということが言えるようになるかどうか、そこら辺が私のうまく答えられなかったところでございまして、むしろそこら辺を先生方に教えていただきたい。そんな心配することはないよ、2,000校だろうが、3,000校だろうが作ったらいいのだよというのも、それは一つのお考えでしょうし、そこら辺はむしろ教えていただきたいというのが私の心境です。

【安西委員長】
 500校を目標にやってまいりまして、一応数は超えたので、次の目標を、数値目標というか、具体的な目標をどこに設定するかということは、今日ではなくて結構なのですけども、一度、是非、議論する機会があればと思います。
 日本はほかの国とまた違って、普通にしていれば、島国の中で内輪に暮らしてしまうことになるので、そこを飛び出して、小さいときから世界に触れていくためには、特にユネスコスクールがその一つの核になっていくということを本当に覚悟してやるのであれば、どういうやり方があるのかという、そういう考え方もあるとは思います。ただ、やるのは大変だとは思うので、そこは本気でやるかどうかということだと思いますけれども、そういったことも議論できるようになるといいと思います。

【田村委員】
  中国と韓国だけでも、教員交流で毎年300人ぐらいは来るのです。その来た300人の人が行く学校はユネスコスクールなのです。基本的にそういうふうにしようというふうにやっているわけです。その際、毎年300人来るので、そうすると、こっちに何校ぐらいユネスコスクールがあればいいかなというのは、一つの数字としては、あまり少な過ぎると同じところに何回も行くことになってしまいますし、多過ぎると何年も来ないということになってしまうので、それはもし中、韓ということで考えると、大体私の感じでは1,000ぐらいはあった方がいいのではないか。しかも全国的に広がって。そうすると、中国から、韓国から来た先生方が、何年かに一遍ぐらいは行ってもらえる。そこから交流の芽が出てきて全国的にも広がる。その範囲の考えなのですけれども、一つの見方かなと思っております。文科省は予算のことがあるから思うとおりにいかないですけれども。

【安西委員長】
 そうだと思います。

【岩本国際交渉分析官】
 もう一つ先ほどからお話が出ていますように、ユネスコスクールの全くない県がある。これが資料129-10の表では6県、もう準備過程のものを除けば、あと2県だけになっております。これは何とか解消したいというのが一つございます。
 あと、学校種の問題であります。日本の場合、ユネスコスクールのうちの5割近くは小学校でございます。これは実は世界的に見ると、アフリカは、中学校、高校の絶対数が少ないですから、それもあって小学校の数が多いのですけれども、欧米は割と高校が多いですね。そこら辺をどう考えていくのか。小学校でユネスコスクールということで一生懸命ユネスコの理念を考えてきた。ところが、自分が進学した学区の高校にはユネスコスクールは全然ないということがある。それでいいという考え方、それでは悪いという考えもあるのかもしれません。そこら辺は一つのまた目安になるのかもしれません。

【安西委員長】
 ありがとうございます。
 そろそろとは思いますが、今の小、中、高では、私の専門の認知科学の見地から言うと、発達段階によって違うメリットがあるので、全ての段階について質も高め、それから地域間の違いもなくしながら増やしていけるといいのではないかと思います。
 あとはよろしいでしょうか。まだ時間はありますけれども、大変貴重な御意見をたくさん頂いたので、事務局で整理していただいて、委員会として集まっておりますので、事務局サイドには戴いた御意見を整理して、できることはきちんと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。特に来年は世界大会で、ユネスコの全体もそうですけれども、ユネスコスクール世界大会が開かれます。そこへ向けて、またその後についてもいろいろ考えられると思いますので、個別に御意見がありましたら事務局にお寄せいただければと思いますが、よろしいでしょうか。御意見があれば、6月14日金曜日までに事務局宛てにメール等で頂きたいということであります。よろしくお願いいたします。
 それでは、もう一つ議題3、その他ですけれども、ESDの訳語の取扱いについてという件がございまして、事務局から説明いただけますか。

【籾井国際戦略企画官】
 御説明いたします。資料129-12「ESDの訳語の取扱いについて」という資料を御覧いただければと思います。
 委員の方々御承知のとおり、平成20年にユネスコ国内委員会教育小委員会の提言を受けまして、文部科学省におきましてはESDの訳語につきまして「持続可能な発展のための教育」というふうに訳した上で、略称として「持続発展教育」という文言を用いてきております。これは、開発という文言を使うと、どうしても学校現場では開発途上国のことである、自分たちとは関係ないというふうに限定的に捉えられがちだということと、長いとなかなか教育現場では浸透しづらいということで、「持続発展教育」という略称を用いてきたということでございます。
 他方、他省庁におきましては、「持続可能な開発のための教育」という訳語を使用しておりまして、資料の中に参考として実際の使用例といたしまして二つ挙げてございますが、環境基本計画、それから環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針といったような閣議決定の文書におきまして、「持続可能な開発のための教育」という言い方をしております。
 これまでこういった二つの言い方が混在する状況で各省庁それぞれ使ってきておったところなのですが、来年のユネスコ世界会議に向けて、こちらは環境省ですとか外務省ですとか、そういう関係省庁とも連携をとりながら政府一丸となって準備をしていくわけでございますけれども、そういった場合に、政府文書内に二つの文言が混在しているということは混乱を招くということで、会議の準備を加速させていく必要もございますし、会議に向けて予算を獲得していく必要もございますので、政府として作成する文書におきましては、ユネスコ国内委員会の提言はございますけれども、今後「持続可能な開発のための教育」で統一させていただきたいと考えております。
 それに伴いまして、来年の世界会議の名称につきましても、「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」というふうにさせていただきたいと思っております。ただし、「持続発展教育」という文言につきましては、教育現場においてはかなり広く使用されているというふうに承知しておりまして、教育現場において引き続き現場の判断で「持続発展教育」というふうにお使いいただく分には、必ずしもそこまで開発に切り換えてほしいということではなくて、現場の判断で発展教育という文言を引き続き使っていただくことについては認めていくという、事務局としてはそういうふうにしたいと考えておりますが、先生方の御意見を伺えればと思います。

【安西委員長】
 ありがとうございました。何か御意見はありますか。

【榎田委員】
 どうも違和感があるのですが、「持続可能な開発のための教育」に関するうんぬんというのは、それはそれで一つの字義としては正しい訳なのかなとは思うんですが、「ただし、うんぬん」ということをなぜ書くのか。というのは、ここに参考4としていただいているユネスコ関係略語対訳表の括弧の中にちゃんと「持続発展教育」と書いてあるのですよ。だったら略語は持続発展教育ですよと言っておけば済む話ではないのか。あえて「ただし」とやって、「教育現場においては」という言い方をするということは……。教育現場とは何なのか、教育現場以外はだめなのか。例えば、今日、資料129-11で教育振興基本計画が答申を戴いておりますが、ここに括弧で「持続発展教育」と書いてあるわけです。ここら辺のそごがあるので、略語については「持続発展教育」ですよ。しかし、フルでいくと「持続可能な開発のための教育に関するうんぬん」というのですよ、というならまだ分かるのですが、どうして事柄によっては、先ほどのESDは「持続可能な開発のための教育」と言いながら、DESDでは「発展」にし、UNDESDでも同じように「発展」にしている。何か微妙にずれがあるのは何なのだろうか。それは単なる調整のずれなのかどうかということを教えていただきたいと思います。

【岩本国際交渉分析官】
 すみません、ちょっと資料の不手際がございまして、訳語集の方でESDを確かに「持続発展教育」としておりますが、これは実はこの資料12についての皆様の御意見が出るまでは、今までどおりのものを踏襲したということでございます。
 それから、資料129-11にございます教育振興基本計画でございますが、これが実は籾井国際戦略企画官がお諮りしている本当のところの具体的な論点になるわけであります。
 今、教育振興基本計画の答申ということでおまとめいただいているのは、「持続発展教育」でございます。ユネスコ国内委員会教育小委員会の提言を踏まえ、ユネスコ国内委員会の事務局である私どもとしては、「持続発展教育」ということで、こういう案にしているわけであります。もちろん中央教育審議会には安西先生、田村先生にお入りいただいておりますので、当然そういう文言になっているわけであります。
 ここから先は役人の世界になりますけれども、閣議決定というものをやるためには各省に御相談しなくてはいけません。そうすると、各省、省によってはといいますか、政府の公的な文書では「持続可能な開発」というのが定訳であるということで、このために夜中の2時3時まで議論をするのが好きな役所もございます。そこまでしてやっていくのかという話と、あと、籾井国際戦略企画官が説明申し上げましたように、これから2014年の世界会議を各省が一緒になってやっていかなくちゃいけない。そのために、ちょっと特別な予算取りも工夫しなくちゃいけないという中で、ある役所は「持続発展教育」と言い、ある役所は「持続可能な開発のための教育」と言っていると何をやっているのという話になるわけであります。
 そこで、私どもの御提案としては、政府の使用する文書においては、大変申し訳ありませんが、「持続可能な開発のための教育」ということでいかせていただきたい。ただし、正にこの「ただし」のところを、ここまで書くかどうかというのは、さんざん迷ったのですけれども。何も言わない、何も言いません、何もなかったかのように皆様おやりくださいという趣旨で私どもはいるのですけれども、そこをあえて強調して書いたというのが趣旨であります。私どもとしては現場の先生方が、「おいおい、この前まで文科省は持続発展教育と言っていたのに、公的な文書を見たら、また開発に変わっているよ。何だ。」と言われるのは、ちょっと困ったなというので、このただし書きを付け加えたような次第でございます。

【榎田委員】
 悩んだ結果ということなのですか。

【安西委員長】
 妥協の結果だと思いますが、それがないと全国の教育現場にそれこそこれを使わなければいけないのかと思われてしまうと全く逆のことになってしまうということではないかと。ただ、これは大事なので、既に教育現場では「持続発展教育」ということで使われていますので、それは全く変えなくていい、こういうことだと認識しております。教育現場以外でも言いますし、細かいですけど、今、榎田委員の言われた教育現場というのはどこまでを教育現場と言うのでしょうか。家庭も教育現場だと思いますが。

【榎田委員】
 そういう意味においておっしゃるのだったら、「ただし、引き続き持続発展教育を用いることを可とし、それぞれの判断に委ねることとする」くらいなら、まだいいのですが、「教育現場において」というふうに限定をかけられると、教育現場とは一体何なのだという議論が。教育委員会はそれじゃだめなのかとか。

【安西委員長】
  そういうことがあるかもしれません。

【榎田委員】
 あまり難しくする気はさらさらありませんので、多少ずれているなというのが印象だったものですから。

【岩本国際交渉分析官】
 すみません。これは平成20年の提言のときの言い方が「さらに教育現場においてより分かりやすく、使いやすい表現にするために持続発展教育と略して、その概念の普及促進を図るべきである」というところから、その教育現場をそのまま持ってきてしまったのですね。ですから、その場合の教育現場というのは、学校教育もあるし、教育委員会行政の中で学校を指導する場面も出てきましょうし、さて家庭教育が入るのかと言われると、入らないとは言えないですな。

【安西委員長】
  事務局もいろいろ苦労されたと思いますので。

【岩本国際交渉分析官】
 そうしますと、先ほど榎田先生が修正された文のような理解でいくということでよろしゅうございますかね。

【安西委員長】
 理解というのは。

【岩本国際交渉分析官】
 つまり、今後議事録に残すに当たりまして、このとおり了承されたという御理解でいくか、あるいは……、そんなに大して違いはないのでしょうけれども。

【加藤国際統括官】
  学校現場を落とすか。

【岩本国際交渉分析官】
 そうです。

【安西委員長】
 「ただし、引き続き」、としましょうか。

【岩本国際交渉分析官】
 「ただし、引き続き」と。

【加藤国際統括官】
 学校現場を落とすと、政府も使っていいことになるからまずい。学校現場を残すべきだと。

【安西委員長】
 そうでしょう、恐らく。

【三木委員】
 「可とする」と書いてあるから例外みたいになるのですね、その最後のところに。むしろ、ただし政府全体ではこの長いのでいいよということを言っているのでしょうから。違うのですか。

【安西委員長】
 そうです。

【三木委員】
 この「ただし」以下がなければ、別に何もなくて従来どおりですよ。ただし、他省庁の関係があって、全体ではこういうのを使いますよと、こう言っているわけですね。

【安西委員長】
 そうです。

【三木委員】
 趣旨はそういうことらしいのですけど、はっきりさせるために書くのはいいけど、「可とする」という、この言葉が、榎田先生がおっしゃった言葉なのではないかなと。

【安西委員長】
 きちんと読めば三木委員の言われるとおりです。政府の文書においてはこうすると言っているだけで、それ以外は……。

【岩本国際交渉分析官】
 確かに。「可とし」ではなくて、こうしたらいいのですかね。「ただし、教育現場において引き続き持続発展教育を用いることについては、それぞれの現場の判断に委ねることとする」と。

【榎田委員】
 言葉に落差があるのですよ。前段では、「政府として作成する文書においては」という重い部分と、「ただし」以下が日常的で、上は限定的にそこで使う文書はこうしますよ、それでもう終わっているのにも関わらず、あえて「ただし」とつけるところにちょっとこう微妙な、何なのでしょうかという感じがある。
 まあ、あまりこのことで時間を取る気は全くありませんけど、少し違和感があるというぐらいのことですので。

【安西委員長】
 これはもう決まっているというか、実はもうこれでいくことになっている。ここで文章を修正できないのではないですか。

【岩本国際交渉分析官】
 いえ、そういう趣旨ではございません。私どもフレキシブルでございまして、むしろ今までずっと使われていらっしゃる先生方の先ほどまでのような御意見を賜れば、この文章に、拘泥するものではありませんので。

【安西委員長】
 そうすると、この「ただし」以下はなくてもいいような気はしてきますけどね。ここにおられる委員の方の御意見が通るのであれば、御意見を是非頂ければと思いますけれども。

【榎田委員】
 少し確認なのですけれども、これは内部的な整理ですか。どこかへ文書を出されるのですか。

【岩本国際交渉分析官】
 いえ、そうではございません。ただ、当然のことながら、これはホームページにも載りますし、議事録もホームページに載りますから、一応透明性という意味では、どういう結論になっているかということは何らか示す必要があるのかな、と。それと、今日は他省庁、外務省からもおいでいただいておりますし、そこら辺のことも持ち帰られたいと思いますので。

【田村委員】
 感じなのですけども、「持続発展教育」にしたときの議論というのに立ち会っていたものですから思い出すのですが、世界的には、つまり、開発途上国の数がほとんどなのですね。ユネスコのような会議になると、もうその意見が主流を占めてしまうわけですね。それは開発という言葉が入ってないと絶対に何も受け付けないのです。ところが、先進国の幾つか、ドイツなんかその例ですけれども、日本も含めて、開発に対してアレルギーがあるのであまり使いたくない。その関係で、たしかあのときに持続発展教育という言葉になったのかなというふうに覚えているのです。
 ただ、世界会議を来年やるわけですから、その準備になると、やっぱり開発を入れておかないといけないのかなというふうに受けとめたのですけどね。まあその程度の感じなのです。世界の流れと日本が置かれているのはちょっと違う。それが世界会議で出てくる可能性があるだろうというので、外務省のお立場なんかだと、確実に開発を入れろという話になるだろうと思うのですね。文科省の場合には、内部の先生方の意見はやはり開発は少しどうかというような感じがありますからね、今さら開発でもないでしょうということなので、その辺の難しさがあると思うので、表現の仕方としては、「ただし」以下は要らないのではないですか。これは入れておかないといけないですかね。

【川田教授】
 この文章を、現場のユネスコスクールなり、学校の先生が見たときにどういうふうに捉えるかという観点が極めて重要なのではないかと思うのですね。私が確たる結論があるというわけではないのですけれども、この「ただし」以下を抜いたときに、「持続可能な開発のための教育」で統一されたのだというような印象を受けてしまうのか、それとも「持続発展教育」は引き続き使っていいのだというふうに認識されるのかという辺りを少し吟味されるとよろしいのではないかと思います。

【安西委員長】
 そこで決まると思いますので、そうすると、手島先生とか……。

【三木委員】
 これを用いる、でやむを得ないのですけれど、「可とし、現場の判断に委ねる」というところになると、本当はこの長いのにするのだけれども、今までどおりでもいいですよという意味になってしまいますから。結局、文科省においては、今までこうしてきた。しかしながら、他省庁の関係とか世界の関係があってこれを変更するので、そういうことをお含みくださいというほどの意味で、文科省としては従来どおりやりますよ、というなら、むしろ従来どおり、というのでは言葉が強いけれども、「引き続き用いる」で終わったほうがいいのではないですか。

【安西委員長】
 ただ、文科省としても政府ですから、政府としては、公式文書では開発という言葉を文科省も使うことになるわけです。

【田村委員】
 これは振興基本計画には入ってないのですよね。変えるのですか。

【岩本国際交渉分析官】
 すみません。先ほど言い忘れました。教育振興基本計画は、今度閣議決定になりますので、閣議決定のときには当然多数の省庁は開発に改めるべきであるということを言ってきましょうから、もうあらかじめ、こう言ってはあれですけれども、ここで申し上げたいのは、答申案では「持続発展教育」と書いてありますけども、閣議決定文書では「持続可能な開発のための教育」、そういうふうに変わりますということを予告しているようなものです。

【田村委員】
 では、動かせないのですね。

【安西委員長】
 ですから、決め方としては、川田先生が言われたように、それこそ教育現場あるいは教育委員会等々が混乱するかどうかということだと思いますが、それはいかがでしょうか、手島先生とか榎田先生とか。

【手島校長】
 私はESDという言葉に出会って、その概念は何なのだろうとずっと考えて、ネーミングはものすごく大事なので、現場に分かりやすいネーミングが何かないかということをずっと考えていました。でも、半年かかっても、本当にいいネーミングは出てこなかったのですね。「持続可能な未来のための教育」とかというようなことで自分では落としていたのですが、「持続発展教育」という言葉を文科省でこうやって使っていただいたとき、まあこの辺が落としどころなのだろうというふうに私は理解しておりました。実際この「持続発展教育」で現場は動いていますので、これはなしにするということはなくて、教育現場において引き続き「持続発展教育」を用いるという、その部分だけ残していただいたら、私は有り難いなと思います。

【安西委員長】
 そうすると、恐らく現場としてはこの部分が残っていた方が分かりやすいということでしょうか。

【手島校長】
  はい。

【安西委員長】
 榎田先生はいかがですか。

【榎田委員】
 これは感覚なのです。少し最後の現場の判断に委ねて逃げているなと。

【黒田委員】
 三木委員のおっしゃったように「用いる」で止めるのはよくないですか。

【岩本国際交渉分析官】
 「ただし、教育現場における持続発展教育の語の使用について変えるものではない」とか、そんな感じですかね。

【榎田委員】
 例えばこのパンフレットの題名は変わるのですか。

【岩本国際交渉分析官】
 日本ユネスコ国内委員会の名義で出しておりますから。

【榎田委員】
 これは変わりませんか。

【岩本国際交渉分析官】
 日本ユネスコ国内委員会の御提言を今ひっくり返す話ではございませんので、日本ユネスコ国内委員会の御提言はそのまま続いているのかなと思いますので、ユネスコ国内委員会のクレジットの……。

【榎田委員】
 こういうところを変えられると、話はややこしくなるんです。「学校で使うのはいいよ、でも…」というふうになっては、一般的には正にここに書いてあるように、「閣議決定を要する文書等、政府として作成する文書における訳語は」というふうに限定的に使われるのは、これはやむを得ず、文部科学省はしようがなしにやっているんですということがにじみ出ておれば、一方では、ほかでどんどん文部科学省がESDとどこかで出されるときに「持続発展教育」と使われておられるのだったら、この文章があっても特に気にはなりませんけども、それが変わってしまうのだと、学校だけはいいよというのは、いかにも……。

【安西委員長】
 国内委員会というのは政府。

【黒田委員】
 そうですね。政府として作成する文書ですかね、これも。

【安西委員長】
 これは変わりますか。

【岩本国際交渉分析官】
 ただ、日本ユネスコ国内委員会の御提言はあくまで「持続発展教育」というのがいいのではないかということです。

【安西委員長】
 そうですか。提言だからいいと。

【岩本国際交渉分析官】
 まあ提言ですが、そこなのですけど、クレジットは日本ユネスコ国内委員会で、提言を出している本体が変えてしまうのはいいのかどうか。

【安西委員長】
 時間でございますので、今の「ただし」以下につきまして、「教育現場において引き続き『持続発展教育』を用いる。」、あるいは「ただし、教育現場においては引き続き『持続発展教育』を用いることは妨げない。」、この辺りでしょうか。

【黒田委員】
 「用いることは可とする」。

【岩本国際交渉分析官】
 事務局としては、もし先生方がよろしければ、「用いることを妨げない」ということが収まりはよろしいですね。

【安西委員長】
 妨げないというと、少し違和感があるという声もちらほらありまして。

【加藤国際統括官】
 「差し支えない」、「用いる」というのも「用いろ」という方針を強要してしまうことになるのです。これまたよろしくないと思うので。実際皆さんは使われるでしょうけども、文科省の方針として使えと、そもそも20年の提言だって押しつけているものではないのです。

【安西委員長】
 「用いることは可とする」でいかがでしょうか。

【黒田委員】
 いいと思います。

【安西委員長】
 またいろいろなところでいろいろなことになるかもしれませんけれども、教育小委員会としては、「ただし、教育現場において引き続き「持続発展教育」を用いることは可とする」という文面にしていただければ大変ありがたいということでいかがでしょうか。よろしいですか。

【岩本国際交渉分析官】
  はい。

【安西委員長】
  ありがとうございました。

【岩本国際交渉分析官】
  かしこまりました。

【安西委員長】
  以前は、確か私の記憶では、「持続発展教育」ともう一つ「持続開発教育」と言っていたと思いますが、それはいかにもというので「持続発展教育」になった。ただ、今度は「開発のための」と入るので多少柔らかくなっているとは思います。
 それでは、もう一つその他で、国内委員会の関係行事について事務局から報告をお願いします。

【籾井国際戦略企画官】
  参考資料の2でございます。
 今後のユネスコ国内委員会関係行事ということで記載してあるとおりでございます。
 一点、ここには挙がってないのですが、先ほども世界遺産の話が出ましたが、6月16日から27日にかけまして、カンボジアのプノンペンにおいて第37回世界遺産委員会が開催される予定でございます。
 以上でございます。

【安西委員長】
  よろしいですか。
 それでは、日程につきましては、そういうことで進めるということで、御質問はありますでしょうか。
 それでは、教育小委員会はここまでにさせていただきます。
 御多忙のところを誠にありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

国際統括官付