令和8年3月11日(水曜日)15時30分~17時30分
文部科学省3階第一講堂(対面・WEBのハイブリッド開催)
(委員)日比谷会長、田代副会長、道田副会長、天方委員、伊藤委員、井上法雄委員、井上公子委員、井本委員、大竹委員、大谷委員、岡本委員、沖委員、小山田委員、片岡委員、川村委員、北村委員、木下委員、黒川委員、小浦委員、児玉委員、小守林委員、貞広委員、末吉委員、菅原委員、杉村委員、添石委員、髙橋委員、竹村委員、田中宝紀委員、田中正之委員、成田委員、西野委員、野間委員、松田委員、三原委員、若林委員、和田委員
(外務省)灘波国際文化協力室長
(文化庁)則本文化資源活用課文化遺産国際協力室長
(文部科学省)小林茂樹文部科学副大臣、増子文部科学事務次官、平山大臣官房国際課長
(事務局)北山事務総長(文部科学省国際統括官)、岩佐副事務総長(文部科学省国際統括官付国際交渉分析官)、小林事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、加茂下事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、生田目事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官
【日比谷会長】 皆様、本日はお忙しい中お集まりくださいまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【加茂下国際統括官補佐】 本日は会場で20名、オンラインで15名、合計35名の委員に御出席いただいております。委員の過半数ですので、定足数を満たしています。
【日比谷会長】 ありがとうございます。事務局から定足数が満たされているとの報告がありましたので、第158回日本ユネスコ国内委員会総会を開会いたします。
本日の総会は、対面とオンラインのハイブリッドで開催します。なお、国内委員会の規定に基づき、傍聴を希望される方には、Zoom webinarを通じて公開しております。御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。
本日の会議には、小林茂樹文部科学副大臣に御出席いただいております。初めに、小林副大臣より御挨拶を頂戴します。よろしくお願いいたします。
【小林文部科学副大臣】 皆様、御多忙のところ御参加いただきまして、ありがとうございます。文部科学副大臣、文化の振興を担当いたしております小林茂樹でございます。
第158回日本ユネスコ国内委員会総会の開会に当たりまして、御挨拶を申し上げます。
昨年11月、設立80周年を迎えたユネスコでは、エジプトのエルアナーニー氏が事務局長に就任されました。我が国としては、他国間主義が困難に直面する中、教育、科学、文化の分野での国際協力を通じて、心の中に平和のとりでを築くことを目的とするユネスコを改めて積極的に支えていきたいと考えております。そのため、ユネスコ本部に対する人的、財政的貢献を継続すると同時に、国内におけるユネスコ活動のさらなる振興に努めます。具体的方策は、後ほど事務局から御説明申し上げますが、今年は日本のユネスコ加盟75周年という節目の年に当たります。こうしてバッジをつけさせていただいておりますが、様々な取組を進めてまいります。
私の地元、奈良には、「法隆寺地域の仏教建造物」、「古都奈良の文化財」、「紀伊山地の霊場と参詣道の」3つの世界遺産がございます。さらに7月には「飛鳥・藤原の宮都」の登録審議が予定をされております。大変ありがたいことでございます。ほかにも、無形文化遺産やエコパークなど、多くのユネスコ関連資産がございます。こうしたユネスコ関連資産の活用は、ユネスコ活動を持続可能なものとするとともに、高市総理が所信表明で述べられた地方の誘客にもつながってくるのではないかと考えております。
委員の皆様方には、ユネスコへの我が国からの支援のあり方、そして国内でのユネスコ活動の活性化策、これらについて活発な御意見を賜りますようお願いを申し上げ、冒頭御挨拶といたします。1時間ほど御一緒させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【日比谷会長】 小林副大臣、ありがとうございました。
次に、昨年9月2日に開催されました第157回日本ユネスコ国内委員会総会以降、委員の異動がありましたので、事務局から御紹介いたします。
【加茂下国際統括官補佐】 前回の国内委員会総会の審議に基づきまして、昨年12月1日付けで新たに就任された委員を御紹介します。
天方博章委員。井上勝之委員。大竹尚登委員。木下さおり委員。小守林星子委員。貞広斎子委員。杉村美紀委員。田中正之委員。また、参議院の推薦によりまして、昨年12月1日付けで三原じゅん子参議院議員が就任されています。
加えまして、先月開催された文化・コミュニケーション小委員会において、松田陽委員が互選により委員長に就任され、委員長より小浦久子委員が委員長代理に指名されましたので、御報告いたします。
事務局から以上です。
【日比谷会長】 それでは、本日の会議資料について事務局から御説明をお願いします。
【加茂下国際統括官補佐】 本日の配付資料につきましては、議事次第の下のほうにあるとおりでございます。不足等ございましたら事務局までお知らせください。
【日比谷会長】 ありがとうございました。
それでは、議題1、最近のユネスコ関係の動きに入ります。事務局、文化庁及び外務省から報告をお願いします。御意見、御質問などについては、議題2の後にまとめて時間を設けますので、そのときにお願いいたします。
それでは、まず、事務局から報告をお願いします。
【小林国際戦略企画官】 資料の1を御覧ください。第43回ユネスコ総会について御報告いたします。
ユネスコ総会は2年に1回、全加盟国が参加する最高意思決定機関です。今回の総会は、2025年10月にウズベキスタンのサマルカンドで開催されました。日本からは増子文部科学事務次官、北山国際統括官、加納ユネスコ日本政府代表部特命全権大使が政府代表として出席しました。
今回の総会は、アメリカの脱退表明後初めての総会であり、また、エルアナーニー元エジプト観光・考古大臣が新事務局長に就任するなど、ユネスコにとって重要な節目となりました。
増子事務次官の一般政府演説では、ユネスコ創設80周年、日本のユネスコ加盟75周年という節目を踏まえ、ユネスコの脱政治家と改革の進展への期待を表明しました。さらに、日本として、ESDの推進、災害リスク軽減、SIDSへの支援、海洋科学の発展、文化遺産保護などを通じ、国際課題の解決と平和構築に貢献する姿勢を示しました。
続いて、主な議題を4点御紹介いたします。
まず1点目は、ユネスコ事業の予算案です。今年から来年にかけての通常予算として、前年より4.9%減の約6億ドルが承認されました。ただし、各局への配分は決まらず、次回の執行委員会で改定版の予算案や、米国が分担金を払わない場合の計画を提出すること、そして、各局の予算割当ての承認を執行委員会に移譲することが決定されました。
2点目は、教員の地位に関する2つの勧告の改正です。ILOユネスコ教員の地位に関する勧告とユネスコ高等教育教員の地位に関する勧告について、2027年秋の改正を目指す方針が決定されました。
3点目は科学分野の議題です。第42回ユネスコ総会決議に基づいて作成されたニューロテクノロジー、脳神経科学の倫理に関する勧告案が検討され、正式に採択をされました。
4点目は、事務局長の任命です。総会前の第222回ユネスコ執行委員会で58か国による投票を経て指名されていたエルアナーニ―候補について、総会で信任投票が行われ、賛成多数で事務局長に任命されました。
続いて、サイドイベントについて2点御報告いたします。
まず1点目は、ユネスコ/日本ESD賞の授賞式です。この賞は2年に一度実施されており、2025年サイクルでは、ベナン、ブラジル、パナマの3団体が受賞しました。応募件数は過去最多の120件で、受賞式は、昨年11月20日にパリのユネスコ本部で開催されました。日本からは、日比谷日本ユネスコ国内委員会会長に御出席をいただきまして、受賞団体には賞金5万米ドルが授与されました。
2点目は、ユースフォーラムです。135か国から若者が参加し、気候変動に関するユース主導の解決策がまとめられまして、総会で報告されました。日本からは、次世代ユネスコ国内委員会の委員が参加しております。
最後に、下部機関選挙についてです。日本が立候補していた5つの下部機関全てで委員国・理事国への就任が無事に決定をしました。
以上がユネスコ総会の御報告でございます。
【日比谷会長】 ありがとうございました。
続きまして、文化庁から御報告をお願いいたします。
【則本国際協力室長】 文化庁でございます。文化庁からは、世界遺産条約及び無形文化遺産条約について御説明させていただきます。
資料につきましては、附属資料1の50ページから52ページを御覧ください。
まず、世界遺産条約に関してです。
世界遺産条約に関しましては、現在、「飛鳥・藤原の宮都」を世界遺産としてユネスコに推薦しているところでございます。本件につきましては、令和8年7月19日から7月29日の釜山で開催予定の世界遺産委員会において、登録の可否が審議決定される予定でございます。
続きまして、無形文化遺産条約に関しまして、資料の51ページを御覧ください。
我が国の無形文化遺産の関連ですけども、3件の拡張提案を昨年12月にインド・ニューデリーで開催された第20回無形文化遺産保護条約政府間委員会において決定されております。3件につきましては、和紙、日本の手すき和紙技術、そして山・鉾・屋台行事、3件目として、伝統建築工匠の技、この3件が拡張登録されることが決定されました。新規提案中の書道につきましては、令和7年3月にユネスコに無形文化遺産代表一覧表への提案を再提出し、令和8年11月30日から12月5日に中国・アモイで開催される第21回無形文化遺産保護条約政府間委員会において登録の可否が審議、決定される見込みです。
令和7年におけるユネスコ無形文化遺産への提案について、新規提案として神楽と温泉文化を、拡張提案として山・鉾・屋台行事と風流踊り、そして伝統建築工匠の技を提案することを決定いたしました。
新規提案に係る我が国のユネスコ無形文化遺産の審査は実質2年に1件となっております。このため、神楽につきましては令和10年12月頃に、温泉文化については令和12年12月頃に開催予定の政府間委員会において登録の可否が審議決定される見込みでございます。拡張提案につきましては、ユネスコにおける試験的制度運用を活用し、令和9年12月頃に開催予定の政府間委員会において登録の可否が審議、決定される見込みでございます。
以上でございます。
【日比谷会長】 ありがとうございます。
それでは、外務省からお願いいたします。
【灘波国際文化協力室長】 外務省から御報告させていただきます。
まず、昨年11月の第43回ユネスコ総会にて、エジプトのエルアナーニー元観光・考古大臣が第12代ユネスコ事務局長に選出されました。現在、新たな体制構築が進められているところですが、事務局次長として、スウェーデンのアサ・レグナー元UN Women事務局次長、プライオリティ・アフリカ局の事務局長補として、モザンビークのリディア・ブリト元自然科学局事務局長補、コミュニケーション・情報局事務局長補として、ブルガリアのマリア・ガブリエル元ブルガリア副首相兼外務相が、既に任命されております。また、教育局と文化局の事務局長補ポストは、3月3日を締切りとして再公募を実施しており、人選中という状況でございます。さらに、自然科学局と人文社会科学局を統合して新たな科学局とし、そのトップとして事務局長補が公募にかかる見通しでございます。
それから、ユネスコ80という取組について御報告させていただければと思いますが、エルアナーニー事務局長主導により、ユネスコ80としてユネスコ改革が現在検討中でございます。1月末に、エルアナーニー事務局長自ら加盟国に対する情報会合を実施いたしまして、改革の基本原則をUN80との整合性、こちらは国連自身についての改革でございます。それから包摂性、エビデンス重視、透明性、外部コンサルに頼らない内部主導改革としつつ、①効率性、運営改善、②マンデートの実施、③組織構造に関する課題解決を図る旨言及されております。詳細については、本年10月の執行委員会でロードマップ文書が提示される予定でございます。その一環として、自然科学局と人文社会科学局を統合して新たな科学局とされる予定でございます。
外務省からの報告は以上とさせていただきます。
【日比谷会長】 ありがとうございます。
それでは、議題の2に移ります。
議題の2は、ユネスコ日本政府代表部大使からの御報告です。ちょうどパリから加納大使が一時後帰国中ということで、本日は対面で御出席くださっています。では、よろしくお願いいたします。
【加納ユネスコ日本政府代表部特命全権大使】 御紹介にあずかりましたユネスコ日本政府代表部の加納でございます。よろしくお願い申し上げます。
今回、昨日、おとといと外務省で国際機関大使会議が開催され帰国しておりましたので、今回こちらに対面で出席させていただきました。本日夜にパリのほうに戻りますので、本当にグッドタイミングということで、よろしくお願い申し上げます。
ちょうど1年前に、オンラインでたしか御報告をさせていただいたのを思い出しておりますけれども、当時はまだトランプ政権発足直後で、即時脱退を表明した国際機関もありましたけれども、ユネスコについて言えば、90日間のレビューということで、残留する可能性もあるんじゃないかという希望がまだあったところなんですけれども、その後、御案内のとおりの状況で大きく変わっております。
1枚紙を用意させていただきました。新しい委員の方もいらっしゃいますので、少し経緯も含めて、ユネスコと日本との関係を含めて、簡単に御報告させていただきたいと思います。
ユネスコそのものは、戦後間もなくにできたユネスコ憲章がベースになっておりますが、実はその前の第一次世界大戦の後、国際連盟により設置された国際知的協力委員会機関というものができておりまして、これが源流となっております。これには、当時の国際連盟の事務次長であった新渡戸稲造博士も関わっておられるという経緯がございます。その後、第2次世界大戦がありまして、ユネスコが発足し、有名な「戦争は人の心の中に生まれるであるから、平和のとりでを築かなければならない」の憲章前文の文言のとおり、これは教育、科学、文化といった協力を手段として、目的は平和と安定に資する国際機関ということで、ニューヨークの安全保障理事会ですとか、あとはブレトンウッズのような経済とか、そういった政治安全保障、経済とは別のアプローチで平和と安定に貢献する、これがユネスコの理念というふうに捉えております。
日本は、まだ独立を回復する前の1950年12月に加盟申請をし、これはGHQの了解を得て加盟申請をしておりますが、1951年6月の総会で加盟が認められ、7月の2日に正式加盟しました。これは、サンフランシスコ平和条約会議の約3か月前ということで、独立回復する前に初めて日本が加盟した国際機関ということで、今年が75周年ということでございます。
特徴としまして、もともと個人資格で参加していた国際機関ということで、今はもちろん各国の代表によるものですが、コンセンサス重視の、ヨーロッパ的な色合いのある国際機関でございます。かつ、ハードパワーでないソフトパワーの競争の場ということで、中国、アメリカ、欧州、アジア、アラブ、アフリカ、それから最近ですとグローバルサウスの国のよりどころといった側面もありまして、先程申し上げましたように政治安全保障、経済開発とは違うアプローチ、知的協力のための国際機関ということでございます。
ですから、開発機関が「衣食足りて礼節と知る」という考えであるとすれば、ユネスコの場合は、「人はパンのみで生きるにあらず」と。文化とか教育とか人間の尊厳に関わる国際機関ということでございます。
冷戦時代、南北問題、いろいろあって、実はアメリカは3回ユネスコから脱退しております。ほかにもイギリスですとかシンガポールなんかも脱退したことありますけども、その都度戻ってきたというところございます。
日本との関係ですと、ここ10年ぐらいはいわゆる歴史戦の場にもなってきたという経緯もございます。また、2022年のロシアのウクライナ侵略以降、それから2023年のパレスチナ問題以降は、地域紛争をめぐってもユネスコの場で文化財の保護ですとか、教育へのアクセスとか、そういったものが主要な課題になっております。
昨年の活動実績は先ほど事務局、関係省庁からも御報告ありましたので、重複を省いて少し御報告させていただきますと、昨年から代表部では75周年関連イベントということを始めております。つまり、1950年が加盟申請し、51年に実際に加盟を実現したということで、昨年から今年を1年間のプロセスとしていろんな行事をやっております。例えば、ユネスコの本部にはイサム・ノグチ設計のいわゆる日本庭園、平和の庭というのがございます。これは、時々いろんな形で修復をしておりますが、去年は日本の造園業界の専門家のサポートも得ながら、若干の修復をしております。
また、昨年の11月には、第43回ユネスコ総会の直後ですけれども、ユネスコ憲章採択80周年と合わせる形で、日本の加盟75周年とESDのイベントを開催いたしまして、松浦顧問、それから新しく選ばれたハーリド・エルアナーニー事務局長にも出席していただき、イリナ・ボコヴァ元事務局長、それからオドレー・アズレー前事務局長にもビデオメッセージを出してもらいました。改めて日本とユネスコ、それからユネスコ全体の歴史を振り返る場というものをつくったことがございます。
科学技術について言えば、昨年はニューロテクノロジーの勧告というのが採択されました。それから、特に日本の強みである防災協力は、実はユネスコの場でも、日本の専門家、職員がおりますので、ユネスコならではの支援ということもやっております。それから、ここ数年はウクライナ、パレスチナにおける、特に文化財の保護、教育へのアクセス、それからジャーナリストの安全、この辺りを中心にユネスコを通じた協力を行っています。
人の関係で言いますと、日本ユネスコ国内委員委員会委員でもいらっしゃいます道田IOC議長が昨年再選をされました。それから執行委員会については、日本は加盟以来一貫して4年の任期ですけども、連続して再選をされております。昨年も再選されまして、かつアジア太平洋グループの副議長に就任をいたしました。
また、総会下部機関では国際コミュニケーション開発(IPDC)という、メディア、それから表現の自由に関係する機関がございます。この機関の議長に私が選出されました。それから政府間生命倫理委員会でも日本の方を議長に選んでいただいているということでございます。
今年の展望ということで、やはり大きいのはアメリカの脱退の影響でございます。大体アメリカは、御案内のとおり国連分担率22%と最大です。ユネスコ予算ですと年間7,500万ドル、約110億円が少なくなります。実は、厳密に言うと今年いっぱいまでアメリカはユネスコメンバーでありますけれども、去年から実はもう払うのをやめておりまして、代表部自体も店じまいしているという中で、先ほども事務局からもありましたけれども、アメリカの拠出分が見込んだ形で予算はできておりますけれども、実際そのお金はないということですので、支出を圧縮するというプロセスが残っております。これを就任間もないエルアナーニー事務局長が、まずやらなければいけないということです。これが今、加盟国に提示をされ、来月の執行委員会で審議をされるということでございます。
それからお金の話だけではない、多国間システム全体が非常に揺らいでいる問題と。ユネスコはその中の一部ということでございまして、今年に入ってから、御案内のとおり、トランプ大統領は66の国際機関、国際組織からの脱退を表明しております。また、グリーンランドの問題ですとか、ベネズエラ、最近はイランと、ルールに基づく国際秩序とか紛争の平和的解決とかいった話が、むなしく響くようなのが今の現実にあり、これがユネスコでも陰を落としているというのは否めないと思います。それをどう立て直していくかというのが大きな課題になります。
エルアナーニー事務局長は、就任以来、非常に精力的に働いておりまして、先ほど幹部人事について少し御紹介ありました。今現在動いているのは、事務局長補以上の人事で、できれば日本からも選ばれているといいなという願いは持っております。ただ、幹部のところだけではなく、日本人職員50人ぐらいのうち34人が女性ですけれども、この方々についても我々目配りしております。ただ、今この瞬間は、事務局長補以外のところは、予算の問題もあって凍結をされています。恐らくこれは春の執行委員会が終われば動き始めると思いますので、それをにらんだ上で、既にいろんな形で事務局には働きかけをしております。
ユネスコ改革については、先ほど御紹介があったとおりです。恐らく、ない袖は振れないといいますか、22%のアメリカの分担金が減っている中で、やはり身の丈に応じた形で組織をスリム化していかなきゃいけないと。これは、恐らく多くの国が共有しているところだと思いますので、科学局の統合ですとか、事務局長補ポストは、恐らく来年にはもう1個減ることになるんじゃないかと思います。それがユネスコのマンデートを、業務へできるだけ影響させない形でスリム化していくというプロセスは続いていくと思います。エルアナーニー事務局長とは、選挙期間中から我々非常に緊密に連絡を取っておりまして、特に彼は直前はエジプト遺跡へ観光大臣を務め、昨年オープンした大エジプト博物館、これは日本がJICAを通じていろんな形で支援をしているということで、日本との関係が非常に深い方であります。即位の礼ではエジプトを代表して参加されていますし、日本の勲章を受けておられるということで、私も何度か会っていますけども、彼に言っていますのは、圧倒的な多数で彼は選ばれていますので、就任最初が肝心だと。最初が肝心で、かつ、みんなアメリカがいなくなって非常に厳しい状況とみんな分かっている状況なので、改革を進めていくチャンスにしてほしいということで、最初が肝心なので組織のスリム化ということもやってほしいし、日本からいうと日本人職員もできるだけたくさん取ってほしいということを言っております。
来月、執行委員会がございます。先ほどお話があった支出計画、縮めた上でやると。あとは地域情勢、ウクライナ、それから中東ですとガザだけではなく、最近ですとシリア、イラン、レバノン、こういったところもなると思います。
それからあと、日本のユネスコ正式加盟、いよいよ今年の6月、それから7月が実際に日本のユネスコ加盟が承認されて正式に加盟した年でございますので、それに向けてパリのほうでもいろんなイベントを開催したいと思っています。東京のほうでもいろいろ御検討になっていると伺っておりますので、そこは連携させていただきたいと思っております。
世界遺産、無形文化、この辺の話は先ほど文化庁からお話があったとおりでございます。世界遺産のことで一言申し上げますと、「飛鳥・藤原の宮都」、これは2月に全ての情報はICOMOSに提供しております。3月から5月にかけては、このICOMOSの中での検討が進んでいくということで、この間に我々は直接コンタクトできないので、その間は21か国の世界遺産委員国に対して、こういう話が今年はあるよということを説明することを今始めているところです。
通常ですと、世界遺産委員会の数週間前にICOMOSの勧告が出てまいります。これは登録から不登録、その間に情報照会と延期という4つのカテゴリーがあるんですけども、A判定(登録)が出れば順調にそのままいけばいいですが、B(情報照会)とかC判定(延期)になった場合は修正を、今年登録を目指すのであれば、加盟国のどこかにこのBをAに変える、CをAに変えるというように修正決議案というのを担いでもらう必要があります。もちろんそのときにはICOMOSの指摘事項にきちんと応えた上でやることになります。これが6月から7月にかけて、そういう動きがあるかもしれないということで、地元の方々、それから東京の関係省庁としっかり連携しながら、パリでも取り組んでまいりたいと思います。
先週、私も奈良に伺いまして、幾つかの資産を拝見しました。また、地元の知事、市町村長さんとも意見交換をさせていただきました。引き続き、御支援いただければと思っております。
最後、世界島嶼国海洋会議というのは、少しユネスコの中で独立した組織機関として、政府間海洋科学委員会、IOC(インターガバメンタル・オセアノグラフィック・コミッション)がございまして、ユネスコの中の1機関です。これは非常に重要な機関でございまして、海洋関係のいろんな観測、オブザベーションするという機能を持っていること、かつ、アメリカはユネスコからは脱退をしておりますが、このIOCとは首の皮一枚つながっております。ちなみにもう一つは世界遺産条約、これの締約国からアメリカはまだ抜けておりません。実はアメリカは世界遺産の新規登録をしております。そういう意味で、まだアメリカとの関係はつながっております。
IOCは、引き続きアメリカは副議長として参加をしているということもあり、日本も重視している機関なんですけども、日本財団主催でIOCと外務省が共催となって世界島しょ国海洋会議という会議を今年の6月に東京で開催する方向でございます。これも、広い意味での日本とユネスコとの連携を進めていくということで重視をしているところでございます。
若干駆け足となりましたが、私のほうからは以上でございます。引き続き、よろしく御支援のほどお願い申し上げます。
【日比谷会長】 加納大使、ありがとうございました。
それでは、議題1、議題2ついて、御質問、御意見を承りたいと思います。事務局が確認して、私から指名をいたします。いかがでしょうか。
それでは、三原議員、お願いいたします。
【三原参議院議員】 ありがとうございます。今、加納大使の御報告を受けまして、ユネスコが直面する課題の大きさ、そしてまた日本が果たすべき役割の重さというものを改めて実感いたしたところでございます。
私自身も、これまでウクライナへの支援の重要性、そうしたことも訴えてまいりましたけれども、日本はユネスコを通じて、教育ですとか科学、文化、情報、コミュニケーションの分野で着実に貢献しております。国際社会からも大きな期待が寄せられていると思います。今後は、その取組、さらに積極的に発信をして、日本の存在感というものを高めていくこと、大変重要だと考えております。パリでは、加納大使、しっかり頑張っていただいて、私たちも日本ユネスコ国内委員会の委員として、しっかり力を尽くしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【日比谷会長】 では、続いて、松浦特別顧問、お願いいたします。
【松浦特別顧問】 加納大使、いろいろ日本とユネスコの関係の歴史、それから現状、ありがとうございました。私はちょうど1999年から10年間、第8代のユネスコ事務局長を務めたんですが、エルアナーニーさんは第11代になりますけども、選挙運動の途中からいろいろメールでは連絡を取り合っていました。
パリの文化会館の運営審議会の議長を知っているので、去年11月16日からパリに1週間行っていましたけど、ちょうどエルアナーニーさんが11月17日から事務局長に就任されて、ぜひお会いしたいということで、1時間ほどお話ししました。先ほども加納大使からお話ございましたけど、文化あるいは文化遺産担当大臣として、長い間日本と関係のある方で、たしか日本からも勲章をもらっておられる方だと思うので、日本に対して親近感を持っておられる方なので、非常にうれしく思います。
ですから、重要なのは、ユネスコ事務局長のオフィス、そこに最近日本人の女性が1人採用されたと聞いていますので、非常にうれしく思っていますが、それ以外のポストは、先ほども加納大使からお話があったように、私のときは事務局長補は10あったんですが、予算がだんだん削減されて8人に減り、今度6になると聞いています。事務局長補にぜひ日本の方が採用されるとうれしいんですけども、最近の情勢としては、大体、先ほどの引用があったナンバー2等々みんな大臣経験者で、大臣経験者というのは諸外国では学者とか専門分野を持った閣僚になるものですから、そういう方が手を挙げて、事務局長補も大臣経験者が非常に多くなって、なかなかポストが取りにくい状況です。しかし、必ずしも大臣経験に限らず、それに相当する国際的なポストをぜひ担ってほしいと思います。このところ残念ながら、事務局長補に日本人が長らく採用されておらず、さらに言えば部長クラスにも日本人が見られない状況ですので、アメリカを支えてほしいと考えています。
分担金については、当初は日本が最も多かったのですが、現在は中国が最多となっています。しかし、日本は第2位であり、こうした現在の国際社会においては、アメリカはバイラテラルな関係を重視する傾向がありますが、やはりマルチの国際機関の役割は引き続き重要ですので、日本としてはそれらをしっかり支え、活用してほしいと思います。ユネスコはまさに重要な一員ですが、この分担金などの財政面だけでなく、人的な貢献・参加についてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。事務局長補についてはなかなか難しく、大臣経験者の方など、日本では難しい面もあるかと思いますが、それに相当する形でも構いませんので、少なくとも部長クラスには日本人が参加することが望まれます。日本では、本日も御参加いただいている日本ユネスコ国内委員会のメンバーをはじめ、ユネスコ協会等が数多く存在しており、私が事務局長時代に強く感じたのは、日本ほどユネスコという国際機関が国民レベルでしっかり根を下ろしている国は少ないということです。日本は非常にしっかりしているんです。しかし同時に、それがユネスコ本体に反映され、ユネスコの活動に反映されてほしいと私は強く思います。そういう意味で、外から日本が支えるのも重要ですが、ユネスコの事務局の中に入り、重要なポストの2割を占め、その人がしっかり日本と協力してやっていくことが重要です。そのためには、事務局長補の下のポストレベルとして部長クラスがありますが、現在は日本人がいない状況です。ですから、そういうところに日本人が就職できるよう、日頃から人材をしっかり育てていくことが重要です。ぜひ皆さん方も、今の大使のお話も踏まえて、そのような取組を進めていただければうれしく思います。
長くなりましたが、以上、加納大使のお話の感想も含めてお話しさせていただきました。ありがとうございました。
【日比谷会長】 ありがとうございます。それでは、今お二人からのお話ありましたが、加納大使からコメントがありましたらお願いいたします。
【加納ユネスコ日本政府代表部特命全権大使】 ありがとうございます。まず、三原委員、非常に温かいお言葉ありがとうございます。おっしゃるとおりで、日本のユネスコ加盟から75年間、一貫してこのユネスコの活動、教育、文化、科学、それからコミュニケーション情報、全分野にわたって支えてきた安定性というのは、特に今のこの非常に安定性がなかなか見られない国際社会の中では、日本のような存在というのは非常にそれだけで価値があると思われております。これはユネスコに限らないんですけども、日本に対する期待というのは大きいと思います。もちろん規模や予算の制約はありますが、そうした中でも、予測可能性がなかなか見られない国が多い中で、日本は非常に安心できる存在であり、日本への関与に対する期待は高いと思います。
最近ですと、2月に日本の補正予算をいただいて、ウクライナ、パレスチナ、アフリカなど20数か国に対する20数件のプロジェクトが締結されました。これをまとめた形で、私からエルアナーニー事務局長へお会いして目録をお渡ししたところで、これはNHKの報道でも取り上げられておりますので、もしかしたら御覧いただいた方もいらっしゃるかもしれませんし、ぜひ御覧いただければと思います。
私のほうからは、しっかりこれは日本の血税であり、かつ日本のユネスコに対するコミットメントの現れでもあるということで、しっかり活用してほしいということをエルアナーニー事務局長に申し上げたところですし、かつ、個別の20数か国が裨益するパートナー国ですので、それぞれの国の代表部に対しても、これはユネスコ経由で日本はやっていると、引き続きしっかり協力していきたいし、しっかり活用してほしいということも伝え、多くの国から感謝の反応があったところでございます。そういった建設的な関係を、ユネスコを通じて我々もやっていきたいと思っております。
それから、松浦顧問からお話がありました、邦人職員を通じた人的貢献。これも多くの国際機関で共通する話で、大使会議でも話題になりましたけれども、日本の人事システムの中で、国際機関に有為な人材を送り出すというのは、どうしても学位の問題、職歴の問題、言葉の問題等があって、なかなか古くて新しい問題でもあります。
総体的に言えば、ユネスコでは、日本はアンダーレプリゼンタティブというよりはオーバーレプリゼンタティブになるときもあるので、数としては悪くない状況です。特に、今50人ぐらい邦人職員がいらっしゃって、そのうち34人が女性でありまして、教育文化を中心に女性の方が頑張っておられます。課題は、先ほど松浦顧問からありましたように、管理職が少ないことです。いわゆる国際機関ですとD1、D2以上が管理職と言われますけれども、ユネスコ本部では日本は今いない状況で、地域事務所のほうに1人いらっしゃるということです。今いらっしゃる方をどうプロモーションしていくか、場合によっては外から関心のある方に管理職についていただくかが課題で、いろんなアプローチをしています。例えば管理職のところについて、全体のあらゆる職種を踏まえてバランスだけではなく、管理職の部分だけを切り出して、そこでオーバーレプリゼントかどうかという、そういうことも見るべきではないかと思います。なぜならば、特にこのシニアクラスのところは、加盟国との実際の意思疎通、コミュニケーションを図る立場であるので、シニアクラスでの地域バランス、そこで言うところのアジア太平洋とか、アジア勢は大体少ないので、日本も含めたところが登用されることが、ユネスコ自体のユニバーサリティーを高める上では有益だと、こういう理論武装もしています。有為な人材、経歴、語学力を含めて、これを押し込んでいくということが大事ですので、国内委員会では様々な方、バックグラウンドの方々いらっしゃると思っております。ぜひ、それぞれの分野で御関心のある方がいらっしゃったら、遠慮なく外務省、文科省、あるいは代表部に御連絡・御相談いただければ、しっかり対応させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
【日比谷会長】 ありがとうございました。
それでは、議題の3、我が国におけるユネスコ活動の現状と今後の取組に入ります。
まず、1、令和8年度ユネスコ関係予算について、事務局、そして外務省から御説明をお願いいたします。
【小林国際戦略企画官】 ありがとうございます。資料3-1を御覧ください。
令和8年度の政府のユネスコ関係予算案について、ポイントを御説明いたします。金額の単位は全て100万円です。
まず、総額は、右上にございます47億円です。このうち、ユネスコに加盟国が義務的に拠出する分担金は36億2,500万円となっており、左下の表に主要国の分担率を示しておりますが、日本は第3位で約7%負担しております。今後、アメリカの脱退により、各国の負担割合が変動する見込みでございます。
次に、任意拠出金です。日本は、信託基金を通じた任意拠出により様々な分野での協力を推進しており、その総額は合計9億3,600万円です。内訳は、外務省が6億500万円、文部科学省が2億8,200万円、国土交通省が4,900万円です。これらの経費のうち、注2と示されている項目には、日本政府からユネスコ本部へ職員を派遣するための費用が含まれています。具体的には、右下の表にありますとおり、文科省、外務省、国交省から、計5名の職員を派遣しております。
続いて、国内におけるユネスコ活動の推進として、右側に、ユネスコ未来共創プラットフォーム事業についてお示ししております。こちらは1億3,900万円を計上しております。
事業内容は、ユネスコ関連の国内情報を一元的に発信するために、プラットフォームとしてポータルサイトを構築し、世界遺産、無形遺産、世界ジオパーク、ユネスコスクールなどの登録地域をマッピングして紹介しています。また、各種イベントやユースの活動情報も集約して発信したり、その活動を支援しております。
今後は、日本のユネスコ加盟75周年を契機にさらに発信を強化していく予定でございます。
事務局からの全体像の御説明は以上です。外務省からよろしくお願いいたします。
【灘波国際文化協力室長】 外務省からも御報告させていただきます。
まず分担金、それから次に拠出金について御報告させていただきます。
まず、分担金についてですが、昨年11月の第43回ユネスコ総会において、2026、27年の2か年予算が採択されました。なお、米国は本年12月末で正式に脱退となりますので、加盟国の分担金による通常予算は、2026年は米国分を含め3億4,272万2,000米ドルとなる予定でございます。日本の分担率は6.984%で、分担金の請求額は1,268万5,940米ドル、プラス1,027万1,063ユーロとなっております。なお、2027年は米国が不在となり、通常予算は2億6,732万4,000米ドル、日本の分担率は9.424%となる想定でございます。ドルとユーロによる請求額は、現時点では未定です。なお、分担率の順位は変わらず、上位5位は米国、中国、日本、ドイツ、イギリスの順となっております。
次に、拠出金についてですが、令和8年の対ユネスコ拠出金は約6億円を見込んでおり、あらゆる形態の遺産の保護支援などの分野で案件形成を行う予定でございます。なお、顔の見える支援を意識し、日系企業や研究機関等との連携案件を推奨していきたいと考えております。
外務省からは以上です。
【日比谷会長】 ありがとうございます。それでは、ただいまの2つの予算関係の御報告につきまして、御質問あるいは御意見がありましたらお願いいたします。
それでは、予算についてはここまでといたします。
続きまして、専門小委員会からの報告に移ります。
科学小委員会、文化・コミュニケーション小委員会、教育小委員会の順で、それぞれ委員長から御報告をお願いします。
では、まず、科学小委員会の沖委員長、お願いいたします。
【沖科学小委員会委員長】 ありがとうございます。科学小委員会の委員長を仰せつかっております沖と申します。よろしくお願いいたします。
科学小委員会、本日の国内委員会のちょうど先週、開催いたしました。
まず、主な議論といたしまして、ユネスコの科学分野における国際的な動向と今後の取組につきまして、まず、現在、IOC政府間海洋学委員会の議長を務められている道田先生より、IOCに関する国際動向、現在進行中の国連海洋科学の10年に関する国内外の動向、それから今後の予定について御報告がありました。
また、政府間水文学計画、世界の水問題・災害も含めて話し合い、解決を目指す計画ですけれども、分科会主査を務めます私から、IHPに関します国際動向や、つくばにございますICHARM(水災害・リスクマネジメント国際センター)や、京都大学を主体とした大学群による取組、また、今後の予定、6月のIHP理事会に向けてどのような準備を進めるかについて御報告いたしました。
さらに、ユネスコにおける科学の大きな柱の1つであるMAB、人間と生物圏計画につきましては、国際動向、生物圏保存地域(ユネスコパーク)世界会議や、国内での取組及び今後の主な予定につきまして報告がございました。
また、ユネスコでは世界ジオパークというのも取り扱っており、これに関しましては、菅原委員から、ユネスコ世界ジオパークに関する国際的な動向や日本においてどのように委員会を開催しているかということについて、さらに日本ジオパーク全国大会という日本中のジオパークに指定されている地域と目指す地域の顔合わせの会や、今後の主な予定について御報告がございました。
その他といたしまして、先ほど加納大使からも少し御紹介ありましたが、ニューロテクノロジーの倫理に関する勧告の採択、政府間生命倫理委員会に関する動向などにつきまして報告がありました。また、事務局提案から、今後、ユネスコの科学分野においてどのように分野横断的な取組を進めていくかということについて意見交換を行い、国際情勢が困難な中で、科学分野・科学者間での連携の重要性が高まっており、網羅的に科学の取組を進めるユネスコの重要性を積極的に内外に発信してはどうか。また、科学的な視点で捉えると、地球、陸域、海だけではなくて、サイバー空間や宇宙も対象になるのではないかといった議論もございました。また、官民連携については、企業からの寄附を検討できないかという提案がありましたが、社会的資金の活用もユネスコ活動の裾野の拡大のためにも期待できるのではないかといった意見が出されました。科学分野は国際情勢が困難な中、冷戦下でも、1958年には、IGY国際地球年というのが米ソの壁を越え、分裂した国際社会であったからこそ競って科学的な成果を求めて、それぞれの陣営が頑張ったといったこともございます。そのときには情報交換もしておりますので、そのような先例に倣って科学の連携を深めるのはどうかという話が出たということでございます。
また、ユネスコ科学分野におきましては、先ほど御紹介ありましたとおり、民間ユネスコ活動というのが日本では盛んで、松浦元事務局長がおっしゃるとおり、これをどういうふうにユネスコ本体に返していくかといったことが課題かと思います。世界自然遺産の知床、山陰海岸ユネスコ世界ジオパークなど、各地の民間ユネスコ活動は非常に活発ですので、それらがどのように行われているかという事例研究発表の後に意見交換を行いました。産学官の連携によるSDGs推進への期待が示されますとともに、ユネスコの科学分野での議論や方向性、全体的な視点を踏まえて各地域での取組を進めることが、グローバルで俯瞰的な取組の推進になるだろうということで意見が交わされております。また、先ほど来出ております日本のユネスコ加盟75周年につきまして、特設サイト・記念ロゴマーク・記念ポスター等の御報告があり、科学分野としてこれにどのように貢献できるかということについて議論し、それぞれがアクションを取るということで、議論が終わりました。
以上、科学小委員会からの御連絡とさせていただきます。
【日比谷会長】 ありがとうございます。ただいまの御報告について、御意見・コメントのある方はお知らせください。大竹委員、お願いします。
【大竹委員】 御指名ありがとうございます。東京科学大学の大竹でございます。
今、沖委員長からお話がありましたとおり、科学という視点でこれまで海と川と陸、海というのは先ほどのIOCになりますが、平和と安定を願って顕著な成果を上げてきたというのがこれまでの活動だというふうに理解しております。
その中で、先ほど少しお話がありましたけれども、我々、最近の変化について考えたほうがよいかと思っておりまして、特にAIあるいはデータサイエンスにおける1年、2年の進歩というのは顕著なものがございます、科学の立場から申し上げると、科学の進歩というのが少し早過ぎて、人間あるいは社会との間に乖離が生まれつつある、あるいは歩調を合わせにくくなっているという窮屈さを我々は感じているのではないか。これは、日本だけではなくて国際的にそうではないかと感じているところでございます。
そんな中にあって、恐らく海、川、それから陸だけではなく、先ほど沖委員長がサイバー空間とおっしゃいましたけれども、サイバー空間を含めた科学、データサイエンスをユネスコが扱うことが、社会に対してのメッセージにもなりますし、あるいは社会の貢献につながるのではないかというふうに改めて思った次第でございます。
以上、申し上げます。
【日比谷会長】 3人お手が挙がっていますので、この後、道田委員、和田委員、菅原委員の順でお願いいたします。では、まず、道田委員、お願いいたします。
【道田副会長】 東京大学の道田でございます。ありがとうございます。
先ほどの沖委員長から御報告のとおり、私、現在、IOC(政府間海洋学委員会)の議長を務めております。今2期目に入っておりまして、2027年、来年の6月頃までが任期です。
IOCの動きについて幾つか補足を申し上げますが、現在のIOCの主な議論の一つとして、国連海洋学の10年というのが2021年から2030年まで行われていますが、それがちょうど折り返し地点を迎えたということで、今後の加速の方策を考えるということ。それから、アメリカのユネスコからの脱退が話題になっておりますけれども、いろんな海洋活動を支える基盤となる海洋観測のおよそ50%、世界の海洋観測の50%は米国の貢献という見積りがあります。それが縮小されることが懸念されるということで、それをいかにカバーしていくのかということ。それから3点目は、先ほど来お話されているUN80。ユネスコ80の動きと歩調を合わせる形で、IOCにおいてもガバナンスの改善について、現在検討を進めているところでございます。
私、議長の仕事を進めるに当たりましては、文部科学省、外務省及び加納大使をはじめとする代表部の方々、あるいは関係機関の皆様のお力を得て、何とか厳しい国際情勢ですけれども、平和の海というのを目指して努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
併せて、昨年の12月から、私、この会の副会長を仰せつかっておりますので、その意味でも科学に限らず、より幅広い観点から、田代委員とともに、日比谷会長をできるだけお支えすべく貢献してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【日比谷会長】 和田委員、お願いいたします。
【和田委員】 ありがとうございます。金沢大学の和田と申します。沖委員長、御報告ありがとうございます。
御案内ございましたMAB計画について、少し追加発言させていただきます。若者の参画並びに研究、教育、地域実践の連携、この2点について申し上げます。
1つ目が若者次世代の参画の強化でございます。2026年5月には第3回グローバルMABユースフォーラムが予定されております。若者参画の推進が国際的にも一層加速をしております。欧州では、御案内のとおり、ユースがネットワークとして継続的に活動し学びや実践、国際対話へとつながる好事例が蓄積されております。こうした動きを踏まえまして、日本においても、大学との連携、あるいはユースネットワークを通じて、若者が継続的に力を発揮できる環境の拡大を期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
2つ目は、研究、教育、地域実践の好循環の促進でございます。エコパークは、学びの場として、研究成果を教育や地域の取組につなげられる大きな可能性を有していると存じます。現在、私ども金沢大学は、ユネスコチェアを担当いたしております。白山ユネスコエコパークなどをフィールドとして、世代間学習を軸とした教育研究を進めております。2025年の世界会議では、新たな学生指導型モビリティの枠組みを国際的に発信しております。加えて、日本MAB計画連携大学間ネットワーク、JUMABでは、複数大学の学生が現地で学ぶ機会が展開されています。白山ではユースネットワーク設立にもつながっております。さらに、本年3月には、本学で第2回の国際大学連携シンポジウムを開催しました。海外からの招待参加者を含めて、国際教育連携や学生交流プログラムの取組についても熱心に議論が行われました。こうした実践を可視化・共有しながら、研究成果が地域の学びや地域づくりとつながる好循環を国内外でさらに広げていければというふうに考えております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【日比谷会長】 菅原委員、お願いします。
【菅原委員】 御指名いただきありがとうございます。群馬県立自然史博物館の菅原と申します。
ユネスコ世界ジオパークに関して、幾つか共有させていただきます。
まず、ユネスコ世界ジオパークの新規認定審査を受けていた山口県のMine秋吉台ジオパークが審議の結果認定勧告となり、来月4月のユネスコ執行委員会をもって世界ジオパークとして認定される見込みです。世界ジオパークは4年に一度再認定審査を受けます。その際、地質遺産に関する活動に偏ったジオパークは、審議の結果イエローカード(条件付再認定)になるケースが増えています。地球の生物的でない自然の要素、それとつながりの多様性をジオダイバーシティーといいます。このジオダイバーシティーと生物多様性、そして文化多様性とのつながりを調べ、守って活用できているか、あとは人と自然の共生、持続可能な開発を実現するための事業としてしっかり機能できているかという視点がかなり重視されてきたからという動向があります。ジオパークの再認定審査では、特にユネスコの別の事業との協働について確認されます。先ほど御報告ありましたとおり、大事になるポイントは、事業や分野、団体を横断した今後の取組だと思っております。そういうところを世界ジオパークでは周知しながら、対話を持って進めたいと思っています。
最後に1つ、先日の科学小委員会の中で、沖委員長と治部委員が御発言された平和に関することです。ユネスコ憲章前文の「人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」に対して、過去を振り返り学び、科学小委員会がどのようにそれに関わっていけるのかということが御発言の中にありました。これは非常に胸を打ちまして、ユネスコ世界ジオパークとして今後どういうふうに関わっていくのかということについて真剣に対話を進めていきたいというふうに思っております。
以上になります。ありがとうございます。
【日比谷会長】 それでは、御質問、コメントは以上と思いますので、沖委員長からコメントがありましたらお願いいたします。
【沖科学小委員会委員長】 私が言葉足らずのところを皆様方、補っていただきまして、大変ありがとうございます。
【日比谷会長】 それでは、文化・コミュニケーション小委員会からの報告について、松田委員長、よろしくお願いいたします。
【松田文化・コミュニケーション小委員会委員長】 松田でございます。先月の文化・コミュニケーション小委員会にて委員長に着任いたしました。
2月20日に開催された第15回文化コミュニケーション小委員会について、5点御報告申し上げます。
まず1点目は、文化・コミュニケーション分野における最近のユネスコ関係の動きです。
事務局より、第222回執行委員会では、持続可能な開発のための創造的経済国際年に基づく統合データ収集・分析プロセスや、MONDIACULT2025等について議論され、MONDIACULT2025については、矢野文部科学審議官によるスピーチが行われ、成果文書が取りまとめられたことを報告いただきました。また、第43回ユネスコ総会における増子文部科学事務次官による一般政策演説や、新事務局長の任命についても報告いただきました。
2点目は、世界の記憶についてです。
事務局より、国際登録2026-2027サイクルでは、我が国より「観世宗家伝来 世阿弥能学論『風姿花伝』」を新たに推薦したほか、世界の記憶に推薦する案件としてふさわしい記録物を暫定一覧表として整理するため、世界の記憶暫定一覧表検討ワーキンググループを設置したことを報告いただきました。
そして3点目は、無形文化遺産についてです。
文化庁より、令和7年度のユネスコ無形文化遺産への新規提案及び拡張提案の提案案件や、先ほど加納大使よりも御説明がありました、我が国より拡張提案を行った3案件の登録が決定されたことを御報告いただきました。また、無形文化遺産の登録傾向や国内保護の枠組み、登録に向けた今後の戦略等について質疑応答がございました。
4点目は、ユネスコ創造都市ネットワークについてです。
我が国からクラフト&フォークアート分野で申請を行っていた福井県越前市の新規加盟が認定されたことを事務局より御報告いただきました。また、山形で開催されたUCCN(ユネスコ創造都市ネットワーク)、CCNJ(創造都市ネットワーク日本)の合同会議や、国による伴走型支援の実施等について事務局より発表があり、UCCNとCCNJの連携等についての議論がございました。
そして、最後5点目は、先ほど来本日も話が出ておりますが、日本のユネスコ加盟75周年及び地域ユネスコ協会からの発表についてです。記念ロゴマークの作成やフォーラムの開催等の進捗状況について、事務局より御報告いただきました。また、ユネスコ活動のさらなる普及に向けた国内委員同士の連携強化等について、とりわけこれは地域ユネスコ協会より御提案がございました。
文化・コミュニケーション小委員会からの報告は以上となります。
【日比谷会長】 ありがとうございます。それでは、ただいまの御報告につきまして、御質問・コメント等ありましたらお願いいたします。小浦委員、お願いします。
【小浦委員】 松田委員長、ありがとうございました。
UCCNについて、少し意見を述べさせていただきます。
このUCCN、単に文化的な創造性というだけではなく、社会経済、文化芸術、環境分野それぞれにおいて、創造性が持続可能な開発において戦略的な要素として考えていく必要があり、それを認識する都市間の協力というものを図ることが1つの目標だと理解しています。日本では既に12都市が加盟している状況ですが、本来このUCCNは、各都市が自主的に申請をすることが基本であると理解しています。それは、ユネスコの1つのスタンスということは理解していますが、日本のいろいろな創造性の分野を国際的にアピールしていくという意味において、各都市の創造都市への意欲を支援するような積極的な情報提供というものが、先ほど御説明のあった伴走型の支援では重要と思います。特に申請時期が変わったり、ミッションステートメントの理解は申請において非常に重要だと思いますが、そういった基本情報について支援し、UCCNへの理解と情報提供、申請支援を進めていくために、文部科学省としても日本ユネスコ国内委員会事務局の体制を少し強化していただければというふうに感じます。
また、先ほど説明がありましたけれども、UCCNへの加盟を考え得る都市が参加しているCCNJとの連携がこれまで少し弱かったかと思うんですけれども、先ほど御説明ありましたように、UCCNとCCNJの合同会議が開催されるような状況になっており、今後はより連携を深めていくことによって、CCNJに参加している都市に対して、加盟に向けた情報提供や支援があるということを積極的に伝えていくということも、今後の展開において重要ではないかと考えています。
そうすることによって、このUCCN、ネットワークを都市戦略としても生かしていくということが重要なのではないかと思いますので、今後の展開を期待しているところです。
【日比谷会長】 ほかにいかがでしょうか。川村委員、お願いします。
【川村委員】 ありがとうございます。実は、前の議題について質問をしたかったのですが、もしここでお許しいただけるのであればよろしくお願いします。
加納大使から御報告がありました、アメリカのユネスコからの脱退という御報告に非常に
関心を持ちました。世界遺産条約からはまだアメリカは脱退していない。他方で、
ユネスコからは脱退しているとうかがいました。
では、ユネスコ関連の他の条約、例えば文化財の保護のためのハーグ条約については、アメリカの脱退はまだ報告されていないと理解しております。まずはその確認をお願いしたいと思います。
また、このようにアメリカのコミットメントが、ユネスコ関連の条約上の義務は負っているもユネスコの活動自体には関わらないというように、「まだら」になっているという状況をどう解釈すべきかということについてお伺いしたいと思っております。
【日比谷会長】 手短にお願いできますか。
【加納ユネスコ日本政府代表部特命全権大使】 ありがとうございます。詳細は私も十分承知しているわけではございません。ただ、第1次トランプ政権のときに、アメリカは2回目の脱退をしましたが、そのときも世界遺産条約やIOCにはとどまっていました。ただ、これがどういう関係にある、例えばほかの条約とかについては、申し訳ありませんが、私自身は今承知しておりません。他方で、条約からは脱退したけれども、その条約や事務局であるユネスコへどのような形でアメリカのお金が入っているのか、入り続けるのか、正直私は十分把握しておりません。恐らく分担金のようなものは払えないんだろうと思いますし、例えばIOCは一定のオートノミーといいますか、ファンクショナルオートノミーというのがあるわけですけども、実際の足腰予算といいますか、その辺はユネスコからサポートされています。あと世界遺産条約についても、条約の事務局は世界遺産センターとしてユネスコ事務局の中にありますので、アメリカはその分担金のところに入らないということで、条約には残っている、IOCも残っているということで、恐らく自発的な拠出金で出している可能性はあると思いますけれども、そういうのも出していないのにもかかわらず、新規の予算、世界遺産においては新規申請をしてくる。それから、IOCも副議長に名前を連ねているということは、正直私もアメリカに直接聞いてみたいところはあるんですけども、何らかのお金は出している可能性はあると思いますが、多分、制約はあるんだろうと思います。
すみません、あまりきちんとしたお話はできませんけど、そこはもう少し我々も確認してみたいと思いますし、ある意味、目立たないように何らかのサポートしている可能性はあると思います。ただフルフレッシュではないのではないかなと思っております。
【日比谷会長】 続きまして、オンラインで御参加の田中正之委員、お願いいたします。
【田中正之委員】 ありがとうございます。国立西洋美術館館長の田中でございます。
松田委員の御報告と直接関係するわけではないんですけれども、私が館長を務めております国立西洋美術館が世界遺産にも登録されております建物ですので、そのことに関して少しだけお話をさせていただければと思います。
おかげさまで国立西洋美術館は、今年世界遺産登録10周年を迎えまして、今年は10周年記念のイベントも行う予定になっております。一番重要なことは、皆さんよく御承知かとは思いますけども、国連が定めたSDGsの17のゴールのうち、第11番目、住み続けられるまちづくりというものになっています。その中の具体的な目標の1つとして、世界遺産の保全に努力をすることというのが書かれてございます。ですので、世界遺産の保全をきちんとやっていくということがSDGsに直結するというふうにも言うことができるわけですけども、その保全のための努力をどのようにやっていくのかと考えるときに、住み続けられるまちづくりの中に入っているわけですから、その世界遺産がある地域住民の方々の暮らしの中に入っていくということがとても重要なことだと思っております。世界遺産というものは、観光名所である以上に、その地域に住む人々の暮らしの一部になっているということが重要なことだと思います。
国立西洋美術館におきましては、台東区と共同して様々なことを行っております。とりわけ小中学生に向けて、世界遺産というものがそもそも何なのか、国立西洋美術館はどうして世界遺産として価値があるのか、それをどのようにすることで生活の一部にしてもらえるのかということを、例えば全ての小中学校に教材を配ることによって周知啓発を進めておりますし、また、台東区が組織している台東歴史文化探検隊という生徒たちがやってくるものを積極的に受け入れて、建築ツアーなどを行っております。
そういう形で、人々の生活の一部に世界遺産を含めていくということをやっておりますので、そういうこともちょっと報告させていただきたく、お話をさせていただきました。ありがとうございました。
【日比谷会長】 ありがとうございました。それでは、御質問・コメントはここまでにいたしますが、松田委員長から何か応答がありましたらお願いいたします。
【松田文化・コミュニケーション小委員会委員長】 松田でございます。
小浦委員より御指摘いただきましたUCCNに日本がどう関わっていくのか、CCNJとの連携を深めていくべきではないか、この御意見に私も賛同するところでございます。文化・コミュニケーション小委員会の中でほかの委員の方々の意見を聞きながら、ぜひその方向で議論を盛り上げられたらと思っております。
また、田中委員から御指摘いただきました、まちづくりとの関連で世界遺産保全を進めていくべきではないか、それはSDGsにも貢献するという、この方向性にも賛同するところでございます。ほかの委員の方々と議論を続けながら、文化・コミュニケーション小委員会としても貢献できればと思っております。
以上でございます。
【日比谷会長】 それでは、教育小委員会の北村委員長、お願いいたします。
【北村教育小委員会委員長】 教育小委員会の委員長を務めております北村です。
教育小委員会、2月13日に開かれましたので、その議論について御報告申し上げます。
まず最初は、最近のユネスコの動向ですけれども、先ほど事務局から御説明があった執行委員会及び総会等の御紹介の中で教育に関わるものとして、1つがユネスコ/日本ESD賞の授賞式、こちら文科省が民間資金も上手に活用しながら非常によい受賞式を行ってくださったということを事務局より御報告いただきました。
また、執行委員会では、日本から日本ユネスコ協会連盟が東南アジアで展開している世界寺子屋運動を御紹介いただいたこと、また、総会において、教育の地位に関する勧告の改定の2027年採択に向けた作業スケジュールが示されたことについて御報告いただきました。
これらの報告を受けまして、委員たちからは、日本によるESDの推進が国際的に高く評価されていることを踏まえて、より力強い国際的貢献を続けるべきだというような意見がありました。また、教育支援に関しては、日本はODAを通じてかなり積極的に支援を行っておりますので、ユネスコ条例でもSDG4に日本としてどういった貢献をしているかをより一体的にしっかりと発信すべきだということが意見として出されました。
2点目は、国内のユネスコ関連の教育事業についての動向と取組です。
ユネスコスクール全国大会、地方セミナーの実施状況、2023年ユネスコ教育勧告やESDの国内普及状況、また、先ほどから出ております加盟75周年を記念したポスター作成等について、事務局から御報告いただきました。また、世界遺産、エコパーク、ジオパーク等を教育資源として活用するための既存の教材や、好事例を集約するポータルサイトの整備の方針などが事務局から示されました。それに続いて、事例発表として、企業との連携による減災教育、世界遺産を活用した探究学習、ジオパークを活用した教育実践、次期学習指導要領改訂とESDや2023年ユネスコ教育勧告の関連などについて事務局より御説明されました。特に世界遺産の活用などについては、先ほど田中委員からもコメントがありましたけれども、教育小委員会でも、しっかりと教育に活用していくこと、また、エコパーク、ジオパークをもっともっと教育の現場で活用していくことが大事だということがかなり議論されました。また、ユネスコスクール全国大会で発表された国内における多様なESDの実践、また、2023年ユネスコ教育勧告、これらを結びつけた学びを国内外に積極的に発信する重要性ということが指摘されました。委員からは、2023年の教育勧告について質問等も出まして、実際にこの勧告で示されている指導原則は、次期学習指導要領で基本的に示されている考え方と非常に整合性があるということが事務局からも説明され、これらを踏まえつつも、国際動向を踏まえて国内政策をしっかりと検討し、どのように反映していくことができるのか、さらなる議論が必要なのではないかということが意見として上がりました。また、国内では実は2023年ユネスコ教育勧告についてはまだまだ知られておりません。ですので、研修会や教材開発等を通じて普及啓発を進めていくということも事務局から方針が示され、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいという意見が委員より上がっております。これも含めて、ユネスコ関連事業の可視化の重要性、こちらは先ほど松浦顧問、また沖科学小委員長からも国内発信やユネスコに対して何を日本がやっているかをしっかりと発信していくことが大事だということが御指摘されましたけれども、国内で可視化をすると同時に、日本がやっていることをしっかりユネスコの中で発信していくことの重要性も議論として上がりました。
最後に、日本のユネスコ加盟75周年記念事業について事務局より御説明を受け、この75周年を契機に、ユネスコ活動の分かりやすい情報発信の強化ということを考えて、委員それぞれの立場でしっかりと協力してやっていきましょうという意見が出た次第です。
以上、教育小委員会からの御報告となります。
【日比谷会長】 ありがとうございます。伊藤委員、いかがでしょうか。
【伊藤委員】 ありがとうございます。私からは、ジオパークとESDについてコメントさせていただきたいと思っております。
私は世界ジオパークに認定されております糸魚川市の出身で、ジオパーク大使というのを務めているんですけれども、糸魚川市においてジオパーク学習というのが行われています。生まれてから18歳まで、ジオパークと地域の歴史や文化、そして産業とのつながりを理解する教育というのが体系的に行われていることを紹介し、こうした学びが子供たちの探究心や防災リテラシーを育て、さらには郷土への愛着、そして地域への関心、さらには地域のために何かしたいというモチベーションにつながっているということを教育小委員会でもお話させていただきました。
私は、ESDというのが環境・社会・経済を統合的に理解して持続可能な社会を担う人材を育てている教育だとするならば、ジオパークというのは、その理念を地域の現場で実践できる非常に重要なプラットフォームであると感じております。ESDの課題として、どこか抽象的になりやすいというか、観念的になりやすいというところがあると思っています。例えば脱炭素に取り組むということにおいても、なぜ脱炭素に取り組まなければいけないのか、本当に理解して実践に結びつけるということまでなかなかできていないというのが実態なのではないかと思っております。ジオパークというのは、地球が生きているということを実感できる場所なんですよね。地球はまさに変化を遂げていて、その動きに寄り添うように様々な生物が生まれ、私たち人間もその恩恵を受けながら、時には災害とも共存しながら地域社会を形成し、産業をつくり出してきた。こういうことを実感として学べる場所なんです。しかも、非常に長い時間軸の中で、自然に対する畏敬の念を持ちながら、先人たちはこのバランスを保って今日まで至っているということも知ることができます。
それに対して、今の気候変動というのが人間の活動によって短期間で急激に変化が起きていると。その時間軸の重さを実感することで、なぜ今こんなに脱炭素というものに取り組まなければいけないのかというようなことも体感し、理解して行動につなげていくことができると思います。ですので、ジオパークの学びというものを、地域の子供たちはもちろん、他地域の子供たちにも広げていくことが大事だと思っております。
地殻変動は決してジオパークだけではなく、日本のどこでも起きていることです。災害とも向き合っていかなければいけないというのは、このプレートが重なり合っている日本の持続可能性という意味では宿命でもあると思います。ですので、修学旅行とか、学校交流とか、それからオンライン学習などを通じて、子供たちが防災に対しての意識を高め、また、異なる地域の自然や文化を比較しながら、改めて自分の地域の特徴を学ぶことで、地域への理解や誇りが生まれると同時に、地球規模の視点を育むことができるのではないかと思っております。
世界各地のジオパークネットワークを活用すれば、同時に地域と地域、国と国が学び合うというESDの教育交流を広げることもできると思います。ジオパークは、ESDを支える実践的な教材教育インフラとして位置づけていくことができると思いますので、学校教育との連携をさらに進めていただいて、地球環境を体系的に学べるような、そんな仕組みを整えていただければいいなと思っております。
以上です。
【日比谷会長】 ほかにいかがでしょうか。杉村委員、お願いします。
【杉村委員】
上智大学の杉村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど教育小委員長、北村先生からまとめの御報告をいただきました。その中で、ユネスコスクール全国大会について御報告いただきましたが、昨年12月、大変僭越でございましたが、本学四谷キャンパスで第17回ユネスコスクール全国大会を開催させていただきましたので、そのときの所感とともに、コメントさせていただきたく思います。
ユネスコスクール全国大会は、第4回ユネスコウイークの一環として、公益財団法人ユネスコアジア文化センター、ユネスコ未来共創プラットフォームの事務局の御協力の下に開催されました。テーマは、「ユネスコスクールの目指す教育と学び」、そして副題として、今日も出ております「2023年ユネスコ教育勧告から考える」ということでしたが、この大会で、本学にも全国から多くの皆様にお運びいただく中で大変強く感じたことがございます。
先ほども次世代の活躍、ユースの活躍ということが出ていましたけども、基調講演の後のパネルディスカッションでは、次世代ユネスコ国内委員会委員、今日も御出席になっておられますが、谷垣先生がモデレーターを務めてくださって、多摩市立連光寺小学校の校長先生、京都外国大学の西高等学校の生徒さん、そして広島国泰寺高等学校の生徒さんたちが参加されて、自分事としてのESDの活動を御報告くださったことを発表してくださいました。それからその後のポスターセッションや午後に行われた分科会でも、いかにESDの活動や実践を自分たちの問題として結びつけていくかということが熱く語られ、大変印象深く思った次第です。
本学は2024年からユネスコチェアを承っております。私どもは人間の尊厳、平和、サステナビリティのための教育というチェアで、まさに2023年ユネスコ教育勧告の実施と運営に取り組むようにというミッションを頂戴しているのですが、グローバルシチズンシップ教育やESDを中心に、連携や研究プロジェクトを進める一方で、こうした若者あるいは先生方との連携も非常に重要だということを強く感じました。
御存じのとおり、ユネスコが2020年に出したESDロードマップの中には、ユースや、ホールコミュニティアプローチ、さらにホールスクールアプローチということが書き込まれています。ユネスコの教育の未来レポートで述べられていることや、教育の変革、トランスフォーミングエデュケーションということとあわせて、日本がこれまで培ってきたESDの実践や伝統、あるいは様々な活動を、国外にも今後しっかりと発信できればと思いましたので、あわせてコメントさせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【日比谷会長】 小山田委員、貞広委員、松浦顧問の順でお願いいたします。
【小山田委員】 ありがとうございます。北村委員長から総括いただきまして、ありがとうございます。
私は、先ほどの御報告の中にもありましたけど、2023年の教育勧告、この重要性をやはりしっかり認識しないといけないと思います。教育を通じて、平和で公正で包摂的な持続可能な社会をつくっていく。50年ぶりの大改正です。この中の14原則というのは、非常に大事だと思います。ただ、合わせて、その教育の対象になる人たちがどういう人たちかというと、「全ての人」ということで、フォーマル、ノンフォーマル、インフォーマルの形式によらない、様々な様式で「全ての人」に対してきちんとした教育をしっかり推進していくということが重要です。もう一つ、今私は日本ユネスコ協会連盟でU-Smile活動というのをやっております。地域協働型包括型教育支援ということで、地域が一緒に連携して子供たちを育成していこうと、現在、12の地域ユネスコ協会で推進しているのですが、いろいろなことが見えてまいりました。もともとは、相対的貧困、日本には200万人以上、9人に1人の子供たちがそうした状態にあります。独り親世帯では2人に1人です。外国ルーツの子供たちも増えていて、1万人近い子供たちが教育をきちんと受けていませんし、不登校の子供たちも36万人に増加しています。いろいろな教育格差が出てきている中で、まさにユネスコの教育勧告の精神をどう実践していくのか。対象をどう捉え、どう行動していくのか、その行動原理が非常に問われています。そのどう実践していくかということを、この日本ユネスコ国内委員会の場とか教育小委員会もそうですけど、そうした場で検討して、民間としてもそれにしっかり応えていく、そういう世界を一緒につくっていきたいと思っています。したがいまして、是非、引き続きこの議論は続けさせていただければと思います。ありがとうございます。
【日比谷会長】 貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】 恐れ入ります、貞広と申します。
北村委員長に適切に御報告いただきましたので、まさに屋上屋を重ねるようなことになりますけれども、目下10年ほどに一度行われている学習指導要領の改訂作業が進められており、私それに関わっておりますので、少しコメントをさせていただきたいと思います。
今、小山田委員からも教育勧告の指導原則のお話ございました。今、学習指導の改訂は、このような大方針で進められております。生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら自らの人生をかじ取りすることができる。民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育むという大方針の下に、主体的、対話的で深い学びの実装、多様性の放出、そして実現可能性の確保という3点からこれらを支えるという方針で検討が行われています。また、現行の学習指導要領においても、教育勧告のとりわけ指導原則については、全ての学校種、教科、活動に大方針としてちりばめられています。ただ、小山田委員がおっしゃったように、もちろんこれ以上のものを目指す必要がないという意味ではございません。とりわけ対人的な公共政策である教育に関しては、政策の哲学と実際の実装の間にギャップが生じます。そして、それができている学校とできていない学校、できている地域とそうではない地域というのがどうしても出てきますので、こうしたより実質的実現を、整合性を持ちながら実現していくということは非常に重要なことだと思います。
一方、国際学力調査の結果などを見ますと、水準、どれぐらい、何位かということだけに社会的な目が行きがちですけれども、実際日本は水準が高いだけではなく、あくまでも相対的にですけれども、他国と比べて格差がとても少ない国として評価もされています。もちろん、先ほどもコメントにありました36万人という不登校の子供たちの包摂というものがとりわけ急がれるところではありますが、水準が高くても格差が少ないということは、まさに学校の先生方が非常に御尽力くださっているというところですので、ぜひそういう辺りも、発信評価というものもお願いすることによって、より生の駆動がより生まれていくのではないかと考えているところです。
以上でございます。
【日比谷会長】 松浦顧問、お待たせしました。
【松浦特別顧問】 各小委員会の御報告、ありがとうございました。非常にそれぞれしっかり研究、検討していらっしゃるので、うれしく思います。
ひとつ文化関係でお願いがあります。文化・コミュニケーション小委員会にぜひお願いしたいのは、私が事務局長になる前は世界条約を含めて3条約あったのですが、私の10年間に無形文化遺産条約を含めて3条約追加して今は6条約あるのですが、日本はいまだに2001年の水中文化遺産の保護に関する条約と2005年の文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約は批准していないんです。この点については、これまでも何回か発言させてもらっていますけれども、条約を批准すると大変ですし、それに合わせて国内法の整備も大変です。ですから、ぜひ小委員会では今の2つの、特に水中文化遺産の保護に関する条約に重点を置いてもらっていいと思うんですが、ぜひ日本にとってどういうメリットがあるのか、あるいはどういう障害があるのかをしっかり検討していただき、それを踏まえてぜひ外務省や文科省に進言していただいて、できるだけ早く条約を批准し、国内法を整備し、それに伴って国内活動ができるようにしていただきたいと思います。 以上、私の願いです。
【日比谷会長】 北村委員長から皆様からのコメントについて何かありましたらお願いします。
【北村教育小委員会委員長】 委員の皆様、本当にありがとうございます。私の言葉足らずのところを補っていただいたと思います。
2つありまして、1つは、ユネスコが提示する非常に理念的なところをいかに現場でしっかりと反映させて実践していくのかというときに、まだまだギャップがあったり、やらなければいけないことあると思いますので、そこをしっかりと小委員会としても今後も議論を積み重ねていきたいなと思います。
それからもう一つは、先ほどのジオパークの例、それからユネスコスクールのように優れた取組をユネスコに対してももっと積極的にしっかりと発信していくことが大事だなということを改めて思った次第です。
以上です。
【日比谷会長】 ありがとうございました。
次に、次世代ユネスコ国内委員会からの報告に移ります。同委員会の小林委員長、それから谷垣副委員長にいらしていただいています。それでは、お願いします。
【谷垣次世代ユネスコ国内委員会副委員長】 次世代ユネスコ国内委員会からの報告に貴重なお時間いただきまして、誠にありがとうございます。委員長の小林真緒子と副委員長の谷垣徹が報告させていただきます。
資料の10ページを御覧ください。
本委員会は、我が国のユネスコ加盟70周年を機に発足し、今年度で5年目という節目を迎えました。本日は、今年度の活動方針、各ワーキンググループの取組、国内外での会議への参画、そして最大の発信の機会となりましたユネスコ日本ユースフォーラムの成果について御報告申し上げます。
11ページですけれども、今年度私たちはユネスコ活動への参画層・取組意向層と協働し、ユネスコ活動に参画するユースの裾野拡大を目指すという活動方針を掲げました。
具体的には、1つ目、既存のユースによるユネスコ活動の活性化ということで、ユネスコ関連団体とのより広い連携を目指すこと。2つ目に、ユネスコ活動に参画するユースの裾野の拡大として、本委員会の目的や具体的な活動内容の認知を促進し、SDGsやサステナビリティに関連する活動に取り組む諸団体との連携を図ること、この2つを掲げて活動してまいりました。
これらを実現するため、教育、科学、文化の3つのワーキンググループ計23名の委員が、それぞれの専門性を生かしつつ、互いに分野の枠を超えて連携してまいりました。
続いて、12ページでございます。
委員会全体の活動といたしまして、今年度の活動は、対面でのキックオフ会合やサマーミーティングで方向性を深く議論した後、毎週日曜日のオンラインミーティングを通じて具現化させてまいりました。
続いて、13ページでございます。
各ワーキンググループ、また、その分野の枠を超えての活動です。まず、東京都立山崎高等学校において、全6回にわたる出張授業、探求学習の協力を行いました。これは、ユネスコスクールとの具体的な協力事例として、ユースに活動の意義を伝える貴重な機会となりました。
続いて資料右上、ユネスコの研修生やインターンと連携したオンラインイベント「国際機関の扉をノックしよう」を開催し、93名の参加者に対して未来のキャリアとしての国際機関の姿を提示いたしました。
続いて左下ですが、文化の分野では、ユネスコ食文化創造都市であります大分県臼杵市にて、臼杵食文化ユースサミットを開催いたしました。地域のユース世代が食文化の価値を再発見し、世代継承への当事者意識を深める場を創出いたしました。
続いて、4つ目、右下ですけれども、第2回ローカルSDGsユースネットワーク拡大大作戦と題しまして、大阪にて、近畿圏のユース団体とネットワーク形成を推進いたしました。
資料14ページについて、国内外の会議への参加と国際発信として、今年度は国内外の多様な会議において日本のユースの立場から意見を発信してまいりました。中国で開催された生物圏保存地域MABの世界会議や、スペイン・バルセロナで開催された文化政策と持続可能な開発に関する世界会議、MONDIACULT2025など、幅広い分野でのステークホルダーとの連携強化に努めました。特に2025年10月にウズベキスタンのサマルカンドで開催された第14回ユネスコユースフォーラムへの参加については、本委員会から橋本委員を派遣し、気候変動対策と社会的影響をテーマとした議論に加わりました。参加を通じて得た国際的な提言を、いかに国内の政策や活動に接続していくかという実装の視点は、本委員会の今後の活動においても極めて重要な視点になると考えております。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】 では、ここから小林が説明させていただきます。
ユネスコ日本ユースフォーラムについてです。昨年度は、ユネスコ活動に既に取り組んでいるユース同士の交流を深めることを目的としてフォーラムを開催いたしましたが、今年度に関しましては、より取組構想や関心潜在層といった、より多様な参加者の参画を促進するため、フォーラムを一度開催するだけではなく、事前にプレイベントを実施いたしました。
プレイベントとしては2つ実施をしました。まず、オンラインイベントで実際に国際的なキャリアに関心を持つユースを対象に、ユネスコ研修プログラムに参加しているユースの協力を得てイベントを実施いたしました。そして、ユネスコ日本ユース・セミナーでは、ユネスコやSDGsに関心を持つユース層を対象に、科学コミュニケーターの方をお招きして、私たちと世界、私たちの生活とユネスコ、そしてSDGsとのつながりについて、理解や関心の向上を図るイベントを実施いたしました。
では次に、ユースフォーラムについてです。今年は『ユネスコの扉からつながる広がるわたしと「セカイ」』というテーマの下、ユネスコ活動への理解を深めるとともに、参加者それぞれの活動の幅を広げることを目的として実施いたしました。新しい仲間やアイデアと出会うことで、今後の活動に具体的な行動として反映させることを意識して、このようにプログラムを設計させていただいております。
当日は、先ほど説明にもありましたサマルカンドでのユースフォーラムの参加報告に加え、参加者が主体的に関わることができるポスターセッションも実施をいたしました。また、基調講演やパネルディスカッションも例年どおり実施をしたんですけれども、現在、率先して社会課題の解決に取り組んでいらっしゃる株式会社ユーグレナの出雲様、そして株式会社食の会の長内様に御登壇いただきました。このパネルディスカッションは、ユースが地球規模の課題を自分自身の学びやキャリアと地続きのものとして捉え直して、社会との関わり方について視野を広げる機会となりました。そして、私たち自身の委員会のワーキンググループ活動の報告もさせていただきました。
次に、成果についてです。成果としましては、過去最大の参加者数を記録し、参加者からも高い満足度を得ることができました。特に、ユネスコ活動への理解を深まりましたかという質問に関て、「とてもそう思う」や「そう思う」と回答した参加者がほぼ占めております。「ユネスコに関してあまり詳しく知らなかったのですが、興味が湧く分野を見つけられて大変うれしく思います」といった自由記述もいただいておりまして、我々が意図していた、ユネスコの取組に関心があるけれど、まだ踏み出せていないとか、ユネスコ活動はまだあまり知らないけれども興味があるといったユースにアプローチできたのではないかと考えております。
次に、ユースノートに関してです。こちらは、ユネスコ未来共創プラットフォームに、我々の活動の報告として、これまで御紹介いただいたものだけではなく、そのほかに17本を今年度は投稿しております。今後も11本の記事を投稿予定でございますので、ぜひ皆様にも御覧いただけますと幸いです。
最後にまとめになります。今年度は、既にユネスコ活動に取り組むユースとの連携を促進しつつ、取組構想や関心潜在層へのアプローチをしてユネスコ活動に参画するユースの裾野拡大に努めてまいりました。冒頭、谷垣副委員長から申し上げましたように、今年度私たちの活動も5周年となっておりますので、これまでの5年間の活動を総括するとともに、より多様で幅広い若者世代とのネットワーク形成に向けて、来年度以降も委員会の在り方を再考し、活動してまいりたいと思っております。
以上となります。ありがとうございました。
【日比谷会長】 御説明ありがとうございます。これまで5年間の大変すばらしい活動だったと思います。今年は日本のユネスコ加盟75周年ということで、それを1つのきっかけとして、さらなる発展が望まれるところですが、ぜひ委員の皆様からは、激励とか御助言をいただきたいと思います。
初めに、オンラインの髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】 御指名ありがとうございます。
小林委員長は、本学の卒業生であると伺っております。総合政策学部という課題解決型の学びを中心とした学部なのですが、小林委員長が2年生のときに、この次世代ユネスコ国内委員会が発足し、そのときから5年間、ずっと委員長を務めてこられたというのもすごくいいニュースだなと思っておりました。大学での学びが、こういった活動をするのにどのように作用していたか、どんなインパクトを与えていたかということを小林委員長に伺いたいと思います。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】 髙橋先生、ありがとうございます。
実は津田塾大学を卒業しておりまして、ずっとお伝えしたかったんですが、なかなかコンタクトが取れず、ありがとうございます。
大学での学びとしましては、課題解決型、PBL型の授業が非常に多かったので、ディスカッションや実際にフィールドワークに行くような授業がとても多く、そういった活動は、かなりユネスコのESDと親和性のある活動でありましたので、私自身、ユネスコ活動であったり、今の自分にもつながっているかと思います。
また、総合政策部は英語学習がかなり時間数として多く、また、データサイエンスなども実際に学んでいたんですけれども、そういった意味では、私自身は文系と認識して入学しましたが、理系、分野を横断して学ぶことができました。現在は東京科学大学にいるんですけれども、この分野横断型で社会課題をどのように解決するかというところを中心に学びを進めていけたというところは、私自身とてもよかったというふうに感じております。
ありがとうございます。
【髙橋委員】 ぜひこれからも頑張ってください。エールを送りたいと思います。
以上でございます。
【日比谷会長】 それではこの後、末吉委員、片岡委員、竹村委員の順でお願いいたします。では、まず、末吉委員からお願いします。
【末吉委員】 御指名ありがとうございます。小林委員長、そして谷垣副委員長、御報告ありがとうございます。
この5年間の取組を振り返りますと、次世代ユネスコ国内委員会の活動は、ユネスコ教育勧告が掲げる平和、人権、持続可能な開発、さらには国際理解といった理念をまさに具体的な行動として体現してこられたと言えると思います。小林委員長、谷垣副委員長をはじめ、ユースの皆様の御発言や行動の随所に、世界から失われつつある希望を感じてきた方も少なくないはずです。私自身もその1人です。
前回の教育小委員会でも申し上げましたし、貞広委員からも次期学習指導要領について言及ございましたが、次期学習指導要領の総則または前文にユネスコ教育勧告に基づく平和、人権、子供の権利、そして持続可能な開発が明記されることで、20年にわたるESDの努力が継承されて、日本の教育が国際的に貢献していく上でも非常に大きな意味を持つと考えています。それによって、ユースによるユネスコ活動が学習指導要領のメッセージを体現するモデルとなって、ユネスコらしい教育の重要性を社会に示すことにもつながるはずだと考えます。
この5年間ユースの皆様が積み重ねてこられた活動は、まさにその基盤を力強く築いてくださったものだと確信しておりまして、敬意を表したいと思います。
以上です。
【日比谷会長】 片岡委員、お願いします。
【片岡委員】 御報告ありがとうございました。大変世界が混迷しているときに、この地球規模の課題を考えるという若い世代が実は減っているのではないかと思っている中で、こうした活動されているのは大変心強いことだと思いました。
その中で、さらに広いフィールドにこの活動を広げていきたいという御意向がありましたけれども、実際今、どういう形で募集なり告知なりをされているのかなという、そこをちょっと伺いたいです。特定の大学などと提携されているのか、知れば行きたいと思う人もたくさんいるかと思うんですけれども、どんな形で広められているのかというのを教えていただけますでしょうか。
【日比谷会長】 では、竹村委員から、まず伺います。
【竹村委員】 御指名ありがとうございます。
【竹村委員】 包括的に5年間の活動報告をまとめていただいて、こんなにたくさんの活動幅広くやられていて、世界の会議にも出られていたということで、ユネスコの活動を若者を主軸として次世代に向けて展開していくという、非常にいい活動例を見せていただいたと思って、ほかの皆様もおっしゃられていたように希望を感じました。
特にユースフォーラムのところで、しっかりアンケートなども取って今後につなげていらっしゃるというところで、今後広げていくに当たって、もっと知れたらきっと活動に関わりたいという方が増えていくだろうなというのを少しコメントで実感したんですが、今後、ユネスコスクールは日本にたくさんございますので、そことのさらなる連携であるとか、ユースノートで非常にたくさん活動について報告されているところを、ユネスコスクールには小さいお子さんもいらっしゃると思うので、文字だけではない表現方法も踏まえながら、どういった形でより活動のすばらしさを広げていかれるのかなというところ、次の5年間でどういうことをイメージし、夢を描かれているのかなというところをお伺いしたいと思いました。
非常にすばらしい活動を聞かせていただいてありがとうございます。
【日比谷会長】 先ほどの片岡委員からの募集についての御質問は、事務局から回答するそうですので、それ以外についてお願いします。
【谷垣次世代ユネスコ国内委員会副委員長】 温かい激励のお言葉、どうもありがとうございました。ユネスコスクールとの連携のことで御発言いただいたかと思います。
今年度は、ユネスコスクール地域セミナーであったり、ユネスコスクール全国大会に次世代ユネスコ国内委員が参加し連携させていただく機会を得ました。今後もこういった形で次世代ユネスコ国内委員会の委員とユネスコスクールがつながっていく機会というのは、非常に有意義と考えておりますが、私たちだけがつながっていくというよりは、日本全国、大学のユネスコクラブや高校、中学校とかにもいろいろなユネスコ関連団体がありますので、そういったところと一緒につながっていく中で、日本全体のユネスコスクールの活動とリンクしていけたらなと思っております。私たちのこの次世代ユネスコ国内委員会が、そういった活動のハブになって、より多くの学校や子供たちがつながっていくような機会を設けることができたら有意義だなと考えております。
以上です。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】 情報発信について御意見いただきありがとうございます。こちらは、私たちとしてもとても試行錯誤しながら今まで実践してきたところではございます。まずはユースノートからというところで、今年度、昨年度やおととしからやっていたんですけれども、実際に体験してからすぐに発信しようというところを意識して、今年はかなり多くの記事を出せたのではないかなと思います。
一方で、実際にどれくらい見られているのかといいますと、なかなか難しいところもあります。こちらは委員個人の発信、シェアであったりとか、ぜひ皆様にも見ていただいて、SNS等でシェアしていきたいと思っております。今の掲載形態は記事なんですけれども、今後は動画や様々なツールも検討していきたいと思っております。ありがとうございました。
【日比谷会長】 それでは、片岡委員への回答はここで事務局からお願いします。
【加茂下国際統括官補佐】 御質問いただきました次世代の募集に関してですけれども、今募集はしておりませんで、来年度、今後の展開について検討する予定でございます。
以上です。
【日比谷会長】 それでは、本日最後の議題になりますが、日本のユネスコ加盟75周年に向けてに入ります。事務局から説明をお願いします。
【小林国際戦略企画官】 ありがとうございます。資料4を御覧ください。
ユネスコ加盟75周年記念事業の進捗については、資料の1から6のとおりにまとめております。会長表彰の実施、5月20日に主催イベントの実施、また広報活動として特設サイト開設、記念ポスター、動画、旅行雑誌の製作を進めております。また、民間団体による記念イベント登録や記念ロゴの活用も広がっております。このように、多くの関係者の御協力の下、国内外への発信を強化しておるところです。
また、今後の課題としましては、ユネスコ改革において、エルアナーニー事務局長の下、多様なステークホルダーとの連携が今重視されているところです。日本は民間ユネスコ運動の発祥国でもあり、日本のユネスコ加盟75周年を契機に、官民連携をさらに深めていくこと、特に民間からの様々な形での共同寄附など、枠組みづくりが重要な課題となっております。委員の皆様の知恵をいただきながら、今後の持続的なユネスコ活動の基盤強化につなげていきたいと考えております。
以上でございます。
【日比谷会長】 ありがとうございます。この75周年の御説明について、何か御質問、御意見がおありでしょうか。
【田代副会長】 よろしいでしょうか。
【日比谷会長】 お願いします。
【田代副会長】 今御説明いただいた75周年で、官民の連携というところが非常に大切だと思うんですけども、これは民間企業にも、もちろん上場をしている企業とそうではない企業といろんな形の企業があるので、いろんな形の協力の仕方があるかと思いますけども、上場企業に限って言いますと、どういう形で日頃の自分たちの活動に関係があるかというのを考えて、寄附という形だけではなく、例えば人を出すとか、自分たちのいる社会への貢献をするとか、いろんな形での協力の仕方はあると思います。日頃、広報とかですと、ユネスコとどうやって協力するかというとなかなか頭が回らないと思いますので、できましたら、日本ユネスコ国内委員会とか皆様で、こういう企業にはこういうふうに協力してもらえると、こういうことがあるよというような提案をすると、比較的ユネスコ活動には賛同なさる方ばっかりだと思いますので、具体的にこういう協力をしてくれるとか、こういうところに人を出してくれると会社の中でも社員教育になりますよとか、インセンティブが高まるのではないですかとか、地域に貢献できるんじゃないですかというのをやるとやりやすいのかなと思いますので、私も含めて皆様で考えられたらなと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
【日比谷会長】 ありがとうございます。続いて、最後に成田委員、お願いします。
【成田委員】 御指名ありがとうございます。渋谷ユネスコ協会の成田と申します。
75周年関連における民間ユネスコ活動の企画や各ユネスコ協会の動きについて、簡単に報告いたします。
今年は75周年という節目の年となっております。これを契機として、民間ユネスコ活動の動きが全国各地で広がりを見せていることを大変意義深く感じております。既に今年の2月には、東京において平和をテーマに、戦争体験者やその御子息による語り部の会が開催されました。体験に基づく言葉は、戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ伝える貴重な機会となりました。その他では、7月に盛岡で世界遺産を学ぶイベント、続いて四国でも地域の特性を生かした取組、そのほか多数企画されております。さらにユース世代における関連イベントも進められており、各地の草の根の活動が75周年という大きな使命の下で結びつき、全国へと広がりつつあります。こうした動きは、民間ユネスコ運動の新たな広がりを示すものではないかと感じております。75周年は単なる記念の年ではなくて、これからのユネスコをどのようにつくっていくのか、改めて問い直す機会でもあります。とりわけ若い世代が主体的に関わり、地域の課題や平和について自ら考える場が広がっているということは、未来への大きな希望であると感じております。
しかしながら、世界に目を向けますと、ユネスコ加盟から75周年、75年がたった今日においても、戦争や紛争が絶えることがありません。だからこそ、市民の立場から、人と人とのつながりを育み、平和の文化を広げていく民間ユネスコ活動の意義はますます大きくなるのではないというふうに考えております。草の根の力こそが日本のユネスコ運動の原点であり、また、大きな強みでもあります。75周年という節目を新たな出発点として、これから平和の理念を掲げながら、ユネスコ活動の輪をさらに広げてまいりたいと考えております。
今後とも、皆様の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【日比谷会長】 ありがとうございます。
それでは、これで本日の議題は全て終了いたしました。ほかに何か御意見、御発言はございますか。
本日は長時間にわたり、御出席また活発な議論を展開してくださいまして、本当にありがとうございました。閉会いたします。
―― 了 ――
国際統括官付