日本ユネスコ国内委員会総会(第157回)議事録

1.日時

令和7年9月2日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

オンライン

3.出席者(敬称略)

〔委員〕日比谷会長、角南副会長、田代副会長、青柳委員、伊藤委員、井上法雄委員、井上公子委員、井上洋一委員、井本委員、大谷委員、大矢委員、沖委員、奥下委員、押谷委員、小山田委員、岡本委員、川村委員、北村委員、木原委員、黒川委員、小浦委員、肥塚委員、児玉委員、小林委員、佐藤委員、治部委員、末吉委員、菅原委員、添石委員、髙橋秀行委員、髙橋裕子委員、田中委員、中澤委員、成田委員、西野委員、林委員、藤本委員、細田委員、松田委員、道田委員、山内委員、若林委員、和田委員


〔外務省〕岡野国際文化交流審議官
〔文化庁〕則本文化資源活用課文化遺産国際協力室長
〔文部科学省〕)あべ文部科学大臣、増子文部科学事務次官、平山大臣官房国際課長
 
〔事務局〕北山事務総長(文部科学省国際統括官)、小林事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、加茂下事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、生田目事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、中川事務総長補佐(同省国際統括官付ユネスコ協力官)、その他関係官

4.議事

【日比谷会長】  皆様、本日は御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、事務局に定足数の確認をお願いいたします。
【加茂下国際統括官補佐】  本日は、会場で5名、オンラインで33名の合計38名の委員に御出席いただいておりまして、委員の過半数以上ですので、定足数を満たしております。
【日比谷会長】  ありがとうございます。ただいま事務局から報告ありましたとおり、定足数が満たされているということでございます。
 それでは、第157回日本ユネスコ国内委員会総会を開会いたします。
 本日の総会は、オンラインと会場のハイブリッドで開催いたします。
 国内委員会の規定に基づきまして、傍聴を希望なさる方には、YouTubeを通じて公開をいたします。御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。
 私は3月に会長に御推挙いただきまして、そのときは副会長に議事進行をお願いしておりましたが、今日が一応デビューと言えばデビューということで、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議には、あべ俊子文部科学大臣に御出席いただいております。最初に、あべ大臣より御挨拶をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【あべ文部科学大臣】  皆様、こんにちは。あべでございます。今日はよろしくお願いいたします。
 第157回日本ユネスコ国内委員会総会の開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、日頃より日本ユネスコ国内委員会の取組に御理解と御協力をいただき、誠にありがとうございます。
 世界は依然として戦争や自然災害等、数多くの課題に直面しておりまして、国際情勢はなおも危機的な状況にございます。折しも、本年7月には米国がユネスコからの脱退を通告し、来年12月末に脱退することになりました。
 こうした中にありまして、本年から来年にかけまして、ユネスコ憲章採択80周年、日本のユネスコ加盟の75周年という、大きな節目を迎えます。我が国といたしましては、この記念の年を機に、ユネスコへの協力を一層強化するとともに、国内におけるユネスコ活動の更なる振興に努めてまいりたいというふうに思っております。
 本日の国内委員会総会におきましても、日本の加盟75周年に関する議題が予定されているところでございますが、日本がこれまで果たしてきた役割を改めて振り返り、今後の取組の方向性を再考する好機といたしまして、活発な御議論をいただけますと幸いでございます。
 本年10月末には、ウズベキスタンのサマルカンドで第43回ユネスコ総会が開催されます。新事務局長の選出及び任命、また、新体制への移行に加えまして、今後4年間の方向性を示す事業・予算案が議論される大変重要な場でございます。
 ユネスコ総会に向けた我が国の対応方針につきましても、本総会で深めていただき、文部科学大臣への答申という形で取りまとめていただきたいというふうに思っているところでございます。
 また、国際的な取組を支える基盤といたしまして、国内における活動は大変重要でございます。ユネスコスクール、また、世界遺産、無形文化遺産、ジオパーク、エコパーク、「世界の記憶」等、各地域で多様な活動が展開されているところでございます。
 さらに、国際的にも道田IOC議長をはじめとした日本の専門家、リーダーシップを発揮してくださっているところでございます。こうした国内外の取組は、日本の国際社会への貢献の礎でもございまして、大きな誇りでもございます。
 これらの成果も踏まえまして、ユネスコを通じました国際貢献の更なる強化に向けまして、幅広い視点から御意見をいただけますと幸いでございます。
 結びになりますが、委員の皆様の日頃の御支援に改めて心から感謝を申し上げるとともに、本日の御議論が実り多いものになりますように御祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。
【日比谷会長】  あべ文部科学大臣ありがとうございました。
 この後、次の御予定がおありと伺っておりますので、ここで退席をなさいます。ありがとうございました。
 続きまして、前回の国内委員会総会以降、事務局に異動がございましたので、報告をお願いします。
【加茂下国際統括官補佐】  4月1日付けで北山浩士文部科学省国際統括官、日本ユネスコ国内委員会事務総長、同日付けで小林美保国際戦略企画官、日本ユネスコ国内委員会事務局次長、4月28日付けで岩佐敬昭文部科学省国際統括官付国際交渉分析官、日本ユネスコ国内委員会副事務総長、同日付けで中川若菜ユネスコ協力官、また、4月1日付けで、私、加茂下祐子国際統括官補佐が着任しております。
【日比谷会長】  ありがとうございました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、北山国際統括官から一言御挨拶をお願いいたします。
【北山国際統括官】  4月に国際統括官を拝命いたしました、北山と申します。よろしくお願いいたします。
 これまでユネスコ関係では、文化庁の世界文化遺産室やパリのユネスコ日本政府代表部で勤務をする機会をいただきました。このほか、国際関係業務では、外務省の経済局国際機関第一課、パリの日本国大使館、文化庁国際課、文部科学省大臣官房国際課で勤務する機会をいただいております。
 日本のユネスコ加盟75周年という節目の年に向けまして、改めてユネスコの仕事に携わることができ、大変うれしく思っております。
 委員の皆様からの御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
【日比谷会長】  ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、本日の会議の配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。
【加茂下国際統括官補佐】  本日の資料は、議事次第に記載のとおりでございます。不足等がございましたら、挙手またはチャット機能で事務局へお知らせください。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題の1、最近のユネスコ関係の動きについてに入ります。事務局及び文化庁、外務省から報告をお願いしたいと思います。
 御意見、御質問などにつきましては、全ての報告が終わったところでまとめてお願いいたします。
 まず、事務局からお願いします。
【小林国際戦略企画官】  資料1を御覧ください。本年4月にユネスコ本部で開催されました、第221回ユネスコ執行委員会についての御報告です。
 まず、1ページ目の(3)に執行委員会全体の主な議題を記載しております。この主なものについて御報告いたします。
 2ページを御覧ください。教育分野では、まず、丸の1つ目として、ユネスコスクールネットワークのアップデートでございます。昨年末に新しいデジタルプラットフォームが導入され、加盟申請手続が再開されたことから、執行委員会では、事務局よりデジタルプラットフォームの整備状況や今後のネットワーク活性化の取組について報告がございました。
 事務局は決議案に基づき、各国に任意の資金拠出を求めましたが、多くの国は通常予算で対応すべきと主張し、本案は各国の意見を反映して修正され、採択されました。
 次に、丸の2つ目、SDG4-Education 2030です。ユネスコより国際的/地域的調整、モニタリング、支援に向けた取組の報告がございました。
 日本としても信託基金を通じた支援を継続していく旨を表明しております。
 なお、本案については、米国よりSDGsへの反対を理由とした投票の要請がございましたが、賛成多数により採択されました。
 一つ飛びまして、3ページの丸の4つ目でございます。1966年にユネスコとILOが共同採択した教員の地位の向上に関する勧告の改正手続については、前回の執行委員会で改正を進めることが決議されております。
 今委員会では、改正案の採択と報告までの手順をまとめた手続枠組み案が提案され、原案のまま採択されました。
 丸の5つ目です。ユネスコ/日本ESD賞については、事務局より外部監査の結果が報告され、賞は権威あるイニシアチブとして位置付けられていることなどについて評価がされ、2030年まで同賞を継続する決議が採択されました。
 続いて、科学分野です。
 丸の1つ目として、ユネスコ世界ジオパークが新たに16件採択されました。
 続いて、4ページ、丸の4つ目として、2026年から4年間の事業・予算案において、IOCの機能的自律性に対する再認識を促す決議案を我が国から提案し、採択されました。
 最後に、文化及び情報・コミュニケーション分野については、「世界の記憶」の新規国際登録が承認され、日本からの申請案件である増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書の国際登録が決定しました。
 御報告は以上でございます。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 続いて、文化庁からお願いいたします。
【則本国際協力室長】  文化庁でございます。
 文化庁からは、世界文化遺産及び無形文化遺産について御説明させていただきます。
 資料については、49ページ、50ページを御覧ください。
 まず、世界遺産条約に関しまして、飛鳥・藤原の宮都については、令和6年1月にユネスコに世界文化遺産登録のため推薦書を提出し、現在、イコモスによる審査が行われているところでございます。
 今後につきましては、令和8年7月19日から7月29日に韓国の釜山で開催予定の第48回世界遺産委員会において、世界文化遺産登録の可否が審議・決定される予定でございます。
 文部科学省としましては、飛鳥・藤原の宮都の文化遺産としてのすばらしい価値が評価されるよう、引き続き地元自治体や関係省庁と共に世界遺産登録に向けて全力で取り組んでまいります。
 続きまして、無形文化遺産保護条約についてです。
 現在、提案中の我が国の無形文化遺産の関連でございます。新規提案の書道につきましては、令和7年3月にユネスコに無形文化遺産代表一覧表への提案書を再提出いたしました。
 続きまして、3件の拡張提案でございます。「和紙-日本の手漉和紙技術」、「山・鉾・屋台行事」、「伝統建築工匠の技-木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の3件につきましては、令和7年12月8日から13日にインド・ニューデリーで開催される第20回無形文化遺産保護条約政府間委員会におきまして、登録の可否が審議・決定される予定でございます。
 新規提案案件に係る我が国のユネスコ無形文化遺産の審査が実質2年に1件となっていることから、「書道」は令和8年秋頃に開催予定の同政府間委員会において登録の可否が審議・決定される見込みでございます。
 文化庁からは以上でございます。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 それでは、最後に外務省からお願いいたします。
【岡野国際文化交流審議官】  外務省で国際文化交流審議官をしております、岡野でございます。
 外務省からは配付資料がございませんので、口頭での御報告になります。
 まず、米国の脱退についてです。皆様も報道などでよく御存じだと思いますけれども、7月22日、米国国務省報道官の声明によりまして、米国がユネスコからの脱退をユネスコ事務局長に通知した旨、正式に発表がされました。
 日本としましては、ユネスコの所掌する教育、科学、文化、コミュニケーションの分野における地球規模課題に対処するため、ユネスコが果たしている役割は依然として重要であると考えております。引き続きユネスコの活動を支持していくとともに、米国を含む世界各国と緊密に連携してまいりたいと思います。
 続きまして、2点目ですが、ユネスコ事務局長選挙についてです。現職のアズレー事務局長の任期は、今年11月のユネスコ総会までと定められております。任期満了に伴う後任の新事務局長候補としまして、3月まで応募がなされていまして、締め切られました。
 当初、エジプトのエルアナーニー元観光・考古大臣、メキシコのラモス元ユネスコ人文・社会科学局事務局長補、コンゴ共和国のマトコ元ユネスコプライオリティ・アフリカ対外関係部局事務局長補の3人が立候補しておりました。
 先般8月下旬にメキシコのラモス候補が立候補を取り下げるということを通知してこられましたので、現時点でエジプトのエルアナーニー候補とコンゴ共和国のマトコ候補のいずれかを選ぶ投票が行われる予定です。
 選出プロセスですが、まず、10月の執行委員会において、58の執行委員国による投票で過半数の得票により1名の候補者が選出されます。その人がユネスコ総会に向けて指名を受けまして、11月の第43回ユネスコ総会において指名された候補者に対する信任投票が行われて、過半数を得て事務局長として任命されます。
 新事務局長の任命によりまして、その後、新たな体制が立ち上がることになりますけれども、日本政府としましては、引き続き、新事務局長をはじめとするユネスコ事務局との関係強化に取り組んでまいりたいと思います。
 外務省からは以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 本日は、松浦特別顧問がお越しくださっています。16時に御退室と伺っておりますので、まず、松浦特別顧問からコメントをいただけますでしょうか。
【松浦特別顧問】  松浦です。
 今日はこうして皆さんと御一緒に参加できてうれしく思いますけど、次の会議がございますので、16時過ぎには退室させていただきます。
 今、大臣や皆さんからいろいろとお話がございましたように、私から申し上げるまでもなく、ユネスコはアメリカの脱退が大きな問題点ですが、それだけではなくて、世界情勢全体が今厳しい状況で、本来であれば、こういう時期だからこそユネスコがしっかり活動しなければいけないわけですけれども、残念ながらユネスコの人的・財政的な制約があって、本来の役割が果たせない状況になって、非常に残念に思っています。
 昔話になりますけど、私は第8代のユネスコ事務局長で、1999年から10年間、2009年まで事務局長を務めて、第8代ですから、その次と次、今度は第11代の事務局長の選挙が、今、御説明があったように行われるわけですが、私の10年のときは、今から考えますと非常にいい時期で、1984年にあったアメリカの脱退を復活させることもできまして、必ずしも100%とは申し上げませんけれども、いろんな意味でユネスコが本来の役割をかなりしっかり実施できたと思っております。
 ただ、その後の国際情勢、特にアメリカがトランプ大統領の下で二度も脱退して、今回二度目ですけれども、それは、今、申し上げたように象徴的な問題になる行動でありますけども、それのみならず、御承知のようにウクライナ情勢をめぐる厳しい状況、それから、中東も、イスラエル対イラン、さらにはパレスチナをめぐる動き等々、それから、あんまり報道はされていませんし、細かいことは申し上げませんけれども、アフリカも非常に厳しい状況に置かれているわけで、いろんな意味で本来ユネスコが果たすべき役割ができておりません。
 先ほど来いろいろと御説明がございました。まさに教育、文化、自然科学、社会科学、コミュニケーションという分野は非常に重要な分野で、本来役割をしっかり果たしていかなければいけないし、ユネスコとしてはしっかり努力していますけれども、残念ながら十分に役割を果たせていない。
 こういう中で、改めて私から申し上げるまでもありませんけど、皆さん方はもう十分に認識していらっしゃることですけど、日本としては、こういう時期だからこそ、今度、新しい事務局長の下で新しい体制ができますけれども、しっかり事務局と手を組んで、さらには今残っているユネスコのメンバー国と手を組んで、先ほど来御説明があったいろんな具体的な活動をぜひしっかり進めていただきたい。
 さらに申し上げますが、日本がそういう貢献をするに当たっては、やはり事務局の役割というのは非常に重要なので、新しい事務局長の下で新しい事務局の体制ができますけれども、ぜひ日本からしっかりした方を事務局の幹部に送り込んでいただきたい。
 残念ながら、私の後任のイリナ・ボコバ事務局長時代には少しできたんですけども、オドレー・アズレー事務局長のときは、日本人の幹部を送り込むことに成功しませんでした。大勢の方が手を挙げて、私もいろいろとアドバイスをした経緯があるんですけど、1人も採用されませんでした。ぜひそんなことがないように、今度の事務局長の下で、日本人の幹部がそういうようなポストに就いてもらうように、これはぜひ皆さん方が努力して、やはり日本人の幹部がいるということは、いろんな意味で日本としてもやりやすくなります。逆にいないとなかなかやりにくいということもございますので、この点は今ちょっと話題になっていませんでしたけど、皆さん方も念頭に置いて頑張っていただきたい。
 以上、いろいろと申し上げましたけど、オンラインでも大勢参加していらっしゃるので、うれしく思いますけど、日本はまさに国内的にはユネスコ活動はしっかりしていますが、やはり今申し上げたように、国際的なユネスコ活動に日本がしっかり参加するということをぜひ推進していただきたいと思います。
 以上、簡単ではございますけど、私の挨拶にさせていただきます。ありがとうございました。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問のある方は、お知らせください。事務局で確認して、私が指名をいたしますので、それから御発言をお願いします。
 それでは、挙手なしのようでございますので、これで議題の1を終わりにいたします。
 続いて、議題の2、我が国におけるユネスコ活動の現状と今後の取組についてに入ります。
 それでは、まず、次世代ユネスコ国内委員会からの報告についてです。次世代ユネスコ国内委員会の谷垣副委員長と吉田委員から御報告をお願いいたします。
【谷垣次世代ユネスコ国内委員会副委員長】  御紹介にあずかりました、次世代ユネスコ国内委員会副委員長の谷垣徹と申します。本日は、貴重なお時間をいただきまして、当委員会の報告をさせていただきますこと、誠にありがとうございます。
 それでは、2ページ目を御覧ください。令和7年度の活動方針及び新体制についてです。
 令和6年度の活動を終えまして、令和7年度の活動目標を、ユネスコ活動への参画層・取組意向層と協働し、ユネスコ活動に参加するユースの裾野の拡大を目指すことに設定いたしました。
 1つ目の既存のユースによるユネスコ活動の活性化につきましては、現状の連携を継続しつつ、ユネスコ活動、ユネスコ関連団体とのより広い連携を目指す。
 2点目のユネスコ活動に参画するユースの裾野の拡大につきましては、本委員会の目的や具体的な活動内容の認知を促進すること、そして、SDGs、サステイナビリティ関係の活動に取り組んでいる団体との連携を図る。この2点を方針として掲げております。
 教育、科学、文化の3つのワーキンググループに分かれて活動しておりますので、それらの活動や国内外の会議等への参加、そして、我々が大きなイベントとして行っているユースフォーラムの開催や、ユネスコ未来共創プラットフォーム上にございます「Youthnote」等において情報発信することを通して、これらの目標を達成していきたいと考えております。
 また、今年度4月より新体制での活動を開始いたしました。昨年度からの継続として12名、そして新規で11名、半分の新メンバーを迎えて新たな活動を開始したところでございます。
 今年度からは新たに公益財団法人五井平和財団様に活動を伴走していただきながら、我々の活動を御指導いただいております。
 それでは、次のページ、2月から7月の活動報告でございます。
 まず、6月15日にキックオフ会合として、委員会全体で集まりまして、新体制でのチームビルディングや今年度の活動の方向性を議論いたしました。
 また、6月13日にはユネスコスクールであります東京都立山崎高等学校様を訪問いたしまして、「持続可能性・ユネスコって何?」というテーマを基に講演をいたしました。こちらは年間6回程度の継続授業として活動する予定でございます。
 7月29日には「国際機関の扉をノックしよう~ユネスコのインターンと話そう!未来のキャリア~」をテーマにオンラインのイベントを開催いたしまして、93名に参加いただきました。ユネスコの活動や国際的な活動に対して関心を持っていただいているということがよく分かりました。
 それでは、次のページ、国内外の会議、イベント、ネットワークへの参加についてでございます。
 水色のところですけれども、御覧いただいているような会議にこれまで参加させていただきまして、これから9月、10月、そして、2月まで、下に書かれているような会議に参加させていただいて、日本のユネスコに関わる活動について発信をしていきたいと考えております。
 ここからは担当委員の吉田に代わって報告をいただきます。
【吉田次世代ユネスコ国内委員】  御紹介にあずかりました、ユースフォーラム担当の吉田夏希です。よろしくお願いします。
 令和7年度のユースフォーラムの方向性について、お話しします。
 イベントの概要としましては、日時が令和8年2月8日日曜日、10時から17時を予定しております。会場は、日本教育会館、趣旨は、ユネスコ加盟75周年記念として開催いたします。
 ターゲットの想定としては、次世代ユネスコ国内委員会の本年度の活動方針であるユネスコ活動への参画層・取組意向層と協働し、ユネスコ活動に参加するユースの裾野の拡大を目指すために、以下のターゲットを設定しております。
 本ユースフォーラムのターゲットは2つの層に分かれておりまして、取組意向層、すなわち実質的なユネスコ活動をしているが、自分ではユネスコ活動と認識していない人たち、そして、関心潜在層、すなわちSDGsなどの社会貢献活動に興味がある人たち、この2つの層をターゲットと考えております。
 そして、本ユースフォーラムのテーマ、目的(案)ですが、テーマとしては「ユネスコの扉から つながる 広がるわたしと『セカイ』」。
 ターゲットが取り組んでいる、または関心のある活動とユネスコの理念とのつながりを知ること、そして、ユネスコの枠組みで他団体、他分野とつながることで、ユネスコ活動の可能性を実感することを目的としています。
 現在は、各グループに分かれて、主にプログラムを作ったり、より詳細な内容を検討しているところです。
 以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 今、画面に映っていますが、来年2月のユースフォーラム、また、今年10月のユネスコユースフォーラムでの御活躍にも大変に期待しているところです。国内委員の皆様にも、助言、また、サポートをぜひお願いしたいと思います。
 今のお二人の御報告について、何か御質問、コメントありましたら、お知らせください。治部委員、お願いいたします。
【治部委員】  ありがとうございます。治部です。
 吉田様にユースフォーラムのことについて、お伺いできればと思います。来年2月ということと、あと、日本の加盟75周年の記念としての開催ということで、できるだけ盛り上がったらいいなというふうに思うんですけれども、それに当たりまして、現段階で何か課題といいますか、例えば集客みたいなことなのか、もしくはこういった企画をなさいますと、多くの場合、都市部に住んでいる、既にかなり意識をお持ちの方は参加されるんですけれども、日本においてもルーラルインクルージョンとよく言いますけれども、地方の学校のほうまで周知がいかなかったりとか、いろんな課題があったりすると思うんですが、広報のことなのか、参加のことなのか、もしくはメディアリレーションみたいなことなのか、もし何か現段階で課題とかがありましたら、きっとここにいる、いろいろな経験のある委員たちがお手伝いできることがあるんじゃないかなと思ってお尋ねします。
【吉田次世代ユネスコ国内委員】  ありがとうございます。
 集客に関しては、私たちも懸念しているというか、かつ検討しているところでして、おっしゃるとおり、地方の方、学生とか、若い方々はなかなか都内に来にくいというところがあるんですけど、前回、オンラインキャリアイベントを開催したときは、全国様々な箇所から参加応募があり、参加応募は160名を超えて、かつ、今回も160名超え、このあたりでストップをかけたので、もしストップをかけなかったら、200名、300名と応募があった可能性もあるので、地方の学生の興味・関心というのはあるかなと考えています。
 そして、このイベント自体は無料で開催されるということもあって、移動費とかの負担はありますが、来ることだけで、意識のある人たち、関心のある人たちのより関心が広がるというか、知識が広がる場所だということをしっかり告知できれば、皆さんに来ていただけるようになるんじゃないかなと考えています。
 そして、オンラインキャリアイベントでは、教員として勤務されている方であったり、自分の知り合いとかに告知を広めた結果、160名の応募があったので、それと同じような告知方法であったり、さらにSNS、いろいろなサイトを活用させていただいて、皆さんに御協力いただいて、広報をより強化していこうと考えています。
 もし皆様からも何かいい案とか、こういうつながりがあるとか、こういう方法があるというものがあれば、御教示いただければ幸いです。ありがとうございます。
【治部委員】  ありがとうございました。
 既にちゃんと集客されているということで、さすがだなと思いました。
 あと、確か日本ユネスコ国内委員会の前回の総会で、周年事業をどうするべきかみたいな議論がちょっと出たことがあったものですから、ぜひ文科省の方におかれましてはというか、私もお手伝いしますけれども、せっかくユースが盛り上がっているので、周年事業とのつながり、レレバンシーとしてどういうふうになっていくかということをうまく打ち出せると、広報的にはいいのかなと思いました。ありがとうございます。
【吉田次世代ユネスコ国内委員】  ありがとうございます。
 周年記念というところも踏まえて、より検討していきます。ありがとうございます。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、ないようですので、次に専門小委員会からの報告に移ります。
 3つの小委員会ございますが、まず、教育小委員会の北村委員長から御説明をよろしくお願いいたします。
【北村教育小委員会委員長】  ありがとうございます。教育小委員会の委員長を務めさせていただいております、北村です。
 第156回国内委員会の教育小委員会について、御報告いたします。
 7月31日に開催いたしました。
 主な議論は、ここに挙げました4点になります。
 まず、先ほど既に御報告がありましたけれども、ユネスコ執行委員会の結果がこちらの小委員会でも共有された上で、キッコーマン株式会社からユネスコへの寄附が行われたことについて御報告をいただきました。
 こちらの寄附は、先ほどもお話があったユネスコ日本ESD賞の授賞式等で活用されるような形で寄附をしていただいたわけですけれども、こういった形で日本の企業にしっかりとサポートしていただいていることはすばらしいということを委員たちで議論すると同時に、いかに今後更なる寄附等をしていただくようなことを考えるかというときに、やはりユネスコ活動に理解を深めていただくと同時に、企業の皆様に寄附をすることの意義というのをしっかりとお見せしていくことが大事なのではないか。また、情報発信もしっかりしていって、授賞式等をYouTube配信するなどといったことも大事ではないかといったようなことが活発に議論されました。
 今後も寄附をしていただけるような方々にアウトリーチしていくことが大事だというふうに考えております。
 2点目も先ほど御報告があったASPnetの話ですけれども、こちらは現在のキャンディデート校の状況等について、事務局のほうから御報告をいただきました。
 こちらも、今、数としては、非常に多くの学校がユネスコスクールに国内ではなっていますが、こちらの数に対して、やはり活動の質というのを高めていくことが大事だということで、今後、JICA等の様々な団体と連携をさらに深めて、ユネスコスクールでの活動の充実というのを図っていくことが大事だろうと。また、地域の外国人の方々との交流や多文化共生という視点をしっかりと重視していくことも大事だということ。
 また、今後、こういったユネスコスクールに加わりたいと希望する学校に対しても、支援をさらに継続していくことが大事ですねというようなことを議論した次第です。
 3点目になりますが、こちらは日本ユネスコ協会連盟や地域のユネスコ協会におけるユネスコ教育活動について、特に教育分野で活発に取り組んでいらっしゃる活動の御紹介がありました。
 まず、日本ユネスコ協会連盟でU-Smile事業という事業に取り組んでいることについて、小山田委員より御紹介いただきました。こちらについては、いわゆる教育格差、今、相対的貧困などが日本国内でも高まっている中で、そういった教育格差の解消にユネスコの活動の中でも取り組んでいけるということの実践例を御紹介していただいた次第です。
 また、成田委員からは、地域のユネスコ協会における2023年ユネスコ教育勧告の普及に関する活動について、御紹介いただきました。こちら前回の国内委員会総会でも報告がありましたが、1970年代以前にユネスコの教育の勧告というのがあったんですが、こちらの改定版が2023年にできまして、こちらを地域にしっかりと広めていくことの重要性について意見交換を行った次第です。
 最後は、事務局のほうから、ユネスコ加盟75周年に関する活動についての御報告をいただきました。この中で、教育分野においても、他分野、特にジオパークやエコパークなど、様々な地域資源をほかの分野としっかりと連携しながら活用して、教育分野の活動を盛り上げていくことの重要性が指摘された次第です。
 簡単ですが、以上、教育小委員会からの報告となります。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 続いて、文化・コミュニケーション小委員会の井上委員長、お願いいたします。
【井上(洋)文化・コミュニケーション小委員会委員長】  ありがとうございます。文化・コミュニケーション小委員会の委員長を務めております、井上から報告をさせていただきます。
 本年8月4日に第14回文化・コミュニケーション小委員会を開催いたしました。
 議題は以下の5点でございます。
 まず、議題(1)は、最近のユネスコ関係の動きについてで、事務局よりユネスコ第221回執行委員会において、文化と芸術教育に関するフレームワーク、今年開催予定のMONDIACULT2025、そして、「世界の記憶」の新規国際登録案件等に関する事項が議論された旨の報告がございました。
 議題の(2)は、「世界の記憶」についてです。事務局より2004年から2025年サイクルでは、我が国から増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書が新たに国際登録されたこと、そして、2026年から2027年は国際登録サイクルに向けた国内公募の実施及び2008年から2029年サイクルから導入予定の暫定一覧表制度に関する検討状況について報告がございました。
 続きまして、議題(3)でありますけれども、世界文化遺産についてでございます。文化庁より第47回世界遺産委員会において、世界遺産一覧表への記載に係る審査や危機遺産一覧表の更新等について議論されたことの報告がございました。また、古都奈良の文化財の資産範囲の明確化や佐渡島の金山に係る普遍的価値の言明の採択についての説明と質疑がございました。
 そして、(4)の議題は、ユネスコ創造都市ネットワーク(UCCN)についてです。事務局から越前市と高松市について、ユネスコによる加盟認定結果の公表が遅延していることについて報告がございました。また、UCCN加盟都市である名古屋市から、6月にフランスで開催された年次総会と10月に山形市で開催予定のUCCN・CCNJ合同会議について報告がございました。さらにUCCNについて、国が戦略的に申請を促す可能性をテーマとして取り組む創造都市の事例等について議論がございました。
 最後に、議題(5)でございますけれども、日本のユネスコ加盟75周年に向けた記念事業についてであります。事務局からの取組の説明に基づき、委員からフォーラム開催等の提案があったほか、若い世代に向けた平和に関するメッセージの発信などについて意見がございました。
 文化・コミュニケーション小委員会からの報告は以上でございます。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 続きまして、科学小委員会の沖委員長、お願いいたします。
【沖科学小委員会委員長】  沖からお伝えします。
 科学小委員会は、7月25日にハイブリッドで開催いたしました。
 議題の1では、最近のユネスコの科学分野における動きですが、まず、政府間海洋学委員会、IOCにつきまして、道田先生からIOC分科会、IOC総会、国連海洋会議をはじめ、国連海洋科学の10年に関します動向、IOC西太平洋地域小委員会やIOCの各事業等の動向について報告がございました。
 一番大事な点は、IOCの総会で道田委員がIOC議長に再任されまして、日本が執行理事国として引き続きIOCの運営に関与することとなったということで、道田先生を支えていく必要があるというふうに科学小委員会では考えております。
 2つ目の議題として、政府間水文学計画、IHPですが、IHPは今年が50周年、そのプログラムでありますIHDから60周年の記念行事としまして、6月にユネスコ本部でその記念行事が行われたんですが、6月の本部の前哨戦としまして、3月にシンポジウムを日本国内で行いまして、6月の本部での記念行事の際には、日本主催のサイドイベント、ICHARM(水災害・リスクマネジメント国際センター)や大学による取組について報告をいたしました。
 そして、人間と生物圏計画につきましては、9月、今月、中国で開催されます第5回生物圏保存地域世界会議並びに第37回のMAB計画国際調整理事会における計画の策定や、国内のユネスコパークや大学による共同研究や連携強化の取組につきまして、渡邉先生が御欠席でしたので、事務局から御報告いただきました。
 もう一つがユネスコ世界ジオパークですけれども、これにつきましては、菅原委員からMine秋吉台ジオパークの新規申請、糸魚川、島原半島、隠岐、伊豆半島の再認定審査ほか、国際的な動向と国内のジオパーク関連の動向について報告がございました。
 また、ニューロテクノロジーの倫理が本年11月のユネスコ総会で採択が予定されておりまして、その最終素案の概要と5月に開催されました本勧告についての政府間特別委員会について、事務局から御報告がございました。
 課題の2としましては、ユースの科学分野の取組ということで、文科省のサポートによるユネスコ研修プログラムでユネスコ本部に半年間インターンで行かれた佐藤様から研修の成果と今後の展望について御報告をいただき、また、次世代ユネスコ国内委員会の五十嵐委員から科学ワーキンググループの活動と今後の方針につきまして、報告・意見交換をいたしました。
 その他、ほかの小委員会でも御議論されているように、日本のユネスコ加盟75周年に向けて事務局で考えていること、それに対して各小委員会として、まずはユネスコの認知度を高めていくよい機会でもあるし、高めながら活動を広げていこうといった意見が交わされたと記憶しております。
 以上、科学小委員会からの御報告とさせていただきます。ありがとうございます。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 それでは、この3つの小委員会からの御報告につきまして、御質問、御意見のある方はお知らせください。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議題の3、第43回ユネスコ総会について(答申案)に移ります。
 本日も既に話題になっておりますけれども、今年の10月から11月にかけて、サマルカンドで第43回ユネスコ総会が開催されます。これについて、日本ユネスコ国内委員会に外務大臣と文部科学大臣から、7月、8月に諮問がございました。これから、これに対する答申案の御議論をお願いしたいと思いますが、まずは、事務局から説明をお願いいたします。
【小林国際戦略企画官】  ありがとうございます。
 それでは、資料3-1の15ページを御覧ください。まず、7月29日付けで、外務大臣から日比谷会長宛てに、1点目、第43回ユネスコ総会の政府代表の選考について、2点目、我が国の基本的方針について諮問がございました。
 また、併せて16ページ、次のページでございますが、8月15日付けで文部科学大臣から第43回ユネスコ総会における2026年から2029年の事業・予算案に関する方針について諮問がございました。
 次のページ、資料3-2の17ページを御覧ください。こちらが諮問に対する外務大臣への答申案でございます。
 まず、諮問の1点目の政府代表としては、(1)日本ユネスコ国内委員会委員、学識経験者で、議事に貢献できる者、(2)日本ユネスコ国内委員会事務総長、(3)特命全権大使、(4)その他必要と認められる者を提案しております。
 続いて、18ページ、諮問の2点目の基本的方針に関する答申案でございますが、(1)の一般事項は、文部科学大臣宛ての答申案と共通しておりますので、後ほど併せて御説明いたします。
 (2)の行財政については、19ページでございます。2つ目の○にございますように、米国の分担金未払いと2026年末の脱退による分担金の収入減を踏まえ、43C/5の予算編成や組織運営に十分留意するよう、求めている内容となっております。
 続きまして、文部科学大臣宛ての答申案については、事務局が作成した素案に対して委員の皆様から頂戴した御意見を反映しまして、資料21ページから25ページにお示ししておりますが、本日は附属資料2として概要をまとめておりますので、こちらに基づいて御説明いたします。ページ番号は、86ページと87ページになっております。
 まず、1の総論です。今年から来年にかけ、ユネスコ憲章採択80周年、日本の加盟75周年という節目、そして、新事務局長の選出と新体制への移行、さらに米国の脱退表明などと状況が変化する中で、日本としてはユネスコへの協力をさらに強化する。また、ユネスコ活動に賛同いただける民間からの協力が再活性化されるように働きかけを行うなど、官民連携を進め、国内活動の振興に取り組むとしております。
 2の教育分野でございます。まず、1つ目の○、ESDの推進を通じたSDGs達成への貢献に関しては、ユネスコに対して、SDG4の主導機関としての取組を進めていくことを求めております。
 また、日本政府としては、ユネスコスクールや信託基金を通じて、ESDの推進に貢献すべきこと、平和教育勧告の普及に取り組むべきこと、また、教員の地位に関する勧告改正については、実効性のある勧告となるように、議論に積極的に関与すべきこととしております。
 次に、87ページ、3の自然科学分野でございます。日本政府としてSDGsの達成に向けて、日本の知見を生かした専門家の参画や信託基金による支援を進めていくこと。
 そして、国連海洋科学の10年では、IOCの道田議長や関係省庁と連携して、目に見える形で推進に貢献すること。
 そして、ニューロテクノロジー倫理勧告の最終案について、日本としての対応を検討することとしております。
 次に、4の文化分野でございます。文化遺産保護では、日本政府として、専門家派遣などを通じて日本の存在感を高めて、貢献を継続すべきこととして、そして、創造都市ネットワークについては、ユネスコに対して申請期間の拡大や審査の透明性向上を求めることとしております。
 最後に、5の情報・コミュニケーション分野については、「世界の記憶」事業で制度改正の趣旨を踏まえた運用をユネスコに求めます。
 また、日本政府としては、暫定一覧表の作成や申請支援の仕組みの整備を通じて、事業推進に貢献していくこととしております。
 説明は以上でございます。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 それでは、この答申案についての議論に入りたいと思います。御意見のある方は、お知らせください。小山田委員、お願いいたします。
【小山田委員】  小山田です。ありがとうございます。
 今、御説明がありました、全ての人が質の高い教育を受けられるようにするための取組の推進、これはまさにおっしゃるとおりだと思いますし、ここがやはりユネスコとして一つの中核になる取組のまさにポイントだと思います。21ページを見せていただけますでしょうか。
 教育分野の上から4行目のところに、「全ての人が」というフレーズがありますが、今回、いろいろと御相談させていただいて、日本国内においては相対的貧困等の厳しい状況に置かれた子供たちの学習機会や体験機会を充実させる取組を強化すべきであるということを入れていただきました。感謝いたします。
 これは先般の教育小委員会でも御説明しましたけれども、現在、日本ユネスコ協会連盟では、国内の相対的貧困、これは定義もいろいろとありますけど、200万人以上のお子さんたちが、教育機会、体験機会が十分ではない厳しい状況に置かれています。そうした子供たちに地域が協働して包括的な教育支援をやろうという取組をしていますが、翻って「全ての人が」質の高い教育を受けられるようにするということは一体どういうことなのか。この辺はもう少し踏み込んで、ユネスコの中でも、あるいは我々もしっかり議論しないといけないのではないかと思います。
 日本ユネスコ協会連盟では、これまでずっと「世界寺子屋運動」に取組み、いわゆる発展途上国、開発途上国の識字教育について、いろいろと支援をしてきました。そういういわゆる絶対的貧困の中で、厳しい状況に置かれた海外の子供たちを支援してきたわけですが、今、翻ってみますと、先進国も相対的貧困とか、格差が広がる中で、子供たちがかなり厳しい状況に置かれている国々がたくさんあるように思います。したがって、ユネスコとしてもこうした状況をどのように総括して、どのような優先順位で「全ての人が」質の高い教育を受けられるようにしていくのか、この辺を少し明らかにしていかないといけません。多分リソースも限られていると思いますし、各国それぞれの思いがあると思いますので、ぜひ今回の総会ではそういった議論が少しでも前に進むことを望んでいますし、また、それを踏まえて、国内でもしっかり対応していくことが必要ではないかと思っています。ぜひそうした取組をお願いできればと思います。
 以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 末吉委員からもお手が挙がっていますので、まず、末吉委員の御意見を伺います。
【末吉委員】  末吉でございます。御指名ありがとうございます。
 私からは、2点、教育分野において意見を申し上げます。
 まず、1点目ですけれども、2023年に採択されたユネスコ教育勧告が学習指導要領に組み込まれていくべきではないかと考えます。特に14の主導原則は重要であると思います。この10年を逃すことになりますと、人間や人間ならざる生き物を含めた全ての命や地球の持続可能性が完全に失われて、後戻りできない危機にあるということを改めてユネスコとしても認識していくべきだと思います。これを全ての加盟国が理解して、そして、前提とした上で、2030年までに、またその先に何をすべきか、バックキャスティングで考えていかなければならないと思います。平和だけでなく、サステイナビリティも合わせた2本柱で次の10年を見据えて向き合っていく必要があると思います。何をやったか、だけではなくて、やはり何が変わったのか、どう変容したのかということも重視していくべきだと考えます。
 2点目は、日本が気候変動教育の先進国になっていくべきであるということです。それは例えばですけれども、全ての公立の学校で気候変動教育が当たり前のように実施されている状態のことであって、これを実現するためにも、具体的に言うならば、例えばですけれども、全国の教育委員会で活用できるようなテキストなどが作成されて使われているとか、そういったことかなとも思います。
 国連のグテーレス事務総長の地球沸騰の時代がやってきたという言葉のとおり、今の状況はもはや単なる異常気象ではなくて、構造的な変化による気候戦争と言っても過言ではないと思います。銃もミサイルも使われていないのに生活が破壊されていったり、人々が亡くなっていったりという、言わばスローバイオレンス的なことも起き始めています。過激と思われるかもしれませんけれども、現実に起きていることです。なので、こうしたことも踏まえて、日本としては、未来世代である、特に次世代ユネスコ国内委員会のユースたちや、あるいは地域のユネスコ活動と手を携えて、気候変動教育ですとか、サステイナビリティの分野においても、世界をリードしていく存在になっていくことを期待しています。
 以上となります。ありがとうございます。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 まさに地球は沸騰しているというか、このところ、9月に入っても本当に沸騰している状況でございますが、北村先生、何かコメントはありますでしょうか。
【北村教育小委員会委員長】  ありがとうございます。
 今、お二人の委員から、我々が教育小委員会でした議論を踏まえて、さらにその先に突っ込むような御意見を頂戴したかと思います。
 まず、小山田委員がおっしゃられたことですけれども、ユネスコにとりましても、かつてのEFA、MDGsという形で、途上国を中心に基礎教育の普及を目指していた時代から、SDGsになりまして、先進国も含めた全ての国での教育の質の向上ということで、ユネスコのほうでは、今、ラーニングポバティという概念で、教育格差の問題というのは、やはりプライオリティの一つとして取り上げていますので、まさに小山田委員が御指摘になられて御提案されたように、日本の中でも教育格差の問題はしっかりと取り組んでいく。もちろん文部科学省だけでできることでもなく、全国の教育委員会、そして、厚生労働省等を含めた福祉の分野も含めて、みんなで手を合わせてやっていく必要がありますが、ラーニングポバティはまさに世界的な課題ですので、日本にとっても大きな課題だというふうに私たちも理解しております。
 次の末吉委員からの御指摘もまさに私たちが取り組まなければいけない、そして、また、日本がリードできるテーマ、分野だというふうに考えております。先ほど委員のほうからも御指摘がございましたように、日本は世界の中でも珍しくナショナルカリキュラム、日本の場合はコース・オブ・スタディ、学習指導要領ですが、その中にESDがしっかりと位置付けられて、それに取り組んでいる。まさにESDでやろうとしていることが、気候変動教育の先進国として取り組むべきことのコアにあるわけですが、その中でも、さらにまだやらなければいけないこと、非常に大事な御指摘であったと思うのが、今、教育委員会や学校の現場を見ると、気候変動教育、あるいはもっと広く言えば、ESDで扱うような様々なテーマについて、必ずしも先生方が十分に御知見を持って教育実践することができない。先生方は非常にお忙しい中で、先ほどテキストなどが必要じゃないかという御指摘がありましたが、そういった学習教材等を教育委員会や文科省のほうでもしっかりと考えてサポートしていくことで、学校現場の負担をできるだけ減らしながら、なおかつ気候変動教育をしっかりと行っていく。そのためには、最後におっしゃられたように、学校だけではなく、ユネスコ協会を含めて、地域の方々、ユースも含めて、一緒になってやっていくことが大事だということで、非常に大事な御指摘をいただいたというふうに理解しております。ありがとうございます。
【日比谷会長】  ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、いただいた御意見を踏まえて対処してまいりたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、本日、何回か話題にも出ておりますけれども、議題の4として、日本のユネスコ加盟75周年についてを取り上げます。事務局から御説明をお願いします。
【小林国際戦略企画官】  ありがとうございます。
 それでは、資料4、25ページを御覧ください。こちらに日本のユネスコ加盟75周年に向けた取組案をお示ししております。
 これは前回の国内委員会総会資料を基に、7月の各小委員会での議論も踏まえまして、特に下線部分についてアップデートをしたものとなっております。
 主な取組案としまして、1、日本ユネスコ国内委員会会長表彰の実施。これはユネスコ活動を行う様々な団体を対象としてユネスコ活動の取組事例を広く募って、特に顕著な事例を表彰するというものでございます。
 2ですが、1945年11月16日がユネスコの設立記念日ということもございまして、来年11月の会長表彰の授賞式を含めた記念フォーラムの開催を御提案しております。
 3では、特設ウェブサイトを活用して、著名人や有識者の先生方による動画やポスターを通じた広報を行うことを提案しております。
 ここでポスターについて細かく記載しておりませんが、例えばジオパーク、エコパーク、世界遺産、無形遺産、「世界の記憶」や創造都市などの様々なユネスコの登録関連事業を地図や解説で分かりやすくまとめたものを作成して、学校などで御活用いただくといったアイデアもございます。また、国内のユネスコの関連事業のサイトについて、学びと観光という視点から旅行雑誌を作成する、放送事業者と連携していくといったアイデアもございます。
 4については、国内の関連イベントを記念イベントとして登録させていただいて、カレンダーで取りまとめて公開をしていくこと。
 5は記念ロゴマークを年内に作成し、4のイベントや広報などで活用していくことを検討しております。
 委員の皆様におかれましては、このような内容をさらに充実させるための御意見や連携の在り方、また、これに限らず、よりユネスコ活動の普及啓発に関する望ましい取組や広報の在り方についても、御助言をいただけますよう、お願いいたします。
 以上でございます。
【日比谷会長】  御説明ありがとうございます。
 西野委員、どうぞお願いします。
【西野委員】  杉並ユネスコ協会の西野でございます。
 様々な御検討を進めていただき、ありがとうございます。
 私、民間活動の立場から申し上げますと、ユネスコに対する国民の理解はごく限定的であるため、広く知られた著名人の発信力を生かすことは非常に効果的だと感じております。
 一方で、特設ウェブページでの発信に課題を感じます。どれほど優れたコンテンツであっても、掲載するだけではなかなか届かないという現実があり、閲覧への動線づくりが必要かと思います。
 そこで、75周年の事業全体を一体的に展開する3つの広報戦略を御提案させていただきます。
 1つ目は、発信力のある著名人に75周年ユネスコアンバサダーとして御就任いただくこと。
 2つ目は、記念フォーラムにアンバサダーにも御登壇いただき、新聞、テレビ、ネットメディアを通じて広く発信していただくこと。
 3つ目として、複数の著名人から平和への思いを集め、ピースメッセージとしてポスターにすること。これを企業や学校、文化施設などで掲示いただくことで、国民の身近な場からユネスコの認知を広げていくというものです。
 現在、社会貢献活動をされている著名な方は数多くいらっしゃいますが、日本ユネスコ国内委員会からの依頼となれば、大きな信頼と重みを持つかと思います。また、国内委員の皆様は、高い専門性と協力を持ちで、著名人や企業、メディアとのつながりも事務局へ橋渡しいただけると考えております。私もルートを探して、可能な限りの協力をしていきたいと思っておりますので、ぜひ委員の皆様もそれぞれのお立場から御尽力をいただくよう、お願いいたします。この官民の連携が実現すれば、日本のユネスコ活動のモデルケースとして国内外に広く発信できるものになるとも思います。
 以上ですが、個々の企画が連動して相乗効果を生むような取組となりますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
【日比谷会長】  続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。
 まず、これの位置付けですが、現下の国際情勢については、御承知のとおりでありまして、ユネスコの理念である平和や民主主義は、ユネスコが発足以来の最大の危機を迎えていると考えております。
 そのような状況下の記念事業というのは、資料の一番上に位置付けが書いてありますが、これまでのユネスコ活動の取りまとめだけではなくて、将来に向かって平和と民主主義を守る、ユネスコの理念を広く一般の人に伝える事業というふうに位置付けてはどうかというふうに思います。
 そして、広く一般の人に伝えるためには、今、西野委員から提案がありました、なじみのある著名人にユネスコアンバサダーになってもらって、新聞とか、テレビとか、ネットの取材でこれを発信していくとか、それから、ポスターを企業とか、教育機関で掲示していただく形なんていう格好の広報が有効と考えております。
 ところで、教育、科学の分野ではもちろん文科省でありますが、文化・コミュニケーションの分野では民間企業も幅広いネットワークを持っております。そこで、ユネスコアンバサダーの実現については、全てを文科省にお膳立てしてもらうのではなくて、ここにいらっしゃる企業、団体やメディア関係者の方々の可能な限りのルートの紹介、後押しなど、幅広く民間の協力が重要だというふうに考えております。皆さん、協力していただけますでしょうか。
 そして、文科省、日本ユネスコ国内委員会からの要請とあれば、忙しい有名人であっても、ボランティアのユネスコアンバサダーの依頼は、必ず検討してもらえると思っています。有名人が社会貢献をしている事例はたくさんあります。案ずるよりは産むがやすしだと考えます。
 さらに、ここに参加されている科学者や専門家の先生方も、ユネスコスクールやユネスコ協会から分かりやすい講演会の依頼があった場合には、講師を引き受けていただけることを期待しております。
 先ほど決議されましたユネスコ総会に向けての答申でも、官民の連携が必要とされておりまして、従来のユネスコ関係者だけという枠を超えた発想が必要だと思います。75周年を機に、ユネスコ活動を官民の連携・協力の新たな活動のステージに発展できればというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
 以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 続いて、添石委員、お願いいたします。
【添石委員】  ありがとうございます。
 私からも、日々、子供たちと共に草の根的に民間でユネスコ活動を行っている立場から、ぜひ発言をさせていただきたいと思います。
 私は沖縄で生まれ、現在も沖縄に住み続けています。今、世界の紛争地域で起きている悲惨な状況は、遠くで起きている他人事とは思えず、常に緊張感を持って日々生活を送っております。
 戦後80年、そして、ユネスコ加盟75周年を迎え、米国がユネスコ脱退を表明している今、日本がユネスコに加盟した価値、加盟国として存在している価値を国民と共にしっかりと考える大切なときだと感じています。
 ユネスコという言葉が価値あるものとして世界の平和を希求するためにも、本日御参加の専門家の先生方や官僚の皆様と共に、官民が一体となってユネスコという言葉を価値あるものとして、若い世代を含め、全国の国民に普及していくチャンスだと思っております。どうか様々な制約があると思いますが、記念事業を含め、広報活動の強化を私からも強く願いたいと思います。
 発言の機会をいただき、ありがとうございました。以上でございます。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 続きまして、道田委員、お願いいたします。
【道田委員】  ありがとうございます。道田でございます。
 様々な活動を計画されていて、大変結構だと思います。
 今、ちょうど映っていますけれども、3行目のところです。広く国内外に周知する。国内外の「外」のほうです。もう1段、2段、対外的な、日本の外に対するこの種の活動、日本が75年ユネスコで頑張ってきて、こんなことをこれからやっていくんだみたいな、対外発信をもう1段考えていただくといいかなと思って、お聞きしておりました。
 私、先ほど来、何回か言及がありますIOCの議長を務めておりまして、来年はまだ私の任期中でありますので、例えばIOCのしかるべき会議で何かをやるとか、そういったこともアイデアとしてはあろうかと思いますので、ひとつ検討していただくといいかなと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【日比谷会長】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。治部委員、お願いします。
【治部委員】  ありがとうございます。
 私、記者を20年ほどやっておりましたので、広報周りのことが仕事なので、申し上げたいと思います。
 こういった周年事業の広報・宣伝といいますと、恐らく大きく言って、ルートとして2つあると思うんです。1つは、日本が加盟して75年ですよという、ある意味ユネスコとか、75年というキーワードを広く周知していく。これはいわゆる宣伝とか、そういった分野になります。これもとても重要で、インフルエンサーの方とか、著名人の方にはそういった方面でぜひ御協力いただきたいと思うんですが、一方で、私、長期的な観点から言いますと、宣伝とはちょっと異なる、広報、パブリックリレーションズというものが非常に重要だと思っております。
 今、道田先生もおっしゃったんですけれども、ユネスコの活動というものは、私も一般の旅行者として世界遺産とかに行くとうれしい気持ちになるんですが、そういったところのみならず、科学技術、もしくはある種国際政治のかなりシビアなところというものも含んだ活動になってくると思いますので、この方面の広報というものを75周年を機に強化するということが必要かと思っています。
 この会議体では、再三、アメリカの脱退であるとか、ロシアの問題ということが言われておりますし、新聞でも少しアメリカの脱退ということは言われてはいるのですが、これが例えば具体的に予算ベースで何%減ってしまうのかとか、職員はどれぐらい削減しないといけないのかとか、そこに対して日本が具体的に何ができるのかといったことは、まだちょっと私の見る限り報道されているようには見えないのです。こういったことについて、もう少し戦略的な発信があってもよろしいんじゃないかなというふうに思っております。
 私の専門に近い、例えばジェンダーとかの分野ですと、アメリカは国際的ないろんな基金への拠出を、共和党政権になりますと、SRHR、Sexual and Reproductive Health and Rightsに関するような資金の拠出をやめちゃうということを昔からやっております。また、民主党になると戻るということをやっているんですけれども、例えばそういうある意味ポリティクスと人権が関わるような分野において、アメリカ政府はお金を出すのをやめても、アメリカの富豪がこっそり匿名で実はお金を出していたりとか、北欧の政府機関はどういった状況でも変わらず、SRHRにお金を出し続ける。日本政府はこの点においてはコンスタントに出しているので、実は立派だなと思うんですが、こういった政府を主語とするような、もう少しグローバルなポリティクスの中にユネスコを位置付けるような発信があっても、私は記者として面白いのではないかなというふうに思っておりまして、そういったシビアなポリティクスも報じることによって、ユネスコの主張している平和のとりでを築く、心の中に平和のとりでを築くということがどういうことなのかということを知ってもらうというような発信もあってもいいかと思います。
 あと、少し下世話な話になりますけれども、日本の国内においては、最近、特に自然の豊かな北のほうの地域で熊が出てきてしまって、人間世界と衝突するということがありますよね。そういったときに、私も今年の夏に知床に行ってきて、30年前ぐらいと大分変わったなということを感じたんですけれども、例えばそういった野生動物と人間との共生というのが、ユネスコが訴えているようなフレームワークではどういうことが望ましいとされているのかといったような発信は、まだ私の知る限りではないように思います。今、ハンターの方と現場の熊の被害と、じゃあ、どうなるのかと。何も考えてない人たちが県庁にクレームの電話をやるというような、ちょっとワイドショー的なニュースにはなっているんですけれども、本来、野生動物、自然と人間の共生とはどうあるべきか、もしくはそれがうまくできている状況というのは、熊以外の状況でどんなことがあり得るのか。こういったことをユネスコというフレームワークで発信していくということもできるのではないかなと、記者であれば、そういったことには関心を持ち得るのではないかなと思いましたので、ちょっと今後の発信の方向性のヒントとして述べさせていただきました。
 以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 ほかには今はお手は挙がっていないようですが、よろしいでしょうか。
 75周年につきましては、私どもも事務局といろいろ検討をしているところで、本日、たくさんの貴重な御意見をいただきましたので、ぜひそれを踏まえて、特に海外への発信というようなことは大事だと思います。
 今、井上委員、お手を挙げになりましたか。お願いします。
【井上(公)委員】  すみません。後挙げになって失礼いたします。機会をいただいて、ありがとうございます。
 75周年の記念事業についてです。先ほど西野委員などから、著名人にアンバサダーになっていただくというような声がありました。私たちは、日頃、地方でユネスコ協会として活動していますが、地方では協会員の高齢化が進んでおりまして、私のいる四国ではなかなか若いユースの世代というのが育っていません。残念ながら、私たちが育てられていません。活動する人がいなくなって、なくなっていく協会もあるような状態です。もちろん新しい協会が生まれたりもしてはいますが、私たちが日頃活動していて、ユネスコは敷居が高いとか、そういったイメージを持っている国民の方は多いと思います。何か自分たちとは1段違うところの話というふうに捉えられてしまうところもあるかもしれません。
 それで、著名人の起用というところが、一般の人に、いつもユネスコのほうは気にはなっているけれども、自分とは関係ないと思っているような方々に振り向いてもらうチャンスとして、採用していただければいいなと思います。韓国などでは、K-POPアイドルがユネスコのアンバサダーのようにして活動しているとも聞きますし、そういった今までの正攻法ではない、何か違うやり方で、75周年の機会というのを捉えていただくというのは、いいやり方ではないのかなと思っています。御検討をよろしくお願いします。
【日比谷会長】  ありがとうございます。アイドルはいいかもしれませんね。貴重な御意見、ありがとうございました。
 では、会場で、北村委員、お願いします。
【北村委員】  ありがとうございます。
 今の委員の皆様の御意見は、いずれも実現していくといいなと思いながら拝聴していたんですが、それと同時に、文科省の中にある日本ユネスコ国内委員会として、やはり学校で75周年に何をするのかというのをしっかり議論すべきじゃないかなと思います。やはりこれからの社会を担っていく子供たち・若者たちがしっかりとユネスコについて理解をし、日本が戦後最初に国際社会に復帰した、その第一歩を記したユネスコとは何なのか。ここで掲げている理念と、先ほどからお話があるような今の世界の情勢とがまさに結びついている。そういう中で、日本が戦後これだけ平和な社会をつくってきたことを学校の中の活動としてしっかり位置付ける。それをまずはしっかりとやった上で、こういった様々な取組も非常に大事なことだと思いますので、もちろんそれはやるということが大前提なのかもしれませんが、あえてそれを申し上げたいなと思いました。
 以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございます。大変大事なポイントだと思います。
 ほかはよろしいでしょうか。若林委員、お願いします。
【若林委員】  若林でございます。
 先ほど次世代ユネスコ国内委員の方々の発表の中にもありましたように、取組意向層、実質的なユネスコ活動をしているが、自分ではユネスコ活動と認識していない人たちというのが大変多いかと思います。
 先日、学校の交流でインドに行かれた中学校の方に発表会をしていただきました。その発表の中で、やはり違いですとか、環境的なもの、そして、自分たちが文化ですとか、日本のことをきちっと学んで、交流するためにもそういうことを学ばなければいけないという形で、ユネスコとしての理念というところで的を射た発表をしてくださいました。それは誰に教えられることもなく、自分たちで考えられたことだと大変感銘を受けました。そういう中で、あなた方がしていることをユネスコ活動として、これから大きくなられる上で活動していっていただきたいという旨を伝えさせていただいた形もありまして、2月8日のユースフォーラムでそのことに取り組まれる形ではあるかと思うんですけども、全体的な面としても、そういった取組意向層への取組という形で、年齢が若い方々にアピールしていくというのも付け加えられたらどうかなと思います。
 以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。押谷委員、お願いします。
【押谷委員】  どうもありがとうございます。発言の機会をいただいて、ありがとうございます。
 熊の話がさっき出たので、私も少し発言をしなくちゃいけないかなと思って発言させていただきます。
 私は、北海道のブロックのユネスコ協会から選出されている、ユネスコ協会の一員として発言させていただきたいと思っています。
 様々な国内外に向けて、75周年で発信されるということで、非常に期待を込めて、ほかの国際機関とユネスコが間違えられるということを私も度々経験しているところなものですから、いろんな形でPRをしていただいて、より普及をしていただけることも期待しているところです。
 私は科学小委員会に所属させていただいているんですが、科学小委員会は、先ほど御説明がありましたけども、地域のユネスコ協会の活動をこれまで何回か話をさせていただく機会があったんですが、今回はユースの活動ということで、発表をする機会がなくて、そういう中で、地域のユネスコ協会の活動ということがこの国内委員会総会の場でも発表されていないんですが、地域のユネスコ協会は様々な活動を持っております。
 主催事業の中にも書いてございますけども、地域のサステイナビリティの向上、それから、SDGsということを考えると、市民レベルの活動というのが非常に重要になってくると思いますので、私たち国内委員会がやはり地域の活動に対してもより深くコミットしていくような形をお願いしたいと思っています。
 そこで、1つお願いなんですが、ユースの活動というと、私も実は北海道にある1つの私立大学に所属しておるんですけれども、なかなかユースの活動というのは、どういうふうな形で学生たちが参加できるのかということが分からない部分がございます。そういう中で、もう少し門戸を広げ、門戸は開いているとは思いますけれども、PRしていただいて、広い分野の地域の課題、これは地域の大学、専門学校、高校、小学校、中学校、その他様々な部分でも関与しておりますので、そういう形でもう少し広いユースということになった場合には、広く門戸を開いていただいて、門戸は開いていると思いますけれども、呼びかけをしていただいて、参加できるような形にしていただきたいと思っております。
 勝手なこと申し上げましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 先ほど高齢化が問題だという御発言もありましたけれども、高齢化しないようにするためには、若い方々の参加は必須でございますので、ぜひ検討してまいりたいと思います。
 ほかはよろしいでしょうか。また拍手が出ましたが、菅原委員、お願いします。
【菅原委員】  発言の機会をいただき、ありがとうございます。菅原と申します。
 これまでのお話を聞いておりまして、今の社会で人それぞれが住みやすさとか、あとは人間の便益のみを考えずに、変容することが求められるような社会に変わっていくべきだというふうに思っております。
 それで、ユネスコは非常にいいプログラムを持っていて、やっぱり体験とか、驚き、自分の変容につながるような経験を促せるジオパーク、エコパーク、「世界の記憶」とか、世界遺産というのを持っているので、そういったところにつながるような呼び込みというか、PRをしていくというのが非常に大事だと思います。
 やっぱり変容を促せる体験というのはどういうことなのかというのを考えながら、私は特にジオパークとの関わりが強いんですけれども、そういった観点から活動を強めていこうというふうにも考えております。
 以上です。ありがとうございます。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 続いて、細田委員、お願いいたします。
【細田委員】  よろしくお願いします。
 日本ユネスコ加盟75周年の様々な取組について、着々と御計画をいただいていること、大変頼もしくうれしく思っております。
 それで、2点申し上げたいと思っているんですが、まず1点目は、ほかの委員の方々からも御意見があったところでございますが、私は前のさいたま市の教育長をやっておりましたので、自治体の教育委員会を積極的に巻き込んで、75周年について広く周知をしていくということをぜひお願いしたいなというふうに思っております。
 実は学校の教育活動の中には、大変多くのユネスコの活動に準じた教育活動、中には本当に優れた目を見張るような取組をしている学校などもたくさんありまして、そういったところを掘り起こしていくこと、そして、意識として、私たちが日々行っている学校の教育活動はユネスコの活動に準じていることが多々あるんだということ、これをもう一度意識をしていくきっかけにしていくと、この後の盛り上がりと、それから、次世代への喚起という意味では大変効果的だというふうに思っております。
 2つ目はユースの活動ですが、これは以前にも発言させていただいたことがあるんですけれども、次世代のユネスコの委員の皆様のように、大変意識が高く、優秀で、かなり積極的に活動している方々、そういうユースがいる反面、全く関係ないところで日々生活をしてしまっているという、地方の第一次産業に従事しているような若者たちも巻き込めるといいなというふうに常々思っております。
 75周年を機にして、本当に一つ大きなきっかけだと思いますので、地方の都会にいる大学生や大学院生とか、そういう若者以外の多くの若者を何とか巻き込んでいけるような、そんなきっかけになっていくといいなというふうに思っております。
 以上です。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 第一次産業の若者のことは、以前に私がこの会議に出ておりましたときにも、どなたかから御発言があったと記憶しております。真剣に考えたいと思います。
 小浦委員、お願いいたします。
【小浦委員】  よろしくお願いします。
 いつもユネスコ国内委員会で感じることがあって、1つは、とても専門性の高い議論と、それから、教育を通じた非常に社会とつながりの強い部分があって、75周年のときにうまく両方があることが伝わるといいなという気はしています。
 それから、もう一つは、先ほど来出ていますけれども、ユネスコ活動と市内で行われている多くのユネスコの理念を体現しているような活動というのは、とても多いと思うんですね。そういったものを探し出すというか、掘り起こすというか、みんなでそれを共有するというか、そういった場面があまり堅苦しくなく、ユネスコ活動だというような堅苦しさじゃなくできると、75周年というものが次につながる、ユネスコ活動の視点・見方を示していくきっかけになるんじゃないかなと感じました。ですから、やっぱり専門性の高い活動も重要ですし、それから、それではない非常に社会に根差した活動というものがうまくリンクするような、そういう見せ方というか、表現の仕方というのが、この機にはいいかなと思います。
 それから、やっぱり持続可能性というか、持続可能な社会というのは、普通の暮らしであったり、普通の生業であったりといったものの持続可能性というものがあって、今だと格差の問題が出てきていますけれども、実は地方に行けば、知らず知らずにそれをインクルーシブに解決する方法というものを伝統的な中で見いだしているところがいっぱいあって、そういう日本のよさというものをやはり見直していきたいなというふうに聞きながら思いました。ありがとうございます。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 今、田中委員、そして、中澤委員からお手が挙がっていますけれども、このお二人をもって、時間もございますので、この議題は終えたいと思います。では、まず田中委員からお願いします。
【田中委員】  ありがとうございます。
 皆様の御意見を伺いまして、本当にそうだなというふうに思っておりました。
 私からは、私がふだん接することの多い日本国内に暮らしている外国人の方々、何らか日本国内のSDGs、また、ユネスコ活動の担い手足り得る存在として、75周年を機により包摂していくような方向性を視点として、ぜひ周年行事の中で入れていただけたらというふうに思った次第です。
 国内外という言葉がありましたけれども、国内の海外というような部分を新しい時代へのメッセージの一つとして、今、やや不穏な時代に入ってきて、不安を感じる方も多いような状況ですので、そうした部分も取り入れていただけたらなというふうに思いました。
 また、一次産業の若者をというようなお話もありましたけども、やはり困窮している世帯のユースの方ですとか、そうした方々がいかに担い手としてユネスコ活動に参画していくことができるのかというような部分も、この75周年の中で何らか一つの、例えば交通費の補助を出すですとか、そういうような形も含めて、何か一つの解みたいなところを検討して、これから本当にいろんなレイヤーの若者たちに参加してほしいんだよというようなメッセージにつながるといいのかなというふうに思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【日比谷会長】  それでは、お待たせしました。中澤委員、お願いいたします。
【中澤委員】  中澤です。
 最後になりましたが、2つ、ちょっとお願いしたいことがあって、お話しさせていただきます。
 1つは75周年に関してです。ユネスコスクールのことですけど、表彰式だけでなく、ユネスコスクールの児童生徒が参加できる企画をお願いしたい。
 ぜひ全国あるいは各地で活動しているユネスコスクールの児童生徒たちが、自分が勉強した成果、活動した成果を発信できるような場を設けていただきたいと思っています。
 もう一つは、ユネスコの新教育勧告です。新教育勧告を学習指導要領にという話がありましたが、今、学校現場には全く届いておりません。
 私は、仕事柄、学校の先生方とよく話合いをします。研修にもたくさん行きましたが、新教育勧告については認知されていません。学習指導要領改訂の話は出ますが、新教育勧告のことは全く出ません。75周年事業に新教育勧告を大きくアピールするような、そういう場を設けてほしいなと思って発言させていただきました。
 以上です。ありがとうございました。
【日比谷会長】  ありがとうございます。
 だんだん非常に活発に御意見が出るようになりまして、ちょっと時間切れになってしまって申し訳ございませんが、本日いただいた御意見につきましては、よく検討いたしまして、今後、75周年でどのようなことをするかということをさらに詰めてまいりたいと思います。
 それでは、公開の審議はここまでといたします。
(中略)
【日比谷会長】  それでは、ほかに特に審議すべきこと、報告も以上で終わりかと思いますので、これで閉会いたします。本日は長時間にわたり、ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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