日本ユネスコ国内委員会総会(第154回)議事録

1.日時

令和6年3月5日(火曜日)14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省東館3階第1講堂(対面とオンラインのハイブリッド形式での開催)

3.出席者(敬称略)※は顧問、特別顧問

〔委員〕濵口会長、田代副会長、伊藤委員、井上委員、大枝委員※、大島委員、大谷委員、大野委員※、大濱委員、沖委員、押谷委員、片岡委員、萱島委員※、川村委員、黒川委員、小池委員、小浦委員、肥塚委員、斎藤委員、佐藤委員、佐野委員、鈴木郁香委員、鈴木昌德委員、髙木委員、髙橋秀行委員、竹村委員、田中委員、谷川委員、道傳委員※、中澤委員、芳賀委員、蓮生委員※、林委員、東川委員、藤田委員、藤本委員、細田委員、松本委員、溝内委員、道田委員、山口委員、吉田達哉委員、渡邉委員
 
〔外務省〕畠山国際文化協力室長
〔文化庁〕木南文化資源活用課文化遺産国際協力室室長補佐
〔文部科学省〕今枝文部科学副大臣、藤原文部科学事務次官、北山大臣官房国際課長
 
〔事務局〕渡辺正実事務総長(文部科学省国際統括官)、匂坂副事務総長(同省国際統括官付国際交渉分析官)、本村事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、小野事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、原事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、原田事務総長補佐(同省国際統括官付ユネスコ協力官)、その他関係官

4.議事

【濵口会長】  それでは、お時間となりましたので、開始させていただきます。皆様、本日は御多忙中にも関わらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。改めて深く御礼申し上げます。
 開始に先立ちまして、まず事務局に、定足数の確認をお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】  本日は、本会議開始時点で、会場で22名、オンラインで12名、合計34名の委員に御出席いただいております。また、後ほどオンラインでの御出席も頂ける連絡を頂いております。委員53名の過半数ですので、定足数を満たしております。
【濵口会長】  ありがとうございました。ただいま事務局から定足数が満たされていることの報告がありましたので、第154回日本ユネスコ国内委員会を開会いたします。
 本日の総会は対面とオンラインのハイブリッドで開催しております。
 なお、国内委員会の規定に基づき、傍聴を希望される方には、YouTubeを通じて公開いたします。御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、よろしくお願いいたします。
 本日の会議には、今枝宗一郎文部科学副大臣に御出席を賜っております。初めに、今枝副大臣より御挨拶を賜ります。副大臣、よろしくお願いいたします。
【今枝文部科学副大臣】  失礼いたします。皆様、改めまして、こんにちは。ただいま御紹介いただきました、文部科学副大臣の今枝宗一郎であります。
 冒頭、能登半島地震で亡くなられた皆様に心からお悔やみを申し上げ、また、被災をされた皆様、御遺族の方、関係の方にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 さて、濵口先生をはじめ、各委員の皆様におかれましては、日頃より国内委員会の取組に御協力、御支援を頂きまして、心から感謝を申し上げます。
 昨今は世界で戦争や紛争により国際平和が脅かされる状況が続いております。また、貧困や気候変動等、国際社会が連携をして取り組むべき課題が山積しております。
 御案内のとおり、ユネスコは、平和の構築、貧困の撲滅、持続可能な開発、文明間対話への貢献を使命とする国際機関であります。昨年11月には盛山大臣がパリの本部で開催されました第42回ユネスコ総会に出席し、我が国の政府を代表して一般政策演説を行わせていただきました。
 演説では、昨今の厳しい国際情勢を踏まえて、平和への貢献の必要性を呼びかけるとともに、日本としても、教育、科学、文化の分野においてユネスコの議論を牽引し、加盟国の友好と相互理解のために一層努力していくということを表明させていただきました。
 文科省といたしましては、持続可能な開発のための教育(ESD)や海洋科学をはじめ、日本が強みを持つ分野においてリーダーシップを発揮していきたいと考えておりますし、ユネスコを通じた国際貢献の一層の強化に努めてまいりたいと考えております。
 また、ユネスコがその使命を果たしていくためには、若者の主体的な取組が必要不可欠であります。2029年までのユネスコ中期戦略においても、ユースは優先的に取組を進めるべき対象の1つに位置付けられております。こうした機運を捉えて、国際社会で活躍できる若者の育成を後押ししてまいりたいと考えております。
 本日は、国際情勢等を踏まえたユネスコ活動等への推進についての提言案について御議論いただく予定と聞いております。多くの世界的な課題がある中で、決して平たんな道のりではないかもしれませんけれども、教育や科学や文化を通じた課題解決に向けて、日本の多様な取組がより効果的に推進されるよう、皆様から忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございます。
 最後となりますが、皆様の弥栄、そして本日の議論が最終的に、世界平和に、教育や科学や文化を通じて、大きく貢献することを心から願い、それが今の時代に生きる我々の使命でもある、そんな思いで、是非とも闊達な議論を心から願いまして、御挨拶に代えさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  今枝副大臣、どうもありがとうございました。
 それでは次に、昨年9月21日に開催されました第153回国内委員会総会以降、委員の異動がありましたので、事務局から紹介をお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】  事務局から失礼いたします。
 前回の国内委員会総会以降、国会の推薦により昨年11月28日付けで就任された委員を御紹介いたします。斎藤洋明衆議院議員、石橋通宏参議院議員の2名になります。
 次に、前回の総会の審議に基づき、昨年12月1日付けで就任された委員を御紹介します。岡野正敬外務事務次官、藤原章夫文部科学事務次官、渡辺正実文部科学省国際統括官の3名になります。
 また、先月開催されました教育小委員会において、鈴木昌德委員が互選により委員長に就任されましたので、御報告いたします。
 以上になります。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 今日は、もう1つ、議題に入る前に御報告がございます。事務局からメールでも御連絡しておりましたが、昨今の国際情勢を深く憂慮し、1月初めに「2024年平和へのメッセージ」を発表させていただきました。資料1-1に入れてありますので、御覧いただければ幸甚でございます。
 それでは、議題1、最近のユネスコ関係の動きについてに入ります。
 まず私から、昨年11月8日にメールにて開催した第518回運営小委員会について御報告いたします。ユネスコに対する常駐の政府代表の選考について、ユネスコ活動に関する法律第6条に基づき、昨年11月2日に外務大臣から日本ユネスコ国内委員会会長宛てに、ユネスコに対する常駐の政府代表であった尾池厚之ユネスコ日本政府代表部特命全権大使が、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部特命全権大使に任命されたことから、その後任候補として、加納雄大前内閣府国際平和協力本部事務局長を予定している旨、諮問がありました。
 これに対して、速やかに議決を行う必要があったため、運営小委員会においてメールにて審議・議決を行い、資料1-2のとおり、加納雄大前内閣府国際平和協力本部事務局長を、ユネスコ日本政府常駐代表として任命することについては差し支えない旨、私から外務大臣へ答申しております。
 この議決については、日本ユネスコ国内委員会運営規則第16条第2項において、「次の国内委員会の会議において承認を得なければならない」とされていることから、本会議において皆様の御承認を頂きたいと存じます。皆様、御承認いただけますでしょうか。
( 拍  手 )
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは続きまして、事務局及び文化庁、外務省から報告いただきたいと存じます。御意見、御質問等については、報告の後、まとめてお願いさせていただくことといたします。
 まず事務局から報告をお願いいたします。
【本村国際戦略企画官】  それでは、資料1-3を御覧ください。第42回ユネスコ総会が昨年11月、パリのユネスコ本部にて開催されました。先ほど今枝副大臣の御挨拶にもありましたとおり、我が国から盛山文部科学大臣が出席いたしまして、一般政策演説を行っております。
 主要議題といたしましては、下の方にございますユネスコ事業・予算案、2か年でございますけれども、次のページに行っていただいて、今回、米国の再加盟に伴いまして、前回と比較して28%の増となっております。
 丸2でございます。1974年に策定されました教育に関する勧告の改正案でございます。この50年の社会的変化、技術的な進展、国際的な目標であるSDGs等を踏まえまして、平和、人権、国際理解、協力、基本的自由、グローバル・シチズンシップ、持続可能な開発のための教育に関する勧告という形で決議・承認されております。
 続いて、丸3でございます。中国の上海に設立されますカテゴリー1センター。分野といたしましては、科学・技術・工学・数学(STEM)分野において、STEM教育国際研究所の設置が承認されております。
 続いて、丸4でございます。ESD for 2030及び2021年に出されましたベルリン宣言についての進捗状況の報告がございました。
 続きまして、次のページ、丸5でございます。ニューロテクノロジーの倫理に関する規範設定につきまして、次回の総会、2025年のユネスコ総会にニューロテクノロジーの倫理に関する勧告の草案文を提出するよう求めることについての議決案が採択されております。
 同時に開催されましたサイドイベントでございますけれども、ユネスコ/日本ESD賞の表彰式、我が国からは濵口国内委員会会長に出席いただきまして、受賞式に加わっていただきました。日本からは今回、金沢大学が受賞3団体の中の1つに選ばれております。次のページに写真がございます。
 最後、丸2、第13回ユースフォーラムに、次世代ユネスコ国内委員会の委員である茶山委員が出席いたしました。
 ユネスコ総会の報告は以上でございます。
 続きまして、資料1-4でございます。昨年12月に国連大学で開催されましたESD-Net2030グローバル会合についてです。
 こちらは、文部科学省が拠出する信託基金によって開催されました。文部科学省とユネスコが共催で開催した第1回目の会合です。世界約80か国から、ESDの実践を行っている教育関係者200名以上が参加して開催されました。
 会合では、次のページにございますが、日本のユネスコスクール等における優良事例の発表、その次のページにございます、会議開催2日目に、首都圏のユネスコスクール、5グループに分かれまして学校訪問が行われました。これらの日本の取組につきまして、参加者から高い評価を頂いております。
 続きまして、資料1-5でございます。ユネスコ「世界の記憶」事業の国際登録でございますけれども、今回、昨年11月末に登録申請案件2件をユネスコに提出しております。1つ目が増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書、2つ目が広島原爆の視覚的資料の2件でございます。今後の予定といたしましては、ユネスコの国際諮問委員会における審査を経て、2025年の春の執行委員会において登録の可否が決定される予定でございます。
 最後に、資料1-6、18ページでございます。ユネスコ研修プログラムにつきまして、昨年11月に文部科学省とユネスコとの間で覚書を締結しております。これに基づきまして、国内のユニツイン/ユネスコチェアに認定されている大学、12大学ございますけれども、こちらに公募を行いまして、最終的に5名が応募しております。現在、ユネスコ側と受入先等につきまして調整をしております。来年度以降、事務局といたしましては、是非この派遣者数を拡大していきたいと考えております。
 私からの報告は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、文化庁から報告をお願いいたします。
【木南室長補佐】  文化庁の文化資源活用課の木南と申します。よろしくお願いいたします。
 文化分野における取組としまして、資料は90ページになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。まず、世界遺産についてでございます。「佐渡島の金山」につきましては、ユネスコへの推薦書を提出した後に、現在、イコモスによる審査が行われているところでございます。今後は、本年7月にインドで開催予定の世界遺産委員会において登録の可否が審議・決定される予定となっております。引き続き地元自治体や関係省庁と連絡しながら、世界遺産登録に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、今後の世界文化遺産への推薦に係る文化審議会意見についてでございます。今後の世界遺産登録を目指す資産のうち、「彦根城」及び「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」については、文化審議会において調査審議が行われ、昨年7月にそれぞれ課題が示されたところでございます。
 まず「彦根城」につきましては、主張しようとする価値に関して、より詳細な、精緻な説明を明確化すること、さらに諮問機関であるイコモスとの対話を行うことが求められております。これにつきましては、世界遺産の登録プロセスにおいて、昨年から新たに創設された事前評価制度を活用することとしまして、昨年9月に申請書をユネスコ事務局に提出したところでございます。現在、イコモスによる評価が行われているところです。それから、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」については、引き続き文化財指定等の課題に取り組んでいるところでございます。
 次に、資料の92ページになります。ユネスコ無形文化遺産についてでございます。昨年の3月に伝統的酒造りについて、再度、ユネスコ事務局に提案書を提出しております。「伝統的酒造り」については、今年の12月、パラグアイで開催が予定されております無形文化遺産保護条約政府間委員会におきまして登録の可否が審議・決定される見込みでございます。
​ この伝統的酒造りに続く提案としまして、提案候補としましては、新規提案候補としまして「書道」、それから拡張提案候補として「和紙」、「山・鉾・屋台行事」、「伝統建築工匠の技」の提案を政府として決定しております。今後、3月末までにユネスコ事務局に提案書を提出させていただく予定でございます。
 なお、登録審議の時期に関しましては、3件の拡張提案につきましては、ユネスコにおける2025年審査サイクルでは、拡張提案が試験的に年間審査件数の枠外とされる、その試験的な制度が運用されておりますので、それを活用しまして、令和7年、2025年秋頃に開催予定の無形文化遺産保護条約政府間委員会において審議が予定されておりまして、また、「書道」につきましては、新規提案に係る我が国のユネスコ無形文化遺産の審査が実質2年に1件となっていることから、令和8年、2026年秋頃に開催予定の同政府間委員会において登録の可否が審議・決定される見込みでございます。
​ 登録に向けて万端の準備を整えてまいりたいと考えております。
 文化庁からは以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、外務省から報告をお願いいたします。
【畠山国際文化協力室長】  ありがとうございます。外務省の国際文化協力室長、畠山でございます。よろしくお願いいたします。
 私の方から2点、御報告させていただきます。
 1つ目は、先ほど文化庁からの御報告と重なりますけれども、本年7月、第46回世界遺産委員会が7月21日から31日、インド・ニューデリーで開催される予定でございます。議長は、インドのユネスコ代表部大使が議長を務めるということで、本年、我が国が推薦する佐渡島の金山についても審議される見通しでございますところ、この文化遺産としての価値が評価されて、登録が実現されるよう、文化庁はじめ、内閣官房、日本政府、一丸となりまして、また、新潟県や佐渡市、関連の国会議員の皆様、先生方等の力もお借りしながら、国際社会に対してしっかり丁寧に説明していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 2点目は、ユネスコを通じたウクライナ支援に関する御報告でございます。
 2月7日、先月になりますけれども、ユネスコ本部で、アズレー事務局長、それから日本の加納代表部大使との間で、日本のユネスコを通じたウクライナ支援に関する協力文書署名式が行われました。本件は、ユネスコを通じて、文化・教育等の分野でウクライナへの支援を実施するものというものでございます。
 我が国としましては、引き続き国際社会と連携しながら、まさに国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援をしっかり実施していくということで、今後もしっかりやっていきたいと思っております。なお、こうした支援につきましては、アズレー事務局長がツイートの中で紹介して、謝意表明がなされるなど、評価を頂いているところでございます。
 引き続きよろしくお願いいたします。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告について、御意見、御質問のある方は、挙手をお願いします。いかがでしょうか。
 川村委員、どうぞお願いします。
【川村委員】  ありがとうございます。川村でございます。本日は、今枝副大臣から、最近のユネスコに対する我が国の方針、特に盛山文科大臣がユネスコの総会に出席されて、種々の御提案もされているというお話を頂きまして、非常に心強く受け止めさせていただきました。
 本日は、会長から御紹介がありましたように、後半において、国際情勢を踏まえたユネスコ活動の推進の提言についても議論されると理解しております。まさにウクライナ情勢をはじめとして、昨今の国際情勢がユネスコに対して提起している課題というのは非常に重いものがございますので、まさにユネスコにとっては1丁目1番地の重大なイシューかと思います。これに対してどのような対応を示していくかというのが、会長の年頭の御挨拶であったり、あるいは今後の活動方針案の中身であったりというところに出てくると考えております。
 そこで1つ確認させていただきたいことがございますが、ウクライナ情勢に続きまして、最近はガザでの深刻な状況がございます。国連においては、種々の批判を乗り越えながらも、安全保障理事会で人道状況に対して支援をする、その必要性について決議を通すなどの多大な努力が行われており、日本もG7の議長国として、あるいは日本単体としても、これに対して正面から取り組むという方針が種々出ているところでございます。
 また、今日お配りいただいた資料の中でも、盛山大臣がユネスコの総会において、ユネスコに対してガサ地区における人道支援の必要性に言及ということで御紹介もいただいております。ユネスコ本体においても、ガザの人道状況に対して、特に文化遺産の保護ということに関して声を上げているという状況でございます。
 従いまして、今後のウクライナの状況に加え、ガザの深刻な人道状況、そしてこれに対する支援というような文脈で、ユネスコの活動というものも捉え、また、国内委員会としてもそれをエンドースするということが、これまで、今日もですけども、いろいろなドラフトとか発信案に出てきているかと存じます。
 言葉はいろいろな使い方をされておるんですけども、この点、日本政府の方針というものをここで確認させていただきたいと思います。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 外務省、いかがでしょうか。
【畠山国際文化協力室長】  御指摘ありがとうございます。外務省の畠山でございます。
 御指摘のとおり、ガザにつきまして、ユネスコは、ユネスコのマンデートの範囲内でできること、つまり、文化遺産の保護であったり、ジャーナリストの安全であったり、教育の保護、そういった分野においてどういった影響があるか評価分析するとともに、これらの分野において支援の重要性、そういったものを既にホームページで発信しているところでございます。
 日本政府、外務省といたしましても、可能な範囲でユネスコのこうしたマンデートの範囲内の分野での支援を外務省としても検討していくという、そういった形が基本的な考え方かと思っております。よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。
 上川大臣、とても頑張っておられるのをいつもニュースで拝見しています。各地へ行っては調停に乗り出す、すばらしい活躍だと実感します。
 どうぞ。もう1度、川村委員、お願いします。
【川村委員】  ありがとうございました。会長の御指摘のとおり、上川外務大臣もいろいろ御尽力されているところでありますけれども、こういった活動あるいは考え方について、PRの、国内に対して日本政府の考え方がより明確に分かるように、広報等、より力を入れていただければなと思います。よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  よろしくお願いいたします。
 どうぞ。
【芳賀委員】  東北大学の芳賀です。「世界の記憶」の審査委員会の委員をしています。その立場でのお願いでございます。先ほど事務局から、資料1-5、「世界の記憶」への日本からの申請案件はこの2つがあることの御報告がありました。ただし、これは国際登録への申請です。「世界の記憶」には地域登録もあり、日本はアジア・太平洋地域に属しています。私はその副議長をもしております。
 国際と地域は上下の関係にはなくて、どちらにより焦点があるかという別があるだけです。どうぞ皆様のお力で、日本から、非常に大切な、このアジア・太平洋地域への申請もどうぞお考えください。お願いいたします。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ほか、御意見ございませんか。よろしいでしょうか。オンラインの方はよろしいでしょうか。よろしいですね。ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。議題の2、我が国におけるユネスコ活動の現状と今後の取組についてに入ります。
 議題2のうち、(1)令和6年度ユネスコ関係予算(案)について及び(2)専門小委員会からの報告について、それぞれ事務局及び教育、科学、文化・コミュニケーション小委員会の各委員長から御報告をお願いしたいと思います。なお、この後、議題3において国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進についてを御議論いただきますので、ここではこれに関する専門小委員会の詳細な御報告は割愛いたします。御意見、御質問等については、報告の後、まとめてお願いさせていただくことといたします。
 それでは、まず(1)令和6年度ユネスコ関係予算(案)について、事務局から説明をお願いします。
【小野国際統括官補佐】  事務局から失礼いたします。資料2-1を御覧ください。
 ページ番号、右下で19ページ、PDFのページで21ページになります。「令和6年度ユネスコ関係予算(案)」でございます。総額で48億3,800万円を計上させていただいております。
 まず、左側、「ユネスコへの分担金・任意拠出金」を御覧ください。分担金は外務省の方で38億7,400万円計上されております。それから、任意の拠出金は、外務省、文部科学省、国土交通省で計上しております。それぞれ、外務省が5億300万円、文部科学省が2億8,200万円、国土交通省が4,500万円という形で、合計で8億3,000万円になっております。
 特に文部科学省の予算で、真ん中の「ユネスコ地球規模の課題の解決のための科学事業信託基金拠出金」でございますが、こちら、先ほど御報告のありましたニューロテクノロジーの新しい勧告を目指して、ユネスコで議論を行うということで、それに関する経費ですとか、それからIOC、海の分野で道田委員がIOCの議長を務められておりますが、そういったところにユネスコの事業を支援していくという、重点化を図った予算にしております。
 次に、右側半分を御覧ください。国内におけるユネスコ活動の推進のための予算として、文部科学省で3つの事業を展開し、計上しております。1つ目がユネスコ未来共創プラットフォーム事業で8,800万円、それからSDGs達成の担い手育成(ESD)推進事業で4,400万円、最後にユネスコ「世界の記憶」に関する国内推進体制の構築で200万円を計上しております。
 おおむね財務省への概算要求が認められて、その要求のとおり計上させていただいております。
 以上になります。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、次に、(2)専門小委員会からの報告について、教育、科学、文化・コミュニケーションの順で、各委員長から御報告をお願いいたします。
 それでは、鈴木委員長からよろしくお願いいたします。
【鈴木(昌)教育小委員会委員長】  先般、2月26日に開催されました第153回教育小委員会におきまして、教育小委員会の委員長に選出されました鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、委員会の議論について御報告申し上げます。
 第153回教育小委員会では、まず第42回ユネスコ総会等の結果について、先ほどもちらっと出てまいりましたが、その中で特に、ユースフォーラムに参加し、アジア太平洋地域の参加者を代表して運営委員会の一員として携わられた次世代ユネスコ国内委員会の茶山委員より、本フォーラムの成果や課題等を発表していただきました。各委員からは、SDGsの4番目の目標、質の高い教育の進捗に関する国際的な議論を注視していく必要性があるという意見が出されました。
 次に、日本からの参加者がユースフォーラムの運営委員会として積極的に参加し、議論の取りまとめに貢献したということが大きく評価されまして、価値があることだという意見が表明されました。また、ユース世代が、教育の中に留まらず、幅広いユネスコ活動を行うことは意義があるのではないかというような活発な御議論を頂戴いたしました。
 次の議論では、ESDの推進についてということで、我々委員が学習を深めました。気仙沼市・宮城教育大学連携センターの淺野主任運営員より、気仙沼市の全ての小中学校が加盟認定されているユネスコスクールを中心に、市や教育委員会、ユネスコ協会等が連携して、地域全体でESDを推進している気仙沼市の取組について、詳しく御報告を頂戴いたしました。各委員からは、日本に在留する外国人が増加する中で、多様性を受け入れていくための対話が重要ではないか。このような意見が訴えられました。また、子供たちのエネルギーを引き出す教育活動について、大人側のESDに対する理解や行動を促すための何かが必要ではないのかといったような御発言も頂戴いたしました。このような活発な議論を頂きました。
 なお、ほかの委員会でもあったと思いますが、国際情勢を踏まえたユネスコ活動の推進につきましては、その提言の案が示されましたが、まだまだ本格的な肉付けの審議はこれからだということで、教育小委員会ではそこで終わらせていただいております。
 以上、簡単ですが、終了させていただきます。どうもありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、科学小委員会、沖委員長から報告をお願いいたします。
【沖科学小委員会委員長】  私からは、2月9日に開催いたしました第10回科学小委員会の結果を御報告申し上げます。
 まず、政府間海洋学委員会(IOC)につきまして、道田IOC議長から本年1月のIOC役員会議の御報告があったほか、2030年までの「国連海洋科学の10年」の実施を支援する諮問委員会委員に日本からも選出されたこと、太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループで引き続き日本人が議長を務めることになったこと、来年3月に東京で西太平洋地域小委員会(WESTPAC)の政府間会合をホストすること等の報告がございました。
 政府間水文学計画(IHP)につきましては、IHPアジア太平洋地域運営委員会事務局長を引き続き日本人が務めることになったこと、本年5月にインドネシアで開催されます第10回世界水フォーラムに向けて日本も貢献していくこと等の報告がございました。
 人間と生物圏(MAB)計画につきましては、昨年11月に文部科学省の拠出金の支援によりユネスコエコパークの東南アジア会合が開催され、日本からも取組を紹介したこと、MAB計画分科会において、ユネスコエコパークの拡張申請1件及び10年ごとの定期報告2件につきまして、本年9月のユネスコへの提出に向けて審査を行っている旨の報告がありました。
 ユネスコ世界ジオパークにつきましては、昨年9月にモロッコで開催されましたユネスコ世界ジオパーク・カウンシルにおいて、4年ごとの再認定審査が行われた3件が、再認定されたこと等の報告がございました。
 さらに、先ほどもございましたが、昨年12月に国連大学で開催されましたシンポジウム「持続可能な社会の構築における科学の役割を考える」において、分野間の連携の可能性及び市民の理解・参画促進について活発な意見交換が行われた旨の報告があったほか、民間ユネスコにおける市民の科学リテラシー向上のための取組の御発表がありました。それらを受けまして、IOC/海洋、IHP/水、MAB/生物多様性等の分野間の連携を重視したユネスコ活動の展開を国内で図り、その成功事例を日本から発信していくことについて議論を行いました。
 科学小委員会からの私の報告は以上になります。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、文化・コミュニケーション小委員会、井上委員長から報告をお願いいたします。
【井上文化・コミュニケーション小委員会委員長】  文化・コミュニケーション小委員会委員長を務めております井上でございます。本年2月16日に開催されました第10回文化・コミュニケーション小委員会について2点、御報告いたします。
 第1点目は、「世界の記憶」についてです。先ほど文部科学省からの報告にもございましたが、文部科学省からユネスコ「世界の記憶」国際登録に、増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書及び広島原爆の視覚的資料の2点を推薦することが決定され、昨年11月にユネスコへ申請した旨、報告がありました。委員からは、「世界の記憶」アジア太平洋地域委員会への申請も強化していくべきであるとの御意見を頂きました。
 2点目は、ユネスコ創造都市ネットワークについてでございます。文部科学省から、昨年10月に岡山市の文学分野での加盟がユネスコから認定されたこと、また、前回の小委員会での意見や提案を踏まえ、ユネスコ創造都市ネットワークについての情報発信や創造都市ネットワーク日本との連携強化を推進していくことについて報告がありました。これに対して委員からは、創造都市ネットワーク自体が一般市民に知られていない、また、ネットワークに参加することが都市開発の手段になってしまっているため、自治体や地元企業、ユネスコ関係団体が連携して、市民への普及活動を行うとともに、ユネスコの目指すネットワークの目的を明らかにすることが重要であるということに加え、我が国の最大の強みの1つであるサブカルチャー、特に漫画を新しい分野として加えることを検討し、ユースの関心を高めるとともに、日本がリーダーシップを持って世界に発信すべきではないか、我が国の加盟都市における好事例を収集し発信していくことが重要ではないか、さらに、新規加盟に係るユネスコでの審査について、審査基準等が明確でなく、制度面での透明性の確保を主張すべきではないかなど、大変活発な御議論を頂きました。
 文化・コミュニケーション小委員会からの報告は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告について、御質問、御意見がある方は、挙手をお願いいたします。
 松本委員、どうぞ。
【松本委員】  文化・コミュニケーション小委員会に参加させていただいております、高崎ユネスコ協会の松本と申します。
 まず、2月の文化・コミュニケーション小委員会において、蓮生委員の提案に対する本村戦略企画官と渡辺国際統括官の回答を振り返ります。創造都市において、漫画を8番目の分野としてユネスコに提案することに関し、本村戦略企画官は、ユネスコ本部には制度改正も含め改革の気持ちがあると可能性を示唆し、提案するためには、渡辺国際統括官は、まず自治体の積極的な関与が必要とされました。その意味で、熊本県阿蘇郡高森町が有望な候補だと私は思います。
 既に漫画の聖地として注目を集め、行政・企業の協力で令和のトキワ荘と言うべき阿蘇096区が開始され、世界公募で選ばれた外国人10名が漫画家を目指しています。さらに、学校とも連携して、高森高校に公立高校全国初の漫画学科を設立し、2023年4月にスタートしました。高森町の取組は、漫画文化を国際的に発信する優れたプラットフォームを築いています。
 この提案は、未来の発展を見据えたものです。要するに、高森町は地域資源を最大限に生かし、行政や企業・学校・地域の協力を得て、ユネスコ創造都市に漫画を8番目の分野として提案する理想的なスタート地点となっていることをお伝えします。国内外で注目を集める機会を見逃さず、地域の盛り上がりに遅れることなく、今、地域の魅力を世界に発信するための後押しができると思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。貴重な御意見を頂きました。
 いかがですか。御意見ございますか。
【本村国際戦略企画官】  松本委員、ありがとうございました。先日の文化・コミュニケーション小委員会を受けまして、内部でも議論いたしました。果たして日本から新たな分野、漫画を提案できるかどうかという点でございますけれども、まず創造都市ネットワークですので、日本以外、複数の各都市から、漫画分野で名のりを上げていただけるような世界各国の都市がどれぐらいあるのかというところで、仮にユネスコに対して新たな分野を設けていただくにしても、そういったポテンシャルの掘り起こしというのは重要になってきますので、まずそもそも、日本以外で漫画の分野でネットワークを構築したい、創造都市になりたいというところがどれぐらいあるのかというところから検討させていただければと思っております。
【濵口会長】  よろしくお願いします。
 ほか、御意見ございますか。
 芳賀委員、お願いいたします。
【芳賀委員】  文化・コミュニケーション小委員会の芳賀です。創造都市ネットワークに関して、外務省がいらっしゃるので伺いたいのですが、外務省の地方連携推進室が創造都市ネットワークに何か力を貸していただくことはできるでしょうか。駐日外交団による地方視察ツアーとか、この間も奈良とか堺で実施していたそうですし、山形クラフトフェアを香港でこの間も行ったようです。そういうようなことで、何か、将来、お力を貸していただければありがたいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  畠山委員、いかがでしょうか。
【畠山国際文化協力室長】  ありがとうございます。御指摘のとおり、地方連携室では、駐日外交団、駐日大使の地方へのツアーをアレンジする枠組みがございます。実際、私も1度同行したことがあるのですけれども、地元をよく理解し、地元を好きになり、本当に意味のあるというか、日本のことを分かってもらう、普通であればなかなか行かなかった、こういうツアーがあったから知ることができたと、在京の大使もおっしゃっておりました。
 今、芳賀先生御指摘のとおり、そういった地方視察の中に、創造都市ネットワークに参加している都市等が、その魅力をその機会にしっかり発信したりとか、そういったことは連携の在り方としてあり得るのではないかなと個人的には思います。私が所管しているプロジェクトではないので、断定は難しいですが、1度参加した者としましては、いい具合の連携ができればいいのではないかなと思います。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。
 ほか、いかがでしょうか。
 どうぞ、道田委員。
【道田委員】  ありがとうございます。道田でございます。科学小委員会の一員でございまして、先ほど来、何回かお話ありますように、昨年の6月から政府間海洋学委員会の議長を務めております。
 その観点から1点。先ほど事務局から、来年度のユネスコ関係予算(案)のところで、任意拠出金の部分で、海洋に力を入れるという旨、御発言あったところですけれども、我が国から出ているIOCの議長として、歓迎をし、また、厚く御礼申し上げる次第です。
 また、昨年のユネスコ総会においても、今次のIOCに対する予算配分が少し増えるということが決められておりまして、これは地球規模の課題の解決のために、海洋科学に関して力を入れる必要があるという加盟各国の御理解の下と思いますが、これにつきましては、前の尾池大使をはじめ、代表の皆様あるいは文部科学省、外務省の方々の御支援もあって、この決定に至っているところでございます。
 増える予算を有効に活用して、議長として的確に事業を推進してまいりたいと思いますので、引き続き御支援と御協力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【濵口会長】  よろしくお願いします。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインの方、よろしいでしょうか。御意見、御質問ございませんか。よろしいでしょうか。
 伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。教育小委員会に所属しております伊藤と申します。
 先ほど在留外国人の話がありましたけれども、2024年問題というのが今年大きくなってくることが予想されます。その中で、やはり外国人を受け入れて一緒に働くという環境が日本においても当たり前になっていくと思うのですが、ただ、多様性という意味では、日本は陸続きでもありませんし、島国でもあるので、なかなか慣れていない部分というのがあります。
 実際に私はよく地方に行きますが、地方の方が人手不足が深刻で、外国人や文化的に違う人たちを受け入れて一緒に暮らしていくというその考え方が、やはりまだまだ足りないところがあります。
 そこは、やはりESDの重要性というのがこれからますます大きなものになってくると思います。特に教育現場でも、外国人が来ることによって、例えば日本語をどうやって別の枠で教えていったらいいのかとか、そういうところの中で、外国人を受け入れるということに対して教育現場が非常に消極的になっているという声も出てきておりますので、そこはこれから日本の未来を考えたときに、外国人とどうやって一緒に歩んでいくのか、そこを教育からどうやって育んでいくのかなど、それはSDGsで言えば10番、それから11番というところになるかと思うんですけれども、人と国の平等を実現していくというようなことがないと、日本は選ばれない国になってしまうというところもありますので、そこのところを是非ユネスコスクールはもちろんですが、全部の小学校・中学校・高校と、教育現場でやっていければいいんじゃないかなと思っております。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。オンラインの方、よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 続きまして、(3)令和6年度次世代ユネスコ国内委員会について及び(4)次世代ユネスコ国内委員会からの報告について、事務局及び次世代ユネスコ国内委員会から報告いただきたいと思います。御意見、御質問については、報告の後、まとめてお願いさせていただくことといたします。
 まずは事務局から報告をお願いいたします。
【小野国際統括官補佐】  事務局から資料2-3に基づいて御報告させていただきます。資料番号、右肩20ページになります。次世代ユネスコ国内委員会、令和6年度の構成についての資料になります。
 20名で委員が構成されておりますけれども、5名が任期満了となるということで、昨年12月から今年1月にかけて公募を行いました。5名の枠に対して9名の応募がございまして、次世代国内委員のメンバーを中心に面接まで行った結果、5名の新規委員を予定しております。
 継続の委員と合わせまして、4月以降、合計20名の体制となります。内訳としましては、真ん中の表にありますが、性別は男性10名、女性10名、年代は20代が中心となっております。所属は大学生・大学院生が中心で、社会人も含まれております。地域は、関東甲信越中心ですけれども、北海道から沖縄、また、海外も含まれております。
 最後に、任期は1年間。来年4月1日から令和7年3月31日までとなっております。
 この次世代委員会の、ページの下の方に参考でございますけれども、当面2年の設置ということでございますので、残りの1年間をこの20名の体制で行っていただくという予定になっております。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは次に、次世代ユネスコ国内委員会の小林委員長、沖田副委員長から、今年度の活動報告をお願いいたします。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】  ありがとうございます。次世代ユネスコ国内委員会委員長の小林と申します。資料2-4に基づいて、今年度の活動報告をさせていただきます。
 21ページに表紙がありまして、23ページから御覧いただけますと幸いです。今年度は、令和4年に提言を提出させていただいたのですが、そのうちの4番、ユネスコ未来共創プラットフォームへのユース参画、具体的にはユース関連情報の集約と発信、そしてユースフォーラム、こちらの点について御報告させていただきたいと思います。
 24ページは、ユース関連情報の集約・発信についてです。特に(2)の点において、具体的には、今年度はユネスコ未来共創プラットフォームのうちのYouth noteにおいて次世代ユネスコ国内委員会の活動報告をさせていただいております。右下に記事一覧がございまして、2月公開予定のものまでは公開されておりますので、是非委員の皆様にも御覧いただけますとうれしいです。
 そして、ユースフォーラムについて御報告させていただきます。ユースフォーラムは、今年1月19日から21日に開催されたユネスコウィーク2024の最終日に開催させていただきました。題名が「ユースによる『未来への宣言』~ユネスコ活動から考える気候変動~」で、今回は気候変動を切り口にしてユースフォーラムを開催させていただきました。
 背景としては、今までの報告にもあったように、昨年11月に世界のユースフォーラムがパリで開催されまして、茶山委員が派遣されました。その会では気候変動がテーマになっており、今回日本で開催するユースフォーラムに関しましても、気候変動をテーマに実施してみようということで開催いたしました。
 イベントの目的は、、気候変動やユネスコの活動に関心のあるユースの出会いの場であったり、参加するときに、ユネスコの活動や気候変動に少しでも関心のある方にも参加していただいて、気候変動やユネスコ活動に対する関心の向上を促進することでした。
 そして、今回は、気候変動の課題を解決していく上で、ユネスコ活動を通してユースがどのように貢献できるかというところをテーマに、パネルディスカッションや議論をさせていただいたのですが、ただ議論するだけではなくて、最終的には「未来への宣言」として、ユースが将来、今の時点ではどういった活動をしていきたいかを「未来への宣言」としてまとめていくということも目的として開催させていただきました。
 次のページから具体的なプログラムが載っているのですが、今回、時間が限られておりますので、是非皆様、御覧いただきますと幸いです。
 その先、27ページ、28ページ、29ページも具体的なプログラムの結果報告が載っておりまして、議論の概要や参加者の報告も載っております。
 その先、30ページから、実際に「未来への宣言」を作成いたしましたので、そちらが載っております。「自分たちの未来のために、私たちは次のように活動していくことを宣言します」という宣言がありまして、その次のページですね、31ページを特に委員の皆様に御覧いただきたいと思っております。ここには、ユースフォーラムで開催した「未来への宣言」策定に向けたワークショップにおいての意見が載っております。この「未来への宣言」のワークショップをする前に、教育、科学、文化、各分科会においてパネルディスカッションを実施しておりまして、ユースの参加者はそちら、それぞれ自分の好きな、興味のある分科会に参加して、その上で各自考えたことや今後の自分の活動について意見交換を行い、その意見がこちらにまとまっております。教育、科学、文化の箱があると思うのですが、その中にはパネルディスカッションでの議論をまとめて載せておりますので、そちらも併せて御覧ください。
 来年度もユースフォーラムを実施する予定です。その上で、今年、実際に開催してみた課題としては、こちらに1、2、3とあるように、まず1つ目が、ユース世代の参加者を増やすことです。今回実施してみて、やはりユース世代の参加者を多くすることはかなり難しかったというか、苦戦しましたので、来年度は年間を通して、そういった集客にも力を入れていきたいと考えております。
 2番目が、ユース世代と大人世代との対話機会をつくることということで、今回、ユース世代の方もそうですが、大人世代はかなり参加いただけたことが私たちも大変うれしく思っております。ただ、交流の時間をなかなか多く作れなかったことや、パネルディスカッションが中心になったというところがあるので、そこは意識して、来年度は交流や意見交換の時間を作っていきたいと思っております。
 そして最後が、ユース世代・大人世代を含めて出席者の多様性を豊かにすることというところで、今回はユネスコウィークの一環として実施して、その前の日にユネスコスクールの全国大会が実施されたというのもあり、教育・研究機関の皆様に多く御参加いただきましたが、より多くの、多様なバックグラウンドを持った皆様に御参加いただけるように来年度は意識していきたいと思っております。
 その先、33ページはまとめになりますが、34ページに、実際にユースフォーラムに参加した我々、次世代ユネスコ国内委員会の感想も掲載しておりますので、是非こちらも御覧いただきまして、来年度、ユースフォーラムにおいても皆様からお力を貸していただければと思います。
 こちらで御報告といたします。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。国内委員会としても、まずもって皆さんのサポートをしっかりしていきたいと思います。それから、来年度の活動も期待していますので、よろしくお願いします。
 それでは、ただいまの報告について、御質問、御意見がある方は、挙手をお願いいたします。
 芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  すばらしい活動発表をありがとうございました。
 私、既にこの場で何回も申し上げていることですけれども、是非、次世代委員会に第1次産業の若人を入れてほしいと思います。気候変動、地球環境に本当に体で立ち向かって、人類のために利益をもたらしてくださっているのは第1次産業の方々です。
 それから、今見ますと、地域区分のところで四国がゼロとなっていますから、例えば土佐の漁師とか小豆島の漁師とか、そういう人を入れてほしいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  社会人が6名、入っていますけど、どんな方ですかね、これ。御存じですか。事務局、御存じですか。
【小野国際統括官補佐】  事務局です。社会人の方は、新しく入られた方になるんですけども、日本ユネスコ協会連盟の方、それから、個別の名前は差し控えますが、公益財団法人や、研究所の方、それから、今、沖田さんが来られていますけども、民間のコンサルタント会社の方という形になっております。中学校・高校の教員で、ユネスコスクール、ESDの活動をしていただいた先生も新しくメンバーで入っていらっしゃいます。あとは、在外の領事館の方といった形になっております。
【濵口会長】  どうぞ、山口委員。
【山口委員】  どうもありがとうございます。小林委員長、大変詳細な御報告ありがとうございました。
 グローバルな動きから、特に教育分野で見てみますと、2022年から教育変革会議、トランスフォーミング・エデュケーション・サミットというのが実施されまして、前会議がパリで、それから本会議がニューヨークで開催されました。丸1日がユースの活動ということで、こういった国際的な会議においても、ユースの立ち位置というのは称賛されております。
 実は、そのトランスフォーミング・エデュケーション・サミットにおいても、どうしても、当時はまだアフリカ、それから欧米が中心となって行われていて、日本を含めたアジアからのプレゼンスはあまり高くなかったというのを記憶しております。今回、茶山委員も含めて、グローバルなユースサミットにアジアを代表して参加したというのは、大きなワンステップアヘッドだと思いますので、これからも、ユースフォーラムも含めて、いろいろな活動を進めていっていただければと思います。
 今回のユースフォーラム、大変有意義な、本当に次にどうすればいいかということに焦点を置いた会議になっていたと思うんですけれども、1つ質問があるのは、ユースフォーラムで行われた活動に基づいた提言というのを、今後どのように国際的なユースフォーラムの方に還元していくのかというのを、委員の皆様の間で議論されているのかなというところが私の質問です。
 以上です。
【濵口会長】  いかがでしょう。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】  ありがとうございます。提言に関しては、令和4年度に出した提言は、基本的には国内での活動が中心になっていました。今後の活動はまた新しい委員を加えてということになると思いますが、特に今年度の活動に関しては、茶山委員がパリのユースフォーラムに参加しましたし、ESDのグローバル会合には、私と、あともう1人、東委員が参加させていただきました。今までは国際的なユネスコ活動をするユース同士のつながりというのがなかなかない中で、どういうふうに活動を国際的にしていくかというところが難しかったんですけれども、今年度、そういった会合に参加させていただいたことで、そこに参加しているユースとのつながりができたというのもありますので、来年度は、今年度そういった機会を頂いたので、つながりを生かして、何か国際的な、海外のメンバーも2名おりますので、国際的なイベントだったりとか、何か活動ができたらと考えております。
【濵口会長】  頑張ってください。
 蓮生委員、お願いします。それから細田委員ですね。
【蓮生委員】  先ほどの芳賀委員の発言に関連してでございますが、資料2-3、令和6年度次世代ユネスコ国内委員会の構成に関する資料に基づいてですが、現在、大学生の方が8名、大学院生の方が6名ということで、20名のうち少なくとも14名が大学生以上の学歴となっております。先ほど芳賀委員が、是非第1次産業の方をはじめとする多様な職業の方にユネスコ活動に関わっていただきたいということをおっしゃってくださいましたけれども、私は、職業もそうですけれども、学歴も含めて、もう少し多様性も反映されていったら、ユネスコの活動がより草の根の活動になっていくのではないのかなということを期待しています。
 その点について、もしも可能ならば、第1次産業の方にも是非関わっていただきたいですし、選考の際に、大学または大学院卒だけでなく、高卒の方等も含めて、枠を設けるというようなことができたら、私たちの活動を次の世代により広めていくことができるのではないかと思っています。是非そのことも御検討いただけたらと思います。
 それと、もう1つ関連してですけれども、本日の議題1、最近のユネスコ関係の動きについての御報告、ありがとうございました。その中で、ユネスコ研修プログラムが昨年11月の文科省とユネスコとのMOUの締結によりついに具現化したという報告を頂きまして、大変うれしく思います。
 一方、このMOUの中では、研修プログラムの対象となるのが、既にユネスコ活動を行っている団体等となっており、例えば大学・地方自治体等に所属する学生・若手職員とされております。これを今後、例えば次世代のユネスコ活動の活性化のために、公募対象を、すぐには無理だと思いますが、最初、こういったプログラム始めるときには、ゆっくりと着実に成果が上がるような、良いパートナーを選びながら、また信頼を勝ち得ながら、ベストプラクティスを作っていくしかないと思うので、最初の数年はやはりゆっくりと着実にやっていくしかないと思うんですけれども、もう少し将来的に、数年後です、5年後とかもっと将来の話ですけれども、公募対象を拡大するということはできないでしょうか。
 これを例えば次世代のユネスコ活動の活性化にもつなげていくことができたら、両プログラムがお互いにウィン・ウィンとなっていくかと思うんですが、いかがでしょうか。
【濵口会長】  今の2つの質問、どうでしょうか。第1次産業の方々を入れる。1つは、ストラテジーがもう1つ見えていないとは思うんですけど、農協・漁業等で活動されている方の推薦を頂くぐらいのアプローチが要るかも知れないですね。ちょっとそこは相談が要るかなと思うんですけども。
【本村国際戦略企画官】  そうですね。最初の質問に関しましては、あくまでも公募という形を取らせていただいていますので、より多様な層にアプローチできる方法を検討したいと思います。
 それから、2番目の御質問、ユネスコ研修プログラムでございますけども、確かに現在、対象となる大学が限定されておりますので、事務局といたしましては、将来的には参加していただける大学の対象をできるだけ広げていきたいと考えております。蓮生委員おっしゃったように、まだ始めたばかりですので、まずは着実に派遣をして、実績を上げて、ユネスコ側からも評価されれば、是非次も日本から出してほしいという声が出てくると思いますので、そういう形で実績をまず上げていきたいと考えております。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。
 細田委員、お願いします。
【細田委員】  小林委員長、大変すばらしい御発表、ありがとうございました。
 ただいまも議論になっております次世代ユネスコ国内委員会のメンバーに多様性をということで何人かの委員からも御意見が出ていまして、大変深く賛同させていただきます。非常に意識の高いユースたちがこの会議のメンバーでいらっしゃることは非常にうれしいことですけれども、やはり同質性が高い感じが否めないところがありますので、本当に多様なユースにいろいろな意見を吸い上げられるような、そんな組織になっていくといいなと思います。
 そして、会長がおっしゃっていたように、確かにそういう層に手を挙げていただくためにどう届かせるかというストラテジーがすごく重要だと思いますので、やはりその辺のところもみんなで知恵を出し合うことが大切だと思います。
 私、もう1つ申し上げたいことがありまして、今日、小林委員長は少しまろやかにおっしゃっていたんですけれども、教育小委員会では茶山委員が御発表されて、大変すばらしい御発表でした。そのときに私、大変印象に残ったことが、茶山委員からですが、パリのユースフォーラムに参加してみて、こうやってユースの声を聞く場所があればいい、こういう場があればいいというところに大人世代がとどまっている感があるという言い方をされたのです。ちょっと表現は別の言い方だったと思いますけれど、ありましたよね。
 大人世代はユースが声を上げる場所があればいいという雰囲気に対して課題を感ずるというふうに彼は御発表の中でおっしゃっていたんですね。私、彼の発言を聞いて、それはどきっとしました、。私たち大人世代が、ユースが声を上げる場所を与えているんだというような意識がどこかにあるとすると、それはやはり大きな間違いだなと思います。大人世代も彼らと膝を交えて、本気で彼らと議論をする場がこれからますます必要になってくると思います。
 ですから、小林委員はユース世代と大人世代の対話の機会を作る必要があるという、まろやかな表現をされましたけれども、やはりユースと大人たちが膝を交えて、本気で、同じ目線で議論する場を、是非私たちが創出していく必要があるのではないかと、こんなふうに強く感じたところでございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 小林さん、御意見ありますか。はっきり物を言って。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】  ありがとうございます。まず1つ目に、次世代国内委員会に所属する方のバックグラウンドに多様性をというところで、そちら、私も賛同しておりまして、是非いろいろなバックグラウンドの委員の人に入っていただきたいと思っておりますが、先ほどあったように、公募で実施しているものの、多分その募集情報とかがそういった第1次産業の方に届いていなかったり、あと、参加してほしいという気持ちはこちらにあるのですが、そういった人たちが果たして私たちの活動に関心があるのかだったりとか、参加したいと主体的に思ってくれているのかというところがすごく気になるなと思います。
 今年度はもうメンバーが決まっていて、今後もしかしたら次世代が続くというふうになったときに、また委員を募集することになると思うんですけれども、まずは来年度の私たちの活動です。それこそユースフォーラムも対象は今年は全ての人で、もちろんどんな人にでも御参加いただけるというふうになっていたんですが、それも多分そういった方たちには届いていないというふうになっています。ですので、来年度もユースフォーラムを開催するのが確定しているというところで、委員の皆様にも、広報を含め、そういった方たちに是非参加していただけるように、私たちだけだとなかなか難しい部分もありますので、御協力いただけるとうれしいなと思いました。
 多分、その前にも、各ワーキンググループ、教育、科学、文化において様々イベントを開催する予定ですので、是非こちらにも、御協力いただきたいと思います。私たちも頑張りたいと思っています。
 あと、対話の機会においても、やはり私たちも自分たちの意見を主張したいという気持ちが先立ってしまって、対話というところにはいけていなかったのではないかなという反省があってのさっきのお話だったので、私たちとしても、別の世代の方とも、別のバックグラウンドの方とも、より対等に意見できるように私たちも知識とか経験を積んでいって、そういった場を構築できればと思っております。
 貴重な御意見、ありがとうございます。
【濵口会長】  オンラインで、竹村委員、お願いします。
【竹村委員】  ありがとうございます。非常にすばらしい機会をユースの方主導で設けられたということは、本当にすばらしいなと思ってお話を伺っていたんですけれども、細田委員とかもおっしゃったように、ユース世代の声を大人が聞いて、いい意見だなというところで満足して終わってしまわない、知る・交わる・アクションというふうに、私も、テーマ性のあるイベントを設計するときにはいつも気をつけているんですけれども、今回、知るとか交わるというところでいうと、知るということは非常にすばらしい機会があったように思えるんですが、先ほどお声もありましたとおり、交わるというところで、若者がちょっと少なかったというお話がありました。是非全国のユネスコスクール等で、特に高校とかと連携されるであるとか、今、マイプロジェクトという高校での取組が全国ですごく盛り上がっています。その中に、SDGsで、気候変動だったりとか、テーマに合った活動をされている高校生とかもたくさんいらっしゃると思います。集客という部分で、ユネスコのネットワークだけではなく、そういった関連するテーマで若者を交えてやっていらっしゃる団体って幾つもあると思いますので、そういったところとの連携みたいなところでも、私も御協力できる部分があると思います。是非事前に設計を頂けると、より狙っていらっしゃるような方々が訪れるフォーラムになっていくのかなと思います。、参加者の方の知識ベースをこの短い時間で揃えていくということは非常に難しいことだと思うので、設計の仕方として、もしかしたら今後は事前プログラムみたいな形で、オンラインで知識提供するという、オンラインの活用と、対話という、せっかく集まる場で膝を合わせてというのは、やはりユースの方が心を開いて大人と対等に話すというのは、大人サイドにとってもユースサイドにとっても非常に時間がかかる作業だと思うので、そこに1日の時間をうまく有効活用できるようなプランニングとかをされていったら、より実りの多いフォーラムになっていくのではないかと思いました。
 なので、非常に貴重な機会だと思いますので、イベントのビフォーとアフターというのは、全体的な1年を盛り上げていくのに大切だと思います。そういった1年の中でどういう形でマイルストーンを設けていくかみたいな視点も、来年の計画において取り入れられると、実りがさらに大きいものになるんじゃないかなと思います。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 先ほどからの議論をずっと聞いていて、ちょっと引っかかるのは、意見を聞くというのは、聞いて、それで、どうするのと。これが、答えがまだ聞こえてこない気がするんです。大きなゴール、我々はなぜユネスコ活動をやるかというと、ゴールはSDGs、Sustainable Development、平和で持続的な世界をつくるということだと思うんですね。
 その点で、今ふと思ったのですが、実践的に世界で活動しているのは、JICAに参加している人たちじゃないかなと思ったんですよね。例えば外務省からJICA経験者なんていう方々を推薦していただくと、議論がもっとリアリティを持ったものになってくる可能性があるんじゃないかなと。
 どうですか。いきなり振りますけど。
【畠山国際文化協力室長】  振っていただきまして、ありがとうございます。私自身はあまりJICA的な活動をしたことがないのですけれども、でも、御指摘のとおり、現場にいるといないのとでは多分話のインパクトが全然違うと思うので、もしユースの方々がそういうので求めるところがあるのであれば、現場でどんな活動をして、何がユネスコの理念、考える世界を実現するために貢献しているのか、どうやってそれを現場で貢献しているのかということを示すには、御指摘のとおり、1つのやり方としてあるんじゃないかなという気がいたします。
 外務省から推薦という形なのか、普通にJICAの中で立候補、公募したら出てくるかもしれないですし、恐らくJICAの中でも、そういう貢献について、次の世代への広報というか、つないでいくというか、そういうマインドを持っている方は恐らくいっぱいいるんじゃないかなと想像しますので、あり得るんじゃないかなと、いい話じゃないかなと個人的には思います。
【濵口会長】  ありがとうございます。個人的見解ですけど、是非事務局でも検討していただきたいと思います。
【渡辺国際統括官】  国際統括官の渡辺です。いろいろ御意見ありがとうございます。個人的な意見ですけど、非常に意味のある意見をたくさん頂きました。今、濵口会長がおっしゃったように、じゃあ、これ、本当にどうやって実現していくのか、どうやって実行していくのか。例えば1次産業の方々を入れるのは、本当に地方で頑張っている方はたくさんいらっしゃって、そういう方をどうやって取り込んでいけるのかというのは、多分、今、小林さんとか沖田さんだけの知恵、ないしは彼らのネットワークだけでは、なかなか人が網にかかってこないという可能性もあるので、そういった面で、委員の方々におかれては、特にユネスコで地域で活躍されている方々からもし推薦いただけるのであれば、是非教えていただければと思いますし、今は確かに次世代の委員は20人なんですけど、別に委員として活動するのは20人でも、例えばサポーターはもっといっぱいいてもいいんですよね。だから、我々の目的は、いかに多くの若い人に関心を持ってもらえるか、そのために、例えば次世代の委員たちがどうやってネットワークを広げられるかということが多分テーマの1つでもあるので、そういった意味で、委員の先生方、注文がいっぱいあるんですけど、注文した以上は、今度、若い委員が相談したら必ず相談に乗っていただけるということを今日は約束していただいたということで、今後ともよろしくお願いします。
【濵口会長】  すみません。お時間が押していますが、手短に、中澤委員、お願いします。
【中澤委員】  奈良教育大学の中澤です。小林委員長、どうも御報告ありがとうございました。来年度もユースフォーラムを開催するのが決まっているということなんですけども、ユースフォーラム自体はイベントですよね。大事なのは、その間なんですよね。だから、次のユースフォーラムまでの間にどのような取組をするのかということが、もしぼんやりとしたものでも何かお考えであれば教えてほしいというのが1つと、今、国際統括官がおっしゃいましたが、私は応援する気持ちは満々でございます。ユースが活動することというのは、彼らにとって、活動経験をするということで、教育活動でもあると思っているので、是非ユースが活動することに対して、予算的な支援もしっかりしていただけたらなと思っております。
 まず来年度の計画等ありましたら、教えてください。お願いします。
【濵口会長】  回答を手短にお願いします。
【小林次世代ユネスコ国内委員会委員長】  中澤先生、ありがとうございます。ユースフォーラムはまず決まっているんですけれども、それまでの過程で、今年度はユースフォーラム、初めて開催というところで、それで手一杯になってしまった部分が正直あるんですが、来年度は、ユースフォーラムの準備をしながら、また昨年度と同じように、教育、科学、文化のワーキンググループそれぞれの分野で、イベントであったりとか、あとはネットワーキングですね、イベントをやった参加者の人たちと、SlackやLINEでつながって、そこでまた意見交換をしたりということを考えております。それぞれのワーキンググループで、どういう企画をしていくかというのは、今、検討中ですので、またそれも御報告させていただきたいなと思っております。
 すみません。時間の関係で、後ほど発表させていただけたらうれしいです。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは続いて、5番目に入りたいと思います。ユネスコスクールの活動について、まずは事務局からユネスコスクールの概要について説明いただいた後、大仙市立大曲南中学校の島田校長先生及び2年生の武部さん、江村さんから、ユネスコスクールの活動について発表いただきたいと思います。今日のメインイベントでございます。
 それでは、事務局からお願いします。
【本村国際戦略企画官】  それでは、資料2-5-1、36ページを御覧ください。まず、ユネスコスクールについて、簡単に御説明いたします。
 もともとユネスコでは、ASPnet、UNESCO Associated Schools Networkと呼んでおります、これを日本国内ではユネスコスクールと呼称しております。その下のユネスコスクールの目的と活動テーマ、こちらがユネスコが定めるガイドラインに記されたテーマ、5つでございます。
 次のページ、御案内のとおり、日本国内ではユネスコスクールをESDの推進拠点と位置付けております。
 その上で、38ページでございますけども、今現在、1,115校で世界最多となっておりますけれども、活動分野につきましては、その下、ユネスコスクールの事務局のACCUの情報によりますと、各学校・地域の特色に応じて様々な取組・教育を行っていると。そちらにございますように、環境、国際理解、持続可能な生産と消費、それぞれ学校の判断で、1つだけではなくて、複数の分野の教育を行っているというのが現状でございます。
 私からは以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。期末試験中にもかかわらず参加していただきました。大曲南中学校から発表いただきます。島田先生、武部さん、江村さん、よろしくお願いします。
【島田校長】  よろしくお願いします。秋田県大仙市立大曲南中学校の島田と申します。これから本校のESDの取組を、ストーリーとネットワークの視点から紹介したいと思います。
 次、お願いします。本校は、秋田県南部にある全校生徒69人の小規模校です。2009年に秋田県の小中学校で唯一のユネスコスクールに認定されました。
 本校は、昨年と今年、このような賞を頂いております。
 それでは、本校の取組の概要を紹介します。本校では、ユネスコスクール加盟当初からESDに取り組んでいます。その目標を、「E:教育」と、「SD:持続可能な開発」に分けて考えており、「E:教育」の目標として、ふだんの学習で生徒に身につけさせたい力を、この6つの力として、各教室にはこのようなポスターを掲示しております。
 また、「SD:持続可能な開発」の目標も、このように設定しております。
 EやSDの力を身につけることが、本校の教育目標の達成にもつながると考えています。
 本校では、ホールスクールでのアプローチによりESDを推進しています。また、学校外の力も巻き込むことによって、さらに大きな効果が得られると考えております。必然的にカリキュラム・マネジメントが重要となります。
 カリキュラム・マネジメントのために、本校では、ESDカレンダーとESDストーリーマップを作成しています。これはESDカレンダーです。
 本校のESDカレンダーの特徴は、前述の6つを身につけたい力を各教科等の内容に位置づけして、色分けして示したところです。能力・態度のつながりが一目で分かるようにしています。
 続いて、これがESDストーリーマップです。総合的な学習の時間の探究的な学習の流れを軸として、そこに各教科等の学習内容がどのように関わってくるのかを表しました。教材のつながりです。また、外部とのつながりも示しています。本校では外部の力を大いに活用していますので、人のつながりもストーリーマップに表しています。
 ESDを進めるために大切なのは、子供の学びのストーリーを作ることだと思います。単発ではなく、3年間のつながりを踏まえて、子供目線でのストーリー展開が重要だと考えております。
 それでは、具体的なプログラムをどのようなストーリーで、どのようなネットワークを活用したかを示して、2つ紹介します。1つ目は、1年生の家庭科と総合的な学習の時間で展開した、「未来のエコハウスを設計しよう」という学習です。ストーリーは、過去から現在、そして未来への時系列のつながりです。ネットワークは、ローカルで、地元の1級建築士や積水ハウスとのつながりです。
 ESDストーリーマップ上では、この部分に当たります。内容的には他教科も関連してきます。
 まずは、家庭科で、学区内にある国指定有形文化財、旧本郷家住宅を地元の1級建築士の解説で見学しました。いわゆる昔の家の見学です。ただし、ただすごいとか豪華だといった見方で終わらせないために、講師はこのような質問を投げかけ、エネルギーの視点に導きました。
 次に実施したのは、積水ハウス「いえコロジーセミナー」です。前回の昔の家に続いて、今回は今の家についての学習です。積水ハウスの研究者を招いて、住宅で使われているエネルギーについての講義と、断熱性能を比較する実験を行いました。実験では、住宅に使われている壁や窓の材料の熱の漏れ方を、放射温度計を使って測定しました。自分の家の断熱はどうなっているのか、関心を持った生徒も多くいました。
 このプログラムの最後は、「未来のエコハウスを設計しよう!」です。1級建築士を再度講師として迎え、これまでの学びを基に、未来のエコハウスを設計する授業を行いました。過去の家、現在の家と時系列で学んできて、今回は未来の家です。講師からは、未来なので、今は実現できなくてもオーケー、常識にとらわれずというアドバイスがありました。その結果、例えば人工太陽を家々に設置するとか、屋根に積もった雪で発電する装置を開発するなどのアイデアが出されました。
 実施後、生徒はこのような振り返りをしました。地球温暖化についてはマイナス面ばかり強調される中で、未来の家を考えることにはロマンがあるという感覚は、大切にしなければならないものだなと感じました。地球温暖化は深刻なレベル、だから今行動するがあるといった考えは、複数の生徒から出されました。
 2つ目の事例を簡単に紹介します。ワールド気候スタディーズ、ESD/SDGsです。ストーリー、ネットワークはこのとおりであります。
 ESDストーリーマップでは、この辺りに当たります。2学年にまたがっています。
 まずは、日本キリバス協会のケンタロ・オノさんの講演で、キリバスの現状を学びました。その後、もし校長先生や市長だったら、キリバスに対してどんなことができるのかを考える、ペルソナワークを行いました。
 最後に、オンラインでキリバスの中学生とリアルタイムで交流しました。気候変動についてお互いの意見を出し合いましたが、キリバスの現状を同世代の子供たちから知らされることで、より切実感を持ったようでした。
【島田校長】  それでは、これは、キリバスの交流を終えた後の振り返りであります。学習を通して、世界を意識するようになってきています。そして、自分がやらなければという当事者意識が芽生えています。この学びにより、誰1人取り残さない未来、世界中の人たちが幸せになれる未来の実現を強く意識しました。
 最後に、評価についてお話しします。これまで紹介したような学習を進めた生徒たちへのアンケートから、6つの身につけたい力について評価したのがこのグラフです。どの力も高いレベルで身についていることが言えると思います。
 また、持続可能な開発について考え実践する力の評価については、生徒の生の声をお聞きください。
【武部さん】  私がSDGsの学習を通して学んだことは、何事にも思いやりや優しさを持つということです。自分の行動や言動が相手を傷つけていないか、自分の取った行動は地球に優しいのかなどを、学習する前よりも常に意識できるようになりました。
 暖房や冷房がついているときにはドアを閉めることを呼びかけ合ったり、困っている人がいるときには自分から積極的に手伝ってあげる人が多くなったりして、クラスだけでなく、学校全体で見ても、主体的に行動する生徒が多くなったと感じています。
 これからもSDGsの学習をさらに深めていき、将来、社会や地球、世界に貢献できるような、自分からよりよい方向へ引っ張っていけるようになりたいです。そのために、まずは身近な人のために行動することを継続し、節電や節水等の簡単なことから、地球やこれからの未来を大切にできる気持ちを持ちたいです。
【江村さん】  私は、SDGsについていろいろ学習してきました。特に印象に残っているのは、海洋問題や地球温暖化問題です。そこから学んだことを紹介します。
 私が学んだことは、SDGsという目標は全て大切なことばかりだが、最優先に13番の「気候変動に具体的な対策を」と、14番の「海の豊かさを守ろう」が解決されるべきということです。これが解決されることによって、様々な目標達成への基盤が整うと考えたからです。
 これらを学んだことによって、自分は主に、前より節電するようになったり、ごみが落ちていたら拾うようになったりしました。また、周りでも同様の変化が見受けられるように感じます。
 そして、SDGsの授業を受ける姿勢が変わったと思います。受ける前は、少し気だるく、面倒くさいなと考えていましたが、受けた後からの取り組む姿勢は、私を含めて全員が真剣に取り組むように変わっていったと感じます。
【濵口会長】  武部さん、江村さん、ありがとうございました。大変参考になる御発表でありました。
 それでは、ただいまの説明及び御発表について、質問、御意見ある方は挙手をお願いします。時間が押しておりますので、前振りは一切なしにして、質問だけきちんと手短にお願いしたいと思います。
 それでは、川村委員。
【川村委員】  川村です。ありがとうございました。今の御報告を聞いて、本当に素晴らしいなと確信をいたしまして、感銘を受けました。
 ユネスコスクールについてなんですけれども、コロナからの本格的な回復ということになりまして、今後どのようにしてこのユネスコスクールの活動をエンカレッジしていくかということを、これは文部科学省から、今後の政策というか、政策的観点からの、これまでの評価と、それから今後の方針をお伺いしたいと思います。
【濵口会長】  いかがでしょう。
【本村国際戦略企画官】  ありがとうございます。それでは、先ほど私が説明に使わせていただいた36ページ以降の資料を御覧いただきますと、今現在、1,115校まで増えております。数の上では、1,000校を超えていますので、これ以上どんどん増やしていくということではなく、現在の取組、質の向上、内容の充実を図っていくべきかと考えております。具体的には36ページの、ユネスコが掲げておりますユネスコスクールの目的と活動テーマ、1番から5番とございますけれども、5番のところは、ESDの推進拠点でございますので、SDGsを意識しながら重点的に取り組んでいるというふうに、多くの学校で取り組んでいると認識しております。
 ただ、それ以外の1番から4番の部分、特に国際ネットワーク、このASPnetというのは国際的なネットワークでございますので、日本のユネスコスクールが海外の学校とつながって、ネットワークでつながって、交流する。今、発表にキリバスとの交流がありましたけれども、まだまだ全国の学校で見ると少数だと認識しております。先生方の負担も考えないといけないですけども、国際交流、ネットワークを活用した交流をいかにユネスコスクールに広げていくかというところを、今後、教育小委員会の中でも御議論いただいて、進めていきたいと考えております。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
【中澤委員】  奈良教育大の中澤です。御発表どうもありがとうございました。
 私は、ESDというのは、ヒト・コト・モノに対してケアできる、そういう生徒を育てることだと思っているので、今、生徒さんの生の声を聞かせていただいて、まさにそれができているなということで、非常に素晴らしいなと思いましたが、どうしたらそういうふうな生徒が育つのかというところにつきまして、校長先生はどのように感じておられるのか、そういうことをお話しいただけると、そのほかのユネスコスクールに対しても即参考になるんじゃないかなと思います。急ですけども、どうぞよろしくお願いいたします。
【濵口会長】  いかがですか、島田先生。
【島田校長】  ありがとうございます。なかなか難しい御質問ですが、まずはやはり体験させるということが大切なんじゃないでしょうか。生の体験をさせるということ、そしてその体験から考えさせるということが必要なんじゃないかなと思います。ただ体験させるだけで終わるのではなくて、そこからいろいろな世界を見て、考えさせるということが必要なのではないかなと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。先生のお言葉、学びのストーリーを作るというのは、非常に感銘を受けました。
 もう1人だけ、いかがですか。どうぞ。
【小池委員】  鎌倉ユネスコ協会の小池といいます。今の秋田県大仙市立大曲南中学校の実践について、本当に感銘を受けました。やはりキリバスの中学校とオンラインでつなげるというのは、そう簡単にできることではないし、一緒にSDGsについて話をするというのも簡単ではないですね。どうやってそれを実現されたのかというのは後で教えていただきたいと思うんですけれども、こういう取組をやはり全国に広げていくといいのではないかなと思いまして、ノウハウがやはり大事だと。こうやってキリバスの状況から、海洋のことを考えるとか温暖化を考える、そして自分たちの態度も、より節水に努めるようになるなど態度を変えていくと。
 これは先ほども新しいユネスコの教育勧告の話がありましたけども、グローバル・シチズンシップへの第1歩かなと思いますし、やはりThink Globally, Act Locallyという、まさにESDの良い取組だなと思って、非常に感心しました。
【濵口会長】  ありがとうございます。事務局の御奮闘を祈念いたします。
 まだ御意見あると思いますが、少し時間が押しております。本当に山ほど聞きたいことがありますが、島田先生、ありがとうございました。それから、武部さん、江村さん、お忙しい中で、勉強をやりながら、ありがとうございました。元気な姿を見せていただいて、とてもうれしく思いました。
 残念ですが、それでは、議題3に移ります。国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について、お諮りします。
 本件は、令和4年11月に運営小委員会でまとめた附属資料4「今後の検討に向けた論点整理」を踏まえ、昨年3月の運営小委員会及び総会、7月と8月の運営小委員会において議論を深めていただき、9月の運営小委員会及び総会で「国際情勢を踏まえたユネスコ活動等の推進について(骨子案)」について御議論いただきました。それを受けて、先月、各専門小委員会において、資料3-2「国際情勢等を踏まえたユネスコ活動等の推進についての提言(案)」について御議論いただきました。本日は、取りまとめに向けて忌憚のない御意見をいただければと思います。
 それではまず、事務局から説明をお願いいたします。
【本村国際戦略企画官】  時間がかなり押しておりますので、簡潔に進めさせていただきます。本提言に関しましては、既に科学、文化・コミュニケーション、教育小委員会で御議論いただきまして、非常に活発な議論を頂いて、その頂いた御意見を反映したものがこちらの提言(案)になります。
 この提言につきましては、背景にございますとおり、現下の国際情勢等を踏まえ、また、ユネスコの普遍的な使命を再確認するとともに、提言1と2、2つの提言に分けて記載しております。
 提言1といたしまして、ユネスコに対する日本政府の関与の在り方、こちらは国内の関係府省に対する提言でございます。提言2につきましては、国内のユネスコ活動の在り方、こちらは広く、ユネスコ活動に取り組む一般の方々あるいは国民に向けましての提言になります。
 この提言に関しましては、今現在、ユネスコ中期戦略目標が作成されておりますけども、2029年までとなっておりますので、2029年をめどに成果を上げられるように取り組んでいくこととしております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、この提言(案)について、御意見のある方は、挙手をお願いいたします。
 佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。今回の提言は、非常によい案になったと認識しております。2点、要望があります。
 1点目は、4ページの提言2のユネスコ活動のネットワークの活性化についてですけども、少し気になる点があります。ここで取り上げられているのは、現在活動している様々な主体について記載されております。ところが、国や自治体の役割については触れられていません。だから、国内委員会についても、ユースのところだけなんですね。
 それで、今さらのことですけれども、ユネスコ活動の法律には、国や自治体、国内委員会の役割は、自らユネスコ活動を行うとともに、民間のユネスコ活動について、助言、協力、援助、連絡や情報の交換を行うというふうに規定されております。これは古い、ユネスコ加盟直後の昭和27年に制定されたものでありますけれども、ここの条文には、国を挙げてユネスコ活動を推進しようという姿勢が表れております。
 現在は、先ほどからのお話ですけども、世界平和が危機にさらされている時代という認識に立つと、提言2の中にも、現場に丸投げしているというような誤解が生じないように、国や自治体が、包括的でもいいですから、推進するということを是非明記していただけたらと思います。
 そして、ユネスコやこの法律を知らない自治体も増えております。私たちがユネスコ活動を自治体やユネスコスクールと一緒に新しいことを推進しようとする上では、とりわけコミュニケーション面で、文科省とか国内委員会の協力を是非お願いしたいと思います。
 2点目でありますけれども、2ページのユネスコの普遍的な使命の確認は、とても重要なことだと思います。それでもなお、平和のとりでを築くという、いろいろ議論を呼ぶ1節の解釈は、謎解きのまま残っております。どういうふうに理解するのかなと。すとんと腑に落ちるような解釈が必要なのではないでしょうか。
 これからは私個人としての意見でありますけれども、先週日曜日、NHKテレビの「戦場のジーニャ」という番組を見た方も多いと思います。ウクライナの市民が志願兵として前線で戦う自分たちを撮影した、生の映像でありました。その中では、地雷を踏んで足がミンチになって吹き飛ばされる映像、それから敵の塹壕に攻め込んで、至近距離からロシア兵を射殺する映像、ドローンで映像を見ながらロシア兵を殺す映像等、衝撃的で目を背けたくなるような残虐な記録でありました。そして、帰ってきた兵士も、PTSDに悩んで、人格が変わってしまっております。兵士は、殺人はしていないと。でも、戦争だから敵は殺すんだというふうに言っていました。また、一般の報道では、一般の市民の犠牲は問題だというふうに取り上げておりますけれども、兵士の命とか人格はどうでもいいのかという問題があると思います。
 現在のルールである国際法は守ると。法の支配、これは当たり前ですけども、それだけでは戦争はなくなりません。やはり人を殺してはいけないという規範が必要だと思います。理想論かもしれませんけれども、ユネスコ憲章の平和のとりでを守るということの1節は、人を殺してはいけないということを心に刻むんだという意味であるということを訴えていくことは不可能なのでしょうか。今後の宿題として、是非検討をお願いしたいと思います。
【濵口会長】  貴重な御意見、ありがとうございます。
 それでは、川村委員、お願いします。
【川村委員】  何度も申し訳ございません。ごく簡単に。提言1のところですけれども、その前に、今回の提言(案)につきまして、前回小委員会での議論の後、相当御尽力いただいて、大変良くなっているということで、事務局、それから委員長の御尽力に感謝したいと思います。
 その上で、1点だけ申し上げます。今日、冒頭に申し上げましたように、我々の認識として、ウクライナの情勢に加えまして、イスラエル、ハマス、ガザの情勢と、この2つが今、ユネスコに対しても大きなチャレンジとして挑みかかってきているということで、これにどう応えていくかということについて、政府の方針を確認させていただきましたが、盛山大臣のユネスコ総会での演説にもありましたように、ガザについても、その時期が来れば、適切な状況の下で人道支援をするというようなことは確認されているわけですので、ここに提言1の適切な支援の実施の内容として、あえて各論に踏み込めば、ウクライナについて具体的に書くのと併せて、ガザについても今の方針を問題のない範囲で書いておくというのは、バランスという意味では、必要ではないかなと思っております。
 今、この段階でガザに踏み込んでということまでは、誰もそれは考えていないと思いますので、状況が許す段階になったときにはということをここで書いておくというのは、1つ意義があるかなと思います。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 ほかによろしいですか。
 どうぞ、髙木委員、お願いします。
【髙木委員】  科学小委員の富山ユネスコの髙木でございます。民間ユネスコ活動を行うユネスコ協会の委員として、提言2の内容に賛同する意見を述べさせていただきたいと思います。
 ユネスコ活動における多様なネットワークの活性化に関することについて、科学小委員会において富山の協会の事例も紹介させていただきました。子供たちの科学教室を実施しましたところ、NPO、それから大学等の研究者の方、学生さん、それから市民グループの皆様が多く協力をしてくださいました。小中学生を対象としたワークショップでしたけれども、近隣のユネスコ協会とか、あるいは気候変動や流域治水に関心のある方、行政の方々も参加していただきました。
 それぞれの目的はありますけれども、地球課題に対する
取組、連携、協力、協働が必要になってくるかと思います。
 そういう意味で言えば、民間の協会ではございますけれども、例えば科学分野では海洋学とか水文学、人間と生物圏の科学分野を意識したユネスコ活動を展開することで、微力でございますけれど、いろいろサステナビリティ・サイエンスに貢献できるようにしていきたいと思っております。
 以上であります。
【濵口会長】  ありがとうございます。大変申し訳ないんですが、お時間が押しております。
 あと、オンラインで、渡辺委員、手短にお願いいたします。
【渡邉(綱)委員】  ありがとうございます。科学小委員会、渡邉です。2か所、コメントしたいと思います。
 提言2のネットワークの活性化というところで、分野間の連携、海洋、水、生物多様性、その科学3分野も含めて、幅広い分野間の連携を重視するという点を追記していただいた点、大変重要だと思います。
 ユネスコのプログラム間の連携の活動と同時に、今もお話がありましたように、現場での分野間連携、エコパークやジオパークあるいはユネスコ協会の地域の活動、ユネスコスクールの活動、そういった現場でのユネスコ活動の中での分野間連携、この辺も活発化させるように是非していきたいと思っていまして、この分野間連携の記述を維持していただければというのが1点目です。
 もう1つは、最後のユネスコ登録事業の部分になります。1番最後の段落に、世界的な課題に関するモデルを各ユネスコ登録事業から提示していくということを追記いただきました。これも大変重要な点だと思います。
 生物多様性の分野でも12年ぶりに新しい生物多様性の世界目標が採択されて、自然回復の軌道に乗せるという非常に野心的な目標が盛り込まれています。これをどう世界で実現していくかというのが大きな課題になっています。
 そういう中で、日本の世界遺産、エコパーク、ジオパークといったユネスコの登録事業が、そういった世界目標達成のモデルを示していって、それを世界に発信していくということが大変重要で、そういう視点を持ってユネスコの登録事業の活動を進めていきたいと思っています。このモデルを各現場から提示するという記述についても、大変重要だと思いますので、是非維持していただけたらと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 蓮生委員。
【蓮生委員】  資料3-2の中の提言1、ユネスコに対する日本政府の関与の在り方の4つ目のポイントについて、日本自らアジェンダセッティングに動くということを是非強調していただきたいと思います。
 前回の文化小委員会においては、漫画やアニメ等を8つ目のジャンルとして日本がリーダーシップを取るべきだという議論が活発に出ました。時間がないので端的に申し上げます。アメリカがユネスコに再加盟いたしました。アメリカの西海岸にはハリウッドがあり、そこにはアニメや漫画の世界的政策発信の首都があり、聖地でもあります。これほど強力な国外のパートナーはいないわけで、共同提案国となっていただけるよう、日本としても活発な外交活動を行うことを期待したいと思います。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 残念ながらお時間が参りましたので、貴重な意見、いろいろ頂きました。ありがとうございます。もしもう少し語りたいという方がございましたら、メールで頂ければと思います。事務局の方へお願いします。
 それで、本日の御意見を踏まえ、また、頂いた意見を基に、事務局において提言案の修正をお願いしたいと思いますが、最終的な文言の修正は、会長の私に一任いただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、本日の御議論を踏まえた最終版を今月中に発表したいということでございます。本当に事務局は粉骨砕身、頑張っていただいております。よろしくお願いいたします。
 本件については、本当に長期にわたり御議論、御協力いただきまして、誠にありがとうございます。何とかゴールにたどり着けそうで、少しほっとしております。
 それでは、議題4をお諮りします。今日ずっとお話しした議題のほか、何かこれは諮っておくべきではないかというのがあったら、一言で言っていただければと思います。積極的に採用させていただきます。よろしいでしょうか。
 もしなければ、本日準備した次第は以上でございます。本日は御多忙の中、長時間にわたり御出席いただき、また、御議論いただき、ありがとうございます。
 それでは、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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