日本ユネスコ国内委員会総会(第152回)議事録

1.日時

令和5年3月6日(木曜日)15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省3階第一講堂
対面とオンラインのハイブリッド形式での開催

3.出席者(敬称略)

〔委員〕
濵口会長、大枝副会長、井上委員、大島委員、大谷委員、大野委員、大濵委員、沖委員、押谷委員、片岡委員、萱島委員、河野委員、川村委員、黒川委員、小池委員、小浦委員、肥塚委員、西藤委員、坂本委員、佐藤委員、佐野委員、鈴木昌徳委員、角南委員、髙木委員、髙橋秀行委員、髙橋裕子委員、竹村委員、田中委員、谷川委員、道傳委員、中澤委員、野間委員、中澤委員、芳賀委員、蓮生委員、林委員、東川委員、藤田委員、藤本委員、細田委員、松本委員、溝内委員、道田委員、山口委員、吉田和浩委員、吉田達哉委員、渡邉委員

〔外務省〕
中島国際文化協力室長

〔文部科学省〕
簗文部科学副大臣、柳事務次官、北山大臣官房国際課長

〔文化庁〕
守山文化資源活用課文化遺産国際協力室室長補佐

〔事務局〕
岡村事務総長(文部科学省国際統括官)、加藤副事務総長(同省文部科学戦略官)
白井事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、堀尾事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、原事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4.議事

【濵口会長】  それでは、時間となりましたので、会議を開催させていただきます。本日は、御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 会議に先立ちまして、事務局は定足数の確認をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  本日は会場から21名、オンラインで19名、合計40名の委員に御出席いただいており、委員60名の過半数ですので、定足数を満たしております。
【濵口会長】  ありがとうございます。事務局から、定足数が満たされているとの報告がありましたので、第152回日本ユネスコ国内委員会を開会いたします。
 本日の総会は、前回同様、対面とオンラインのハイブリッド形式の開催となります。なお、国内委員会の規定に基づき、傍聴の希望者に対しては、非公開の議事を除き、YouTubeを通じて公開いたします。御発言は、非公開の議事を除き、そのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 本日の会議には、簗和生文部科学副大臣に御出席を賜っております。非公開の議題1終了後に、一般傍聴者用のYouTube配信を開始いたしますので、その際に御挨拶を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず議題1、日本ユネスコ国内委員会の構成についてをお諮りします。本議題では、国内委員会委員の人事に関する事項について審議するため、会議の議事を非公開とします。
(中略)
【濵口会長】  さて、ここからは再び会議を公開といたします。傍聴の方々及び報道関係者の皆様に対して、YouTubeを通じたオンライン配信を開始しますので、しばらくお待ちください。
 それでは、会議を再開いたします。
 まず、初めに簗文部科学副大臣より御挨拶を頂きたいと存じます。簗副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
【簗文部科学副大臣】  文部科学副大臣の簗和生でございます。第152回日本ユネスコ国内委員会総会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。ユネスコ憲章の前文にある、人の心の中に平和のとりでを築かなければならないという一文は、未来にわたって私たち一人一人が心に刻まなければならない言葉であり、ユネスコが所掌する教育・科学・文化の幅広い分野の取組を通じて実践していく必要があると考えております。
 一方、世界では、アフガニスタンやウクライナにおける紛争が続き、これまで国際社会が大切にしてきた自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値が脅かされる事態が生じています。
 また、地球温暖化や経済格差の拡大、新型コロナウイルスの感染拡大等、様々な地球規模の課題が生じております。このような国際情勢を踏まえ、日本ユネスコ国内委員会では、昨年8月より平和や持続可能な社会の構築に貢献していくユネスコの理念を再認識し、その理念を実現していくためのユネスコ活動の方向性について御議論いただきました。また、11月には運営小委員会において、今後の検討に向けた論点整理を取りまとめていただいたところでございます。
 本日の総会は、昨年12月に新たに国内委員に御就任いただいた委員の方々の御参加を得た初の会合と伺っております。委員の皆様方には、昨年まとめられた論点を参考に、ユネスコ活動の方向性についての御議論をより深めていただきたく、幅広い視点から忌憚のない御意見を頂戴できれば幸いに存じます。
 結びになりますが、皆様方の御協力、御支援に心より感謝を申し上げ、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【濵口会長】  ありがとうございました。簗副大臣は、この後、御公務の御予定がございますので、ここで退席されます。簗副大臣、御出席ありがとうございました。
(簗文部科学副大臣退席)
【濵口会長】  それでは、続きまして、昨年9月8日に開催された第151回日本ユネスコ国内委員会総会以降、委員の異動がありましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  前回の国内委員会総会以降、国会の推薦により、昨年11月4日に大家敏志参議院議員が日本ユネスコ国内委員会委員に就任されました。本日は御欠席となりますが、御紹介させていただきます。また、第151回国内委員会総会での審議に基づき、昨年12月1日付発令により、日本ユネスコ国内委員会委員に就任された委員を御紹介させていただきます。
 なお、委員名簿は参考資料1を御参照ください。押谷一江別ユネスコ協会会長、片岡真実森美術館館長、国際美術館会議会長、川村泰久前駐カナダ特命全権大使、黒川廣子国立大学法人東京藝術大学大学美術館教授(大学美術館館長)、田中宝紀特定非営利活動法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部責任者、中澤静男国立大学法人奈良国立大学機構奈良教育大学教授、林佳世子国立大学法人東京外国語大学学長、藤本恵子秋田ユネスコ協会副会長、細田眞由美さいたま市教育委員会教育長、溝内良輔キリンホールディングス株式会社常務執行役員、柳孝文部科学事務次官、岡村直子文部科学省国際統括官。
 また、新任委員のうち、本日御欠席の委員を御紹介させていただきます。伊藤聡子事業創造大学院大学客員教授、治部れんげジャーナリスト、国立大学法人東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授、茶谷栄治財務事務次官。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。また、前回の総会以降、事務局に異動がございましたので、報告をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  本年2月1日付で、北山浩士文部科学省大臣官房国際課長が着任しておりますので、併せて御報告させていただきます。
【濵口会長】  ありがとうございました。報道関係者の皆様におかれては、写真撮影はここまでとさせていただきますので、御了承ください。
 それでは、議題の2に入りたいと思います。議題の2では、最近のユネスコ関係の動きについて、事務局及び関係機関から報告を頂きたいと思います。御意見、御質問等については、報告の後まとめてお願いさせていただくことといたします。
 まず、事務局から昨年9月に開催された国連教育変革サミット及び10月のユネスコ執行委員会について、報告をお願いいたします。
【白井国際戦略企画官】  失礼いたします。それでは、資料1-1を御覧ください。昨年9月16日から19日まで、国連を中心に行われました国連教育変革サミットについて、まず御報告申し上げます。
 こちらのサミットでございますけれども、新型コロナウイルスが世界的に流行したということを踏まえまして、特に途上国においてはかなり長期間にわたって教育が提供されなかったという国もあったということから、グテーレス事務総長の主導によって、各国の教育に対するコミットメントを求めるということを目的にして開催されたものでございます。
 各国の首脳から、教育に対するコミットメントを話してもらうということがございましたけれども、日本からも岸田総理がビデオでメッセージを発出し、また文書でのステートメントを提出するといったことで貢献をしてございます。
 具体的には、例えば新しい資本主義に基づいて、教育変革や持続可能な開発のための教育、ESDを引き続き全力で推進する、また、国内教育はもちろん、国際的な教育支援にも取り組むということを、総理から申し上げております。
 成果文書でございますけれども、グテーレス事務総長名でビジョンステートメントという成果文書が発出されてございます。この成果文書の中にも、人への投資、Invest in peopleということについての言及があるとともに、ESDの推進についての重要性が確認されているところでございます。
 続いて、資料1-2にお進みいただきたいと存じます。第215回ユネスコ執行委員会の結果についての御報告を申し上げます。執行委員会につきましては、令和4年10月5日から10月19日まで行われたものでございます。文部科学省からも、岡村国際統括官ほか職員が参加をしてございます。
 なお、この執行委員会でございますけれども、ユネスコ加盟国の193の国が参加している、非常に大きな組織になってございます、ユネスコ総会というものが2年に1回ございまして、こちらが最高の意思決定機関になりますけれども、それに次ぐ意思決定の場であって、春と秋の原則年2回、ユネスコ本部で開催されてございます。
 193の国の中から地域枠に応じて選ばれる58の国がこの執行委員国となってございますけれども、日本の場合には1952年から継続的にこの執行委員国を務めてございます。
 結果の概要については、(2)番のところを御覧いただきたいと思いますけれども、様々な案件が取り扱われてございます。例えば議題5.1.Fというところですと、ウクライナ緊急支援に関する事務局長の報告というものがございます。現在、ユネスコは、例えばウクライナにおける子供たちへの心理的なケアであるとか、先生方へのパソコン等の配付であるとか、デジタル面でのサポートだったり、あるいは戦争によって失われつつある記録遺産であるとか、文化財の修復だったり、あるいはデータ化・デジタル化といったようなことの支援の取組をされております。
 ユネスコ事務局長からは、加盟国に対してウクライナにおけるユネスコの行動を引き続き支援するように要請するといったような決議案についての報告がございましたけれども、この投票の結果としては、決議案の採択はされたものの、一方で反対する国だったり、棄権する国、欠席する国があったりといったような状況でございました。
 ほかにも、例えば地下水をめぐる問題であるとか、オープンサイエンスに関する勧告、これをどう実現していくのかといったようなことについての議論も行われたところでございます。
 執行委員会については、こちらからは以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、文化庁から世界遺産、無形文化遺産について報告をお願いいたします。
【守山室長補佐】  文化庁文化資源活用課の守山でございます。私のほうから2点、御報告をさせていただきます。
 まず、世界遺産についてでございます。佐渡の金山の世界文化遺産への推薦に関しまして、現在、ユネスコのほうに推薦書を提出しております。昨年9月末に推薦書暫定版を出しまして、今年1月に改定しました推薦書正式版を提出しております。今後、ユネスコ事務局における確認を経まして、諮問機関であるICOMOSにおいて審査が進む予定となっております。文化遺産として、その価値が認められるよう説明に努めてまいりたいと思います。
 続きまして、もう一点、ユネスコの無形文化遺産についてでございます。こちらは、日本から、風流踊という民俗芸能をユネスコのほうに提案しておりました。所定の審査を経まして、昨年11月の終わり、モロッコにおいて開かれました無形文化遺産政府間委員会におきまして、無形文化遺産代表一覧表への登録が決定されました。これはチャッキラコという、この写真の左側のほうに映っております神奈川県三浦市のお祭り踊りに、それ以外の、同じ分野の民俗芸能を拡張しているものでございます。
 その風流踊に続きまして、現在、伝統的酒造りを提出しております。こちらは、昨年3月に提出をしておりまして、この後、まだちょっと審査には至っていないんですけれども、これも登録に向けて万端の準備を整えてまいりたいと思っております。
 簡単ですが、以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、続きまして、外務省から、アズレー・ユネスコ事務局長による岸田総理表敬及び令和4年度補正予算によるウクライナ支援並びに世界遺産委員会の日程について、報告をお願いいたします。
【中島国際文化協力室長】  外務省で国際文化協力室長をしております中島と申します。座って失礼いたします。3点、会長から御紹介いただいた点、私のほうから御報告させていただきます。
 まず第1点、アズレー事務局長による岸田総理への表敬ですけれども、今年の年明け、1月9日に岸田総理がフランスを訪問しまして、その際にアズレー事務局長からの表敬を受けております。岸田総理から、日本は教育、文化、科学の分野で、ユネスコが果たす役割を重視しており、長年にわたり積極的に貢献してきているという旨を述べた上で、今後、日ユネスコ関係を一層強化していきたいというふうに述べました。
 これに対してアズレー事務局長から、日本からの財政的支援の感謝とともに、ウクライナ支援をはじめ、日本との協力を一層強化したいというふうに述べております。また、双方、世界遺産委員会への対応に関しても協力していくことで一致しております。
 それから、2点目のウクライナ支援でございます。先ほど文科省さんの御報告にありました、直近の執行委員会等でも議論、話題になっております。当初予算及び令和4年度補正予算を活用しまして、ユネスコと協力して文化遺産の保護、修復、それから文化、教育等の分野で、ウクライナ及び周辺国において困難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施しております。
 こうした支援については、アズレー事務局長もツイッターで紹介をされております。例えば、これはアズレー事務局長の去年の12月13日のツイートですけれども、ちょうどウクライナの大統領夫人がユネスコ本部を訪れたときに、アズレー事務局長がこのウクライナの子供たちのメンタルヘルスと心理社会的な支援――これは教育面の支援ということで、話し合いましたと。
 これは、日本の支援のおかげで、ユネスコは教育システムを通じてこの問題に取り組むために、330万米ドルを動員することを表明しましたということで、日本の支援に言及いただいております。
 それから、3点目、世界遺産委員会の日程でございます。世界遺産委員会、御案内のとおり、去年はロシアが議長だったものですから、このウクライナ情勢もあり、開催がなかったんですけども、1月に決まりまして、次の第45回世界遺産委員会は、本年の9月10日から25日に、議長国サウジアラビア、リヤドで開催されるということが決定いたしました。
 これを踏まえて、世界遺産委員会の予定も正常化していくものと我々は見ております。日本としましては、日本は世界遺産委員会の委員国を今務めております。引き続き、この世界遺産委員会の一員として、しっかりと役割を果たしてまいりたいというふうに考えております。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの報告事項について、御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。なお、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、できる限り挙手ボタンにてお知らせいただければ幸いであります。
事務局にて確認し、私から指名をさせていただきます。いかがでしょうか。
 それでは、松浦顧問、お願いいたします。
【松浦特別顧問】  ユネスコ活動について、いろいろ御説明ありがとうございました。世界遺産関係で1つ、問題提起をさせていただきます。佐渡金山が世界遺産事務局とやり取りで修正をしたものが出されて、それが最終的に受け入れられたのは大変よかったと思っています。
 他方、今、日韓関係で、私は新聞を見ているだけですけども、徴用工の問題が随分日韓で議論されて、これがいい形で決着されると日本も希望していますけども、私の記憶が間違っていなければ、佐渡の金山に関して、新聞に小さな記事でしたけども、韓国側がネガティブなコメントを出していたのを読んだ記憶があります。
 したがって、韓国は今度、世界遺産委員会の委員に選ばれると理解していますので、もちろん手続としては、今年の秋にICOMOSから審査が来て云々という手順があります。政治的な問題が絡むので、是非、これは外務省にお願いですけれども、佐渡の金山が徴用工の関連で政治問題化しないように、事務的に韓国側とよく話し合っていただきたいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。非常に重要な点、御指摘いただきました。
 オンラインで山口しのぶ委員、お願いいたします。
【山口委員】  ありがとうございます。私、教育小委員会に属しております、東京工業大学の山口しのぶと申します。よろしくお願いいたします。
 国連教育変革サミットについて、少し情報共有させていただきたいと思います。一応、私も教育開発の専門家として、ユネスコ本部におけるプレサミットも含めて、こちらの教育変革サミットには参加させていただきました。この教育改革における重要な項目として、5つのアクショントラックがありました。
 特にアクショントラック2に位置づけられた、Learning and skills for life, work and sustainable developmentでは、日本が加盟国代表としてリードをとっており、大変中身の濃いワーキングペーパーが完成して、9月のニューヨークのサミットにおいても存在感が高かったと思います。
 今回のこの取組では、世界各国代表のユースの存在が大変大きく、9月のサミットにおいても、グテーレス事務総長が2時間以上、時間をかけて直接対話を実施するというような取組がなされました。ですので、今後、教育変革サミットに関連するような会議には、国内委員会でも、今度ユースアンバサダーの制度ができるということですので、是非、そのような機会にユースアンバサダーがいろいろと発言ができる場を提供するという形で、私たちのほうからも後押しをしていければよろしいかなと感じております。
 以上です。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。何とか環境を整えたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、もしよろしければ、議題3に移らせていただきたいと思います。議題の3は、我が国におけるユネスコ活動の現状と今後の取組についてであります。項目1、令和5年度ユネスコ関係予算(案)及び2、専門小委員会からの報告について、それぞれ事務局及び教育、科学、文化・コミュニケーション小委員会の各小委員長から御報告をお願いしたいと思います。
 御意見、御質問等については、報告の後、まとめてお願いさせていただくことといたします。
 まずは項目の1、令和5年度ユネスコ関係予算(案)について、事務局から報告をお願いいたします。
【白井国際戦略企画官】  資料2-1を御覧ください。令和5年度のユネスコ関係予算について記載をしてございます。資料の左側のほうにございますのが、ユネスコに対する分担金、または任意拠出金ということになります。分担金のほうは、基本的に各国の規模等に応じて負担する経費ということでございまして、こちらはユネスコ分担金、約36億円を中心にした支出ということになってございます。また、それとは別に、特定の目的を決めた任意拠出金というものもございます。こちらも外務省、文部科学省、国土交通省がそれぞれの目的に応じて拠出金を支出しているところでございます。
 右側のほうが、国内におけるユネスコ活動の推進に関する予算ということになります。こちらはいずれも文部科学省のほうで措置しているもので、ユネスコ未来共創プラットフォーム事業、約8,700万円の予算でございますけれども、様々なステークホルダーが今、ユネスコ関係でいらっしゃいます。ユネスコスクール、ユネスコ協会、ユネスコ世界ジオパーク、ユネスコエコパーク、様々な活動をされていらっしゃるステークホルダーを横につないでいくということを主な目的とした事業でございます。
 また、2つ目、SDGs達成の担い手育成推進事業、こちらは特に教育面でのESDを後押しするということでございます。特に国公私立大学であるとか、あるいは教育委員会を中心に、カリキュラム開発であるとか、あるいは先生方の指導法の開発、こういったものをターゲットにした事業として行ってございます。
 最後の3つ目が、ユネスコ「世界の記憶」に関する国内推進体制の構築ということでございます。世界遺産等と比べますと、世界の記憶、こちらもユネスコの事業でございますけれども、なかなか認知度が低いということで、この周知であるとか、また登録に向けた研修等を行っているところでございます。
 こちらの資料については、以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、続きまして、項目の2、専門小委員会からの報告について。教育、科学、文化・コミュニケーションの順で、各専門小委員長から御報告をお願いします。
 まず初めに、教育小委員会委員長の吉田先生、お願いいたします。
【吉田(和)委員】  昨年11月15日に開催されました、第149回の教育小委員会まで、委員長を務めていただいた杉村前委員長の後任として、今年2月20日に開催されました第150回の委員会で委員長に就任しました、吉田和浩です。よろしくお願いします。
 149回、150回の委員会について、併せて御報告させていただきます。まず、昨年11月の第149回の教育小委員会では、さきに事務局からも御報告がありましたが、国連事務総長の主催によって、昨年9月に国連本部で国連教育変革サミット、TESが開催されました。ここで、岸田総理が教育小委員会での議論を踏まえてという形でステートメントをビデオメッセージで発表いただきました。
 特に人への投資を中核とした新しい資本主義に基づいて、教育変革や持続可能な開発のための教育、ESDを引き続き全力で推進するというふうに表明いただきました。10月に開催された第215回ユネスコ執行委員会の結果、特に先ほどの国連教育変革サミット、TESのフォローアップをしていくということ、そして、ユネスコスクールに関する状況、これらについて事務局より報告を受けました。
 また、前回の9月の国内委員会の総会でも議論されました、これからの時代におけるユネスコ活動の推進、そして、今後のユネスコの教育分野の活動に大きな影響を与える、「国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告」、1974年勧告の改定案について、御議論いただきました。
 2月に開催されました第150回教育小委員会では、教育分野における主なユネスコ活動や、ユネスコスクールに係る最近の動きについて、事務局より説明いただくとともに、これからの時代におけるユネスコ活動の推進について、運営小委員会においてまとめられました論点整理を基に御議論いただきました。
 例えばですが、ウクライナ、アフガニスタン、ミャンマーなどの現状に鑑みましても、平和の大切さを考える重要な好機になっているのではないか。そして、特にそういう際にも、教育の役割は重要ではないかということ。ユネスコ活動の理解促進が必要であるその一方で、例えばESDの理念について学校関係者にも十分理解が得られていない面もあるのではないか。そのため、教員や教育委員会関係者に向けました研修の機会を活用したり、ユネスコ協会、ユネスコ未来共創プラットフォーム事業を通じて発信する、国内向けのみならず海外にも発信する、こういうことを検討してはどうかということ。
 地域の関係者との連携を進めていくためには、既存のPTA、NPO等のネットワークを用いるのみならず、教育委員会同士の横のつながりを活用していってはどうかということ。また、近年の国際会議等において、先ほど山口委員からのお話にもありました、ユースの存在感というのは非常に顕著になっています。我が国においても、ユースの国際的な議論の場への参画を促進するための裾野を拡大していく、また、そういうものを支援していくことの必要性、こういったことについての御意見を頂きました。
 教育小委員会からの報告は以上です。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、科学小委員会、沖委員長から報告をお願いいたします。
【沖委員】  科学小委員会委員長の沖と申します。先週、2月28日にオンラインにて開催されました第7回科学小委員会におきまして、委員長に選任されました。どうぞ皆様、よろしくお願い申し上げます。
 私から、同委員会について御報告申し上げます。今回の会合では、最近の科学分野の動きに加えまして、これからの時代におけるユネスコ活動の推進について議論いたしました。最近の科学分野の動きといたしまして、まず文部科学省科学技術・学術政策局の大土井参事官より、科学分野における国際協力の概況について御説明いただきました。
 これに続き、ユネスコ日本政府代表部の當間参事官より、科学分野における主なユネスコ活動の現状と課題について御説明いただきました。また、国連海洋科学の10年国内委員会や、水災害・リスクマネジメント国際センターの取組、さらには地域のユネスコ協会における科学関係の取組など、国際的な動きから地域における活動など、幅広い活動の報告と、それに関する質疑応答が行われました。
 次の議題では、これからの時代におけるユネスコ活動の推進、次の議題とも関わっていますが、科学分野の観点から多くの御意見、御提案をいただきました。主なものといたしましては、国際社会における日本人のプレゼンスの向上について、若手・中堅研究者の中でセカンドキャリアとしてのオプションは考えられるのではないか。そのためには、ユネスコの中でどのような科学事業が行われているか、どのような業務があるのかの情報提供や、ユネスコ事務局への派遣などを通じて、博士号の取得による専門的知識の習得及び国際的に活躍する人材の育成を図ることで、理系離れも止まるのではないかという御提案がございました。もちろん、科学は理系に限るわけではございません。
 また、海洋、水、生態系のプロジェクトがユネスコ科学分野ではあるわけですが、分野間の連携の強化の必要性と、総合力としての科学技術外交を日本の強みとして考えられるのではないかという御意見もございました。
 そのほか、先端の科学技術の研究成果を一般市民や学生たちに伝えることで、科学の面白さに気づき、科学に関心を持ってもらうことができるのでないか。その際に、地域のユネスコ協会の方々がインタープリターとして活躍できるのではないかという御提案もございました。
 また、ユネスコ登録サイトとユネスコチェアとの連携を一層強化する等、地域の取組の活性化を通じまして、これら地域での取組が若者ユースのユネスコ活動の入り口として広く機能し、結果、一部の国際的な活動に慣れた方のみがユネスコ活動に参加するのではなくて、幅広いユースの方々、若者の参画が促されるのではないかといった御意見がございました。
 科学小委員会の委員は、科学分野における国際的にも先進的な活躍をされている委員と、地域においてユネスコ活動を実践されている委員で構成されております。このため、国際的なトレンドを国内に反映するとともに、我が国の様々な地域での取組を世界に発信することもできます。そのため、グローバルとローカルの取組の推進や、分野間の連携強化などのさらなる充実に向けた議論を今後行っていきたいと考えております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、続きまして、文化・コミュニケーション小委員会、井上委員長から報告をお願いいたします。
【井上委員】  2月27日の第7回文化・コミュニケーション小委員会におきまして、羽田先生の後、委員長に選任されました井上と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 当委員会からは、4点を御報告させていただきたいと思います。まず、1点目でございますが、世界の記憶についてです。文部科学省から、制度概要や現在のユネスコにおける審査状況などについて報告がありました。委員からは、地域登録の申請件数を増加させる必要があること、海外で災害による記録物の危機が生じた場合にも、日本のノウハウを生かし得ることなどの御意見をいただきました。
 2点目は、文化庁ユネスコ関係事業についてでございます。これにつきましては、先ほども御報告がございましたけれども、佐渡の金山を世界遺産に推薦する件について、風流踊の無形文化遺産代表一覧表への登録が決定した件について、文化庁から報告がありました。
 次に、3点目でございますが、3点目は、ユネスコ創造都市ネットワークについてでございます。この議題では、文部科学省からの現状説明の後、昨年、ユネスコ食文化創造都市に認定されました臼杵市のほうから、ユネスコ創造都市の取組と、学校教育との連携について御発表をいただきました。委員からは、地域ユネスコ協会と行政との円滑な情報交換が望まれること、創造都市の取組の認知度を向上させる必要があること、文学分野における創造都市がなく、同分野における後押しが望ましいこと、こういった意見を頂きました。ユネスコ創造都市の活性化やネットワークの推進について、引き続き審議を進めてまいります。
 そして、最後、4点目でございますが、文化・コミュニケーション分野における、これからの時代におけるユネスコ活動の推進についてでございます。特に若者のユネスコ活動への参画の観点から、奈良教育大学教授の中澤静男先生に、奈良における世界遺産教育等について御発表いただきました。その後、文部科学省から、11月に運営小委員会で決定された論点整理の説明がありました。
 委員からは、中澤先生の説明をきっかけに、ESDがSDGsを達成させるための教育と理解できたこと、ユネスコの理念の再認識と役割の再検討の観点では、ロシアによるウクライナ侵略も踏まえて、平和な世界を創るにはどうしたらよいかを考え直す必要があること。ユネスコ活動においては、グローバルな価値をローカルに翻訳し、それぞれの場所での実施を通じて、グローバルな価値を持続させることが重要であることなど、幅広い御意見を頂きました。
 当小委員会では、引き続き取組を着実に推進するとともに、ユネスコの理念の実現を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。御報告いただいた委員長の皆様、ありがとうございました。
 ただいまの小委員会からの御報告のうち、これからの時代におけるユネスコ活動の推進等に関する内容は、この後の議題4で議論することといたしますので、御承知おきいただきますようお願いします。
 そのほか、令和5年度予算(案)及び各専門小委員会の御報告に対しては、御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 松浦顧問、お願いいたします。
【松浦特別顧問】  恐縮ですけど、また発言させていただきます。いろいろ作業部会の具体的な活動の報告をありがとうございました。1つだけ、ユネスコエコパークとユネスコ世界ジオパークについてコメントを申し上げたいと思います。ここに書いてある、認知度が低いので、特に若い人たちに積極的に参加してもらうというのは、基本的には大賛成です。
 さらに申し上げれば、エコパークのほうが、残念ながらまだ日本国内ではあまり広がっていなくて、私の記憶では、ユネスコに認定されたエコパークは9か10だったと思います。他方、ジオパークについては、これは世界ジオパークという言葉を使っておられますけども、これは、ユネスコが認定したジオパークで、これも私の記憶では9ぐらいだったと思いますが、このジオパークは日本が独自のジオパークというのを今作って、ユネスコの認定したのと日本のとを合わせると、今日本全体で46にもなっているんです。ですから、エコパークとジオパーク、両方同時に取り上げるのは非常にいいんですが、ジオパークはかなり日本に浸透しているので、両方合わせて今、認知度が低いということが書いてありますけども、ジオパークに関しては、日本独自のジオパークを作って、それが私の記憶では、今全体で46で、ユネスコの認定したのが9ですから、37になりますか。
 いずれにしろ、ジオパークがかなり人気があるので、私もうれしく思っていますので、必ずしも両方同じレベルで扱うのではなくて、ジオパークのほうが認知度が高いし、かつ、日本独自のシステムがそれなりに機能しているということは、是非皆さん、認識していただきたいと。
 ただ、プロとして、若い人たちに対してエコパークとジオパーク、両方取り上げるというのは非常にいいことで、御承知のように、エコパークは生物の多様性を中心にして、ジオパークのほうは、地質学的に非常に重要な要素が含まれているということで、これは両方とも、非常に重要な点なので、これを両方併せて取り上げる。それを、しかも若い人たちに対して積極的に参加してもらう、大賛成です。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。若い世代の参加を積極的に図っていきたいと思います。
 それでは、続きまして、渡邉綱男委員、お願いいたします。
【渡邉委員】  ありがとうございます。松浦特別顧問、エコパークとジオパークの御意見、本当にありがとうございます。御意見を受けて取組がさらに発展していけるようにしたいというふうに思います。
 私、MABの計画分科会に所属をしています渡邉綱男です。MABの関係で、生物多様性、生態系でとても大きな動きがありましたので、1つ御紹介したいと思います。昨年の12月に、モントリオールで生物多様性条約のCOP15が開かれまして、新しい生物多様性の世界目標、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」という名前になりました。それが採択されました。
 これは、日本の愛知、名古屋で2010年に合意された愛知目標以来、12年ぶりの新しい世界目標になります。愛知目標のときは、10年間のミッションとして、生物多様性の悪化をまずは止めるというのがミッションでした。今回の新しい世界目標では、生物多様性の悪化を止めるだけではなくて、その流れを逆転させて、回復の軌道に乗せていく。つまり、今より自然をプラスにしていくというミッションが合意をされました。これが広くネイチャーポジティブというふうに呼ばれているもので、これからの生態系、生物多様性の取組のキーワードになっていくものというふうに思っています。
 そして、今お話があったエコパークとジオパーク、ユネスコの国際認証地域というのは、こういった世界目標を地域で実践していくモデルを作っていく、モデルを示していくという役割を、これからますます果たしていくことがとても大事になってくるのではないかというふうに思っています。
 それから、ユースの参画という点でも、COP15も日本のユースの方が積極的に参加をして、意見発信もされていました。このエコパーク、ジオパークというのは、グローバルな動きとローカルな動きをつなぐプラットフォームのような存在ですので、ユースの人たちが活動し、参画をする1つの場としてとても有意義なのではないかと思っています。そういったユースの参加の場も広げていく取組も是非これから力を入れて進めていくことができればと考えています。
 以上です。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。御意見、御質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 御意見がなければ、それでは、議題3のうち項目(3)令和5年度次世代ユネスコ国内委員会について及び項目(4)次世代ユネスコ国内委員会からの報告について、事務局及び次世代ユネスコ国内委員会のリーダーから報告をいただきたいと思います。御意見、御質問等については、報告の後、まとめてお願いさせていただくこととします。
 まずは、事務局から報告をお願いいたします。
【白井国際戦略企画官】  失礼いたします。資料2-2を御覧ください。令和5年度次世代ユネスコ国内委員会についてというタイトルの資料でございます。こちらについては、先ほどからの御議論でもたくさん出ておりますけれども、ユースの方々、若手の方々の参画を後押しするためにということで、一昨年から、次世代ユネスコ国内委員会という名前で、若手の方々を公募して、活動していただいているものでございます。
 これについて、昨年11月29日の運営小委員会の下に、正式にこの次世代ユネスコ国内委員会を設置するということで、設置要綱が決定されたということがございます。これを受けまして、現在活動されていらっしゃる委員の方々についても、来年度以降、この正式な委員会のメンバーになっていくということになってございます。
 ただ、その一方で、若手の方々でいらっしゃいますので、例えば進路の変更であったり、お仕事の状況だったり、様々な御都合で、現在いらっしゃる20人の方のうち、7人の方については、継続が難しいということでございましたので、追加で今回募集を行ったということでございます。その結果の御報告になります。
 今回、募集するに当たりましては、運営小委員会のほうでも御議論いただきまして、特にユネスコ活動を行っている団体としまして、下のほうにちょっと小さな字で大変恐縮ですけれども、ユネスコスクールでありますとか、ユニツイン/ユネスコチェア等、ユネスコ関係の授業を行っていただいている大学、あるいは、ユネスコの公式NGOの団体であるとか、そういったところから御推薦をいただくということで、お願いをしてございます。
 実質的な数としましては、例えばユネスコエコパーク、ユネスコ世界ジオパークに関わっている自治体としても、それぞれ数十の自治体になってくるということでございますので、団体数としては数百の団体ということになってまいりますけれども、そこから御推薦を頂きました。
 結果的に、今回募集の7名対しまして、7人の方を選任したということになりました。最終的な構成としては、この資料の中段にございますように、大学生の方がやはり中心になってございますけれども、年齢層としましては、10代が4名、20代が16名、性別としては、男性9名、女性11名という形で、新しい20人の方を選任して、来年度以降、改めてこの次世代ユネスコ国内委員会としてスタートしていきたいというふうに考えてございます。  こちらからの報告は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、次に次世代ユネスコ国内委員会の小林さん、長澤さんから、昨年度の提言におけるアクションプランの取組結果について、報告をお願いいたします。
【小林さん】  ありがとうございます。御紹介にあずかりました、次世代ユネスコ国内委員会リーダーの小林真緒子です。同じく、リーダーをしております長澤がオンラインにて参加しております。
 先ほど、お話にありましたように、昨2021年10月に次世代ユネスコ国内委員会が結成されまして、ユネスコの魅力、そしてその魅力を同世代に広げていくためのアクションプランを議論し、昨年3月の総会にて、分野ごとアクションプランを提言させていただいておりました。
 その後、2022年の4月から、実際に教育、科学、文化、プラットフォーム、4つのワーキンググループごとに提言したアクションプランを実行してまいりましたので、そちらをワーキンググループごとに御報告させていただきます。
 初めに、教育ワーキンググループです。教育ワーキンググループでは、現在の日本の教育現場において、他者との対話とか、議論をする機会が少ないのではないかというユース視点の課題意識に基づきまして、次世代を担うユースが他者との対話におけるアプローチ、そして手段を学ぶことのできる対話型ワークショップを、ESDの一環として実施するということを提言させていただいておりました。
 そして、実際に行ったイベントが2つあります。1つ目の「対話型・平和構築ワークショップ~多文化共生社会の実現のために~」では、外国籍の方の多い東広島市を舞台にしまして、多様性がより消失しやすい事例として、災害現場、特に避難所を想定しまして、ロールプレイ形式で、それぞれ参加者が役割を演じながら、意見やニーズが対立する中での避難所のルール作りをするというようなワークショップを実施しました。
 2つ目のイベント、「Envisioning the Future 未来を描く舞台芸術~多文化共生における舞台芸術の可能性~」は、2月の中旬に行われましたユネスコウィークにて開催させていただきまして、地域社会において市民参加型の舞台芸術を通してつながりを醸成する取組を行っていらっしゃる方をお招きしまして、対談イベント形式で開催させていただきました。
 両イベントともに、異なる意見を持つ他者との対話の機会とか、身近な社会的、文化的な多様性に気づく機会を創出することを目的として設定いたしました。また、第2期ESD国内実施計画で挙げられている、多様なステークホルダーを巻き込むことの重要性、そしてユースのエンパワーメントと参加の奨励、地域レベルでの活動促進、またESDが目指す持続可能なまちづくりの実現を意識しまして、企画、実行に努めてまいりました。
 今年度の課題といたしましては、やはり、ユネスコに関わる既存のネットワーク以外へのアプローチが難しかった点が挙げられます。今後は、上記取組の経験を生かしまして、ユネスコに関わるネットワークをより拡大することを意識しながら、ESDの促進をはじめとしたユネスコ活動へのユース参画に尽力していきたいと考えております。
 次に、科学ワーキンググループの活動の紹介です。科学ワーキンググループでは、ユース世代におけるユネスコエコパーク及びユネスコ世界ジオパークの認知度が低いのではないかという課題の下、各登録地域でのユースアンバサダーの任命、そして各登録地域におけるユースの学術研究フィールドワークの推進ということで、2つ、アクションプランとして提言させていただいておりました。
 ですが、この提言をさせていただいたときには、私たち構成員自身がエコパークやジオパークに足を運べていなかったということがありましたので、まずは現状を把握させていただくために、エコパークやジオパークの担当職員の方と、ユースの参加状況等について意見交換をさせていただきました。
 その結果、やはり初等中等教育段階における環境教育を通じてのエコパーク、ジオパークに対する興味関心を養う取組が進められている一方で、大学進学ですとかというライフステージの変化により、地域との関係が薄れてしまう若者が多いという課題が明らかになりました。
 この点を踏まえまして、まずは次世代構成員自身がSNSやウェブサイトを通じて、若者が地域の魅力に気づき、そして、エコパーク、ジオパークに関心を持ち続けられるような情報発信をすることで、より効果的に認知度を向上できるのではないかというところで、アクションプランの見直しを図りました。
 写真を掲載させていただいているんですけれども、対面での調査においては、大野希一先生に機会を頂きまして、第12回ジオパーク全国大会に参加させていただいたりですとか、あとは糸魚川ユネスコ世界ジオパークへ訪問させていただきまして、ユース参画の状況や課題について議論させていただきました。
 今後は、今年度構築したエコパークやジオパークの関係者の皆様とのつながりを生かしまして、科学分野をはじめとしたユース世代のコミュニティの構築に尽力していきたいと思っております。
 では、次、文化ワーキンググループの活動紹介から、長澤にお願いしたいと思います。
【長澤さん】  皆さん、こんにちは、次世代ユネスコ国内委員会の長澤パティ明寿です。ここから、私のほうで担当させていただきます。
 まず、文化ワーキンググループの報告になります。文化ワーキンググループでは、創造都市事業と、ほかのユネスコ事業、特にユネスコスクールとの連携促進、そしてユース世代を対象としたユネスコ創造都市ユースサミットの開催という2点について、アクションプランを設定し、このユネスコ活動のシナジーを発揮させる、そしてUCCN事業の知名度向上やユース参画を促進することとしました。
 また、既に幾つかのUCCNの国内加盟都市においては、ユース世代が主体的、積極的に関わる事業が展開されているということを踏まえて、そのような先進的な事例を共有する場を積極的に作っていくということを目指して、活動してきた次第です。
 ただ、このいずれのアクションプランも実現をするためには、やはりまずは各都市の創造都市関係者や、事業に参加するユース世代とのネットワークを構築していく必要があるということで、今年度は、まず国内加盟都市である旭川市、山形市、神戸市への訪問及び関係者との意見交換を行うとともに、国内加盟10都市におけるユース支援事業の現状や、ユース世代の参画に関する情報収集を目的として、アンケート調査を実施したところであります。
 このアンケート調査につきましては、全国内加盟都市から御回答を頂きまして、特にこの全ての国内加盟都市において、UCCN事業の重要なアクターとして、ユースを重要視していること、そして、一部の都市においては、ユースが主体的、積極的に関わる先進事例を見ることができました。この各都市において、大学、高校の授業、それから部活、サークル、ゼミといった様々な形態で、ユース世代の個人、あるいは団体がユネスコ創造都市事業と関わりを持っているということを把握することができたと思っております。
 他方で、ほかのユネスコ事業との連携であったり、ユネスコスクールとの連携というのは、まだ一部の都市に限られたものであって、これがなかなかまだ広がっていないという状況にあるということは、改めて認識した次第です。
 これらの取組により、ユース支援事業に関する現状を知り、関係都市とのネットワークを広げることができました。ただし、アクションプランの実現や各都市のユースとの直接的かつ緊密なネットワーク構築には至らなかったということは、次年度以降の課題であるというふうに認識しています。
 アクションプランの2つに関して、今後どのような形で活動を行っていくかということは、また次年度の計画を策定する際に再度検討することとなると思いますけれども、引き続き、多くの国内外の加盟都市やユースとつながり、UCCN事業の潜在的な可能性を引き出す活動を行っていきたいというふうに考えている次第です。
 続いて8ページになります。プラットフォームワーキンググループの御報告をさせていただきます。プラットフォームワーキンググループでは、まずユースによるユネスコ関連組織とユースからのコンタクトを歓迎する団体のリストを作るということ。そして、ユネスコ未来共創プラットフォーム上にユース専用のページでありますユースページを設置すること。
そして、次世代ユネスコユースフォーラムを実施し、全国で様々な活動を行うユースをつなぐということで、アクションプランの実践を行ってまいりました。
 今般、ユネスコウィークということで、ACCUさんが主催になって活動が行われたということもありまして、非常に、おおむねこの3点につき十分な活動ができたのかなというふうに認識をしております。
 具体的に申し上げますと、まずユネスコ未来共創プラットフォーム事務局や、その事務局の下に設置をされております、「ユネスコ活動プラットフォーム共創ワーキンググループ」会議への参画を行い、我々の意見を提案するとともに、様々、意見交換をさせていただきました。
 この新規ポータルサイトにおいて、団体リスト作成及びユースページの設置について、今、検討が進んでいるところでありますので、アクションプランの実現に大きく近づいているというふうに認識しています。
 また、ユネスコウィークにおきましては、我々も3つほどのワークショップを実施し、また国際シンポジウムにおいても、先ほどの小林とともに私も登壇をさせていただいたところであります。
 このユネスコウィークに関して、ワークショップ実施を通じて、ユネスコ活動に取り組む関係市との交流を図ることができたことは、今後につながる非常に有意義な活動であったというふうに認識をしております。ただ、参加者間の交流や議論の活性化、あるいはイベント後のネットワークの広がりということに関しましては、全てオンライン形式であったということもあって、なかなか限定的だったということも、課題としては認識しています。
 来年度以降、この対面形式のイベントも活用して、議論の活性化、あるいは全国のユネスコ活動に関わるユース世代間の横のつながりを強化していきたいというふうに思っております。
 では、最後に、その他の活動報告ということで、2点ほど共有させていただきます。先ほど来、教育に関する国際会議におけるユースの発信ということが度々論点となっておりましたけれども、その点に係る活動かと認識しております。
 まず、1つ目でございますが、アジア太平洋地域教育大臣会合への参加ということで、前リーダーでありました細谷が、次世代ユネスコ国内委員会を代表してアジア太平洋地域教育大臣会合に参加をしたところであります。ここでアジア諸国のユース2名とともに、様々な教育に係る課題についてユースの視点からステートメントを発表いたしました。
 また、先ほどから議論がありました国連教育変革サミットについても、次世代委員会として関わりを持つことができたと思っております。具体的に申し上げますと、この教育変革サミットに向けたステートメントの作成において、様々なステークホルダーを巻き込むということが重要視されていたということで、次世代委員会の教育ワーキンググループにおいて、国連から示されたアクショントラックに基づき、ユースの意見を聴取されたということで、我々の意見を述べさせていただき、それが結果的に総理ステートメントに反映されているという状況もあります。
 これまで様々なワーキンググループにおける活動について皆様に御報告を申し上げましたけれども、また、次年度以降、新しいメンバーを加えて、次世代ユネスコ国内委員会設置要綱に基づき、来年度の活動が継続されるということになっております。今後、本年の活動を生かし、世界中の多くのユースとつながり、また、多様な世代と協働しながら、引き続き積極的に活動してまいりたいと思っておりますので、国内委員会の先生方、そして事務局の皆様におかれましては、引き続きの御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げ、私と小林からの次世代委員会からの御報告とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。次世代委員会の皆様、ありがとうございました。
 次世代委員会は、一昨年の10月に設置、組織され、約1年半、提言の作成やアクションプランの実行に尽力いただきました。次世代の取組は、国内委員会にとって初めての試みであり、手探りの部分もあったかと思いますが、長澤さん、小林さんはじめ、構成員の方々の努力に心から感謝申し上げたいと思います。
 昨年開催された国連教育変革サミットしかり、今、様々な国際会議において、若者の意見に耳を傾け、未来に向けた政策を打ち出す動きが非常に活発になっております。次世代委員会の皆様には、ぜひ設置紙にもあるとおり、今年度築いたネットワークを生かし、政策提言と発信力強化の具現化に、引き続き主体的に取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、令和5年度次世代委員会について及び次世代委員会の取組結果に対して、御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 どうぞ。
【芳賀委員】  東北大学の芳賀と申します。ありがとうございます。特に、次世代委員会の皆様、大変すばらしい御活動であることに感銘いたしました。
 これからのことですけれども、その次世代のユースというときに、どうも第三次産業の、いわゆる高学歴の大学生の方々が中心になっているようですが、できたら第二次産業、特に地に足のついた第一次産業、農業、林業、そして特に世界とつながる海で働く漁業のユースの方々の参加も考えていただきたいと思います。
 教育というのも、我々大学の高等教育機関における教育だけでなく、生涯教育として捉えてほしい。
それから、文化というときには、何か我々はいわゆる歴史遺産とか、アートとか、古典文学とかを考えてしまいますが、言うまでもなく、米とか、サクランボとか、イチゴとかの、栽培種も文化です、文化財です。和牛も文化財です。言うまでもなく、料理も文化財です。
 ですから、もっと土や樹の匂い、潮の匂い、そして食べ物など、我々の肉体を直接支えてくれ、五感に直接訴える、そういったワーカーの人たちを3人ほど入れて、農業、林業、漁業、それから、SDGsと発酵文化に関わる酒や味噌を作る人なんていう方々をも入れてほしいと思います。これは、大学に関わる我々ではちょっと把握できないので、例えば議員の方々などが日本からいろいろと考えて、入れてくだされば有り難いと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思います。実は苦労もございまして、そういう方々に、国内委員会のほうからなかなかリーチできない部分がございます。というところは、前回は、まず自分で自主的に立候補していただいた方々から選んでいったのですが、今年度は、各地方の団体とか、それから、ユネスコ世界ジオパーク等の自治体等から御推薦をいただくということで、何名か採用になったように思います。
 事務局から、ちょっと補足をお願いできますか。
【白井国際戦略企画官】  今回新しく採用されました7名の方でいらっしゃいますけれども、例えばジオパークの自治体からの御推薦であったりとか、あるいはユネスコ協会の御推薦であったりとか、いろいろ方にお話をいただいています。ほかにも、ユネスコチェアの大学の大学院に所属していらっしゃる方であったりとか、多様な方がいらっしゃいます。
 今、芳賀委員のほうからお話がありました、いわゆる第一次産業に直接携わっている方については、現メンバーにはいらっしゃらないようですけれども、例えば、ジオパークなどで、ジオパークのアンバサダー的に、正に地に足のついた活動、ジオパークですので、かなり遠隔の地にあるわけなんですけれども、そういったところで、過疎の問題を抱えながらも、ジオパークを通じて地域おこしを図ったりとか、そういった、正に地に足のついた問題意識を抱えている方は、御参加いただいたのかなというふうに存じております。
【濵口会長】  いかがでしょうか。
【芳賀委員】  ありがとうございます。
【濵口会長】  それでは、吉田先生、お願いいたします。
【吉田(和)委員】  教育小委員会に属しております、吉田です。小林さん、長澤さん、本当に御発表から垣間見られる、この僅か1年ちょっとの間での活動としては、本当にすばらしいものだと思います。むしろ、母体である我々、国内委員会全体のほうこそ、もう少し気を引き締めて取りかからなければいけないというふうに思わせていただくぐらいの積極的な取組だったと思います。
 我々、より年配の大人のほうとして、いろいろなことをああしろ、こうしろということは言うわけですけども、実は我々の総会のほうでこれまで議論していたような、非常に問題が多様化してきている昨今、従来の教育の枠組みを超えたいろいろな人たちとのやり取りをしなければいけない、そういうことを若者という立場を非常に上手に使って、もう既に着々と実施されている、そういうことが読み取れるというふうに、むしろ我々も解釈をして、そして、どういうふうにしたら、そういうことが実践できていくのかというところを、バリアを突破していくところ、具体的にこういうふうにしていったというところを、我々も見習うようなところがあるかと。
 これからますますそういうところが出てくるかと思いますので、積極的にそういう部分について、大枠の総会のほうにも提言して、あるいは教えていただく、そういうところをどんどんやっていただきたいと思いました。本当にすばらしい御発表でした。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。本当に、長澤さん、小林さん、もっと積極的に、年長の人たちはもうちょっと考えなさいと、御指摘いただきたいと思いますね。ユネスコの小委員会の中でもいろいろ議論をしておるんですが、日本の特徴というのは、いわゆるサイロソサエティーというか、タコつぼ社会で縦割り組織になっていて、これは科学技術の面で、我々はずっと議論しておるんですけれども、高度成長期には効率的に目的を遂げるためには非常に効果のある組織だったんですが、今それがハンディキャップになって、横が全然見えない、そういう社会になってしまっていて。
 この組織の話、国内委員会も若干縦割り的な要素が強くて、横の連携をどう図るかというのが非常に実は悩ましい課題だなと、私も思っています。それを、実はユースの方々はふわっと超えていただいている。これをもう少しチェアの全体に広げるような形にできないかなと思っていますので、もっとしっかり言いたいことを言ってくださいとお願いしたいと思います。
 ほか、御意見ございませんでしょうか。お手が挙がっていますが。
 山口先生、お願いします。
【山口委員】  すみません、2度目の発言になります。ありがとうございます。2度目ですので、手短に発言させていただきたいと思います。
 次世代を代表する御発表、どうもありがとうございました。大変、そのポジティブなエナジーをいただいたと思います。
 それで、芳賀委員の御意見にも大変共感するところがございまして、今後、次世代の多様性をつくっていくときに、芳賀委員のおっしゃっていた横のつながり、異なる分野の代表が必要なのと同時に、私がちょっと今まで経験してきた国際会議に参加したことから言えるのは、縦のつながりも必要だと思うんです。
 ですので、インタージェネレーショナルということで、今、大学生だけではなく、前回のエジプトのCOP27に参加したときに、隣に座っていたフューチャーラボ、我々の将来を考えていこうという、次世代のタイの代表が13歳の中学生だったんです。ですので、我々、次世代といったときに、今後やはり大学生を中心としながらも、高校生、中学生まで裾野を広げていかなければいけないと。
 そのときに、今、代表になっていただいている方々には、代表者として、次の育成をどうしていくかというのも一緒に考えていっていただきたいなと思っております。これは、事務局への質問でもあるんですけども、この次世代委員会を今後長期的に、もう少しレベルを交えたような形で、インタージェネレーショナルで情報共有や活動の共有をしていくような方向に導いてきていければよろしいかなというのが、私の経験からの意見として述べさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。今の点に関して、長澤さん、小林さん、何か御意見ありますか。
【小林さん】  山口先生、ありがとうございます。そうですね、縦のつながりというところで、私も大学生として、委員会に入っているんですけれども、現時点では社会人の方も入っております。大学生として活動する中で、同世代とは関わるんですけれども、社会人の方とはなかなか交流がない中で、この次世代ユネスコ国内委員会ではそういう社会でも活躍されていらっしゃる皆様と関われて、私もすごく学びがあったなというふうに感じております。
 その点におきますと、やはり私たち自身でも、昨年度の時点で高校3年生のメンバーが3名ほどいたんですけれども、それもとても意義のあることだと思いましたし、私たちとしては、高校生でも、中学生でも、一緒に活動できたら、とてもうれしいなというふうに思っております。
【濵口会長】  この点、ユネスコスクールで発表していただくと、とても刺激が多いと思います。
【小林さん】  そうですね、是非どこかのネスコスクールでと一緒に、コラボして活動できれば、私たちもうれしいです。
 細田委員、お願いします。
【細田委員】  次世代の皆様方の取組、大変すばらしい取組で参考になりました。そして、次世代というふうに申しますと、今このメンバーの方々が大学生、それから、もう少し上の方々が中心となって活動をしてくださっているんですが、私、さいたま市の教育長をしております。
 昨年の11月22日、23日と、2日間、さいたまサステーナブル都市サミットという国際会議を自治体が行いまして、そのときのプレイベントで、さいたま市の小・中・高等学校、初等中等教育学校の段階の子供たちが、さいたまSDGs子どもフォーラムというのを実施いたしました。本市は、ユネスコスクールが小学校1校、中学校1校、2校ございまして、その2校のユネスコスクールが中心となりまして、本市、168校、10万5,000人の子供たちが市立の学校で学んでいるんですが、その10万5,000人を巻き込みまして、子供たちがまさにThink Globally、Act Locallyで、身近な問題について自分たち一人一人が何ができるかということを実践し、そして、それをこのフォーラムで発表いたしました。
 大変評判がよくて、こういった持続可能な未来社会という、未来のことについて考えるときに、やはり何といっても子供たちがどんなことを考えて、そして、どんな行動をするかということが、大人に対して新しい気づきをたくさん与えるということを実感いたしまして、この国際会議が非常に盛り上がったという経験がございます。
 ですので、是非次世代のこの取組に、初等中等教育段階の子供たちも積極的に参加できるような、そんな仕組みにしていただけると、さらにこの活動が広がっていくというふうに思いますし、まさにユネスコスクールの活発な取組も、もう一度、さらに喚起できるのではないかと、そんなふうに思います。
【濵口会長】  ありがとうございます。ユネスコスクールは、国内委員会としては、非常に大きな宝物だと思います。世界と比較しても、日本が一番活発に動いていますし、たくさんの若い、子供たちが意識的に参加している、すばらしい組織だなと、常々感じています。
 今そういう、実は階層ができ始めてきたところだと思います、ユネスコスクール、それからユース。これ、実は私は思いますのは、日本のサッカーが何で強くなったかというと、年代に応じたいろんなバリエーションの育成システムが出来上がり、最後が3段階に分けて、プロが切磋琢磨するという構造があります。
 やっぱり、このユネスコの活動、心の中に平和のとりでをというのが、自分の心の中だけで念じているのではなくて、自分の今置かれた環境の中で、どうやってそれを具体化していくのか、どうやったらいいのかというのを考えるような、そういう場をもっとたくさんつくっていくと思っております。御指摘のとおりですので、何とかユースの方々と連携をとれるような柔軟な活動をお願いしたいと思います。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ、川村委員。
【川村委員】  昨年12月に委員を拝命しました、川村でございます。以前国連大使をしていたときに、国連の一機関であるユネスコの関係の仕事もさせていただきました。先ほどユースの活躍、そして小中学生にも広げた活動を奨励するというお話がありました。私もそれに大賛成であります。この関係で一つ、勇気づけられる経験を以前いたしましたので御紹介したいと思います。
 国連で大使をしておりますと、日本のことを大変誇らしく思う瞬間が何度かあります。そのうちの一つが、日本のSDGs教育が大変優れているということでありそれが、先ほど御指摘がありました、小学生のレベルにも広がっているということです。この優れた日本の状況を世界、国連の中で紹介する機会が何度かございました。
 実は子供たちのSDGs実践グループの代表選手が、各県において「SDGs大使」を任命されて、ニューヨークの国連本部に来て日々の活動を報告するわけです。世界にSDGsの実行を報告できる小学生大使を出せるほどSDGsの教育が充実している国は、国連加盟193カ国の中で、日本以外にはほとんどないと思います。日本としては、SDGsに官も民もオールジャパンで取り組んでいることを示すとともに、このような「小学生大使」が国連の場で堂々と発信をする、これは一人一人の小学生にとってかけがえのない貴重な体験につながると思います。
 この全国の小学生の皆さんの経験は、恐らく10年後、20年後に結実をすることが期待できます。すなわちそれは、日本の国際社会でのプレゼンスの向上につながりますし、またユネスコという教育、文化、科学での国際貢献を行う人材の増加につながるかもしれないなどと想像して、非常に明るい気分になったのを覚えております。
 おっしゃった御提案は是非賛成をしたいと思っております。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。すごく元気づけられるお話をいただきました。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。お手が挙がっている。
 大野委員、お願いいたします。
【髙木委員】  ありがとうございます。富山ユネスコ協会の髙木と申します。次世代国内委員の皆さんの提言、4つとも非常に中身のあるもので、例えばですけども、この提言2のユネスコエコパーク及びユネスコ世界ジオパークへのユースの積極的な参画と。こういうことの、例えばこの学術研究フィールドワークの推進とあります。私、ユネスコ協会にいるんですけども、ユネスコ協会の会員自身がこのことをしっかり学ぶべきところかなと思いながら聞いておりました。
 つまり、先ほど連携ということがございましたけれども、共に活動する中で学びが得られるんじゃないかなというふうに思いました。4つとも、すばらしい提言かなと思っております。
 ユネスコスクールということも意見が出ましたけれども、例えば私どもの協会で世界寺子屋運動という書き損じはがきの運動をしているんですけれども、そのときにユースの皆さんが、子供たち、小学生、中学生の書き損じはがきのリーフレットを作るときに、大学生の皆さんがボランティアで参加してくれるんです。
 参加してくれるときに、ただアシストというよりは、子供たちがそのリーフレット作りを通してどういうふうな気づきがあるのかとか、どういうふうに自分たちで、ワークで話し合うのかといったことを観察してもらうようにしたんです。そうすると、なかなか、大学生の皆さんも、小学生、中学生が、自分が通ってきた道なんですけれども、こんなふうに物事を考えているのか、こういうふうに自分で世界に貢献していこうというふうに考えを深めていくのかということに気づいたと思いますので、是非、そういった観点からも、また取組をしていただければと思います。
【濵口会長】  髙木委員、ありがとうございました。よく言われるダイバーシティーとインクルージョンというのを、御指摘のとおりだなと思って、今聞いておりました。
 それでは、大野委員、お願いいたします。
【大野委員】  大野と申します。日本ジオパーク委員会で日本のジオパークの審査等に関わる傍ら、ジオパークの現場でも活動しております。まず、次世代委員の小林さん、本当にありがとうございました。今回、ジオパークのほうで、初めて全国大会の中でユースセッションというのを設置いたしまして、そこに次世代委員の皆様に御参加いただいたので、実施した側から見た成果の御報告をいたします。
 このユースセッションでは、全国5つの主に高等学校及び中学校から、約30人の人たちが集まって、白山手取川と呼ばれる石川県の白山市のジオパークを舞台に活動したんですけれども、その中で、まち歩きとディスカッションを通じて地域資源の価値を学び、それをどう持続的に生かすかという取組を行ったんです。そこに、次世代委員の4人の方々が関わっていただいて、非常に緊張していたり、なかなかコミュニケーションがうまくとれないところを上手にサポートしてくださいまして、参加した児童生徒たちのコミュニケーションを非常に円滑に進めていただいたと。
 実際にその会に参加してくださった先生が、またこういう会を持てたらいいねというコメントをいただいたりもしております。ですので、科学ワーキンググループの皆様が時間をかけて参加していただいた、このユースセッション、初めてということで、私自身も試行錯誤でやっていたんですけれども、非常にいいスタートが切れたように思っています。
 人材の育成のところは継続していかないといけませんので、また来年度以降、この活動を進めていきますので、引き続き御協力いただきたいと思っております。
 私からは以上です。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。よろしくお願いします。
 それでは、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木(昌)委員】  すみません、発言の機会をいただき、ありがとうございます。私は、民間ユネスコのほうを担当しております委員でございます。地域ユネスコが地域の学校と連携協働することで、児童生徒が世界レベルでものを考えて、地域レベルで実践活動を展開するということを、より広く提供することになると、我々は考えております。
 私たち、民間ユネスコ協会のほうでは、全国で280ほどありますが、その中で有志が集まりまして、2か月に1回、学校現場とどう関わっていきながら、ユネスコの理念を実践、展開すればいいかということを検討し、今試行しているところでございます。
 ただ、先ほど数名の委員の皆様方から、ユースの皆様の活動の中で縦型が必要ではないかという御発言をいただきましたが、私も大賛成です。その中で我々民間ユネスコが、学校教育が終わった後の受け皿として、いわゆる青壮年が是非地域のユネスコに入っていただいて、その活性化に我々と一緒になって邁進していっていただけたら有り難いかなと考えている次第です。
 民間ユネスコのほうでは、多くの知見を持たれた方がたくさんいらっしゃいますので、そういった方々と一緒になって取り組むことで、さらに国民的な広がりが持てるのではないかと考えている次第です。
 以上です。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、中澤委員、お願いいたします。
【中澤委員】  奈良教育大学の中澤です。どうぞよろしくお願いします。私の大学にはユネスコクラブというのがあり、12年前に4人で始めたユネスコクラブですが、今98名になっております。今、様々な活動をやっていますが、君たちは何でそんなに頑張っているんだと聞きましたところ、実際に児童生徒とふれあう機会があることが勉強になる、さらに学校とつながることで、先生方がどんなふうに声かけしているのかを、間近で見ることができることも勉強になるとのことでした。
 そして、もう一つは、単純に楽しいからとも言っています。そこで、次世代ユネスコ国内委員の方々は、どういう動機でそんなに頑張っておられるのでしょうか。本学の学生にも伝えたいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
【濵口会長】  そうですね。小林さん、いかがですか。
【小林さん】  ありがとうございます。まず、私のモチベーションというところなんですけれども、そもそもこの次世代ユネスコ国内委員会の公募が出たときに立候補させていただいた理由として、私の場合は大学時代から教育に携わっておりまして、ユネスコ活動というふうに認識してはいなかったんですけれども、中高生に対するSDGs教育というものを、一般社団法人のほうで活動しておりました。
 その中でSDGs教育というのが始まって、盛り上がってきたのがちょうど2020年あたりからではないかと思っています。私の高校時代は、またここにもかなり差はあると思いますけれども、まだSDGsという声を聞く機会はあまりなかったという中で、どういうふうにしたら中高生なり自分たちが、SDGsにつながる社会課題というものを自分事化して、アクションにつなげられるかというところにずっと取り組んでまいりました。
 それがESDに当てはまるということを知って、まずはここの委員会に入らせていただきました。私自身は、本当に先ほどお話にあったように、大学生として中高生に関わる中でも、私は教育学部ではなくて、今教員免許を取っているわけではないんですけれども、それでも、自分が関わる中で中高生からの気づきというものが大きいですし、私のように教育に関心のある子以外にも、例えば生物多様性だったりとか、LGBTQ+だったりとか、各分野に関心のある大学生と一緒に取り組んでいるんですけれども、その中で自分たちの専門というものを教えることで、また学びになるということもあります。
 自分がそういう関わりをしていく中で、今はユースとして活動しているんですけれども、いずれはそうではなくなるので、そういうところで引継ぎというか、自分が今感じていることだったり、まだ社会に出ていないというか、学生であるからこそ感じられている社会課題、自分の中でとんがった部分というのが多分あると思っていて、それを忘れないうちに次世代につなげていきたいというような気持ちがありまして、単純に楽しいというのもありますし、自分で活動している中でも、ものすごく意義のあることだというふうに思って、信じて活動しております。
【濵口会長】  ありがとうございます。オンラインで長澤さん、いかがでしょう。
【長澤さん】  御質問いただきまして、ありがとうございます。まさに単純に楽しいからというお話は、おっしゃるとおりだなというふうに思います。まずは、そこがあって非常にモチベーションになっているというところは事実だと思います。
 私の個人的なモチベーションということでお話をさせていただくと、私自身、父がネパール人で母が日本人ということで、2つのバックグラウンドを持って、ある意味、これまで異文化を持って育ってきたわけです。そんな中で当然、この世界の文化というところについて関心を持ったりだとか、あるいは文化が異なるということに関して、様々な議論があること。
 それから、やはり民族紛争とか、宗教対立とか、そういったものに対して、どうもこの対立の種が文化に結びつけられているような雰囲気も感じるというようなところの問題意識をずっと持っていた中で、当時中学生だったと思いますけれども、戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければいけないというユネスコの憲章前文に出会い、そこからユネスコという組織について自分なりにすごく調べたりだとか、ある意味で憧れの国際機関という感じで、ずっと高校生まで見てきたところであります。
 また、私は山形県の山形市の出身であるんですけれども、山形市はユネスコの創造都市ネットワークに、2017年から映画分野で加盟をしております。そういったつながりもあって高校生のときに、インドネシアのパプア州というところで、山形の映像をパプア州の高校生に見せて、そして、交流を深めるというような、山形市の創造都市事業があるんですけれども、そちらに参加をしたこともありました。
 そういった様々な要因で、ずっと関心を持ち続けてきたユネスコに、この日本のユネスコ加盟70周年で、より積極的に関わることができると、この機会は私たちにとっても非常に有意義だろうということで、ユネスコのこの次世代委員会に参画をし、その後また様々活動させていただいているところであります。
 そういった一人一人の様々な体験というもの、このユネスコの活動というのはまさに裾野が広いわけでありますので、どこかで多分つながってくるんだろうなというふうに思いますし、そういったところをどんどん我々としても発信をしながら、ユースの多様性というところのお話がありましたけれども、多種多様なユースとともに、そしてまた世代を超えて、これからも活動していきたいというふうに思っています。
 御質問ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。お二人に拍手をお願いします。(拍手)
 議論はなかなか尽きせぬものがございますけども、人生は限られています。議題を移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 議題の4に移らせていただきたいと思います。それでは、議題の4、これからの時代におけるユネスコ活動の推進等についてに移ります。本件については、昨今の国際情勢を踏まえ、これからの時代におけるユネスコの役割と活動の推進について、前回の国内委員会で御意見をいただいた後、私が委員長を務める運営小委員会において議論を行い、昨年11月に、資料3のとおり、今後の検討に向けた論点整理を取りまとめたところです。
 そして、こちらを参考に、先ほど各専門小委員長から御報告いただいたとおり、各小委員会において、それぞれの分野の観点から御議論をいただきました。本総会では、それらの議論を参考にしながら、全体的な観点からの議論をお願いしたいと思います。
 それでは、まず事務局から概要及び今後の流れを含めて説明をお願いします。
【白井国際戦略企画官】  それでは、資料3を御覧ください。ただいま濵口会長からも御説明がございましたけれども、令和4年11月29日付けで運営小委員会において、論点整理ということで取りまとめをいただいているものでございます。
 簡単に概要だけ御説明申し上げます。最初の括弧でございます。新しい時代におけるユネスコの理念と役割ということで、こちらはユネスコそのものに関する話になりますけれども、ウクライナの問題をはじめ、新型コロナウイルス、地球温暖化と、様々な課題に直面してございます。
 そういった中で、このユネスコの理念について、教育、科学、文化を通じて平和や持続可能な社会の構築に貢献するという理念を再認識するとともに、これからのユネスコに求められる役割を再検討するということで、1つ、論点をまとめていただいております。
 次の括弧から、時代に即したユネスコ活動の方向性という括弧から始まる論点が、主に国内に関する論点ということになります。1つ目が、新しい価値やルールの提案、議論の牽引とともに、日本の積極的、効果的な貢献というふうにございます。これから大きな問題として、例えば健康、食糧、エネルギーといったようなことが国際的な課題になってくる可能性がございます。そうした中で、日本から新しい価値やルールを提案したり、議論を牽引することがどうしたらできるのかという点がございます。
 これまでも、例えばESDであったり、あるいは海洋、防災など、日本としての強みを発揮した部分もございました。好事例を発信、共有して、より積極的、効果的な貢献を行うことが大事だろうという点がございます。
 また、先ほどから繰り返し出てきます、若者の声をきちんと反映させていくということで、活動の活性化、若者世代に広がりを目指すという点。また、ユネスコ事務局において、既に邦人職員の方々も活躍されていらっしゃいますけれども、職員だけでなく、様々な会議体において、日本人の方々が議長であったり、委員であったり参加されているケースもございます。これにより日本のプレゼンスの向上を図るとともに、また、若者の参加機会が国際会議でも増えているというお話も今日ございましたので、日本の若者が積極的にそういった場に派遣できるようにしていくということが大事じゃないかというのが、1つ目の論点でございます。
 2つ目が、多様な主体によるグローバル及びローカルなネットワークの重層化等を通じた地域の活性化という点でございます。ユネスコ活動に関わっていらっしゃる方はたくさんいらっしゃいますけれども、若者を含め、より多様な主体、年代が関わることが活性化のために大事だろうという点。また、ユネスコの理念の下で、こういった様々な主体、分野を超えて連携を進めていくということも大事かと思います。
次に優良事例の収集・展開を行っていくことが大事だろうという点。また、より多くの若者の方々が、例えばユネスコで経験をしていただくインターンシップのようなケースもございますけれども、そういった経験をまた地域に持ち帰っていただくということも考えられるのではないかということで、例えば自治体、企業、大学と連携した派遣のシステムのようなものはできないかということを検討してはどうかという論点。
 また、今企業でもSDGsに関する活動が非常に活発になっております。企業と、例えば地域のユネスコ活動の連携強化を図っていったらどうかというような論点がございます。
 3つ目の点が、ユネスコ活動に関する広報・普及戦略の強化発信の支援という点です。今日も何度か御紹介されていますけれども、ユネスコ未来共創プラットフォーム事業というもので、プラットフォームが作られてございます。こちらのプラットフォームを使いながら、分かりやすさを重視した広報戦略を検討していったらどうか。
 また、特に広報・普及については、ターゲット、例えば分野、地域、年代等に応じたターゲットの絞り込みであるとか、メディアの活用といったことも大事でございます。そういったものを通じてユネスコ活動、日本の貢献を効果的に国内外にアピールしていったらどうかという点について、論点として取りまとめをいただいてございます。
 次のページにございますものが、以上のことについて簡単にビジュアル化したものでございます。同じ内容でございますけれども、国内における議論と、それから国際、ユネスコ、その場における議論等について往還するような形の議論ができればというふうに考えているところでございます。
 また、今日の御議論を頂きましたら、それを踏まえまして、今後も運営小委員会を中心に継続的に議論してまいりたいというふうに考えてございます。
 こちらからの説明は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、運営小委員会における論点整理について、忌憚のない御意見を賜れば幸いでございます。いかがでしょうか。
 道傳さん。
【道傳委員】  ありがとうございました。世界が新たな課題に直面する中で、ユネスコや世界各国の教育現場、またメディアも役割や方向性の問い直しが行われているということは、去年12月に出席をしましたインドのユネスコMGIEP、マハトマガンジー平和と持続可能な開発のための教育研究所の理事会でも共有されたことでございました。
 とりわけコロナや、ロシアによるウクライナ侵攻の影響は、今ここで申し上げるまでもないことですけれども、子供や若者、そして教員たちの心と体の健康、ウェルビーイングは、学習効果や教育の質に大きく関わることであることや、ウェルビーイングそのものに関わる、例えばいじめですとか、自殺といった深刻な問題の共有、また鍵となる考え方の1つとして、エンパシー、共感がキーワードとして示されました。
 エンパシーとは、立場や考え方が異なる人たちに寄り添うという心の持ちようだけではなくて、今、次世代ユネスコ国内委員会からの報告にもあった対話型ワークショップのように、理解しようと歩み寄り、対話し、そして行動変容ももたらす、より能動的な意味が御存じのように込められています。
 誰1人取り残さないということは、途上国に限られたことではなく、日本など先進国でも、我が事として受け止める必要があり、日本は今年はG7議長国でもありますので、行動変容をもたらす価値や規範の創出の議論に積極的に参画できるのではないかと考えております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 川村委員。
【川村委員】  2度目の発言で失礼いたします。ごく簡単に2点だけ申し上げたいと思います。
 今、道傳副会長がおっしゃられましたメディアの役割というのは、このユネスコの活動において大変重要なものであると思っております。今ウクライナで極めて困難な挑戦を世界が受けている状況の中で、特に日本の国内においてユネスコが果たす役割、そして日本がユネスコの活動を支援することが重要であることについて、認知度というか、より理解が得られるように、メディアの役割というのも強調させていただきたいというふうに思います。
 SNSについては、プラットフォームを作っていただきまして、大変すばらしい情報発信源になっていると思います。これに加えまして、広がりと、インパクトといった影響力では、メディアの役割というのは依然として大きいと思います。
 先般のウクライナでのオデッサの歴史地区の危険遺産への登録のニュースが非常に迅速に、かつインパクトを持ってNHK及び他のメディアで報じられたことは、非常に勇気づけられた次第です。ユネスコがウクライナ危機にあって、いろいろな活動をしていて、今、日本と世界がどのような支援を行うべきか、が非常に短時間で理解できる内容であったというふうに思います。
 2点目は、先ほどから議論がされております今後の方向性について、特に日本の貢献についてなんですが、具体的には人材のところです。日本人の国連機関、ユネスコも含めてですけれども、この数を増やして貢献度を上げるべきであるということが以前から指摘されてきています。私も国連代表部におりましたときは、日本人の方々が国連機関でできるだけ多く採用されるように、また、採用後はキーポストに就いていただくように、微力ながら支援をさせていただいてきました。
 私の今の印象というか、これまでの結論を言いますならば、やはり日本人を国際機関に送り込む、あるいはキーポストに就けるということに関しましては、オールジャパンで、戦略観を持って取り組むというのが非常に大事だと思います。濱口会長が言っていらっしゃいました「縦割りを脱する」というのは、ここにも実は十分当てはまるのではないかと思います。
 あえて言うならば、省庁の枠を超えて、あるいは科学、文化、教育という分野の枠を取り外して、どういった形で日本人の貢献を果たしていくか、日本人の職員を増やしていくか。
経験値を共有しながら、各機関において異なる経験の蓄積があると思いますが、それを共有しながら、また最新の情報を在外の大使館から得ながら、そして、適切な対応を考えていくということが是非必要かなというふうに思っております。
 私の限られた経験ではございますが、もしお役に立てることが今後あるのであれば、喜んで、これまでの経験を共有させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。お二人から貴重な御意見をいただいたんですけど、今、事務局側もユネスコ本部へ何とか日本人の若い人を送りたいということを考えているんです。ちょっと御紹介いただければと。
【岡村国際統括官】  具体的な方法につきましては、今各種の関係のところでも調整をしておりますが、ちょうど先ほどの論点整理のペーパーでいう②のところの3番目の丸でございます、より多くの若者がインターンシップ等をはじめとした様々な機会で、ユネスコの本部パリであるとか、もしくは、ユネスコの様々な地域の事務所を、こういうところに半年とか、1年とか、経験を積んで、戻ってきて、今度また元いらっしゃったところ、地域のより活性化ができないかということを実現すべくやっております。
 まだきちんとした枠組み、これがファイナライズされているわけではございませんので、なるべく早くそういう活動の構築がファイナライズできましたら、先生方にも御案内申し上げまして、そして、その枠で行っていただく方々についても御紹介をお願いしたりとかしたいと思っております。私どもも、この点については非常にたくさんの御指摘を頂いておりますが、一つ一つできるところから具現化していこうと思っておりますので、是非とも御支援をお願いします。
【濵口会長】  御理解と御支援をお願いしたいと思います。もっとたくさんの若い人を中心にした日本人が、国際舞台できちっと日本のプレゼンスを示すことができるような、そういうシステム改革をしていきたいということを、今、事務局側が非常にしっかり検討していただいております。よろしくお願いします。
 それでは、オンラインで、大濱委員、お願いいたします。
【大濱委員】  今日の総会、とても気持ちを鼓舞させてもらっています。皆さん、そしてとりわけ若い方々の発言、本当に有り難いと思いました。私からも、現場の様子から発言させてください。
 このペーパーの②のところですけれども、私の所属するユネスコ協会でも、先週まで民間企業の店舗や市民活動センターのスペースを借りて、先ほど話に出てきたユネスコ世界寺子屋運動のリーフレットの作品パネル展、市内の子供たちと一緒に勉強した、その作品パネル展をさせていただきました。市民活動センターの方々はもちろん、民間の企業さんも、子供たちとの協働活動をとても歓迎してくださったんです。私は企業との連携に新たな可能性があることを実感しました。
 現場ではこのような、横のつながりをどんどん広げて、ローカルなネットワークの重層化に向けて、こつこつと活動を進めていければなと思っています。
 一方、この③のところです。国や地方の行政の方々には、是非とも広報を頑張っていただきたいです。プラットフォームのホームページ上とかはもちろんですけれども、先ほどのお話にも出てきましたが、いろいろなメディアを活用しながら、話題としては、例えばこの秋に予定されている74年の勧告の改定の折には、その貴重なコンセプトを広く市民にも伝えるとか、それから、10月の世界教師デーというのがありますよね。今、日本の先生方、とても苦しい状況に置かれていますので、その先生たちを応援するとか、いろいろな具体的な機会を見つけて、できるだけ多くの方々に、ユネスコの理念をアピールする手立てを探っていただきたいなと思いました。
 正直、ユネスコってユニセフのことですかとか聞かれることがあります。まずは、存在感を高めていきたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、続きまして、佐藤美樹委員、お願いします。
【佐藤委員】  どうもありがとうございます。日本ユネスコ協会連盟の佐藤です。私は一番最初に挙げられている、ユネスコの理念につきまして意見を述べたいと思います。先ほどからありますとおりに、ユネスコの理念というのは、究極的には人々が相互理解を深めることによって、戦争がない平和な世界を築くことにあります。しかし、現実はなかなか難しくて、民主主義と権威主義の対立とか、宗教間の対立とか、欧米に対抗するグローバルスタンダードの話とか、新しい分断と対立が生じております。
 とりわけウクライナ戦争によって、平和の実現のために私たちが80年近く取り組んできたユネスコ活動の理念がもろくも壊されてしまったということであります。この戦争を政治の問題だとだけ片づけて、ユネスコの理念の再確認なしに、専門分野ごとに分かれて、これまでどおりの活動を推進していくということについては、違和感を覚える次第であります。
 企業でいえば、再発防止策ということでありますけれども、原因は何なのかと。活動が不足していたのか、命題が誤っていたのか、これらを分析して、平和な世界を作るにはどうしたらいいかということを考える必要があると思います。
 ここからは、私の私見であります。今、ロシアの権力者がやっていることは、ユネスコ憲章前文で避難している、名前は出していませんけれども、ナチスと同じ古典的な手法です。
軍事面だけではなくて、長い時間をかけて、教育、科学、文化の分野で周到な準備をしてきました。つまり、ユネスコ憲章での反省があったにもかかわらず、同じことが2度繰り返されたと言えます。
 ユネスコ憲章の解釈についてでありますけれども、戦争は人々が憎しみ合って始まるということではなくて、一握りの独裁者が始めるものです。しかし、始まってしまうと、多くの人は悲惨な目に遭って、これによって憎しみ合うのだと思います。権力者には歴史に名を残したいという動機がありまして、また、国家という組織には、善悪より、これを実現させることが使命であります。
 そして、国民が権力に反対しないように、教育とか、科学、文化の分野で全体的なシステムとして、偏った愛国心教育とか、平和目的でない科学、言論統制や報道規制など、法的な手当てを含めて様々な方策を実行していきます。そして、国民は洗脳されて、かつ、身動きができないようにされて、ロシアの現状のような状況になるんだと考えます。これは私見です。
 繰り返しになりますけれども、新しい時代において、これらの独裁を許さないようなチェックができる賢い国民を育てるという観点から、ユネスコの理念に合致した活動の仕組み、取組を考えていかなければならないと思います。これは非常に難しい問題だというふうに思います。
 次に、ちょっと話題が変わりますけれども、スライドをお願いできますか。民間ユネスコ活動の紹介です。私ども、日本ユネスコ協会連盟は、人道的な立場からウクライナ募金を昨年開始しまして、8,000万円を超える金額が集まって、周辺諸国の民間のユネスコ協会と協力して、生活支援とか、子供支援を実施してまいりました。また、先月からは、トルコ、シリアの地震の緊急支援の募金を開始いたしております。是非皆様の御協力をいただければ有り難いと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。これは、非常に大事なお仕事だと思います。
 それでは、続きまして、片岡委員、お願いいたします。
【片岡委員】  森美術館の片岡と申します。よろしくお願いします。日本に居ながら、このグローバルな課題、あるいは世界情勢について、自分事として問題意識を持っていくことがますます困難になっていると思っています。その中で、ユネスコのような組織の果たせる役割は大きいと考えています。
 私は、現代アートの世界にいますけれども、世界遺産に関するユネスコの関わりについてはしばしばニュースになっています。それ以外にも、ダイバーシティー、サステイナビリティ、ウェルビーイングといった、グローバルな課題に関するこのユネスコの活動を、現代アートだけではなく、芸術文化関係の領域でも、喫緊の課題として今捉えていまして、現にこうしたテーマの展覧会も世界各地で開催されています。
 私が会長を務めていましたCIMAM、国際美術館会議、これはユネスコの下部組織にICOM、国際博物館会議という組織があるんですけども、その国際委員会の1つだったものが、今は独立をして成長したものです。そこでも、世界の近現代美術館おける主要な課題として議論されていることと、今御議論されている視点については、本当に重なり合っているなというふうに感じています。
 日本人のプレゼンスという意味では、今世界のこうした国際的な機関の中で、白人男性中心主義というところから脱却をしようという大きな動きがありまして、私がこのCIMAMの会長を務めたときにも、初めての非ヨーロッパ人の会長ということになったんです。そういう意味では、今、よいタイミングにあるというようなこともあるのかなと思いますので、自信を持って積極的に皆さんで世界に出ていけるといいかなというふうに思っています。
 様々な分野で世界における日本の立ち位置、そして、自分がそこにいかに貢献できるかといった包括的な視点を若者に伝えていくということは、大変重要なことかなと思っています。先ほどほかの委員の方もおっしゃっていますけども、その意味で、ユネスコ活動そのものの社会的なプレゼンス、ビジビリティというものを、若者に伝わるメディアを通して広げていくことが肝要であるかなというふうに思いました。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、溝内委員。
【溝内委員】  キリンホールディングスでサステイナビリティの担当役員をやっております溝内でございます。私は、新しい価値やルールの提案について意見を述べさせていただきたいと思います。気候変動、温暖化が課題になっており、現在、温室効果ガスを削減しようということで取組をしておりますけれども、このルールのほとんどがイギリスとEUが作ったもの、あるいはリードされたものです。
 取り組まなければなりませんのでやっておりますけども、必ずしも我が国の現状に合うかというと、そうでもない。やや、やりにくさもございます。
 新しい課題としては、次は自然資本というふうに言われております。この議論でも図っておりますけども、生物多様性、あるいは水などもそうでございます。日本の強み、あるいは特徴としては、やはり人間と自然の調和でございます。生物多様性については、世界をリードできるような、私は小委員会で里山の例を挙げさせていただきましたけれども、プラクティスがたくさんありますので、この辺りを是非力を入れていただいて、世界に情報発信して、日本のプレゼンスを高め、リーダーシップを取っていくというふうなことも御検討いただければと思います。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。どうですか。
 では、芳賀委員、お願いします。
【芳賀委員】  東北大学の芳賀と申します。今の溝内委員の御意見に賛成いたします。日本は、パリで決めたことをよく聞いて実行することにおいて非常に優秀で、まるで先生の言うことをよく聞く東北大生とか東大生みたいですけど、日本としての独自性を、少しくらい嫌われも、もっと言って、もっとプレゼンスを高める、もっとアップストリームのほうに力を注いでほしいと思います。
 例えば、「人の心の中に平和の砦」という言葉に、我々みんな感動しますが、考えてみたら平城京とか平安京とかにはそもそも砦なんかない。日本の都には砦という安全保障は必要ないんだ、こういう文化こそが理想だ、と世界に主張すべきです。そのようなときに、道傳副会長もおっしゃった、人間の安全保障をもっと進めるとか、国連教育変革サミットの成果としてのインベスト・イン・ピープルはすばらしいので、もっと日本としてということを言いつつ進める、例えばそういうことをもすべきです。
 それから、「誰1人取り残さない」との目標、これにも我々感動していますけど、こんなのも仏教や、特に阿弥陀仏とか菩薩がさんざん請願として言っていることであり、2019年にやっと国連のほうが追いついた。これくらいのことを世界に対して言ってもいいのではないでしょうかね。だから、内閣府が今、対日理解の促進に関する書籍の翻訳出版事業をやっていますが、そういうことへのプロジェクトの援助をもっと、あるいは我々が始める。あるいは、今、日本学術会議で議論を進めていますが、日本の人文学の更なる世界との共有のための、日本の総合学術ポータル、世界中から英語で入って来ることができる仕組みといったものを援助するとか、日本からのアップストリームをもっと考えてほしいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【濵口会長】  貴重な御意見、ありがとうございます。それでは、吉田委員、お願いします。
【吉田(和)委員】  ありがとうございます。私からは2点、既にほかの委員の皆様から言っていただいているところと一部重複するところもございますが、簡潔に述べさせていただきます。
 1つは、ここで整理されている論点、新しい価値・ルール、グローバル・ローカル、広報・普及、それぞれに関わってくることと思います。今後の方向性を見るに当たって、ここ数年で起こっていることの重要な出来事というのをどのように理解するのか、やはりしっかり整理しておく必要があるんだと思います。
 ウクライナ戦争は、やはりこれまでの積み上げられた価値観を全面的に否定するような、非常に大きな破壊的な意味を持っているんだという認識がまずないと、というのが1つ。
 それから、コロナ禍に対する様々な対応、日本も含め世界的に行われてきましたけれども、やはり、これを一過性のものとして捉えるのではなくて、元に戻すのではない、ビルド・バック・ベターにする。それはどういうことなのかということを真剣に考えないと、本当の意味でのインクルージョンであったり、公平性であったりということは達成できないんだと。
 こういう出来事をしっかり考えるということから、残された向こう7年、今年度はちょうど2030年までのSDGsの中間点に当たるわけですが、どういう方向に持っていくのか。そういうところを本当に整理する上でも、これらの今日的な文脈の整理が非常に必要だと。その上で、やはり教育の変革サミットというのがありました。教育はSDGs達成の中核になるんだと、特にESDはその中核になるんだと。
 じゃあ、その変革をするというのはどういう方向に持っていくのかということ、前の2, 3名の委員の方々、連続しておっしゃいました。やはり、日本から発信する内容というのをもう少し具体的に示さないと、通じない部分が非常に大きいと思うんです。日本の中でのすばらしい取組というのが、国連の中の大きな方向性を決めているぐらいに非常に大きなものを持っていると。ここについて、特に1974年勧告の大きな変更点として、ESDが含まれているSDG4.7の評価の仕方について、大きな枠組みを示す、そういう役割も持っているわけですけれども、そこのところはしっかり押さえられているのかという点は、日本からこそ発信するべき点だと思います。方向性というものを今の時点で見直すことの重要性というのが1点です。
 それから、ユネスコ活動というのは、非常に大きな理念に基づいて、実際に活動して成果を出すことに意義があるわけで、やはり、そうなりますと、グローバルなレベルでの意見に対して日本が発信することの重要性、先ほどの点と重なります。そして、グローバルなものをナショナルなレベルで落としてきて、そして現場で実践する。
 これがほとんどの国でされているやり方なんですけども、日本の取組は、むしろ逆といいますか、もう現場レベルで非常に重要な実践の蓄積があって、それをどういうふうに外に発信できるような形にするのか。こういう理念と実践の連携が日本はできているんだということを、ちゃんと証明するための論理的な準備が非常に遅れていると思います。
 その意味では、理念と実践をどのようにしっかりと連携させて、成果を生んでいるというところになっているのかということを、外に説明することを特に強く想定しての検証する仕組みというのは必要だと思います。それは、日本はちゃんとやっているよということだけではなくて、実はそういう検証をすることによって、日本の中でうまくいっていると思っているものが、非常に少子高齢化と、また気候変動等の大きな影響を受けて、どんどんと崩れ落ちているものがあるのではないかと、そういう危機感を持って検証していくということにもつながると思います。
 したがって、点検して、再評価して、必要な手直しをする、こういうことがないと、理念と実践、成果というところの連携が取れている国としてのメッセージの基がなくなってしまうわけですから、そういうところは非常にしっかりと強化するということが必要だと思います。
 こういうことをより強く発信することによって、やはり新しい価値というよりは、もともとあった価値観の今日的な意味、そして未来に向けての意味というのを改めて再定義する、そして、そこに与する仲間を増やして、つながっていく。こういう活動が非常に強く求められている状況だと思いますので、もう一回その意味での論点整理の読み直し方というのが必要かと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】  ありがとうございます。
 日本からの発信、貢献という点で、先ほど溝内委員から御提案がありました、自然共生の実現のために、もっともっと日本から里山のコンセプトを発信していくべきではないかという御提案、私も賛成したいと思います。
 先ほど、私から発言した新しい世界目標、ネイチャーポジティブという、生物多様性、生態系の新しい世界目標ですけれども、その中の1つに、いま注目されている30by30目標というのが位置づけられました。これは陸と海、それぞれ30%以上を保全されたエリアにしていくという、大変意欲的な目標が合意をされました。
 これを実現していくためには、非常に原生的な自然をしっかり守るということに加えて、人が暮らしている、営みを行っている、農林漁業が行われているような、日本でいえば里山里海地域、そういったところでいかに人と自然のバランスを取り戻していくかということが、この新しい世界目標の実現のためには欠かせない。その実現にとって、日本の里山里海コンセプトというのは、大きく世界にとっても役立てられるものになるのではないかというふうに思います。
 2010年に生物多様性のCOP10が日本で行われたときに、SATOYAMAイニシアティブの国際パートナーシップというのが立ち上がりました。それは、まさにそういう里山里海コンセプトを世界の国々で共有して、お互いに協力をして里山里海の保全、活用、継承を進めていこうというイニシアティブで、国連大学が事務局をしていますけれども、そのメンバーも、COP10のとき五十数件のメンバーだったのが、今300ぐらいのメンバーまで広がってきました。
 国際機関もあれば、国もあれば、自治体もあれば、企業も入っていて、NPOも入っていて、研究機関も、先住民の団体も入っている。いろんな人がメンバーのパートナーシップになります。こういった世界各地の自然共生の知恵や経験を学び合う場も活用して、日本の地域の現場での里山里海の保全、活用、継承のモデル的な取組を、先駆的な取組を是非世界に向けて発信をしていく、そういったことも、これからすごく大事じゃないかというふうに思いました。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、小池委員、お願いします。
【小池委員】  ありがとうございます。私も科学小委員会に所属していまして、先ほどの溝内委員、そして今の渡邉委員と全く同じことを考えておりました。少し付け加えたいんですけれども、科学小委員会のときに、溝内委員は、先ほどイギリスやEUが議論をリードしてきたというお話でしたけれども、日本は、自然に人が手を加えることで生物多様性は豊かになると、そういうことをおっしゃったんです。
 そういう豊かになった生物多様性から様々な恵みを頂いて、そして豊かな暮らしをサステイナブルにつないできたというのが、日本の里山であり、里海だと思うんです。科学小委員会のときの議論では、さらにこれを科学的に、実証的に研究しようと。そして、その成果を世界に発信していこうということが随分議論になりました。
 やはり私は、ユースの方にも里山里海に是非関わってほしいと思うし、特に若い研究者。
今いろんな分野から、自然科学だけじゃなくて、人文科学、社会科学、いろんな分野横断的に里山里海に関わっていただいて、どんどん研究して、その成果を世界に発信していっていただきたいなというふうに思っています。
 どうもありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。では、押谷委員、どうぞ。
【押谷委員】  私、この12月に使命を受けました新しいメンバーでございますので、もしかしたらちょっと的外れになるかもしれませんが、改めて、私も北海道の江別という小さなまちの協会に所属しておりまして、今皆さんのお話を聞いておりますと、相互理解、そして平和の実現というのがユネスコの理念であると伺っています。
 なかなか私どものユネスコの活動の中では、そういうものの理念がどういう形で新しい価値観、ルールに提案できるのかということについて分かっていなかったというのが、私の反省でございます。そういう中で、1つには、先ほどございましたけども、私も科学小委員会に所属しておりまして、オープンサイエンスということが言われております。
 いわゆる学術的な問題を分かりやすく、学生・生徒、あるいは一般の市民の方々に話をしていくということが重要であろうと思っています。そういう意味で、このユネスコの活動を何らかの形で、プラットフォームという形で多く広げていくことが必要じゃないかなというふうに聞いておりました。
 私も含めて、なかなか伝わらないことがあるものですから、そういうPRというか、アピールの場が必要というふうに考えておりますけども、そういう場をもっと広めていただきたい。先ほども御発言がありましたけども、ユネスコと聞いたときに、なかなか分かりにくくて、ユニセフと混同されることも、私もたまにございます。
 そういう意味で、ユネスコの活動というのを、もう少し分かりやすく言葉で伝えていくことが必要じゃないかなと思っておりますので、私も含めて、これから活動してまいりたいと思いますので、よろしく御指導ください。
 ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。ほか、御意見ございますか。よろしいでしょうか。
いろいろ御意見いただきまして、ありがとうございます。
 いろいろお聞きしていて、私は伊勢の生まれなものですから、ふっと頭に浮かぶのが八百万の神。日本人の神様って800万おるんです。風でも神様、古木も神様。仏教でいうと、仏性という言葉があります。いろんな森羅万象、生きとし生けるものに仏様がいるという気持ち。これって、一神教の人には説明してもなかなか分からないんですよね。
 芳賀先生がおっしゃること、難しいなと思うんだけど、なかなかそこまで踏み込んで説明しても、彼らはやっぱり自然は敵対するもの的な感覚を持っていて、それをどうやって世界にきちっと発信していくか、これはかなり研究が要るような気がします。
 御意見をいただければ。
【芳賀委員】  東北大学の佐藤弘夫先生がおっしゃっていましたけど、草木国土悉皆成仏、全てのものが成仏する可能性があるという大前提を、我々日本文明は持っているなら、コロナウイルスも成仏するだろう、こういうふうにおっしゃっていました。それくらいの考えを、我々は世界に広めたらよいと思います。
 つまり、コロナウイルスは宇宙の果てから飛んできた敵ではなくて、人体的にも、世界史的にも、我々の内側、我々の一部であるという考えです。
【濵口会長】  あれは科学的には地球温暖化と根源的には一緒で、密林を切り開く中で、本来、密林の奥の洞窟の中に閉じ込められていたウイルスが、人類社会に入ってきたら、ラッサ熱、今流行っていますマールブルグ、エボラ、これがアフリカの開発が進むと80年代からどんと広まってきた。今、アジアでちょっと問題になっていますニパウイルスという、これも致死性が大体4割から7割というのも、これもコウモリのウイルスなんです。
 地球温暖化と同じ原因ですね。
【芳賀委員】  本当はウイルスと我々は離れていたのに、農業が始まり、さらにシュメール以来、都市文明が始まり、そのときから三密が始まりました。ですから、コロナウイルスによるパンデミックが起こるのは文明史上の想定内でした。例えばそういうことを。
【濵口会長】  そこら辺の議論、非常に難しいんですけど、人口増加の中で開発途上国が経済的に豊かになるためにナツメヤシを植えたり、パームオイルを作ったりというところで、現実が起きていて。一方で、日本は限界集落がどんどん増えている中で、里山が壊れて、それから、海も壊れてきていますね。近海が焼けている状態になっている。
 これ、だから、相当いろんなところで課題が出ていて、それをどういうふうにユネスコの活動の中に昇華させていくかというのは、相当議論が必要だと思っております。簡単にまとめるものではなくて、これから半年間ぐらい、しっかりいろいろまた議論を深めさせていただいて、もう一段、もう二段、意見をまとめながら、どんな活動をしたらいいのか。どういう人たちに何を訴えたらいいのか、自分はどう変わらなきゃいけないかということをよく考えていきたいと思ってはおります。よろしくお願いします。
 御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインの方々。ありがとうございました。
 この今の議論の課題は非常に深い問題、文化的な問題も含めて、なかなか説明しにくいもの、それから科学技術の進展というのが、決してプラスの問題だけでなくて、ネガティブな問題も孕みながら進んでいる状態がございます。それもよく見ながら、今日頂いた御意見も踏まえて、各小委員会でも引き続き議論をいただき、また、私どもも議論しながら、本年、秋のユネスコ総会及び来年度末の国内委員会総会に向けて議論を取りまとめていきたいと考えております。
 今日も、もっと議論は必要だとは思いますけれども、お時間もございますので、取りあえずは、今日は水入りとさせていただいて、引き続き皆様の御協力をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、最後の議題5が残っておりますが、その他、何か議論すべき課題とか、御意見ございましたら、この際、忌憚なくおっしゃっていただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、本日準備した次第は以上でございます。本日は、本当に御多忙中にもかかわらず、長時間にわたり御出席いただき、また積極的に御発言いただき、いろいろな御提案も頂きましてありがとうございます。
 それから、ユースの方々の活躍は目を見張るような思いがあります。すごく元気づけられまして、いい会になったと思います。ありがとうございました。
 それでは、これで本会を閉会とさせていただきます。どうも、今日はありがとうございました。

―― 了 ――
 

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