日本ユネスコ国内委員会総会(第144回)議事録

1.日時

平成31年2月7日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

KKRホテル東京孔雀の間

3.出席者(敬称略)

〔委員〕
安西祐一郎(会長)、濵口道成(副会長)、古賀信行(副会長)
秋永名美、安達仁美、石井尚子、礒田博子、伊東信一郎、市丸祥子、猪口邦子、岡崎環、宇佐美誠、及川幸彦、大枝宏之、相賀昌宏、大塚拓、大野希一、岡崎環、翁百合、越智隆雄、片山勝、神本美恵子、萱島信子、河野健、木間明子、小林真理、西藤清秀、佐野智恵子、島谷弘幸、杉村美紀、立川康人、道傳愛子、野本祥子、芳賀満、蓮生郁代、東川勝哉、平野英治、藤田みさお、細谷龍平、松代隆子、箕浦有見子、山口しのぶ、山田卓郎、吉田和浩

〔外務省〕
宮川国際文化交流審議官、甲木地球規模課題総括課長

〔文部科学省〕
浮島副大臣、藤原事務次官

〔文化庁〕
守山文化資源活用課文化遺産国際協力室室長補佐

〔事務局〕
大山事務総長(文部科学省国際統括官)、池原副事務総長(同省文部科学戦略官)
小林事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、秦事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4.議事

【安西会長】 
 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。定刻でございますので始めさせていただきますが、まず、事務局に定足数の確認をお願いします。
【高橋係長】 
 本日出席の委員が38名で、委員の過半数28名以上ですので定足数を満たしております。
【安西会長】 
 事務局から、定足数は満たされているという報告がございましたので、第144回になりますけれども、日本ユネスコ国内委員会を開会させていただきます。
 国内委員会の規定に基づきまして、本日の総会は一部の議題を除いて、傍聴の希望者に対して公開させていただきます。また、御発言は、非公開部分を除きましてはそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので御理解いただきますようお願いします。
 本日の会議には、大変お忙しい中を、浮島文部科学副大臣に御出席いただいております。また、関係省庁の担当官に出席を求めております。そして、松浦日本ユネスコ国内委員会特別顧問にもお越しいただいております。よろしくお願い申し上げます。
 今日の配付資料につきましては、不足等ありましたら、会議の途中でも構いませんので、挙手にて職員までお知らせいただきますようお願いいたします。
 それでは、本当にお忙しい中おいでいただきまして、ありがとうございます。浮島文部科学副大臣から御挨拶を頂ければと存じます。よろしくお願いします。
【浮島文部科学副大臣】 
 皆様、こんにちは。ただいま御紹介いただきました文部科学副大臣、そして、東京オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップ担当の内閣副大臣の浮島とも子でございます。本日は、第144回の日本ユネスコ国内委員会の開催、まことに御苦労さまでございます。また、常日頃から安西会長、古賀副会長、濵口副会長並びに委員の皆様方におかれましては、本当に様々な観点から御協力、そして御助言を頂いておりますこと、心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。
大変にありがとうございます。また、本日は松浦特別顧問にも、御多忙の中御出席いただきましたこと、心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。大変にありがとうございます。
 教育、科学、文化、これを所掌する唯一の国連の専門機関であるユネスコには、専門的な見地から、世界の平和、そして持続可能な開発に貢献することが求められているところでございます。世界の平和と持続可能な社会に貢献することが求められているがゆえに、我が国ではこうしたユネスコの活動に賛同し、1947年に世界初の民間ユネスコ団体が設立されるなど、70年以上にわたり、皆様の活動、歴史があるところでもございます。
 こうした中、昨年10月、安倍総理がユネスコのアズレー事務局長と会談をさせていただきまして、我が国がユネスコに果たすべき役割、これを重視しており、長年にわたり積極的に貢献してきたことを述べられたところでもございます。アズレー事務局長からも、これまでの関係をしっかりと踏まえ、日本と協力したいとの発言があったことを受けまして、我が国といたしましては、ユネスコの責任ある加盟国として、今後も中心的な役割を果たしてまいりたいと考えているところでもございます。
 また、本日は、持続可能な開発目標(SDGs)のさらなる推進が主な議題の1つと伺っているところでございます。激動の社会情勢の中、SDGsの目標を達成することで持続可能な社会を構築することが今、求められているところでございます。このためには、持続可能な社会を作る担い手を育成することが欠かせないと思っております。その点で、我が国が推進してきた持続可能な開発のための教育、ESD、このESDは全てSDGsの実現の鍵であると言われているところでございますけれども、これをしっかりと文部科学省といたしましても、2030年の達成期限である、それに向けて引き続きESD、これを全力で推進してまいりたいと思っております。
 SDGsの達成には、政府によるイニシアチブに加えまして、多様なステークホルダーの方々による実践が欠かせません。また、ユネスコの活動を支えていくに当たりましても、本日御出席の皆様方の各分野の御専門の方々、民間企業、そして、各地域でユネスコ活動に取り組まれている方々、ユネスコスクールをはじめ学校関係者の方々と連携をしっかり取って、全ての関係者の皆様と英知を結集していくことが重要であると思っております。
 本日は、新任の委員の方も多数おられるということでお話を伺っておりますけれども、ユネスコ活動のさらなる推進に向けまして、新たな視点から忌憚のない御意見をたくさん頂きたいとお願いをさせていただきたいと思います。
 最後になりますが、本日の委員会がユネスコ活動の一層の推進に向けた活発な意見交換の場となることを期待いたしまして、また、我々も全力を尽くしていくことをお約束させていただきまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。本日は大変に御苦労さまでございます。また、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
【安西会長】 
 ありがとうございました。浮島副大臣は、この後、次の御予定がおありになりまして退席をされます。大変すばらしいスピーチを頂きまして、ありがとうございました。改めて御礼を申し上げます。
(浮島文部科学副大臣退席)
【安西会長】 
 報道関係者の皆様におかれましては、写真撮影はここまでとさせていただきますので御了承ください。
 審議の前に、昨年9月21日に開催されました前回の国内委員会総会以降、委員の異動がございましたので、事務局から御紹介をさせていただきます。よろしくお願いします。
【高橋係長】 
 それでは、参考1に、本日、日本ユネスコ国内委員会の委員の名簿をお配りしておりますが、そのうち新任の委員のお名前を御紹介差し上げたいと思います。
 まず、秋葉剛男委員、本日、御欠席でございます。
 市丸祥子委員。
【市丸委員】  市丸でございます。よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  大塚拓委員。本日、遅れて御参加いただける予定でございます。
 越智隆雄委員。
【越智委員】  よろしくお願いします。
【高橋係長】  岡本薫明委員。本日、欠席でございます。 片山勝委員。
【片山委員】  よろしくお願いします。
【高橋係長】  神本美恵子委員。
【神本委員】  よろしくお願いします。
【高橋係長】  木間明子委員。
【木間委員】  よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  西藤清秀委員。
【西藤委員】  よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  佐野智恵子委員。本日、遅れて御参加いただける予定です。
 丹羽秀樹委員。本日、御欠席でございます。 芳賀満委員。
【芳賀委員】  東北大の芳賀です。よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  東川勝哉委員。
【東川委員】  よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  藤田みさお委員。
【藤田委員】  よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  箕浦有見子委員。
【箕浦委員】  箕浦です。よろしくお願いします。
【高橋係長】  山口しのぶ委員。
【山口委員】  東京工業大学の山口しのぶです。よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  以上でございます。
【安西会長】 
 ありがとうございました。新任の委員の皆様、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、前回の国内委員会総会以降、事務局も異動がございましたので、事務局から報告をお願いします。
【高橋係長】 
 昨年10月16日付けで、文部科学事務次官といたしまして、藤原誠が着任しております。
【藤原文科次官】  よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  また、同じく文部科学省国際統括官として大山真未が着任しております。
【大山統括官】  よろしくお願いいたします。
【高橋係長】  以上でございます。
【安西会長】
   ありがとうございました。それでは、議題に移らせていただきます。
 初めに、前回の国内委員会総会以降の我が国におけるユネスコ活動の状況につきまして、関係委員の皆様、また事務局から御報告を頂くことにしたいと思います。
 まず、吉田委員から、グローバル教育2030会合の結果報告及びSDG4の動きについて御報告をお願いします。資料1でございますので、御参照ください。
【吉田委員】 
 今、御紹介いただきました広島大学の吉田でございます。この資料の最初のところにもございますとおり、今般、SDG-教育2030ステアリング・コミッティーの共同議長を今年、来年の2年間務めさせていただくことになりました。日本の発信力をこういう国際場裏でさらに高めていく絶好の機会です。皆様の御支援、御協力を是非ともよろしくお願いいたします。
 まず、このグローバル教育2030会合、GEMと呼ばれておりますけれども、こちらは2015年、それまでの万人のための教育の行動枠組みに替わるSDG4について取り決めました仁川宣言及び、その行動枠組みに基づいて設置が決められたグローバルな推進調整機構の一部をなすものでございます。同様なものは前回、2014年、マスカットで開催されておりますけれども、新しい2015年以降の枠組みとしては初めて、昨年の12月3日から5日、ブリュッセルで開催されました。
 この会合では、閣僚級20か国を含む340名の参加がございました。日本からは、文科省から芦立文部科学審議官及び外務省、そして私などが参加しております。主な目的といたしましては、今年の7月に開催されます国連でのSDGsの進捗のレビューをする会合がございます。そこに向けて、教育分野であるSDG4からのインプットをどのように行うかということについて議論する、そういう性格のものでございました。全体として、技術会合と閣僚会合がございます。
 その中のハイレベル技術会合ですけれども、これは前半の12月3日から4日の午前にかけて行われました。まず、オランダのユネスコ特別大使であられるローレンティン王女から講演をいただいた後、SDG4に関わるグローバルな進捗について報告がございました。それに続いて、アジア太平洋地域を含む各地域の状況報告がなされました。アジア太平洋地域については、東南アジア教育大臣機構の報告がございました。
 それに続いて、12のテーマについてのワークショップがパラレルで行われたところです。日本からは気候変動、これはSDGsの中の13に当たります、それとESDの関連の取組についての発表をいたしました。その他にも、教員、女子教育、避難と移住。避難と移住というのは、今年の2019年版のユネスコ発行のグローバル・エデュケーション・モニタリング・レポートのタイトルにもなっているものです。それに加えて、就学前教育、TVET等々のテーマについて議論がなされました。
 続いて、閣僚級会合が行われました。こちらでは、開催国であるベルギーの王妃、そして、仏語共同体首相などの御挨拶がございました。特に国連のECOSOCの議長からも御挨拶を頂いたところです。
 その下では、4つのパネル、ここに書いてございます、人々のエンパワー、移住、強制避難、変化の下での教員、そして、生活と仕事のための技術習得、再訓練、こういったテーマについて議論がされました。こちらでも芦立文部科学審議官から、日本における高齢化、そして、再教育等について説明いただきました。その後、さらに閣僚級のラウンドテーブルでも日本からの、特にSDGs、ESDの取組について報告されました。
 最終的に、ブリュッセル宣言として成果文書が採択されております。これは、こちらの説明資料の最後のページにリンク先を示してございます。内容について、さらに詳細に御関心のおありの方はそちらを御覧いただければと思います。
 次のページには写真を用意させていただいていますけれども、左上にベルギー王妃、右上にオランダ王女、真ん中が会合の実際の状況、左下が芦立文部科学審議官、右下がブリュッセル宣言の採択の瞬間、こういった雰囲気の中で行われたものです。
 これらの協議の後を受けまして、SDG-教育2030のステアリング・コミッティー臨時会合が開かれました。GEMの中で承認されましたステアリング・コミッティーの委員の枠を、地域代表としての枠を、現在の3か国3名から4か国4名へ増員することが認められましたので、それを受けての開催となります。特にアジア太平洋地域からは、日本、中国、韓国に加えて、フィリピンがここから加わったということ。併せて、次期共同議長に日本の私を選出した、そういうものが内容としてございました。
 この下の四角の中に、このステアリング・コミッティーの機能が書いてございます。構成員は44委員ございます。そして、特に執行部としてビューローというものを設置しております。議長、副議長、そして各地域の代表、アジア太平洋地域からは中国がそこに加わっている、そういう形での執行体制を取っているものです。
 次のページになりますが、今後の主な関連の予定といたしましては、3月11日、12日にこのステアリング・コミッティーの第6回会合が、委員枠拡大後としては初の会合として出てくるわけです。
そして、ハイレベル・ポリティカル・フォーラムへのインプットをもう一度すり直します。そして、向こう2年間の活動計画について議論いたします。その後、G20の大阪サミット、そして、7月、9月の国連を舞台としたSDG4を含むSDGsの進捗についてのレビュー会合が予定されております。
 以上です。
【安西会長】 
 ありがとうございました。日本が共同議長国になるということだと、さっきおっしゃられましたが、そういうことだと伺っております。吉田委員に大変活躍していただいているところでございます。質疑応答は、幾つか御報告を受けてからにさせていただきます。
 次に、立川委員から、京都大学ユネスコ・チェアWENDIについて御報告をお願いいたします。
【立川委員】  どうもありがとうございます。京都大学の立川でございます。今年度、水・エネルギー・災害研究に関するユネスコ・チェアWENDIが設立されましたので、資料2を使いまして簡単に概要を御説明申し上げたいと思います。
 WENDIと言いますのは、そこにあります水・エネルギー・災害のそれぞれの、Water、Energy、Disaster、その頭文字を取りましてWENDIという名前を付けております。このWENDIと言いますのは、ユネスコ・チェアとして、昨年の4月にユネスコ本部で認められて、昨年4月から活動を開始いたしました。京都大学の寶馨教授がチェアホルダーとして代表を務めておられます。その下の2枚目ですが、これはユネスコ・チェアWENDIの目的を書いてございます。グローバルリスクあるいは地球規模課題を解決することは人類共通のテーマであり、問題の所在の認知、世界的な取組の状況の把握、解決に向けた方策の模索が必要となります。京都大学に設立するユネスコ・チェアの目的は、これらを大学院生が自主的・系統的に学ぶ場を提供することにより、社会の諸問題を解決する視野を持った人材として育つことを支援することでございます。
 この下の写真ですが、2018年2月13日、昨年ですが、京都大学のユネスコ・チェアのWENDI協定締結式のものでございます。IHP、国際水文学計画の政府間理事会の議長を当時担当されておられましたアンドラス・ソロシナジー氏、それから、ユネスコ水科学部長のブランカ・ヒメネス氏をお招きしまして、京都大学、山極総長御参加の下でユネスコ・チェアの協定式を開催いたしました。寶教授がこの進行を務められました。
 具体的にどのような実施内容を考えているかということでございますが、水・エネルギー・災害に関する研究者・教育者を多数擁する京都大学ならではの学際的な大学院履修コースを開設し、国内外に認知される組織とカリキュラムを確立することでございます。
 具体的には、例えば、水関連の科目、これに関しましては、各研究科、例えば、工学部であるとか理学部であるとか農学部であるとか、あるいは、その中の研究所等、多数の科目が提供されております。それらの提供科目の教員の協力を得まして、各研究科で開講されている関連科目群、特に英語科目に限りますが、これを系統的に整理しまして、カリキュラムの実施、コースの修了認定、修了証の発給を行うものです。
 特に履修期間は定めませんが、各学生がコース・カリキュラムを自主的に履修・完了した時点で、質保証を担保しつつ、随時修了証を発給するとしております。国内外からの履修者も受け付けます。
また、ジオパーク、エコパーク、世界遺産などを題材としましたフィールドの国際共同研究を実施するものでございます。
 下にポンチ絵を付けておりますが、ユネスコ・チェアとして、ESDの教材モデルを確立していこうということを考えております。その下に、例えば、どのようなイメージで系統的・学際的なカリキュラムを考えているかということですが、それぞれの研究科で様々な科目がありますが、これをなかなか横断的に見通すような分かりやすいカリキュラムはございませんので、協力して、学際的・系統的なカリキュラムを作成して、それを学生に提供しようというものでございます。
 特にフィールド実習を重要視しておりまして、ユネスコではエコパーク、ジオパーク等、それから世界遺産等、教育研究の素材として非常に有効なものがございます。右の方のページですが、ユネスコが推進するジオパーク、エコパーク、世界遺産等のサイトを活用した共同研究やフィールド実習を組み込んで、それらのサイトの科学的・文化的意義や発展性、持続可能性を明らかにする新たな教育・研究展開を図るものでございます。
 一例としまして、京都ですと、大台ヶ原で展開されておりますユネスコエコパークは地理的にも近いところにございます。そこでは、水、森林、社会というものをキーワードといたしまして、持続可能な人間社会の発展に着目しまして、大台ヶ原の川上村と京都大学のWENDIとでMOUを結んで、それをフィールドとして研究する、あるいは教育の場としていくということが今進みつつあります。
 次の、この4月から具体的に、こういうカリキュラムの例を学生に示して、実際に学生を受け付けて、具体的なところを4月から進めてまいります。是非関係の皆様方の御理解、御協力を頂きまして進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。今日はどうもありがとうございます。
【安西会長】 
 ありがとうございました。先ほど、教育問題で、これは環境のことでございますけれども、京都大学にユネスコ・チェアを置かれまして、立川委員に大変お世話になっているところでございます。
ありがとうございました。
 それでは、次の御報告、ユネスコ活動のさらなる広報普及につきまして、安達委員から御報告をお願いします。資料3であります。
【安達委員】 
 安達です。お願いいたします。資料3をごらんください。今年度の普及活動小委員会では、我が国の今後のユネスコ活動の広報普及のための基本的方針と具体的な方策例を示すことを目的に、7月と1月の2回の小委員会での審議を経て、お手元の資料、「我が国のユネスコ活動の更なる広報普及に向けて」を策定しました。
 大きく分けて、2つの柱があります。まず1つ目の柱では、我が国のユネスコ活動の広報普及の現状と課題を示しました。戦後70年にわたり教育活動、文化の多様な分野で民間によるユネスコ活動が広がりを見せてきました。その一方で、民間、ユネスコ協会の地域による活動の格差や、また、企業をはじめ一部のステークホルダーとの連携不足などが課題となっていること、また、急激な社会の変化の中でユネスコ活動の意義や目標をどのように位置付け、どのようなメッセージを誰に対してどのような方法で伝え、ユネスコ活動への参画を促していくのかを明確にし、戦略的に実行することが重要としました。
 2ページ目に2つ目の柱があります。2ページ目の2つ目の柱では、我が国のユネスコ活動のさらなる広報普及に向けて、戦略的発信の強化と戦略的広報普及を推進する連携体制の構築の2つを軸に、日本ユネスコ国内委員会や民間団体が、それぞれの立場で進めていくべきこととして、基本的方針と具体的な方策例を示しました。
 1つ目の戦略的発信の強化では、エビデンスに基づいた情報発信、国内委員会の委員や広報大使によるユネスコ活動の発信機会の拡充の他、ユネスコ活動の目標やこれまでの成果、ユネスコ活動とSDGsや地域課題解決とのつながりなどを見える化し、若者、学校教育関係者、民間企業など、ターゲット別に戦略的な巻き込みを図ることなどを提言しました。
 次に、4ページ目の「戦略的広報普及を推進する連携体制の構築」では、報道関係者への効果的な情報発信のための連携やユネスコ活動の広報普及を担う関係者のネットワーク構築について具体的な方策例を示しました。
 今後は、この提言を基本的な方針と位置付けながら、日本ユネスコ国内委員会による広報普及活動の充実を図る他、民間、ユネスコ協会及びユネスコ活動関係機関がそれぞれの立場から主体となって広報普及活動を実践し、そのフォローアップを定期的に行うなど、様々なレベルでの戦略的な広報普及活動の推進が期待されます。国内委員会の委員の皆様におかれましても、我が国のユネスコ活動の広報普及に向けて一層の御協力をお願いいたします。
 以上になります。
【安西会長】 
 ありがとうございました。今、御報告がありましたように、やはり年齢層の問題がございまして、ユネスコ活動を、特に若い世代にどうやって伝えていくかということが1つの課題になっております。
今日は初めての委員の方もたくさんおられますので、一応申し上げておきますけれども、ユネスコが70年の歴史を経まして、戦後間もなくの頃のユネスコのイメージと、これからの時代のユネスコをどうするかということは、ここでも大分議論はされてきたのでありますけれども、これからも、今の広報普及を含めて、皆様の間で是非、いろいろな意見交換をしていただければありがたいと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは、次に、「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産登録につきまして、文化庁文化資源活用課文化遺産国際協力室、守山室長補佐から御報告をお願いします。資料4でお願いします。
【守山室長補佐】 
 ありがとうございます。文化庁の守山でございます。私から、ユネスコ無形文化遺産につきまして御報告をさせていただきます。お手元に資料4を配付させていただきました。
 ユネスコにおきましては、御案内のとおり、様々な文化遺産の保護ということが、1つ、大きな取組として進められております。この無形文化遺産保護条約言いますのは、世界遺産条約より約40年後、2003年にユネスコにおいて誕生した条約となります。加盟国は現在、180か国近くとなっておりますが、その中から選挙で選ばれました24か国の委員会が政府間委員会というものを構成しまして、この政府間委員会が年に一度開催され、そこで条約の核となるような運用が様々決められて、実際の運用がなされているという構図になっております。
 2018年、昨年につきましては、11月の終わりから、モーリシャスの首都でありますポートルイスにおいて開催されました。この委員会は、日本も昨年、締約国総会がありましたときに委員国に選出されておりますので、政府間委員会の委員国として参加をいたしました。この場におきまして様々な議題が議論をされましたけれども、1つ、日本から提案をいたしました「来訪神:仮面・仮装の神々」という無形文化遺産が新たに無形文化遺産の代表一覧表と言いますリストに登録をされるということがございました。「来訪神:仮面・仮装の神々」と言いますのは、男鹿のナマハゲが最も有名かと思いますけれども、日本の各地で伝えられております様々な来訪神行事、年に一度、来訪神という異形の神々が各コミュニティー、各家を訪れて、1年間の厄を払い福を授ける、そういった行事が日本各地で伝承されております。これを1つにまとめまして、「来訪神」として提案をしたものでございます。ユネスコでは毎年約50件ほどが審査されるんですけれども、昨年につきましては、日本からこの来訪神が登録をされました。
 さらに、この次でございますけれども、ちょうど一昨日、文化庁におきまして文化審議会無形文化遺産部会を開催いたしまして、今年の提案案件といたしまして、「伝統建築工匠の技」と言います、木造建造物を維持していくためのわざ、技術、いろいろな修理技術を1つにまとめたものを提案するという決定がなされたところであります。今後、外務省と協力しながら、提案書の提出手続を進めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
【安西会長】 
 ありがとうございました。このユネスコ国内委員会、大変多様なことを扱っておりまして、御報告も多様にわたると思います。これも、もともとは報告が、こう申し上げるとあれですけれども、それほど行われていなかったが、やはり皆様に知っていただくのが大事なものですから、少しずつの時間を取って、こういう形でやらせていただいております。やり方につきましても何か御意見があれば、別の機会でも結構ですので、おっしゃっていただければありがたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次に、平成31年度の文部科学省ユネスコ関係予算につきまして、事務局から説明をお願いします。
【小林国際戦略企画官】 
 それでは、説明させていただきます。平成31年度予算案の御説明に先立ちまして、教育小委員会で現在行われている長期的な観点からの文部科学省の施策についての御議論について御紹介させていただきます。資料5-1を御覧いただければと思います。
 そこに、「Education for SDGsユネスコ関連施策パッケージ(案)」とございます。パッケージ(案)そのものは、1枚おめくりいただきまして、3ページ目のこの1枚がパッケージ(案)でございますが、これを作ることとなった背景について御説明させていただきます。
 1ページ目をごらんいただきますと、経緯の(1)の「万人のための教育のための取組」という一連の流れと、下の(2)の「持続可能な開発のための教育の取組」という2つの流れを踏まえて作成されております。すなわち、現在、上の万人のための教育、EFAのための取組につきましては、先ほど吉田委員からの御発表にもございましたとおり、12月のグローバル教育2030年会合や、本年7月及び9月の国連ハイレベル政治フォーラムにおいて持続可能な開発目標、SDGsの目標4の教育についてレビューが実施されるということがございます。それから、(2)の持続可能な開発のための教育、ESDにつきましては、現在、2015年から2019年現在のグローバル・アクション・プログラムの後継の2020年から2030年のプログラムの策定が行われ、今年の秋の第40回ユネスコ総会において決定される予定という、この2つの大きなポイントがございまして、まさに現在、この2つの点から、ターニングポイントに差し掛かっていると。そして、2030年のSDGs達成に向けた次のステップが求められているということが言えます。これらの状況を受けまして、2030年のSDGs達成というタイムラインを意識しました分野横断的な連携により、多様なSDGsの課題解決に取り組むために、ユネスコの関連施策を、3ページ目にございますとおり、1つは、SDGターゲット4.7であるESDの推進に関する施策、それから、ユネスコの教育、科学、文化等の活動との連携を通じたSDGs全体に係る施策、それから、SDGsの目標17であるパートナーシップによる目標達成に関する施策、4つ目といたしまして、SDGsの達成を担う次世代の教育支援のための学校、企業、自治体等が連携した施策、こういった4つの観点から整理して、教育小委員会にて御議論いただいております。
 一昨日ございました教育小委員会で、この点を御議論いただきました内容が2ページ目にございます。そこでの議論の中で様々な御意見を頂きました。例えば、ビジョンとして、2030年までの全体像をどのように描くかを検討すべき、これまで実施してきたSDGs活動を受け止め、それらの発信方法を熟考する必要がある、外に出す強いメッセージが必要、また、広報、ネットワーキングの観点から様々な御意見を頂いたところでございまして、下にございますように、教育小委員会において、今後引き続き御検討いただく予定となっております。
 続きまして、資料5-2を御覧いただければと思います。こちらが、2019年度の予算案についての説明でございます。幾つかの事業がございますが、1つは、青色に塗られております、ユネスコに拠出している信託基金がございます。これは主に、教育であるとか科学の分野でユネスコ本部に対して、あるいは地域事務所に対して信託基金を拠出して協力事業を行うための信託基金の事業でございます。
 それから、右側のオレンジ色に塗られております、新規事業としてSDGsの達成の担い手としてのESD、持続可能な開発のための教育の推進を行っていく事業を予算案として出させていただいております。内容としましては、ESDに関するカリキュラム開発・実践、教師教育の推進、学習評価・発信といったことについて様々な教育活動を支援するものでございます。
 それから、下の緑色で囲っております日本/ユネスコパートナーシップ事業としては、国内のユネスコ活動に関係ある機関と協力して、我が国におけるユネスコ活動の普及・振興のための事業としておるところでございます。具体的には、海洋に関する国際会議の開催であるとか、あるいは、ユネスコスクール、ユネスコ世界ジオパーク、こういった事業の審査であるとか事務局とか、そういった事業の推進のための事業として、この日本/ユネスコパートナーシップ事業を予算案として計上しております。これらの事業を通じまして、ユネスコ活動におけるSDGs達成への取組を通じて、平和で持続可能な社会の構築を目指してまいりたいと考えております。
 以上で御説明を終わらせていただきます。
【安西会長】 
 ありがとうございました。ESD(Education for Sustainable Development)、それから、SDGs(Sustainable Development Goals)、ESDは御存じのとおり、日本が言い出して先導してきたものであり、それにSDGsが最近大きく出てきて、これをどういうふうに、国内、いろんな活動が行われておりますので、どういうふうに接続をしていくかということがいろいろ問われている状況でございますので、やはりそれぞれの地域で活動してくださっている皆様の活動が全体としてそれぞれ伸びていくように図らっていくべきだろうと思っております。私ばかり申し上げて恐縮ですけれども、一応、御説明させていただきます。
 それでは、質疑応答に移ります前に、外務省の宮川国際文化交流審議官、文化多様性条約に関連して御報告をいただければと思います。よろしくお願いします。
【宮川文化交流審議官】 
 外務省でございます。前回の会合におきまして中間報告させていただきました、文化多様性条約の締結に向けての検討状況について御報告申し上げます。この条約は、2005年の第33回ユネスコ総会におきまして採択されましたが、日本はこの条約とWTO協定と他の国際約束の関係等について、関係各国の締結状況や条約の運用状況等を見極めつつ、鋭意検討を行ってきております。
 最新の状況で、2019年1月現在でございますが、145か国及びEUが締結済みでございまして、その中で、アジアでは中国、韓国、モンゴル、ベトナム、カンボジア、ラオス、インドネシア、東ティモール、インド、バングラデシュが締結済みでございます。また、タイ、フィリピン、スリランカ、ブータン等も批准に向けて検討を行っている状況でございます。こういった他国における状況を見ますと、他の条約との関係で特段の問題が生じているケースは見当たりません。むしろ、それぞれの国の文化産業や文化財の輸出を、この条約の締結を通じて促進する契機となっているケースが多々見られる状況でございます。
 以上を踏まえまして、現在、政府といたしましては、締結に向けて一層の準備を進めさせていただいておりまして、準備が整い次第、国会で御審議いただけるよう提出させていただきたいという状況でございます。引き続き、鋭意努力してまいります。
 以上でございます。
【安西会長】 
 ありがとうございました。文化多様性条約につきましても、ここで、条約というより、文化多様性の問題についていろいろ話題にはなってまいりました。是非御関心を持っていただけるとありがたいと存じます。どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの報告事項につきまして、質疑応答、意見交換の時間を設けさせていただきます。また、今日の御報告にはありませんでしたけれども、地域におけるユネスコ活動の活性化、また、民間企業とユネスコ活動の連携等々、大事なテーマがたくさんございます。そういうことも含めてで結構でございますので、どなたでも御意見、御質問のある委員の方はどうぞ挙手でお願いいたします。
 順番で行きます。猪口委員、どうぞ。
【猪口委員】 
 ありがとうございます。まず、様々な観点からの活動について、こうして総合的に御報告いただき、私たちがそれを理解できる、この機会は非常に貴重だと思いますので、是非多様な活動について、このように、この国内委員会の場で引き続きお知らせいただければありがたいと思います。
 私からは、文化庁の御報告されました来訪神のことなど、本当にお疲れさまで、また成果を上げて、ありがたく思っております。1つ、国政からの、これから可能になるであろう報告として、今、私が一生懸命やっていることの1つとして、アイヌ民族の方々の新法、新たな法律によって、まず、アイヌの方々が先住民であるということを法律的に定義し、共生社会の基本であるというような考え方がそこに出てきます。その上で、文化振興の交付金の創設、市町村中心に、そのような文化の伝達や深まりを実現していくということ。さらに、そこでの文化的な成果をブランド化して、特許庁との連携の中で、そのような権利も確立していくという非常に有意義な法律だと私は思って、これから通常国会で成立を目指していくという最初の入り口のところに今あります。是非、このような流れが実現したときには、ユネスコ活動なども通じまして、国際的にも我が国が先住民という概念、これを力強く内包するに至り、かつ国立の博物館と共生空間である公園、それを設計し、建立することがこの法律で定められることになります。
 調べたところ、国立の博物館が東京より以北に造られるのは初めてのことだそうで、いろいろな文化活動は東京より関西の方で中心だったのかなという感じもいたしまして、そのようなものがアイヌの方々の文化を伝えるものであることもまた画期的かと思って、このことをお願いしておきます。
 次に、SDGs、私は女性のこと、子供のこと、ここを中心に、全てのSDGsの項目が、例えば、Educationであれ、いろいろなその他の項目もありますけれども、その2つのカテゴリーにとってどのような役割を果たし、どのような結果をもたらしていくか。人口全体ではなくて、Gender based statisticsというような概念も含めまして、女性にとって何がさらに問題で、女性にとっての成果はきちっと上がるのだろうか、あるいは子供という概念も導入できる場合には、都市空間の改善とか自然環境の改善とか、いろんな観点からそういうクロスカッティングな、ある部分の人口と言いますか、市民にとって、従来の中では特別に不利だったり十分な発展が保障されていなかったりしたかもしれない、その人たちにとって、このSDGsというものがどういう意味を持つのかを、国際的にももちろん国内的にも分析を強化するようにお願いしたいと思っています。
【安西会長】 
 どうもありがとうございました。まず第一の無形文化遺産等々と共生社会、文化庁、何か。
【守山室長補佐】 
 どうもありがとうございます。この無形文化遺産条約におきましても、アイヌの文化でありますアイヌ古式舞踊が既に登録をされているところでございます。これから国立博物館もオープンいたしますし、引き続き文化の発信も含めて取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【安西会長】 
 もう一つのSDGsとジェンダーと言いますか、女性から見たSDGsについては、やっぱり議論が進んでない面はあるんじゃないかと個人的には見えますので、是非これは事務局にもお伝えして、どういうやり方があるか検討していただけるといいかなと思います。SDGsについては、それぞれどうやって頑張れるかという、そういうことを言っている段階のように見えますので、個人的な、回答ではありませんけれども、そういうことで申し訳ありませんけれども、今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
 それでは、松浦特別顧問。
【松浦特別顧問】 
 私も、猪口先生が言われたように、ユネスコと日本の関係全体について、また日本におけるユネスコ活動全体についてしっかり御報告があったので非常に嬉しく思います。
 私が、最初に申し上げたのは、今、猪口先生から御指摘のあったアイヌ文化についてですけれども、これは今、文化庁から御説明があったように、無形に関しては、幸いにしてアイヌの古式舞踊が既に登録されています。、これは私自身も実はユネスコ時代に推進したんですが、私もかつて北海道に何度も足を運んでアイヌの方々とお話しした経験があるんですが、アイヌの方々としてはむしろ、今の伝統的な踊りが登録されるのはいいけど、やはりアイヌ文化は非常に多様にわたっているので、おっしゃるように、今度、白老町に博物館ができるのは地元で大変歓迎していて、私も白老町に講演に行って、いろんなお話をアイヌの方としたことがあるんですが、やはりもっといろんなものを登録しないといけないと思う。
 、具体的な例で、例えば、摩周湖のまりも祭りとか、いろいろ言われるんですが、やはりアイヌ文化をもう少し全体として捉えて、特に世界遺産の次元でできないかと私は思っているんですが、これは文化庁にお願いしておきたいんですけれども、今度の世界遺産の関連で、次に縄文文化を出すことになっているんですが、縄文文化が、東北だけではなくて北海道が入って、その中にはアイヌの関係もちょっと入っているんですけれども、必ずしもアイヌ文化という形ではないものですから、アイヌ文化をしっかり捉えた、世界遺産の次元でも考えてあげる必要があると思っております。
 それから、2番目に申し上げたいのは、今、ちょうど宮川審議官からお話があった、この場でも私も何度も、2005年条約を早く批准していただきたいと。日本が新しい文化を創造するということを奨励するユネスコの重要な条約なので、文化遺産を守るだけではなくて、新しい文化を文化遺産に基づいて創造するというのがもう一つ重要な点で、それをユネスコがしっかり推進することでこの2005年条約はできているわけですけれども、入っていただきたいという。今お話がございましたように、真剣に検討が行われているのは非常に嬉しく思います。
 ちなみに、ユネスコの文化遺産及び文化関係の条約の中で一番人気があるのは世界遺産です。その次が、先ほど御紹介があった無形文化遺産、3番目がこの条約なんですね。人気があるというのは、批准国が多いという点から言ってです。ですから、できるだけ早く日本も入っていただければと思います。
 以上です。
【安西会長】  ありがとうございました。
 どうぞ。
【細谷委員】 
 ありがとうございます。松浦顧問もおっしゃいました文化多様性条約の批准に向けた作業、外務省、文科省で進めておられるという御報告、大変ありがとうございます。これは本当にようやくここまで来たなという思いを深くしておりまして、遅ればせでも、とにかくこれを日本が批准していくことは大変政治的意義もあると思います。
 無形にしても世界遺産にしても、あるいは水中文化遺産とか非常に具体性がある協定、他にありますけれども、多様性条約というのは、それに比べて具体的には何だろうかというところがいま一つ見えにくい面はあるかと思いますけれども、批准の暁には、何か具体的に見える実質的な活動にそれがつながっていければと思います。それを日本が参加する、あるいは、できればリードした形でユネスコの場その他でやっていただけたら大変いいのではないかと。しかし、まずは批准を確実にやっていただくことが大事かと思います。
 もう1点は、普及活動小委員会の御報告を伺いまして、安達委員からの御報告、ありがとうございました。大変包括的な立派な報告書になっていると思いますが、1点申し上げたかったのは、これ、もちろん広報と普及がテーマでいらっしゃるわけですけれども、その延長としてと言いますか、ファンドレイジングの重要性は強調させていただきたいと思います。
 それで、文書の2ページ目から3ページ目にかけて問題意識は書いていらっしゃいまして、まさに各機関にとって資金獲得の努力は欠かせないと、共感と協力、寄附などを得ることが重要であり、また資金調達などのための戦略的発信が必要だと、そういった非常にごもっともな問題意識は書いていらっしゃるんですけれども、今後、これ、さらに具体的な方策の面も含めて、ファンドレイジングにさらに踏み込まれていかれたらいいんではないかと思います。
 もう御承知のとおり、ユネスコという国際機関にとって、これは世界的に著名な、知名度はあるんですけれども、リソースが甚だ少ないという、ある意味で永遠の課題、本部も抱えております。
ですから、関連各機関にとっても、そちらにさらに明示的な焦点を置いた具体的な検討を進められることが1つ、問題意識としてあり得るかと思います。
 以上です。
【安西会長】 
 ありがとうございました。他に。
【及川委員】
   ありがとうございます。先ほど、安西会長が御発言いただいたESDとSDGsについて、若干コメントと言いますか、お願いを申し上げたいと思うんですが、御存じのように、ESDは日本のイニシアチブで国際的にも国内的にも非常に大きく発展してきたことは皆さん御承知のことと思いますし、2002年にヨハネスブルクサミットで日本から国連持続可能な開発のための教育の10年(UNDESD)を提案し、その後10年間のUNDESDがあり、最終の世界会議、総括会議も日本で開いたという、ある意味、日本がフラッグシップと言いますか、リーダーシップを取って推進してきたものであると思っております。
 それが昨今、SDGsが出てきまして、ESDを推進している方々、学校現場もあれば社会教育もあれば市民の方々もいらっしゃると思うんですが、その方々が、ESDがSDGsの大きな流れの中で、少し存在感を低下しているんではないかという懸念が全国あちこちから出されていることも事実であります。
 そういう意味において、冒頭の副大臣の御挨拶にありましたように、ESDはSDGs、全17のゴールの達成の鍵であるという認識の下に、やはりSDGsを達成するべきESDがさらに存在意義を増したということを、ユネスコ本部を含めて、国際的にも日本からしっかりと発信していただきたいというのが、まず第一にございます。
 と同時に、国内的に目を転じても、ここ15年間、学校教育現場ではユネスコスクールが約1、100校にまで、世界最多と言われるまで拡大しましたし、今日は報告がなかったのですが、昨年末に横浜でユネスコスクールの全国大会がございましたが、およそ800人の全国の先生方が参加して、15年間で育った生徒あるいは若者が壇上で非常に心強い発言とパフォーマンスを行ったこともございまして、着実に学校教育現場の中に浸透している。さらには、今回の学習指導要領の総則、それから、前文に持続可能な社会の創り手の育成ということが掲げられ、ようやく、我々の悲願である公教育のナショナルスタンダードにも、このESDというものが基盤として据えられるようになってきたことを考えた場合に、このESDというものが、やはり日本の発信であり、世界に貢献するべき大きな教育のムーブメントでありイニシアチブなんだということを誇りに思って、全国の先生方、あるいは地域の方々、取り組んでいらっしゃいますので、その方々にさらにメッセージとして、国内的にもESDの重要性を、今だからこそ是非、国内委員会からも出すべきであろうと思います。
 そういう中で、地域創生が叫ばれ、地域の持続可能性が非常に困難なフェーズに今来ていますので、そういう意味でも、地域におけるESDの意味は大きいということは、ただ単に公教育の根幹だけじゃなくて、地域創生にも関わることなので、その辺で是非、国内委員会からのメッセージとして出していただければなと思っているところであります。
 これは、国内委員の一人としてのお願いとともに、全国各地で取り組んでいらっしゃる先生方とともに長年、ESDに取り組んでいる者の一人として、是非その辺はお願いしたいと思っています。
 以上です。
【安西会長】  ありがとうございました。そろそろと思いますが、どうぞ。
【蓮生委員】 
 ありがとうございます。先ほどは、平成31年度のユネスコ関係予算に関して御説明いただきまして、どうもありがとうございました。それに関連して日本の、人的貢献の問題についても触れさせてください。
 アメリカ脱退後のユネスコにおいて、日本は中国に次いで第2位の分担金負担国となり、財政的貢献とともに、それにふさわしい人的貢献が日本には求められてきたと思います。ただし、その期待に十分応えてきたかと言いますと、なかなか思うようにはいかなかったというのが現実だったと思います。、、、、ユネスコをはじめとする国連等の政府間国際機関の恒久ポストの採用過程には、地理的配分の原則だけでなく国際的な能力主義の原則が導入されておりまして、日本の人材育成システムとの間にギャップがあるのは事実です。これは、私自身が大学で国際公共政策大学院で、国際機関等で働く国際公務員育成の現場に携わっている者として、日々、自分自身の課題としても感じていることでございますが、このギャップの問題を解消するためには、かなり思い切った改革が必要なのではないか。若手はもちろんのこと、ミッドキャリアの中堅層も含めた奨学金の拡大やインターンシップ制度の創設などの思い切った人事制度の、改革が必要なのではないかという危機感、、を持っておりまして、それをぜひ申し上げさせていただきたいと思います。
【安西会長】  ありがとうございました。ちょっと手短に。
 じゃ、どうぞ。
【木間委員】 
 朝日生命ユネスコクラブの事務局長を務めております木間と申します。普及広報につきまして、先ほど、企業のファンドレイジングの話が出ましたので、それと関連するのですが、私どもは企業内でユネスコクラブを35年続けてまいりました。国内で唯一の企業内ユネスコクラブです。、今回の普及活動についての資料にも記載されていましたとおり、企業をはじめとしたステークホルダーへのアプローチが十分でないという現実があります。、ただ、今、御承知のとおり、企業のSDGsへの関心が非常に高まっています。、、当社内でも社内でSDGsの研修を行ったり、社外のセミナーに社員を派遣したりしており、、企業は、本気でSDGsについて情報収集しようという姿勢になっています。
 今までESD、ESDと言っても、なかなか話を聞いてもらえなかった民間企業が今、「SDGs」という言葉ですごく耳を傾けてくれるようになっていますので、ここで民間企業に向けてもアプローチしていこうという動きがあることをとても嬉しく思っています。また、、この機を逃してしまうと機を逸してしまうと感じておりますので、きょう、発言させていただきました。恐らく次の決算期ぐらいまでには、もうそろそろ各企業で、情報収集をして、自ら、どんな形でSDGsに取り組んでいくかというようなことの構築を始めていくと思います。
 ユネスコはESDということで長年活動してきましたので、こうしたユネスコ活動への支援がSDGsにつながっていくとアピールすることを早急に進めていただきたい、また、それをお手伝いしたいと思っています。
【安西会長】  ありがとうございました。
【猪口委員】 
 二度目で済みませんが、私、先ほど、2番目の部分で発言した、SDGs and womenとか、and childrenとか、さらに、SDGs and aged populationとか、さらに、SDGs for women、for children、for aged、さらに、例えば、離島に住む人たち、islandersとか、あるいはeducation for studentsというすばらしい概念なんですけど、今度、SDGs for students、そういうふうに特定のカテゴリーでということを強く主張していきたいなと。日本からそういう発信をしてくれると、例えば、このパンフレットの11ページにSDGsの全部出ていますけど、これ1つ1つ見ていけば、例えば、貧困をなくそうというときに、女児の貧困、子供でかつ女性である、そういうのはどうなるかとか、気候変動、13番、islandersにとってどうなのかとか、1つ1つよく考えると、さらに深くSDGsと特定のグループの人たちにどういうインパクトをもたらす政策をその枠の中で推進すべきか、すごく日本からの主張としてプロダクティブじゃないかと思いますので、2番目のフロアで申し訳ありませんけれども、付け加えさせていただきます。
【安西会長】 
 時間の関係で、大変申し訳ありません。他の方もいろいろ御意見あるかと思いますけれども、どうも御報告いただくと意見交換の時間がなくなりというか、そういうことでいつも苦労しておりまして、御意見がおありになる方は、是非後でも結構ですので、事務局へお寄せいただければと思います。
 先ほどからの、まず、文化多様性の問題につきましては、以前にこの国内委員会で、ユネスコ70年を期して提言をまとめて、パリでユネスコの事務局長に手渡しさせていただいた中にも文化多様性のことが書いてございまして、条約に向けて進んでおられるんでしたら、個人的な見方もありますけれども、是非頑張っていただければと思いますし、ユネスコの予算につきましては、国際人材の育成は非常に大事で、ただ、ここだけがやることではないかもしれないとは思いますが、ユネスコの予算の中、ユネスコの予算自体が非常にきついので、ユネスコと言いますか、国内のユネスコ活動の予算が非常にきつい状況にございまして、それにつきましては、是非民間のお助け、連携が必要でございますし、それにはさっきおっしゃったように、SDGsがかなり民間企業の方、御存じの方が多くて、そういうことのバックアップも必要な状況になっておりますし、一方で、さっき言われたように、ESDについては日本が国連に国連持続可能な開発のための教育の10年を提言し、10年間それを進めて、その後5年間、GAPというグローバルアクションプラン、これを進めてきた、そういう日本のリーダーシップはやっぱり歴史がございまして、ESDとSDGsをどうつなげていくかは、やはりさっきありました、及川委員が言われたように、課題になっているという状況でございます。
 そういういろんなことが絡んでおりまして、委員の皆様には、そういう全体像を大体御理解していただいた上で、この国内委員会として何ができるかを是非積極的に提言していただければありがたいと思っております。
 貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。何か他にありましたら、是非事務局にお寄せいただければと思います。
 それでは、議題2に移らせていただきまして、先ほどからESDとSDGs、どうするのということは言っていながらでありますけれども、SDGsのさらなる推進についてと、こういう議題になっております。現在、政府ではSDGsに関する取組を支援する動きが以前にも増して活発になっております。これは、この国内委員会というより政府全体としての動きでございます。SDGsの推進につきまして外務省の担当者に御説明いただくとともに、民間及び地域でSDGsに取り組んでおられる方にお越しいただいておりまして、先進事例を御発表いただくことにしてございます。これを踏まえて、ユネスコにおけるSDGsの推進に関する取組について、議題1における報告事項も踏まえまして、委員の皆様に御議論いただければと考えております。
 それでは、議論を行う上での情報提供という形になりますけれども、外務省地球規模課題総括課の甲木課長に、SDGsに関する政府の最新の動きについて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【甲木課長】 
 御紹介にあずかりました、外務省の地球規模課題総括課長の甲木でございます。よろしくお願いいたします。
 先ほどから、委員の先生方から「SDGs」という言葉が何度も出ておりますけれども、政府は安倍総理を本部長として、菅長官と河野大臣を副本部長、全閣僚がメンバーのSDGs推進本部を立ち上げて、そこを中心にSDGsの施策を取り進めております。この手の推進本部で珍しいんですけれども、外務省が事務局で、当課が担当課ということで、政府全体の取組を総覧する仕事をしております。
 お手元に、「SDGsアクションプラン2019」という横置きの資料を御用意させていただきました。これがちょうど昨年末、12月21日に総理官邸で行われた推進本部の決定文書の中身ということで、まずは、表紙をめくっていただいて、ポイントと、ここが全体像を一番まとめておりますので、簡潔に全体像について御説明したいと思います。
 冒頭、最初のポツのところ、「日本は豊かで活力のある『誰一人取り残さない』社会を実現するため、一人ひとりの保護と能力強化に焦点を当てた『人間の安全保障』の理念に基づき、世界の『国づくり』と『人づくり』に貢献していく」と。これは、本年がG20、TICAD、9月にはニューヨークでSDGsサミットが初めて行われるわけでありますけれども、非常に重要な年を迎えて、国内のSDGsの推進と、そういった国際的な協力を連結していこうという発想の下でこういうふうに掲げているところでございます。
 では、国内の推進のところで、日本ならではのSDGsモデル、これはその資料にある3つの箱、これが3本柱で、日本ならではのSDGsモデルを構築しようと。1つ目が企業セクターとSDGs、2つ目が地方創生とSDGs、3つ目が次世代・女性のエンパワーメントというテーマものでございます。
 1つ目のSociety5.0の推進とSDGsでございますけれども、先ほども委員の先生方から御指摘があったとおり、今、企業セクターでESG投資という概念を媒介として、直接金融の世界、つまり、投資家目線で持続可能な経営をする業界ないしは個社の活動を評価し、そういったところに金を流すという動きが2017年頃から顕著になってきていると見ております。
 そういった中で、まさに日本経団連様あるいは日証協様、全銀協様、生命保険協会様、損保保険協会様などなど、要するに、各業界団体で相当、SDGsの推進と、あとは、業界団体のみならず、個社でも経営の真ん中にSDGsを据えていくという流れが顕著になっておりまして、これはやはり、何といってもファイナンスの力で、そういうふうにしなければ時代に取り残される、逆に言うと、すれば流れに乗っていくという大きなうねりがあると思います。
 そういった認識の下で、1つ目の箱のところの冒頭を見ていただくと、中小企業におけるSDGsの取組強化。大企業や業界団体に加え、中小企業に対してもSDGsの取組を強化と。これは、推進本部の場で総理からも、冒頭、こういうような指示が強くありまして、逆に言うと、上場企業セクターでは相当浸透しつつあるので、そこは引き続きしっかりと応援していくと。ただ、もはやもうフェーズ2に入っていると。つまり、全国の中小企業あるいは、それを支える地域の金融機関、あるいは、それをマターに支える自治体などと一体となって、SDGsというものを地方創生、あるいは、そういった非上場セクターに行き渡らせるということを主戦場にしていこうという流れになっているところでございます。
 それとともに、イノベーションが非常に大事でございまして、まさに安西会長、ちょうどグテーレス事務総長が立ち上げたデジタルのタスクチームのメンバーでもあられますけれども、やはりSDGsの達成のためには、時々イノベーションが起きないと不可能だという認識がありますので、そこはやはり日本のイノベーションの得意な分野でございますので、内外でしっかりそういった取組を進めていくことも掲げているところでございます。
 第2の柱のところは、SDGs、未来都市というスキームを、昨年、内閣府地方創生が立ち上げまして、第1回の29自治体を昨年6月にちょうど表彰したところですけれども、第2回のプロセスが今、ちょうど公募が始まっておりますけれども、これは要するに、自治体が核となって、さっき言ったような地元の中小企業であったり市民社会であったり、様々な方を巻き込む形で、地方創生に資するSDGsの取組をやっていただこうということで、30都市で、トップ10はシードマネーとして3、000万ずつ配ると。じゃ、残りの人たちはうまみがないのかというと、これは官邸から、関係省庁は交付金補助金で、この未来都市に選ばれたところはえこひいきしろと言われていますので、これに選ばれることが自治体あるいは地方にとってもうまみになっているところでございます。その他、オリパラであったり2025の大阪・関西万博であったり、こういった地方で行われるイベントとリンクして、しっかりと推進をしていくということでございます。
 3つ目の柱につきましては、次世代のSDGs推進プラットフォームということで、総理の掛け声の下で、学生、若い社会人の7団体の代表者によるプラットフォームが年末立ち上がりました。その方々は今年、様々な活動を始める予定でございます。これが次世代の取組と。それから、女性については、3月23、24、東京でWAW! 女性サミットですけれども、それとG20の主催国で行われるW20という女性の集まりをバック・トゥー・バックで行うということで、こちらで様々な施策をハイライトしていくということでございます。
 そういう中で、人作りの中核として、日本自身の国作りの経験を振り返っても、やはり保健と教育というものを重視して、人に投資してきたというその文脈の中で、教育分野にしっかり取り組んでいこうということになっております。
 2ページ目を御覧いただければ、これが本年のG20、TICAD、そういった国際行事における、我々が重視するアジェンダを並べたものでございます。上の方が国作りに対応したところ、下の方が人作りに対応したところ。人作りのところで、女性、保健、教育とありますけれども、教育のところを御覧いただければと思います。ちょうど先々週、G20の開発作業部会というものを開催いたしまして、そこでG20の教育の議論を開始いたしました。これは3つの柱を立てていて、1つは持続可能な成長に向けた質の高い教育、2つ目にイノベーションを生む教育、3つ目に強靭で包摂的な未来を作る教育を掲げております。これはまさに教育の国際協力の担当課長としても、この議論を現場でいろいろとやりましたけれども、この3本柱については、おおむねG20の中でこれで進めていこうということになっております。
 その1つ目の柱の中に、まさにESDというものについて私どもからも説明させていただき、一部の国から、いいじゃないかということで御意見がありましたので、このG20の成果物の中で、できればこれを文書にまとめ、首脳に報告し、エンドースしてもらうことを念頭に置いておりますけれども、その3本柱の1つ目、質の高い教育の中でESDというものをしっかりと位置付けていくと考えております。ちょうど先週、その関連でG7の教育開発作業部会というのがありまして、私、行ってまいりましたけれども、そこも文部科学省と一緒になって対応いたしましたが、教育全体を今年、G7、G20を通じてしっかりと打ち出していくというのを、フランスとタッグを組んで、今、そういうふうにしておりますので、こういうG7、G20の議論と連動する形で、ユネスコの取組も推進していくといいなと思っております。このプロセスでは、ユネスコの本部の方々ともよくよく説明しながら進めているという状況でございます。
 それから、これは御参考までに。5ページあたりに、次世代の教育振興ということで、これは政府の中のSDGsの優良施策を取りまとめている部分について、主に文部科学省様から取組について出していただいて、まとめたものですので、お時間があるときに御参照いただければと思っております。
 以上でございます。
【安西会長】  ありがとうございました。それでは、次に事例発表に移らせていただきます。
 まず最初に、株式会社横田アソシエイツの横田浩一代表取締役から、企業におけるSDGs教育について御発表いただきます。横田先生は、日本経済新聞社の御勤務を経まして、2011年に株式会社横田アソシエイツを設立、自治体と企業、また若者と社会をつなげる取組を行っておられます。SDGsをテーマとした連携においても先進的な取組を行っておられます。
 それでは、横田先生、よろしくお願いします。
【横田様】  ただいま御紹介いただきました横田です。よろしくお願いいたします。
 それでは、「SDGs教育(企業編)について」というお題で発表をさせていただきます。資料を1枚めくっていただいて、今、甲木課長から、企業におけるSDGs、ESGの取組の御説明がございましたが、多くの上場企業でSDGs、ESGについて取り組んでおります。これは主に経営理念とか今までのCSR、CSVとの整合性とか、あるいは社員の理解向上に取り組んでいるという整理が進んでいるかと感じております。その背景としましては、ESG投資の普及でございまして、一番大きかったのは、やはり年金のパッシブ運用が始まったという部分が大きいと感じております。それによって、長期視点からの経営が背景の軸として入ってきたというのが1つあります。
 あと、まだまだ取組は少ないんですが、SDGsの流れの中でソーシャルイノベーションを起こせないか、あるいはポジティブな次の事業を生み出せないか、ソーシャルイノベーションを起こせないかということを取り組んでいらっしゃる企業もあります。当然、SDGsの振興によるチャンスもあるんですが、特に環境面においてリスクもございます。そういった意味では、そういったことを考える人材の重要性もこれから大きくなってきますし、どうしても企業はマーケットに向き合っていますと短期思考、利益思考になりますが、それだけでは企業価値を測れないという議論が進んでいると思います。
 昨年、日経新聞でやりましたソーシャルビジネスコンテストのシンポジウムのときに、ハンドマネジャーの藤野さんは、ESGのSは日本企業は弱いよねと。やっぱりEとGはある一定のところをやるんですが、Sについてもう少し頑張らなきゃいけないという御指摘がありましたし、あと、第1回SDGsアワードを取られておりますが、ここの更家社長は、トップのコミットメントとして投資や人材を呼び込みたいと。あそこは石けんの会社ですので、マーケット拡大は事業そのものであると。先月から全社員がSDGsバッジを付けるということで推進をされております。
 社会課題をビジネスで解決しようという動きもありまして、それを我々は「ソーシャルビジネス」と呼んでおりますが、その推進が進んでいるという観点から、当然、それを進める「ソーシャルイノベーション人材」と呼んでおりますが、そういった人材が必要だろうということを考えております。
 それでは、2ページ目に移らせていただきます。大企業の取組事例として、日立製作所さんの事例を取り上げさせていただきます。日立製作所さんは、2017年4月にサステナビリティ戦略会議というのを立ち上げて、2030年までのSDGsの169項目について、それぞれの事業について、リスクとチャンスを全て文書でコメントしろということをやって、それをサステナビリティ推進本部の会議体で集計しました。
 その結果として、企業全体で目標とするゴールを6個、事業として目標を5つにまとめられておりまして、2018年4月にはそれを発表されております。次期中期経営計画においては、財務指標だけじゃなくて、各事業部に社会、環境について中計の中で目標を立てて、それを報告するという方向性も決まっております。
 そういった中で、ここに書いてありますような各事業部において、サステナビリティ、SDGsへの理解を深めるワークショップを開催しておりまして、ここに載っておりますケースは鉄道事業部門でございますが、そういったワークショップを行っております。特にここで気を付けていることは、やはりトップの戦略を一貫性を持って現場に伝えること、それから、やはり若い世代への研修、教育がポイントとなっております。
 1枚めくっていただいて、地域金融機関の取組事例について御紹介をさせていただきます。鹿児島相互信用金庫という地域金融機関がございます。ここは、昨年10月にSDGs宣言をされております。
それに基づく1号案件というのが、鹿児島県大崎町、これ、第2回SDGsアワードを受賞された地域なんですが、ここでリサイクル未来創生奨学プログラムというのを、これは慶應大学のSFC研究所も入って作らせていただきました。
 ポイントは、卒業後10年以内に地元に戻ってくれば、町が元金及び利子を一部助成するという制度でございます。それは、まちの資金だけではなくて、地元事業者の寄附ですとか、ここはリサイクル率が83%、日本一の町でございますので、そこで上げた収益とか、あるいはふるさと納税を原資に活用して助成金を作っていこうと、そういったプログラムでございます。
 又は、先月、大崎町、慶應義塾大学のSFC、それから、この信用金庫と、あとJICAさんも入って、大崎町らしいリサイクル未来価値をテーマに、事業創造フィールドワークを3日間にわたって行いました。約30名が参加しまして、産官学金、それからJICAさんも入って活動をさせていただきました。
 1枚めくっていただきまして、中小企業の取組事例ということで御紹介をさせていただきます。これも中小機構さんが今、SDGsのイベントを盛んにやっていただいておりまして、私も御協力させていただいております。先月行いました鯖江でのSDGsフォーラムは、牧野鯖江市長、あるいは高田中小機構理事長も出られまして、鯖江のSDGsの取組、鯖江は女性の就業率が高いものですから、女性活躍を中心にSDGsを推進されるんですが、そういった御紹介があって、中小企業のトップがかなり御参加されてきたということで、そういった啓蒙をさせていただいております。
 あと、日本青年会議所さんがかなり御熱心でありまして、ここの中に、SDGsアライアンス会議という、各地域の青年会議所は何をやっているかということを情報シェアする会議体がございまして、各地で御熱心に振興されております。
 また、日本には100年以上続く企業が世界で一番多いわけでございますが、そういった経営者を集めるシンポジウムがございまして、私も関わらせていただいておりますが、去年からSDGsのテーマを入れるようにしております。これは逆に、100年以上続く経営者からサステイナブルとは何かを学ぶ点が大変多くございまして、それを経営の知見として広めていければと思っております。
 1枚めくりまして、若者を中心とした自主的な取組事例も大変増えております。例えば、パシフィックコンサルタンツと大手建設コンサルタント3社の若手合同研修があるんですが、そこでSDGsを勉強しようということで、私もお手伝いをさせていただきまして、クロスファンクショナル、知らない会社、あるいはセクションの違う知らない人と会って議論するのに、SDGsというのは共通言語でございますので、大変いいテーマになっておりまして、共通のテーマを議論し、アイデアを広げる場に大変役に立っております。
 それから、CAREER FORセミナー。これは、一般社団法人地域・人材共創機構というものがあるんですが、これ自体も地域の30代の自治体職員や民間の方が作られている機構なんですが、彼らが「SDGsの変革と人材育成」と題して、企業におけるSDGsと地域人材についてセミナーを実施させていただきました。このときは、外務省の原さん、日立製作所の増田部長、釜石市役所の石井さん、塩尻市役所の山田さんとかが入って、コレクティブインパクトを目指して、人材を育成するにはどうしたらいいかという議論をさせていただきました。
 あと、国連フォーラムなどでも、若手ビジネスパーソンの勉強会が行われております。
 また、大学生も積極的に活動している方が多くいまして、石川県出身の学生が、横にいらっしゃる永井さんを講師にお呼びして、SDGsワークショップを実施して、山野金沢市長も御参加されたり、それから、立命館大学のサークルなども積極的に勉強会をされております。
 あと、高校生対象なんですが、高校生に、釜石市に行って、社会課題解決をテーマにした3日間のソーシャルキャンプを今、年2回ほど、近畿日本ツーリストさんが行われております。私も一緒に行っておりますが、やはり社会課題解決をベースに議論すると、高校生、大変変わります。成果が大変大きいキャンプだと思っております。
 6ページ目に行かせていただきまして、最後になりますが、企業スタートアップをソーシャルビジネスで行おうという事例でございます。日本経済新聞と一緒に、私、日経ソーシャルビジネスコンテストをやらせていただいておるんですが、前回はSDGsをテーマにやらせていただきました。300以上の応募がありまして、そのうちの半分ぐらいはもう実際に起業されている方々でいらっしゃいます。下の方にSDGsということでファイナリストを書かせていただいておりますが、教育事業であったり、フードロスであったり、あるいは里親普及プロジェクトであったり環境プロジェクトであったり病院での保育であったり、あとは、医療、バングラデシュでAI技術と医療を届けようという会社であったり、様々な形があるんですが、やはり起業の場合、ある一定の層がソーシャルビジネスで起業したいという高い志を持った若者が大変増えている状況になっていると感じております。
 私からの発表は以上でございます。
【安西会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニットの永井三岐子事務局長においでいただいております。「地域におけるSDGs教育の可能性」について御発表いただきます。永井事務局長は、国連大学におきまして、金沢市を拠点に、主に教育分野でのSDGsの推進を企業等と連携によって行うに当たってのコーディネートを行っておられます。
 それでは、永井先生、よろしくお願いします。
【永井様】 
 ありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりました国連大学の永井でございます。本日は金沢より参りました。
 では、私より、私どものSDGs、主に教育に関する活動を紹介させていただきます。1枚めくっていただいて、まず、私どもがどういうところかというのを御紹介したいのですが、まず私どものいしかわ・かなざわオペレーティングユニットというのは、国連大学が唯一国内に持つ地域にある支所ということで、石川県金沢市から財政支援を受けながら活動をしています。そういったことから、まず一義的に地方創生に貢献すること、そして、地域からの学びを発信することで国連プロセスあるいは国連加盟国への貢献をするということで、主に環境分野、里山里海、生物多様性の保全について研究面から政策提言をしていくということで活動をしています。
 これまで地域で活動しているんですが、やはり私たち、国連機関ということで、グローバルプロセスであったりグローバルネットワークを利用して活動しています。これまで、CBD(生物多様性条約)、能登の里山里海はFAOの世界農業遺産に登録をいただいています。金沢市はユネスコ創造都市ネットワークというグローバルネットワークに初期からのメンバーとして活躍をして、白山ユネスコエコパークというところで、これまではエリアベースの認定地のグローバルネットワークで、主に地域と国際コミュニティーをつないできたところなんですが、2015年からはSDGsという、特にエリアを限定しない、そして非常に幅広い目標が出てきたわけで、それをどのように地域に根付かせていくかということも私たちの重要な活動の1つの柱になっています。
 これまで、ユネスコや生物多様性条約事務局などと共同で、例えば、先ほど、文化多様性条約の話もありましたが、生物文化多様性国際会議ということで、初めてアジアで開催したりということをやってまいりました。
 次のページに行っていただいて、国連大学はSDGsが2012年から策定プロセスに入ったときから、それに関わってきました。私どもも2015年、策定直後より、これを地域におろしたときにどんなふうにやっていくんだろうかということで模索をしてきたわけです。しかしながら、2015年9月採択直後は、SDGsで地域でやっていくということが誰と何をすればSDGsをしたことになるのかというのは、はっきり言って模索でございました。このページには教育に関連する取組を御紹介しているんですが、SDGsというものが出てきたときに、やはり教育の中でも高校の中でもグローバルな人材ですとかグローバルな視野を育むという動きが出てきて、地域のSGHの取組にアドバイザーとして参画をしたり、これ、後ほど細かく説明したいと思うんですが、小松サマースクールといったようなものに、SDGsのものを取り入れたりと、そういったことで2015年くらいから模索を始めたということで活動をしてきました。
 次のページをめくっていただいて、そんな中で、まず、SDGsを普及していこうということを一番の目標といたしまして、2018年度、昨年6月からなんですが、地域でSDGsいしかわ・かなざわダイアローグというものを始めました。これは、SDGs、17の項目がございますが、地域というのは、それぞれ全てのこと、特に自治体なんかは全てのゴールについて施策あるいは活動しています。民間でも企業でも様々なステークホルダーがいる中で、ゴール1つずつについて、地域のパートナーと何かイベントをやっていこうじゃないかということで、例えば、市民がみずから投資した再生可能エネルギーの現場をフィールドに行って見たり、あるいはUNWomenの石川さんとかをお呼びして、ジェンダーとか環境の面からSDGsを考えるシンポジウム、あるいは、うちがこれまでやったことのなかった働き方であったりということで、様々なイベントを仕掛けています。これは今年度ということで、3月末に総括シンポジウムをやっていきたいと思っているんですが、この中でやはり私どもが感じるのは、SDGsの非常に強いつなぐ力ということを感じています。
 これまで、ESDだったり里山里海あるいは環境保全といったことを私どもやってきたわけなんですが、やはり企業さんとつながったり、あるいは教育、例えば、ジェンダーのことをやっている、あるいは子供の貧困をやっている団体とつながることは非常に難しかったんですね。私どものイベントに、例えば企業さんが来てくださることはほとんどありませんでした。しかしながら、私たちが「SDGs」ということを頭に付けて、企業の方に環境を考える、ジェンダーを考えることをやっていただくということを言うと、いろんな方が来てくださるしということで、SDGsのつなぐ力を非常に感じているところです。
 一番下の方に、先ほど、甲木さんからSDGs未来都市のお話もありましたが、私どももその策定のために幾つかの自治体さんに働きかけをいたしまして、能登半島の先端にあります、人口1万5、000人程度の小さな珠洲市というところも手を挙げていただきました。そこでSDGsラボというものを立ち上げて、一緒に活動をしているところでございます。
 ここは、里山里海に非常に熱心なところではあったんですね。自分たちはいろいろやっているんだと、ユネスコの活動にも熱心だとは感じていらっしゃったんですが、SDGsというものを言ったときに、女性のジェンダーの問題であったりということが全く欠けていたということを行政の方は気付いていて、それを総合的にやっていきましょうということを強く気付いていただいたというところで、やはりSDGsの包括的なアプローチというところの重要さを考えているところでございます。
 小松サマースクールというのを1つ紹介したいと思っています。これは、大学生が事務局を務めて、高校生に英語でリベラルアーツ、一般教養を教えるというものなんですが、6日間のサマースクールです。2018年度の国際交流基金地球市民賞を受賞して、まさにSDGsの4.7に、グローバルシチズンシップの醸成というところに貢献する活動というところで評価もされているところでございます。
 私たちは、2016年からこのプログラムの中で、SDGsセッションというものを共催してきました。
毎年、大学生がテーマを決めて、高校生とワークショップをする。様々な課題を解決しようとしている大人が来て、ともに考えるということをやってきています。これまで大学生から出ているものとしては、多様性であったりLGBTの問題であったり差別を考えるといったような、心の豊かさを追い求めるようなテーマが出されています。
 1枚めくっていただいて、ここには参加した、グレーのものが高校生からの感想で、ブルーのものが事務局として参加した大学生の感想でございます。時間もありませんので、これはどのような心の動きがあったかということで、後ほど目を通していただければと思います。
 年齢を下にしたものの活動ということで、私たち、世界農業遺産、里山里海の保全ということで活動しておりまして、その価値であるとか生物多様性を育む価値あるいは文化的価値ということを、どうやって小学校低学年向けに伝えられるだろうかということで、低学年向けの絵本を作って、作るだけではなくて、それを小学校の授業にいかに入れていくかということで先生方と協議を始めています。
 よぼしこの森、これはまるやま組という地域のNPOなんですが、そこと協力をしながら、また、地域の、八十何歳の地域のきこりさんというか、林業に従事している方などをお呼びして、木をどうやって切るか、元気な木って何か、切った木がどれぐらい重いかというのを実際体験してもらう。
その木を自分たちで森林組合に持っていって、幾らで売れるのか、その木がどうやってパルプになるのかというのを、企業や地域の人、様々な人と協力しながら体験していただくという活動もしています。
 次のページは、私自身も文化的多様性とかそういったものの重要性を伝えるということで、お呼びがかかれば、いろんなところでお話をさせていただいているという活動をしています。
 次のページに行きまして、先ほど御紹介したように、我々、グローバルネットワークという中で活動しているということで、国際地域認証制度のサイト間の枠組みを利用して、コミュニティー同士の学び合いも推進しています。例えば、GIAHS(世界農業遺産)というFAOのネットワークで言えば、フィリピンのイフガオ棚田、イフガオは世界遺産にもなっていますが、能登の世界農業遺産にも棚田がございます。能登の人とイフガオの方々の学び合いを支援したり、あるいは白山エコパークにアジアからのエコパークで活動されている方々をお呼びして、実務者研修という形で様々に、今、アクションプランの実施はどのようにしたらいいのか等々を意見交換、そしてネットワーク作りとして推進をしているところでございます。
 ざっとここまで、事例というか、私たちの活動、主に教育に関するものを断片的に御紹介いたしました。「SDGs教育で問われているところ」というところで、これは非常に個人的な所感になるんですが、SDGs人材というものが、ページ左側にあります三角の図で、それが例えば、海の上に出ている氷山のものであるとするならば、その下にそれをやるための知識とか技術であったり、また、それを選ぶための考え方であったり価値観があって、それをさらに突き詰めると、在り方とか社会の存在そのものの仕方が問われるんじゃないかと私は常々考えています。
 知識・技術というのは、例えば、ICTであったり英語であったり、様々な学び方のアプローチがございまして、地域でも、先生方、一生懸命時間を割いて、これを取り入れていらっしゃいます。価値観ということで言えば、誰も取り残さない、SDGsの哲学でございますが、あるいは多様性ということ、そういったものもあって、その背景に、子供たちに真剣に向き合って、子供たちが深く学びをやっていくときというのは、関わっていく大人がそれ相応の在り方で関わらないと、存在が存在に呼応しますので、ツールだけではいけないというのが私の感じているところです。
 ここにちょっとせりふとして書いてあるんですが、大学生の女の子が言っていたんですが、「私たちは価値観が非常に柔軟なので、どんなことも受け入れられます。しかしながら、今、社会を動かしている人たちの価値観を変えるには一体どうしたらいいんですか」と言うから、私は選挙に行ってくださいと言っているんですけれども、そういった社会全体、あるいは私たち大人一人一人の在り方が、SDGsをやっていく中で非常に問われているんじゃないかと思っています。
 7月、ハイレベル・ポリティカル・フォーラムということで、今、地域初の、SDGsをどうやってローカライズしていくかが非常に課題になっていると思います。実際、SDGsのグローバルインディケーター、あるいは、その下の二百幾つのインディケーターも、正確には地域の実情を把握し切れていません。ということで、この紙には書いていないんですが、私ども、先ほど御紹介したSDGsラボで、地域なりの人材育成の指標って何だろうということを考えるワークショップというか、指標を開発するプロジェクトを始めたところでございます。
 その指標となるのは、知識とか技術をどれだけ教えたかということではなくて、考え方、価値観、あるいは在り方を測るものでありたいと地域の人と話しているところなんです。それが果たして可能なのかどうかは非常に難しいんですが、それの発表を7月のニューヨークのハイレベル・ポリティカル・フォーラムに向けて開発中でありますということで、私の発表は以上でございます。ありがとうございます。
【安西会長】 
 ありがとうございました。それでは、議題1のときの報告事項のことも含めまして、御意見、御質問をいただければと思います。
 どうぞ、細谷委員。
【細谷委員】 
 ありがとうございます。永井委員の先ほどの御説明、大変興味深く伺いました。石川金沢に国連大学唯一の地域ユニットがあるということで、私、たまたま福井から来ておるものですから、こういった大変貴重な活動をなさっている、お隣ですので、是非、何か均てんするような連携関係を模索できればと思いました。
 私が発言を求めましたのは、もう一つ、きょう、たまたま配付資料、1枚紙がございますけれども、タイトルが虹色で「ふくいユネスコフォーラム2018」と書いてある紙です。私、地域代表ではありませんけれども、たまたま、これ、ちょうどあさって、まさにSDGsについての地域の活動をやる予定ですので、ほんの一事例として簡単に御紹介したいと思いまして取り上げました。
 まさに、このタイトルをごらんになると分かるように、私、この事業、3つ意義があると思うんですが、第1の意義は、このタイトル自身、「SDGsってなぁに?」と。何を物語っているかというと、地方ではSDGsと言ってもぴんとこない人がいまだに多い。ですから、ふくいユネスコ協会ではありますけれども、会員の間でも、まずはSDGsを基本から連携をする会だというのが第一の趣旨です。
ですから、広報普及のためというのが第1の意義です。
 2番目は、SDGsを通してユネスコのことを知ってもらうというのが2番目の意義だと思います。ユネスコのことは、さすがに名前はよく知られていますけれども、ユネスコ協会の会員であっても実はよくは知らないと。まさによく言われる、世界遺産のこと以外、ユネスコは何をやっているか御存じない方々が、実はユネスコ協会の大半の方の実態でもあります。ですから、私はSDGsを取り上げるということは、地方においては実はユネスコのことを知ってもらう大事な機会だと捉えています。
 もちろんSDGsは国連システム全体の枠組みですから、世界のありとあらゆる国際機関が絡んでいるわけです。しかし、その中でも、ユネスコがどうかんでいるかというのは、地方においてこそ知ってもらう機会として取り上げられる。なぜかというと、申し上げるまでもなく、皆さん、所属しておられる民間協会、クラブ、ユネスコスクール、民間のネットワークを通して、まさに地域に最も身近な国際機関であるということを通して、SDGsという今のトピックを通してユネスコ自身を知ってもらうという大きな機会だと思います。
 3番目は、先ほど、横田委員の御報告の中でも出てきましたが、鯖江市がたまたま、非常に活発な市長さんがいらっしゃって、御存じの眼鏡の町でして、昔からものづくりで発展してきて、地方では珍しく、恐らく福井県では唯一、最近、人口が増えている町なんですね。国連本部でも、女性活躍社会を目指しているというようなことで演説された市長さんがいらして、これとの連携で、ささやかな行事ですけれども、今回やるということに。これはまさに、よく言われることですけれども、地域での企業、自治体との連携、この場合は自治体とユネスコ協会ですけれども、これの一例として意義があるかと思っておりまして、期待しております。
 以上です。
【安西会長】  ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。
【松浦特別顧問】 
 先ほどから、SDGsに関して、日本国内でいろんな団体、組織、さらには会社が絡んで、いろいろ推進していただいて、私、非常に嬉しく思って聞いておりました。
 細谷委員からも地方の点が出ましたけれども、1つだけ新しい点を申し上げたい。、、、つい先日、私は名古屋に招かれて、ESDについての会合に出席しました。国連大学がESDを中心として日本の地域全体を7つに分けています。、 、ESDは今、SDGsの大きな柱の1つ。さらには、教育に関する目標4の大きな柱になって重要なわけで、結局、ESDはSDGsの中でしっかりした足場を持っていると言っていいわけです。、国連大学が日本を7つの持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点(Regional Centre of Expertise on Education for Sustainable Development: RCE)に分けておりまして、中部地域の拠点地域の会合に招かれて行って非常に嬉しく思ったのは、そこの学生、社会人等々、皆さんが今、細谷委員から御説明があったように、ユネスコはもちろん教育の目標4が中心ですけれども、1から全てにいろんな形で関係しているので、中部地域の方々が、それぞれ1から7の目標をどういうふうに実施しているかを1日掛けて報告する会議に出席したのです。、、、是非ここで申し上げたいのは、今御報告があった地方の展開という点からは、中部の場合は中部大学が中心で熱心にやって、でこぼこあると思いますけれども、国連大学が7つの拠点を決めて、そして、それぞれがいろいろやっていると。それはもちろん地方に展開しているユネスコ協会、あるいはユネスコスクールその他と協力していかなきゃいけないんですけれども、拠点をやっぱりしっかり活用していくことも考えていただければと思います。
 以上です。
【安西会長】  ありがとうございました。他に。
 どうぞ。
【安達委員】 
 ありがとうございました。2つの発表とも、とても興味深くて、初めて知ることがたくさんありました。今日、普及に関するペーパーを出させてもらったんですけれども、そこでも指摘させてもらったところとして、やはりいろんな活動がたくさん連立しているところで、ネットワークを組んで、個々じゃなくて一緒にやっていくことができていければいいなということを指摘しています。
 先ほど細谷委員からもありましたけれども、やはりこのようなSDGsの取組がどこでどんなふうに行われているのかが分かるようなツールがあるといいなということを感じました。SDGsに関しては、地方のユネスコ協会でも個々にいろんな取組をされていて、例えば、鎌倉のユネスコ協会でもSDGsの塾を作って、セミナーという形で学んでいくような講習会を作ったりとかもしていますので、そのようないろんなセクターでやっている活動を一緒になって見られるような形のものが今後できていくといいなというところが、今日伺っていても思ったところです。
 以上です。
【安西会長】  ありがとうございました。
 どうぞ、神本委員。
【神本委員】 
 ありがとうございます。初めての参加で発言をさせていただく機会を頂きまして、ありがとうございます。たくさんの報告を聞かせていただいたんですが、SDGsの目的と言いますか、先ほど御説明にもあったように、誰一人取り残さない社会を実現する、人間の安全保障という考え方で進められる。このことは、今、私は参議院議員ですけれども、政治の責任でもあると思います。誰一人取り残さない社会を実現していくことこそ政治の大きな責任だと思うんですけれども、国会の中でこのことが、さっき、政府の取組は説明がありましたけれども、国会の中でどれだけこのことが議論され、具体的な政策なり立法措置なりを考えているかというと、なかなかそれができていないことを反省させられました。参議院の中には幸い、3年間を1つのサイクルとして調査会という制度がありますので、その中でSDGsを1つのテーマとして研究、調査しながら、政策立案につなげていくということもやっていくべきではないかということを、今日の会合で感じさせられましたのが1点です。
 もう一つは、先ほど、永井さんの報告の中で最後に、「SDGs教育で問われているところ」というのを見て思い出したんですけれども、私は議員になる前、小学校の教員をしておりまして、そのとき、勤めている学校が所属する地域の教育長さんから、「秘められた宝」というユネスコの21世紀教育国際委員会が出した報告書を、その教育長さんに紹介されて、日本の天城勲さんという方が監修して、翻訳された本なんですけれども、その中に、学びの4本柱というのが紹介されておりました。
 永井さんの御報告の最後のページに、「SDGs教育で問われているところ」に3つのピラミッドがありますけれども、4本柱というのは、1つは知ることを学ぶ、なすことを学ぶ。これが知識・技術のところだと思いますけれども、その次のところが、誰も取り残さないというところ、ユネスコ21世紀教育国際委員会では、他者とともに生きることを学ぶ、そして最後に、人間として生きることを学ぶという4つの柱が紹介されておりまして、私は学校で教育するときに、学びを子供たちと一緒にやっていくときは、この4つの柱は非常に大事だなということを感じて、それ以来ずっと自分の座右の銘にしているんですけれども、ユネスコスクールという取組が全国で1、100校以上という紹介もありましたけれども、実際にそこでやっていらっしゃる先生方がどれぐらいユネスコの学びの柱とかSDGsの目指すところを理解していらっしゃるのか。取り組みながら理解していく、それから広がっていくということがあると思うんですけれども、1つはやっぱり教員養成なり研修の中で、このSDGsを広げていくことはとても大事ではないかなということが1点と、実際取り組んでいる、私、出身が福岡県ですけれども、大牟田市というところでも盛んに自治体ぐるみでやっているということを現場の先生から聞きました。とってもいい目的を持ってやっているけれども、残念ながら、先生方は今、余りにも忙し過ぎて、新しいこういったものに取り組むのにはやっぱり人的配置、措置、そういったものの配慮がないと、どんなにいいことでもなかなか広がらないという声も実際に聞いておりますので、御紹介をしておきたいと思います。
 以上です。
【安西会長】 
 ありがとうございました。もう一つ議題がございますので、そろそろとさせていただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。お二人の先生方、御発表いただきまして、ありがとうございました。
 そろそろと言いながら、一言だけ恐縮でございますけれども、SDGsというのは、先ほど安達委員が言われたように、いろんなところでいろんな活動が行われておりまして、それを全体として皆様に知っていただくことは非常に大事なのではないかと。さっき、細谷委員も言われた、福井のイベントもありますけれども、いろんなことが行われております。
 また、教育につきましては、一応申し上げておくと、文部科学省の中央教育審議会等々でもって長いこと議論が行われてまいりまして、2020年度の小学校の学習指導要領から、社会に開かれた教育課程、そういう学習の方法に全体が変わっていくわけでございます。そういった大きな流れと、さっきからありますような教育へのいろんな御関心がどういうふうに重なっていくのか。それがひいては、例えば、大学の入学試験でありますとか、あるいは就活でありますとか、あるいは初任給の問題でありますとか、いろんなことに関わってまいりまして、じゃ、この国内委員会ってどこまで議論すればいいのかというのがなかなか。
 もう一つ、ESDとSDGsの関係が分かったようでいて、まだまだ分からないところもあり、ESDに非常に貢献してきていただいている、特にユネスコスクール、神本先生がおっしゃいましたけれども、ユネスコスクールは今、1、100校を超えておりまして、かなりの部分はESDとの関連でもってかなりの活動をやっているという状況になっているわけです。それとSDGsの関係をどういうふうに付けていくのかということは、是非皆様にもお考えいただければありがたいと思います。
 最後に、こういう言い方で恐縮でございますけれども、さっきからあります文化遺産等々のことも含めて、本当にこの国内委員会っていろんなテーマに関わっております。そういう意味では、新しい委員の方ももちろんでありますけれども、是非皆様、それぞれ御自分の問題として捉えていただいて、御意見があれば、是非事務局にお寄せいただければ幸いに存じます。
 なかなか時間がなくて、総会というのは大変申し訳ないんですけれども、一応ここまでにさせていただきます。特に何かありますでしょうか。よろしいですね。貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。それでは、議題2まではここまでにさせていただきます。
 それで、議題3ということになります。議題3につきましては、国内委員会委員の人事に関する事項の審議でございますので、会議の議事については非公開とさせていただきます。委員及び事務局関係者以外の傍聴の方々並びに報道関係者の皆様には、恐縮でございますが、御退席いただきますようにお願いします。
【以下非公開】

―― 了 ――
 

濵口会長、大枝副会長、日比谷副会長、猪口委員、委員、大野委員、委員、
沖委員、加治佐委員、萱島委員、河野委員、小池委員、小浦委員、肥塚委員、西
委員、坂本委員、佐藤委員、佐野委員、杉村委員、鈴木委員、角南委員、髙木
委員、髙橋委員、竹村委員、田代委員、谷川委員、道傳委員、野村委員、芳賀委
員、蓮生委員、羽田委員、林委員、東川委員、藤田委員、細谷委員、松本委員、
丸尾委員、見上委員、三木委員、道田委員、宮委員、山口委員、吉田委員、渡
邉委員

お問合せ先

国際統括官付