日本ユネスコ国内委員会総会(第150回)議事録

1.日時

令和4年3月11日(金曜日)13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第一講堂
対面とオンラインのハイブリッド形式での開催

3.出席者(敬称略)

〔委員〕
濵口会長、大枝副会長、日比谷副会長、猪口委員、漆委員、大野委員、大濵委員、沖委員、加治佐委員、萱島委員、河野委員、小池委員、小浦委員、肥塚委員、西藤委員、坂本委員、佐藤委員、佐野委員、杉村委員、鈴木委員、角南委員、髙木委員、髙橋委員、竹村委員、田代委員、谷川委員、道傳委員、野村委員、芳賀委員、蓮生委員、羽田委員、林委員、東川委員、藤田委員、細谷委員、松本委員、丸尾委員、見上委員、三木委員、道田委員、宮﨑委員、山口委員、吉田委員、渡邉委員

〔外務省〕
曽根国際文化交流審議官、中島国際文化協力室長

〔文部科学省〕
末松文部科学大臣、義本事務次官、小林大臣官房国際課長

〔文化庁〕
鈴木文化資源活用課文化遺産国際協力室長
守山文化資源活用課文化遺産国際協力室室長補佐

〔事務局〕
田口事務総長(文部科学省国際統括官)、町田副事務総長(同省文部科学戦略官)
河村事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、堀尾事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、原事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4.議事

【濵口会長】  準備も整いまして、お時間となりましたので開催させていただきます。
 本日は、御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。改めて御礼申し上げます。
 議事に先立ちまして、まず事務局から定足数の確認をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  本日は、会場から10名、オンラインで34名の委員に御出席いただいております。合計44名の委員に御出席いただいており、委員の定足数60名の過半数ですので、定足数を満たしております。
【濵口会長】  ありがとうございます。ただいま事務局から、定足数が満たされているとの報告がございましたので、第150回日本ユネスコ国内委員会を開催いたします。
 本日の総会は、前回同様にオンラインと対面のハイブリッド方式となります。傍聴の希望者に対してはユーチューブを通じて公開しております。また、本日の御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議には、末松信介文部科学大臣に御臨席いただいております。まず初めに、末松大臣より御挨拶を頂きたいと存じます。
 大臣、よろしくお願いいたします。
【末松文部科学大臣】  会長、ありがとうございます。
 第150回日本ユネスコ国内委員会総会の開会に当たり、御挨拶を申し上げます。
 世界は今、気候変動や新型コロナウイルス感染症といった地球規模課題を抱え、更に残念なことに、ロシア連邦によりますウクライナ侵略等により重大な人道上の懸念が生じております。日本国政府としましては、最も強い言葉で非難する声明を出すとともに、ウクライナに対してできる限りの支援を行うこととしております。ユネスコにおいても、ユネスコ本部からの声明に加え、我が国を含む世界各国のユネスコ国内委員会が連帯し、平和を希求する声明を発出しています。人と人、国と国との間の格差や分断の拡大が顕著になっている中、教育、科学、文化を通じた平和の構築という目標を掲げるユネスコの役割は、ますます重要になっていると言えます。
 皆様御存じのとおり、ユネスコ憲章前文の冒頭には、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」という言葉があります。
今日、委員会で、この言葉を引用させていただきました。第二次世界大戦の直後に宣言されたこの言葉の意味を、我々は今一度噛みしめ、平和な世界を築いていくために一人一人が努力する必要があると考えております。
 昨年は、我が国のユネスコ加盟から70周年、そして東日本大震災から10年、更に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるなど、我が国にとって大きな節目の年でありました。日本ユネスコ国内委員会においても、これらを踏まえ、昨年11月のユネスコ総会に向けまして、活発な活動が行われたと承知しております。本年は、我が国にとってもユネスコにとっても新たな一歩を踏み出す年であります。ユネスコでは、今後8か年の新たな「中期戦略」の期間が本年から始まりました。我が国としては、ユネスコの中期戦略と協調しつつ、教育・科学・文化に関する各種の取組を加速してまいりたいと思います。
 また、国連の持続可能な開発目標SDGsの達成期限である2030年まで、残された時間は10年足らずです。ユネスコは、「SDG4:質の高い教育をみんなに」を達成するため、加盟国のみならず、関係する国際機関も含めた新しい体制をスタートしました。我が国もこれに積極的に貢献していく所存です。
 また、SDGsの全ての目標達成に貢献する「持続可能な開発のための教育(ESD)」を推進していく所存です。このため、産業界や次世代を担う若者を含む様々なステークホルダーの皆様とともに、更なる連携を図り、日本におけるユネスコ活動を更に発展させていきたいと考えてございます。
 本日は、「次世代ユネスコ国内委員会」の若者から提言が発表されると聞いており、大変嬉しく思っております。ユネスコ活動の発展に向けた若い世代の活動に大きく期待しておりますが、当委員会の皆様におかれましても、それぞれの御視点から忌たんのない御意見を賜れればと思います。
 最後になりましたが、委員の皆様の御協力・御支援に感謝申し上げるとともに、本日の御議論が有意義なものとなることを祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。
 ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、ここで黙とうをささげたいと存じます。1995年から96年までの間、第11代日本ユネスコ国内委員会会長を務められました中根千枝先生が、昨年10月12日にお亡くなりになられました。謹んで御冥福をお祈り申し上げるとともに、皆様とともに中根先生に1分間の黙とうをささげたいと存じます。
 皆様、御起立をお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
 それでは、黙とう。
(黙とう)
【濵口会長】  お直りください。ありがとうございました。
 ここで、末松大臣は次の御予定がございますので、御退席されます。
 末松大臣、どうもありがとうございました。
(末松文部科学大臣退席)
【濵口会長】  それでは、議事に戻ります。
 昨年9月15日に開催されました第149回国内委員会総会以降、委員の異動がございましたので、まず、事務局から御紹介をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。前回国内委員会総会以降、国会の推薦により、日本ユネスコ国内委員会委員に御就任された委員を御紹介いたします。
 坂本祐之輔衆議院議員。
 谷川とむ衆議院議員。
 三木圭恵衆議院議員。オンラインで御出席いただいております。
 宮﨑政久衆議院議員。
 次に、第149回の審議に基づき、昨年12月1日の発令により、日本ユネスコ国内委員会委員に御就任された委員を御紹介いたします。
 大谷紀子東京都市大学メディア情報学部教授。
 沖大幹国立大学法人東京大学大学院工学系研究科教授。
 道田豊国立大学法人東京大学大気海洋研究所国際連携研究センター教授。
 渡邉綱男一般財団法人自然環境研究センター上級研究員。
 小浦久子神戸芸術工科大学芸術工学部教授。
 髙橋裕子津田塾大学学長。
 竹村詠美PeatixInc.共同創設者・アドバイザー。
 小池治鎌倉ユネスコ協会理事。
 松本千恵子群馬県ユネスコ連絡協議会事務局長。
 髙木要志男富山ユネスコ協会会長。
 大濵淳子大阪府ユネスコ連絡協議会監事、箕面ユネスコ協会副会長。
 鈴木昌德津山ユネスコ協会会長、岡山県ユネスコ連絡協議会会長、学校法人美作学園理事。
 吉田達哉新居濵ユネスコ協会会長。
 丸尾直彦大分県ユネスコ協会連盟会長。
 田代桂子株式会社大和証券グループ本社取締役兼執行役副社長。
 義本博司文部科学事務次官。
 以下、新任委員のうち、御欠席の委員です。
 野田国義参議院議員。
 丸川珠代参議院議員。
 野間省伸株式会社講談社代表取締役社長。
 矢野康治財務事務次官。
 森健良外務事務次官。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは続いて、前回の総会以降、事務局にも異動がございましたので、報告をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  昨年10月1日付で、河村裕美文部科学省国際統括官付国際戦略企画官、日本ユネスコ国内委員会事務局次長が着任しております。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 今日はもう一つ、議題に入る前に御報告がございます。
 事務局からメールで御連絡しておりましたが、今般のウクライナ情勢を受け、3月4日に「ウクライナ情勢に関する日本ユネスコ国内委員会会長声明」を発表させていただきました。資料3ページ目に入れさせていただいておりますので、御覧いただければと存じます。
 なお、ユネスコにおいても、2月24日及び3月3日に声明が発表されています。また、ドイツ国内委員会の呼びかけにより、30を超える国内委員会がウクライナへの攻撃を非難する共同声明を発表しており、日本もこれに賛同しておりますので、併せて御報告させていただきます。
 続いて、ウクライナ情勢に関連して、外務省及び日本ユネスコ協会連盟から、お一言ずつ頂戴いたしたいと存じます。
 まずは、外務省曽根国際文化交流審議官からお願いいたします。
【曽根文化審議官】  外務省国際文化交流審議官をしております、曽根でございます。ユネスコ関連で、ウクライナ情勢について御説明させていただきます。
 先ほどお話がありましたけれども、2月24日にユネスコから、更に3月1日にユネスコ事務局長から、ウクライナにおける軍事行動の進展を深く懸念する旨の声明が発出されております。その上で、来週ですけれども、3月15日・16日にはウクライナに関する執行委員会、特別会合が開催される予定となっております。当該会合にはユネスコ代表部から執行委員のメンバーとして我が国からも参加いたしまして、ウクライナ情勢に関する議論が行われることになっております。
 我が国は、ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であって、明白な国際法違反であるとして、断じて許すことはできず、厳しく非難しているところであります。ユネスコ内での議論も踏まえまして、日本政府としてユネスコを通じて文化面等におけるウクライナに対する支援についても、いかなる支援ができるか検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは次に、日本ユネスコ協会連盟、佐藤会長からお一言お願いいたしたいと存じます。
【佐藤委員】  日本ユネスコ協会連盟から御報告いたします。
 先ほど御説明のありました、濵口会長のウクライナ侵攻非難の声明について、全面的に賛同いたします。また、日本ユネスコ協会連盟も同様の趣旨の声明を公表しております。今回のロシアのウクライナ侵攻は、ユネスコ創設の精神を踏みにじるものであり、また世界の平和を根底から覆すものであります。時代を80年前に逆戻りさせてはなりません。平和と民主主義を守るために、世界の国々は国家、企業、人々が団結して対応して、そしてロシア国民の良識と声を喚起させて、決して今回のもくろみを成功させてはならないと考えます。
 チラシを御覧いただきたいと思います。日本ユネスコ協会連盟は、ルーマニアのユネスコ協会連盟と連携し、ウクライナの国境及びルーマニアに避難した人々の支援と募金を開始しております。詳しくはユネスコ協会のホームページに掲載されております。更にそのほかへの展開や子供の教育の復旧など、私たちが何をできるか考えてまいります。皆さんに良いアイデアがあったら、お寄せいただきたいと思います。御支援のほどよろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題の1に入りたいと存じます。なお、本日は東日本大震災から11年目となります。午後2時46分になりましたら議事を一旦中断し、黙とうをささげたいと思います。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 議題1は、「最近のユネスコ関係の動きについて」であります。
 項目「(1)第41回ユネスコ総会の結果等について」及び「(2)その他ユネスコ関係の動きについて」を、事務局及び関係機関から報告いただきたいと思います。御意見、御質問については、報告の後、まとめてお願いさせていただくことといたします。
 それでは、まずユネスコ総会の結果について、事務局からの報告をお願いいたします。
【河村国際戦略企画官】  事務局でございます。失礼いたします。
 第41回ユネスコ総会について、結果を御報告させていただきます。資料1-1でございます。画面にも共有されてございます。
 第41回ユネスコ総会は、昨年の11月9日から24日にかけて、ユネスコ本部のあるパリで、対面とオンラインのハイブリッド形式で行われました。文部科学省からは田口国際統括官が出席させていただきました。
 各委員会でございますが、合同委員会、教育委員会、自然科学委員会、人文・社会科学委員会、情報・コミュニケーション委員会、文化委員会が、それぞれ開催されました。
 日本政府による一般政策演説につきましては、日本政府首席代表として、義本博司文部科学事務次官と尾池厚之ユネスコ特命全権大使による一般政策演説を行いました。その中で、ESDや、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」の推進等、今後ともリーダーシップを発揮しユネスコに貢献していく旨、述べたところでございます。
 総会における具体的な議事について概要を御説明させていただきます。2022年から2029年にかけての次期中期戦略及び2022年から2025年までの予算案に関して、採択されたところでございます。
 また、11月3日を生物圏保存地域国際デー、10月6日を国際ジオダイバーシティデーとして定めることが採択されました。
 さらに、ユネスコESD for 2030フレームワークが動き出し、第42回の総会で事務局長から各国の取組を報告するということが、日本とドイツによる共同提案により決議をされました。
 加えて、「SDG4-教育」につきましては、2030年に向けてグローバル及びリージョナルでの調整及び支援が行われる旨、議論が行われ、採択されました。
 続きまして、科学分野でございます。オープンサイエンスに関する勧告、AIの倫理に関する勧告が採択されました。
 それから、1974年の勧告でございますが、国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告の改定の妥当性についての技術的、法的性質に関する予備調査に基づき、改定に向けて検討を行うことが採択されました。
 総会の場以外でございますが、ユネスコ総会サイドイベントが幾つか行われました。「教育の未来」のグローバルレポートでございますが、数年かけてユネスコ事務局長のイニシアチブの下議論が行われ、2030年以降、教育の未来に必要な教育の制度についてのグローバルレポートが発表されました。
 それから、ユネスコとフランス政府の共催で、グローバル教育会合(GEM)ハイレベル会合が開催され、教育への投資等を目標とするパリ宣言が採択されたところでございます。
 また、表彰関係でございます。2020年微生物学のためのカルロス・フィンレイ賞が表彰され、2020年の受賞者である本田賢也 理化学研究所生命医科学研究センター消化管恒常性研究チームリーダーが受賞をされたところでございます。
 さらに、ユネスコ/日本ESD賞が表彰式を開催いたしまして、ガーナ、パレスチナ、ペルーの3つの国の団体が受賞したところでございます。
 その他、毎回、ユネスコ総会に合わせましてユースフォーラムが開催されますが、我が国からもユースの方に参加していただいたところでございます。
 ユネスコ総会関係につきましては以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 続きまして、外務省から、ユネスコ総会等における選挙関係の報告及び河瀨直美氏のユネスコ親善大使任命について報告をお願いいたします。
【曽根文化審議官】  外務省であります。まず、総会関連の選挙について御報告いたします。
 今回のユネスコ総会におきましては、アズレー事務局長の再選、ユネスコ執行委員会委員国選挙、下部機関選挙が行われまして、また、総会に引き続き開催されました世界遺産条約締約国総会で世界遺産委員会委員国の選挙が行われたところであります。
 まず、アズレー事務局長につきましては、昨年10月の第212回執行委員会におきまして、事務局長候補として指名を受けまして、今回の総会におきまして正式に再任されました。アズレー事務局長は、ユネスコの非政治化、加盟国や市民社会等との対話などに引き続き取り組む意思を表明しており、我が国は、アズレー事務局長が再選への出馬表明を行ったときから、一貫して支持してきたところでございます。
 次に、ユネスコ執行委員会委員国選挙につきまして、アジア太平洋グループからは、改選6議席に対し、立候補した国は日本、フィリピン、インド、ベトナム、クック諸島、中国の6か国であり、クリーンスレートでありました。日本はグループ内の1位で当選をいたしたところであります。我が国は、1952年以降、継続して執行委員国を務めており、引き続き積極的に関与してまいりたいと考えております。
 また、執行委員会委員国選挙の翌日に行われました総会下部機関選挙については、我が国は、法規委員会、政府間水文学計画(IHP)政府間理事会、人間と生物圏(MAB)計画国際調整理事会の3つにつきまして立候補しておりまして、いずれも当選することができました。
 なお、前回の第40回総会で選出され、任務を継続しているものとしましては、万人のための情報計画政府間理事会、文化財原保有国返還促進政府間委員会、政府間生命倫理委員会理事会がございます。
 また、ユネスコ総会終了後、世界遺産条約締約国総会がございまして、そこで世界遺産委員会委員国選挙がございました。委員国選挙の中では、地域枠の改選議席が2議席ございまして、日本、インド、モンゴルの3か国が立候補いたしましたが、我が国とインドが当選したという結果でございます。
 続きまして、河瀨直美氏のユネスコ親善大使任命につきまして御報告させていただきます。
 映画監督の河瀨直美氏が日本人の女性として初めてユネスコ親善大使に任命されまして、昨年11月25日、パリのユネスコ本部で任命式が行われたところでございます。河瀨氏は著名な映画監督であることは言うまでもございませんが、外務省がユネスコを通じて進めております、アフリカの女性映画製作者に対する人材育成事業にも協力していただいているところでございます。河瀨氏のユネスコ親善大使の就任には、こうした映画を通じた国際文化交流やジェンダー平等への取組への貢献が評価されたものと考えております。
 私自身、昨年12月に河瀨氏にお会いさせていただきましたが、ユネスコを通じた女性の活躍の推進にも意欲を持って取り組まれたいというお話がございまして、大変心強く思ったところでございます。
 河瀨氏の就任により、今後、ユネスコの活動が国内において一層広く紹介されるとともに、日本とユネスコの関係が一層強化されることを期待したいと考えております。
 なお、日本人のユネスコ親善大使としましては、河瀨氏のほか、千玄室茶道裏千家前家元が2012年に任命されまして、現在も活躍していただいているところであります。また、過去には平山郁夫氏、藤森鉄雄氏、杉良太郎氏が任命されておりましたが、今回、河瀨氏は、日本人としては5人目の任命ということでございます。
 以上、報告させていただきます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、事務局から、ユネスコ「世界の記憶」について報告をお願いいたします。
【河村国際戦略企画官】  事務局より失礼いたします。
 「世界の記憶」は、ユネスコにおきまして、1992年に開始されました、人類史において特に重要な記録物を国際的に登録する制度でございます。制度自体は1995年から実施されているものでございます。対象としましては、手書き原稿、書籍、新聞、ポスター、地図、絵画、楽譜、映画・フィルム、写真等、動産のものが対象になってまいります。
 登録状況でございますが、国際登録は現在429件、地域登録が56件でございます。国際登録に関しましては、2017年より制度改正が取り組まれまして、昨年、2021年4月に加盟国政府を通じて申請すること、当事国から異議申立て制度を新設し、問題がある案件については当事国間で対話を行い、帰結するまで登録を進めないこと等を含む内容が決定し、昨年7月にユネスコにて公募が再開されたところでございます。地域登録に関しましても、アジア太平洋地域の地域登録は国際登録とほぼ同様の内容の制度見直しが行われまして、今年2月に改正が決定され、同月、公募が開始されております。
 次のページでございますが、国際登録に関しまして、日本におきましても、昨年、関係省庁連絡会議にて2件の推薦を決めて申請を出しているところでございます。今後、ユネスコ内の審査を経て、来年2023年に登録の可否が決定する予定でございます。我が国から推薦を出させていただきましたのが「浄土宗大本山増上寺三大蔵」、もう一点が「智証大師円珍関係文書典籍」でございます。日本と中国の文化交流史にまつわるものでございます。
 また、地域登録に関しまして、先月、2月に公募が開始されたものにつきましては、現在、申請を受け付けております。4月15日に申請を締め切りまして、今後、審査委員会、それから関係省庁連絡会議を経て、我が国から今年中に地域登録、MOWCAP(「世界の記憶」アジア太平洋地域委員会)への推薦案件を決定しまして、年内にMOWCAP総会にて決定される予定でございます。
 次のページでございますが、「世界の記憶」の推薦までの流れを書かせていただいております。文部科学省、それから外務省、オブザーバーとして内閣官房に入っていただきまして、関係省庁連絡会議を経て、ユネスコに申請をするという流れが新たに加わっております。
 また、来年度でございますが、新しい予算としまして、ユネスコ「世界の記憶」は今年で創設30周年を迎えるものでございますので、文部科学省といたしましても、国内における「世界の記憶」への普及促進、啓発活動が必要であろうという観点から、新しく理解促進事業を立ち上げるものでございます。また、同時に、国内申請の手続に当たりまして、関係者間の調整等々のお手伝いをするという観点から、「世界の記憶」に関して申請を希望する個人・団体に対しての研修を実施する予定でございます。
 「世界の記憶」に関しての御報告、御説明は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、文化庁から、世界文化遺産・無形文化遺産について報告をお願いいたします。
【鈴木室長】  失礼いたします。文化庁文化遺産国際協力室長の鈴木でございます。
 資料は20ページということで、資料1-3を御覧ください。まず初めに、世界遺産について御説明をさせていただきます。
 昨年12月に、文化審議会において今年度の世界遺産の推薦候補として「佐渡島の金山」を選定いただきました。それを踏まえまして、本年2月1日に閣議了解を経て、「佐渡島の金山」に関する推薦書をユネスコ世界遺産センターに提出してございます。
 今後のスケジュールでございますが、資料に書かせていただいておりますように、今年の夏から冬頃にはイコモスによる審査、それから、来年の5月にはイコモス勧告、そして、6~7月頃には世界遺産委員会における審議・決議が予定されてございます。
 少し下の方に書かせていただいていますように、「佐渡島の金山」の概要ですけれども、17世紀における世界最大の金生産地であるということ、それから、当時、ヨーロッパでは機械化が進んでいた中ですけれども、その中において伝統的手工業、手作業で高品質、最大級の金の生産をしていたという遺構が現在も残っていることが世界遺産としての価値であると考えてございます。
 それから、次がユネスコ無形文化遺産についてでございます。21ページを御覧ください。
 2月25日に文化審議会の無形文化遺産部会において、今年度のユネスコ無形文化遺産の提案候補として、「伝統的酒造り」が選定されております。「伝統的酒造り」につきましては、ここにありますように、昨日、無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議が開催されまして、「伝統的酒造り」を無形文化遺産に提案することが決定されております。今後は、3月末までにユネスコに提案書を提出させていただく予定としてございます。
 次の22ページに移っていただきますと、「伝統的酒造り」を提案した理由を書かせていただいてございますけれども、日本の文化の多様性ですとか深みといったものを世界に発信していく観点から、文化財保護法が改正され、新たに導入された登録無形文化財にも提案の対象を広げる観点の中から、「伝統的酒造り」は杜氏や蔵人といった方の経験の蓄積によって手作業の技として築き上げてきた酒造りの伝統工芸技術であるということ、また、酒そのものが日本人の社会的習慣ですとか儀式、祭礼行事にも深く根差したものであるということから、今年度の無形文化遺産の提案候補ということで選定を頂いたものでございます。
 簡単ではございますが、文化庁からは以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告事項について、御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。
 いかがでしょうか。芳賀委員、どうぞ。
【芳賀委員】  芳賀です。「世界の記憶」の国内の審査委員会委員、また、アジア太平洋地域委員会執行部副議長でありますので、一言だけ確認をいたします。
 資料1-2、15ページにありますように、「世界の記憶」の第一の目標は、「記録物への認識を高め、保存やアクセスを促進する」です。すなわち、登録自体は目標ではありません。そういう意味で、文部科学省がこれから行う18ページにある理解促進事業などといった広報・普及啓発こそ、本当の目的であることを改めて確認したく思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。御指摘を生かしたいと存じます。
 オンラインで沖委員、お手を挙げられていると思います。いかがですか。
【沖委員】  ありがとうございます。今の最後のユネスコ無形文化遺産に対して、「伝統的酒造り」というのは非常にいいと思います。と申しますのは、私、以前、親日派のアメリカの先生から、日本酒はどうやって18度、19度といった高いアルコール濃度を実現しているのかと質問されたことがございます。これは、ワインを考えていただいたら分かると思いますけれども、こういう高いアルコール濃度では普通の酵母は死んでしまうので、そこまで高められないそうなのです。それをこのように可能としているというのは、正に伝統的なたくみの技であるといった、単に私たちの生活文化に根差しているというだけではなくて、伝統的な酒造りそのものが非常に高度な磨き込まれた技術の技であると、職人の技であるといった点も是非盛り込んでプロモートしていただければいいのではないかと思います。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 ありがとうございます。御意見がなければ、次の議題に移りたいと存じます。
 それでは、議題の「2. 我が国におけるユネスコ活動の現状と今後の取組について」に移ります。
 まずは項目「(1)専門小委員会からの報告」について、教育、科学、文化・コミュニケーションの順で、各専門小委員長から報告をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
【杉村委員】  ありがとうございます。それでは、教育小委員会から、委員長の杉村が報告させていただきます。
 2月24日に開催されました第146回教育小委員会について御報告いたします。
 今回の教育小委員会では、まず、昨年11月に開催されました第41回ユネスコ総会の報告が事務局からありました。ユネスコ総会につきましては、先ほど、議題1でも御報告いただいたとおりでございます。教育関係では、ドイツと日本の共同提案により、ESD for 2030 フレームワークに関する決議が提案、採択されています。ESDに関しては、ユネスコ/日本ESD賞の表彰式も行われ、日本のプレゼンスとともにESDの重要性が共有されたところでございます。
 また、「国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告」、通称「1974年勧告」の改定に関する議論が行われ、今後2年かけて改定案の検討を行うということ。そして、次回、2023年のユネスコ総会に提案されることが決まりました。本勧告は、SDG4.7、ESDのモニタリングにも用いられる重要な勧告であり、改定に際しましては、教育小委員会としても積極的に貢献していきたいと思っております。
 次に、昨年5月に公表されました、第2期ESD国内実施計画について文部科学省及び環境省より、それぞれのESDの推進に関する取組が報告されました。委員の先生方からは、ユネスコスクールやESD活動支援センターなどを通じた文部科学省と環境省の連携、また、学校外の関係者とのネットワークの強化や、国際的なフレームワークへのユースの参画の重要性など、多くの御意見を頂きました。
 最後に、昨年2月に教育小委員会で策定いたしました、ユネスコスクールの新たな展開に向けて、この策定後の進捗について、事務局からの報告を受けた後、来年度より開始予定の、ユネスコスクール加盟校のレビューの方法について議論を行いました。
 特にレビューを通じて国内の優良事例の収集を行い、ユネスコスクールの活動成果として、積極的に情報発信をしたり、相互レビューにより互いに学び合って活動の質を高め合っていくこと、そのための仕組みや活動チェックシートについて議論がありました。また、学校や教師の御負担等々も踏まえた実現可能性についても多くの意見が出されました。
 これらの御意見も踏まえまして、ユネスコスクール加盟校定期レビューの実施について教育小委員会としてまとめる、また、定めていくこととしております。
 教育小委員会からの報告は以上でございます。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、科学小委員会、お願いいたします。
【日比谷委員】  科学小委員会委員長の日比谷でございます。私どもの小委員会は、前回の総会以降、2回開催しておりますけれども、本日は、先週3月2日にいたしました第5回科学小委員会の内容について御報告申し上げます。
 この会合では、本小委員会の下に設置されている、政府間海洋学委員会(IOC)分科会、政府間水文学計画(IHP)分科会、人間と生物圏(MAB)計画分科会の3つの分科会を含めたユネスコ科学分野の動向について共有を行ったほか、先ほども御報告がございましたけれども、昨年秋の第41回ユネスコ総会での科学関連の報告及び意見交換を行いました。
 今回の総会での大変に重要な点としては、2つの勧告が採択されたことでございます。一つはオープンサイエンスに関する勧告、もう一つはAIの倫理に関する勧告ですが、各国の意見照会や様々な地域コンサルテーションを経て策定に至ったものです。
 私どもの小委員会においては、それぞれの勧告策定のための政府間委員会に日本の代表として出席したお二人の方から、勧告の背景や内容、OECDやG7などとの議論の比較、国内における考え方などについてヒアリングを行いました。どちらの勧告も科学技術の発展に伴って変容を遂げる社会を踏まえたものとなっており、科学分野だけでなく、ほかの分野にも影響が及ぶような大変横断的な勧告となっております。
 小委員会では各委員が、それぞれの立場、専門知見を踏まえ、勧告における定義の内容について、また、格差解消等も含めた勧告の影響、市民参加に至るまで、非常に充実した議論が行われたと思います。
 また、今時ユネスコ総会において、日本はIHP政府間理事会及びMAB計画国際調整理事会の理事国に選出されています。既にIOC執行理事会の理事国にも昨年夏のIOC総会で選出されておりますけれども、科学小委員会としては、引き続き国内外の専門家や関係機関との連携を強化し、理事国として貢献していくべく、ユネスコに協力していきたいと考えております。
 具体的なことを申し上げますと、2022年から29年をターゲットとして、新たに策定された、IHP第9期戦略計画の実施や、昨年から始まった、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」の更なる推進、昨年50周年を迎えましたMAB計画へのより一層の協力など、科学に関する様々な分野に対し、信託基金による支援や知的貢献を果たしていくこととしております。
 新たに作成された勧告や中期戦略は、科学だけでなく教育、文化、情報・コミュニケーション分野との連携も意識した内容となっております。領域を超えた取組の重要性は、これまでの国内委員会でも、令和元年の建議をはじめ、多様な議論が展開され、実績が積み上げられてきていることから、科学小委員会としても、引き続き様々な分野との連携や、ユネスコ科学分野の更なる推進に尽力していきたいと考えております。
 私の御報告は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、文化・コミュニケーション小委員会、お願いいたします。
【羽田委員】  文化・コミュニケーション小委員会委員長の羽田です。ここでは、2月24日に開催されました、第5回の小委員会の議事について御報告します。
 議事は3点ございましたが、そのうちの2点は既に先ほど報告のところで紹介されています。1点目は「世界の記憶」についてです。外務省から先ほどの内容を御報告いただきました。その後、国内広報とか普及啓発に関して事務局から説明があり、委員から提案や意見を頂きました。主なものとしましては、先ほどの芳賀先生の御意見、それから記録物を所有している多くの機関に公募情報が行き届くように広報を工夫すること、あるいは「世界の記憶」に登録済みの記録物を所有する団体から実情を聞いて、実態把握しながら広報に努めるといったことであります。「世界の記憶」につきましては、引き続き本小委員会から適宜、助言を行っていきたいと考えております。
 2点目は、これは文化庁のほうから御説明がありました、「佐渡島の金山」の世界遺産への推薦であります。
 3点目はユネスコ創造都市ネットワークの推進に関わる小委員会の議論です。初めに、昨年11月に食文化の分野でユネスコ創造都市に加盟認定されました大分県の臼杵市から加盟までの経緯、現在の取組、今後の展望について報告を頂きました。次に、文部科学省から、登録済みのユネスコ創造都市、これは現在10か所ございますけれども、その都市に対する支援や、今後、ユネスコ創造都市への登録を希望する地方自治体に対する支援の方向性について、そして、文化庁からもう一つ報告がありまして、全国の文化芸術創造都市、これは少しややこしいのですが、日本国内の文化芸術創造都市のネットワークというのがございまして、それを創造都市ネットワーク日本(CCNJ)といいますが、これとユネスコ創造都市、こちらは国際的なネットワークですが、これとの連携についての説明を頂きました。
 これらの報告の後で、国として取り組むべき施策について意見交換いたしました。委員からは、ユネスコ創造都市を持続的に推進していくためには、まず、地域住民や地元の団体企業と連携すること、それから各都市、地域の創意工夫を大切にしながら推進すること、これらが重要だという御意見がございました。それから、国として、各都市、地域の魅力ある取組を国際的にうまく伝えて、国際連携を強化するための方策を考えるべきだといった御意見もありました。
 ユネスコ創造都市の活性化、それから、そのためのネットワークの推進については、この後、また、次世代委員会からも提言があるかと思いますけれども、それとも連携しながら、本小委員会において引き続き審議を進めてまいりたいと思います。
 以上が文化・コミュニケーション小委員会からの報告です。
【濵口会長】  ありがとうございました。委員長の皆様、改めてありがとうございます。
 それでは、ただいまの御報告に対して、御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。
 蓮生委員、お願いいたします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。文化・コミュニケーション小委員会の「世界の記憶」事業について、コメントさせていただきます。
 本事業の国際登録及び地域登録の制度について、政治的中立性を確保するために、多くの方の努力により、昨年、透明性確保のための仕組みが確立されるに至ったことを非常に歓迎いたします。そして、これまでネガティブなイメージとともに広報されることが多かった過去と決別して、この事業の本来の在り方を、本事業設立30周年を記念して、これから探っていきたいという前向きな取組を是非本委員会としても後押ししていただきたいと思います。
 その文脈におきまして、本日の配付資料の18ページにございますように、広報・普及啓発のための戦略策定や広報の実施及び申請希望者に対する研修の実施などが提唱されておりますが、このようなトップダウンの戦略も非常に重要であると考える一方で、これに加えて、もう少しボトムアップの戦略もこれからは取り組んでいくべきではないのかなと考えております。
 と申しますのも、ユネスコの第211回執行委員会で採択されました、「世界の記憶」事業に係る一般指針を拝見いたしますと、「世界の記憶」遺産は非常に膨大かつ複雑なものであり、単一の登録制度では扱い切れず機能しない。そのためには国際登録、地域登録、そして国内登録という3つの登録制度のアプローチから成り立っているという御説明がございました。
すなわち、本来は3本立ての制度だったはずなのですが、現在日本には国内登録の制度はございません。今後、本日の総会の後半でも議論される予定の、学校や地域やユースなどを巻き込んだ取組の可能性というものを考えますと、将来的には是非、より人々にとって身近な国内登録の制度等も検討していただきたいと考えております。
 是非よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  重要な御指摘ありがとうございます。過去のいろいろな意見から一新して新しい発想になったということは大変重要だと思いますし、国内で遺産候補になるようなものをどう扱っていくか、少し事務局と相談させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】  ありがとうございます。渡邉でございます。
 「国連海洋科学の10年」の紹介がありました。2021年からの10年ということになります。
同じ2021年からもう一つ国連の10年で、「国連生態系回復の10年」というのがスタートしています。都市や農地、森林、海洋、様々な生態系の回復を各国に呼びかけていく取組で、国連環境計画(UNEP)と国連食糧農業機関(FAO)が主導機関になって、ユネスコ、国連大学、国際自然保護連合(IUCN)、そういった機関がパートナー機関となっています。
 ただ、活発に活動が始まっている「国連海洋科学の10年」と比べると、まだまだ、「国連生態系回復の10年」についてはあまり知られていなくて、活動が始まった段階という状況です。是非、「国連海洋科学の10年」の活動との連携、あるいは、ユネスコエコパークやジオパークといった、国際登録地域の現場での活動との連携を通じて、「国連生態系回復の10年」についても、国内での活動が活発化していくように、国内委員会でも御支援を頂ければと思います。
 渡邉からは以上です。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。重要な御指摘を頂きました。
 それでは続きまして、道田委員、お願いいたします。
【道田委員】  ありがとうございます。道田でございます。「国連海洋科学の10年」に今言及がございましたし、日比谷委員長からもお話があったところでございますが、今、渡邉先生御指摘のとおり、「国連海洋科学の10年」及び「国連生態系回復の10年」の連携、これは極めて重要だと我々も思っておりますので、是非進めてまいりたいと思います。さらには「国連海洋科学の10年」と銘打ってはいますけれども、海洋をめぐる社会課題の解決のためには、科学の枠を超えて、教育あるいは文化のセクターとの連携ということも国際的にも求められています。我が国としても重要な視点と思っておりますので、我々からも、一部アプローチを申し上げますけれども、今日この国内委員会の場、あるいは関連の場を通じて、より連携を深めて適切に推進してまいりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【濵口会長】  ありがとうございます。連携、どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかはございますでしょうか。
 御意見なければ、次の議題に移ります。いろいろな御意見をありがとうございました。対応を図らせていただきたいと思います。
 それでは、議題「2. 日本ユネスコ加盟70周年の活動報告及び(3)令和4年度我が国のユネスコ関係予算(案)について」に移りたいと思います。
 両項目まとめて事務局から説明を頂いた後、御意見、御質問等をお伺いさせていただきます。では、まず、事務局から説明をお願いいたします。
【河村国際戦略企画官】  事務局でございます。失礼いたします。資料2-1に基づきまして、御説明させていただきます。
 昨年2021年、日本のユネスコ加盟70周年でございました。かねてより、日本の各地にございます、ユネスコの地方組織の皆様が活発に活動していただいているところでございますけれども、昨年は特に70周年ということで、ロゴマークを策定させていただきまして、節目の年ということで、コロナ禍にもかかわらず、オンライン等々を駆使して、各地の日本ユネスコの民間団体の方々において、イベントを行っていただいたところでございます。
 この表からも分かりますとおり、毎月必ず、70周年関係の記念イベントを開催していただいております。文部科学省それから日本ユネスコ国内委員会の主催した事業といたしましては、6月から9月まで、日本のユネスコ加盟70周年記念展示、これにつきましては、9月等々もやっておりますけれども、秋、冬とやっております。こういった記念展示をさせていただきましたり、濵口会長から、日本ユネスコ加盟70周年記念のメッセージを発信していただいたり、それから、毎年ございます、夏休みを利用した、「こども霞が関見学デー」におきまして、日本ユネスコ国内委員会の広報大使によるトークイベント等々をオンラインで実施させていただいたところでございます。
 その他、様々な活動をさせていただきまして、オンラインを駆使しながらも、全国セミナー、イベント等々を開催し、70周年の節目の年を活動させていただきました。委員の皆様におかれましては、各所において御協力いただきまして、ありがとうございます。
 それから、地方でかなり活発に、なかなか私たちも行けないものでございますが、地方にありますユネスコ関係の民間団体の方々が活発に活動してくださいました。この場をおかりしまして、御礼申し上げます。
 続きまして、ユネスコ関連の予算でございます。資料2-2でございます。
 来年度のユネスコ関連の予算でございますが、外務省、それから文部科学省、国土交通省、合わせて分担金といたしましては、30億9,800万円、それから任意拠出金といたしまして、6億2,500万円といった額をユネスコ関連予算として計上させていただいております。
 その次でございますが、文部科学省関係になって大変恐縮でございます。文部科学省関係では国内外におけるユネスコ活動の推進といたしまして、資料3-1でございます。様々な事業を展開してまいります。信託基金を通じた我が国のプレゼンス向上と、SDGs達成への貢献といたしまして、アジア太平洋地域等における教育・科学分野での戦略的・重点的支援の事業を引き続き行わせていただいたり、パリの本部と連携しながら、SDGs実現のための教育プログラムに関する日本政府の信託基金の拠出をさせていただいたり、ユネスコ「世界の記憶」協力事業信託基金を拠出させていただいているところでございます。
 文部科学省独自の事業といたしまして、先ほど芳賀委員、それから蓮生委員からも御発言がございました、ユネスコ「世界の記憶」に関する普及啓発活動につきまして、新規で予算を立てさせていただいているところでございます。
 それから、ユネスコ関係の情報が1つのポータルサイトに集まって、色んな活発な活動を促進していくための、ユネスコ未来共創プラットフォームでございますが、本事業は来年度で3年目を迎えるところでございます。こちらにつきましても、より活発に使いやすいプラットフォームにすべく、来年度も引き続き頑張ってまいりたいと思います。
 それから、SDGs担い手の育成事業につきましても、こちら、民間企業の皆様と協力して推進していく事業でございます。また、大学等々、自治体、ユネスコ関係の民間団体、様々なステークホルダーがSDGs達成のための担い手の育成事業を展開しているところでございますが、こちらにつきましても、来年度実施してまいりたいと思っております。
 最後のSDGs達成担い手育成(ESD)推進事業につきましては、現在、公募を開始して、応募をお待ちしているところでございます。
 文部科学省の事務局からは以上でございます。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対して御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 芳賀委員、お願いいたします。
【芳賀委員】  芳賀です。
 まず国内に関わることですけれども、文化庁と文化審議会のお力で博物館法の一部を改正する法律案が2月22日に閣議決定されて、国会に提出されました。1951年に博物館法が制定されて以来、70年以上を経ての大きな進歩が図られています。
 例えば、第3条には地域の多様な主体との連携協力によって文化観光を図り、地域の活力の向上に取り組むことを努力義務として追加、特に第1条の博物館の目的においては、社会教育に加えて文化芸術基本法の精神に基づくことが追加されて、つまり、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することの観点が追加されました。
 こういった新しい博物館法の下で、今後更にユネスコもより強力に博物館と協働していくべきだと思います。
 2点目、国外に関わることです。
 日本という国とユネスコ国内委員会というのは、ユネスコ本部からのダウンストリームを受け取ることにおいて、まるで優秀な受験生や東大生のように優秀です。しかし、田口国際統括官方がよく了承していらっしゃることと思いますが、日本は更にアップストリームを心がけるべきだと考えます。
 例えば、SDGsを真に体現しているのは、同じ国と王朝が連綿と継続している日本であること、特に徳川の平和といった、平和を持続する方法を日本は知っていることを強調してよいと思います。ユネスコは憲章で「平和のとりでを築く」といつもうたいますけれど、日本の都にはそもそもとりでさえ必要ない、と。日本の平安京などの都は中国の都をまねましたが、城壁はありません。そのような平和な国です。あるいは逆に、「課題先進国」である日本の失敗や教訓をアップストリームすることも重要です。
 例えば具体的には、私が東北の者で、今日が3月11日だから強く思うのですけれども、放射能汚染された文化財の扱い方などは日本だけが経験して、その対応方法を世界へ発信していることです。このような、日本からユネスコへのより強力なアップストリームを文部科学省・外務省の皆さんにお願いしたく思います。
 以上です。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。大変貴重な御意見を2ついただきました。
 それでは、オンラインの肥塚先生、お願いします。
【肥塚委員】  恐れ入ります。ありがとうございます。予算のところで、新規のところがございましたけれども、新しい取組をすることは非常に発展的だなというふうに感じました。コメントでございます。
 それで、本当に細かくて申し訳ないのですが、予算の表をもう一度見せていただきたいのですが、このページの分担金と任意拠出金の意味が少しよく分からなくて、次ページの予算は4億と800万になっていて、この関連予算とどういう関連があるのかが読み取れなかったのですが、この辺りはいかがなのでしょうか。分担金が30億9,800万あって、外務省・文部科学省・国土交通省から合計6億2,500万あると。これがどういう意味なのかということと、これの総額ではなくて、次ページは4億800万の予算の中での、仕分けだったと思うのですが、このページとその次のページとどういう関係があるのか少し分からなくて、申し訳ございません、細かいのですが、質問させていただきます。
【濵口会長】  いかがでしょうか。
【河村国際戦略企画官】  分かりにくくて大変申し訳ございません。失礼いたしました。
 まず、資料2-2の今御覧いただいているユネスコ関連予算でございますが、ユネスコ本部に対しまして、加盟国が義務的に分担するといった分担金、これが外務省で負担していただいております30億9,800万円でございます。これがユネスコ本部において様々な活動をするときに使う予算でございます。
 それから、任意拠出金でございますが、外務省の3億2,000万円、それから文部科学省の2億7,000万円、国土交通省の3,500万円につきましては、これも、ユネスコに政府として任意拠出するものでございます。こちらもユネスコの事業として活動するものでございます。
 それで、次の26ページでございますが、こちらは、この任意拠出金も含んだ形で、文部科学省が更に国内事業を推進するための事業を、例えば一番下の3つの事業、世界の記憶に関する普及啓発の600万円新規等々を、先ほど御説明した通常予算外でやっているものでございます。
 それで、緑色の信託基金、任意拠出金等々をやりました2億7,000万のうち、「199百万円」となっているところに関しましては、事業費として計上しているものでして、文部科学省、差が出ておりますのは、このほかに日本から派遣させていただいている人件費等々も負担しておりますので、人件費を抜いた事業費のみ、こちらの事業費として計上させているものでございます。
 非常に予算の説明資料が分かりにくくて申し訳ございません。改めて、次の説明の際には分かりやすいように、いろいろな説明資料の工夫をさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【肥塚委員】  よろしくお願いいたします。有意義で効果的な使い方をしなければならないというふうに皆さん思っておられますので、この内訳がどうなっているのかは、是非次回、また分かりやすくお願いしたいと思います。すみません、細かくて。
 よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  御指摘ありがとうございます。ほか、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 なければ次の議題に移ります。
 議題の3は、「次世代ユネスコ国内委員会について」でございます。今日、最もホットなお話かもしれませんと個人的に思います。
 次世代ユネスコ国内委員会の活動概要について説明していただいた後、次世代ユネスコ国内委員会からの提言についてに移り、若者から提言の内容を発表いただきます。その後、意見交換をお願いさせていただくことになります。
 ではまず、事務局から説明をお願いいたします。
【河村国際戦略企画官】  事務局より再び失礼いたします。
 ユネスコでは、プライオリティグループ・エリアといたしまして、ユースと女性(ジェンダー平等)を掲げているところでございます。昨年、日本ユネスコ国内委員会の皆様の御発意もございまして、70周年を記念して、もっと若者に日本ユネスコ国内委員会と関わっていただこう、ユネスコ活動と関わっていただこうということから、10代・20代の若者を次世代ユネスコ国内委員会のメンバーとして公募をし、20名の方々を選定させていただいたところでございます。
 このメンバーでございますが、今日、この会場に対面で、グループリーダーとして長澤さん、それから、細谷さんに来ていただいております。また、オンラインでサブリーダーの桐葉さん、小林さん、吉川さん、それからタパさん、沖田さんが参加してくださっております。
合計20名の方々が国内外から集まって様々な議論をしていただいたところでございます。
 どういうふうな具体的な活動をしたのかにつきましては、ユースの皆さんに場を譲りまして、我々といたしましては、今後ともこのユースの活動が、国内委員会委員の皆様方の御助言を頂きながら実現に向かってほしいと思っているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは早速ですが、リーダーの細谷さんと長澤さんから御発表いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【長澤さん】  会長、ありがとうございます。皆さん、こんにちは。ただいま御紹介にあずかりました、次世代ユネスコ国内委員会の長澤パティ明寿です。
【細谷さん】  細谷優希と申します。
【長澤さん】  どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、私どもの提言案につきまして御説明する機会を頂き、誠にありがとうございます。
資料3-2、それから3-3を御参照いただきますと我々の発表資料が出てまいりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、先ほど事務局より御紹介いただきましたとおり、昨年の10月から活動を行っております。今回の提言案につきましては、2つのワーキンググループに分かれてそれぞれ議論を行ったものをベースにして、それらを統合する形で提言をまとめてまいりました。
 私がリーダーを務めておりますワーキンググループAにおきましては、メンバーの興味・関心事項について、様々な意見交換をした後、また、昨今のユネスコの動きや社会情勢も鑑みて、教育、創造都市・文化、対話・ICT・ジェンダーという3つの柱を作り、提言をまとめてまいりました。
 全てオンラインを用いた会議、会合ということでございまして、なかなか難しい部分もあったのですけれども、週に1度は必ず集まる場を設けまして、まず、ユネスコの活動の全体像を捉える、あるいは、どこに各個人で課題感を抱いているのかというようなところについて共有をした後に、自分たちができるアクションプランは何かということで、今回提言案をまとめさせていただいております。
【細谷さん】  細谷です。本日はこのような機会を頂きまして、改めてありがとうございます。
 ワーキンググループBは、3つの小グループに分かれまして、登録事業、そして国際交流、教育ICTの3グループで議論を行いました。10月からの半年間における議論の過程では、それぞれのメンバーがユネスコ活動の中で感じる課題ですとか、ユースにとってのユネスコの意義、そして、私たちが持続可能な社会の担い手としてどのような役割を担っているのかということを議論しながら、アクションプランを検討してまいりました。
 それでは、資料の40ページ目をお願いいたします。
 私たちにとってのユネスコ活動の魅力は、国や地域、言語、文化、場所、世代を超えた多様な立場や視点を持った市民の方々が、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築いていかなければならない」という1つの願いの基をつなぐことができることです。
 そして、文化、教育、自然科学といった分野から、当事者意識を持って、草の根のアプローチで参画できることに加えて、世界全体の協働を促進できる点も大きな魅力でございます。
 それでは、ここから提言の御紹介に入ってまいります。
 まず、提言の1つ目、41ページをお願いいたします。
 対話型ワークショップの実践です。ユネスコ活動の強みとして、地域の文化や社会に根ざした全国的な活動基盤が挙げられます。また、私たちは、ユネスコ活動における官民の連携が不可欠であると考えています。現在、国内で行われている文化対話・国際交流事業は、教育現場の一部に限られており、現在の日本の教育では、自分の意見を持ち、意見の異なる他者と議論するような機会が少ないため、対話や多様性に関する寛容な姿勢が育まれにくいという傾向にあると感じています。
 ESDにおける文化対話・国際交流事業を促進して、「機会の格差」を減らしていくことが重要であると考えました。
 アクションプランといたしましては、他者との対話におけるアプローチや手段を学ぶことができる大学生向けのトレーニングワークショップ、こちらをESDの一環として実施することで、対話・国際交流の機会を増やしていくことを提言いたします。
 また、同世代間のつながりの構築を促進し、日本のユネスコ活動と国内外の関連団体・個人との連携を強化していきます。
 対話、そして多様性を尊重し、多くの人々が生きやすいと感じる持続可能な地域・市民社会を形成する効果に寄与します。
 また、ユースがSDGsなど地球規模の目標を自分の地域の文脈で理解し、長期的には日本と各国との友好関係強化につなげていきます。
 提言の2つ目、42ページをお願いいたします。
 ユネスコエコパーク及びユネスコ世界ジオパークへのユースの積極的な参画です。
 自然と人々の共生は持続可能性を高めるために非常に重要な課題ですが、ユース世代にとって、文化関連事業に比べて自然関連の登録事業のなじみがあまりなく、遠い存在になっています。
 また、登録地域にユース世代の人口が少ない傾向にありますが、ユースの参画が人材不足の改善と地域の活性化に貢献できると考えました。
 また、登録事業は持続可能な開発のための教育や学術研究の場としても優れたフィールドであり、グローカルな課題を認識し、活動できます。
 アクションプランとしては、各登録地域でのユースアンバサダーの任命と登録地域におけるユースの学術研究フィールドワークの推進を提言いたします。
 アンバサダーは地域の文化や産業について学びながら、継続的に登録事業地との関わりを持ち続けることができます。
 また、SNSを通じ、登録地域の魅力や科学的特徴を分かりやすく発信することを通じて、登録事業地の関係人口増加や活性化を見込みます。また、若者を呼び込みたい登録地域とユネスコ活動に参加したい学生を結びつける効果もあると考えています。
 学術研究フィールドワークのプランにつきましては、行政や住民にとっても、次世代育成の観点からユースの参画が切望されているという背景がある一方で、現状、双方の関わりは少ないため、潜在的な需要と供給を顕在化することが重要だと考えました。ユースの登録地域でのフィールドワークを実践して、得られた研究成果を地域資源の利活用のために広く公開していきます。
 フィールドワークの活動を通じて、学生が自然の重要さを認識し、共同体に受け入れられていることで居場所を得られると考えます。
 また、多様なステークホルダーの協働による登録地域の発展につなげていきます。
 私からは以上です。長澤さん、お願いします。
【長澤さん】  それでは、続きまして提言3について御説明いたします。
 提言3は、「ユネスコ創造都市ネットワーク」事業へのユースの積極的な参画です。ユネスコ創造都市ネットワーク、既に皆様、御承知だと思いますけれども、世界約300都市、国内においても10都市が加盟しているネットワークへと発展しております。
 創造都市事業は、加盟都市において地域の文化・芸術活動の持続的発展を後押しするだけでなく、国際交流・異文化交流・異文化間対話を深める役割も果たし得ると次世代委員会としては認識をしております。
 その一方で、創造都市に対する認知度の低さ、ほかのユネスコ事業との連携の希薄さ、そして国内における加盟都市間ネットワークの不足という観点から、一般市民、特にユース世代による文化・芸術関連事業への参加を十分に後押しできていないという現状があるものと認識をしているところです。
 また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、文化・芸術関連産業が非常に大きな影響を受けたということにとどまらず、ユース世代が文化に触れる機会、また、ユース自身が文化活動を行う機会も減少しているものと考えております。
 以上のような背景・課題を踏まえまして、2点、アクションプランを提言させていただきます。
 1点目が、創造都市事業とほかのユネスコ事業、ユネスコスクールとの連携促進ということでございます。具体的には、ユネスコスクールにおけるESDや探究学習の実践の場として、創造都市の事業を有効活用されている事例を次世代ユネスコ国内委員会が収集し、ユネスコ未来共創プラットフォーム等で発信をしていくことを想定しております。こういったことを通して、特にユース世代との関わりが深いユネスコスクールとの連携を強化し、ユネスコ活動のシナジー効果を発揮させて、創造都市事業の知名度向上、また、ユース世代による参画促進を図っていきたいと思っております。
 続きまして、2点目のアクションプラン、ユース世代を対象としたユネスコ創造都市ユースサミットの開催でございます。
 創造都市に関わる国内外のユース世代を対象として、ユネスコ創造都市サミットを開催し、各都市のユースによる先進的な活動事例等を共有し合うことで、国内外のユースの活動の連携強化を図っていきたいと考えております。文化・コミュニケーション小委員会でも、国内のUCCN(ユネスコ創造都市ネットワーク)加盟都市間の連携について御議論されていると認識をいたしておりまして、その活動の一環にもなるのではと考えているところでございます。
 続きまして、提言の4つ目のスライドをお願いいたします。
 ユネスコ未来共創プラットフォームへのユースの参画ということで、こちらが最後の提言になります。
 ユネスコ未来共創プラットフォーム、先ほど事務局からも御説明があったかと思うので、紹介は省略させていただきます。現在、この未来共創プラットフォームというものがホームページとして設けられておりまして、全国のユースが積極的に関われるようなものとなっておりますけれども、その認知度というのは、ユネスコに興味があるユース世代にとっても限定的であると認識をしております。
 また、そもそもユース世代にとってユネスコの具体的な活動内容の関心・認知度が低いというのが現状と思っております。ユネスコという名前の認知度は非常に高いのですけれども、「ユネスコといえば世界遺産」程度の認知度で止まってしまっているというのが現状だと認識をしております。
 そのため、以下の3点について提言をさせていただきます。
 まず、1点目でございますけれども、ユースによる、ユネスコ関連組織とユースからのコンタクトを歓迎する団体リストの作成と周知ということであります。現在も、既に未来共創プラットフォームのホームページ上に、全国のユネスコ関係団体がマッピングをされていると思いますけれども、ただ、どこにユースがコンタクトを取っていいのかというところがなかなか分かりにくいという声が上がっておりますので、そういったことを反映し、コンタクトを歓迎する団体リストというものを策定し、ホームページ上で発信をして参ります。
 また、2点目としてユネスコ未来共創プラットフォーム上にユース専用ページ「ユースページ」といったようなものを設置することで、ユースが主体となった広報・情報発信の強化に努めてまいりたいと思います。ここにおいてはSNSを積極的に活用するほか、共同の窓口という既にある媒体において、次世代ユネスコ国内委員会とユース個人が直接コミュニケーションを取れるようなユース質問室というようなページを設置したいと思っております。
 最後に、次世代ユネスコユースフォーラムの実施であります。ユネスコに関わるユースの横のつながりをつくる、そして、ユネスコに関わるユースのモチベーションを向上させるとともに、更なる連携の可能性を模索するという観点から、次世代ユネスコユースフォーラムを年1回開催し、ユースが参画する機会を設けていきたいと考えております。
 以上、提言の説明になりますけれども、最後に一言申し上げさせていただきます。
 我々、これまで10月から議論を積み重ねてまいりましたけれども、日本におけるユネスコ活動というのが、まず市民によって始まったということ、そして、1951年のユネスコ加盟というのが、日本の戦後、国際社会への復帰の大きな第一歩になったというこの歴史を重く認識するところであります。この70年にわたり連綿と受け継がれてきたユネスコの活動に思いを致しながら、次世代が主体となり、次のユネスコ活動のステップにしっかりと我々もコミットメントしていきたいという決意であります。
 また、今の世界情勢というものに目を向けますと、長きにわたる新型コロナウイルスのパンデミック、そして国家間対立、これは米中対立にとどまらず、ロシアによるウクライナ侵略という、今まさに起きてしまった大変重要な課題でもあるかと思いますけれども、こういった緊迫感が更に増していく、複雑かつ先の見通せない世界になっていくと認識をしております。分断、断絶が急速に深まりを見せる中にあって、人と人とのつながりの保持への挑戦ということが、今私たちに求められているのだろうと思っております。そのようなことを、相互理解の関係を対話によって育むことを目指すユネスコと、その活動の重要性を認識しているところでありまして、ユースが主体的にここに参画することによって、新たな持続可能な社会というものを作っていきたいと考えています。
 様々提言させていただいたこと、ユースが責任を持って実行していきたいと考えております。しかしながら、この次世代ユネスコ国内委員会の任期としては一旦この3月で区切りになるということを承知しております。引き続き、横断的に活動していく、ユネスコ活動に参画をしていくような組織、これについて重要性を認識し、是非、国内委員会の皆様におかれましても御議論いただけると、大変有り難いと思っております。
 最後のスライドをお願いします。
 右手、写真を載せておりますけれども、我々、3月15日火曜日に、今回発表させていただいた提言を軸に、「ユネスコ活動の未来」ということで世界のユースとディスカッションするイベントを企画しております。国内委員会のホームページから登録することもできますので、是非お時間がある皆様がいらっしゃいましたら、御参加いただけますと幸いです。
 結びに、このたび次世代ユネスコ国内委員会として活動するという大変有意義な機会を頂きましたこと、日本ユネスコ国内委員会及び文部科学省の皆様、そして、本提言案をまとめるに当たりまして、資料の御提供、御助言など、多大なる御協力を頂きました全ての皆様に厚く御礼を申し上げて、次世代ユネスコ国内委員会からの御報告とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
【濵口会長】  すばらしい発表をありがとうございました。
 先ほどお2人が、3月で任期が終わるというお話をされましたが、実はこの委員会の始まる前の小委員会で議論をいたしまして、任期を1年延長することを決定させていただきました。
よろしくお願いします。まだまだ働いていただかなきゃということでございます。
 それでは、早速、御質問、御意見を頂きたいと思いますが、オンラインで林さん、お願いいたします。
【林委員】  会長、ありがとうございます。私は旭川ユネスコ協会の林です。
 今御説明がありました、次世代ユネスコ国内委員会のユネスコ活動の活性化に向けた提言は、普及活動へのユースの取組として大変すばらしい提案だと思います。
 旭川市は、次世代の方たちは御存じだと思いますが、2019年にユネスコ創造都市ネットワークデザイン部門で加盟認定された都市です。確かに、クリエイティブ人材には女性・ユースが多いことから、次世代ユネスコ国内委員会の報告を今日は楽しみにしてまいりました。
 これからは、ユースの皆さんの取組に賛成いたしまして、大変期待いたします。その際、お願いがあります。コロナ後の体験活動のときには、是非リアルな体験活動というものに目を向けていただきたいということです。私たち、草の根の普及活動を推進してきた諸団体との協力、連携を取った推進を是非お願いいたします。
【濵口会長】  連携をよろしくお願いいたします。御意見はありますか。
【長澤さん】  大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。我々、次世代の委員会の中でも、もちろん、次世代が主体になって行っていく活動ではありますけれども、本当に多様な皆様との協働によって大きな輪となっていくというところが議論の中で非常に出ておりましたので、是非よろしくお願い申し上げます。
【濵口会長】  提言の1番目が対話ですよね。対話は幅広い方とやられるということで、よろしくお願いします。
【林委員】  よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  それでは、2番目に山口さん、お願いします。
【山口委員】  大変詳細な説明をありがとうございました。多分野における情報の現状分析と、とてもポジティブなクリティカルな観点を含んだアクションプランは大変有用であると思います。
 皆さんも御存じのように、毎年9月にニューヨークで国連総会が開催されております。今年は、国連総会の時期に合わせて教育に焦点を当てた「Transforming Education Summit」が開催される予定です。正に今週、国連本部とユネスコが中心となって最終アジェンダが議論されています。その中でユースの位置づけが大変重要視されると考えられています。ですので、皆さんの多様な観点からの意見を、是非このような現場で情報発信できるように日本政府としても積極的に働きかけていただきたいと思います。私も一委員として、アジア地域とグローバルなネットワークを駆使して情報共有に努めていきたいと思っています。Youthの皆様も活動もさらに議論を重ねた上で他地域のYouthの方々にも伝わるように前進していただきたいと思います。
 私が昨年11月に参加いたしました気候変動会議COP26では、各国のYouthユースがサイドイベントに参加している現状を見てまいりました。日本を含めたアジアからの参加はまだまだ少数派でしたので、これを機会に皆さんの意見や活動も、更にビジビリティを上げるべくして発信していただければなと考えております。
 大変重要な情報をありがとうございました。
【濵口会長】  貴重な御意見、ありがとうございます。今の御提案を、事務局、検討いただけますか。
【河村国際戦略企画官】  賜りました。ありがとうございます。
 山口先生、ありがとうございます。
【濵口会長】  ともすると、日本人は黙ってにこにこ、「イエス、イエス」と言っているだけのイメージが世界的にはあって、しっかりした提言をするちゃんとした国民性を持っていることを若い世代から伝えていただきたいですね。何とかお願いします。
 それでは、続きまして、大谷先生、よろしくお願いします。
【大谷委員】  東京都市大学の大谷です。すばらしい御提言、ありがとうございました。
どれもすばらしいので、是非実現していただきたいなと思っているのですけれども、1点質問させてください。
 提言1、そして提言2のところで、対象を大学生にという、「大学生」、「学生」という単語が入っておりました。いろいろなバックグラウンド、そして立場の人が対話をするというところがユネスコの精神を考えると重要なのかなと。そして、より成果がすばらしいものになるのじゃないかなと思うのですけれども、あえてここで大学生をターゲットにした理由がありましたら、教えていただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
【濵口会長】  いかがですか。
【細谷さん】  御質問を頂きまして、ありがとうございます。細谷です。
 提言の1番、2番で「大学生」とターゲットを明記している背景なのですけれども、最初に出てきたディスカッションの中では、中高生だとか、幅広いユースを対象にして話を進めていたのですが、大学の中では、ユネスコクラブですとか、ユネスコ活動にかなり積極的に関わって推進しているような主体性を持った既存のプラットフォームがあるということをメンバーの中でも話し合いまして、まずはそういったところからファーストステップという形で最初の一歩を踏み出し、更に実績を積んだタイミングで、中高生ですとか、もう少し若い世代にも広めて、内容や実際の活動の詳細についても、より充実したものを作っていきたいなと考えています。
 ありがとうございます。
【大谷委員】  ありがとうございます。そうすると、より実現性が高まる方策だということですね。分かりました。ありがとうございました。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。私見ですけれども、戦後、1951年にユネスコに参加してから70年たって、70周年目にずっと見ていますと、何となく、この70年の流れの中で、我々は型にはまり過ぎた活動をしていたのではないかなということを今の発言でも感じます。
 大学の中には、実はユネスコ活動があるのに、少なくとも私は知らなかったです、大学の学長をしていても。なぜそれが起きているかというと、多分我々は型にはまっていることと、紙媒体と会議で全体を動かしていますが、若い世代はオンラインで動いていますね。そこのコミュニケーション手段の違いが擦れ違いを生んでいる、お互いに相思相愛ながら出会うことがなかったような気がするのですが、そういう意味で、今日はとても大事なチャンスだと、70年経って、少し顧みるチャンスを我々は与えられたような気がします。勝手なことをいろいろ申し上げましたが。
 それでは、野村先生、お願いします。
【野村委員】  御発表、ありがとうございます。久しぶりにとても明るい気持ちになりました。
 2つ、簡単な質問ですが、1つは、なぜ今回、次世代ユネスコ国内委員会に参加しようと思ったのかということを、代表して長澤さんにお答えいただけたらと思います。お尋ねする趣旨は、参加理由と動機を聞いていくと、私たちがどのように若い世代に働きかけていけばいいかという何かヒントを頂けるのではないかというのが質問の趣旨です。
 2つ目は、提言1で対話型ワークショップの実践というのが非常に新鮮な御提案でした。最初は大学生からということですけれども、とはいえ、大学生にもいろいろいるし、日本だけではなくて世界中にいるわけなので、ふだん出会うことのできないような異なる人との対話の場をどう設定するかというのが非常に大事かなと感じております。対話の重要性の啓発とか手法を学ぶということに加えて、異なる人との対話の仕組み作りみたいなものについても何かお考えがあったらお聞かせください。
 以上です。
【濵口会長】  いかがでしょうか。実は先ほど、私、聞いたばかりなのです。
【長澤さん】  御質問を頂きました長澤パティ明寿でございます。1点目の質問に対して御指名を頂きましたので、私からお話しさせていただきます。
 なぜ参画をしたかということでありますけれども、私に関して言えば、自らのバックグラウンドによるものが大きいと考えております。まず、私自身、父がネパール人で母が日本人というバックグラウンドを持って育ってきた経験から、異なる文化、あるいは異なる価値観を超えて地球市民として共生をしていくためにはどうしたら良いのかということを考える機会が大変多くなっていました。その延長線に出てきたのが、このユネスコという組織であって、ユネスコの理念であり、ユネスコの活動に自らも参画をしていきたいと思ったというのがきっかけであります。
 また、私は山形県山形市の出身でありまして、山形市は、2017年に創造都市ネットワークに映画分野で加盟をしております。そういった経緯から高校時代に様々、創造都市事業に参画をさせていただくという機会もありまして、また引き続いて大学でもユネスコに関わって活動ができればなという思いで参加いたしました。以上でございます。
【濵口会長】  せっかくですので、細谷さんもお話聞かせていただけますか。
【細谷さん】  御質問を頂きありがとうございます。細谷です。私が今回この委員会に参加した背景ですが、正にユネスコの理念に共感して、それを私自身が市民として現場で実践して体験したいと思ったからです。
 私はもともと自然と人々が共生していくためにはどうするべきなのか、人が自然から学びながら持続可能な社会を作っていくため、それを将来世代につなげていくためにはどうするべきなのかというのをずっと学生の頃から考えていまして、学生の頃にスペインに留学をしたのですが、現地のユネスコの生物保護圏でボランティアをしておりまして、その際にすごく自身の価値観を形成するに値するような貴重な体験をたくさんさせていただいたことが、かなり後押ししてくれたというか、いつも背中を押す体験になったという背景がございますので、この活動を日本でも広めていきたいということで、今回参加させていただきました。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【細谷さん】  2点目の御質問ですね。細谷から回答させていただきます。先ほど頂いた大学生の方々以外でふだん出会うことのない人々だったり、異なるバックグラウンドを持つ人々がつながる仕組み作りというところで、私たちが何を考えているかというところなのですが、今、可能性がありそうな民間のNGOですとか企業様ですとか、ユネスコの関連団体を候補としてリストを挙げているような状況でして、その中には様々な市民の社会組織でしたり、NPOだったり、NGOだったり、あらゆるステークホルダー、セクターの方々と連携を促進して、対話を活発化できるような枠組みを作っていきたいということで、有益なものをこれからより深く検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。
【野村委員】  はい。ありがとうございます。
【濵口会長】  今、お二人のお話を聞いていて思うのですけど、お二人とも実に熱い思いで参加しておられるというのをひしひしと感じます。それで、私、感じますのは、日本の文化が変わってきたのではないか。変わってきたというのは、我々が誤解していたのかもしれないのですけれど、若い世代が何も無関心で閉じこもっているような人が多いかと思っていたのですが、それは2011年の東日本大震災からボランティア活動が非常に活発になって、社会とか持続可能性に対して若い世代も非常に思いが強くなった。
 ここでちょうどお時間となりましたので、ここで議事を一旦中断させていただきます。間もなく東日本大震災の発災時刻の2時46分になります。震災により犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、1分間の黙とうをささげたいと思います。
 皆様、御起立をお願いいたします。黙とう。
( 黙とう )
【濵口会長】  お直りください。ありがとうございました。
 では、議事を再開させていただきます。
 この東日本大震災というのは大変な不幸でございましたが、ある意味で我々にいろいろなことを気づかせてくれたと思います。今、コロナの感染も世界中で500万人を超える方が亡くなっていますが、一方で、オンラインでコミュニケーションをとるというところから、何か実感としては古い世代と若い世代がつながり始めているような実感もします。今日はとてもそういう意味でいい機会だと思っております。
 それでは、質問を続けさせていただきます。沖先生、お願いいたします。
【沖委員】  ありがとうございます。先ほどユースの皆さん方、非常に元気の出る前向きな御提言、しかも具体的なアクションが入っていてすばらしいと思いましたが、若干お行儀が良すぎるといいますか、よくでき過ぎていて、やはりシニア層には言えない、気づかない、少し破壊的なことも是非前向きにおっしゃっていただくといいかなというふうに思いました。
 具体的にはあまりないですが、例えば、今、私たちは黙とういたしましたが、3月11日はそういう痛ましいことがあった日であると同時に、誰かの誕生日であり、誰かの結婚記念日であり、誰かの非常にいい日である可能性もあるわけですね。そうしたときに、別に悼むだけではなくて、これをお祝いだと思っている人もいる、そういう人の気持ちも酌もうとか、何か私たちが社会で今当たり前だと思っていることに少し疑問を呈して、それを乗り越えて、よりよい社会にしていこうといった御提言も是非やっていただきたいなと、少し欲張りかもしれませんが、思いますので、続くということも、是非そういう方向でも考えていただければと思います。
 1点質問させていただきたいのは、ユネスコ関連活動というのは、ユネスコという名前を冠することによって、その地域地域が、自分たちが、世界とつながっている、世界規模で私たちはやっているという自負を持って、誇りを持ってできるというとこにあると思うのですが、先ほどの提言の中で、ユネスコに認知されていないけれども、ユネスコの活動そのものであるといったいろいろな取組をもっとつなげていってはどうかという提案がありました。
 それをするのを、もっとやったらいいのか、それともあまり多過ぎると逆に価値が減って、あれもユネスコ、これもユネスコとなると、若干価値が下がるので、少し吟味しながら厳選をするのがいいのか、その辺、皆さんがどのように感じていらっしゃるか、お聞かせいただけると幸いです。よろしくお願いします。
【濵口会長】  いかがでしょうか。
【長澤さん】  長澤パティ明寿でございます。大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
 少し破壊的なというところのお話がありましたけれども、実は我々、今回提言案として出させていただいたもの以上にいろいろアイデア、アクションプランは考えておりまして、実現可能性の高いものをまずピックアップして、今回記載をさせていただいたということであります。今回また1年間任期を延ばしていただけるという大変有り難いことでございますから、様々なことを、実行していきたいなというふうに思っております。
 御質問にありましたユネスコの名前が多過ぎる、どんどん多くなっていくことに関してということでございますけれども、確かにユネスコの、例えば今かなり世界遺産の数が増えているというように、多くなれば若干価値が下がるのではないかという議論はあるかとは思います。ただ、これは個人的な意見でありますが、ユネスコの理念というのが今正に求められている時代であると考えるとユネスコの影響力が更に高まっていくことは1つ重要なことなのではないかなと。そのような観点において、ユネスコという名前が様々に使われていくことは重要なのではないかと思っています。
 ただし、ユネスコという名前が使われることにおいて、世界遺産で言えば、世界遺産の真の意図とは何なのか、それが制度としてある理由は何なのかと言ったといったようなところに関しても認知度が広まっていくということが重要で、世界遺産の観光的な側面だとか、地方活性化的な側面、そういった副産物的な部分が強調されているようなところについてはもう少し考えて、本質的な部分についても発信し、理解を高めていけるような活動ということを指摘していく必要があると我々も考えております。以上です。
【沖委員】  ありがとうございます。
【濵口会長】  細谷さんに伺いたいのですが、行儀が良すぎるという先生の意見、どう思われますか。
【細谷さん】  ありがとうございます。細谷です。今、長澤さんからもありましたが、もともと含まれていた提言の中には、少しイノベーティブなものも1個含まれていたかなというふうに私たちは考えていて、まずは着実に成功事例をつくって、その先で更により深いものをやっていけたらいいなという思いがありました。
【濵口会長】  あと一年の実際の活動の中で、破壊的イノベーションを起こしてください。
よろしくお願いします。
【細谷さん】  はい。ありがとうございます。
【濵口会長】  質問を続けたいと思います。吉田先生、いかがですか。
【吉田(和)委員】  ありがとうございます。基本的には、これから私が申し上げる点は、お説教というよりは、心からの応援演説ですということでお聞きいただければと思います。
 やはり次世代の方々に新しい息を吹き込んでもらう、そうしないと、この非常に大きないろいろな意味での変化の真っただ中にいるときに、私も含めて、だんだんと古く去っていく世代の人たちが何かを決めて、次の世代に残していっても、それではもたない、これが明らかになっているわけですよね。
 そうすると、いろいろな場で若者の意見を聞きたいというこちら側の思いから御招待がいろいろ行く。これが少しそもそも私としては、腑に落ちていないのですね、既にその枠組み自体が。
 つまり、我々古い世代が若い人たちの声を聞きたいと、それに乗っかっていただいて、いろいろなところに参画していただく。それは取っかかりになるとは思うのですけども、今日頂いた御提言の中も、4つのうち3つが何々に参画するという形になっているわけですよね。
つまり、出来上がった枠組みの中に意見を表明する、あるいは活動に参加する、そういう機会を私たちも持つべきだと。
 これ全くそのとおりだと思いますけれども、そこを目指すというよりは、いや、そんなことをやっているから駄目なのですよ、あなたたちは、こんなことになってしまったのですというぐらいの爆発的なエネルギーを私としては期待したいなと思います。
 例えば、今日御参加のユースの方たちは最初からお聞きになっていたと思います。報告のところにも、1974年からずっとあった勧告の国際理解、国際協力、平和のための教育、こういうものを見直すのだと。非常に重要なこれまでのこの分野の骨格になっていたような勧告をやはり見直さざるを得ないと。ようやくユネスコの重い腰もそういうところまで上がってきているという、そういうタイミングですので、正に、そうであったら、私たちの意見はここにありというような、本当に形作りのところにまで食い込むような、そういう日頃の意見を持っているということが大事だと思います。
 少し端々、ほかの委員の方がおっしゃった、あるいは濵口会長がおっしゃったところにも含まれるのですが、やはり日本の中でずっと経験してきたものの中にも、実はまだ見直されるべき、そして国際社会に発信していない非常に重要なものというのがあったと。3・11で改めてそれに気づかされた。あるいはコロナ禍の対応の中で改めて気づかされた日本社会の脆弱性の部分、あるいは潜在的な強みの部分、こういうのを若い人たちがどう考えるのか。
 また、私は個人的には国際協力という、ある種、特定の枠組みの中で行われる業務に長く携わってきたのですが、そういう考え方ややり方というのは非常に変わってきているわけですよね。そうすると、ユネスコが表明しているような国際理解、国際協力、そして平和のための教育といっても、本当にいろいろな形があり得て、新しい今後の世界の中ではどういうことを私たちは考え、どういう社会にしていきたいのか、そこに向けて今何をするべきなのか。まずその考えがあって、その上でいろいろなところに参加されていく、こういうような形がどんどん出来上がっていけばいいかなと思います。
 こういうふうに大学の先生が委員になると、しゃべり続けて、また押しつけるようなことを言っていること自体が非常に好ましくないので、ここでやめますが、やはりせっかくオンラインの若手の方々からも参加いただいているところで、まだ意見を言われていない方にお時間の許す限り進めていただければと思います。こういう短い間ですけれども、次世代の目から見て、このようなユネスコ国内委員会に参加されていて、率直に思ったところ、もっとこうしてほしいところ、忌たんのない御意見も、レコードはされていますけれど、オフレコの気分で御意見を頂ければ、こちらとしては非常に有り難いと思います。以上でございます。
【濵口会長】  すみません。先生のお気持ちよく分かりましたので、ここでお二人以外のユースでオンラインに参加している人たちの意見、少し聞いてみたいと思います。小林さん、どうぞ。
【小林さん】  初めまして。私はワーキンググループAで長澤さんのグループで参加させていただいていました小林真緒子と申します。
 本日の参加した感想というところなのですが、非常に勉強になって、私自身はもともと中高生を対象にSDGsをテーマとした探究学習というところを、授業を設定して実行したりということを今までしてきていまして、今回の次世代ユネスコ国内委員会の募集を見て、私の今までやってきた活動というものがESD事業に当てはまるということに気づきまして、今回こちらのプログラムに参加させていただいておりました。
 今回の感想としましては、今、皆様にいろいろな御意見ですとか応援メッセージをもらっていて、すごく嬉しいなというふうに率直に思っておりまして、任期が1年延びたというところで……。
【濵口会長】  小林さん、聞こえますか。
【小林さん】  はい。
【濵口会長】  皆さんが聞きたいのは美辞麗句ではなくて、どうしてこれに参加したいと思ったかが聞きたいと思うのです。いかがですか。
【小林さん】  そうですね、大学1年生の頃からやっていた中高生対象にSDGsをテーマとした探求学習というのを、外部団体として実際中学校とか高校に出向いて、そういう授業を行うという活動をもともとしておりまして、今回、次世代ユネスコ国内委員会というものを見つけたときに、私が今までやっていたものというのがESD事業に当てはまるということに気づいて、今回、ユースとしてこちらのプログラムに参加して、より政策的な視点からも、私の今までやってきた活動というのを日本国内にも広げていって、世界にもつなげていきたいって思ったところが参加したきっかけになります。
【濵口会長】  すみません。ありがとう。
【小林さん】  失礼しました。ありがとうございます。
【濵口会長】  もう一人聞いてみましょうか。桐葉さん、いますか。
【桐葉さん】  おります。桐葉恵と申します。よろしくお願いします。
 私は平和構築を大学の頃専攻していて、その頃、平和ってそもそも何だろうというところを考えてみたり、あとは演劇とかを通して平和を考えてみるみたいなことを大学の頃やっていました。
 また、今、社会人なのですが、働いてからも、SDGsを若者が実現していくためにどうアクションしていくのかということについて、若者のSDGs達成に向けたプラットフォームのワークショップ担当として、去年、今年であればおよそ200人が参加したワークショップを作ったりしておりました。
 こういう活動をしていく中で、ユネスコの活動のESDともすごく近しい部分も感じましたし、何か親和性を持ったことができたらいいなというふうに思いまして、このたび参加させていただきました。
 今回入ってみて、意外とこういうこともやっているのだということだったり、こんなに資源がたくさん眠っているのかということにすごく気づかされた日々でした。そういう中で、実際、私はユネスコスクールなどに通っていたわけではなかったので、そういう若手からしてみると、せっかく作ったビデオや、いろいろなリソースと触れる機会があまりなかったなというふうな気持ちがしていて、また今年1年間期限をいただけるということでしたので、よりイノベーティブにもそうですし、今眠っているすごくいいリソースがたくさんあるなというふうに改めて感じさせていただいておりますので、それを活用して、促進して、若者の間でこのユネスコの理念が広がっていけるような活動にできたらなというふうに思っている次第でございます。
【濵口会長】  ありがとう。お二人の活躍、みんなの活躍だね、期待しています。
 まだ6人の方が質問したがっているので、少し質問を続けたいと思いますが、大野先生いかがですか。
【大野委員】  私、鳥海山・飛島ジオパークの専任研究しております大野といいます。まず、皆様の提言というか、御発表の中でユネスコエコパークという言葉とユネスコ世界ジオパークという言葉が出てきたことに、大変嬉しく思います。私、実際ジオパークの現場で10年ぐらい活動してきていて、ようやくここまで来たかという感慨に浸っていて、何か泣きそうな感じですね。
 私は質問ではなくて、少し提案です。というのは、実際皆さんの所属されている御専門や学術的なバックグラウンドを見ると、自然科学系の人が少ないのですが、もしかしたらエコパークはこの後、渡邉先生が触れられるかもしれないですが、ジオパークに関しては、もしかしたら皆さん、地質学とか地球科学のことを非常に強く推しているのではないかと、そういうイメージを持っているかもしれないですね。
 しかし、それは違うということが言いたくて、ジオパークというプログラムが目指す目的自身は、私たちが暮らす社会とそれを支える経済、更にそういう場を作る自然環境、更にその自然環境をつくり出してきた地球環境も併せて守って、未来にそのまま引き継いでいくということを目指すプログラムなのです。もう少し皆さんに分かりやすい言葉で言うと、今、ユースの方が、関わっている方が私ぐらいの年になったときに、皆さんが幸せに暮らせるかどうか。それを実現する社会をどう作るかということを目的に私は活動しているので、皆さんが幸せになるために何ができるかなという気持ちで仕事をしています。
 先ほど山口先生とか野村先生が、せっかくこういう提案をした中で、それをどう共有していくかというところが多分次のフェーズだと思いますが、それを実現する1つの場として恐らく可能性があるのは、ジオパークという取組は既に強いネットワークがあって、日本中で実は皆さんのような活動している人たちがいます、大学生も高校生も。
 しかし、その人たちの活動が地域拠点で、まだまだつながっていない部分があったので、実は私が声かけをして、日本ジオパークの全国大会の中でユースセッションを作ろうという話を去年の12月ぐらいから始めたところです。そういう場はまだ制度設計がきちんとできていないので、うまくできるかどうか分かりませんけれども、そういうユースの皆さんの活動が大事だということは、実は世界的なジオパークのネットワークでも重視されていますので、それをうまく動かすためにも、まず皆さんがせっかく長い時間をかけて考えてきたプランとかアイデアを発表する場、みんなにシェアする場というのを作ってはどうかと。
 さらに、それを皆さんの活動を全然知らないよその地域の同世代の人たちに伝えて、更にそこで何かネズミ算のように広げていけるようなきっかけとして、日本ジオパークの全国大会に参加してみてはどうかというのを提案したいと思います。
 もう日程が決まっていまして、10月の21から23日で、石川県の白山市というところにあります白山手取川ジオパークというところで行われます。
 ということで、ほぼコメントですけれども、皆さんの活動を是非広げることに協力したいと思うので、今後ともよろしくお願いします。以上です。
【濵口会長】  連携をお願いいたします。
 細谷先生、お願いします。
【細谷委員】  どうもありがとうございます。皆さん1年任期延長されて、どうぞまた引き続き頑張ってください。すばらしい活動だと思います。
 それで、私から1つ、実は具体的な提案を申し上げたいと思います。これ文部科学省でも是非御検討いただけたらと思うのですが、皆さんせっかくここまでやって来られたので、是非一度ユネスコ本部を訪問される機会を作っていただけたらと思います。オンラインでの交流はいろいろあると思いますが、今、フランスへ行こうと思えば行けますので。
 それで、その意味は2つありまして、行けば、いろいろアレンジしていただければアズレー事務局長に表敬といったことも実現すると思いますし、その場では恐らく若干、美辞麗句中心の場になるでしょうけれども、それは、我々年配者が同じことを言っても、皆さんが言えば、それだけメディアの関心も高いPRにもなりますね。もちろん若い人の新しい意見というのが取り上げられると思いますし、それから、できたら少し滞在していただきたい、1週間でも2週間でも。
 なぜかといいますと、ユネスコというのは外から見る場合と中に入って見た場合と、私何年もやりましたけれど、全く違う世界です。非常に高い理念に基づいて高まいな仕事をしていると見られていますけれど、中に入って見ると現実は非常に厳しいものがあって、簡単には、言い出すと長いのですが、理念と現実のギャップが大変大きい国際機関で、その中の実情を見ていただくということは非常に大事じゃないかと思います。
 それぞれに取り上げられたテーマに沿った事務局本部での委員会とか執行委員会、11月にありますけれど、そんな会議を少し傍聴させてもらうとか、ユネスコではインターンという制度があって、例えば私のいる福井大学の大学院からも半年間、毎年インターンを派遣していますけれども、そういった人たちとの交流、各国からのインターンがたくさん来ている場でもあります。
 何かそういう実際のユネスコの実態を見てもらって、皆様の提言を、実際の経験、実際にユネスコで起きていることで裏打ちしていただくということが実現できたらすばらしいのではないかと私は思います。
 私はかつていましたので、今でも事務局といろいろな、コンタクトがありますから、御紹介できると思いますので、何なりとおっしゃっていただければと思います。以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。一応対応させていただくことになっておりますので、よろしくお願いします。
 渡邉先生、お願いします。
【渡邉委員】  ありがとうございます。大野委員から先ほどありましたように、エコパーク、ジオパークという具体的な提言、提案をしていただいて本当にありがとうございました。
 エコパークを議論するMAB計画分科会、それからジオパークを議論している日本ジオパーク委員会、そういう場でも皆さんの提言を共有して、ユースの皆さんの活動が活発化して連携が深まっていくような方策を一緒になって考えていきたいと思います。
 その際に、エコパーク、ジオパーク別々というのではなくて、エコパーク、ジオパーク、世界遺産、そういった国際登録地域間の連携を深めていく。そして、更に国際登録地域と、「国連海洋科学の10年」や「国連生態系回復の10年」と現場の取組をつなげていく、そういう連携を深める中で、新しい動き、新しい流れをユースの人たちと一緒に私たちも作り出していけたらなと思いますので、任期も1年延長されたということなので、是非皆さんと一緒にこれから考えていければと思います。よろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。相談に乗ってやってください。
 鈴木委員、お願いします。
【鈴木(郁)委員】  鈴木郁香です。私は昨年まで、全国のユネスコ協会に所属している青年を代表して、日本ユネスコ協会連盟の理事をしておりまして、国内委員をさせていただいております。
 先ほど、すばらしい発表、御提言ありがとうございました。発表の中でも、大学生をメインターゲットにというお話がありましたけれども、是非その中に、ユネスコ協会に所属している大学生や、また、その前後の青年たちともしっかりと連携を取っていただければなと思っております。全国でユネスコスクールをはじめ、高校、大学、本当に熱心に活動されていると思いますけれども、全国のユネスコ協会にも活動している青年が数百人いますので、また、そういったところがユネスコスクールを卒業した学生の受皿になっている地域もありますので、是非、そういったところとも連携を強化していただければなと思います。
 私自身も、青年ではなくなってしまうのですが、つなぐこともできるかなと思いますので、是非そういったところも考えていただければなと思いました。よろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、竹村委員、お願いします。
【竹村委員】  ありがとうございます。今日は、具体的かつ皆さん個々人の体験ともつながった課題定義とアクションプランの御提案を頂きまして、本当に私も希望にあふれた気持ちになりました。ありがとうございます。幾つか御提案というか、英語で言うとThought startersみたいな、少しアイデアみたいなことをお伝えさせていただければということと、質問1点です。
 対話というのは、私もいろいろな形で活動させていただいているのですが、対話の設定の仕方によって、狙いが実現する場合と、しない場合がかなりありますので、この提言1のアクションプランだと、ページ数の問題もあるのかもしれないのですが、少しぼやっとしているなということを感じたので、実際のアクションプランに落とし込む前に、是非いろいろなプロトタイプを、大学生の方々と多様なメンバーとか大人も少し混ぜてみるとか、いろいろなパターンを考えてみてトライアルをしてからロールアウトは考えられるといいのかなと思いました。
 あと、この機会に、日本人の対話とコミュニケーションの良さみたいなものを、是非世界に発信するようなきっかけにもしていただければ素敵じゃないかなと思っておりまして、先ほど、パリに訪問されるかもといったお話もあったと思うのですが、是非日本の対話のよさ、例えば調和みたいな、話合いの仕方みたいなことも言われたりしていますが、是非この機会に研究されて、ヨーロッパのユースや世界のユースとの対話のきっかけであるとか、良さを伝えていくというようなところも、検討していただければなと思います。特に日本人は、やはり傾聴力というものは、私も結構、欧米の人たちと付き合いが多いのですが、圧倒的に日本人は高いかなと思っておりまして、今、この時代に非常に大切な力だと思っていますので、そういったところ、日本人の良さみたいなところを是非あぶり出していただければと思います。
 あと、2つ目なのですけれども、全ての提案で、若者の関わりが少ないというところを課題意識として持たれているかなと思ったのですが、やはり広げていくということを考えたときに、若者、ユースの人たちに、よりアピールするアートであるとか音楽であるとか、分かりやすいメッセージ性であるとかというところも踏まえたムーブメントをどうやって作っていくのかというところを、全てのこの提言に共通して当てはまるようなツールになっていけると思うので、ムーブメント作りというところを研究されるといいのではないかなと思っています。結構、世界中で、今、若者を中心とした、パーパスさんであるとか、ムーブメント作りというものはいろいろな形で研究とか本も出ていますので、是非、まだ見られていないようであれば御活用いただければと思います。
 最後に、次世代と、我々はついつい呼んでしまうのですけれども、今、非常にすごいスピードで世界は変わっていますので、皆さんはもうほぼ当事者世代に入っていらっしゃるというような気持ちで、思い切ったアクションをどんどん取っていただければ心強いなと、私は思っております。
 以上でございます。よろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。貴重なアドバイスを頂きました。実践で生かしていただければと思います。
 それでは、鈴木昌徳委員、お願いします。
【鈴木(昌)委員】  先ほど、ユースの方の発表を聞かせていただきまして、感動いたしました。どうもありがとうございました。
 私は20年間、高校の現場で教えてきました。そして、高校ユネスコも指導してきました。
その中で、大学生になってユネスコ活動も続けて、社会人になって続けてくれている人もいます。ただ、大ざっぱに申し上げますが、若い人は、継続することの難しさというのがあるのですね。例えば、大学4年間はユネスコ活動に取り組んでくださるのですが、社会に入ってから、なかなか続かない実態がありますし、高校生から大学生になっても、大学生で取り組まなくなるという生徒もたくさんいました。
 したがいまして、その継続することの難しさを少しでも解消するのであれば、できることならば、先ほどいろいろ御提言いただいた中のネットワークをしっかり大学生に発信していただいて、みんなで仲間作りをして、一緒になってやっていきましょうという意識が高まっていけば、更にそれが生きがいになっていくのではないかなと思っていますので、また1年間延びたということなので楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【濵口会長】  どうぞよろしくお願いします。
 髙橋委員、お願いします。
【髙橋(秀)委員】  髙橋です。今日お話を伺って、私も国内委員になって2年弱なのですけれども、この間、様々な活動をされている中で、ユースの方々が参画していくことで、既存の活動に対して化学反応が起きて、カタリストのようになって、イノベーションにつながっていくということを、是非期待したいと思います。
 その意味では、今回の提言は、やっぱり早く実行に移して、その中でのトライアンドエラーで、気がつくことがあればチューニングしながら進めていくということが大事で、そういう意味で、委員会が1年延びるということはいいことだと思うのですが、ただ、性格が違うのだろうと。やはりその性格づけが重要で、提言をするための検討のための委員会と、もう既に提言はなされているので、それを実行に移しながらチューニングしていくという意味で、委員会という名前でいいのだろうとは思うのですけれども、実態的には実行推進本部とか、そういう位置づけのものに変えていく必要があるのだろうと思います。往々にして、「いい提案を頂いて、ありがとうございました。これを踏まえて検討していきます」では、ほぼ意味がないので、今日も非常にいい提言だというのは大半の御意見だと思いますし、そうであれば、いい話は直ちに実行に移していくと。
 そういう意味では、文部科学省ないし事務局サイドの問題だと思いますけれども、今日の提言を一体どういうスケジュール感で実行に移し、先ほど予算の話もありましたけれど、今回の提言を実行に移すと、4月以降どの程度のお金がかかるのかよく分からないのですが、提言を受けている以上、当然、先ほどの説明があった予算には、今日の提言を実行するぐらいの予算はもう含まれているのだろうと思うのですが、予算的な措置も含めて実行に移すというフェーズに移さないと、話を聞くだけ聞いて、「大変参考になりました」では、この提言が生きてこないと思いますので、これは1年延びて、検討に参画されたユースの方々もそうですけれども、国内委員会のメンバーとしても、委員としても、また文部科学省の事務局サイドとしても、4月以降実行に移すという形でフェーズを切り替えていく必要があると思いました。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。もちろん言っておられるとおりでございまして、昨年1年間が提言をつくる時期であったとするなら、4月以降はこれを実践にかけて、もう1回フィードバックしていくという作業をする時期だと思います。よろしくお願いします。
 蓮生委員、お願いします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。大阪大学の蓮生と申します。今回、大変心強い御提案を頂きまして、ありがとうございます。特に創造都市ネットワークについてですが、ユース世代を対象としたユネスコ創造都市ネットワークのユースサミットの開催について非常に心強く思いました。ありがとうございます。
 これは価値が非常にあると思っている理由は主に2つありまして、1つは、現在、ユネスコ側からの事情を言いますと、本事業については、都市間ネットワーキングを強化してネットワークとしての相乗効果を模索することが求められているわけですが、それがなかなかうまくいっていない現状があります。したがって、ここで皆さんのお力をお借りすることができれば、とても有り難いということが第1点です。
 もう一つですが、第2点として、地方自治体の若い関係者の方々と私が直接お話をさせていただきますと、彼らの中で、とても強いマルチのネットワーキングへの参加への関心というものを潜在的に強く持っていらっしゃるというのがよく分かります。
 これは例えば大阪の場合は、サンクトペテルブルクと現在、姉妹都市なのですが、姉妹都市のようなバイの関係というのは、どうしても国際情勢の影響というものを強く受けてしまいます。したがって、地方自治体の関係者の方というのは、実は潜在的にマルチのネットワーキングに参加したいという、なかなか世代の上の上司の方には言いづらいのだけれども、そういったとても強い渇望というものを持っていらして、そういう方にも、是非リーチしていただけたら有り難いなと思います。
 そういう意味でも、是非皆さんのこの試みを応援したいと思いますし、例えば、まず初めに、よりコストの低いオンラインでのユースフォーラムの開催等を創造都市ネットワークのユースサミットでも御検討されてみたらいかがでしょうか。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。検討していただけると思います。
 芳賀委員、お願いいたします。
【芳賀委員】  大変すばらしいお話でした。ただし、あえて申しますと、若者といったときに、何でいつも大学生といったごくごく一部の学歴エリートだけなのでしょうか。長澤さんは山形の御出身とのことですが、私、個人的なことですけれど、芳賀というのは山形の寒河江の農家です。何でここに農家の人がいないのか。それから、海の漁師、山の猟師、林業、そういった第一次産業の若者といった地に足のついた、本当に地域と文化と自然に立脚した若者たちこそ、対話の中に是非入れてください。
 以上です。
【濵口会長】  どうやってネットワーク化していくかの知恵を絞ってもらわないといけないですね。いろいろなセクターの同世代の方々がいる、これを広げる方策を少し相談しましょうね。
 これで、手を挙げていただいた方全員に回ったと思いますが、まだ御意見を言いたい方はお見えになりますか。議員の先生方いかがでしょうか。
 宮﨑先生、どうぞ。
【宮﨑委員】  宮﨑政久と申します。ありがとうございます。
 私は今、芳賀先生と同じ意見を持っておりました。やはりブレークスルーをさせるためには、ブレークスルーできるような人材をそこに入れ込むことが決定的に重要だと思っております。やはり志す大学生の方が、そこで活躍することはいいと思います。しかし、若者という意味でいうと、様々な領域の方がたくさんおられます。しかも、正に大学に通っているという人は、同じ世代の中でも少数派に属するものでありますので、多くの若者の意見、現業に携わっている人たちの意見をどうやってそこに入れ込んでいくか。そして、もし仮に大学で様々なことを学んでいて、ネットワーキングしていったりすることに長けているという経験があるのであれば、それを生かして、そういうところに多くの仲間を入れ込んでいくということも、自らの修練として非常にいいのではないかと思いましたので、是非そこへの努力をしていただくとブレークスルーできると思っています。
 以上です。
【濵口会長】  非常に大事な御指摘ありがとうございます。
 それでは、谷川先生、お願いいたします。
【谷川委員】  衆議院議員の谷川とむです。ありがとうございます。
 最後、本当に次世代の皆さんがいろいろと提案していただきまして、議論が活発に、元気いっぱいに、この提言があったのは嬉しく思っています。
 ただ、私は若い人たちに、必ず言うことがあります。今、いろいろと大人の人たちから提案がありました。ただ、これをしっかりと受け止めるのと同時に、無視していただいてもいいかなと思っています。なぜなら、我々と同じ価値観であれば、これ以上進歩はありません。
そういうふうに私は思っているのです。それだと、君たちは、ここからスタートしていかないのですよね。だから、我々が思っている以上のことをやっていくためには、我々の意見を一旦受け入れながら無視してもらってもいいかなと思っています。そうしないと、この日本という、また世界もそうですけれども、発展していかないのではないかなと思っています。
 だから、我々の世代が救えなかった人たちを救って、我々の世代が発明できなかったものを発明して、我々の世代が叶えなかった夢を、君たちがこれから叶えていけると思っています。だから、我々と同じでは駄目だと思っているので、自分でこれからは考えて、そして前に進んでいっていただければなと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは、坂本先生、お願いいたします。
【坂本委員】  衆議院議員の坂本祐之輔でございます。今日は、すばらしい実りのあるお話をお伺いさせていただきまして、改めてユネスコのこれからの発展を期待しているところでございます。
 衆議院議員になる前に、地方自治体9万人の首長を16年間務めさせていただきました。その間、私は全く恥ずかしい話でございますけれども、ユネスコということに対して、皆様ほどの理解と見識を持ち合わせておりませんでした。世界で創造都市ネットワークというのが、こんなにもあるのだということを改めて認識をさせていただきまして、是非1,700ある我が国の市町村に、このユネスコに関する、もちろん、そのときに入れなくても結構なのですけれども、こういうすばらしい活動をされている団体があるのだということの認識をしっかり持っていただく。そこに、先ほど、どなたかおっしゃっておられましたけれども、農業を営む方、あるいは商業を営む方、多くの青年たちがおります。そういった人たちの考え方をまた吸収していただくのも1つ大きな発展につながるのではないかなという所感を持たせていただきました。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。多分、大学生となってきたのは、募集をしたときに、その人たちが多かったことを反映しているのだと思います。決して意図的にそういう編成をしたのではないことを御理解いただければと思います。
 オンラインで、三木議員が参加しておられます。三木先生、お願いいたします。
【三木委員】  今日は、非常に前途有望な若い方々の御提案を聞かせていただきまして、私も非常に明るい気持ちになりました。是非今後も頑張っていただいて、日本のために、世界のために、また自分たちのために頑張っていただきたいなと思いました。
 いろいろな様々な大学の先生や大人の意見がたくさんあったと思います。御提案もあったし、いろいろためになるお話も、今後あると思います。坂本先生もおっしゃったように、若い方々がいろいろな方々の意見を聞いて成長されていくことは非常に大切なことだと思っておりますので、本当に大学生の方々が多いというのも、そういった環境で学びの時宜を得ているということに感謝をしつつ、農業をされている方や、お商売をなさっている方や、会社員をなさっている方々が、いかにどうやってこういった会合に参加できるのか、また、そういった道をどうやったら開いていけるのかということも、やはりきっちりと考えていかなければいけないなと思いました。是非今後も頑張っていただきたいなと思います。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。
 それでは、最後に、一言ずつ、ユースの2人にお願いします。
【細谷さん】  細谷です。本日は、皆様から貴重な御意見と御質問等を頂きまして、私たちも改めて、この活動を続けていく意味ですとか、どのように実現化させていくべきなのかというのを考えるきっかけになりました。やはりユネスコが目指す平和な世界、そして持続可能な社会をつくっていくために、この若い20名のメンバーで一緒に知恵を集結させながら、もっと破壊的なものをつくってほしいという部分も、御意見として頂いたので、そういったところも大切にしながら進んでいきたいと思います。
 本日は、本当にありがとうございました。
【長澤さん】  長澤パティ明寿でございます。本日はこのような形で、まず、我々の提言をさせていただく場、そして皆様からいろいろな御意見、御質問を頂く場を設けてくださいまして、誠にありがとうございました。
 頂いた意見を踏まえて、我々で、3月末に向けて、もう一度、提言もブラッシュアップをしていきたいと思っております。ユネスコは、先ほどお話がありましたように、尊い理念を掲げる一方で、様々な政治的な様相を含む組織であるということも念頭に置きながら、ただ、この尊い理念を、今の世界においてどうやって実現をしていけるのかということについて、我々若い世代も積極的、主体的にアクションを起こしていきたいと思っておりますので、今後とも御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上です。
【濵口会長】  皆さんの活動を期待しております。1年間、提言を実装していただいて、来年またレポートをお願いしますね。楽しみに待っていますから、よろしくお願いします。
 議員の先生方も、ありがとうございました。貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございます。是非政治の側から、彼らのバックアップをお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 大変爽やかな印象で会話が終わったところで、何か連絡事項はございますか。よろしいですか。なければ、これで閉会とさせていただきたいと思います。
 本日は、御多忙の中、長時間にわたり、熱血あふれるお話を頂いて、ありがとうございます。それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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