日本ユネスコ国内委員会総会(第149回)議事録

1.日時

令和3年9月15日(水曜日)14時30分~17時00分

2.場所

文部科学省3階第一講堂
対面とオンラインのハイブリッド形式での開催

3.出席者(敬称略)

〔委員〕
濵口会長、大枝副会長、日比谷副会長、秋永委員、石井委員※、礒田委員※、市丸委員、伊東委員、井上委員、猪口委員、大串委員、岡崎委員※、翁委員、加治佐委員、片山委員、木間委員、肥塚委員、古賀委員※、小長谷委員、小林委員、西藤委員、佐藤委員、佐野委員、杉村委員、鈴木委員、角南委員、髙木委員、髙橋委員、立川委員、芳賀委員、蓮生委員、羽田委員、林委員、東川委員、平野委員、藤田委員、細谷委員、見上委員、箕浦委員、山口委員、吉田委員(※顧問、特別委員)

〔特別顧問〕
松浦顧問

〔外務省〕
曽根国際文化交流審議官、松田国際文化協力室長

〔文部科学省〕
藤原事務次官、小林大臣官房国際課長

〔文化庁〕
鈴木文化資源活用課文化遺産国際協力室長
守山文化資源活用課文化遺産国際協力室 室長補佐

〔事務局〕
田口事務総長(文部科学省国際統括官)、町田副事務総長(同省文部科学戦略官)
石田事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、堀尾事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、原事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4.議事

【濵口会長】  それでは定刻となりましたので、第149回日本ユネスコ国内委員会総会を開始させていただきます。本日は御多忙中にもかかわらずお集まりいただきましてありがとうございます。
 議事の前に、事務局に定足数の確認をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  本日は、会場とオンラインで38名の委員に、現時点で御出席いただいております。委員の過半数ですので定足数を満たしております。
【濵口会長】  ありがとうございました。ただいま事務局から定足数が満たされているとの報告がございましたので、ユネスコ国内委員会を正式に開会いたします。
 本日の総会は、前回と同様にウェブ会議システムと対面式のハイブリッドでの開催となります。傍聴の希望者に対してはユーチューブを通じてオンライン公開しておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の御発言は、非公開の議事を除き、そのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、藤原文部科学事務次官より御挨拶を頂きたいと存じます。藤原次官、よろしくお願いいたします。
【藤原文部科学事務次官】  第149回日本ユネスコ国内委員会総会の開会に当たりまして、本日は政務三役が公務のため、私が代わりまして御挨拶を申し上げます。
 我が国は、多様性と調和をコンセプトとして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催いたしました。人種・性別・障害の有無などの違いを肯定し合うことの重要性や、共生社会の実現を目指すこのコンセプトは、ユネスコの理念とも共通するものであります。今後、我々がオリンピック・パラリンピックレガシーを発展させていくためには、国内外でのユネスコ活動が重要となっていくと考えております。
 また、アフガニスタンやミャンマーをはじめとして、世界的に人々の自由と平和に対する脅威が高まっています。このため、教育・科学・文化を通じて相互理解と平和を目指すユネスコへの期待が、今後ますます大きくなるものと考えております。
 我が国は去る7月2日にユネスコ加盟70周年を迎えまして、これを機にユネスコ活動の更なる発展を図ろうとしておりますが、本年はユネスコにとってもとても重要な年となっております。
 ユネスコが主導し、「ESD for 2030」、「国連海洋科学の10年」を本格的に開始するとともに、ユネスコ・グローバル教育会合の大臣会合を開催し、SDG4「質の高い教育を全ての人々に」を達成するための新たな体制の構築に着手しております。更に、今年11月に開催される第41回ユネスコ総会では、今後8年間のユネスコの活動方針となる中期戦略が決定される予定であります。
 このような中、ユネスコ国内委員会といたしましては、産業界を含む多様なステークホルダーとの連携強化や、次世代を担う若者の活躍などを図りながら、我が国のユネスコ活動の新たな発展を目指していく必要があると考えております。
 委員の皆様方におかれましては、本日、ユネスコ活動に関する様々な課題について幅広い観点から率直な御議論を頂ければ幸いでございます。
 それから最後に、私事で大変恐縮ですが、昨日の閣議で21日付での事務次官退職ということの承認を頂きました。
思えば1992年から95年にかけて、パリのユネスコ常駐代表部の一等書記官として、ユネスコ関係の仕事に関与させていただきました。国内委員の中には、当時ユネスコ職員として私がお仕事を一緒にさせていただいた方もいらっしゃいまして、とても感慨深いものがあります。本当にユネスコには私も大変感謝しております。この機会を借りて厚く御礼申し上げたいと思います。
 最後になりましたが、委員の皆様方の日頃の御協力、御支援に御礼を申し上げながら、私からの御挨拶といたします。どうもありがとうございます。
【濵口会長】  どうもありがとうございました。それから、お疲れさまでございました。
 藤原次官はこの後、次の御予定がございまして途中退席される予定でございますが、お時間の許す限り御出席いただく予定となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、審議に入る前に、配付資料の確認と、本日のオンライン及びペーパーレスでの会議における機器の操作等について、事務局から説明をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  ありがとうございます。配付資料につきましてはメールで事前に送らせていただいておりますが、資料1-1から資料3-4、そして附属資料が附属資料1から附属資料9、そして参考資料が参考資料1から参考資料3を配付してございます。もし不足等ございましたら、事務局までチャット等で御連絡いただければと思います。
 本日は会場とオンラインとのハイブリッド形式で実施しております。不慣れな面が多く、御迷惑をおかけすると思いますが、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは続きまして、昨年度3月10日に開催されました前回の国内委員会総会以降、事務局に異動がございますので、事務局から報告をお願いいたします。
【堀尾国際統括官補佐】  本年4月1日付で、町田大輔文部科学戦略官/日本ユネスコ国内委員会副事務総長、原文絵国際統括官補佐、新免寛啓ユネスコ協力官、また7月10日付で小林万里子大臣官房国際課長が着任しております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 報道関係者の皆様におかれましては、写真撮影はここまでとさせていただきますので、御了承いただくようにお願い申し上げます。
 それでは議題に移ります。議題の1は、最近のユネスコ関係の動きについてであります。
 項目として、1、ユネスコの最新の動きについて、及び2、第211回ユネスコ執行委員会の結果についての2つを、事務局から御報告いただきたいと思います。
 御意見、御質問等につきましては、事務局及び関係機関からの報告の後、まとめてお願いさせていただくことといたします。
 それでは、まず事務局からの報告をお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。国際統括官付、石田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず資料1-1、それから資料1-2に基づきまして御説明いたします。ユネスコの最新の動きにつきましてということで、全体につきましては附属資料1の方にまとめてございますので、また御覧いただければと思いますが、その中でも特に大きな動きといたしまして、教育についての動きを御紹介いたします。
 まず資料1-1についてですが、ESDに関するユネスコ世界会議、こちらが5月17日から19日に行われました。こちらはESDの国際的な枠組みであります「ESD for 2030」が開始されるということに当たりまして、ドイツにおいて開催されたものでございます。
 残念ながらコロナの関係でオンラインになってしまいましたが、161か国から70名の閣僚の方を含む2,800名が参加するという大きな会議になりました。
 我が国からも、ESDの提唱国として萩生田文部科学大臣が出席いたしました。その際のメッセージとして、このユネスコ国内委員会の教育小委員会でも御議論いただきました日本のポイントを発言するということで、ここにあります1から3までの内容を発言するという形で対応しております。
 その結果、成果文書といたしまして、「ESDに関するベルリン宣言」が採択をされております。このベルリン宣言では、ここにございますように、SDGs全ての目標達成にESDが寄与するんだといったことを改めて確認するとともに、ユネスコが有するネットワーク等を活用するということ、それから、今年はCOP26等の大きな会議がございますので、こういった会議を踏まえて本宣言の内容を実現するといった形での取組を行うようにというような内容がまとめられております。
 続きまして資料1-2でございます。ユネスコ・グローバル教育会合、「GEM」と言っておりますが、この大臣会合の結果でございます。
 この会議自体は7月13日にオンラインで行われております。こちらも文部科学大臣が出席しておりますが、もともと「SDG-教育2030ステアリング・コミッティ」というような機能がございまして、これはユネスコがSDG4、つまり教育に関する様々なステークホルダー、国際機関といったものをコーディネートする、リーディングの役割を果たすのだということで置かれていたわけです。これにつきまして、更に強化をするべきだという議論がありまして、およそ半年をかけて議論をした結果、新しい教育会議の仕組みを作るという結論が出たというような会議になっております。
 これまでステアリング・コミッティには、国内委員会の吉田委員にも現行のステアリング・コミッティの共同議長として参加をしていただいておりましたが、そのステアリング・コミッティを今後は大臣級のものにするというような新しい方向性が出されたものでございます。
 次回、この会合は11月に開催予定でございますが、それに向けて更に内容を詰めていくという状況になっております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。続きまして外務省より、第44回世界遺産委員会拡大会合及びアフガニスタンにおけるユネスコの活動状況の報告をお願いいたします。
【曽根文化審議官】  それでは御報告させていただきます。外務省国際文化交流審議官の曽根でございます。私の方から、先般行われた世界遺産委員会、及びユネスコのアフガニスタンにおける活動について御報告させていただきます。
 まず、先般行われた世界遺産委員会につきましては、資料1-3を御覧ください。
 先般、7月16日から31日にかけまして、世界遺産委員会が開催されました。今回、議長国が中国ということで、本来であれば中国に皆さん集まってということではあったのですが、今回は全てオンライン形式ということで開催されております。
 今回の議題としましては、新規の案件として、日本の案件として、自然遺産につきましては奄美大島、徳之島、沖縄東北部及び西表島についての登録審査が行われ、全会一致で登録になりました。また文化遺産につきましては、北海道・北東北の縄文遺跡群が登録審議されまして、こちらも全会一致ということで、それぞれ登録されたところでございます。
 登録後には、外務・文部科学省それぞれ大臣からステートメント、談話を出しておりますし、今回は総理からもビデオメッセージということで出させていただいているところでございます。
 あと、既存の登録案件の保全状況につきましては、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」、「明治日本の産業革命遺産」、「ル・コルビュジェの建築作品」及び「知床」が審議の対象になりましたが、それぞれ議論なしで受付がされております。
 なお、この「明治日本の産業革命遺産」については、決議が出た直後に報道等でも話題になっておりましたが、これにつきまして日本政府としては世界遺産委員会におけるこれまでの決議・勧告を真摯に受け止めて、政府が約束した措置を含めて誠実に対応してきていると。今後とも我が国としては、これの決議・勧告を誠実に実行していくという立場に変わりないということで御説明させていただいているところでございます。
 続きまして、その次のアフガニスタンにおけるユネスコの活動につきましては、資料1-4を参照していただければと思います。
 今回、アフガニスタンにおきましてタリバンが政権を掌握するという状況になったわけですが、そういった状況になるまでにおきまして、ユネスコの方ではかなり精力的にアフガニスタンでも活動してきております。
 2002年にカブールの事務所が再開しまして、活動としては、まず教育分野ではセクター横断的な教育政策と計画の策定等を行って、モニタリング、更に統計収集等を行ってきていますし、今回のコロナの危機の関連につきましては国民のための啓蒙活動、更には成人の教育のためのカリキュラムを作成したり、あとは教師の能力向上の取組、あとは識字教育、技能・職業訓練、トレーニング等を教育分野で行っております。
 中でも日本としては、ほかの国とも協力して識字教育等を行ってきておりまして、その中で、2002年の段階で識字率は34%だったのが、2020年には43%まで向上してきているという状況でございました。
 あと文化の関係では、有形・無形文化遺産保護のためのプロジェクトをやってきておりまして、日本の取組で、特にバーミヤンの世界遺産の持続可能な管理計画での協力、それ以外にもイタリア・EUと、バーミヤンに関わる様々な遺産の保全強化プロジェクト等も行っておりますし、文化センターの建設プロジェクトに韓国が支援をしています。更には、持続可能な統合、社会的結束のための文化とかスポーツの分野でのプロジェクト等も行ってきていたところでございます。
 また情報・コミュニケーションでは、メディアの重要性ということに鑑みまして、政策的な枠組みづくりだとか、いろいろなコミュニケーション・情報のガイドライン作成支援、情報へのアクセス、ジャーナリストの安全確保等においての取組を行っていまして、その成果として、2020年までには2,003のテレビ局と300以上のラジオ局、あとは1,300以上のメディア等が活動する、中でも女性のメディア従事者というのが1,700人を超えるような状況まで進んできたところでございますが、そういった中で今回のタリバンの事案が起きたということで、その直後に、次のページですが、アズレー事務局長が何度かステートメントも出しております。
 特に教育の関連では、これまでの我々の成果が失われてはならないと。特に女子の教育は重視しているので、こういった人たちがアフガニスタンにとっては将来大変重要な人材であると。あと文化遺産についても、文化遺産を損傷や略奪から守るために国際法が遵守され、あらゆる手立てが講じられなければならないと。更にはジャーナリストについても、自由かつ独立したメディアが仲介する、信頼できる情報と自由な議論という点の重要性、女性のジャーナリストの安全と保護というものについてもしっかり取り組むことが重要だということを、事務局長として声明で発表しているところでございます。
 なお、先ほどのユネスコのプログラムの中で日本が協力している案件としては、ここに書いてありますバーミヤンの遺跡保全事業、また識字能力の向上計画について、日本が取り組んできているところであります。
 現状を踏まえて、今アフガニスタンの事務所の方は国外に退避して活動しているところでありますが、日本としても、今、退避している各事務所の関係者とも、先日も協議をして、これからどういう形でこのプロジェクト、ユネスコの協力を進めていけるのかということを議論していますが、まずは現地の状況が早く改善するように、国際社会の取組が重要になるということで考えております。
 私からは以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして佐藤委員より、日本ユネスコ協会連盟アフガニスタン事務所の状況につきまして、簡単に御報告を頂ければと思います。
 佐藤委員、よろしくお願いいたします。
【佐藤委員】  日本ユネスコ協会連盟の佐藤です。アフガニスタンの状況につきましては、今、外務省の方から御報告がありまして、アズレー事務局長の声明や、これから議論されます濵口会長のユネスコ総会への答申案にも触れられているところであります。
 ここで情報提供とお願いがございます。私ども民間の日本ユネスコ協会連盟は、2003年より、識字教育と職業訓練を中心にカブールとバーミヤンにある17の寺子屋を運営してまいりました。これまで2万5,000人の修了者を数えております。
 しかし、今回のタリバンの声明により、現在、寺子屋は、現地人のスタッフは自宅待機をしております。寺子屋では女性への識字教育を行ってきたこと、そして現地人スタッフは外国機関への協力者であるために、生命の危険にさらされるおそれがあり、国外退避の要望を受けております。
 これらの現地人スタッフは、先月の自衛隊機による救出候補者の500人のリストには含まれておりません。この間、外務省や文科省の担当部局にも御相談を行い、御協力をお願いしております。誠にありがとうございます。
 お願いというのは、今回の退避の対象に、日本人や政府機関関係者だけではなくて、平和や人権を掲げるユネスコ活動に尽力してきました現地人スタッフや他のNGO職員などを含めて、安全確保に是非御尽力を賜りたいということでございます。そのことが、ひいては日本への信頼や、また将来につながるかと考えております。
 様々な困難があることは承知しておりますが、濵口会長を始め皆様の賛同が得られましたら、国内委員会としても外務省をはじめとして日本政府に働きかけを行っていただけたら有難く、お願いする次第でございます。よろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。大変胸の痛むお話ですが、関係各位の方々、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは続きまして議題の2、第211回ユネスコ執行委員会の結果について、事務局から御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。それでは資料1-5を御覧いただければと思います。第211回ユネスコ執行委員会の結果についてでございます。
 こちらのユネスコ執行委員会につきましては、本年4月7日から21日まで、ユネスコ本部で行われております。今回もオンラインということで、全て現地のユネスコ日本政府代表部によって対応するということになりました。
 様々な議論がなされましたが、幾つか絞って結果の御報告をさせていただきます。ここでは教育関係の議題でございますが、1つ目は「教育の未来」ということで、日本からも青柳元文化庁長官が参加されている、有識者による新しい世界における教育の在り方、これについての議論が今なされておりまして、それについての進捗状況の報告がなされております。
 あるいは、その2つ3つ下、ユネスコにおけるユースの取り込みということで、この後の議題でもお話をさせていただきますが、ユネスコにおいてもユースという取組を様々やっておりまして、その中の1つがユースフォーラムというものでございます。
 我が国においてはあまり関心がこれまで払われていなかったわけでございますが、しかしながら、このフォーラムについて議論がなされており、本年も開催する方向ということでございますので、しっかり対応していく必要があろうと思いまして御紹介をいたした次第です。
 それからその下、議題38でございますが、教育に関しては1974年に大きな教育に関する勧告が出されておりますが、新しいコロナの時代ということ等を踏まえて、この勧告の改定について議論をするというような決定がなされておりますので、我が国にとっても重要な勧告でございますので、しっかりと対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、ただいままでの一連の報告事項について、御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。
 なお、御発言いただく場合には、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、できる限り挙手ボタンにてお知らせいただければ幸いです。会場の方は挙手をお願いいたします。事務局にて確認し、こちらから指名させていただきます。よろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。どうぞ、お願いいたします。松浦特別顧問。
【松浦特別顧問】  松浦です。先ほど、先般の世界遺産委員会のオンライン会議について報告がありまして、日本がかねてから提案している2つの世界遺産候補が満場一致で可決されたのは非常にうれしく思っていますが、今、世界遺産委員会は同時に、この新規登録と併せて、過去に登録された世界遺産の保全状況のチェックを非常に力を入れてやっております。
 その関連で4つを取り上げたそうですが、私はちょうど、明治の産業革命遺産の有識者会合、これは内閣府の所管ですが、最初からメンバーで、これをしっかりフォローしてきていますが、新聞報道などによるとかなり政治的な話題になっておりますが、これは是非、ユネスコと日本の関係全体にも影響を及ぼすものですから、先ほど外務省から御説明がありましたが、明治のこの産業遺産の保全状況という観点が基盤ではありますけれども、やはり日本とユネスコの世界遺産に関する関係全体、更に日本とユネスコの関係全体にも影響するので、しっかりこれは外務省、更には内閣府の下で有識者会合も行われているわけですから、そこで対応していただきたいと思います。
 私がちょっと心配いたしますのは、ちょっと前ですけれども、2015年に南京事件が「世界の記憶」に登録されたとき、かなり政治問題化した記憶がありますので、是非ああいうような政治問題化は避けて、できるだけきちんと事務的に対応していただければと思っています。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。外務省の方から御意見ございますでしょうか。
 よろしいですか。御尽力をお願いしたいと思います。
 ほか、御意見ございますでしょうか。あられる方は挙手ボタンをお願いしたいと思いますが。
 今、蓮生先生が挙手されたということですので、お願いいたします。
【蓮生委員】  発言を許していただきましてありがとうございます。今日の配付資料3-3、ユネスコの次期中期戦略について、少し長期的な観点からコメントさせてください。
 73ページの表は拝見させていただきましたが、これを見る限りでは、戦略目標あるいは成果の設定の仕方に、若干恣意的な偏りがあるのではないかと疑念を感じましたので、これについて少し質問させてください。
 ユネスコの事業予算の内訳というのをざっと見てみますと、教育が大体46%、科学20%、SHS7%、文化23%、CI5%という程度となっていると思います。
 一方、この中期戦略案では、教育に関する成果が4つございます。
【濵口会長】  先生、すみません、資料3-3ですか。
【蓮生委員】  はい。
【濵口会長】  3-3は後ほど御議論いただくことになっているかと思うのですが。
【石田国際戦略企画官】  もし御質問があれば。
【濵口会長】  よろしいですか。じゃあ、資料3-3を見ていただきまして、ユネスコの2022年から29年の中期戦略案の概要というところを開いていただければと思いますが。
 それでは先生、お願いします。
【蓮生委員】  申し訳ありません。執行委員会で議論されたことだと思いますので、それと関連付けて質問させていただきます。すみません。
 こちらの教育に関する成果が4つ、自然科学・IOC4つ、自然・人文・社会科学が3つ、CIが4つとなっている一方で、文化に関しては成果が1つだけに限定されています。
 事業予算の配分割合とのざっくりした対比等を見てみますと、どう見ても文化事業の成果が適正に評価されにくいのではないかということを危惧しました。
 今回提起された中期戦略案というのは、アズレー事務局長の御自身の思い入れの強い分野の埋め込みというものがあっても当然だとは思いますが、一方で、文化がなぜこのような立てつけになってしまったのかということが若干気になります。
 この辺りの経緯を少し、執行委員会の議論から教えていただければと思いまして、質問させていただきました。
【濵口会長】  石田さん、お願いできますか。
【石田国際戦略企画官】  ありがとうございます。事務局でございます。今御指摘いただいた点でございますが、確かに資料3-3、それから3-4のところで新しい予算、それから計画についての記載がございます。
 この中で文化についての扱いが十分ではないのではないかというような御質問と承りましたが、確かに成果の数というようなこととか、あるいは予算のお話もあったかと思いますが、そういうところを見ると、結果としてその割合が少ないというようなところは見て取れるというようなこともあろうかと思いますが、例えば全体の中で、資料3-4の主要事業4のところ、全体の91ページでございますが、成果は1つでございますが、例えばアウトプットとしては様々掲げられているということ等もございますし、文化について必ずしも扱いが少ないというような議論は、今回の執行委員会でもなされなかったと聞いております。
 御質問にきちんと答えられているかどうか分からないですが、少なくとも執行委員会の中で、文化について取扱いが少ないというようなことで議論がなされて、その結果こうなっているというような、意図があってこういうふうな形になっているというわけではないと理解しております。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。今、得られる情報は以上でございます。
 それでは続きまして、杉村美紀先生、お願いします。
【杉村委員】  杉村でございます。コメントと質問をさせていただきます。ただいまの執行委員会の件でございますが、先ほどの御報告にありましたとおり、1974年のユネスコの勧告をこれから見直し、更に続けていくという点はとても大事な点かと思います。
 現在のESDあるいはSDGsを含めて、国際理解、国際協力、そして国際平和を高らかにうたったユネスコの根幹を成す宣言なので、是非日本としても、今後この位置づけを大事にしていただければと思いました。
 もう1つ、これは質問なのですが、同じく執行委員会の取組の中で、IBEについてでございます。カテゴリー1に位置づけられている機関で、現在ジュネーブにあると思いますが、それの見直しが進んでいると伺いました。この詳細について、もし分かればお伺いしたいのですが、何かございますでしょうか。
 以上でございます。ありがとうございます。
【濵口会長】  いかがでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。IBEについては議論がまだ継続しているというふうに理解しておりまして、これについては様々な議論がまだ続いておりますので、現時点では結論として御報告するというような回答はできない状況でございます。
 以上であります。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。
【杉村委員】  分かりました。ありがとうございます。
【濵口会長】  ほか、ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、お時間が押しておりますので、議題の2に移らせていただきたいと思います。
我が国におけるユネスコ活動の現状と今後の取組の在り方についてという議題でございます。項目1、専門小委員会からの報告については各小委員長から御報告を頂き、項目2、日本ユネスコ加盟70周年の取組について、及び3、建議のフォローアップ状況等については、事務局から説明を頂くとともに各関係団体の方からヒアリングを実施したいと思います。
 御意見、御質問等につきましては、各項目における説明及び発表の後、まとめてお願いさせていただくこととします。
 それでは、まず各専門小委員長から御報告をお願いいたします。
 教育委員小委員会、杉村委員長、お願いいたします。
【杉村委員】  杉村でございます。それでは、教育小委員会から報告させていただきます。9月2日に開催されました第145回教育小委員会について報告いたします。
 今回の教育小委員会では、まずユネスコ教育分野でのグローバルな動きとして、4月の第211回ユネスコ執行委員会、5月のESD世界会議、7月のユネスコ・グローバル教育会合(GEM)大臣会合の開催報告を事務局から行っていただきました。
 その後、グローバル教育会合にSDG-教育2030ステアリング・コミッティの共同議長として御出席されておられました吉田委員から、SDG4コーディネーションの今後の方向性等について御説明いただきました。
 ESD世界会議とグローバル教育会合に関しましては、先ほど議題1でも御報告いただいたとおりでございます。
 次に国内の動きとして、この後、建議のフォローアップとしても議論される予定ですが、本年5月にESD国内実施計画及びESD推進の手引が改訂された旨、報告がなされました。その後、今後の普及方策等について議論を行いました。
 その後、昨年来、教育小委員会で議論を重ねてまいりました、前回の国内委員会総会でも御報告申し上げました、ユネスコスクールの新たな展開について、事務局から進捗報告を行っていただいた後、ユネスコスクール事務局機能を担っているACCU、ユネスコ・アジア文化センターの部長から、最新のユネスコスクール調査結果について御報告を頂きました。
 更に、普及の観点から、長浜ユネスコ協会会長の片山委員から、ユネスコスクール加盟校に対する、地域のユネスコ協会による活動支援について御紹介いただいたところでございます。
 最後に、本日議題3でも御議論いただきますが、第41回ユネスコ総会に向けた答申案のうち教育分野について、委員の先生方から御意見を頂きました。頂いた御意見は、本日の会議資料にも配付してございまして、この後、議題3で御議論いただく予定でございます。
 以上、教育小委員会から御報告いたしました。ありがとうございました。
【濵口会長】  ありがとうございます。それでは、続きまして科学小委員会、日比谷委員長より御報告をお願いいたします。
【日比谷副会長】  ありがとうございます。科学小委員会委員長の日比谷でございます。
それでは、前回の総会開催以降の本委員会の動きについて御報告を申し上げます。
 科学小委員会には政府間海洋学委員会(IOC)分科会、政府間水文学計画(IHP)分科会、人間と生物圏(MAB)計画分科会の3つの分科会がございます。前回の総会以降、全ての分科会を開催してまいりました。
 このうち人間と生物圏計画に関しましては、3月25日に第46回、これは略して「MAB」と申しますが、MAB計画分科会を開催し、綾ユネスコエコパークの定期報告書進捗状況の確認を行ったほか、我が国のユネスコエコパークの更なる推進に向けてという提言が取りまとめられています。また、6月には第47回MAB計画分科会において、生物圏保存地域への推薦に係る公募に関する持ち回り審議を開催いたしました。
 続きまして、政府間海洋学委員会(IOC)につきましては、5月27日に第72回の分科会を開催し、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の実施に関する議論を行いました。そのほか、第54回IOC執行理事会及び第31回IOC総会の対処方針について検討し、6月14日から24日に開催された執行理事会及び総会に臨んでおります。今回のIOC総会においても、我が国は理事国としての再選を果たしております。
 それからIHP、政府間水文学計画につきましては、6月9日に開催された第35回分科会において、同月28日から30日に開催されました第24回政府間理事会の対処方針を審議いたしました。ここでは、2022年から29年までの第9期IHP戦略計画案が固まり、11月の第41回ユネスコ総会において採択される予定です。
 本委員会では、6月末に第3回科学小委員会として持ち回り審議を開催しております。今回の答申については、科学小委員会委員や関係省庁とも調整して案を作成しました。答申案にもありますとおり、ユネスコ総会ではオープンサイエンスに関する勧告、及びAIの倫理に関する勧告が採択される予定となっています。
 また、今年から開始した国連海洋科学の10年については、準備期間に引き続き実施期間も、日本としてもユネスコと協力して取り組んでいくことにしておりまして、文部科学省ユネスコ科学信託基金における支援が決定され、これは8月末にユネスコでも発表されたところです。
 このように様々な動きがございますが、新たに作成される勧告や中期戦略などを踏まえて、多様なステークホルダーとの連携や領域横断的な取組により、各分野の相乗効果の醸成などに寄与すべく、本委員会として引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 御報告は以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、文化・コミュニケーション小委員会、羽田委員長より、続きまして御報告をお願いいたします。
【羽田委員】  羽田です。それでは、9月7日に開催されました第4回の文化・コミュニケーション小委員会について、4点御報告させていただきます。
 第1は、先ほど外務省の方から既に御報告がございましたが、ユネスコ世界遺産委員会の結果についてであります。今年7月に開催されました世界遺産委員会において、世界遺産一覧表への記載に関わる審査が行われ、我が国が推薦した「北海道・北東北の縄文の遺跡群」と、「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島」の記載が決定されたことなどについて、これは文化庁の方から御報告いただきました。
 2点目は、ユネスコ創造都市について情報交換を行ったということです。これまで本小委員会では、ユネスコ創造都市(Creative Cities)の意義、あるいはリストへの登録と活用の方策等について、必ずしも十分議論ができておりませんでした。一方、その名にふさわしい我が国の地方自治体が、ユネスコ創造都市のリストに登録され、地域において特徴的で意欲的な文化振興の様々な取組が継続的に実施されますと、それは新たな価値の創造に資するとともに、活気ある国際交流の契機ともなるでしょう。また、ユネスコ創造都市を切り口としたユネスコ普及活動の活性化につなげることもできるでしょう。
 というわけで、ユネスコ創造都市について総合的に理解を深め、その可能性を探るために、選考と登録に関わる文部科学省、国内の文化・芸術創造都市の取組を進めている文化庁、ユネスコ創造都市を代表して札幌市、民間団体代表の旭川ユネスコ協会、そしてユネスコ創造都市について深い知見を有する有識者、合計5名に御発表いただきまして、その後、委員の間で活発な討議が行われました。今回はキックオフとしまして、今後、より議論を深めて具体的な取組に結びつけていきたいと考えております。
 第3は、本日御議論いただきます第41回ユネスコ総会に向けた答申案についてです。
 この委員会では、文化・コミュニケーション分野の観点から、委員の皆様方に御意見を頂きました。頂いた御意見は本日の会議資料に反映し、この後、議題3で御議論いただく予定になっております。
 最後に4つ目ですが、ユネスコ「世界の記憶」についてです。これまで文化・コミュニケーション小委員会の下にユネスコ「世界の記憶」選考委員会が位置づけられておりましたが、これを廃止し、新しい審査委員会が設けられることとなりました。その位置づけについて事務局から報告があり、その内容について了解いたしました。
 文化・コミュニケーション小委員会からの報告は以上です。
【濵口会長】  ありがとうございました。御報告いただいた委員長の皆様、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの一連の御報告に対して、御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 お見えにならないようですね。ありがとうございました。
 それでは続きまして項目2、日本ユネスコ加盟70周年の取組についてに議題を移します。
 まずは事務局からの報告をよろしくお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。それでは資料2-1、全体8ページを御覧いただければと思います。
 前回のユネスコ国内委員会の3月の総会でもお話をさせていただきましたが、本年は日本がユネスコに加盟して70周年の記念の年になっておりますので、これをきっかけに様々な国内あるいは国際的な我が国のユネスコ活動を活性化していきたいということで、様々な取組を行ってまいりました。その御報告でございます。
 まず1つ目、キックオフといいますか、7月2日が正に日本がユネスコに加盟したその日でございました。このときに濵口会長、日本ユネスコ協会連盟、あるいはユネスコ・アジア文化センターからのメッセージを頂きまして、記念の会合をオンラインでさせていただきました。
 これを一つのきっかけといたしまして、その後、ロゴマークの作成ということで、資料にございますが、こういったロゴマークも作成させていただきました。作成に当たりましては、国内委員の皆様にも御投票いただきましたし、全国の子供たちにも3,000名ぐらいから御投票いただいてこれを決めるということで、一つのきっかけになったかと思います。
 その後、ウェブサイトの開設、あるいはこども霞が関見学デーでユネスコトークイベント等を行いましたが、それに加えまして、5番目でございますが、政府広報でも30分の番組を作っていただきまして、70周年の記念の番組を作っていただきました。その紹介動画がございますので、30秒ほど御覧いただければと思います。
( 映  像 )
【石田国際戦略企画官】  ということで、こういう番組を作っていただきまして、濵口会長を含め様々な関係の皆様にも御協力いただきました。宣伝いたしますと、24日夜6時から、BS朝日でございますので、是非御覧いただければと思います。
 それから、文部科学省の建物の中でも記念展示をさせていただいたりしておりまして、大きな取組としては、7番目にございますが、12月4日に一つの締めくくりということでユネスコ未来共創プラットフォーム全国セミナーといったものを企画したいと思います。
 それから、イベントカレンダーというものも委員の皆様のアイデアを頂いて作成しておりまして、別紙のような形で作っており、インターネット上でもこれは公開されております。
 最後になりますが、前回のこの委員会で、せっかくの機会ですので新しい世代を担う、そういった若者にユネスコ活動に関心を持ってもらって、そうした人の意見をうまく抽出できる次世代ユネスコ国内委員会を立ち上げてはどうかというお話をさせていただきました。その準備が進んでおりますので、この後また御報告をさせていただきたいと思っております。
 併せまして、資料2-2を御覧いただければと思います。今、最後に申し上げました次世代ユネスコ国内委員会の大きな枠組みでございます。
 こちらにございますように、ユネスコ国内活動に関する若者世代のネットワークを強化するということ。それから、若者の声をしっかりとユネスコ活動に反映させるということ。それから、国際会議等で日本の若者が出るチャンスをつくっていく、そのきっかけにするというようなことで企画をしております。
 現在、20名程度で、国際的な視野を持ってユネスコ関係の活動をされている30歳未満の方々ということで、幅広く募集をいたしましたところ、158名程度ということで、大勢の方に応募いただいておりますので、しっかりとこの方々のお話を聞いて進めていきたいと考えております。
 主な活動内容というところは意見を頂ければと思っておりますが、こういった形でやる気のある若者が手を挙げてくれておりますので、どういった議論をしていくかということで、SDGsといった地球規模の課題を議論してもらうということもありますし、それから今、ユネスコの各分野で、ユースの声を聞くというようなことをいろいろな場でやっております。そこに日本出身の若者が出ていって議論するというところまではなかなかいかないという部分があろうと思っておりまして、そういうところにつなげていくと。日本の国際発信にもつなげていくということをしてはどうかということ。それから、世界の若者と議論するためのイベントを日本側で企画して、ユネスコの方で行うということもしてはどうかということで、いろいろ考えておりますが、この機会に御意見いただければと思っております。
 主な日程でございますが、可能であれば10月中旬ぐらいからオンラインによる議論を開始するといった形で進めていきまして、ユネスコ総会がどういう形で行われるか分かりませんが、先ほど触れましたユースフォーラムといったような、ユネスコの中でもユースが集まる大きな会合がございますので、そこに意見を出していくとか、そういうアウトプットを考えてはどうかと思っておりますし、それから3月末までの間にでも、何らかのイベント等を実施できればいいなと考えております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。次世代ユネスコ国内委員会のメンバーから、将来のユネスコ職員が生まれるといいですね。
 それでは続けて、各関係団体における取組のヒアリングに移りたいと思います。
 ここでの御発表は2名の方にお願いしております。お一人目は日本ユネスコ協会連盟、尼子様。お二人目として、ユネスコ・アジア文化センター、藤本様であります。それぞれ御発表いただきたいと思っております。
 それでは、まず、日本ユネスコ協会連盟第一事業部長、尼子様から、民間ユネスコ運動におけるユネスコ加盟70周年記念事業活動状況について、御報告いただきます。
 尼子様、よろしくお願いいたします。
【尼子氏】  ありがとうございます。本日は貴重な国内委員会総会の時間をお借りしまして御報告をさせていただくこと、本当に感謝申し上げたいと思います。
 民間ユネスコ運動におけるユネスコ加盟70周年記念事業の活動状況について、御報告させていただきます。
 次のページに行っていただければと思うのですが、コロナ禍でのユネスコ活動ということで、これまで我々民間ユネスコ運動は、発祥以来、直接的な対話・交流を軸として、私ども日本ユネスコ協会連盟、各地のユネスコ協会クラブは活動してまいりましたが、このコロナ禍はその前提を覆す事態となりまして、私ども事務局機能を維持するだけでも精いっぱい、各地の協会の会議すらどういうふうに運営していいか分からないという状況に追い込まれたわけなのですが、そういった中で今年70周年を迎えたということで、我々としては、今回の国内委員会もこういう形でオンラインで行われておりますが、オンラインの活用などをしながら、新たな活動の在り方を模索しているというのが今現状でございます。こうした中での事例を、これから御紹介していきたいと思います。次お願いいたします。
 まずは山口県の岩国ユネスコ協会でございますが、「ユネスコみらいミーティング2021」ということで、これはもう10年以上続いているのですが、中国・四国・九州ブロックの高校生が毎年集まって、ユネスコをテーマに交流をして勉強会をするという事業をやってまいりました。
 しかし今年、コロナ禍ということなので、岩国ユネスコ協会が担当の番だったのですが、オンラインで実施されました。34名が参加されて、いつもは1回で終わるところが、今回は第2回、第3回が予定されていて、オンラインの活用によって逆に参加者が増えるというような状況が起こっています。また、中国・四国・九州というブロックに限らず参加者を呼ぶことができるということもメリットでございますので、今後全国から参加者を募って、このみらいミーティングを実施していくという予定になっています。
 次でございます。次は仙台ユネスコ協会でございますが、民間ユネスコ運動の記念事業として、今年はユネスコ加盟70周年記念でございますが、併せて東日本大震災から10年ということでございまして、民間ユネスコ運動の発祥の地である仙台ユネスコ協会では、防災をテーマに「防災サイエンスショーとエネルギー」と題した講演会を実施いたしました。
 こういう実地でやる事業については、十分な感性症対策を取りながら実施しているのが現状でございます。
 次でございます。東京都ユネスコ連絡協議会では、「2,000人プロジェクト」キックオフイベントということで、2020年代のユネスコ運動を作るためのオンライン・ブレスト会議というものが行われました。
 東京都ユネスコ連絡協議会さんは、いち早くオンラインを導入して会議等々を行っていましたが、このたび会員を2,000人に増やしていくということを目指して、今活動されているわけでございますが、そのためのキックオフとして行われたこのオンライン会議では、全国各地から様々な世代の方が参加して、ユネスコ加盟70周年を意識して、ユネスコに関する歴史講座をまず勉強して、その後、「今、平和ではないこと」をテーマに、様々な世代でグループに分かれて意見交換を交わしたということでございます。第1回が大変成功裏に終わったので、第2回が9月23日に行われると聞いております。
 次でございます。今、私ども民間ユネスコ運動から選出されている国内委員の方、旧国内委員の方、現国内委員の方で、「フラワーズ」という任意の組織ができておりまして、この任意のグループ「フラワーズ」の主催で、様々な地域で活動する仲間がオンラインを通じて交流を深めるということを目的に、「ユネスコダイアログ 私とユネスコ」という事業が行われました。
「これまでのユネスコ活動の中で希望に満ちた出来事」、「これから私がやりたいユネスコ活動とその理由」といったことをテーマに対話が行われました。
 次でございます。私どもの日本ユネスコ運動全国大会、それから全国9ブロックで行われるブロック研究会を、今年はユネスコ加盟70周年記念事業として実施いたします。
 昨年度は中止になった全国大会でございますが、今年は大阪で12月5日に行われます。ユーチューブによるライブ配信でございますので、参加の申込みが必要でございますが、国内の皆様にも御参加が可能でございますので、是非御覧いただければと考えております。
 また、ユネスコ加盟70周年記念事業とは違いますが、今回この全国大会もオンラインを活用したように、私どもの活動もオンラインを活用しております。特に今年8月、先月に、カンボジアオンラインスタディーツアーというのが行われまして、私どもの寺子屋運動の支援地であるカンボジアと日本の高校生をつなぐというスタディーツアーを行いました。
 思わぬオンラインの効果で、カンボジアの現地と日本の高校生をつなぐというような新しい取組も今できております。オンラインを活用して、新たな民間ユネスコ運動の可能性も見えているというのが現状でございます。
 最後に、今、31の記念事業を実施予定でございます。今でも新たにユネスコ加盟70周年記念事業として取り組みたいという申請も来ておりますので、年内にはもっと多くの記念事業が実施される予定でございます。記載が2020年になっておりますが、2021年の誤りでございます。
 お時間を頂きましてありがとうございました。これで報告にさせていただきます。ありがとうございました。
【濵口会長】  尼子様、ありがとうございました。
 それでは続けて、ユネスコ・アジア文化センター教育協力部主任、藤本様から、「ユネスコ加盟70周年 ACCUの取組」について御報告いただきます。
 藤本様、よろしくお願いいたします。
【藤本氏】  よろしくお願いいたします。ユネスコ・アジア文化センター教育協力部の藤本と申します。ユネスコ加盟70周年を迎えまして、御関係の皆様とともに記念の取組を推進する一翼を担わせていただけることを大変光栄に感じております。
 それでは、ユネスコ加盟70周年、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)の取組を、少し御紹介させていただきたいと思います。
 ACCUでは様々な事業を展開しております。文部科学省より委託を受けて実施をしておりますユネスコスクール事務局運営や、教職員の国際交流事業のほか、SDGs達成に向けた人材育成を目指して、様々な事業を展開しております。
 例えば、教員とACCUの共同で進めている評価手法の開発事業や、ユネスコスクールを対象としたユネスコバンコク事務所との調査研究や交流のプロジェクトなどの学校教育におけるESDの推進事業、またESDを通じて地域づくりを目指す社会教育分野での事業。それから、若い世代のグローバルな発信力や行動力の向上を目指す模擬国連やプレゼンテーションチャレンジプログラムなど、様々ございます。このほか、途上国における識字教育支援プログラムなども、長年継続して実施しているところでございます。
 本日はこのうち、ユネスコ加盟70周年記念のイベントやプログラムとして位置づけさせていただいている幾つかの事業を御紹介させていただきます。
 まず、ESDにおける評価手法開発事業についてです。昨年度よりユネスコ活動費補助金を得まして実施している事業になります。学校教員が主体となり、ACCUと協働して、実践知を生かした、自分たちが本当に使える評価というようなことで開発に挑戦しているところが特徴です。
 昨年度は参加教員らと深めた議論の内容と、各自の評価実践をまとめた、ここに紹介しております冊子を発行いたしました。本年度は、目下、校種別にモデル手法の開発に取り組んでいるところです。次のページをお願いいたします。
 今年の8月に、本事業の一環で、教育評価事業合同シンポジウムというのを開催させていただきました。多くの教育関係者の方々が御参加くださいまして、ESDの評価についての関心の高さがうかがえました。
 本シンポジウムは、ESDの評価を切り口に、地域連携の観点から宮城教育大学の市瀬智紀先生、児童への質問紙調査の結果から、東京大学の北村友人先生に御発表いただきました。
 また、ACCUの事業からは、4名の小中学校の現場の先生方の御自身の評価についての実践を御発表いただいたところです。
 次に、ユネスコスクール事務局の一環として実施するユネスコスクール全国大会について御紹介いたします。
 こちらは例年開催されているものなのですが、今年はユネスコ加盟70周年を記念した特別対談なども企画をしているところです。文部科学省さんや実施運営団体と協議をしながら、加盟70周年を意識した内容を積極的にプログラムに盛り込んでいきたいなと考えております。
 ACCUはユースの支援にも力を入れております。ユースのプログラムは共通する目的を持っておりまして、1つ目が、文化多様性への尊敬を持って、国際社会や地域社会に主体的に貢献できる人材を育成すること。2つ目が、国内外の参加者の間で友情を育み、相互理解を深めること。3つ目が、未来を担う若い世代の地球規模課題に対する意識を高めて理解を深めることを目的としております。
 今年は、ユネスコ加盟70周年とあいまってACCUは設立50周年を迎えておりまして、ユースをターゲットとした記念事業を実施しています。「Voice of Youth Empowerment2021~地球の未来は、キミが変える~」と題しまして、中高生世代の若者の考えや取組を英語で世界へ発信します。持続可能でよりよい世界とはどんな世界なのか、SDGsの達成のために、今、どんなアクションを起こしているのか。日本と海外のユースが考えていくプログラムになっています。
 同じくユース世代を対象とした事業として、アジア太平洋青少年相互理解推進プログラムというものも実施しております。「BRIDGE Across Asia Conference」として、日本、モンゴル、韓国、インド、タイの5か国の高校生たちが、模擬国連を通じた学び合いを、神戸市外国語大学の学生さんのサポートを得て実施しているものになります。次のページをお願いいたします。
 以上のように、日本のユネスコ加盟70周年を記念した様々な事業を実施しております。御関係の皆様におかれましては、引き続き、ACCUのユネスコ活動に御支援賜りますよう、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【濵口会長】  藤本様、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明及びお二方からの御発表に対して、御質問、御意見があります方は挙手をお願いいたします。
 猪口先生、お願いいたします。
【猪口委員】  猪口邦子でございます。どうもありがとうございます。このユース・エンパワーメントの考え方はとても大事でありまして、例えば冒頭の報告にアフガニスタンのこともありましたが、今目下このような状態が推移している中で、世界のニュースの中に、ユースは女の子も含まれるわけですから、女の子の教育の権利であるとかエンパワーメントの可能性であるとか、そういうことに日本のユース・エンパワーメントの議論が及ぶことが正にユネスコらしいかなとも思いまして、そういう国際の現在大きな課題を抱えている地域や国、そういうところへの日本のユースの考え方とか、及ぶ視野の射程というのがあったのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
【濵口会長】  ありがとうございます。本当に御指摘のとおり危惧されるところですが、石田さん、いかがですか。
【石田国際戦略企画官】  必ずしも質問を理解できているかどうか分からないのですが、今の御質問は、ユネスコの次世代国内委員会をつくろうということですか。分かりました。ありがとうございます。
 正に、そういう国際的に話題になっているような議題、特にユネスコがこれから恐らく議題にするであろうことについて、日本の若者がきちんとその考え方を示していけるというようなことを準備するということが、やっぱりこれからのユネスコ活動においては我が国において必要なのではないかというふうに、考えております。
 今回、公正に募集しましたが、こういうことに関心ある方々は7割方は女性が手を挙げてくれている状況になっておりまして、そういうことからも、テーマの1つとして、これから何を議論していくかということをこの中で議論いただくことになると思いますが、当然そういった女性のエンパワーメント、世界的に行われているものについて、一体日本がどういうふうに考えて、それを伝えていくのかということをここで議論していくというのは非常に大事な視点かなと思っております。
 以上でございます。
【濵口会長】  よろしいでしょうか。猪口先生。
【猪口委員】  ありがとうございます。あと一言。日本はオリンピック・パラリンピックを開催したばかりです。その中で、世界に共通のスローガンというのがありまして、それは感情でつながる、「United by Emotion」というものなんです。こういう、「United by Emotion」というのは、別に仲よしクラブのためにやることではなくて、そういう国際の連帯が特別の苦労のあるところに向かって、何らかの積極的な働きかけを国際社会が一致してやる、そういう日のためにあるんじゃないかと。
 開催国でしたので、特にパラリンピックはアフガニスタンの選手が、国が崩壊したので来られない。ようやく2人来て、これは大変な苦労。しかもアフガニスタンの障害を持っている人たちのほとんどが対人地雷の被害者なんです。
 そういう意味では、対人地雷禁止条約、我が国は加盟国で推進する立場にあるのですが、ユネスコ活動、そしてユース・エンパワーメントも、やはり軍縮の問題であるとか、地域の平和構築のことであるとか、寺子屋教育のようなものをアフガニスタンで一部努力している人たちもいますし、そういうことにつなげて、リアルなことの、自分はハンドルできないのですが、考え方としては十分にハンドルできる視野を持つことを、特にオリンピック・パラリンピック開催国、しかもパラにつきましては世界で初めて2回目の開催なんです。
 ですから、日本はそういう立ち位置にありますので、日本のユースもそのようであってほしいと思いまして、70周年の記念にふさわしい、精神的な射程かなと思っております。よろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。非常に大事な御指摘を頂きました。
 このユースの委員会は、これからいよいよ立ち上げて、どういうふうにマネジメントしていくか、知恵を絞らせていただきたいと思いますので、先生にも御指導・御鞭撻いただけますように、どうぞよろしくお願いいたします。
ほかに御意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうも御意見ありがとうございました。それでは、次に項目の3、建議のフォローアップ状況等についてに移らせていただきます。
 まずは事務局からの報告をお願いします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。資料2-5から資料2-7で御説明をさせていただきますが、まず資料2-5につきましては定例のものでございますが、令和元年に頂いた建議のフォローアップ状況、それから今後の予定について、項目ごとに整理をしたものでございますので、御覧いただければと思います。
 続きまして資料2-6でございますが、その中で幾つか、大きな動きがあったものについてだけ御報告をさせていただければと思います。
 2-6は、ESD国内実施計画ということでございます。冒頭の議題1で御説明いたしましたが、今年はESDの大きな国際的な枠組みがキックオフされた年でございます。これに合わせて、国内における実施計画も改定するということを行いました。
 こちらにございますが、そういった国際的な枠組みの理念を踏まえつつ、かつジェンダー平等でありますとかカーボンニュートラル、AI、DXといった現代的な課題も視野に入れつつの計画の改定となってございます。
 この実施計画につきましては、ユネスコの方でもある程度こういった優先分野を決めて策定するようにということで示されておりましたので、その5つの優先分野別に、我が国で行う政策につきまして、これは単に政府だけではなくて、NPOとか自治体とか企業の方にもやっていただきたいことが全て入った網羅的な計画をつくったところでございます。これが2-6でございます。
 それから2‐7でございますが、それに併せまして、学校現場でESDを進めるためにどういったやり方をすればいいのかということがステップ・バイ・ステップで分かるような手引ということで、これまでもつくっておりましたが、この新しい国際的な、あるいは国内的な動きを踏まえ、また学習指導要領が改訂されたことを踏まえまして改訂したものでございます。これにつきましては、今後多くの学校で使っていただけるように、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは続きまして、具体的事例のヒアリングに移りたいと思います。
 ここでの発表は2名の方にお願いしております。お一人目は福島県只見町教育委員会、仲丸様。お二人目が、国連大学、山口委員でございます。それぞれ御発表いただきたいと思っております。
 それでは、まず福島県南会津郡只見町教育委員会、仲丸様から、「ふるさと只見を愛し、誇りに思う心を育てるESD~ふるさとのよさを学び、課題を見つめ、未来を切り拓く力へ~」について御報告いただきます。仲丸様、お願いします。
【仲丸氏】  只見町教育委員会の仲丸と申します。よろしくお願いします。まずはこのような機会を頂きましてありがとうございます。
 それでは、只見町の取組について御紹介いたします。資料2-8になります。
 只見町は、福島県の南西部に位置する山間の町です。世界でも有数の面積を誇るブナの天然林を有しており、冬場の積雪が3メートルにもなる豪雪地帯です。厳しくも豊かな自然と、そこに感謝と畏敬の念を持って暮らしてきた人々の豊かな共生が認められ、平成26年にユネスコエコパークに認定されました。
 本町では、「ふるさと只見を愛し、誇りに思う心を育てるESD~ふるさとのよさを学び、課題を見つめ、未来を切り拓く力へ~」を大きな柱に、海のない山間の地ではありますが、海洋教育の視点を付加してESDに取り組んでいます。
 水の大循環から地球規模の広い視野で地域を見詰め直し、よりよい未来の創造のために実行する力を持った人材を育成することを目指したものです。また、SDGsの視点も加え、ふるさとの豊かな存続やSDGsの達成も目指しています。
 こちらは、具体的な目標や子供の姿について、町で統一し作成したグランドデザインになります。具体的な子供たちの姿を発達段階を追って記述し、小中学校で何を目標にしていくかを明確にしました。
 それでは、町の小中学校の取組です。
 只見町では4つの小中学校全てがユネスコスクールに認定されています。小学校では、特にカリキュラムマネジメントに力を入れています。海洋教育とのつながり、学びの連続性、身につけさせたい能力・態度とのつながりなど、各校ごとに工夫しながらストーリーマップに取り入れています。
 学習はあくまで児童主体のものですが、必ずしもストーリーどおり進むわけではありません。実践例として参考にして、日々改善を図りながら学習を進めているところです。
 また、実際の学習では、地域での体験活動を重視しながら、山から川へ、川から海へと視点を広げ、只見愛を深めていくような実践を行っています。今年度は特に「Think Globally, Act Locally」を合い言葉に、行動化にまでつなげ、子供たちの主体的な学びを進めているところです。
 中学校では、小学校のカリキュラムの中で身につけた力や只見愛を基に、新聞紙レジ袋づくり、ブナの落枝を使ったSDGsのホイールづくり、栽培したコキアを使ったほうきづくり、またウニの飼育や防災学習など、地域、海、世界との関わりを意識させ、SDGsの達成を目指したプロジェクト学習を進めています。
 昨年度は、只見中学校の生徒が講師となり、新聞紙レジ袋づくり講座を町で実施しました。また、今年度は県外の方に向けたオンライン開催にも挑戦しました。町内外の参加者から、作ったレジ袋を寄附していただけるなど、活動が広がっているところです。生徒自身の自主的な活動と、PDCAにより常に改善を図りながら取り組む持続的な活動が、子供たちの力を育んでいると言えます。
 また、今年度から地元の県立只見高等学校がコミュニティースクールとなり、町や教育委員会と連携した地域学習に取り組みながら、生涯にわたって町に関わってもらえるような人材の育成に取り組んでいます。今年度は、町の役場に就職した留学生もおり、成果を実感しているところです。
 以上のように、只見町では町教委、小中高校生がパートナーシップを大切にしながら、ESDの実践に取り組んでいます。
 また、地域の持つ教育力を学校に還元するために、マルチステークホルダーの獲得のために、地域と学校の協働にも力を入れています。
 まず、地域の人にESDについて知ってもらうため、ESDの概要や各小中学校の実践をまとめたパンフレットを作成し、配布しました。また、只見学の推進と只見愛の醸成を図るために、只見ユネスコエコパークの大自然について体験しながら学ぶ「ただみ・ブナと川のミュージアム」、それから、来年度の開館予定になりますが、町の貴重な文化遺産を未来へ伝え発信する「ただみ・モノとくらしのミュージアム」など、社会教育施設と学校教育の連携を図っています。
 更に今年度は、只見町の小中学校でまとめている人材リストと、町に以前からある地域人材登録制度のデータを統合して、データベース化しました。それにより、学校区外の地域人材の活用や、そのほか社会教育施設での人材活用も期待されているところです。
 今後は、これまで各学校が培ってきたESDを社会教育にも広げ、ユネスコエコパークに暮らす町民全員がふるさとのよさを再認識し、愛情と誇りを持ちながら、生涯にわたって心豊かに生きていく力を育むことができるように取り組んでいきたいと考えています。
 以上で発表を終わります。御清聴ありがとうございました。
【濵口会長】  仲丸様、ありがとうございました。
 それでは続けて山口委員から、国連大学とSDGs関連の活動について御報告いただきます。山口委員、よろしくお願いいたします。
【山口委員】  ありがとうございます。東京工業大学の山口しのぶと申します。本日は国連大学とSDGs関連の活動ということで、国連大学サステイナビリティ高等研究所所長の立場より報告をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 国連大学は日本に本部を置く唯一の国際機関であり、国連と加盟国が関心を寄せる地球規模課題の解決に取り組むシンクタンクです。
 世界各地に14の研究所があり、その1研究所として国連大学サステイナビリティ高等研究所(IAS)は大学院も有する研究教育機関として東京に設置されています。
 IASは、政策志向型の研究と能力育成を通じて、「持続可能な開発のためのガバナンス」、「生物多様性と社会」、「水と資源管理」、「イノベーションと教育」という4つのテーマにおいて研究教育を推進しています。国際機関として国連システムの優先課題を進める中で、国内外の学術研究機関と連携した共同研究や教育活動を行っています。金沢にも拠点を持っておりまして、日本の複数の大学や自治体、企業との連携を深めています。
 本日は日本のユネスコ活動の推進という文脈での報告として、国連大学の活動、特に日本と連携した事業に焦点を当てて紹介させていただきます。次お願いいたします。
 まず、ESDに関する地域拠点として、国連大学が認定するRegional Centres of Expertise on ESD、略して「RCE」は、世界に181の拠点を有し、日本にも全国に8つの地域拠点があります。各拠点は、分野横断型の情報共有、対話、コラボレーションを促進するためのプラットフォームとして機能しており、地域の課題解決に貢献しております。
 2015年から2019年のギャップイヤーの期間中には、46か国にて476件のプロジェクトが実施され、特にSDG13、気候変動に関するアクションが最多でした。この結果を受け、本研究所では活動事例集に基づいた地域レベルにおける気候変動対策の報告書を出版しております。
 世界のグッドプラクティスの中で、例えばRCE岡山による、科学館におけるバーチャルリアリティーを活用した小中高校向きの講座も取り上げられました。
 また、今年8月には、国際ユースデー記念イベントの一環として、RCEユースウェビナーを開催し、学校における気候変動対策の取組や、コミュニティー参画促進について話し合いました。日本の地域拠点の積極的な発表も見られ、大変効果的であったと思われます。
 国連大学IASにおけるユネスコとの連携も多岐にわたっております。今年のESDに関するユネスコ世界会議にて複数のセッションを開催したほか、7月には国内にてESD for 2030推進のためのウェビナーを開催し、ここではRCE横浜ユースの発表も含め、幅広い層への情報提供を行いました。
 また、高等教育分野では、昨年よりSDG大学連携プラットフォームで取組を展開しております。ここでは、SDG推進に積極的な大学が連携し、取組の共有や、国際社会で活躍できる人材育成を目指しております。また、国内外への発信を通じて、日本の大学の国際社会でのプレゼンス向上を図り、持続可能な発展に貢献することも目的としており、現在31大学が参加しております。
 本取組は、今年7月の国連ハイレベル政治フォーラムの高等教育サイドイベントにて、ビデオメッセージで広く紹介されました。
 本プラットフォームでは、持続可能な社会に向けた大学の行動変容のための提言を下記の4分野において策定しており、本年度はこれらの提言の具現化を目指しています。
 また、科学分野におきましては、UNU-IASは「国連海洋科学の10年」の取組にも積極的に参加しております。笹川平和財団海洋政策研究所と連携し、これまで蓄積してきた里山・里海関連の知見を提供し、国連海洋科学の10年、我が国の取組事例集にも執筆しております。
 持ち時間が少々ありますので、先ほど紹介いたしました7月の国連ハイレベル政治フォーラムで紹介したSDG大学連携プラットフォームのショートビデオを共有したいと思います。
( 映  像 )
【山口委員】  発表は以上となります。ありがとうございました。
【濵口会長】  山口委員、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明及びお二方からの御発表に対して、御質問、御意見のある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 木間委員、お願いいたします。
【木間委員】  朝日生命ユネスコクラブの木間と申します。最初に国内委員会の組織の再編によって、私たち民間ユネスコ委員も各専門小委員会に入って、専門の普及の観点から議論に加われるようになりましたこと、あと各小委員会で皆様に温かく迎えていただきまして、民間ユネスコ活動や普及活動について理解を深めていただけたこと、とてもうれしく思い、ここで感謝申し上げます。
 また70周年事業につきまして、記念ロゴを作成いただきましてありがとうございました。各地で普及活動に活用させていただきました。
 ただ、もったいないなと思ったのは、発表されて半年で、12月で使用期間が終わってしまうのがちょっと惜しいなと思っております。申請してチラシをつくって配ってというふうにすると時間がかかりますので、できたら本当は年度末とか6月末ぐらいまで使用できてもよかったのかなというふうに感じております。
 次回は80周年になるかと思いますが、もう1年前倒しで、記念ロゴなどの事業を打ち出していただけると、十分にPRできるのではないかと思いますので、また御検討いただければと思います。
 本日質問させていただきたいのは、ユネスコスクールについてです。ユネスコスクールの新たな展開を打ち出されまして、キャンディデートということで登録を待つ学校も活動できるようになりまして、とてもうれしく思っております。
 本部でのユネスコ登録につきましては、システムの不具合がまだ続いているということで、もう少し待ってということですが、こちらもうまく進むことを願っています。
 御質問させていただきたいのは、国内の審査体制についてです。現在、ユネスコスクールの支援大学、UnivNet、1校増えて24校になったと思うのですが、こちらの大学が担当大学となって、ユネスコスクール登録希望校の支援、登録審査などを行っていますが、ユネスコスクール約1,200に対して、UnivNetは24校しかなくて、各大学の教授もボランティアでこちらの審査を行っていて大変だという声も聞いております。
 今後、一定期間ごとにレビューを行うということですので、審査体制がどうなるのかということで気になっております。  前回、今回打ち出されました新たなユネスコスクールの展開の文書の中に、審査体制をASPUnivNetから切り離すことを前提に検討するというふうに書かれているので、どのような体制になるのかということで質問の声も寄せられています。現在審議中で、まだ決まっていないことも多いかと思いますが、お話しいただける範囲で御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。
【濵口会長】  御質問は審査体制ですね。お願いします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。今御質問いただきましたのは、ユネスコスクールの審査体制について、どういう進捗状況になっているかということでございました。
 これにつきましては前回の総会でも御報告いたしましたが、審査体制を見直しまして、今までASPUnivNetネットでやっておりました審査を切り離すというようなことで検討するということになっております。先般、教育小委員会でもこれは御報告させていただきましたが、今後更に対応すべき課題ということで現在検討中でございまして、できるだけ速やかに審査を進めていきたいと考えております。
 一方、キャンディデートということで、今、既にユネスコスクールになる活動がなされているというところにつきましては、順次、キャンディデートということの認証をさせていただいておりますので、この審査に関しては、新しく一からユネスコスクールを目指すということについて、どういう審査がふさわしいのかということを早急にまとめて、また教育委員会等でお諮りしたいと思っております。
 以上でございます。
【濵口会長】  よろしいですか。
【木間委員】  ありがとうございました。
【濵口会長】  それでは、杉村委員、お願いいたします。
【杉村委員】  ありがとうございます。時間が限られる中で、手短に申し上げたいと思います。まず、先ほど事務局から御紹介のありましたESD推進の手引の改訂ですが、一言御礼申し上げたいのは事務局に対してです。
 実は今回、この手引の改訂に当たっては、各学校や実践されている先生方のヒアリングを、統括官付事務局で丁寧にしてくださいました。今まで作られたものもすばらしかったのですが、今回作られたものは現場の先生目線に立ったものになっているという御意見が、この間の教育小委員会でも出されまして、それはヒアリングの効果だったと思います。改めまして御礼申し上げます。
 ただいまの木間先生の御発言、すみません、私どもオンラインで参加している者はちょっとうまく聞き取れなかったので、齟齬があってはいけないのですが、いろいろな学校のユネスコ活動へのお気持ちを最大限うまく酌み取っていけるように、事務局共々、教育小委員会としても今後努力してまいりたいと思いますので、改めてよろしくお願いします。
 只見町教育委員会の仲丸様からは、御丁寧な御紹介を頂きました。実は大変僣越ですが、先般行われたベルリンでの会合のときに、中等教育の分科会において、この只見町の実践を、3分と短い時間の中でしたが紹介させていただきましたところ、チャットの方に世界のいろいろな国の方から様々なお言葉を頂きましたので、お礼方々お伝えさせていただきます。
 そのときに出たのが、是非日本のこうしたすばらしい実践を海外に向けて発信していければいいのではないかという意見で、情宣や交流の大切さは日本だけではなくいろいろな国からも出されていましたので、今後、国内委員会の教育小委員会としても、その点は是非、委員の先生方からもお声が出ておりますので、努めたいと思います。
 最後に、先ほどの国連大学の山口先生からの御発言、本当にありがとうございます。国連大学は今日、日本の大学とより密接な関わりを持つことができるようになって、非常に活動が活性化されているかと思います。大変僭越ですが、私の大学も先ほどのSDGsプラットフォームに加えていただいていますが、入っている大学だけではなくて日本の大学全体が、SDGs活動あるいは大学でのESDに対しても、目が開かれてきているような、そんな動きが身近で感じられます。ありがとうございます。RCEの活動とともに大学側からとしても、国連大学と一緒に頑張っていきたいと思います。
 以上、御礼とコメントでございますが、申し上げました。ありがとうございました。
【濵口会長】  お礼のお話、ありがとうございます。
 それでは翁委員、お願いいたします。
【翁委員】  翁でございます。あまり時間がございませんが、私も今日、只見町のお話を初めて伺いまして、大変よい取組だなと思いました。小中高連携し、また主体的な学び、課題設定力といったことを考えながら、グローバルなことも意識していろいろな活動をされている。
 こういったことが横展開していくということがとても大事だと思っておりまして、是非また、何が鍵になってこういうことがうまくできるようになっているのか、この辺り、もし何か御示唆がありましたら教えていただきたいと思いました。
 以上でございます。
【濵口会長】  お答えいただけますか、簡潔に。仲丸様。
【仲丸氏】  ありがとうございます。スムーズに行っている理由としては、やはり小中学校の協力がすごく得られているという点かと思います。
 小中学校の先生方も、それぞれESD、SDGsに対してしっかりと御理解いただいて、子供たちにどのような力をつけたいかというところを共有しながら、教育委員会の方にもいろいろ御相談いただいて、それを教育委員会の方ではつなげていくというような役割で実施しております。そういったところが只見町のESDを改善させていくものなのかなと思っております。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。すばらしい活動ですね。
 それでは片山委員、お願いいたします。
【片山委員】  ありがとうございます。今ほど、只見町教育委員会の町を挙げての教育実践、ESDの実践、本当に横展開されていくといいなと思いました。僭越ですけれども、ユネスコプラットフォーム事業でも取り上げていただければなと思いました。
 先ほど事務局の方から、建議のフォローアップについて簡単な紹介がございましたが、その中の資料2で、38ページになるのですが、世界遺産サミットの開催の記録がございます。ここで委員の皆様に、簡単ですが1点だけ、このような類似するような実践発表を紹介させていただきます。
 よく似た名称ですが、世界遺産学習サミットという全国規模の大会がございます。主に児童生徒、先生方によるESDに関する実践発表・交流会が行われております。このサミットには、私も過去に中学校の事例、それからユネスコ協会としての事例を発表させていただいたところです。
 令和4年2月には、世界自然遺産の島、屋久島で、第12回目の開催予定がなされております。12月には開催方法も含めて公表される予定です。また、こういった実践が横に広がっていくといいなということで紹介をさせていただきました。ありがとうございます。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 それでは佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。私は建議のフォローアップの5番目の普及の観点から、未来共創プラットフォーム事業に関しまして、日本ユネスコ協会連盟の考え方を申し上げたいと思います。
 この事業の最大の目的は、多様なステークホルダーをつなぐ国内のユネスコ活動拠点ネットワークの戦略的な整備と掲げられております。ここで言う「多様なステークホルダー」というのは、地域のユネスコ協会、ユネスコスクール、自治体、大学、NPO、地域の企業などなどです。
 私どもの連盟は、趣旨に賛同しまして、事業開始当初より各種セミナーへの出演とか、各地のユネスコ協会にも依頼に応じて協力を行っております。事務局は少人数で精力的に活動されていまして、御苦労に感謝したいと思います。
 さて、事業開始より1年半が経過しましたので、評価と課題の整理が必要だというふうに考えております。そうしますと、主な事業として掲げました全国及び地域ネットワークの構築、そして地域の団体が連携するユネスコ活動のモデル地域というのは、当方の把握している限りですが、形はまだ見えておりません。
 そして、オンライントーク・セミナーの参加者は、ユネスコ協会の会員を中心として毎回60名、80名ぐらいにとどまっておりまして、広がりを見せているとは言い難い状況であります。辛口の評価ばかりで申し訳ありませんが、よりよい事業とするための意見ですので御容赦いただきたいと思います。
 現時点での課題は、我々の意見の集約では、参加している関係団体が納得感を持って自らの意思で関与できていないことです。その原因は、議論の不足と説明の不足にあると考えております。メンバーが自らの意思で参加するボランティア団体とか経済団体では、トップダウン式の命令というのは無力で、ボトムアップが重要です。これらの問題を解決するためには、次のことを提言したいと思います。
 事務局が少人数で孤軍奮闘するよりも、参加する各団体の文殊の知恵とネットワークを利用することが重要だと考えます。運営の協議会とか、各地域でみんなで事業目的と具体的な計画を議論した上で、自らの意思で取り組んでいけるよう、運営を改善されてはいかがでしょうか。ネットワークづくりは重要な事業と考えて、成功を期待しております。よろしくお願いします。
【濵口会長】  ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
 それでは猪口先生、お願いいたします。
【猪口委員】  2回目の発言ですので、ありがとうございます。私もこのESD、これは日本発の国際貢献のコンセプトなんです。ですから本当に日本として、世界に先ほど発信すべきという意見がありましたが、強くそうだと思うんです。
 それで、本日の只見町のこの報告、すばらしいものであって、結局、国際に協力するということは、まず自分の郷土愛とか、あと愛国心も含めて、そういうことを思っていれば、相手の人が自分の地域を愛したり自分の国を愛する気持ちが分かるということです。
 だから、国際主義の基本は、正に自分の地域や自分の国について強い思いを持つ。主権国家平等の原則で国際社会というのは運営されていますから、相手様もそうだろうという気持ちが出る。
 だから、只見町の教育というのは、まず自分の只見愛から始めて、例えばそうだったら、アフガンに何らかの協力で行ったとき、アフガンの人たちが強烈に自分の地域や国を思う気持ちを分かるということにもつながるので、そういう観点からのESDの教育と。
 みんなそれぞれが自分の生まれたところ、誰にも生まれた地があるんだと。でも、その生まれた地が崩壊している国、あるいはそこを追い払われて難民となる人たち、そういう人の気持ちまで、君たちは只見町に暮らして、こんなに幸せで、みんなで只見愛だとうたい上げているけれど、それができない子供たちも分かるかとか、そういうことも教育の中に是非入れていただいて、そういう地域に行ったとき、精神の幅があるようにとお願いしたいんです。
 それで私、本当は別のところで発言すべきかもしれないけれど、ちょっとこの後行かなきゃならないので、こういうことを世界に発信するとき、ウェビナーとか、こういうZoomも、私たちはいいと思うんです。
 でも、ハイレベルはやっぱり対面の会議にきちっと行って、これを強くプレゼンスを持って訴えてもらいたいと思うんです。日本発のものですから。
 ですから大臣も、いろいろな国際会議も、もちろん、国会の制約があるとか、いろいろあるかもしれないけれども、でも、それを曲げて、是非国際会議、多国間のそのような場に行って、それで只見町の事例も紹介するぐらいの勢いで、ESD、Education for Sustainable Development、その昔にこのeducationとsustainabilityと、そしてdevelopmentという、この3つをつなげたというのは、やはり我らの思想的精神性がここにあるから、これはようやく世界が追いついてきていますので、日本のハイレベルは、是非、これからコロナの時代だけれど、Zoom、ウェビナーだけでなくて、きちっと国際会議に行ってほしいと。
 他方で、やっぱりZoomは、私たちが簡単にこうやって参加できるので、多くの人の参加を可能にするので、そこは使い分けだと思うけれど、ハイレベルは、是非文科省の方も聞いているでしょうからお願いしたいというふうに、この機会にお願いしておきます。
【濵口会長】  ありがとうございます。非常に重要な御指摘を頂きました。
 私も先日、国際会議でいろいろ議論していて、COVID-19のクライシスの話をしていたときに、皆さん言われるのはエデュケーション、先生のおっしゃっていることと同じポイントだと思います。文科省、あるいは外務省の関係の方々、よろしくお願いします。
 それでは芳賀委員、お願いいたします。
【芳賀委員】  東北大学の芳賀です。議題2の我が国におけるユネスコ活動の現状と今後の取組の在り方について、具体的なことを文化庁のまさに文化資源活用課の鈴木室長と守山さんがいらっしゃるのでお聞きしたいのですが、今、ユネスコで、特に日本の世界遺産を利用して、コロナの現状で、インターネットでどのような活用・広報をなさっていますでしょうか。個別の登録主体ごとでなくて、国レベルで是非進めていただきたいと思います。
 例えばコロナ禍においてパリのユネスコの世界遺産センターは、#ShareOurHeritage Exploring World Heritage from homeというサイトを作り、各国がそこに自国の世界遺産の紹介動画等を上げていますが、日本からは出ていません。
 コロナ禍の今と、コロナ終焉後のインバウンド、わっとみんなが世界中から日本に来ることを目指して、是非インターネットを活用して、日本としてやっていただきたいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  いかがでしょうか。
【鈴木室長】  文化庁の鈴木でございます。御質問いただきまして誠にありがとうございます。
 先生御指摘のとおり、文化情報の発信ということについて、このコロナ禍で非常に重要性が高まっていると思っておりますので、これから様々な形で文化情報の発信というのは我々も非常に力を入れていきたいと思っておりますが、すみません、現時点で具体的に何かこれがというのが、ちょっとまだ研究不足ということでございますので、少しそこは研究させていただきたいと思ってございます。ありがとうございます。
【芳賀委員】  ありがとうございます。
【濵口会長】  よろしいですか。
【守山室長補佐】  ちょっと補足をよろしいでしょうか。申し訳ございません、文化庁の守山でございます。御質問いただきありがとうございます。
 補足ですが、今御指摘いただきました世界遺産も含めまして、文化庁はいろいろ国際の発信に取り組んでおります。無形文化遺産もそうですし、先ほどアフガニスタンのお話も出ましたが、アフガニスタンの文化財はじめ海外のいろいろな文化財への国際協力というのも、かなり地道な事業が多いのですが、長年行ってきております。
 こうした世界遺産だけではなくて、文化遺産の国際発信の取組全体をどうやってネットを通じて発信していこうかというのを、今、検討しているところでございますので、必ずしも世界遺産に限らず……。
【濵口会長】  いつ頃までにどういう形でお見せいただけるかということを、しっかり考えていただきたいですね。
【守山室長補佐】  はい。今年度には始めたいと思っているのですが、いろいろな……。
【濵口会長】  はい。エクスキューズはもういいですから。やってください。
【守山室長補佐】  はい、かしこまりました。ありがとうございます。
【濵口会長】  お願いします。思いはいろいろございますが、時間は限られておりますので、議題の3に移ります。
 議題の3は、第41回ユネスコ総会について答申がございます。
【松浦特別顧問】  松浦ですが、今の世界遺産の関連で私も一つ申し上げたいことがあります。来年は2022年で、世界遺産条約採択50周年、それから日本が世界遺産条約体制に参加して30周年です。
 ですから、是非今、いろいろ御指摘がございましたが、やはり来年、今年はユネスコ加盟70周年も重要ですが、世界遺産の次元で、今申し上げたように非常に重要な年になるので、それも念頭に置いて対応していただきたいと思います。お願いします。
【濵口会長】  来年から考えてバックキャストして、何月までにはどういうことをやるかというプランをつくっていただきたいということであると思います。よろしくお願いします。
 それでは、第41回ユネスコ総会についての議題をお諮りします。ユネスコ活動に関する法律第6条第1項及び第2項に基づき、本年8月に外務大臣及び文部科学大臣より、日本ユネスコ国内委員会に対して、第41回ユネスコ総会について諮問がありました。
 まず、事務局から、この諮問に対する答申案について説明をお願いいたします。
【石田国際戦略企画官】  事務局でございます。それでは資料3-1から3-4を御覧いただければと思います。
 まず資料3-1でございますが、今、会長からお話がありましたが、本年11月に行われますユネスコ総会に対する対応についての諮問ということで、外務大臣、それから文部科学大臣からこの国内委員会の方に諮問が8月に出されているという状態になってございます。それぞれユネスコ総会における政府代表、あるいは基本的方針、あるいは予算・事業についての答申ということでございます。
 資料3-2を御覧いただければと思いますが、資料3-2がこれに対する答申ということになります。こちらにつきましては、まず外務大臣に対する答申としては政府代表、(1)から(4)に係る者が出席することが適当であるということ。
 それから、79ページでございますが、大きな基本方針ということで、前半に御議論が少しありましたが、事業・予算について重要だということを踏まえつつ、アフガニスタン情勢や感染症や自然災害といった状況にきちんと対応していくことが必要だということ。
 それから行財政一般については、しっかりと精選・重点化を事務局が行うということが求められるとともに、アズレー事務局長が就任してから、戦略的なユネスコ改革といったものを進めておりますので、この成果を踏まえてしっかりと我が国も関与していくべきだといった内容になってございます。
 それから、答申のうち文部科学大臣に対してのものが80ページ以降となってございますが、こちらは総論と各論とに分かれてございます。総論につきましては、先ほど申し上げた基本的な方針をベースにしておりますが、例えば1ポツの5)のところにございますように、優先グループとしてユースとそれから小島嶼国開発途上国が入ってくるということでございますので、こういうことに留意するといったことも踏まえさせていただいて、総論をつくっております。
 また、6のところでは、こういった世界が混迷するということに対して、今年の3月に、会長からのメッセージで、こういった分断している世界をつなげ直すと。こういったところにユネスコの役割があるんだといったメッセージがございましたので、この趣旨を盛り込ませていただいた案にしてございます。
 以下、教育、それから科学、文化、それぞれにつきまして個別の議題がございますが、これにつきましては各小委員会の方でそれぞれの分野においての御議論いただいており、出てきた意見を踏まえて現在の答申案になってございますので、説明は省略をさせていただきたいと思います。
 それから資料3-3と3-4、先ほど少し話題になりましたが、現在の中期戦略案、それから事業・予算案の概要でございますので、御参照いただければと思います。
 以上でございます。
【濵口会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえて、意見交換の時間といたします。御質問、御意見等のある委員の方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 細谷委員、お願いいたします。
【細谷委員】  どうもありがとうございます。かいつまんで3点ほど申し上げたいと思います。
 今回のユネスコ総会というのはもう御承知のとおりで、8年間にわたる中期計画採択で、事業予算も4年間のものを作ると。通常の総会以上に大きな節目なんです。
 ユネスコにとって今、総論的な意味で何が一番大事なことか、3つあると思います。1つは、要するにユネスコという国際機関をいかに政治化させないようにするのか。これは今までいろいろ大問題になってきていることで、今回の御報告の中では、御記憶の方も多いと思いますが、世界の記憶の事業が非常にトラブって、ようやく長年の議論の末、制度改革の案が出来上がったと。これは前進だったと思うのですが、ほかにもいろいろ制度はあるわけでして、もう政治的に、加盟国の思惑でユネスコが翻弄されるという事態は引きも切りません。
 これをどうやって今後、本来のユネスコの形に戻していくのか。例えば創造都市ネットワークという比較的新しい制度がありますが、これが本来のユネスコにふさわしい制度にどう育てていけるか。これは非常に大きな視点です。これが1点目です。
 2点目はもう言うまでもなくといいますか、どうやってアメリカに戻ってきてもらうのか。これはなかなか難しい問題で、やろうとはしておられますが、法律上の問題、予算の問題があってもちろん簡単ではなくて、基本はアメリカにとって、アメリカの国益にとってユネスコに戻ることが利益になる。それはもう今までいろいろ議論をしてきているわけですが、いま一つ決め手がありません。アメリカにとって、戻らなければまずいというふうな状況が出てくれば、これは一つまた違う力学が働くわけです。
 私が申し上げることでもないのですが、要するにアメリカがいなくなったユネスコというのは、想像に難くないわけですが、いろいろな分野で中国がリード権を取り出して、それをどうやってバランスを取るかというのは、もう残された日本とかEUにとっての大問題なわけです。そういう中で、アメリカは戻らなければまずいという状況をどうやってつくり出していくかというのが一番基本になると思います。
 3番目は、それに強く関係しますけれども、要するにポストコロナの新しい時代におけるユネスコの新しい在り方、新しいレゾンデートル。
 これは本当に大風呂敷の議論かもしれませんが、具体的に考えていく必要がある問題で、大体、大きな時代の激変があったときにユネスコの新しい価値が出てき得ると。そもそもユネスコができたのが第二次世界大戦の後でしたからね。
 一つ具体的には、今後のポストコロナの時代というのは多分にICT、デジタルトランスフォーメーションに関係していくわけです。アズレー事務局長が力を入れておられるAIの問題も、当然非常に深く関わってくると思います。
 どうやってそこで新しい規範づくり、ユネスコの力というのはいろいろなところがありますが、実際にお金がかかる事業よりも、やはり新しい規範づくり、ルールづくりのところで、どういう新しいものをつくり出していくか。
 この分野は、AIは今度の総会では取りあえずAIの倫理に関わる勧告でしたか、拘束力のないものだと思いますが、経験的には、勧告が出たものはその後国際協定に結びついていく場合もあります。そうなると、ますますアメリカが入っていないユネスコでどうやってバランスが取れたものを作るか、これは大問題になることが予想されます。3つ、この機会に国内委員会としても、何らかユネスコに対する付加的メッセージ、あるいはこれは政府が前に立たれることですから、その問題意識から、是非参画していただきたいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 3点とも非常に重要な問題ですけれども、難問ですね。多分なかなか答えにくいとは思いますが、石田さん、発言ありますでしょうか。
【石田国際戦略企画官】  ありがとうございます。本当に本質的な御議論を頂いたと思っておりまして、まず、政治化についての問題、それからアメリカについての問題、それからポストコロナの在り方についての問題、いずれについても具体的に答申にどう盛り込むかということはございますけれども、例えば、政治化させないという趣旨であれば、文章で工夫させていただくことは当然可能だとは思いますし、今でも、正にこれは文化・コミュニケーション小委員会で細谷委員に、しっかりと分断した世界をつなぎ直すんだと、こういったメッセージを入れるべきではないかという御意見を頂いて、総論のところに書かせて頂いたりしております。そういった形で、うまく答申案に少し入れさせて頂くように工夫したいと思います。
 ただ、今、アメリカの話がございましたけど、個別の国家の名前を出して記述するかどうか、細かいところは少し調整させていただければと思います。
 以上です。
【濵口会長】  多分、今の御質問に答える1つの道は、アメリカとの連携を日本がどういう戦略で動かしていくかにあるかと思うんですね。そのコアはやっぱりDXであるし、ロボティクスであるし、量子コンピューター、こういう問題でありますし、社会のレジリエンスの問題でもあります。実は私もJSTでもそういう議論をNSFとかなり深く、2日前もパンチャナサン長官とそういう議論をしておりました。現場を動かすということ、それから国のシステム、ファンディングも含めたものを動かす上に、ユネスコでの主張を展開していくということをやらないと、ボトムなしに、土台なしに、上澄みだけではなかなか解決しないなというのが私の実感ですけど、すいません、発言し過ぎたかな。
 文科省としてはいかがですか。
【田口国際統括官】  国際統括官の田口でございます。細谷委員のおっしゃったことは、そのとおりだと思います。その中で、先ほど石田が申し上げましたように、反映できるところは、この文章の中にちょっと入れ込もうと思いますが、エクスプリシットにこうやって書くことと、それから少し違う形で動くという話と、ちょっと分けて考えていきたいと思います。外務省ともよく相談しながら、いろいろなことに対応していきたいと思っております。
 以上です。
【濵口会長】  外務省は御意見ございますか。
【曽根文化審議官】  ありがとうございます。御指摘いただいた3点、私も非常に重要なポイントだと思っています。非政治化の話については、やはり、いろいろな形で、いろいろな国が、各国の思惑で動いていることによってそうなってしまっているのをどうそうならないようにしていくかというのは、恐らく、ユネスコの原点に立ち戻ってというところもあるのかなと思っています。アメリカの再加盟はなかなか難しい問題ではあるんですけれども、やはりアメリカ自身も国際機関におけるリーダーシップの問題点をいろいろなところで提起しているということも踏まえれば、先ほどのAIの問題について、それこそ条約、協定化するような話がある中で、ユネスコに戻ることの重要性を認識してもらうとともに、いろいろクリアしなければならないアメリカの中の問題について、日本としても、どういう形で協力できるのか含めて、やっていきたいなと思っています。
【濵口会長】  ありがとうございます。
 次の御発言を頂きたいと思います。蓮生委員、いかがでしょうか。
【蓮生委員】  ありがとうございます。2回目の発言で失礼いたします。
 先ほど、細谷先生から非常に大局的なコメントを頂戴いたしまして、非常に貴重なコメントを頂きまして、ありがとうございます。私も少し、長期的かつ大局的観点から、かなり大風呂敷を広げたコメントになってしまうんですが、文化の位置づけに関することです。
 冒頭で、戦略目標をブレークダウンした成果レベルにおいても文化の位置づけが総体的に見劣りしないように中期戦略案の策定を期待したいというような、ちょっと短期的なお話をさせていただいたんですけれども、今申し上げたいのは、今回のような中期戦略案や事業予算案が事務局側から作成されてきてしまうことの根本的な原因というか、その背景がどこにあるのかということに関する私の考え方です。
 それは恐らく、アジェンダ2030の設定したSDGsの目標の中に、そもそも文化の視点が希薄だったということがあるのではないかと推測するわけです。国連システムの中で文化を扱っている国連機関というものはユネスコだけですから、この点に関しては、ユネスコはもう少しグローバルなリーダーシップを発揮すべきであったのではないかと考えております。
 そして、更に言えば、なぜそれを今日の総会で申し上げさせていただくかといいますと、今回提出された中期戦略案の実施期間は2022年から2029年ですので、この実施期間の最中に、グローバルにはアジェンダ2030の後継になるであろう新たな目標の設定に関する議論というものがグローバルに始まっていきます。従いまして、2030年以降のアジェンダの設定に関して、日本としては、日本外交としては、どのような貢献をグローバルにしたいのかという議論をそろそろこのユネスコ国内委員会でも始めるべきときなのではないかということを、是非御提案申し上げたいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。今後の検討課題として、引き続き議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【蓮生委員】  ありがとうございます。
【濵口会長】  お時間が押しておりますが、では、松浦特別顧問、お願いします。
【松浦特別顧問】  松浦です。恐縮ですが、今の文化の関連で、1つ追加的な発言をさせてください。先ほど配られておりますユネスコの中期戦略の中で、戦略目標の3、更には、その成果の5に、文化的多様性、特に文化的表現の多様性の保護と促進というのが挙がっています。実は私、先日、ユネスコの文化セクターに頼まれて、2005年の文化的表現の多様性の条約について、講演とセミナーと1時間ぐらい動画でしゃべったんですけど、やはり、日本が非常に文化を重視して、ユネスコの文化活動を重視しているのは非常にうれしいんですけれども、その柱である新しい文化を促進することに重点を置いている文化の多様性条約をいまだに批准していない。もちろん、これは日本にとって具体的なメリットがどれだけあるかという疑問があるわけですけど、2005年に総会にかけたときは、日本も積極的に賛成発言をし、かつ、賛成投票をしていたわけですから、やはり、是非条約の批准、更に必要があれば、それに伴って、国内法の改正、文化財保護法の改正等も考えていただきたい。繰り返しになりますけど、文化遺産を大事にしていく、これは非常に一生懸命やっていますが、現実に新しい文化を創造するということも実際にはやっているんですけど、それの一番の象徴的な条約である文化的表現の多様性の条約を日本が批准していないというのは、残念ながら、国際的に見ると、非常にマイナスになっているんです。これは是非念頭に置いて、これを是正することを真剣に考えていただきたいと思います。
 以上です。
【濵口会長】  ありがとうございます。いろいろ貴重な御意見を頂きましたが、この答申案について、おおむね御異議ございませんでしょうか。
 細かい文言の修正については御一任いただければと存じますが、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 (委員からの賛同あり)
 ありがとうございます。それでは、本件につきましては、ユネスコ総会に向けて、外務大臣及び文部科学大臣へ答申したいと存じます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、議題の4、日本ユネスコ国内委員会の構成についてに入ります。
 ここからは、国内委員会の委員の人事に関する事項について審議するため、会議の議事を非公開とします。委員及び事務局関係者以外の傍聴の方々並びに報道関係者の皆様には、恐縮ですが、ここでユーチューブを通じたオンライン配信を終了いたしますので、どうか御了承ください。

―― 了 ――
 

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