日本ユネスコ国内委員会総会(第145回)議事録

1.日時

令和元年9月12日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

ホテル ルポール麹町 2階「ロイヤルクリスタル」

3.出席者(敬称略)

〔委員〕
安西会長、濵口副会長、古賀副会長、秋永委員、安達委員、石井委員、礒田委員、井手委員、市丸委員、猪口委員、宇佐美委員、及川委員、大枝委員、大塚委員、大野委員、岡崎委員、越智委員、片山委員、萱島委員、河野委員、木間委員、黒田委員、小長谷委員、小林委員、西藤委員、佐野委員、島谷委員、杉村委員、髙木委員、道傳委員、丹羽委員、蓮生委員、東川委員、細谷委員、箕浦委員、山口委員、山田委員、吉田委員

〔外務省〕
志野国際文化交流審議官
森国際文化協力室長

〔文部科学省〕
藤原文部科学事務次官

〔文化庁〕
石田文化資源活用課文化戦略官
守山文化資源活用課文化遺産国際協力室室長補佐
木南文化経済・国際課国際文化交流室室長補佐

〔事務局〕
大山事務総長(文部科学省国際統括官)、平下副事務総長(同省文部科学戦略官)、
大杉事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)秦事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

4.議事

【安西会長】  
本日は、御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
定刻でございますので、まず事務局は定足数の確認をお願いします。
 
【秦国際統括官補佐】  
本日は、御出席の委員が39名で、委員の過半数を超えておりますので、定足数を満たし
ております。
 
【安西会長】
ありがとうございます。
ただいま事務局から定足数は満たされていると御報告がありましたので、第145回日本ユネスコ国内委員会を開催させていただきます。
国内委員会の規定に基づきまして、本日の総会は、一部の議題を除いて傍聴の希望者に対して公開いたします。
また、御発言は、非公開部分を除いて、そのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。
本日の会議には、中村裕之文部科学大臣政務官、大変御多忙の中を御出席いただいております。ありがとうございます。
また、本日は、関係省庁の担当官にも御出席いただいております。
本日は、ペーパーレスの会議になっております。この委員会で初めてのことでございますので、まず事務局から、その点について説明をお願いいたします。
 
【秦国際統括官補佐】
失礼いたします。
今回の会議から、この委員会におきましても資料のペーパーレス化を進めさせていただきます。既に、教育小委員会においてペーパーレス化を実施したところです。ユネスコが全てのSDGsに貢献する取組を推進している観点と、政府としても進めている働き方改革の動きを踏まえまして事務局の業務効率化を図る観点と、この二つの観点からの取組ということで、国内委員会の委員の皆様方の御理解を賜りたいと思います。
本日、議事次第とリーフレット類の配付資料を除きまして、全ての資料はお手元のタブレットのPCにて御覧いただくようになってございます。議事次第に、資料の一覧を書かせていただいています。
操作方法は、既にお分かりの委員の方々も多くいらっしゃるとは思うんですが、皆様の机上に置かれたタブレットPCの簡易操作マニュアルということで、一応、図解でお示しさせていただいておりますので、ご参照ください。
何か不具合や、操作の仕方が分からないということがございましたら、皆様の後ろ、近辺に事務局、職員がおりますので、お申し付けいただけたらと思います。
最後に、恐縮ですが、今日は、皆様のお水の隣に、日本の間伐材を使って開発された木のストローをお配りさせていただいております。先日のG20大阪サミットにおきましても活用されたものと聞いています。ユネスコにおきましても、海洋プラスチックごみの問題解決等に関しまして国際協力を推進しようとしているところです。その一助となるアイテムとしても注目されているようですので、御案内させていただきます。
長くなりましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、中村文部科学大臣政務官から御挨拶を頂きたいと存じます。
中村大臣政務官、よろしくお願いいたします。
 
【中村文部科学大臣政務官】
皆様、こんにちは。御紹介いただきました、文部科学省で大臣政務官を務めております中村裕之です。どうぞよろしくお願いします。
第145回日本ユネスコ国内委員会の開会に当たり、一言、御挨拶を申し上げます。
安西会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、厚く御礼申し上げます。
社会の変化が予測困難となり、国際情勢も複雑化しているその一方で、持続可能な開発目標、SDGsの達成に向けた国内外の取組は、確実に広がりを見せているところであります。ユネスコは、SDGsのうち、あらゆる分野の基盤となる教育に関する目標に責任を負う機関であり、その役割は重要性を増しているところであります。
我が国では、1947年に世界初の民間ユネスコ団体が誕生し、ユネスコ加盟以前から盛んに活動が行われてまいりました。ユネスコスクールの数が世界トップの1,000校以上に上るなど、活動の基盤が全国に広がっていることは、日本が誇れる強みの一つとなっております。
日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコが70周年を迎えた際に、新しい時代におけるユネスコの役割に関する提言を会長からユネスコ事務局長に手交していただくなど、日本がユネスコ活動の改善、充実に貢献するため積極的に御活動いただいており、心より感謝を申し上げる次第でございます。
ユネスコ活動は、今、転換点を迎えております。アズレー事務局長のリーダーシップによる戦略的なユネスコ改革が進められるとともに、日本が主導してきた持続可能な開発のための教育、ESDに関する新たな実施計画の策定や、AIの倫理に関する議論など、時代の要請に応じた取組が進められています。令和の時代が始まったこの年に、これまでの活動の蓄積を受け継ぎつつ、新たな担い手も巻き込み、日本とユネスコの関係の新たなページを開くことができるよう、委員の皆様の御知見を頂きますようお願い申し上げる次第です。
先日のユネスコ大会でも、日本のユネスコが提唱して実践してきた世界寺子屋運動に参加の海外の皆さんが、その意義深さを発表されたと聞いております。日本ユネスコ国内委員会のますますの御発展、御活躍を御祈念申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
 
【安西会長】
ありがとうございました。
中村政務官、大変御多忙の中をいらしていただきまして、うれしいお言葉を頂きまして、改めて感謝を申し上げます。
中村政務官は、この後、次の御予定がおありになりますので、ここで退席されます。
 
【中村文部科学大臣政務官】
失礼します。
 
【安西会長】
ありがとうございました。
 
(中村文部科学大臣政務官退席)
 
【安西会長】
報道関係者の皆様におかれましては、写真撮影はここまでとさせていただきますので、御了承ください。よろしくお願いいたします。
それでは、審議の前に、本年2月7日に開催されました前回の国内委員会総会以降、関係省庁及び事務局に異動がありましたので、事務局から報告をお願いいたします。
 
【秦国際統括官補佐】
失礼いたします。三方を御紹介させていただきます。
まず、外務省国際文化交流審議官に、志野光子が着任しております。
 
【志野国際文化交流審議官】
どうぞよろしくお願いいたします。
 
【秦国際統括官補佐】
続きまして、文部科学戦略官、かつ日本ユネスコ国内委員会副事務総長に、平下文康が着任しております。
 
 【平下文部科学戦略官】
どうぞよろしくお願いいたします。
 
【秦国際統括官補佐】
最後に、文部科学省国際戦略企画官、日本ユネスコ国内委員会事務局次長として、大杉住子が着任しております。
 
【大杉国際戦略企画官】
よろしくお願いいたします。
 
【秦国際統括官補佐】 
以上でございます。
 
【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、議題に移らせていただきます。議題1.最近のユネスコ活動について。初めに、前回の国内委員会総会以降の最近のユネスコ活動の状況につきまして、事務局及び関係省庁から御報告いただきます。一連の御報告を続けて頂きまして、御質問等については最後にまとめてお願いをさせていただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。
 
【大山国際統括官】
安西会長、ありがとうございます。
文部科学省国際統括官、日本ユネスコ国内委員会事務総長をしております大山と申します。私の方からは、最近の大きな動きについて、3点ほど御紹介いたしたいと存じます。
まず、お手元、資料1を御覧ください。柴山前文科大臣とアズレー・ユネスコ事務局長との最近の会談についてでございます。
柴山前大臣は、本年7月初めにフランスを訪問いたしまして、G7の教育大臣会合に出席するとともに、アズレー・ユネスコ事務局長と会談を行っております。この会談では、教育、科学、文化各分野の取組のほか、「世界の記憶」事業の包括的見直し等について意見交換を行っていただいております。
まず、教育の分野では、日本がこれまでも提唱しておりますESDに関して、新たな枠組み、2020年から2030年の枠組みでございます「ESD for 2030」が2020年から開始される時期に当たっていると。科学の分野では、「国連海洋科学の10年」が2021年に開始されるということで、今、計画策定にも取り組んでおりますが、そういった節目の時期に当たるということ。また、ちょうど7月6日には、文化面で世界遺産、大阪府の百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録が決定されたタイミングだったわけでございますが、柴山前大臣からは、日本の知見を生かして積極的に貢献する、教育、科学、文化など各分野で加盟国としての役割を果たすということを発言してございます。
「世界の記憶」に関しましては、友好と相互理解の促進というこの事業本来の趣旨、目的に貢献できるように、制度の包括的見直しを行うことの重要性、日本としては、日本の強みでもございます記録物の防災に関して、日本の経験を生かして貢献を行っていくといったことを伝えてございます。
また、柴山前大臣は、8月28日にも、TICAD御出席のために来日したアズレー事務局長と、再度、横浜で会談しておりまして、「ESD for 2030」でございますとか、ユネスコがこれからスタートさせます「教育の未来プロジェクト」への協力等について意見交換を行っております。
続きまして、資料2-1を御覧ください。こちらでございますが、先週9月5日、東京におきましてG20の教育関連イベント、こちらは文部科学省主催で開催しておりますが、その中で「ESD for 2030」の立ち上げ直前の記念セッション、プレローンチのイベントを併せて開催してございます。このセッションにおきましては、安西会長にも御出席いただきまして、SDGs達成に向けての日本の取組について御発表いただきました。また、ユネスコから、ジャンニーニ教育担当事務局長補が来日しておりまして、「ESD for 2030」の概要等について紹介していただいています。ESDの推進に当たっては、行動変容をもたらすということが非常に鍵である、重要であるということ、国内外、様々なステークホルダーとの連携が重要だといったことに言及されております。また、日本のステークホルダーとしても、学校関係者ですとか、民間からANAの方、あるいは海外からはドイツ、インドネシアからも発表していただいたということでございます。
資料2-2は、このイベント全体のプログラムでございますので、御参照ください。
それから、3点目でございます。資料2-3を御覧ください。こちらは、9月4日でございますが、ジャンニーニ教育担当事務局長補が来日したということで、国内委員会の教育小委員会の委員の皆様方と、ESDなどについて意見交換の場を持っていただいたところでございます。安西会長、それから杉村教育小委員会委員長をはじめ、教育小委員会委員の方々からいろいろ御意見を頂いたところでございます。例えば、ESDをどう評価し、学習成果に結び付ければいいかといった課題でございますとか、ODAの教育事業の取組、その経験を国内施策とどう結び付けるかといった観点の御意見があったほか、ジャンニーニ事務局長補の方からは、現行のESDの実施枠組みでありますGAP(グローバル・アクション・プログラム)において、2,600万人を超える学習者が関わったことから、今後、更に改善、発展の可能性があるといったことでございますとか、教育はSDGs達成の鍵であるといったことについて言及があったところでございます。
私からは以上でございます。
 
【志野国際文化交流審議官】
続けて、外務省の方から、よろしゅうございますでしょうか。続けさせていただきます。
資料3になりますが、アズレー・ユネスコ事務局長が、先般、TICADの機会に訪日されましたので、それについて御説明させていただきます。
資料を御覧いただきますと分かりますけれども、2019年8月28日から30日、横浜で開催されておりましたTICAD7に合わせて訪日されましたが、2017年11月に事務局長になってから初めての訪日ということになっております。
日本とユネスコは、親和性の高いアジェンダ、重要視しているものの親和性が高くなっておりますが、特に教育、文化、人工知能、防災、対アフリカについての協力を確認させていただきました。
また、TICAD7ということもございまして、日本が具体的にどういう協力をアフリカに対して行っているのかを見てもらうために、パリのユネスコに常駐しておりますアフリカの主要国の大使、ここにございます9か国の大使ですけれども、訪日してもらい、いろいろなサイドイベントにも積極的に参加してもらったということでございます。
二つ目のポツでございますけれども、この機会に合わせまして、先ほど大山統括官の方からも御報告ありましたが、柴山前文科大臣とも会談していただきましたが、このほか、安倍総理、河野前外務大臣の方とも会談いたしました。
全般的には、また後で御報告いたしますけれども、ユネスコの非政治化に向けた改革について、日本としてユネスコ・アズレー事務局長の取組を支援するということで、その積極的な取組について評価しつつ、協力していくということを申し上げております。
それから、資料3の2ページ目の方に参りますが、ユネスコ事務局長が日本に来た際に二つほど大きなサイドイベントを行っております。
一つ目は、AI(人工知能)の活用に関するパネルディスカッションでございます。これは、横浜のTICADの会議場のアネックスというところで行って、100人ぐらいが入る部屋でやったんですけれども、何と立ち見が出て、入り切らない人が若干残念そうに帰ってしまうぐらいの大好評を得たものでございます。アズレー事務局長がイニシアチブを表明しているAIの倫理に、我々としても貢献できるような議論を行おうということで、ユネスコと共催で、アフリカ、ユネスコ、日本のAIの専門家、これはアカデミアの方たちとビジネスセクターも含めまして、いろいろな方に御参加を頂いてシンポジウムを行いました。外務省、ユネスコ事務局長からも基調の挨拶をしてもらいました。
実際、どういう話をしたかということですけれども、やはりAIとなりますとデータがいかに重要かという話になりますので、先般、G20でも合意いたしましたデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの話を紹介いたしました。あるいは、日本の民間技術が持っているいろいろなAI技術を提示いたしまして、これがアフリカの掲げる諸課題に対するいかなるソリューションになるのかということについても議論を行いました。
それから、アフリカの方から問題提起が行われましたのは、やはりデジタルデバイドというものは、国や地域の格差もあるけれども、一つの国の中でも女性、あるいは地方において非常に大きい。しかし、AIの技術を活用するというのは、一部の専門家だけが知っているのではなくて、セキュリティーの問題、プライバシーの問題は、やはり使う人間全てが理解していないと問題になるものである。その点、教育が重要になってくるということで、ユネスコの果たす役割等についても話し合いを行うことができました。
二つ目のイベントは、アフリカの映画人材育成に関するシンポジウムでございます。アフリカの中で一番大きな映画祭がブルキナファソで行われているんですけども、そこで本年、賞を取りました「ジャングルの中の慈悲」、コンゴの第2次コンゴ戦争をテーマに扱った映画ですけれども、これを上映いたしまして、その後、日本、ヨーロッパ、アフリカの映画人材の人たちを招いてシンポジウムを行いました。アズレー事務局長は、フランスの映画協会のヘッドの経験もおありで、映画が非常に好きで、積極的にいろいろな意見も述べてくださいました。
また、日本の方でも、今度、文部科学大臣になられました萩生田先生が副長官の時に、やはり日本の映画界をどういうようにしようかという官邸会議を主催していらっしゃった関係で、まだ閣僚の話とか全くなかったんですけれども、偶然ですが、アズレー事務局長とも意見交換し、かつ、このシンポジウムの方にも御参加くださいまして、アフリカの映画や人材育成、どういうことをやっていったらよいのか、また、映画はアフリカの文化の多様性を世界に知らしめる良いツールとなるので、日本としてもそれにどうやって貢献できるのかということについて話し合いを行いました。
以上、簡単ですけれども、アズレー・ユネスコ事務局長の訪日の関係でございます。
次に、資料4の方に移らせていただきまして、ユネスコで行われております改革について簡単に御説明させていただきたいと思います。
アズレー事務局長になりましてから、ユネスコの方も戦略的にいろいろと改革をしなくてはいけないと考えております。改革の柱が三つ真ん中にございますけれども、構造改革、作業効率性の強化という事務的な改革と同時に、ビジョンも新しく打ち立てるべきだという三つの柱で進んでおります。
左側二つの若干、事務的、事務局的なところの改革については、その下にございますけれども、四つのワーキンググループ等が設けられまして議論が進められております。
右側のビジョンに関するところについては、一番右側の下の方になりますけれども、アズレー事務局長の知恵袋というような形で、ハイレベルリフレクショングループを作って、ここで意見交換していきたいと考えていて、まだこれは立ち上がっていないんですけれども、できる限り早期に議論を立ち上げて、彼女の方としても、それに基づいた計画を作っていきたいと考えているようでございます。
また、この紙には出ておりませんけども、皆様に一つ御報告させていただきたい「世界の記憶」事業について、これは事務的ではございますけれども、どういう議論が行われているかについて簡単に御紹介させていただきます。
御案内のとおり、昨年10月のユネスコの執行委員会において、制度改善するべきということで行動計画が作られまして、その行動計画に基づいて、今年になりましてから加盟国のワーキンググループが立ち上げられて、ずっと議論を続けてまいりました。6月までに何回か行い、この9月上旬にも、もう1回ワーキンググループで議論してまいりました。
この「世界の記憶」という事業は、1992年に立ち上げて以来、専門家の主導で行われてきたんですけども、近年、政治化という残念な動きがございましたので、単純に専門家が技術的に取り扱うだけでは手に負えなくなってきているということで、加盟国のワーキンググループを作って、いろいろな議論をしてきております。方向といたしましては、申請の方法などについても、やはり加盟国政府が責任を持って申請を行うべきではないか、あるいは、加盟国は役割を果たしつつも、専門家に専門的なアドバイスをもらって、諮問機関のような勧告をもらうべきではないかとか、いろいろな議論をしてきております。
まだ議論、続けてやっておりまして、この9月上旬、先週も議論してきたわけですけれども、正直言って、皆さん、いろいろな立場で意見を持っているものですから、幾つかの論点に分けて議論してきていて、複数の部分については大体意見の収束をみているんですけれども、幾つかの部分については、まだまだ加盟国間、あるいは専門家の間での意見調整ができ切っていないという状態でございます。我々も積極的に議論に参加してきておりまして、日本の立場のみならず、「世界の記憶」という制度自体を使いやすいものにするためにどうすればよいのかという立場から貢献してきておりますが、なかなか容易に結論が出るようなことにもなっておりませんので、引き続き議論は継続していきたいと思っております。
歯切れの悪い説明で申し訳ないですけども、まだワーキンググループ等の動きも出ておりますので、詳細な結論が出ましたら御報告させていただきたいと思いますけれども、議論継続中ということで、「世界の記憶」事業についての結論はまだ出ておりません、というところまでで御報告を終えさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
【大杉国際戦略企画官】
続きまして、資料5から資料8、2分頂いておりますので、若干駆け足になりますけれども、御紹介させていただきます。
資料5につきましては、国連の経済社会理事会主催でSDGsのフォローアップが行われた際に、サイドイベントとして、ESDをはじめ教育関連イベント、ユネスコの中でもフィージビリティーを上げていくということは当然ですけれども、国連の場面でもこういった形で様々なイベントを実施させていただいているということの紹介でございます。
資料6につきましては、2021年から始まる「国連海洋科学の10年」の準備といたしまして、各地域で計画会合が進んでいるということで、着実に準備を進めているということの紹介でございます。
続きまして、資料7でございますけれども、ユネスコ・アズレー事務局長のリーダーシップの下、「教育の未来」というプロジェクトが開始されようとしております。ユネスコ、過去には1996年に、「学習:秘められた宝」というドロールレポートが提出されております。恐らくそれに匹敵するようなものになろうかと思いますけれども、新しい時代における教育の役割について議論するということで、レポートの発表は2021年11月に予定されているということで、日本としてもしっかり関与していきたいというところでございます。
その他、本日は、政府の動きのみならず、各地域、あるいは民間のユネスコ活動についても是非紹介してほしいというお声をたくさん頂きましたので、お手元にパンフレットを配付させていただいております。日本ユネスコ協会の取組レポート、東京都ユネスコ連絡協議会の取組レポート、ACCUの取組レポート、最近、ユネスコエコパークとして10か所目に「甲武信(こぶし)」が登録されておりますので、御紹介のリーフレットをお手元に配布させていただいておりますので、是非お持ち帰りいただければと思います。
深く御紹介する時間がなく大変申し訳ありませんが、是非御覧ください。
それから、パソコンの方にお戻りいただきまして、資料8は、現在、概算要求をしております文部科学省の予算の状況でございます。
全体像の1枚目でございますけれども、ユネスコに対する信託基金、下半分の部分は国内のユネスコ活動の推進ということで、恐らく本日、御議論いただくような答申、建議の内容にも沿った形で要求させていただいているということでございます。
外務省の方でも、概算要求の状況があると思いますので、森室長から一言だけ補足いただければと思います。
 
【森国際文化協力室長】
御説明いたします。外務省の森と申します。
来年度の要求につきましては、義務的なユネスコの分担金として約31.5億円、任意の拠出金としては約3億4,000万円、今年度に比べて15%増ということで要求させていただいております。以上です。
 
【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、これまでの御報告につきまして御意見、御質問のある方はお願いいたします。よろしいでしょうか。よろしければ次に参りますが。
それでは、議題2.に行かせていただきます。議題2.は、2020-2021年のユネスコ活動に関する方針(答申)についてでございます。ユネスコ活動に関する法律、第6条第1項及び第2項に基づきまして、本年7月に、文部科学大臣並びに外務大臣より日本ユネスコ国内委員会会長に対して、2020-2021年のユネスコ活動に関する方針について諮問がありました。
まず、事務局から、この諮問に対する答申案について説明をお願いいたします。
 
【大杉国際戦略企画官】
失礼いたします。
それでは、お手元のパソコンの資料9をまず御覧いただければと存じます。7月に、柴山前大臣、それから河野前外務大臣から、日本ユネスコ国内委員会会長宛てに、御覧のような形で諮問がなされたところでございます。
内容につきましては、本年、ユネスコ総会、秋にございますので、この対応方針、その前提となります、これから2か年の基本的なユネスコ活動に関する方針について審議賜り、答申を頂きたいという趣旨でございます。
それに対する答申概要といたしまして、資料10-1を御覧いただければと存じます。事前に、各小委員会におきまして分野ごとに答申案の内容を御審議賜りまして、極めて短時間でございましたけれども、御協力いただきまして本当にありがとうございました。それらを一つに束ねさせていただいた原案を、答申案としてまとめさせていただいております。
この概要版に基づき御説明させていただきたいと思いますけれども、まずローマ数字1の部分は、ユネスコ活動に関するここ2か年の我が国の基本方針ということで、1.といたしましてユネスコの主な取組の状況、冒頭、御紹介させていただきました戦略的なユネスコ改革をはじめとする各分野の取組状況、それから日本国内の取組状況を振り返らせていただいております。
続きまして、2.といたしまして、こういった状況を踏まえた今後の基本方針ということでございますけれども、ユネスコにおいて我が国が議論を先導していく役割が期待されている中で、各分野、どのようなところに重点を置いていくか。教育分野におきましては、「ESD for 2030」をはじめとする我が国の教育の強みと、国際協力が循環するような形での協力の在り方。自然科学におきましては、冒頭も御紹介いたしました「国連海洋科学の10年」をはじめとする取組、ステークホルダーをしっかりと連携させた取組。人文・社会科学におきましては、情報コミュニケーションとも連携いたしまして、AIの倫理に関する貢献。次のページに参りますけれども、文化分野におきましては、我が国の修復技術や知見といった部分をしっかりと生かしながら国際貢献を推進していく。コミュニケーション・情報分野におきましては、先ほどのAI、あるいは「世界の記憶」事業を含めた事業の適切な運営。普及分野におきましては、世代を超えた、あるいは分野を超えたステークホルダーのつながりをしっかりと図っていく。行財政分野におきましては、効果的、効率的な事業の運営を求めていく、というようなことでおまとめいただいているところでございます。
これらの方針を踏まえまして、ローマ数字の2、本文におきましては議題に応じて細かく印させていただいておりますけれども、議題に応じて、ローマ数字1、2.の部分の方針を踏まえた対応、それから、出席者についても御覧のような形で答申をいただくということでございます。
詳しくは、資料10-2に、30ページ弱の答申案ということでまとめさせていただいております。
本日、これを基に御審議を賜れれば幸いです。よろしくお願いいたします。
 
【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえて、意見交換の時間とさせていただきます。御質問、御意見がある委員の方は挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。教育、自然科学、文化等々ありますので、専門委員会の小委員長の方はいかがでしょうか。杉村委員、お願いいたします。
 
【杉村委員】
教育小委員会で委員長を務めております杉村と申します。
答申案につきましては、教育小委員会の方でも委員の間で検討させていただき、文言等、皆さんで共有させていただき、提出させていただいております。特に「ESD for 2030」については、教育小委員会の吉田和浩委員がSDG-教育2030ステアリング・コミッティの共同議長として大変御貢献いただいておりまして、日本としてのESDに関する取り組み、そしてSDGsの中でのESDの在り方を打ち出していきたいということがございます。それから、高等教育におきましては、「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約(通称:東京規約)」の締結を含めた審議もいたしました。また、冒頭の議論の中にも出ていましたAIやSociety5.0の中での教育の在り方、新しい教育の在り方を、ユネスコが提唱しようとしている「教育の未来」プロジェクトに向けての審議の中でも、今後、盛り込む形で、この答申案を生かしていければと思っております。
教育小委員会からは以上でございます。
 
【安西会長】
ありがとうございました。
ほかには、いかがでしょうか。島谷委員、お願いいたします。
 
【島谷委員】
文化活動の小委員会を担当しております島谷と申します。
文化活動の中で、修復技術の知見といった我が国の高い専門性を生かした国際貢献を推進していくということでございますが、我が国の修復技術が非常に優れているということは、アジア美術、日本美術の修理だけではなくて、昨今、欧米の美術に対しても日本の修復技術が非常に役に立つということが分かってきております。そういった我が国のものを生かしながら、どういうように具体的に進行していくかが大きな課題であると思っておりますので、こういう一文を付け加えていただくことによって、日本の文化貢献が非常にやりやすくなるのではないかと思っております。
二つ目として、「世界の記憶」について外務省、文部科学省の方から説明がありましたが、制度改善につきまして、文化小委員会のワーキンググループであります「世界の記憶」の選考委員会の委員長も務めさせていただいておりますが、私の名前でユネスコの方に制度改善の要求を出させていただきました。その中で、2か国以上にわたって問題があるものについては、保留ボックスのような形で対応するのもいいのではないかということを提案しておりますが、実質的になかなか結論が出ていない状況でございます。今後、制度改善を待ちたいというのが現状でございます。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。
ほかには、いかがでしょうか。

【木間委員】 
朝日生命ユネスコクラブ副会長の木間と申します。普及活動小委員会に属しております。本日、普及活動小委員会が開かれましたので、ご報告いたします。
「2020-2021年のユネスコ活動に関する方針」として、普及分野におきましては、「新たな地球環境を踏まえたユネスコ活動の活性化」、「世代を超えて持続可能なユネスコ活動」、「多様な担い手が連携するプラットフォームづくり」を掲げております。特に、「世代を超えて」というところでは、ユースとシニアに加えて、働く世代の人たちも参加できるような環境を整えていくということを御提案させていただきました。
「多様な担い手が連携するプラットフォームづくり」につきましては、民間ユネスコ活動のメンバーは各々活動していますがユネスコ活動に関わる他団体・企業・学校等との連携が足りないのではないかという課題があります。日本ユネスコ国内委員会は、いろいろな分野で活躍されてユネスコに関わり、ユネスコを理解されている方が集まっていますが、会議に出ても交流する機会が少ないんですが、もう少し交流・連携し合って、一緒にこのプラットフォームづくりに参画できるような体制ができていくことを希望します、ということを申し上げました。皆様に御協力いただきたいと思います。
企業内のユネスコ活動につきましてはトップの方、大学のユネスコクラブでは大学の教授の方の理解があるということが重要になります。ユネスコ国内委員会には、ユネスコについてご理解いただいている企業のトップクラスの方、大学教授の方もいらっしゃいますので、いろいろな形で連携できればと思っております。次世代のユネスコ活動を担っていく人たちを一緒に育てていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
 【安西会長】 
ありがとうございました。
ほかには、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
大変貴重な御意見を、それぞれ頂いております。今、御審議、御議論を頂いております答申案でございますけれども、この答申案については御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【安西会長】 
よろしいですか。細かい文言の修正につきましては、会長に一任していただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)

【安西会長】 
ありがとうございます。
それでは、この答申について、ユネスコ総会に向けまして文部科学大臣及び外務大臣に答申をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
それでは、議題3.に入ります。議題3.は、ユネスコ活動の活性化についてであります。この委員会の所掌といたしまして、我が国におけるユネスコ活動の基本方針の策定がございますけれども、ユネスコ活動に関する法律第6条第1項及び第2項に基づきまして、本委員会は独自の意見について関係各大臣に対して建議することができます。これまでも、様々な機会を通じまして委員の先生方から御意見を伺う中で、最近のユネスコ活動についての課題を幾つか認識しているところでございます。この度、文部科学大臣と外務大臣からの諮問に対する答申案とは別に、中長期的な観点での本委員会からの意見として建議することを提案させていただければと思います。
まず、事務局から建議案について説明をお願いいたします。

【大杉国際戦略企画官】 
失礼いたします。
資料13を御覧いただければと存じます。会長、副会長にも御相談させていただきまして、メッセージ性の強いシンプルなものをということで、3ページ、5項目にわたってまとめさせていただいたところでございます。
1枚目から御覧いただきますと、まずユネスコ活動の歴史を振り返ってございます。1949年に、衆議院、参議院両院でユネスコ運動に関する決議が採択されておりますけれども、それから70年がたったということでございます。ユネスコ活動は新たな局面を迎えているということでございますけれども、一つには、複雑化する国際社会の中でユネスコ活動をどのように捉え、更なる推進を図っていくか。AIをはじめとする技術革新の進展、SDGsに向けた取組の高まり、先ほども御意見がございましたけれども、Society5.0という形で取り組んでいる日本の課題解決先進国としての知見をどう生かすか、といったような視点でございます。
二つ目は、地域の活性化とユネスコ活動ということでございます。2ページ目に御覧いただけますように、本年、世界寺子屋運動も30周年を迎えたということでございますけれども、こういった途上国支援のみならず、国内での国際理解、国際協力活動も、お手元のパンフレットにございますように熱心に行われているということでございます。これからますます地域創生、多文化共生社会の構築が求められる中で、ユネスコ活動がどのような役割を果たせるのかという視点でございます。
三つ目は、ユネスコ活動の担い手ということでございます。SDGsに向けた関心の高まりに伴い、民間企業、ユースなど多くの関係者に広がりを見せているという中で、ユネスコ活動をオールジャパンで広めていくためにはどうしたらいいかという視点でございます。以前、国内委員会で頂きました提言も踏まえながら、ここに改めて五つの点を建議していただくということでまとめさせていただきます。
一つ目は、ESDの推進ということでございます。ESDは、SDGsの採択以前から日本が提唱して進めているところでございますけれども、SDGs策定後のESDの在り方をしっかりと共有していくということ。また、様々、二国間協力も含めた取組と連携しながら、ユネスコスクールの活用ということも含めて、国内外のネットワークづくりをしていくという視点でございます。
二つ目は、「国連海洋科学の10年」に向けまして準備が着実に進んでおりますけれども、ESDとの相乗効果も含めて、分野を超えた連携を図るということ。
三つ目でございますけれども、ユネスコの組織改革と連動いたしまして、日本の知見を生かした取組を積極的に進めていくということ、また、各種事業の見直しもしっかりと支援していくという視点でございます。
四つ目は、地域創生、多文化共生社会の構築ということで、様々なユネスコ登録認定事業がございますけれども、登録して終わりということではなくて、これをいかに教育や観光に積極的に活用していくかということ。また、これから外国人が日本の中にも増えていくという中で、地域の中での国際化にどのような対応をしていくかという視点でございます。
最後に、戦略的なプラットフォームの構築ということで、民間企業、地方自治体、NPO、ユースなども含めて、世代や地域を超えて連携できるようなプラットフォームの構築を図っていくということでございます。
これらの建議案について御審議賜れれば幸いです。よろしくお願いいたします。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、意見交換の時間とさせていただきます。御質問、御意見、おありになる委員の方、どなたでも結構です。よろしくお願いいたします。細谷委員、お願いいたします。
 
【細谷委員】 
どうもありがとうございます。事務局からの御説明どうもありがとうございました。
この建議案、大変立派なものになっていると思います。メールでコメントを出させていただきましたけれども、かいつまんで何点か、ここで申し上げさせていただきます。
一読して、地域の活性化ということに大変力を置いて議論を展開されていることは、非常に心強いと思います。私は地方代表ではありませんけれども、たまたま福井県に住んでいるものですから、現場にいて非常に共鳴する部分は何かといえば、日本自身にとってのSDGs達成目標第1の柱である地方振興についてです。
地方にいますと、ユネスコはいわば地域に最も近い国際機関だということを如実に感じます。御承知のとおり、ユネスコはファミリー機関であり、様々な関連のネットワークと連動している国際機関です。ユネスコ協会、ユネスコスクールその他、日本の全県に関係機関があります。そんな国際機関はほかにありません。SDGsは、もちろん国連全体の目標ですけれども、地方にいますと、SDGsはユネスコが代表してやっているとの、一見、幻想のようなイメージさえあり、そういう立場を利してプロモートをできる立場にあると思います。
それから、この地域にステークホルダーがいろいろおられて、その連携が大事だということも書いておられます。これは昔から言われてきていることですけれども、今回の建議案の中では、そのためのプラットフォームの構築ということをうたわれています。このプラットフォームによる具体的な取組で新しい成果が生まれればとの期待を持ちます。その具体的なアイデアで既に構想されているところがあれば教えていただきたいと思います。
あと、教育と文化について1点ずつかいつまんで、これも地域との関わりで申し上げます。教育は、おっしゃっているとおりで、ESDの推進は改めて重要だと思います。その中でも、具体的なプロジェクトとして、日本型教育の海外展開があります。これについても地方が大いに関与できます。福井県は日本の中でも教育県とされていて、EDU-Port事業も幾つか関与しています。同時に、政府レベルで二国間の円借款が付いた教員養成のプロジェクトを、福井大学がエジプトの高等教育省と連携して実施しています。これは、マルチ・バイの協力が実現した格好な例だと思いますけれども、そういった広がりを見せているということを御報告したいと思います。
文化については、世界遺産をはじめ、ユネスコの登録認定制度が地方にとっての地域づくりの資源だという点は、非常に大事だと思います。他方で、意外に忘れられていることですけれども、地域の文化振興の観点から重要なもう一つのユネスコ条約は文化多様性条約です。同条約の交渉では各国間の文化多様性にポイントが置かれていましたが、実は各国の中の文化多様性も同様に促進、保護すべきということをうたっております。この条約については、我が国による批准が長年の懸案となってきています。前回までの国内委員会総会で、外務省の方からはようやく批准に向けた動きを取られているとのご報告がありましたが、その後の最新の状況を教えていただければと思います。同条約には強く反対していたアメリカと、我が国はたもとを分かち賛成した条約です。ここで申し上げたいのは、国内の文化多様性もこの条約をもってさらに促進し、地域の活性化にもつなげるという視点を是非持って批准に取り組んでいただきたいということです。
 
【大杉国際戦略企画官】 
ありがとうございます。
まず、プラットフォームにつきまして具体的なイメージをということでございました。本日、午前中にも普及小委員会、安達委員長の下、開催させていただきまして、同様に、プラットフォームを作って、会議をやって、それで終わりということではもったいないと、やはり参加者同士の自律的な交流がしっかりと深まっていくようなプラットフォームにしてほしいという御意見を頂いたところでございます。まだまだ具体案はこれから詰めていく段階でございますけれども、是非、先生方の御知見も頂きながら、そういった形のプラットフォームにしていきたいと思っております。概算要求事項にもなっておりますので、更に検討を進めていきたいと思います。
 
【森国際文化協力室長】 
文化多様性条約についてお尋ねございましたので、外務省の森からお答えをさせていただきます。
文化多様性条約というのは、この条約ができた当時は、自由貿易との関係から見られることが多かったですけれども、実際運用がされてきてみると、締約国がまさにこういった枠組みを活用しながら利益を得てきているといった情報もあり、大変重要な条約だと認識しております。既に146か国・機関が締結済みでありまして、申し上げましたとおり、文化多様性の保護、促進の国際協力体制に参画して、日本の積極的な取組の姿勢を改めて示すこと、それから自国の文化産業を促進することが重要と考えておりますので、現在、政府としましては、条約の運用状況も見極めながら、鋭意、検討を行っているところでございます。
 
【安西会長】 
よろしいでしょうか。
蓮生委員、お願いいたします。
 
【蓮生委員】 
すみません、ありがとうございます。大阪大学の蓮生と申します。よろしくお願いいたします。
今日の建議の3、加盟国の友好と相互理解の促進のためのユネスコ改革への貢献という点に関して、少しお伺いさせていただきたいことがございますので、よろしくお願いいたします。
ユネスコの財政的健全性の問題ですが、これは誰でも当然だと思いますが、憂慮していることかと思います。現在、2020年から2021年の予算案については、実質成長ゼロ(ZRG)と、名目成長ゼロ(ZNG)をベースにした二つの案を軸として、三つ、あるいは四つのバリエーションで予算案の議論をされているとお伺いしております。一方、名目成長ゼロベースでの対応が、国際機関全般に対する日本政府の基本的スタンスとお伺いしているのですが、そのことについて是非お伺いさせてください。
と申しますのも、2010年から2011年の予算案、いわゆるアメリカが分担金の不払いを始める前の予算案については、ユネスコの通常予算は6億5,300万ドル程度が一般的な水準でした。一方、アメリカの分担金の不払いが始まりましてからは、2割減の5億1,000万ドルから2,000万ドルベースで推移しております。このようなことが、やはりグローバルなユネスコの活動のインパクトを著しく弱める結果になっているということは否定できないですし、これに対して各国のユネスコ国内委員会、それは先進国を含めてですが、例えばドイツ等、活発にユネスコ国内委員会の場で議論されております。
例えば、アメリカが脱退した国連機関等におきましては、政府の名目成長ゼロベースでの対応に対してある程度のバリエーションというか、例外的な対応を認めるようなことがあってもいいのではないかということが、この場で議論されることがあってもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
 
【森国際文化協力室長】 
御質問、ありがとうございます。お答えいたします。
まさに御指摘いただいたとおり、2011年、パレスチナが加盟して、アメリカが分担金を支払えなくなった。これは、米国の国内法上、払えないということで、そこからユネスコの行財政の苦しみが始まった。そこについては、まさにアズレー事務局長が今、戦略的変革という形で、では、どういったところに焦点を置いてやっていくのかという取組をまさにやろうとしている。その改革を我々も支持していますし、積極的貢献をしていきたいと思っています。
今、委員が言われた予算のシーリングの話ですけれども、次期予算案、2020-2021年については、先週も加盟国によるワーキンググループの議論が行われて、まだ調整が続いているところでございまして、10月の執行委員会、11月の総会のアジェンダはまだ具体的に示されていない状況でございます。委員から御指摘を頂いたとおり、日本政府はZNG、つまり分担金総額を現行水準のまま維持するということを基本方針としておりますけれども、ユネスコの中でZNGを支持する国もあれば、ZRGを支持する国もある。そういった中で、基本的な方針に従いながら、今後、示される具体的内容を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
 
【志野国際文化交流審議官】 
補足いたしますと、先ほど御説明いたしましたとおり、ユネスコ自体が事務局の改革を進めておりまして、やはり彼らの中でも効率性を進めてもらわないと、一方的に予算を増やすことはできませんので、そちらの効率性の作業の方も見ながらという形でやっていきたいと思っております。
 
【蓮生委員】 
ありがとうございます。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。
河野委員、お願いいたします。
 
【河野委員】 
ありがとうございます。海洋研究開発機構の河野と申します。
コメントでございます。2番目に、「国連海洋科学の10年」をハイライトしていただいておりますけれども、こちらに書かれていますとおりで、実は海洋というのは単なる海洋科学だけではなく、食料問題であるとか、海域で発生する地震、あるいは火山による津波、そういったものも含めまして、防災にも関わる、SDGsの多くに関わる課題であります。そのため、海洋科学の関係者だけがこの機会に盛り上がっても仕方がないわけで、分野を超えた連携を図って、国内の関連する機関の皆さんで、この機会を利用するということでやっていけたらいいと思っております。
特に、今日も冒頭、御案内ありましたとおり、今、プラスチックが大きな問題です。外国ではジュゴンの子供が食べてしまって死んでいるとか、海洋生物の多くからプラスチックが出ているといった非常に分かりやすい課題でもあります。そこで、これを機会に是非、科学者でやると単なるアウトリーチにとどまりがちですので、教育そのものに取り込んでいけるようなことができると、すばらしいと考えております。その意味で、ここに書かれている3行の文章、非常によくできていると思っております。ありがとうございました。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。
順番で、及川委員、それから猪口委員、お願いいたします。
 
【及川委員】 
ご指名、ありがとうございます。私から2点、建議案に対してコメントしたいと思います。
一つ目に、SDGs達成に向けた、持続可能な開発のための教育(ESD)の推進における主導的な役割の維持という項目がありますが、これからまさしく、SDGsの達成に向けたESDの新しいフェーズに入るということで、「ESD for 2030」に向けた非常に力強いメッセージだと承りました。皆さん繰り返しおっしゃるように、日本が「国連ESDの10年」を提唱し、その後、国連の10年、それからGAPの5年、合わせて15年を先導的に推進してきたリーダーとして、新しいフェーズも率先して世界を引っ張っていくんだということが、この文言から発信されると思います。
その際に、一つ確認といいますか、お願いしたいことは、とかくESDとなりますと、エデュケーション、教育が入っていますので、教育セクターが中心になって進めるのはよろしいんですが、教育セクターのみでESDが進められるわけではなくて、やはり建議案の5番目にありますように、多様なステークホルダー、マルチステークホルダーによって、ESDが今後も推進されると、そういうコンセンサスと仕組みをしっかりと作っていくということが大事かと思います。
具体的には、地域においてはそれぞれの多様な主体が参画、協働したそういうプラットフォームが出来つつありますし、全国レベルでもESD活動支援センター等がそういうプラットフォームを、今、作っているところだと思いますが、今後、新しいフェーズになった場合には、やはり文部科学省のみならず、今日は、外務省もいらっしゃっていますけども、関係省庁が省庁を超えてオールジャパンで進めていくような形が大事なんだろうと考えます。そのためには実質的には、これまでの5年のGAPの国内実施計画をきちっとレビューした上で、来年から始まる新しい国際的な枠組み「ESD for 2030」の下に国内のきちっとしたアクションプランを作って、国内の多様なステークホルダーがそれに向かって連携して取り組んでいくというのが1つ大事な点だろうと思いますので、是非そういう新しい時代のESDの骨太の仕組みと方向性をしっかり作っていただきたいなというのが1点です。
もう1点は、今、河野委員がおっしゃった、2番目の「国連海洋科学の10年」に関してですが、私も先日この国連海洋科学の10年の国際ワークショップに参加させていただきましたけれども、海洋科学ということで、とかく科学にフォーカスが当たりがちですけども、建議案2項目の後半に書いてある「また」というところ、すなわち、「ESDの相乗効果が得られるように教育関係者との協力」というのがこれから多分進められると期待します。これが非常に重要なところで、SDGsでいえば14番目の海洋、海の豊さを守ろうという部分と、4番目の教育、この部分が掛け合わさることによって、貧困の問題とか、先ほど出た食の問題とか、あるいは気候変動という今直面する大きな問題であるとか、防災・減災であるとか、持続可能な生産と消費、先ほど海洋プラスチックごみの話も出ましたが、そういう課題解決に向けた国際的なパートナーシップや、経済成長というSDGsの各項目、プラス全体像にコミットできる非常に大事な窓口・アプローチになるのではないかと思いますので、SDGs達成の一つのキーになる国連海洋科学の10年であってほしいなと期待します。
そういう意味で、海洋に関する教育を進めることの重要性というものをきちっと認識し、可能であればそういうことも建議案にきちっと盛り込んでいただきながら、日本らしいESDと国連海洋科学の10年を教育とともに展開できれば非常にありがたいなと思います。よろしくお願いします。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。それでは、猪口委員、お願いいたします。
 
【猪口委員】 
ありがとうございます。本当にこの建議書はすばらしいもので、積極的な作成に感謝いたします。それで私、これに全面的に賛成なんですけど、幾つか最近感じたことをこの機会に述べさせていただきます。
先ほど細谷先生からお話あったように、ユネスコ活動は本当に平和を戦後実感する、自分の町にユネスコが来るということは、それを通じて市民が平和を実感する、そういう意味で市民に一番身近な国際機関として、そういう役割がすごくあったと思うんですね。
これからどういうふうに21世紀に発展していくのかということを考えると、今グローバル化の時代で多くの人たちが喪失感といいますか、自信を失ったり、そういう状況の中で、今度は自分の文化、これは価値あるものだと世界が言ってくれる、お互いさまにですね。それはグローバル化の時代のそのような個人の不安定な立場、それを少し緩和したりする効果もありますので、今後ユネスコ活動が、平和の象徴ということもありますけれども、同時に自分たちの内発的な文化に対する自信や誇り、そして相手に対する尊重、先ほど基本方針にも出ていた文化財の修復の国際貢献などは、そういう考え方の流れの中から出てきているかなというふうに思いますので、これからのユネスコ活動の裾野をまた広げることにもなる。
今までは平和を中心に考える方々が地域の中でそこをよりどころに広がっていった。これからもそうなんだけれども、併せて、固有の文化、これを守ってきた人たちも、そうだ、ユネスコというこのピラーを通じて自分たちが更に認められたり、活動したり、そういう方向になっていけばいいなと思っております。
それで、誰か人のためにやってあげることは、同時に実は自分が救われる方法でもあって、先ほどインターベンションしようかなと思ったんですけど、この機会に、日本の技術で修復のところは非常に高いものがありますけれども、同時に日本の中のいろいろな文化財の修復はかなりきちっとなされて既にありまして、世界でまたニーズがあれば、そのような技術を持つ、能力を持つ方が、特に若い世代がまたそこに希望を見出し、就職の可能性を見出し、またやりがいを見出し、新たな職業分野として引き続き重要視して、人材確保がそのように美術修復、あるいは芸術の様々な伝承とか修復のところに集めることができる。今現在、人手不足だし、なかなか採算も合わないし、自分がそれを選択しようかということを迷う若い人が多いんですけれども、世界に視野を広げてもらうということで、それも可能になるだろうと、大丈夫になるだろうと感じます。
それから二つ目に申し上げたいことは、ユネスコは今、戦略的改革で、私もTICADに、支援議員連盟をやっていますので、かなり積極的に参加して、アズレー事務局長が映画を上映したりとか、そういう活動、先ほども報告ありましたけれども、その映画も拝見したりしたんですけれども、私は国際機関のこのような長、人材を得たときには、我が国として力強く支援していくことが大事だと思います。
女性活躍の時代とはいえ、国際機関のこのような事務局長、あるいは何とか事務総長というようなトップの立場に事務局として立つ人は、やはり女性としては非常に少なく、人材を得たときに、そしてそういうイノベーティブなマインドを進めているということであれば、日本政府として、あるいは国内委員会として本当にこのアズレー体制を応援していくというような、こういうメッセージも大事ではないかと思っておりますので、是非何らかの形で、先ほど財政の話がありましたけれども、お願いしたいと思います。
それからやっぱり教育、海洋の話もありまして、それも応援したんですけれども、もう一つはやはり我が国は教育、TICADの枠の中でブルキナファソの方々とお話しすることがあったんですけれど、世界の問題というのは本当にまた別の次元で、これよく考えなければいけないと思ったんですけれども、最大の関心は、いかに学校をテロから守ることだということでした。
そのためにはどうやったら安全な学校というものを作れるのか、こういうことを考えると、それはセキュリティーセクターリフォームといいますか、警察部分と協力して、また、その部分を改革して、そして学校を守るという観点も含めて、どうやったら子供たちを学校に通わせてもらえる環境、これを作ることができるのかというような、本当に苦労の多い様々な課題を抱えた国があるということですので、それを具体に書き込むことは難しいと思いますけれども、Education for Sustainable Development (ESD)をやった国でありますので、何らかの形で学校の安全という観点、これを何か貢献できたらいいのではないかなと思いますので、一言伝えておきます。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。山口委員、お願いいたします。
 
【山口委員】 
ありがとうございます。東京工業大学の山口しのぶと申します。よろしくお願いいたします。
先ほど及川先生のマルチステークホルダーを巻き込んだオールジャパンというお話が出ましたので、海洋と教育というのはすごい重要な部分であると。実は私、教育小委員会と、あとは情報コミュニケーション小委員会の方に属しているんですけれども、今回はコミュニケーション・情報分野の方で答申の方に意見をさせていただきましたので、一つコメントをさせていただきたいと思います。
Society5.0のお話が出ていましたけれども、これからますます、AIだけではなく、あらゆる情報技術、又は技術というものがいろいろな分野に貢献できる大きなチャンスがめぐってくると思います。
その中で、情報技術というのはSDGの17のゴールのどこにも入っていないので、ちょっと軽視されているところがあると思うんですけども、実は情報技術というのはSDG17の全てのゴールの方法、ツールとして活用できるものであるので、今後、日本の大学や研究所の専門家が持っている知見と、その情報技術の良さというところをますます、教育分野ですとか、あとは文化の保存、それからデータベース化、それとかGISを活用したりして文化遺産を保存していくという部分で、情報技術、コミュニケーション・情報分野と他分野との連携というのをますます促進していくことができるのではないかなと考えております。
小委員会に属していますと、なかなか小委員会間の連携を持つ機会がないので、今後は何かの意味で小委員会間の専門家の先生方とか委員の連携を取っていけると、日本の技術を持って、社会それから文化、科学、教育のところにますます貢献できるのではないかなと考えております。よろしくお願いいたします。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。吉田委員、お願いいたします。
 
【吉田委員】 
広島大学の吉田でございます。
教育が全てのSDGsのキー・イネーブラー(key enabler:実現の鍵)であるということは様々な場で主張されていて、これはいろいろなところで受け入れられているメッセージではあるんですけれども、それをどういうふうに実践していくかというときに、その様々なプレーヤーが教育の中に入ってきて一緒に教育の成果を出すことを実践する、そういう文脈でこれまで語られてきているんです。
ところが、教育が全てのSDGsのキードライバー(主要な推進力)であり、「ESD for 2030」として原動力となっていくというときには、実は教育の側から、ほかの例えばビジネス・コミュニティーであったり、いろいろなところに出張していかなければいけない。そういう動きについては、まだ私どもの知る限り、そのような動きが非常に日本の中でも弱い。日本は世界の中で先駆的な取組をそういった分野で是非とも示していかなければいけない。こういうことをユネスコの国内委員会としてどのように後押しするのかというところは、もう少し具体的なところにまで落としていく必要があるのではないかと思います。
そして、そのように行動変容を様々な場で促すような動きの本家本元であるユネスコ本体の改革に向けても、やはり日本としての強力な後押しということで、先ほどユネスコの改革についても、作業委員会がハイレベルなリフレクショングループという形でできる、あるいは、更に将来的な教育の未来について新しい重要なレポート作りが始まる、こういうところに日本からどのような人的な貢献、専門的な貢献ができるのかというところも含めて、先ほど促したようなSDGsの実現に貢献できる教育の在り方というところとつなげながら、この国内委員会でももう少し深めた議論をしていく必要があるのではないかと感じております。ありがとうございます。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。安達委員、お願いいたします。
 
【安達委員】 
先ほどのプラットフォームのことに関して、一つ、例になるか分からないですけれども、挙げたいなと思うのが、ユースのプラットフォームということで、また10月の半ばに第6回ESDユースカンファレンスが行われますけれども、6年にわたって毎年行われています。ここでのユースのつながりというのが、またそこから派生して、いろいろな小さな企画がたくさんと出てきているように感じています。
例えば、9月の末、今月末ですけれども、ESDユースマルシェという形で、ESDの日本ユースのメンバーが主催をしながら、そこで出会った青年同士、ユース同士でまた新しい企画を立ち上げているというような事例があったりしますし、そういうのがSNSを通じながらたくさん広がって、賛同者が集まっているなということを感じています。
こういう見えないというか、広がっていて捉え切れていないいろんな広がりがあるなということを感じるんですけれども、例えば、今日先ほど紹介ありましたけれども、東京都のユネスコ連絡協議会の70周年の記念誌を見ていただくと、東京都の中だけでもこれだけたくさんのユネスコ協会があって、いろんな活動がされています。私自身もユネスコ活動しながらでも、これだけたくさんあって、こんなことをやっているんだということを、こういう冊子を見て知ることもあったりしますが、見てみると、この中でプラットフォームを築く動きがたくさんあるなということを感じています。
そうすると、先ほどの資料8にあった概算要求の中で、多様なユネスコ活動の見える化というところがすごく大事になってくるなということを感じました。プラットフォームを作っていくにしても、連携していくにしても、見えないと、つながりようがないということで、こういう1個のイベントから派生したいろんな企画だったりとか、あとは地域のユネスコ協会の活動というものが見えるような形になっていくといいなということを感じたところです。以上です。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。ほかにはいかがですか。越智委員、お願いいたします。
 
【越智委員】 
衆議院議員の越智と申します。今日、お話を伺っていて、大変貴重ないろんなコメントを頂きながら、ちょっと整理していただきたいというか、理解させていただきたいところでございます。
ESDとSDGsの関係性について理解したいんですけども、ESDというのがSDGsを推進するということでありますが、そのときに、私もSDGsバッジを着けていますけども、SDGsを推進しているのは、古賀副会長も着けていらっしゃいますけども、民間も進めているわけでございますし、様々なステークホルダーといいますか、関係者が進めているわけですが、そのユネスコあるいはESDを進めている人たちと、それ以外の人たちの関係性ですね。ESDというのは、ほかのアクターに対しても教育をするということなのか、どうなのか。ここをちょっと理解したいなというのが1点目でございます。
あともう一つ、SDGsの4で教育ということなんですけども、ESDというのは4の教育の項目について着目をする話なのか、そうではなくて、SDGs全般についての啓蒙活動をするということなのか、その辺の整理を教えていただけたらありがたいというふうに思います。
 
【安西会長】 
ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
貴重な御意見多々頂きまして、最後の越智委員の方から申し上げると、ESDとSDGsの関係については、私自身も随分いろいろ悩んだところはありまして、今は方向性が付いてきたと思います。それを具体性を持って、もう少しきちんと書き込んだ方がいいのではないかということも御意見としてあったと思いますが、ほかにも多々、SDGsと教育の問題とか、あるいはユネスコ改革の問題、あるいは教育だけではなくて、あらゆるセクターが関わってオールジャパンと書いてあるのですけども、もっとシャープに言うべきだと。
あるいは、ユネスコ活動についてもっと、例えば、言われなかったかもしれませんけれども、ユネスコスクールが日本は世界の中でも一番活発にやっているという背景もありまして、また、見える化のことも言われておられましたけど、全部は復唱できませんけれども、できましたら、この建議の案の中に今おっしゃられた御意見、文言の在り方は丁寧に考えなければいけないのですけれども、できれば全部入れ込みたいと。
事務局は何と言うか知りませんけど、特にユネスコ改革のところをどういうふうにというのは、省庁も関わっておられますので、その辺は慎重に考えなければいけないかもしれませんけれども、やはりできたらもう少し国内委員会のプレゼンスというのでしょうか、存在感を持った建議の文章にしていただければありがたいと思います。
私は前もってこれでもいいのではないかと申し上げた経緯もございまして、ここで言いにくいのでありますけれども、大変いい御意見を頂いておりまして、事務局には大変恐縮でございますけれども、できれば、今日頂いた意見を取り入れて修正していただいて、一方で、会長の方にできれば建議の文面についてはお任せいただいて、建議の案についてはここで一応御了承いただくということにしていただければと思います。
もう一度申し上げると、今日いただいた御意見につきましては是非、全部というとあれですけれども、文面は別といたしまして、取り入れさせていただき、一方で、日本ユネスコ国内委員会がこういうふうにすべきだということがシャープに出るように、そういう文面にさせていただいて、建議とさせていただければということであります。事務局はよろしゅうございますね。
 
【大杉国際戦略企画官】 
はい、かしこまりました。
 
【安西会長】 
それでは、皆様、そういうやり方でよろしゅうございますか。
(「はい」の声あり)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。それでは、御承認いただいたということにさせていただきます。
それで、建議の文章ができましたら、皆さんにももちろん御報告いたしますけれども、文部科学大臣と外務大臣に建議としてお渡しさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。文科省、外務省もよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
それでは、議題の4、その他ということでありますが、その後、議題の5、最後の議題になりますけれども、非公開部分を含む議題になりますので、議題5に入ります前に、ここで、その他、何か皆様の方から御報告事項等々あれば、お伺いできればと思いますが、よろしいでしょうか。ほかに御意見等々でも結構でありますけれども、よろしゅうございますか。
それでは、議題5に移らせていただきます。議題5、日本ユネスコ国内委員会の構成についてということでございます。
本年11月をもちまして任期を満了される委員が何人かいらっしゃいます。私自身も含めてということで、私も退任、任期満了ということになります。
審議に入ります前に、御退任される委員の皆様のこれまでの多大な御協力に改めて心から感謝を申し上げたいと存じます。委員の皆様におかれましては、長きにわたりまして様々な形でユネスコ活動の進行に御尽力を頂きました。
ここで、御退任される方々から一言ずつ御挨拶を頂ければと思います。よろしいでしょうか。まず、安達委員からお願いいたします。
 
【安達委員】 
2013年から6年間、国内委員を務めさせてもらいました。
私は中学校の頃に民間のユネスコ協会に入りまして、それからずっとユネスコ活動を続けてきております。いろんな人と出会って、いろんなことを学びながら、今、自分があるなということを感じています。自分にとってユネスコは仕事の一部というよりも、生活の一部であったりとか、自分の人生の一部だなということを感じるところがあります。国内委員会6年間の間でいろんなことを学びましたし、いろんな人とのつながりができたかなと思いますので、それを大事にしながら、ライフワークとしてまたこれからもユネスコ活動を続けていきたいと思っています。6年間ありがとうございました。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。次に、井手委員、お願いいたします。
 
【井手委員】 
NTTの井手と申します。私も2期6年、委員を務めさせていただきました。
6年前、この国内委員を民間企業の立場でお引き受けしたときには、企業の立場でユネスコ委員会にどのように関わるかというのは正直戸惑いもございましたけれども、ここ2~3年ぐらいの間に企業の中でも、先ほど来から話題に出ておりますSDGsの目標を達成するために、企業の経営をどのようにしていくかということは非常に取組が強化されておりまして、その中で先ほどの活動方針ですとか、あるいは建議の中でSDGsの目標達成に寄与するESDというような、関係性の整理はいろいろ難しいこともあるかもしれませんけれども、私の中では、企業として取り組むSDGsとESDがつながったような感じがしております。
つながったところでの退任ということにはなるわけなんですけれども、今後、企業の立場で少しでもユネスコ活動の推進にお役に立てればというふうに思っているところでございます。どうもありがとうございました。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。次に、宇佐美委員、お願いいたします。
 
【宇佐美委員】 
京都大学の宇佐美でございます。2期6年にわたりまして、大変お世話になりました。
私が6年前にこの国内委員のお声掛けを頂きましたとき、基本的な認識といたしましては、今から70年余り前に平和国家として出発した戦後の日本にとって、教育、科学、そして文化の促進を目的にするユネスコへの参画は、国際社会に対して日本が最も貢献できるチャネルだろうというふうに考えておりました。したがって、国内委員会の末席に加えていただくということを大変光栄に思いまして、それ以来微力ながらお手伝いさせていただいたつもりでございます。
本日の皆様からの御発言にもありましたように、ユネスコを取り巻く状況は急激に変化をしているものと感じております。遺伝子編集やAIの発展に対する対応など、最新の状況に対してユネスコが、あるいはその中における日本国内委員会がどのような貢献をしていくのか、そういう大きな課題が次々に新しく出てきている、そういう認識を持っております。
今後は陰ながら、また相変わらず非力ながらで恐縮ではございますけれども、引き続きいろんな形でお手伝いさせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。6年間にわたり誠にありがとうございました。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。次に、及川委員、お願いいたします。
 
【及川委員】 
東京大学の及川です。私は2期5年にわたりまして国内委員を務めさせていただきました。大変お世話になりました。
5年前、私、被災地におりまして、教育復興に携わっていた時代から、持続可能性、持続可能な社会とは一体どういうものだろうかというふうなことを日々問い続けたこの5年間でもございました。教育現場や教育行政の経験があったものですから、特にユネスコスクールであるとか、あるいはESDであるとか、そういうことを中心に活動に携わっていまして、この国内委員会は大変いろいろな経験になり、情報を頂き、感謝しているところです。
今後は、先ほど建議が5ポイント出されましたが、この5ポイントをほぼ全てに多分関わっている部分があろうかなと思いますので、今後はその建議を具現化するといいますか、これを実際に推進する立場として、実践部隊として頑張っていきたいと思いますので、今後とも皆様の御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。次に、黒田委員、お願いいたします。
 
【黒田委員】 
ユネスコとはかなり長い関係で、実は6年で1年置いて、また6年と、12年、国内委員として活動させていただきました。
また、その前にもICUS(国際科学会議:International Council for Science)の副会長ということで、松浦事務局長時代、それから潘基文時代の国連事務総長のサステーナブル・ディベロップメントに対するサイエンティフィック・アドバイザリー・ボードメンバーということで、イリーナ・ボコバ前事務局長とも一緒に仕事をさせていただいたということで、ユネスコには非常に関係が深くやらせていただきました。
アメリカ側が脱退してから経済的に大変厳しい。でも、ユネスコの重要性というのはますます増してきていて、AIもそうですし、いろんなことが起きてきている中で、これからますます活動を広げていかなきゃいけないんじゃないかと思います。日本は民間ユネスコの活動が非常に活発で、ユネスコスクールもそうですけれど、こういうのを、先ほどもお話が出ましたように連携をしながら、大きな力となっていっていただきたい。
それからもう一つは、国連海洋科学の10年とか、いろんなことが世界的に動いている中で、日本の人がリーダーシップを取って、ビジブルな活動もやっていっていただきたいなというふうに思っております。
本当に長いことありがとうございました。まだ私エネルギーあふれていますので、何かの形でお手伝いができたらいいなとも思っております。本当に皆様のこれからの御活躍に期待しております。どうも長いことありがとうございました。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。次に、島谷委員、お願いいたします。
 
【島谷委員】 
私も2期6年にわたってユネスコ委員をやらせていただきました。ユネスコ活動が何であるかというのが分からないままに、青柳前文化庁長官の御推薦でこのメンバーに入れていただきましたが、それ以前に世界記憶遺産と言っていた時代に日本から提出しました陽明文庫さんの「御堂関白記」の推薦文を作成するということで、世界の記憶遺産にちょっと携わったこともありました。日本の文学なり日記なりがどういう観点で世界記憶遺産であるかというのを一生懸命考えた時代がございましたので、今これが名前を変えて世界の記憶になってからも、それぞれどういう形でそれが残るかというのを真摯に考えながら仕事をしてきたつもりでございます。
私自身、博物館、図書を代表する委員として選出されておりますので、本分の方は続けてまいりますので、その立場でこのユネスコ活動も応援できればというふうに思っております。6年間どうもありがとうございました。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。次に、山田委員、お願いいたします。
 
【山田委員】 
私は地域的なユネスコ領域ということで、東北を代表して1期務めさせていただきました。この本委員会ではなかなか意見というものを発言することはできませんでしたが、小委員会の中では、我々地域の一ユネスコ協会が持っているようなことを聞いていただく機会というのはなかなかないと思っていましたが、十分意見を聞いていただき、それを反映していただいているということが今回はっきり分かりました。
今後は地域に戻りまして、ユネスコの普及啓発活動に努めてまいるとともに、こちらにいる委員の皆さんと連携を取りながら、今後地域の声をできるだけ届けていきたいなと思っております。1期ではありましたけれども、本当にありがとうございました。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。
今日、御欠席の委員の方で退任される方、小林栄三委員、平松委員、松代委員がいらっしゃいます。今、御挨拶いただきました委員の先生方含めまして、改めて心から御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
私も退任するんでありますけれども、御挨拶の前に、会長代理の指名をさせていただければと思います。
ユネスコ活動に関する法律に基づきまして、会長が欠けたときは、会長が改めて指名した副会長1人がその職務を代理し、又はその職務を行うこととされております。これに従いまして、12月以降の国内委員会総会における次期会長の互選を経て、文部科学大臣に任命されるまでの間、濱口副会長を会長代理に指名させていただければと思います。
濱口副会長、よろしいでしょうか。
 
【濱口副会長】 
大変大任を賜りまして恐縮でございます。非力の身でありますが、皆様方の御指導の下に大任を果たさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 
【安西会長】 
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
私も退任ということになりますので、一言だけ御挨拶をさせていただきます。
私がこの委員会に関わるようになりましたのは、委員としては2010年のことでございました。それから9年3期ということになります。当初は教育小委員会の委員長をやっておりましたけれども、2013年から会長を続けておりまして、6年会長をやらせていただいたということになります。
その間、多くのことがございました。特にユネスコ創立70周年にちょうど当たりまして、新しいユネスコ活動の在り方について、この国内委員会で相当の議論を当時していただきまして、恐らく1年余り時間をかけたと思いますが、提言をまとめさせていただきまして、会長ステートメントという形でもってパリのユネスコ本部で事務局長に手渡しをさせていただいた、そういう経緯もございました。
あるいはユネスコスクールの世界大会もございましたし、いろいろなことがあったわけでありますが、やはりこれから新しい時代に向けてのユネスコの活動、また、日本ユネスコ国内委員会の在り方も含めて、是非、皆様には今後ともリードを続けていただきたい、御指導いただきたいというふうに願っているところでございます。
改めて、委員の皆様、また、前に委員だった方々も含めまして、副会長、委員の皆様、また顧問、そしてユネスコスクール、あるいはユネスコ協会関係者の皆様、文部科学省、外務省、文部科学省の特に事務局の皆様、外務省の方々も含めて、改めて深く感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
退任される方々、私も含めてですけども、任期は先ほどからありますように11月の末日までいうことになっておりますので、退任の御挨拶は頂きましたけれども、引き続きユネスコ活動の、特にこの国内委員会につきましては11月末までになりますが、その後も含めてユネスコ活動について一層の推進に是非御協力を賜りますようにお願いを改めて申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、審議に移らせていただきます。ここからは国内委員会委員の人事に関する事項になりますので、会議の議事は非公開とさせていただきます。
委員及び事務局関係者以外の傍聴の方々、並びに報道関係者の皆様には、恐縮ですが、御退席くださいますようにお願いをいたします。
 
(傍聴者等退席)
 
(以下、規定により非公開)
 
【安西会長】 
それでは、最後に事務局から事務連絡、お願いいたします。
 
【秦国際統括官補佐】 
どうもありがとうございます。本日のペーパーレスでの資料につきましては、非公開資料を除きまして、また事務局から最終のことということでメールにてお送りさせていただきたいと思います。
本日、お配りしている机上の配付のリーフレット類につきましては、差し支えなければお持ち帰りいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
 
【安西会長】 
それでは、これで閉会とさせていただきます。御多忙の中、貴重な御意見を頂きましてまことにありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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