日本ユネスコ国内委員会総会(第143回)議事録

1.日時

平成30年9月21日(金曜日)15時30分~17時30分

2.場所

東海大学校友会館 阿蘇・朝日の間

3.出席者(敬称略)

〔委員〕
安西祐一郎(会長)、古賀信行(副会長)
安達久美子、安達仁美、石井尚子、礒田博子、井手明子、伊東信一郎、猪口邦子、及川幸彦、大枝宏之、大野希一、岡崎環、岡田保良、翁百合、加藤淳子、萱島信子、河野健、小長谷有紀、小林真理、今みどり、島谷弘幸、杉村美紀、高尾初江、寺本充、永岡桂子、蓮生郁代、羽田正、日比谷潤子、平野英治、細谷龍平、松代隆子、山田卓郎、吉田和浩

〔欠席・委任〕
濵口道成(副会長)、秋永名美、有里泰徳、宇佐美誠、相賀昌宏、大西英男、黒田玲子、小林栄三、鈴木淳司、高木錬太郎、立川康人、道傳愛子、戸谷一夫、那谷屋正義、西尾章治郎、野村浩子、野本祥子、平松直巳、福岡資麿

〔外務省〕
宮川学 国際文化交流審議官

〔文部科学省〕
丹羽秀樹 文部科学副大臣

〔事務局〕
松浦晃一郎 日本ユネスコ国内委員会特別顧問(前ユネスコ事務局長)、池原充洋 文部科学省文部科学戦略官、奈良哲 大臣官房国際課長、その他関係官

4.議事

【安西会長】
それでは時間でございますので、開会させていただきます。本日は御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。まず事務局は定足数の確認をお願いします。

【高橋係長】
本日ただいま出席の委員が32名で、委員の過半数ですので定足数を満たしております。

【安西会長】
ありがとうございました。ただいま事務局から定足数が満たされているという報告がありましたので、第143回日本ユネスコ国内委員会を開催させていただきます。
国内委員会の規定に基づき、本日の総会は一部の議題を除いて傍聴の希望者に対して公開させていただきます。また、御発言につきましては、非公開部分を除いてそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。
本日の会議には、丹羽文部科学副大臣に大変御多忙の中を御出席いただいております。誠にありがとうございます。
また、本日は関係省庁の担当官に出席を求めております。松浦日本ユネスコ国内委員会特別顧問にもお越しいただいております。ありがとうございます。
本日の配布資料について不足等ありましたら、会議の途中でも構いませんので挙手にて事務局職員までお知らせください。
それでは、まず丹羽副大臣から御挨拶を頂ければと存じます。よろしくお願い申し上げます。

【丹羽文部科学副大臣】
改めまして、皆さん、こんにちは。第143回日本ユネスコ国内委員会開会に当たり、御挨拶を申し上げます。
まず最近の度重なる豪雨や台風、地震等により多数の死傷者が出るなど甚大な被害が出ております。お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表すとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
また、本日は安西会長、古賀副会長、並びに委員の皆様方におかれましては、それぞれ本当に御都合がある中お集まりいただくとともに、日頃から我が国のユネスコ活動に関しまして御助言、御協力を頂いておりますことを厚く御礼申し上げます。
今般、文部科学省の幹部による一連の不祥事に関し、今朝方、幹部職員の処分等について発表になった次第でございますが、大変お騒がせいたしましたことを皆様に深くおわび申し上げます。今回の事案を受けまして、日々の業務の公正性や法令遵守について改めて徹底し、文部科学行政に対する国民の皆様の信頼回復に向けて、引き続きしっかりと地道に努力していきたいと思っております。
さて、今年度におきましては、4月に伊豆半島が国内では9地域目となるユネスコ世界ジオパークに新規登録され、また6月には世界遺産委員会が開催され、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が世界文化遺産に登録される等、我が国にとって、またユネスコ活動に尽力されていらっしゃる地域の方々にとって非常に喜ばしいニュースもございました。これらの事業が地域の活性化に寄与することを期待いたしております。
昨今激動の時代にある世界において、持続可能な開発目標SDGs達成に向けた様々な取組が進められております。昨年10月の国連総会決議では、持続可能なための開発のための教育が、質の高い教育に関する持続可能な開発目標に不可欠な要素であり、その全ての持続可能な開発目標の実現の鍵であることが確認されるとともに、国内では新しい学習指導要領に持続可能な社会の担い手の育成という文言が盛り込まれました。こうした状況も踏まえ、文部科学省としてSDGs達成に貢献するESDの取組を更に推進してまいりたいと考えております。
また現在ユネスコでは昨年11月に就任いたしましたアズレー新事務局長の下、戦略的な改革が進められております。本日はユネスコ改革の現状について、外務省からも御説明を頂き、それを踏まえ、今後のユネスコに対する我が国としての方針や国内ユネスコ活動の推進方策等について、国内委員の皆様方から活発な御意見を頂戴したいと考えております。
我が国として、全世界が様々な地球規模の課題に直面している中で、ユネスコの責任ある加盟国として、ユネスコの理念を通じたSDGsの達成に貢献していきたいと考えております。今後も引き続き皆様方の御協力を頂きますよう、よろしくお願いいたします。
私も今年の夏前、小学校6年生の子の授業参観へ行きましたらSDGsの授業をやっておりました。そこの発表の中で、子供が我が家の食品ロスを発表しており、非常に恥ずかしい思いがした記憶がございますが、SDGsという言葉が定着しつつあるのかなということは皆様方の方が御承知のとおりでございますが、どうぞ子供たちが未来に確信の持てる、希望の持てるSDGsを繰り広げていただければと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)

【安西会長】
丹羽副大臣、大変御懇切なお言葉をありがとうございました。御多忙のところ、最後とてもいい例題を頂きました。ありがとう存じます。
丹羽副大臣はこの後、次の御予定がありますので、ここで退席されます。本当にありがとうございました。
(丹羽文部科学副大臣退席)
【安西会長】
報道関係者の皆様におかれましては、写真撮影はここまでとさせていただきますので、御了承ください。よろしくお願いします。
審議に入ります前に、今年2月9日に開催されました前回の国内委員会総会以降、事務局に異動がありましたので、事務局から報告をお願いします。

【高橋係長】
4月1日付け発令で、文部科学省大臣官房国際課長として、奈良哲が着任しております。
【奈良国際課長】
どうぞよろしくお願いいたします。
【高橋係長】
以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。それでは議題に移らせていただきます。
初めに前回の国内委員会総会以降の我が国におけるユネスコ活動の状況について、事務局及び関係委員の皆様から御報告を頂きます。まず事務局から前回の総会以降に開催されました各小委員会の活動について、御報告をお願いいたします。

【池原文部科学戦略官】
我が国のユネスコ活動について、前回の総会以降の状況を御報告させていただきます。
資料7-1に概要が記載されておりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。本日は簡単に御紹介いたします。
まず2月9日に前回の国内委員会の総会がございました。3月19日に文化活動小委員会、コミュニケーション小委員会の合同小委員会が開催されまして、世界文化遺産や無形文化遺産の登録状況等について、文化庁から御報告を頂きました。それから6月12日に持続可能な開発目標SDGs推進特別分科会の懇談会が開催され、外務省、国連大学、奈良教育大学からそれぞれ御報告を頂きました。7月20日には普及活動小委員会が開催され、我が国のユネスコ活動の更なる広報・普及に向けて、御議論いただいたところでございます。8月27日には教育小委委員会が開催され、国内外のESDの取組状況等について、意見交換をしていただきました。これについては、この後、杉村委員、吉田委員から御報告を頂く予定でございます。
このほか科学分野におきまして、IHP、IOC、MAB計画についてそれぞれ各分科会が開催されております。この後、礒田委員からユネスコエコパーク、大野委員からユネスコ世界ジオパーク、河野委員からIOCについてそれぞれ御報告を頂く予定でございます。
以上でございます。
【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、続きまして現在国内外で動きのある事柄について、各分野の委員の皆様から御報告を頂きます。まずESDに関する最近の動きにつきまして、杉村委員から御報告をお願いいたします。
【杉村委員】
ESDに関する最近の動きにつきまして、私、杉村の方から報告させていただきます。
ESDに関する最近の動きの一つといたしまして、ポスト-グローバル・アクション・プログラム、すなわちポストGAPに向けた取組について御紹介させていただきます。資料1-1をごらんください。「ESDと国際的な動き」と書いた資料でございます。
ESDは「国連ESDの10年」を経て、2015年より「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」に基づきまして、ESDの推進に取り組んでいます。このGAPは2019年までのプログラムであることから、2020年から2030年までの期間においてSDGsの達成に貢献するために、ESDを推進する後継の枠組みについて検討が行われているところでございます。
この後継枠組についてですが、これにつきましては資料1-2の方にポイントをまとめさせていただいています。ESDのためのグローバル・アクション・プログラム後のポジションペーパーと呼ばれるもので、ここでは基本的には今までのGAPの枠組を継承しつつ、多様なコミュニティによるパートナーシップの強化や広報の充実などを図ることが提言されています。
今後、今年の9月末から10月にかけましては、ユネスコが後継枠組案の最新版をウェブ掲載し、一般より広く意見を募集するオンライン協議が開催されることとなっています。そこで国内委員会といたしましては、後継枠組案に対する意見を提出するために、教育小委員会及びESDの円卓会議、このESDの円卓会議には、本日も御出席の及川委員が御出席くださっていますけれども、それらの会議において資料1-4にあります「日本として強調すべき意見(案)」について議論してまいりました。ご覧いただければと思います。
資料1-3にあります英語の資料は、先ほどのポジションペーパーの原文でございまして、そのポイントは1-2にまとめてあるとおりでございますので、併せて申し添えさせていただきます。
「日本としての強調すべき意見(案)」にありますが、このポイントとして、主な意見について申し上げますと、まず1つ目として、2020年から2030年にかけてはSDGsの目標を実現することに貢献するESDを推進すべきであるという指摘をしております。
2つ目に、様々な課題を抱える地域やコミュニティにおいて、多様なステークホルダーが連携し、持続的な社会の担い手を育成することが必要であるということを挙げています。
3つ目に、公教育だけではなく、ノンフォーマル教育やインフォーマル教育においても主体的な学びを基本とした新しい学習方法の開発や学習内容の革新に取り組む必要があるということを挙げています。
4つ目といたしまして、そのための教育者の養成、採用、研修に一体的に取り組むことが重要であると指摘しています。
5つ目にESDの理解向上や浸透のための日本/ユネスコESD賞を推進していくべきであるということを挙げています。
そして最後に6つ目といたしまして、SDGs4.7、これは教育目標が掲げられている目標4中の4.7というターゲットになりますけれども、その達成目標を明確にした上でモニタリングを行い、2030年の確実な達成を目指していくことなどの意見がございました。
今後こうした御意見を再度事務局の方で取りまとめていただき、後継枠組に対する案として、オンライン協議時間中に日本ユネスコ国内委員会からユネスコの方へ提出してまいりたいと考えております。
以上、最近のESDに関する動きについて御報告させていただきました。ありがとうございました。

【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、次に教育2030に関する最近の動きにつきまして、吉田委員から御説明をお願いいたします。

【吉田委員】
お手元の資料2、「SDG-教育2030ステアリングコミティの最近の動向」という資料をごらんください。
私は、このステアリングコミティのアジア太平洋地域の代表として、また同委員会の共同副議長としてこれまで参画してきております。それを踏まえまして、御紹介させていただきます。
このステアリングコミティといいますのは、SDG4、持続可能な開発の第4目標としての教育の世界規模の調整機構として構成されております。教育2030の行動枠組が2015年11月に採択されましたけれども、それに基づいて設置されているものです。SDG4と教育に関連するその他のSDGsターゲット達成のための加盟国及び世界的な教育コミュニティに対する戦略的な方向付けと助言を行うものです。
おおよその目安として、年に2回程度の全体会合を開催しております。その間の役割として、1つには執行部として議長・副議長を構成員とするビューロウを形成しております。そのほかに4つの作業委員会、レビュー・モニター報告、そして日本が参画しております政策・戦略ワーキング・グループ。資金、アドボカシー&コミュニケーション・ワーキング・グループの4つでございます。
構成員は38の委員で、任期は1期が2年ということになっております。加盟国によるユネスコ地域割りの6つがありますけれども、その地域から現在のところ各参加国の代表そして地域組織、E9等々の構成員となっております。
ちょっと前後しますけれども、この9月12、13日に新しくステアリングコミティの決定事項としまして、各6つの地域の加盟国代表が、3から4に今後増えるということが決まりました。また、併せて日本は継続してアジア・太平洋地域の4代表国のうちの1か国であるという位置付けも向こう2年にわたって継続するということが確認されているところです。
ステアリングコミティの活動の内容の例といたしましては、特に教育目標が、それ以外のSDGs全体との関連がより強化されるという意味も含めまして、国連本部との連携を強化していこうという姿勢を強く示しております。特に国連総会の議長あるいは事務総長へのアプローチですとか、SDGs全体に対する教育の役割の認識、そして来年特にハイレベル・ポリティカル・フォーラムの教育を含めました複数の目標の集中的なレビューがございますけれども、そこに向けた報告あるいはインプットというものをしております。
来年は特にSDG4を含めましたレビューがあるわけですけれども、ハイレベル・ポリティカル・フォーラムにはこのとじ物の配布資料の後ろの方にとじてありますけれども、毎年そのような報告事項をしております。
そして、ステアリングコミティはグローバルな活動の調整機構ではありますけれども、何といいましてもステアリングコミティの重要な関心事項は、各国においてSDG4が実施されているかどうか。そして、それを地域ごとにどのように吸い上げて、課題を整理できているか。こういう点から、地域からのインプット、そして地域会合等への参加というトップダウンあるいはボトムアップ。そういう形での地域との連携を重視しております。さらに各国政府のSDG4への取組のモニターと課題に対応しております。さらには資金動員、国内の教育予算等々にも関心を示しております。
これまでの進捗を、特に来年ハイレベル・ポリティカル・フォーラムでの報告に向けて発表していくに当たって、1つ課題になっている点は、モニタリングの指標をグローバルな指標、そしてテーマ別の指標と、どのような形で報告していくかということになりますけれども、グローバルな指標につきましては、SDG全体につきまして既に国連レベルで合意はされていますけれども、それが具体的に運用可能な指標として各国で活用されているかどうかということになりますと、まだまだ不明な点あるいは各国レベルでは運用が十分できていないような点。そういうことがございます。これは配布資料2のところで説明されておりますので、また別途ごらんください。
あるいはこういったグローバルの指標とは別に、教育分野について、特にこの写真で『Education 2030』という冊子がございます。そちらにテーマ別の指標というものも掲げておりますけれども、これが実際に各国でどの程度活用されているかということも議論されております。
また加えまして、ユネスコの中に半独立的に設置されておりますGlobal Education Monitoring Reportチームが毎年発行しています『Global Education Monitoring Report』の巻末にもSDG4に関連した指標が示されている。
このようにフォローすべき指標が、幾つか大分多様な形で活用されていると。これが各国においてどのように有益に使われているかというところもステアリングコミティとしては見ているところです。
今後の主な活動予定としては、やや前後しますけれども、つい先週9月12、13日にステアリングコミティが開催されました。また、今年の12月3日から5日にはGlobal Education Meetingがブリュッセルで、大臣レベルの参加をもって開催されます。そして来年7月、9月にはハイレベルのポリティカル・フォーラムにSDG4の方からとして、インプットをしていく。このような予定となっております。
以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。
続きまして、自然科学分野における最近の動きについて、初めに礒田委員から、ユネスコエコパーク関係の動きについて、御報告をお願いいたします。

【礒田委員】
ユネスコエコパークについて、人間と生物圏計画分科会を代表して、2点御報告いたします。ちなみに人間と生物圏は、Man and the Biosphere Reservesということで、通称MABと呼んでおります。
1点目は、ユネスコエコパークへの推薦です。資料3-1をごらんください。平成30年3月6日に開催した日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会MAB計画分科会におきまして、甲武信をユネスコエコパーク候補地としてユネスコに推薦することを決定いたしました。
資料3-1の3枚目をごらんください。甲武信は、甲武信ヶ岳、金峰山、雲取山などの日本百名山が連なる奥秩父主稜を中心に、これを源流とする荒川、多摩川、笛吹川、千曲川地域にまたがる12市町をエリアとしております。本地域では、太平洋側から日本海側までの広い領域を支える水源地の環境を持ち合わせ、首都圏近郊にありながら生物多様性に富む貴重な生態系が広く保存されております。
分科会では、甲武信について、本地域が生物多様性の保全上重要な地域であること。また、地域の住民や事業者が連携した持続的な農林業が広く営まれていることなどから、自然と人間が共生するモデル地域となるような活動が見込まれるとして、本地域をユネスコエコパークの推薦地として選定いたしました。今後は、9月末までにユネスコ事務局へ推薦書を提出し、ユネスコの国際諮問委員会の審査を経て、来年6月のユネスコMAB計画国際調整理事会において登録の可否が決定される予定です。
また2点目として、7月23日から28日にかけて、インドネシアのパレンバンにおきまして、第30回MAB計画国際調整理事会が開催され、私が出席してまいりましたので、御報告いたします。
本会合では、人間と生物圏戦略に基づくリマ行動計画の履行状況につきまして共有されたほか、若手研究者に対する研究支援の強化、ユネスコエコパークの質の向上等について、議論が行われました。新規ユネスコエコパークの登録や定期的レビュー地域についても審議され、ユネスコエコパークの合計数は122か国、686サイトとなりました。
また、これまでの国際調整理事会で、ユネスコエコパークの管理運営に関するテクニカルガイドラインの策定を進めることが決定され、このためのワーキング・グループにMAB計画分科会から佐藤哲調査委員、吉田謙太郎調査委員がメンバーに加わることになりました。
このほか、今年春にはアジア地域でのユネスコエコパークのネットワーク会合が開催され、日本の関係者にも参加いただいております。資料7-1、「我が国のユネスコ活動について」に関連の活動がまとめられておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
私からは以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。自然科学関係、続きまして大野委員から、ユネスコ世界ジオパーク関係の動きについて、お願いいたします。

【大野委員】
ユネスコ世界ジオパークにつきまして、日本におけるナショナルコミッティーであります日本ジオパーク委員会を代表して、大野が御報告いたします。
資料3-2をごらんください。本年4月に行われましたユネスコ執行委員会におきまして、伊豆半島地域がユネスコ世界ジオパークに認定されました。
資料3-2の3ページ目をごらんください。1枚おめくりいただければと思います。伊豆半島地域の特徴ですけれども、伊豆半島ジオパークは7市8町で構成されておりまして、その総面積は、陸域と海域を合わせて2,027平方キロメートルです。この伊豆半島地域につきましては、フィリピン海プレートと呼ばれる地球を覆うプレートの一部です。その上に成長した火山島が、今からおよそ100万年前に本州に衝突を始め、およそ40万年掛けて現在の姿になったものです。この衝突により出来上がった山が丹沢山地です。
このような成り立ちを持つ地域の上に修善寺や熱海、伊東といった温泉が広がり、その一部が温泉保養地になっています。また、大室山や堂ヶ島といった絶景や柿田川湧水などの美しい水が湧き、それを使ったワサビの栽培がなされています。さらにそのような景観はノーベル賞作家の小説の舞台になり、演歌でも歌われる場所となりました。
歴史的に言いますと、江戸城を造るのに使う石垣をもたらす産地になっていたり、江戸時代には佐渡に続く第2の金山がありました。さらには歴史的に申しますと、ペリーの来航の場所にもなったところです。
このような特徴を持つ伊豆半島地域の新規認定に当たりましては、その地域の価値を地域の住民がそれを知り、学び、守り、発信しようとする活動があること、さらにそれを支える運営組織がきちんと整備されている点が評価され、認定に至ったものと思われます。
今回、伊豆半島ジオパークを含め、新たに11か国の13地域がユネスコ世界ジオパークと認定されまして、ユネスコ世界ジオパークは、合計で38か国、140地域となりました。この伊豆半島地域は、国内では9番目のユネスコ世界ジオパークとなります。
今回の審査案件といたしまして、今年はユネスコへの新規申請地域はございませんが、再認定審査が行われます。ユネスコ世界ジオパークは、認定地域の保全管理やその活動の質を保証するために、4年に1度再認定審査が実施されます。今年は、阿蘇、山陰海岸という2地域が対象になっておりまして、この8月に現地審査が行われたところです。両地域の再認定につきましては、今後ユネスコ世界ジオパーク・カウンシルの審査を経て、その結果が判明する見込みです。
ユネスコ世界ジオパークに関連した活動につきましては、別紙の資料7-1にもまとめられておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
私からは以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。
自然科学関係3番目に河野委員から、政府間海洋学委員会関係の動きについて、お願いいたします。

【河野委員】
政府間海洋学委員会、IOCの活動に関して御報告いたします。
7月2日から6日にかけてパリのユネスコ本部におきまして、第51回IOC執行理事会が開催されました。日本政府を代表いたしまして、IOC分科会から道田豊IOC分科会主査、私、それから安藤健太郎調査委員、齊藤宏明調査委員、そのほか文部科学省、気象庁の担当官あるいはJAMSTECの担当者が参加いたしました。
本会合では、世界海洋観測や津波早期警戒システムの推進など、様々な議題がありましたけれども、特に昨年12月に国連で採択されました持続可能な開発のための国連海洋科学の10年への対応を中心に議論が行われました。これにつきまして、資料3-3をごらんください。この国連海洋科学の10年は、海洋科学の推進によりまして、持続可能な開発目標を達成するために、2021年から2030年までの10年間に集中的な取組を実施しようというものです。2017年12月の国連総会で採択され、宣言されました。
集中的に行われる取組の例といたしまして、この資料の左側中段ほどに幾つかの例がございます。海洋システムあるいは地球・気候システムにおける海の役割の知識を広めること、あるいは健全な海洋環境、生態系システムを保全しつつ、経済活動を支えるための研究を推進しよう、あるいは海洋に関する事故・災害などのリスクを軽減しましょうといったような活動でありますとか、あるいは人材育成、それから海洋科学に関する知見を速やかに政策決定者に伝えるような仕組みを強化するといったようなことが推進されることになります。
ユネスコIOCは、2021年から始まるこの国連海洋科学の10年の実施計画を策定する機関として、国連から指名されております。今後2年間の準備期間におきまして、国際レベル、地域レベルで専門家会合やコンサルテーション会合を実施するなど、実施計画策定に向けた取組を主導することになっております。
IOC事務局からは、加盟国の積極的な支援・関与が求められているところであります。我が国からは、専門家を派遣する、地域コンサルテーション会合などについて支援を行う、こういった活動を推進することといたしまして、この旨を執行理事会において表明いたしました。今後IOC分科会として、これらの取組を支援していく予定でおります。
このほかIOCの活動については資料7-1にもまとめられておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
私からは以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、ユネスコ活動御報告の最後になりますけれども、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の世界文化遺産の登録につきまして、文化庁の渡辺世界文化遺産室長から御説明をお願いいたします。

【渡辺世界文化遺産室長】
それでは、お手元の資料4をごらんいただけますでしょうか。
我が国が世界文化遺産推薦をしておりましたこの長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産につきまして、本年6月30日、バーレーンのマナーマにて開催されておりました第42回世界遺産委員会において、世界遺産一覧表の記載が決定されたところでございます。
2枚おめくりいただいて、4ページ目でございます。こちらの資産の概要を説明している図をごらんいただけますでしょうか。本資産につきましては、16世紀にキリスト教が日本へ伝来し、その後の江戸幕府による禁教政策の中で潜伏キリシタンがひそかにキリスト教への信仰を継続し、長崎と天草地方の各地において厳しい生活条件の下に、既存の社会・宗教と共生しつつ、独特の文化的伝統を育んだことを物語る貴重な証拠でございます。
構成資産といたしては下の絵、それから右の番号が付いてございますように長崎県の各地それから熊本県の天草市にございます12の構成資産から構成されてございます。
この年表を見ていただきますとお気付きかと思いますけれども、こちら、最初は平成27年の1月に長崎の教会群とキリスト教関連遺産として推薦書を提出したところでございます。その後、イコモスの現地調査などを受けて、イコモスからのこの資産の価値というのは禁教期にあるのではないかという御指摘を頂いて、これは平成28年2月に推薦を取り下げ、その上でイコモスとの対話を行い、イコモスからのアドバイスも頂きながら、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産として推薦書を新たに提出し直して、審査いただいています。このたび最終的に世界遺産登録ということは認めていただいたところでございます。
1ページお戻りいただけますでしょうか。こちらの遺産に係る決議概要でございます。まず、記載の評価基準でございますが、こちらにつきましては評価基準(iii)、これは文化的伝統に関する証拠という観点で評価いただきまして、記載が決定されたところでございます。
それから追加的勧告として何点か頂いてございます。例えば幾つかの島における集落跡、教会跡、墓地跡などに既に廃絶したものの痕跡について包括的な記録資料を作成するといったことでございますとか、各資産の物理的・社会的状況に基づく制約というものを考慮した上で、観光客などの収容力、carrying capacityや望ましい観光の管理の在り方について検討するということ。そして、遺産内における新規の開発事業について、いわゆる遺産影響評価ということを行うことといった勧告が出てございます。
こうした勧告への対応につきましては、現在関係自治体において対応を進めているところでございますが、文化庁としても専門的・技術的な助言を行うなど、世界文化遺産としての保全、それからその価値の発信について引き続き支援を行ってまいりたいと思います。
以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、これまでの御報告事項につきまして、質疑応答、意見交換の時間を設けたいと思います。御意見・御質問のある委員の方は挙手をお願いいたします。
特にユネスコの活動の御報告でございましたけれども、地域におけるユネスコ活動の活性化、それから民間企業とユネスコ活動の連携、これら2つにつきましても重要なテーマでございますので、これまでも発表・御報告との関連に関わらず、ここで御意見を頂ければ大変幸いでございます。
それでは、どなたでも結構でございますので、挙手でお願いいたします。

【松浦特別顧問】
ユネスコの重要な活動に関しまして、国内ユネスコ委員会の皆様方が非常に活発な検討、さらにはその検討結果の発表をしていることについて非常にうれしく感じております。
1つだけ私から、コメントさせていただきたいと思っていますが、今、安西会長からも御指摘がございました地方の活性化との関係で、ESDについてです。私も地方の日本ユネスコ協会、時には単独もございますけれど、県単位あるいは地域単位の会合に招かれて講演をしております。そのとき非常にうれしく思いますのは、大抵の会合にその地域のユネスコスクールに認定された学校の若い方々や学生の方々が招かれておいでになる。時には2日間会合が行われれば、翌日にはそういうユネスコスクールになった方によって、特にユネスコスクールの中核がESDということになっておりますので、ESDに焦点を絞って発表会が行われるということがあるのを非常にうれしく思っております。
御承知のように日本はユネスコ民間運動が世界で最初に始まり一番活発ですが、ユネスコスクールに関しては、残念ながら当初はそれほど活発ではありませんでした。この10年余り非常に活発になって、ユネスコスクールも1,000を超えて、単に数だけではなくて実質的にESDを中核にされてしっかり活動しておられる。
さらに私がうれしいのは、地方のユネスコ協会とユネスコスクールの連携が非常に進んできている。つまりユネスコ協会というのは、どうしても日本の高齢化を反映して年配の方が多くなりますけれども、ユネスコスクール、若い方々との連携が進んで、そこの地域のいろいろな活動の中核の一つになりつつあるということを非常にうれしく思います。
ですから、今、安西会長の御指摘があった地方との関係、でユネスコ協会とESDを中核に据えたユネスコスクールの連携がいろいろなところで進んで、非常にうれしく思います。これが今申し上げましたように、私の見るところ、ユネスコ民間運動もユネスコスクールも両方とも本当に日本が世界で一番活発になっているのではないかと思っています。
それで、さらに言えばこのユネスコスクールの中核がESDで、今日もいろいろお話がございましたけれども、さらには全体のSDGというものも活発に、その核がここで教えられるというのは非常に私もうれしく思っています。
しかしながら、まだまだユネスコスクールは、私は増えてほしいと思っていますので、是非今の状態がさらに強化されることを希望いたします。以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。ユネスコスクールの活動が非常に活発というのは、松浦特別顧問のおっしゃるとおりで、毎年行われております全国大会ですが、今回は横浜で行われることになっております。
ほかにいかがでしょうか。ユネスコの先ほどの御報告についてでも結構でございます。
及川委員お願いいたします。

【及川委員】
御指名ありがとうございます。
今の松浦特別顧問のお話にも関係あることなんですが、先ほど教育小委員会の方から、ポストGAP、グローバル・アクション・プログラムについてお話がありましたが、それに若干補足させていただきたいと思います。
その教育小委員会の後に「持続可能な開発のための教育(ESD)円卓会議」というのが開催されました。これは国内委員会の枠組とはまた異なったESDの関係省庁の連絡会議の枠組の中である多様なセクターが一堂に会して、日本のESDをどういうふうに進めようかということを議論する会議であります。
その中でもこのポストGAPについて、本当に多様な主体から非常に多様な意見を頂いたわけですけれども、その方向性というのは教育小委員会で議論されたように、ESDはSDG4のみではなくて、SDGsの全てのゴールに貢献する。その達成に資するESDが今後のESDの方向性ではないかということで、パリのユネスコ本部が提案しているESDGsプログラムという方向性に対して基本的には支持するということで、共通理解を得ました。
ただその中で、やはり多様なステークホルダーの議論ですので、特に教育セクターの代表の委員からは、やはりそれぞれの地域の学校あるいは社会教育の教育課題に即した形でSDGsを達成するような取組でなくてはいけない。あるいは地域代表の委員からは、やはり地域の様々な今抱えている課題に対して具体的なアクション、実践的な取組が非常に重要である。その延長上に国際的なSDGsの達成があるなど、。いわゆるグローカルな視点でこのESDGsというものに取り組んでいかなければいけないということが提起されました。
それと同時に、これまで5年間、来年で5年になるわけですが、グローバル・アクション・プログラムが5つの行動優先分野でポリシーサポートからローカルコミュニティまで取り組まれてきましたけれども、そのそれぞれの分野ごとのステークホルダーが一生懸命取り組んできたものの、ややもするとそれぞれ分断されたといいますか、個別で取り組まれてきている部分があるとの指摘がありました。これは、ユネスコからも同様の指摘が出されていますが、ですので、次期の行動枠組みでは、その5つのそれぞれの分野のコミュニティが連携した形で取り組んでいく必要性を、更に強く日本からも訴えるべきではないかということが出されています。
そのようなことを考えたときに、さきほど、ユネスコスクールとユネスコ協会という学校と地域活動の連携の話題が出ましたけれども、その学校あるいは公教育を核としながら、地域の多様なステークホルダーが連携した形で取り組むことによって、今言われたような課題が解決の方向に向くのではないかと考えます。
日本ではそれをいち早く実現するために、ESDのコンソーシアムであるとか、あるいは去年、おととしできた全国と地方のESD活動支援センターであるとか、あるいは10年以上の歴史を持つ国連大学のRCE、Regional Centres of Expertiseがあります。そういう日本発といいますか、日本がこれまで培ってきた知見であるとか経験であるとか実績をきちっと世界に発信しながら、SDGsへの貢献をしていくべきではないかという話がありました。
最後に、私は議長を務めていますので個人的な意見もあるんですが、やはり冒頭の御挨拶でありましたように、昨今、気候変動であるとかあるいは先進国も深く関わっている海洋の汚染の問題であるとか、あるいは相対的な貧困やジェンダーの問題など、先進国を含めたSDGsの課題というのが非常にクローズアップされています。特に昨今、度重なる自然災害というものに対する対応、すなわち防災・減災であるとか。そのような日本がリードすべき課題、イシューというものがあると思うんですね。そういうテーマを是非今後のSDGs達成に資するESDの核として、日本としてリーダーシップを発揮する必要が非常にあるのではないかと思っている次第です。
そのようなことで、各地域、各セクターが、現在SDGsという共通の目標に向けてESDに非常に献身的に取り組んでいますので、その成果を是非世界に発信していくというのが、この国内委員会からの大きなメッセージにもなるのではないかと思います。
以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。ESD、GAP、SDGsのこれらの関係をやはりしっかりと共有する必要があると思いますし、今、及川委員の言われたことが基本ではないかというふうに存じます。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。4時半ぐらいまで意見交換の時間を取れると思いますので、どなたでも結構ですが。企業の委員の方、いかがでしょうか。あるいはユネスコ協会関係の方。
猪口委員、お願いいたします。

【猪口委員】
非常に重要な報告が続いておりまして、私もキャッチアップして、いろいろ勉強させてもらっておりますが、このESD、もちろんエデュケーションの分野というのはユネスコの中枢でありますので重要なんですけれども、世界ですと、SDG&ESGという切り口がとてもまた重要で、それをセットで考えていく必要があると思うんですね。
ESGと言う場合は、これはエンバイラメント。ですからこれがESDの分野なんだと思いますけれども、しかし同時にSはソーシャル。そしてGがガバナンスであって、ガバナンスのことというのは、先ほども文科省の方からもお言葉がありましたけれども、あらゆる組織におきますガバナンス。公正な統治、運営、マネジメントということが世界的に課題であると。それで、世界の投資がそういうところがサウンドなところに向かうようにというのがこのガバナンスに込められた概念であると思います。
そして、このソーシャルという表現なんですけれども、これは日本で余り聞き慣れないかもしれませんが、ちょっと自分のことで非常に恐縮なんですけれども、分かりやすい表現の例として言及させていただきたいんですけれども、私は12年ほど前、初代の専任の少子化大臣というのを務めまして、そのときの兼務の分野というのが、多分その後も余りそういうくくりがなかったんですけれども、当時の内閣の次官の説明によると、ソーシャルデベロップメント。これは、社会発展及び社会的問題が1つの大臣の下に全部集まってくるという最初の場面であると言われたんですね。
少子化と男女共同参画はその典型であるけれども、同時に私がそのとき兼務していた大臣職の中には、例えば交通安全であるとか、犯罪被害者のこととか、消費者行政のこととか、障害者施策の推進委員であるとか。人間社会の発展にはまず政治発展というのがあって、経済発展というのがあって、そして社会発展というのがあるんですけれど、その社会発展の分野が非常に理解されにくい。そういうことです。
このESG投資と言うときには、ソーシャルなんですよ、正に。私の大臣職の英語名を言いますと、Minister for Gender Equality and Social Affairsという表現だったです。少子化対策という表現は、Gender Equality and Social Affairs。Social Affairsの大臣職というのが当時設置されまして、その後はそういう概念くくりがちょっと希薄になりまして、いろいろなところに分散して、所掌になっていると思いますけれども、今改めてそれから10年以上もたって、世界での投資の基準としてこのソーシャルという言葉が出てきたんだと。ESG投資というのはそういうことではないかなと思うんですね。
ですからこのESDは非常に貴重で、我が国がリードしていて、国連も正に文化と教育でありますからその中枢であると思いますけれども、同時に今申し上げた全般的なソーシャルデベロップメント、ソーシャルということを、今後どう教育の中で、あるいは発展の中でサステイナブルデベロップメントと併せて考えていくのかということを是非検討していただきたいと。
それで、この投資家の動きというのは、今、民間の方の意見がありませんかという会長のお話でございましたけれども、もうすごく大きな影響が既に出ていまして、例えばこれも手前みそで申し訳ないんですが、私が今住んでいる千葉県でいろいろな発電の問題があるんですね。原発はないんですけれども、火力発電で、そして石炭は非常に重要な資源なんですけれども、とにかくESG投資の関係で、それはなかなか難しいという判断がもう一気に出てきて、金融機関がこれを認めないだろうという、予測的にそういう石炭での火力発電というのがもう新規増設はできないというような流れ。この流れはすごく速い。ESGが大きく世界で表現されたのが2年前ぐらいだと思います。汎用性を持って。ですからすごい速く投資先が変化をしているというインパクトとの関係でも、このESDとESGとそしてSDGということを合わせて考えるといいかなと思います。

【安西会長】
ありがとうございました。今、社会関係資本というか、そういうことも関係あるかと思いますが、民間、民間とお願いをしておりますところ、代表で古賀副会長、何か是非コメントを頂ければ幸いです。

【古賀副会長】
率直な感想をお伝えしますと、ESDは教育関係者の間では定着した取り組みでありますけれども、一般的には「ESDって何なんだろう?」というのが、ESDの現状ではないでしょうか。一方で、昨今、社会的にSDGsへの関心が高まっているのも事実です。持続的な成長を皆で達成しよう、そのために具体的な目標を定めて、それに向かってやっていこうと、社会全体が動き始めています。徐々に企業セクターでも盛り上がりを見せており、SDGsを意識しながら行動することが定着し始めているように感じます。
その一つの表れが、猪口先生がおっしゃったESG投資。このESG投資もどういう形がベストプラクティスであるというのは、正直まだ定着していないように感じますけれども、環境、社会、ガバナンスの観点が、経営においても、投資においても重要視されるようになりました。ただ、これに反する組織はたたき潰すという排他的なアプローチは、短絡的過ぎると思います。ESG投資の意義を噛み砕いて、今以上に環境にも社会にも、そして企業統治の観点からも、より良い形を目指そうというのが、本来在るべき姿ではないでしょうか。例えば猪口先生からご指摘があった石炭。石炭は悪であるとして、石炭事業を排除する動きも一部出てきているようですが、これには憂慮しております。ESG投資への理解が進み、世の中に概念として定着してくると、石炭を全否定するのではなく、石炭事業において、従来よりも二酸化炭素排出量を削減する努力している先は認め、社会全体のバランスを保つ余地もあるのではないでしょうか。この辺は、ESG投資の概念が成熟し、世の中に定着することで、単なるブームを超え、無理なく運用できる状態に落ち着いていくのであろうと感じています。
いずれにしても、持続可能な開発やESDと言われたものが、SDGsという形になり、世の中全般で持続可能な発展を遂げていこうという流れが生まれたことは、社会にとって非常に大きな進歩であると考えております。
企業セクターにおいては、SDGsへの意識が非常に高いところ、これから取り組みを始めるところ、まだ温度差がありますけれども、SDGsを具体的な形で実践しようという動きが出てきておりますので、重要な一歩だと思っております。

【安西会長】
ありがとうございました。社会開発投資の問題は、ほとんどここで議論されてきておりません。ただ、やはりそういうことを絡めていかないと本当の発展はないとは思いますので、是非事務局の方でも検討していただくようにできればと存じます。
石井委員、お願いいたします。

【石井委員】
民間で活動しています神奈川県の厚木ユネスコの石井と申します。
先日、7月の夏休みに、ユネスコサマースクールというイベントをやりまして、小学生の子供たちを集めて、ユネスコの学習会と座禅体験とかいろいろやりました。そのときにユネスコって何ということをちゃんと教えて、そしてSDGsって何というのを投げ掛けたんですね。といっても子供たちはSDGsって、ほとんど知らないんですね。ですから具体的な質問として、とても暑い夏なので、クーラーを使わないで涼しく過ごせる方法を考えてみようじゃないかという投げ掛けをしました。そうしましたら、子供たちからうちわで扇ぐとか水で冷やすとか風を入れるとか、いろいろな案がたくさん子供たちなりに考えたことが出てきたんです。
SDGsの実践ということでは、そういう身近なことで自分にできることは何かということを考えさせることから始めることも子供たちにとっては大事なのかなと思いました。
小学校の社会科の教科書に多分ユネスコのことは出ています。そしてESDのことも載っております。SDGsのことももうそろそろ載るんじゃないかなと思っているんですね。多分今年改訂があったので、4年後かなと思ったりしているんですけれど、 ESD、SDGsと、次の世代を担う子供たちに教えていくのが大事じゃないかなと思うので、何かそういう子供に分かりやすい知らせ方というのを私たちが考えていったらどうかと思っております。

【安西会長】
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
今のESDからSDGsの関係については、先ほど申し上げたように理解を共有する必要がありまして、それについて事務局にも引き続き是非そういう子供たち向けのものも含めて、いろいろ検討していただくようにはお願いしておきたいと思います。
よろしいでしょうか。ユネスコスクール活動では、かなりそういった方向は今出てきていると思っております。
それでは、この件はここまでにさせていただきますが、何か思った御意見等々がおありになりましたら、事務局の方へ個別にお知らせいただければと思います。できるだけコミュニケーションをよく取らせていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。貴重な御意見を頂きまして、誠にありがとうございました。
続きまして議題2に入らせていただきます。議題2は、現在ユネスコで進められておりますユネスコ改革の現状と今後の対応についてです。初めにアズレーユネスコ事務局長によるユネスコ改革の現状について説明を頂きまして、前回の総会のときに御紹介させていただきました次期のユネスコ中期戦略案の策定に向けた動きも踏まえまして、皆様に御自由に討議していただければと思います。
それでは、議論を行う上での情報提供という形になりますけれども、外務省の宮川国際文化交流審議官、アズレー事務局長によるユネスコ改革の状況について、御説明をお願いいたします。

【宮川国際文化交流審議官】
ありがとうございます。
4月9日、パリにおきましてユネスコの執行委員会が開催されました。お手元に1枚の資料5をお配りしております。途中で言及いたしますので、御参照いただければ幸いでございます。
アズレー事務局長は、ユネスコの戦略的変革の重要性という題で演説を行いました。4つの柱をスピーチの中では提唱しております。
1つは、ユネスコの事業の強化を行っていくということで、例示として例えばアフリカ、ジェンダーの平等、それからイラクのモスルの復興イニシアチブ。そしてまた少し広いですが教育、ESD、自然科学、IOCと国連海洋科学の10年への貢献、文化等々、指摘されております。
2つ目の柱として、倫理と予測ということで、その中で特にAIの倫理について、ユネスコは倫理や規範の設定をできるのではないかという問い掛けを行われております。
3つ目の柱として、組織の開放ということで、ユネスコ本部を、より一般市民に開放するとか、SNSをより活用した対外発信を強化していくというような提案をされております。
4つ目の柱として、組織運営の近代化ということで、より効率的な組織の実現に向けて、運営とか管理のセクターを新設する等々の具体的指摘を行われております。
以上の4月9日アズレー事務局長演説を受けまして、加盟国から構成される執行委員会では、ユネスコ組織の改革プロセスを継続していく重要性を強調し、アズレー事務局長の提案の重要性を留意するという決議案を採択しております。
その後、準備会合が重ねられまして、直近では9月19日、準備会合がございまして、出席した日本の代表からは、ユネスコの改革は不可避であり、戦略的変革のプロセスを支持すると。今後一層サブスタンスの議論を進めていくことにしたいということを表明され、他の複数の国からも同様なコミットメントの表明がございました。
お手元の資料5でございますが、改革のユネスコ側の提案のプロセスの体制でございます。4つのテーマ別作業部会、運営効率、広報、戦略的パートナーシップ、世界的プレゼンス向上を作りまして、それを調整する機関としてステアリングコミティを立ち上げたい。さらに事務局の中にそうした作業全体をサポートするサポート・ユニットというのを新設するということで動いております。
また、近く事務局長の発案によるハイレベル・リフレクション・グループの立ち上げが見込まれておりまして、世界の有識者12名程度と言われておりますが、知見を頂きながら来年の秋に向けて、ユネスコの直面する諸課題、将来像について提言を頂くことを検討中でございます。
最後に今後のこの改革案の検討の日程でございますが、まず4つのテーマ別作業部会におきまして、それぞれのテーマに関する改革の素案が作成される見込みでございます。その後、加盟国間そしてまたパートナー、NGO等々のセクターごとの議論を重ねまして、来年秋、第41回の総会が開催される。この後御紹介ある中期戦略及び事業予算の中にこのセクター別の議論の結果を反映させていくということが予定されている次第でございます。
以上、簡単でございますが、報告させていただくとともに、もう一点だけ、すいません。議題に必ずしも明示的に入れさせていただいておりませんが御了承いただければ、前回の国内委員会で、文化多様性条約の締結について是非進めるべしという御意見を頂きまして、中間報告でございます。
現在この条約の締結作業を進めるために、他の国際約束、特にWTO協定との整合性について検討を鋭意進めております。昨年頂いた指摘も踏まえまして、G20等約20か国の在外公館に調査訓令を出しまして、その結果例えばオーストラリア、トルコ等が、WTO協定とほかの条約の権利義務を変更するものではないとの留保を示す解釈宣言を行うことによって締結しているという事例を把握しております。したがいまして、我が方も今そうした各国の動向も踏まえて、おおむね同じ方向で鋭意作業を進めている状況です。
以上でございます。

【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、続けまして次期ユネスコ中期戦略、事業・予算案の策定について、事務局から説明をお願いいたします。

【池原文部科学戦略官】
資料6をごらんください。こちらは、前回の総会でお配りしたものと同じものでございます。2枚目にユネスコの中期戦略ということで現在の2014年から2021年のものがございまして、次期ユネスコ中期計画は2022年から2029年ということになります。
2022年からのこの次期ユネスコ中期計画につきましては、本格的な議論は、来年の秋に開催される第40回ユネスコ総会から検討が開始されるということですが、ただいま外務省の宮川審議官から御説明がありましたように、現在ユネスコの本部の方で、改革に向けて様々な動きがあるところです。
したがいまして、そういった動きも踏まえて、本日ユネスコの活動について、皆様から今後どういう点を重視していくべきか。またユネスコの国内での活動はどうあるべきかといったことについて、忌憚のない御意見を頂きたいと考えております。
なお、10月上旬からは、次のユネスコ執行委員会が開催されます。これにつきまして本日、委員の皆様から頂きました御意見なども踏まえまして、対処方針等も外務省と一緒に検討してまいりたいと考えております。
時間が限られておりますので、本日、御発言いただけなかった委員の皆様で御意見がおありの皆様は、ユネスコ国内委員会のメールアドレスの方に御連絡を賜ればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【安西会長】
ありがとうございました。
それでは、ただいま頂いた御説明を踏まえまして、意見交換の時間とさせていただきます。御質問・御意見等おありになる委員の方は挙手をお願いします。
どうぞ、細谷委員、お願いいたします。

【細谷委員】
ありがとうございます。
宮川審議官と池原戦略官からの御説明、どうもありがとうございました。
特に戦略的変革とおっしゃいましたけれども、英語ではStrategic Transformationと言っていまして、去年の総会で決議が出て、非常に大きな変革、再構築と言っていいと思うんです。こういった大きな議論というのはこのC/4の構築とも重複する部分がありますけれども、新しい事務局長になって約10年に一度ぐらい行われている議論、行われてきているプロセスがまた立ち上がったということだと受け止めています。
御紹介のあったように、再来週の執行委員会に諮るための最初の事務局のコンセプトペーパー等が出てきております。事務局長が既に演説の中でイニシアチブを発表されたということで、若干それとも重なってくると思いますが、全体的に何か今まで来た道をまた歩んでいるという印象が率直に言ってあります。これは長いプロセスですから、今のところまだ手続中心の議論、枠組み中心の議論であるのは仕方ないとは思いますが、ちょっとやはり今までの既存の枠内、制度内での焼き直しの印象が全体として強いと感じます。
これは今後更に肉付けされていくことを期待しますけれども、せっかくの機会ですので、正にこのプロセスには各国の国内委員会の関与、インプットが求められているわけでもありますので、かいつまんで4点、感じたところを申し上げさせていただきます。
まず言うまでもなく、ユネスコは常に茨の道を歩んできており、今回もここずっと本当にユネスコの存続自体が問われる大きな危機が続いているといったことは共通認識だと思いますが、どうもそれを踏まえた対応方針という感じが出てきていません。
アズレー事務局長がおっしゃっているAIの規範作りといった時代の流れに応じたイニシアチブは非常にいいことだと思うんですけれども、全体の存続に関わる議論、特にアメリカは当面戻らないという前提で考えなければいけませんけれども、では例えばアメリカ社会全体との関係を当面どう構築していくかといったことに関する提案が出てきてもいいのではないかと思います。
2番目は、これは当然のことですけれども、SDGのアジェンダ2030の中でのユネスコの役割をどう果たしていくかということです。先ほど来、御意見が出ているように、SDGは正に先進国の課題でもあり、日本自身の課題でもあって、日本の中では地方創生との関係が一番の柱ということです。それもESD各論に全部出てくる話ですけれども、国内を所掌されているのは内閣府であり、それから各地方では自治体がかんできます。ですから、そこの国内の連携を更に強化していただいた上で、例えば日本の地域、地方創生においてユネスコがどう関与できるか、日本の地方創生のモデルを、ユネスコを通してどうやって世界と共有するか、という視点での検討があっていいかと思います。
3点目は、当然ユネスコは何といってもリソースが少ない機関ですから、アメリカが戻らないということで、ますます小さなリソースベースで縮小均衡にならざるを得ないところがあります。その代わりに、お金はなくても何ができるかということを常に考え続けなければいけない。何度も言われてきていることですけれども、ユネスコファミリーという広い重層的な組織のネットワークを更にどう強めていくか。これを改めてレビューすることが求められていると思います。特に松浦特別顧問がおっしゃったように、日本はユネスコ民間運動、ユネスコスクールその他非常に強いものを持っている。日本的モデルの実績を示す形で日本がリードを取れる一つの分野がここだと思います。
最後にもう一点、やはりリソースが少ない国際機関という観点からですが、そうであればこそユネスコは、バイとマルチの連携を更に図らなければ存在価値を示していけない。単独でできることには限りがあります。マルチ・バイの経済技術協力の連携というのは昔から言われていることですけれども、これをユネスコについてもう一度真剣に見直していただきたい。具体的に日本の2国間ODA、経済協力と、ユネスコを通した協力との連携をどう図るか。これはいろいろな省庁にまたがることですが、日本がリードしていい分野だと思います。それを日本のみならず、日本がリードする形でユネスコの全加盟国共通のシステムとして立ち上げてはどうかという問題提起をさせていただきたいと思います。
それぞれ簡単ではないと思いますが、幾つかアイデアを申し上げました。

【安西会長】
ありがとうございました。この特に中期戦略については、2019年のユネスコ総会に上がるその戦略案に対して、日本からどうやってそこへ何かを持って行けるかということの議論でございまして、それはこの国内委員会の議論がかなりベースになりますので、本当にユネスコは曲がり角にあると思うのですが、細谷委員のおっしゃるとおりでかなり大胆な案を検討してみてはいかがかと私も思うところがございます。
ほかにはいかがでしょうか。

【松浦特別顧問】
今、会長がおっしゃられたように、ユネスコが今厳しい国際情勢の中で、本来のユネスコの役割をどう果たしていくかという見地からいって、アズレー事務局長のユネスコ改革についての4本柱、さらには中期戦略が非常に重要なので、これについて日本として是非しっかり貢献していただきたいと思います。
2点だけ具体的な点を申し上げます。先ほど御披露があった包括的目標の中で、持続可能な開発、つまりSDGsはもちろんユネスコにとって重要ですけれど、やはりSDG4の教育。これもMDGsのときは初等教育に焦点が当てられて、それ自体はよかったと思っていますけれども、今度は全てのレベルの教育ということで、非常に広い範囲になって、かつまたこれはいろいろな国連ファミリーのいろいろな機関がかんできます。それでも、まとめ役はユネスコということになっていますから、是非このSDGsの中でもユネスコとしてはSDG4の教育に焦点を絞って、それだけでも相当大変な作業になると思うのですが、しっかりそれがコアの戦略に反映するようになってほしいですし、そのために日本もしっかりした意見を出していただきたいと思います。
それからもう一つ、最後に外務省から御指摘があったハイレベル・リフレクション・グループを12名で作るということで、これはいわゆる有識者会合だと思いますけれど、どなたかは別として、やはり日本の意見をしっかりと言っていただける方がこの中に入っていただくように、是非早めに外務省、文科省、あるいは安西会長とも相談されて、そういう方向でユネスコに働き掛けることをやっていただければと思います。
それから最後に今の改革や中期戦略と離れますけれども、外務省から御指摘のあった文化の多様性条約の批准に向けて具体的な動きが出てきたことを非常に私はうれしく思います。この会で何度か私も指摘したことですが、追加的なことを申し上げれば、今申し上げましたSDG4の教育の中にSDGsとの関係でも文化の多様性が重要であるということが今度うたわれたわけです。
実は私自身の反省も含めて言えば、MDGsにも文化の多様性を入れたかったわけですけれど、残念ながら成功しませんでした。ただ、2001年にユネスコとして文化の多様性の世界宣言を作りました。今回、教育の中ではありますけれども、文化の多様性が入ってきているわけですね。そういうことも踏まえて、今の条約批准に向けて具体的な検討が行われ出したことは、非常にうれしく思います。
ただ、強いて申し上げると、今おっしゃったようなWTOは、2003年の総会にこの条約の採択が掛けられたときに、当時のブッシュ大統領にも怒られて、もちろん成功しないのは分かっていたので、もう1条ごとに投票に付したわけです。その時点で、今御指摘のような点は外務省としても検討して、日本は賛成してくれています。
それから更に言えば、ちょっと私の記憶ですが、条約交渉の過程で私も提唱して、多様性条約の中に、ほかの条約の権利義務に影響を与えないということは明示的に書いたわけです。ですから、WTOの特にサービス貿易の自由化の条約との関連をアメリカが問題にしていたわけですけれども、そこは明示的に書いてあるということをもう一回改めて申し上げたい。以上です。

【安西会長】
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
文化の多様性の問題は、ここで長く主張もされてきたことで、私も今、宮川審議官が言われた動きがあるというのは、大変結構なすばらしいことだと思います。
ほかによろしいでしょうか。
この件は、恐らく引き続き議論する機会はあるかと思います。先ほどのODA、経済協力とまた違った、ユネスコを通じた日本の貢献ということも含めて、いろいろな考え方、やり方があるかと思いますし、大変大事なことでございますので、是非、委員の皆様にはお考えいただければと存じます。
それでは、よろしければこの件はここまでにさせていただきます。貴重な御意見を頂きまして、誠にありがとうございました。今後ともこの件は引き続き議論を続けさせていただきます。
それでは、続きまして議題3、「日本ユネスコ国内委員会の構成について」に入らせていただきます。この議題は、国内委員会委員の人事に関する事項を審議するということでございまして、会議の議事は非公開とさせていただきます。委員及び事務局関係者以外の傍聴の方々並びに報道関係者の皆様には、恐縮でございますけれども御退席いただきますようにお願いいたします。

(傍聴者等退席)

-以下、非公開-

―― 了 ――

 

 

 

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