「万人のための教育の達成に向けた支援の推進について(建議)」

  平成14年7月30日、第111回日本ユネスコ国内委員会において、「万人のための教育の達成に向けた支援の推進について」の建議が採択されました。
  この建議は、「万人のための教育(Education for all)」の達成に対し、我が国が国際社会における地位にふさわしい貢献を行うことは、極めて重要であることに鑑み、「万人のための教育」達成に関し中心的な役割を果たしているユネスコに対して、積極的に必要な措置をとることを求めるものです。


平成14年7月30日

万人のための教育(EFA)の達成に向けた支援の推進について(建議)


日本ユネスコ国内委員会

  開発途上国には、未だ1億人以上の未就学児童、8億8千万人の非識字者が存在する。この現実を前に、ユネスコは、「万人のための教育(Education for All)」の達成を教育分野における最優先課題としている。
  このような現状を改善するため、ユネスコが主導し国際機関との共催により2000年4月にセネガルの首都ダカールで行われた「世界教育フォーラム」において「ダカール行動枠組み」が採択され、6つの具体的目標が設定された。これにより、国際社会では、開発途上国における教育分野での取り組みに対する支援を強化していこうとの世界的な潮流が生まれてきている。
  昨年10月には、世界教育フォーラムのフォローアップとして、第1回EFAハイレベル会合がパリのユネスコ本部で開催され、「ダカール行動枠組み」の目標達成のために、優先行動項目やパートナーシップの強化を謳ったコミュニケが採択されている。
  また、本年6月のカナナスキス・サミットにおいては、「万人のための教育」実現の決意を新たにした「G8教育タスクフォース報告書」、アフリカ開発支援のための「G8アフリカ行動計画」が発出された。我が国は、「成長のための基礎教育イニシアティブ(BEGIN)」を発表し、「万人のための教育」の達成にむけての支援を強調したところである。
  更に、文部科学省の国際教育協力懇談会では、ユネスコ等の国際機関との連携を図ることも有意義との議論がなされている。

  日本には「米百俵」の精神があり、教育を国づくりの基本と認めてきた。このことは、我が国がいち早く「万人のための教育」を実現することができた重要な要因と言うことができる。また、我が国は、戦後、世界で最初に民間のユネスコ運動が始まった国であり、ユネスコの精神は我が国の教育の中で育まれてきている。
  ユネスコが主導する「万人のための教育」の達成に対し、我が国がこれまで蓄積してきた経験や知見を生かしながら、国際社会における地位にふさわしい貢献を行うことは、極めて重要な課題である。

  よって、日本ユネスコ国内委員会は、「万人のための教育」の達成に関し中心的な役割を果たしているユネスコに対して政府が積極的に必要な措置をとることを要望し、ここに建議する。




1.   ダカール行動枠組みにおいて示されている非識字率の改善、初等教育の完全普及等の6つの目標達成のために、政府は、我が国に蓄積された経験・知見を生かしながら、人的貢献を含めユネスコに対し積極的な支援を行うべきである。
   
2.   万人のための教育の達成は、すべての国における共通かつ普遍の課題であることを考えると、万人のための教育達成のために我が国政府がユネスコに対して拠出している「万人のための教育信託基金」による事業対象は、アジア・太平洋地域での実績を生かして、世界各国に拡大することが可能である。
  このため、同基金の一層の充実を図るべきであり、政府は必要な予算措置を講ずるべきである。