初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第409号(令和3年3月26日)

[目次]

【大臣メッセージ】この春卒業を迎えた皆さんへ

【お知らせ】
(1) みなさんで「#教師のバトン」つなぎませんか?
(2) 「人権教育を取り巻く諸情勢について」の公表について
(3) 優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進にかかる文部科学大臣表彰活動が決定しました!
(4) 障害のある児童生徒の利用にも!社会教育施設の合理的配慮調査報告書

【課長コラム】小・中学校が連携した外国語教育を
〔初等中等教育局教育課程課長 滝波 泰〕

【連載企画】入門!「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)~答申が目指す改革の方向性って何?~

【大臣メッセージ】この春卒業を迎えた皆さんへ

この春学校を卒業された皆さんに、萩生田文部科学大臣からメッセージです。ご覧ください。
https://www.mext.go.jp/content/000103236.pdf(PDF:150KB) PDF

【お知らせ(1)】みなさんで「#教師のバトン」つなぎませんか?

〔文部科学省「#教師のバトン」 プロジェクト〕

 このたび、文部科学省では「#教師のバトン」プロジェクトを始動します!
 本プロジェクトは、学校での働き方改革による職場環境の改善やICTの効果的な活用、新しい教育実践など、学校現場で進行中の様々な改革事例やエピソードについて、現職の教師や保護者等の皆さんからTwitterやnoteのSNS等で投稿いただくことにより、全国の学校現場の取組や、日々の教育活動における教師の思いや前向きに取り組む姿を社会に広く知っていただくとともに、教職を目指す学生・社会人の方々の準備に役立てていただくことを目指しています。
 多様な学校で行われている創意工夫や、決して派手ではないけれどちょっと役立つイイ話、教師の日常などを、ぜひシェアしてみませんか。Twitterやnoteの公開アカウントをお持ちの方は、「#教師のバトン」をつけて投稿してください。公開アカウントをお持ちでない方は、特設フォームから投稿いただければ、 プロジェクト公式Twitter等のSNSで発信します。教師や教師を目指す方をはじめ、児童生徒や保護者等の皆さんからの投稿もプロジェクトチーム一同、心よりお待ちしております。

「#教師のバトン」プロジェクト文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/mext_01301.html
「#教師のバトン」プロジェクト特設フォームURL
https://pf.mext.go.jp/admission/page-20820.html

(お問合せ先)
文部科学省「#教師のバトン」プロジェクト
 E-mail:teachers-baton@mext.go.jp

【お知らせ(2)】「人権教育を取り巻く諸情勢について」の公表について

〔初等中等教育局児童生徒課〕

 学校で人権教育を実施する際には、その手引きである「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]」(平成20年3月)を活用し、様々な実践をしていただいているところです。

 第三次とりまとめが策定されてから10年以上が経過したことから、その策定以降の学校制度の改革や、国内外の人権教育をめぐる社会情勢の変化について、第三次とりまとめとの関係性を補足する資料を作成・公表しました。

 この補足資料には、北朝鮮当局による拉致問題等からハンセン病、そして新型コロナウイルス感染症における偏見・差別への対応に至るまで、第三次とりまとめ策定以降の人権教育を取り巻く諸情勢の解説のほか、新学習指導要領における主な関係記述の例や、人権教育の実践事例、個別的な人権課題に関する法律や関係文書、通知等を収録しています。

 教育委員会や学校現場で人権教育の内容を検討される際には、第三次とりまとめと併せてご活用ください。

○人権教育を取り巻く諸情勢について~人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]策定以降の補足資料(令和3年3月)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/128/report.htm

(参考)
○人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ](平成20年3月)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/024/report/08041404.htm

(お問合せ先)
初等中等教育局児童生徒課指導調査係
 電話:03-5253-4111(内線3291)
 E-mail:jidous@mext.go.jp

【お知らせ(3)】優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進にかかる文部科学大臣表彰活動が決定しました!

〔総合教育政策局地域学習推進課〕

 文部科学省では、適切な運動、調和のとれた食事、十分な休養・睡眠など、子供たちの健やかな成長のため、基本的な生活習慣の定着に向けた取組の一層の推進を図ることを目的に、標記表彰を実施しています。
 令和2年度も、子供の生活習慣づくりに関する活動のうちで、特色ある優れた実践を行った活動に対して表彰しました。表彰団体については、文部科学省ホームページから御参照ください。
URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/asagohan/1330932.htm

(お問合せ先)
総合教育政策局地域学習推進課家庭教育支援室
 電話:03-5253-4111(内線3467)
 E-mail:katei@mext.go.jp

【お知らせ(4)】障害のある児童生徒の利用にも!社会教育施設の合理的配慮調査報告書

〔総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課〕

 本報告書は、国公立の図書館・博物館(美術館を含む)・青少年教育施設・女性教育施設を障害のある方が利用する際の合理的配慮についての調査結果と、先進的な取組11事例を紹介しています。
 県立図書館による学校図書館支援や、博物館・美術館による学校利用に対応したプログラム、出前授業、活用実践集、教員研修受入れ等、障害のある児童生徒の学習を支援する学校教育関連の内容もありますので、ご活用ください。

※報告書は、ウェブサイトから御覧いただけます。
「社会教育施設において障害者が学習活動に参加する際に行う合理的配慮に関する調査」報告書
→ https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00929.html

(お問合せ先)
総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室
 電話:03-5253-4111(内線3613)
 E-mail: sst@mext.go.jp

【課長コラム】小・中学校が連携した外国語教育を

〔初等中等教育局教育課程課長 滝波 泰〕

 早いもので東京では桜が満開を迎えています。2020年度も間もなく終わろうとしていますが、振り返ればこの1年は、コロナ禍により多くの学校が長期の臨時休業を余儀なくされるなど、各学校現場において大変苦労の多いものとなりました。
 去る1月26日の中央教育審議会答申でも述べられていますが、コロナ禍の感染拡大防止のため、全国的に学校の臨時休業措置が取られたことにより、学校の担う役割として、学習機会と学力の保障、全人的な発達・成長の保障、身体的・精神的な健康の保障(安全・安心につながることのできる居場所・セーフティネット)といったことが、改めて再認識されたことも、大変重要な点であったと思います。
 学校、家庭、地域社会の全ての関係者の皆様に、改めてこの間の御尽力に対して心からの感謝を申し上げたいと思います。

 さて、新学習指導要領は2020年度から小学校で全面実施されていますが、2021年度から中学校でも全面実施を迎えます。
 今回の本欄では、中学校における新学習指導要領の全面実施に当たり、特に小・中学校が連携した外国語教育についてお話したいと思います。

○旧学習指導要領の成果と課題
 小学校では2020年度から新学習指導要領が全面実施されています。
 旧学習指導要領の下での外国語教育についての成果と課題は、次のように整理されます。
 成果としては、外国語活動を行った児童に高い学習意欲が見られること、中学校進学時に外国語を使うことへの積極性や音声への慣れ親しみが見られることなどが挙げられます。
 課題としては、学年や学校段階が上がるに連れて児童生徒の学習意欲に課題が見られること、小学校における学習内容や指導方法等を中学校で発展的に生かせていないこと、音声中心の学習から中学校の段階での文字を使用した学習への円滑な接続に課題が見られることなどが挙げられます。
 これらを踏まえ、小学校と中学校の外国語教育を一層円滑につなぐため、2017年に学習指導要領の改訂が行われました。

○小学校における外国語教育の指導体制の充実
 小学校では、専門性の高い専科教員等による指導と学級担任による指導を両輪と捉えています。どちらが担当する場合でも、中学校の学習内容を単に前倒しするのではなく、小学校の外国語教育の特性を生かした指導を行うことを目指しています。
 具体的には、外国語による言語活動を通した指導、音声中心の学習から段階的に読むこと・書くことにも慣れ親しむ、中学校への円滑な接続、国語や我が国の文化についても理解を深める、児童の不安を取り除き失敗を恐れない雰囲気づくり、各教科等の学習との関連付けなどがあります。
 そのためには、各校長のリーダーシップの下、一部の教員だけでなく、校内研修や適切な役割分担、そして中学校との連携などに取り組むことが重要です。

○中学校での指導上の留意点
 本年(2021年)4月から中学校でも新学習指導要領が全面実施されます。中学校では、小学校の学習の上に、対話的な活動を重視するとともに、実際のコミュニケーションの中で文法などの知識を活用しながら使えるようにしていく過程を重視します。既に移行期間において新学習指導要領を踏まえた授業が展開されていることと思いますが、全面実施に当たって御留意いただきたい点が二つあります。
 第1点は小学校の改訂により、移行措置に伴い小学校での学習量が年度ごとに異なるため、毎年度、学習状況の異なる生徒が入学してくる点です。小学校高学年に新たな教科が加わるのは学習指導要領の歴史の中で初めてのことです。子供たちの小学校での学習経験をうまく生かしなから、特に中学校第1学年の導入時期の学習の工夫が求められています。第2点は在学中に新課程に切り替わる生徒に対して、改訂で追加された内容等(文法事項、語彙数の増加など)を学習できるよう計画的に取り組むことです。中学校では、これらの点に留意しつつ、適切に指導を行うことが求められます。

○小・中学校の連携状況
 一方で、2019年度の英語教育実施状況調査によると、小学校と連携を行っていると回答した中学校は8割強に留まっており、小・中学校の連携の状況については、地域による差も大きいという課題があります。
 現状でも、小中連携を実施している中学校が多い地域ほど生徒の英語力が高く、言語活動を中心とした授業改善が行われているという傾向が見られます。また、小学校と情報交換を行っている中学校が多い地域では、中学校における言語活動の実施割合が大きくなるなど、小学校と中学校で情報共有することが、中学校における効果的な言語活動の実施につながり、生徒の英語力向上に寄与していることが考えられます。
 小学校で専科指導の体制を充実しても、小中連携を行わなければ中学生の英語力に効果が出にくいという傾向も見られ、小中連携を行ってこそ、小学校の専科指導等の効果が生きると考えられます。
 https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1415043.htm

○小中学校の円滑な接続と中学校における全面実施への対応
 文部科学省では、移行期間における教師用指導資料や、新学習指導要領対応教材、授業改善についての動画シリーズなどを積極的に作成・提供しています。また、2021年度は、小学校、中・高等学校それぞれの課題に対応したオンライン研修を全国の教員を対象に実施する予定です。コロナ禍においても、児童生徒の学びを止めないだけでなく、「先生方の学びも止めない」ことも目指して、情報発信や支援を進めてまいります。

▼YouTube文部科学省公式MEXTchannel 外国語教育はこう変わる!シリーズ
▼小中接続に関する指導資料
 https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1414459.htm
▼新学習指導要領対応 中学校外国語教材 Bridge
 https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1414459_00002.htm

 是非これらを御活用いただきながら、外国語教育について小中連携の取組や中学校における円滑な全面実施を進めていただければと思います。
 併せて、各学校段階を通じて、外国語教育の授業を「本物のコミュニケーションの場」とすることが大切です。折しもGIGAスクール構想により各学校におけるICT環境整備が進む中、教師ならではの指導力とICTの効果的な活用などを適切に組み合わせることで、児童生徒の英語力の向上につながっていくことを願っています。

【連載企画】入門!「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)~答申が目指す改革の方向性って何?~

「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」(令和3年1月26日)より、今回は答申が目指す改革の方向性について紹介します。

 「令和の日本型学校教育」の実現に向けては、これまでの日本型学校教育が果たしてきた、(1)学習機会と学力の保障、(2)社会の形成者としての全人的な発達・成長の保障、(3)安全・安心な居場所・セーフティネットとしての身体的・精神的な健康の保障といった、学校教育の本質的な役割を重視・継承していくことが必要であるとされました。
 改革を進めるに当たっては、学校現場が力を存分に発揮できるよう、学校や教師がすべき業務・役割・指導の範囲・内容・量を、精選・縮減・重点化することや、学校と地域住民等とが連携・協働し、学校と地域がパートナーとして一体となって子供たちの成長を支えていくことが必要であることが示されました。
 また、履修主義か修得主義か、遠隔・オンラインか対面・オフラインかといった「二項対立」の陥穽(かんせい)に陥らず、教育の質の向上のために、発達の段階や学習場面等により、どちらの良さも適切に組み合わせて生かしていくという考え方に立つべきであるとされています。

 以上を踏まえ、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学び」の実現に向けて、以下6つの改革の方向性が示されました。
 それぞれの項目の詳細については、ぜひ答申の本文をお読みいただければと思います。

(1) 学校教育の質と多様性、包摂性を高め、教育の機会均等を実現する
(2) 連携・分担による学校マネジメントを実現する
(3) これまでの実践とICTとの最適な組合せを実現する
(4) 履修主義・修得主義等を適切に組み合わせる
(5) 感染症や災害の発生等を乗り越えて学びを保障する
(6) 社会構造の変化の中で、持続的で魅力ある学校教育を実現する

 これらの改革の方向性を踏まえて、各論において今後進めるべき具体的な取組が挙げられております。
 次回は、「令和の日本型学校教育」の構築に向けたICTの活用について御紹介します。

<参考>
・「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申):総論第4章(本文23~30P、概要4P)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm

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