障害のある子供への教育を担当する課長に聞きました。
もし、みなさんの学校に、西宮硝子さんのような障害のある子がいたら?ここでは、文部科学省が進める取組について紹介させていただきます。
障害のある子が学校に入るとどうなりますか?
障害のある子が学校に入ると、特別支援教育を受けることができます。
特別支援教育ってなんですか
特別支援教育は、障害のある子供が自立したり社会に参加するために必要な力を伸ばすために行われる教育のことをいいます。
全国に特別支援教育を受けている子供が何人いるか知っていますか?
10万人くらいですか?
惜しいです。平成27年度は、約36万2000人でした。全児童生徒が1009万人なので、100人のうち3.6人が特別支援教育を受けていることになりますね。映画「聲の形」に出てきた学校以外にも、日本全国、多くの学校で行われています。
現在、世界中の多くの国では、人々がお互いに認め合い、障害のある人と無い人が共に学ぶしくみ(=インクルーシブ教育システム)づくりが進められています。これは、これからの特別支援教育を考えるうえでとても重要な考え方です。
なるほど。じゃあ小学生の時に西宮さんが通っていた「きこえの教室」も特別支援教育ですか
はい。おそらく、ほとんどの授業を通常のクラスで受けながら、週に数時間だけ特別の教室で行う「通級による指導」を受けていたと思います。
作品の中には出てきませんが、「きこえの教室」では、補聴器などを活用しながら歌や楽器の演奏を学ぶことや、言語の概念を身につけるための指導などが行われていたのではと思います。
ちなみに、このほかには、通常のクラスとは別に設置されている、障害の種類ごとの少人数のクラスである「特別支援学級」がある学校もあります。
高校生の時に西宮さんは、ろう学校に通っていました。これはどのような学校ですか。
特別支援学校(の高等部)に通学していたのだと思います。特別支援学校は、いろいろな障害の種類を踏まえた、より専門的な教育が行われています。
補足ですが、西宮さんが小学生の時に受けていた「きこえの教室」などに代表される、通級による指導については、平成30年度から新たに高等学校でも行えるように制度化されることになりました。
これからは、高校でも西宮さんと同じクラスになることができる、ということですね。
その可能性もあります。文部科学省では平成30年度からの実施に向けて、準備を進めているところです。
ほかには、どのような障害のある子供がいますか
障害の種類や程度はさまざまです。例えば、聴覚障害や肢体不自由など特別支援学校で教育が行われている障害の種類に加えて、通級による指導や特別支援学級では、発達障害(例:読み書きや計算が苦手、気が散りやすくじっとしていられない、など)言語障害の子供なども対象となっています。
学校の中に障害のある子がいたら、僕たちは、何をすればいいですか
障害のある子供と、障害のない子供が交流しながら共に学ぶことは、障害のある子供の社会性や豊かな人間性を育て、障害のない子供が、障害についての正しい理解をするために大事だと考えています。
映画「聲の形」で描かれていたように、お互いが歩み寄ることが大切です。まずは、素直に自分の気持ちを伝えてみてください。
先生にはどのような配慮が求められていますか
学校などが障害者を差別することを禁止した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が今年の4月からスタートしました。
この法律を受けて、学校の先生は、障害者から相談などを受けた際には、負担が重くなりすぎない範囲で、配慮することが求められています。
もっと詳しく知りたいです!
文部科学省では、特別支援教育の推進に関する取組をまとめたサイトを設けています。
よろしければこちらをご覧下さい。