空き教室を活用した、学校と地域をつなぐ拠点づくりについて
相談者
支援学校の地域連携推進部相談内容
現在、本校では学校と地域をつなぐ拠点づくりについて模索しており、具体的な運用方法についてご助言をいただきたくご連絡いたしました。
〇背景と現状 数年前に校区内の学校再編(近隣への支援学校新設・分離等)があり、本校の児童生徒
数が大幅に減少しました。これに伴い発生した余裕教室を活用し、学校と地域をつなぐ複合的なエリア
の整備に取り組んでおります。
このエリアは主に以下の4つの機能(教室)で構成しています。
・ギャラリー機能:児童生徒や地域の方の作品を展示するスペース
・図書館機能:地域にも開放可能なユニバーサルデザインの図書室
・創作・工作機能:地域から出る廃材等を使い工作を楽しめるスペース
・交流・活動機能:地域のサークル活動等に場所を提供し、昼休み等に児童生徒がその様子を自由に
見学・交流できるスペース
〇ご相談したい点 上記のギャラリー、図書館、創作スペースについては、助成金などを活用しながら順
調に整備・運用が進んでおります。
しかし、4つ目の「交流・活動機能」を持つスペースについては、現在うまく活用が進んでいない状況で
す。当初の計画では、地域の方々が日常的に活動を行い、そこに子供たちが自然に関わるような空間
を目指しておりましたが、現状では想定通りの利用や交流が生まれておりません。
つきましては、このような学校内のオープンスペースにおいて、地域の方の利用を促し、子供たちとの接
点を生み出すためにはどのような仕掛けや運営上の工夫が必要か、ご助言をいただけないでしょうか。
相談の要点
ポイント1 学校再編に伴い生じた余裕教室を活用した地域連携拠点の整備ポイント2 地域住民の利用促進と児童生徒との自然な交流を生むための具体的な運営上の工夫
回答内容
野中先生
1.利用時間とターゲット設定の課題について直感的な意見となりますが、もし利用時間が「昼休みのわずかな時間(30分程度)」に限られているのであれば、その点が地域の方にとって一番のハードルになっているように思われます。立地条件や、「運転免許を返納された高齢者」などをメインターゲットとしている場合、移動手段の制約と利用可能時間の短さが重なり、利用者が限定されてしまうのは必然と言えるかもしれません。
2. 情報発信のあり方についてSNS等での発信状況を拝見しましたが、各機能(ギャラリー・図書館・工作・交流室)の
情報が断片的になっている印象を受けました。
個別の部屋や機能ごとの紹介にとどまらず、「地域連携の取り組み全体」として情報を集約・発信していくと、より活動の意義が伝わりやすくなるのではないでしょうか。また、高齢者を対象とするならば、SNSだけでなく、チラシやニュースレターの配布、およびそのPDF版の公開など、アナログとデジタルを組み合わせた周知が有効だと考えます。
3. 各機能の有機的な連携について学校と地域をつなぐ拠点としての機能を高めるためには、4つの機能をバラバラに考えるのではなく、有機的に関連させることが重要です。
活用が進んでいない「交流室」については、単独の活動場所として定義するのではなく、他の3つの機能(ギャラリー
・図書館・工作)を活性化させるための「ハブ(結節点)」として捉え直してはいかがでしょうか。
・多目的利用:休憩やおしゃべりが自由にできるオープンスペースとする。
・バックヤード機能:イベント時の準備室や、スタッフの交流の場として活用する。

伊藤先生
利用可能な時間が昼休み等の短時間に限定されている点が、運用の難点だと感じます。また、サークル活動に変化がないのはある意味当然で、見学するだけの関わり方では興味をもつのに限界があるのではないでしょうか。例えば、課題となっている交流スペースを、地域サークルの活動場所(部室のようなイメージ)として貸し出す形式にし、児童のクラブ活動や図工などの授業に参加していっしょに活動してもらうようにすれば、利用率は高まるかもしれません。
また、部室のようになれば活動していない時にも児童が様子を目にすることができるので、間接的とはいえ接触も増える気がします。
具体的な方法や、学校までの移動手段は考慮していませんが、とりあえず思いついたことを送ります。

倉斗先生
伊藤先生が仰るように、利用時間が30分と短いことが一番の課題だと思います。車ではないとすると、散歩がてら立ち寄り、サロンのように休憩しながら顔見知りの知り合いと少しお話ができる、というような要素が生まれにくく、目指している「自然な交流」はできないのではないかと思いました。また、せっかく行っても30分しかいられないとなると、かなり強い目的がないと行かないでしょう。
地域の方も、児童も、その場所に「交流」だけを目的に通うとは想定しにくいので、それぞれにそこに行くための目的が用意され、それをしにその場所に行くことで,副産物的に生まれる「交流」が「自然な交流」となると考えます。
恐らくそういった点は既に検討されているのではないかと推察いたしますので、それを出来なくしている要因(利用時間を限定しなくてはいけない理由)などを取り除けるのかどうか、を改めて考えられてみてはどうでしょうか。
また、最近は確認していませんが、以前、新潟県の聖籠中学校には、地域の方が気軽に立ち寄れるスペースがあり、生徒との自然な交流が生まれていたと記憶しています。