キャストインタビュー

濱田岳さん
濱田岳さん
宇野大介 役
「どこに行っても自分は自分だと思いますので、自信を持って次のステップに進んでほしいですね。」

これまでたくさんの作品に出演されてきた中で、今回の「HERO」について昨年のドラマシーズンから映画に至るまで、濱田さんにとってどのような位置付けで関わっていらっしゃいましたか。

濱田 「HERO」がまたやるというファンとしての喜びと、中学1年生の頃見ていたドラマに自分が出演するなんて1ミリも想像していない出来事だったので、今振り返るとドラマから映画まで夢のような出来事だったなと素直に思いますね。ドラマの最初の頃は、テレビで見ていた名物事務官の末次さんとコンビを組むというプレッシャーもありましたし、また城西支部のセット、そして周りの出演者を見ると、東京生まれですけど、田舎から上京したときってこういう気分なんだろうなという感覚がありました。豪華メンバーとロケ地巡りをしているような(笑)。ただ、台詞を覚えて演技をするということは、どの現場でも変わらないので、段々それが日常になっていきました。

いろいろな作品への出演を重ねるごとに肥やしになって次の演技に生かされているかと思いますが、「HERO」への出演は濱田さんにとってどのようなタイミングでの出来事だったのですか。

濱田 僕にとってチャレンジの年でしたね。大河ドラマに本格的に取り組んだ初めての年でもあり、その最中に、「HERO」の出演のお話が来て驚きました。どんなタイミングでも「HERO」って言われたら、自信がなくても「頑張らせてください」とお願いしたい作品ではありますが、特にその年は勇気を持っていろいろなことにチャレンジした気がしますね。

演技されるときは監督や脚本家のオーダーに応えようという気持ちと、自分らしさを魅せていくという気持ちの両方があると思いますが、今回の「HERO」の出演に際して特に意識して臨まれたことはありますか。

インタビュー画像1

濱田 「HERO」のファンとして素敵だなと思うところは、法を扱う作品でありながら、六法全書に書かれている言葉の羅列でお客さんを納得させるのではなく、日常の会話の中で難しい事件や被害者の心情について語り合うといった日常で魅せるところだと思います。その日常感という「HERO」らしさに関しては、あいつらが入ってきたから「HERO」らしさが減ったなと言われたくなかったですし、かといって先輩方の二番煎じと言われるのは悔しいですし、そういう意味では「自分らしさ」を出そうという思いは新メンバー全員にあったと思います。ついていこうというレベルではあそこには入れない感じがどこかにあって、最年少だからという甘えは持っちゃいけないと考えていました。末次さんという濃いキャラクターに高校球児のように若者らしく全力でぶつかっていく感覚でしたね。

幼い頃から役者をされていて、ここ数年特に様々な作品に出演されていらっしゃいますが、役者としてのプロ意識は最初からありましたか。どこかで意識が芽生えたような感覚はありますか。

濱田 今、27歳になってようやく職業としての意識が芽生えてきた感じがします。ただ、自分が何かをやってその対価を得るという感覚はまだ薄いと思います。9歳のときにスカウトしてもらって、初めて受けたオーディションに受かってその流れでここまで来ているので、9歳のときの感覚がいまだに続いているというか、自分がやるべきことをやらないと、仲間に入れてもらえないという感覚がいまだにあるんですよね。今日までお仕事をさせていただいて、嫌な人に1回も会ったことはないんですよ。トップに居続ける人って皆さん紳士で人として素敵だなと憧れを感じます。周りからそのように思われることが、この仕事を続けていく上で大事なことなんじゃないかなと思います。

そうした憧れや尊敬を抱く中で、濱田さんに影響を与えている俳優さんや女優さんはいらっしゃいますか。

濱田 皆さん絶対に真似できないものを持っていて、ただ逆に、僕も誰にも真似できないものを持っていると思います。自分の気の弱さは痛いほど分かっているので、そういう憧れとか誰かって絞ってしまうと、甘えてその人の真似をしてしまうと思うんです。自分のオリジナルが怖いから、二番煎じでも良いから評価されることをしようと、きっと流されてしまうと思うんです。自分に厳しくするためにもあえてそういう人を置かないようにしています。ただどの方も一緒に出演させていただく中で素敵だなと感じるところはあります。

役者の仕事は濱田さんにとって天職と感じられますか。あるいは様々な役を演じる中でこういう仕事も良かったなと感じる仕事はありますか。

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濱田 様々な役を演じられるのはこの仕事の魅力ですよね。僕が検事の気分になれるというのはこの仕事ならではですし、毎回貴重な職業体験をさせていただいているような気分です。キッザニアにいるような感じがします(笑)。

最後に、これからの進路を考えている高校生にメッセージをお願いできますでしょうか。

濱田 この仕事で必要なことは「自分は自分」と考えることだと思います。時には僕は役の中で人を殺さなければいけなかったり、悪い犯罪をしないといけなかったり、かといって別の作品ではとんでもないひょうきんな男を演じないといけないときもあったり、街を歩けば「ちょっとおもしろおかしい奴だよ」って言われたり、今は「金太郎だよ」って言われますし(笑)。「それは本当の僕じゃない」と寂しい気持ちになることが正直あるんですよね。ただ、そんなときに、どんな人の前でも堂々と自分の名前が言えなくなったときは、きっと心が折れて辞めるときだなって何となく想像しています。人からとやかく言われることって、この仕事でなくてもごまんと日常にあると思うんです。どこに行っても自分は自分だと思うので、是非今日まで大きくなったことを自信に次のステップに進んでほしいですね。結局、最後の最後は自分しか頼れるところはないと思いますし、多分みんなが思っているより自分は大分素敵な人だと思うので、それは自信を持っていただいて良いのではないでしょうか。