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資料1−1


総合施設(幼児教育)と小学校との連携・接続について


  今回は、総合施設に期待される機能としての小学校との連携・接続のあり方について検討することが主な課題であるが、そもそもの前提として、幼稚園及び保育所等も含めた小学校との連携・接続について検討することが必要である。
 したがって、今回は、その総論を議論するものとし、個別施設に着目した具体の検討は、後に譲るものとする。


1.背景

(1)   中教審文部科学大臣諮問理由説明(平成15年5月15日)
 中教審(「今後の初等中等教育改革の推進方策について」)において、義務教育に接続するものとして幼児教育の在り方について検討するよう依頼。

 
2.義務教育など学校教育に係る諸制度の在り方について
 …また、関連して、義務教育に接続するものとして幼児教育の在り方についても御検討いただきたいと考えております。

(2)   過去の審議会等における幼小連携に係る指摘事項(別紙
 これまで、中央教育審議会、教育課程審議会、文部科学省の調査研究協力者会議等において、繰り返し、幼稚園と小学校の連携・接続について指摘。


2.現状

(1)   法令上の規定(別紙
1幼稚園教育要領等

 幼稚園教育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることから、平成10年の幼稚園教育要領の改訂の際に、小学校との連携について記述。
 また、小学校学習指導要領、保育所保育指針においても、記述がある。

2幼稚園指導要録の送付
 小学校では、幼稚園での指導の経過を踏まえた上で、児童の指導に役立てることが重要であるため、学校教育法施行規則において、園長は、園児の指導要録の作成とその抄本又は写しを幼児の進学先の校長に送付する義務を課している。 ※保育所には、同様の制度はない。

(2) 幼小連携・接続に係る国及び地方の取組
1教育課程(別紙

 文部科学省による研究開発学校(幼稚園及び小学校における教育の連携を深める教育課程の研究開発)や調査研究(「就学前教育と小学校の連携に関する総合的調査研究」等)において、幼小の一貫性のある教育課程の編成や合同活動を実施。

2教員免許
ア)幼稚園教諭と小学校教諭それぞれの免許併有率
幼稚園教諭 8.4%(私立教諭4.7%、公立教諭21.8%)
小学校教諭 21.2%
 
(出典)平成13年度学校教員統計調査報告書より

イ)教育職員免許法改正(平成14年5月)
 隣接校種の免許併有を促進するため、普通免許状を有するものが、3年の教職経験により、要取得単位数を軽減して、隣接校種の普通免許状を取得できることとした。

ウ)教育職員免許法施行規則改正(平成13年3月)
 幼稚園と小学校間の教員の人事交流や相互理解を進める観点から、幼稚園と小学校の教員免許の併有の機会を拡大するため、幼稚園と小学校の教員免許の取得に係る履修科目の取扱いの弾力化を図った。

3広島県教育委員会における幼稚園に係る調査結果(参考資料)

ア) 積極的に幼小連携を行っている園
公立幼稚園 約50%、私立幼稚園 約18%
イ) 積極的に行っている幼小連携の内容
日常的活動や授業、行事等の交流、幼小教員の合同研修会・協議会の開催、幼小連絡協議会など関係機関との連携体制との回答が上位。
公立幼稚園に比べて、(例えば小学校と距離的に近いなどの)条件面が整っていないにもかかわらず、私立幼稚園は、関係機関との連携体制が整っている。
ウ) 幼小連携の課題
公立・私立に大きな違いはなく、「小学校側に積極性がない」、「具体的な取組がわからない」、「時間的な余裕がない」との回答が上位。


3.基本的考え方

子どもの発達は連続しており、小学校への移行を滑らかにする必要性については、これまでにも繰り返し各種答申等において指摘。

これらを受けて、例えば、国立大学附属幼稚園・小学校や一部の幼稚園・小学校・教育委員会等においては、以下のような取組が行われている。

幼小の一貫性を見通した教育課程の編成、年間指導計画の作成  
幼小教員によるティームティーチングの実施  
幼児・児童の合同活動  
幼小教員による合同研修、教育課程や指導方法の理解  
日常的な情報交換の場の設定

しかしながら、全国的には、いまだ十分に進んでいるとはいえない状況と考える。
  したがって、以下のような理由により、今般、小学校との連携・接続のあるべき姿について、具体的方策を提唱すべきではないか。

 
今回の中教審の大臣諮問理由説明において、改めて明示的に、幼児教育と義務教育との接続について検討依頼があったこと
本部会において、近年の幼児の育ちの変化(特に5歳児)への対応として、基本的生活習慣、集団生活の中で人とかかわる力、学習意欲などをはじめ小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながる教育を一層推進すべきという意見があったこと
小学校の低学年において、生活科が導入され、幼稚園教育との連続性を図ってきた。幼児教育においても、これまでの教育課程に係る取組を参考にして、集団生活を通じ、学び合う関係を築き、小学校教育との接続を考えることが可能であること
すべての地域の子どもを対象とする総合施設の創設を契機とすること


4.具体的検討

  幼児教育と小学校との連携を一層進めるとともに、接続を明確化するため、例えば、以下のような取組を行うことについてどのように考えるか。

(1)   協同的な活動の実施
 幼小の連携・接続に関する研究開発学校や調査研究においては、幼稚園における協同的な活動の経験が小学校以降の学習や生活において、物事に対する関心や学習意欲を深め、確かな学力の形成・集団活動の活性化などにつながるとされていることから、

  各施設の判断により、主に5歳児を対象として、挑戦的な課題等の共通の目的を設定し、幼児同士が考えを出し、協力工夫して取り組むプロジェクト型の活動を「協同的な学び(活動)」として、実施を奨励すべきではないか。

(2)   幼小連携推進クラス(仮称)の設置
 小学校への滑らかな接続を対外的に明確化し、一層推進するため、市町村教育委員会に地域の小学校との連携・接続に係る必要な措置(教育課程編成への協力、合同活動の実施、幼小免許併有者の優先配置、人事交流の促進等)を講ずることを促す観点から、

 主に5歳児を対象として、「協同的な学び」による活動や生活科、道徳教育、特別活動等における小学校との合同活動や交流を推進する学級を「幼小連携推進クラス(仮称)」として位置づけ、対外的に幼小連携・接続の必要性について示すべきではないか。
 ※  「幼小連携推進クラス(仮称)」における教育活動は、幼稚園教育要領の一環として整理。

(3)   その他考えられる方策
1   教職員交流の促進
幼小の相互体験のための短期派遣の推進、計画的な人事交流の促進
幼稚園教諭と小学校教諭の免許併有の促進(例えば、都道府県教育委員会と市町村教育委員会等がお互いに協力して、免許の併有を進めるための目標を設定する、認定講習の機会を提供する 等)

 
2   市町村の役割の明確化
 市町村に、地域の小学校と総合施設、公・私立の幼稚園及び保育所等との円滑な連携・接続を図る役割があることを明確化する。


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