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はじめに


1.調査研究の背景

   国立大学等施設は、独創的・先端的な学術研究や創造性豊かな人材育成のための活動拠点であり、科学技術創造立国を目指す我が国にとって重要な基盤である。現在、国立大学(短期大学、高等専門学校、大学共同利用機関を含む。以下同じ。)は2,400万平方メートルを越える多くの施設を保有しているが、これらのうち、現行耐震基準前(昭和56年以前)に建設された建物が約1,040万平方メートル存在しているなど老朽化や機能の劣化が進行している。このような国立大学施設の状況を受け、文部科学省は平成13年4月「国立大学等施設緊急整備5か年計画」(以下「緊急整備5か年計画」という。)を策定し、緊急に整備が必要な施設について重点的・計画的に整備を行うとともに施設の効率的・弾力的利用を目指すシステム改革を行っている。
   一方、国立大学に関しては、大学改革の一環として、平成16年4月を目途に法人化すべく関連法令の制定等の作業が進められている。
   このような国立大学の施設の現状や法人化という状況を踏まえ、本調査研究においては今後の国立大学施設の整備充実を図るための施設整備、管理運営等について審議を行い、本報告書を取りまとめた。


2.調査研究の概要
   本調査研究では、まず、法人化をはじめとする大学改革の進展に伴い、今後国立大学は一層の個性化や多様化が進むであろうことから、教育、研究、地域との共生等大学に求められる活動ごとに、施設の現状と課題を踏まえた上で、今後の在り方を示した。
(第1章   今後の国立大学施設の在るべき姿)

   また、国は国立大学法人に対して大学全体の施設整備方針を示すことが求められており※1、国と国立大学法人の役割を明示した上で、国立大学法人の中期計画期間中に国として重点的、計画的に行うべき施設整備について明らかにした。さらに、施設マネジメント等の国立大学法人に求められる施設に関する取組について示した。
(第2章   施設の整備、管理運営に関する基本方針)

   最後に、今後の施設の充実のためには、従前の方策に加えて新たな方策を検討することも重要であり、国や大学において検討すべきいくつかの新たな方策について提示した。
(第3章   施設の充実のための新たな方策)

   なお、本協力者会議の下に「施設の管理運営に関する専門部会」を設置し、国立大学の法人化後における施設マネジメントの推進のための目標となる施設水準と具体的方策について、専門的な観点から調査研究を行い、報告を取りまとめることとしている。


3.国と大学に求めるもの
   本調査研究を踏まえ、国においては、国立大学法人が、健全かつ十分な施設環境の下、教育研究を行い得るよう、大学全体の施設整備方針を示し、実行するとともに、大学がより良い施設整備、管理運営を行い得るような諸制度等の構築を行うことを期待する。
   また、各大学においては、施設マネジメントとして、施設整備、既存施設の活用、運営管理を一体的に行うとともに、施設は、長期間にわたる大学の財産であることを十分認識して整備、運営を行うことを期待する。





用語説明
※1    国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議の報告書『新しい「国立大学法人」像について』(平成14年3月26日)において、法人化後の施設整備の仕組みに関し、「大学全体の施設整備計画の策定及び実施」が国の業務として示されている。


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