大学は高等教育機関として次代を担う豊かな人材を育成・確保する重要な役割を担っている。このためには教育機能の充実を図る必要があることから、教育の受け手である学生の視点を重視し、今後ますます高度化・多様化していく教育内容・方法に対応した施設が求められる。 |
|
科学技術創造立国を目指す我が国にとって、大学は、研究拠点として、また、研究者等の養成機関として重要な役割を担っている。研究機能の充実を図るために必要となる施設については、これまで「緊急整備5か年計画」により着実に整備を進めているところであるが、今後とも競争的研究資金やプロジェクト研究の増加や研究の学際化、複合化等への対応が求められる。 |
|
産学連携研究や研究成果の移転は、法人化後、一層活発に行われることが期待されている分野である。大学が産業界等と連携して研究等を行うことは、大学の社会貢献のみならず大学の学術研究の活性化の観点からも重要なことである。これまでも産学連携を推進する諸制度の整備とともに、地域共同研究センター等の設置※5が図られており、以来、国立大学の企業等との共同研究は、増加の一途をたどっている※6。今後、産業界、地域の様々な要請の増加や法人化による産学連携に係る諸制限の大幅な緩和など、大学と企業等との連携が一層進展することが予想されることから、これらの活動を支える施設について、多様な形態による施設の整備に取り組む必要がある。 |
|
キャンパス環境の充実は、個性豊かな大学づくりと国際競争力のある教育研究の展開を図る上で大きな役割を担っている。これまで、大学キャンパスでは組織の量的拡充等に対応して教育研究施設の整備が進められているが、今後は、建物や屋外環境を含めた調和のとれた魅力あるキャンパスを創る取組がより一層求められる。 |
|
大学は文化や情報の発信基地としての役割を果たすなど、地理的には地域における、また、機能的には社会における中核的施設として重要な役割を果たしている。今後、大学は、地域のコミュニティや社会の一員としての役割がより一層求められており、施設に関しても地域・社会との幅広い協力関係が求められる。 |
|
大学は、国際的な教育研究の交流拠点であり、また、国際的に通用する人材育成の場としても重要である。留学生の受入れについては「留学生受入れ10万人計画」※9に基づき進められ、平成14年度においてほぼ達成されつつある※10。現在まで同計画に対応して宿舎の整備※11が進められてきたが、今後、留学生のみならず研究者の受入れや日本人学生の国際感覚を醸成することを考慮した施設が求められる。 |
|
※2 | 参考8「国立大学における学生定員の推移」参照 |
※3 | 参考9「留学生数の推移」参照 |
※4 | 参考11「競争的資金による雇用者数他」参照 |
※5 | 近年、産学連携を推進するため、国立大学に地域共同研究センター、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、インキュベーション施設を、高等専門学校に地域共同テクノセンターを整備している。(参考12「産学連携の推進に関する国立大学等の施設整備」参照) |
※6 | 参考13「企業との共同研究の実施件数等」参照 |
※7 | 参考14「地方財政再建促進特別措置法施行令の改正について」参照 |
※8 | 福利施設等を整備する際に、利用者の利便性、施設の効率的運営を考慮して、既存施設の増築や複合施設として計画することが考えられる。 |
※9 | 昭和58年及び59年に取りまとめられた有識者による二つの提言等に基づき、文部省(当時)において、21世紀初頭における10万人の留学生受入れを目途に、体系的な留学生受入れのための総合的に推進している施策。 |
※10 | 参考9「留学生数の推移」参照 |
※11 | 参考10「国立大学における留学生宿舎の整備状況」参照 |