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文化審議会

2002/12/02 議事録
文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会(第6回)議事要旨

文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会(第6回)議事要旨


1  日  時 平成14年12月2日(月)10時30分〜13時

場  所 文部科学省分館201,202特別会議室

出席者
(委員)
紋谷主査、今川委員、入江委員、上原委員、大森委員、加藤委員、金原委員、久保田委員、児玉委員、佐々木委員、寺島委員、土肥委員、生野委員、橋本委員、松田委員
(文化庁)
銭谷文化庁次長、岡本著作権課長、尾崎著作物流通推進室長、その他の担当官

配付資料

      第6回議事次第
資料1     契約・流通小委員会委員名簿(平成14年11月20日現在)
資料2     契約・流通小委員会(第5回)議事要旨
資料3     「自由利用マーク(仮称)」に係る検討結果の報告
資料4     「自由利用マーク(仮称)」について
資料5     「自由利用マーク(仮称)」に係る法的考察
資料6     文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会審議経過概要(案)について

5   概  要
(1) 「自由利用マーク(仮称)」について、事務局から説明が行われ、以下の質疑応答が行われた。
  (以下、委員:○、事務局:△)

○:  著作者は自分の創作した著作物をタダで勝手に使っていいとは考えない。「自由利用マーク」はどのような人が使うのか。

○:  プロの人が「自由利用マーク」を使うとは思っていない。基本的にはアマチュアが対象であるが、数千万人は使い得ると思う。例えば、教育の世界では、学校の先生が自分で作ったコンテンツを自由に使ってもらってもかまわないと思っているもののどうすればよいか分からない場合、官公庁が学校で使ってもらうために作りながら権利処理が不明確で使えない場合等がかなりある。
  また、自分が作ったことを示してもらえればタダでいいから是非使ってもらいたいがどうすればいいかとのアマチュアの人からの問い合わせも多くあり、このようなマークの需要が高まっていると思う。勿論このマークは権利者の意思表示であり、使うことを強制しているものではない。

○:  学生等のアマチュア的な者がマークを利用することは想定できる。

○:  安心して使用できることが重要であり、そのためには、マークの偽造を防ぐ技術(電子透かし等)、偽造されたものをチェックする技術を活用することが考えられる。

○:  このマークは文化庁のホームページから誰でもダウンロードできるようにすることを考えており、偽造する必要はない。問題となるのは、「なりすまし」である。

○:  信用力のあるマークが普及するに従って、愉快犯(なりすまし者)が勝手にマークを付した場合、果たして後からどれほど責任を追及できるのかが問題と考えている。

○:  このマークを作るに当たり、「商標」や「不正競争防止」等についてはどう考えているのか。

○:  マークを作成する段階で、弁理士等と相談して商標登録をすることを考えている。

○:  何百万人もの人が利用するということを考えれば、運用上、登録又は透かし技術を用いてマークを管理することは難しいと考える。

○:  「プロ」と「アマチュア」の境界は必ずしも明確ではなく、アマチュアであっても名誉・声望を守らなければいけない場合もある。著作者名を付すことをマナーとする案であるが、義務としなかった理由は何か。

○:  著作物の利用形態においては著作者名を付すことが困難な場合もあり、表示を義務付けるとすれば、権利制限規定における「出所の明示」的なものが考えられるが、一般の人が判別しにくくなり、トラブルが生じる恐れがあることから、マナーとして啓発するに留めている。

○:  なりすまし者による侵害行為は確かに刑事民事上の責任を追及はできるといっても、特にネット上でなりすましがあったとき、マークの撤回が困難ということであれば権利侵害が多大となり、原状回復することは絶望的になることが予想される。このような懸念があるため、スタート時は「完全自由利用マーク」の導入は見送った方がいいと考える。

○:  このマークの運用上、一番の問題になるのは「なりすまし」であり、それをどうするのかを検討していただきたい。手段としては、1身元確認をしたものを登録をする、2電子透かし入りのマークによる管理、3マークの種類の部分的な運用、4利用者を限定したクローズドな世界での実験的運用等、様々考えられる。

○:  マークを利用する際の権利者又は利用者双方の注意事項、ルールについては、プロの世界においてもライセンス契約について十分に理解されているわけではないことを考えると、果たして一般の人たちがどれほど理解し遵守できるか疑問である。トラブルが生じた場合、民対民の話になることを考えると、例えば実際にニーズの大きい教育等に限定し、実験的にクローズドな世界において始めることが望ましいと考える。

○:  「なりすまし」の問題は何もマークを付与することによって生じる現象ではない。現状においても「なりすまし」はあるので、そのことに対し目くじらを立てる必要はない。「なりすまし」を防ぐ手立てとしては、現実の著作権紛争の争点から考えてみると、「出所の明示」、誰の著作物なのかを明記することで、かなりの部分は解決できるのではないかと考えられる。

○:  文化庁が策定したことにより信用力を得たマークを用いて「なりすまし」を行うケースと、単純に何も後ろ盾がない状態での「なりすまし」を行うケースとは社会的なインパクトが全く違う。ネット社会の混乱を助長することになると却ってマイナスになるので、マークの導入は段階的にするべきで、特に「完全自由利用マーク」の導入については慎重な対応が望まれる。

○:  マークの導入はまず、学校教育の範囲から始めるのがいいのではないか。

○:  「自由利用マーク」により自由に著作物が利用されることが不安であるため、マークがある程度管理できれば、安全性が確保できると思われる。

○:  マークの内容は「完全自由利用」「そのまま無料」「障害者」「学校教育」の4つに限定することなく、例えば営利・非営利の区分け、学校についても小学校・大学という区分け、また、使用期限についても「何年以後」という区分け等、フレキシブルに考えていければよいと思われる。

○:  将来的にはマークの内容等の分類を細かく設定して段階的に運用することも考えているが、当初はシンプルにしたいと考えている。マークを管理することも誰が何時、何処にマークにより利用したかは第三者が容易に判別することは困難なため、運用上難しく感じる。

○:  民間企業の中には、登録認証等を行っている企業もあり、そういったことも参考にして安全性を確保したらどうか。個人的には現状の4つのマークから始めれればと思っている。

○:  自由利用マークの策定自体については、本小委員会として了承されたものとして整理させていただきたい。マークについては、適切な分類が必要という点と状況を見ながら段階的に普及させていくべきという点について共通理解があったものと思っている。
  また、限定的かつ安全性の高いものから始めるということであり、その点については、文化庁の方で工夫させていただき、実施状況及び広げ方については、また来年、ご報告しつつ、議論いただきたい。

(2) 契約・流通小委員会審議経過の概要(案)について、事務局から説明が行われ、以下の質疑応答が行われた。
  (以下、委員:○、事務局:△)

○:  ライセンス契約におけるライセンシーの保護の分野で、破産法との関係に関する記述を加えるべき。

○:  著作権等管理事業法関係の記述で、非一任型の管理事業が自由に行えるようになり、実際に非一任型の動きも出ているので、その旨も若干記述した方がよい。

○:  ライセンス契約におけるライセンシーの保護の分野で、クロスライセンス契約に関する記述では、反対給付を受ける権利も譲受人に移転されることの問題点についての記述を加えるべき。

○:  契約のシステム・慣行が十分に定着した段階で廃止する方向とすべき規定の検討に係る部分で、第44条に関して放送業界関係者同士の契約については廃止しても問題はないとあるが、完全に問題がないわけではないので修正が必要である。

6.閉会
  事務局から今後の日程について説明があった後、閉会になった。


(文化庁著作権課著作物流通推進室)

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