まとめ
今回、放送番組の二次利用に係る実演家の権利を円滑に処理できるようにする方策について検討を行ったが、利用の阻害要因について、ワーキングチームにおいて調べた限りでは、利用の許諾が得られないことは少なく、その態様によって許諾が得られなかった場合でも、その理由については必ずしも不当な理由といえるものではないという状況であった。そして、利用を阻害しているのは、むしろ、ビジネスモデルの問題や権利者不明の問題であるということであった。
これを踏まえて、共有状態にある実演や多数権利者が関わる実演の利用円滑化のための具体的な方策についても、さまざまな角度から検討を行った。もっとも、実演の利用形態は非常に多様であるため、明確に効果があると考えられる対応策をただちに見出すことは困難であった。
しかしながら、コンテンツ流通の新たなメディアに対する期待が低いわけではなく、権利者においては権利の集中管理の促進、流通事業者においては関係者に適正な利益の再配分ができるビジネスモデルの構築など、それぞれの立場におけるコンテンツ流通の活性化のための取組によって、一定の効果が期待できる方策が生まれる可能性はあると思われる。また、インターネットを活用した番組配信は現時点においてはビジネスにならないとの意見もあるが、他方で音楽配信ビジネスの成功例もあるので、不正な流通を防止する仕組みづくりとともに開放的な市場でのコンテンツ取引の展開等にも関係者が積極的に取り組むことが望ましいと考えられる。
そのため、これらの取組やその他の状況の変化を踏まえ、必要に応じて実演の利用円滑化方策に関して検討を行っていくべきと思われる。