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著作権分科会 法制問題小委員会(第1回)議事録

1. 日時
  平成19年3月19日(月曜日)16時1分〜17時7分

2. 場所
  ホテルフロラシオン青山 1階 はごろも

3. 出席者
 
(委員) 青山,市川,大渕,潮見,末吉,茶園,道垣内,土肥,苗村,中山,松田,村上の各委員
野村分科会長
(文化庁) 吉田長官官房審議官,甲野著作権課長,川瀬著作物流通推進室長ほか関係者

4. 議事次第
 
1   開会
2 委員及び文化庁出席者紹介
3 議事
 
(1) 法制問題小委員会主査の選任等について
(2) 文化庁長官官房審議官のあいさつ
(3) 法制問題小委員会審議予定について
(4) その他
4 閉会

5. 配付資料一覧
 
 
資料1   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会委員名簿
資料2 小委員会の設置について(平成19年3月12日文化審議会著作権分科会決定)
資料3 今期の法制問題小委員会の検討課題について
資料4 新たな検討課題の背景等について
資料5 ワーキングチームについて(案)
資料6 当面の審議日程(案)
(参考資料)
 
参考資料1   文化審議会関係法令等
参考資料2−1 文化審議会著作権分科会委員・専門委員名簿
参考資料2−2 文化審議会著作権分科会各小委員会委員名簿

6. 議事内容
 
本年の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会委員を事務局より紹介
本小委員会の主査の選任が行われ、中山委員に決定した。
以上については「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成十八年三月一日文化審議会著作権分科会決定)における1.(1)にあたり、議事の内容を非公開とする。

【中山主査】 それでは、第1回法制問題小委員会の開催に当たりまして、吉田文化庁長官官房審議官よりごあいさつをお願いいたします。

【吉田文化庁長官官房審議官】 それでは、第7期の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。委員の皆様方には御多用のところこの法制問題小委員会の委員をお引き受けいただきまして、まことにありがとうございます。
 御承知のように政府では「知的財産立国」の実現に向けてさまざまな取り組みを進めておるところでございます。文化庁でもこの著作権分科会で成案が得られたものから順次著作権法改正案という形で国会に提案をし、さまざまな改正を行ってきているところでございます。
 前期の法制問題小委員会でも、平成17年1月にまとめられました「著作権法に関する今後の検討課題」に沿ってさまざまな課題を御検討いただくとともに、「通信と放送の融合」、とりわけIPマルチキャスト放送の関係につきまして緊急の課題としてお取り上げいただき、昨年の8月には報告書を取りまとめていただいたところでございます。これを受けまして、昨年の暮れ、臨時国会におきまして著作権法の一部改正法を提出し、成立を見たところでございます。今後とも文化庁としては報告書で示していただきました方向性や基本的な考え方を踏まえまして、法整備を含めて速やかな対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
 今期のこの法制問題小委員会では、デジタル化・ネットワーク化の進展の中でさまざまな議論がございますが、引き続き検討課題になっているものに加えまして、デジタルコンテンツの特質に応じた制度のあり方や、海賊版への対応方策など、そういった事柄も含めまして御検討をいただきたいというふうに思っております。これらも含めまして、委員の皆様方には大変お忙しいと思いますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【中山主査】 ありがとうございました。次に、本小委員会の設置の趣旨や所掌事務、検討課題及び今後の審議予定につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【甲野著作権課長】 それでは、資料の2から6につきまして御説明をさせていただきます。資料5がワーキングチームの設置についてということでございますので、説明の後、このワーキングチームの設置につきまして御決定をいただければというふうに思っているところでございます。
 それでは、まずこの小委員会の位置付けでございますが、資料の2を御覧いただけますでしょうか。3月12日に文化審議会著作権分科会におきましてこの法制問題小委員会の設置が決められたところでございます。その他の小委員会も含めて4つの小委員会の設置が決まったわけでございますが、法制問題小委員会、私的録音録画小委員会、国際小委員会は昨年度に引き続き設置をするものでございます。昨年と異なりますのは3番目に過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の設置が決まったところでございます。これは、従来よりこの分科会の中で何らかの形で検討しなければいけない事項でございました保護期間の問題に関することと、創作されて非常に時間がたったものにつきまして、利用をどうするかということもあわせて議論しなければいけませんので、それらの問題につきまして保護と利用をどう考えるのか、それを審議するための小委員会を設置したという趣旨でございます。
 法制問題小委員会におきましては、今期も御審議をお願いするわけでございますが、検討課題として想定をされるものにつきまして資料3にお示しをさせていただいたところでございます。一昨年、平成17年1月24日に著作権分科会におきまして取りまとめられました「著作権法に関する今後の検討課題」に基づきまして、これまでさまざまな議論をしてまいりました。また緊急的な対応として、例えば昨年のIPマルチキャストの取扱いのような問題、これらも含めて議論をしてきたところでございますが、そうしたような両者の要素を考え合わせますと、ここの資料3にあるような内容があろうかというふうに考えているところでございます。頭に黒丸がついているものが、平成17年に「著作権法に関する今後の検討課題」として掲げられている事項でまだ一定の結論を得ていないものでございます。それから白丸でございますけれども、これはその検討課題の中には入っておりませんけれども、新たに検討しなければならないと各方面から言われている事柄についてでございます。これらの事柄につきまして御説明をさせていただきます。
 まず一番上に法制問題小委員会本体とあるところでございますが、白丸として3つを上に掲げさせております。新規事項でございますが、「デジタルコンテンツの特質に応じた制度の在り方」「海賊版広告行為の取締り」「非親告罪化」でございます。デジタルコンテンツの特質に応じた制度のあり方につきましては、デジタルコンテンツの特質に即した法律をもう少し考えるべきではないか、登録をすることで特別の効果を与えるべきではないかという議論がありますので、これを検討しなければならないということでございます。海賊版広告行為の取締りにつきましては、広告をする行為自体が違法とされていないことからさまざまな問題が生じておりますが、これを検討しなければいけないのかということでございます。また海外におきましては親告罪化していることが海賊版の取締りに大きな影響があるということが言われております。そこで、我が国においても非親告罪化が必要なのかどうなのか、これも検討しなければならないという事柄でございます。
 障害者福祉等の増進等々の法制上の課題の解決は、これは権利制限の見直しについてでございますが、2年前に関係者から具体的な提案を待ってさらに提案があれば検討するという形に整理してございますので、もしそういうものが出てくればこれは検討していかなければならないということでございます。
 「通信・放送の在り方の変化への対応」では、IPマルチキャストによる自主放送について引き続き検討するということが言われております。その他、全体の放送・通信のあり方の動きに沿って何か検討しなければならない事項があれば検討が必要ということでございます。
 私的使用目的の複製の見直しは、私的録音録画小委員会の対応を見たうえで、さらに複写その他を含めまして範囲をどうするかという問題でございます。
 そのほか、その他として政令への委任、規定の平易化、用語の整理等が課題として残っているものでございます。
 また、さまざまな課題がございますけれども、ワーキングチームの設置とも絡んでおりまして、昨年まで置かれておりましたデジタル対応ワーキングチーム、契約・利用ワーキングチーム、そして司法救済ワーキングチームをそのまま存続させてそこで検討すべきではないかと思われる点がいくつがございますので、それを御説明をしたいと思います。
 デジタル対応ワーキングチームにおきましては、これまで機器利用時等における一時的固定、技術的保護手段の規定に係る見直し、放送新条約に関する制度の整備、これらを議論していただきました。機器利用時の一時的固定や技術的保護手段の見直しにつきましては、いったんは審議をとりまとめていただいていますけれども、平成19年度内に最終的にどうするのか、そういうようなことをもう少し議論しなければならないという形で残っておりますので、これが必要な課題ということであります。また、放送新条約につきましても、動きに合わせて検討しなければならない事柄でございます。これらに加えまして新たな課題といたしましては、ネットワークを通じた検索サービスの位置づけの明確化、法制度上の課題の解決という課題がございます。これは、インターネットを通じてさまざまな検索サービスが利用がなされているわけでございますけれども、それら検索のシステムを動かすに当たって、またはサービスを具体的に利用者に提供するに当たりまして著作権法上の問題が絡んでいますので、これを検討しなければならないということでございます。
 また、契約・利用ワーキングチームでございますが、これまでもライセンシーの保護、登録制度の見直し、利用権に係る制度の整備につきまして検討が対象になっておりましたけれども、昨今特許権等につきましては今国会に法案が提出をされまして、それによりますと簡易な形の登録により対抗要件を付す、という制度となっているわけでございます。それらを見越した上で、著作権の分野でも必要な点がある場合にはこれは対応しなければならないという点が新たな側面としてございます。
 また、司法救済ワーキングチームにつきましては、これまで間接侵害について御議論いただいて一定のとりまとめを行っていただいておりますけれども、さらに今後どうするのかという課題、また損害賠償・不当利得等につきましてもまだこれから審議しなければならない課題が残っているところでございます。
 こうしたような検討課題があるということが考えられるわけでございまして、資料5を御覧になっていただきたいのですけれども、ワーキングチームの構成といたしまして御決定していただければ適切ではないかと思われる内容につきましては、デジタルと契約・利用、司法救済の3つのワーキングチームを置いていただいて、それぞれここに、検討課題に掲げてあるような課題を審議をしていただいたらどうかということでございます。
 なお、資料4といたしまして、新たな検討課題の背景につきまして、資料をつけさせていただきました。若干時間を取らせていただきまして、簡潔にこれらにつきましてもう少し深く説明をさせていただきたいと思います。デジタルコンテンツの特質に応じた制度のあり方でございますが、先ほど申し上げましたようにデジタル化・ネットワーク化の特質に応じて著作物の保護や利用、新たな法制というものをそもそもつくった方がいいのではないかという問題意識のもとに、いろいろな提案がなされているわけでございます。
 提案されている内容というものはどういうものかといいますと、著作権法とは別に特別法を制定して、そうしたような特別の法律のもとでデジタルコンテンツですとか、あるいは商業用のコンテンツ、これらについて特別の法的な保護を拡大したり、あるいは利用の円滑化を図るような規定を置こうというものでございます。そして特例法では登録制を採用し、登録したコンテンツについてそういう効果を与えるということでございます。具体的な法的効果としては、例えば、簡易な裁定制度により一定の合理的な利用であれば報酬を支払うというような形にして許諾権を制限をしてはどうか、あるいはフェアユースのような規定を設けたらどうか、不正使用の場合には取り締まりを強化する、こういうことが提案されているわけでございます。
 これまでもこうしたような研究は官民のさまざまなところでなされてまいりましたけれども、最近は知的財産戦略本部のコンテンツ専門調査会でもこうしたような提案というものがなされているところでございますし、また経済財政諮問会議におきましても有識者の議員からもこうしたような法制につきまして検討して2年以内に整備すべきではないかというような提案が出されているところでございます。もとよりこうしたような問題をすべて著作権分科会のもとで行うべきかという議論はありますけれども、やはり制度を所管しております審議会におきましてもこういうような提案はどうなんだろうか、あるいはつくるとしたらどのようなことになるのだろうか、など議論を開始していただかなければならないのではないかと思っております。
 それから、2番目の海賊版の広告行為でございます。先ほど少し触れましたように商標や意匠などにつきましては、商品もしくは役務に関する広告、あるいは譲渡、貸渡しの申出というような形でネットオークション等で海賊版を販売しようとするような行為につきましてはそれ自体が違法という形になっております。しかし、著作権法の分野では、複製をする行為、そして実際にそれを頒布する行為、その前の所持の行為につきましてはみなし侵害等で違法となっておりますけれども、広告自体につきましては違法とされていないところでございます。そうしたところから取り締まりの問題ですとか、あるいはプロバイダ責任法に基づきまして、氏名開示を求める、こうしたような手続ができないという状況になっております。そうしたことから、著作権法においても広告行為自体を権利侵害とすることについて検討してはどうか、これが知財本部の場でも議論をされているところでございます。
 それから、非親告罪化につきましては、海賊版の取締りということで国際的に考えますと、親告罪化ということが障害になっているという指摘がございます。他方で、日本としては模倣品や海賊版の拡散防止条約というものをどんどん進めていかなければならないということがあります。そのようなことから我が国の著作権法においても親告罪として著作権法上規定されている部分につきましても一定の範囲で見直しが必要ではないか、もう少し平たく言いますと、一定の範囲につきましては非親告罪化してもいいのではないか、そうしたような議論があるわけでございます。これにつきましても最近の知財本部の方で提案といいますか、議論がなされておりまして、海賊版の販売行為など著作権法違反のうち親告罪とされているものについて、非親告罪の範囲の拡大を含めて見直しを行ってはどうか、このようなことが言われているわけでございます。
 それから、4番目のネットワークの検索サービスについてでございますけれども、さまざまな形で用いられております検索エンジンサービスの運営においては、クローラーと呼ばれる情報収集する自動的なプログラムによりまして絶えず地球上のあらゆるサイトに出かけていってそれをコピーをして収集をするということが行われておりまして、利用者はその中のものに対し検索をかけるということが行われております。そしてまた検索結果は一定の範囲で検索を利用した者に送るわけでございますが、その過程では複製ですとか翻案、あるいは公衆送信が行われているわけでございます。そのようなことから、例えば米国におきましては、フェアユースという規定がありまして、著作権法上、不明確ではあるけどもできるというような部分もないわけではないわけです。我が国におきましても著作権法上の問題があって、検索エンジンが開発できないとすれば問題であるという問題意識からこれを解決すべきではないか、という要請があるわけでございます。
 これにつきましても、知的財産本部のコンテンツ専門調査会で検討がなされているところでございまして、また、経済産業省におきましても、情報大航海プロジェクトという形で開発が提案をされているところでございます。
 それから、最後のライセンシーの保護のための方策でございます。ライセンシーの保護につきましては従来から検討課題の一つとなっていたところでございますが、実は産業財産権、特に特許権、実用新案権等につきましては、包括的なライセンス契約につきまして、簡易な登録制度というものを設けて、それによりまして一個一個明示をされていない特許権等々につきましてもすべて対抗力を与えるという法律が通常国会に現在提出をされたところでございます。そうしたような状況を踏まえまして、著作権につきましても何らかの対応が必要ではないかということでございます。一件一件、キャラクター等、ライセンスする場合には問題はございませんけれども、プログラムについては特許で保護されている部分につきましてはこの簡易な制度があり、またプログラムの著作権の部分につきましてはそれがないということになりますと、またいろいろな実務上も問題も出てくる可能性もございます。そうした観点も考慮いたしまして、ライセンシーの保護のための方策を特にプログラムの著作物について検討しなければならない、これが課題でございます。
 以上のような課題につきまして、今期の法制問題小委員会で検討をしなければならないのではないかということで、ワーキングチームの構成につきましても、資料5のところで案を提出をさせていただいたところでございます。
 なお、当面の審議日程につきましても資料6として配付をさせていただいておりますけれども、デジタルコンテンツですとか海賊版広告行為や親告罪につきましては片や知的財産本部の方でも検討がされておりますので、まずそうしたような内容について検討をし、その後さまざまな問題につきまして検討をしていったらいいのではないかと考えているところでございます。以上、少し長くなりましたが全体の御説明をさせていただきました。
 それでは、ワーキングチームの決定等につきまして、よろしくお願いいたします。

【中山主査】 ありがとうございました。それでは、ただいま事務局から説明がございました資料5のワーキングチームの設置について(案)につきまして、御意見を頂戴したいと思います。
 なお、前期の当小委員会におきましては、ワーキングチームの審議資料についてこれを公開すべきか否かということは懸案となっていたところでございます。この点につきましては、ワーキングチームはあくまでも小委員会の検討のための準備作業を行うための部会でありますので、ワーキングチームの検討を受けた審議がこの小委員会の場で、公開で行われるのであれば、それが本来の姿であろうと思います。このため昨年度同様、ワーキングチームは非公開とすることにしたいと思いますけれども、より透明性を高めるというためにはワーキングチームの検討については進捗状況に応じまして小委員会に適宜報告するということにしたいと思います。
 それでは今の資料5の点について、何か御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
 よろしゅうございますか。それでは、ご意見がございませんようでしたら、資料5の「ワーキングチームについて(案)」につきましては、これを御了承いただいたということにしてよろしゅうございましょうか。ありがとうございます。では、ただいま御了承いただきましたワーキングチームにつきましては、先ほど事務局の説明がございましたとおり、座長をこの小委員会の委員の中から指名をするということになっております。したがいまして、私から御指名させていただきます。前期から引き続きまして、デジタル対応ワーキングチームは茶園委員、契約・利用ワーキングチームは土肥委員、司法救済ワーキングチームは大渕委員にそれぞれ座長をお願いしたいと思います。各座長におかれましては、次回の小委員会までにワーキングチーム員の構成を固めていただきたいと思います。固まりましたら、次回の小委員会で名簿を配付したいと考えております。
 それでは、残りの時間を使いまして、今期の法制問題小委員会の検討課題につきまして幅広い自由討議を行いたいと思います。全体を通じまして何か御意見、御質問ございましたら積極的にお願いをしたいと思います。新規事項もございますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、私から口火を切る意味で1つ質問させていただきたいんですけれども、資料の4の3枚目の親告罪のところですけれども、これは海外で組織的に海賊版の製造等が行われている場合、例えば今一番問題になっているのは中国ですけれども、中国で組織的に海賊版がつくられていると、この取締りについては当該外国、つまり中国当局の協力を得ることが不可欠であるが、仮に中国が親告罪としていた場合、海外の被害者との連絡に、この海外の被害者というのは日本のことですか。

【甲野著作権課長】 そうです。

【中山主査】 日本の被害者と連絡を取る必要があると、そのために非親告罪にするという。

【甲野著作権課長】 親告罪ということでございますので、ここは海外の被害者にもありましたけれども、もちろん国内の被害者についてもそうでございまして、被害者との連絡がつかないということがあると、なかなか捜査もしにくいというような状況があるというふうに聞き及んでおります。

【中山主査】 それは警察の方から聞いているのですか。それとも、どこから。実は今までこの問題についてこういう視点からとらえたのは聞いたことがないのですが。

【甲野著作権課長】 突き詰めていくと、警察なり取締りの機関の問題意識だと思いますけれども、それがいろいろな形でこういうことが言われていると承知しております。

【中山主査】 戦略本部でも親告罪の話はもちろん出ましたが、こういう観点からは話がなかったもんですから。連絡を取るために親告罪ではまずいという話なのですか。

【甲野著作権課長】 連絡を取るというのは国内の話というのが多いのかもしれませんが、今後議論するに当たりましてはよくそこの事情も、留意をしっかりしておかなければいけないと思っております。

【中山主査】 ですが、仮に当該外国が親告罪としていた場合に日本の被害者との連絡を取る必要があって、日本を非親告罪にする、こういう文章になるわけですね。

【甲野著作権課長】 一般論として、親告罪ですと、告訴の手続を取ってもらわなければならないということで、それが例えばその権利者が国内であれ、あるいはほかの第三国であれ、なかなか手続が大変ということがございます。それは捜査機関なり訴訟を起こすというところの方々がそういうふうにおっしゃるわけでございます。したがいまして、非親告罪化するということにいたしますと、その辺りの手続が不要ということになりますので、取り締まりもその国において効果的に進むという事情がございます。そして、そういうような国に対しまして、非親告罪化せよというようなことをもし万が一仮に条約で規定をするということなどを考えた場合には、例えば日本におきましてもそういうようなものを考えておいたほうが諸外国におきまして、非親告罪化をやってくれというふうに言いやすいというような事情がございます。そうしたことも念頭に置きながら検討していこうというのが趣旨でございます。

【中山主査】 そういう文章の趣旨ですね。それがいいかどうかはもちろんこれから検討していただきますけれども。ほかに何か、大渕委員。

【大渕委員】 今の点に引き続いてなのですが、非親告罪化というのが、我が国の国内の固有のニーズとしてあるのか、それとも先ほどのような条約を通じて海外で非親告罪化してもらうためにはまず日本国で非親告罪化しようということなのか、その辺りで実際のニーズがどこにあるのかという点が分かりにくいのではないかと思いますので、少し御説明いただければと思います。

【甲野著作権課長】 ニーズにつきましては、これからよく国内のニーズも調べなければいけませんけれども、動機といいますか、問題意識としてはやはり海外の方があったということは事実でございます。国内につきましては本当にそういうような事情があるのかどうか、そこのところは今後よく踏まえて、もしあるのであればやるとするのか、なくてもやっぱりやるとするのか、その辺りはまた御審議いただければと思います。

【中山主査】 はい、どうぞ。

【千代国際著作権専門官】 直接国際課で国際交渉している関係で申します。これが出てくるのは、米国から日本に要望として来ておりまして、米国は日本に限らず各国に対して非親告罪化を要望しているのですけれども、一応、日本側としては現状において捜査の要件にはなっていないので、親告罪であるということが日本においては大きな捜査の障害にはなっていないという説明はしております。ただ、現実にアジアの国とFTA交渉などをしている際には、各国から日本の権利者の協力が得られないからエンフォースメントが十分にできないんだというような言いわけが使われることもありますので、これはやはり権利行使という観点から言うと全く意味のないこととは考えていないということでございます。

【中山主査】 ほかに何か、御質問ございましたら。はい、どうぞ、道垣内委員。

【道垣内委員】 ついでに今の同じページに「模倣品・海賊版拡散防止条約」が出てきますけれども、これは内容的には特許、商標も含めてだと思いますが、著作権も関係しているということだろうと思うのです。この条約作成については著作権分科会はどういう形でかかわっているのでしょうか。今おっしゃったように、国際的な観点から非親告罪化という話があるとしても、この条約作成がどう動いているのかというのがよく見えないのですけれども。

【千代国際著作権専門官】 実際にその交渉がどれだけ進むかというと、まだそれほどはっきり具体的にというところではないので、まず日本として障害になり得る、つまり日本が条文を提案する際に日本で採用していない制度というのは提案できないのでですね、そこはまず、日本国内の問題をクリアにしてからということでございます。

【中山主査】 これは知的財産戦略本部の方でこういうのが出てきて、それで小泉総理がG8で打ち上げたということだと思いますけれども、実際どのくらいで進展するか、まだ読めないんじゃないかと思いますけれども。ほかに何かございましたら。はい、どうぞ、潮見委員。

【潮見委員】 1点だけ確認をさせていただきたいことがあります。それは、デジタルコンテンツの特質に応じた制度のあり方という、今回新規事項という形で挙げられているものでありますけれども、先ほど御紹介にもありましたように、一方では経済財政諮問会議等でどういう法制が望ましいのかということを検討していくことになっていますよね。それが実際に動き出しておるというふうに理解をしてもよろしいと思うんですけれども、そちらでの議論の進行とまたこれが著作権法制にどういうふうな影響を与えるのかということについては、おそらくこちらの方でも議論していかなきゃいけないでしょうが、同時並行で両方が進んでいく形でいろいろ議論を展開していくことになるんでしょうが、その場面での両者のやり取りといいますか、そのあたりをどういうふうに文化庁の方としてはお考えになっておられるのかという、何かそういう今後のスケジュールみたいなものをお教えいただければありがたいと思います。

【甲野著作権課長】 今後、知的財産戦略本部の方でもコンテンツ専門調査会でこういう形で出されておりますし、経済財政諮問会議でもこのような提案がありますので、今後どのような枠組みになるかはまだ詳細ははっきりはしておりませんけれども、何らかの形でどこかが検討するという形になるかと思います。それが仮に文化庁以外のところで何か検討するという枠組みになったときに、この文化庁でのこの検討との課題ということが一番問題になってくるわけでございますけれども、やはり同じ政府の中でそれぞれ審議をしているわけでございますので、両方とも違うような内容が出るということはやはりあるべきではありませんので、事務的にはよく連絡を取りながら、またそこに加わっていらっしゃるいろいろな方々ともよく連携を取りながら、調和があるような形で議論を進めていかなければならないと思っているところでございます。
 この著作権分科会におきましては、著作権法制の立場からできることできないこといろいろあろうかと思いますので、そうしたところをきちんと踏まえた形で御提案といいますか、留意点などを出すということをしなければいけないかと思いますので、そういうようなことをまずは議論をしていただくのではないかと思いますけれども、また様子をよく見ながら検討を進めていただければと思います。

【中山主査】 よろしいですか。ほかにございましたら。どうぞ、土肥委員。

【土肥委員】 お尋ねしたいのは、4.のネットワークを通じた検索サービスの位置づけの明確化と法制上の課題の解決と、こういうタイトルのところですけれども、いわゆるこういう検索エンジンのサービスに関しては欧州でも米国でも訴訟があって判決が出ておりますが、その流れの中でひとつ日本でもということなのか、あるいはここに書いてあるところからすると、クローラーと呼ばれるそういうプログラムで一網打尽というのでしょうか、大量に複製されると、その複製行為が日本の著作権法上はフェアユース等がない関係で制限され日本ではやりにくいとこういうことで海外等でサーバーを置いてそこでやるので、何ていうんでしょうか、そういう業務をスムーズにさせてほしいというそういう要請があるのか、そういう背景を教えていただきたいのですけれども。要はどこでやっても同じことだと思うので、そうすると仮に日本できつくすればよそでやるし、日本で緩やかにすれば確かにそういうことになるのだろうと思うのですけれども、そういう背景はどのあたりにあるのか、このような要請があると、そこを教えていただきたいんですけれども。

【甲野著作権課長】 私どもの方に事務的に要請があったですとか、そういう事情から御紹介をいたしますと、最近の動きとして経済産業省の情報大航海プロジェクトというものがございますけれども、ここの部分に当たるところが大きいということが客観的に言えるかと思います。問題意識といたしましては、今日本で使われている検索エンジンはいろいろなものがありますが、概ねかなり非常に多くの部分が米国等にその検索エンジンがあって、そこへ日本の利用者も検索のキーワードなどを送って、そして検索の結果を得るという形になっております。そうしたような検索サービス、そもそも日本でもそういうものがもっと起きなければいけないのではないかという問題意識と、あとそういうような検索エンジンが諸外国にあって日本にないということから来る何といいますか、いろいろ秘密に当たるようなものが渡っていいのだろうかというような問題意識から、日本でもこうしたような検索サービスが行われることが望ましいという意識でございます。そしてそれを日本で行うためには日本においては著作権法上なかなか可能とできないような規定があるのではないか、そこを考えてみようというのが問題意識でございます。

【中山主査】 日本において検索エンジンのビジネスはやらなくてもいいという意見はおそらくないわけでして、これが成功するか、というビジネスの話は別として、著作権法があるからこういうビジネスはできませんという事態は避けたいというのがおそらく多くの意見でしょう。これは別に経産省だけではなくて、知財戦略本部もそうですけれども、多くの意見だろうと思います。それにもうひとつ、日本がやらなければアメリカがやるだけのことで、そうすると情報は全部向こうに集中するわけですね。最近Googleの情報の収集などについてもいろいろ世界的に問題になっておりますけれども、果たして日本の情報検索が全部向こうで牛耳られていいのかという問題もありますし、韓国や中国では国産の検索エンジンが主流を占めているわけで、できたら国内でやりたいなというこういう要望はあちこちからあり、それ自体は適当な要望だろうと私も思います。問題はそれをやるについていろいろ細かい問題が出てきますので、それは議論しなければいけない、こう思いますけれども、よろしいですか。ほかに何かございましたら。はい、どうぞ、松田委員。

【松田委員】 今の状況と大航海プロジェクトの方向性について私も大賛成です。これからの検索エンジンはテキストデータを解読してどこにどういうテキストがあるかではなくて、映像を一部解読するというんですか、イメージを解読して、そしてそれをどこのデータにあるかということを映像も検索できるようになるわけです。この部分につきましては日本はこれから多分アメリカよりも研究が進むのではないかというふうに思います。検索エンジンのあり方も変わりますので、この辺についてもサポートできればと思っております。ただ、著作権法上、どういう利用がされているのかという分析を技術的にしなければいけないなというふうに思っています。

【中山主査】 それはおそらくこの議論の中で大いに出てくると思います。ほかに何かございましたら。茶園委員、どうぞ。

【茶園委員】 先ほど潮見委員がおっしゃっていたデジタルコンテンツの特質に応じた制度のあり方に関してなんですけれども、これは今特例法なりの提案があって、デジタルコンテンツの利用円滑化というか、促進をしようというものだと思うのですけれども、この法制問題小委員会とは別に過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会が設置されて、その小委員会では、先ほどの御説明によりますと、保護期間の問題とともに過去の、例えばおそらくテレビ番組とかの利用の促進といった問題も対象となるように思います。そうしますと、この法制小委で行う議論と過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会で行う議論かなり重なることになるのではないかと思うのですが、そうであるのか、あるいは切り分けられるのか、その点を御確認させていただきたい。

【甲野著作権課長】 基本的には例えば放送番組など過去のものにつきましてどういう形で利用円滑化したらいいのかにつきましては、この新しく設けられました過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会で検討していただくということになると思います。しかしながら、デジタルコンテンツについての特質をどう考えるかという形で議論を始めたときに、そのデジタルコンテンツというところで過去の放送番組、アナログでつくっているので、ほんとうにデジタルコンテンツなのかどうかよく分からないんですけれども、それにつきましても実際デジタルという形で、ネット上で利用する場合には問題があるからそれも射程に入れた形で法制度をつくるべきではないかという形で議論がされれば、その限りにおきまして少し重なり合う面は出てくるのかもしれません。そこはそれぞれのお立場で御議論をいただいて、最後は著作権分科会がございますので、そこで調整をするという形になると思います。もちろんその分科会の場で、平場で議論・調整というのはあろうかと思いますけれども、よく委員の先生方やあるいは私ども事務局の方でうまく両方を見てそごがないような形で議論が進めていければというふうに思っております。

【中山主査】 ひとつの法律の中ですから、グループに分けをしてもですね、必ずバッティングするところが出てくるわけで、例えば過去の例でも私的録音・録画の小委員会と30条を扱う法制問題小委員会、これかなりバッティングしておりますし、そこは調整をしてやっていく以外にはないだろうと思います。昔も私的録音録画小委員会と法制問題小委員会の連絡を密にしろという御指摘を受けましたので、これは連絡を密にしてやっていく以外にはないだろうと思います。ほかに何か、はい、どうぞ、大渕委員。

【大渕委員】 今出ていました資料4のデジタルコンテンツの特質に応じた制度のあり方について、何かあまり具体的イメージがわかないように感じますので、もう少し御説明いただければイメージがわきやすいのではないかと思いますが。

【甲野著作権課長】 いろいろな方々がいろいろな研究会その他で研究の成果として公表されているものがございます。そういうものを背景にいたしますと、まず登録というものをキーワードにして、登録をされたものについて一定の法的な保護ですとかあるいは利用の円滑化というような効果を与えようというものが多うございます。例えば保護につきましては、救済をもっとやり易くするですとか、賠償につきまして特例を設けるですとか、そのようなことを提案されておりますし、保護期間についても言及をされているものもございます。しかしながら多くの場合には利用を円滑にさせようという面が多うございまして、権利者の持っている、例えば許諾権がある場合にはその許諾権を制限して登録されたものにつきましては報酬請求権という形で利用者は利用できると、報酬を支払えばできるというような効果を提案しているものが非常に多うございます。
 また、その登録の効果としてか、あるいはその外にあるかというところは微妙なんですけれども、さらにフェアユースのような一般的な権利制限ですとか、パロディーなどにも使うことについてですとか、そういうような内容の権利制限も置いて利用を円滑にしたらどうかという、提案もございます。そしてまた、登録されたものについては産業政策の対象になるということなので、例えばいろいろな形での競争政策でどういうふうにすればいいかですとか、産業政策でどうすればいいか、そういうことも検討していったらいいのではないか、という提案もあるというふうに承知をしております。大体そのようなこととして私どもは承知しております。

【大渕委員】 登録がキーになることを今お聞きしたのですが、そもそも現行著作権法だと、著作権法上の著作者の権利の保護が与えられるかという入り口のところで著作物性という一定の要件を満たした場合にのみ保護を与えられるのであって、その際には登録等を要求せずに当然に権利が発生するという仕組みになっているのですが、先ほどの提案ではこのことを前提にした上で、プラスして登録を要求するという話になっているのでしょうか。少しそのあたりがよく分からなかったので……。

【甲野著作権課長】 関係について明示しているものもあります、明示していないものもあるようでございますが、多くの場合には今の著作権法の規定といいますか、保護の体系といいますか、それを前提にしつつなおさらに上乗せして、登録をされるとこういうような効果が発生しますということで、それが保護の強化であったり逆に利用の円滑化であったりというようなことのようでございます。

【中山主査】 どうぞ、松田委員。

【松田委員】 この考え方については、多分、日経新聞の経済教室でしたでしょうか、あれ、いつでしたでしょうかね。去年だったでしょうか、上智大学のお名前を忘れてしまったのですけれども……。

【中山主査】 小塚さんですか。

【松田委員】 はい。小塚さんが書かれたものに極めて短くこのことが紹介されていましたが。

【中山主査】 あれはね、知財研の研究の成果です。

【松田委員】 ですから、その報告書を出してもらうと分かるのではないでしょうか。

【中山主査】 それはもう知財研から出すことにしてください。この問題はあちこちからいろんなことを言われていまして、たぶん内容を明確にしろと言われても、事務局では困るんじゃないかと思うんですね。著作権のことをあまり考えないで書いた文章もありますし、あるいは条約のことをそれほど深く追求していない文章もありますし、もちろん権利者との調整も考えていない文章もありますし、あるいはどこか一利益代表の文章もあるかもしれませんし、いろいろ雑多にあるんですけれども、ここは著作権の審議会ですからそれを著作権法的に見たらどうかということをこれから議論していただきたいと思います。知財戦略本部も経済財政諮問会議も実に多方面の議論をしていまして、その中のごく一部がこの問題ですので、これだけ取り出しますとそう突き詰めていないことは事実なんで、それは各々、もちはもち屋で、司は司で突き詰めろということだろうと思います。ですから、ちょっとここで登録がどうのこうのということを、今日の段階であまり詳しくは今は無理ですけれども、本番といいますか、中身のところではいろいろ議論してもらえればと思います。はい、どうぞ、松田委員。

【松田委員】 そのいくつか出ている案で共通していることは何かというと、デジタル化されるコンテンツについてはどこかで一元的、それはグループごとに、管理することが求められます。デジタルデータを権利処理した後に、サーバーに格納しておかなければならないことであると思います。それをどうやるかということ法技術上の問題だろうと思っています。そのやり方として登録制をとるという考え方があるようです。登録したら著作権法上の権利よりも不利になるということであればだれも登録しないわけですね。それをどうやって促進するかに異体性がなければなりません。それから、登録にお金がかかったら多分促進できないですよね。それをどうするかっていうことではないかと思います。
 資料4の3の最近の動きの中のコンテンツ専門調査会で配付された資料のワーキンググループで検討されたもう一つの方法は、デジタルコンテンツという大きな枠組みではなくて、分野ごとに、デジタルデータと権利管理データをまとめていく、例えば音楽なら音楽、テレビ番組ならテレビ番組、映画なら映画、ゲームならゲームとそういう形で権利者団体が中心になってデジタルコンテンツの利用を推進していく方法もあるのではないかということを議論したことがあります。これからまさにいろんな方法が出てくるのではないかと思っております。

【中山主査】 ありがとうございます。ほかに、御意見ございましたら。あるいは、御質問ございましたら。はい、どうぞ、苗村委員。

【苗村委員】 先ほども御質問のあったことと重なって恐縮ですが、資料6の審議日程なんですが、今新しく出された問題点課題の中で、特にデジタルコンテンツの問題というのはかなり何ていいますか、奥の深いというか長期的に議論すべきものだと思いますが、この審議日程だけを見ると第4回で一応話が終わって中間まとめがされると、そのあとはほかの従来からの継続課題などをやるという意味合いにちょっと見えるんですが、どうも私の直感的には今まで伺った新しい課題の中でこのデジタルコンテンツの特質に応じた制度のあり方だけがかなり中期的、長期的に議論しなければならない、すべきだと私も思いますけれども、ちょっとそのあたりの考え方を教えていただきたいのですが。

【甲野著作権課長】 先生がおっしゃるように、デジタルコンテンツの法制につきましてはもし何かそういうような形の体系のものをつくろうとする場合には、非常に時間もかかる問題ではあるかと思います。しかしながら、これをどういうふうにしたらいいかにつきましては、今具体的な政府の内部の動きといたしまして例えば経済財政諮問会議で出ていますとか、知財本部の方で出ていますという動きがありますし、そういうものについては5月6月とかにはどんな形でやっていこうかというようなこともある程度形も出てくるというような事情もございます。そして、同様な事情は海賊版の広告ですとか、親告罪の話についても同様でございます。
 もちろんそこで結論が出るわけではありませんけれども、何らかの形の方向性なり何なりが出るというということでございますので、そうしたような動きを見ますと、本当にできることとできないことというものがあろうかと思います。ですから、そうしたような議論につきましてやはりまず早いうちにデジタルコンテンツにつきましてはこの小委員会で御議論をいただいて、どういう形になるかはまたこの小委員会でお決めになっていただきますけれども、ある程度世の中にこういうようなものができるけれども、こういうようなものはできないのではないかということを発信といいますか、そういうようなことを出した上で政府全体としてもどうするのか、そういうような形に持っていくのがいいのではないかというふうに思っております。
 そうしたことから、最初のうちにデジタルコンテンツにつきまして何回もやったほうがいいのではないかという提案でございます。そこのところで出すものがどんな形なのかにつきましては、まだ事務局としても素案があるわけではありませんけれども、よく状況を見ながら、また先生方の御議論を踏まえながら考えていかなければならない問題だと思っております。

【中山主査】 よろしいですか。ほかに何か。時間は十分ありますので、どうぞ遠慮なく。はい、土肥委員。次に、村上委員で。

【土肥委員】 難しい話ではなくて、今のところと関連するんですけれども、デジタルコンテンツ流通促進法制について2回、3回、4回とやるわけですが、それはデジタルコンテンツの特質の問題と先ほどのネットワークを通じた検索サービスを含めた話という、そういう理解ですか。

【甲野著作権課長】 ネットワークの方につきましては、デジタルワーキングチームにおきまして、これを検討していただければということを考えております。

【土肥委員】 これは全部そちらにいくわけですね。

【甲野著作権課長】 はい。

【土肥委員】 そういう意味ですね。わかりました。

【中山主査】 では、村上委員。

【村上委員】 ちょっと1点だけ大きな質問になりますけれども、デジタルコンテンツの問題にしてもそれから親告罪の見直しにしても政府内部では関係官庁というか、利害のあるところは多いと思いますので、これを議論する場合に最終的に政府内部における意見のとりまとめのルールとかやり方、特に法律改正までやろうと思った場合には何かルール的なものはあるかどうかということを大まかでも教えていただきたいと思います。

【甲野著作権課長】 法改正につながる結論を出していただくという場合にはまず実現可能性がなければいけませんので、一般論でございますけれども、本当に関係のある役所がある場合にはそういう役所と、内々にすり合わせをして大丈夫というようなことを事務的に踏まえた上で、審議会で決定いただくという場合が多うございます。しかしながらそれは内容に応じてということでございまして、この内容についてはどこまでやるかというのは、それぞれ考えていくということではないかと思います。そして、いったん審議会で結論が出ましたらそれに基づいて事務局としては法案化の作業をするわけでございますけれども、その過程で各省庁とはよく折衝しまして審議会の答申の趣旨を最大限活かした形でそれを法案化して国会に提出するという形になるかと思います。

【村上委員】 したがって、今のお話からは、この問題についてはどこがとりまとめ的に決めてそれでルールをつくるという、そこまでの政府内部のルールはないということでよろしいでしょうか。

【甲野著作権課長】 はい。ただ、著作権法をどうするかという問題でございますので、最終的な全部のとりまとめの責任はやはり中身的にはこの審議会で、そして事務的には私どもの方でやらなければいけない問題だと思っております。

【中山主査】 ほかに何かございましたら。大渕委員、どうぞ。

【大渕委員】 資料4の5.ライセンシーの保護のための方策についてです。ここに出ております産活法に関しては、いろいろな経緯がございましたが、これが議論された審議会に私も参加したものですから、この関係で1点申し上げたいと思います。これは御案内のとおりライセンシーの保護を目的として、一個一個の特許権が明示されない包括的な形での登録という、登録について現行特許法に対する特別法的なものを含んでおりまして、これはこれとして法律案ということで進んでいるのですが、他方、そのときの審議会でも出ておりましたけれども、その本体の特許法上の登録についても今後いろいろ使い勝手を高めるような形で議論が進むというふうに聞いておりますので、今後著作権についてのライセンシーの保護のための方策ということを考えるに当たっては、この産活法だけでなくて特許法本体の方の議論なども十分踏まえた上で御検討いただければと思います。
 それから、これも言うまでもないかと思いますが、当然のことながら特許法と著作権法では利用権の関係その他においてかなり異なっておりますので、著作権法の特性も十分踏まえた上で御検討いただければと思います。以上です。

【中山主査】 ありがとうございます。ほかに、何かございましたら。時間もありますけれども、よろしゅうございましょうか。
 今日は検討項目についての議論ということでこれから重大な議論に入っていくわけですけれども、今日は一応これくらいにしておきたいと思います。次回以降はお手元の資料6の審議予定に沿って審議を進めていきたいと思います。各ワーキングチームにおきましては、この小委員会で出た意見も踏まえまして作業を進めていただき、7月のこの小委員会で御報告を頂戴したいと考えております。
 何か事務局の方から連絡事項等ございましたらお願いいたします。

【黒沼著作権調査官】 失礼いたします。資料6を御覧ください。ただいま御紹介いただいたとおり第2回4月中旬(予定)と書いてございますが、具体的の日程は調整中でございますので、確定次第、御連絡させていただきます。以上でございます。

【中山主査】 それでは、本日はこれで、文化審議会著作権分科会の第1回法制問題小委員会を終了させていただきます。本日はありがとうございました。

(文化庁長官官房著作権課)


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