(裁判外紛争解決等の在り方) |
○: |
資料の2については、専門性の高さという観点からすれば、仲裁や調停でも非常に専門的な判断をする場合もあるので、必ずしも裁判所の方が専門性が高いとは言えない点に留意する必要がある。 |
○: |
仲裁機関には、公正さや中立さが必要である。仲裁センターの利用率がとても低いが、弁護士や弁理士が、必ず公正中立であるかという心配があるという声もある。なぜ、そのような懸念が出てきてしまうのかわからないが、知的財産に関わる弁護士・弁理士の人数は限られており、その弁護士・弁理士が信頼されていなければ、仲裁というものは成り立たない。ハードではなくソフトの問題なのではないか。 |
○: |
仲裁がなぜ日本であまり使われないかというと、日本では裁判官に対する信頼が非常に高いということがあると思う。また、弁護士も自分の利害関係についてのディスクロージャーが必要であり、また、それが不十分である時に、きちんと懲戒を受けるような仕組が必要なのではないか。 |
○: |
ディスクロージャーの基準については、細かく決めておいた方が良い。弁護士の側もその方がやりやすいし、仲裁を利用する側もどこまで聞いてよいかがわかって良い。 |
○: |
時効中断効や、執行力についての意見はないか。 |
○: |
仲裁については、仲裁センターや国際商事仲裁センターなど、仲裁のための機関とは、はっきりしているが、あっせんや調停になると、どこまでが、ここでの議論の対象となるあっせんや調停に入り、執行力などを持たせて良いのかわからない。ADRを使えばより早く、安価に紛争処理ができるという期待があるが、場合によっては仲裁でも、最終解決まで1年半位かかり、費用も、普通に裁判を起こした時と変わらないこともある。韓国では、たいてい2ヶ月で処理されるとのことであるが、なぜそのような、短期間で処理できるのか、その違いについて検証することが必要ではないか。 |
○: |
団体の方は、紛争処理を裁判にのみ頼っているというわけではなさそうだが、その点どう思うか。 |
○: |
実務では、簡易裁判所による民事調停を利用することが多い。そこでは、代理人をたてなくても良いので、紛争解決に要する費用が安く済む。ライセンス料として、損害額を請求するケースがほとんどであるが、だいたい調停に入って1、2回で解決している。 |
○: |
記憶する限り、調停等の制度を利用したことはない。しかし、協会の方に、プログラムの解析をしてくれと、両当事者が言ってくることはある。その時は攻撃や防御というのではなく、専門家の立会いも時には行いながら、検証し、その結果を両当事者に伝えるということはある。 |
○: |
不法行為類型については、相手側が不応諾で調停不成立ということになりがちであり、ADRを使うのは難しい。そういう場合は、侵害者が早く、安く解決したいなどと思うはずないからである。民事調停のような、裁判所の威光のようなものがある場合でないと、ADRを使うのは難しい。また、3人の仲裁人により行うとなると、3人の弁護士のスケジュール調整などに手間がかかり、審問がなかなか行われないという事態が起きうるし、1人の仲裁人で行うとなると、それも不安がある。いずれにせよ、司法制度改革推進本部の議論を踏まえつつ、検討すべきではないか。 |
○: |
「執行力」の点であるが、裁判だと三審制であるのに、そうでない場合に執行力というと、利用者にとっては利用者にとっては合意の前提に重大な誤りがあった場合どうなるとか、仲裁人にとっても裁判官と同じ責任を持ってしまうなど、それぞれ非常に慎重になることも考えられ、迅速な解決とうまく両立できるかという課題がある。 |
○: |
仲裁と調停は別のものである。民事調停については、すでに、時効中断効も執行力も制度として出来ており、また、実際調停を行っているのは民間で、裁判官は最後にならないと出てこないという非常に官と民とのバランスがとれたものであるである。また、調停できなくても決定ができるという制度があって、仲裁的な要素が少し入っている。いろいろな機関を増やしていくというよりは、少なくとも調停に関しては民事調停の制度を中心にして、知的財産について詳しい人が調停を行っていくという形でかなりの部分が解決できるのではないか。 |
○: |
建築士や不動産鑑定人や土地家屋調査士などが名簿に載っていて、専任してもらえるという制度はすでにある。それと同じように、知財専門家についても、調停に関わってゆけるような制度を作っていこうという意見であると思う。調停は訴訟よりは期日も間を置かずに入るし、確かに費用などは安いのではないかと思う。文化庁のあっせん制度は、当事者がおりあいをつけて歩み寄れるような事例については効果があるのではないかと思うが、最近の運用はどうか。 |
○: |
著作権紛争には1対1の紛争と、集団的・制度的な紛争があると思うが、指定管理事業者と利用者団体などの間で話し合いがまとまらない場合には、文化庁の裁定という制度があるが、その場合に限らず、ある程度まとまった組織の間の紛争については、必要があれば、同様の制度があっても良いかもしれない。 |
△: |
相談がある場合と言うのは、訴えられそうになって、なんとかならないかという場合が多い。そういう場合には、相手もすでに訴訟準備を行っている場合が多く、不同意の場合が多い。その前の段階での申請というものがあまりないのが実態である。 |
○: |
弁護士会で行うのは、多くの場合、調停・あっせんであって、仲裁は1割位しかない。当事者への連絡は、単に文書を出すのではなく、一度話し合いませんかという電話を入れると、かなりの割合で応じてくれて、1回目の話し合いに出てきてくれる。仲裁合意に達して、判断を出すのは1割位であるが、それ以外は調停やあっせんという方法で解決が図られている場合が多い。 |
△: |
裁判外紛争処理については、いわゆるADRだけではなく、広く御検討いただきたい。紛争処理については、専門性、法的拘束力、地域的広がりなどの観点から、様々なものが考えられるが、政府で検討中のいわゆるADRは、その一つにすぎない。今後、小さな侵害やトラブルが全国的に起こることが予測されるので、トラブルが生じた時に、第三者が間に入ることや、紛争を予防するための相談業務なども広く検討対象としたい。 |
(司法救済制度小委員会審議経過の概要(案)について) |
○: |
弁護士費用の敗訴者負担部分は、著作権についても敗訴者負担の導入が決まった場合には、負担する額の在り方については、今の報酬の決め方に捕らわれるべきではないというような書き方の方が良いと思う。 |
△: |
ご指摘を踏まえて修文したい。 |
○: |
4ページの(3)の侵害数量の推定規定についての記述であるが、2倍に限定したのはなぜか。侵害の形態によっては2倍では足りないと思う。権利者の立証した数量に一定の係数をかけた数量を基礎にとするような案についても記述した方が、良いと思う。 |
○: |
2倍というのは、原告の負担した割合と同じだけ、被告が負担した方がフェアでないかという考えからである。いろいろな意見があるということで、別の考え方として書いてもらうのは構わない。 |
○: |
9ページの懲役刑の引き上げについての記述であるが、一番下のパラグラフに、言い渡し刑が、懲役刑の上限である3年あるいは1年に集中することはないという理由が書かれているが、言い渡し刑が実際に上限に集中することはないのではないか。 |
○: |
懲役刑については、被害法益という観点から見て、他の犯罪とバランスがとれているかどうかという判断をするべきだと思う。そう考えると、著作権も特許と同じ5年の法益刑を受けるのが妥当であると思う。 |
○: |
法定刑というのは、国家として法律によって著作権侵害という罪がどの程度重いものかという、国家の意思表示であって、それが商標法違反に比べて著作権法違反は軽いのだという立法者の意思を表しているのが、現状の法律体系であると思う。 |
○: |
どんなに重い罪でも、犯罪は起きるので、抑止力を理由に懲役刑の引き上げをするのは難しいと思う。 |
△: |
ご指摘を踏まえて修文したい。 |
○: |
8ページの技術的保護手段の回避等に係る違法対象行為の見直しについての記述であるが、CDに特化されているような書きぶりになっているが、CDに特化された議論ではないのではないか。また、他の小委員会の議論が出てくるが、ここの書きぶりは修正した方が良いのではないか。 |
△: |
複数の小委員会で似たようなテーマを扱っている部分については、他の小委員会の報告書でも、インデックス的に書き込んで読者がわかりやすいようにする趣旨であるが、なお書きのような形に修文したい。 |
○: |
他の委員会から引用するのであれば、正確な内容でなければならないし、どこが他委員会のことなのかわかるようにした方が良い。 |
○: |
7ページの侵害とみなす行為に係る違法対象行為の見直しについての記述であるが、頒布目的なく輸入された海賊版を、後に頒布目的をもって所持することになった場合の対応については技術的な問題として、早急に対応できるのではないか。 |
○: |
みなし侵害について主観的要件を入れるかどうかについて、意見を言ったが、今、見直すことが適当であるとしてもらうよりは、引き続き検討としてもらって、次の機会に根本的に話し合ってもらった方が良い。 |
○: |
5ページの(5)の三倍賠償についての記述であるが、外国において同様の制度に基づく高額の損害賠償を認める判決が出た場合には我が国でも執行しなければならない、とされているが、必ずしもそうとは限らないし、そのことによる製造物責任など他の分野に与える影響ということについて、私は言及したのであって、そのような趣旨を考慮した書き方にして欲しい。また、10ページの侵害罪の非親告罪化についての記述であるが、起訴件数が増えた場合には権利者側が対応できるかどうかという懸念という記述はどういう意味か。 |
△: |
前回の議論の中で、誰でも告訴が出来るようになると、侵害物かどうかを権利者も一緒に立ち会って検証するということになるので、対応がしきれるかという発言があったので、それを文章化した。 |
○: |
親告罪になると、濫発されると、そういった事態になれていない権利者が対応できるのかという問題があるという意味で発言した。 |