3 調査結果

7.写真

(1)業務の概要と管理事業法との関係

1業務の概要

 写真の分野では、カメラマンが自ら事務所を置き、写真の販売業務を行う場合と写真エージェンシーが販売業務を行う場合がある。
 写真エージェンシーは、カメラマンやイラストレーターなどとの間で写真の著作物の販売代行契約を締結し、写真のポジフィルムやデジタル画像データを著作権者から許諾を得た利用方法に限定して利用者に貸与している。

 近年のデジタルカメラの普及により、写真エージェンシーがストックする写真は、ポジフィルムからデジタル画像データに変化してきており、今ではデジタル画像データが一般的になっている。

 写真エージェンシーはカメラマン等からデジタル画像データの提供を受け、自社のホームページにおいて、キーワード検索、カテゴリー検索ができるよう写真をデータベース化しており、利用者は、写真エージェンシーのストック写真から使いたい写真を選び利用申込を行っている。
 例えば、観光用のパンフレットに季節的な風景写真を掲載するなど、その季節に撮影できない風景写真を写真エージェンシーのストック写真から利用するケースが多い。

 写真データの販売方法は、大きく分けて以下の2通りがある。

 写真の場合、被写体の権利についても注意を払わなければならないが、通常、利用者側で了解を得てもらうようにしている。
 特に、人物写真の肖像利用の場合は気を配っており、写真家が肖像利用の了解を得たかどうかを確認した後、利用者へその結果を伝えている。
 仮に、肖像利用の了解を得ていない場合、利用内容によっては、利用者に別途了解を得てもらうよう伝えている。なお、肖像権以外の権利についても同様の処理を行っており、写真エージェンシーでは、被写体の権利について了解を得たかどうかを確認した上で利用申請を受け付けている。

 なお、写真エージェンシーは、それぞれのホームページ上で業務の概要や利用手続方法等について詳細に記載し、情報提供に努めている。

2管理事業法との関係

 写真エージェンシーは、著作権者から写真のポジフィルムや画像データの提供を受けるとともに写真の販売代行契約を締結し、顧客に対する写真のポジフィルムやデジタル画像データの販売に付随して写真の著作物の利用許諾を行っている。
 このような業務は、著作権者の許諾の意思を伝達するに過ぎないため、管理事業法の規制対象外としている。

(2)利用手続の流れと使用料の決定方法

 写真エージェンシーは、各社が使用料の目安である料金規程を作成しているが、この料金規程はあくまで目安なので、必ずしもこの使用料で許諾する訳ではない。
 使用料は、媒体によって決定している訳ではなく、利用方法、使用サイズ、発行部数、使用期間などの区分ごとの複雑なマトリックス構造になっている。例えば、人通りの少ない場所よりも駅などの公衆の目につく場所の方が使用料が高くなるよう使用料に差を設けている。
 また、知名度の高いカメラマンの場合は、通常の使用料より高額になることもある。

 写真エージェンシーが許諾している利用形態は、ポスター、カレンダー、カタログ、企業のPR紙、書籍、インターネット広告など様々である。公序良俗に反する利用や誹謗中傷、特定の政治・宗教が関係する利用、風俗産業に関する利用などは、写真エージェンシーの判断で許諾を拒否しているが、通常の利用であれば許諾を行っている。
 利用者との契約書には、不正使用があった場合の損害賠償金の規定を置いており、通常の使用料の数倍から十数倍の使用料を支払う旨記載していることが多い。
 なお、使用料の分配比率については、カメラマン等の知名度によっても変わるが、一般的にはカメラマンと写真エージェンシーの比率は50対50である。

(3)利用者とのトラブルについて

1事業者の意見

 無断使用、改変等の事例があり訴訟になったケースがあるが、使用料の額で利用者とトラブルになったことはほとんどない。
 また、被写体に関係するトラブルが多少ある。例えば、お寺が写っている写真を利用者に提供したが、お寺の許可が得られなかったため、写真を提供した写真エージェンシーにクレームが来たことがある。
 このようなことから、写真エージェンシーでは、被写体の撮影許可、使用許可に関するルールの確立を望んでいる。

2利用者の意見

 特になし。

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