補償金制度の対象となる録音録画機器及び記録媒体は、著作権法及び同法施行令で規定されている。法律では対象とする機器・記録媒体の範囲を定め、その範囲内において、施行令によって具体的対象機器・記録媒体を技術方式及び主たる用途の要件により特定して指定するという方法がとられている(いわゆる政令指定方式)。具体的には以下のとおりである。
法律では、対象機器及び記録媒体を次のように規定している。法律の基本的考え方は、対象範囲を、私的使用を目的としたデジタル方式の録音録画機器及び記録媒体であって主たる用途が録音録画であるものに限定すること、また立法時の機器等の開発状況から対象機器を用いて対象記録媒体に録音又は録画する行為とすることである。
- ア 機器
デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの(注1)及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するもの(注2)を除く。)であって政令で定めるもの
- イ 記録媒体
当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であって政令で定めるもの
- (注1) 本来私的録音録画に供されない業務用機器を除く趣旨である。
- (注2) 留守番電話機等の録音録画機能が附属機能である機器を除く趣旨である。
施行令では、録音録画技術の内容及び「主として録音(録画)の用に供するもの」という用途に関する要件により、対象機器を特定している。記録媒体は、指定された対象機器に用いるものとして指定される。具体例としては次のとおりである。
- ア 録音機器(第1条第1項)(該当例:CD−R)
次に掲げる機器(略)であつて主として録音の用に供するもの(略)
- 一〜三 (略)
- 四 光学的方法により、四十四・一キロヘルツの標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた音を直径が八十ミリメートル又は百二十ミリメートルの光ディスク(一枚の基板からなるものに限る。)に固定する機能を有する機器
- イ 録画機器(第1条第2項)(該当例:DVD−RW)
次に掲げる機器(ビデオカメラとしての機能を併せ有するものを除く。)であつて主として録画の用に供するもの(デジタル方式の録音の機能を併せ有するものを含む。)
- 一 (略)
- 三 光学的方法により、特定の標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた影像又はいずれの標本化周波数によるものであるかを問わずアナログデジタル変換が行われた影像を、直径が百二十ミリメートルの光ディスク(レーザー光が照射される面から記録層までの距離が〇・六ミリメートルのものに限る。)であつて次のいずれか一に該当するものに連続して固定する機能を有する機器
- イ 記録層の渦巻状の溝がうねつておらず、かつ、連続していないもの
- ロ 記録層の渦巻状の溝がうねつており、かつ、連続しているもの
- ハ 記録層の渦巻状の溝がうねつており、かつ、連続していないもの
- ウ 記録媒体(録音)(第1条の2第1項)
前条第一項に規定する機器によるデジタル方式の録音の用に供される同項各号に規定する磁気テープ、光磁気ディスク又は光ディスク(小売に供された後最初に購入する時に録音されていないものに限る。)
- エ 記録媒体(録画)(第1条の2第1項)
前条第二項に規定する機器によるデジタル方式の録画(デジタル方式の録音及び録画を含む。)の用に供される同項各号に規定する磁気テープ又は光ディスク(小売に供された後最初に購入する時に録画されていないものに限る。)
平成19年10月現在、対象機器及び記録媒体は以下のとおりである。
録音 |
機器 |
DAT(デジタル・オーディオ・テープ)レコーダー |
DCC(デジタル・コンパクト・カセット)レコーダー |
MD(ミニ・ディスク)レコーダー |
CD-R(コンパクト・ディスク・レコーダブル)方式CDレコーダー |
CD-RW(コンパクト・ディスク・リライタブル)方式CDレコーダー |
記録媒体 |
上記の機器に用いられるテープ,ディスク |
録画 |
機器 |
DVCR(デジタル・ビデオ・カセット・レコーダー) |
D-VHS(データ・ビデオ・ホーム・システム) |
MVDISC(マルチメディア・ビデオ・ディスク)レコーダー |
DVD-RW(デジタル・バーサタイル・ディスク・リライタブル) |
方式DVDレコーダー |
DVD-RAM(デジタル・バーサタイル・ディスク・ランダム・ |
アクセス・メモリー)方式DVDレコーダー |
記録媒体 |
上記の機器に用いられるテープ,ディスク |