第2章 私的録音録画の現状について

第2節 私的録画の現状について

 私的録画の現状について、平成18年に社団法人私的録画補償金管理協会(注1)が実施したアンケート調査「デジタル録画機器の利用実態に関する調査(注2)」(以下、「18年録画調査」という。)を中心にまとめた。

1 デジタル録画機器等の普及状況

(1)デジタル録画機器等の家庭における保有状況

 18年録画調査(郵送・一次調査)によると、デジタル録画機器の普及率は約27パーセントとなっている。また、テレビチューナー付パソコンを除くと約23.9パーセントとなる。

(デジタル録画機器保有率)

(2)デジタル録画媒体の利用状況

 平成17年に社団法人日本映像ソフト協会が実施した調査(注3)(以下、「17年録画調査」という。)によると、最もよく録画・ダビング(注4)するメディアについて、録画・ダビングする人(注5)のうち約54.6パーセントの人がVHSを挙げており、次にDVDレコーダーやテレビ内蔵のハードディスクドライブ(約17.8パーセント)、DVD(約6.7パーセント)、パソコンのハードディスクドライブ(約6.2パーセント)、その他等となっている。このことから、依然としてアナログ機器等を利用した録画がかなり頻繁に行われていることが伺えるが、同時に、デジタル録画に関しては、現在補償金制度の対象となっていない機器での録画行為が相当程度行われていることが分かる。



<参考1:保有DVDレコーダーのハードディスク内蔵状況>

 社団法人日本記録メディア工業会「DVDメディア消費者報告書」によると、DVDビデオレコーダー使用者のうち、所有機器にハードディスクが内蔵されていると答えた人の割合の推移は以下のとおりである。

<参考2:録画関係記録媒体の需要推移>

 社団法人日本記録メディア工業会「AVメディア国内需要推移」によると、録画用DVD及びフルカセットビデオテープの需要推移は下記のとおりであり、アナログ録画用カセットテープの需要が減少する一方、デジタル録画用DVDの需要が増加していることがわかる。



  平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年
録画用DVD 27 79 200 372 480
フルカセットビデオテープ 234 199 183 156 112
(参考)データ用DVD 19 71 136 275 365

(単位:百万枚)

<参考3:録画機器(VTR、DVD録画機等)国内出荷台数推移>

 社団法人電子情報技術産業協会「民生用電子機器国内出荷統計」によると、アナログ録画用のVTR(注6)等の国内出荷は減少しており、DVD方式の録画機器の国内出荷が増加していることが分かる。



  平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年
VTR 6,132 4,729 2,952 1,848 1,093 570
DVD録再機 131 623 1,962 4,071 4,238 3,482

(単位:千台)

2 デジタル録画の経験と頻度

 18年録画調査によると、家庭においてデジタル録画機器を保有している調査対象者のうち約95.7パーセントが最近1年間に実際にテレビ番組の録画の経験があった。

 また、18年録画調査によると、テレビチューナー付パソコン以外のデジタル録画機器でテレビ番組を録画した経験のある人のうち、一週間に一回程度以上デジタル録画を行う人は80パーセントを超えており、同調査と17年録画調査及び平成10年に社団法人日本映像ソフト協会等が行った調査(注7)(以下、「10年録画調査」という。)とを比較すると、録画の頻度は増加傾向にある(注8)ことがわかる。



3 デジタル録画の態様

(1)デジタル録画の理由

 18年録画調査では、デジタル録画機器を用いて録画する理由別に録画経験を見ると、「見たい番組の放映時間に、外出していたり、手が離せない場合に、後で見るため」(約94.5パーセント)、「同じ時間帯に複数のチャンネルで見たい番組が重なった場合に、見られなかった番組を後で見るため」(約79.9パーセント)など、多くの人がタイムシフト目的の録画を経験していることが分かった。

 また、「興味ある番組やその一部を保存するため」(約81.9パーセント)と、保存目的の録画も経験率が高い。なお、平成17年録画調査における録画の理由の調査結果と比較すると(注9)、特に保存目的の録画経験者の割合が高まっている。このことの理由としては、調査方式の違いから単純な比較はできないが、17年録画調査ではアナログ録画も調査対象としていたところ、18年録画調査ではデジタル録画のみが調査対象となり、デジタル録画ではアナログ録画に比較してより簡単、便利に保存ができるようになったことが反映されているのではないかと考えられる。

 また、18年録画調査では、誰のために録画したかの区別に着目すると、自分のための録画の頻度が高いが、家族のための録画も比較的頻繁に行われていることが分かった。



(2)デジタル録画の録画源

 また、デジタル録画源(放送種類別)ごとの最近1年間の録画の頻度をみると、地上波放送(アナログ)が最も高く、1年間で経験した割合は約90パーセントとなっており、次に多いBS放送(アナログ)は30パーセント強となっている。CS放送(デジタル)、地上波放送(デジタル)、BS放送(デジタル)は15〜20パーセント程度である。

4 デジタル録画の回数の推移

 18年録画調査によると、以前にアナログ方式で録画した経験がある人のうち、デジタル録画機器を所有したことで録画頻度が増えた(注10)と答えた人は約65パーセントであり、減ったと答えた人は約15.8パーセントであることと比較すると、録画機器のデジタル化により全体の録画回数は増えていると考えられる。

 また、デジタル録画機器を所有したことで録音頻度が増えた人は、その理由として「デジタル録画機器は媒体の交換が不要でたくさん録画できるから」(約68.4パーセント)、「デジタル録画機器は録画の設定が簡単だから」(約66.6パーセント)等を挙げる割合が高かった。



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