○ | 資料4p3「(2)重点対象国の絞込み」について、「我が国の著作物を文化的に受容れやすい土壌がある」の意味がわかりにくいので工夫が必要である。
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○ | 中国、韓国、台湾で海賊版が多いのは事実だが、音楽やゲームなど、文字に依存する部分は余りないのではないか。漢字圏だから海賊版が流通する、という意見には、文化論的に抵抗感がある。また、7ページ「(1)問題の所在」「(2)準拠法」の「国境を越える著作権侵害」という表現について、国境を越えるのは行為であることから、「侵害行為」とすべき。
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○ | 文化論について、漢字の問題というよりも、音楽の面では、韓国など特にメンタリティが同じだと思う。結果として文化的に重なるというよりも、共通の土壌があるのかもしれない。加えて技術的基盤がある、というのも重要ではないか。
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○ | 言語の共通、というよりも、その国でコンテンツを作る能力がなく、外国から持ってきたほうがコストがかからない国、といったほうがいいのではないか。例えば、インドネシアやマレーシアでは、日本の曲とは意識されずに、現地の歌詞がつけられて利用されている。海賊版を作るのは、実際コンテンツを作成していないために著作者の痛みが分からない国に多いのではないか。
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△ | 「侵害行為」というように修正する。また、海賊版対策における重点対象国の記述については、ご意見を踏まえ適当な記述を考えたい。
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○ | 3ページ「(3)海賊版対策を講じる上での問題点」について、放送番組は、アジア全体で二十数本のセットあたり二千〜三千万円で販売し、これをディストリビューターへの配分及び権利処理等した後にテレビ局とプロダクションで分けると、テレビ局の収入は一千万円あるかないかである。一方、一本の海賊版を取り締るのには五百万円かかり、コスト・パフォーマンスの面から、消極的にならざるを得ない。
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○ | 5ページ「 欧米諸国との戦略的連携」について、「人的資源」という記述は、BSA等から人材を引き抜くことを推奨しているとの誤解を招く可能性があり、表現に工夫が必要である。また、11ページ「(2)今後の基本的な対応」一行目について、視聴覚的実演の保護に関する議論の焦点は、権利のインターネット対応ではなく、むしろ実演家の権利の製作者への移転ではないのか。
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△ | 放送機関の保護に関する新条約については、WIPOインターネット条約の一つとして、ベルヌ条約及びローマ条約で保護している著作権者及び著作隣接権者の保護をインターネットに対応したものにアップロードしよう、というのがそもそもの出発点である。確かに現在論点となっているのは「権利の移転」の部分であるが、それは付随してでてきた論点であり、あくまでも本条約の大義名分は、視聴覚的実演家の権利のインターネット対応であると考えている。
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○ | 「権利の移転」について国際条約上どのように定めるのか、それを受けて国内的にどのように権利者と利用者との間を調整していくのか、ということは慎重に検討すべきであり、我が国として結論を得ていないのではないか。
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○ | 「更新」という表現は適当ではない。放送機関の権利については「ウェブキャスティング」の問題等があるが、視聴覚的実演の保護に関する新条約については、むしろ積極的かつ早急に日本の立場を固めるべきだと思う。
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△ | 条約対応という意味での日本の立場は既に固まっている。「映像分野の著作権に係る諸問題に関する懇談会」で議論が行われ、我が国としての条文案も提出している。条約への加盟に際して、国内著作権法をいかに改正していくかという点については、文化庁の立場としては、視聴覚的実演に関する実演家の権利を歌手のような音の実演家の権利と同様のものにする、具体的には、第九十一条以降に記載している「ワンチャンス主義」の条文を削除することになると考える。ただし、実演家と製作者の間に契約秩序がないままこのような改正を行うと、映画製作に支障が出ることが想定されるため、米国のように実演家と映画製作者との間で団体協約的なものを定めて、この協約に沿った形でしか契約しない、という契約秩序を確立した上で、「ワンチャンス主義」の条項を削除していくことになると考える。
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○ | その問題について、条約については、報告書に記載されている内容でかまわないと思うが、国内的にはまだ調整が必要である、ということを十分ご理解いただきたい。
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○ | 4ページ「(3)海賊版対策を講じる上での問題点」第3段落について、「捜査機関のモラルに問題がある場合があること」という記述は強すぎる気がする。また、3ページ「(3)海賊版対策を講じる上での問題点」について、コスト面の問題があるのはわかるが、権利者が自分の権利を守るのはあたりまえで、著作権だけ特別扱いはできない、という意見もあるかと思う。したがって、権利者も積極的に対応をしていく、その上で支援もいただきたい、という趣旨の記述にしてはどうか。
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○ | 「捜査機関のモラルに問題がある」という点について、この報告書は、文化庁ではなく、国際小委員会の報告書であること、知的財産保護フォーラム官民合同訪中団でも正式に指摘するつもりであること、から、記述しても問題ないと考える。
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○ | 「2 インターネット上の著作権侵害に対する準拠法及び国際裁判管轄」及び「3 新たな条約策定等への参画」については、具体的な姿勢を打ち出したほうがいいのではないか。具体的には9ページ「(4)今後の方向性」3行目にある「権利者の権利行使を容易にするようなアプローチ」について、提案もあったと思うので、記述してほしい。また、6行目「これらの点が訴訟上の争点となっている例は必ずしも多くない」という記述においては、この問題が複雑であるために訴訟の争点となっていないのか、それとも他の解決方法があるので争点となっていないのか、が不明である。
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○ | 5ページ「 国際機関の積極的活用」について、WIPOの正式訳称を「世界知的所有権機関」としているが、知的財産戦略大綱で「知的所有権」を「知的財産権」に統一しようとしている点について、文化庁はどのように対応していくつもりなのか。
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△ | 文化庁でも大綱に基づき、知的財産権に統一していくつもりだが、固有名詞については混乱を避ける意味で「所有権」という言葉を引き続き使っていきたいと考えている。いずれにしても、既に確立した国際機関の名称、既存の条約について、どこまで遡って「知的財産権」という言葉に変更するかについては、外務省で検討中であると聞いており、文化庁もその結果を踏まえ対応したい。
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○ | 7ページ「 在外公館等の積極的活用」について、「…模倣品への対策と…海賊版への対策は、本質的に類似の点が多いため、」という点については、同意できない。情報に価値がある海賊版と模倣品は異なるという認識の下、知的財産保護フォーラムと別個にコンテンツ海外流通促進機構を立ち上げたはずである。 |