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資料7
海賊版対策について


1  これまでの取り組み

1. アジア各国の著作権制度整備
1 アジア地域著作権制度普及促進事業(APACEプログラム)
  文化庁がWIPO(世界知的所有権機関)に毎年継続的に信託基金を拠出し、WIPOと共同して、各国の国内法の整備や著作権管理団体の育成を指導している。(行政官、権利者団体等を対象としたセミナー、研修会の実施等)
(A) アジア・太平洋地域  著作権・著作隣接権国際シンポジウム(平成5年度〜)
(B) 東京特別研修プログラム(平成6年度〜)
(C) 南太平洋地域サブリジョナルセミナー(平成6年度〜)
(D) 著作権に関する専門家派遣(平成11年度〜)
(E) 集中管理団体実務研修(平成12年度〜)
(F) ナショナルセミナーの開催(平成12年度〜)

〈WIPOに対する信託基金拠出額〉
      平成14年度  約4,200万円(585,807スイスフラン)

2. エンフォースメント
1 アジア・太平洋 著作権・著作隣接権セミナー(東京セミナー)(平成8年度〜)
  東アジア諸国及び南太平洋諸国の著作権関係者を招へいし、各国における動向や各国間の連携協力の在り方等情報交換・意見交換を行っている。
   
2 権利の執行に関する協力事業(平成10年度〜)
  我が国の権利者の権利保護を図るため、国内専門家で構成する専門委員会を設置し、現地の視察・調査等を行うことにより、途上国における民事・刑事上の手続きをより効果的に活用するための手引書を作成している。
  これまでに韓国、台湾、香港、中国の調査を実施しており、手引書を関係団体等に配布している。
   
3 アジア地域著作権専門家招致事業(平成8年度〜)
  アジア各国の政府において著作権行政に責任を有する関係者を、毎年日本に招へいし、講演会の開催や我が国の著作権関係者との意見交換等を実施している。

3. 官民連携の推進
1 海外における著作権侵害の現状と課題に関する調査研究(平成12年度〜)
    (社)著作権情報センターが中心となって、文化庁と著作権関係団体等が連携・協力し、アジア地域における海賊版による権利侵害の実態把握のための調査研究を実施している。これまでに「海外における著作権侵害の現状と課題に関する調査研究(国内調査編)及び(海外調査編)の2つの報告書を取りまとめている。
   
2 海賊版対策連絡協議会の開催(平成13年度〜)
  海外における海賊版を迅速かつ効果的に防止するため、著作権侵害の実態や侵害国・地域の制度上、運用上の問題点等について、文化庁及び著作権関係団体間での情報交換を行うとともに、必要な海賊版対策を検討するために開催。今年5月9日に報告書「アジア地域における海賊版に対する官民の取り組みの強化について」を取りまとめた。


2  今後の取り組み

1. コンテンツ海外流通促進機構の設立
  8月上旬に海賊版への取組として、事業者が侵害実態の監視や訴訟等への対応を目的とする、「コンテンツ海外流通促進機構」(仮称)の設立が予定されている。
  本機構は業界団体、企業等を構成員とする民間の組織で、随時参加することが可能であり、文化庁と経済産業省は本機構の具体的な運営を当面共同して支援する。活動としては、権利者や企業が共同して、会員相互の海賊版等に関する情報交換等を行うほか、侵害状況の調査やミッションの派遣など個別のプロジェクトの実施などが考えられている。
  また、本機構は4月16日に発足した知的財産全体の保護を推進する民間組織である「国際知的財産保護フォーラム」に参加する予定となっている。
   
2. 二国間交渉の制度化
  日中、日韓間の定期的な著作権に関する協議の実施を予定している。
  文化庁と中国国家版権局及び韓国文化観光部との間で、(1)海賊版対策、(2)著作権集中管理団体間の交流・協力、(3)インターネットの普及等に伴う新たな課題への対応等に関し定期的に協議を行うことについて、合意形成に向けた詰めの作業を行っている。

[日中著作権シンポジウムの開催]
  文化庁と中国国家版権局が協力して、2002年「日本年」「中国年」を記念して開催される日本メディア芸術作品展2002の開催時期に併せて、日中著作権シンポジウムを開催する。
    シンポジウムでは、「デジタル化・インターネット環境下における著作権保護」のテーマの下で、海賊版対策を含めた様々な課題について、日中両国の著作権の専門家が中国の行政関係者、司法関係者等を対象に講演を行い、WTOに加盟した中国における著作権保護思想の普及・啓蒙を図る。
  (日時)平成14年8月26日(月)午後2時〜5時
  (場所)和平賓館(北京市)
  (参加者)中国の行政関係者、司法関係者、研究者、関係団体等から30〜40名の参加を予定
   
3. WTO、WIPO等の国際機関の積極的活用
  TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)の審査制度を活用し、中国、台湾をはじめとするアジア地域における著作権制度の整備・運用を監視するとともに、必要に応じて紛争解決のための行動(WTOへの提訴等)をとる。WIPOにおいて進められている知的所有権のエンフォースメントについての取り組み(海賊版対策に対する成功事例集の作成等)に積極的に参画する。


3   今後の検討事項(案)

海賊版流通の実態把握
海賊版流通の実態はどのようになっているのか。
   
重点対象国の絞込み
海賊版対策を進めるにあたっての重点対象国はどこか。
   
権利行使を行う上での問題点の特定と対応
権利者が対抗措置を講じるにあたっての問題点は何か。それに対して官民が如何に対応すべきか。
   
国際的な戦略の構築(国際的フォーラムの活用、先進諸国との協力等)
海賊版対策を進めるにあたって、二国間協議、多国間協議をいかに活用すべきか。


(参考)アジア地域における海賊版の被害実態

  アジア地域における我が国の著作物の海賊版被害について、具体的には次のような状況が報告されている。

  日本のコンテンツの侵害品市場規模は、ゲームソフト、音楽ソフト、映像ソフトの合計で、香港で約670億円、台湾で約800億円にのぼると推計される。(海外における著作権侵害の現状と課題に関する調査研究−海外調査編)
   
  東アジアにおけるレコード・CD等の侵害状況を見ると、中国においては、約980億円のレコード・CD等の音楽市場のうち、約90%に当たる約882億円が侵害市場(海賊版による市場)であり、台湾においては、約442億円の音楽市場のうち約50%(221億円)、韓国においては、約461億円の音楽市場のうち約25%(115億円)、香港においては、約168億円の音楽市場のうち約25%(42億円)がそれぞれ侵害市場と推計されている。なお、これらの地域の侵害市場のうち、約3割程度が日本の音楽の海賊版と推計されている。(2001年、国際レコード産業連盟)
   
  中国では、「宇多田ヒカル」、「浜崎あゆみ」や「小柳ユキ」等の所属会社の異なる歌手のヒット曲を集めたベストアルバムが200円前後で販売されているほか、日本のプレイステーション用ソフトの海賊版が約75円〜150円(正規品は6,800〜7,800円)、ゲームボーイ用ソフトの海賊版が700円前後(正規品は3,800〜4,800円)で販売されている。
  また、海賊版のビデオCDやDVDが数多く存在し、日本のアニメーションを中心に「北野武」や「黒澤明」等の作品に人気があり、一枚約75〜375円(日本におけるDVDの販売価格は5,000円程度)で販売されている。(不正商品対策協議会)
   
  韓国では、プレイステーション2のゲームソフトの海賊版が2,500円前後(正規品は6,800〜7,800円)で販売されている。特に、ヒット作の場合には、正規品が正式に発売される2週間から1ヶ月前に市場に出回る事例が多い。市場流通ベースでの侵害率は約90%に上ると見られる。(社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)
   
  東南アジア地域で行われているものと推測されるが、映画館で上映された「千と千尋の神隠し」をビデオカメラで収録し、それをインターネット上でファイル交換する事例が発生している。(不正商品対策協議会)


ASEAN諸国等の国際条約への加盟状況について
 
アジア各国におけるレコード市場の規模と侵害状況
 
アジア地域における海賊版被害の拡大
 
香港・台湾における日本のコンテンツの侵害規模(推計)
 
日本からアジア諸国等へのビデオ・DVD・CDの輸出実績(2001年)
 
税関における輸入差止状況
 
アジア地域における海賊版に対する官民の取り組みの強化について
 
海賊版対策連絡協議会について


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