第4節 防災に関する研究開発の推進

 科学技術を生かし,自然災害による被害の軽減を図るため,文部科学省では地震調査研究推進本部の方針に基づき,地震調査研究を進めるとともに,「防災に関する研究開発の推進方策について」(平成15年3月)に沿って防災に関する研究開発に取り組んでいます(参照:第2部第6章第3節)。
 地震防災に関する調査研究については,文部科学省では首都圏や京阪神などの大都市圏において,大地震が発生した際の人的・物的被害を大幅に軽減するための科学技術的基盤を確立することを目的に,平成14年度から「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」を推進しています。
 また,地震発生時の初期微動(P波)をとらえて地震の規模・発生場所を把握し,主要地震動(S波)が到達する前に各種の対応をとることができるよう,平成15年度から「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」を気象庁と連携して進めています。
 さらに,平成16年度から大規模な自然災害の発生危険性が高い地域において,大学などの公的研究機関や都道府県などの連携により,最新の科学的知見を地域の防災活動に反映させ,当該地域の防災力の飛躍的向上,大規模災害時の人的・物的損害の大幅な軽減を目指すことを目的とする「防災研究成果普及事業」を実施しています。
 防災科学技術研究所は,自然災害に関する防災科学技術の水準向上に大きな役割を果たしています。本研究所では,地震に強い社会を目指して,地震による構造物の破壊現象を明らかにし耐震性の飛躍的向上を目指すために,阪神・淡路大震災級の震動を再現する世界最大の震動台,実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)の運用を平成17年度から開始しました。これにより,木造建物,鉄筋コンクリート建物,地盤・基礎構造に関する実験などを行いました。
 一方,突発的な災害への対応としては平成18年5月にインドネシア・ジャワ島中部で発生した地震において,人的・物的被害が大きかった原因を解明するために,大学の研究者を中心に調査研究を実施しました。

▲被害のひどかったプラレット郡Bauran村の,6か月前に建てられたばかりの全壊した小学校の校舎

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