第3節 開発途上国への協力

4.大学における国際開発協力の促進

 大学による国際開発協力プロジェクトの受託を推進することは,大学による社会貢献の促進,大学の国際競争力の強化,学生に対する実践的な教育の提供などに寄与します。また,大学と援助機関との安定的な協力体制を構築することにより,我が国としても,大学の知的資源を開発援助に一層活用することが可能となります。
 このため,文部科学省では平成15年度から「国際開発協力サポート・センター」プロジェクト(以下SCP)に取り組んでいます。SCPでは,これまでに,1プロジェクト受託や契約に関する情報の収集と提供,各種セミナーの実施,個別プロジェクトの受託支援,2国際機関・開発援助機関などとの関係構築や大学とのネットワーク構築支援,2国際開発協力に関心のある大学・教員に関するデータベースの整備や各種広報活動など,途上国開発協力を通じた大学の教育研究水準の向上と国際競争力強化に資する支援を行ってきました。
 このような活動の結果,大学による国際開発協力プロジェクト受託数の大幅な増加(2004年度(平成16年度):18件,2005年度(平成17年度):39件),国際機関や援助関係機関等への学生のインターン数及び就職者数の増加などの成果につながっています。
 一方,この間の国際潮流の変化や高等教育のグローバル化の一層の進展など,大学をはじめとする教育関係者を取り巻く環境が変化しています。それに対応するためには,SCPとしても国際協力プロジェクト受託支援に留まらず,広く大学の組織的な国際開発協力活動に対する支援を中心に,広範な活動を行っていくことが必要となっています。
 このため,文部科学省は,平成18年8月の「国際教育協力懇談会」報告書の提言を踏まえ,新たにSCPが担う取組として,国際開発協力のための「知的コミュニティ」の構築を進めていくこととしています(SCPの取組については本章Topics 1の図表を参照)。

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