第1節 国際社会で活躍する人材の育成

3.海外子女教育の充実

(1)海外子女教育の現状

 我が国の国際化の進展に伴い,多くの日本人が子どもを海外へ同伴しており,平成18年4月現在,海外に在留している義務教育段階の子どもの数は5万8,304人となっています。
 文部科学省では,海外子女教育の重要性を考慮し,日本人学校や補習授業校(参照:本節コラム19)の教育の充実・向上を図るため,日本国内の国公私立の義務教育諸学校の教員を派遣しています(平成18年度は1,338人)。教育内容の充実のための支援については,海外子女教育研究協力校を指定し,日本国内とは異なる環境の下での教育の在り方などについて調査研究を行っているほか,指導や運営上の諸問題に対応するため,日本人学校の校長を対象に,研究協議を行う校長研究協議会を定期的に開催しています。さらに,教育環境の整備として,義務教育教科書の無償給与,教材の整備,通信教育などを行っています(図表2-10-1図表2-10-2)。

図表●2-10-1 海外の子ども(学齢段階)の就学形態別数

図表●2-10-2 海外の子ども(学齢段階)の地域別就学状況

 海外子女教育・帰国児童生徒教育に関する総合ホームページの開設(通称「クラリネット」参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/main7_a2.htm(※CLARINETへようこそへリンク))などを行っています。

(2)豊かな国際性を培う教育活動の推進

 日本人学校などにおいては,海外という特性を十分に生かし,現地社会との交流を進め,異文化への理解を深めて,国際性豊かな日本人の育成を図っていくことが期待されています。このため,日本人学校では,所在国の言語や歴史・地理など現地事情に関する指導を取り入れたり,現地校との交流活動を教育課程の中に日常的に位置付け,相互理解の推進や,現地との交流の促進に努めています。また,国際学級や日本語講座を設けるなどして,外国人の子どもを受け入れているところもあります。
 文部科学省は,日本人学校などにおける現地理解教育や,交流活動などを一層推進するため,在外教育施設国際交流ディレクター(注)を派遣しています(平成18年度は9人)。さらに,その所属する学校を国際教育・文化交流推進校に指定することにより,指定校を拠点とした国際交流の促進を行います。

  • (注)在外教育施設国際交流ディレクター
     在外教育施設を拠点とした国際交流活動を積極的に推進することを任務とする。所属する在外教育施設の実情に応じて,現地関係諸機関などとの連携を図りながら,教育,文化,スポーツを通じた国際交流に関する事業の企画・実施について総合調整を行う。

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