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2 科学技術分野におけるアジア地域との連携

 我が国は欧米諸国と長期間にわたり,科学技術・学術面での連携を発展させてきた一方,アジア諸国に対しては,ODAなどを通じた「支援」を中心に取り組んできました。しかし近年,アジア諸国の一部は科学技術・学術分野でも大きな進展を見せており,この分野でアジア諸国と,地域の一員として対等な立場で様々なレベルで連携していくことが重要となっています。そこで,我が国はアジア各国と協力して,防災や感染症などアジア地域共通課題やアジア地域における多層的なネットワーク形成を目指して,アジア科学技術連携の強化を図っていきます。

○科学技術振興調整費「アジア科学技術協力推進戦略プログラム」

 アジア諸国,特に中国,韓国,インドやASEAN(アセアン)諸国とのオープンで対等なパートナーシップの拡大により,我が国がアジア地域の科学技術を先導するため,平成18年度に文部科学省が開始したプログラムです。特に,アジア地域共通課題の解決(環境・エネルギー,防災,感染症など),アジア地域発の科学技術の創出とこれらの分野を得意とする科学技術人材層の蓄積を通じて,アジア地域の優位性の確保を目指し,1機動的国際交流(国際会議の開催,研究者のネットワーク形成支援など),及び2地域共通課題解決型国際共同研究を実施しています。

アジア科学技術協力戦略推進プログラムの連携相手国

○新興・再興感染症研究拠点形成プログラム

 近年,国際的に重症急性呼吸器症候群(SARS(サーズ)),高病原性鳥インフルエンザなどの新興・再興感染症に関する社会不安が増大してきています。このような状況に対し,文部科学省は平成17年度から新規にプログラムを立ち上げ,アジアを中心とした新興・再興感染症の発生国あるいは発生が想定される国に,現地研究機関との強力の下,海外研究拠点を設置するとともに,国内(東京大学,大阪大学,長崎大学,北海道大学)の体制を整備し,感染症対策を支える基礎研究を集中的・継続的に進め,人材の育成・知見の集積などをることを推進しています。

▲感染症海外研究拠点

○陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)

 「だいち」は,地震・津波等による災害状況の把握を目的の一つとしており,災害の様子を宇宙から観測することにより,被災地域における救援活動等への貢献を目指しています。「だいち」は,平成18年2月に発生したフィリピン共和国レイテ島の地すべりや,同年5月に発生したインドネシア共和国ジャワ島メラピ山の噴火の様子などを観測し,その画像は,国際災害チャータ(注)等を通じて防災担当機関等に提供されました。今後も,宇宙から天候や昼夜を問わず被災地の状況を把握できる「だいち」の活躍が期待されます。

▲インドネシア共和国ジャワ島メラピ山の様子(提供:JAXA(ジャクサ))

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